JP2015036512A - スクリュー圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】省エネルギと騒音低減のどちらを優先したい場合にも対応可能とし、スクリュー圧縮機の使い勝手を向上させる。【解決手段】スクリュー圧縮機では、スクリューロータが回転すると、低圧空間内の冷媒が圧縮室へ吸入されて圧縮され、その後に高圧空間へ吐出される。スクリュー圧縮機は、その内部容積比が可変である。コントローラは、スクリュー圧縮機の消費電力が少なくなるように内部容積比Viを調節する省エネ制御モードと、スクリュー圧縮機の騒音が小さくなるように内部容積比Viを調節する低騒音制御モードとを選択可能である。【選択図】図7

Description

本発明は、内部容積比が可変のスクリュー圧縮機に関するものである。
従来より、スクリュー圧縮機は、冷媒や空気を圧縮する用途に広く用いられている。また、例えば特許文献1に開示されているように、スライドバルブを用いて圧縮比を変更可能に構成されたスクリュー圧縮機も知られている。
具体的に、特許文献1には、一つのスクリューロータを備えたシングルスクリュー圧縮機が開示されている。このシングルスクリュー圧縮機は、スクリューロータの軸方向に移動可能なスライドバルブを備えている。このスライドバルブには、吐出口が形成されている。このスクリュー圧縮機において、スクリューロータが回転すると、スクリューロータの螺旋溝により形成された圧縮室へ流体が吸入されて圧縮される。また、圧縮室がスライドバルブの吐出口に連通すると、圧縮された流体が圧縮室から吐出口を通って吐出される。
特許文献1のスクリュー圧縮機において、スライドバルブが移動すると、そこに形成された吐出口も移動する。吐出口の位置が変化すると、吐出口に連通し始める時点における圧縮室の容積が変化する。従って、スライドバルブを移動させると、それに伴って内部容積比が変化する。なお、本明細書において、内部容積比は、圧縮室において流体を圧縮する圧縮行程の開始時点における圧縮室の容積Vの、圧縮行程の終了時点における圧縮室の容積Vに対する比Vi(=V/V)である。
特開2004−137934号公報
特許文献1のスクリュー圧縮機では、スクリューロータの駆動に要するエネルギ(具体的には、スクリューロータを駆動する電動機の消費電力)が最少となるように、内部容積比の調節が行われる。また、スクリュー圧縮機では、圧縮室から吐出される流体の圧力が変動すると、その圧力変動がスクリュー圧縮機の騒音の原因となる。
ところで、スクリュー圧縮機の用途や設置場所によっては、スクリューロータの駆動に要するエネルギの削減を優先したい場合もあれば、スクリュー圧縮機の騒音低減を優先したい場合もある。一方、スクリューロータの駆動に要するエネルギが最少となるように内部容積比を設定しても、その内部容積比においてスクリュー圧縮機の騒音が最低になるとは限らない。
上述したように、特許文献1のスクリュー圧縮機では、スクリューロータの駆動に要するエネルギが最少となるように、内部容積比の調節が行われる。このため、スクリュー圧縮機の騒音低減が望まれる場合であっても、スクリュー圧縮機の騒音を充分に低減できない場合があり、スクリュー圧縮機の使い勝手が悪いという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スクリューロータの駆動に要するエネルギの削減とスクリュー圧縮機の騒音低減のどちらを優先したい場合にも対応可能とし、スクリュー圧縮機の使い勝手を向上させることにある。
第1の発明は、低圧空間(S1)及び高圧空間(S2)を形成するケーシング(100)と、圧縮室(23)を形成する複数の螺旋溝(41)が形成され、上記ケーシング(100)に収容されるスクリューロータ(40)とを備え、上記スクリューロータ(40)が回転すると、上記低圧空間(S1)内の流体が上記圧縮室(23)へ吸入されて圧縮された後に上記高圧空間(S2)へ吐出されるスクリュー圧縮機を対象とする。そして、上記スクリューロータ(40)の駆動に要するエネルギを削減するために、上記低圧空間(S1)の圧力Pに対する上記高圧空間(S2)の圧力Pの比である圧力比Pr(=P/P)と上記スクリューロータ(40)の回転速度とに応じて内部容積比を調節する入力低減動作と、上記スクリュー圧縮機の運転に起因する騒音を抑えるために、上記圧力比Prと上記スクリューロータ(40)の回転速度とに応じて内部容積比を調節する騒音低減動作とを実行可能に構成された調節装置(80)を備えるものである。
第1の発明のスクリュー圧縮機(1)において、スクリューロータ(40)が回転すると、低圧空間(S1)内の流体が圧縮室(23)へ吸入される。圧縮室(23)が低圧空間(S1)から遮断されると、その後は、圧縮室(23)内の流体を圧縮する圧縮行程が行われる。圧縮行程が終了すると、圧縮された流体が圧縮室(23)から高圧空間(S2)へ吐出される。
第1の発明のスクリュー圧縮機(1)には、調節装置(80)が設けられる。調節装置(80)は、入力低減動作と騒音低減動作とを実行可能に構成される。入力低減動作中の調節装置(80)は、スクリューロータ(40)の駆動に要するエネルギが少なくなるように、圧力比Prとスクリューロータ(40)の回転速度とに基づいて内部容積比を調節する。一方、騒音低減動作中の調節装置(80)は、スクリュー圧縮機(1)の運転によって生じる騒音が小さくなるように、圧力比Prとスクリューロータ(40)の回転速度とに基づいて内部容積比を調節する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記圧力比Prが同じで且つ上記スクリューロータ(40)の回転速度が同じ場合について比較すると、上記騒音低減動作によって設定される内部容積比は、上記入力低減動作によって設定される内部容積比よりも小さいものである。
