JP2015036149A - 伸線装置及び素線の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】線材が伸線加工される際に、線材に傷が発生するのを抑えることを目的とする。【解決手段】伸線装置20は、線材を供給する線材供給部21と線材を引取る線材引取部22との間の線材送りラインLに沿って配設され、通過する線材10の線径より小さい最小径を有する加工孔部が形成された伸線ダイス41を備える。さらに、線材送りラインLに沿って、伸線ダイス41の上流側に配設され、通過する線材10の線径より大きい最小径を有する通過孔部が形成されたガイドダイス31を備える。【選択図】図1

Description

この発明は、線材を伸線する技術に関する。
従来、線材を伸線する技術として、特許文献1に開示のものがある。特許文献1では、伸線の仕上げのダイスである最終仕上がりダイスの手前に、仕上がりダイスよりも加工度(線材の長手方向に垂直な断面における線材の断面減少率)の小さいガイドダイスを配置することでワイヤ放電加工用電極線用に伸線されたワイヤに真直性を持たせている。
特開平6−154840号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術によると、線材がガイドダイスへ入線するときの入線角度(線材のダイス直前での長手方向と伸線方向との角度)が大きくなることがある。例えば、線材の剛性が大きい場合、キャプスタンから出た線材は弧状の軌跡を描いてガイドダイスへ入線するため、入線角度が大きくなりやすい。ガイドダイスへの入線角度が大きくなってしまうと、加工度の小さいガイドダイスが設けられたとしても、線材が伸線加工される際に線材の表面が削られる等して、線材が傷つく恐れがある。
そこで、本発明は、線材が伸線加工される際に、線材に傷が発生するのを抑えることを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の態様に係る伸線装置は、線材を伸線する伸線装置であって、線材を供給する線材供給部と線材を引取る線材引取部との間の線材送りラインに沿って配設され、通過する線材の線径より小さい最小径を有する加工孔部が形成された伸線ダイスと、前記線材送りラインに沿って、前記伸線ダイスの上流側に配設され、通過する線材の線径より大きい最小径を有する通過孔部が形成されたガイドダイスと、を備えるものである。
第2の態様に係る伸線装置は、第1の態様に係る伸線装置であって、前記伸線ダイスは、複数の伸線ダイスを備え、少なくとも最上流に配設された前記伸線ダイスに対して前記ガイドダイスが設けられているものである。
第3の態様に係る伸線装置は、第1又は第2の態様に係る伸線装置であって、前記伸線ダイスは、複数の伸線ダイスを備え、前記線材送りラインに沿った中間位置よりも上流側に配設された前記伸線ダイスに対してのみ前記ガイドダイスが設けられているものである。
第4の態様に係る伸線装置は、第1〜第3のいずれか1つの態様に係る伸線装置であって、前記ガイドダイスと前記伸線ダイスとが離れて配設されているものである。
第5の態様に係る素線の製造方法は、線材を伸線することによって、素線を製造する素線の製造方法であって、(a)通過する線材の線径よりも大きい最小径を有する孔に線材を通す工程と、前記工程(a)の後で、通過する線材の線径よりも小さい最小径を有する孔に線材を通す工程と、を備えるものである。
第1〜第4の態様に係る伸線装置によると、通過する線材の線径より小さい最小径を有する加工孔部が形成された伸線ダイスの上流側に通過する線材の線径より大きい最小径を有する通過孔部が形成されたガイドダイスを備える。この構成によると、線材は通過孔部を通過してから加工孔部へと入線することによって、通過孔部を通過する際に軌道が修正され、加工孔部への入線角度が小さくなり、加工孔部を通過することで行われる伸線加工の際に生じる線材の傷つきが低減する。また、線材が通過孔部を通過する際には伸線加工が行われないので、ガイドダイス通過時に線材が傷つきにくい。
