JP6069954B2 - 駆動力伝達装置およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、駆動力伝達装置およびその製造方法に関するものである。
従来、駆動力の入力により回転する円筒状の第1回転部材と、第1回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の第2回転部材とを備え、これら第1回転部材と第2回転部材との間に設けられたクラッチ機構により第1回転部材および第2回転部材をトルク伝達可能に連結可能とした駆動力伝達装置がある。こうした駆動力伝達装置は、例えば4輪駆動車両における補助駆動輪側への駆動力伝達経路に設けられ、補助駆動輪に伝達するトルクを制御している。クラッチ機構には、第1回転部材と第2回転部材との間でトルクを伝達する複数のクラッチプレートと、これら各クラッチプレートを摩擦係合させる電磁コイルとを備えた電磁クラッチがある。
駆動力伝達装置に用いられる電磁クラッチは、電磁コイルを第1および第2回転部材と相対回転可能に支持するヨークと、電磁コイルとの間に各クラッチプレートを挟んで配置されるアーマチャと、各クラッチプレートと電磁コイルとの間に介在される磁路形成部材とを備えている、同電磁クラッチにおいては、電磁コイルにより発生する磁束が、ヨーク、磁路形成部材、各クラッチプレート、アーマチャ、各クラッチプレート、磁路形成部材、ヨークを通過する磁気回路が構成される。その結果、磁気誘導作用によりアーマチャが吸引されて各クラッチプレートが摩擦係合し、メインクラッチが作動して第1回転部材と第2回転部材との間でトルクが伝達されるようになっている。
このような駆動力伝達装置では、ヨークと磁路形成部材との間のギャップを調整して、電磁コイルに供給される電流と伝達可能なトルクとの関係を示すI−T特性を調整する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の技術によれば、ヨークと磁路形成部材との間に磁路調整部材を設けることで、磁束が通過する磁路面積を調整可能とするようになっている。
特開平10−329562号公報
しかしながら、上記ように磁路面積を調整する方法では、磁気抵抗は磁束が通過する磁路面積に反比例するため、磁路面積をわずかに変化させただけでも磁気回路の磁気抵抗が大きく変化してしまう。そのため、駆動力伝達装置のI−T特性の全体がトルクの上下方向にシフトしてしまい、特に低電流側または高電流側の電流においてトルクが規格値を外れる場合がある。その結果、特定の電流域だけトルクを増加あるいは減少させることができないため、各電流値毎に、要求される複数箇所の規格値を満足する伝達トルク特性が得られない場合がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、特定の電流域での伝達トルク特性を容易に調整することができる電磁クラッチを備えた駆動力伝達装置およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の駆動力伝達装置は、円筒部を有する第1回転部材と、前記第1回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の第2回転部材と、前記第1回転部材と前記第2回転部材との間でトルクを伝達する第1クラッチと、前記第1クラッチの軸方向に並置された第2クラッチと、前記第1クラッチと前記第2クラッチとの間に設けられ、前記第2クラッチを介して伝達される前記第1回転部材と前記第2回転部材との相対回転により前記第1クラッチを押圧するカム機構と、を備え、前記カム機構は、前記第2回転部材と一体回転可能かつ軸方向に移動可能に設けられ、前記第1クラッチ側に配置され前記第1クラッチを押圧する円環状のメインカムを有し、前記メインカムは、円環状に前記メインカムの本体部材とは別体に形成され、軸方向板厚または軸方向反第1クラッチ側の端面形状を変えることにより異なる剛性調整でき、共通に設けられた前記メインカムの本体部材に一体に組み付けられたクラッチ押圧部材を備えたことを要旨とする。
