JP2015010289A - パーフルオロ樹脂製不織布及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂を主体とする樹脂の繊維であって平均繊維径が300nm以下のナノファイバーからなり、液体中の微細な粒子を高い処理効率で濾過することができ、微細粒子の捕捉率が高いとともに、優れた耐薬品性や耐熱性等を有しフィルターとして好適に用いられる不織布、及びエレクトロスピニング法による前記不織布の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリテトラフルオロエチレン等のパーフルオロ樹脂の繊維であって平均繊維径が300nm以下のナノファイバーから構成されるパーフルオロ樹脂製不織布、及びパーフルオロ樹脂に水溶性ポリマーを配合してなるディスパージョンをエレクトロスピニング法により紡糸してナノファイバー化し、ノズルとターゲット基板の間において樹脂の融点以上に加熱しながら静電気的に延伸し、不織布化する前記不織布の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリテトラフルオロエチレン等のパーフルオロ樹脂の繊維であって平均繊維径が300nm以下のナノファイバーから構成されるパーフルオロ樹脂製不織布、及びパーフルオロ樹脂に水溶性ポリマーを配合してなるディスパージョンをエレクトロスピニング法により紡糸してナノファイバー化し、ノズルとターゲット基板の間において樹脂の融点以上に加熱しながら静電気的に延伸し、不織布化する前記不織布の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)若しくはテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)又はこれらの混合物を主体とする樹脂の繊維であって平均繊維径が300nm以下の極細ファイバー(ナノファイバー)からなるパーフルオロ樹脂製不織布に関する。本発明は、又、エレクトロスピニング法による前記不織布の製造方法に関する。
液体中から微細な不純物粒子を取り除くためのフィルターには、微細な孔径、大きな処理流量(優れた濾過処理効率)を得るための高い気孔率、微細粒子の高い捕捉率等が望まれる。さらに、優れた耐薬品性、耐熱性や機械的強度等が求められる場合が多い。
エレクトロスピニング法は、ナノファイバーを製造する方法として広く知られており、例えば特許文献1及び特許文献2等で開示されている。エレクトロスピニング法により得られるナノファイバーを用いれば、気孔率が高い多孔質膜が得られると期待され、高い気孔率により、液体中の微細な粒子を高い処理効率(処理流量)で濾過するフィルターとしての用途が期待される。さらにこのフィルターは、ナノファイバーよりなるので単位面積当たりの繊維の表面積が大きく微細粒子の捕捉率を高くできると期待される。
従来、液体中から微細な不純物粒子を取り除くためのフィルターとしては、融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂であるPTFE、PFA若しくはFEP又はこれらの混合物を主体とする樹脂からなる多孔質膜が、耐薬品性、耐熱性等に優れるとともに、均一で微細な孔径を有する多孔質構造が得られやすいとの理由から広く用いられていた(特許文献3)。
そこで、PTFE、PFA若しくはFEP又はこれらの混合物を主体とする樹脂をエレクトロスピニング法によりナノファイバー化し不織布とすることができれば、液体中の微細な粒子を高い処理効率(処理流量)で濾過することができ、微細粒子の高い捕捉率とともに優れた耐薬品性や耐熱性等を有するフィルターが得られると期待される。
近年、ポリエチレンオキサイド(PEOX)を配合したPTFEの分散液(PTFEディスパージョン)を、エレクトロスピニング法により紡糸して、PTFEを主体とするナノファイバーを形成し、ターゲット基板上又はその近傍で前記ナノファイバーを不織布化して得られるPTFE製の不織布が開発されている(特許文献4)。
しかし特許文献4に記載の不織布の製造方法では、エレクトロスピニングプロセス中のPTFEは固体粒子と存在しており、繊維は固体粒子の凝集によって形成される。そこで、せいぜい粒子径の数十倍から数百倍である1〜2μm程度が細径化の限界だった。
本発明は、融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂であるPTFE、PFA若しくはFEP又はこれらの混合物を主体とする樹脂の繊維であって平均繊維径が300nm以下のナノファイバーからなり、液体中の微細な粒子を高い処理効率(処理流量)で濾過することができ、微細粒子の高い捕捉率とともに優れた耐薬品性や耐熱性等を有し、フィルターとして好適に用いられる不織布を提供することをその課題とする。本発明は、又、前記の樹脂を、融点以上に加熱しながらエレクトロスピニング法によりナノファイバー化し不織布化する不織布の製造方法を提供することを課題とする。