ここで、スクリューロータ(40)の駆動に要するエネルギを低く抑えるためには、圧縮行程の終了時点における圧縮室の内圧が高圧空間(S2)の圧力よりも高くなる過圧縮の程度を、ある程度以下に抑える必要がある。ところが、圧縮行程の終了時点における圧縮室の内圧が高圧空間(S2)の圧力よりも低くなる圧縮不足の状態に陥ると、スクリューロータ(40)の駆動に要するエネルギは、むしろ増大する。このため、スクリューロータ(40)の駆動に要するエネルギを最少にするには、圧縮行程の終了時点における圧縮室の内圧が高圧空間(S2)の圧力よりもわずかに高くなるように、内部容積比を設定するのが望ましい。
一方、騒音の原因となる吐出流体(即ち、圧縮室から吐出される流体)の圧力脈動は、圧縮行程の終了時点における圧縮室の内圧が高圧空間(S2)の圧力よりもわずかに低いときに、最も小さくなる。そこで、第2の発明の調節装置(80)は、圧力比Prが同じで且つスクリューロータ(40)の回転速度が同じ場合について比較すると、騒音低減動作によって設定される内部容積比が入力低減動作によって設定される内部容積比よりも小さくなるように、内部容積比を調節する。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記圧力比Prが同じ場合について比較すると、上記入力低減動作によって設定される内部容積比と、上記騒音低減動作によって設定される内部容積比とは、上記スクリューロータ(40)の回転速度が高いほど小さくなるものである。
ここで、スクリュー圧縮機(1)では、スクリューロータ(40)の回転速度が高くなるほど、圧縮室の容積の縮小速度(即ち、単位時間あたりの圧縮室の容積の縮小量)が大きくなる。このため、スクリューロータ(40)の回転速度が高くなると、圧縮室の容積の縮小速度が、圧縮室からの流体の流出速度(即ち、単位時間あたりに圧縮室から流出する流体の体積)を上回り、圧縮行程の終了時点における圧縮室の内圧が高圧空間(S2)の圧力を大幅に上回るおそれがある。
つまり、スクリューロータ(40)の回転速度が高くなるほど、圧縮行程の終了時点における圧縮室の内圧が高圧空間(S2)の圧力を上回る過圧縮状態に陥る可能性が高くなる。そこで、第3の発明の調節装置(80)は、上記圧力比Prが同じ場合について比較すると、スクリューロータ(40)の回転速度が高いほど内部容積比が小さくなるように、内部容積比を調節する。
第4の発明は、上記第3の発明において、上記圧力比Prが同じ場合について比較すると、上記入力低減動作によって設定される内部容積比と上記騒音低減動作によって設定される内部容積比の差は、上記スクリューロータ(40)の回転速度が高いほど大きくなるものである。
上述したように、騒音の原因となる吐出流体の圧力脈動は、圧縮行程の終了時点における圧縮室の内圧が高圧空間(S2)の圧力よりもわずかに低いときに、最も小さくなる。一方、スクリューロータ(40)の回転速度が高くなるほど、圧縮行程の終了時点における圧縮室の内圧が高圧空間(S2)の圧力を上回る過圧縮状態に陥る可能性が高くなる。そこで、第4の発明の調節装置(80)は、圧力比Prが同じ場合について比較すると、スクリューロータ(40)の回転速度が高くなるほど、入力低減動作によって設定される内部容積比と騒音低減動作によって設定される内部容積比の差が大きくなるように、内部容積比を調節する。
本発明では、スクリュー圧縮機(1)に設けられた調節装置(80)が、入力低減動作と騒音低減動作とを選択的に行う。このため、スクリューロータ(40)の駆動に要するエネルギの削減を優先させたい場合には、調節装置(80)が入力低減動作を行うことによって、スクリューロータ(40)の駆動に要するエネルギを低く抑えることができる。また、スクリュー圧縮機(1)の騒音低減を優先させたい場合には、調節装置(80)が騒音低減動作を行うことによって、スクリュー圧縮機(1)の運転によって生じる騒音を低く抑えることができる。従って、本発明によれば、スクリューロータ(40)の駆動に要するエネルギの削減とスクリュー圧縮機(1)の騒音低減のどちらを優先したい場合にも対応することが可能となり、スクリュー圧縮機(1)の使い勝手が向上する。
図1は、実施形態のシングルスクリュー圧縮機の概略構成図である。 図2は、実施形態のシングルスクリュー圧縮機の縦断面図であって、内部容積比Viが最大の状態を示す。 図3は、実施形態のシングルスクリュー圧縮機の縦断面図であって、内部容積比Viが最小の状態を示す。 図4は、図2のA−A断面を示すシングルスクリュー圧縮機の断面図である。 図5は、実施形態のスクリュー圧縮機の要部を抜き出して示す斜視図である。 図6は、スクリュー圧縮機の圧縮機構の動作を示す平面図であり、(A)は吸入行程を示し、(B)は圧縮行程を示し、(C)は吐出行程を示す。 図7は、実施形態のコントローラが記憶する省エネ制御モード用の制御マップと低騒音制御モード用の制御マップの特性を示す、運転周波数fと内部容積比Viの関係図である。 