JP2015084031A - 反射防止膜、光学素子および光学機器 - Google Patents

反射防止膜、光学素子および光学機器 Download PDF

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Abstract

【課題】可視光に対する光学特性として良好な波長特性および入射角特性が得られる光学膜を提供する。
【解決手段】光学膜10は、基材11上に、該基材側から第1層、第2層および第3層の順で積層された3層構造を有する多層膜であり、以下の条件を満足する。1.45≦nSUB≦2.3,nSUB<n1,n3<n2<n1,1.58≦n1≦2.40,1.40≦n2≦1.90,1.10≦n3≦1.30,0.40λ0≦d1≦0.50λ0,0.20λ0≦d2≦0.30λ0,0.20λ0≦d3≦0.30λ0。ただし、λ0は該反射防止膜に入射する光の中心波長550nm、nSUBは基材の該光に対する屈折率、n1,n2,n3はそれぞれ第1層、第2層および第3層の該光に対する屈折率、d1,d2,d3はそれぞれ第1層、第2層および第3層の該光に対する光学膜厚である。
【選択図】図1

Description

本発明は、多層膜として形成され、反射防止機能を有する反射防止膜に関する。
レンズ等の光学素子の表面には、不要な反射を防止するために、一般にマルチコートと呼ばれる誘電体多層膜が形成されることが多い。この多層膜は、屈折率が異なる薄膜(層)をそれぞれ適切な厚さで積層することで、各層の表面および界面で発生する反射波の振幅と位相を調整し、それらの反射波を相互に干渉させることで反射光を低減させるものである。
このような多層膜の反射防止性能を高めるため、最も光入射側の層である最上層に低屈折率材料を用いる構成が知られている。例えば、最上層として、MgF層やSiO層が広く用いられている。さらに、MgF層やSiO層を多孔質化することによって、通常のMgF層およびSiO層よりも低屈折率の層を実現する方法や、これらの低屈折率層を最上層に用いる反射防止膜が提案されている。
特許文献1から4には、3層構造を有し、最上層として多孔質層からなる低屈折率層を用いた反射防止膜が開示されている。具体的には、特許文献1から3には、基材の屈折率nSUBが1.6未満であり、3つの層の屈折率を基材に近い層からn1,n2,n3とするときn3<n2<n1かつnSUB<n1を満足する反射防止膜が開示されている。また、特許文献4には、nSUBが1.65〜1.79の基材に対して、n3<n2<n1<nSUBを満足する反射防止膜が開示されている。
特開2009−210733号公報 特開平10−319209号公報 特開2004−302113号公報 特開2009−193029号公報
しかしながら、特許文献1,2には、反射防止膜に対する光の入射角が0度より大きいときの反射率特性については言及されておらず、特に30度以上の入射角に対して良好な反射防止性能を維持することは難しい。また、特許文献2,3にて開示された反射防止膜は、有効な反射防止性能が得られる波長帯域が紫外域の一部(波長150〜350nm前後)であり、可視光(波長400〜700nm)に対しては適用できない。
本発明、少ない層数によって、可視光に対する良好な反射防止特性(波長特性および入射角特性)が得られる反射防止膜を提供する。
本発明の一側面としての反射防止膜は、基材上に、該基材側から第1層、第2層および第3層の順で積層された3層構造を有する多層膜であり、以下の条件を満足することを特徴とする。
1.45≦nSUB≦2.3
nSUB<n1
n3<n2<n1
1.58≦n1≦2.40
1.40≦n2≦1.90
1.10≦n3≦1.30
0.40λ0≦d1≦0.50λ0
0.20λ0≦d2≦0.30λ0
0.20λ0≦d3≦0.30λ0
ただし、λ0は該反射防止膜に入射する光の中心波長であって550nmであり、nSUBは基材の中心波長550nmの光に対する屈折率であり、n1,n2,n3はそれぞれ、第1層、第2層および第3層の中心波長550nmの光に対する屈折率であり、d1,d2,d3はそれぞれ第1層、第2層および第3層の中心波長550nmの光に対する光学膜厚である。
なお、上記反射防止膜が、光学ガラスを基材として形成された光学素子や、該光学素子を含む光学系を有する光学機器も、本発明の他の一側面を構成する。
