JP2015017669A - 電磁クラッチ装置及び駆動力伝達装置 - Google Patents

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Yasunari Saito
泰成 齋藤
一晃 上村
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Abstract

【課題】ヨークに対して磁気回路形成部材を回転可能に支持する転がり軸受の回転抵抗が大きくなっても、転がり軸受やその周辺部における損傷の発生を抑制することができる電磁クラッチ装置及び駆動力伝達装置を提供する。【解決手段】電磁クラッチ装置は、フロントハウジング21の内側に配置されたクラッチプレートを押圧する電磁力を発生する電磁コイル53と、電磁コイル53を保持するヨーク530と、フロントハウジング21と一体に回転するリヤハウジング22と、リヤハウジング22に嵌合された内輪630とヨーク530に嵌合された外輪631とを有する玉軸受63と、ヨーク530に押し付け力を付与する皿バネ66とを備え、リヤハウジング22は、内輪630が嵌合される嵌合部223aの外径が内輪630の内径以下であり、皿バネ66の押し付け力によって内輪630との間に生じる摩擦力によって内輪630との相対的回転が抑制されている。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば自動車における入力軸から出力軸に駆動力を伝達する電磁クラッチ装置及び駆動力伝達装置に関する。
従来の駆動力伝達装置として、例えば四輪駆動車に搭載され、車両の走行状態に応じてエンジンの駆動力が伝達される補助駆動輪への駆動力伝達経路に介在し、一対の回転部材をクラッチによってトルク伝達可能に連結するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
この種の駆動力伝達装置は、例えばプロペラシャフトに連結されたアウタケースと、例えば後輪側のディファレンシャル装置の入力軸に連結されたインナシャフト(内側回転部材)と、アウタケースとインナシャフトとをトルク伝達可能に連結するメインクラッチと、このメインクラッチに回転軸線に沿って並列する電磁クラッチ機構と、この電磁クラッチ機構の作動によってアウタケースからの回転力をメインクラッチ側への押圧力に変換するカム機構とを有して構成されている。
カム機構は、一対のカム部材を備え、一方のカム部材が電磁クラッチ機構から回転力を受けて他方のカム部材に対して回転し、この回転に伴って他方のカム部材がメインクラッチを押圧するように構成されている。
電磁クラッチ機構は、電磁コイルと、電磁コイルを保持するヨークと、電磁コイルの電磁力を受けるアーマチャと、アーマチャによって押圧されるアウタクラッチプレート及びインナクラッチプレートとを有して構成されている。アウタクラッチプレートはアウタケースにスプライン係合し、インナクラッチプレートはカム機構の一方のカム部材にスプライン係合している。
アウタケースは、有底円筒状であり、開口側の内周面に雌ねじが形成されたフロントハウジング(外側回転部材)と、フロントハウジングの雌ねじに螺合する雄ねじを有し、フロントハウジングの開口の一部を覆蓋する環状のリヤハウジング(磁気回路形成部材)とを備える。ヨークは、車体に対して回り止めされ、転がり軸受を介してリヤハウジングを支持している。転がり軸受は、同軸上で相対回転可能な内輪及び外輪と、内輪と外輪との間に配置された複数の転動部材とを有して構成されている。
そして、電磁コイルに通電されると、アーマチャがアウタクラッチプレート及びインナクラッチプレートを押圧し、これによりアウタケースの回転力が一方のカム部材に伝達され、この回転力が軸方向の押圧力に変換されて他方のカム部材がメインクラッチを押圧する。これにより、アウタケースとインナシャフトとがトルク伝達可能に連結される。
特開2003−56599号公報
しかし、上記のように構成された駆動力伝達装置では、ヨークと磁気回路形成部材との間に配置された転がり軸受における転動部材の回転抵抗が異物の混入等の何らかの原因で大きくなると、内輪と外輪との間の回転抵抗が増大し、ひいては車両の走行抵抗が増大してしまう。そして、このように転がり軸受の回転抵抗が増大した状態で車両が走行を続けると、転がり軸受やその周辺部において発熱等による損傷が発生してしまうおそれがある。