上記構成によれば、駆動力伝達装置の第1クラッチを押圧するカム機構の円環状のメインカムに設けたクラッチ押圧部材の軸方向の板厚、軸方向反第1クラッチ側の端面形状を変えることによりクラッチ押圧部材の剛性を調整し、第1クラッチの当たり位置を変化させる。これにより、第1クラッチの摩擦トルクが変化するので、特定の電流域での伝達トルクを増減させることができる。また、駆動力伝達装置の第1クラッチを押圧するメインカムのクラッチ押圧部材をメインカム本体部材とは別体に形成したので、測定された伝達トルク値に応じて剛性の異なるクラッチ押圧部材を選定しメインカム本体部材に組み付けることにより、トルク調整が可能になる。
請求項に記載の発明は、円筒部を有する第1回転部材と、前記第1回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の第2回転部材と、前記第1回転部材と前記第2回転部材との間でトルクを伝達する第1クラッチと、前記第1クラッチの軸方向に並置された第2クラッチと、前記第1クラッチと前記第2クラッチとの間に設けられ、前記第2クラッチを介して伝達される前記第1回転部材と前記第2回転部材との相対回転により前記第1クラッチを押圧するカム機構と、を備え、前記第2クラッチは、前記第1回転部材と前記第2回転部材との間でトルクを伝達する複数のクラッチプレートと、前記各クラッチプレートの軸方向の一側に軸方向移動可能に設けられたアーマチャと、前記各クラッチプレートの軸方向の他側に設けられた前記第1回転部材または前記第2回転部材と一体回転する磁路形成部材と、前記アーマチャとの間に前記磁路形成部材を挟んで配置される電磁コイルと、前記電磁コイルを支持するとともに前記第1および第2回転部材と相対回転可能なヨークと、を有した駆動力伝達装置の製造方法において、前記電磁コイルへの通電量と、前記各クラッチプレートによって伝達されるトルクとの関係を示すI−T特性を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された前記I−T特性に応じて、前記第1クラッチを押圧する前記カム機構のメインカムに、前記メインカムの本体部材とは別体に形成され、剛性の異なるクラッチ押圧部材を一体に設け、前記第1クラッチの当たり位置を移動させることにより、特定の電流域での前記伝達されるトルクを増減させて前記I−T特性を調整する調整工程と、を備えたことを要旨とする。
上記構成によれば、駆動力伝達装置において、測定された伝達トルクに応じて剛性の異なるクラッチ押圧部材を選択しカム機構のメインカムを組み付けできるので、測定結果がトルク規格値(目標値)より大きい場合は低剛性のクラッチ押圧部材を選択し、規格値より小さい場合には高剛性品を選択できる。これにより、特定の電流値に対応する伝達トルクを規格値内に調整することができる。
本発明によれば、特定の電流域での伝達トルク特性を容易に調整することができる電磁クラッチを備えた駆動力伝達装置およびその製造方法を提供できる。
本発明の第1の実施形態に係る駆動力伝達装置の概略構成を示す縦断面図。 図1のカム機構(メインカム)のクラッチ押圧部材の概略構成を示す側面図。 メインカムのクラッチ押圧部材毎のI−T特性を示すグラフ。 第2の実施形態に係るメインカムのクラッチ押圧部材の概略構成を示す側面図。 第3の実施形態に係るメインカムのクラッチ押圧部材の概略構成を示す側面図。 第4の実施形態に係る磁路形成部材側から見たメインカムのクラッチ押圧部材の概略構成を示す正面図。 第5の実施形態に係る磁路形成部材側から見たメインカムのクラッチ押圧部材の概略構成を示す正面図。
以下、本発明の実施形態に係る車両に搭載される駆動力伝達装置について、図に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る駆動力伝達装置1の概略構成を示す縦断面図である。駆動力伝達装置(例えば、電子制御式カップリング)1は、プロペラシャフトとリヤデファレンシャルとの間に配設され、前後輪に回転差が生じた場合にトルクを発生させ駆動力が伝達され後輪を駆動させる。図1に示すように、駆動力伝達装置1は、図示しないカップリングケース内に回転自在に収容される有底筒状のアウタハウジング(入力ケース)3と、同アウタハウジング3の筒内に回転自在に同軸配置された軸状のインナシャフト(出力シャフト)4とを備えている。
