JP2015110233A - レーザ溶接方法 - Google Patents

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Yasuo Morishima
康雄 森島
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Wataru Kono
渉 河野
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Takeshi Fukuda
健 福田
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Masaki Tamura
雅貴 田村
善宏 藤田
Yoshihiro Fujita
善宏 藤田
祥希 石崎
Yoshiki Ishizaki
祥希 石崎
稔 小畑
Minoru Obata
稔 小畑
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Abstract

【課題】溶加材として690系溶着金属を用いた場合に、溶接金属の初層の外縁部のCr含有量が、母材との希釈により低下することを抑制可能な溶接方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、レーザ溶接方法は、溶加材及び母材100の一部をレーザ光により溶融させて、溶接金属を構成する複数の層を形成する。溶加材である690系溶着金属は、クロムが28.0〜31.5%、質量%で含有されているニッケル基合金である。溶加材は、直径が1.1mm以上となるよう構成されている。母材100は、クロムが15%以上、質量%で含有されている。母材100と接する層である初層を形成する際、当該初層のうち外縁部17eを構成するビードについては、レーザ出力2.6kW以下、溶接速度50cm/min以下、及び溶加材送給速度145cm/min以上を、溶接条件としてレーザ溶接を施す。
【選択図】図5

Description

本発明の実施形態は、母材の一部と溶加材をレーザ光により溶融させて溶接金属を構成する複数の層を形成するレーザ溶接技術に関する。
例えば、加圧水型原子炉の原子炉容器においては、経年化により、溶接部(weld)に応力腐食割れ(SCC:stress corrosion cracking)が生じて、当該溶接部にき裂や欠陥が生じることがある。溶接部にき裂や欠陥が生じた場合、溶着金属(deposited metal)及び、その周囲にある母材の一部を、機械加工により除去した後、その除去された部分に、溶加材をレーザ光により溶融させて溶接金属の層を形成することにより、当該部分を補修する技術、いわゆる補修溶接が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許4112736号公報
また、原子炉容器等に形成された溶接部において、き裂や欠陥が発生することを事前に防止するために、インコネル(登録商標)690等、耐SCC性のある材料により、当該溶接部の上から肉盛溶接を行われることがある。このような溶接は、例えば、溶接部が原子炉容器等に形成されている場合、水中において当該溶接部に向けてシールドガスを供給し、当該シールドガス雰囲気中においてレーザ溶接を行うことにより実現することができる。
上述した補修溶接を含む肉盛溶接においては、溶接中に付加する材料である溶加材には、耐SCC性の高い材料が用いられる。このような溶加材には、例えば、690系溶着金属が用いられる。690系溶着金属は、耐SCC性を向上させるために、Cr(クロム)の含有量(以下、単に「Cr含有量」と記す)が約30%と、比較的高い値に設定されている。
しかし、溶加材として690系溶着金属を用いて上述の肉盛溶接を行った場合、溶接金属(weld metal)を構成する複数の層のうち、最初に形成されて母材と接する層(以下、初層と記す)においては、当該溶加材が溶け込む相手となる母材(以下、相手材と記す)との希釈により、Cr含有量が溶加材(溶着金属)の化学成分に比べて低下する場合がある。
