JP2015110848A - 印刷用塗工紙の製造方法 - Google Patents

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和弘 高済
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敦 小川
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Abstract

【課題】 密度が低く、低塗工量でありながら耐刷力が高く、塗工面感に優れた印刷用塗工紙を提供する。
【解決手段】 パルプを主成分とする原紙の両面に1層以上の塗工層を設けた印刷用塗工紙であって、原紙は化学パルプを60%以上含むパルプと、パルプ100質量部に対して1〜10質量部の填料と嵩高剤及び/又はサイズ剤とを含みかつコッブ吸水度(接触時間15秒)が5〜50g/m2の範囲であり、塗工層を設けるための塗工層用塗料は顔料と接着剤を含有し、接着剤は少なくとも澱粉系接着剤を含み、塗工層は前記原紙の片面当たり1〜6g/m2の範囲で設けられ、密度が0.5〜0.7g/cm3の範囲である、ことを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は印刷用塗工紙に関する。詳しくは、密度が低く、低塗工量でありながら耐刷力が高く、塗工面感に優れた印刷用塗工紙を製造する方法に関する。
近年、印刷用紙においても輸送及び郵送コストの削減などのため軽量化に対する要求が高くなってきている。しかし、単純に印刷用紙の坪量を下げるだけでは紙の厚さが低下し、同じページ数であっても書籍一冊が薄くなり、読破感が薄れる。ページ数が少なくても書籍一冊の厚みはある程度ある方が出版や末端ユーザーには好まれ、紙の軽量嵩高化は重要課題となっている。
一方、印刷物のビジュアル化やカラー化が進み、印刷用非塗工紙に比較し、平滑な顔料を含む塗工層をインキ受理層として有する印刷用塗工紙の需要も年々増加している。
しかしながら、炭酸カルシウムやカオリンなどの無機顔料を主成分とする顔料塗工層は、パルプを主原料とする原紙に比較して比重が重いため、印刷用塗工紙の軽量化のためには低塗工量化が有効である。また、用紙全体としての嵩高化という観点からは、原紙を嵩高化することが考えられ、原紙の低密度化(嵩高化)の方法の一つとして製紙用パルプに関しての検討があげられる。一般的に製紙用パルプには木材パルプが使用されることが多いが、低密度化を行うためには、繊維がしなやかな化学パルプ(KP)よりも、繊維が剛直である砕木パルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、またはサーモメカニカルパルプ(TMP)のような機械パルプ(MP)の方が効果的である。
このような印刷用塗工紙として、特許文献1には、機械パルプを含有し、密度が0.7g/cm3以下である原紙に、澱粉類を顔料100質量部あたり10〜50質量部含有する塗工液を、フィルム転写方式を用いて塗工する印刷用塗工紙が開示されている。
また、抄紙の観点から非塗工紙や塗工原紙を嵩高化(低密度化)する手法として、嵩高剤の使用による方法が知られている。公知の嵩高剤として、特許文献2には、特定のアルコール及び/またはそのポリオキシアルキレン付加物を含有する紙用嵩高剤が開示されており、特許文献3には多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物からなる紙用嵩高剤が開示されている。
また、特許文献4には、フィルムサイザーを使用し、塗料に配合する重質炭酸カルシウムの配合量、塗料の固形分濃度を規定して嵩高な印刷用顔料塗被紙を製造する方法が開示されている。
特開2011−26752公報 特開平11−200283号公報 特開2000−282398号公報 特開2010−121233号公報
しかしながら、特許文献1に開示された印刷用塗工紙のように機械パルプを多く含む印刷用塗工紙は、機械パルプがリグニンを多くふくむことから褪色性が低く、書籍として使用した場合には保存性の問題がある。また、塗料液中の接着剤成分として澱粉類をラテックスと同等若しくはそれ以上に配合すると、塗工層用の塗料が適正な塗料粘度となりにくく、塗工面感は損なわれ、耐刷力も満足しにくい問題がある。
また、塗工層の塗工量を低くし、印刷用紙を軽量化するにあたっては、原紙への塗工層用塗料の浸透を抑え、塗工層成分をより原紙表面に局在化させることが、印刷適性等に良好な効果を与えるが、特許文献2や特許文献3に例示される嵩高剤には界面活性剤系のものが多く、原紙にサイズ性を付与することが出来ないことから、塗工層成分を原紙表面に局在化させることが困難となる。また既存のサイズ剤を添加してもサイズ発現をせず、サイズ剤を大量に添加した場合は工程汚れのため、実質紙を生産することが出来ない問題がある。
また、特許文献4に開示された印刷用紙においては、塗工量が多く、実施例の中でも密度が0.7g/m2以下の嵩高な印刷用紙は得られていない。
本発明は、この様な状況に鑑み、密度が低く、低塗工量でありながら耐刷力が高く、塗工面感に優れた印刷用塗工紙を提供することを課題とする。
また、本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
本発明に係る印刷用塗工紙の製造方法は、パルプを主成分とする原紙の両面に、1層以上塗工層を設けてなる印刷用塗工紙の製造方法であって、化学パルプを60%以上含むパルプと、パルプ100質量部に対して1〜10質量部の填料と、嵩高剤及び/又はサイズ剤とを含む抄紙原料を用いて、コッブ吸水度(接触時間15秒)が5〜50g/m2の範囲である原紙を抄造する原紙抄造工程と、顔料と接着剤とを含む塗工層用原料を混合して塗工層用塗料を調製する塗工層用塗料調整工程と、前記原紙の両面に、フィルム転写方式の塗工機を用いて前記塗工層用塗料を片面当たりの塗工量が1〜6g/m2となるように塗工する塗工工程と、前記塗工工程で塗工された塗工層用塗料を乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥工程が終了した後に、カレンダー処理によって密度を0.5〜0.7g/cm3とするカレンダー工程と、を有し、前記接着剤は、少なくとも澱粉系接着剤を含むことを特徴とする。
そして、このような構成によれば、密度が低く塗工層も低塗工量であるにも拘わらず、耐刷力と塗工面感に優れた印刷用塗工紙を効率良く製造することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記嵩高剤は、原紙中のパルプ100質量部に対して0.1〜1.5質量部の範囲で含まれるものであってもよい。
このような構成によれば、嵩高剤の配合量が適切な範囲であるため原紙の吸水性が好ましいものとなり、塗工層用塗料を原紙表面に塗工した際に均一な塗工層が得られやすくなる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記パルプ全量のカナディアンスタンダードフリーネス(CSF)が400〜600mlの範囲であってもよい。
このような構成によれば、CSFが適切な範囲であるため、十分な紙層強度を持ちながらも密度が低い印刷用塗工紙を容易に製造することができる。
また、本発明の好ましい実施の形態においては、前記澱粉系接着剤は、顔料100質量部に対して15〜25質量部の範囲で含有されていてもよい。