第1回転部材としてのアウタハウジング3は、その開口端3bには、環状のリヤハウジング6が嵌着されている。また、第2回転部材としてのインナシャフト4は、リヤハウジング6の内周に設けられたニードル軸受7およびアウタハウジング3の筒内に設けられたボール軸受8により回転自在に支承されている。そして、アウタハウジング3の筒内は、同アウタハウジング3とリヤハウジング6との嵌合部、およびリヤハウジング6の内周とインナシャフト4の外周との間に設けられたシール部材9,10により封止され、その筒内には潤滑油が収容されている。
なお、アウタハウジング3の底部3aは、プロペラシャフト(図示略)に設けられたフランジ部(図示略)と、ボルト穴11を介してボルト締結により連結される。これにより、アウタハウジング3は、駆動源であるエンジン(図示略)の発生する駆動力の入力により回転する。また、インナシャフト4の上記ニードル軸受7に支承された側の軸端(図中、右側)の内周には、図示しないリヤディファレンシャルとの連結部(スプライン嵌合部)12が形成されている。すなわち、駆動力伝達装置1は、車両搭載時において、アウタハウジング3は主駆動輪である前輪側と、インナシャフト4は補助駆動輪である後輪側と連結されるようになっている。
また、アウタハウジング3の筒内には、アウタハウジング3とインナシャフト4とをトルク伝達可能に連結可能なメインクラッチ13が設けられるとともに、メインクラッチ13の軸方向、リヤハウジング6側にはパイロットクラッチ14が並置されている。そして、これらメインクラッチ13とパイロットクラッチ14との間にカム機構15が設けられている。
第1クラッチとしてのメインクラッチ13には、軸方向に移動可能に設けられたアウタクラッチプレート16およびインナクラッチプレート17を交互に配置してなる複数のクラッチプレートを備えた湿式多板式の摩擦クラッチが採用されている。具体的には、各アウタクラッチプレート16はアウタハウジング3の内周に、各インナクラッチプレート17はインナシャフト4の外周にスプライン嵌合されることにより、それぞれ軸方向に移動可能、かつ対応するアウタハウジング3またはインナシャフト4と一体回転可能に設けられている。そして、メインクラッチ13は、これら各アウタクラッチプレート16およびインナクラッチプレート17が軸方向に押圧され、互いに摩擦係合することにより、アウタハウジング3とインナシャフト4とをトルク伝達可能に連結するようになっている。
次に、カム機構15は、インナシャフト4の外周にスプライン嵌合されることにより同インナシャフト4と一体回転可能、かつ軸方向に移動可能に設けられたメインカム18と、インナシャフト4に回転自在に支承されたパイロットカム19と、パイロットカム19とメインカム18との間に介在されたカムフォロア20とを備えてなる。メインカム18およびパイロットカム19は、ともに円環状に形成され、メインカム18はメインクラッチ13側に、パイロットカム19はリヤハウジング6側に配置されている。メインカム18は、インナクラッチプレート17が嵌合しているインナシャフト4のスプライン溝のパイロットクラッチ14側にスプライン嵌合している。また、パイロットカム19は、リヤハウジング6との間に設けられたニードル軸受21に当接しており、リヤハウジング6と一定の間隔を保持して相対回転可能に支持されている。
メインカム18およびパイロットカム19の各対向面には、周方向に対して傾斜する複数のU字溝が互いに対向するように形成されており、カムフォロア20は、これら対向する各U字溝内に配置された状態でメインカム18およびパイロットカム19により挟持されている。そして、カム機構15は、メインカム18とパイロットカム19とが相対回転することにより、これらメインカム18とパイロットカム19との間が離間、すなわちメインカム18がメインクラッチ13側に軸方向移動するようになっている。