図8は、圧力比Pr=4のときの圧縮室の容積と圧力の関係を示すグラフであって、(A)は内部容積比Vi=3且つ運転周波数f=60Hzの場合を示し、(B)は内部容積比Vi=3且つ運転周波数f=120Hzの場合を示し、(C)は内部容積比Vi=2.5且つ運転周波数f=120Hzの場合を示す。 図9は、圧力比Pr=4、内部容積比Vi=2、運転周波数f=120Hzのときの圧縮室の容積と圧力の関係を示すグラフである。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態のシングルスクリュー圧縮機(1)(以下、単にスクリュー圧縮機と言う。)は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に設けられて冷媒を圧縮するためのものである。
〈スクリュー圧縮機の概略構成〉
図1に示すように、スクリュー圧縮機(1)では、圧縮機構(20)とそれを駆動する電動機(15)とが1つのケーシング(30)に収容されている。このスクリュー圧縮機(1)は、半密閉型に構成されている。
ケーシング(30)は、横長の円筒状に形成されている。ケーシング(30)内には、ケーシング(30)の一端側に位置する低圧空間(S1)と、ケーシング(30)の他端側に位置する高圧空間(S2)とが形成されている。ケーシング(30)には、低圧空間(S1)に連通する吸入管接続部(101)と、高圧空間(S2)に連通する吐出管接続部(102)とが設けられている。冷媒回路の蒸発器から流れてきた低圧ガス冷媒(即ち、低圧流体)は、吸入管接続部(101)を通って低圧空間(S1)へ流入する。また、圧縮機構(20)から高圧空間(S2)へ吐出された圧縮後の高圧ガス冷媒は、吐出管接続部(102)を通って冷媒回路の凝縮器へ供給される。
ケーシング(30)内では、低圧空間(S1)に電動機(15)が配置され、低圧空間(S1)と高圧空間(S2)の間に圧縮機構(20)が配置されている。圧縮機構(20)の駆動軸(21)は、電動機(15)に連結されている。また、ケーシング(30)内では、高圧空間(S2)に油分離器(106)が配置されている。油分離器(106)は、圧縮機構(20)から吐出された冷媒から冷凍機油を分離する。高圧空間(S2)における油分離器(106)の下方には、潤滑油である冷凍機油を貯留するための油貯留室(107)が形成されている。油分離器(106)において冷媒から分離された冷凍機油は、下方へ流れ落ちて油貯留室(107)に蓄えられる。
本実施形態のスクリュー圧縮機(1)には、インバータ(110)が設けられている。インバータ(110)は、その入力側が商用電源(111)に接続され、その出力側が電動機(15)に接続されている。インバータ(110)は、商用電源(111)から入力された交流の周波数を調節し、所定の周波数に変換された交流を電動機(15)へ供給する。
インバータ(110)の出力周波数(即ち、インバータ(110)から電動機(15)へ供給される交流の周波数)を変更すると、電動機(15)の回転速度が変化し、電動機(15)によって駆動されるスクリューロータ(40)の回転速度も変化する。そして、スクリューロータ(40)の回転速度が変化すると、後述する圧縮機構(20)へ吸入される冷媒の体積流量が変化する。即ち、スクリューロータ(40)の回転速度が変化すると、スクリュー圧縮機(1)の運転容量が変化する。
なお、本実施形態のインバータ(110)は、その出力周波数を20Hz以上120Hz以下の範囲で調節する。ただし、この出力周波数の調節範囲は、単なる一例である。
〈スクリュー圧縮機の詳細構成〉
スクリュー圧縮機(1)は、圧縮機構(20)と、圧縮機構(20)を駆動するための電動機(15)と、圧縮機構(20)の内部容積比Viを調整するための可変Vi機構(3)とを備えている。
圧縮機構(20)は、図2〜図4に示すように、ケーシング(30)内に形成されたシリンダ部(31)と、このシリンダ部(31)の中に回転可能に配置された1つのスクリューロータ(40)と、スクリューロータ(40)に噛み合う2つのゲートロータ(50)とを備えている。
シリンダ部(31)は、その周方向の2カ所にバルブ収容部(32)が形成されている(図4を参照)。バルブ収容部(32)は、シリンダ部(31)の径方向の外側に膨出している。このバルブ収容部(32)には、シリンダ部(31)の軸方向沿いにのびるスライド溝(33)が含まれる。スライド溝(33)には、後述するスライドバルブ(4)が、スライド溝(33)を軸方向へ移動可能に設置されている。
スクリューロータ(40)は、駆動軸(21)を介して電動機(15)と連結されている。 駆動軸(21)は、スクリューロータ(40)と同軸上に配置されている。駆動軸(21)の先端部は、ボールベアリング(61)によって支持される。ボールベアリング(61)は、ベアリングホルダ(60)に取り付けられている。
図2,図5に示すように、スクリューロータ(40)は、概ね円柱状に形成された金属製の部材である。スクリューロータ(40)の外周面には、スクリューロータ(40)の一端(吸入側の端部)から他端(吐出側の端部)へ向かって螺旋状に延びる螺旋溝(41)が複数本(本実施形態では、6本)形成されている。
