JP2015087597A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
Description
前記シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなり、
前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
前記トナーコアと、前記シェル層との界面に無機微粒子が存在し、
前記無機微粒子の数平均粒子径が50nm以上250nm以下であり、
前記トナー粒子を、走査型電子顕微鏡を用いて観察する場合に、トナー粒子の表面に前記無機微粒子の形状に由来する凸部が観察される、静電潜像現像用トナーに関する。
結着樹脂としては、従来からトナー用の結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に制限されない。後述するように、本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、熱硬化性樹脂のモノマーを含むシェル層の材料を硬化させて、トナーコアの表面をシェル層で被覆して調製されている。結着樹脂として、水酸基やカルボキシル基のように熱硬化性樹脂のモノマーと反応し得る官能基を有する結着樹脂を用いる場合、結着樹脂を含むトナーコアの表面にはこれらの官能基が露出している。このため、水酸基やカルボキシル基のような官能基を有する結着樹脂を用いる場合、トナーコアの表面をシェル層で被覆する際に、メチロールメラミンのような熱硬化性樹脂のモノマーと、トナーコアの表面に露出する水酸基やカルボキシル基のような官能基とが反応して、トナーコアとシェル層との間に共有結合が形成される。従って、水酸基やカルボキシル基のような官能基を有する結着樹脂が含まれるトナーコアでは、シェル層とトナーコアとが強固に結合している。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、結着樹脂の比熱の変化点から求めることができる。より具体的には、測定装置として示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツル株式会社製DSC−6200)を用い、結着樹脂の吸熱曲線を測定することで決着樹脂のガラス転移点(Tg)を求めることができる。測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25〜200℃、昇温速度10℃/分、という条件で測定して得られた結着樹脂の吸熱曲線より結着樹脂のガラス転移点(Tg)を求めることができる。
高架式フローテスター(例えば、CFT−500D(株式会社島津製作所製))を用いて結着樹脂の軟化点(Tm)の測定を行う。測定試料を高化式フローテスターにセットし、ダイス細孔経1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて軟化点(Tm)を測定する。高架式フローテスターの測定により得られる、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブから、結着樹脂の軟化点(Tm)を読み取る。
トナーコアは必要に応じて、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。
トナーコアは必要に応じて、離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、通常、トナーの定着性や耐オフセット性を向上させる目的で使用される。
電荷制御剤は、帯電レベルや、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。シェル層中に帯電機能を有する成分が含まれる場合、トナーコアに電荷制御剤を使用しなくてもよい。
トナーコアには、必要に応じて、結着樹脂中に磁性粉を配合してもよい。このようにして製造される磁性粉を含むトナーコアを用いて製造されたトナー粒子を含むトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、フェライト、及びマグネタイトのような鉄;コバルト、及びニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、トナーコアとシェル層との界面に無機微粒子が存在するように構成される。無機微粒子は、後述する所定の範囲内の数平均粒子径を有するものであれば特に限定されない。
