以下、本発明の実施形態を図1〜図11を用いて説明する。以下の説明では、画像読取装置100を含む複合機200(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(複合機200の概要)
まず、図1を用いて、実施形態に係る複合機200の概要を説明する。図1は、複合機200を示す図である。
図1に示すように、複合機200の上部には、画像読取装置100が設けられる。画像読取装置100は、原稿搬送部1と画像読取部2を含む(詳細は後述)。そして、本実施形態の複合機200は、前面に取り付けられた操作パネル3を有する。そして、又、複合機200は、内部に、印刷部4として、給紙部4a、搬送部4b、画像形成部4c、中間転写部4d、定着部4eを含む。
まず、操作パネル3は、複合機200の状態や各種メッセージや設定用画面を表示する表示部31を備える。また、表示部31に対し、各種操作を受け付けるためのタッチパネル部32やハードキー33が設けられる。操作パネル3は、送信方法、コビーやスキャンのようなジョブに関する設定や、ジョブの実行指示を受け付ける。
印刷部4は、画像読取装置100での原稿読み取りで得られた画像データなどに基づいて、印刷を行う。給紙部4aは、複数枚の用紙を収容し、印刷のとき用紙を送り出す。第1搬送部4bは、給紙部4aから供給された用紙を画像形成部4cまで搬送する。画像形成部4cは、印刷する画像データに基づき、各色のトナー像を形成する。中間転写部4dは、画像形成部4cで形成されたトナー像の1次転写を受け、用紙にトナー像を2次転写する。定着部4eは、トナー像が転写された用紙を加熱・加圧して、用紙にトナー像を定着させる。定着部4eを通過した用紙は、排出トレイに排出される。
(画像読取装置100の構成)
次に、図1〜図3を用いて、実施形態に係る画像読取装置100を説明する。図2は、画像読取装置100を示す図である。図3は、読取ユニット5を示す図である。
図1に示すように、複合機200は、上方に画像読取装置100を有する。画像読取装置100は、画像読取部2の上方に設けられ、画像読取部2に対し上下方向に開閉し、搬送読取用コンタクトガラス21に向けて原稿を搬送する原稿搬送部1と、搬送読取用コンタクトガラス21、又は、載置読取用コンタクトガラス22の上面に向け光を照射し、反射光に基づき原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部2と、を含む。
原稿搬送部1は、読み取りを行う原稿を1枚ずつ、自動的に連続して搬送読取用コンタクトガラス21に搬送する。原稿搬送部1は、原稿搬送方向上流側から順に、原稿トレイ11、原稿供給ローラー12、原稿搬送路13、複数の原稿搬送ローラー対14、原稿排出ローラー対15、原稿排出トレイ16を含む。又、原稿搬送部1は、図2の紙面奥側を支点として画像読取部2に上下方向に開閉自在に取り付けられ、画像読取部2の各コンタクトガラスを上方から押さえるカバーとして機能する。
尚、搬送読取用コンタクトガラス21の上面には、白基準板17が設けられる。白基準板17は、白基準を得るための真っ白な板状の部材である。白基準板17は、画像読取装置100の主走査方向(原稿搬送方向と垂直な方向、図2の紙面に対し垂直な方向)を長手方向とする。原稿は、搬送読取用コンタクトガラス21と白基準板17の間を通過しつつ搬送される。そして、原稿が搬送されていないときに読取を行うと、白基準板17を読み取ることになる。
原稿トレイ11には、読み取りを行う複数枚の原稿を載置することができる。そして、原稿供給ローラー12は、原稿トレイ11に載置された原稿のうち最上位の原稿に当接する。原稿読取を行う旨の入力が操作パネル3に入力されると、原稿供給ローラー12は、原稿搬送路13に原稿を1枚ずつ送り出す。
原稿トレイ11から送り出された原稿は、複数の原稿搬送ローラー対14やガイドに導かれ搬送される。そして、原稿は、画像読取部2の上面に設けられた搬送読取用コンタクトガラス21の上側を通過する。この通過の際、画像読取部2が読取を行う。そして、読み取られた原稿は、原稿排出ローラー対15から原稿排出トレイ16に排出される(原稿搬送経路を2点鎖線で図示)。尚、上記の各回転体(原稿供給ローラー12、原稿搬送ローラー対14、原稿排出ローラー対15)は原稿搬送モーター18(図5参照)を駆動源として回転する。
次に、本実施形態における画像読取部2を説明する。図1や図2に示すように、画像読取部2は箱形の筐体を有する。そして、画像読取部2の上面左側に、主走査方向(図2の紙面に垂直な方向)を長手方向とし、透明板状の搬送読取用コンタクトガラス21が配される。そして、画像読取部2の上面で搬送読取用コンタクトガラス21の右側に、透明板状の載置読取用コンタクトガラス22が配される。書籍等の原稿を1枚ずつ読み取るとき、使用者は、原稿搬送部1を持ち上げ、読取面を下向きにして、載置読取用コンタクトガラス22に原稿を載置する。
又、図2に示すように、画像読取部2の筐体内には、読取ユニット5、ワイヤー23、巻取ドラム24を含む。
ここで、図3を用いて、読取ユニット5の構成について説明する。本実施形態の読取ユニット5は、CIS方式の読取ユニット5である。
まず、読取ユニット5は、断面略U字状の筐体51(外部フレーム)を含む。筐体51は図3の紙面垂直方向を長手方向とし、函状である。筐体51の長手方向が読取ユニット5の主走査方向である。
筐体51の下面に、図3の紙面垂直方向(主走査方向)にのびるラインセンサー部6が設けられる。本実施形態の画像読取装置100は、カラー読み取りに対応している。そのため、ラインセンサー部6は、ラインセンサー60を含む。ラインセンサー60は、複数の受光素子61(光電変換素子)を主走査方向に沿って配列したものである(詳細は後述)。
ラインセンサー部6の上方には、ロッドレンズアレイ53が設けられる。そして、ロッドレンズアレイ53の側方に導光体54が設けられる。図3に破線で示すように、各導光体54に対し、筐体51の紙面垂直方向の手前側と奥側の何れか一方、又は、両方の端部に、光源部7が設けられる(図3では、手前側の光源部7は不可視)。カラー読み取りのため、光源部7は、複数色(複数個)の光源70を含む。例えば、光源70はLEDである。
導光体54は、光源部7が発する光を読取ユニット5の長手方向(主走査方向)に導く。又、図3に2点鎖線矢印で示すように、導光体54は、ロッドレンズアレイ53の上方(ガラス52の上方)に向けて光を放つ。導光体54は、読取ユニット5の長手方向(主走査方向)の各位置でほぼ均一な光量レベルとなるように光を放つ。
ロッドレンズアレイ53に含まれる各ロッドレンズは、原稿に照射された光を集光しつつラインセンサー部6に導く(図3において、集められた光の光路を矢印付の2点差線で示す)。この結果、ラインセンサー部6の各受光素子61に反射光の強度に応じた電荷が蓄えられ、各受光素子61(各画素)に蓄えられた電荷に基づき、画像データが生成される。
