JP2015059214A - 分岐材、重合体組成物の製造方法及び重合体組成物 - Google Patents

分岐材、重合体組成物の製造方法及び重合体組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ラジカル重合可能なビニル系単量体から得られる重合体において、線状重合体と分岐状重合体とを同時に得るだけでなく、選択的に分岐状重合体を製造すると共に当該分岐状重合体の分子量及び含有量を効率よく制御して製造することができる分岐材を提供する。【解決手段】分岐材は、下記(A)〜(C)の要件を満足するブロック共重合体を含む。(A)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素系単位を主とする重合体ブロック(a)と、共役ジエン系化合物単位を含み、当該重合体ブロック(a)とは異なる、少なくとも1つの重合体ブロック(b)と、を有する;(B)前記ブロック共重合体中の共役ジエン系化合物単位の含有量が5質量%〜40質量%である;(C)前記ブロック共重合体中のビニル結合量が20〜70%である。【選択図】図1

Description

本発明は、分岐材、重合体組成物の製造方法及び重合体組成物に関する。
一般に樹脂成形品となる高分子量体は、各種機械物性の特性と成形加工時の流動性を付与させる観点から、広い分子量分布を有するように設計されている。特に、レオロジー特性や高分子特性を向上させたい場合は、高分子量成分を増やし、また、加工性を重視したい場合は、低分子量成分を増やす方法が取られている。例えば、高分子成分を増やす方法としては、次の方法がある。
特許文献1では、増やしたい高分子量成分の高分子量体をアニオン重合法により個別に重合し、溶融又は溶液状態でブレンドする方法が提案されている(方法1)。また、多官能開始剤を使って選択的に高分子量成分を導入する方法も知られている(方法2)。
また、導入される高分子量成分の構造は、線状型高分子量体よりも分岐型高分子量体の方が好ましいことが知られている(例えば、特許文献2参照)。
例えば、分岐型高分子量体の代表的な合成法として、リビング重合法で高分子量体を生成させて重合終了時にジビニルエーテルやジビニルベンゼン等の2官能性単量体を添加する方法、マクロモノマーを単独重合する方法、デンドリマー型のマクロモノマーを分岐材として利用する方法等、各種方法が考案されている。
特開平09−143322号公報 特開平09−302171号公報
しかし、方法1においては、ラジカル重合法とアニオン重合法という2つの重合プロセスを要すること、更に、溶融又は溶液ブレンドする工程が必要なことから、工業的に効率よく製造する方法とはいえない。方法2については、一つの重合系の中で同時に選択的に高分子量成分を導入できるが、開始剤の添加量は狙いの分子量によって決定され、それによって高分子量成分の導入量が限定される。つまり、高分子成分の含有割合を自由に制御することができない。このように、これらの公知の方法は、いずれも分岐型高分子量体単独の合成法ということができ、樹脂成形品等に使用される多分散型高分子量体としてそのまま利用することはできない。
即ち、特許文献1〜2等に記載の技術では、樹脂成形品等に利用される多分散型高分子量体の製造時において、選択的に分岐型高分子量体を同時に製造し、且つ、その分岐型高分子量体の分岐数や分子量、含有量を任意に制御することができない。
本発明は、上記従来技術が有する問題に鑑みてなされたものであり、ラジカル重合可能なビニル系単量体から得られる重合体において、線状重合体と分岐状重合体とを同時に得るだけでなく、選択的に分岐状重合体を製造すると共に当該分岐状重合体の分子量及び含有量を効率よく制御して製造することができる分岐材を提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記分岐材を用いた重合体組成物の製造方法及び重合体組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、本件課題を解決する手段を見出した。即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]
下記(A)〜(C)の要件を満足するブロック共重合体を含む、分岐材:
(A)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素系単位を主とする重合体ブロック(a)と、共役ジエン系化合物単位を含み、当該重合体ブロック(a)とは異なる、少なくとも1つの重合体ブロック(b)と、を有する;
(B)前記ブロック共重合体中の共役ジエン系化合物単位の含有量が5質量%〜40質量%である;
(C)前記ブロック共重合体中のビニル結合量が20〜70%である。
[2]
前記ビニル芳香族炭化水素がスチレンであり、前記共役ジエン系化合物が1,3−ブタジエンである、[1]に記載の分岐材。
[3]
前記ブロック共重合体の末端の少なくとも1つが重合体ブロック(b)である、[1]又は[2]に記載の分岐材。
[4]
前記ビニル結合量が30〜60%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の分岐材。
[5]
下記工程(I)、(II)を順に含む、重合体組成物の製造方法。
ラジカル重合可能な単量体に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分岐材を溶解する工程(I);
ラジカル重合を行う工程(II)。
[6]
前記ラジカル重合可能な単量体から得られる重合体が、メタクリレート系単量体、アクリレート系単量体、ニトリル系ビニル単量体、塩化ビニル及び酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種の単独重合体又は少なくとも2種の共重合体並びにビニル芳香族炭化水素単量体とニトリル系ビニル単量体、塩化ビニル及び/又は酢酸ビニルとの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である、[5]に記載の重合体組成物の製造方法。
[7]