シェル層を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む。なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とは、メラミンのようなモノマーにホルムアルデヒドに由来するメチレン基(−CH2−)が導入された単位を意味する。シェル層は、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂の、モノマーに由来する単位を含む樹脂からなる。以下、シェル層を構成する樹脂を形成する際に、好適に使用できる、熱硬化性樹脂のモノマーについて説明する。
熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を樹脂に導入するために用いられるモノマーは、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の熱硬化性樹脂の形成に使用されるモノマー及び初期縮合物である。
シェル層の厚さ=熱硬化性樹脂のモノマーの量/トナーコアの比表面積
本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、必要に応じてその表面に外添剤を付着させてもよい。なお、本出願の明細書、及び特許請求の範囲では、外添剤により処理される前の粒子を、トナー母粒子と記載する場合がある。
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用できる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
トナーの製造方法は、トナーコアと、シェル層との界面に、所定の範囲内の数平均粒子径の無機微粒子が存在し、且つ、トナーコアを前述の所定の材質からなるシェル層で被覆できる方法であれば特に限定されない。トナーを製造する際には、シェル層を形成する前に、トナーコアの表面に無機微粒子を付着させる処理が施される。
トナーコアの製造方法としては、結着樹脂中に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び磁性粉のような成分を良好に分散させることができれば特に限定されず、公知の方法から適宜選択できる。トナーコアの製造方法としては、凝集法と、粉砕法とが挙げられる。
粉砕法は、必須成分である結着樹脂と、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような任意成分とを混合した後、混合物を溶融混練して得られる溶融混練物を、粉砕、分級して、所望の粒子径のトナーコアを得る方法である。粉砕法は、後述の凝集法と比較して、トナーコアの調製が容易である利点を有する。一方で、粉砕法は、粉砕工程を経てトナーコアを得るがゆえに、平均円形度の高いトナーコアを得にくい点で、凝集法よりも不利である。しかし、後述するシェル層の形成工程では、シェル層の原料の加熱によりシェル層の硬化反応が進行する際に、トナーコアが表面張力によって収縮することや、やや軟化することでトナーコアが球形化される。従って、トナーコアを粉砕法で製造する場合、トナーコアの平均円形度が幾分低くても大きなデメリットとはならない。以上より、本発明のトナーの製造に用いるトナーコアの製造方法としては、粉砕法が特に好ましい。
凝集法では、結着樹脂、離型剤、及び着色剤のようなトナーに含まれる成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて凝集粒子を得た後、凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させてトナーコアを含む水性分散液を得る。水性分散液から分散剤のような成分を除去し、洗浄したトナーコアを用いて、後述の方法でトナーコアにシェル層を形成する。このような手順により、粉砕法でトナーコアを製造した場合と同様のトナー粒子(トナー母粒子)を得られる。
トナーコア0.2gと、イオン交換水80g(mL)及び1%濃度のノニオン系界面活性剤(ポリビニルピロリドン、K−85(日本触媒株式会社製)20gとを、マグネットスターラーを用いて混合し、トナーコアを均一に溶媒に分散させて分散液を得る。その後、分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4のトナーコアの分散液を得る。pH4のトナーコアの分散液を測定試料として用い、分散液中のトナーコアのゼータ電位を、ゼータ電位・粒度分布測定装置(Delsa Nano HC(ベックマン・コールター社製))を用いて測定する。
日本画像学会から提供される標準キャリアN−01(負帯電極性トナー用標準キャリア)と、トナーコアとを、ターブラミキサーを用いて30分間混合する。この時、トナーコアの使用量は、標準キャリアの質量に対して7質量%である。混合後、トナーコアの摩擦帯電量を、QMメーター(MODEL 210HS−2A(TREK社製))を用いて測定する。このようにして測定されるトナーコアの摩擦帯電量は、トナーコアが正負何れの極性に帯電されやすいかと、トナーコアの帯電されやすさの指標となる。
