JP2015044718A - 熱伝導性粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い絶縁性を持つ熱伝導性粒子の製造方法を提供すること。【解決手段】炭素系粒子、カチオン界面活性剤または両性界面活性剤、加水分解触媒、およびシリカ前駆体を溶媒中で混合し、シリカコーティングされた炭素系粒子を含む混合液をつくる工程を含む熱伝導性粒子の製造方法であって、シリカコーティングされた炭素系粒子の体積抵抗率が1?106Ω・cm以上であることを特徴とする熱伝導性粒子の製造方法。【選択図】図3

Description

本発明は、絶縁性に優れた熱伝導性粒子の製造方法及びこの方法で製造された熱伝導性粒子を含む絶縁組成物に関する。
近年、電子部品の小型化、集積化に加えてハイパワー化が進み、電子部品を構成する部品のさらなる放熱性および電気絶縁性の向上が要求される。従って、電子部品に用いられる材料として、絶縁性に優れた熱伝導性粒子が求められる。
これまでに、天然黒鉛の表面に二酸化シリコン水和物の皮膜を形成する方法が知られている(特許文献1)。この方法では、まず、イソプロパノール中に天然黒鉛とカップリング剤であるテトラエトキシシリケートを添加し、蒸留水を滴下し、次いでN,N−ジメチルアセトアミドを滴下して溶媒置換する。さらにフェニルトリメトキシランを添加して加熱した後、ろ過し乾燥させ、窒素雰囲気下350℃で30分間焼成している。
特開2010−024406号公報
本発明の目的は、高い絶縁性を持つ熱伝導性粒子の製造方法、この方法で製造された熱伝導性粒子および熱伝導性粒子を含む絶縁組成物を提供することにある。
本発明者らは、高い絶縁性を持つ熱伝導性粒子を得ようと鋭意検討を重ねた結果、カチオン界面活性剤または両性界面活性剤、加水分解触媒、およびシリカ前駆体を用いる方法によって、高い熱伝導性と絶縁性を併せ持つ熱伝導性粒子を得ることが可能であることを見出した。
すなわち、本発明は、炭素系粒子、カチオン界面活性剤または両性界面活性剤、加水分解触媒、およびシリカ前駆体を溶媒中で混合し、シリカコーティングされた炭素系粒子を含む混合液をつくる工程を含む熱伝導性粒子の製造方法であって、シリカコーティングされた炭素系粒子の体積抵抗率が1×106Ω・cm以上であることを特徴とする熱伝導性粒子の製造方法を提供する。
また、別の側面としては、炭素系粒子をシリカで被覆した熱伝導性粒子であって、炭素系粒子およびシリカ層の間にカチオン界面活性剤または両性界面活性剤が介在していて、体積抵抗率が1×106Ω・cm以上であることを特徴とする熱伝導性粒子を提供する。
本発明は、又、上記製造方法によって製造された熱伝導性粒子および媒体を含む絶縁組成物を提供する。
本発明によれば、簡単な操作で効率よく、高い絶縁性を持つ熱伝導性粒子を製造することができる。従って、工業的な製造方法として優れた方法である。
実施例1によって製造された熱伝導性粒子のオージェ電子分光法(AES)の深さ方向の解析結果である。 実施例および比較例で製造された熱伝導性粒子の体積抵抗を測定した際に用いた装置の概略図である。 熱伝導性粒子の概略図である。
熱伝導性粒子の製造方法は、シリカ前駆体を化学反応させて、炭素系粒子の表面にシリカの層を形成させるものである。この際、シリカ前駆体をコロイド状とし、さらに反応を促進させることにより流動性を失った固体として炭素系粒子に被覆させるのが好ましい。熱伝導性粒子の製造方法は、各種材料を混合する工程を含む。また、好ましくは、熱伝導性粒子は混合液からフィルタリングによって取り出される。以下、各工程について説明する。
(a)混合
炭素系粒子は、溶媒中でシリカ前駆体を用いた表面処理をすることで、シリカでコーティングされる。このシリカコーティングによって絶縁性の炭素系粒子が形成できる。ここで、シリカとは、酸化ケイ素でありSiOxで表される。シリカは結晶質であっても良いし、アモルファスであっても良い。一実施態様では、シリカコーティングは、低温形成ができるため、アモルファスシリカである。この場合、一部に結晶質シリカが含まれていても良い。結晶質または非晶質の判断は、X線回折をもちいることができる。アモルファスシリカでは、X線回折結果において結晶構造を示すピークが現れない。
以下、混合の工程について説明する。
溶媒中に、カチオン界面活性剤または両性界面活性剤、炭素系粒子、およびシリカ前駆体を添加する。好ましくは、前記界面活性剤および炭素系粒子を溶媒に添加して良く攪拌してから、次いで、シリカ前駆体を添加する。特に溶媒に水溶液を使う場合、シリカ前駆体と水が反応してしまうので、シリカ前駆体を後から添加して、加水分解反応が炭素系粒子と界面活性剤が溶媒中に均一に存在する状態で始まるようにすることができる。
前記界面活性剤、炭素系粒子、およびシリカ前駆体を含む溶媒を混合して、混合液を作る。混合の際に混合液の温度を調節すると、加水分解反応が促進される。