そして、図2に示すように、読取ユニット5は、ワイヤー23で巻取ドラム24に接続される。巻取ドラム24は、正逆回転する巻取モーター25(図5参照)により回転させられる。これにより、読取ユニット5を水平方向(複合機200の左右方向)に自在に移動させることができる。載置読取用コンタクトガラス22上の原稿を読み取る時、巻取ドラム24の回転駆動により読取ユニット5を水平方向に移動させて読み取りが行われる。又、原稿搬送部1により搬送される原稿を読み取る時、読取ユニット5は、搬送読取用コンタクトガラス21の下方で固定される。
(複合機200のハードウェア構成)
次に、図4に基づき、実施形態に係る複合機200のハードウェア構成を説明する。図4は、複合機200のハードウェア構成を示す図である。
まず、複合機200には、複合機200の全体の制御を司る主制御部201が設けられる。主制御部201には、中央演算処理装置として、CPU202が設けられる。又、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)やHDD(Hard disk drive)やフラッシュROM等の不揮発性と揮発性のメモリーからなる記憶装置203が、主制御部201に対し設けられる。
記憶装置203は、複合機200を制御するためのプログラム、データ等を記憶する。主制御部201は、記憶装置203のプログラムやデータを利用し、各部を制御し、スキャンや印刷や送信や画像データの記憶のような各種ジョブを行わせる。又、主制御部201には、画像読取装置100から出力される画像データに基づき、印刷や送信のために画像処理を行う画像データ処理部204が設けられる。
そして、主制御部201はエンジン制御部40と通信可能に接続される。エンジン制御部40は、印刷部4の動作を、主制御部201の指示に基づき制御する。また、主制御部201は、操作パネル3と接続される。主制御部201は、操作パネル3でなされた設定やジョブの実行指示を認識する。主制御部201は、操作パネル3でなされた設定に応じた動作を画像読取装置100や印刷部4に行わせる。例えば、コピーやスキャン実行時等、主制御部201は画像読取装置100に対して原稿の読み取り指示を与え、原稿の画像データを画像読取装置100から出力させる。
又、複合機200は、外部との通信インターフェイスとしての通信部205を含む。通信部205は、コンピューター300(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー)やFAX装置400と、ネットワークやケーブルや公衆回線を介して通信可能に接続される。通信部は、画像読取装置100での原稿読み取りに基づく画像データをコンピューター300やFAX装置400に送信することができる(スキャン、送信機能)。
(画像読取装置100のハードウェア構成)
次に、図5に基づき、実施形態に係る画像読取装置100のハードウェア構成を説明する。図5は、画像読取装置100を示す図である。
まず、原稿搬送部1から説明する。原稿搬送部1は、コピージョブや送信ジョブのために原稿の読み取りを行うとき、原稿トレイ11に載置された原稿を搬送読取用コンタクトガラス21に向けて、1枚ずつ連続的、自動的に搬送する。原稿搬送部1は、ADF(Auto Document Feeder)と呼ばれることもある。
そして、原稿搬送部1には、原稿搬送部1の動作の制御を行う原稿搬送制御部10が設けられる。原稿搬送制御部10は、主制御部201や読取制御部20と通信可能に接続される。例えば、原稿搬送制御部10は、中央演算処理装置としてのCPUや、制御用のプログラムやデータを記憶するROM、RAMを含む基板である。原稿搬送制御部10は、主制御部201や読取制御部20からの原稿搬送開始の指示を受け、原稿搬送部1の動作制御を行う。
原稿搬送部1には、原稿トレイ11に用紙が存在する否かを検知するための原稿検知センサー19が設けられる。原稿搬送制御部10は、主制御部201から原稿の読取指示があった場合、原稿検知センサー19の出力を確認し、原稿トレイ11に用紙が存在する否かを検知する。原稿トレイ11に原稿が存在していると、原稿搬送制御部10は、原稿搬送モーター18を駆動させ、原稿供給ローラー12や原稿搬送ローラー対14を回転させ、原稿を読み取り位置に向けて搬送する。
次に、画像読取部2を説明する。まず、画像読取部2には、画像読取部2の動作の制御を行う読取制御部20が設けられる。読取制御部20は、主制御部201からの指示、信号を受け、原稿の読み取りを行う。読取制御部20は、処理装置としてのCPUや集積回路などを含む基板である。
また、読取制御部20には、各光源70(光源部7)の点消灯を制御する点灯制御回路20aや、ラインセンサー部6の各画素に蓄積された電荷を転送する転送部9の動作を制御する転送制御部20bや、原稿の読み取りに用いる同期信号S1を生成し、ラインセンサー部6や点灯制御回路20aや後述する転送制御部20bに同期信号S1を供給する同期信号生成部20cが含まれる。
そして、読取制御部20は、記憶部26と通信可能に接続される。記憶部26は、画像読取装置100の制御に必要なプログラム、データを記憶するROM、RAMを含む。読取制御部20は、記憶部26のプログラムやデータに基づき、画像読取部2に含まれる各部の動作を制御する。
そして、操作パネル3が操作され、コピージョブや送信ジョブのために、原稿の読み取りを行うとき(スキャンを開始するとき)、主制御部201は、読取制御部20に原稿読み取り指示を与える。読取制御部20は、この指示を受け、画像読取部2内の各部材の動作制御や、読取で得られた画像データの主制御部201への送信制御を行う。
読取制御部20は、巻取モーター25と接続される。これにより、巻取モーター25の回転を制御して、巻取ドラム24を回転させ、読取ユニット5を水平方向に移動させる。例えば、巻取モーター25は、パルスモーターである。そして、読取制御部20は、各読取ユニット5を移動させる分だけのパルスを巻取モーター25に入力する。巻取モーター25は、入力されたパルスに応じて回転し、読み取りに必要なように、読取ユニット5を移動させる。言い換えると、読取制御部20は、巻取モーター25の回転を制御して、副走査方向での各読取ユニット5の移動を制御する。
読取制御部20は、操作パネル3で設定された倍率に応じて、読取ユニット5を移動させる。例えば、載置読取用コンタクトガラス22上の原稿を等倍で読み取るとき、読取制御部20は、予め定められた1ラインの読み取り時間の間に、1ラインあたりの幅(例えば、600dpiならば42.3μm)で読取ユニット5が移動するように巻取モーター25を回転させる。