各ゲートロータ(50)は、樹脂製の部材である。図5に示すように、各ゲートロータ(50)には、長方形板状に形成された複数枚(本実施形態では、11枚)のゲート(51)が放射状に設けられている。各ゲートロータ(50)は、シリンダ部(31)の外側に、スクリューロータ(40)の回転軸に対して軸対称となるように配置されている。各ゲートロータ(50)は、ゲート(51)がシリンダ部(31)の一部(図示せず)を貫通してスクリューロータ(40)の螺旋溝(41)に噛み合うように配置されている。
ゲートロータ(50)は、金属製のロータ支持部材(55)に取り付けられている(図5を参照)。ゲートロータ(50)が取り付けられたロータ支持部材(55)は、シリンダ部(31)に隣接してケーシング(30)内に区画形成されたゲートロータ室(90)に収容されている(図4を参照)。各ロータ支持部材(55)の軸部(58)は、ゲートロータ室(90)内の軸受ハウジング(91)にボールベアリング(92,93)を介して回転自在に支持されている。なお、各ゲートロータ室(90)は、低圧空間(S1)に連通している。
圧縮機構(20)では、シリンダ部(31)の内周面と、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)と、ゲートロータ(50)のゲート(51)とによって囲まれた空間が圧縮室(23)になる。
上述したように、スクリュー圧縮機(1)は、圧縮機構(20)の内部容積比Viを調整するための可変Vi機構(3)を備えている。この内部容積比Viは、圧縮行程の開始時点(即ち、圧縮室(23)が低圧空間(S1)から遮断された直後)における圧縮室の容積Vの、圧縮行程の終了時点(即ち、圧縮室(23)が高圧空間(S2)と連通する直前)における圧縮室(23)の容積Vに対する比Vi(=V/V)である。
可変Vi機構(3)は、上述したスライド溝(33)及びスライドバルブ(4)と、スライド溝(33)内のスライドバルブ(4)の位置を変更するためのバルブ駆動機構(18)とを有している。
スライドバルブ(4)は、本体部(4a)とガイド部(4b)とを備えている。本体部(4a)は、柱状に形成されている。本体部(4a)は、その前面がスクリューロータ(40)と摺接して圧縮室(23)に面し、その背面がケーシング(30)と摺接する。ガイド部(4b)は、本体部(4a)の基端(図2,3における右端)から突出する湾曲した厚板状に形成される。ガイド部(4b)は、その背面がケーシング(30)と摺接する。
上述したように、シリンダ部(31)には、二つのスライド溝(33)が形成されている。スライドバルブ(4)は、各スライド溝(33)に一つずつ設けられている。シリンダ部(31)では、スライドバルブ(4)の本体部(4a)の基端よりも高圧空間(S2)側の部分が、圧縮室(23)を高圧空間(S2)と連通させるための吐出ポート(25)となっている。
スライド溝(33)内において、スライドバルブ(4)は、スクリューロータ(40)の吐出側端部(高圧空間(S2)寄りの端部)から最も離れる第1位置(図3に示す位置)と、スクリューロータ(40)の吐出側端部に最も近づく第2位置(図2に示す位置)との間を、スクリューロータ(40)の回転中心軸と実質的に平行な方向へスライド自在となっている。
スライドバルブ(4)が移動すると、本体部(4a)の基端の位置が変化し、その結果、吐出ポート(25)と連通する直前(即ち、圧縮行程の終了時点)における圧縮室(23)の容積が変化する。具体的に、圧縮行程の終了時点における圧縮室(23)の容積Vは、スライドバルブ(4)が第1位置に在るときに最大となり、スライドバルブ(4)が第2位置に在るときに最小となる。また、圧縮行程の終了時点における圧縮室(23)の容積Vは、スライドバルブ(4)が第1位置から第2位置へ近づくにつれて、次第に小さくなる。
一方、圧縮室(23)が低圧空間(S1)から遮断された直後(即ち、圧縮行程の開始時点)における圧縮室の容積Vは、スライドバルブ(4)の位置に拘わらず一定である。従って、圧縮機構(20)の内部容積比Vi(=V/V)は、スライドバルブ(4)が第1位置に在るときに最小となり、スライドバルブ(4)が第2位置に在るときに最大となる。また、圧縮機構(20)の内部容積比Vi(=V/V)は、スライドバルブ(4)が第1位置から第2位置へ近づくにつれて、次第に大きくなる。
バルブ駆動機構(18)は、駆動用シリンダ(6)と、この駆動用シリンダ(6)内に設置されたピストン(7)とを備えている。また、ピストン(7)は、アーム(9)と連結ロッド(10)とを介して両方のスライドバルブ(4)に連結されている。ピストン(7)が移動すると、各スライドバルブ(4)は、ピストン(7)と同じ方向へピストン(7)と同じ距離だけ移動する。
駆動用シリンダ(6)内の空間は、ピストン(7)によって第1シリンダ室(11)と第2シリンダ室(12)に仕切られている。図2及び図3では、ピストン(7)の左側の空間が第1シリンダ室(11)であり、ピストン(7)の右側の空間が第2シリンダ室(12)である。
スクリュー圧縮機(1)の運転中には、第1シリンダ室(11)の内圧が、第2シリンダ室(12)の内圧よりも高くなる。そして、バルブ駆動機構(18)は、第2シリンダ室(12)の内圧を調節することによって、スライドバルブ(4)の位置を調整するように構成されている。
スクリュー圧縮機(1)の運転中において、スライドバルブ(4)は、本体部(4a)の先端面(図2,3の左端面)に低圧空間(S1)内の冷媒圧力が作用し、本体部(4a)の基端面(図2,3の右端面)及びガイド部(4b)の突端面に高圧空間(S2)内の冷媒圧力が作用する。このため、スクリュー圧縮機(1)の運転中において、スライドバルブ(4)には、常にスライドバルブ(4)を低圧空間(S1)側へ押す方向(図2,3における左向き)の力が作用する。