前記工程(I)において、前記分岐材の含有量が前記ラジカル重合可能な単量体の0.5〜10質量%である、[5]又は[6]に記載の重合体組成物の製造方法。
[8]
[5]〜[7]のいずれかに記載の製造方法で得られる、重合体組成物。
[9]
線状重合体と分岐状重合体を含む重合体組成物であって、
前記分岐状重合体が[1]〜[4]のいずれかに記載の分岐材中の共役ジエン系化合物単位を起点として分岐している、重合体組成物。
[10]
前記分岐状重合体中の分岐材に由来するビニル芳香族炭化水素の含有量が0.5質量%〜10質量%である、[9]に記載の重合体組成物。
[11]
メタクリレート系単量体、アクリレート系単量体、ニトリル系ビニル単量体、塩化ビニル及び酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種の単独重合体又は少なくとも2種の共重合体並びにビニル芳香族炭化水素単量体とニトリル系ビニル単量体、塩化ビニル及び/又は酢酸ビニルとの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上を前記線状重合体として含む、[8]〜[10]のいずれかに記載の重合体組成物。
本発明の分岐材によれば、ラジカル重合可能なビニル系単量体から得られる重合体において、線状重合体と分岐状重合体とを同時に得るだけでなく、選択的に分岐状重合体を製造すると共に当該分岐状重合体の分子量及び含有量を効率よく制御して製造することができる。また、本発明の重合体組成物によれば、優れた伸長粘度と溶融加工時の熱安定性を発現することができる。
実施例1と参考例1の分子量分布を対比させて示したグラフである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[分岐材]
本実施形態に係る分岐材は、下記(A)〜(C)の要件を満足するブロック共重合体を含む:
(A)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素系単位を主とする重合体ブロック(a)と、共役ジエン系化合物単位を含み、当該重合体ブロック(a)とは異なる、少なくとも1つの重合体ブロック(b)と、を有する;
(B)ブロック共重合体中の共役ジエン系化合物単位の含有量が5質量%〜40質量%である;
(C)ブロック共重合体中のビニル結合量が20〜70%である。
上記のように構成されているため、本実施形態の分岐材によれば、ラジカル重合可能なビニル系単量体から得られる重合体において、線状重合体と分岐状重合体とを同時に得るだけでなく、選択的に分岐状重合体を製造すると共に当該分岐状重合体の分子量及び含有量を効率よく制御して製造することができる。
本実施形態における分岐材とは、ラジカル重合可能な単量体と同一の重合場に存在させることにより、分岐状重合体を生成することができるものであり、選択的に分岐状重合体を生成する用途に特に好適に用いられるものである。本実施形態における分岐材は、後に詳述するが、特定の要件を満足するビニル芳香族系単量体及び共役ジエン系単量体を由来とする構成成分を有する(ブロック)共重合体ということもできる。
本実施形態における分岐材となるブロック共重合体とは、ビニル芳香族系単量体及び共役ジエン系単量体を使って、例えば、リビングアニオン重合法によって製造された共重合体のことである。
以下、本実施形態におけるブロック共重合体が満たす要件(A)〜(C)について詳細に説明する。
(要件(A))
本実施形態におけるブロック共重合体は、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素系単位を主とする重合体ブロック(a)と、共役ジエン系化合物単位を含み、当該重合体ブロック(a)とは異なる、少なくとも1つの重合体ブロック(b)と、を有する。なお、「主とする」とは、ビニル芳香族炭化水素系単位が重合体ブロック(a)中に70質量%以上含むことを意味する。ビニル芳香族炭化水素系単位は、重合体ブロック(a)中に72質量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは75質量%以上である。すなわち、本実施形態におけるブロック共重合体は、共役ジエン系単量体成分を含有しないビニル芳香族系単量体を由来とする高分子量体成分を1ブロック以上有している。この1ブロック当りの高分子量体成分の分子量は、2000以上あることが好ましい。このブロック成分を有さない場合、ビニル芳香族系単量体を主成分としたラジカル重合系において、分岐状重合体を形成する前の重合初期段階でブロック共重合体の相分離が起きやすくなり、効率よく分岐状重合体を形成しにくくなる。重合体ブロック(b)は、共役ジエン系化合物単位を含み、重合体ブロック(a)とは異なるブロックである。なお、重合体ブロック(b)中における共役ジエン系化合物単位の含有量が30質量%を超えることが好ましく、より好ましくは32質量%以上であり、さらに好ましくは35質量%以上である。重合体ブロック(b)は共役ジエン系化合物単位、単体からなるブロック(ホモブロック)であってもよい。
本実施形態におけるビニル芳香族炭化水素系単位は、ビニル芳香族系単量体に由来する。上記ビニル芳香族系単量体とは、リビングアニオン重合可能なビニル基と芳香環成分を有する単量体のことである。具体的には、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、ジエチルスチレン等の芳香環にアルキル置換されたスチレン、α―メチルスチレン、α−エチルスチレン等のα位にアルキル置換されたスチレン、メトキシスチレン等の芳香環にアルコキシ置換されたスチレンを例示することができるが、これらのみに限定されるものではない。本実施形態におけるビニル芳香族系単量体は、更にジフェニルエチレン、ジビニルベンゼンを少量含有していてもよい。これらのビニル芳香族系単量体は、単独で用いてもよく共重合体でも構わない。上記した中でも特に好ましい単量体は、スチレンである。
本実施形態における共役ジエン系化合物単位は、共役ジエン系単量体に由来する。上記共役ジエン系単量体とは、共役ジエン構造を持ち、リビングアニオン重合が可能な単量体のことである。具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン等の鎖状型共役ジエン系単量体、1,3−シクロヘキサジエン等の環状型共役ジエン系単量体が挙げられるがこれらのみに限定されるものではない。上記した中でも特に好ましいのは1,3−ブタジエンである。