又、読取制御部20は、読取ユニット5と通信可能に接続され、読取ユニット5に含まれる部材の動作を制御する(詳細は後述)。また、読取制御部20は、A/D変換部81や補正処理部82を含む画像処理部8と接続され、主制御部201からの指示に応じ、原稿の読み取りで得られた信号やデータの処理を行わせる。
又、読取制御部20は、ホームポジションセンサー27と接続される。ホームポジションセンサー27は読取ユニット5がホームポジションに到達したことを検知するセンサーである。読取制御部20は、巻取モーター25を制御し、ジョブが完了すると読取ユニット5をホームポジションに戻す。ホームポジションは、任意に定めることができるが、例えば、載置読取用コンタクトガラス22と搬送読取用コンタクトガラス21の間の下方とされる。
又、例えば、ホームポジションからどれだけ移動させた範囲が、搬送読取用コンタクトガラス21の上を通過する原稿の読み取り位置であるか(ラインセンサー60の読取ライン8が搬送読取用コンタクトガラス21上に位置する範囲)を示す情報が、記憶部2616に記憶される。搬送読取用コンタクトガラス21を通過する原稿を読み取るとき、読取制御部20は、記憶部26のデータを読み出して、読取ユニット5を搬送読取用コンタクトガラス21の下方で移動させ、読み取り中、固定する。一方、読取制御部20は、載置読取用コンタクトガラス22に載置された原稿の読み取りを行うとき、巻取モーター25を動作させ、ホームポジションから読取ユニット5を載置読取用コンタクトガラス22の左端から右方向に向けて移動させる。
又、A/D変換部81は、読取ユニット5(ラインセンサー部6)から出力される各画素(各受光素子61)のアナログ出力を受けて、量子化を行ってディジタル信号に変換する。その結果、画像データが生成される。これにより、濃度を示す画素値が各画素に付される。例えば、A/D変換部81は、R、G、B、Bkについて、それぞれ8〜10ビットに量子化を行う。
補正処理部82は、A/D変換部81が出力した画像データを受け、画像処理を施す。尚、本実施形態では、補正処理部82を画像読取部2に、画像データ処理部204を主制御部201に設ける例を説明する。しかし、画像の処理を行う部分を本体側に一つだけ設け、1つだけ設けた画像の処理を行う部分(回路)に、本説明での画像処理部8の処理と、画像データ処理部204の処理を行わせるようにしてもよい。
補正処理部82は、画像データの処理のための作業領域であるワークメモリや画像処理用の回路を含む。補正処理部82は画像データに対し、ガンマ補正のような光源70やラインセンサー60の特性に由来する歪みを補正する。また、補正処理部82には、シェーディング補正部83が設けられる。シェーディング補正部83は、画像データに対し、シェーディング補正を行う。尚、シェーディング補正の詳細は後述する。
そして、補正処理部82によって処理された画像データは、画像メモリー28に蓄えられる。そして、画像データは、画像メモリー28から本体の記憶装置203(例えば、RAM)や主制御部201に転送される。更に、印刷を行うとき、画像データ処理部204は、設定にあわせた画像処理後の画像データを画像形成部4cに送信する。画像形成部4cは、画像データに基づく印刷(トナー像形成)を行う。また、送信ジョブを行うとき、画像データ処理部204は、設定にあわせた画像処理後の画像データを通信部205から、コンピューター300などに送信させる。
(転送部9とラインセンサー部6)
次に、図6、図7を用いて、本実施形態の読取ユニット5に含まれるラインセンサー部6と転送部9を説明する。図6は、読取ユニット5での読み取りを説明するための図である。図7は、ラインセンサー部6の構成を示す説明図である。
図6に示すように、本実施形態の読取ユニット5は、ラインセンサー部6、転送制御部20b、転送部9を含む。ラインセンサー部6は、複数の受光素子が配列されたラインセンサー60を含む。本実施形態の読取ユニット5では、光源部7は、カラー光源なので、ラインセンサー60は、1本(1ライン)である。転送制御部20bは、ラインセンサー部6の各画素に蓄積された電荷を転送する転送部9の動作を制御する。
ここで、図7を用いて、ラインセンサー60の説明をしておく。図7に示すように、ラインセンサー60は、主走査方向(複合機200の前後方向、原稿搬送方向と垂直な方向)を長手方向とする。ラインセンサー60は、それぞれ、列状に並べられた複数の受光素子61(光電変換素子、画素)を含む。各受光素子61は、撮像面(受光面)に当たった光の強さに応じて電荷を発生させ、電荷を蓄積する。
そして、モノクロ(白黒モード)で読み取りを行うとき、1色又は複数色分のランプを点灯させつつ、ラインセンサー60を用いて原稿の読み取りがなされる。言い換えると、白黒での読み取りを行うとき、ラインセンサー60の出力に基づき画像データが生成される。
モノクロ読み取りのとき、同期信号生成部20cは、1ラインの周期を示す信号(1ラインの周期で変化する周波数の信号)を同期信号S1として生成し、ラインセンサー60や、転送制御部20bに入力する。
一方、カラー(カラーモード)での読み取りを行うときも、1ライン中に1回は各色のランプが点灯するようにしつつ、ラインセンサー60を用いて原稿の読み取りがなされる。そして、カラーでの読み取りを行うときラインセンサー60の出力に基づき、R、G、Bの画像データが生成される。尚、画像処理部8や画像データ処理部204では、R、G、Bの画像データから輝度情報(白黒を示す情報)を生成できるので、モノクロ読み取りでも、1ライン中に1回は各色のランプが点灯するようにして(1ライン中に3色の読み取りを行うようにして)、ラインセンサー60を用いて読み取りを行うようにしてもよい。
また、カラー読み取りのとき、同期信号生成部20cは、1ラインのうち、1色分の周期(1色分に割り当てられた時間)を示す信号(1色分の読み取り周期で変化する信号)を同期信号S1として生成し、ラインセンサー60や、転送制御部20bや点灯制御回路20aに入力する。
そして、ラインセンサー60に対して転送部9が設けられる。転送部9は、垂直転送部91と水平転送部92を含む。
各受光素子61から、垂直転送部91に、各受光素子61に蓄えられた電荷が一斉に転送される。言い換えると、垂直転送部91は、各受光素子61から電荷を受ける。そして、垂直転送部91は、水平転送部92に各画素の電荷を移送する。転送制御部20bは、電荷の転送を制御する。転送制御部20bは、垂直転送部91に向けて転送用のクロック信号CL1を供給する。垂直転送部91は、転送制御部20bからのクロック信号CL1にあわせて、水平転送部92に各画素の電荷を転送する。