本発明に係るトナーでは、トナーコアとシェル層との界面に無機微粒子が存在する。このため、シェル層の形成の前に、トナーコアの表面に対して、無機微粒子を付着させる処理が施される。無機微粒子をトナーコアの表面に付着させる方法は、トナーコアの表面に無機微粒子を十分な強度で付着させることができる方法であれば特に限定されない。具体的な方法としては、無機微粒子がトナーコアの表面に埋没し過ぎないように処理条件を調整し、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、トナーコアと無機微粒子とを混合する方法が挙げられる。
シェル層は、メラミン、尿素、及びグリオキザールと尿素との反応物や、これらとホルムアルデヒドとの付加反応によって生成される前駆体(メチロール化物)と、必要に応じて、熱可塑性樹脂とを用いて形成される。
トナー粒子は、必要に応じて、水により洗浄される。洗浄方法は特に限定されず、例えば、トナー粒子を含む分散液から、固液分離によりトナー粒子をウエットケーキとして回収し、得られるウエットケーキを水により洗浄する方法や、トナー粒子を含む分散液中のトナー粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
トナー粒子は、必要に応じて乾燥されてもよい。トナー粒子を乾燥する方法は特に限定されない。好適な乾燥方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、及び減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー粒子の凝集を抑制しやすいことからスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することによって、トナー粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
本発明の方法により製造される静電潜像現像用トナーは、必要に応じてその表面に外添剤が付着したものであってもよい。上記方法により得られたトナー粒子をトナー母粒子として用いて、トナー母粒子の表面に、外添剤を付着させる。外添剤をトナー母粒子の表面に付着させる方法は特に限定されない。好適な方法としては、外添剤がトナー母粒子表面に埋没しないように条件を調整して、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機により、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
〔トナーコアA〜Cの調製〕
表1に記載の種類の結着樹脂100質量部と、表1に記載の種類の離型剤5質量部と、着色剤(REGAL330R(キャボット社製)、カーボンブラック)5質量部とを、ヘンシェルミキサー(日本コークス株式会社製)を用いて2400rpmで混合した。得られた混合物を、二軸押出機(PCM−30(株式会社池貝製))を用いて、材料投入量5kg/h、軸回転数160rpm、設定温度範囲100℃以上130℃以下で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却した後、溶融混練物を、ロートプレックスミル(8/16型(株式会社東亜器械製作所製))を用いて粗粉砕した。次いで、粗粉砕品を、ジェットミル(超音波ジェットミルI型(日本ニューマチック工業株式会社製))を用いて微粉砕し、得られた微粉砕品を、エルボージェット(EJ−LABO型(日鉄工業株式会社製))を用いて分級して、体積平均粒子径(D50)が7.0μmのトナーコアを得た。トナーコアの体積平均粒子径は、コールターカウンターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。
〔無機微粒子A〜Fの調製〕
メタノール中で、アンモニア水を用いて常法に従ってテトラエトキシシランを加水分解縮合させて、コロイダルシリカを無機微粒子A〜Fとして調製した。無機微粒子A〜Fの数平均粒子径を表1に記す。無機微粒子A〜Fの数平均粒子径は、加水分解縮合時の、アンモニア水の反応液への滴下速度、反応温度、及び撹拌速度のような条件を適宜調整して調製した。無機微粒子の数平均粒子径は、フィールドエミッション走査電子顕微鏡(JSM−6700F(日本電子株式会社製))を用いて撮影した電子顕微鏡写真から、10個の無機微粒子の粒子径を測定し、その平均値を算出して求めた。
実施例及び比較例のトナーには、無機微粒子G〜Jとして、何れもテイカ株式会社製の市販品である、表2に記載の種類の酸化チタン微粒子を用いた。
(トナー母粒子の調製)
・トナーコアの表面処理