(要件(B))
本実施形態において、ブロック共重合体中の共役ジエン系化合物単位の含有量は、5質量%以上40質量%以下である。上記含有量が上記範囲内にあることにより、本実施形態の分岐材は、本実施形態所望の高分子量成分の導入を図ることができるとともに、十分な透明性・衝撃強度を発現することができる。上記含有量は、上記同様の観点から、好ましくは、7質量%以上38質量%以下、更に好ましくは、10質量%以上35質量%以下である。上記含有量が5質量%未満である場合、分岐状重合体の枝となる高分子鎖の数が少なくなり、目的とする高分子量成分の導入が図れない。また、上記含有量が40質量%を超える場合、分岐状重合体を形成する前に、ラジカル重合で得られるマトリックス高分子量体とブロック共重合体とが相分離してゴム粒子を形成してしまう。即ち、単に分岐状重合体が得られないだけでなく、透明性の低下や衝撃強度の低下が起こる。
例えば、特開昭63−165413号公報に記載されているブロック共重合体を用いた場合、即ち、ブタジエンの含有量が40質量%より多い65質量%〜85質量%の領域のポリスチレンとポリブタジエンのブロック共重合体を用いた場合は、たとえビニル結合量が20%より多くても分岐状重合体を形成する前にマトリックスのポリスチレンとの相分離が起こり、ゴム粒子を形成してしまう。そのため、耐衝撃性の向上は図れるが、本発明の目的である伸長粘度等のレオロジー特性の向上を達成することはできない。
(要件(C))
本実施形態における共重合体中のビニル結合量は、20%以上70%以下である。上記ビニル結合量が上記範囲内にあることにより、本実施形態の分岐材は、本実施形態所望の高分子量成分の導入を図ることができるとともに、十分な熱安定性を発現することができる。上記ビニル結合量は、上記同様の観点から、好ましくは25%以上65%以下であり、より好ましくは30%以上60%以下である。なお、共重合体中のビニル結合量については、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。本実施形態において、「ビニル結合量」とは、上記ブロック共重合体中における共役ジエン系単量体の全結合に対するビニル基を生成する結合の割合である。なお、共役ジエン系単量体をリビングアニオン重合した場合、1,2−結合と1,4−結合が生成するが、その1,2−結合の成分割合が20%以上70%以下であることが好ましく、より好ましくは25%以上65%以下であり、更に好ましくは30%以上60%以下である。ビニル結合量が20%よりも少ないと、ラジカル重合時に分岐型高分子の枝となる高分子鎖の数が少なくなり、目的とする高分子量成分の導入が図れない。また、70%よりも多くなるとブロック共重合体そのものの熱安定性が悪くなり、分岐材として使用するまでにゲル化物の生成等の品質低下を起こす恐れがある。なお、ブロック共重合体中の共役ジエン系化合物単位の含有量については、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態におけるブロック共重合体は、線状型、カップリング型、星型、ブロック成分数の異なる高分子量体の混合組成物など、様々な形状・形態をとっても構わない。
本実施形態における分岐材であるブロック共重合体の構成成分は、最も汎用的に利用されているスチレン及び1,3−ブタジエンを単量体として得られる構成成分であることが好ましい。
また、本実施形態におけるブロック共重合体中の末端の少なくとも1つが重合体ブロック(b)である場合、更に分岐状重合体を生成しやすい傾向にあるため好ましい。特に、上記ブロック共重合体が線状型の場合は両末端側に、カップリング型及び星型高分子量体の場合は、すべての高分子鎖末端に共役ジエン系単量体由来の高分子量成分が配置されていると効率よく分岐状重合体を生成しやすいので好ましい。
[分岐材の製造方法]
以下に、本実施形態における分岐材の製造方法の一例を示す。本実施形態の分岐材に含まれるブロック共重合体を重合させるための重合溶媒としては、ブロックポリマーの生産効率を十分に確保する観点から、炭化水素系の溶媒を用いることが好ましい。炭化水素系の溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等のC4以上の脂肪族系炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素等を用いることができる。上記した炭化水素系の溶媒の中でも、好ましい例として、工業的に最も多く利用されているヘキサン、シクロヘキサンが挙げられる。
本実施形態の分岐材に含まれるブロック共重合体を重合させるための重合開始剤としては、特に限定されず、汎用的に利用されているものを使用することができる。代表的な重合開始剤としては、例えば、有機リチウム化合物があり、モノ有機リチウム化合物又は多官能性有機リチウム化合物、あるいはモノ有機リチウム化合物と多官能性有機リチウム化合物との混合物であってもよい。
上記モノ有機リチウム化合物としては、特に限定されないが、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、ベンジルリチウム等が挙げられる。上記の中でも、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが好適に用いられる。上記多官能性有機リチウム化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,6−ジリチオヘキサン、1,4−ジリチオシクロヘキセン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3−ジリチオ−4−フェニルブタン、1,2−ジリチオ−1,2−ジフェニル−エタン、1,10−ジリチオデカン、1,20−ジリチオエイコサン、1,1−ジリチオジフェニレン、1,4−ジリチオベンゼン、1,5−ジリチオナフタレン、ジリチオポリブタジエン、ジリチオイソプレン、ジリチオジイソプレン、ジリチオポリイソプレン、2,2’−2”−トリリチオ−p−ターフェニル、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリリチオ−2,4,6−トリエチルベンゼン、n−ブチルリチウムと1,3−ブタジエン及びジビニルベンゼンとの反応物、n−ブチルリチウムとポリアセチレン化合物との反応物等が挙げられる。また、有機アミノリチウム、スチリルリチウム、ブタジエニルリチウムなどの重合開始能のある重合開始剤を利用してもよい。
