JP2015102236A - シール構造及び回転機械 - Google Patents
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Abstract
Description
シールフィンの前段を通過した蒸気流はスワール成分(周方向速度成分)を含んでおり、このスワール成分がキャビティ内の周方向における圧力分布を不均一化することが、回転機械の自励振動の原因の一つであるとされている。
上述の事情により、回転機械のシール機構では、スワール成分を低減・減衰させるための構造が望まれている。これに対して例えば特許文献1に記載の技術では、シールフィンのクリアランスを介してキャビティ内にスワール成分とは逆方向成分を有するリークジェットを供給している。
本発明の一態様に係るシール構造は、軸線回りに回転するロータ本体及び該ロータ本体から径方向外側に延びる動翼を有するロータと、ロータを外周側から覆い、動翼の先端が入り込むキャビティが形成されたケーシングとを備える回転機械のシール構造であって、ケーシングのキャビティの内周面から動翼の先端に向かって延びて、動翼の先端との間で間隙を形成するシールフィンを備え、シールフィンに軸線方向に貫通する貫通部が形成されていることを特徴とする。
加えて、それぞれのシールフィンに貫通部が設けられることにより、軸線方向下流側で形成されるスワール成分をも、より効果的に低減することができる。
以下、本発明の第一実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
まず、本発明の第一実施形態において、回転機械である蒸気タービン1について、図1を参照して説明する。
図1に示すように、蒸気タービンプラント100は、軸線Oを中心に回転するロータ本体11と、ロータ本体11に接続される蒸気タービンロータ3と、作動流体としての蒸気Sを蒸気供給源(不図示)から蒸気タービン1に供給する蒸気供給管12と、蒸気タービン1の下流側に接続されて蒸気を排出する蒸気排出管13とを備えている。
さらに、蒸気タービンケーシング2の内周面25と動翼チップシュラウド34との間には空間が形成されており、この空間をキャビティ50と称する。
また、主流路20と、最も上流側に位置するシールフィン40とで囲われる領域は、流入区画51を形成する。さらに、流入区画51の下流側においては、隣り合うシールフィン40同士によって、第一区画52が形成される。
上述の蒸気タービンプラント100では、蒸気供給源からの蒸気Sが蒸気供給管12を介して蒸気タービン1に供給される。
蒸気タービン1に供給された蒸気Sは、主流路20に到達する。主流路20を到達した蒸気Sは、主流路20を流通するにともなって膨張と流れの転向を繰り返しながら、下流側に向かって流通する。動翼31は翼型断面を有するため、動翼31に蒸気Sが衝突したり、動翼31内部でも蒸気が膨張する際の反力を受けたりすることで、蒸気タービンロータ3が回転する。これにより、蒸気Sの有するエネルギーは、蒸気タービン1の回転動力として取り出される。
図2はキャビティ50の周辺を拡大して示した図である。図2に示すように、主流路20に流入した蒸気Sは静翼21を通過した後、主蒸気流SMと偏向蒸気流SLとに分かれる。主蒸気流SMは、偏向せずに動翼31に導入される。
偏向蒸気流SLは、動翼チップシュラウド34と蒸気タービンケーシング2との間を介して流入区画51に流入する。ここで、蒸気Sは、静翼21を通過した後にスワール成分(周方向速度成分)が増大した状態になり、この蒸気Sの一部が分離して偏向蒸気流SLとして流入区画51に流入する。したがって、偏向蒸気流SLも蒸気S同様スワール成分を含んでいる。
そして、流入区画51に流入した偏向蒸気流SLは、図3に示すように、間隙mに向かって流れるリークジェットSL1と、貫通部41に向かって流れる貫通蒸気流SL2とに分かれる。これらリークジェットSL1及び貫通蒸気流SL2も偏向蒸気流SL同様、スワール成分を含んでいる。
次に、本発明の第二実施形態について、図5を参照して説明する。なお、第一実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
図5は、本発明の第二実施形態において、蒸気タービンロータ3の径方向外側から見たキャビティ50を示す図である。
本実施形態にでは、シールフィン40に設けられた貫通部42が、軸線O方向上流側から下流側に向かうに従って、蒸気タービンロータ3の回転方向Rと反対の方向に向かって延びている。言い換えると、蒸気タービンロータ3の径方向外側から見て、貫通部42は軸線Oに対して一定の角度を保って斜めに延在している。
次に、本発明の第三実施形態について、図7を参照して説明する。なお、上述の各実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
図7は、本発明の第三実施形態において、蒸気タービンロータ3の径方向外側から見たキャビティ50を示す図である。
本実施形態において、貫通部44はシールフィン40に挿入された筒状部44Tによって形成されている。筒状部44Tは、例えばシールフィン40と同一の素材によって形成された筒状部材であり、その軸方向において貫通された貫通孔を有している。さらに、第二実施形態と同様に、貫通部44は軸線O方向上流側から下流側に向かうに従って、蒸気タービンロータ3の回転方向Rと反対の方向に向かって延びている。
続いて、本発明の第四実施形態について、図9を参照して説明する。なお、上述の各実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
図9は、本発明の第四実施形態において、蒸気タービンロータ3の径方向外側から見たキャビティ50を示す図である。