本発明によれば、3層という少ない層数によって、可視光に対する反射防止特性(波長特性および入射角特性)が得られる反射防止膜を実現することができる。そして、この反射防止膜が形成された光学素子を光学機器に用いることにより、優れた光学特性を有する光学機器を実現することができる。
本発明の実施例である反射防止膜の構成を示す概略図。 本発明の実施例1である反射防止膜の反射率特性を示す図。 本発明の実施例2である反射防止膜の反射率特性を示す図。 本発明の実施例3である反射防止膜の反射率特性を示す図。 本発明の実施例4である反射防止膜の反射率特性を示す図。 本発明の実施例5である反射防止膜の反射率特性を示す図。 本発明の実施例6である反射防止膜の反射率特性を示す図。 本発明の実施例7である反射防止膜の反射率特性を示す図。 本発明の実施例8である反射防止膜の反射率特性を示す図。 実施例9である反射防止膜の反射率特性を示す図。 実施例10である光学機器の概略図。 比較例1〜3である反射防止膜の反射率特性を示す図。 比較例4,5である反射防止膜の反射率特性を示す図。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の代表的な実施例としての反射防止膜の構成を模式的に示している。なお、以下の説明において、屈折率および光学膜厚の値は、この反射防止膜に入射する中心波長λ0=550nmの光に対する屈折率および光学膜厚である。
反射防止膜10は、基材11上に積層された3つの薄膜層を含む3層構造の誘電体多層膜である。基材11の屈折率nSUBは、
1.45≦nSUB≦2.3 (1)
である。また、3つの薄膜層を、基材側から順に、薄膜層1(第1層)、薄膜層2(第2層)および薄膜層3(第3層)とし、その屈折率をそれぞれn1,n2,n3とする。このとき、それぞれの屈折率は、
nSUB<n1 (2)
n3<n2<n1 (3)
なる条件を満足する。条件(2)を満足することにより、波長帯域が広い優れた反射防止性能を得ることができる。また、波長帯域を十分に得るためには、
n1−nSUB≧0.05 (4)
を満足することが好ましく、
n1−nSUB≧0.1 (4a)
を満足するとさらに好ましい。ただし、n1−nSUBが大きくなりすぎると、薄膜層1と基材11との界面で発生する反射波が大きくなり、反射防止性能が低下する。このため、
n1−nSUB≦0.2 (5)
を満足することが好ましい。
薄膜層1の屈折率n1は、
1.58≦n1≦2.40 (6)
なる条件を満足する。また、薄膜層1の光学膜厚d1は、
0.40λ0≦d1≦0.50λ0 (7)
なる条件を満足する。d1が、
0.42λ0≦d1≦0.50λ0 (7a)
なる条件を満足すると、さらに好ましい。
薄膜層1は、TiO,ZrO,Ta,SiO,CeO,MgO,CeF等の金属酸化物や金属フッ化物を真空蒸着法やスパッタ法を用いて成膜することで形成される。
薄膜層2の屈折率n2は、
1.40≦n2≦1.90 (8)
なる条件を満足する。また、薄膜層2の光学膜厚d2は、
0.20λ0≦d2≦0.30λ0 (9)
なる条件を満足する。d2が、
0.22λ0≦d2≦0.26λ0 (9a)
なる条件を満足すると、さらに好ましい。
薄膜層2は、Al,Y,MgO,CeF等の金属酸化物や金属フッ化物を真空蒸着やスパッタ法を用いて成膜することで形成される。また、シランカップリング剤と金属酸化物を主成分とした溶液やポリイミド溶液や、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂を主成分とする溶液を、ディップ法やスピンコート法等のウェットコート技術を用いて薄膜化することで形成してもよい。
薄膜層3の屈折率n3は、
1.10≦n3≦1.30 (10)
なる条件を満足する。また、薄膜層3の光学膜厚d3は、
0.22λ0≦d3≦0.30λ0 (11)
なる条件を満足する。d3が、
0.23λ0≦d1≦0.27λ0 (11a)
なる条件を満足すると、さらに好ましい。
薄膜層3は、屈折率が低いSiOやMgFからなる中空粒子をスピンコート法で塗布した後、乾燥させることで形成することができる。中空粒子を用いると、内部の空隙に含まれる空気によって通常のSiOやMgFより低い屈折率の膜を実現することができる。