混合液を温度調節する場合、混合液の温度は、使用する溶媒の沸点によって決めることができる。一実施態様では、混合中の溶媒の温度は35℃以上100℃未満であり、別の実施態様では、45℃以上89℃未満であるのが好ましく、特に40℃以上80℃未満が好ましいこの温度範囲で、シリカ前駆体の加水分解反応は適度に促進されうる。
また、混合時間は、加水分解反応速度が加水分解触媒の種類や混合温度によって変わるので、特に限定されない。一実施態様では、混合時間は30分〜10時間、別の実施態様では1〜8時間、さらに別の実施態様では1.5〜5時間であるのが好ましい。この混合の工程は、攪拌機を使うと作業効率が良い。
このように調製された混合液中では、加水分解されたシリカ前駆体の縮重合反応が進んで、炭素系粒子の表面にシリカがコーティングされる。このとき、カチオン界面活性剤または両性界面活性剤が炭素系粒子とシリカのバインダーとして作用する。
以上のプロセスは、1回でも良いが、2回以上繰り返すことによってシリカコーティングの厚みを増すことができる。
別の実施態様では、シリカ前駆体と併せてシリコーンゴムをさらに添加することができる。シリコーンゴムを添加することによって、形成されるシリカコーティングに適度な弾性を与えより高い強度を実現でき得る。シリコーンゴムは、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)が挙げられる。シリコーンゴムの添加量は、好ましくはシリカ前駆体100重量部に対して0.5〜20重量部である。
別の実施態様では、この熱伝導性粒子が分散した混合液中に、さらにシランカップリング剤を添加する。シランカップリング剤で熱伝導性粒子の表面処理をすることによって、後に媒体に分散させ絶縁組成物を作成する際、媒体になじみやすくなる。シランカップリング剤を添加した後の混合液はシランカップリング剤の反応を進めるために、好ましくは30〜100℃で30分〜2時間攪拌をする。シランカップリング剤の添加量は、グラファイト100重量部に対して、1〜10重量部であるのが好ましい。
シランカップリング剤の種類は、特に限定されないが、好ましくは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、および3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。シランカップリング剤は、当業者が通常有する知識に基づいて絶縁組成物の媒体の種類に合わせて選ぶこともできる。
(b)フィルタリング
フィルタリングの工程では、上記攪拌された混合液をろ過して、混合液中の炭素系粒子を取り出す。ろ過には炭素系粒子の粒径よりも小さい目を持ったフィルター、例えば、ろ布またはろ紙を使って、混合液をフィルターの上方から注ぐのがよい。混合液のうちシリカがコーティングされた炭素系粒子はフィルター上に残り、溶媒および溶媒に溶けていた加水分解触媒はフィルターを通過して分離される。ただし、加水分解触媒の一部は、フィルターを通過せず、炭素粒子に残留しうる。取り出した炭素系粒子は、アルコールまたは水で洗浄した後、乾燥させるのが好ましい。乾燥条件は特に限定されないが、200℃未満で行うのが好ましく、例えば常温で1日の間放置して乾燥させるのが好ましい。
取り出された炭素系粒子は、上述のとおり表面がシリカによってコーティングされている。図3で示すように、熱伝導性粒子30において、炭素系粒子31はシリカ層32で覆われている。炭素系粒子31は熱伝導性に優れ、シリカ層32はその炭素系粒子31に絶縁性を与えるため、シリカコーティングされた炭素系粒子は、1×106Ω・cm以上の体積抵抗率をもつ絶縁性に優れた熱伝導性粒子となる。シリカは、炭素系粒子の表面全体を覆っている。しかしながら、100%覆っている必要はなく、一粒の炭素系粒子のうち一部が被覆されていなくてもよいし、全炭素系粒子のうちいくつかの粒子は一部が被覆されていなくてもよい。炭素系粒子の表面の一部が被覆されていない場合であっても、熱伝導性粒子30としての体積抵抗率は、1.0×106Ωcm以上を有するのが好ましく、特に5.0×106Ωcm〜1.0×1018Ωcmであるのが好ましい。
熱伝導性粒子30において、炭素系粒子31を覆うシリカ層32には、界面活性剤が含まれる。シリカ層32に含まれる界面活性剤は、シリカコーティングの工程における反応によって得られるカチオン界面活性剤由来又は両性界面活性剤由来の界面活性剤である。しかしながら、炭素系粒子をシリカコーティングする工程において使用したカチオン界面活性剤又は両性界面活性剤が含まれることもある。
シリカ層の厚みは、特に限定されないが、30〜500nmであるのが好ましい。この範囲の厚さであれば、十分な絶縁性を持った熱伝導性粒子となる。
以下、材料について詳細に説明する。
炭素系粒子
炭素系粒子は、炭素を含む粒子であり、炭素同位体または炭素化合物をいう。炭素系粒子は、熱伝導性粒子の核となるものであり、熱伝導率が、100W・m-1・K-1以上である炭素系物質を粒子状にしたものである。