上述した溶接構成する複数の層が形成された後は、初層は、母材と第2層に挟まれているものの、初層の外縁部は、外部に露出しており、水等の液体に曝される場合がある。初層のうち、特に、外縁部においては、Cr含有量が、母材との希釈により溶加材のCr含有量に比べて低下すると、耐腐食性や耐SCC性の点で問題である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、溶加材として690系溶着金属を用いた場合に、溶接金属の初層の外縁部のCr含有量が、母材との希釈により低下することを抑制可能な溶接方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態のレーザ溶接方法は、母材の一部及び溶加材をレーザ光により溶融させて、溶接金属を構成する複数の層を形成する溶接方法であって、前記溶加材は、炭素が0.04%以下、ケイ素が0.50%以下、マンガンが1.0%以下、リンが0.02%以下、硫黄が0.015%以下、銅が0.30%以下、クロムが28.0〜31.5%、鉄が7.0〜11.0%、ニオブ及びタンタルが0.5〜1.0%、チタンが1.0%以下、モリブデンが0.50%以下、コバルトが0.12%以下、アルミニウムが1.10%以下、質量%で含有されているニッケル基合金であって、直径が1.1mm以上となるよう構成されており、前記母材は、クロムが15%以上、質量%で含有されており、前記複数の層のうち最初に形成されて母材と接する層である初層を形成する際、当該初層のうち外縁部を構成するビードについては、レーザ出力2.6kW以下、溶接速度50cm/min以下、及び溶加材送給速度145cm/min以上を、溶接条件としてレーザ溶接を施すことを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、溶接金属の初層のCr含有量が、母材との希釈により低下することを抑制できる。
原子炉圧力容器の断面立面図である。 溶接継手の溶接部に対して肉盛溶接を施す一例を示す断面図である。 溶接継手の溶接部に対して補修溶接を施す一例を示す断面図である。 水中レーザ溶接に用いられる溶接ヘッドの周辺構成を示す模式図である。 肉盛溶接における初層と、その外縁部を説明する模式図である。 補修溶接における初層と、その外縁部を説明する模式図である。 溶着金属と母材との希釈を説明する説明図である。 溶着金属と母材との希釈を説明する説明図である。 溶着金属と母材との希釈を説明する説明図である。 溶加材(690系溶着金属)の化学成分を説明する図である。 母材の化学成分を説明する図であり、(a)は、SUS316Lの化学成分を(b)は、クラッドであるES309Lの化学成分を示している。 溶接部(132合金)の化学成分を説明する図である。 690系溶着金属を溶加材として水中レーザ溶接を行った場合に、母材上に形成された溶接金属のCrの濃度分布の一例を説明する図である。 第1の実施形態の溶接方法により形成された溶接金属と、その周辺構造を示す断面図である。 第1の実施形態の溶接方法により形成された溶接金属内のCr含有量を示すグラフである。 690系母材の化学成分を説明する図である。 第2の実施形態の溶接方法により形成された溶接金属と、その周辺構造を示す断面図である。 第3の実施形態の溶接方法により形成された溶接金属と、その周辺構造を示す断面図である。 第4の実施形態の溶接方法により形成された溶接金属と、その周辺構造を示す断面図である。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態により、本発明が限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態のレーザ溶接方法が適用される部材の一例について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態の溶接方法が適用される部材の一例を示す図であり、加圧水型原子炉圧力容器の断面図である。
図1に示すように、加圧水型原子炉圧力容器(以下、単に原子炉容器と記す)1は、炉心及び炉内構造物を囲い、これらを収容する部分(以下、単に「胴」と記す)3と、原子炉容器1を貫通して延びる配管等を接続するために、胴3から分岐して設けられた部分、いわゆる管台(nozzle)5とを有している。胴3と管台5は、溶接により接合される。これにより、胴3と管台5との間には、溶接部7が構成される。
なお、以下の説明において、溶接部7には、溶接中に溶融・凝固した金属である溶接金属(weld metal)に加えて、母材のうち溶融していないものの、溶接中に熱的な影響を受けて冶金的性質及び機械的性質に変化が生じた部分、いわゆる熱影響部が含まれている。
上述した溶接金属(weld metal)には、溶接S等の溶加材(filler metal)が溶融して、溶接部7に移行したもの、いわゆる溶着金属(deposited metal)と、胴3及び管台5等の母材のうち溶融した部分、いわゆる溶融部が含まれている。
