JP2015015989A - 医療用器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の物質を吐出直前に混合させて物質の反応等の望ましくない現象を抑えつつ、物質を効果的に混合させてより望ましい状態で吐出させることが可能な医療用器具を提供する。
【解決手段】物質を生体組織内へ送達するための医療用器具10であって、複数のルーメン41,42が内部に形成される複ルーメン部23と、前記複数のルーメン41,42が合流して当該複数のルーメン41,42から流入する物質を混合させる混合領域25が内部に形成され、前記複ルーメン部23よりも先端側に位置する混合部22と、前記混合領域25と連通して前記混合領域25の内部の物質を吐出可能な吐出口26が形成される吐出部21と、を有し、前記医療用器具10の中心軸Xと直交する断面における前記吐出口26の断面積が、前記中心軸Xと直交する断面における前記混合領域25の断面積よりも小さい。
【選択図】図2
【解決手段】物質を生体組織内へ送達するための医療用器具10であって、複数のルーメン41,42が内部に形成される複ルーメン部23と、前記複数のルーメン41,42が合流して当該複数のルーメン41,42から流入する物質を混合させる混合領域25が内部に形成され、前記複ルーメン部23よりも先端側に位置する混合部22と、前記混合領域25と連通して前記混合領域25の内部の物質を吐出可能な吐出口26が形成される吐出部21と、を有し、前記医療用器具10の中心軸Xと直交する断面における前記吐出口26の断面積が、前記中心軸Xと直交する断面における前記混合領域25の断面積よりも小さい。
【選択図】図2
Description
本発明は、生体組織内への物質の送達に用いられる医療用器具に関するものである。
近年、悪性神経膠腫(膠芽腫、退形成星性細胞腫等)に対しては、手術療法、放射線療法に加え、化学療法、免疫療法、遺伝子治療、分子標的療法等の各種治療法が試みられており、神経膠腫を含む悪性脳腫瘍の治療成績は改善している。しかし、最も悪性度の高い膠芽腫では、5年生存率が約7%と低く、いまだあらゆる癌の中で最も予後不良である(非特許文献1)。
悪性神経膠芽腫に対する治療の基本は、外科手術による腫瘍の可及的切除である。しかし、脳は部位によりさまざまな機能を果たしているため、腫瘍を十分に切除できない場合が多い。特に、悪性神経膠芽腫では、腫瘍細胞が周辺脳組織へ浸潤していることから、組織レベルでの全摘出は不可能である。そのため、悪性神経膠芽腫の治療成績改善には、術後補助療法として放射線療法や化学療法などが不可欠である。
悪性神経膠腫に対する化学療法は、その有用性が立証されているにもかかわらず、治療効果はいまだ十分とはいえない。脳腫瘍では、治療薬剤を静脈内投与するにあたり、治療薬剤を血液脳関門(Blood Brain Barrier:BBB)を介して透過させるため、透過性という固有の問題があり、適用可能な薬剤が限られている。さらに、BBBの透過性が得られたとしても、薬剤による全身への副作用に対する懸念から、薬剤投与量が制限され、腫瘍部位において有効な薬剤濃度を確保することができない。
上記のような悪性神経膠腫に対する化学療法の課題を克服するための新たな薬剤投与法として、対流増加送達(Convection−Enhanced Delivery:CED)法が考案されている(例えば、特許文献1を参照)。CED法とは、脳実質内に定位的に留置したカテーテルから微量注入ポンプを用いて薬剤を能動的に注入する局所化学療法である。従来の中枢神経系への局所投与技術では、腫瘍摘出腔への腔内投与であれ、脳内留置型の局所化学療法であれ、薬剤の分布は物質の拡散に依存していた。物質の拡散は、濃度勾配や組織性状によって規定され、拡散性の良い低分子化合物であっても、毛細血管への吸収や代謝によりその範囲は数mmに留まると考えられている。これは、悪性神経膠腫の再発の80〜90%が初発病巣から2cm以内の部位に起こることに対し不十分である(非特許文献2を参照)。一方、CED法では、注入中の圧勾配を維持して脳質間にバルクフロー(bulk flow)を誘導し注入物質の拡散を強化する。従って、従来の局所投与法と比較して薬剤をより均質に高濃度で広い範囲に分布させることができる。また、薬剤の脳内分布は注入量と注入速度により制御可能であり、静脈からの全身投与と比較して投与量を少なくすることも可能なため、全身の副作用を問題のないレベルに抑えることが可能である。CED法により投与可能な薬剤は多岐にわたり、これまでに様々な薬剤の投与がラット脳腫瘍移植モデルにおいて試みられ、その有効性が報告されている。このような利点から、CED法は、脳腫瘍のみならず、パーキンソン病、アルツハイマー病やてんかんの治療法として期待されている。