このような構成によれば、澱粉系接着剤は塗料の粘度や浸透性のコントロールに優れているため、塗料の粘度や浸透性がフィルム転写方式での塗工に適した範囲に調整しやすくなり、塗工面感が優れた印刷用塗工紙が製造しやすくなる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記嵩高剤は、脂肪酸アミド、脂肪酸ポリアミドアミン、脂肪酸アミドのエピクロルヒドリン変性樹脂、脂肪酸ポリアミドアミンのエピクロルヒドリン変性樹脂、脂肪酸アミドのヒドロキシエチル誘導体、脂肪酸ポリアミドアミンエピクロロヒドリン反応物、ポリアルキレンアミン・脂肪酸・エピクロルヒドリン重縮合物、酸化ポリエチレンワックス、の中から選ばれた1種又は2種以上であってもよい。
このような構成によれば、原紙にサイズ性を付与しながらも密度は上がりにくいため、軽量且つ嵩高な印刷用塗工紙を好適に製造することができる。
また、本発明の好ましい実施の形態においては、前記澱粉系接着剤として、尿素リン酸エステル化澱粉を用いてもよい。
このような構成によれば、尿素リン酸エステル化澱粉は澱粉系接着剤の中でも特に塗料の粘度や浸透性のコントロールに優れているため、より塗料の粘度や浸透性をフィルム転写方式での塗工に適した範囲に調整しやすくなり、サイズ性の高い原紙を用いた場合であっても塗工面感が優れた印刷用塗工紙が製造しやすくなる。
また、本発明の好ましい実施の形態においては、前記塗工層用塗料の接着剤として、更にスチレンブタジエン共重合ラテックスが使用され、澱粉系接着剤とスチレンブタジエン共重合ラテックスとの配合割合が、澱粉系接着剤:スチレンブタジエン共重合ラテックス=1:0.5〜4の範囲であってもよい。
このような構成によれば、澱粉系接着剤による粘度や浸透性のコントロール効果と、スチレンブタジエン共重合ラテックスによる耐刷力の向上効果との双方が得られ、嵩高性と印刷適性に優れた印刷用塗工紙が製造できる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記サイズ剤は、原紙中のパルプ100質量部に対して0.05〜2質量部の範囲で含まれていてもよい。
このような構成によれば、サイズ剤の配合量が適切な範囲であるため、印刷時に搬送工程内で機会汚れ等を起こすことがなく、適度なサイズ性を有する印刷用塗工紙を製造することができる。
また、本発明の好ましい実施の形態においては、前記塗工層用塗料の固形分濃度が46〜56質量%の範囲であってもよい。
このような構成によれば、サイズ性が比較的高い原紙を用いた場合であっても、塗料の粘度と浸透性が好ましいものとなり、少ない塗工量でも塗工ムラが出にくく良好な塗工面感を有する印刷用塗工紙が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記塗工層用塗料に配合する全顔料100質量部に対して、重質炭酸カルシウムが60質量部以上含まれていてもよい。
このような構成によれば、塗工層用塗料の粘度が適切な範囲に調整し易くなり、塗工時に均一な塗被面を得やすくなる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記塗工層用塗料において接着剤は、顔料100重量部に対して30〜100重量部の範囲で含有されていてもよい。
このような構成によれば、塗工層用塗料の粘度が好適な範囲に調整し易くなり、原子に塗工した際に均一な塗被面が得られやすい。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記塗工層用塗料は、粘度が700〜3000cpsの範囲であってもよい。
このような構成によれば、塗工層用塗料の年度が好ましい範囲であるため、薄く均一な塗工層を容易に設けることが出来る。
また、本願発明は、印刷用塗工紙に関する発明としても捉えることができる。パルプを主成分とする原紙の両面に1層以上の塗工層を設けた印刷用塗工紙であって、前記原紙は、化学パルプを60%以上含むパルプと、パルプ100質量部に対して1〜10質量部の填料と、嵩高剤及び/又はサイズ剤とを含み、かつコッブ吸水度(接触時間15秒)が5〜50g/m2の範囲であり、前記塗工層を設けるための塗工層用塗料は、顔料と接着剤を含有し、前記接着剤は、少なくとも澱粉系接着剤を含み、前記塗工層は、前記原紙の片面当たり1〜6g/m2の範囲で設けられ、密度が0.5〜0.7g/cm3の範囲である、ことを特徴とする。
このような構成によれば、密度が低く低塗工量でありながら、耐刷力と塗工面感に優れた印刷用塗工紙が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記嵩高剤は、原紙中のパルプ100質量部に対して0.1〜1.5質量部の範囲で含まれることが好ましい。
本発明によれば、密度が低く、低塗工量でありながら耐刷力が高く、塗工面感に優れた印刷用塗工紙を得ることができる。
実施例及び比較例による印刷用塗工紙の構成を示す図表(その1)である。 実施例及び比較例による印刷用塗工紙の構成を示す図表(その2)である。 実施例及び比較例による印刷用塗工紙の物性等を示す図表である。
以下において、本発明に係る印刷用塗工紙、及びその製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
本発明に係る印刷用塗工紙は、パルプを主成分とする原紙の両面に1層以上の塗工層を設けた印刷用塗工紙であって、前記原紙は、化学パルプを60%以上含むパルプと、パルプ100質量部に対して1〜10質量部の填料と、嵩高剤及び/又はサイズ剤とを含み、かつコッブ吸水度(接触時間15秒)が5〜50g/m2の範囲であり、前記塗工層を設けるための塗工層用塗料は、顔料と接着剤を含有し、前記接着剤は、少なくとも澱粉系接着剤を含み、前記塗工層は、前記原紙の片面当たり1〜6g/m2の範囲で設けられ、密度が0.5〜0.7g/cm3の範囲である、ことを特徴とする。
<原紙の構成について>
まずはじめに、本発明に係る印刷用塗工紙の原紙の構成について説明する。本発明において用いる原紙はパルプを主成分とするものであり、使用するパルプとしては、例えば、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)、NBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)などの化学パルプ、GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、CMP(ケミメカニカルパルプ)、CGP(ケミグランドパルプ)などの機械パルプ、DIP(脱インキパルプ)などの一般的なパルプを単独で使用、又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができるが、褪色性や白さの面から化学パルプが好ましく、その中でも繊維のしなやかさの点からLBKPがより好ましい。本発明において機械パルプを用いる場合には、褪色性を加味し全パルプの20質量%以下とし、好ましくは10質量%以下、より好ましくは未使用とする。同様にDIP(脱インキパルプ)についても中質パルプが含まれたものである場合には全パルプの20質量%以下とし、好ましくは10質量%以下、より好ましくは未使用とする。