第2クラッチとしてのパイロットクラッチ14には、上記メインクラッチ13と同様に、軸方向に移動可能に設けられた複数のクラッチプレート、すなわち、アウタクラッチプレート23およびインナクラッチプレート24を交互に配置してなる多板式の摩擦クラッチが採用されている。具体的には、各アウタクラッチプレート23は、アウタハウジング3の内周に、インナクラッチプレート24はパイロットカム19の外周にスプライン嵌合されることにより、それぞれ軸方向に移動可能、かつ対応するアウタハウジング3またはパイロットカム19と一体回転可能に設けられている。
そして、パイロットクラッチ14は、これら各アウタクラッチプレート23およびインナクラッチプレート24が軸方向に押圧され、互いに摩擦係合することにより、アウタハウジング3とパイロットカム19とをトルク伝達可能に連結するようになっている。なお、アウタクラッチプレート23は、図示しない外周側摺動部と内周側摺動部とを備え、これら両摺動部が複数の図示しないブリッジ部によって連結されている。隣接するブリッジ部の間には円弧状の空間が形成され、これにより外周側摺動部と内周側摺動部との間で磁束が短絡してしまうのを防いでいる。同様に、インナクラッチプレート24は、図示しない外周側摺動部と内周側摺動部とを備え、これら両摺動部が複数の図示しないブリッジ部によって連結されている。
したがって、メインカム18との間にカムフォロア20を挟持したパイロットカム19は、パイロットクラッチ14の非作動時、同メインカム18、すなわちインナシャフト4とともに一体回転する状態となっており、アウタハウジング3とパイロットカム19との間には、同アウタハウジング3とインナシャフト4との回転差に相当する回転差が生じている。そして、パイロットクラッチ14は、その作動により、アウタハウジング3とパイロットカム19とをトルク伝達可能に連結することで、アウタハウジング3とインナシャフト4(パイロットカム19)との回転差に基づくトルクをカム機構15に伝達するようになっている。
つまり、駆動力伝達装置1では、パイロットクラッチ14の作動により、アウタハウジング3とインナシャフト4との回転差に基づくトルクがカム機構15に伝達され、カム機構15は、そのトルクにより生ずるメインカム18とパイロットカム19との回転差に基づいて同メインカム18を軸方向メインクラッチ13側に移動させる。すなわち、カム機構15は、パイロットクラッチ14を介して伝達されたアウタハウジング3とインナシャフト4との回転差に基づくトルクを軸方向の推力(押付け力)に変換し、かつ増幅する。そして、そのメインカム18がメインクラッチ13を押圧することにより、同メインクラッチ13が作動、すなわちアウタハウジング3とインナシャフト4とがトルク伝達可能に連結されるようになっている。
ここで、パイロットクラッチ14は、電磁コイル25を駆動源とする電磁クラッチとして構成されている。すなわち、磁路形成部材としてのリヤハウジング6は、環状の外周筒部26と、その外周筒部26内に設けられた環状の内周筒部27と、外周筒部26と内周筒部27との間に設けられた環状の磁路遮断部28とを備えている。なお、外周部材としての外周筒部26および内周部材としての内周筒部27は磁性材料(例えば、鉄など)からなり、磁路遮断部材としての磁路遮断部28は、非磁性材料(例えば、ステンレスなど)等からなる。
そして、リヤハウジング6には、アウタハウジング3の筒外(反アウタハウジング3側、図中右側)に開口する環状溝29が形成されており、電磁コイル25はヨーク30に包囲されて環状溝29内に収容されている。ヨーク30は、内周筒部27に設けられたボール軸受31によりリヤハウジング6およびアウタハウジング3と相対回転可能に支承され、ヨーク30と外周筒部26との間にはエアギャップG1が形成されるとともに、ヨーク30と内周筒部27との間にはエアギャップG2が形成されている。