しかし、CED法を広く臨床応用するには、いくつかの課題が残されている。そのひとつは、脳内(脳実質内)に留置したカテーテルの外面に沿って起こる薬剤の逆流である。カテーテルに沿った逆流は、カテーテル先端部の径が太く、また投与速度が速いほど起こりやすい。そのため、CED法におけるカテーテルの径は細く、薬剤の注入速度は0.5〜10μl/分と非常に低速である。従って、治療有効量とするためには長時間の投与にならざるを得ず、場合によっては数日かけての注入が必要となる。しかしながら、例えば複数の薬剤を混合して同時に投与したい場合などには、混合した薬剤をカテーテルに供給した後、カテーテルから放出されるまでに長時間を要することで、カテーテル内において混合した薬剤同士が反応したり、薬剤が結晶化したり、配合変化が生じるなどの望んでいない現象が生じる可能性がある。
異なる薬剤を投与直前に混合させるカテーテルとして、例えば特許文献2には、異なる薬剤を流通させる2つの流路が先端近傍の合流部で1つの流路となり、先端の開口部から混合された薬剤を吐出可能なカテーテルが記載されている。
The Committee of Brain Tumor Registry of Japan: Report of brain tumor registry of Japan (1984−2000) 12th edition. Neuro Med Chir 49 Suppl: 1−101, 2003.
Hochberg FH. and Pruitt A: Assumptions in the radiotherapy of glioblastoma. Neurology 30: 907−911, 1980.
Lidar Z, Mardor Y, et al: Convection−enhanced delivery of paclitaxel for the treatment of recurrent malignant glioma: a Phase I/II clinical study. J Neurosurg. 100: 472−479, 2004.
上述した特許文献2に記載のカテーテルは、2つの流路の合流部から開口部まで同一内径で形成されているため、各々の流路から供給される薬剤が、十分に混合されずに吐出される可能性がある。
本発明は上述した課題を解決するものであり、複数の物質を吐出直前に混合させて物質の反応等の望ましくない現象を抑えつつ、物質を効果的に混合させてより望ましい状態で吐出させることが可能な医療用器具を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る医療用器具は、物質を生体組織内へ送達するための医療用器具であって、複数のルーメンが内部に形成される複ルーメン部と、前記複数のルーメンが合流して当該複数のルーメンから流入する物質を混合させる混合領域が内部に形成され、前記複ルーメン部よりも先端側に位置する混合部と、前記混合領域と連通して前記混合領域の内部の物質を外部へ吐出可能な吐出口が形成される吐出部と、を有し、前記医療用器具の中心軸と直交する断面における前記吐出口の断面積が、前記中心軸と直交する断面における前記混合領域の断面積よりも小さい。
上記のように構成した医療用器具は、複数のルーメンの各々を通る物質が、それらのルーメンよりも先端側(好ましくは医療用器具の先端部)に位置する混合領域に到達するまで混合されず、医療用器具から放出される直前に混合されるため、医療用器具内において混合した物質同士が反応したり、結晶化したり、配合変化が生じるなどの望ましくない現象を抑えて、投与に望ましい物質の状態を維持することができる。また、吐出口の断面積が、混合領域の断面積よりも小さいため、混合領域にて内圧の上昇と乱流が発生して、混合領域における混合が促され、複数の物質を吐出直前に効果的に混合させて吐出させることが可能である。
前記中心軸と直交する断面における前記混合領域の断面積は、前記中心軸と直交する断面における前記複数のルーメンの断面積の総和よりも大きいようにすれば、混合領域の複数のルーメンが合流する部位で内圧の低下と乱流が発生し、複数のルーメンから混合領域へ到達した物質の混合を促すことができる。
前記吐出部の外径は、前記混合部の外径よりも小さいようにすれば、吐出部と混合部の間の段差によって、吐出口から吐出される物質の、医療用器具の外表面に沿う逆流を抑制できる。