なお、重合開始剤と錯体を形成させて、共役ジエン系単量体由来のビニル結合量や分子量分布、ビニル芳香族系単量体と共役ジエン系単量体の共重合性比を制御することも可能である。例えば、共役ジエン系単量体としてブタジエンを用い、開始剤としては、対カチオン金属のリチウムと錯体を形成する鎖状エーテル、環状エーテル、鎖状3級アミン、環状3級アミンなどのルイス塩基やアルコキシ金属化合物などの重合成長種に対してのルイス酸を、アルキルリチウムに混ぜて錯体形成後に重合開始を行うことで、ビニル結合量を効果的に増加させることができる。その増加レベルは、添加量によって変化し、一般にはルイス塩基、酸の添加量を増加させるとそれに比例してビニル結合量も増加する。それによって、ビニル結合量は、12〜80%の領域で自由に制御することができる。例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のモノエーテル類;ジメチルエチルエーテル等のジエーテル類、メチルアミンなどのモノアミン類;テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロピルジアミン等のジアミノ化合物などがあり、特に好ましくは、1分子中に2つの酸素又は窒素を含有している化合物が好ましい。
ビニル結合については分子鎖に均一になるように重合してもよく、あるいは、分子鎖に沿って漸減的に変化するように重合してもよく(特公昭47−875号公報)、さらにはブロック的に結合するように重合してもよい(米国特許第3301840号明細書)。ビニル結合を分子鎖中に均一になるように重合するには、通常重合開始温度を30〜90℃とし、できる限り定温重合する方法が採用され、また、ビニル結合を分子鎖に沿って漸減的に変化するように重合するためには、重合を昇温下で実施する方法、すなわち、通常重合開始温度を30〜80℃とし、重合終了温度を85〜120℃とする方法、又は重合中に上記ビニル結合量調整剤を漸増的に添加する方法等が採用される。
例えば、スチレン、1,3−ブタジエンをリビング重合して本実施形態におけるブロック共重合体を得る方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、単量体を重合させ、重合率がほぼ100%に到達したら次の単量体を重合系内に添加し次のブロック成分を重合させ、以降同様の操作を繰り返してブロックポリマーを生成させる。最後の単量体添加後に重合率が100%になったら重合停止剤を添加して重合反応を完結させる。
上記重合停止剤としては、特に限定されないが、例えば、水、アルコール類、カルボン酸類、アミノ化合物等のプロトン源を有する化合物を用いることができる。また、ハロゲン化ケイ素、アルコキシシラン、エステル類、エポキシ化合物等をカップリング剤として利用することもできる。
[重合体組成物]
本実施形態の重合体組成物は、線状重合体と分岐状重合体を含む。分岐状重合体は同一分子量の線状重合体に比べてポリマー鎖の慣性半径が小さくなるため、流動性が向上し、更に、高分子鎖の絡み合い点数が増加することによって伸長粘度や溶融張力等のレオロジー特性や機械的強度、耐久性、耐クリープ性、耐薬品性等の高分子特性の向上が図れる。
また、本実施形態の重合体組成物においては、分岐状重合体が本実施形態の分岐材中の共役ジエン系化合物単位を起点として分岐している。上記のように構成されているため、本実施形態の重合体組成物は、分岐状重合体に含まれるブロック共重合体(分岐材)以外の成分(分岐鎖部分)の種類、分子量及び分子量分布が線状重合体と同一になる。そのため、分子レベルで微分散が可能となり、透明性を保持できる。
さらに、分岐状重合体鎖と線状重合体鎖が相溶系となることで高分子鎖の絡み合い効率が高くなり、機械物性やレオロジー特性(伸長粘度)の大幅向上が期待できる。また、本実施形態におけるブロック共重合体の構造が熱可塑性エラストマー性能を有する構造、例えば、ハードセグメントとなるビニル芳香族系の高分子鎖(S)とソフトセグメントとなる共役ジエン系の高分子鎖(B)が、S−B−S、B−S−B−S、B−S−B−S−Bなどの様にSとSの間にB成分がある構造であれば、分岐材として作用するだけでなく耐衝撃性改良材としての機能も付与できる傾向にある。
一般に、リビングアニオン重合法で重量平均分子量が数100万の超高分子量ポリスチレンを、ラジカル重合法で得られた重量平均分子量が数10万のポリスチレンに溶液ブレンドすることで強度や耐薬品性等の機械物性を向上させることができる。しかし、線状型の超高分子量体は、成形加工時に付加される極わずかな剪断力でポリマー鎖が切断し、容易に分子量低下を起こしてしまい、実質的に溶融成形加工を伴う用途には使用できないという問題がある。一方、本実施形態の重合体組成物は、成形加工時の分子量低下による物性低下や流動性の変化がないだけでなく、同時にタフネス付与もでき、溶融加工時の熱安定性がよくなる。加工条件によって分子量低下レベルが変わることは、即ち、製品の収率や品質にも大きく影響を及ぼすことになるが、本実施形態の重合体組成物によれば、その様な問題が生じ難く、優れた性能バランスと品質を維持することができる。
なお、本実施形態の重合体組成物に含まれる分岐状重合体が本実施形態の分岐材中の共役ジエン系化合物単位を起点として分岐していることは、後述する実施例に記載のとおり、分岐材(ブロック共重合体)中のポリブタジエン内にある2重結合部を分解することによって確認できる。すなわち、分解後のGPCチャートの分子量分布が低分子量側にシフトしていれば、分岐状重合体が本実施形態の分岐材中の共役ジエン系化合物単位を起点として分岐している。
[重合体組成物の製造方法]
