JP2015050825A - 放電制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回路の規模の増大を抑制しつつ、制御回路の電源を喪失したとしてもインバータの平滑コンデンサの蓄積電荷を放電させる技術を提供する。
【解決手段】高圧直流電源60とインバータ10との間に介在される平滑コンデンサ7と、高圧直流電源60とは絶縁されインバータ制御部1に電力を供給する第1低圧直流電源61と、平滑コンデンサ7に並列接続され高圧直流電源60よりも低電圧の直流電力を生成する第2低圧直流電源3と、第2低圧直流電源3に接続された放電負荷4と、インバータ10の全ての下段側スイッチング素子13を導通させる短絡制御を第2低圧直流電源3から供給される電力を用いて実行する短絡制御部5と、インバータ制御部1からの放電指令DIS又は第1低圧直流電源61の電圧が基準電圧以下となったことを示す電圧検出結果に基づいて第2低圧直流電源3を起動させる起動制御部2とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】高圧直流電源60とインバータ10との間に介在される平滑コンデンサ7と、高圧直流電源60とは絶縁されインバータ制御部1に電力を供給する第1低圧直流電源61と、平滑コンデンサ7に並列接続され高圧直流電源60よりも低電圧の直流電力を生成する第2低圧直流電源3と、第2低圧直流電源3に接続された放電負荷4と、インバータ10の全ての下段側スイッチング素子13を導通させる短絡制御を第2低圧直流電源3から供給される電力を用いて実行する短絡制御部5と、インバータ制御部1からの放電指令DIS又は第1低圧直流電源61の電圧が基準電圧以下となったことを示す電圧検出結果に基づいて第2低圧直流電源3を起動させる起動制御部2とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、直流電源とインバータとの間に介在された平滑コンデンサの電荷を放電させる放電制御装置に関する。
架線からの電力供給を受けない電気自動車やハイブリッド自動車では、一般的に駆動力源としての回転電機に直流のバッテリから電力が供給される。また、回転電機は、電動機としての機能に留まらず、車両や内燃機関などの運動エネルギーにより発電を行う発電機としての機能も併せ持っている。回転電機により発電された電力は、バッテリに回生されて蓄電される。多くの場合、回転電機として交流回転電機が利用され、バッテリは直流電源であるから、バッテリと回転電機との間には、一般的に、直流電力と交流電力との間で電力変換を行うインバータが備えられる。
ところで、バッテリと回転電機の間、より具体的にはバッテリとインバータとの間には、開閉装置(コンタクタ)が備えられている場合がある。コンタクタが閉状態においてバッテリとインバータ(及び回転電機)とが電気的に接続され、コンタクタが開状態においてバッテリとインバータ(及び回転電機)との電気的接続が遮断される。例えば、車両のメインスイッチがオフ状態となった場合や、車両のメインスイッチがオン状態であっても、インバータとバッテリとの電気的接続を切り離す必要が生じた場合などに、このコンタクタが開状態となる。コンタクタが開状態となると、例えば200〜400[V]のバッテリとインバータとの接続は解除されるが、インバータのバッテリ側(インバータの直流側)に備えられている平滑コンデンサの電位は瞬時には低下しない。バッテリとインバータとの電気的接続が遮断されている状態では、この平滑コンデンサに蓄積された電荷をできるだけ早く放電させて、平滑コンデンサの電位を低下させることが好ましい。
特開2011−234507号公報(特許文献1)には、急速放電抵抗と放電用スイッチング素子との直列回路が、平滑用コンデンサと並列に設けられ、コンタクタが開状態となった際に放電用スイッチング素子をオン状態とする放電制御回路を備えた構成が開示されている。放電用スイッチング素子がオン状態となることにより、急速放電抵抗を介して平滑コンデンサに蓄積された電荷が放電される(特許文献1:図2、第25、29〜33段落等)。尚、インバータを動作させて、インバータを構成するスイッチング素子を用いて平滑コンデンサの蓄積電荷を消費させることも可能である。
