JP2015112841A - 樹脂成形体の製造方法及びこの方法で得られる樹脂成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明樹脂成形部と不透明樹脂成形部を備える樹脂成形体の変形ならびに透明樹脂成形部の内部応力や歪を小さくすることができる樹脂成形体の製造方法及びその樹脂成形体を提供することを目的とする。【解決手段】射出成形により樹脂成形体を製造する方法であって、樹脂成形体は、透明樹脂からなる成形部の裏面に、不透明樹脂からなる成形部を備え、射出成形に用いられる金型は、意匠側金型と非意匠側金型とから構成され、意匠側金型には、透明樹脂成形部を形成するためのキャビティが形成され、非意匠側金型には、不透明樹脂成形部を形成するためのキャビティが形成され、非意匠側金型温度を、前記意匠側金型温度よりも低温とし、非意匠側金型温度と、前記意匠側金型温度の差が20℃未満で射出成形することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂パネルにおける透明部及び透明部を支持する額縁状外周部を一体成形する射出成形方法及び樹脂成形体に関する。
従来から樹脂パネルにおける透明部と、この透明部を支持する不透明部とを一体成形する方法として、2色射出成形方法(ダブルモールド法)が広く採用されている。
この方法で樹脂パネルの透明部の外周部に不透明部(支持部)を設けると、光学部品として用いた場合にフレアやゴーストの発生を防止することができる。また、光学素子等の透明部の周りに不透明部を設けることで、この不透明部(支持部)を他の部品内に組み込む際の位置決め機能等を持たせることができる。
この2色射出成形法の一般的な成形方法は、例えば、まず、一次成形用の金型に一次成形用の樹脂を射出して透明部を成形する。次いで二次成形用の金型に二次成形用の樹脂を射出して着色部を成形すると同時に、これら透明部と着色部とを溶着、一体化させる方法である。
しかしながら、このような成形方法では、二次成形時の樹脂圧及び冷却過程での着色部の収縮により、一次成形部(透明部)の形状が崩れたり、該一次成形部の内部応力や歪が増大するという課題がある。
これを解決すべく、例えば特許文献1において、一次成形で着色部を成形した後に透明部を二次成形する方法が提案されている。
また、特許文献2においては、一次成形で透明部を成形後、二次成形で着色部を成形する方法において、少なくとも一次成形を射出圧縮成形することを提案されている。
特開2005−103907号公報 特公平7−100331号公報
しかしながら、特許文献1のように、透明部を二次成形すると、二次成形の樹脂温度により、一次成形品の樹脂が溶融し、この樹脂が二次成形の透明樹脂に入り込み、所望の光学特性が得られなくなる場合がある。特にこのような現象は、透明部が微小な場合は顕著に現れやすい。
また、特許文献2の場合では、前述のように、一次成形を射出圧縮成形しても、二次成形時の樹脂圧及び冷却過程での二次成形部の樹脂の収縮により、二次成形部の形状が崩れるおそれがある。
そこで本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、透明樹脂成形部と不透明樹脂成形部を備える樹脂成形体の変形ならびに透明樹脂成形部の内部応力や歪を小さくすることができる樹脂成形体の製造方法及びその樹脂成形体を提供することを目的とする。
本発明は、前記目標を達成するため検討されたものであり、本発明の要旨は下記[1]〜[10]に存する。
[1]射出成形により樹脂成形体を製造する方法であって、前記樹脂成形体は、透明樹脂からなる成形部の裏面に、不透明樹脂からなる成形部を備え、前記射出成形に用いられる金型は、意匠側金型と非意匠側金型とから構成され、前記意匠側金型には、前記透明樹脂成形部を形成するためのキャビティが形成され、前記非意匠側金型には、前記不透明樹脂成形部を形成するためのキャビティが形成され、前記非意匠側金型温度を、前記意匠側金型温度よりも低温とし、非意匠側金型温度と、前記意匠側金型温度の差が20℃未満で射出成形することを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
[2]前記透明樹脂成形部の肉厚は、前記不透明樹脂成形部の肉厚よりも薄く、透明樹脂成形部の肉厚と、不透明樹脂成形部の肉厚の差が、18%以下であることを特徴とする[1]に記載の樹脂成形体の製造方法。
[3]射出成形により樹脂成形体を製造する方法であって、前記樹脂成形体は、透明樹脂からなる成形部の裏面に、不透明樹脂からなる成形部を備え、前記射出成形に用いられる金型は、意匠側金型と非意匠側金型とから構成され、前記意匠側金型には、前記透明樹脂成形部を形成するためのキャビティが形成され、前記非意匠側金型には、前記不透明樹脂成形部を形成するためのキャビティが形成され、前記透明樹脂成形部の肉厚は、前記不透明樹脂成形部の肉厚よりも薄く、透明樹脂成形部の肉厚と、不透明樹脂成形部の肉厚の差が、18%以下であることを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
[4]前記透明樹脂成形部の耐熱温度が、前記不透明樹脂成形部の耐熱温度よりも低く、透明樹脂成形部の耐熱温度と、不透明樹脂成形部の耐熱温度の差が30℃以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法。
[5]前記透明樹脂が、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂組成物であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法。
Figure 2015112841
[6]前記不透明樹脂が、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂組成物であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法。
Figure 2015112841
[7]前記ジヒドロキシ化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする[5]または[6]に記載の樹脂成形体の製造方法。
Figure 2015112841
[8]前記ポリカーボネート樹脂が脂肪族ジヒドロキシ化合物及び脂環式ジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物に由来する構造単位をさらに含むことを特徴とする[5]〜[7]のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法。
[9]前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が145℃未満であることを特徴とする[5]〜[8]のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法。
[10]前記不透明樹脂は、前記透明樹脂に着色剤を配合したものであり、着色剤の含有量が、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.05重量部以上5重量部以下であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法。
[11][1]〜[10]のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法により製造された樹脂成形体。
この発明は、透明部と不透明部とを一体成形する際に、変形がなく、透明部の内部応力や歪の少ない樹脂成形体を得ることができる。
一次側樹脂の金型断面図 二次側樹脂の金型断面図 可動型の一次樹脂用キャビティ配置図(PL視) 固定型の二次樹脂用キャビティ配置図(PL視) 本発明の透明樹脂成形体 (a)本発明の2色樹脂成形体、(b)(a)のb−b切断部端面図
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
この発明は、射出成形により樹脂成形体を製造する方法についての発明である。この樹脂成形体は、透明樹脂組成物からなる成形部(以下、「透明樹脂成形部」と称する。)の裏面に、不透明樹脂組成物からなる成形部(以下、「不透明樹脂成形部」と称する。)を備えたものである。
[透明樹脂組成物及び不透明樹脂組成物]
この樹脂成形体を構成する透明樹脂成形部及び不透明樹脂成形部を構成する透明樹脂組成物及び不透明樹脂組成物は、いずれも透明樹脂を含有してなる。そして、透明樹脂組成物は、この透明樹脂に必要であれば、各種添加剤を配合したものであり、不透明樹脂組成物は、この透明樹脂に着色剤を配合することにより不透明化したものである。
この透明樹脂を構成する樹脂の種類としては、ポリカーボネート樹脂組成物、スチレン系樹脂組成物、スチレン・アクリロニトリル系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等があげられる。
[スチレン系樹脂組成物、スチレン・アクリロニトリル系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物]
前記スチレン系樹脂組成物としては、ポリスチレン樹脂等を例として挙げることができる。また、前記スチレン・アクリロニトリル系樹脂組成物としては、透明ABS樹脂(ただし、ABS樹脂とはアクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂のことをいう。)等を例として挙げることができる。さらに、前記アクリル系樹脂組成物としては、MMA樹脂(ただし、MMA樹脂はメタクリル酸メチル(メチルメタクリレート=MMA)のポリマー、またはアクリル酸エステル(アクリレート)とのコポリマーの総称のことをいう)等を例として挙げることができる。
[ポリカーボネート樹脂組成物]
前記ポリカーボネート樹脂組成物は、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(1)」と称する。)に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物である。
Figure 2015112841
但し、前記一般式(1)で表される部位が−CH−O−Hの一部である場合を除く。
以下、本発明に用いるポリカーボネート樹脂組成物を製造するための方法について詳述する。
[ポリカーボネート樹脂の製造]
<原料>
(ジヒドロキシ化合物)