一方、スクリュー圧縮機(1)の運転中には、第1シリンダ室(11)の内圧が、第2シリンダ室(12)の内圧よりも高くなる。このため、ピストン(7)には、ピストン(7)を第2シリンダ室(12)側へ押す方向(図2,3における右向き)の力が作用する。そして、各スライドバルブ(4)に作用する図2,3の左向きの力と、ピストン(7)に作用する図2,3の右向きの力とが釣り合った状態では、スライドバルブ(4)が停止状態となる。
また、第2シリンダ室(12)の内圧を変更すると、ピストン(7)に作用する力の大きさが変化し、その結果、スライドバルブ(4)の位置が変化する。つまり、スライドバルブ(4)が停止している状態で第2シリンダ室(12)の内圧を低下させると、ピストン(7)に作用する図2,3の右向きの力が大きくなり、スライドバルブ(4)が図2,3の右方向(即ち、第2位置に近づく方向)へ移動する。一方、スライドバルブ(4)が停止している状態で第2シリンダ室(12)の内圧を上昇させると、ピストン(7)に作用する図2,3の右向きの力が小さくなり、スライドバルブ(4)が図2,3の左方向(即ち、第1位置に近づく方向)へ移動する。
〈コントローラの構成〉
本実施形態のスクリュー圧縮機(1)には、制御装置であるコントローラ(80)が設けられている。コントローラ(80)は、指令入力部(81)と、記憶部(82)と、Vi調節部(83)とを備えている。そして、コントローラ(80)は、圧縮機構(20)の内部容積比Viがスクリュー圧縮機(1)の運転状態に応じた値となるように、可変Vi機構(3)を操作する。
詳しくは後述するが、コントローラ(80)は、省エネ制御モードと低騒音制御モードとを実行可能に構成されている。指令入力部(81)は、コントローラ(80)が省エネ制御モードと低騒音制御モードのどちらを実行すべきかを示す情報が入力される部分である。記憶部(82)は、省エネ制御モード用の制御マップと低騒音制御モード用の制御マップとを記憶する部分である。Vi調節部(83)は、省エネ制御モード用または低騒音制御モード用の制御マップを用いて圧縮機構(20)の内部容積比Viを調節する部分である。
コントローラ(80)には、図外の吸入圧力センサ及び吐出圧力センサの計測値が入力される。吸入圧力センサは、吸入管接続部(101)に接続する配管に設けられ、吸入管接続部(101)を通って低圧空間(S1)へ流入する低圧ガス冷媒の圧力を計測する。吸入圧力センサの計測値は、低圧空間(S1)の圧力Pと実質的に等しい。吐出圧力センサは、吐出管接続部(102)に接続する配管に設けられ、高圧空間(S2)から吐出管接続部(102)を通って流出した高圧ガス冷媒の圧力を計測する。吐出圧力センサの計測値は、高圧空間(S2)の圧力Pと実質的に等しい。
また、コントローラ(80)には、インバータ(110)の出力周波数が入力される。そして、コントローラ(80)のVi調節部(83)は、吸入圧力センサ及び吐出圧力センサの計測値を用いて算出した圧力比Pr(=P/P)と、インバータ(110)の出力周波数と、記憶部(82)が記憶する制御マップとに基づいて圧縮機構(20)の内部容積比Viの目標値を決定し、実際の圧縮機構(20)の内部容積比Viが目標値となるようにスライドバルブ(4)の位置を調節する。
ここで、電動機(15)の回転速度は、インバータ(110)の出力周波数(即ち、スクリュー圧縮機(1)の運転周波数)に比例する。また、スクリューロータ(40)の回転速度は、電動機(15)の回転速度と等しい。従って、実質的には、コントローラ(80)は、圧力比Pr(=P/P)とスクリューロータ(40)の回転速度とに基づいて圧縮機構(20)の内部容積比Viを調節する。
−スクリュー圧縮機の運転動作−
スクリュー圧縮機(1)が冷媒を吸入して圧縮する動作について、図6を参照しながら説明する。
運転中のスクリュー圧縮機(1)の圧縮機構(20)では、図6(A)に示す吸入行程と、図6(B)に示す圧縮行程と、図6(C)に示す吐出行程とが行われる。ここでは、圧縮機構(20)の各行程について、図6のドットを付した圧縮室(23)に着目して説明する。
図6(A)において、ドットを付した圧縮室(23)は、低圧空間(S1)に連通している。また、この圧縮室(23)が形成されている螺旋溝(41)は、同図の下側に位置するゲートロータ(50)のゲート(51)と噛み合わされている。スクリューロータ(40)が回転すると、このゲート(51)が螺旋溝(41)の終端へ向かって相対的に移動し、それに伴って圧縮室(23)の容積が拡大する。その結果、低圧空間(S1)の低圧ガス冷媒が圧縮室(23)へ吸い込まれる。
スクリューロータ(40)が更に回転すると、図6(B)の状態となる。同図において、ドットを付した圧縮室(23)は、低圧空間(S1)と高圧空間(S2)の両方から遮断された閉じきり状態となっている。つまり、この圧縮室(23)を形成する螺旋溝(41)は、同図の上側に位置するゲートロータ(50)のゲート(51)と噛み合わされ、このゲート(51)によって低圧空間(S1)から仕切られている。そして、スクリューロータ(40)の回転に伴ってゲート(51)が螺旋溝(41)の終端へ向かって移動すると、圧縮室(23)の容積が次第に縮小していく。その結果、圧縮室(23)内のガス冷媒が圧縮される。