特に、第2の態様に係る伸線装置によると、少なくとも最上流に配設された伸線ダイスに対してガイドダイスが設けられているため、線材の傷つきをより効果的に抑えることができる。より具体的には、伸線方向の上流側に行くほど、線材の線径が大きくなり、それに伴い線材の剛性も大きくなる。このため、伸線方向の上流側に行くほど、線材の伸線ダイスへの入線角度が大きくなり、線材が傷つきやすい。したがって、少なくとも、線材の剛性が最も大きい最上流側の伸線ダイスに対してガイドダイスを設けることで、線材に傷が発生するのをより効果的に抑えることができる。
特に、第3の態様に係る伸線装置によると、複数の伸線ダイスのうち、線材送りラインに沿った中間位置よりも上流側に配設された伸線ダイスに対してのみガイドダイスが配設される。このため、線材の剛性の大きい上流側にガイドダイスを配設することで確実に線材の傷つきを抑制できる。また、下流側の方は線材の線径が小さいため、線材によっては剛性が十分小さくなり、ガイドダイスを配設しなくてもよい場合がある。この場合、線材の剛性の小さい下流側にガイドダイスを配設しないことで、時間及びコストを抑えることができる。
特に、第4の態様に係る伸線装置によると、ガイドダイスと伸線ダイスとの間が離れているため、線材の加工孔部への入線角度の最大値を小さくできる。このため、入線角度を小さくすることがより確実にできるので、より確実に線材の傷つきを抑制できる。より具体的には、ガイドダイスを出た線材は伸線ダイスへと直進し、伸線ダイスを通過するときに、強制的に伸線ダイスの径の中心軸方向と線材の径の中心軸方向とが一致させられる。このとき、入線角度の最大値として考えられる値は、線材がガイドダイスを通過する際に孔の内周面に接触しながら進むときにとられ、その値は、伸線ダイスの孔の中心軸方向とガイドダイスを通過した直後の線材の径の中心軸方向との成す角度で与えられる。したがって、ガイドダイスと伸線ダイスとが離して配設された方がより入線角度の最大値が小さくなることによって、線材が傷つくのが抑えられる。
第5の態様に係る素線の製造方法によると、(a)通過する線材の線径よりも大きい最小径を有する孔に線材を通す工程と、(a)の工程の後で、通過する線材の線径よりも小さい最小径を有する孔に線材を通す工程を備えるため、通過する線材の線径よりも小さい最小径を有する孔への入線角度が小さくなり傷つきが抑えられた素線を製造することができる。
実施形態に係る伸線装置を示す概略平面図である。 同上の伸線装置を示す概略側面図である。 図2の伸線ダイスとガイドダイスとが配設されているキャプスタン間の周辺部を拡大した図である。 図3の伸線ダイスとガイドダイスの周辺部を拡大した説明図である。 伸線ダイスに入線角度を持って線材が入線した説明図である。 伸線ダイスとガイドダイスとが接した状態で配置された場合の伸線加工を行う例を示す説明図である。 伸線ダイスとガイドダイスとが離して配置された場合の伸線加工を行う例を示す説明図である。 実施形態に係るガイドダイスの断面の例を示す図である。 ガイドダイスの変形例の断面を示す図である。
以下、実施形態に係る伸線装置及び素線の製造方法について説明する。図1は、実施形態にかかる伸線装置20の概略平面図であり、図2は同伸線装置20を示す概略側面図である。
この伸線装置20は、線材10を伸線ダイスにより伸線加工して所定の線径の素線を得る装置であり、線材供給部21と、線材引取部22と複数のキャプスタン23と、複数のダイスとを備えている。
線材10として、アルミ線材、アルミ合金線材、銅線材、銅合金線材等の各種材質の線材10が用いることができる。特に、アルミ線材やアルミ合金線材は傷つきやすく、なかでもアルミ合金線材は、剛性が強くかつ傷つきやすいので、本実施形態にかかる伸線装置20を用いて伸線加工を行うことによって、傷つきを抑えた素線10bを製造することができる。なお、線材10は、伸線加工の前後及び加工中のもの全てを含む総称であり、加工前のものを母線材10a、加工後の伸線されたものを素線10bと区別する場合がある。素線10bは単独で、又は撚り合わされた形態で、電線の芯線等として用いられる。