このような原子炉容器1においては、経年化により、溶接部7に応力腐食割れ(SCC:stress corrosion cracking)が生じて、当該溶接部7にき裂や欠陥が生じることがある。なお、応力腐食割れ(SCC)は、引張応力を受けている材料が、腐食環境下において、通常の破壊応力水準より低い応力の作用であっても割れを生じる現象である。
溶接部7にき裂や欠陥が生じた場合、溶着金属(deposited metal)及び、その周囲にある熱影響部等の母材を、機械加工(切削加工)により削り取り、その後、耐SCC性のある材料(以下、耐SCC材と記す)により、補修溶接(repair welding)が行われる。
また、管台5の溶接部7におけるき裂や欠陥の発生を事前に防止する予防保全措置として、インコネル(登録商標)690等の耐SCC材で肉盛溶接が行われる。当該肉盛溶接が施された溶接継手の例を、図2に示し、補修溶接が施された溶接継手の例を図3に示す。
例えば、図2には、片側にステンレス鋼106が被膜された低合金鋼(low-alloy steel)104と、ステンレス鋼105を、溶加材としてインコネル(登録商標)132(以下、「132合金」と記す)を用いて突合せ溶接により溶接されたものを示している。なお、ステンレス鋼105には、SUS316L(JIS G4304)が用いられている。一方、低合金鋼104には、ASME SA−533 TypeBCl.1が用いられており、当該低合金鋼104に被覆されたステンレス鋼(以下、単に「クラッド」と記す)106には、ES309L(JIS Z3221)が用いられている。
図2に示す例においては、132合金による溶着金属を含み、既に溶接されている溶接部(weld)107の表面108を覆うように、耐SCC材で構成された溶接金属30を形成する肉盛溶接が施されている。
一方、図3に示す例においては、溶接部107の一部を機械加工により削り取ってリセスが形成されており、当該リセスを画定する壁面120を覆うように、耐SCC材で構成された溶接金属40を埋め込む補修溶接が施されている。
このような溶接を施す場合、水中においてレーザ溶接を行うことにより、溶接に関する全体工程を短縮することが可能となっており、以下に水中レーザ溶接の一例について図4を用いて説明する。なお、図4には、水中においてレーザ溶接により肉盛溶接を行う例について示している。
図4には、レーザ光を照射する溶接ヘッド10が、溶接金属のビード15及び母材100の表面に接した状態を示している。本実施形態において、溶接ヘッド10は、水中に配置されており、母材100に対して、いわゆる水中溶接が施される。溶接ヘッド10の内部には、レーザ光が通る空間(以下、内部空間と記す)11が形成されている。内部空間11には、溶接雰囲気に水が侵入することを防止するためのガス、いわゆるシールドガスが供給されている。シールドガスは、図に矢印Sで示すように、内部空間11から母材100及び溶接金属のビード15に向けて噴射されている。
また、溶接ヘッド10の先端部に形成された貫通孔16からは、溶加材としての溶接ワイヤ12が供給されている。溶接ワイヤ12は、インコネル(登録商標)690等の耐SCC材で構成されている。溶接ワイヤ12及び母材100にレーザ光を照射することにより、溶接ワイヤ(溶加材)12と母材100の一部が溶融して、溶接金属のビード15が形成される。
なお、溶接ヘッド10の先端部には、水等が溶接雰囲気内に侵入するのを防止するためのカバー(以下、シールドカバーと記す)13が設けられている。シールドカバー13の内側にある溶接雰囲気は、シールドガスで満たされている。このように、本実施形態において、レーザ溶接は、シールドガスを溶接雰囲気に供給しながら水中において行われる。以下の説明において、このようなレーザ溶接を「水中レーザ溶接」と記す。なお、各図において水を符号14で示す。
上述の溶接において、溶加材(溶接ワイヤ12)には、図10に示すように、炭素が0.04%以下、ケイ素が0.50%以下、マンガンが1.0%以下、リンが0.02%以下、硫黄が0.015%以下、銅が0.30%以下、クロムが28.0〜31.5%、鉄が7.0〜11.0%、ニオブ及びタンタルが0.5〜1.0%、チタンが1.0%以下、モリブデンが0.50%以下、コバルトが0.12%以下、アルミニウムが1.10%以下、質量%で含有されているニッケル基合金(以下、690系溶着金属と記す)が用いられている。690系溶着金属は、上述した耐SCC性を向上させるために、Cr(クロム)の含有量が、約30%と高く設定されている。