一実施態様では、炭素系粒子は、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンブラック、ガラスカーボン、炭素繊維、炭化ケイ素、アモルファスカーボン、膨張黒鉛、炭化ホウ素および、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種である。
一実施態様では、炭素系粒子の粒径は、1〜300μm、別の実施態様では5〜150μm、さらに別の実施態様では15〜100μmであるのが好ましい。粒径は、レーザー回折法によって粒度分布を調べ、その分布の中央値(メジアン)をD50として採用する。市販されている粒度分布測定装置として、マイクロトラック(X−100)を用いることができる。
炭素系粒子は、好ましくはグラファイトまたは炭素繊維である。
グラファイトは、非繊維形状を有し、好ましくは、2未満のアスペクト比、すなわち長さ対幅比を有する。このアスペクト比に加えて、このような粒子は、通常、平坦または板状の形状であり、その厚さの少なくとも2.5倍の長さおよび幅を有する。グラファイトは、長さまたは幅のいずれかが1〜300μm、好ましくは5〜150μm、より好ましくは15〜100である。これらのグラファイトのアスペクト比は約2未満であるが、好ましくは1.5未満、より好ましくは1.0未満である。グラファイトの最小厚さは好ましくは0.5μmである。最大厚さはフレーク状粒子の長さおよび幅によって決定される。
炭素繊維は、好ましくは直径が0.5〜50μmであり、アスペクト比が3〜15、好ましくは4〜10である。好ましい炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維である。
なお、グラファイトの厚さ、長、幅および炭素繊維の直径は、電子顕微鏡を用いて測ることができる。
シリカ前駆体
シリカ前駆体は、化学反応によってシリカを生成するシリカ系コーティング材料である。
一実施態様では、シリカ前駆体は、ケイ素、酸素および有機酸を含むケイ素アルコキシドであるのが好ましい。ケイ素アルコキシドは、水と反応して、シリカを作る。このケイ素アルコキシドは一般式(I)式で表すことができる。
(R1)n Si(OR2)4-n (I)
(式中、R1 は同一又は異なる置換若しくは非置換の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表し、nは1、2又は3、R2 は炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表す。)
一実施態様では、ケイ素アルコキシドは、テトラアルコキシシランであるのが好ましい。
別の実施態様では、テトラアルコキシシランは、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラアミロキシシラン、テトラオクチルオキシシラン、テトラノニルオキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメトキシジイソプロポキシシラン、ジエトキシジイソプロポキシシラン、ジエトキシジブトキシシラン、ジエトキシジトリチルオキシシランまたはこれらの混合物であるのが好ましい。
さらに別の実施態様では、ケイ素アルコキシドは、テトラエトキシシラン(TEOS、Si(OC254))であるのが好ましい。TEOSを用いた場合の加水分解反応は次のとおりである。
nSi(OC254+nH2O→nSi(OH)(OC253+nC25OH
さらに加水分解反応が進むとTEOSは最終的にSi(OH)4となる。ここで生成した2分子の水酸化物間で縮重合反応が進み、次のようにシリカが生成される。
Si(OH)4+Si(OH)4→(OH)3Si−O−Si(OH)3+H2
一実施態様では、シリカ前駆体の添加量は、グラファイト100重量部に対して、50〜200重量部である。ここで、グラファイトは炭素系粒子の代表例として示すものである(以下、同じ)。
界面活性剤
本発明では、水溶液中でカチオンに電離する親水基をもつカチオン界面活性剤、又は水溶液中でアニオンとカチオンの両方をもつ両性界面活性剤を使用する。このような界面活性剤は、炭素系粒子とシリカのバインダーとして作用するものと推定される。
両性界面活性剤の具体例として、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−ラウロイル−N'−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N'−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、オレイル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、パーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウラミドプロピルアミンオキシド、ヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシンが挙げられる。