ここで、インバータ及び急速放電回路を制御するコントローラは、低電圧電源(12[V]系電源)から電力を供給されて動作する。一方、放電用スイッチング素子は、インバータを含む高電圧系(200〜400[V])の回路の一部である。低電圧系の回路と高電圧系の回路とは一般的に絶縁されており、コントローラ或いは放電制御回路からのスイッチング制御信号は、フォトカプラやトランスなどの絶縁素子を介して伝達される。このため、急速放電回路を設けた場合、絶縁素子が増加して回路全体の小型化を妨げる可能性がある。また、低電圧電源とコントローラとの接続が遮断されたような場合には、インバータも急速放電回路も制御することができなくなる。その結果、インバータの駆動によって平滑コンデンサの蓄積電荷を消費させることも、急速放電回路によって平滑コンデンサの蓄積電荷を放電することも困難となり、平滑コンデンサの電位の低下に時間を要する可能性がある。
上記背景に鑑みて、回路の規模の増大を抑制しつつ、制御回路の電源を喪失したとしてもインバータの平滑コンデンサの蓄積電荷を放電させることができる技術が望まれる。
上記課題に鑑みた本発明に係る放電制御装置の特徴構成は、
高圧直流電源と交流機器との間に介在されて、直流と交流との間で電力変換を行うインバータと、
前記高圧直流電源と前記インバータとの間に介在されて、前記インバータの直流側の正負両極間電圧を平滑化する平滑コンデンサと、
前記インバータを制御するインバータ制御部に、前記高圧直流電源よりも低電圧の直流電力を供給する電源であり、前記高圧直流電源とは絶縁された第1低圧直流電源と、
前記平滑コンデンサに並列接続されて、前記高圧直流電源よりも低電圧の直流電力を生成する第2低圧直流電源と、
前記第2低圧直流電源に接続された放電負荷と、
前記インバータの直流側の正負両極間に直列接続されて相補的に動作する複数組の上段側スイッチング素子及び下段側スイッチング素子の内、全ての前記下段側スイッチング素子を導通させる短絡制御を、前記第2低圧直流電源から供給される電力を用いて実行する短絡制御部と、
前記インバータ制御部からの放電指令、又は、前記第1低圧直流電源の電圧が予め規定された基準電圧以下となったことを示す電圧検出結果に基づいて、前記第2低圧直流電源を起動させる起動制御部と、
を備える点にある。
高圧直流電源と交流機器との間に介在されて、直流と交流との間で電力変換を行うインバータと、
前記高圧直流電源と前記インバータとの間に介在されて、前記インバータの直流側の正負両極間電圧を平滑化する平滑コンデンサと、
前記インバータを制御するインバータ制御部に、前記高圧直流電源よりも低電圧の直流電力を供給する電源であり、前記高圧直流電源とは絶縁された第1低圧直流電源と、
前記平滑コンデンサに並列接続されて、前記高圧直流電源よりも低電圧の直流電力を生成する第2低圧直流電源と、
前記第2低圧直流電源に接続された放電負荷と、
前記インバータの直流側の正負両極間に直列接続されて相補的に動作する複数組の上段側スイッチング素子及び下段側スイッチング素子の内、全ての前記下段側スイッチング素子を導通させる短絡制御を、前記第2低圧直流電源から供給される電力を用いて実行する短絡制御部と、
前記インバータ制御部からの放電指令、又は、前記第1低圧直流電源の電圧が予め規定された基準電圧以下となったことを示す電圧検出結果に基づいて、前記第2低圧直流電源を起動させる起動制御部と、
を備える点にある。
この構成によれば、放電負荷による消費と、下段側スイッチング素子を短絡することによる消費とにより、迅速に平滑コンデンサの電荷を消費させることができる。また、放電負荷に印加される電圧は、インバータの直流側の正負両極間電圧よりも低電圧の第2低圧直流電源の電圧である。従って、放電負荷の定格電力をより小さくすることができ、例えば抵抗器によって構成される放電負荷を小型化することができる。さらに、第2低圧直流電源によって、放電負荷に印加される電圧がほぼ一定に保たれれば、放電負荷の定格電力もほぼ一定となり、定格電力の余裕は少なくて済む。その結果、放電負荷に求められる最大電力は小さくなり、放電負荷の大型化を抑制することができる。さらに、第2低圧直流電源は、放電指令だけではなく、第1低圧直流電源からの供給電圧が予め規定された基準電圧以下となった場合にも起動されるので、故障等によってインバータ制御部が動作できないような場合であっても、迅速に平滑コンデンサの電荷を放電させることができる。一方、第2低圧直流電源は、放電指令や電圧検出結果に応じて起動されるので、通常動作時には動作せず、第2低圧直流電源や放電負荷などが無駄に電力を消費することを抑制することもできる。このように、本構成によれば、回路の規模の増大を抑制しつつ、制御回路の電源を喪失したとしてもインバータの平滑コンデンサの蓄積電荷を放電させることができる。