線材供給部21は、母線材10aを供給可能に構成されている。より具体的には、線材供給部21は、リールに母線材10aが巻回収容された構成とされている。この線材供給部21は、所定の線材送りラインLの上流側に回転自在に支持されており、この線材供給部21から母線材10aが引出し可能とされている。
線材引取部22は、素線10bを引取可能に構成されている。より具体的には、線材引取部22は、素線10bを巻回収容可能なリールが、モータ等の回転駆動源によって回転駆動可能に支持されている。この線材引取部22は前記線材送りラインLの下流側に配設されており、最終の仕上がり線径に加工された素線10bが本線材引取部22によって、引取って収容されるようになっている。
複数のキャプスタン23は、線材供給部21と線材引取部22との間の線材送りラインLに沿って、間隔を有して並ぶように配設されている。各キャプスタン23は、円板状あるいは円柱状に形成されており、その外周に線材10を巻付可能な周溝が形成されている。また、各キャプスタン23は、それぞれ線材送りラインLに対して直交する水平方向の回転軸周りに回転可能に支持されている。そして、線材10を各キャプスタン23の周溝に巻付けた状態で、各キャプスタン23を回転駆動することで、その回転速度に応じた引抜き速度で線材10が引抜かれるようになっている。
なお、各キャプスタン23の回転軸は、重力方向または重力方向に対して斜め方向に沿った軸であってもよい。また、ここでは、複数のキャプスタン23は5つのキャプスタン23で構成されているが、キャプスタン23の数は、伸線ダイス41の数等に合わせて適宜変更可能である。
また、各キャプスタン23は回転駆動源24により発生した回転駆動力により、回転駆動可能に構成されている。回転駆動源24は、ACモータ等のモータであり、ここでは、1つの回転駆動源24に対し1つのキャプスタン23が回転駆動可能に連結されている。なお、1つの回転駆動源24に対して、複数のキャプスタン23が回転駆動可能に連結されていてもよい。また、回転駆動源24は、回転速度を調整可能でもよい。
複数のダイスは、線材供給部21と線材引取部22との間の線材送りラインLに沿って線材10が通過可能に配設されており、少なくとも1つの伸線ダイス41と少なくとも1つのガイドダイス31とで構成されている。ここでは、4つの伸線ダイス41と2つのガイドダイス31とで構成されている合計6つのダイスが配設されているが、伸線ダイス41の数とガイドダイス31の数とは、母線材10aの断面積や素線10bの断面積や線材10の材質などの事項により、変更可能とされている。
伸線ダイス41は、線材10の線径が小さくなるように縮径変形加工を施すための加工具であり、線材送りラインLに沿って、複数のキャプスタン23の各間に配設されている。より具体的には、伸線ダイス41は金属等で形成された部材であり、線材10が通過可能な加工孔部43が形成されている。
加工孔部43は、線材送りラインLに沿って上流側の面と下流側の面とその内部とを貫き、加工孔部43の最小径部は通過する直前の線材10の線径よりも小さくなるように形成されている。また、加工孔部43は上流側開口部から徐々に径が小さくなっていき、最小径部を経て、下流側開口部に向けて徐々に径が大きくなっていくように形成されている。
なお、ここでは、伸線ダイス41は、複数のキャプスタン23の各間すべてに配設されているが、配設されない間があってもよい。また、伸線ダイス41は、着脱可能に配設されていてもよい。その場合、伸線ダイス41の取り外し、交換、メンテナンス等を容易に行うことが可能である。
ガイドダイス31は、線材10を伸線ダイス41に、入線角度を抑えつつ入線可能とするための加工具であり、線材送りラインLに沿って配設されている。より具体的には、ガイドダイス31は、複数のキャプスタン23の各間に配設されている伸線ダイス41に対してその上流側に配設されている。