本発明においては、環境保全の観点から、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、TCF(Total Chlorine Free)パルプ、植林木から得られるパルプを用いることがより好ましい。また、印刷用塗工紙の品質に支障がでない範囲であれば合繊繊維を使用してもよい。
本発明に用いるパルプのカナディアンスタンダードフリーネス(CSF)は、JIS P 8121:1995年「パルプのろ水度試験方法」に従って測定した値が、350〜650mlの範囲であることが好ましく、400〜600mlの範囲であればより好ましく、450〜550mlの範囲であれば特に好ましい。パルプのフリーネスが350ml未満である場合には、原紙を所望する密度とすることが難しく、また生産性が下がるおそれがある。逆にフリーネスが650mlを超えると、原紙の紙層強度が低下して印刷時に問題が発生するおそれがある。
本発明においては原紙に填料を配合してもよく、その場合に用いる填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、二酸化チタン、水酸化アルミニウムなどを単独または2種以上を組み合わせて用いることが可能であり、その中でも密度を下げ且つ不透明度が向上しやすいという理由から軽質炭酸カルシウムが特に好ましい。
本発明において、填料の配合量はパルプ100質量部に対して1〜10質量部の範囲とし、好ましくは2〜8質量部、さらに好ましくは2〜7質量部の範囲で配合する。填料の配合量が1質量部未満の場合には、紙が硬くなりやすく、また不透明度が低くなるため印刷した場合の裏抜けが発生するおそれがある。逆に填料の配合量が10質量部を超えると、坪量が増加することで結果として原紙が所望する密度とならず、また紙層強度が低下して印刷時に問題が発生するおそれがある。
また、本発明の原紙においては、吸水性や密度の調整を目的として原紙に嵩高剤及び/又はサイズ剤を添加することが好ましい。ここで嵩高剤を使用する場合には、原紙にサイズ性を付与しながら密度を下げる成分を含む嵩高剤を選択することが好ましい。このような嵩高剤としては、脂肪酸アミド、脂肪酸ポリアミドアミン、脂肪酸アミドのエピクロルヒドリン変性樹脂、脂肪酸ポリアミドアミンのエピクロルヒドリン変性樹脂、脂肪酸アミドのヒドロキシエチル誘導体、脂肪酸ポリアミドアミンエピクロロヒドリン反応物、ポリアルキレンアミン・脂肪酸・エピクロルヒドリン重縮合物、酸化ポリエチレンワックスなどが挙げられる。一般的に用いられる嵩高剤のうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどの非イオン界面活性剤に属する嵩高剤は、密度を下げ嵩高にする効果はあるものの原紙のサイズ性の発現を阻害するため原紙のサイズ性を低下させてしまうという問題がある。
前述したように、用紙を軽量化するためには塗工層の塗工量を抑えて塗工層成分を原紙の表面に局在化させることが重要であるが、原紙のサイズ性の発現を阻害する嵩高剤を使用すると、原紙のサイズ性が低下して塗工層用の塗料が原紙に浸透しやすくなることにより原紙表面に留まる塗料の割合が減少し、結果として耐刷力の低下や、塗工面感が劣ることにつながる。
また、本願発明者等の知見によれば、非イオン界面活性剤に属する嵩高剤を使用した場合には、各種公知のサイズ剤、例えば、強化ロジンサイズ剤、中性ロジンサイズ剤、酸性ロジンサイズ剤、弱酸性ロジンサイズ剤、AKD、ASAを添加しても、塗料の原紙への浸透は抑えにくく、その一方でサイズ剤に起因する工程汚れが発生し、実質用紙を作ることが困難となる。以上のように本発明において、嵩高剤を使用する場合は、原紙のサイズ性の発現を阻害しないものを選択する必要がある。
また、本発明において用いるサイズ剤としては、各種公知のサイズ剤、例えば、強化ロジンサイズ剤、中性ロジンサイズ剤、中性ロジンエマルジョンサイズ剤、酸性ロジンサイズ剤、酸性ロジンエマルジョンサイズ剤、弱酸性ロジンサイズ剤、弱酸性ロジンエマルジョンサイズ剤、AKD、ASA等を1種又は2種以上用いることができ、原紙の密度を下げる効果から、これらの中でも特に中性ロジンエマルジョンサイズ剤をはじめとするロジンエマルジョンサイズ剤が好ましい。
本発明において、原紙に前述した嵩高剤を添加する場合には、嵩高剤の配合量を原紙中のパルプ100質量部当たり0.1〜1.5質量部の範囲で添加することが好ましく、0.4〜0.9質量部の範囲であればより好ましい。嵩高剤の配合量が0.1質量部未満の場合には、十分な嵩高効果が得られないおそれがあり、一方、嵩高剤の配合量が1.5重量部を上回ると、オフセット印刷時に接する水分に嵩高剤が流出し、印刷工程の各所において汚れとして蓄積するというおそれがある。
また、本発明において原紙にサイズ剤を添加する場合には、サイズ剤の配合量を原紙中のパルプ100質量部当たり0.05〜2質量部の範囲で添加することが好ましく、 0.2〜1.0質量部の範囲であればより好ましい。サイズ剤の配合量が0.05質量部未満の場合には、サイズ剤添加によるサイズ性が十分に得られないおそれがあり、一方、2質量部を上回ると、オフセット印刷時に接する水分に嵩高剤が流出し、印刷工程の各所において汚れとして蓄積するというおそれがある。
また、本発明において嵩高剤とサイズ剤を併用する場合には、嵩高剤の配合量は原紙中のパルプ100質量部当たり0.05〜0.8質量部の範囲とし、サイズ剤の配合量は原紙中のパルプ100質量部当たり0.02〜0.8質量部の範囲とすることが好ましい。上述の範囲で嵩高剤とサイズ剤を併用すれば、両原料による効果が発揮されながらも、印刷工程において嵩高剤やサイズ剤が流出するおそれがない。
また本発明において原紙には、パルプ、填料、嵩高剤、サイズ剤以外にも、湿潤紙力増強剤などの内添紙力増強剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、硫酸バンド、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、蛍光消色剤、ピッチコントロール剤などの各種助剤を、発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
先にも述べたように、本発明においては原紙の吸水性の指標としてJIS P 8140に規定されたコッブ吸水度(接触時間15秒)を用いる。接触時間15秒におけるコッブ吸水度を測ることで塗料の塗布面となる原紙の表層のサイズ性(吸水性)を把握することができ、塗工工程において塗料が原紙に塗工された後、乾燥工程を経るまでの数秒の間に塗料が原紙にどの程度浸透するかを適格に評価することができる。因みに、紙のサイズ性(吸水性)の指標としてはステキヒトサイズ度もあるが、ステキヒトサイズ度は紙の米坪(厚み)に測定値が大きく影響されるため、紙の表層のサイズ性を評価するには不適である。
本発明に用いる原紙は、JIS P 8140によるコッブ吸水度(接触時間15秒)を5〜50g/m2の範囲とし、好ましくは7〜40g/m2の範囲とし、より好ましくは10〜30g/m2の範囲とする。原紙の接触時間15秒におけるコッブ吸水度を上述の範囲とすることで塗料の原紙への浸透を抑えられ、塗工層成分が原紙表面に局在化させられることにより印刷用塗工紙の耐刷力が向上する。コッブ吸水度が5g/m2秒未満の場合には、原紙の吸水性が低すぎるために原紙表面に塗料が乗らない部分が発生するいわゆる「ハジキ」という現象が起こり、塗工面感が悪化する。一方コッブ吸水度が50g/m2を超えると、原紙の吸水性が上がることにより原紙への塗料の浸透性が増し、原紙表面に留まる塗料の量が減ることにより塗工面感が悪化する。加えて、オフセット印刷時の湿し水の吸収量も増すため湿し水の揚げ量が多くなり、水負け等を発生しやすくなり印刷適性に劣る塗工紙となる。