そして、水平転送部92は、各受光素子61(各画素)から出力された電荷を、1画素分ずつ順番に差動増幅回路55に出力する。尚、本実施形態の転送部9(垂直転送部91、水平転送部92)は、各受光素子61に蓄えられた電荷(アナログ信号)の他、ノイズ対策のため、各受光素子61のグランドレベル(例えば、電荷吐き出し後の各受光素子61の出力レベル、基準レベル)を示す信号もあわせて転送する。
又、読取ユニット5は、差動増幅回路55を含む。差動増幅回路55は、水平転送部92から順次出力される各画素(各受光素子61)に蓄えられた電荷(アナログ信号)と、基準レベルの差を増幅する。差動増幅回路55の利得は、適宜設定できるが、振幅を大きくする必要が無ければ、利得は「1」に設定される。
そして、差動増幅回路55からの各画素の増幅後(電流−電圧変換後)のアナログ出力電圧が画像処理部8のA/D変換部81に入力される。A/D変換部81は、各画素のアナログ出力電圧を、アナログ出力電圧の大きさに応じた値にA/D変換する(8〜10ビット程度にA/D変換)。これにより、画像データが生成される。
(光源70の点消灯制御)
次に、図8を用いて、光源70の点消灯制御を説明する。図8は、読取ユニット5の各光源70の点消灯を説明するための図である。
図8に示すように、読取ユニット5の光源部7は、複数色の光源70を含む。本実施形態の画像読取装置100では、光源70として、LEDが設けられる。光源70は、青色光源70B(本実施形態では青色LED)、緑色光源70G(本実施形態では緑色LED)、赤色光源70R(本実施形態では赤色LED)を含む。
光源駆動回路56に対し、各光源70は並列に接続される。光源駆動回路56は、読取ユニット5内に設けられる。光源駆動回路56には、共通電源部57(電源端子57a)から電力が供給される。光源駆動回路56は、スイッチ回路56aを含む。スイッチ回路56aは、点灯させる色の光源70が発光するように電流を流し、点灯しない色の光源70(消灯させる光源70)については、発光しないようする(導通させない、あるいは、発光しない程度に電流を流す)。
光源駆動回路56に対し、読取制御部20の点灯制御回路20aが接続される。点灯制御回路20aは、発光させる光源70に対応する点灯制御信号S2の信号線のレベルをHighとする(信号線は、BとGとRの3本)。そして、光源駆動回路56は、点灯制御回路20aからの信号がHighレベルとなった色の光源70を点灯させる。また、読み取りのとき、点灯制御回路20aは、予め定められた順番で、1ラインの読み取り中、順番に各色の光源70を点灯させる(点灯させる光源70を順番に切り替える)。例えば、カラー読み取りで、青での読み取りの順番のとき、点灯制御回路20aは、青色光源70Bに対応する点灯制御信号S2の信号線のレベルをHighとする。光源駆動回路56は、この点灯制御信号S2に基づき、青色光源70B(青色LED)を点灯させる。
また、点灯制御回路20aには、同期信号生成部20cが生成する同期信号S1が入力される(図5参照)。点灯制御回路20aは、同期信号S1が変化してから予め定められた時間(垂直転送に要する時間)が経過すると、次に点灯させる順番の色に対応する点灯制御信号S2をHighレベルとし、光源駆動回路56に光源70の点灯を開始させる。そして、点灯制御回路20aは、点灯開始から(点灯制御信号S2をHighレベルとしてから)各色に対し、それぞれ、1ラインの読み取り中、予め定められた点灯時間(点灯時間幅)が経過すると、点灯制御信号S2をLowレベルとし、光源駆動回路56に光源70を消灯させる。尚、光源70の点灯時間幅の詳細は、後述する。
(読取ユニット5での電力供給)
次に、図8を用いて、読取ユニット5での光源部7、ラインセンサー部6、垂直転送部91、水平転送部92への電力供給を説明する。
本実施形態の画像読取装置100、又は、複合機200の内部に、電源装置が設けられる。電源装置は、商用電源に接続され、整流や降圧などを行う。電源装置は、モーター回転用の電圧(例えば、DC24V)や、読取ユニット5のような回路、素子に供給する電圧(例えば、DC12VやDC5V)を生成する。
電源装置で生成された電圧は、読取ユニット5に供給される。例えば、読取ユニット5に設けられたコネクタに、電源コードを含む信号線の束を接続することで、読取ユニット5に電力が供給される。
そして、読取ユニット5の共通電源部57(共通の電源端子57a)には、光源部7(光源駆動回路56や各光源70)と、各色の水平転送部92と、各色の垂直転送部91と、ラインセンサー部6(ラインセンサー60)が並列に接続される。言い換えると、読取ユニット5の共通電源部57(電源端子57a)から、光源部7(光源駆動回路56)と、水平転送部92と、垂直転送部91と、ラインセンサー60に対して電力が供給される。つまり、電源部57は、光源部7、水平転送部92、垂直転送部91、及びラインセンサー部6の共通電源部(これらの部材が共同で用いる電源端子57a)として機能する。
(読み取り時の光源70の点灯と電荷の転送)
次に、図9を用いて、原稿を読み取るときの各光源70の点灯と電荷の転送を説明する。図9は、カラーで原稿を読み取るときの光源70の点灯と電荷の転送及び共通電源部57の電源電圧の推移を示すタイミングチャートである。
図9のタイミングチャートのうち、最上段のチャートは、同期信号生成部20cが生成する同期信号S1を示す。図9に示すように、同期信号S1が立ち下がってから、3回立ち下がるまでの区間が、1ラインの読み取り時間(1ラインの読み取りに割り当てられた時間)に相当する。
また、図9のタイミングチャートのうち、上から2段目のチャートは青色光源70Bの点消灯を示し、Highが点灯状態、Lowが消灯状態を示す。また、上から3段目のチャートは緑色光源70Gの点消灯を示し、Highが点灯状態、Lowが消灯状態を示す。また、上から4段目のチャートは赤色光源70Rの点消灯を示し、Highが点灯状態、Lowが消灯状態を示す。
図9に示すように、本実施形態の画像読取装置100のカラー読み取りでは、1ラインの読み取りの間、青→緑→赤の順で光源70(LED)が点灯する。読み取りは、連続して行われるので、青→緑→赤の順で点灯して、現在のラインの読み取りが完了すると、次のラインでは、再び、青→緑→赤の順での点灯が行われる。この光源70の順次点灯が先頭ラインから最終ラインの読み取りまで繰り返される。1ラインの読み取りの間、点灯制御回路20aは、同期信号S1が立ち下がってから次に同期信号S1が立ち下がるまでの間で、何れかの色の光源70が点灯される。言い換えると、同期信号S1の1周期内で、点灯させる光源70の色での読み取りを行い、ラインセンサー60の各受光素子61に電荷を蓄積させる。
本実施形態の画像読取装置100では、同期信号S1が立ち下がった後に、直前に点灯させていた光源の色について蓄えられた電荷のラインセンサー60からの読み出しと転送(垂直転送)が行われる。言い換えると、垂直転送部91は、同期信号S1が立ち下がると、直前に点灯させていた光源の色について蓄えられた電荷の垂直転送を行う。