ガイドダイス31は、金属または樹脂等で形成された部材であり、線材10が通過可能な通過孔部33が形成されている。通過孔部33は、線材送りラインLの上流側の面と下流側の面とその内部とを貫き、通過孔部33の最小径部は通過する直前の線材10の線径よりも大きくなるように形成されている。最小径部の直径は、例えば、通過する直前の線材10の外径の102〜130%とすることができる。ここで、通過孔部33の中心軸と加工孔部43の中心軸とが一致するようにガイドダイスは配設されている。
なお、通過する線材の断面が円形であるため、線材送りラインLに垂直なガイドダイス31の断面における通過孔部33の形状は円形としているが、線材10が通過可能であれば、円形でなくとも楕円形でも多角形でも構わない。
また、通過孔部33は、上流側の面にある開口部から徐々に径が小さくなっていき、最小径部を経て、下流側の面にある開口部に向けて徐々に径が大きくなっていくように形成されている。この形状であれば、上流側の面にある開口部が広いため、通過孔部33にスムーズに線材10が入線可能になる。また、下流側の面の開口部が最小径部よりも径が大きくなっているため、通過孔部33の下流側の出口付近で、線材10が擦れて傷つくことが抑えられる。さらに、最小径部が下流側の面近くに設けられているので、できるだけ上流側の開口部を広くすることができ、通過孔部33にスムーズに線材10が入線可能となる。なお、通過孔部はこの形状に限られるものではなく、例えば同じ断面が続く直線型でもよいし、上流側の面にある開口部から縮径していき、下流側の面の開口部が最小径部であってもよい。
そして、上流側の面と通過孔部33、及び、下流側の面と通過孔部33は角のないように滑らかにつながっている。また、最小径部の周辺も角のないように滑らかにつながっている。この形状であれば、線材10と通過孔部33とが擦れたときでも線材10に傷がつくことを抑えられる。
また、ガイドダイス31は線材送りラインLに沿って移動可能に配設されていてもよい。その場合、線材10のガイドダイス31への入線角度及び線材10の伸線ダイス41への入線角度を最適なものへと容易に変更することが可能であることによって、より傷つきを抑えることが可能になる。
また、ガイドダイス31は着脱可能に配設されていてもよい。その場合、ガイドダイス31の取り外し、交換、メンテナンス等を容易に行うことが可能である。
また、ここでは、複数の伸線ダイス41が配設され、少なくとも、最上流に配設されている伸線ダイス41に対してガイドダイス31が配設されている。より具体的には、配設されている4つの伸線ダイス41のうち、最上流側を含む2つの伸線ダイス41に対してガイドダイス31が配設されている。もっとも、必ずしも、最上流側の伸線ダイス41に対してガイドダイス31が配設されている必要はないが、最上流側の伸線ダイス41に対してガイドダイス31が配設されていれば、後に説明するように、線材の傷つきをより効果的に抑えることができる。
また、3つめのキャプスタン23がある位置を中間位置としたとき、4つの伸線ダイスのうち中間位置より上流側に配設された2つの伸線ダイス41に対してのみその上流側にガイドダイス31が配設され、中間位置より下流側に配設された2つの伸線ダイス41に対してはその上流側にガイドダイス31が配設されていない。もっとも、中間位置は3つめのキャプスタン23がある位置である必要はなく、最上流に配設された伸線ダイス41と最下流に配設された伸線ダイス41との間に配設されたいずれかのキャプスタン23のある位置にあればよい。線材送りラインLに沿った中間位置よりも上流側に配設された伸線ダイス41に対してのみガイドダイス31が設けられていれば、後に説明するように、中間位置よりも上流側の伸線ダイス41では、線材10の傷つきを確実に抑えつつ、中間位置よりも下流側では、ガイドダイス31の設置に係る時間やコストを抑えることができる。