尚、原紙と塗工層を設けた印刷用塗工紙とでは、コッブ吸水度の値は原紙よりも印刷用塗工紙の方が大きくなる傾向にあり、原紙のコッブ吸水度(接触時間15秒)が5〜50g/m2の範囲である場合には、その原紙に本発明の範囲内で塗料を塗工して得られる印刷用塗工紙のコッブ吸水度(接触時間15秒)は6〜65g/m2前後となると考えられる。
原紙のコッブ吸水度には、填料、CSF、嵩高剤、サイズ剤などの要素が影響する。また、米坪が高い印刷用塗工紙を抄造する際には、乾燥工程を長くとるために抄速を下げて対応するのが一般的であるが、抄速を下げることで塗工工程終了から乾燥工程に入るまでの時間も同時に長くなり、結果として塗料が原紙に浸透するための時間も長くとることとなる。このため、原紙の米坪が高くなるほど要求されるサイズ性も高くなり、米坪が高めの原紙を用いるのであればコッブ吸水度は低い方が好ましくなる。
本発明において原紙の抄紙方法は特に限定するものではなく、従来より抄紙用に用いられている円網、長網、オントップ、ツインワイヤー、ギャップフォーマーなどのフォーマー部を有する抄紙機を用いて抄紙することができる。また抄紙は、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ抄紙のいずれの方式でもよいが、原紙に配合する填料としては軽質炭酸カルシウムが好ましいため、中性から弱アルカリ領域での抄紙が好ましい。
本発明において抄紙機のフォーマー部後に設けられるプレスパートでは、原紙を嵩高に仕上げるために出来るだけその線圧を下げて抄造することが望ましい。しかしながら、湿紙部でプレス不足となると、完成した印刷用塗工紙において内部結合強度の低下、印刷での繊維ムケ、填料脱落、紙粉発生等のトラブルが生じるおそれがあるため、本発明においてはプレス線圧の合計は100〜250kg/cmの範囲であることが好ましい。
また、本発明において原紙の密度は、印刷用塗工紙の密度の設計に応じて適宜変更すればよいが、塗工層用塗料を乾燥させた後に行うカレンダー処理による密度の上昇を考慮して最終製品である印刷用塗工紙の密度よりもやや低い程度とすることが好適であり、0.45〜0.68g/cm3の範囲とすることが好ましい。
本発明において原紙には、塗工層用塗料の塗工前処理として水溶性高分子を含むサイズ液を塗布してもよいが、原紙を嵩高にするという観点からは塗布しない方が好ましい。サイズ液を原紙表面に塗布することにより塗工層用塗料の原紙への浸透は抑えられるが、その一方でサイズ液の塗布により原紙の坪量が増加して密度が高くなりやすく、また、水溶性高分子の原紙への浸透により原紙の散乱係数が低下し、結果として不透明度も低下する。
次に塗工層用塗料、及びその塗工工程について説明を行う。
先にも述べたように本発明において用いる塗工層用塗料は顔料と接着剤とを含み、この塗工層用塗料をフィルム転写方式で原紙に塗工することで塗工層が設けられるものである。
塗工層用塗料に用いる顔料は特に限定するものではなく、印刷用塗工紙の塗工層成分として用いられる公知の顔料を単独または2種以上を混合して使用することができる。このような顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、クレー、デラミクレー、焼成クレー、酸化チタン等の無機顔料、プラスチックピグメント等の有機顔料等が挙げられるが、塗料適性、塗工層の塗工面感を良好とするためには、これらの顔料の中でも重質炭酸カルシウムが好ましい。
詳細は後述するが、塗工層用塗料をフィルム転写方式で塗工する本発明においては、より良好な塗工面感を得るためには塗料の固形分濃度を46〜56質量%とすることが好ましく、また塗料としての塗工適性のためにある程度の流動性を有することが望ましい。この要件を充たすためには、重質炭酸カルシウムを塗工層用塗料に用いる場合には、塗工層塗料中に配合する全顔料100質量部に対して重質炭酸カルシウムを60〜100質量部の範囲で含有させることが好ましく、80〜100質量部の範囲であればより好ましい。塗料中に配合する重質炭酸カルシウムの配合量を上述の範囲とすることでより流動性に優れた塗料を得ることができる。塗工層用塗料に含まれる全顔料中の重質炭酸カルシウムの配合割合が多くなるほど塗工層用塗料の流動性は改善される傾向となって均一な塗被面を得やすくなり、重質炭酸カルシウムの配合割合が60質量部未満の場合には、塗料の流動性が悪化し塗工層用塗料の塗工に問題が生じるおそれがある。
本発明において、塗工層用塗料に顔料として重質炭酸カルシウムを用いる場合には、乾式で粉砕された乾式重質炭酸カルシウム、湿式で粉砕された湿式重質炭酸カルシウムのいずれを用いてもよいが、塗工層用塗料の流動性の向上により寄与する湿式重質炭酸カルシウムが好ましい。また湿式重質炭酸カルシウムを用いる場合にはその粒度は特に限定せず、粉砕の程度によって粒度の異なる種類のものを1種又は2種以上を使用することができ、例えば、粒径2μmアンダーの累積度が60%である粗めの#60、該累積度が90%である#90、該累積度が97%である#97等や、粒度分布が比較的狭い範囲に調整されたいわゆるエンジニアード重質炭酸カルシウムを印刷用塗工紙の白紙光沢や不透明度の観点から適宜選定すればよい。
また、本発明において塗工層用塗料に用いる接着剤と特に限定するものではなく、印刷用塗工紙の塗工層成分として用いられる公知の接着剤を1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。このような接着剤としては、例えば、澱粉系接着剤、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)に代表される共重合体ラテックス、ポリビニルアルコール等の合成樹脂系接着剤、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられるが、これらの中でも塗料の粘度や原紙への浸透性をコントロールしやすい澱粉系接着剤が好ましい。澱粉系接着剤としては酸化澱粉、熱化学変性澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉等が挙げられ、これらの中でも尿素リン酸エステル化澱粉が好ましい。澱粉系接着剤は塗料の粘度コントロールや保水性と呼ばれる原紙への浸透性をコントロールしやすく、特に尿素リン酸エステル化澱粉が優れており、本発明のようにサイズ性の高い原紙を用いる場合に好適に使用することができる。
ここで、塗工層用塗料における接着剤の配合割合としては、顔料100質量部に対して30〜100質量部の範囲で配合されることが好ましい。
また、本発明において塗工層用塗料中の接着剤として澱粉系接着剤を用いる場合には、塗工層用塗料中に配合する顔料100質量部に対して15〜25質量部の範囲で含有させることが好ましく、17〜23質量部の範囲であればより好ましい。澱粉系接着剤の配合量が15質量部未満の場合には、塗料粘度が低くなることで所望する塗工量に達しにくく、加えて塗工層用塗料の原紙への浸透も大きくなることから原紙表面に残る塗工層用塗料の量が少なくなり塗工面感と耐刷力に劣るおそれがある。これは本発明のようにサイズ性の高い原紙を用いる場合により顕著となる。また、澱粉系接着剤の配合量が25質量部を上回ると、塗料粘度が高くなりすぎて塗工量のコントロールが難しくなり、また、原紙へ塗料を均一に塗布することも困難となるため塗工面感を損ねるおそれがある。