そのため、図5、図6に示すように、同期信号生成部20cが生成する同期信号S1は、転送制御部20bに入力される。そして、カラー読み取りでは、転送制御部20bは、同期信号S1の立ち下がりに基づき、垂直転送部91を動作させ、直前に点灯していた光源70の色について蓄えられた電荷を垂直転送させる。
図9では、赤色で読み取ったときの(赤色光源70Rを点灯させたときに蓄えられた)電荷の垂直転送時間を時間T1で示す。また、図9では、青色で読み取ったときの(青色光源70Bを点灯させたときに蓄えられた)電荷の垂直転送時間を時間T2で示す。また、図9では、緑色で読み取ったときの(緑色光源70Gを点灯させたときに蓄えられた)電荷の垂直転送時間を時間T3で示す。ラインセンサー60の画素数(受光素子61の数)は同じであり、読み出しクロックの周波数は、各色で同じでよいので、時間T1〜T3の時間の長さ(時間幅)は同じである。
そして、カラー読み取りでは、垂直転送部91による電荷の垂直転送が完了すると、点灯制御回路20a(光源駆動回路56)は、その同期信号S1の周期(区間)で点灯させるべき色の光源70を点灯させる。垂直転送に要する時間は、予め定められているので、点灯制御回路20aは、同期信号S1の立ち下がりから、垂直転送に要する時間が経過すると、点灯させる順番の色の光源70の点灯を開始させる。具体的には、点灯制御回路20aは、垂直転送に要する時間の経過にともない、点灯させる順番の色の光源70の点灯制御信号S2をHighとする。
ここで、同期信号S1の1周期中での各色の光源70の点灯時間幅は、予め定められる。光源70の点灯時間幅は、同期信号S1の1周期中(立ち下がりから立ち下がりまでの時間)から垂直転送部91による電荷転送に要する時間(時間T1〜T3)を引いた時間よりも短い。そして、光源70の点灯時間幅は、白基準板17を読み取ったとき、ラインセンサー60の有る画素の画素値、やアナログ出力値、又は、ラインセンサー60内の複数の画素の画素値の平均値やアナログ出力値の平均値が予め定められた目標値となるように定められる。尚、点灯時間幅を上限に設定しても白基準板17を読み取ったときの画素値が目標値とならないとき、目標値に対応する画素値やアナログ出力値となるように、差動増幅回路55のゲインが調整される。尚、点灯時間幅の上限についての詳細は後述する。
このように、ラインセンサー60の感度や光源70の光量などを考慮して各色の光源70の点灯時間幅が定められる。図9の例では、カラーの1ラインの読み取りにおいて、青色光源70Bの点灯時間幅が最も長く、次いで、赤色光源70Rの点灯時間幅が長く、緑色光源70Gの点灯時間幅が最も短い。このように、各色の光源70の点灯時間幅は同じではない。
(電源電圧の不安定)
次に、図10を用いて、共通電源部(電源端子57a)から光源部7や転送部9に電力を供給したときの電源電圧の不安定化を説明する。図10は、従来例で、共通電源部(電源端子57a)から光源部7や転送部9に電力を供給したときの電源電圧の推移を示すタイミングチャートである。
共通電源部57(電源端子57a)から光源部7や転送部9に電力を供給すると、電流の供給能力などの問題で、光源70が点灯したとき、共通電源部57の電源電圧が降下するときがある。そして、光源70を消灯すると、共通電源部57の電源電圧は回復する。
光源70の消灯後、直前に点灯させていた(消灯した)光源70の色の電荷の垂直転送がラインセンサー60で行われる。そして、光源70の点灯時間幅は、各色により異なる。そのため、点灯時間幅が長い光源70を点灯した後では、電源電圧のレベルが回復しきる前に垂直転送が開始されることがある。言い換えると、図10に示すように、同期信号S1の周波数(周期)や波形が一定であると、点灯時間幅が長い光源70を点灯した後では、電源電圧のレベルが予め定められたレベルに回復する前から、垂直転送部91が垂直転送を開始することがあった。
図10では、青色光源70Bの点灯時間幅が長いために電源電圧が回復しきる前に青色光源70Bを点灯させたときに蓄えられた電荷の垂直転送が開始される例を示している。このため、図10の例では、緑色光源70Gを点灯させたときに蓄えられた電荷や赤色光源70Rを点灯させたときに蓄えられた電荷の垂直転送を行うときと、青色光源70Bを点灯させたときに蓄えられた電荷の垂直転送を行うときとでは、電源電圧の大きさが異なっている。
そして、垂直転送開始時及び垂直転送中に、垂直転送部91に印加される電圧に違いがあると、カラーで読み取られた画像データの画質が低下することがある。この場合、読み取りで得られた画像データの階調が不自然となったり、原稿に無い色が画像データに現れたりする。
画質低下の理由は様々であるが、電源電圧のレベルが異なると、垂直転送部91が転送する基準レベルのアナログ出力値に影響がでる(電源電圧の大きさによって基準レベルの大きさが変化する)ことや、電荷の転送特性(転送効率)が変わることがある。そのため、電源電圧のレベルが異なると、受光素子61に同量の電荷が蓄えられていても、差動増幅回路55から出力されるアナログ出力値やA/D変換後の画素値が異なってしまう場合がある。また、電源電圧のレベルが異なると、白基準板17を読み取って得られる各画素の画素値が変化することがある。そのため、電荷の垂直転送を行うときには、色を問わず、垂直転送部91に印加する電圧を等しくすることが望ましい。
しかし、従来では、各色の光源70の点灯時間幅に差があるため、垂直転送開始時や垂直転送中に垂直転送部91に印加する電圧のレベル(大きさ)を、全色で同じようなレベルにあわせることができなかった。このため、共通電源部57(電源端子57a)から光源部7や転送部9に電力を供給すると画質の低下が生ずるという問題があった。
(電荷転送時の電源電圧の一定化)
次に、図9を用いて共通電源部57(電源端子57a)から光源部7や転送部9に電力を供給するときの電荷転送時の電源電圧の一定化を説明する。
まず、本実施形態の画像読取装置100では、垂直転送部91は、光源70の消灯後、電源電圧が予め定められたレベルに回復すると、電荷が蓄えられている各受光素子61(直前に消灯した光源70の色の電荷)の垂直転送を開始する。
具体的に、図9に示すように、3色の光源70のうち、最も点灯時間幅の長い光源70(図9の例では青色光源70B)の点灯の後、電源電圧が予め定められたレベルに回復すると、青色光源70Bを点灯させたときに蓄えられた電荷を読み出すため、垂直転送部91が垂直転送を開始する(図9の時点t1)。尚、予め定められたレベル(大きさ)は、適宜定めることができる。本実施形態の画像読取装置100では、予め定められたレベルは、共通電源部57の定格の電圧とされる。