溶接継手(図2及び図3参照)に形成された溶接部107に、さらに690系溶着金属を溶加材として溶接を施す手法には、図5に示す肉盛溶接と、図6に示す補修溶接がある。なお、図5及び図6において、溶接金属を構成する層については、理解を容易にするため、ハッチングを省略している。
図5に示す肉盛溶接において、母材100上の表面110上には、肉盛溶接により、溶接金属を構成する複数の層17〜20が形成される。母材100上に最初に形成される溶接金属の初層17は、690系溶着金属と、上述した母材100の溶融部とを含んで構成される。初層17においては、溶加材である690系溶着金属と母材100との溶込みと希釈によりCrの含有量が低下する。
初層17の上には、第2層18、第3層19、第4層20が順次形成される。このように複数の層17〜20を形成する肉盛溶接が施された後、初層17の外縁は、露出しており、空気や水と接することになる。なお、肉盛溶接において形成された初層17のうち外縁を構成するビードを、以下に「外縁部」と記して符号17eで示す。
図6に示す補修溶接においては、母材100には、上述した機械加工により、母材100の表面110から凹むリセスが形成され、当該リセス内に補修溶接により、溶接金属を構成する複数の層21〜26が形成される。当該リセスを画定する壁面120に沿って初層21が形成される。初層21は、690系溶着金属と、母材100の溶融部とを含んで構成されている。初層21においても、同様に、690系溶着金属と母材100との溶込みと希釈によりCr含有量が低下する
さらに、初層21に沿って、溶接金属の第2層22、第3層23が順次形成される。さらに、第3層23の上には、溶接金属の第4層24、第5層25、第6層26が順次形成される。このように複数の層21〜26を形成する補修溶接が施された後、初層21の外縁は、露出しており、空気や水と接することになる。なお、補修溶接において形成された初層21のうち外縁を構成するビードを、以下に「外縁部」と記して符号21eで示す。
ところで、原子炉容器1において管台5が溶接される溶接部7において、例えば上述した補修溶接が行われる場合、690系溶着金属すなわち溶加材が溶込む相手となる母材(以下、相手材と記す)には、以下の3つが想定される。当該相手材には、低合金鋼104に被覆されたクラッド106(図7参照)を構成するES309L、溶接部107を構成する溶着金属である132合金(図8参照)、およびステンレス鋼105を構成するSUS316Lが想定される。
なお、溶加材である690系溶接金属(すなわち耐SCC材で構成された溶接金属30及び溶接金属40)の化学成分を図10に示す。また、ステンレス鋼105を構成するSUS316Lの化学成分を図11(a)に示す。また、クラッド106を構成するES309Lの化学成分を図11(b)に示す。また、溶接部107を構成する132合金の化学成分を図12に示す。
これら相手材のうち、690系溶着金属を溶加材として溶接を施した場合に、当該溶接により形成された初層17,21の外縁部17e,21eのCrの含有量を最も低下させる相手材は、132合金である。132合金を母材とし、690系溶着金属を溶加材として、上述した水中レーザ溶接を、下記の関連技術の溶接条件で行った場合、母材上に形成された溶接金属の初層〜第5層のCrの濃度分布(Cr含有量)は、図13に示すような結果となった。
なお、溶接条件は、以下のように設定した。
・レーザ出力: 1.2kW
・溶接速度: 30cm/min
・溶加材送給速度(ワイヤ供給速度): 60cm/min
・溶加材(溶接ワイヤ)の直径: 0.6mm
なお、図13において横軸で示す距離[mm]は、溶接金属のうち最も外側、すなわち母材とは反対側を構成する表面(以下、外表面と記す)からの距離を示している。
図13に示すように、初層におけるCr含有量は、約20%まで低下しており、690系母材のCrの含有量の最低値である27%を下回っている。これにより、初層における耐SCC性能も、690系合金が本来有する性能から、溶接により低下しているものと考えられる。
そこで、本実施形態の溶接方法は、690系溶着金属を溶加材として、上述した肉盛溶接又は補修溶接を行って複数の層からなる溶接金属を構成した場合に、当該溶接金属を構成する初層の外縁部のCr含有量が低下することを抑制するよう、溶接条件を設定しており、以下に、本実施形態の溶接方法において設定される溶接条件と、当該溶接方法の適用例について、図14〜図16を用いて説明する。