また、澱粉系接着剤と他の接着剤とを併用する場合には、他の接着剤としては耐刷力を向上させることができるスチレンブタジエン共重合ラテックス(SBR)を用いることが好ましい。澱粉系接着剤とSBRを併用することで、塗工面感を維持しつつ耐刷力にも優れた印刷用塗工紙とすることができる。SBRは澱粉系接着剤の0.5倍量以上配合することで耐刷力を向上させることができ、澱粉系接着剤と同部数以上に配合することにより更に耐刷力を向上させることができるが、SBRの配合割合を多くしすぎると印刷用塗工紙の表面にベタツキ感が発生するおそれがある。このため、澱粉系接着剤とSBRとを併用する場合の配合割合は、澱粉系接着剤:SBR=1:0.5〜4の範囲とすることが好ましく、澱粉系接着剤:SBR=1:1.01〜3の範囲であればより好ましく、澱粉系接着剤:SBR=1:1.1〜2の範囲であれば特に好ましい。SBRの配合量が澱粉系接着剤に対して4倍量を上回ると、塗工層の表面にベタつき感が生じるおそれがあり、逆にSBRの配合量が澱粉系接着剤に対して0.5倍量未満となると耐刷力の向上の効果に乏しい。
また、塗工層用塗料には必要に応じて分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤(染料、顔料)、蛍光染料、アルカリ等の通常用いられている各種助剤を発明の効果を損なわない範囲において適宜使用できる。
本発明においては、塗工層用塗料の固形分濃度は46〜56質量%の範囲とすることが好ましく、47〜55質量%の範囲であればより好ましい。塗料の固形分濃度をこの範囲とすることで、比較的低い塗工量でも良好な塗工面感が得やすくなる。尚、上述の固形分濃度は印刷用塗工紙の塗工層用塗料の固形分濃度としては比較的低濃度であり、原紙のサイズ性が低い場合には原紙に塗料が多く浸透してしまうため良好な塗工面感を得るためにはある程度の塗工量が必要となるが、本発明のようにサイズ性の比較的高い原紙を用いた場合には寧ろ良好な塗工面感を得やすくなる。塗工層用塗料の固形分濃度が46質量%未満になると、塗料粘度が低くなりすぎるため所望する塗工量を確保することが難しくなり、また、塗工層用塗料の原紙への浸透も大きくなることから良好な塗工面感と耐刷力が得られ難くなる。一方、固形分濃度が56質量%を超えると塗料粘度が比較的高くなるため塗工量のコントロールが難しく、また、比較的少ない塗工量では紙面へ均一に塗布することが難しくなるため、嵩高性と良好な塗工面感とが両立し難くなる。印刷用塗工紙において、塗工層用塗料の塗料粘度、固形分、塗工量及び原紙のサイズ性の各要素は密接な関係にあり、より良好な塗工面感を得るには各要素を適切な範囲とすることが好ましい。
塗工層用塗料の粘度は顔料や接着剤等の配合量に影響され、特に澱粉類配合量により大きく変化するが、B型粘度計(60rpm、30℃)で700〜3000cpsの範囲であることが好ましく、1000〜2500cpsの範囲であればより好ましく、1500〜2200cpsであれば特に好ましい。塗工層用塗料の粘度が700cps未満の場合には所望する塗工量に達しにくく被覆性に乏しい塗工層となるおそれがある。一方、塗工層用塗料の粘度が3000cpsを超えると塗料を原紙に均一に塗工することが困難となり、結果として良好な塗工面感を得ることが難しくなる。
本発明においては、原紙へ塗工層を設けるにあたり、塗工層成分を原紙表面により局在化させることができ、また、嵩高な印刷用塗工紙としやすいことから、塗工層用塗料をフィルム転写方式の塗工機を用いて塗工する。フィルム転写方式の塗工機としては、ゲートロールコーターやフィルムサイザー、メタリングサイズプレス等を適宜選択して用いることができるが、塗工面感をより良くするためにはフィルムサイザー又はメタリングサイズプレスを用いることがより好ましい。尚、原紙に塗料をアプリケートした後、ブレードやロッドで掻き落とす塗工方式は、ドエルタイムが発生して原紙への塗料の浸透が進みやすく、また、塗料を掻き落とす際に、原紙に機械的圧力をかけるために原紙が密になり原紙の嵩高性を損ねやすいため、本願においては使用に適さない。
本発明において、塗工層用塗料の原紙への塗工量は原紙の片面当たり1〜6g/m2の範囲とし、好ましくは2〜5g/m2とする。塗工層用塗料の塗工量が1g/m2未満の場合には塗工層用塗料で原紙表面を被覆しきれず、結果として塗工面感に劣ることとなる。一方、塗工層用塗料の塗工量が6g/m2を超えると、原紙の密度を低くしても印刷用塗工紙を所望する密度にすることが困難となる。
先にも述べたように、原紙を嵩高化すると原紙が低密度となり空隙が多くなるため、塗工時に塗工層用塗料が原紙内部へ浸透しやすく低塗工量で均一に原紙表面を被覆することが難しくなる。しかしながら、本発明においては原紙のコッブ吸水度を適切な範囲に調整することにより塗工液の原紙内部への浸透を抑制できることから、比較的塗工量が少なくても均一に原紙を塗工層で被覆することが可能となり、塗工面感に優れた印刷用塗工紙を得ることが可能となる。
次に乾燥工程について説明する。本発明においては、原紙に塗工層用塗料を塗工した後、乾燥工程を経ることで原紙に塗工層を設けるが、その乾燥方式としては特に限定するものではなく、熱風乾燥、赤外乾燥、ドラム乾燥等の従来公知の乾燥方法を用いることができる。ここで乾燥温度は、60〜140℃とすることが好ましく、70〜130℃であればより好ましい。乾燥温度が60℃未満の場合には、乾燥速度が遅くなるために原紙への塗料の浸透も大きくなり、原紙表面へ留まる塗工層用塗料の量も減り、塗工面感及び耐刷力共に劣るおそれがある。
次に仕上げ工程について説明する。仕上げ工程では、カレンダー装置により印刷用塗工紙の密度が0.5〜0.7g/cm3となるように加圧処理を行う。ここでカレンダー装置としては、2対の金属ロールで組み合わされた単段または多段のマシンカレンダーや、高温金属ロールと樹脂ロールとで構成されるソフトカレンダーなどを用いることができ、これらを単独又は併用することができる。印刷用塗工紙の密度が0.7g/cm3を超える場合は、嵩高性が失われ好ましくない。また、密度が0.5g/cm3未満の場合には、嵩高とはなるが加圧処理が不十分であり、結果的に表面の平滑性が失われ塗工面感に劣ることとなる。
本発明によって得られる印刷用塗工紙の坪量は、特に限定するものではないが、一般に印刷用紙として用いられる46〜170g/m2の範囲であることが好ましく、50〜130g/m2の範囲であればより好ましい。坪量が46g/m2未満になると十分な不透明度が得られにくく、また剛度も低くなるため印刷時角折れや、ジャミングと呼ばれる印刷機上での詰まりにより支障を来たすおそれがある。一方、坪量が170g/m2を超えると剛度が高くなるため、例えば書籍用紙として用いるには不向きとなる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、部および%は質量部及び質量%を示す。
(実施例1)
<原紙の抄造>
