JP2015051872A - エスカレーターの転倒事故防止用手摺ベルト及び転倒事故防止用エスカレーター - Google Patents

エスカレーターの転倒事故防止用手摺ベルト及び転倒事故防止用エスカレーター Download PDF

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Abstract

【課題】転倒事故を防止するための「歩行禁止」等の表示マークを有する印刷シート付き手摺ベルトを提供する。
【解決手段】乗客を輸送する踏段と、この踏段と同期して往路から復路にかけて反転して移動する手摺ベルト5とを備えたエスカレーターにおいて、移動方向と注意標識を認知させる表示をし、前記エスカレーターに乗り移る際のタイミングを計る目印機能と図柄による注意標識機能を兼用した注意表示部6Aを有する印刷シート6を前記手摺ベルト5の表面に備え、前記注意表示部6Aは、前記手摺ベルト5と色を異にすると共に、手摺ベルト5の表面平坦部の幅W2とほぼ同じ幅であり、前記印刷シート6は、前記注意表示部6Aを、前記手摺反転部の半円周範囲に略1個存在する間隔Pで、該印刷シート6の全長に複数個有し、さらにその間隔P内に、前記注意表示部6Aより幅狭W3で注意文字等(広告等)を表示した表示部6Bを設けた。
【選択図】図4