スクリューロータ(40)が更に回転すると、図6(C)の状態となる。同図において、ドットを付した圧縮室(23)は、吐出ポート(25)を介して高圧空間(S2)と連通している。そして、スクリューロータ(40)の回転に伴ってゲート(51)が螺旋溝(41)の終端へ向かって移動すると、圧縮された高圧ガス冷媒が圧縮室(23)から吐出ポート(25)を通って高圧空間(S2)へ吐出される。
−コントローラの制御動作−
コントローラ(80)は、二種類の制御モード(省エネ制御モードと低騒音制御モード)を選択可能に構成されている。省エネ制御モードは、電動機(15)の消費電力を削減するために圧縮機構(20)の内部容積比Viを調節する入力削減動作である。低騒音制御モードは、スクリュー圧縮機(1)の運転に起因する騒音を抑えるために圧縮機構(20)の内部容積比Viを調節する騒音低減動作である。
コントローラ(80)の指令入力部(81)には、コントローラ(80)が省エネ制御モードと低騒音制御モードのどちらを実行すべきかを示す情報が入力される。
コントローラ(80)には、例えば、ユーザーや保守作業を行う作業者が操作するディップスイッチが、指令入力部(81)として設けられる。この場合、ユーザーや保守作業者は、指令入力部(81)として設けられたディップスイッチを操作することによって、省エネ制御モードと低騒音制御モードの何れか一方を選択する。
また、コントローラ(80)には、リモコンからの指令信号を受信する受信部が、指令入力部(81)として設けられていてもよい。この場合、ユーザーや保守作業者は、リモコンに設けられたボタン等を操作することによって、省エネ制御モードと低騒音制御モードの何れか一方を選択する。そして、リモコンは、ユーザー等が選択した制御モードを示す指令信号を出力し、指令入力部(81)は、リモコンが出力した指令信号を受信する。
コントローラ(80)の記憶部(82)は、省エネ制御モードと低騒音制御モードのそれぞれについて、制御マップを予め記憶する。つまり、記憶部(82)は、省エネ制御モードにおいて用いる制御マップと、低騒音制御モードにおいて用いる制御マップとを、個別に記憶する。記憶部(82)が記憶する制御マップは、スクリュー圧縮機(1)の運転周波数f(即ち、インバータ(110)の出力周波数)と、圧力比Pr(=P/P)と、圧縮機構(20)の内部容積比Viとを関連づけたものである。
コントローラ(80)のVi調節部(83)は、指令入力部(81)へ入力された情報に基づいて、記憶部(82)が記憶する省エネ制御モード用の制御マップと低騒音制御モード用の制御マップのどちらを用いるかを決定する。続いて、コントローラ(80)は、指令入力部(81)へ入力された情報に基づいて使用を決定した制御マップ(即ち、ユーザーが選択した制御モードに対応する制御マップ)から、入力された吸入圧力センサ及び吐出圧力センサの計測値を用いて算出した圧力比Pr(=P/P)と、スクリュー圧縮機(1)の運転周波数fとに対応する圧縮機構(20)の内部容積比Viを選択し、選択した圧縮機構(20)の内部容積比Viの値を、内部容積比Viの目標値とする。そして、Vi調節部(83)は、実際の圧縮機構(20)の内部容積比Viが目標値となるように、スライドバルブ(4)の位置を調節する。
−コントローラの制御マップ−
コントローラ(80)の記憶部(82)が記憶する制御マップについて、図7を参照しながら説明する。なお、図7において、実線は省エネ制御モード用の制御用マップを構成する数値の特性を示し、破線は低騒音制御モード用の制御マップを構成する数値の特性を示す。また、図7は、3種類の圧力比Pr(Pr=2,3,4)に対応する運転周波数fと内部容積比Viを、省エネ制御モード用の制御用マップと低騒音制御モード用の制御マップのそれぞれについて示す。
〈省エネ制御モード用の制御マップ〉
省エネ制御モード用の制御マップについて説明する。
省エネ制御モード用の制御マップは、複数組の運転周波数fおよび圧力比Prと、各組の運転周波数fおよび圧力比Prにおいて電動機(15)の消費電力が最少となる内部容積比Viとによって構成される。つまり、省エネ制御モード用の制御マップは、電動機(15)の消費電力(即ち、スクリューロータ(40)の駆動に要するエネルギ)を最少とするための制御マップである。
運転周波数fが20Hz(即ち、調節範囲の下限値)である場合、各圧力比Prに対応する内部容積比Viは、その理論値であるPr1/nと実質的に等しい。なお、内部容積比Viの理論値は、P・V =P・V の関係から導き出される。また、nは、ポリトロープ指数である。そして、各圧力比Prに対応する内部容積比Viは、運転周波数fが高くなるにつれて次第に小さくなる。
省エネ制御モード用の制御マップにおいて、各圧力比Prに対応する内部容積比Viが運転周波数fが高くなるにつれて次第に小さくなる理由を、図8を参照しながら説明する。
図8は、圧縮行程の開始時点から吐出行程の終了時点に亘る、圧縮室(23)の容積と圧力の関係を示すグラフである。また、図8には、圧縮室(23)の圧力変化の理論値を破線で示す。つまり、理論上、圧縮室(23)の圧力は、圧縮行程の開始時点では低圧空間(S1)の圧力Pと実質的に等しく、圧縮行程において圧縮室(23)の容積が縮小するにつれて次第に上昇し、圧縮行程の終了時点で高圧空間(S2)の圧力Pと等しくなる。また、理論上、圧縮室(23)の圧力は、吐出行程の開始時点から終了時点に亘って、一定値(高圧空間(S2)の圧力Pと実質的に等しい値)となる。