図14は、本実施形態の溶接方法により形成された溶接金属と、その周辺構造を示す断面図である。図15は、本実施形態の溶接方法により形成された溶接金属内のCr含有量を示すグラフである。図16は、690系母材の化学成分を説明する説明図である。
図14に示すように、本実施形態の溶接方法においては、母材100Aに対して肉盛溶接が施される。母材100Aは、溶接部107が形成された溶接継手である。当該溶接継手は、溶接部107を介して、ステンレス鋼105と、クラッド106が被覆された低合金鋼104を結合させたものである。このように構成された母材100A上に、肉盛溶接により溶接金属30が形成される。溶接金属30のうち液体に接する表面を符号33で示す。溶接金属30は、複数の層から構成されており(図5参照)、その初層が、溶接部107の表面108を覆うように形成されている。なお、図14には、初層の外縁部を符号17eで示している。
本実施形態の肉盛溶接を施して初層を形成する際には、溶加材である690系溶着金属と、母材100A(相手材)の溶接部107との希釈を抑制するために、以下の溶接条件にして、肉盛溶接を施した。
・レーザ出力: 2.6kW
・溶接速度: 50cm/min
・溶加材送給速度(ワイヤ供給速度): 145cm/min
・溶加材(溶接ワイヤ)の直径: 1.1mm
この溶接条件は、図13に示す関連技術の溶接条件に比べて、レーザ出力、溶接速度、および溶加材送給速度を、高い値に設定し、且つ溶加材には、直径が太いものを用いている。相手材(母材)は、ステンレス鋼(SUS316L)105、溶接部(132合金)107、及びクラッド(ES309L)106である。本実施形態において、これらの材料(母材)は、クロムが15%以上、質量%で含有されている(図10、図11、図12参照)。
この溶接条件により形成された溶接金属内のCr含有量は、図15に示すように、初層においても27%以上となっている。なお、図15に横軸で示す「距離」は、溶接金属30の表面33からの距離である。27%以上というCr含有量は、図16に示すインコネル(登録商標)690系の母材(以下、690系母材と記す)の下限値とほぼ同等の値となっている。
以上に説明したように、本実施形態のレーザ溶接方法は、溶加材(690系溶着金属)及び母材100Aの一部をレーザ光により溶融させて、溶接金属を構成する複数の層を形成する。溶加材である690系溶着金属は、クロムが28.0〜31.5%、質量%で含有されているニッケル基合金である。溶加材は、直径が1.1mm以上となるよう構成された溶接ワイヤ12(図4参照)である。母材100Aは、クロムが15%以上、質量%で含有されている。
母材100A上に最初に形成されて母材100Aと接する層である初層を形成する際、当該初層のうち外縁部17eを構成するビードについては、レーザ出力2.6kW以下、溶接速度50cm/min以下、及び溶加材送給速度145cm/min以上を、溶接条件としてレーザ溶接を施す。
このような溶接条件により肉盛溶接を行うことにより、溶接金属30の初層のCr含有量が、母材との希釈により低下することを抑制できる。これにより、初層のうち液体と接する部分である外縁部17eにおいても、690系母材と同等の耐SCC性や耐腐食性を確保することができる。
なお、溶接金属30全体について、この溶接条件が適用される必要はない。溶接金属30の初層のうち、当該溶接金属を構成する複数の層が形成された後において、液体(水)と接することが可能となる部分、すなわち初層の外縁部17eについて、690系母材と同等の耐SCC性や耐腐食性を確保することができれば良い。溶接工程において、初層の外縁部17eを構成するビードについてのみ、本実施形態の溶接条件に設定してレーザ溶接を施すことができれば良い。
例えば、溶接金属30のうち、初層を構成するビードについては、本実施形態の溶接条件とし、第2層以降の層を構成するビードについては、関連技術の溶接条件を用いることもできる。なお、溶接金属30を構成する全ての層について本実施形態の溶接条件を用いるものとしても良い。
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態のレーザ溶接方法について、図6及び図17を用いて説明する。図17は、本実施形態の溶接方法により形成された溶接金属と、その周辺構造を示す断面図である。本実施形態のレーザ溶接方法は、当該溶接部のうち一部は、機械加工により予め除去されており、初層は、当該機械加工により形成されたリセスを画定する壁面を覆うように形成される点で、第1の実施形態と異なる。なお、第1の実施形態と略共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図17に示すように、本実施形態においては、上述した補修溶接が行われる。具体的には、レーザ溶接を施す前に、溶接部107の一部を機械加工により予め除去している。溶接部107のうち欠陥等を有する部分が、機械加工により削り取られている。このような機械加工(切削加工)により、母材100Bには、リセスが形成されている。なお、図17には、機械加工により形成されたリセスを画定する壁面を符号120で示している。