また、ここでは、伸線ダイス41とガイドダイス31とは、離れて配設されている。より具体的には、連続する2つのキャプスタン23の間のうち、伸線ダイス41とガイドダイス31とが両方配設されている最上流側の2つの間において、それぞれ、伸線ダイス41とガイドダイス31とが、接することなく配設されている。伸線ダイス41とガイドダイス31とが離れて配設されている場合、線材10の伸線ダイス41への入線角度を小さくすることができる。もっとも、伸線ダイス41とガイドダイス31とは、接触した状態で配設されていてもよい。伸線ダイス41とガイドダイス31とが接触して配設されている場合、伸線ダイス41の中心軸とガイドダイス31の中心軸とを合わせる調整が容易となる。
なお、ここでは、ガイドダイス31は伸線ダイス41と同じ素材で形成されてもよいし違う素材で形成されてもよいが、伸線ダイス41よりも柔らかい素材で形成されるのが好ましい。
また、最下流側の伸線ダイス41と線材引取部22との間に一対のローラを備える線速差吸収機構部が設けられていてもよい。線速差吸収機構部は、いわゆるダンサローラ等とも呼ばれ、一方の固定ローラに対して、可動側ローラが近接離間移動可能に支持された構成とされている。そして、キャプスタン23と線材引取部22との間の線速差に応じて両ローラ間距離が調整されることで、最下流側の伸線ダイス41を通過した線材10を巻付けるキャプスタン23と線材引取部22との間における線材10の弛み及び線材10の過大な引張り力の作用等が抑制されるようになっている。
また、最下流側の伸線ダイス41と線材引取部22との間に、素線10bをアニールする焼鈍機や素線10bに絶縁層等を被覆する押出被覆機等が設けられ、線材10が伸線加工を施されたのちにアニールや押出被覆等の別の加工が施されてから、線材引取部22に巻付け収容されてもよい。
<伸線装置の動作>
ここで、伸線装置20における伸線加工の流れについて説明する。
まずは、引き続き図1及び図2を用いて、全体の流れについて説明する。線材供給部21に巻付け収容されていた線材10が引出されたのち、予め線材送りラインLに沿って配設されている、キャプスタン23とガイドダイス31と伸線ダイス41とに線材10を通して、線材10が線材引取部22へセットされる。
次に、各キャプスタン23に連結されているモータ等の回転駆動源24と線材引取部22のモータ等の回転駆動源を動かすことによって、各キャプスタン23と線材引取部22とが、回転駆動を始める。各キャプスタン23と線材引取部22とが回転駆動を始めると、線材供給部21からキャプスタン23に順次、線材10が送られ始める。
次に、キャプスタン23からガイドダイス31の通過孔部33を経て伸線ダイス41の加工孔部43を通り次のキャプスタン23に送られる工程を2回繰り返す。そして、キャプスタン23を出た線材10は、ガイドダイス31を経ずに直接伸線ダイス41へと入線し、伸線加工を施されたのち次のキャプスタン23に送られる工程を2回繰り返して、素線10bが線材引取部22へと巻きつけ収容される。
図3は、図2の最上流側の連続する2つのキャプスタン23の間の拡大図であり、キャプスタン23から出た線材10の軌跡の様子を模式的に示した図である。キャプスタン23に送られた線材10が、キャプスタン23を周回したのちキャプスタン23を出ると、弧状の軌跡を描いて、次のダイスへと入線する。この軌跡の形状は、線材10の剛性に応じて変わり、一般的には、線材10の剛性が大きいほど線材送りラインLから離れるように大きく湾曲する軌跡を描き、線材10の剛性が小さくなるほど次のキャプスタンの引抜き力によって、線材送りラインLに沿った直線状の軌跡を描くようになる。これは、線材10の剛性が大きいほど、キャプスタン23から線材送りラインLと角度を持って出た線材10がより真っ直ぐ進もうとすることによるものである。