次に、本実施形態に係る重合体組成物の製造方法は、ラジカル重合可能な単量体に、本実施形態の分岐材を溶解する工程(I)と、ラジカル重合を行う工程(II)と、を含む。このように構成されているため、本実施形態に係る重合体組成物の製造方法によれば、分岐型高分子を非常に効率よく微分散化することができる。そのため、少ない分岐材添加量で大きな性能向上の効果が期待できる。なお、本実施形態におけるラジカル重合は、分岐状重合体と線状重合体とをブレンドする方法に比べて製法上の効率がよいといえる。なお、重量平均分子量が数百万レベルの分岐型高分子については、ほとんどのポリマー間で良好な相溶性が得がたいといえる。そのため、溶液ブレンド法が用いられる場合もあるが、当該ブレンド法では工程が増えて製造効率が低い。また、分岐材を溶解する単量体のラジカル重合を行う場に複数の単量体を同時に存在させることで、単量体の重合(線状重合体生成)と同時に分岐状重合体を製造できる。更に、それ以外に分岐状高分子成分の平均分子量及び分子量分布を、線状重合体の平均分子量及び分布と同等にすることができる。すなわち、分岐状重合体の分岐成分1本あたりの分子鎖絡み合い効果を線状重合体と同等にすることができるため、性能の予測がしやすい。その結果、ポリマー設計がしやすいといえる。
上記の工程(I)において、本実施形態のブロック共重合体の分岐材をラジカル重合可能な単量体中に溶解させる。この際、単量体の他に重合溶媒が存在していても構わないが分岐材を均一溶解することのできる溶媒であることが好ましい。ブロック共重合体が溶解した後に、いわゆるin−situ状態でラジカル重合を開始し、重合を進行させる。ラジカル重合の開始剤としては、特に限定されず、一般に利用されているものを用いることができる。例えば、パーオキサイド類、アゾ系開始剤、レドックス系開始剤、光化学開始剤などでもよい。代表的な開始剤としては、3級ブチルパーオキシベンゾエート及び3級ブチルパーオキシアセテート、3級ブチルパーオキシオクトエート、ジベンゾイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、1,1−ビス3級ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,3−ビス3級ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジクミルパーオキシド、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどの開始剤がある。好ましい開始剤には3級ブチルパーオクトエート、3級ブチルイソプロピルパーカーボネート、ジベンゾイルパーオキシド、3級ブチルパーオキシベンゾエート、1,3−ビス3級ブチルパーオキシシクロヘキサン及び3級ブチルパーオキシアセテートを挙げることができる。また、スチレン系単量体は、熱によってラジカルが自己生成するため開始剤を使わずに重合開始できる場合は、特に開始剤を用いなくてもよい。
本実施形態に係る重合体組成物の製造方法において、上記した本実施形態の分岐材の含有量を、0.5質量%以上10質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.7質量%以上9.5質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以上9.0質量%以下である。分岐材の含有量が0.5質量%以上である場合、分岐状重合体に由来する性能が十分に確保でき、レオロジー特性や機械物性を十分に向上させることができる傾向にある。また、含有量が10質量%以下である場合、分岐材同士の凝集を効果的に防止でき、それにより透明性の低下を防止できるだけでなく、微架橋体が生成しゲル状物質が増加することも防止できる傾向にある。上記分岐材を均一に溶解させると、そのままラジカル重合させることによって線状重合体が生成すると同時にブロック共重合体が大きく凝集することなく分岐状重合体が生成し、最終的に線状型と分岐型の2種類の異なる高分子量組成物を効率よく製造することができる傾向にあるため好ましい。
なお、本実施形態の重合体組成物についても、上記同様の観点から、上記分岐状重合体中の分岐材に由来するビニル芳香族炭化水素の含有量が0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.7質量%以上9.5質量%以下であり、よりさらに好ましくは1.0質量%以上9.0質量%以下の含有量である。本実施形態の重合体組成物において、上記分岐状重合体中の分岐材に由来するビニル芳香族炭化水素の含有量は、後述する実施例に記載の方法で求めることができる。すなわち、ブロック共重合体のポリブタジエン内にある2重結合部を分解し、分解後のGPCチャートより面積比を算出することで求められる。
本実施形態におけるラジカル重合可能な単量体は、本実施形態の分岐材を均一に溶解することのできる単量体であることが好ましい。単量体だけで均一に溶解できなくとも重合溶媒を使って分岐材が均一に溶解できれば、その単量体を使用することができる。
本実施形態におけるラジカル重合可能な単量体から得られる重合体としては、メタクリレート系単量体、アクリレート系単量体、ニトリル系ビニル単量体、塩化ビニル及び酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種の単独重合体又は少なくとも2種の共重合体並びにビニル芳香族炭化水素単量体とニトリル系ビニル単量体、塩化ビニル及び/又は酢酸ビニルとの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。すなわち、本実施形態の重合体組成物においては、線状重合体がメタクリレート系単量体、アクリレート系単量体、ニトリル系ビニル単量体、塩化ビニル及び酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種の単独重合体又は少なくとも2種の共重合体並びにビニル芳香族炭化水素単量体とニトリル系ビニル単量体、塩化ビニル及び/又は酢酸ビニルとの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記メタクリレート系単量体としては、以下に限定されないが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸のアルキルエステル類やメタクリル酸を挙げることができる。