図8に示すように、実際の圧縮室(23)の圧力は、圧縮行程の終期から吐出行程の初期に亘って、高圧空間(S2)の圧力Pよりも高くなる。これは、冷媒が吐出ポート(25)を通過する際に圧力損失が生じるためである。
図8(A)に示すように、運転周波数fが比較的低い60Hzである場合は、冷媒が吐出ポート(25)を通過する際の流速がそれほど高くないため、圧縮室(23)の圧力の最高値は高圧空間(S2)の圧力Pを若干上回る程度である。一方、図8(B)に示すように、運転周波数fが調節範囲の上限値120Hzである場合は、冷媒が吐出ポート(25)を通過する際の流速が高いため、圧縮室(23)の圧力の最高値は高圧空間(S2)の圧力Pを大幅に上回る。
圧縮室(23)の圧力の最高値が高圧空間(S2)の圧力Pを上回ると、圧縮室(23)内の冷媒を必要以上に圧縮しなければならず、その分だけ電動機(15)が電力を余分に消費する。そこで、省エネ制御モード用の制御マップでは、運転周波数fの調節範囲の全域に亘って圧縮室(23)の圧力の最高値が高圧空間(S2)の圧力Pと同程度になるように、各圧力比Prに対応する内部容積比Viを、運転周波数fが高くなるにつれて次第に小さくしている。
図8(C)に示すように、運転周波数fが120Hzの時の内部容積比Viの設定値を、運転周波数fが60Hzの時の内部容積比Viの設定値よりも小さくした場合は、図8(B)に示す場合に比べて、圧縮室(23)の圧力の最高値と高圧空間(S2)の圧力Pの差が縮小する。このため、電動機(15)の消費電力は、図8(C)に示す場合の方が図8(B)に示す場合に比べて少なくなる。
上述したように、省エネ制御モード中において、コントローラ(80)のVi調節部(83)は、省エネ制御モード用の制御マップに基づいて内部容積比Viの目標値を設定する。従って、省エネ制御モード中のコントローラ(80)は、電動機(15)の消費電力が最少となるように、スライドバルブ(4)の位置を調節する。
〈低騒音制御モード用の制御マップ〉
低騒音制御モード用の制御マップについて説明する。
低騒音制御モード用の制御マップは、複数組の運転周波数fおよび圧力比Prと、各組の運転周波数fおよび圧力比Prにおいてスクリュー圧縮機(1)の運転による騒音が低くなるような内部容積比Viとによって構成される。つまり、省エネ制御モード用の制御マップは、スクリュー圧縮機(1)の運転による騒音を低く抑えるための制御マップである。
図8に示すように、圧縮行程の終了時点における圧縮室(23)の圧力が高圧空間(S2)の圧力Pよりも高くなる場合、吐出行程における圧縮室(23)の圧力は、一旦は高圧空間(S2)の圧力Pよりも高くなり、その後に低下して高圧空間(S2)の圧力Pとなる。このため、圧縮室(23)から高圧空間(S2)へ吐出される冷媒の圧力が脈動し、この圧力脈動に起因して吐出管接続部(102)に接続する配管等が振動し、騒音が発生するおそれがある。特に、図8(B)に示すような圧縮行程の終了時点における圧縮室(23)の圧力が高圧空間(S2)の圧力Pを大幅に上回る場合は、冷媒の圧力脈動の振幅が大きくなり、それに起因して発生する騒音が大きくなるおそれがある。
一方、図9に示すように、圧縮行程の終了時点における圧縮室(23)の圧力が高圧空間(S2)の圧力P以下であれば、吐出行程における圧縮室(23)の圧力が実質的に一定となる。つまり、圧縮行程の終了時点では、圧縮室(23)の圧力が高圧空間(S2)の圧力Pよりも低い。このため、圧縮室(23)の圧力は、圧縮室(23)が吐出ポート(25)連通すると高圧空間(S2)の圧力Pに上昇し、その後は吐出行程が終了するまで、高圧空間(S2)の圧力Pと実質的に同じ圧力に保たれる。
従って、圧縮行程の終了時点における圧縮室(23)の圧力を高圧空間(S2)の圧力P以下にすれば、圧縮室(23)から高圧空間(S2)へ吐出された冷媒の圧力変動が抑えられ、その結果、スクリュー圧縮機(1)の運転によって生じる騒音が減少する。
圧縮行程の終了時点における圧縮室(23)の圧力を低くするには、圧縮機構(20)の内部容積比Viを小さくすればよい。このため、低騒音制御モード用の制御マップでは、運転周波数fおよび圧力比Prに対応する内部容積比Viの値が、省エネ制御モード用の制御マップにおける値よりも小さくなっている。
具体的に、低騒音制御モード用の制御マップでは、図7に破線で示すように、各圧力比Prに対応する内部容積比Viが運転周波数fが高くなるにつれて次第に小さくなる。この点は、省エネ制御モード用の制御マップと同様である。一方、圧力比Prが等しい場合について比較すると、どの運転周波数fにおいても、低騒音制御モード用の制御マップにおける内部容積比Viは、省エネ制御モード用の制御マップにおける内部容積比Viよりも小さい。
このため、圧力比Prと運転周波数fが同じ場合で比較すると、低騒音制御モード中のコントローラ(80)が設定する内部容積比Viの目標値は、省エネ制御モード中のコントローラ(80)が設定する内部容積比Viの目標値よりも小さい。従って、コントローラ(80)の制御モードが低騒音制御モードに設定された状態では、圧縮機構(20)の内部容積比Viが低めに設定され、圧縮行程の終了時点における圧縮室(23)の圧力が高圧空間(S2)の圧力P以下に抑えられる。