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、構造の一部に前記の一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位を少なくとも含む。
即ち、ジヒドロキシ化合物(1)は、2つのヒドロキシル基と、更に前記の一般式(1)で表される部位を少なくとも含むものをいう。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂を構成する全てのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対する、ジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位の割合は、好ましくは90mol%以下、更に好ましくは85mol%以下、特に好ましくは80mol%以下である。一方、好ましくは20mol%以上、更に好ましくは30mol%以上、特に好ましくは40mol%以上である。
ジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位の割合が多過ぎると、本発明に用いるポリカーボネート樹脂組成物を成形し得られる成形品にサンシャインカーボンアークを用いた照射処理を施した際、割れが生じる場合があり、また透明性が悪化しヘイズが大きくなる場合がある。ただし、後述する耐光安定剤、中でも所定量のヒンダードアミン系耐光安定剤をポリカーボネート樹脂組成物に含有させることにより、この割れを防止することも可能である。このように割れが生じる原因の詳細は明らかではないが、ジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位の割合が多過ぎると、得られる成形品の表面が紫外線照射劣化、加水分解し、ポリカーボネート樹脂の分子量が低下するためと考えられる。ただし、上述の通り、耐光安定剤をポリカーボネート樹脂組成物に含有させることにより、成形品の割れを防止することが可能である。この原因の詳細は明らかではないが、耐光安定剤により、成形品の表面の紫外線照射劣化、加水分解が抑制され、ポリカーボネート樹脂の分子量が低下し難いためと考えられる。
一方、ポリカーボネート樹脂中のジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位の割合が少な過ぎると、得られる成形品の耐熱性が低下する場合がある。
前記ジヒドロキシ化合物(1)としては、構造の一部に前記一般式(1)で表される部位を有するものであれば特に限定されるものではない。具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等のフェニル置換フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記一般式(3)で表されるスピログリコール等の環状エーテル構造を有する化合物(環状エーテル)等が挙げられる。
これらの中でも、入手のし易さ、ハンドリング、重合時の反応性、得られるポリカーボネート樹脂の色相の観点から、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましく、耐熱性の観点からは、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記一般式(3)で表される環状エーテル構造を有する化合物が好ましい。
これらは得られるポリカーボネート樹脂の要求性能に応じて、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2015112841
Figure 2015112841
前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのジヒドロキシ化合物のうち、芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物を用いることがポリカーボネート樹脂の耐光性の観点から好ましく、中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、耐光性、光学特性、成形性、耐熱性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、前記ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物(以下「その他のジヒドロキシ化合物」と称す場合がある。)に由来する構造単位を含んでいてもよい。その他のジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオールの等の脂肪族ジヒドロキシ化合物、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノール等の脂環式ジヒドロキシ化合物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ−2−メチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン等の芳香族ビスフェノール類が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、ポリカーボネート樹脂の耐光性の観点からは、分子構造内に芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物、即ち脂肪族ジヒドロキシ化合物及び/又は脂環式ジヒドロキシ化合物が好ましく、脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、特に1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましく、脂環式ジヒドロキシ化合物としては、特に1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールが好ましい。
これらのその他のジヒドロキシ化合物を用いることにより、ポリカーボネート樹脂の柔軟性の改善、成形性の改善などの効果を得ることも可能であるが、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有割合が多過ぎると、機械的物性の低下や、耐熱性の低下を招くことがあるため、ポリカーボネート樹脂中の全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対するジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位の割合が、前述の下限値以上となるように用いることが好ましい。
なお、ポリカーボネート樹脂の合成に供されるジヒドロキシ化合物(1)は、還元剤、抗酸化剤、脱酸素剤、光安定剤、制酸剤、pH安定剤、熱安定剤等の安定剤を含んでいても良く、特に酸性下で本発明のジヒドロキシ化合物は変質しやすいことから、塩基性安定剤を含むことが好ましい。
塩基性安定剤としては、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations2005)における1族又は2族の金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硼酸塩、脂肪酸塩や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等のアミン系化合物が挙げられる。その中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、ナトリウム又はカリウムのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、中でもリン酸水素2ナトリウム、亜リン酸水素2ナトリウムが好ましい。
これら塩基性安定剤のジヒドロキシ化合物(1)中の含有量に特に制限はないが、少なすぎるとジヒドロキシ化合物(1)の変質を防止する効果が得られない可能性があり、多すぎるとジヒドロキシ化合物(1)の変性を招く場合があるので、通常、ジヒドロキシ化合物(1)に対して、0.0001重量%〜1重量%、好ましくは0.001重量%〜0.1重量%である。
なお、これら塩基性安定剤を含有したジヒドロキシ化合物(1)をポリカーボネート樹脂の製造原料として用いると、塩基性安定剤自体が重合触媒となり、重合速度や品質の制御が困難になるだけでなく、初期色相の悪化を招き、結果的に成形品の耐光性を悪化させるため、ポリカーボネート樹脂の製造原料として使用する前に塩基性安定剤をイオン交換樹脂や蒸留等で除去することが好ましい。
ジヒドロキシ化合物(1)がイソソルビド等、環状エーテル構造を有する場合には、酸素によって徐々に酸化されやすいので、保管や、製造時には、酸素による分解を防ぐため、水分が混入しないようにし、また、脱酸素剤等を用いたり、窒素雰囲気下で取り扱うことが肝要である。イソソルビドが酸化されると、蟻酸等の分解物が発生する場合がある。例えば、これら分解物を含むイソソルビドをポリカーボネート樹脂の製造原料として使用すると、得られるポリカーボネート樹脂更にはポリカーボネート樹脂組成物の着色を招く可能性があり、また、物性を著しく劣化させる可能性があるだけではなく、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られない場合もある。
前記酸化分解物を含まないジヒドロキシ化合物(1)を得るために、また、前述の塩基性安定剤を除去するためには、蒸留精製を行うことが好ましい。この場合の蒸留とは単蒸留であっても、連続蒸留であってもよく、特に限定されない。蒸留の条件としてはアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気において、減圧下で蒸留を実施することが好ましく、熱による変性を抑制するためには、250℃以下、好ましくは200℃以下、特には180℃以下の条件で行うことが好ましい。
このような蒸留精製で、ジヒドロキシ化合物(1)中の蟻酸等の分解物の含有量を20重量ppm以下、好ましくは10重量ppm以下、特に好ましくは5重量ppm以下にすることにより、ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物をポリカーボネート樹脂の製造原料として使用した際に、重合反応性を損なうことなく色相や熱安定性に優れたポリカーボネート樹脂の製造が可能となる。蟻酸等の分解物の含有量の測定はイオンクロマトグラフィーで行う。
(炭酸ジエステル)
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、上述したジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。