また、別の実施態様では、両性界面活性剤は、分子内にパーフルオロアルキル基を含有する両性フッ素化界面活性剤であってもよい。例えば、パーフルオロアルキルベタインが挙げられる。両性フッ素化界面活性剤として市場で入手可能な商品としては、フタージェント400SW(株式会社ネオス製)、サーフロンS−231(AGCセイミケミカル株式会社)、CapstoneTM FS−50(E.I. du Pont de Nemours and Company)が挙げられる。
カチオン界面活性剤は、第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩およびピリジニウム塩からなる群から選択される少なくとも一種であるのが好ましい。
第4級アンモニウム塩およびアルキルアミン塩は、一般式(II)で表される。
(II)
(式中、R:同一または異なるアルキル基を示し、X:フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)のハロゲン原子を示す。)
第4級アンモニウム塩の具体例として、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムブロミド、ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、デカリニウムクロライド、ヨウ化フルオロアルキルトリメチルアンモニウムが挙げられる。これらのうち、炭素数10〜20の長鎖モノアルキル(又はアルケニル)炭素数1〜3のトリ短鎖アルキル第4級アンモニウム塩が好ましい。
アルキルアミン塩の具体例として、トリオクチルアミン塩酸塩、トリオクチルアミン臭酸塩、トリデシルアミン塩酸塩、トリデシルアミン臭酸塩、トリドデシルアミン塩酸塩、トリドデシルアミン臭酸塩、トリヘキサデシルアミン塩酸塩、トリヘキサデシルアミン臭酸塩、トリオクタデシルアミン塩酸塩、トリオクタデシルアミン臭酸塩が挙げられる。
ピリジニウム塩は、ピリジン環をもち、一般式(III)で表される。
(III)
(式中、R:アルキル基を示し、X:フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)のハロゲン原子を示す。)
ピリジニウム塩の具体例は、ピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロミド、ミリスチルピリジニウムクロライド、ミリスチルピリジニウムブロミド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロミド、エチルピリジニウムクロライド、エチルピリジニウムブロミド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムブロミド、ブチルピリジニウムクロライド、ブチルピリジニウムブロミド、メチルヘキシルピリジニウムクロライド、メチルヘキシルピリジニウムブロミド、メチルオクチルピリジニウムクロライド、メチルオクチルピリジニウムブロミド、ジメチルブチルピリジニウムクロライド、ジメチルブチルピリジニウムブロミドが挙げられる。
また、カチオン界面活性剤は、フルオロアルキル基を有するフッ化界面活性剤も使用できる。例えば、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩が使用できる。
市場で入手可能な商品は、フタージェント300またはフタージェント310(株式会社ネオス製)、サーフロンS−221(AGCセイミケミカル株式会社)が挙げられる。
別の実施態様では、カチオン界面活性剤として、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、トリメチルステアリルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドおよびこれらの混合物からなる一群から選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましい。
さらに別の実施態様では、カチオン性界面活性剤は、以下の構造式を持つヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドであるのが好ましい。
カチオン型界面活性剤は、上記第4級アンモニウム塩およびアルキルアミン塩および水酸化第四級アンモニウム塩のうち、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
カチオン性界面活性剤の添加量は、グラファイト100重量部に対して、0.5〜10重量部であるのが好ましい。
界面活性剤の分子量は、好ましくは50〜5000、より好ましくは100〜1000、より好ましくは300〜500である。
加水分解触媒
加水分解触媒は、酸加水分解触媒または塩基加水分解触媒としてシリカ前駆体の加水分解反応を促進させる。
酸加水分解触媒は、プロトン(H+)供与体であり、加水分解反応において酸素原子をプロトン化することで反応が促進される。一方、塩基加水分解触媒は、プロトン(H+)受容体であり、加水分解において炭素原子からプロトンが転移し求核付加が起きることで反応が促進される。