また、圧力比Prが等しい場合について比較すると、省エネ制御モード用の制御マップにおける内部容積比Viと低騒音制御モード用の制御マップにおける内部容積比Viの差は、運転周波数fが高くなるにつれて次第に拡大する。つまり、図7に示すように、省エネ制御モード用の制御マップにおける内部容積比Viと低騒音制御モード用の制御マップにおける内部容積比Viの差は、運転周波数fが120Hzの時の値Δ2が、運転周波数fが20Hzの時の値Δ1よりも大きい。
上述したように、圧縮機構(20)の内部容積比Viが同じ場合について比較すると、圧縮行程の終了時点における圧縮室(23)の圧力は、運転周波数fが高くなるにつれて上昇する傾向がある。そこで、低騒音制御モード用の制御マップでは、圧縮行程の終了時点における圧縮室(23)の圧力を高圧空間(S2)の圧力P以下に確実に抑えるため、省エネ制御モード用の制御マップにおける内部容積比Viと低騒音制御モード用の制御マップにおける内部容積比Viの差を、運転周波数fが高くなるにつれて次第に拡大している。
図9に示すように、圧縮機構(20)の内部容積比Viが省エネ制御モード中に比べて小さくなり、圧縮行程の終了時点における圧縮室(23)の圧力が高圧空間(S2)の圧力Pに達する前に圧縮室(23)が吐出ポート(25)に連通する状態になると、吐出行程中の圧縮室(23)が実質的に一定となる。このため、低騒音制御モード中は、エネ制御モード中に比べて、圧縮室(23)から高圧空間(S2)へ吐出された冷媒の圧力脈動が小さくなり、それに起因して発生する騒音も小さくなる。
上述したように、低騒音制御モード中において、コントローラ(80)のVi調節部(83)は、低騒音制御モード用の制御マップに基づいて内部容積比Viの目標値を設定する。従って、低騒音制御モード中のコントローラ(80)は、省エネ制御モード中に比べてスクリュー圧縮機(1)の運転に起因する騒音が小さくなるように、スライドバルブ(4)の位置を調節する。
−実施形態の効果−
本実施形態のスクリュー圧縮機(1)に設けられたコントローラ(80)は、二種類の制御モード(省エネ制御モードと低騒音制御モード)を選択可能に構成されている。このため、電動機(15)の消費電力の削減を優先させたいとユーザーが判断した場合には、ユーザーがコントローラ(80)の制御モードを省エネ制御モードに設定することによって、電動機(15)の消費電力が低く抑えられる。また、スクリュー圧縮機(1)の騒音低減を優先させたいとユーザーが判断した場合には、ユーザーがコントローラ(80)の制御モードを低騒音制御モードに設定することによって、スクリュー圧縮機(1)の運転によって生じる騒音が低く抑えられる。従って、本実施形態によれば、スクリュー圧縮機(1)の消費電力の削減とスクリュー圧縮機(1)の騒音低減のどちらをユーザーが優先させたいと考える場合にも対応可能となり、その結果、スクリュー圧縮機(1)の使い勝手が向上する。
以上説明したように、本発明は、内部容積比が可変のスクリュー圧縮機について有用である。
1 シングルスクリュー圧縮機
23 圧縮室
40 スクリューロータ
41 螺旋溝
80 コントローラ(調節装置)
100 ケーシング
S1 低圧空間
S2 高圧空間

Claims (4)

  1. 低圧空間(S1)及び高圧空間(S2)を形成するケーシング(100)と、
    圧縮室(23)を形成する複数の螺旋溝(41)が形成され、上記ケーシング(100)に収容されるスクリューロータ(40)とを備え、
    上記スクリューロータ(40)が回転すると、上記低圧空間(S1)内の流体が上記圧縮室(23)へ吸入されて圧縮された後に上記高圧空間(S2)へ吐出されるスクリュー圧縮機であって、
    上記スクリューロータ(40)の駆動に要するエネルギを削減するために、上記低圧空間(S1)の圧力Pに対する上記高圧空間(S2)の圧力Pの比である圧力比Pr(=P/P)と上記スクリューロータ(40)の回転速度とに応じて内部容積比を調節する入力低減動作と、上記スクリュー圧縮機の運転に起因する騒音を抑えるために、上記圧力比Prと上記スクリューロータ(40)の回転速度とに応じて内部容積比を調節する騒音低減動作とを実行可能に構成された調節装置(80)を備えている
    ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記圧力比Prが同じで且つ上記スクリューロータ(40)の回転速度が同じ場合について比較すると、上記騒音低減動作によって設定される内部容積比は、上記入力低減動作によって設定される内部容積比よりも小さい
    ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  3. 請求項2において、
    上記圧力比Prが同じ場合について比較すると、上記入力低減動作によって設定される内部容積比と、上記騒音低減動作によって設定される内部容積比とは、上記スクリューロータ(40)の回転速度が高いほど小さくなる
    ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  4. 請求項3において、
    上記圧力比Prが同じ場合について比較すると、上記入力低減動作によって設定される内部容積比と上記騒音低減動作によって設定される内部容積比の差は、上記スクリューロータ(40)の回転速度が高いほど大きくなる
    ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
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