ここで、軌跡に関与する、線材10の剛性を決める数値の1つとして、線材10の線径があげられる。より具体的には、同じ素材の線材10であれば、一般的には、線材10の線径が大きくなるほど剛性は大きくなる。ここで、本実施形態にかかる伸線装置20では、線材10を順次縮径加工していくものであることから、上流側にいくほど、線材10の線径は大きくなる。したがって、上流側の線材10の方が剛性は大きいため、上流側のキャプスタン23から出た線材10の軌跡の方が、線材送りラインLから離れるように大きく湾曲する軌跡になり、次のダイスへの入線角度が大きくなる。そのため、上述したように、中間位置よりも上流側の伸線ダイス41に対して、特に最上流側の伸線ダイス41に対して、ガイドダイス31が配設されることでより効果的に傷つきを抑えることができる。
図4は、図3のガイドダイス31と伸線ダイス41との周辺部を拡大した説明図で、線材10がガイドダイス31と伸線ダイス41とを通過する様子を模式的に示した図である。なお図4では、分かり易くするため、伸線ダイス41とガイドダイス31とは送りラインLに平行な断面図で示されている(以下、図5〜図9のダイスもそれぞれ同様の断面図で示されている)。弧状の軌跡を描いてガイドダイス31の通過孔部33へと入線した線材10は、通過孔部33と接触することで軌道が修正され、通過孔部33を出ると、ほぼ直線状に伸線ダイス41の加工孔部43へと入線し伸線加工が施される。
図5は、線材10の剛性が大きい時に、線材10が、弧状の軌跡を描いて、ガイドダイス31を経ずに直接伸線ダイス41の加工孔部43へと入線し、伸線加工が行われる説明図である。このとき、線材10の剛性が大きいと入線角度αが大きくなる。入線角度αが大きくなると、線材10が加工孔部43に接触し曲がりが生じる線材10の表面付近の一部分である曲り部Cに応力が集中する。曲り部Cに応力が集中すると、曲り部Cが加工孔部43へと押し付けられる力が大きくなる。そして、曲り部Cが加工孔部43へと押し付けられる力が大きくなると、曲り部Cが加工孔部43と擦れた状態で引っ張られることにより、曲り部C近傍の線材10の表面が削られる等して、線材10に傷が生じることになる。
したがって、線材10の剛性が大きいことによる線材10の傷つきを抑えるためにガイドダイス31を設ける場合、上流側に行くほど線材10の剛性が大きくなることから、下流側よりも上流側にガイドダイス31を設けることでより線材10の傷つきを抑えることができる。つまり、最上流側の伸線ダイス41から順にその上流側にガイドダイス31を配設するのが好ましい。そして、下流側では、線材10の剛性が十分小さくなり、ガイドダイス31を設けなくてもよい場合がある。その場合、中間位置よりも下流側にはガイドダイス31を設けないことで、ガイドダイス31の設置にかかる時間及びコストを抑えることができる。
図6は、連続する2つのキャプスタン23の間において、伸線ダイス41とガイドダイス31とが接触した状態で配設された説明図であり、図7は、連続する2つのキャプスタン23の間において、伸線ダイス41とガイドダイス31とが、接触していない状態で配設された説明図である。ガイドダイス31の通過孔部33と接触することによって軌道を修正した線材10は、直線状に伸線ダイス41の加工孔部43へと入線する。このとき図6及び図7からも明らかなように、同じガイドダイス31を用いた場合、伸線ダイス41とガイドダイス31とが離れて配設された方が、伸線ダイス41の加工孔部43への線材10の入線角度の最大値が小さくなる。
より具体的には、入線角度の最大値は、加工孔部43の最小径部から通過孔部33の最小径部までの距離と、通過孔部33の最小径とによって決まる。すなわち、加工孔部43の最小径部から通過孔部33の最小径部までの距離が長いほど、また、通過孔部33の最小径が小さいほど入線角度の最大値は小さくなる。このため、同じガイドダイス31を用いた場合、通過孔部33の最小径は変わらないため、加工孔部43の最小径部から通過孔部33の最小径部までの距離が大きいほど、すなわち、伸線ダイス41とガイドダイス31とがより離して配設されるほど、より確実に入線角度の最大値を小さくすることができる。そして、このことによって、より確実に線材10の傷つきを抑えることができる。ここで、通常、ガイドダイス31を配設できる範囲は工場の大きさ等により制限されるため、どの程度離すかは剛性(線材10の物性、太さ)等に応じて実験的、経験的に決定される。