前記中心軸と直交する断面における前記吐出口の断面積は、前記中心軸と直交する断面における前記混合領域の断面積の1/10〜2/3であるようにすれば、混合領域内において乱流および適度な内圧の上昇が生じ、内部の物質の混合を促すことができる。
前記混合部の少なくとも先端部は、前記医療用器具の先端から1〜5mmに位置するようにすれば、混合された後の物質が留まる範囲が十分に短く、物質同士の反応、結晶化、配合変化などを極力抑えることができる。
前記混合部の前記中心軸方向への長さは、0.5〜3mmであるようにすれば、混合部の内部の混合領域を、混合のために適切な大きさに設定できる。
前記複ルーメン部の前記中心軸方向への長さは、15〜200mmであるようにすれば、治療対象の位置に応じて適切な長さに設定できる。
前記混合領域内へ突出し、前記吐出口に連通する流路を提供する筒状の混合促進部を有するようにすれば、混合促進部が、混合領域内にてより積極的に乱流を発生させ、混合効率を高めることができる。
前記混合促進部は、突出方向へ向かって流路断面積が減少して形成されるようにすれば、流路抵抗を高めて内圧をより高くすることができ、混合効率を高めることができる。
医療用器具が、腫瘍への物質の対流増加送達に用いられるようにすれば、複数の物質が混合された状態を極力短くしつつ投与して、物質をより望ましい状態で腫瘍へ作用させることができる。
医療用器具が、脳への物質の対流増加送達に用いられるようにすれば、物質が混合された状態を極力短くしつつ投与して、物質をより望ましい状態で脳へ作用させることができる。
前記医療用器具は、前記複数のルーメンの先端面で開口するように形成される内管と、前記内管の外表面に密着して被さる外管基端部、および外管基端部よりも先端側に前記外管基端部と内部の空間が連通して形成され、外管基端部よりも内径が小さい外管先端部を備えた外管と、を有するようにすれば、内管に外管を被せることで、複ルーメン部、混合部および吐出部を有する構成を容易に製造できる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
なお、以下の説明において、医療用器具の手元側を「基端側」、挿通される側を「先端側」と称す。また、「カテーテル」とは、医療用に使用される管体を含むものを表すものである。カテーテルの用途は治療用に限定されず、例えば検査用であってもよい。
本発明の実施形態に係る医療用器具10は、脳内の例えば脳腫瘍へ物質(例えば治療用物質)を送達する対流増加送達(CED)法に用いられるカテーテルである。CED法とは、脳実質内に定位的に留置した医療用器具10を介して薬剤を微量ずつ、能動的かつ持続的に加圧しながら注入することで、圧勾配を維持し、対流を発生させ、これにより生じる流れを利用して組織間隙に広範で高濃度に治療用物質を分布させる局所化学療法である。
医療用器具10は、図1〜3に示すように、長尺に形成されて内部に複数のルーメンが形成される管状部20と、管状部20の基端に固着されるハブ部30とを有している。管状部20は、内部に2つのルーメンが形成される内管40と、内管40に被せられる外管50とを備えている。
内管40は、先端側において内部に第1ルーメン41および第2ルーメン42が形成される内管複ルーメン部43と、基端側において各々ルーメンを備えるように二股に分岐された第1分岐部44および第2分岐部45とを備えている。第1分岐部44および第2分岐部45の基端部には、ハブ部30を構成する第1ハブ部31および第2ハブ部32がそれぞれ固着されている。第1ハブ部31には、第1ルーメン41に連通する第1基端側開口部33が形成され、第2ハブ部32には、第2ルーメン42に連通する第2基端側開口部34が形成されている。内管複ルーメン部43の先端面46には、第1ルーメン41および第2ルーメン42が開口する第1先端側開口部47および第2先端側開口部48が形成されている。
外管50は、内管複ルーメン部43の外表面に密着して被さる外管基端部51と、外管基端部51よりも先端側に外管基端部51と内部の空間が連通して形成され、外管基端部51よりも外径および内径が小さい外管先端部52とを備えている。外管50の外管基端部51の内部において、内管複ルーメン部43の先端面46が外管先端部52の基端から所定の長さL1離れた状態となっている。
そして、内管40に外管50を被せることで、管状部20は、外管先端部52により構成される吐出部21と、吐出部21の基端側において外管基端部51の先端部によって構成される混合部22と、内管40および外管基端部51によって構成されて内部に複数のルーメンが形成される複ルーメン部23と、を備えた構成となっている。混合領域22は、中心軸X方向に長さL1を有している。