そこで、本発明は、ヨークに対して磁気回路形成部材を回転可能に支持する転がり軸受の回転抵抗が大きくなっても、転がり軸受やその周辺部における損傷の発生を抑制することができる電磁クラッチ装置及び駆動力伝達装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、内周面に内周スプライン部を有する外側回転部材と、前記外側回転部材の前記内周スプライン部に係合する外側クラッチプレートと、前記外側クラッチプレートに対向して設けられた内側クラッチプレートと、前記外側クラッチプレートと前記内側クラッチプレートとを押し付ける電磁力を発生する電磁コイルと、前記電磁コイルを保持するヨークと、前記外側回転部材と一体に回転し、前記外側クラッチプレート、前記内側クラッチプレート、及び前記ヨークとともに磁気回路を形成する磁気回路形成部材と、前記磁気回路形成部材に嵌合された内輪、前記ヨークに嵌合された外輪、及び前記内輪と前記外輪との間に配置された複数の転動部材を有する転がり軸受と、前記ヨークに軸方向への押し付け力を付与する弾性部材とを備え、前記磁気回路形成部材は、前記内輪が嵌合される嵌合部の外径をD1、前記内輪の内径をD2とするとき、D1≦D2の関係を満たすように構成され、前記弾性部材の前記押し付け力によって前記内輪との間に生じる摩擦力によって前記内輪との相対的回転が抑制された電磁クラッチ装置を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記電磁クラッチ装置と、前記外側回転部材の内側に配置され、前記外側回転部材と同一軸上で相対回転可能に支持された内側回転部材と、前記外側回転部材を回転可能に支持するケースと、前記内周スプライン部に軸方向移動可能に係合する外側摩擦部材と、前記内側回転部材の外周面に形成された外周スプライン部に軸方向移動可能に係合する内側摩擦部材と、第1カム部材及び第2カム部材を有し、前記電磁クラッチによって伝達されるトルクによって前記第1カム部材を前記第2カム部材に対して相対回転させることにより、前記第2カム部材から前記外側摩擦部材と前記内側摩擦部材とを摩擦係合させる押圧力を出力するカム機構とを有するメインクラッチと、を備えた駆動力伝達装置を提供する。
本発明によれば、ヨークに対して磁気回路形成部材を回転可能に支持する転がり軸受の回転抵抗が大きくなっても、転がり軸受やその周辺部における損傷の発生を抑制することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置が搭載された四輪駆動車の構成例を示す概略構成図である。 第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置の構成例を示す断面図である。 図2において、リヤハウジングを回転可能に支持する一方の玉軸受の周辺を示す拡大図である。 図3の一部をさらに拡大して示す部分拡大図である。 ヨークを図2に示すA方向から見た図である。
以下、本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置について図1〜図5を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置が搭載された四輪駆動車の構成例を示す概略構成図である。
この四輪駆動車1は、駆動源であるエンジン102と、トランスミッション及びフロントデファレンシャルを有するトランスアクスル103と、一対の前輪104と、一対の後輪105と、リヤ側(後輪105側)のディファレンシャルキャリア106と、プロペラシャフト107と、駆動力伝達装置2とを備えている。
駆動力伝達装置2は、四輪駆動車1における前輪側から後輪側に至る駆動力伝達経路に介在して配置され、かつ車体101にディファレンシャルキャリア106を介して支持されている。そして、駆動力伝達装置2は、プロペラシャフト(入力軸)107とドライブピニオンシャフト(出力軸)108とをトルク伝達可能に連結し、この連結状態においてエンジン102の駆動力を一対の後輪105に伝達し得るように構成されている。
また、駆動力伝達装置2は、制御装置10から電流の供給を受け、この電流に応じた駆動力をプロペラシャフト107からドライブピニオンシャフト108に伝達する。制御装置10は、例えば一対の前輪104と一対の後輪105との回転速差や、運転者による加速操作量(アクセルペダルの踏込量)等に基づいて、駆動力伝達装置2に供給する電流を増減制御する。
上記構成により、エンジン102は、その駆動力をフロントアクスルシャフト109にトランスアクスル103を介して出力することにより、一対の前輪104を駆動する。また、エンジン102は、その駆動力をリヤアクスルシャフト111に、トランスアクスル103,プロペラシャフト107,駆動力伝達装置2,ドライブピニオンシャフト108,及びリヤディファレンシャル110を介して出力することにより、一対の後輪105を駆動する。