こうして、通過する線材10の線径よりも大きい最小径を有する通過孔部33に線材10を通す工程と、通過する線材10の線径よりも小さい加工孔部43に線材10を通す工程とを備える製造方法により製造された素線10bは、傷つきが抑えられ、断線しにくくなる。
図8は、本実施形態にかかるガイドダイス31を示す概略断面図である。ガイドダイス31には、上述したような通過孔部33が設けられている。このガイドダイス31を製造するには、例えば以下のようにすればよい。
まずは、上流側の面と下流側の面との2つの面を持つ直方体や立方体等の柱状体を用意し、上流側の面及び下流側の面からそれぞれテーパ状に縮径するように貫通するまで孔を開ける。そして上流側の面と孔の連結部分(孔の上流側の開口縁部)と、上流側から開けた孔と下流側から開けた孔の連結部分(最小径部)と、下流側の面と孔の連結部分(孔の下流側の開口縁部)とをそれぞれ角がなく滑らかになるように削ることで、通過孔部33を備えるガイドダイス31が形成される。
ガイドダイス31の素材は上述のように金属でもよいし、樹脂でもよいが、伸線ダイス41よりも柔らかい素材で形成されると、線材10がガイドダイス31と接触した時に生じる恐れのある傷つきを抑えることができる。さらにガイドダイス31が、通過する線材10よりも柔らかい素材で形成されると、線材10がガイドダイス31と接触した時に生じる恐れのある傷つきをさらに確実に抑えることができる。
また、入線角度が60度で、ある線材10に対して伸線加工した際に傷がつき、同じ線材10に対して、入線角度が30度となるようにして伸線加工を施したところ、傷はつかなかったことが、発明者らによって確認されている。このように、入線角度の小さい方が線材10の傷つきを抑えることができることが判明した。
また、発明者らが、ある環境下でガイドダイスを用いずに伸線加工を行うと線材1トン当たり平均して30.1回の断線が確認された。一方、同じ環境下で、ガイドダイスを用いて伸線加工を行った場合に、線材1トン当たり平均して0.0回の断線まで改善された。
<効果>
以上のように構成された伸線装置20によると、伸線ダイス41に対してその上流側にガイドダイス31が配設されているため、ガイドダイス31が配設されていない場合に比べて、線材10の伸線ダイス41への入線角度を小さくでき、傷つきを抑えることができる。また、ガイドダイス31通過時には伸線加工が行われないため、ガイドダイス31通過時に生じる線材10の傷つきを抑えることができる。
また、線材10の剛性が最も大きい最上流側の伸線ダイス41に対してガイドダイス31が配設されているため、線材10の傷つきをより効果的に抑えることができる。
また、線材10の剛性が大きい上流側に配設された伸線ダイス41に対してガイドダイス31が設けられ、線材10の剛性が小さい下流側に配設された伸線ダイス41に対してガイドダイス31が設けられていないため、上流側の伸線ダイス41での傷つきをより確実に抑えつつ、下流側でのガイドダイス31の設置にかかる時間及びコストを抑えることができる。
また、連続する2つのキャプスタン23の間において、伸線ダイス41とガイドダイス31とが離れて配設されているため、接した状態で配設されている場合に比べて、線材10の伸線ダイス41への入線角度の最大値を小さくすることができ、より確実に線材10の傷つきを抑えることができる。
<変形例>
図9は、変形例に係るガイドダイス32を示す概略断面図である。ガイドダイス32は、例えば伸線用のダイスの孔部を通過孔部34として代用し、通過孔部34に伸線ダイス41よりも柔らかい素材で形成された被覆部36が設けられたものである。この被覆部36は、例えば、上流側から最小径部の中間位置までの通過孔部34の形状に加工した樹脂製のキャップと、下流側から最小径部の中間位置までの通過孔部34の形状に加工した樹脂製のキャップとを嵌め合わせて形成することができる。