ここで、前記第2低圧直流電源が、スイッチング素子を備えたDC−DCコンバータにより構成され、前記放電負荷が、前記第2低圧直流電源の出力側に接続されていると好適である。放電負荷が、第2低圧直流電源の出力側に接続されることによって、放電負荷に印加される電圧がほぼ一定に保たれる。従って、放電負荷の定格電力もほぼ一定となり、定格電力の余裕は少なくて済み、放電負荷に求められる最大電力は小さくなって、放電負荷の大型化を抑制することができる。
また、本発明に係る放電制御装置は、1つの態様として、前記第2低圧直流電源が、スイッチング素子を備えたDC−DCコンバータにより構成され、前記放電負荷が、前記第2低圧直流電源の入力側に接続されていても好適である。放電負荷が、第2低圧直流電源の入力側に接続されることによって、第2低圧直流電源の出力側の消費電力は大きく減少する。このため、第2低圧直流電源の出力側の回路の定格電力を抑制することができ、回路を小型化することができる。尚、第2低圧直流電源の入力側に放電負荷を接続する場合においても、放電負荷に印加される電圧をほぼ一定に制御することは可能である。従って、放電負荷の定格電力をほぼ一定とすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、交流機器としての交流の回転電機を駆動する回転電機制御装置(交流機器制御装置)を例として説明する。図1のブロック図は、回転電機制御装置100の構成を模式的に示している。回転電機制御装置100は、回転電機制御装置100に備えられた平滑コンデンサ7の電荷を放電するための放電制御部6を備えて構成されており、放電制御装置としても機能する。回転電機制御装置100は、ハイブリッド車両や電気車両などの車両の駆動力源となる交流の回転電機11を駆動制御する。尚、図1に示す例では、回転電機11は、1つであるが、複数個備えられていてもよい。回転電機11は、多相交流(ここでは3相交流)により動作する回転電機であり、電動機としても発電機としても機能することができる。
鉄道のように架線から電力の供給を受けることができない自動車のような車両では、回転電機を駆動するための電力源としてニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池(バッテリ)や、電気二重層キャパシタなどの直流電源を搭載している。本実施形態では、回転電機11に電力を供給するための大電圧大容量の直流電源として、例えば電源電圧が200〜400[V]の高圧バッテリ60(高圧直流電源)が備えられている。高圧バッテリ60は、回転電機11により発電された電力を蓄電することも可能である。
回転電機11は、交流の回転電機であるから、高圧バッテリ60と回転電機11との間には、直流と交流との間で電力変換を行うインバータ10が備えられている。インバータ10と、高圧バッテリ60との間には、直流電圧を平滑化する平滑コンデンサ7が備えられている。平滑コンデンサ7は、回転電機11の消費電力の変動に応じて変動する直流電圧を安定化させる。平滑コンデンサ7と高圧バッテリ60との間には、平滑コンデンサ7から回転電機11までの回路と、高圧バッテリ60との電気的な接続を切り離すことが可能なコンタクタ9が備えられている。本実施形態において、このコンタクタ9は、車両の最も上位の制御装置の1つである車両ECU(electronic control unit)200からの指令に基づいて開閉するメカニカルリレーであり、例えばシステムメインリレー(SMR:system main relay)と称される。
車両には、高圧バッテリ60の他に、高圧バッテリ60よりも低電圧の電源である低圧バッテリ61(第1低圧直流電源)も搭載されている。低圧バッテリ61の電源電圧(+B)は、例えば12〜24[V]である。低圧バッテリ61は、オーディオシステムや灯火装置、室内照明、計器類のイルミネーション、パワーウィンドウなどの電装品や、これらを制御する制御装置に電力を供給する。尚、低圧バッテリ61と高圧バッテリ60とは、互いに絶縁されており、互いにフローティングの関係にある。
インバータ10を制御するインバータ制御部1は、高圧バッテリ60とは絶縁された低圧バッテリ61から供給される電力により動作する。インバータ制御部1は、マイクロコンピュータなどの論理演算プロセッサを中核として構成されている。インバータ制御部1は、当該プロセッサや周辺ICなどのハードウェアと、プログラムなどのソフトウェアとの協働によって実現される種々の機能部を有して構成されている。