また、アウタハウジング3の筒内には、円環状に形成されたアーマチャ32が、同アーマチャ32とリヤハウジング6との間にアウタクラッチプレート23およびインナクラッチプレート24を挟む位置において、軸方向に摺動可能にスプライン嵌合されている。
そして、パイロットクラッチ14は、電磁コイル25への通電により発生する磁束が、磁路遮断部28によりリヤハウジング6内で磁束が短絡することが防止され、ヨーク30、リヤハウジング6の外周筒部26、アウタクラッチプレート23およびインナクラッチプレート24の外周側摺動部、アーマチャ32、アウタクラッチプレート23およびインナクラッチプレート24の内周側摺動部、リヤハウジング6の内周筒部27およびヨーク30を通過する磁気回路が形成されるようになっている。この磁気誘導作用により、アーマチャ32が電磁コイル25側に吸引され、リヤハウジング6との間に各アウタクラッチプレート23およびインナクラッチプレート24を挟み込むように移動して、同各アウタクラッチプレート23およびインナクラッチプレート24が摩擦係合するようになっている。
このように、駆動力伝達装置1は、電磁コイル25に対する電力供給を通じてパイロットクラッチ14の作動を制御することが可能である。そして、このパイロットクラッチ14の作動を通じてメインクラッチ13の作動、すなわち、アウタハウジング3とインナシャフト4との間で伝達可能なトルクを自在に制御可能な構成となっている。
次に、カム機構15のクラッチ押圧部材33によるI−T特性の調整機構について説明する。図2は、第1の実施形態に係る図1のカム機構15(メインカム18)のクラッチ押圧部材33の概略構成を示す側面図、図3は、メインカム18のクラッチ押圧部材33毎のI−T特性を示すグラフである。なお、I−T特性とは、電磁コイル25への通電量(電流I(A))と駆動力伝達装置1により伝達可能なトルク容量(トルクT(Nm))との関係を表しており、図3に示すように、電流にほぼ比例した伝達トルク特性が得られる。なお、駆動力伝達装置1の伝達トルクは、メインクラッチ13の摩擦トルクとパイロットクラッチ14の摩擦トルクとの加算式で表わされる。
ここで、カム機構15のクラッチ押圧部材33は、メインカム18本体部材とは別体で形成されており、軸方向板厚、反メインクラッチ側の端面形状が異なる円環状の各クラッチ押圧部材33が共通に設けられたメインカム18本体部材に、例えば圧入により一体に組み付け固定されている。このときメインクラッチ13の当たり位置は、クラッチ押圧部材33の剛性により変化するので、例えばクラッチ押圧部材33が反メインクラッチ側に変形すると、当たり位置は摩擦半径が小さくなる方向に移動する。図2に示すように、クラッチ押圧部材33の板厚を軸方向へ全周にわたって増加させることにより、クラッチ押圧部材33の剛性を上げることができる(参考に、従来のクラッチ押圧部材33の形状を破線で示す)。このため、全体的にトルク値を増加させるとともに、例えば高電流域でのトルク低下を抑制することができる。図3中の破線(a)は、第1の実施形態のI−T特性を示している。
次に、図4および図5は、第2および第3の実施形態に係るメインカム18のクラッチ押圧部材33の概略構成を示す側面図である。図4に示すように、クラッチ押圧部材33の外周部の板厚を減少させることにより、剛性を下げることができる。このため、例えば高電流域だけトルクを低下させることができる。図3中の破線(b)は、第2の実施形態のI−T特性を示している。また、図に示すように、クラッチ押圧部材33の板厚を軸方向へ全周にわたって減少させることにより、剛性を下げることができる。このため、全体的にトルクを減少させることができる。図3中の破線(c)は、第3の実施形態のI−T特性を示している。
さらに、図6および図7は、第4および第5の実施形態に係るリヤハウジング6(図1参照)側から見たメインカム18のクラッチ押圧部材33の概略構成を示す正面図である。図6に示すように、クラッチ押圧部材33の反メインクラッチ側の端面に突出し周方向に等間隔で放射状に配置された複数のリブ34を設けることにより、クラッチ押圧部材33の剛性を上げることができる。また、図7に示すように、クラッチ押圧部材33の反メインクラッチ側の端面に径方向の所定の位置に円環状の溝35を設けることにより、クラッチ押圧部材33の剛性を下げることができる。