本実施形態では、シールフィン40において軸線O方向に沿って形成された貫通部46の下流側出口に、貫通部46の軸線O方向下流側に位置する出口46Bから蒸気タービンロータ3の回転方向Rと反対の方向に向かって突出する案内部46Wをさらに備えている。案内部46Wは、貫通部46の出口46Bを、蒸気タービンロータ3の回転方向R側から覆うようにして設けられている。
さらに、本発明の第五実施形態について、図10を参照して説明する。なお、上述の各実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
図10は、それぞれ蒸気タービンロータ3の軸線O方向における上流側から見た、上流側シールフィン40F、下流側シールフィン40Rを示す図である。上流側シールフィン40F、下流側シールフィン40Rはともに軸線Oに沿って一定の間隔を持って配列されている。
ここで、図10に示すように、上流貫通部47Fと下流貫通部47Rは、軸線O方向から見て互いに周方向の位相を違えて配列されている。
したがって、上流貫通部47Fを通過した貫通蒸気流SL2は、下流貫通部47Rに直接吹き抜けることがない。
このような構成においても、自励振動の抑制効果に加えて、上流貫通部48F,49Fを通過した貫通蒸気流SL2の吹き抜け効果が抑制されるため、シール効果を向上させ、蒸気の漏洩をより効果的に低減することができる。
2 …蒸気タービンケーシング
3 …蒸気タービンロータ
4 …軸受部
20 …主流路
21 …静翼
22 …静翼ハブシュラウド
31 …動翼
34 …動翼チップシュラウド
40 …シールフィン(シール構造)
41 …貫通部
50 …キャビティ
S …蒸気
SL …偏向蒸気流
SL1 …リークジェット
SL2 …貫通蒸気流
SS …渦流れ
Claims (9)
- 軸線回りに回転するロータ本体及び該ロータ本体から径方向外側に延びる動翼を有するロータと、前記ロータを外周側から覆い、前記動翼の先端が入り込むキャビティが形成されたケーシングとを備える回転機械のシール構造であって、
前記ケーシングのキャビティの内周面から動翼の先端に向かって延びて、前記動翼の先端との間で間隙を形成するシールフィンを備え、
前記シールフィンに前記軸線方向に貫通する貫通部が形成されている
ことを特徴とするシール構造。 - 前記貫通部は、前記軸線方向において流体の流通する上流側から下流側に向かうに従って、前記ロータの回転方向と反対の方向に向かって延びる
ことを特徴とする請求項1に記載のシール構造。 - 前記貫通部に挿入された筒状部を備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシール構造。 - 前記貫通部の前記軸線方向下流側の出口に設けられて、前記ロータの回転方向と反対の方向に向かって突出するとともに、前記出口を前記ロータの回転方向側から覆う案内部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のシール構造。 - 前記シールフィンの周方向に沿って、複数の前記貫通部が配列される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のシール構造。 - 前記キャビティの前記内周面に、前記軸線方向に沿って配列された複数の前記シールフィンを備える
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のシール構造。 - 互いに隣り合う複数の前記シールフィンに設けられたそれぞれの前記貫通部は、前記軸線方向から見て互いに周方向にずれて形成される
ことを特徴とする請求項6に記載のシール構造。 - 互いに隣り合う複数の前記シールフィンに設けられたそれぞれの前記貫通部は、前記軸線方向から見て互いに径方向にずれて形成される
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のシール構造。 - 軸線回りに回転するロータ本体及び該ロータ本体から径方向外側に延びる動翼を有するロータと、
前記ロータを外周側から覆い、前記動翼の先端が入り込むキャビティが形成されたケーシングと、
請求項1から8のいずれか一項に記載のシール構造とを備える
ことを特徴とする回転機械。
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---|---|---|---|---|
JP2019157662A (ja) * | 2018-03-08 | 2019-09-19 | 三菱重工業株式会社 | 動翼側シール装置、静翼側シール装置及び回転機械 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH06346917A (ja) * | 1993-06-03 | 1994-12-20 | Shicoh Eng Co Ltd | 一方向性動圧軸受を用いた耐圧防水シ−ル機構 |
JP2010159667A (ja) * | 2009-01-07 | 2010-07-22 | Toshiba Corp | 軸流タービン |
JP2011247307A (ja) * | 2010-05-25 | 2011-12-08 | Hitachi Ltd | ラビリンスシール装置 |
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- 2013-11-28 JP JP2013246107A patent/JP6209787B2/ja not_active Expired - Fee Related
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