反応に用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
Figure 2015112841
一般式(4)において、A1及びA2は、それぞれ置換もしくは無置換の炭素数1〜炭素数18の脂肪族基又は置換もしくは無置換の芳香族基であり、A1とA2とは同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(4)で表される炭酸ジエステル(以下「炭酸ジエステル(4)」と称す場合がある。)としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートであり、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。
なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、これらの不純物が重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
<エステル交換反応触媒>
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、上述のようにジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(4)とをエステル交換反応させて製造される。より詳細には、エステル交換させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒存在下でエステル交換反応により重縮合を行う。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の製造時に使用し得るエステル交換反応触媒(以下、単に「触媒」、「重合触媒」と言うことがある)は、特に得られるポリカーボネート樹脂組成物の波長350nmにおける光線透過率や、イエローインデックス(YI)値に影響を与え得る。
用いられる触媒としては、製造されたポリカーボネート樹脂組成物の耐光性、透明性、色相、耐熱性、熱安定性、成形性及び機械的強度のうち、とりわけて耐光性を満足させ得るものであれば、限定されないが、長周期型周期表における1族又は2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物の1種又は2種以上が挙げられる。好ましくは1族金属化合物及び/又は2族金属化合物が使用される。
前記の1族金属化合物及び/又は2族金属化合物と共に、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
また、前記の1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
前記の1族金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられ、中でもリチウム化合物が好ましい。
前記の2族金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられ、中でもマグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物が好ましく、重合活性と得られるポリカーボネート樹脂組成物の色相の観点から、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物が更に好ましく、最も好ましくはカルシウム化合物である。
前記の塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
前記の塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
前記の塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
前記のアミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
前記重合触媒の使用量は、通常、重合に使用した全ジヒドロキシ化合物1mol当たり0.1μmol〜300μmol、好ましくは0.5μmol〜100μmolであり、中でもリチウム及び2族からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、特にはマグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物を用いる場合は、金属量として、前記全ジヒドロキシ化合物1mol当たり、通常、0.1μmol以上、好ましくは0.5μmol以上、特に好ましくは0.7μmol以上とする。また上限としては、通常20μmol、好ましくは10μmol、さらに好ましくは3μmol、特に好ましくは1.5μmol、中でも1.0μmolが好適である。
触媒量が少なすぎると、重合速度が遅くなるため結果的に所望の分子量のポリカーボネート樹脂を得ようとすると、重合温度を高くせざるを得なくなり、得られたポリカーボネート樹脂の色相や耐光性が悪化したり、未反応の原料が重合途中で揮発して本発明のジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(4)のモル比率が崩れ、所望の分子量に到達しない可能性がある。一方、重合触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネート樹脂の色相の悪化を招き、ポリカーボネート樹脂の耐光性が悪化する可能性がある。
更に、炭酸ジエステル(4)として、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートを用いて、本発明に用いるポリカーボネート樹脂を製造する場合は、フェノール、置換フェノールが副生して、ポリカーボネート樹脂中に残存し、ポリカーボネート樹脂組成物中にも含有することは避けられないが、残存したフェノール、置換フェノールも芳香環を有することから紫外線を吸収し、耐光性の悪化要因になる場合があるだけでなく、成形時の臭気の原因となる場合がある。
ポリカーボネート樹脂中には、通常のバッチ反応後は1000重量ppm以上の副生フェノール等の芳香環を有する芳香族モノヒドロキシ化合物が含まれているが、耐光性や臭気低減の観点からは、脱揮性能に優れた横型反応器や真空ベント付の押出機を用いて、これらを脱揮除去し、ポリカーボネート樹脂中の前記芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量が700重量ppm以下、好ましくは500重量ppm以下、特には300重量ppm以下とすることが好ましい。ただし、ポリカーボネート樹脂中の芳香族モノヒドロキシ化合物を工業的に完全に除去することは困難であり、ポリカーボネート樹脂中の芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量の下限は通常1重量ppmである。
なお、これら芳香族モノヒドロキシ化合物は、用いる原料により、当然置換基を有していてもよく、例えば、炭素数が5以下であるアルキル基などを有していてもよい。
また、1族金属、中でもリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、特にはナトリウム、カリウム、セシウムは、ポリカーボネート樹脂中に多く含まれると色相に悪影響を及ぼす可能性がある一方で、該金属は使用する触媒からのみではなく、原料や反応装置から混入する場合があるため、ポリカーボネート樹脂中のこれらの金属の合計量は、金属量として、通常1重量ppm以下、好ましくは0.8重量ppm以下、より好ましくは0.7重量ppm以下となるようにする。
前記ポリカーボネート樹脂中の金属量は、湿式灰化などの方法でポリカーボネート樹脂中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Inductively Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することが出来る。
前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、145℃未満がよく、130℃未満が好ましい。145℃より高いと、材料が脆くなり、実用使用時に破壊するおそれがある。一方、ガラス転移温度の下限は、80℃以上がよく、90℃以上が好ましい。80℃より低いと、実用使用時に熱変形するおそれがある。
<製造方法>
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(4)とをエステル交換反応により重縮合させることによって得られるが、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。
混合の温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも100℃以上120℃以下が好適である。混合の温度が低すぎると溶解速度が遅かったり、溶解度が不足する可能性があり、しばしば固化等の不具合を招く。混合の温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られるポリカーボネート樹脂の色相が悪化し、耐光性に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の原料であるジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(4)とを混合する操作は、酸素濃度10vol%以下、更には0.0001vol%〜10vol%、中でも0.0001vol%〜5vol%、特には0.0001vol%〜1vol%の雰囲気下で行うことが、色相悪化防止の観点から好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂を得るためには、炭酸ジエステル(4)は、反応に用いるジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物に対して、0.90〜1.20のモル比率で用いることが好ましく、さらに好ましくは、0.95〜1.10のモル比率である。
このモル比率が小さくなると、製造されたポリカーボネート樹脂の末端水酸基が増加して、得られるポリカーボネート樹脂の熱安定性が悪化し、成形時に着色を招いたり、エステル交換反応の速度が低下したり、所望する高分子量体が得られない可能性がある。また、このモル比率が大きくなると、エステル交換反応の速度が低下したり、所望とする分子量のポリカーボネート樹脂の製造が困難となる場合がある。エステル交換反応速度の低下は、重合反応時の熱履歴を増大させ、結果的に得られたポリカーボネート樹脂の色相や耐光性を悪化させる可能性がある。