表4〜6に記載の種類のトナーコア100質量部と、表4〜6に記載の種類の無機微粒子1.5質量部とをヘンシェルミキサー(FM−10B(日本コークス工業株式会社製))を用い、回転数3500rpmで、5分間混合して、表面に無機微粒子を備えるトナーコアを得た。
イオン交換水500質量部、及び表4〜6に記載の種類の分散剤50質量部を混合装置(マグネチックスターラーRS−1DN(アズワン株式会社製))を用いて混合して、分散剤の水溶液を得た。分散剤の水溶液に、表面に無機微粒子を備えるトナーコアを加えた。分散剤の水溶液中の表面に無機微粒子を備えるトナーコアを、常温で20分間撹拌して、表面に無機微粒子を備えるトナーコアを含む分散液(A)を調製した。
なお、下記の市販品を表4〜6に記載の分散剤として用いた。
分散剤A:ポリアクリル酸ナトリウム(ジュリマーAC−103(東亜合成株式会社製))
分散剤B:部分鹸化ポリ酢酸ビニル(ゴーセノールGM−14L(日本合成化学工業株式会社製))
表面に無機微粒子を備えるトナーコア100質量部に対して、1質量部の表4〜6に記載の種類のシェル材の原料を、分散液(A)に加えた。次いで、分散液(A)を撹拌して、シェル材の原料をイオン交換水に溶解させた。分散液(A)を、容量1リットルのセパラブルフラスコに移した後、フラスコの内容物を回転数1200rpmで撹拌しながら、70℃まで昇温した。以降、シェル層の形成が完了するまで、回転数1200rpmで、フラスコの内容物を撹拌した。フラスコの内温が70℃に到達した後、フラスコの内容物を同温度で1時間撹拌して、表面に無機微粒子を備えるトナーコア表面にシェル層を形成させた。その後、フラスコの内容物を、常温まで冷却して、トナー母粒子を含む分散液を得た。
なお、下記の市販品を表4〜6に記載のシェル材の原料として用いた。
メチロール化尿素:ミルベンSUM−100(昭和電工株式会社製)
メチロールメラミンA:ニカレジンS−260(日本カーバイド工業株式会社製)
メチロールメラミンB:ミルベレジンKAM−7(昭和電工株式会社製)
ブフナーロートを用いて、トナー母粒子を含む分散液からトナー母粒子のウエットケーキをろ取した。トナー母粒子のウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。トナー母粒子のイオン交換水による同様の洗浄を6回繰り返した。
トナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(コートマイザー(フロイント産業株式会社製))に供給することにより、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させて、トナー母粒子を得た。コートマイザーによる乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分であった。得られたトナー母粒子について、その一部を取り出し、それを、後述するシェル層の表面の確認と、無機微粒子の脱離度の評価との際に用いた。
・外添工程
得られたトナー母粒子を、トナー母粒子の質量に対して、1.0質量%の酸化チタン(EC−100(チタン工業株式会社製)、数平均粒子径:360nm)と、0.7質量%の疎水性シリカ(RA−200H(日本アエロジル株式会社製)、数平均粒子径:12nm)とで処理した。トナー母粒子と、酸化チタンと、疎水性シリカとを、ヘンシェルミキサー(FM−10B(日本コークス株式会社製))を用いて、回転数3500rpmで5分間、撹拌・混合して、トナーを得た。
下記方法に従って、実施例1〜10、及び比較例4〜7で調製されたトナー母粒子の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、シェル層の表面の状態を確認した。下記方法に従って、実施例1〜10、及び比較例4〜7のトナーに含まれるトナー粒子の断面の写真を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影した。得られたTEM写真を用いて、シェル層の表面の状態と、トナー粒子の内部の状態とを確認した。
走査型電子顕微鏡(JSM−6700F(日本電子株式会社製))を用いて、トナー粒子表面を、倍率10,000倍にて観察し、任意のトナー母粒子の画像を撮影した。
トナー母粒子を樹脂に包埋した試料を作成した。ミクロトーム(EM UC6(ライカ株式会社製))を用いて、得られた試料から厚さ200nmのトナー母粒子の断面観察用の薄片試料を作成した。得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡(TEM、JSM−6700F(日本電子株式会社製))を用いて倍率50,000倍で観察し、任意のトナー母粒子の断面の画像を撮影した。
○:トナー母粒子の表面に、無機微粒子の形状に由来する凸部が確認された。