(駆動力伝達装置2の構成)
図2は、駆動力伝達装置2の構成例を示す断面図である。図3は、駆動力伝達装置2のリヤハウジング22を回転可能に支持する一方の玉軸受63の周辺を示す拡大図である。図4は、図3の一部をさらに拡大して示す部分拡大図である。
この駆動力伝達装置2は、ディファレンシャルキャリア106に対して相対回転可能に支持されたハウジング20と、ハウジング20と同軸上で相対回転可能に支持された内側回転部材としての筒状のインナシャフト24と、ハウジング20とインナシャフト24とをトルク伝達可能に連結するメインクラッチ3と、メインクラッチ3を押圧する押圧力を発生させるカム機構4と、メインクラッチ3との間にカム機構4を挟むように配置された電磁クラッチ装置としての電磁クラッチ機構5とを有して構成されている。
ハウジング20は、ディファレンシャルキャリア106を構成する第1及び第2ケース部材106a,106b内に回転軸線Oを中心として回転可能に収容されている。また、ハウジング20は、有底円筒状の外側回転部材としてのフロントハウジング21と、ねじ止めによりフロントハウジング21の開口側の一部を覆蓋する磁気回路形成部材としてのリヤハウジング22と、リヤハウジング22のねじの緩みを防止するナット部材23とを備える。ハウジング20の内部空間には、図略の潤滑油が封入されている。
フロントハウジング21は、筒部21aと底部21bとを一体に有する。筒部21aの開口端部の内周面には、雌ねじ21cが形成されている。底部21bには、プロペラシャフト107(図1参照)が例えば十字継手を介して相対回転不能に連結される。また、フロントハウジング21は、第1ケース部材106aの内面との間に配置された玉軸受81によって回転軸線Oの回りに回転可能に支持されている。また、フロントハウジング21は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金等の非磁性材料から形成されている。
筒部21aの内周面には、回転軸方向に延びる複数の内周スプライン突起211からなる内周スプライン部210が形成されている。内周スプライン部210の底部21b側の一部には、後述する第1アウタクラッチプレート31がスプライン係合し、内周スプライン部210の電磁クラッチ機構5側の一部には、後述するアーマチャ50及び第2アウタクラッチプレート51がスプライン係合する。
リヤハウジング22は、軟鋼等の磁性材料からなる第1環状部材221、第1環状部材221の内周側に溶接等により一体に結合されたオーステナイト系ステンレス等の非磁性材料からなる第2環状部材222、及び第2環状部材222の内周側に溶接等により一体に結合された軟鋼等の磁性材料からなる第3環状部材223からなる。リヤハウジング22は、第2アウタクラッチプレート51、第2インナクラッチプレート52、及びヨーク530とともに磁気回路を形成する。第1環状部材221と第3環状部材223との間には、後述する電磁コイル53を収容する環状の収容空間22aが形成されている。第1環状部材221の外周面には、フロントハウジング21の雌ねじ21cに螺合する雄ねじ221aが形成されている。
また、第3環状部材223の外周面とディファレンシャルキャリア106との間には、シール部材70が配置されている。ドライブピニオンシャフト108は、ディファレンシャルキャリア106に円錐ころ軸受60を介して支持されている。
インナシャフト24は、玉軸受61及び針状ころ軸受62によってハウジング20の内周側に相対回転可能に支持されている。インナシャフト24の外周面には、回転軸方向に延びる複数の外周スプライン突起241からなる外周スプライン部240が形成されている。また、インナシャフト24の一端部における内面には、ドライブピニオンシャフト108の一端部が相対回転不能に嵌合されるスプライン嵌合部242が形成されている。
(メインクラッチ3の構成)
メインクラッチ3は、ハウジング20の回転軸線Oに沿って交互に配置された複数の外側摩擦部材としての第1アウタクラッチプレート31及び複数の内側摩擦部材としての第1インナクラッチプレート32を有する湿式の多板クラッチからなる。第1アウタクラッチプレート31の外周部には、内周スプライン部210にスプライン係合する複数の突起311が設けられている。また、第1インナクラッチプレート32の内周部には、インナシャフト24の外周スプライン部240にスプライン係合する複数の突起321が設けられている。
第1アウタクラッチプレート31は、フロントハウジング21に対して相対回転不能かつ軸方向に移動可能に配置されている。第1インナクラッチプレート32は、インナシャフト24に対して相対回転不能かつ軸方向に移動可能に配置されている。