さらには、ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物に対して、炭酸ジエステル(4)のモル比率が増大すると、得られるポリカーボネート樹脂中の残存炭酸ジエステル量が増加し、結果として本発明に用いるポリカーボネート樹脂組成物中の炭酸ジエステル含有量も増大する。ポリカーボネート樹脂組成物中の残存炭酸ジエステルは、紫外線を吸収してポリカーボネート樹脂組成物の耐光性を悪化させる場合がある。本発明に用いるポリカーボネート樹脂組成物中の炭酸ジエステルの濃度は、好ましくは60重量ppm以下、更に好ましくは40重量ppm以下、特に好ましくは30重量ppm以下である。現実的にポリカーボネート樹脂組成物中には未反応の炭酸ジエステルを含むことがあり、濃度の下限値は通常1重量ppmである。
ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(4)とを重縮合させる方法は、上述の触媒の存在下、通常、複数の反応器を用いて多段階で実施される。反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが色相や耐光性の観点から重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(4)のモル比を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリカーボネート樹脂が得られなかったりして、結果的に本発明の目的を達成することができない可能性がある。
更には、留出するモノマーの量を抑制するために、重合反応器に還流冷却器を用いることは有効であり、特に未反応モノマー成分が多い重合初期の反応器でその効果は大きい。還流冷却器に導入される冷媒の温度は使用するモノマーに応じて適宜選択することができるが、通常、還流冷却器に導入される冷媒の温度は該還流冷却器の入口において45℃〜180℃であり、好ましくは、80℃〜150℃、特に好ましくは100℃〜130℃である。還流冷却器に導入される冷媒の温度が高すぎると還流量が減り、その効果が低下し、低すぎると、本来留去すべきモノヒドロキシ化合物の留去効率が低下する傾向にある。冷媒としては、温水、蒸気、熱媒オイル等が用いられ、蒸気、熱媒オイルが好ましい。
重合速度を適切に維持し、モノマーの留出を抑制しながら、最終的なポリカーボネート樹脂組成物の色相や熱安定性、耐光性等を損なわないようにするためには、前述の触媒の種類と量の選定が重要である。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で重合させて製造することが好ましいが、重合を複数の反応器で実施する理由は、重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制することが重要であり、重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の重合反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の製造に使用される反応器は、上述の通り、少なくとも2基以上であればよいが、生産効率などの観点からは、3基以上、好ましくは3〜5基、特に好ましくは、4基である。
反応器が2基以上であれば、その反応器内で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせる、連続的に温度・圧力を変えていく、などしてもよい。
重合触媒は原料調製槽や原料貯槽に添加することもできるし、重合槽に直接添加することもできるが、供給の安定性、重合の制御の観点からは、重合槽に供給される前の原料ラインの途中に触媒供給ラインを設置し、好ましくは水溶液として供給する。
重合反応の温度は、低すぎると反応速度の低下や反応時間の延長などにより生産性が低下し、高すぎるとモノマーの揮散を招くだけでなく、ポリカーボネート樹脂の分解や着色を助長する可能性がある。
具体的には、第1段目の反応は、重合反応器の内温の最高温度として、140℃〜270℃、好ましくは180℃〜240℃、更に好ましくは200℃〜230℃で、110kPa〜1kPa、好ましくは70kPa〜5kPa、更に好ましくは30kPa〜10kPa(絶対圧力)の圧力下、0.1時間〜10時間、好ましくは0.5時間〜3時間、発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去しながら実施される。
第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げ、引き続き発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力(絶対圧力)を200Pa以下にして、内温の最高温度210℃〜270℃、好ましくは220℃〜250℃で、通常0.1時間〜10時間、好ましくは、1時間〜6時間、特に好ましくは0.5時間〜3時間行う。
特にポリカーボネート樹脂の着色や熱劣化を抑制し、色相や耐光性の良好なポリカーボネート樹脂を得るには、全反応段階における内温の最高温度が250℃未満、特に225℃〜245℃であることが好ましい。また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴による劣化を最小限に抑えるためには、重合の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
所定の分子量のポリカーボネート樹脂を得るために、重合温度を高く、重合時間を長くし過ぎると、紫外線透過率が下がり、得られるポリカーボネート樹脂のイエローインデックス(YI)値が大きくなる傾向にある。
副生したモノヒドロキシ化合物は、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行った後、炭酸ジフェニルやビスフェノールA等の原料として再利用することが好ましい。
前記のようにして得られたポリカーボネート樹脂は、重縮合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。
ペレット化の方法は限定されるものではないが、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸又は二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸又は二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
その際、押出機中で、残存モノマーの減圧脱揮や、通常知られている、熱安定剤、中和剤、耐光安定剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等を添加、混練することも出来る。
押出機中の、溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150℃〜300℃、好ましくは200℃〜270℃、更に好ましくは230℃〜260℃である。溶融混練温度が150℃より低いと、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネート樹脂の熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や着色、ガスの発生を招く。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂を製造する際には、異物の混入を防止するため、押出機にフィルターを設置することが望ましい。フィルターの設置位置は押出機の下流側が好ましく、フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%除去の濾過精度として100μm以下が好ましい。特に、微少な異物の混入を嫌う場合は、40μm以下、さらには10μm以下が好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の押出は、押出後の異物混入を防止するために、好ましくはJISB 9920(2002年)に定義されるクラス7、更に好ましくはクラス6より清浄度の高いクリーンルーム中で実施することが望ましい。
また、押出されたポリカーボネート樹脂を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm〜0.45μmであることが好ましい。
このようにして得られた本発明に用いるポリカーボネート樹脂の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度は、通常0.30dL/g以上であり、0.35dL/g以上が好ましく、還元粘度の上限は、通常1.20dL/g以下であり、1.00dL/g以下がより好ましく、0.80dL/g以下が更に好ましい。
ポリカーボネート樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
なお、ポリカーボネート樹脂の還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート溶液の濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
さらに、本発明に用いるポリカーボネート樹脂中の下記一般式(5)で表される末端基の濃度(末端フェニル基濃度)の下限量は、好ましくは20μeq/g、更に好ましくは40μeq/g、特に好ましくは50μeq/gであり、上限量は好ましくは160μeq/g、更に好ましくは140μeq/g、特に好ましくは100μeq/gである。
Figure 2015112841
ポリカーボネート樹脂の前記一般式(5)で表される末端基の濃度が、高すぎると重合直後や成形時の色相が良くても、紫外線曝露後の色相の悪化を招く可能性があり、逆に低すぎると熱安定性が低下するおそれがある。
前記一般式(5)で表される末端基の濃度を制御するには、原料であるジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(4)のモル比率を制御する他、エステル交換反応時の触媒の種類や量、重合圧力や重合温度を制御する方法等が挙げられる。