×:トナー母粒子の表面に、無機微粒子の形状に由来する凸部が確認されなかった。
表6に記載の種類のトナーコア100質量部に対して、表6に記載の種類の無機微粒子1.5質量部を用い、トナーコアの表面を無機微粒子で表面処理した。トナーコアの表面処理の条件は、実施例1と同様の条件とした。無機微粒子で表面処理されたトナーコアを、トナー母粒子として用いた。トナー母粒子を実施例1と同様に外添処理して、比較例1〜3のトナーを得た。
製造例1で得られたトナーコアを無機微粒子で表面処理しないことの他は、実施例1と同様にして、比較例8のトナーを得た。なお、比較例8では、外添工程前のトナー母粒子について、実施例1で調製されたトナー母粒子と同様にして、シェル層の表面の状態を観察し、無機微粒子の形状に由来する凸部の有無を確認した。比較例8で調製されたトナー母粒子について、無機微粒子の形状に由来する凸部の有無の判定結果を表6に記す。
実施例1〜10、及び比較例1〜8のトナーについて、以下の方法に従って、耐熱保存性、無機微粒子の脱離度、トナーの付着力、及び外添剤及び無機微粒子の埋没度を評価した。実施例1〜10、及び比較例1〜8のトナーの耐熱保存性、トナーの付着力、及び外添剤の埋没度の評価結果を、表4〜6に記す。
トナー3gを、容量20mLのポリ容器に秤量し、23℃50%RH環境下に8時間静置する。23℃50%RH環境下に静置後、ポリ容器内のトナーを60℃に設定された恒温器内に3時間静置することで、耐熱保存性評価用のトナーを得た。その後、耐熱保存性評価用のトナーを、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5、時間30秒の条件で、目開き106μmの篩を用いて篩別した。篩別後に、篩上に残留したトナーの質量を測定した。篩別前のトナーの質量と、篩別後に篩上に残留したトナーの質量とから、下式に従って凝集度[%]を求めた。算出された凝集度から、下記基準に従って耐熱保存性を評価した。○評価を合格とした。
(凝集度算出式)
凝集度[%]=篩上に残留したトナー質量/篩別前のトナーの質量×100
○:凝集度が5%以下。
△:凝集度が5%超、30%以下
×:凝集度が30%超。
外添剤で処理する前のトナー母粒子を使用した。シェル層とトナーコアとの界面に存在する無機微粒子の存在量を蛍光X線分析(ZSX−100E(株式会社リガク製)を用いた定性分析)により測定する。測定した無機微粒子の存在量をM1とした。次いで、界面活性剤(マイペット(花王株式会社製))の濃度2%の水溶液100ccにトナー1.5gを投入し、超音波振動機(UT105S(シャープマニファクチャリングシステム株式会社製))を用いて、2分間分散させて、トナー母粒子の分散液を得た。得られた分散液から、目開き6μm濾紙を用いて、トナー母粒子をろ取し、乾燥させてトナー母粒子を回収した。回収したトナー母粒子を、再度、蛍光X線分析することにより、シェル層とトナーコアとの界面に存在する無機微粒子の存在量を測定した。回収したトナー母粒子について、測定した無機微粒子の存在量をM2とした。測定したM1及びM2から、下式に従って、無機微粒子の脱離度を算出した。算出された脱離度から、下記基準に従って無機微粒子の脱離度を評価した。◎及び○評価を合格とした。
(脱離度算出式)
脱離度[%]=(M1−M2)/M1×100
◎:脱離度が5%未満。
○:脱離度が5%以上15%未満。
×:脱離度が15%以上。
アースされたガラス基盤上にトナーを載せ、トナーを載せた面が遠心分離機(株式会社クボタ製)の回転面の外側を向くようにセットした。遠心効果1000Gで1分間、遠心分離を行った後、ガラス基盤上に残っているトナー投影面積の総和(S1000)を測定した。また、遠心効果8000Gで1分間、遠心分離を行った後、ガラス基盤上に残っているトナー投影面積の総和(S8000)を測定した。トナー投影面積は光学顕微鏡(株式会社キーエンス製)を用いて、ガラス基盤を正面から観察した画像を取得した。取得した画像を、画像解析ソフトウェア(WinROOF(三谷商事株式会社製))を用いて取り込み、ソフトウェアのペンツールを用いて、トナーの輪郭線を描画し、トナー投影面積(pix)を測定した。
測定したS8000、及びS1000から、下記式(1)に従って、ガラス基盤上のトナー残存率N[%]を算出した。
N[%]=S8000÷S1000×100・・・・(1)
算出したトナー残存率Nから、下記基準に従って、トナーの付着力を評価した。
◎:Nが30%以下。
○:Nが30%超50%以下。
×:Nが50%超。