複ルーメン部23は、第1ハブ部31および第2ハブ部32から供給される異なる治療用物質を、内部の第1ルーメン41および第2ルーメン42によって混合部22まで個別に搬送可能とする。医療用器具10の中心軸X方向への複ルーメン部23の長さL2は、特に限定されないが、例えば15〜200mmである。
混合部22は、第1ルーメン41および第2ルーメン42が1つになる混合領域25が内部に形成されている。そして、医療用器具10の中心軸Xと直交する断面における混合領域25の断面積は、中心軸Xと直交する断面における第1ルーメン41および第2ルーメン42の断面積の総和よりも大きくなっている。混合部22の医療用器具10の先端からの長さL3は、特に限定されないが、例えば混合部22の少なくとも先端部が、医療用器具10の先端から1〜5mmに位置することが好ましい。混合部22の中心軸X方向への長さL1は、特に限定されないが、例えば0.5〜3mmである。
吐出部21は、内部に混合領域25と連通する吐出口26が形成されている。中心軸Xと直交する断面における吐出口26の断面積は、中心軸Xと直交する断面における混合領域25の断面積の総和よりも小さく、比率は特に限定されないが、例えば1/10〜2/3である。当該比率が大きすぎると、混合領域25内で乱流が生じやすくなって内部の物質を混合しやすくなるが、内圧が高くなり過ぎ、ポンプ等の加圧機構の加圧能力の限界により、物質の送達が困難となる。また、当該比率が小さすぎると、乱流が生じ難くなり、物質の混合が難しくなる。また、吐出部21の外径D1は、混合部22の外径D2よりも小さい。これにより、吐出部21と混合部22の間に段差部が形成され、医療用器具10の外表面に沿う吐出された治療用物質の逆流を効果的に抑制できる。
医療用器具10の先端から外管50の基端までの範囲、すなわち、医療用器具10の先端から第1分岐部44および第2分岐部45が分岐する位置までが、医療用器具10を脳実質内に挿通可能な挿通部11を構成する。
内管40および外管50は、可撓性を有する材料により構成され、例えばポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリ塩化ビニル、シリコーンエラストマー等を好適に適用できるが、これらに限定されない。
第1ハブ部31は、外部から第1の治療用物質を第1ルーメン41へ供給するための第1シリンジ60から延びる第1送液チューブ62を接続可能となっている。また、第2ハブ部32は、外部から第2の治療用物質を第2ルーメン42へ供給するための第2シリンジ70から延びる第2送液チューブ72を接続可能となっている。なお、第1ハブ部31および第2ハブ部32に、逆止弁や三方活栓等が設けられてもよい。
第1送液チューブ62の基端部は、第1の治療用物質を注入するための第1シリンジ60の第1筒先61に接続可能となっている。第2送液チューブ72の基端部は、第2の治療用物質を注入するための第2シリンジ70の第2筒先71に接続可能となっている。なお、第1送液チューブ62および第2送液チューブ72の第1シリンジ60および第2シリンジ70が接続される基端部に、逆止弁や三方活栓等が設けられてもよい。第1シリンジ60および第2シリンジ70は、2つのシリンジを独立して制御可能な2連型の微量注入ポンプ80(図4を参照)に取り付けられて、予め設定された注入量および注入速度で第1の治療用物質および第2の治療用物質を送り出すことができる。
第1の治療用物質および第2の治療用物質としては、例えば抗癌剤、より具体的には、ニムスチン、ラニムスチン、テモゾロミド等のアルキル化剤、シスプラチン、オキサリプラチン、ダハプラチン等の白金製剤、スルファジン、メソトレキセート、フルオロウラシル、フルトシン、アザチオプリン、ペントスタチン等の代謝拮抗剤、イリノテカン、ドキソルビシン、レボフロキサシン等のトポイソメラーゼ阻害薬、パクリタキセル、ドタキセル等の微小管脱重合阻害薬、ドキソルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン等の抗腫瘍性抗生物質、イマチニブ、ゲフィニチブ、スニチニブ、セツキシマブ、トラツズマブ等の分子標的薬等が挙げられるが、これらに限定されない。
次に、本実施形態に係る医療用器具10の作用を説明する。