また、上記アクリレート系単量体としては、以下に限定されないが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等のアクリル酸のアルキルエステル類やアクリル酸を挙げることができる。さらに、ニトリル系ビニル単量体としては、以下に限定されないが、アクリロニトリル、メタクリロニトリルを挙げることができる。さらにまた、ビニル芳香族炭化水素単量体としては、以下に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−,及びp−メチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン等を挙げることができる。
ラジカル重合に用いられる重合溶媒は、特に限定されず、工業的に利用されているものを適宜使用することができる。好ましくは、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等がよい。ラジカル重合法は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合などが好ましい。
本実施形態の重合体組成物は、生産効率の観点から、上記した本実施形態に係る重合体組成物の製造方法により得られることが好ましい。
以下、実施例、比較例及び参考例により本発明の具体的な実施態様を示すが、これは本発明の趣旨をより具体的に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
各例のブロック共重合体の分析は下記に示す方法により行なった。
(1)ビニル結合量
測定用の試料0.1gを10mLの二硫化炭素で完全に溶解後、0.5mmセルを使用して赤外分光光度計(島津製作所製、「FTIR−8400S」)を使用してスペクトルを測定した。次いで、得られたスペクトルに基づき、Hampton法(R.R.:Analyt. Chem., 21(1949),p.923)によりビニル結合量を求めた。
(2)ブロック共重合体中のポリブタジエン含有量
1H−NMRを測定し、スチレン由来の芳香環のピーク面積とブタジエン由来のビニル結合部のピーク面積を使って計算により求めた。なお、測定装置としては、日本電子(株)社製、400MHz、NMRを使用し、CDClに溶かして64回積算してNMRチャートを得て求めた。
(3)ブロック共重合体、分岐状重合体及び線状重合体の組成物の平均分子量及び分子量分布
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定し、ポリスチレン換算で平均分子量を求めた。なお、GPC測定の条件は次のとおりとした。
[測定機種]東ソー社製 HLC−8320
[溶媒]THF、
[カラム]Agilent Techenology社製 PLgel 5μm MIXED−C×3本
[カラム温度]40℃
[送液流量] 0.35mL/min.
[試料濃度]0.1質量%
[試料注入量]0.02mL
[検出器]東ソー社製HLC−8320付属示差屈折計
(4)ブロック共重合体のポリブタジエン内にある2重結合部の分解条件
各例の重合体組成物約0.07gをクロロホルム10mLに溶解し、オスミウム酸のtert−ブチルアルコール溶液とtert−ブチルハイドロパーオキサイドのtert−ブチルアルコール溶液との混合分解剤を20mL加え、90℃でバス中にて12分間還流下で分解した。冷却後、該溶液にメタノール200mLを撹拌下に加えてポリスチレン成分を沈殿させ、これをガラスフィルターにて分離した。分離されたポリスチレン成分をTHFに溶解し、GPC試料としてGPC測定に供した。
以下、分岐材として利用されるブロック共重合体と、それにより得られる分岐状重合体と線状重合体とを含む重合体組成物との具体例を、後述する実施例及び比較例により説明する。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。量は特に断りのない限り質量部又は質量%(質量%)で示す。
1)ブロック共重合体(重合体A)の製造
容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製・乾燥したスチレン250gとシクロヘキサン5000gを加え、次いでビニル結合量調整剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をシクロヘキサンに対して1700ppm添加し、更に有機リチウム開始剤として全モノマー100質量部当り0.085質量部のn−ブチルリチウム/シクロヘキサン溶液を加えて、50℃にて重合を開始した。スチレンを完全に重合させた後、スチレン20質量部/1,3−ブタジエン14質量部の混合モノマーを加えて5分間反応させた。その後、1,3−ブタジエン16質量部をミニチュアバルブで10分間かけて添加した。3分間反応させた後、さらにスチレン25質量部を加えて反応させた。
上記のようにして得られた重合体溶液100質量部に対し、安定剤として、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、n−オクタデシル−3−(3´,5´−ジ−tert−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをそれぞれ0.4質量部及び0.2質量部添加し、ドラムドライヤー(160℃)により乾燥させ、ポリブタジエン(以下の記載及び表1中において単に「PBd」とも表記する。)量が30質量%、ビニル結合量が65%のブロック共重合体を得た。重合体Aの構造等を実施例1の結果として表1中に示す。
2)ブロック共重合体(重合体B)の製造