カナダ標準フリーネス(CSF)500mlのLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)100部、軽質炭酸カルシウム5部、硫酸バンド1部、脂肪酸系誘導体を主成分とする嵩高剤(商品名:PT8104/星光PMC社製)0.5部、カチオン化澱粉(商品名:ケート308/日本NSC社製)0.5部、歩留り剤(商品名:ハイホールダーC503/栗田工業社製)0.01部を水中に添加・分散して原料スラリーを調製し、この原料スラリーを用いてオントップワイヤー方式の抄紙機で坪量60g/m2の原紙を抄造した。
<塗料の調製>
次に、重質炭酸カルシウム(商品名:カービタル90/イメリスミネラルズジャパン社製)85部、二級クレー(商品名:ハイドラスパース/ヒューバー社製)15部を水中に添加して十分に分散した後、接着剤として燐酸エステル化澱粉(商品名:MS#4600/日本食品化工社製)20部、スチレンブタジエン共重合ラテックス(商品名:0613/JSR社製)25部を添加し、更に水を加えて十分に分散させ、固形分濃度が52%である塗工層用の塗料を得た。
<塗工紙の製造>
塗工層用の塗料をオンマシンフィルムサイザーで、原紙の片面当たりの塗工量が固形分換算で3g/m2となるように原紙の両面に塗工した。塗工後、80℃の熱風乾燥機での予備乾燥後、110℃のドラム乾燥機で水分調整を行い、原紙上に塗工層を設けた後、仕上げ工程として金属ロール−金属ロールで構成された2段1ニップのマシンカレンダーを用いて線圧10kg/cmで処理を行い、目的とする印刷用塗工紙を得た。
(実施例2)
原料スラリーの調製において、脂肪酸系誘導体を主成分とする嵩高剤(商品名:PT8104/星光PMC社製)の添加量を0.8部に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例3)
原料スラリーの調製において、脂肪酸系誘導体を主成分とする嵩高剤(商品名:PT8104/星光PMC社製)の添加量を0.2部に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例4)
原料スラリーの調製において、脂肪酸系誘導体を主成分とする嵩高剤(商品名:PT8104/星光PMC社製)の添加量を0.2部に変更し、更に中性ロジンエマルジョンサイズ剤(商品名:NT−78/荒川化学工業社製)0.2部を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例5)
原料スラリーの調製において、脂肪酸系誘導体を主成分とする嵩高剤(商品名:PT8104/星光PMC社製)を添加せず、中性ロジンエマルジョンサイズ剤(商品名:NT−78/荒川化学工業社製)0.5部を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例6)
原料スラリーの調製において、脂肪酸系誘導体を主成分とする嵩高剤(商品名:PT8104/星光PMC社製)を添加せず、中性ロジンエマルジョンサイズ剤(商品名:NT−78/荒川化学工業社製)0.1部を添加し、仕上げ工程におけるマシンカレンダーの線圧を5kg/cmに変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例7)
塗工層用の塗料に配合する燐酸エステル化澱粉(商品名:MS#4600/日本食品化工社製)の配合量を15部に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例8)
塗工層用の塗料に配合する燐酸エステル化澱粉(商品名:MS#4600/日本食品化工社製)の配合量を25部に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例9)
塗工層用の塗料の固形分濃度を46%に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例10)
塗工層用の塗料の固形分濃度を54%に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例11)
塗工層用の塗料の原紙の片面当たりの塗工量を固形分換算で1g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例12)
塗工層用の塗料の原紙の片面当たりの塗工量を固形分換算で6g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例13)
塗工層用の塗料に配合するスチレンブタジエン共重合ラテックス(商品名:0613/JSR社製)の配合量を10部に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例14)
塗工層用の塗料に配合するスチレンブタジエン共重合ラテックス(商品名:0613/JSR社製)の配合量を20部に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例15)
塗工層用の塗料に配合するスチレンブタジエン共重合ラテックス(商品名:0613/JSR社製)の配合量を40部に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例16)
塗工層用の塗料に配合するスチレンブタジエン共重合ラテックス(商品名:0613/JSR社製)の配合量を80部に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例17)
塗工層用の塗料に配合する燐酸エステル化澱粉(商品名:MS#4600/日本食品化工社製)20部を、酸化澱粉(商品名:MS#3800:日本食品加工社製)20部に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例18)
塗工層用の塗料に配合する燐酸エステル化澱粉(商品名:MS#4600/日本食品化工社製)の配合量を14部に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例19)
塗工層用の塗料に配合する燐酸エステル化澱粉(商品名:MS#4600/日本食品化工社製)の配合量を26部に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例20)
塗工層用の塗料の固形分濃度を45%に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例21)
塗工層用の塗料の固形分濃度を57%に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例22)
原料スラリーの調製において、脂肪酸系誘導体を主成分とする嵩高剤(商品名:PT8104/星光PMC社製)0.5部を、ポリアルキレンアミン・脂肪酸・エピクロルヒドリン重縮合物を主成分とする嵩高剤(商品名:サイズパインDL−FA20/荒川化学工業社製)0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例23)
原料スラリーの調製において、脂肪酸系誘導体を主成分とする嵩高剤(商品名:PT8104/星光PMC社製)0.5部を、脂肪酸ポリアミドアミンを主成分とする嵩高剤(商品名:マスクートK300/日華化学社製)0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例24)