また、薄膜層3を、SiOやMgFを主成分とする(最も多く含む)ゾルゲル液をスピンコート法で塗布し、その後乾燥させ、多孔質化させることによって形成してもよい。中空粒子は空隙が内包されているため、成膜後に外部から空隙に水分や不純物が吸着することを防ぐことができる。このため、中空粒子を用いることで、耐環境性が高く、安定した特性を有する膜を実現することができる。使用する中空粒子の平均粒子径は特に限定はないが、20nm以上70nm以下であると好ましい。中空粒子の粒子径が小さすぎると、粒子を安定的に作成することが難しい一方、大きすぎると粒子間の隙間に大きな空隙が形成されやすく、そこから発生する散乱や粒子起因の散乱により膜の透過率が低下するためである。
また、薄膜層3は、膜の耐摩耗性や密着力を向上させるため、中空粒子をバインダーで結合して生成された膜であることが好ましく、その実現のためにゾルゲル法で成膜することが好ましい。
なお、中空粒子の塗工方法はスピンコート法に限らず、ディップコート法、ロールコート法、スプレーコート法等の他の一般的な塗工方法を用いてもよい。ただし、レンズのように曲面を有する基材に対しては、基材の位置によらず均一な膜厚を実現できることから、スピンコート法を用いることが望ましい。塗工した後、膜から有機溶媒を効率的に揮発させるため、熱や風により乾燥させることが好ましい。基材や中空粒子への影響を考慮すると、300℃以下の温度で乾燥することが好ましく、ホットプレート、乾燥機、電気炉等を用いることができる。薄膜層3は、通常は1回の塗工と乾燥で成膜されることが好ましいが、膜厚や屈折率の調整や散乱の低減等のため、塗工と乾燥を複数回繰り返してもよい。
さらに、
1.80≦nSUB≦2.30 (12)
という高屈折率の基材11に対してより高い反射防止性能を得るためには、
1.90≦n1≦2.40 (13)
1.60≦n2≦1.90 (14)
1.10≦n3≦1.28 (15)
なる条件を満足することが好ましい。
以上の条件を満足する実施例の反射防止膜は、可視波長域の全域(波長400〜700nm)にわたる広い波長帯域および0〜45°以上の広い入射角範囲で優れた反射防止特性を実現することができる。そして、実施例の反射防止膜を表面に形成した光学素子は、光学機器の光学系に使用されることで十分な透過率を確保でき、フレアやゴースト等の不要光の発生を抑制することができる。
以下、上記実施例の具体例(実験例)を実施例1〜10として示すとともに、実施例の効果をより明確にするための比較例を示す。なお、以下の実施例1〜10は、構成例に過ぎず、本発明の実施例を限定するものではない。
表1には、実施例1の反射防止膜の構成を示す。本実施例の反射防止膜は、基材11として屈折率2.01の光学ガラス(S−LAH79/OHARA製)を使用した。また、薄膜層1〜3の屈折率はn1=2.12,n2=1.65,n3=1.18であり、光学膜厚はd1=0.481λ0,d2=0.241λ0,d3=0.248λ0である。なお、表中には、λ0をλと略記しており、このことは後述する他の実施例および比較例において同じである。
また、本実施例において、薄膜層1はTiOとZrOの混合物を用いて、薄膜層2はAlを用いて、それぞれ真空蒸着法により成膜した。また、薄膜層3は、屈折率を調整した中空SiOとバインダーとを含有する溶液をスピンコートで塗布し、100℃以上250℃以下に保持したクリーンオーブンで1時間乾燥して成膜した。
図2に本実施例の反射率特性を示す。同図より、本実施例の反射防止膜は、可視波長域の全域(400〜700nm)にわたって高い反射防止性能を有することが分かる。特に、入射角30度以下では450nm〜700nmにおいて反射率が0.1%以下であり、入射角45度でも可視波長域の全域で反射率0.5%以下という高い反射防止性能を達成している。
(比較例1)
表10には、比較例1としての特許文献4にて開示されたn3<n2<n1<nSUBを満足する反射防止膜の構成を示す。薄膜層1の屈折率はn1=1.96であり、基材および薄膜層2,3の屈折率は実施例1と同じある。また、光学膜厚はd1=0.498λ0、d2=0.238λ0、d3=0.246λ0である。薄膜層1〜3は、実施例1と同様の方法で成膜した。
図12(A)には、本比較例の反射率特性を示す。同図より、入射角が0〜30度のときに反射率0.1%以下の性能が得られる波長域は450〜600nm程度と狭く、400nmや700nmでは反射率が0.5%を超える。また、入射角45度では、波長550nm以上で波長が大きくなるほど反射率も大きくなり、700nmで1.5%を超える。この結果より、n1<nSUBである場合と比較して、nSUB<n1を満足する実施例の構成は波長特性や入射角特性においてより優れた反射防止性能を有することが分かる。