容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製・乾燥したシクロヘキサン5700gと1,3−ブタジエン100gを加え、次いでビニル結合量調整剤としてTMEDAをシクロヘキサンに対して1500ppm添加し、更に有機リチウム開始剤として全モノマー100質量部に対して0.095質量部のn−ブチルリチウム/シクロヘキサン溶液を加えて、50℃にて重合を開始した。1,3−ブタジエンを5分間反応させ、次いでスチレン800g加えて5分間反応させた。その後1,3−ブタジエンを100g加えて10分間反応させた。
上記のようにして得られた重合体溶液100質量部に対し、安定剤として、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾールを0.15質量部添加し、ドラムドライヤー(160℃)により乾燥させ、PBd量が20質量%、ビニル結合量が60%のブロック共重合体を得た。重合体Bの構造等を実施例2の結果として表1中に示す。
3)ブロック共重合体(重合体C)の製造
容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製・乾燥したシクロヘキサン5700gと1,3−ブタジエン100gを加え、次いでビニル結合量調整剤としてTMEDAをシクロヘキサンに対して1100ppm添加し、更に有機リチウム開始剤として全モノマー100質量部に対して0.095質量部のn−ブチルリチウム/シクロヘキサン溶液を加えて、50℃にて重合を開始した。1,3−ブタジエンを5分間反応させ、次いでスチレン800g加えて5分間反応させた。その後1,3−ブタジエンを100g加えて10分間反応させた。
上記のようにして得られた重合体溶液100質量部に対し、安定剤として、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾールを0.15質量部添加し、ドラムドライヤー(160℃)により乾燥させ、PBd量が20質量%、ビニル結合量が45%のブロック共重合体を得た。重合体Cの構造等を実施例3の結果として表1中に示す。
4)ブロック共重合体(重合体D)の製造
容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製・乾燥したシクロヘキサン5700gと1,3−ブタジエン150gを加え、次いでビニル結合量調整剤としてTMEDAをシクロヘキサンに対して1000ppm添加し、更に有機リチウム開始剤として全モノマー100質量部に対して0.095質量部のn−ブチルリチウム/シクロヘキサン溶液を加えて、50℃にて重合を開始した。1,3−ブタジエンを5分間反応させ、次いでスチレン800g加えて5分間反応させた。その後1,3−ブタジエンを150g加えて10分間反応させた。
上記のようにして得られた重合体溶液100質量部に対し、安定剤として、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾールを0.15質量部添加し、ドラムドライヤー(160℃)により乾燥させ、PBd量が30質量%、ビニル結合量が40%のブロック共重合体を得た。重合体Dの構造等を実施例4の結果として表1中に示す。
5)ブロック共重合体(重合体E)の製造
容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製・乾燥したシクロヘキサン5700gとスチレン350gを加え、次いでビニル結合量調整剤としてTMEDAをシクロヘキサンに対して1500ppm添加し、更に有機リチウム開始剤として全モノマー100質量部に対して0.095質量部のn−ブチルリチウム/シクロヘキサン溶液を加えて、50℃にて重合を開始した。スチレンを5分間反応させ、次いで1,3−ブタジエンを150g加えて5分間反応させた。そのスチレンを350g加えて5分間反応させた。最後に1,3−ブタジエンを再び150g加えて10分間反応させた。
上記のようにして得られた重合体溶液100質量部に対し、安定剤として、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾールを0.15質量部添加し、ドラムドライヤー(160℃)により乾燥させ、PBd量が30質量%、ビニル結合量が60%のブロック共重合体を得た。重合体Eの構造等を実施例5の結果として表1中に示す。
6)ブロック共重合体(重合体F)の製造
容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製・乾燥したシクロヘキサン5700gと1,3−ブタジエンを300g加え、有機リチウム開始剤として全モノマー100質量部に対して0.095質量部のn−ブチルリチウム/シクロヘキサン溶液を加えて、50℃にて重合を開始した。1,3−ブタジエンを5分間反応させ、次いでスチレンを400g加えて5分間反応させた。最後に1,3−ブタジエンを再び300g加えて10分間反応させた。
上記のようにして得られた重合体溶液100質量部に対し、安定剤として、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾールを0.15質量部添加し、ドラムドライヤー(160℃)により乾燥させ、PBd量が60質量%、ビニル結合量が12%のブロック共重合体を得た。重合体Fの構造などを比較例1の結果として表1中に示す。
7)ブロック共重合体(重合体G)の製造
容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製・乾燥したシクロヘキサン5700gとスチレンを150g加え、有機リチウム開始剤として全モノマー100質量部に対して0.095質量部のn−ブチルリチウム/シクロヘキサン溶液を加えて、50℃にて重合を開始した。スチレンを5分間反応させ、次いで1,3−ブタジエンを700g加えて5分間反応させた。最後にスチレンを再び150g加えて10分間反応させた。
上記のようにして得られた重合体溶液100質量部に対し、安定剤として、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾールを0.15質量部添加し、ドラムドライヤー(160℃)により乾燥させ、PBd量が70質量%、ビニル結合量が12%のブロック共重合体を得た。重合体Gの構造などを比較例2の結果として表1中に示す。
[実施例1]