インバータ10は、高圧バッテリ60の正極PT側の正極バスPB(正極電源ライン)に接続される上段側スイッチング素子12と、高圧バッテリ60の負極NT側の負極バスNB(負極電源ライン)に接続される下段側スイッチング素子13とが直列接続されたアーム14が、多相交流の相数に応じた複数相並列接続されたブリッジ回路として構成されている。本実施形態では、スイッチング素子としてIGBT(insulated gate bipolar transistor)を利用する形態を例示している。
インバータ10は高圧バッテリ60に接続されているが、上述したように、インバータ10を制御するインバータ制御部1は、低圧バッテリ61に接続されている。また、高圧バッテリ60と低圧バッテリ61とは絶縁されており、インバータ10とインバータ制御部1とは、互いに電気的にフローティングの関係にある。従って、インバータ制御部1により生成された制御信号、具体的にはIGBTのゲート駆動信号も、アイソレーション回路ISを介してインバータ制御部1からインバータ10に伝達される。本実施形態では、インバータ制御部1からインバータ10に制御信号を伝達する第1アイソレーション回路IS1が絶縁素子であるフォトカプラPCを用いて構成されている例を示している。
また、インバータ制御部1は低圧バッテリ61からの電力供給により動作するのに対して、インバータ10のIGBTは高圧バッテリ60の正負両極間に接続されており、インバータ制御部1が生成するゲート駆動信号の電圧ではIGBTを駆動することができない。このため、ゲート駆動信号の電圧を高くするために、例えば半導体ICであるドライバDRを用いたドライバ回路DCが第1アイソレーション回路IS1とインバータ10との間に設けられている。
本実施形態では、ドライバ回路DCの電源となるゲート駆動電源63が、低圧バッテリ61から電力を供給される形態で構成されている。ゲート駆動電源63は、トランスを用いて構成されており、低圧バッテリ61から電力の供給を受けるが、低圧バッテリ61とは絶縁されたフローティング電源である。ゲート駆動電源63の電源電圧は例えば15[V]である。尚、本実施形態では、低圧バッテリ61及びトランスを利用してゲート駆動電源63が構成される例を示したが、ゲート駆動電源63は、高圧バッテリ60から電力の供給を受けて構成される形態を採ることも可能である。
ところで、上述したように、回転電機制御装置100は、高圧バッテリ60に接続される高圧回路系HVと、低圧バッテリ61に接続される低圧回路系LVとの2系統の回路に大きく分類される。これら2つの回路系の間では、アイソレーション回路ISを介して信号の授受が行われる。図1のブロック図では、これら2つの回路系の境界を絶縁ラインILで示している。実際の回路基板や、回路ブロックにおいても、これら2つの回路系の境界には、所定の絶縁領域が設定されている。
ここで、コンタクタ9が閉じた状態から開放状態へ切り替わった場合を考える。上述したように、コンタクタ9はメカニカルリレーによって構成されているので、高圧バッテリ60からインバータ10側への電力の供給は直ちに遮断される。しかし、コンタクタ9とインバータ10との間には、平滑コンデンサ7が接続されており、この平滑コンデンサ7は、高圧バッテリ60と同電位となるまで充電されている。従って、コンタクタ9が開放状態となっても、平滑コンデンサ7に蓄積された電荷からインバータ10へ電力が供給される。その電力の供給は、平滑コンデンサ7が充分に放電するまで継続される。
高圧バッテリ60の電源電圧は、上述したように200〜400[V]である。従って、コンタクタ9を開放状態とした後でも、平滑コンデンサ7の端子間電圧はすぐには低下しない。このため、例えば回転電機11やインバータ10のメンテナンス等を行う場合には、平滑コンデンサ7の電位が充分に低下するまで待機する必要がある。この待機時間は、短いほど好ましい。そこで、平滑コンデンサ7の残存電荷を早く放電することができるように、放電制御部6が設けられている。図1に示すように、放電制御部6は、起動制御部2と、低圧電源回路3(第2低圧直流電源)と、放電負荷4と、短絡制御部5とを備えて構成されている。