図9に示す例では、垂直転送の開始を遅らせることを垂直転送部91や光源部7に伝達するため、同期信号S1の立ち下がりまでの時間を通常の同期信号S1よりも遅らせている。言い換えると、図9の例では、予め定められたレベルまで電源電圧が回復してから垂直転送を行うために、同期信号生成部20cは、垂直転送の開始時点で立ち下がるような同期信号S1を生成する。そして、転送制御部20bは、同期信号S1の立ち下がり(変化)を受けて、転送クロックを発し、垂直転送部91に垂直転送を開始させる。また、点灯制御回路20aは、同期信号S1の立ち下がりから垂直転送に要する時間が経過した後、緑色光源70Gの点灯を開始させる。
光源70の点灯時間幅は予め決まっており、同期信号S1の周期的な立ち上がり時点から、共通電源部57の電源電圧が予め定められたレベルに回復するまでの時間を予め測定しておくことができる。そこで、同期信号S1の立ち上がりや、先の同期信号S1の立ち下がりのような予め定められた起点から、各色の垂直転送部91の垂直転送開始までの時間や、各光源70の点灯開始までの時間を予め決めておき、記憶部26に記憶させておく。そして、記憶部26に記憶されたデータに基づき、同期信号生成部20cは、同期信号S1の立ち上げや、先の同期信号S1の立ち下がりを起算点として時間を計測し、同期信号S1を立ち下げるべき時間に到達すると(電源電圧のレベルの回復により垂直転送を開始できる時間に到達すると)、同期信号S1を立ち下げる。
このように、本実施形態の画像読取装置100では、同期信号生成部20cは、原稿読み取りに関し、垂直転送の開始タイミングを図るため、一定の周期で立ち上がる同期信号S1を生成し、出力する。そして、垂直転送部91は、同期信号S1の所定の変化(立ち下がり)にあわせ、ラインセンサー60の各受光素子61の電荷の垂直転送を開始する。また、同期信号生成部20cは、各色の光源70の点灯時間幅にあわせ、共通電源部57(電源端子57a)の電圧が予め定められたレベルに回復する時点に、立ち下がりの時点を移動させる。
また、立ち下げまでの時間を長短させるのではなく、同期信号生成部20cは、電源電圧の回復のために待つか否かを問わず、周期的な一定の波形の同期信号S1を生成するようにしてもよい。この場合、同期信号S1の立ち上がりや立ち下がりから、電源電圧の回復により各色の垂直転送部91が垂直転送を開始する時点や、各色の光源70の点灯を開始する時点を予め記憶部26に記憶させておく。そして、転送制御部20bは、垂直転送を開始する色について、記憶部26のデータに基づき、以前の同期信号S1の立ち上がりや立ち下がりから、予め定められた待ち時間待った後(待ち時間ゼロの場合は、同期信号S1の変化にあわせて)、垂直転送部91に垂直転送を開始させる。また、点灯制御回路20aは、記憶部26のデータに基づき、同期信号S1の立ち上がりや立ち下がりから、予め定められた光源70点灯開始までの時間を待った後(垂直転送に要する時間待った後)、次に点灯させる色の光源70を点灯させるようにしてもよい。
垂直転送の開始を電源電圧が予め定められたレベルまで回復するまで待つので、垂直転送の開始から次の同期信号S1の立ち上がりまでの時間は、電源電圧の回復を待たない場合に比べて、短くなる。そのため、電源電圧が予め定められたレベルに回復するまで待ってから、垂直転送を開始すると、待たない場合に比べ、次の色の光源70を点灯可能な時間は短くなる(点灯可能な点灯時間幅は、狭くなる)。一方で、光源70は、次の同期信号S1が立ち上がるまでの間に予め定められた点灯時間幅での点灯と消灯を終えなくてはならない。
そこで、本実施形態の画像読取装置100では、カラーの読み取りで、1ラインの読み取り中に光源70を点灯させる順番が工夫される。具体的に、本実施形態の画像読取装置100では、光源70の点灯順は、最も点灯時間幅が長い(広い)色の次に、最も点灯時間幅が短い(狭い)色とされ、3色目(最後)が、2番目に点灯時間幅が長い(短いともいえる)色とされる。
具体的に、図9の例では、カラーの読み取りで、1ラインの読み取り中、最初に最も点灯時間幅が長い青色光源70Bが点灯され、次に、最も点灯時間幅が短い緑色光源70Gが点灯し、最後に、2番目に点灯時間幅が長い(短い)赤色光源70Rが点灯する。このように、カラーの読み取りでの、1ラインの読み取り中の光源70の点灯順は、各色の光源70の点灯時間幅に長さに応じ、長さで1番目→3番目→2番目の順となるように定めればよい。
従来であれば、共通電源部57(電源端子57a)から、転送部9や光源部7に電力を供給すると、各色の光源70の点灯時間幅が異なることに起因して、垂直転送時の垂直転送部91に印加される電圧が色ごとに異なる場合があった。そして、垂直転送時の垂直転送部91に印加する電圧の差によって、基準レベルの変動に基づく差動増幅後の出力への影響や、転送特性の変化によって、画質の低下が生ずる場合があった。例えば、白色の無彩色を読み取ったとき、同一画素でのR、G、Bの各画素値は、ほぼ同じ色となるはずであるが、電源電圧の差によって、ずれる場合があった。また、原稿とは異なる階調となる場合があった。
一方で、本実施形態の画像読取装置100では、光源70の点灯時間幅によらず、垂直転送開始時や垂直転送中に垂直転送部91に印加される電圧は、ほぼ一定となる。言い換えると、ラインセンサー60から電荷を読み出して垂直転送を行うとき、どの色でも、各垂直転送部91に印加される電圧の大きさはほぼ同じとなる。従って、共通電源部57(電源端子57a)から光源部7や転送部9に電力を供給しても、得られる画像データでの画質の低下を抑えることができる。
(線型性が保たれる範囲での点灯)
次に、図11を用いて、点灯時間幅の設定について説明する。図11は、点灯時間幅とラインセンサー60からのアナログ出力の関係を示すグラフである。
図11について説明する。図11のグラフの横軸は、光源70の点灯時間幅を示し、縦軸は、ラインセンサー60のある画素の増幅後のアナログ出力電圧値(読取ユニット5からのある画素の出力値)、又は、ラインセンサー60に含まれる複数画素の増幅後のアナログ出力値の平均値(読取ユニット5からの出力の平均値)を示す(以下、「参照出力値」と称する)。
本実施形態のラインセンサー60の各画素は、受光量に応じた電荷を蓄える。言い換えると、受光時間が長いほど、ラインセンサー60の各画素(各受光素子61)の出力に基づいた読取ユニット5からのアナログ出力値(差動増幅後のアナログ出力電圧)は、大きくなる。このように、光源70の点灯時間幅に対する参照出力値には、比例関係が認められる(線形性)。
例えば、図11において、点灯時間幅bに対する参照出力値Bの比と、点灯時間幅cに対する参照出力値Cの比は、(ほぼ)同じである。