一実施態様では、加水分解触媒として、塩基加水分解触媒を用いるのが好ましい。
また、別の実施態様では、上記シリカコーティングのプロセスを繰り返す場合、加水分解触媒として、塩基加水分解触媒と酸加水分解触媒を交互に用いるのが好ましい。交互に用いることで、シリカコーティングの強度が増すことが期待できる。
さらに別の実施態様では、加水分解触媒として酸加水分解触媒を用いる場合、塩酸を用いるのが好ましく、加水分解触媒として塩基加水分解触媒を用いる場合、アンモニアを用いるのが好ましい。
加水分解触媒の添加量は、グラファイト100重量部に対して、0.5〜10重量部であるのが好ましい。
溶媒
溶媒は、溶質を均一に分散させる水溶液であるのが好ましい。炭素系粒子、界面活性剤およびシリカ前駆体は、均一に分散することによって均等に反応することができる。
溶媒は、水以外に、イソプロピルアルコール(IPA)、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテーto(PGMEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)またはこれらの混合物を含むことができる。溶媒として、使用する界面活性剤の溶解性が良いものを選ぶのが好ましい。
一実施態様では、溶媒は水である。
別の実施態様では、溶媒は、水と、イソプロピルアルコール(IPA)、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテーto(PGMEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる水性溶媒を用いるのが好ましい。
別の実施態様では、溶媒は、水と、イソプロピルアルコール(IPA)、メタノール、エタノールおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる混合有機溶媒であるのが好ましい。
溶媒の添加量は、グラファイト100重量部に対して、300〜2000重量部であるのが好ましい。溶媒としての水はグラファイト100重量部に対して、4〜70重量部であるのが好ましい。
絶縁組成物
上記製造方法で得られた熱伝導性粒子を媒体に分散させて、絶縁組成物を作成することができる。このように作成された絶縁組成物は、十分な抵抗率および熱伝導性の両方を備え、絶縁性を有する成形体、シート、または、接着剤として用いることができる。例えば、絶縁組成物を電子部品を載置するための基板に塗布して絶縁膜に、または、射出成形して、LED電球の部品など発熱性電子部品を有する機器の筐体に用いることができる。
媒体は、有機ポリマー、無機ポリマー、有機・無機ハイブリッドポリマーおよび、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。 媒体は、これらのポリマーの溶解のため、または、粘度調整のために、必要であればさらに有機溶媒を含めることもできる。有機溶媒は、絶縁組成物を塗布した後の乾燥工程において、ほとんど蒸発する。
有機ポリマーは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、アラミド樹脂、およびゴムからなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
有機ポリマーは、特定の樹脂に限定されるものではないが、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、芳香族系ポリアミドなどのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシルメチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、環状ポリエステルオリゴマー、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、イソチシアシネート樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂、芳香族ポリカルボジイミド樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、メタクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレアウレタン樹脂およびレゾール樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂を構成する成分を任意に組合せた共重合体であってもよい。さらに、これらの有機ポリマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。好ましくは、有機ポリマーは、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂および全芳香族ポリエステル樹脂からなる群より選択される樹脂を含む。