ノンコートフェライトキャリア(FK−150(パウダーテック株式会社製))10gと、トナー0.1gとを、容量20mLのポリ容器に秤量し、ターブラミキサーを用いて30分間撹拌した。撹拌後、ポリ容器内からトナーを取り出し、30分撹拌後のトナーに含まれるトナー粒子の比表面積(S30m)を測定した。次いで、ターブラミキサーを用いた撹拌時間を3時間に変える他は、S30mの測定と同様の条件で撹拌して、3時間撹拌後のトナーに含まれるトナー粒子の比表面積(S3h)を測定した。トナー粒子の比表面積は、比表面積測定装置(Macsorb 1208(株式会社マウンテック製))を用いて測定した。
測定したS30m、及びS3hから、下記式(2)に従って外添剤埋没率P[%]を算出した。
P[%]=S3h÷S30m×100・・・・(2)
算出した、外添剤埋没率Pから、下記基準に従って、トナー埋没度を評価した。
◎:Pが10%以下。
○:Pが10%超40%以下。
×:Pが40%超。
実施例1〜10、及び比較例1〜8のトナーを用いて、以下の方法に従って、現像維持特性を評価した。現像維持特性の評価は、以下の方法に従って調製した2成分現像剤を用いて行った。実施例1〜10、及び比較例1〜8のトナーの現像維持特性の評価結果を、表4〜6に記す。
(2成分現像剤の調製)
Mn−Mgフェライトコア1000質量部に、シリコーン樹脂30質量部とトルエン200質量部とを混合して得られたキャリアコート液を塗布した。その後、コート液が塗布されたフェライトコアを、200℃60分間熱処理して、シリコーン樹脂被覆のフェライトキャリアを得た。得られたキャリアと、キャリアの質量に対して10質量%のトナーとを、ボールミルを用いて30分間混合して2成分現像剤を調製した。
複合機(Taskalfa500ci(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製))を用いて、20℃50%RH環境下で、被記録媒体にベタ画像を形成し、初期のベタ画像を得た。その後、印字率5.0%で10万枚連続の画像形成を行った後に、被記録媒体にベタ画像を形成した。その後、印字率を1.0%に変え、1万枚連続の画像形成を行った後に、被記録媒体にベタ画像を形成した。初期のベタ画像の画像濃度(IDi)、印字率5.0%の連続画像形成後に得たベタ画像の画像濃度(ID5.0)、及び印字率1.0%の連続画像形成後に得たベタ画像の画像濃度(ID1.0)を測定した。画像濃度は、マクベス反射濃度計(RD914(グレタグ・マクベス社製))を用いて測定した。
(画像濃度の評価)
IDi、ID5.0、及びID1.0を、下記基準に従って評価した。
◎:1.3以上。
○:1.0以上1.3未満。
×:1.0未満。
(総合評価)
IDi、ID5.0、及びID1.0の評価結果から、下記基準に従って現像維持特性を評価した。
○:IDi、ID5.0、及びID1.0の評価結果が何れも◎、又は○であった。
×:IDi、ID5.0、及びID1.0の評価結果の何れかが×であった。
・結着樹脂、及び離型剤を含むトナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を、含むトナーであって、
・シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなり、
・熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
・無機微粒子の数平均粒子径が50nm以上250nm以下であり、
・トナー粒子の表面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察する場合に、シェル層に無機微粒子の形状に由来する凸部が観察される、
トナーは、耐熱保存性に優れ、長期間にわたってトナー粒子にストレスが加わる場合において、現像性の低下を抑制できることが分かる。
Claims (2)
- 結着樹脂を含むトナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、静電潜像現像用トナーであって、
前記シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなり、
前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
前記トナーコアと、前記シェル層との界面に無機微粒子が存在し、
前記無機微粒子の数平均粒子径が60nm以上250nm以下であり、
前記トナー粒子を、走査型電子顕微鏡を用いて観察する場合に、トナー粒子の表面に前記無機微粒子の形状に由来する凸部が観察される、静電潜像現像用トナー。 - 前記トナー粒子の表面に外添剤が付着しており、
前記外添剤が、数平均粒子径1nm以上50nm以下の微粒子を含む、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
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