起動制御部2は、インバータ制御部1からの放電指令DIS、又は、低圧バッテリ61(第1低圧直流電源)からの供給電圧が予め規定された基準電圧以下となったことを示す電圧検出結果に基づいて、第2低圧直流電源を起動させる。この電圧検出方法については、図2等を参照して後述する。尚、起動制御部2は、低圧回路系LVに備えられる低圧側起動制御部21と、高圧回路系HVに備えられる高圧側起動制御部22とを有して構成されている。低圧側起動制御部21と高圧側起動制御部22とは、電気的に絶縁されており、アイソレーション回路ISを介して接続されている。本実施形態では、第2アイソレーション回路IS2が絶縁素子であるフォトカプラPCを用いて構成されている例を示している。第2アイソレーション回路IS2は、低圧回路系LVのインバータ制御部1に備えられた低圧側起動制御部21から、高圧側起動制御部22に、放電指令DISや上記電圧検出結果を伝達する。このように、本実施形態においては、起動制御部2は、低圧側起動制御部21と、高圧側起動制御部22と、第2アイソレーション回路IS2とを有して構成されている。
低圧電源回路3(第2低圧直流電源)は、平滑コンデンサ7に並列接続されて、高圧バッテリ60よりも低電圧の直流電力を生成する回路である。低圧電源回路3(第2低圧直流電源)は、平滑コンデンサ7に並列接続されているために、コンタクタ9が開放状態となっても、平滑コンデンサ7に蓄積された電荷から電力の供給を受けて、直流電力を生成することができる。放電負荷4は、低圧電源回路3(第2低圧直流電源)に接続されて、コンタクタ9が開放状態となった際に、低圧電源回路3を介して平滑コンデンサ7の電荷を消費し、平滑コンデンサ7を放電させる。短絡制御部5は、複数組のアーム14(インバータ10の直流側の正負両極間に直列接続されて相補的に動作する複数組の上段側スイッチング素子12及び下段側スイッチング素子13)の内、全ての下段側スイッチング素子13を導通させる短絡制御を、低圧電源回路3から供給される電力を用いて実行する。
図2から図4の回路ブロック図は、放電制御部6の構成例を模式的に示している。図2から図4の回路構成は、それぞれ異なる構成を示しているが、起動制御部2の構成については同様である。また、図2から図4の回路構成において、低圧電源回路3は、スイッチング素子を備えたDC−DCコンバータにより構成されている。図2及び図3では、低圧電源回路3は、トランス32を用いた絶縁型DC−DCコンバータにより構成されており、図4では、低圧電源回路3は、チョークコイルL(インダクタ)を用いたバックコンバータによって構成されている。また、図2及び図4では、放電負荷4は、低圧電源回路3の出力側に接続されているのに対し、図3では、放電負荷4は、低圧電源回路3の入力側に接続されている。
はじめに、図2から図4に共通する起動制御部2の構成について説明する。放電指令DISが非アクティブな場合(ローレベル;低圧回路系LVのグラウンドレベル)には、第1起動スイッチTr1がオフ状態である。従って、第2アイソレーション回路IS2(フォトカプラPC)の低圧回路系LVのフォトダイオードに電流が流れて点灯し、高圧回路系HVのフォトトランジスタがオン状態となる。一方、放電指令DISがアクティブな場合(ハイレベル;第1起動スイッチTr1をオンすることができる電圧レベル)には、第1起動スイッチTr1がオン状態となる。その結果、電流はフォトダイオードではなく、第1起動スイッチTr1を流れ、フォトダイオードが消灯して、フォトトランジスタがオフ状態となる。即ち、起動信号(放電指令DIS)が、低圧側起動制御部21から高圧側起動制御部22に伝達される。換言すれば、第2アイソレーション回路IS2(フォトカプラPC)の高圧回路系HVのフォトトランジスタがオフ状態となることが、高圧側起動制御部22の起動条件となる。
また、低圧バッテリ61の電圧(+B)が予め規定された基準電圧以下となった場合、具体的には、フォトダイオードが点灯するために必要な電流を流せない程度に低圧バッテリ61の電圧(+B)が低下した場合にも、フォトダイオードが消灯して、フォトトランジスタがオフ状態となる。これによって、高圧側起動制御部22の起動条件が成立する。“フォトダイオードが点灯するために必要な電流を流すことができる電圧”は、上述した“基準電圧”に相当する。第2アイソレーション回路IS2(フォトカプラPC)のフォトダイオードは、低圧バッテリ61からの供給電圧が予め規定された基準電圧以下となったことを検出する電圧検出部に対応するものであり、その“電圧検出結果”はフォトダイオードが消灯することによって示される起動信号として高圧側起動制御部22に伝達される。