しかし、図11に示すように、点灯時間が長くなると(点灯時間幅が広くなると)、蓄積された電荷の飽和や、光の電荷への変換効率の変化などに起因し、線型性が破綻する。光源70の点灯時間幅を線形性が破綻している範囲とすると、線型性が失われることによって、画素値に異常(原稿と大きく異なる濃度)が生ずる場合がある。図11の例で言えば、点灯時間幅dに対する参照出力値Dの比(傾き)は、点灯時間幅b、cのときよりも明らかに大きい。
そこで、本実施形態の画像読取装置100では、各光源70の点灯時間幅は、点灯時間幅に対する参照出力値の比が線型性を保つ範囲(傾きがほぼ同じの範囲)に収まるように設定される。また、点灯時間幅の上限は、線型性が保たれる範囲のうち、最も長い点灯時間幅までとされる。
具体的に、点灯時間幅の上限は、以下の(式1)と(式2)に基づき、予め定められ、各色の光源70の点灯時間幅は、(式1)と(式2)に基づき、線型性が保たれる範囲で設定される。言い換えると、(式2)を満たす
(式1)L=((E−A)/e)/((F−A)/f)
(式2) −L1 ≦ L ≦ +L2
但し、L:線型性を示す値。
A:光源70消灯時の参照出力値。
e:ある長さ(任意の)の点灯時間幅(第1点灯時間幅)。
E:第1点灯時間幅で光源70を点灯したときの参照出力値。
f:ある長さ(任意の)の点灯時間幅(第2点灯時間幅)。
E:第2点灯時間幅で光源70を点灯したときの参照出力値。
−L1:Lの許容下限値(例えば、0.98など)
L2:Lの許容上限値(例えば、1.04など)
尚、少なくともeとfの何れか一方は、線型性が保たれている範囲に属する。
また、許容下限値や許容上限値は、実験などになどに基づき、画質の異常がでないような値に適宜設定される。
そして、線型性が保たれていれば(傾きが同様であれば)、式1の((E−A)/e)の値(第1値)と((F−A)/f)の値(第2値)の比は、ほぼ「1」となる。
もし、色ごとに垂直転送開始時や垂直転送中の共通電源部57の電源電圧が異なっていても、線型性の許容範囲内で、電源電圧の回復を待たずに垂直転送を開始するようにしてもよい。一方、画質を追求するのであれば、点灯時間幅を上限までに止めるとともに、垂直転送の開始を電源電圧が回復するまで待ってから開始するようにすればよい。
(シェーディング補正)
次に、図5を用いて、シェーディング補正について説明する。
本実施形態の画像読取装置100では、画像処理部8は、原稿の読み取りで得られた画像データに対する補正の1つとして、シェーディング補正を行う。シェーディング補正のため、画像処理部8の補正部には、シェーディング補正部83が設けられる。
そして、本実施形態の画像読取装置100では、白基準値と黒基準値を用いてシェーディング補正を行う。白基準値は、白基準板17の読み取りで得られる各画素の画素値(A/D変換後のディジタル値)である。例えば、シェーディング補正部83は、複数回の白基準板17の読み取り結果に基づき、各画素の画素値の平均値を求め、求めた各画素の平均値をそれぞれの画素の白基準値として、シェーディング補正部83内の基準値記憶部84に記憶させる(図5参照)。白基準値は、色ごとに取得される。例えば、青色光源70Bを点灯させて白基準板17を読み取った各受光素子61から得られた電荷のA/D変換後の画素値に基づき、青色についての白基準値が基準値記憶部84に記憶される(緑、赤、白/黒も同様)。
また、黒基準値は、光源70消灯時の各画素の画素値(A/D変換後のディジタル値)である。例えば、シェーディング補正部83は、複数回の光源70消灯時の各画素の画素値の平均値を求め、求めた各画素の平均値を各画素の黒基準値として、基準値記憶部84に記憶させる(図5参照)。例えば、光源70消灯時の各受光素子61のA/D変換後の画素値に基づき、ラインセンサー60の各受光素子61(各画素)の黒基準値が基準値記憶部84に記憶される(青、緑、赤、白/黒で共通)。
共通電源部57から光源部7や転送部9に電力を供給するとき、従来では、光源70の点消灯に伴って、各色の読み取りや垂直転送時の電源電圧が異なる場合があった。そして、光源70を点灯させて白基準値は取得され、光源70を消灯させて黒基準値は取得されるので、従来では、白基準値取得のための読み取り及び電荷転送時と、黒基準値取得のための読み取り及び電荷転送時では、転送部9(垂直転送部91)に印加される電源電圧が異なる場合があった。そのため、従来、共通電源部57から光源部7や転送部9に電力を供給する構成とすると、白基準値取得のための読み取り時と黒基準値のための読み取り時での転送部9の電荷転送特性に差などにより、白基準値と黒基準値を適切に取得することが難しく、適切にシェーディング補正を行うことが難しい場合があった。
しかし、本実施形態の画像読取装置100は、共通電源部57(電源端子57a)の電源電圧の大きさは、光源70の点灯、消灯がなされても、垂直転送は、電源電圧が回復してから開始される。従って、共通電源部57から光源部7や転送部9に電力を供給する構成としても、白基準値取得のための読み取り時と黒基準値のための読み取り時での転送部9の電荷の転送特性に差がなく、適切な白基準値と黒基準値を取得できるので、適切なシェーディング補正を行うことができる。
尚、以下に、シェーディング補正の計算の一例を示す。
(式)X=(I−B)×{Y/(W−B)}
「X」は、補正対象画素の補正後の画素値である。
「Y」は、最大濃度値である(例えば、8ビットであれば「255」)。
「I」は、補正対象画素の補正前の画素値である。
「B」は、補正対象画素に対応する黒基準値である。
「W」は、補正対象画素に対応する白基準値である。
本実施形態に係る画像読取装置100は、読取ユニット5と、画像処理部8と、共通電源部57と、を含む。読取ユニット5は、原稿に光を照射して原稿の反射光に基づき原稿を読み取るためのユニットであって、原稿に光を照射するための光源70(青色光源70B、緑色光源70G、赤色光源70R)を複数色含み、点灯させる光源70を予め定められた順番で切り替える光源部7と、原稿からの反射光のレベルに応じた量の電荷を蓄える複数の受光素子61が並べられたラインセンサー部6と、各受光素子61で蓄えられた電荷を送る転送部9(垂直転送部91、水平転送部92)と、を少なくとも含む。画像処理部8は、読取ユニット5が出力する各画素のアナログ出力値に基づき、画像データを生成する。共通電源部57(電源端子57a)から、少なくとも読取ユニット5の光源部7と転送部9に電力が供給される。そして、転送部9は、光源70の消灯後、次の色の光源70が点灯を開始するまでの間であって、共通電源部57の電圧が予め定められたレベルに回復してから、ラインセンサー部6(ラインセンサー60)の各受光素子61の電荷の垂直転送を開始する。