この形状のガイドダイス32であれば、被覆部36を容易に外すことが可能であるため、被覆部36を取り外して伸線用のダイスに戻したり、被覆部36が損傷したときに、被覆部36を変えたりすることを容易にすることができる。なお、ガイドダイス31の通過孔部33に被覆部36を設けてもよい。この場合でも、被覆部36を容易に外すことが可能であるため、被覆部36を取り外してガイドダイス31に戻したり、被覆部36が損傷したときに、被覆部36を変えたりすることを容易にすることができる。
なお、本実施形態では、1本の母線材10aに対して伸線加工が施されているが、複数の母線材10aのそれぞれに対して伸線加工が施されてもよい。この場合、母線材10aの本数に応じて、線材供給部21と線材引取部22とが設けられることが望ましい。
複数本の母線材10aに対して伸線加工が施される場合、線材送りラインLに沿って、最下流側に配設された伸線ダイス41と線材引取部22との間に、複数の素線10bを撚り合わせる、撚り合わせ機構部が設けられていてもよい。この場合、撚り合わされた線を1本だけ引取る線材引取部22が1つだけ設けられていてもよい。
また、ここでは、加工する線材10が1本であるため、加工孔部43は1つであるが、複数本の母線材10aに対して伸線加工が施される場合、加工対象の線材10の数に応じて複数の加工孔部43が形成されるのが望ましい。また、この場合、複数の加工孔部43は並列状に形成されていてもよい。
同様に、ここでは、通過する線材10が1本であるため、通過孔部33は1つであるが、複数本の母線材10aに対して伸線加工が施される場合、通過対象の線材10の数に応じて複数の通過孔部33が形成されるのが望ましい。また、この場合、複数の通過孔部33は並列状に形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、線材送りラインLが直線である場合で説明したが、必ずしもその必要はなく、各キャプスタン部分或いは他のガイドローラ部分で曲っているラインであってもよい。
なお、上記実施形態及び変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
10 線材
20 伸線装置
21 線材供給部
22 線材引取部
23 キャプスタン
31、32 ガイドダイス
33、34 通過孔部
36 被覆部
41 伸線ダイス
43 加工孔部

Claims (5)

  1. 線材を伸線する伸線装置であって、
    線材を供給する線材供給部と線材を引取る線材引取部との間の線材送りラインに沿って配設され、通過する線材の線径より小さい最小径を有する加工孔部が形成された伸線ダイスと、
    前記線材送りラインに沿って、前記伸線ダイスの上流側に配設され、通過する線材の線径より大きい最小径を有する通過孔部が形成されたガイドダイスと、
    を備える伸線装置。
  2. 請求項1に記載の伸線装置であって、
    前記伸線ダイスは、複数の伸線ダイスを備え、
    少なくとも最上流に配設された前記伸線ダイスに対して前記ガイドダイスが設けられている伸線装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の伸線装置であって、
    前記伸線ダイスは、複数の伸線ダイスを備え、
    前記線材送りラインに沿った中間位置よりも上流側に配設された前記伸線ダイスに対してのみ前記ガイドダイスが設けられている、伸線装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の伸線装置であって、
    前記ガイドダイスと前記伸線ダイスとが離れて配設される伸線装置。
  5. 線材を伸線することによって、素線を製造する素線の製造方法であって、
    (a)通過する線材の線径よりも大きい最小径を有する孔に線材を通す工程と、
    前記工程(a)の後で、通過する線材の線径よりも小さい最小径を有する孔に線材を通す工程と、
    を備える、素線の製造方法。
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