表2には、実施例2の反射防止膜の構成を示す。本実施例の反射防止膜は、基材11として屈折率1.89の光学ガラス(S−LAH58/OHARA製)を使用した。また、薄膜層1〜3の屈折率はn1=2.04,n2=1.65,n3=1.19であり、光学膜厚はd1=0.435λ0,d2=0.236λ0,d3=0.241λ0である。薄膜層1はZrOを用いて、薄膜層2はAlを用いて、それぞれ真空蒸着法により成膜した。また、薄膜層3は、実施例1と同様に成膜した。
図3に本実施例の反射率特性を示す。同図より、本実施例の反射防止膜は、可視波長域の全域(400〜700nm)にわたって高い反射防止性能を有することが分かる。特に、入射角30度以下では可視波長域の全域において反射率が0.2%以下であり、入射角45度でも可視波長域の全域で反射率0.6%以下という高い反射防止性能を達成している。
(比較例2)
表11には、比較例2としての特許文献2にて開示された膜構造を有する反射防止膜の構成を示す。なお、特許文献2の反射防止膜は紫外域で用いるため、設計波長をλ=200nmとしているが、本比較例ではλ=550nmに変更している。本比較例は、実施例2と比較して、第1層の光学膜厚が0.06λ0と極めて薄く、第2層は0.410λ0と2倍程度厚い構成である。
図12(B)に本比較例の反射率特性を示す。同図より、波長が550nmより短い領域での反射率が高く、400nmでは入射角0度で反射率が2%を超える。このことから、特許文献2の構成をそのまま可視波長領域に適用した場合と比較して、実施例2の構成は、広い波長帯域において優れた反射防止性能を有することが分かる。
(比較例3)
表12には、比較例3としての特許文献3にて開示された膜構造を有する反射防止膜の構成を示す。特許文献3の反射防止膜はArFエキシマレーザー用であるために設計波長をλ0=193nmとしているが、本比較例では可視波長域で使用するため、λ0=550nmに変更している。本比較例は、実施例2と比較して、第2層の光学膜厚が0.114λ0と薄い。
図12(C)に本比較例の反射率特性を示す。同図より、波長が500nm以下の領域での反射率が高く、400nmでは入射角0度で反射率が2%を超える。また、入射角45度のとき、反射率が0.5%以下の波長域が400〜630nm程度と狭く、波長700nmでは反射率が1%を超える。このことから、特許文献3の構成をそのまま可視波長域に適用した場合と比較して、実施例2の構成は広い波長帯域において優れた反射防止性能を有することが分かる。
表3には、実施例3の反射防止膜の構成を示す。本実施例の反射防止膜は、基材11として屈折率1.84の光学ガラス(S−LAH55/OHARA製)を使用している。また、薄膜層1〜3の屈折率はn1=1.98,n2=1.62,n3=1.19であり、光学膜厚はd1=0.434λ0,d2=0.239λ0,d3=0.241λ0である。薄膜層1はSiOを用いて、薄膜層2はAlを用いて、それぞれ真空蒸着法により成膜した。また、薄膜層3は、実施例1と同様の方法で成膜した。
図4に、本実施例の反射率特性を示す。同図より、本実施例3の反射防止膜は可視波長域の全域(400〜700nm)にわたって高い反射防止性能を有することが分かる。特に、入射角30度以下では反射率が0.2%以下であり、入射角45度でも可視波長域の全域で反射率0.6%以下という高い反射防止性能を達成している。
表4には、実施例4の反射防止膜の構成を示す。本実施例の反射防止膜は、基材11として屈折率2.16の光学ガラス(K−PSFn215/住田光学ガラス製)を使用している。また、薄膜層1〜3の屈折率はn1=2.34,n2=1.87,n3=1.25であり、光学膜厚はd1=0.447λ0,d2=0.245λ0,d3=0.252λ0である。薄膜層1はTiOを用いて、薄膜層2はYを用いて、それぞれ真空蒸着法により成膜した。また、薄膜層3は、実施例1と同様の方法で成膜した。
図5に、本実施例の反射率特性を示す。同図より、本実施例の反射防止膜は、入射角30度以下のときは波長430〜700nmで反射率が0.3%以下であり、入射角45度でも波長400〜700nmで反射率0.8%以下という高い反射防止性能を達成していることが分かる。