Description

本発明は、移動する踏段が傾斜路あるいは水平路を形成して乗客輸送を行うエスカレーターの手摺ベルトの構成とそれを用いたエスカレーターに関する。
従来においてエスカレーターの手摺ベルト表面に印刷シートを貼付けて広告表示を行う構成は、例えば特許文献1に開示されているように、すでに提案されている。また、特許文献1を発展させて視覚弱者や高齢者向けの安全効果を高めた構成は、例えば特許文献2に開示されているように、すでに提案されている。
特許文献1に記載のエスカレーターの手摺ベルトは、手摺ベルトの表面長手方向に広告のみを表示した印刷シートを貼付けるようにしたものである。また、特許文献2に記載のエスカレーターの手摺ベルトは、手摺ベルトの表面長手方向に適宜の間隔をおいて方向表示マークを追加し、かつその間隔内に、方向表示マークよりも幅狭で注意文字(場合によっては広告)を表示した印刷シートを貼付けるようにしたものである。
特開2003−212468号公報 特許第4989863号公報
特許文献1に記載のものは、広告媒体の提供を主眼としたものであって、この印刷シールによって乗客に対して転倒防止等の安全作用をもたらすという思想はなかった。ところが、当時のエスカレーター利用においては、高齢化の進行もあって、エスカレーター乗り場で動く踏段に乗り移る際の体重移動のタイミングを失して転倒する事故が続発していた。それは、乗り移らんとして凝視する踏段の色が黒っぽく、踏段の動き(速度)が認識できないことに起因して、エスカレーターの動き方向が認識できず、逆乗り込みをしてしまう事象もあった。さらに、上記特許文献1に記載の広告印刷のものは、単に文字や図柄を付したもので、手摺ベルトが動いていると文字や図柄があたかも一本の帯のように見えて方向表示の機能を発揮し得ないという問題があった。
そのため、上記特許文献2においては移動する手摺ベルトに対して、移動方向を表示し、エスカレーターに乗り移る際のタイミングを計る目印となる菱形や丸形の方向表示マークを有する印刷シートを手摺ベルトの表面に備え、その方向表示マークは、手摺ベルトと色を異にすると共に、手摺ベルトの表面平坦部の幅とほぼ同じ幅であり、その印刷シートは、方向表示マークを、手摺反転部の半円周範囲に1個存在する間隔で、該印刷シートの全長に複数個有し、かつその間隔内に方向表示マークよりも幅狭で注意文字や広告を表示する構成としたのである。このような構成にしたことで、エスカレーターの存在とその速度感を視覚によって認知(乗り込み時の運転速度に対する体重移動バランスの安定化等)させる効果を発揮している。この特許文献2を下敷にしたと思われる2007年公表の国土交通省「バリアフリー整備ガイドライン」に「印を付けることなどにより、ベルトの進行方向を表示する」項が規定されて方向表示マーク付き手摺ベルトが普及する一方、その効果が視覚弱者に対する利便は勿論、健常者の手摺ベルト利用率向上効果も評価されている。実際、2012年3月に首都圏の駅構内に設置された方向表示マーク付きエスカレーターで実利用状態を調査したところ、手摺ベルト利用率(手摺を掴む乗客の比率)は施工前が10%以下であったのに対して施工後は20%強と3倍近くに増加、また、視覚弱者や高齢者に接触して転倒の巻き添えにする危険性を孕む健常層の踏段歩行(踏段の駆け下りなど)率が、施工前が40%強であったのに対して5%と1/8程度まで低下し、エスカレーターの安全利用に大きく寄与していることが分かった。
しかしながら、例えば視覚的、体力的に問題なくエスカレーターを利用できる若者などの健常層は踏段歩行が日常化し、時に視覚弱者や高齢者に接触して転倒の巻き添えにする事象が深刻化してきた。その理由は、上記特許文献2に開示された方向表示マークの形状(菱形や丸形など形状は特定していないが、本発明では丸形を対象とする)が単純形であるために、身体能力に不足のない健常層は方向表示マークの意味を理解せず、あるいは方向表示マークの恩恵を受ける必要もない身のため危険な踏段歩行、手摺利用放棄などの乱暴な利用を行う問題があった。このことに加え、方向表示マークの間隔内に設けた注意文字だけではインパクトのある注意喚起、訴求に欠ける問題があった。
本発明は、上記問題を解消するためになされたものであり、往路から復路にかけて反転して移動し、乗客を輸送する踏段と、この踏段と同期して往路から復路にかけて反転して移動する手摺ベルトとを備えたエスカレーターにおいて、移動方向と注意標識を認知させる表示をし、前記エスカレーターに乗り移る際のタイミングを計る目印機能と図柄による注意標識機能を兼用した注意表示部を有する印刷シートを前記手摺ベルトの表面に備え、前記注意表示部は、前記手摺ベルトと色を異にすると共に、手摺ベルトの表面平坦部の幅とほぼ同じ幅であり、前記印刷シートは、前記注意表示部を、前記手摺反転部の半円周範囲に略1個存在する間隔で、該印刷シートの全長に複数個有し、かつその間隔内に、前記注意表示部よりも幅狭で安全のための注意文字を表示した表示部を設けたのである。また、注意文字が不要な場合は注意文字のスペースに広告を表示した表示部を設けたのである。加えて、このように構成した手摺ベルトを備えたエスカレーターとしたのである。