始めに、第1シリンジ60に接続された第1送液チューブ62を、第1ハブ部31に接続し、第2シリンジ70に接続された第2送液チューブ72を、第2ハブ部32に接続する。なお、第1ハブ部31および第2ハブ部32に逆止弁や三方活栓等が設けられるのであれば、医療用器具10を生体組織内に留置した後に、第1ハブ部31および第2ハブ部32に第1送液チューブ62および第2送液チューブ72を接続してもよい。また、第1送液チューブ62および第2送液チューブ72に逆止弁や三方活栓等が設けられるのであれば、第1送液チューブ62および第2送液チューブ72を第1ハブ部31および第2ハブ部32に接続し、医療用器具10を生体組織内に留置した後に、第1送液チューブ62および第2送液チューブ72に第1シリンジ60および第2シリンジ70を接続してもよい。
次に、図4に示すように、医療用器具10を把持し、脳実質内における脳腫瘍へ、若しくは脳腫瘍の近傍へ医療用器具10の先端が到達するまで、医療用器具10を脳実質内に挿通させる。
次に、微量注入ポンプ80により、第1シリンジ60から第1ルーメン41へ第1の治療用物質を供給するとともに、第2シリンジ70から第2ルーメン42へ第1の治療用物質とは異なる第2の治療用物質を供給する。第1の治療用物質および第2の治療用物質は、第1ルーメン41および第2ルーメン42を通って、第1先端側開口部47および第2先端側開口部48を介して混合領域25へ到達する。混合領域25に到達した第1の治療用物質および第2の治療用物質は、混合領域25内で混合され、吐出口26を通って、所定の注入量および注入速度で放出され、脳腫瘍へ直接的かつ持続的に投与・送達される。
そして、中心軸Xと直交する断面における混合領域25の断面積が、中心軸Xと直交する断面における第1ルーメン41および第2ルーメン42の断面積の総和よりも大きいため、混合領域25の第1先端側開口部47および第2先端側開口部48の近傍で内圧の低下と乱流が発生し、第1ルーメン41および第2ルーメン42から混合領域25へ到達した第1の治療用物質および第2の治療用物質の混合を促すことができる。さらに、医療用器具10の中心軸Xと直交する断面における吐出口26の断面積が、中心軸Xと直交する断面における混合領域25の断面積よりも小さいため、混合領域25の吐出口26近傍にて内圧の上昇と乱流が発生し、混合領域25における第1の治療用物質および第2の治療用物質の混合をさらに促すことができる。
そして、第1の治療用物質および第2の治療用物質は、医療用器具10の先端部に位置する混合領域25に到達するまでは混合されず、医療用器具10から放出される直前に混合されるため、医療用器具10内において混合した治療用物質同士が反応したり、結晶化したり、配合変化が生じるなどの望ましくない現象を生じ難くすることができる。
医療用器具10から脳実質内へ送達された治療用物質は、圧勾配が維持されて脳質間へ効果的に誘導されて拡散される。そして、吐出部21の外径が、混合部22の外径よりも小さいため、吐出部21と混合部22の間の段差によって、医療用器具10の外表面に沿う治療用物質の逆流を抑制できる。治療用物質の逆流を抑制することで、逆流を主な原因とする脳表、脳溝、摘出腔などへの治療用物質の漏出を防止できるため、治療用物質の分布効率の低下や、不必要な部位への投薬による副作用、脳組織の損傷、感染症等の合併症が発生する可能性を低減させ、より正確で安全かつ効果的なCED法の実現に寄与できる。
治療用物質の投与が完了した後には、シリンジ60による治療用物質の供給を停止し、医療用器具10を脳実質内から抜去して、治療が完了する。
以上のように、本実施形態に係る医療用器具10は、治療用物質(物質)を生体組織内へ送達するものであり、第1ルーメン41および第2ルーメン42が内部に形成される複ルーメン部23と、第1ルーメン41および第2ルーメン42が合流する混合領域25が内部に形成され、複ルーメン部23よりも先端側に位置する混合部22と、混合領域25と連通して混合領域25の内部の治療用物質を吐出可能な吐出口26が形成される吐出部21と、を有し、医療用器具10の中心軸Xと直交する断面における吐出口26の断面積が、中心軸Xと直交する断面における混合領域25の断面積よりも小さい。このため、第1の治療用物質および第2の治療用物質が、複ルーメン部23よりも先端側となる医療用器具10の先端部に位置する混合領域25に到達するまで混合されず、医療用器具10から放出される直前に混合されることになるため、医療用器具10内において混合した治療用物質同士が反応したり、結晶化したり、配合変化が生じるなどの望ましくない現象を抑制してより望ましい状態で治療用物質を投与できる。また、吐出口26の断面積が、混合領域25の断面積よりも小さいため、混合領域25の吐出口26近傍にて内圧の上昇と乱流が発生し、混合領域25における第1の治療用物質および第2の治療用物質の混合を促し、複数の治療用物質を吐出直前に効果的に混合させて吐出させることが可能である。