無機ポリマーは、特定の樹脂に限定されるものではないが、例えばシリコーン樹脂が挙げられる。
有機・無機ハイブリッドポリマーは、有機ポリマーの炭素骨格に部分的にシリカを複合させたポリマーで、特定のポリマーに限定されるものではないが、例えばエポキシ樹脂−シリカハイブリッドポリマーが挙げられる。
所望の物性を発現させるために、これらのうちの2種または2種以上を混合して用いることもできる。
媒体に分散させる熱伝導性粒子は、成形体などに求められる熱伝導性によって調節することができる。絶縁組成物の総重量に対し好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは15〜70重量%、さらに20〜60重量%であるのが好ましい。このような範囲で添加することで、十分な熱伝導性が得られ、また、樹脂中に均等に分散させることができる。
絶縁組成物は、さらに、酸化防止剤、ガラス繊維および潤滑剤などの添加剤を含むこともできる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
実施例1
グラファイト粒子に、次に示す方法で表面コーティング処理を行った。使用した材料およびその使用量は表1に示す。
イソプロピルアルコール(IPA)に純水を混合し溶媒とした。そこへアンモニア水を添加した後、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB、CAS.NO.57−09−0)および直径(D50)35μmのフレーク状のグラファイトを添加した。最後に、この混合液にテトラエトキシシラン(TEOS)を添加して、60℃で2時間、マグネチックスターラーで攪拌した。その後、混合液をフィルタリングして、グラファイト粒子を取り出し、室温で1日乾燥させた。
得られたグラファイト粒子をオージェ電子分光法(AES)で調査した結果、シリカ層の厚さは、約100nmであった(図1参照)。
表1
実施例2
CTABの代わりにカチオン界面活性剤であるステアリルトリメチルアンモニウムブロミド(STAB,CAS.1120−02−1)を使用した以外は、実施例1と同じ処理をした。
実施例3
CTABの代わりにカチオン界面活性剤であるドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB,CAS.1119−94−9)を使用した以外は、実施例1と同じ処理をした。
実施例4
CTABの代わりにカチオン性界面活性剤であるフッ化界面活性剤(フタージェント300、株式会社NEOS)を使用した以外は、実施例1と同じ処理をした。
実施例5
CTABの代わりに両性界面活性剤であるラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(31%ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液、AMPHITOL20BS、花王株式会社)を使用した以外は、実施例1と同じ処理をした。なお、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインの添加量が、CTABと同じ0.022gになるように、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液の添加量は0.071gとした。
実施例6
CTABの代わりに両性界面活性剤であるフッ化界面活性剤(27重量%水溶液、CapstoneTM FS−50、E.I. du Pont de Nemours and Company製)を使用した以外は、実施例1と同じ処理をした。なお、フッ素化界面活性剤の添加量が、CTABと同じ0.022gになるように、フッ素化界面活性剤水溶液の添加量は0.081gとした。
実施例7
IPAの代わりにエタノールを使用した以外は、実施例1と同じ処理をした。
実施例8
マグネチックスターラーで攪拌する際の混合液の温度を80℃とした以外は、実施例1と同じ処理をした。
比較例1
CTABを添加しなかったこと以外は、実施例1と同じ処理をした。
比較例2
CTABの代わりにアニオン系界面活性剤としてパルミチン酸ナトリウム(東京化成工業株式会社)を使用した以外は、実施例1と同じ処理をした。
比較例3
CTABの代わりに非イオン系界面活性剤としてポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(Brij(登録商標)C10、Sigma−Aldrich Co.LLC.)を使用した以外は、実施例1と同じ処理をした。
比較例4
グラファイト粒子の表面にアニオン性ポリマー層を形成するために、0.35gの30wt%ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)水溶液(平均分子量200000、シグマアルドリッチジャパン株式会社)、2.5gのグラファイトフレーク、および50gの水を室温で5分間混合した。この混合液をフィルタリングすることによって、アニオン性ポリマーがコーティングされたグラファイト粒子を取り出した。