原料スラリーの調製において、脂肪酸系誘導体を主成分とする嵩高剤(商品名:PT8104/星光PMC社製)0.5部を、酸化ポリエチレンワックスを主成分とする嵩高剤(商品名:メイカソフターSH−17Z/明成化学工業社製)0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(比較例1)
塗工層用の塗料の原紙の片面当たりの塗工量を固形分換算で0.5g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(比較例2)
塗工層用の塗料の原紙の片面当たりの塗工量を固形分換算で7g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(比較例3)
原料スラリーの調製において、脂肪酸系誘導体を主成分とする嵩高剤(商品名:PT8104/星光PMC社製)0.5部を、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを主成分とする嵩高剤を(商品名:KB85/花王社製)0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(比較例4)
仕上げ工程でマシンカレンダーでの処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(比較例5)
原料スラリーの調製において、嵩高剤(商品名:PT8104/星光PMC社製)の添加量を1部に変更し、更に中性ロジンエマルジョンサイズ剤(商品名:NT−78/荒川化学工業社製)1部を添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
各実施例及び比較例で得た印刷用塗工紙の評価結果を図1に示す。評価方法は以下のとおりである。
(坪量)
JIS P 8124:1998「紙及び板紙−坪量測定方法」に準じて測定した。
(厚さ)
JIS P 8118:1998「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準じて測定した。
(密度)
JIS P 8118:1998「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準じて測定した。
(コッブ吸水度)
JIS P 8140:1998「紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法」に準じて測定。尚、接触時間は15秒とした。(水を捨てるまでの時間を5±1秒、吸い取りを開始するまでの時間を15±1秒)
(耐刷力)
印刷用塗工紙に、以下に示す印刷機と印刷インキを用いて9000枚/時の印刷速度でオフセット印刷を行い、ブランケット汚れ及び紙剥けの有無を目視にて評価した。評価は1〜5の5段階とし、ブランケット汚れ及び紙剥けが無く最も耐刷力に優れるものを5、ブランケット汚れ及び紙剥けが顕著であり最も耐刷力に劣るものを1とした。5〜2の評価は合格とし、1の評価は不合格とした。
印刷機:三菱重工 DAIYA 4DR
印刷インキ:T&K TOKA社製 BEST ONE パーフェクトGT
(塗工面感)
印刷用塗工紙の塗工層について、塗工ムラと平滑感を目視にて評価した。評価は1〜5の5段階とし、塗工ムラが無く平滑感に優れるものを5、塗工ムラを感じ平滑感に劣るものを1とした。5〜2の評価は合格とし、1の評価は不合格とした。
図1の結果から以下のことが示されている。実施例1〜24で得られた印刷用塗工紙は、密度が低く嵩高であり、低塗工量でありながらも、耐刷力が高く、塗工面感に優れるものであった。実施例18で得られた印刷用塗工紙は澱粉系接着剤の配合量がやや少なかったため、耐刷力にやや劣るものであったが、合格レベルのものであった。
また実施例19で得られた印刷用塗工紙は澱粉系接着剤の配合量がやや多かったため、塗料粘度が高くなり、塗工ムラが生じ、結果的に塗工面感にやや劣るものであったが、合格レベルのものであった。これらより、澱粉系接着剤の配合量は顔料100質量部に対し、15〜25質量部の範囲で配合することが耐刷力と塗工面感を両立できることから好ましいことがわかる。
実施例20で得られた印刷用塗工紙は、塗料の固形分濃度がやや低かったため、塗料粘度が低くなり、塗工層を所望する塗工量とすることがやや困難となった。オンマシンフィルムサイザーのアプリケーターロールへの塗料の付着量をやや強引に増加させる操作をすることで所望する塗工量を達成できたが、塗料中の水分が高いことによる塗料の原紙への浸透ムラが助長され、結果として合格レベルではあるがやや塗工面感に劣るものとなった。
また、実施例21で得られた印刷用塗工紙は、塗料の固形分濃度がやや高かったため、塗料粘度が高くなり、塗工ムラが生じ、合格レベルではあるが塗工面感にやや劣るものであった。これらより、塗工層用の塗料の固形分濃度は46〜56質量%の範囲とすることが塗工面感を良好とする点で好ましいことがわかる。
また、実施例22〜24で得られた印刷用塗工紙は、原紙に用いる嵩高剤の種類を、それぞれポリアルキレンアミン・脂肪酸・エピクロルヒドリン重縮合物を主成分とする嵩高剤(実施例22)、脂肪酸ポリアミドアミンを主成分とする嵩高剤(実施例23)、酸化ポリエチレンワックスを主成分とする嵩高剤(実施例24)に変更したものであり、いずれの嵩高剤も本発明に適したものであったため耐刷力、塗工面感のいずれについても実施例1で得られた印刷用塗工紙とほぼ同等の品質を有しており、軽量嵩高の好ましい印刷用塗工紙であった。
比較例1で得られた印刷用塗工紙は、塗工層の塗工量が少なすぎたため、原紙を塗工層で十分に被覆することができず、結果として塗工面感に劣るものとなった。
比較例2で得られた印刷用塗工紙は、塗工層の塗工量が多すぎたため、比重の大きい塗工層との関係から印刷用塗工紙の密度が0.71g/cm3となり、目的とする嵩高な印刷用塗工紙を得ることができなかった。
比較例3で得られた印刷用塗工紙は、原紙に界面活性剤系の嵩高剤を使用したため、原紙の吸水性が高くなりすぎ、塗料の原紙への浸透が多くなり、塗料の均一な塗布が出来ず、結果として塗工面感が悪化した。
比較例4で得られた印刷用塗工紙は、カレンダー処理を行わなかったために嵩高な印刷用塗工紙が得られたものの、塗工層表面の凹凸が目立ち、結果として塗工面感に劣るものであった。
比較例5で得られた印刷用塗工紙は、コッブ吸水度が4g/m2とサイズ性が過剰に高い原紙に塗料を塗工したため、原紙表面に塗料が乗らない部分が発生する、いわゆる「ハジキ」という現象が起こり、結果として塗工面感に劣るものであった。また、嵩高剤及びサイズ剤を多用するため、工程が汚れ長時間生産することが出来ず、更に薬品コストも高くなり商業生産は出来なかった。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記嵩高剤は、脂肪酸アミド、脂肪酸ポリアミドアミン、脂肪酸アミドのエピクロルヒドリン変性樹脂、脂肪酸ポリアミドアミンのエピクロルヒドリン変性樹脂、脂肪酸アミドのヒドロキシエチル誘導体、脂肪酸ポリアミドアミンエピクロロヒドリン反応物、ポリアルキレンポリアミン・脂肪酸・エピクロルヒドリン重縮合物、酸化ポリエチレンワックス、の中から選ばれた1種又は2種以上であってもよい。
このような構成によれば、塗工層用塗料の粘度が好ましい範囲であるため、薄く均一な塗工層を容易に設けることが出来る。