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂中の芳香環に結合した水素原子の当量数を「A」、芳香環以外に結合した水素原子の当量数を「B」とした場合、芳香環に結合した水素原子の当量数の全水素原子の当量数に対する比率は、A/(A+B)で表されるが、耐光性には上述のように、紫外線吸収能を有する芳香族環が影響を及ぼす可能性があるため、A/(A+B)は0.05以下であることが好ましく、更に好ましくは0.04以下、特に好ましくは0.02以下、好適には0.01以下である。A/(A+B)は、1H−NMRで定量することができる。
[透明樹脂組成物]
本発明で使用する透明樹脂組成物は、特に制限されないが、透明樹脂の中でも前記ポリカーボネート樹脂を用い、これと、前記着色剤と、前記ヒンダードアミン系光安定剤とを少なくとも含むものであることが好ましい。
<ヒンダードアミン系光安定剤>
本発明で使用するヒンダードアミン系光安定剤の分子量は、1000以下が好ましく、900以下がより好ましい。分子量が1000を超えると、2色樹脂成形品としたときに耐候性が十分得られない可能性がある。また分子量は300以上が好ましく、400以上がより好ましい。分子量が300未満では、耐熱性に乏しく、2色樹脂成形品の成形時に金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。
本発明で使用するヒンダードアミン系光安定剤は、ピペリジン構造を有する化合物が好ましい。ここで規定するピペリジン構造とは、飽和6員環のアミン構造となっていればよく、ピペリジン構造の一部が置換基により置換されているものも含む。置換基としては、炭素数4以下のアルキル基があげられ、特にはメチル基が好ましい。
特に、ピペリジン構造を複数有する化合物が好ましく、それら複数のピペリジン構造がエステル構造により連結されている化合物が好ましい。
本発明のヒンダードアミン系光安定剤としては、4−ピペリジノール,2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐4‐カルボン酸)1,2,3,4‐ブタンテトライル、2,2,6,6−テトラメチル−ピレリジノールとトリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の縮合物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル、及びトリデシルアルコールとトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,3,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,26,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、1−[2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N‘−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサンジアミンポリマーと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−ジエタノールとの縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン-−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物等が挙げられる。
本発明で使用するヒンダードアミン系光安定剤は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.001重量部以上5重量部以下であり、好ましくは0.005重量部以上3重量部以下、より好ましくは0.01重量部以上1重量部以下である。ヒンダードアミン系光安定剤の添加量が5重量部より多いと、着色する傾向にあり、着色剤を添加したとしても、深みと清澄感のある漆黒が得られづらい。添加量が0.001重量部未満であると、2色樹脂成形品としたときに耐候性が十分得られない可能性がある。
<酸化防止剤>
本発明で使用する樹脂組成物には、酸化防止剤を含んでも良い。酸化防止剤としては樹脂に使用される一般的な酸化防止剤が使用できるが、酸化安定性、熱安定性、漆黒性等の観点から、ホスファイト系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、およびフェノール系酸化防止剤が好ましい。
ここで、酸化防止剤の添加量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常0.001重量部以上が好ましく、より好ましくは0.002重量部以上、更に好ましくは0.005重量部以上であり、通常5重量部以下が好ましく、より好ましくは3重量部以下、更に好ましくは2重量部以下である。
前記酸化防止剤の添加量が5重量部より多いと、成形時、金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。0.001重量部未満であると、耐候試験に対する十分な改良効果が得られない傾向がある。
(ホスファイト系酸化防止剤)
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
これらの中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく使用される。これらの化合物は、1種又は2種以上を併用することができる。
(イオウ系酸化防止剤)
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などをあげることができる。前記のうち、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
(フェノール系酸化防止剤)
フェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等の化合物が挙げられる。
これらの化合物の中でも、炭素数5以上のアルキル基によって1つ以上置換された芳香族モノヒドロキシ化合物が好ましく、具体的には、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が好ましく、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが更に好ましい。
<着色剤>
本発明に使用する着色剤としては、無機顔料、有機顔料及び有機染料等の有機染顔料が挙げられる。
無機顔料としては具体的には例えば、カーボンブラック;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料等が挙げられる。
有機顔料及び有機染料等の有機染顔料としては具体的には例えばフタロシアニン系染顔料;アゾ系、チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の縮合多環染顔料;アンスラキノン系、ペリノン系、ペリレン系、メチン系、キノリン系、複素環系、メチル系の染顔料等が挙げられる。
これら着色剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記無機顔料および有機染顔料(有機顔料及び有機染料等)が挙げられる。なかでも、無機顔料が好ましい。無機顔料を着色剤として使用することにより、2色樹脂成形品として屋外等で使用しても漆黒性等が長期間保持することができる。
本発明で使用する着色剤の量は、通常、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0重量部以上0.05重量部未満である。下限値としては、低ければ低いほどよく、上限値としては、好ましくは0.04重量部以下、より好ましくは0.03重量部以下、さらに好ましくは0.02重量部以下である。着色剤の量が0.05重量部以上では透明性の良い透明樹脂組成物が得られづらい。
<全光線透過率>
本発明の透明樹脂組成物の全光線透過率(厚さ3mm)が60%未満の場合には、電気・電子分野、自動車分野、光学部品分野等において好適に用いることが困難になるおそれがある。本発明のポリカーボネート樹脂組成物の全光線透過率(厚さ3mm)は好ましくは70%以上がよく、より好ましくは80%以上がよく、特に好ましくは90%以上がよい。
また、上限値は高ければ高い方が好ましいが、実現の困難性という観点から、全光線透過率(厚さ3mm)の上限は94%である。
なお、透明樹脂組成物の全光線透過率(厚さ3mm)は、具体的には、後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
<その他添加剤>
更に、深みと清澄感のある漆黒性を維持できる範囲において、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等を添加することも出来る。
その他、深みと清澄感のある漆黒性を維持できる範囲において、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、酸化チタン、硫酸カルシウム粉体、石膏、石膏ウィスカー、硫酸バリウム、タルク、マイカ、ワラストナイト等の珪酸カルシウム;カーボンブラック、グラファイト、鉄粉、銅粉、二硫化モリブデン、炭化ケイ素、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素、窒化ケイ素繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、チタン酸カリウム繊維、ウィスカー等がの無機充填剤や木粉、竹粉、ヤシ澱粉、コルク粉、パルプ粉などの粉末状有機充填剤;架橋ポリエステル、ポリスチレン、スチレン・アクリル共重合体、尿素樹脂などのバルン状・球状有機充填剤;炭素繊維、合成繊維、天然繊維などの繊維状有機充填剤を添加することもできる。
本実施の形態において、ポリカーボネート樹脂に配合する前記着色剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の混合時期、混合方法は特に限定されない。混合時期としては、例えば、エステル交換法でポリカーボネート樹脂を製造した場合は重合反応終了時;さらに、重合法に関わらず、ポリカーボネート樹脂と他の配合剤との混練途中等のポリカーボネート樹脂が溶融した状態;押出機等を用い、ペレットまたは粉末等の固体状態のポリカーボネート樹脂とブレンド・混練する等が挙げられる。混合方法としては、ポリカーボネート樹脂に前記着色剤等を直接混合または混練する方法;着色剤等と少量のポリカーボネート樹脂からなる高濃度のマスターバッチを製造し、該マスターバッチをポリカーボネート樹脂に添加する方法等が挙げられる。
[不透明樹脂組成物]