これにより、原稿の読み取り中、転送部9(垂直転送部91、水平転送部92)による電荷の転送(垂直転送)の開始時点での電源電圧は、一定レベルとなる(一定のレベルに回復した時点で開始される)。従って、転送部9に印加される電圧が同じような状態で、各色の電荷の吐き出し、転送を行うことができる。そのため、各色間で、電源電圧の大きさの違いに基づく転送部9の転送特性(転送性能)や、読取ユニット5からのアナログ信号の出力特性に差が生ずることを無くすことができる。このように、共通電源部57(電源端子57a)から光源70や転送部9に電力を供給するとき、従来ならば生じていた、各色の光源70の点灯時間幅の違いに起因した転送部9や読取ユニット5からのアナログ信号出力への影響(原稿に対する階調のばらつきや色の異常といった画質の低下)を生じないようにすることができる。また、共通電源部57から光源70や転送部9に電力を供給するので、画像読取装置100の回路構成や配線の簡素化や、電力供給線の削減を実現し、製造コストを削減することができる。
光源70の点灯時間が長いほど、電源電圧が予め定められたレベルに回復するまでの時間は長くなる。そこで、各色の光源70(青色光源70B、緑色光源70G、赤色光源70R)は、一旦点灯すると、色ごとにそれぞれ予め定められた点灯時間幅で点灯を続け、光源70の点灯の色順は、最も点灯時間幅が長い色の次に最も点灯時間幅が短い色が設定されており、光源部7は、転送部9(垂直転送部91、水平転送部92)の垂直転送が完了すると、点灯させる順番の光源70の点灯を開始する。
これにより、最も点灯時間幅が長い色の光源70の消灯の後、次の色の光源70の点灯時間幅は短いので、最も点灯時間幅が長い色の光源70の消灯の後、電源電圧の予め定められたレベルへの回復まで待っても、1色分に割り当てられた1ライン分の読み取り時間内に、垂直転送と、次の色の光源70の点灯の両方を行える。従って、電源電圧の回復時間を取っても、破綻無く読み取りを行うことができる。また、電源電圧の回復時間を取って各色の垂直転送開始時や転送中での転送部9(垂直転送部91、水平転送部92)に印加する電圧の大きさをほぼ同じにすることができる。そして、共通電源部57(電源端子57a)から光源70や転送部9に電力を供給しても、転送部9の転送特性(転送性能)や、読取ユニット5からのアナログ信号の出力特性に大きな差を生じさせることなく、各色、各画素(各受光素子61)の電荷を読み出すことができる。更に、各色の光源70の点灯順(点灯パターン)のうち、電源電圧の回復の時間を最もとれる点灯順であるので、予め定められたレベルをできるだけ大きな電圧値に定めることもできる。
又、光源70(青色光源70B、緑色光源70G、赤色光源70R)は、光源70の点灯時間幅と、ある画素のアナログ出力値、又は、複数画素のアナログ出力値の平均値である参照出力値との比が、線型性を保つ範囲で点灯し、光源70の点灯時間幅の上限は、線型性を保つ範囲の点灯時間幅のうち、最長の点灯時間幅である。
これにより、共通電源部57(電源端子57a)から光源70や転送部9(垂直転送部91、水平転送部92)に電力を供給したときに、点灯時間幅に比例して各画素のアナログ出力が大きくなるような範囲で、各色の光源70の点灯時間幅を定めることができる。従って、光源70の点灯時間幅は、線型性が失われるような長さには設定されず、画質の低下(原稿に対する階調のばらつきや色の異常)は生じない。
又、光源70(青色光源70B、緑色光源70G、赤色光源70R)は、第1点灯時間幅で点灯したときの参照出力値から、光源70を点灯していないときの参照出力値を引いた値を第1点灯時間幅で除した第1値と、第1点灯時間幅と異なる第2点灯時間幅で点灯したときの参照出力値から、光源70を点灯していないときの参照出力値を引いた値を第2点灯時間幅で除した第2値との比が、予め定められた許容上限と許容下限値の範囲に収まるような時間幅で点灯する。これにより、適切に、点灯時間幅に対する各画素のアナログ出力値との比がほぼ一定で保たれ、画質の異常が生じないような範囲で光源70を点灯させることができる。
黒基準値は、光源70を消灯した状態で取得される。一方、白基準値は、光源70を点灯した状態で取得される。そのため、共通電源部57(電源端子57a)から光源70や転送部9(垂直転送部91、水平転送部92)に電力を供給する場合、黒基準取得時のための読み取りと、白基準取得のための読み取りでは、共通電源部57(電源端子57a)の電源電圧が異なり、適正なシェーディング補正を行うことが難しい場合があった。また、共通電源部57(電源端子57a)から光源70や転送部9(垂直転送部91、水平転送部92)に電力を供給する場合、黒基準取得時のための読み取りと、白基準取得のための読み取りでの共通電源部57(電源端子57a)の電源電圧を同様の値にするには、光源70を点灯させて黒基準板を読み取って黒基準値を取得することが考えられるが黒基準板を設けると画像読取装置100の製造コストが上昇する。
そこで、本実施形態の画像読取装置100は、シェーディング補正での白基準を得るための白基準板17を含む。そして、画像読取装置100の画像処理部8は、白基準板17を読み取ったときの画像データに基づく各画素の白基準値と、全ての光源部7を消灯した状態での読み取りを行ったときの画像データに基づく各画素の黒基準値とを記憶し、白基準値と黒基準値に基づきシェーディング補正を行う。これにより、共通電源部57(電源端子57a)から光源70や転送部9(垂直転送部91、水平転送部92)に電力を供給しても、白基準値取得時の電源電圧と、黒基準値取得時の電源電圧は同様のレベルとされる。従って、適切な白基準値と黒基準値を取得し、好適なシェーディング補正を画像データに対して施すことができる。また、黒基準板を設ける必要がないので、画像読取装置100の製造コスト上昇はない。
又、本実施形態の画像読取装置100は、原稿読み取りに関する同期信号S1を発する同期信号生成部20cを含む。そして、同期信号S1の所定の変化にあわせて転送部9(垂直転送部91、水平転送部92)は、ラインセンサー部6(ラインセンサー60)の各受光素子61からの垂直転送を開始し、同期信号生成部20cは、光源70の点灯時間幅にあわせて、共通電源部57(電源端子57a)の電圧が予め定められたレベルに回復する時点に、所定の変化の時点を移動させる。これにより、同期信号S1の変化のタイミングを調整するだけで、垂直転送開始時や垂直転送中に転送部9(垂直転送部91、水平転送部92)に印加する電圧の大きさを、どの色でも同様の大きさとすることができる。
又、本実施形態の画像形成装置(複合機200)は、共通電源部57(電源端子57a)から光源70や転送部9(垂直転送部91、水平転送部92)に電力を供給しても、画質の低下(原稿に対する階調のばらつきや色の異常)がなく、製造コストが削減された画像読取装置100を備える。これにより、高画質で、製造コストが抑えられた画像形成装置を提供することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。