また、本発明の原紙においては、吸水性や密度の調整を目的として原紙に嵩高剤及び/又はサイズ剤を添加することが好ましい。ここで嵩高剤を使用する場合には、原紙にサイズ性を付与しながら密度を下げる成分を含む嵩高剤を選択することが好ましい。このような嵩高剤としては、脂肪酸アミド、脂肪酸ポリアミドアミン、脂肪酸アミドのエピクロルヒドリン変性樹脂、脂肪酸ポリアミドアミンのエピクロルヒドリン変性樹脂、脂肪酸アミドのヒドロキシエチル誘導体、脂肪酸ポリアミドアミンエピクロロヒドリン反応物、ポリアルキレンポリアミン・脂肪酸・エピクロルヒドリン重縮合物、酸化ポリエチレンワックスなどが挙げられる。一般的に用いられる嵩高剤のうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどの非イオン界面活性剤に属する嵩高剤は、密度を下げ嵩高にする効果はあるものの原紙のサイズ性の発現を阻害するため原紙のサイズ性を低下させてしまうという問題がある。
また、本発明において原紙にサイズ剤を添加する場合には、サイズ剤の配合量を原紙中のパルプ100質量部当たり0.05〜2質量部の範囲で添加することが好ましく、0.2〜1.0質量部の範囲であればより好ましい。サイズ剤の配合量が0.05質量部未満の場合には、サイズ剤添加によるサイズ性が十分に得られないおそれがあり、一方、2質量部を上回ると、オフセット印刷時に接する水分に嵩高剤が流出し、印刷工程の各所において汚れとして蓄積するというおそれがある。
(実施例22)
原料スラリーの調製において、脂肪酸系誘導体を主成分とする嵩高剤(商品名:PT8104/星光PMC社製)0.5部を、ポリアルキレンポリアミン・脂肪酸・エピクロルヒドリン重縮合物を主成分とする嵩高剤(商品名:サイズパインDL−FA20/荒川化学工業社製)0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
また、実施例22〜24で得られた印刷用塗工紙は、原紙に用いる嵩高剤の種類を、それぞれポリアルキレンポリアミン・脂肪酸・エピクロルヒドリン重縮合物を主成分とする嵩高剤(実施例22)、脂肪酸ポリアミドアミンを主成分とする嵩高剤(実施例23)、酸化ポリエチレンワックスを主成分とする嵩高剤(実施例24)に変更したものであり、いずれの嵩高剤も本発明に適したものであったため耐刷力、塗工面感のいずれについても実施例1で得られた印刷用塗工紙とほぼ同等の品質を有しており、軽量嵩高の好ましい印刷用塗工紙であった。

Claims (14)

  1. パルプを主成分とする原紙の両面に、1層以上塗工層を設けてなる印刷用塗工紙の製造方法であって、
    化学パルプを60%以上含むパルプと、パルプ100質量部に対して1〜10質量部の填料と、嵩高剤及び/又はサイズ剤とを含む抄紙原料を用いて、コッブ吸水度(接触時間15秒)が5〜50g/m2の範囲である原紙を抄造する原紙抄造工程と、
    顔料と接着剤とを含む塗工層用原料を混合して塗工層用塗料を調製する塗工層用塗料調整工程と、
    前記原紙の両面に、フィルム転写方式の塗工機を用いて前記塗工層用塗料を片面当たりの塗工量が1〜6g/m2となるように塗工する塗工工程と、
    前記塗工工程で塗工された塗工層用塗料を乾燥させる乾燥工程と、
    前記乾燥工程が終了した後に、カレンダー処理によって密度を0.5〜0.7g/cm3とするカレンダー工程と、を有し、
    前記接着剤は、少なくとも澱粉系接着剤を含むものであることを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
  2. 前記嵩高剤は、原紙中のパルプ100質量部に対して0.1〜1.5質量部の範囲で含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  3. 前記パルプ全量のカナディアンスタンダードフリーネス(CSF)が400〜600mlの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  4. 前記澱粉系接着剤は、顔料100質量部に対して15〜25質量部の範囲で含有されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  5. 前記嵩高剤は、脂肪酸アミド、脂肪酸ポリアミドアミン、脂肪酸アミドのエピクロルヒドリン変性樹脂、脂肪酸ポリアミドアミンのエピクロルヒドリン変性樹脂、脂肪酸アミドのヒドロキシエチル誘導体、脂肪酸ポリアミドアミンエピクロロヒドリン反応物、ポリアルキレンアミン・脂肪酸・エピクロルヒドリン重縮合物、酸化ポリエチレンワックス、の中から選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項2に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  6. 前記澱粉系接着剤として、尿素リン酸エステル化澱粉を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  7. 前記塗工層用塗料の接着剤として、更にスチレンブタジエン共重合ラテックスが使用され、澱粉系接着剤とスチレンブタジエン共重合ラテックスとの配合割合が、澱粉系接着剤:スチレンブタジエン共重合ラテックス=1:0.5〜4の範囲であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  8. 前記サイズ剤は、原紙中のパルプ100質量部に対して0.05〜2質量部の範囲で含まれる、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  9. 前記塗工層用塗料の固形分濃度が46〜56質量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  10. 前記塗工層用塗料に配合する全顔料100質量部に対して、重質炭酸カルシウムが60質量部以上含まれていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  11. 前記塗工層用塗料において接着剤は、顔料100重量部に対して30〜100重量部の範囲で含有されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  12. 前記塗工層用塗料は、粘度が700〜3000cpsの範囲であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  13. パルプを主成分とする原紙の両面に1層以上の塗工層を設けた印刷用塗工紙であって、
    前記原紙は、化学パルプを60%以上含むパルプと、パルプ100質量部に対して1〜10質量部の填料と、嵩高剤及び/又はサイズ剤とを含み、かつコッブ吸水度(接触時間15秒)が5〜50g/m2の範囲であり、
    前記塗工層を設けるための塗工層用塗料は、顔料と接着剤を含有し、
    前記接着剤は、少なくとも澱粉系接着剤を含み、
    前記塗工層は、前記原紙の片面当たり1〜6g/m2の範囲で設けられ、
    密度が0.5〜0.7g/cm3の範囲である、ことを特徴とする印刷用塗工紙。
  14. 前記嵩高剤は、原紙中のパルプ100質量部に対して0.1〜1.5質量部の範囲で含まれる、ことを特徴とする請求項13に記載の印刷用塗工紙。
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