また、中心軸Xと直交する断面における混合領域25の断面積が、中心軸Xと直交する断面における第1ルーメン41および第2ルーメン42の断面積の総和よりも大きいため、混合領域25の第1先端側開口部47および第2先端側開口部48の近傍において内圧の低下と乱流が発生し、第1ルーメン41および第2ルーメン42から混合領域25へ到達した第1の治療用物質および第2の治療用物質の混合を促すことができる。
また、吐出部21の外径が、混合部22の外径よりも小さいため、吐出部21と混合部22の間の段差によって、医療用器具10の外表面に沿う治療用物質の逆流を抑制できる。
また、中心軸Xと直交する断面における吐出口26の断面積が、中心軸Xと直交する断面における混合領域25の断面積の1/10〜2/3であるため、混合領域25内において乱流および適度な内圧の上昇が生じ、内部の第1の治療用物質および第2の治療用物質の混合を促すことができる。
また、混合部22の少なくとも先端部が、医療用器具10の先端から1〜5mmに位置するため、混合された第1の治療用物質および第2の治療用物質が医療用器具10の内部に留まる範囲が十分に短く、治療用物質同士の反応、結晶化、配合変化などを極力抑制することができる。また、吐出部21と混合部22の間の段差が医療用器具10の先端の近傍に位置することになり、医療用器具10の外表面に沿う治療用物質の逆流を効果的に抑制できる。
また、混合部22の中心軸X方向への長さが、0.5〜3mmであるため、混合部22の内部の混合領域25を、混合のために適切な大きさに設定できる。
また、複ルーメン部23の中心軸X方向への長さが、15〜200mmであるため、医療用器具10を治療対象の位置に応じて適切な長さに設定できる。
また、医療用器具10が、腫瘍への治療用物質(物質)の対流増加送達に用いられるため、第1の治療用物質および第2の治療用物質が混合された状態を極力短くしつつ投与して、第1の治療用物質および第2の治療用物質をより望ましい状態で腫瘍へ作用させることができる。
また、医療用器具10が、脳への治療用物質(物質)の対流増加送達に用いられるため、第1の治療用物質および第2の治療用物質が混合された状態を極力短くしつつ投与して、第1の治療用物質および第2の治療用物質をより望ましい状態で脳へ作用させることができる。
また、医療用器具10が、第1ルーメン41および第2ルーメン42の先端面46で開口するように形成される内管40と、内管40の外表面に密着して被さる外管基端部51、および外管基端部51よりも先端側に外管基端部51と内部の空間が連通して形成され、外管基端部51よりも内径が小さい外管先端部52を備えた外管50と、を有するため、内管40に外管50を被せることで、複ルーメン部23、混合部22および吐出部21を有する構成を容易に製造できる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、本実施形態に係る医療用器具10は、脳実質へ挿通させて治療用物質を送達するものであるが、挿通させる対象は脳実質に限定されず、例えば肝臓、膵臓、胆のう、***、子宮、大腸等の脳以外の非管腔領域へ送達するものあってもよい。または、医療用器具10は、血管、脈管、尿管等の生体管腔へ挿通させて、物質を管腔領域の所定の位置へ送達するものであってもよい。
また、本実施形態に係る医療用器具10では、第1の治療用物質および第2の治療用物質を混合しているが、混合する物質は、治療用物質に限定されず、例えば、造影剤と治療用物質、造影剤と生理食塩水、治療用物質と生理食塩水等、混合可能な物質であれば、特に限定されない。また、混合する物質は、流動性を有する二液を混合することでゲル化または固化する二液混合型ハイドロポリマーの混合する前の二液であってもよい。二液混合型ハイドロポリマーの非流動性状態への転移は、ポリマー鎖同士が物理的な相互作用または化学的な結合によって3次元的に架橋された網目構造を形成することにより達成される。二液の一方または両方には、治療用物質が含まれてもよく、または含まれなくてもよい。二液混合型ハイドロポリマーに用いられる二液は、特に限定されないが、例えば、一方を架橋剤やpH調製剤とし、他方を架橋剤やpH調製剤によって架橋するハイドロポリマーとすることができる。または、二液混合型ハイドロポリマーに用いられる二液は、例えば、それぞれに反応点を有し、混合することで架橋するハイドロポリマーであってもよい。