次に、0.25gの20wt%ポリ・ジアリルジメチルアンモニウム・クロライド水溶液(平均分子量200000―350000、シグマアルドリッチジャパン株式会社)、50gの純水および1.46gの塩化ナトリウムを混合した。この混合液に、アニオン性ポリマーによってコーティングされたグラファイト粒子を添加し、室温で5分間攪拌し、カチオン性ポリマーをアニオン性ポリマーの上に被覆させた。その後、混合液をフィルタリングしてグラファイト粒子を取り出した。
最後に、そのグラファイト粒子、50gの純水および2.5gのコロイダルシリカ(スノー テックス(登録商標)、日産化学)を室温で5分混合し、カチオン性ポリマーの上にさらにコロイダルシリカを被覆させた。その後、グラファイトをフィルタリングして取り出し、室温で1日乾燥させた。
比較例5
120gのグラファイト粒子を4.8Lの純水(2.4wt%)に懸濁させて、懸濁液が、pH9.3になるように硫酸ナトリウムで調節した。このけん濁液を95℃に加熱して、1Lの5.25%のケイ酸ナトリウム水溶液および1Lの1.57wt%硫酸溶液を、同時に、一定の速度で2時間かけて、加えた。最終的に、懸濁液のpHは9.5であった。その後、グラファイトをフィルタリングして取り出し、洗浄してから、室温で1日乾燥させた。
比較例6
95gのエタノールに5gのグラファイト粒子を分散させた。その分散液に、3gの2−メチル−2−オキサゾリン、および2gのアクリル酸を添加して、25℃で8時間攪拌した。その後、87gの混合溶液をとりだし、10gのテトラエトキシシランおよび3gの0.001N希塩酸を添加して、25℃で10時間混合した。混合液をフィルタリングしてグラファイト粒子を取り出し、洗浄してから、室温で1日乾燥させた。
比較例7
95gのエタノールに5gのグラファイト粒子を分散させた。その分散液へ4gのγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランを添加して攪拌した。そして、0.03gの0.005N希塩酸を添加して60℃で4時間混合した。その後、混合液をフィルタリングして、グラファイト粒子を取り出し、洗浄してから、室温で1日乾燥させた。
体積抵抗率測定
実施例および比較例で得られたグラファイト粒子の体積抵抗率を、図2の装置100を使った二端子法で測定した。グラファイト粒子12を、両側の2箇所で端子電極10とつながっている、内径10mmの透明シリンダー11に高さ30mmまで充填した。充填量は0.4gであった。1つの端子電極10の透明シリンダー11と接触する面の面積は0.785cm2であった。二つの端子間にあるシリンダーに1000Vの電圧をかけ体積抵抗率を得た。
結果
実施例および比較例で得られたシリカコーティングされたグラファイト粒子の体積抵抗率をそれぞれ表2−1、表2−2および表2−3に示す。グラファイト粒子そのものの体積抵抗率は、通常、1Ω・cmである。これに対して、すべての実施例・比較例において、それよりも格段に高い体積抵抗率が得られていることから、グラファイト粒子に絶縁性のシリカ層が形成されていることがわかる。
実施例1から実施例8で得られたグラファイト粒子の体積抵抗率は、比較例よりも104〜108倍高い値となった。また、実施例1〜8では、比較例1〜3よりも大幅に抵抗率が高くなったので、炭素系粒子にケイ素アルコキシドを用いてシリカコーティングする方法において、カチオン界面活性剤または両性界面活性剤がシリカ層形成に有効であることが分かった。
表2−1
1)フタージェント300、株式会社NEOS
2)AMPHITOL20BS、花王株式会社
3)CapstoneTM FS−50、 E.I.DuPont de Nemours and Company
表2−2
表2−3
次に、実施例1で得られたシリカコーティングされたグラファイト粒子を有機溶媒に分散させて、絶縁組成物を作成し、その組成物から作成された成型品の熱伝導率および体積抵抗率を調べた。
実施例9
実施例1で得られたシリカコーティングされたグラファイト粒子と、ポリブチレンテレフタレートとを混合し、DSM Research Xplore社製マイクロコンパウンダーおよび卓上射出成型機によって溶融混練および射出成型し、16mm縦×16mm横×16m厚さのサイズの成型品を得た。組成は表3に示す。
比較例8
シリカコートティング処理されていないグラファイトを用いた以外は、実施例9と同じ方法によって成型品を得た。組成は表3に示す。
比較例9
グラファイトを添加しなかったこと以外は、実施例9と同じ方法によって成型品を得た。組成は表3に示す。
熱伝導率測定
得られた成型品について、NETZSCH社製キセノンフラッシュアナライザーを用いて成型品面内方向の熱伝導率を測定した。
体積抵抗率測定
得られた成型品について、三菱化学アナリテック製のハイレスタUP(MCP−HT450)を用い、印加電圧500Vにて体積抵抗率を測定した。
結果