このように、手摺ベルト反転部の半円周範囲内に、それの移動方向を表示する目印と安全な利用を促す図柄の注意標識(例えば、歩行禁止の図柄)を兼用した注意表示部が存在することにより、エスカレーターに乗り込まんとする利用者(乗客)が踏段の移動速度と方向が視覚的に認知できて体重移動のタイミングが取りやすく、逆乗り込みを防止できるうえに注意標識機能による「歩行禁止」などの直接的訴求で、格段に安全な利用が図られる。なお、注意標識機能は、前記の目印機能との兼用を考えれば、後述する丸印を基本にした赤色基調の絵柄が好適である。また、注意表示部の間隔内に、前記注意表示部よりも幅狭な注意文字や広告を設けたことにより注意表示部に表示効果を減殺せず、注意喚起や広告効果を訴求することができる。
本発明によれば、エスカレーターへの乗り込みタイミング取りの失敗等による転倒事故や逆乗り込み事故の防止機能と兼用で、危険な踏段歩行の禁止など転倒事故の撲滅に貢献する安全な利用スタイルを直接訴求できる安全効果を有すると共に、広告効果も奏する。
本発明による手摺ベルトの一実施形態を示す全体側面図である。 本発明の図1のX−X線に沿う正面図である。 本発明の図2のY−Y線に沿う断面図である。 本発明の手摺ベルトと印刷シートの単体斜視図である。
以下、本発明によるエスカレーターの手摺ベルトの一実施の形態を図1〜図4に示すエスカレーターに基づいて説明する。
図において、一般のエスカレーター1は、上階床2Aと下階床2Bに装架される主フレーム3と、無端状に連結されて往路から復路にかけて反転して移動する多数の踏段4と、この踏段4と同期して往路から復路にかけて反転して移動するものでその断面形状が平坦部5Aとこれに連なる両縁の半円部5Bとで馬蹄形をなす幅W1の手摺ベルト5と、この手摺ベルト5の長手方向に沿い、その平坦部5A(幅W2)から半円部5Bにかけて接着固定(図示省略)される長尺の印刷シート6が設けられている。
前記手摺ベルト5は、駆動歯車7の動力をチェーン8を介して駆動ローラ9等に伝達された動力によって摩擦駆動されるもので復路を案内ローラ10、往路を側壁である欄干11に案内され、反転部11A、11Bで折り返して移動する構成となっている。
さらに、印刷シート6は手摺ベルト5の全長に貼付けられると共に、その表面層には移動方向と注意標識を表示し、エスカレーター1に乗り移る際のタイミングを計る目印機能と図柄による注意標識機能を兼用した注意表示部6Aが、目立ち易いように平坦部5Aの幅W2いっぱいに印刷によって設けられる一方、手摺ベルト5の反転部の半円周範囲H(図1、図2)に略1個(半欠けの1個だったり、丸々1個だったり、丸々1個プラス半欠けの1個だったりの意味)存在する間隔P(図4)をおいて複数個配置されており、いま乗り込まんとする利用者(乗客)がエスカレーター1を見ると常に正面となる符号Hの範囲内に略1個存在する注意表示部6Aにより移動速度の速度感と動き方向を確実に視覚に訴えるという機能を発揮するものである。加えて、注意表示部6Aは、印刷シート6の地色とは色が異なり(例えば赤色)、その形状も図4に図示したように丸印を基本に、例えば踏段上を歩く様子とそれの禁止を表わす斜め線の図柄で、歩行禁止を示唆するデザインとすることで正しい利用を健常層にも直接的に促す構成となっている。なお、この絵柄に「歩くな」などの注意文言を付加することも可能である。さらに、前記間隔Pのなかには注意表示部6A(幅W2)の幅よりも幅狭な幅W3で注意文字等(例えば「手摺をつかめ」などや広告)を表示した表示部6Bが設けられている。
ここで、印刷シート6の構成は、手摺ベルト5への接着層、印刷が施されるシート層に加え、表面のラミネート層などで形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、、手摺ベルト5の移動方向と利用上の注意を見やすく表示し、転倒事故や逆乗り込み等を防止する注意喚起や広告を訴求することができる。また、上記実施の形態は、一般のエスカレーターを一例に説明したが、隣接踏段同士に段差を有しない動く歩道と通称されるエスカレーターにもそのまま適用することができる。
1 エスカレーター
4 踏段
5 手摺ベルト
5A 平坦部
6 印刷シート
6A 注意表示部
6B 表示部

Claims (2)

  1. 往路から復路にかけて反転して移動し、乗客を輸送する踏段と、この踏段と同期して往路から復路にかけて反転して移動する手摺ベルトとを備えたエスカレーターにおいて、移動方向と注意標識を認知させる表示をし、前記エスカレーターに乗り移る際のタイミングを計る目印機能と図柄による注意標識機能を兼用した注意表示部を有する印刷シートを前記手摺ベルトの表面に備え、前記注意表示部は、前記手摺ベルトと色を異にすると共に、手摺ベルトの表面平坦部の幅とほぼ同じ幅であり、前記印刷シートは、前記注意表示部を、前記手摺反転部の半円周範囲に略1個存在する間隔で、該印刷シートの全長に複数個有し、かつその間隔内に、前記注意表示部より幅狭で注意文字等を表示した表示部を設けたことを特徴とするエスカレーターの転倒事故防止用手摺ベルト。
  2. 請求項1に記載のエスカレーターの転倒事故防止用手摺ベルトを備えることを特徴とする転倒事故防止用エスカレーター。
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