例えば低圧バッテリ61からインバータ制御部1を含む回転電機制御装置100への電力供給が絶たれたような場合には、放電指令DISにより放電制御を起動することができなくなる。しかし、低圧側起動制御部21は、低圧バッテリ61からの供給電圧が低下した場合には、放電指令DISの状態に拘わらず、起動信号を高圧側起動制御部22に伝達することができる。
高圧側起動制御部22において、第2アイソレーション回路IS2(フォトカプラPC)のフォトトランジスタは、インバータ10の直流側の正負両極間に、制限抵抗R22と直列接続されると共に、ツェナーダイオードZDと並列接続されている。フォトトランジスタがオン状態の場合には、ツェナーダイオードZDには電流は流れず、第2起動スイッチTr2のベース端子には負極Nとの間にほとんど電圧が生じず、第2起動スイッチTr2はオフ状態となる。フォトトランジスタがオフ状態の場合には、ツェナーダイオードZDに電流が流れ、ツェナーダイオードZDの電気的特性に応じた電圧(ツェナー電圧)が生じる(例えば15[V])。第2起動スイッチTr2のエミッタ端子には、この電圧(ツェナー電圧)に応じた電圧(正確にはベース−エミッタ間のダイオードの順方向電圧により0.6〜0.7[V]程度降下した電圧)が現れる。このように、第2起動スイッチTr2のエミッタ端子に現れる電圧によって、低圧電源回路3が動作する。
図2に示す構成において、低圧電源回路3はトランス32を用いた絶縁型DC−DCコンバータである。電源制御回路31は、電源制御スイッチTr3をスイッチング制御することで、トランス32の一次側コイル(入力側)に流れる電流(一次側コイルのエネルギー)を制御して、二次側コイル(出力側)に予め規定された電圧(Vs;例えば16[V])を生じさせる。この電圧(Vs)は、電源制御回路31にフィードバックされており、電源制御スイッチTr3はフィードバック制御される。
図2に示す構成において、低圧電源回路3の出力側には、放電負荷4が並列に接続される(図4に示す構成においても同様)。低圧電源回路3は、一定の電圧(Vs)を出力する低電圧源であるから、放電負荷4に流れる電流も一定値となる。ところで、インバータ10の正負両極間(P−N間)に、例えば平滑コンデンサ7と並列に放電抵抗などの負荷が備えられる場合があるが、このような放電抵抗は、インバータ10の正負両極間電圧に対応する定格電力が必要である。これに対して、本実施形態における放電負荷4は、低圧電源回路3の出力電圧に対応する定格電力であれば充分である。
また、平滑コンデンサ7に並列に放電抵抗が備えられるような場合には、通常動作時における電力消費を抑制するために、当該放電抵抗に直列に放電用のスイッチとしてスイッチング素子が備えられることが多い。当然ながらこのスイッチング素子も、放電抵抗と同様の耐圧や定格電力が要求される。図2に示す回路では、そのような高耐圧・高定格電力のスイッチング素子も不要である。
図5は、平滑コンデンサの放電特性の一例を示しており、図6は、放電用の負荷の消費電力特性の一例を示している。図5及び図6において符号“A”は本実施形態の放電負荷4の特性を示しており、符号“B”はインバータ10の正負両極間(P−N間)に備えられた放電抵抗の特性を示している。横軸における時間“Tt”は、放電制御の目標時間内に設定された時間であり、何れの方法を用いた場合にも、平滑コンデンサ7の電圧が放電開始から目標値(目標電圧)である“Vt”まで低下する時間を示している。図5を参照すれば、放電開始からの電圧の低下の度合いは、“B”の方が大きいが、“A”も目標値(目標電圧)“Vt”まで電圧が低下する時間“Tt”は満足しており、本実施形態に係る放電制御が充分に実用的であることがわかる。
また、図6に示すように、放電負荷4が低電圧源に接続された“A”は、当然ながら一定の消費電力“W2”である。一方、インバータ10の正負両極間(P−N間)、つまり、放電によって電圧が変化していく平滑コンデンサ7に並列接続された放電抵抗は、放電開始から時間“Tt”を経過するまでに、“W2”よりも遙かに大きい“W3”から、“W2”よりも小さい“W1”まで消費電力が変化する。つまり、“W3”の消費電力を満足する定格の負荷(抵抗)を用いる必要があるので、負荷のサイズは、放電負荷4よりも大きくなる。換言すれば、放電負荷4は、一定の消費電力“W2”を満足すれば足りるので、そのサイズが大きくなることを抑制することができる。