(1)本発明は、融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂であるPTFE、PFA若しくはFEP又はこれらの混合物を主体とする樹脂の繊維であって平均繊維径が300nm以下のナノファイバーから構成されるパーフルオロ樹脂製不織布である。
(2)本発明は、又、融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂であるPTFE、PFA若しくはFEP又はこれらの混合物を主体とする樹脂に水溶性ポリマーを配合したディスパージョン(パーフルオロ樹脂ディスパージョン)を、エレクトロスピニング法により紡糸して前記樹脂のナノファイバーを形成するとともに、前記ナノファイバーを、ノズルとターゲット基板の間において非接触で前記樹脂の融点以上に加熱し、静電気的に延伸して平均繊維径が300nm以下となるように細径化し、不織布化して得られるパーフルオロ樹脂製不織布である。
(3)本発明は、又、融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂であるPTFE、PFA若しくはFEP又はこれらの混合物を主体とする樹脂に水溶性ポリマーを配合してなるディスパージョンを、エレクトロスピニング法により紡糸して前記樹脂のナノファイバーを形成するナノファイバー化工程、形成されたナノファイバーをノズルとターゲット基板の間において、非接触で前記樹脂の融点以上に加熱しながら静電気的に延伸する工程、及び前記延伸されたナノファイバーをターゲット基板上又はその近傍で不織布化する不織布化工程を有するパーフルオロ樹脂製不織布の製造方法である。
本発明のパーフルオロ樹脂製不織布は、優れた耐薬品性や耐熱性等を有するとともに、高い気孔率を有しさらに平均繊維径が300nm以下の細径の繊維からなるので単位面積当たりの繊維表面積が大きい。従って、フィルターとして用いることにより、液体中の微細な粒子を高い処理効率(処理流量)で濾過することができ、微細粒子の高い捕捉率が得られる。又、この本発明のパーフルオロ樹脂製不織布は、本発明のパーフルオロ樹脂製不織布の製造方法により製造することができる。
次に、本発明を実施するための形態を具体的に説明するが、本発明はこの形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない限り他の形態へ変更することができる。
本発明者は、前記の課題を達成するため鋭意検討した結果、パーフルオロ樹脂ディスパージョンにPEOX等の水溶性ポリマーを配合することにより、エレクトロスピニング法によるパーフルオロ樹脂の紡糸が可能となること、そして、エレクトロスピニング法により紡糸されたパーフルオロ樹脂のナノファイバーを、さらにノズルとターゲット基板の間において非接触で樹脂の融点以上に加熱することにより、前記ナノファイバーが静電気的に延伸されて平均繊維径が300nm以下に細径化できること、このようにして得られた平均繊維径が300nm以下のナノファイバーにより形成された不織布は、優れた耐薬品性や耐熱性等を有するとともに、高い気孔率及び単位面積当たりの繊維表面積が大きいことを見出し、本発明を完成した。すなわち、前記の発明が解決しようとする課題は、以下に示す構成により解決される。
本発明の第一の態様は、融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂であるPTFE、PFA若しくはFEP又はこれらの混合物を主体とする樹脂の繊維であって平均繊維径が300nm以下のナノファイバーから構成されるパーフルオロ樹脂製不織布である。
本発明のパーフルオロ樹脂製不織布を構成するナノファイバーの原料である樹脂は、PTFE、PFA若しくはFEP又はこれらの混合物を主体とする樹脂である。PTFE、PFA又はFEPをそれぞれ単独で用いてもよいし、これらから選ばれる2種以上の混合物を用いてもよい。PTFE、PFA及びFEPは、いずれも融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂である。
パーフルオロ樹脂を主体とするとは、通常パーフルオロ樹脂を50質量%以上含むが本発明の趣旨を損ねない範囲で他の樹脂を含んでもよいことを意味する。パーフルオロ樹脂のみからなる場合も、「パーフルオロ樹脂を主体とする」に含まれる。中でも、パーフルオロ樹脂を80質量%以上含むもの、パーフルオロ樹脂のみからなるものが耐薬品性や耐熱性等の優れた特性がより顕著になるので好ましい。