そして、当該壁面120を覆うように初層が形成される(図6参照)。初層のうち、溶接金属40を構成する複数の層が形成された後、液体と接することが可能となる部分は、外縁部21eである。なお、溶接金属40のうち液体と接する表面を符号44で示す。
レーザ溶接工程において、初層の外縁部21eを構成するビードについては、上述した溶接条件すなわち、レーザ出力2.6kW以下、溶接速度50cm/min以下、及び溶加材送給速度145cm/min以上を条件としてレーザ溶接が施される。初層が構成された後、その上に第2層以降の層が形成されて、溶接金属40が構成される。
初層を構成するビードについて、上述した溶接条件によりレーザ溶接を行うことにより、溶接金属40の初層のCr含有量が、母材との希釈により低下することを抑制できる。これにより、初層のうち液体と接する部分である外縁部21eにおいても、690系母材と同等の耐SCC性や耐腐食性を確保することができる。
〔第3の実施形態〕
第3の実施形態のレーザ溶接方法について、図5及び図18を用いて説明する。図18は、本実施形態の溶接方法により形成された溶接金属と、その周辺構造を示す断面図である。本実施形態のレーザ溶接方法は、母材(相手材)が、溶接継手ではなく、単一の部材である点で、第1の実施形態と異なる。なお、第1の実施形態と略共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図18に示すように、本実施形態において、母材(相手材)は、単一の部材100Cである。この部材100Cは、クロムが15%以上、質量%で含有されている。部材100Cの表面110上には、溶加材として690系溶着金属を用いて水中レーザ溶接(肉盛溶接)が施される。これにより、部材100Cの表面110上には、複数の層(図5参照)を有する溶接金属30Cが形成される。
溶接金属30Cを形成する工程において、溶接金属30Cの初層の外縁17eを構成するビードについては、上述した溶接条件すなわち、レーザ出力2.6kW以下、溶接速度50cm/min以下、及び溶加材送給速度145cm/min以上を条件としてレーザ溶接が施される。
この態様によっても、溶接金属30Cの初層のCr含有量が、母材との希釈により低下することを抑制できる。これにより、初層のうち液体と接する部分である外縁部17eにおいても、690系母材と同等の耐SCC性や耐腐食性を確保することができる。
〔第4の実施形態〕
第4の実施形態のレーザ溶接方法について、図6及び図19を用いて説明する。図19は、本実施形態の溶接方法により形成された溶接金属と、その周辺構造を示す断面図である。本実施形態のレーザ溶接方法は、母材(相手材)が、溶接継手ではなく、単一の部材である点で、第2の実施形態と異なる。なお、第2の実施形態と略共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図19に示すように、本実施形態において、母材(相手材)は、単一の部材100Dである。当該母材100Dは、クロムが15%以上、質量%で含有されている。
レーザ溶接を施す前に、母材100Dの一部を機械加工により予め除去している。具体的には、母材100Dのうち欠陥等を有する部分が、機械加工により削り取られている。このような機械加工(切削加工)により、母材100Dには、リセスが形成される。なお、図19には、機械加工により形成されたリセスを画定する壁面を符号122で示している。
そして、当該壁面122を覆うように初層が形成される(図6参照)。初層のうち、溶接金属40Dを構成する複数の層が形成された後、液体と接することが可能となる部分は、外縁部21eである。初層が構成された後、その上に第2層以降の層(図6参照)が形成されて、溶接金属40Dが構成される。
溶接金属40Dを形成する工程において、溶接金属40Dの初層の外縁部21eを構成するビードについては、上述した溶接条件すなわち、レーザ出力2.6kW以下、溶接速度50cm/min以下、及び溶加材送給速度145cm/min以上を条件としてレーザ溶接が施される。