尚、図6において、時間“0”における縦軸、電力“0”における横軸、時間“Tt”における縦軸、特性曲線によって囲まれる範囲の面積は、特性曲線が“A”の場合と“B”の場合とで同一である。つまり、放電開始から時間“Tt”を経過するまでに放電負荷4(あるいは放電抵抗)が消費するエネルギーは等しい。つまり、同じエネルギーを消費させるに際して、本実施形態ではより定格電力が小さい負荷(例えば抵抗器)を用いることができる。
ところで、平滑コンデンサ7の電荷は、放電負荷4によって消費されるだけではなく、インバータ10によっても消費することができる。具体的には、低圧電源回路3から供給される電力によって動作する短絡制御部5は、アーム14の内、下段側スイッチング素子13を導通させる短絡制御を行って平滑コンデンサ7の電荷を消費させる。短絡制御部5は、低圧電源回路3から電圧“Vs”が入力された際に短絡制御を実行する。尚、この際、短絡制御の実行要否を判定し、実行が必要と判定された場合に短絡制御を実行するように構成されていても好適である。例えば、コンタクタ9が開放状態となった後に回転電機11が回転を続けていると、回転電機11により発電された電力が高圧バッテリ60に回生されない。この際、インバータ10のスイッチング素子(12,13)が全てオフ状態であると、発電された電力が平滑コンデンサ7に充電される。従って、特にコンタクタ9が開放状態となった後に回転電機11が回転を続けている場合に、短絡制御が実行されると好適である。
さらに、本実施形態によれば、高圧側起動制御部22、低圧電源回路3なども平滑コンデンサ7に蓄積された電荷を用いて動作する。つまり、放電制御部6は、低圧バッテリ61など、制御回路(インバータ制御部1)の電源を喪失したとしても平滑コンデンサ7の蓄積電荷を放電させることができるにとどまらず、放電制御部6の動作自体によっても、平滑コンデンサ7の電荷を消費し、より早く放電を完了させることができる。平滑コンデンサ7の端子間電圧が、放電制御部6を動作させることができないほど低下した場合には、放電制御部6も動作する必要がない(放電の必要がない)ので、問題はない。
図2の回路例に比べて図3の回路例では、放電負荷4に電力を供給する放電用の電源と、短絡制御部5に電力を供給する短絡用の電源とが、それぞれに別に構成される点が異なっている。短絡用の電源は、図2に示す回路例と同様に、低圧電源回路3の出力側から電力を共有される。これに対して、放電用の電源は、低圧電源回路3の入力側に構築されている。即ち、図3に示す回路例では、図2に示す回路例と異なり、低圧電源回路3の入力側に、放電負荷4が接続される。
より具体的には、トランス32を備えたDC−DCコンバータの一次側コイルに直列に放電負荷4が接続されている。この際、放電負荷4に対して並列にコンデンサが接続され、このコンデンサの両端電圧“Vdis”が放電用の電源として、放電負荷4に印加される。この電圧“Vdis”は、一次側コイルの巻き数を“Np”、二次側コイルの巻き数を“Ns”として、概ね“Vs×(Np/Ns)”となる。この電圧“Vdis”は、正極Pを基準として低電位側に生成される。一次側コイルと二次側コイルの巻き数が同じ場合には(Np=Ns)、概ね“Vdis=Vs”となるから、放電負荷4に印加される電圧、及び消費電力は図2を参照して説明した回路例と同様となる。
ところで、図3の回路例では、電源制御スイッチTr3がオフ状態となった際に、反射電圧が生じにくく、電源制御スイッチTr3の耐圧の余裕を小さくすることができる。具体的には、図2の回路例では、電源制御スイッチTr3のドレイン端子(一次側コイルと電源制御スイッチTr3との接続ライン)に、電源制御スイッチTr3がオフ状態となった際に、“P+(Vs×(Np/Ns))”の電位が現れ、正極Pよりも高い電位となる。これに対して、図3の回路例では、電源制御スイッチTr3がオフ状態となった際の電位が正極Pの電位までに抑制されるため、図2の回路例に比べて、電源制御スイッチTr3の耐圧を低く抑えることができる。
また、図3の回路例では、電源制御スイッチTr3のピーク電流も小さくなるので、スイッチング損失も低減される。また、トランス32の二次側に放電負荷が接続されないので、二次側の消費電力が少なくなり、二次側コイルの線径を小さくすることができる。その結果、トランス32を小型化することができる。