表5には、実施例5の反射防止膜の構成を示す。本実施例の反射防止膜は、基材11として屈折率2.01の光学ガラス(S−LAH79/OHARA製)を使用している。また、薄膜層1〜3の屈折率はn1=2.13,n2=1.75,n3=1.25であり、光学膜厚はd1=0.453λ0,d2=0.237λ0,d3=0.244λ0である。薄膜層1はCeOを用いて、薄膜層2はMgOを用いて、それぞれ真空蒸着法により成膜した。また、薄膜層3は、実施例1と同様の方法で成膜した。
図6には、本実施例の反射率特性を示す。同図より、本実施例の反射防止膜は、可視波長域の全域(400〜700nm)において、入射角30度以下のときは反射率0.3%以下、入射角45度でも反射率0.8%以下という高い反射防止性能を達成している。
表6には、実施例6の反射防止膜の構成を示す。本実施例の反射防止膜は、基材11として屈折率1.81の光学ガラス(S−LAH65V/OHARA製)を使用している。また、薄膜層1〜3の屈折率はn1=1.98,n2=1.63,n3=1.20であり、光学膜厚はd1=0.442λ0,d2=0.237λ0,d3=0.240λ0である。薄膜層1はSiOを用いて、薄膜層2はAlを用いて、それぞれ真空蒸着法により成膜した。また、薄膜層3は、実施例1と同様の方法で成膜した。
図7には、本実施例の反射率特性を示す。同図より、本実施例の反射防止膜は、可視波長域の全域(400〜700nm)において、入射角30度以下のときは反射率0.3%以下、入射角45度でも反射率0.6%以下という高い反射防止性能を達成している。
表7には、実施例7の反射防止膜の構成を示す。本実施例の反射防止膜は、基材11として屈折率1.70の光学ガラス(S−LAL14/OHARA製)を使用している。また、薄膜層1〜3の屈折率はn1=1.81,n2=1.54,n3=1.17であり、光学膜厚はd1=0.444λ0,d2=0.235λ0,d3=0.249λ0である。薄膜層1はYを用いて、薄膜層2はLaFを用いて、それぞれ真空蒸着法により成膜した。また、薄膜層3は、実施例1と同様の方法で成膜した。
図8には、本実施例の反射率特性を示す。同図より、本実施例の反射防止膜は、可視波長域の全域(400〜700nm)において、入射角30度以下のときは反射率0.3%以下、入射角45度でも反射率0.4%以下という高い反射防止性能を達成している。
表8には、実施例8の反射防止膜の構成を示す。本実施例の反射防止膜は、基材11として屈折率1.61の光学ガラス(S−BSM14/OHARA製)を使用している。また、薄膜層1〜3の屈折率はn1=1.74,n2=1.46,n3=1.16であり、光学膜厚はd1=0.443λ0,d2=0.228λ0,d3=0.243λ0である。薄膜層1はMgOを用いて、薄膜層2はSiOを用いて、それぞれ真空蒸着法により成膜した。また、薄膜層3は、実施例1と同様の方法で成膜した。
図9には、本実施例の反射率特性を示す。同図より、本実施例の反射防止膜は、可視波長域の全域(400〜700nm)において、入射角45度以下のときに反射率0.3%以下という高い反射防止性能を達成している。
表9には、実施例9の反射防止膜の構成を示す。本実施例の反射防止膜は、基材11として屈折率1.50の光学ガラスを使用している。また、薄膜層1〜3の屈折率はn1=1.60,n2=1.43,n3=1.16であり、光学膜厚はd1=0.433λ0,d2=0.236λ0,d3=0.241λ0である。薄膜層1はCeFを用いて、薄膜層2はCaFを用いて、それぞれ真空蒸着法により成膜した。また、薄膜層3は、実施例1と同様の方法で成膜した。
図10には、本実施例の反射率特性を示す。同図より、本実施例の反射防止膜は、可視波長域の全域(400〜700nm)において、入射角30度以下のときは反射率0.3%以下、入射角45度でも反射率0.5%以下という高い反射防止性能を達成している。
また、図11には、薄膜層1〜3の膜厚が表9に示した値に対して20%減であるときの反射防止膜の反射率特性を示す。同図より、膜厚が−20%である場合でも、入射角0度では波長域400〜700nmにおいて反射率0.3%以下を達成する。これにより、本実施例の反射防止膜は、膜厚が変化したときの反射防止性能の悪化が少なく、特にレンズ等の曲率を有する素子を基材として成膜する場合に有利な構成と言える。
(比較例4)