カム機構4は、第1カム部材としてのパイロットカム41と、メインクラッチ3を軸方向に押圧する第2カム部材としてのメインカム42と、パイロットカム41とメインカム42との間に配置された複数の球状のカムボール43とを有して構成されている。
メインカム42は、メインクラッチ3の一端における第1インナクラッチプレート32に接触し、メインクラッチ3を押圧する環板状の押圧部421と、押圧部421よりもメインカム42の内周側に設けられたカム部422とを一体に有している。
また、メインカム42には、押圧部421の内側に、インナシャフト24の外周スプライン部240とスプライン係合するスプライン歯421bが形成されている。これにより、メインカム42は、インナシャフト24に対して相対回転不能かつ軸方向に移動可能である。インナシャフト24に形成された段差面24aとメインカム42との間には、メインカム42をパイロットカム41側に付勢する皿バネ44が配置されている。
パイロットカム41の外周部には、スプライン係合部411が形成されている。また、
パイロットカム41とリヤハウジング22の第3環状部材223との間には、スラスト針状ころ軸受45が配置され、パイロットカム41のリヤハウジング22側への移動が規制されている。
メインカム42のカム部422とパイロットカム41との対向面には、周方向に沿って軸方向の深さが変化する複数のカム溝422a,41aが形成されている。パイロットカム41のカム溝41aとメインカム42のカム溝422aとの間には、球状の転動部材としてのカムボール43が配置されている。そして、カム機構4は、パイロットカム41をメインカム42に対して相対回転させることにより、メインカム42にメインクラッチ3を押し付ける軸方向の押圧力を発生させる。
(電磁クラッチ機構5の構成)
電磁クラッチ機構5は、アーマチャ50と、複数の外側クラッチプレートとしての第2アウタクラッチプレート51と、複数の内側クラッチプレートとしての第2インナクラッチプレート52と、第2アウタクラッチプレート51と第2インナクラッチプレート52とを押し付ける電磁力を発生する電磁コイル53とを有して構成されている。
アーマチャ50は、鉄等の磁性材料からなる環状の部材であり、その外周部にはフロントハウジング21の内周スプライン部210にスプライン係合する複数の突起501が設けられている。アーマチャ50は、フロントハウジング21に対して相対回転不能かつ軸方向に移動可能に配置されている。
複数の第2アウタクラッチプレート51及び複数の第2インナクラッチプレート52は、アーマチャ50とリヤハウジング22との間に、回転軸線Oに沿って交互に配置されている。第2アウタクラッチプレート51の外周部には、フロントハウジング21の内周スプライン部210にスプライン係合する複数の突起511が設けられている。第2インナクラッチプレート52の内周部には、パイロットカム41のスプライン係合部411にスプライン係合する複数の突起521が設けられている。
第2アウタクラッチプレート51は、フロントハウジング21に対して相対回転不能かつ軸方向に移動可能に配置されている。第2インナクラッチプレート52は、パイロットカム41に対して相対回転不能かつ軸方向に移動可能に配置されている。
電磁コイル53は、合成樹脂製のボビン53aを介して鉄系金属等の磁性材料からなる環状のヨーク530に保持され、リヤハウジング22の収容空間22aに収容されている。ヨーク530は、ヨーク530に所定値以上の回転トルクが加わったときに、ボビン53aに対して相対回転可能に構成されている。電磁コイル53には、電線54を介して制御装置10から励磁電流が供給される。
ヨーク530の内周面とリヤハウジング22の第3環状部材223との間、及びヨーク530の外周面とリヤハウジング22の第1環状部材221との間には、磁路Gを形成する環状の微小空間(エアギャップ)がそれぞれ形成されている。
ヨーク530は、転がり軸受としての玉軸受63によってリヤハウジング22の第3環状部材223に支持されている。ヨーク530は、電磁コイル53を保持する保持部531と、ディファレンシャルキャリア106の第2ケース部材106bに形成された凹部106cに嵌合される嵌合部532とを一体に有している。保持部531は電磁クラッチ機構5側の端部に、嵌合部532は第2ケース部材106b側の端部に、それぞれ形成されている。