この態様によっても、溶接金属40Dの初層のCr含有量が、母材との希釈により低下することを抑制できる。これにより、初層のうち液体と接する部分である外縁部21eにおいても、690系母材と同等の耐SCC性や耐腐食性を確保することができる。
〔他の実施形態〕
なお、本発明に係るレーザ溶接方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上述した実施形態においては、水中レーザ溶接が行われるものとしたが、本発明に係るレーザ溶接方法は、この態様に限定されるものではない。上述した肉盛溶接及び補修溶接は、大気中で行われるものとしても良い。レーザ溶接は、急熱急冷過程であり、水中での温度履歴と大気中での温度履歴は、ほぼ同等と考えられるため、大気中におけるレーザ溶接においても、上述した水中レーザ溶接と同じ溶接条件で、同様の効果が得られると考えられる。
本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態はその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 原子炉容器
3 胴
5 管台
7 溶接部
10 溶接ヘッド
11 内部空間
12 溶接ワイヤ(溶加材)
13 シールドカバー
14 水(液体)
15 溶接金属のビード
16 貫通孔
17 初層(肉盛溶接の初層)
17e 初層の外縁部(接液部)
21 初層(補修溶接の初層)
21e 初層の外縁部(接液部)
30,30C 溶接金属
33 表面
40,40D 溶接金属
44 表面
100,100A,100B,100C,100D 母材(相手材、部材)
104 低合金鋼
105 ステンレス鋼(SUS316L)
106 クラッド(ステンレス鋼、ES309L)
107 溶接部(132合金)
108 溶接部の表面
110 母材の表面
120,122 壁面(リセスを画定する壁面)

Claims (6)

  1. 母材の一部及び溶加材をレーザ光により溶融させて、溶接金属を構成する複数の層を形成する溶接方法であって、
    前記溶加材は、炭素が0.04%以下、ケイ素が0.50%以下、マンガンが1.0%以下、リンが0.02%以下、硫黄が0.015%以下、銅が0.30%以下、クロムが28.0〜31.5%、鉄が7.0〜11.0%、ニオブ及びタンタルが0.5〜1.0%、チタンが1.0%以下、モリブデンが0.50%以下、コバルトが0.12%以下、アルミニウムが1.10%以下、質量%で含有されているニッケル基合金であって、直径が1.1mm以上となるよう構成されており、
    前記母材は、クロムが15%以上、質量%で含有されており、
    前記複数の層のうち最初に形成されて母材と接する層である初層を形成する際、当該初層のうち外縁部を構成するビードについては、レーザ出力2.6kW以下、溶接速度50cm/min以下、及び溶加材送給速度145cm/min以上を、溶接条件としてレーザ溶接を施す
    ことを特徴とするレーザ溶接方法。
  2. 前記母材は、溶接部が形成された溶接継手であり、
    前記初層は、当該溶接部の表面を覆うように形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  3. 前記母材は、溶接部が形成された溶接継手であり、
    当該溶接部のうち一部は、機械加工により予め除去されており、
    前記初層は、当該機械加工により形成されたリセスを画定する壁面を覆うように形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  4. 前記溶接継手は、原子炉容器の胴と、当該胴から分岐して設けられた管台とを接続するものであり、
    前記溶接部は、当該管台と当該胴との間に形成されている
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のレーザ溶接方法。
  5. 前記初層の外縁部は、前記溶接金属を構成する複数の層が形成された後において、液体と接することが可能な部分である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のレーザ溶接方法。
  6. シールドガスを溶接雰囲気に供給しながら水中において行われる
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のレーザ溶接方法。
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