実施例9、比較例8および比較例9で得られた成型品の熱伝導率と体積抵抗率を表3に示す。シリカコーティングされたグラファイト粒子を含む成型品(実施例9)は、熱伝導率が、グラファイト粒子を含まない成型品(比較例8)のそれよりも5倍高く、しかも、体積抵抗率は、シリカコーティングされていないグラファイトを含む成型品(比較例9)の1010倍以上であった。本発明によれば、熱伝導率が高く、かつ、電気絶縁性を有する成型品が得られることが分かった。
表3
実施例10
0.05g(4重量部)のシランカップリング材をさらに加えたことおよび溶媒の量を18g(1565重量部)から4.5g(391重量部)に変更したこと以外は、実施例7と同じ材料および方法で、シリカコーティングしたグラファイト粒子を作製した。シランカップリング剤には、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBE−403、信越化学株式会社)を使用した。この3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランを、TEOSを混合液に添加して2時間反応させた後にさらに添加した。その後60℃で1時間撹拌を続けて反応を進め、フィルタリングによってグラファイト粒子を取り出した。シリカコーティングされたグラファイト粒子の体積抵抗率を実施例1と同様に測定したところ、1.85×1010Ω・cmであった。
実施例11
0.05g(1.6重量部)のポリジメチルシロキサン(PDMS)をさらに加えたこと、溶媒を18g(1565重量部)から4.5g(391重量部)に変更したことおよび直径(D50)150μmのグラファイトを使用したこと以外は、実施例7と同じ材料および方法で、シリカコーティングしたグラファイト粒子を作製した。このPDMS(CAS.No.70131―67―8、和光純薬工業株式会社)を予めTEOSと混合させて、混合液に添加した。シリカコーティングされたグラファイト粒子の体積抵抗率を実施例1と同様に測定したところ、3.75×1010Ω・cmであった。

Claims (13)

  1. 炭素系粒子、カチオン界面活性剤または両性界面活性剤、加水分解触媒、およびシリカ前駆体を溶媒中で混合し、シリカコーティングされた炭素系粒子を含む混合液をつくる工程を含む熱伝導性粒子の製造方法であって、シリカコーティングされた炭素系粒子の体積抵抗率が1×106Ω・cm以上であることを特徴とする熱伝導性粒子の製造方法。
  2. カチオン界面活性剤を用いる請求項1記載の熱伝導性粒子の製造方法。
  3. カチオン界面活性剤が、第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩、ピリジニウム塩およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一種である請求項2記載の熱伝導性粒子の製造方法。
  4. 炭素系粒子が、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンブラック、ガラスカーボン、炭素繊維、炭化ケイ素、アモルファスカーボン、膨張黒鉛、炭化ホウ素および、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1記載の熱伝導性粒子の製造方法。
  5. シリカ前駆体が、ケイ素アルコキシドである請求項1記載の熱伝導性粒子の製造方法。
  6. シリカコーティングされた炭素系粒子が、混合液からフィルタリング法によって取り出される工程をさらに含む請求項1記載の熱伝導性粒子の製造方法。
  7. 溶媒中での混合を35℃以上100℃未満の温度で行う請求項1記載の熱伝導性粒子の製造方法。
  8. 炭素系粒子をシリカで被覆した熱伝導性粒子であって、炭素系粒子を覆うシリカ層は界面活性剤を含み、体積抵抗率が1×106Ω・cm以上であることを特徴とする熱伝導性粒子。
  9. シリカ層の厚みが30〜500nmである請求項8の熱伝導性粒子。
  10. 炭素系粒子がグラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンブラック、ガラスカーボン、炭素繊維、炭化ケイ素、アモルファスカーボン、膨張黒鉛、炭化ホウ素および、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項8の熱伝導性粒子。
  11. 請求項1記載の製造方法によって製造された熱伝導性粒子および媒体を含む絶縁組成物。
  12. 媒体が、有機ポリマー、無機ポリマー、有機・無機ハイブリッドポリマーおよび、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項11記載の絶縁組成物。
  13. 熱伝導率が1W/mK以上且つ、体積抵抗率が1×108Ω・cm以上である請求項11記載の絶縁組成物。
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