このようなハイドロポリマーを構成する材料の例としては、一般的な天然または合成ポリマー、コポリマー、生物由来ポリマー、ヒドロゲル、およびそれらの複合材料などがある。具体的には、フィブリン接着剤、コラーゲン、ヒアルロン酸、キトサン、ゼラチン、アルギン酸塩、スターチ、糖、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリε−カプロラクタム、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルメタクリルアミド、シアノアクリレート等、ならびにこれらの誘導体が好適に例示できる。これらの材料は、単体で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。これらの材料を化学的に共重合してコポリマーとしてもよい。また、生体組織内における固化あるいはゲル化のために、各ポリマー鎖に何らかの化学修飾を施してもよい。
二液混合型ハイドロポリマーの投与に医療用器具10を用いることで、二液混合型ハイドロポリマーに用いられる二液が投与直前まで混合されないため、医療用器具10内で非流動性状態へ転移し難くなり、医療用器具10内での目詰まりを抑制できる。
ゲル化または固化したハイドロポリマーに治療用物質として薬剤を混合して生体組織内に投与することで、容易に薬剤を内包した医療用材料を調製でき、それをリザーバーとした薬剤の徐放が可能である。これは、局所ドラッグデリバリーシステム(DDS)として、薬剤の連続投与や頻回投与の回避、ならびに薬剤濃度を一定に保つことによる副作用の軽減や治療効果の向上をもたらす。また、治療用物質として薬剤ではなしに細胞(および細胞増殖因子)を内包したハイドロポリマーは、欠損部に投与して医療用材料を形成させることにより、組織再生用の足場としての利用が可能である。
また、本実施形態の変形例として、図5に示すように、医療用器具が、混合領域25内へ突出する混合促進部27を有してもよい。混合促進部27は、吐出口26に連通する流路28を提供する筒形状となっている。このような混合促進部27を設けることで、混合領域25内でより積極的に乱流を発生させ、第1の治療用物質および第2の治療用物質の混合効率を高めることができる。
また、本実施形態の他の変形例として、図6に示すように、混合領域25内へ突出する混合促進部29が、突出方向へ向かって流路断面積が減少するように形成されてもよい。このような混合促進部29を設けることで、流路抵抗を高めて内圧をより高く発生させることができ、混合効率をさらに高めることができる。
また、上述した実施形態では、複ルーメン部23に2つのルーメンが設けられているが、ルーメンが3つ以上設けられてもよい。
10 医療用器具、
21 吐出部、
22 混合部、
23 複ルーメン部、
25 混合領域、
26 吐出口、
27,29 混合促進部、
28 流路、
40 内管、
41 第1ルーメン、
42 第2ルーメン、
46 先端面、
50 外管、
51 外管基端部、
52 外管先端部、
D1 吐出部の外径、
D2 混合部の外径、
L1 混合領域の長さ、
L2 複ルーメン部の長さ、
L3 医療用器具先端から混合部までの長さ、
X 中心軸。
21 吐出部、
22 混合部、
23 複ルーメン部、
25 混合領域、
26 吐出口、
27,29 混合促進部、
28 流路、
40 内管、
41 第1ルーメン、
42 第2ルーメン、
46 先端面、
50 外管、
51 外管基端部、
52 外管先端部、
D1 吐出部の外径、
D2 混合部の外径、
L1 混合領域の長さ、
L2 複ルーメン部の長さ、
L3 医療用器具先端から混合部までの長さ、
X 中心軸。
Claims (12)
- 物質を生体組織内へ送達するための医療用器具であって、
複数のルーメンが内部に形成される複ルーメン部と、
前記複数のルーメンが合流して当該複数のルーメンから流入する物質を混合させる混合領域が内部に形成され、前記複ルーメン部よりも先端側に位置する混合部と、
前記混合領域と連通して前記混合領域の内部の物質を外部へ吐出可能な吐出口が形成される吐出部と、を有し、
前記医療用器具の中心軸と直交する断面における前記吐出口の断面積が、前記中心軸と直交する断面における前記混合領域の断面積よりも小さい医療用器具。 - 前記中心軸と直交する断面における前記混合領域の断面積は、前記中心軸と直交する断面における前記複数のルーメンの断面積の総和よりも大きい請求項1に記載の医療用器具。