本発明で使用する不透明樹脂組成物は、特に制限されないが、前記[透明樹脂組成物]で記載された樹脂組成物と同様のものを用いるが、着色剤の含有量が異なる。
<着色剤>
本発明おいては、前述の透明樹組成物と同等な組成物に着色剤を加えることにより、不透明樹脂を得ることができ、前記不透明樹脂成形部を構成することができる。
本発明に使用する着色剤としては、無機顔料、有機顔料及び有機染料等の有機染顔料が挙げられる。
無機顔料としては具体的には例えば、カーボンブラック;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料等が挙げられる。
有機顔料及び有機染料等の有機染顔料としては具体的には例えばフタロシアニン系染顔料;アゾ系、チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の縮合多環染顔料;アンスラキノン系、ペリノン系、ペリレン系、メチン系、キノリン系、複素環系、メチル系の染顔料等が挙げられる。
これら着色剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記無機顔料および有機染顔料(有機顔料及び有機染料等)が挙げられる。なかでも、無機顔料が好ましい。無機顔料を着色剤として使用することにより、2色樹脂成形品として屋外等で使用しても漆黒性等が長期間保持することができる。
本発明で使用する着色剤の量は、通常、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.05重量部以上5重量部以下である。好ましくは0.06重量部以上3重量部以下、より好ましくは0.07重量部以上2重量部以下、さらに好ましくは0.08重量部以上1重量部以下である。着色剤の量が0.05重量部未満では深みと清澄感のある色の不透明樹脂組成物が得られづらい。5重量部より多いと、2色樹脂成形品の表面粗さが大きくなり、深みと清澄感のある漆黒が得られづらい。
ただし、不透明樹脂組成物の着色剤の含有量は、透明樹脂組成物に着色剤を含んでいた場合は、最終的な合計量をいう。
<全光線透過率>
本発明の不透明樹脂組成物の全光線透過率(厚さ3mm)は、前記透明樹脂組成物よりも低いものであり、下限値としては低ければ低いほどよく、好ましくは0%以上がよい。
また、上限値としては、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
なお、ポリカーボネート樹脂の全光線透過率(厚さ3mm)は、具体的には、後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明の樹脂成形体の不透明樹脂成形部は漆黒性に優れており、明度が低いことが好ましい。すなわち、前記不透明樹脂組成物から成形された成形部(厚み3mm)のJIS Z 8729に準拠したL*値が30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下が更に好ましい。
漆黒性(L*値)は、以下のとおり、測定できる。
樹脂組成物を射出成形機(東芝機械(株)製:EC−75SX)により90mm×50mm×3mmtのシートを成形した。該シートを使用し、JIS Z 8729に準拠し、倉敷紡績(株)製:分光色差計COLOR−7xにてL*値を測定できる。この値が小さいほど黒色性が高いと言える。
{ポリカーボネート樹脂組成物の製造}
本発明に用いるポリカーボネート樹脂組成物は、前記成分を同時に、又は任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。
このようにして得られる本発明に用いるポリカーボネート樹脂組成物は、耐光性、透明性、色相、耐熱性、熱安定性、成形性、表面硬度及び機械的強度に優れたものである。
以下に、本発明の樹脂成形体の製造方法の概略を説明する。
<樹脂成形体の製造方法>
この製造方法は、射出成形により樹脂成形体を製造する方法である。
まず、この樹脂成形体は、透明樹脂からなる成形部の裏面に、不透明樹脂からなる成形部を備える。そして、この射出成形に用いられる金型は、意匠側金型と非意匠側金型とから構成される。この意匠側金型には、前記透明樹脂成形部を形成するためのキャビティが形成されると共に、前記非意匠側金型には、前記不透明樹脂成形部を形成するためのキャビティが形成される。
そして、前記非意匠側金型温度を、前記意匠側金型温度よりも低温とし、非意匠側金型温度と、前記意匠側金型温度の差が20℃未満で射出成形することにより、樹脂成形体を製造することができる。
また、本発明の樹脂成形体のもう一つの製造方法として、以下の方法があげられる。
この製造方法は、射出成形により樹脂成形体を製造する方法である。
まず、この樹脂成形体は、透明樹脂からなる成形部の裏面に、不透明樹脂からなる成形部を備える。そして、この射出成形に用いられる金型は、意匠側金型と非意匠側金型とから構成される。この意匠側金型には、前記透明樹脂成形部を形成するためのキャビティが形成されると共に、前記非意匠側金型には、前記不透明樹脂成形部を形成するためのキャビティが形成される。
そして、前記透明樹脂成形部の肉厚は、前記不透明樹脂成形部の肉厚よりも薄く、透明樹脂成形部の肉厚と、不透明樹脂成形部の肉厚の差が、18%以下とすることにより、樹脂成形体を製造することができる。
次に、上記本発明の樹脂成形体の製造方法の詳細を以下に説明する。
[成形用金型装置]
この発明にかかる樹脂成形用金型装置1は、図1,2に示すように、この金型装置1を構成する2つの型、すなわち、固定側金型2及び可動側金型3から構成される。そして、この可動側金型3には、図3に示すように、一次樹脂を充填するための同形状のキャビティ(「一次側キャビティ」と称することもある。)7を構成する凹部が2個、この固定側金型2には、図4に示すように、二次樹脂を充填するためのキャビティ(「二次側キャビティ」と称することもある。)12を構成する凹部が1個形成されており、これらの凹部は、これら2つの型をとじることにより、キャビティを形成する。
なお、図3,4は、金型装置1を開き、固定側金型2と可動側金型3の接触面であるパーティングライン(PL)からそれぞれを観た図である。
前記2つの型のうち、一方(可動側)の型の凹部には、意匠面を有する意匠面側キャビティ面(「一次側キャビティ面」と称することもある。)が形成され、他方(固定側)の型の凹部には、意匠面を有さない非意匠面側キャビティ面(「二次側キャビティ面」と称することもある。)が形成される。
なお、図1〜図4においては、可動側金型3に、意匠面を有する意匠面側キャビティ面を形成し、固定側金型2には、意匠面を有さない非意匠面側キャビティ面を形成した図を示しているが、この発明は、これに限られるものではなく、逆であってもよい。
図1,3に示すように、前記可動側金型3のキャビティ7の少なくとも一方の側面部であって、前記キャビティの意匠面側キャビティ面と非意匠面側キャビティ面との間の境界部に、前記樹脂を供給するための一次側サイドゲート8が設けられる。このサイドゲート8には、樹脂成形用金型装置1の外部から樹脂を導入する一次側スプレー4、一次側ピンゲート6、一次側ランナー5を介して、樹脂が送り込まれる。そして、このサイドゲート8から、樹脂が一次側キャビティ(意匠面側キャビティ)7に供給される。
また、図2,4に示すように、前記固定側金型2のキャビティ12の少なくとも一方の端部に、前記樹脂を供給するための二次側ピンゲート11が設けられる。さらに、この前記固定側金型2のキャビティ12は、入れ子金型13内に形成され、入れ子(図示せず)を交換することで、樹脂成形体の厚みを調整することができる。
この二次側ピンゲート11は、樹脂成形用金型装置1の外部から樹脂を導入する二次側スプレー9、及び二次側ランナー10を介して、樹脂が送り込まれる。そして、入れ子を所定位置に調節したのち、この二次側ピンゲート11から、樹脂が二次側キャビティ12に供給される。
「樹脂成形用金型装置を用いての射出成形]
前記樹脂成形用金型装置1を用いて射出成形体を製造する方法としては、下記の方法があげられる。
まず、意匠側(透明部)樹脂と非意匠側(不透明部)樹脂を、直接に或いは溶融押出機で一旦ペレット状とする。この際、複数の樹脂を使用する場合や着色剤等の添加剤を用いる場合は、前記溶融押出機にて、混合・混練してペレット化する。
次いで、射出成形機の一次側シリンダー(図示せず)に意匠側(透明部)樹脂を、二次側シリンダー(図示せず)に非意匠側(不透明部)樹脂を入れ溶融させる。そして、可動側金型3を固定側金型2に接触させて、金型を閉じ、前記樹脂成形用金型装置1の一次側スプレー4、一次側ピンゲート6、一次側ランナー5、一次側サイドゲート8を介して、前記意匠側(透明部)樹脂を一次側キャビティ7内に充填すると共に、その圧力を保持する。その後、一次側キャビティ7内の樹脂を冷却して、金型を開き、可動側金型3のキャビティ7に意匠側(透明部)樹脂を残し、可動側金型3を180°回転させる。
次いで、可動側金型3を固定側金型2に接触させて、金型を閉じ、前記非意匠側(不透明部)樹脂を前記樹脂成形用金型装置1の二次側スプレー9,二次側ランナー10、二次側ピンゲート11を介して、前記非意匠側(着色部)樹脂を二次側キャビティ12内に充填すると共に、その圧力を保持する。その後、二次側キャビティ12内の樹脂を冷却して、金型を開き、2色樹脂成形体を取り出す。
前記樹脂成形用金型装置1は、可動側金型3に可動側冷却管14が、固定側金型2に固定側冷却管15が配置されており、図示していないが、個々に金型温度を調整できるように、別々の金型温調機から連結され、通水できる。
前記樹脂成形用金型装置1の固定側金型2のキャビティ12は、事前に入れ子を交換することにより、肉厚を2mm、1.8mm、1.6mmに調整することができる。
この射出成形条件は、使用する樹脂の種類によって相違するが、前記のポリカーボネート樹脂組成物を用いる場合は、射出成形機のシリンダー温度を220℃〜260℃とし、前記樹脂成形用金型装置の金型温度を40℃〜90℃とすることが好ましい。特に、前記非意匠側金型温度は、前記意匠側金型温度より低温とし、非意匠側金型温度と、前記意匠側金型温度の差が20℃未満であることを特徴としている。また、上限値としては、19℃以下であることが好ましく、18℃以下であることがより好ましく、17℃以下であることが特に好ましい。また、下限値としては、1℃以上であることが好ましく、3℃以上であることがより好ましく、6℃以上であることがさらに好ましく、8℃以上であることが特に好ましい。この範囲とすることにより、得られる樹脂成形体の透明部と不透明部とを一体成形する際に、変形がなく、透明部の内部応力や歪を少なくすることができる。一方、金型温度の差が上記範囲より小さいと、そり変形が大きくなるという問題点が生じる場合がある。さらに、金型温度の差が上記範囲より大きいと、樹脂の密着不良、金型の破損という問題点が生じる場合がある。