次に、駆動力伝達装置1の製造方法について説明する。
まず、アウタハウジング3にインナシャフト4、メインクラッチ13、カム機構15およびパイロットクラッチ14を組み付け、アウタハウジング3の開口端3bにリヤハウジング6を螺着する。続いて、上記各部材が組み付けられたアウタハウジング3を例えば所定のヨーク、およびヨークに支持された電磁コイルを有する試験機(図示略)に取り付けて、そのI−T特性を測定する(測定工程)。そして、測定結果に基づいてI−T特性のトルクを増減するように、剛性の異なるクラッチ押圧部材33をメインカム18に設ける(調整工程)。その後、ヨーク30および電磁コイル25を組み付けることで駆動力伝達装置1が製造される。
次に、上記のように構成された本実施形態である駆動力伝達装置1の作用および効果について説明する。
上記構成によれば、駆動力伝達装置1は、メインクラッチ13を押圧するカム機構15のメインカム18に設けた円環状のクラッチ押圧部材33の軸方向板厚、反メインクラッチ側の端面形状を変えることにより、メインカム18の剛性を調整し、メインクラッチ13の当たり位置を移動させる。第1〜第3の実施形態によれば、クラッチ押圧部材33の反メインクラッチ側の端面に径方向に所定の幅で全周にわたり板厚を増減させる。また、第4,5の実施形態によれば、同じくクラッチ押圧部材33の反メインクラッチ側の端面に周方向に等間隔で放射状に配置された複数のリブ34、あるいは円環状の溝35を形成する。そして、カム機構15のクラッチ押圧部材33は、メインカム18本体部材とは別体に形成され、測定された伝達トルクに応じて剛性の異なるクラッチ押圧部材33が共通に設けられたメインカム18本体部材に組み付け固定される。
これにより、メインカム18のクラッチ押圧部材33の剛性を変え、メインクラッチ13の当たり位置を移動、すなわち摩擦半径を変化させることにより、メインクラッチ13の摩擦トルクが変化するので、特定の電流域での伝達トルクを増減させることができる。そして、測定されたトルク値に応じて剛性の異なるクラッチ押圧部材33を選択しメインカム18に組み付け、伝達トルクの調整が可能になる。測定結果がトルクの規格(目標)値より大きい場合は低剛性のクラッチ押圧部材33を選択し、規格値より小さい場合には高剛性品を選択できる。
したがって、特定の電流値(例えば、高電流値)に対応するトルクを規格値内に調整することができる。その結果、駆動力伝達装置1の伝達トルク特性を要求された規格値内に容易に調整できるとともに、所定の値に調整することができる。また、剛性が異なる複数種類のクラッチ押圧部材33を用意して適宜採用すれば、さらにI−T特性を精緻に調整することができる。加えて、カム機構15の変形等に起因するトルクの変動が生じた場合においても、クラッチ押圧部材33により伝達トルク特性を調整することができる。
さらに、上述のようにカム機構15のメインカム18の剛性を変えることにより伝達トルク特性を調整できるので、従来の駆動力伝達装置のように、電磁コイル25を支持するヨーク30とリヤハウジング6間に介在させた調整部材などによってエアギャップG1,G2を調整することが不要になる。
以上のように、本発明の第1〜第5の実施形態によれば、特定の電流域での伝達トルク特性を容易に調整することができる電磁クラッチを備えた駆動力伝達装置およびその製造方法を提供できる。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することも可能である。
上記実施形態では、クラッチ押圧部材33の剛性を調整するための形状を平面状、放射状、または円環状に設けたが、これに限らす、剛性を増減できるその他の形状であってもよい。
また、上記実施形態では、駆動力伝達装置1を4輪駆動車両における補助駆動輪側への駆動力伝達経路に設け、補助駆動輪に伝達するトルクを制御したが、これに限らず、左右配分装置としての機能を有するディファレンシャル装置などに用いてもよい。