- 前記吐出部の外径は、前記混合部の外径よりも小さい請求項1または2に記載の医療用器具。
- 前記中心軸と直交する断面における前記吐出口の断面積は、前記中心軸と直交する断面における前記混合領域の断面積の1/10〜2/3である請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用器具。
- 前記混合部の少なくとも先端部は、前記医療用器具の先端から1〜5mmに位置する請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療用器具。
- 前記混合部の前記中心軸方向への長さは、0.5〜3mmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療用器具。
- 前記複ルーメン部の前記中心軸方向への長さは、15〜200mmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療用器具。
- 前記混合領域内へ突出し、前記吐出口に連通する流路を提供する筒状の混合促進部を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療用器具。
- 前記混合促進部は、突出方向へ向かって流路断面積が減少して形成される請求項8に記載の医療用器具。
- 腫瘍への物質の対流増加送達に用いられる請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療用器具。
- 脳への物質の対流増加送達に用いられる請求項1〜10のいずれか1項に記載の医療用器具。
- 前記医療用器具は、前記複数のルーメンの先端面で開口するように形成される内管と、
前記内管の外表面に密着して被さる外管基端部、および外管基端部よりも先端側に前記外管基端部と内部の空間が連通して形成され、外管基端部よりも内径が小さい外管先端部を備えた外管と、を有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の医療用器具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013143172A JP2015015989A (ja) | 2013-07-09 | 2013-07-09 | 医療用器具 |
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JP2013143172A JP2015015989A (ja) | 2013-07-09 | 2013-07-09 | 医療用器具 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2015015989A true JP2015015989A (ja) | 2015-01-29 |
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Family Applications (1)
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JP2013143172A Pending JP2015015989A (ja) | 2013-07-09 | 2013-07-09 | 医療用器具 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2015015989A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11298043B2 (en) | 2016-08-30 | 2022-04-12 | The Regents Of The University Of California | Methods for biomedical targeting and delivery and devices and systems for practicing the same |
US11497576B2 (en) | 2017-07-17 | 2022-11-15 | Voyager Therapeutics, Inc. | Trajectory array guide system |
-
2013
- 2013-07-09 JP JP2013143172A patent/JP2015015989A/ja active Pending
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