図3に示すように、凹部106cにおけるディファレンシャルキャリア106の軸方向端面106dとヨーク530の嵌合部532との間には、ヨーク530に軸方向への押し付け力を付与する弾性部材としての皿バネ66が配置されている。本実施の形態では、軸方向端面106dとヨーク530の嵌合部532との間に複数(2つ)の皿バネが配置されている。ハウジング20は、2つの玉軸受63,81を介して第1及び第2ケース部材106a,106bに対して回転可能に支持されている。皿バネ66は、ヨーク530を介して玉軸受63の外輪を軸方向に押し付ける。また、この皿バネ66の押し付け力により、玉軸受81の内輪が、リヤハウジング22の第3環状部材223及びインナシャフト24を介して軸方向に押し付けられる。これにより、一対の玉軸受61,63の内部すきま(ラジアルすきま)が小さくなり、ハウジング20の半径方向の振動が抑制される。
玉軸受63は、内輪630と外輪631との間に複数の球状の転動部材632を配置し、複数の転動部材632を環状の保持器633によって転動可能に保持してなる転がり軸受である。玉軸受63は、内輪630がリヤハウジング22の第3環状部材223の嵌合部223aの外側に嵌合され、外輪631がヨーク530の嵌合部532に嵌合されている。外輪631は、嵌合部532の内側に圧入されて固定されている。また、玉軸受63は、第3環状部材223の外周面に取り付けられたスナップリング64によって内輪630が抜け止めされ、ヨーク530に取り付けられたスナップリング65によって外輪631が抜け止めされている。
玉軸受63は、図4に示すように、第3環状部材223の嵌合部223aの外径をD1とし、内輪630の内径をD2とするとき、使用温度範囲(例えば−40℃〜120℃)においてD1≦D2の関係を満たす嵌め合いによって、内輪630が嵌合部223aに嵌合されている。これにより、内輪630は第3環状部材223に対して軸方向に移動可能である。また、本実施の形態では、常温(例えば25℃)においてD1がD2よりも小さく、嵌合部223aの外周面223cと内輪630の内周面630cとの間に環状の隙間Sが形成される隙間嵌めによって内輪630が嵌合部223aに嵌合されている。
図3に示すように、皿バネ66による軸方向の押し付け力Pは、ヨーク530から玉軸受63の外輪631及び転動部材632を介して内輪630に伝わり、内輪630の電磁クラッチ機構5側の軸方向端面630aが第3環状部材223に形成された肩面223b(段差面)に押し付けられる。この皿バネ66の押し付け力Pによって生じる環状部材223の肩面223bと玉軸受63の内輪630の端面との間の摩擦力によって、リヤハウジング22と内輪630との相対的回転が抑制される。また、内輪630の第2ケース部材106b側の軸方向端面630bは、スナップリング64に対向している。
図5は、ヨーク530を図2に示すA方向から見た図である。ヨーク530は、環状の嵌合部532の外周面の一部から半径方向に延在して設けられた回り止めアーム533と、回り止めアーム533の先端部に形成された一対の突起534a,534bからなる回り止め部534とをさらに備える。一対の突起534a,534bの間には、半径方向に窪んだ凹部534cが形成されている。
回り止め部534は、図2及び図5に示すように、第1ケース部材106aに設けられた係止部材としてのピン112に係合し、これによりヨーク530の回転が規制されている。ピン112は、例えばアルミニウム等の比較的強度の低い材料から形成され、その一端部がディファレンシャルキャリア106の第1ケース部材106aに例えば圧入によって固定され、回転軸線Oと平行に配置されている。
また、ピン112は、図2に示すように、直径が他の箇所よりも小さい強度低下部112aを有している。これにより、ヨーク530に所定値以上の回転トルクが加わると、その回転トルクによる回り止めアーム533から受ける力(曲げ荷重)によってピン112が強度低下部112aで折れて強度低下部112aから先端側が落下し、回り止め部534がピン112から離脱する。なお、ピン112は、強度低下部112aを設けずに全体的に強度を低下させたものでもよい。
(玉軸受に関する作用)
次に、玉軸受63に関する作用を説明する。玉軸受63の回転抵抗が大きくないときは、内輪630は外輪631に対して円滑に相対的回転する。すなわち、第3環状部材223の嵌合部223aの外径と玉軸受63の内輪630の内径との関係が隙間嵌めであっても、皿バネ66によって玉軸受63の外輪631を軸方向に押し付けることにより、その押し付け力Pによって玉軸受63の内輪630が第3環状部材223の肩面223bに押し付けられ、内輪630の軸方向端面630aと肩面223bとの間の摩擦力によって内輪630がリヤハウジング22とともに外輪631に対して相対的に回転する。