本発明のパーフルオロ樹脂製不織布は、平均繊維径が300nm以下の非常に細径のナノファイバーからなるので、繊維の単位面積当たりの表面積が大きく、フィルターとして用いた場合、微細粒子の高い捕捉率が得られる。又、この非常に細径のナノファイバーからなることにより、比表面積を5m2/g以上とすることができるので、この不織布を用いれば微細粒子の捕捉率が高くなる。ここで、比表面積とは不織布1g当たりの繊維の全表面積であり、後述のように、細孔分布測定器により測定し、透過法Kozeny−Carmanの式で求めた値を意味する。
本発明の第2の態様は、融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂であるPTFE、PFA若しくはFEP又はこれらの混合物を主体とする樹脂に水溶性ポリマーを配合したディスパージョン(パーフルオロ樹脂ディスパージョン)を、エレクトロスピニング法により紡糸して前記樹脂のナノファイバーを形成するとともに、前記ナノファイバーを、ノズルとターゲット基板の間において非接触で前記樹脂の融点以上に加熱し、静電気的に延伸して平均繊維径が300nm以下となるように細径化し、不織布化して得られるパーフルオロ樹脂製不織布である。
パーフルオロ樹脂ディスパージョンとは、融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂であるPTFEまたはPFAまたはFEPまたはこれらの混合物を主体とする樹脂の粒子を分散媒中に分散したものである。分散媒としては、通常、水等の水性媒体が用いられる。パーフルオロ樹脂ディスパージョンを構成するフッ素樹脂の粒子は、例えば、乳化重合により得ることができる。
本発明で使用されるパーフルオロ樹脂ディスパージョンは、水溶性ポリマーが配合されていることを特徴とする。水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキサイド(PEOX)を挙げることができる。水溶性ポリマーとしてポリエチレンオキサイドを用いる場合、パーフルオロ樹脂ディスパージョン中のポリエチレンオキサイドの配合量は、1mg/ml以上で、34mg/ml以下が好ましい。配合量が1mg/ml未満の場合は、水溶性ポリマーの含有による効果が充分発揮されずエレクトロスピニング法により繊維が形成されない場合がある。一方34mg/mlを越えるとフッ素樹脂ディスパージョンの粘度が高くなりすぎ、取り扱いにくくなる場合がある。
ディスパージョンの樹脂濃度(ディスパージョン中の、パーフルオロ樹脂を主体とする樹脂の固形分の割合)は、20〜60質量%の範囲が好ましい。濃度が60質量%を超えると分散性が低くなり凝集し不織布の製造が困難になる場合がある。又、繊維が太くなる等のバラツキが発生する傾向がある。一方、濃度が20質量%未満の場合は粒子の接触が粗くなり繊維が形成されにくくなる傾向がある。
エレクトロスピニング法とは、ノズルとそれに対向して基板(ターゲット基板)を有する装置を使用し、ノズルから紡糸液を噴出させるとともにノズルとターゲット基板間に直流高電圧を印加して紡糸液中の樹脂成分をナノファイバー化する方法である。印加される直流高電圧は通常5〜30kV程度である。ノズルから噴出された紡糸液は、直流高電圧の印加によりスプレー化される。スプレー化された紡糸液の溶剤等は電界場中で瞬間的に蒸発し、スプレー粒子は体積が減少するとともにクーロン力によりみずから反発、***、場合により延伸し、ナノファイバー状になる。形成されたナノファイバーはターゲット基板上に堆積する。
図1は、エレクトロスピニング法によりパーフルオロ樹脂ディスパージョンを紡糸する様子を模式的に示す模式断面図である。図に示すように、ノズルとターゲット基板間には直流高電圧が印加されており、パーフルオロ樹脂ディスパージョンは、ノズルからターゲット基板に向かって噴出され、ノズルとターゲット基板間でスプレー化してナノファイバー状になりターゲット基板上に堆積する。
本発明におけるエレクトロスピニング法では、更にノズルとターゲット基板間に非接触ヒータを配置し、パーフルオロ樹脂を加熱・溶融しながら静電的に延伸を加えることを特徴とする。樹脂を加熱・溶融しながら延伸を加えることにより、平均繊維径が300nm以下のナノファイバーの製造が可能になる。パーフルオロ樹脂は遠赤外線のみ吸収がある。そこで非接触ヒータとしては、無風の遠赤外線IRヒータを使用することが可能であり適している。図1の例では、ノズルとターゲット間に遠赤外線ヒータと水冷ジャケットからなる加熱手段が設けられており、ノズルから噴出されたパーフルオロ樹脂は当該遠赤外線ヒータからの遠赤外線により加熱されて溶融する。