さらに、上記実施形態では、電磁クラッチ(パイロットクラッチ14)により伝達されるトルクを増幅するメインクラッチ13およびカム機構15を備えた駆動力伝達装置1に電磁クラッチを適用したが、これに限らず、電磁クラッチのみ、または電磁クラッチを有する他の装置に適用してもよい。
1:駆動力伝達装置、3:アウタハウジング(第1回転部材)、4:インナシャフト(第2回転部材)、5,7,8,21,31:軸受、6:リヤハウジング(磁路形成部材)、9,10:シール部材、11:ボルト穴、12:連結部、13:メインクラッチ(第1クラッチ)、14:パイロットクラッチ(第2クラッチ)、15:カム機構、16,23:アウタクラッチプレート、17,24:インナクラッチプレート、18:メインカム、
19:パイロットカム、20:カムフォロア、25:電磁コイル、26:外周筒部、
27:内周筒部、28:磁路遮断部、29:環状溝、30:ヨーク、32:アーマチャ、33:クラッチ押圧部材、34:リブ、35:溝、
G1,G2:エアギャップ

Claims (2)

  1. 円筒部を有する第1回転部材と、
    前記第1回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の第2回転部材と、
    前記第1回転部材と前記第2回転部材との間でトルクを伝達する第1クラッチと、
    前記第1クラッチの軸方向に並置された第2クラッチと、
    前記第1クラッチと前記第2クラッチとの間に設けられ、前記第2クラッチを介して伝達される前記第1回転部材と前記第2回転部材との相対回転により前記第1クラッチを押圧するカム機構と、を備え、
    前記カム機構は、前記第2回転部材と一体回転可能かつ軸方向に移動可能に設けられ、前記第1クラッチ側に配置され前記第1クラッチを押圧する円環状のメインカムを有し、
    前記メインカムは、円環状に前記メインカムの本体部材とは別体に形成され、軸方向板厚または軸方向反第1クラッチ側の端面形状を変えることにより異なる剛性調整でき、共通に設けられた前記メインカムの本体部材に一体に組み付けられたクラッチ押圧部材を備えたことを特徴とする駆動力伝達装置。
  2. 円筒部を有する第1回転部材と、
    前記第1回転部材内に回転自在に同軸配置された軸状の第2回転部材と、
    前記第1回転部材と前記第2回転部材との間でトルクを伝達する第1クラッチと、
    前記第1クラッチの軸方向に並置された第2クラッチと、
    前記第1クラッチと前記第2クラッチとの間に設けられ、前記第2クラッチを介して伝達される前記第1回転部材と前記第2回転部材との相対回転により前記第1クラッチを押圧するカム機構と、を備え、
    前記第2クラッチは、前記第1回転部材と前記第2回転部材との間でトルクを伝達する複数のクラッチプレートと、前記各クラッチプレートの軸方向の一側に軸方向移動可能に設けられたアーマチャと、前記各クラッチプレートの軸方向の他側に設けられた前記第1回転部材または前記第2回転部材と一体回転する磁路形成部材と、前記アーマチャとの間に前記磁路形成部材を挟んで配置される電磁コイルと、前記電磁コイルを支持するとともに前記第1および第2回転部材と相対回転可能なヨークと、を有した駆動力伝達装置の製造方法において
    前記電磁コイルへの通電量と、前記各クラッチプレートによって伝達されるトルクとの関係を示すI−T特性を測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定された前記I−T特性に応じて、前記第1クラッチを押圧する前記カム機構のメインカムに、前記メインカムの本体部材とは別体に形成され、剛性の異なるクラッチ押圧部材を一体に設け、前記第1クラッチの当たり位置を移動させることにより、特定の電流域での前記伝達されるトルクを増減させて前記I−T特性を調整する調整工程と、を備えたことを特徴とする駆動力伝達装置の製造方法。
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