前記の通り、前記不透明樹脂成形部の肉厚は、入れ子を交換することにより調整することができる。このとき、前記透明樹脂成形部の肉厚は、前記不透明樹脂成形部の肉厚よりも薄く、透明樹脂成形部の肉厚と、不透明樹脂成形部の肉厚の差が、18%以下であることが好ましい。また、上限値としては、16%以下であることがより好ましく、14%以下であることがさらに好ましく、12%以下であることが特に好ましい。また、下限値としては、1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましく、5%以上であることがさらに好ましく、8%以上であることが特に好ましい。この範囲内とすることにより、そり変形を小さくできるという特徴を発揮することができる。一方、肉厚差が上記範囲より小さいと、そり変形が大きくなるという問題点が生じる場合がある。さらに、肉厚差が上記範囲より大きいと、不透明樹脂の肉厚が大きいとそり変形が大きくなる、不透明樹脂の肉厚が小さいと、充填圧力により、一次側樹脂が溶出するという問題点が生じる場合がある。
この発明にかかる樹脂成形体に用いられる樹脂は、前記した樹脂を用いることができるが、使用する樹脂は、前記透明樹脂成形部の耐熱温度と前記不透明樹脂成形部の耐熱温度との関係が所定範囲内にあることが好ましい。すなわち、前記透明樹脂成形部の耐熱温度が前記不透明樹脂成形部の耐熱温度よりも低く、透明樹脂成形部の耐熱温度と、不透明樹脂成形部の耐熱温度の差が30℃以下であることが好ましい。また、上限値としては、25℃以下であることがより好ましく、20℃以下であることがさらに好ましく、18℃以下であることが特に好ましい。また、下限値としては、1℃以上であることが好ましく、3℃以上であることがより好ましく、5℃以上であることがさらに好ましく、8℃以上であることが特に好ましい。この範囲内とすることにより、樹脂の密着性が向上するという特徴を発揮することができる。一方、耐熱温度の差が上記範囲より小さい、不透明樹脂の耐熱性が高いと、一次側樹脂が溶出するという問題点が生じる場合がある。さらに、耐熱温度の差が上記範囲より大きい、耐熱温度が低いと、実使用時に熱変形が生じるという問題点が生じる場合がある。
[樹脂成形体]
前記の方法で得られる透明樹脂成形部16は、図5に示すような形状を有し、前記の方法で得られる透明樹脂成形部16と不透明樹脂成形部17の積層体である樹脂成形体18は、図6(a)(b)に示すような形状を有する。
[各種樹脂パネル]
上述した2色樹脂成形用金型装置を用いて、前記ポリカーボネート樹脂組成物を前記の方法で射出成形(ダブルモールド)することにより、この発明にかかる樹脂成形体を製造することができる。
本発明の製造方法で製造された2色樹脂成形体は、特に、その耐候性、透明性による着色鮮鋭性及びこれらの特性の長期耐久性を利用して、各種樹脂製表示パネルなどに好適に用いられる。
以下、実施例、比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例になんら限定されるものではない。
[イソソルバイドポリカーボネート樹脂組成物(以下、「ISP樹脂組成物」と呼ぶことがある)の製造方法]
(1)ポリカーボネート共重合体又は樹脂組成物中の各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比(組成比率)の測定
ポリカーボネート共重合体又は樹脂組成物中の各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比は、ポリカーボネート樹脂30mgを秤取し、重クロロホルム約0.7mLに溶解し、溶液とし、これを内径5mmのNMR用チューブに入れ、日本電子社製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)を用いて常温で1HNMRスペクトルを測定した。各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に基づくシグナル強度比より各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比を求めた。該構造単位比を単に組成比率と称することがある。
(2)ガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220)を用いて測定した。樹脂試料約10mgを同社製アルミパンに入れて密封し、50mL/分の窒素気流下、昇温速度20℃/分で室温から250℃まで昇温した。3分間温度を保持した後、30℃まで20℃/分の速度で冷却した。30℃で3分保持し、再び200℃まで20℃/分の速度で昇温した。2回目の昇温で得られた測定データのDDSCのピークトップの値をTgとした。
(3)還元粘度の測定
ポリカーボネート共重合体又は樹脂組成物のサンプルを、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタン塩化メチレンの質量比1:1の混合溶媒を用いて溶解し、1.00g/dLの濃度のポリカーボネート溶液を精密に調製した。森友理化工業(株)製:ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間tとポリカーボネート溶液の通過時間tから次式より相対粘度ηrelを求め、
ηrel=t/t
相対粘度から次式より比粘度ηspを求めた。
ηsp=(η−η)/η=ηrel−1
そして、比粘度を濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
(4)試験片の作成方法
ポリカーボネート樹脂のペレットを、熱風乾燥機を用いて、80℃で6時間乾燥した。次に、乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを射出成形機(日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、樹脂温度240℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒間の条件で、射出成形板(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)及び機械物性用ISO試験片を成形した。
(5)全光線透過率及びヘーズ測定 前記(2)で得られた射出成形板についてJIS K7105(1981年)に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業社製NDH2000)を使用し、D65光源にて前記試験片の全光線透過率及びヘーズを測定した。
以下の実施例の記載の中で用いた化合物の略号は次の通りである。
・ISB:イソソルビド(ロケットフルーレ社製、商品名:POLYSORB)
・CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール(新日本理化(株)製、商品名:SKY CHDM)
・DPC:ジフェニルカーボネート(三菱化学(株)製)
・AS2112:化合物名、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト((株)ADEKA製)
・IRGANOX1010:化合物名、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(BASFジャパン(株)製)
・E−275:化合物名、ジステアリン酸エチレングリコール(日油(株)製)
(製造例1)
撹拌翼及び100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、ISBとCHDM、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたDPC及び酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.70/0.30/1.00/1.3×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換して、酸素濃度0.0005体積%〜0.001体積%に調節した。続いて熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にし、内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。
重合反応とともに副生するフェノール蒸気は、還流冷却器への入口温度として100℃に制御された蒸気を冷媒として用いた還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を重合反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。このようにしてオリゴマー化させた内容物を、一旦大気圧にまで復圧させた後、撹拌翼及び前記同様に制御された還流冷却器を具備した別の重合反応装置に移し、昇温及び減圧を開始して、60分で内温220℃、圧力200Paにした。
その後、20分かけて内温230℃、圧力133Pa以下にして、所定撹拌動力になった時点で復圧し、内容物をストランドの形態で抜出し、回転式カッターでポリカーボネート共重合体のペレットにした。得られた樹脂を「樹脂1」と称する。
(製造例2)
製造例1において、仕込み組成をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.60/0.40/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、製造例1と同様にポリカーボネート共重合体のペレットにした。得られた樹脂を「樹脂2」と称する。
(製造例3)
製造例1において、仕込み組成をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.50/0.50/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、製造例1と同様にポリカーボネート共重合体のペレットにした。得られた樹脂を「樹脂3」と称する。
(製造例4)
製造例1において、仕込み組成をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.80/0.20/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、製造例1と同様にポリカーボネート共重合体のペレットにした。得られた樹脂を「樹脂4」と称する。