エレクトロスピニングにより形成されるものの構造は、印加電圧、ノズルとターゲット基板間の距離、温度、樹脂の分子量、紡糸液の濃度等により影響される。パーフルオロ樹脂のみからなるディスパージョンにエレクトロスピニング法を適用しても、ファイバー化せず粒子状(パーティクル状)となる。またPEOX等の水溶性ポリマーを配合したパーフルオロ樹脂ディスパージョンを用いてファイバー化しても平均繊維径は1μm〜2μm程度が限界でありより細くすることは困難である。本発明者は、ノズルとターゲット基板間に非接触ヒータを更に配置してパーフルオロ樹脂を溶融し、延伸を更に加えることにより、より細い300nm以下の平均繊維径のナノファイバーが製造できることを見出し、本発明を完成したのである。
前記のようにエレクトロスピニング法により形成される構造は印加電圧に影響される。本発明の場合、印加電圧は5〜30Vの範囲が好ましい。印加電圧が30Vを超えると繊維が太くなる傾向やパーティクル状となる傾向がある。一方、印加電圧が5V未満の場合も同様に繊維が太くなる傾向やパーティクル状となる傾向がある。
本発明の第3の態様は、融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂であるPTFE、PFA若しくはFEP又はこれらの混合物を主体とする樹脂に水溶性ポリマーを配合してなるディスパージョンを、エレクトロスピニング法により紡糸して前記樹脂のナノファイバーを形成するナノファイバー化工程、形成されたナノファイバーをノズルとターゲット基板の間において、非接触で前記樹脂の融点以上に加熱しながら静電気的に延伸する工程、及び前記延伸されたナノファイバーをターゲット基板上又はその近傍で不織布化する不織布化工程を有するパーフルオロ樹脂製不織布の製造方法である。
前記の第1の態様のパーフルオロ樹脂製不織布及び第2の態様のパーフルオロ樹脂製不織布は、この第3の態様のパーフルオロ樹脂製不織布の製造方法により製造することができる。
このようにして製造されたパーフルオロ樹脂製不織布は、優れた耐薬品性や耐熱性等を有するとともに、高い気孔率を有し、単位面積当たりの繊維表面積が大きい。従って、フィルターとして用いたとき、液体中の微細な粒子を高い処理効率(処理流量)で濾過することができ、微細粒子を高い捕捉率で捕捉するフィルターとなる。従って、このフィルターを使用することにより、液体中の微細な粒子を高い処理効率で濾過することができ、微細粒子の高い捕捉率を達成できるフィルターエレメントや濾過装置を製造することができる。
そこで、本発明はその第4の態様として、前記第1の態様及び第2の態様のパーフルオロ樹脂製不織布を使用するフィルターエレメントを提供する。又、その第5の態様として、前記第1の態様及び第2の態様のパーフルオロ樹脂製不織布を使用する濾過器を提供する。
本発明のパーフルオロ樹脂製不織布は、前記の優れた性質を有するので、人工血管等の人工補綴物として使用したときは、細胞が入りやすいとの性質が得られる。そこで、人工補綴物の構成材料として好ましく用いられる。又、気孔率及び繊維表面積が大きいので化学活性物質の担持能力が大きく、化学リアクター膜としても好ましく用いられる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1
(PTFEディスパージョンの作製)
PTFEディスパージョンAD911(旭硝子社製)とMFAラテックス(ソルベイソレクシス社製)、およびPFAディスパージョン920HP(三井・デュポンフロロケミカル社製)とを用いて、MFA/(PTFE+MFA+PFA)(フッ素樹脂固形分の体積比率)及びPFA/(PTFE+MFA+PFA)(フッ素樹脂固形分の体積比率)が各々2%であるパーフルオロ樹脂ディスパージョンを調整し、さらに、分子量200万のポリエチレンオキサイド(PEOX)を濃度3mg/mlとなるよう添加した。
(PTFEディスパージョンの作製)
PTFEディスパージョンAD911(旭硝子社製)とMFAラテックス(ソルベイソレクシス社製)、およびPFAディスパージョン920HP(三井・デュポンフロロケミカル社製)とを用いて、MFA/(PTFE+MFA+PFA)(フッ素樹脂固形分の体積比率)及びPFA/(PTFE+MFA+PFA)(フッ素樹脂固形分の体積比率)が各々2%であるパーフルオロ樹脂ディスパージョンを調整し、さらに、分子量200万のポリエチレンオキサイド(PEOX)を濃度3mg/mlとなるよう添加した。
(エレクトロスピニングの条件)