玉軸受63における転動部材632の回転抵抗が何らかの原因で所定値以上に大きくなると、内輪630が外輪631に対して相対的に回転し難くなり、内輪630の軸方向端面630aと肩面223bとの間の摩擦力に抗して内輪630と第3環状部材223とが相対的に回転する。
また、玉軸受63の回転抵抗が所定値以上に大きくなり、かつ、内輪630と嵌合部223aとの間に滑りが生じなかった場合は、ヨーク530がリヤハウジング22から玉軸受63を介して回転トルクを受ける。これにより、回り止めアーム533が、ヨーク530の回転トルクによりピン112に曲げ荷重を加える。
ピン112は、この曲げ荷重が強度低下部112aの耐力を超えると、強度低下部112aで折れ、強度低下部112aから先端側が落下する。これにより、回り止め部534はピン112から離脱し、ヨーク530がリヤハウジング22とともにディファレンシャルキャリア106、電磁コイル53、及びボビン53aに対して摺動しながら相対的に回転する。
(駆動力伝達装置の動作)
次に、駆動力伝達装置2の全体の動作を説明する。駆動力伝達装置2は、制御装置10から電磁コイル53に励磁電流が供給されると、ヨーク530、リヤハウジング22の第1環状部材221及び第3環状部材223、複数の第2アウタクラッチプレート51、複数の第2インナクラッチプレート52、及びアーマチャ50を通過する磁路Gに磁束が発生する。そして、この磁束の電磁力によってアーマチャ50がリヤハウジング22側に吸引されて軸方向に移動し、第2アウタクラッチプレート51と第2インナクラッチプレート52とを押圧する。
これにより第2アウタクラッチプレート51と第2インナクラッチプレート52とが摩擦摺動し、ハウジング20の回転力がカム機構4のパイロットカム41に伝達され、パイロットカム41がメインカム42に対して相対的に回転する。つまり、電磁クラッチ機構5は、電磁コイル53の通電時に、カム機構4にパイロットカム41とメインカム42とを相対的に回転させる回転力を付与する。
パイロットカム41とメインカム42との相対回転によって、カムボール43がカム溝41a,422aを転動し、パイロットカム41とメインカム42とが離間する方向の軸方向の推力が発生する。そして、この推力によってメインカム42がメインクラッチ3を押圧し、ハウジング20とインナシャフト24とがトルク伝達可能に連結される。
一方、電磁コイル53への励磁電流が遮断されると、皿バネ44の付勢力によりメインカム42がパイロットカム41側に押し戻され、カムボール43がカム溝41a,422aの最も深い位置に移動する。これによりメインクラッチ3の第1アウタクラッチプレート31と第1インナクラッチプレート32の間に隙間が形成され、この隙間に潤滑油が流れ込み、ハウジング20とインナシャフト24との連結状態が解除される。すなわち、駆動力伝達装置2が非作動状態となる。
(実施の形態の効果)
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ヨーク530に対してリヤハウジング22を回転可能に支持する玉軸受63の回転抵抗が何らかの原因で所定値以上に大きくなっても、リヤハウジング22の嵌合部223aの外径D1は玉軸受63の内輪630の内径D2以下であるので、内輪630と嵌合部223aとの間で滑りが生じ、回転抵抗が所定値以上に増大するのを抑制することができる。これにより、玉軸受63やその周辺部における損傷の発生を抑制することができる。
(2)玉軸受63の回転抵抗が所定値以上に大きくなり、かつ、内輪630と嵌合部223aとの間に滑りが生じなかった場合でも、ヨーク530の回転トルクによってピン112が折れて回り止め部534がピン112から離脱し、ヨーク530がリヤハウジング22とともにディファレンシャルキャリア106ならびに電磁コイル53及びボビン53aに対して相対的に回転するので、ハウジング20の回転が阻害されることが抑制される。すなわち、玉軸受63の回転抵抗の増大に対して二重に対処することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。例えば、皿バネ66に替えて、ヨーク530に押し付け力を付与する弾性部材としてゴム等の弾性体を用いてもよい。また、転がり軸受としては、球状の転動部材632を用いた玉軸受63に替えて、円錐状のころを転動部材として用いた円錐ころ軸受を適用してもよい。