図4の構成は、図2の構成に対してDC−DCコンバータの構成が異なるのみで、その他の構成は共通であるから、詳細な説明は省略する。図4の回路例における低圧電源回路3は、上述したようにチョークコイルL(インダクタ)を用いたバックコンバータである。ここでは、低圧電源回路3として、トランス32を用いた絶縁型、並びにバックコンバータを例示したが、これらとは異なる形式のコンバータによって低圧電源回路3が構成されることを妨げるものではない。図2及び図4に示すように、低圧電源回路3の構成に拘わらず、低圧電源回路3の出力側に放電負荷4を接続することによって、一定の消費電力で放電負荷4に平滑コンデンサ7の電荷を消費させることが可能である。
以上、説明したように、本発明によれば、回路の規模の増大を抑制しつつ、制御回路の電源を喪失したとしてもインバータの平滑コンデンサの蓄積電荷を放電させることが可能となる。
本発明は、直流電源とインバータとの間に介在された平滑コンデンサの電荷を放電させる放電制御装置に利用することができる。
1 :インバータ制御部
2 :起動制御部
3 :低圧電源回路(第2低圧直流電源)
4 :放電負荷
5 :短絡制御部
6 :放電制御部
7 :平滑コンデンサ
10 :インバータ
11 :回転電機
12 :上段側スイッチング素子
13 :下段側スイッチング素子
60 :高圧バッテリ(高圧直流電源)
61 :低圧バッテリ(第1低圧直流電源)
100 :回転電機制御装置(放電制御装置)
DIS :放電指令
Tr1 :第1起動スイッチ
Tr2 :第2起動スイッチ
Tr3 :電源制御スイッチ(DC−DCコンバータのスイッチング素子)
2 :起動制御部
3 :低圧電源回路(第2低圧直流電源)
4 :放電負荷
5 :短絡制御部
6 :放電制御部
7 :平滑コンデンサ
10 :インバータ
11 :回転電機
12 :上段側スイッチング素子
13 :下段側スイッチング素子
60 :高圧バッテリ(高圧直流電源)
61 :低圧バッテリ(第1低圧直流電源)
100 :回転電機制御装置(放電制御装置)
DIS :放電指令
Tr1 :第1起動スイッチ
Tr2 :第2起動スイッチ
Tr3 :電源制御スイッチ(DC−DCコンバータのスイッチング素子)
Claims (3)
- 高圧直流電源と交流機器との間に介在されて、直流と交流との間で電力変換を行うインバータと、
前記高圧直流電源と前記インバータとの間に介在されて、前記インバータの直流側の正負両極間電圧を平滑化する平滑コンデンサと、
前記インバータを制御するインバータ制御部に、前記高圧直流電源よりも低電圧の直流電力を供給する電源であり、前記高圧直流電源とは絶縁された第1低圧直流電源と、
前記平滑コンデンサに並列接続されて、前記高圧直流電源よりも低電圧の直流電力を生成する第2低圧直流電源と、
前記第2低圧直流電源に接続された放電負荷と、
前記インバータの直流側の正負両極間に直列接続されて相補的に動作する複数組の上段側スイッチング素子及び下段側スイッチング素子の内、全ての前記下段側スイッチング素子を導通させる短絡制御を、前記第2低圧直流電源から供給される電力を用いて実行する短絡制御部と、
前記インバータ制御部からの放電指令、又は、前記第1低圧直流電源の電圧が予め規定された基準電圧以下となったことを示す電圧検出結果に基づいて、前記第2低圧直流電源を起動させる起動制御部と、
を備える放電制御装置。 - 前記第2低圧直流電源は、スイッチング素子を備えたDC−DCコンバータにより構成され、
前記放電負荷は、前記第2低圧直流電源の出力側に接続されている請求項1に記載の放電制御装置。 - 前記第2低圧直流電源は、スイッチング素子を備えたDC−DCコンバータにより構成され、
前記放電負荷は、前記第2低圧直流電源の入力側に接続されている請求項1に記載の放電制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013180073A JP2015050825A (ja) | 2013-08-30 | 2013-08-30 | 放電制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2013180073A JP2015050825A (ja) | 2013-08-30 | 2013-08-30 | 放電制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2013
- 2013-08-30 JP JP2013180073A patent/JP2015050825A/ja active Pending
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