以下に示すラジカル塊状重合法によりスチレン−アクリロニトリル共重合体(表1中では単に「St/AN共重合体」と表記する。)を合成した。5.0質量部のブロック共重合体Aをスチレン69.35重量部、アクリロニトリル25.65重量部とエチルベンゼン10質量部に溶解する。このモノマー溶液をA−18試験管(φ18×L200mm)に3mL加える。そこへ2’,2−アゾビス−イソブチリロニトリルを0.16mol/mLのトルエン溶液を加えて80℃で5時間静置重合を行った。重合後、得られたスチレン−アクリロニトリル共重合体の分子量分布ピーク数、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)、及び分子量分布(Mz/Mw)をGPC測定により求めた。その結果を表1に示す。また、得られた分子量分布曲線を図1に示す。
[参考例1]
実施例1で得られたスチレン−アクリロニトリル共重合体中に存在する2重結合部分を前述した方法によって分解したところ、分岐状重合体成分と線状重合体成分を示す2峰性(バイモーダル)の分子量分布ピーク(実施例1)から、分岐状重合体成分が消失した単峰性のピーク(参考例1)へと変化し、そのMn,Mw,Mz及びMz/Mwはいずれも低下した。その結果を図1に示す。図1から、スチレン−アクリロニトリル共重合体中にはポリスチレン−ポリブタジエンのブロック共重合体を起点とする分岐状重合体成分が存在していたことが明らかになった。
[実施例2〜5、比較例1〜2]
使用したブロック共重合体の種類を重合体B〜Gに変えた以外は、すべて実施例1と同じ条件で重合した。重合後、得られたスチレン−アクリロニトリル共重合体の分子量分布ピーク数、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)、及び分子量分布(Mz/Mw)をGPC測定により求めた。その結果を表1に示す。
比較例1、2の結果に示される様に、従来から公知のポリスチレン−ポリブタジエンのブロックポリマーを使っても分岐状重合体成分は得られず、単にゴム粒子を形成し不透明の樹脂が得られるのみであった。
[比較例3]
ポリスチレン−ポリブタジエンのブロック共重合体を含有させずに、スチレン−アクリロニトリル共重合体を実施例1に記載のラジカル塊状重合法と同様の条件で重合した。重合後、得られたスチレン−アクリロニトリル共重合体の分子量分布ピーク数、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)、及び分子量分布(Mz/Mw)をGPC測定により求めた。その結果を表1に示す。
本発明の分岐材は、ビニル系単量体のラジカル重合の過程で分岐状重合体及び線状重合体の組成物を同時に効率よく製造することができ、樹脂の機械物性や成形加工性を大幅に向上させることができる。

Claims (11)

  1. 下記(A)〜(C)の要件を満足するブロック共重合体を含む、分岐材:
    (A)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素系単位を主とする重合体ブロック(a)と、共役ジエン系化合物単位を含み、当該重合体ブロック(a)とは異なる、少なくとも1つの重合体ブロック(b)と、を有する;
    (B)前記ブロック共重合体中の共役ジエン系化合物単位の含有量が5質量%〜40質量%である;
    (C)前記ブロック共重合体中のビニル結合量が20〜70%である。
  2. 前記ビニル芳香族炭化水素がスチレンであり、前記共役ジエン系化合物が1,3−ブタジエンである、請求項1に記載の分岐材。
  3. 前記ブロック共重合体の末端の少なくとも1つが重合体ブロック(b)である、請求項1又は2に記載の分岐材。
  4. 前記ビニル結合量が30〜60%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分岐材。
  5. 下記工程(I)、(II)を順に含む、重合体組成物の製造方法。
    ラジカル重合可能な単量体に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分岐材を溶解する工程(I);
    ラジカル重合を行う工程(II)。
  6. 前記ラジカル重合可能な単量体から得られる重合体が、メタクリレート系単量体、アクリレート系単量体、ニトリル系ビニル単量体、塩化ビニル及び酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種の単独重合体又は少なくとも2種の共重合体並びにビニル芳香族炭化水素単量体とニトリル系ビニル単量体、塩化ビニル及び/又は酢酸ビニルとの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の重合体組成物の製造方法。
  7. 前記工程(I)において、前記分岐材の含有量が前記ラジカル重合可能な単量体の0.5〜10質量%である、請求項5又は6に記載の重合体組成物の製造方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法で得られる、重合体組成物。
  9. 線状重合体と分岐状重合体を含む重合体組成物であって、
    前記分岐状重合体が請求項1〜4のいずれか一項に記載の分岐材中の共役ジエン系化合物単位を起点として分岐している、重合体組成物。
  10. 前記分岐状重合体中の分岐材に由来するビニル芳香族炭化水素の含有量が0.5質量%〜10質量%である、請求項9に記載の重合体組成物。
  11. メタクリレート系単量体、アクリレート系単量体、ニトリル系ビニル単量体、塩化ビニル及び酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種の単独重合体又は少なくとも2種の共重合体並びにビニル芳香族炭化水素単量体とニトリル系ビニル単量体、塩化ビニル及び/又は酢酸ビニルとの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上を前記線状重合体として含む、請求項8〜10のいずれか一項に記載の重合体組成物。
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