樹脂1〜樹脂4について、下記の表1にまとめる。
Figure 2015112841
(透明樹脂組成物の調製)
製造例1から製造例4において製造したポリカーボネート共重合体のペレット(樹脂1〜樹脂4)に、さらに酸化防止剤であるAS2112を0.05重量%、IRGANOX1010を0.1重量%、離型剤であるE−275を0.3重量%配合し、日本製鋼所社製2軸押出機(TEX30HSS−32)を用いて、樹脂温度250℃で押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化することにより透明樹脂組成物(以下、「透明樹脂1」〜「透明樹脂4」と称する。)を製造した。
(不透明樹脂組成物の調製)
前記で得た透明樹脂1〜透明樹脂4の各ペレットに100重量部に対し、着色剤としてPigment White 6を0.015重量部、Pigment Red 101を0.012重量部、Pigment Brown 24を0.005重量部、Pigment Blue 29を0.02重量部及びPigment Black 7を0.12重量部とヒンダードアミン系光安定剤(C−1)0.05重量部を配合し、日本製鋼所社製2軸押出機(TEX30HSS−32)を用いて、樹脂温度250℃で押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化することにより不透明樹脂(以下、「不透明樹脂1」〜「不透明樹脂4」と称する。)を製造した。
[実施例1]
樹脂成形用金型として、図1〜図4に示す射出成形用金型を用いた。
この金型は、図3に示す可動側金型3に意匠側(透明部)の樹脂を充填するための凹部(幅40mm、長さ120mm、肉厚2mm)が2個、図4に示す固定側金型2に非意匠側(不透明部)の樹脂を充填するための額縁形状凹部(幅40mm、長さ120mm、肉厚2mm、額縁の幅4mm)が1個形成されている。
可動側金型3の金型温度は、図1に示す冷却管14に、図示していないが金型温調機から80℃の温水を通水し80℃に調整した。
固定側金型の金型温度は、図2に示す冷却管15に、図示していないが金型温調機から65℃の温水を通水し65℃に調整した。
成形機は、日精樹脂工業(株)のDC120−9a2色成形機を用い、A側シリンダーで意匠側(透明部)の樹脂である透明樹脂1を250℃で、B側シリンダーで非意匠側(不透明部)の樹脂である不透明樹脂1を250℃で溶融し、可動側金型3を固定側金型2に接触させて、金型を閉じ、前記2色樹脂成形用金型のスプレー4,ピンゲート6、ランナー5、サイドゲート8を介して、前記意匠側(透明部)の樹脂を一次側キャビティ7内に充填すると共に、その圧力を保持する。その後、キャビティ内の樹脂を冷却して、金型を開き、可動側金型3のキャビティ7に意匠側(透明部)樹脂を残し、可動側金型3を180°回転させた。
次いで、可動側金型3を固定側金型2に接触させて、金型を閉じ、前記非意匠側(不透明部)の樹脂を前記樹脂成形用金型のスプレー9,ランナー10、ピンゲート11を介して、前記非意匠側(不透明部)の樹脂を二次側キャビティ12内に充填すると共に、その圧力を保持する。その後、キャビティ内の樹脂を冷却して、金型を開き、樹脂成形体を取り出した。
得られた樹脂成形体は、非意匠側(不透明部)の樹脂側を底部にして、常盤上に置いたとき、意匠側(透明部)の樹脂の中央部は、意匠側(透明部)の樹脂の両端より0.2mm高くなる凸状の変形が観られたが、樹脂パネルとしての機能は満足でき、2色樹脂成形体は全面に亘って美麗な外観を呈していた。
[実施例2]
下記の表2に示すように、固定側金型の金型温度を75℃に調整した以外は実施例1と同様にして、射出成形をした。
得られた樹脂成形体は、非意匠側(不透明部)の樹脂を底部にして、常盤上に置いたとき、意匠側(透明部)の樹脂の中央部は、意匠側(透明部)の樹脂の両端より0.5mm高くなる凸状の変形が観られたが、樹脂パネルとしての機能は満足でき、2色樹脂成形体は全面に亘って美麗な外観を呈していた。
[実施例3]
下記の表2に示すように、図2に示す固定側金型に非意匠側(不透明部)の樹脂を充填するための額縁形状凹部を入れ子を交換し、肉厚だけを1.8mmにし、可動側金型温度と固定側金型温度を80℃に調整した以外は、実施例1と同様にして、射出成形をした。
得られた樹脂成形体は、非意匠側(不透明部)の樹脂を底部にして、常盤上に置いたとき、意匠側(透明部)樹脂の中央部は、意匠側(透明部)の樹脂の両端より0.3mm高くなる凸状の変形が観られたが、樹脂パネルとしての機能は満足でき、2色樹脂成形体は全面に亘って美麗な外観を呈していた。
[実施例4]
下記の表2に示すように、B側シリンダーで非意匠側(不透明部)の樹脂を不透明樹脂3にした以外は、実施例1と同様にして、射出成形をした。
得られた樹脂成形体は、非意匠側(不透明部)の樹脂を底部にして、常盤上に置いたとき、意匠側(透明部)の樹脂の中央部は、意匠側(透明部)の樹脂の両端より0.5mm高くなる凸状の変形が観られたが、樹脂パネルとしての機能は満足でき、2色樹脂成形体は全面に亘って美麗な外観を呈していた。
[比較例1]
下記の表2に示すように、可動側金型の金型温度を80℃に調整した以外は実施例1と同様にして、射出成形をした。
得られた樹脂成形体は、非意匠側(不透明部)の樹脂を底部にして、常盤上に置いたとき、意匠側(透明部)の樹脂の中央部は、意匠側(透明部)の樹脂の両端より1.7mm高くなる凸状の変形が観られ、樹脂パネルとしての機能は満足しなかった。
[比較例2]
下記の表2に示すように、固定側金型の金型温度を60℃に調整した以外は実施例1と同様にして、射出成形をした。
得られた樹脂成形体は、非意匠側(不透明部)の樹脂を底部にして、常盤上に置いたとき、意匠側(透明部)の樹脂の中央部は、意匠側(透明部)の樹脂の両端より2.3mm高くなる凸状の変形が観られ、樹脂パネルとしての機能は満足しなかった。
[比較例3]
下記の表2に示すように、固定側金型の金型温度を90℃に調整した以外は実施例1と同様にして、射出成形をした。
得られた樹脂成形体は、非意匠側(不透明部)の樹脂を底部にして、常盤上に置いたとき、非意匠側(不透明部)の樹脂の中央部が常盤に接触し、意匠側(透明部)の樹脂の両端は、意匠側(透明部)の中央より0.8mm高くなる凸状の変形が観られ、樹脂パネルとしての機能は満足しなかった。
Figure 2015112841
1 樹脂成型用金型装置
2 固定側金型
3 可動側金型
4 一次側スプレー
5 一次側ランナー
6 一次側ピンゲート
7 一次側キャビティ
8 一次側サイドゲート
9 二次側スプレー
10 二次側ランナー
11 二次側ピンゲート
12 二次側キャビティ
13 入れ子金型
14 可動側冷却管
15 固定側冷却管
16 透明(意匠側)樹脂成形部
17 不透明(非意匠側)樹脂成形部
18 樹脂成形体

Claims (11)

  1. 射出成形により樹脂成形体を製造する方法であって、
    前記樹脂成形体は、透明樹脂からなる成形部の裏面に、不透明樹脂からなる成形部を備え、
    前記射出成形に用いられる金型は、意匠側金型と非意匠側金型とから構成され、
    前記意匠側金型には、前記透明樹脂成形部を形成するためのキャビティが形成され、
    前記非意匠側金型には、前記不透明樹脂成形部を形成するためのキャビティが形成され、
    前記非意匠側金型温度を、前記意匠側金型温度よりも低温とし、非意匠側金型温度と、前記意匠側金型温度の差が20℃未満で射出成形することを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記透明樹脂成形部の肉厚は、前記不透明樹脂成形部の肉厚よりも薄く、透明樹脂成形部の肉厚と、不透明樹脂成形部の肉厚の差が、18%以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法。
  3. 射出成形により樹脂成形体を製造する方法であって、
    前記樹脂成形体は、透明樹脂からなる成形部の裏面に、不透明樹脂からなる成形部を備え、
    前記射出成形に用いられる金型は、意匠側金型と非意匠側金型とから構成され、
    前記意匠側金型には、前記透明樹脂成形部を形成するためのキャビティが形成され、
    前記非意匠側金型には、前記不透明樹脂成形部を形成するためのキャビティが形成され、
    前記透明樹脂成形部の肉厚は、前記不透明樹脂成形部の肉厚よりも薄く、透明樹脂成形部の肉厚と、不透明樹脂成形部の肉厚の差が、18%以下であることを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
  4. 前記透明樹脂成形部の耐熱温度が、前記不透明樹脂成形部の耐熱温度よりも低く、透明樹脂成形部の耐熱温度と、不透明樹脂成形部の耐熱温度の差が30℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法。
  5. 前記透明樹脂が、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法。
    Figure 2015112841
  6. 前記不透明樹脂が、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法。
    Figure 2015112841
  7. 前記ジヒドロキシ化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項5または6に記載の樹脂成形体の製造方法。
    Figure 2015112841
  8. 前記ポリカーボネート樹脂が脂肪族ジヒドロキシ化合物及び脂環式ジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物に由来する構造単位をさらに含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法。
  9. 前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が145℃未満であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法。
  10. 前記不透明樹脂は、前記透明樹脂に着色剤を配合したものであり、
    着色剤の含有量が、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.05重量部以上5重量部以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法により製造された樹脂成形体。
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