1…四輪駆動車、2…駆動力伝達装置、3…メインクラッチ、4…カム機構、5…電磁クラッチ機構、10…制御装置、20…ハウジング、21…フロントハウジング、21a…筒部、21b…底部、21c…雌ねじ、22…リヤハウジング、22a…収容空間、23…ナット部材、24…インナシャフト、24a…段差面、25…電磁コイル、31…第1アウタクラッチプレート、32…第1インナクラッチプレート、41…パイロットカム、41a…カム溝、42…メインカム、43…カムボール、44…皿バネ、45…スラスト針状ころ軸受、50…アーマチャ、51…第2アウタクラッチプレート、52…第2インナクラッチプレート、53…電磁コイル、54…電線、60…円錐ころ軸受、61…玉軸受、62…針状ころ軸受、63…玉軸受、64,65…スナップリング、66…皿バネ、70…シール部材、101…車体、102…エンジン、103…トランスアクスル、104…前輪、105…後輪、106…ディファレンシャルキャリア、106a…第1ケース部材、106b…第2ケース部材、106c…凹部、107…プロペラシャフト、108…ドライブピニオンシャフト、109…フロントアクスルシャフト、110…リヤディファレンシャル、111…リヤアクスルシャフト、112…ピン、112a…強度低下部、210…内周スプライン部、211…内周スプライン突起、221…第1環状部材、221a…雄ねじ、222…第2環状部材、223…第3環状部材、223a…嵌合部、223b…肩面、223c…外周面、240…外周スプライン部、241…外周スプライン突起、242…スプライン嵌合部、311,321…突起、411…スプライン係合部、421…押圧部、421b…スプライン歯、422…カム部、422a…カム溝、501…突起、511,521…突起、530…ヨーク、531…保持部、532…嵌合部、533…回り止めアーム、534…回り止め部、534a,534b…突起、534c…凹部、630…内輪、630a,630b…軸方向端面、630c…内周面、631…外輪、632…転動部材、633…保持器、G…磁路、O…回転軸線、S…隙間

Claims (3)

  1. 内周面に内周スプライン部を有する外側回転部材と、
    前記外側回転部材の前記内周スプライン部に係合する外側クラッチプレートと、
    前記外側クラッチプレートに対向して設けられた内側クラッチプレートと、
    前記外側クラッチプレートと前記内側クラッチプレートとを押し付ける電磁力を発生する電磁コイルと、
    前記電磁コイルを保持するヨークと、
    前記外側回転部材と一体に回転し、前記外側クラッチプレート、前記内側クラッチプレート、及び前記ヨークとともに磁気回路を形成する磁気回路形成部材と、
    前記磁気回路形成部材に嵌合された内輪、前記ヨークに嵌合された外輪、及び前記内輪と前記外輪との間に配置された複数の転動部材を有する転がり軸受と、
    前記ヨークに軸方向への押し付け力を付与する弾性部材とを備え、
    前記磁気回路形成部材は、前記内輪が嵌合される嵌合部の外径をD1、前記内輪の内径をD2とするとき、D1≦D2の関係を満たすように構成され、前記弾性部材の前記押し付け力によって前記内輪との間に生じる摩擦力によって前記内輪との相対的回転が抑制された
    電磁クラッチ装置。
  2. 請求項1に記載の電磁クラッチ装置と、
    前記外側回転部材の内側に配置され、前記外側回転部材と同一軸上で相対回転可能に支持された内側回転部材と、
    前記外側回転部材を回転可能に支持するケースと、
    前記内周スプライン部に軸方向移動可能に係合する外側摩擦部材と、前記内側回転部材の外周面に形成された外周スプライン部に軸方向移動可能に係合する内側摩擦部材と、第1カム部材及び第2カム部材を有し、前記電磁クラッチによって伝達されるトルクによって前記第1カム部材を前記第2カム部材に対して相対回転させることにより、前記第2カム部材から前記外側摩擦部材と前記内側摩擦部材とを摩擦係合させる押圧力を出力するカム機構とを有するメインクラッチと、
    を備えた駆動力伝達装置。
  3. 前記ヨークは、半径方向に延在して設けられ、前記ケースに設けられた係止部材に係合することにより回り止めがなされ、所定の回転トルクが付加されると前記係止部材から離脱する回り止め部を備えた請求項2に記載の駆動力伝達装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108691924A (zh) * 2017-03-31 2018-10-23 株式会社捷太格特 离合器及具备该离合器的促动器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108691924A (zh) * 2017-03-31 2018-10-23 株式会社捷太格特 离合器及具备该离合器的促动器

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