表13には、比較例4として特許文献1にて開示されている膜構造を有する反射防止膜の構成を示す。本比較例は、実施例9と比較して、第1層の光学膜厚が0.362λ0と厚い構成である。
また、図13(A)に本比較例の反射率特性を、図13(B)に本比較例の膜厚が表13に示した値に対して−20%のときの反射率特性をそれぞれ示す。図13(A)より、入射角30度以下では波長域400〜700nmで0.4%以下と優れた反射防止性能を示すが、入射角が45度になると波長700nmで反射率が1%を超える。
さらに、図13(B)に示すように、膜厚が−20%になると、波長550nmより大きい波長域で反射率特性が低下し、0度入射の場合でも波長700nmで反射率が1.0%を超える。このことから、特許文献1の構成と比較して、実施例9の構成は、入射角特性に優れた反射防止性能を有しており、膜厚が変化しても性能の低下が少ないため、曲率を有する基材上に成膜する場合に有利であると言える。
図11には、本発明の実施例10である光学機器としての撮像装置を示している。図11において、101は撮像装置としてのデジタルカメラであり、102は実施例1〜9のうちいずれかの反射防止膜が形成された光学素子(レンズ)を用いて構成された撮像光学系102である。撮像光学系102は、複数のレンズによって構成されており、これらのレンズ面のうち少なくとも1面に実施例1〜9のうちいずれかの反射防止膜が形成されている。
このため、本実施例のデジタルカメラ101は、フレアやゴースト等の有害な反射光の発生を抑えることができ、良好な画質の画像が得られる。
なお、本実施例では光学機器の1例としてデジタルカメラについて説明したが、交換レンズ、双眼鏡および画像投射装置等の各種光学機器の光学系に用いてもよい。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
優れた光学特性を有する反射防止膜を提供でき、各種光学機器に利用できる。
1 薄膜層1
2 薄膜層2
3 薄膜層3
10 反射防止膜
11 基材

Claims (8)

  1. 基材上に、該基材側から第1層、第2層および第3層の順で積層された3層構造を有する多層膜であって、以下の条件を満足することを特徴とする反射防止膜。
    1.45≦nSUB≦2.3
    nSUB<n1
    n3<n2<n1
    1.58≦n1≦2.40
    1.40≦n2≦1.90
    1.10≦n3≦1.30
    0.40λ0≦d1≦0.50λ0
    0.20λ0≦d2≦0.30λ0
    0.20λ0≦d3≦0.30λ0
    ただし、λ0は前記反射防止膜に入射する光の中心波長であって550nmであり、nSUBは前記基材の中心波長550nmの光に対する屈折率であり、n1,n2,n3はそれぞれ、前記第1層、前記第2層および前記第3層の中心波長550nmの光に対する屈折率であり、d1,d2,d3はそれぞれ前記第1層、前記第2層および前記第3層の中心波長550nmの光に対する光学膜厚である。
  2. 前記第3層は、SiOまたはMgFを含むことを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜。
  3. 前記第3層は、中空粒子を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止膜。
  4. 前記第3層は、前記中空粒子をバインダーにより結合して生成された膜により構成されることを特徴とする請求項3に記載の反射防止膜。
  5. 前記中空粒子の平均粒子径が、20nm以上70nm以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の反射防止膜。
  6. 以下の条件を満足することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光学膜。
    1.80≦nSUB≦2.30
    1.90≦n1≦2.40
    1.60≦n2≦1.90
    1.10≦n3≦1.28
  7. 光学ガラスと、
    該光学ガラスを前記基材として、その表面に形成された請求項1から6のいずれか一項に記載の光学膜とを有することを特徴とする光学素子。
  8. 請求項7に記載の光学素子を含む光学系を有することを特徴とする光学機器。
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