得られたPTFEディスパージョンをシリンジポンプにセットした。陽極のシリンジニードル(ノズル)の内径は0.8mm、陰極収集板(ターゲット基板)を100mm離れた位置に置き、周囲を水冷ジャケット製のボックスでカバーした内径50mm、長さ40mmのアルミナセラミックス製IRヒータを陰極収集板の直前に配置した。印可電圧を20kV、吐出量を0.5ml/hr、IRヒータ内面温度を450℃に設定して不織布を製造した。得られたパーフルオロ樹脂(PTFE)製不織布の平均繊維径は245nmで、比表面積は7.5m2/gあった。
得られたPTFEディスパージョンをシリンジポンプにセットした。陽極のシリンジニードル(ノズル)の内径は0.8mm、陰極収集板(ターゲット基板)を100mm離れた位置に置き、周囲を水冷ジャケット製のボックスでカバーした内径50mm、長さ40mmのアルミナセラミックス製IRヒータを陰極収集板の直前に配置した。印可電圧を20kV、吐出量を0.5ml/hr、IRヒータ内面温度を450℃に設定して不織布を製造した。得られたパーフルオロ樹脂(PTFE)製不織布の平均繊維径は245nmで、比表面積は7.5m2/gあった。
なお、平均繊維径及び比表面積(不織布1g当たりの全繊維表面積)は、細孔分布測定器(パームポロメータ CFP−1500A:Porous Materials,Inc製)により測定し、透過法Kozeny−Carmanの式で求めた値である。以下の実施例2、比較例1、2においても同様である。
実施例2
ニードル径を0.5mm、吐出量を0.5ml/hr、印可電圧を10kVにした以外は実施例1と同様にして不織布を製造した。得られた不織布の平均繊維径は150nm、比表面積は12.3m2/gであった。
ニードル径を0.5mm、吐出量を0.5ml/hr、印可電圧を10kVにした以外は実施例1と同様にして不織布を製造した。得られた不織布の平均繊維径は150nm、比表面積は12.3m2/gであった。
比較例1
アルミナセラミックス製IRヒータを配置しない以外は実施例1と同様にして不織布を製造した。得られた不織布の平均繊維径は1490nmで、比表面積は1.2m2/gであった。
アルミナセラミックス製IRヒータを配置しない以外は実施例1と同様にして不織布を製造した。得られた不織布の平均繊維径は1490nmで、比表面積は1.2m2/gであった。
比較例2
アルミナセラミックス製IRヒータを配置しない以外は実施例2と同様にして不織布を製造した。得られた不織布の平均繊維径は1130nm、比表面積は1.6m2/gであった。
アルミナセラミックス製IRヒータを配置しない以外は実施例2と同様にして不織布を製造した。得られた不織布の平均繊維径は1130nm、比表面積は1.6m2/gであった。
以上の結果より、従来のエレクトロスピニング法に樹脂を溶融温度に加熱するヒータを加えて繊維を形成すると繊維径が非常に小さくなり、高い比表面積が得られることが分かった。
Claims (6)
- 融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂であるポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体若しくはテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体又はこれらの混合物を主体とする樹脂の繊維であって平均繊維径が300nm以下のナノファイバーから構成されるパーフルオロ樹脂製不織布。
- 融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂であるポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体若しくはテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体又はこれらの混合物を主体とする樹脂に水溶性ポリマーを配合したディスパージョンを、エレクトロスピニング法により紡糸して前記樹脂のナノファイバーを形成するとともに、前記ナノファイバーを、ノズルとターゲット基板の間において非接触で前記樹脂の融点以上に加熱し、静電気的に延伸して平均繊維径が300nm以下となるように細径化し、不織布化して得られるパーフルオロ樹脂製不織布。
- 前記水溶性ポリマーが、ポリエチレンオキサイドである請求項2に記載のパーフルオロ樹脂製不織布。
- 融点が220℃以上のパーフルオロ樹脂であるポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体若しくはテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体又はこれらの混合物を主体とする樹脂に水溶性ポリマーを配合してなるディスパージョンを、エレクトロスピニング法により紡糸して前記樹脂のナノファイバーを形成するナノファイバー化工程、形成されたナノファイバーをノズルとターゲット基板の間において、非接触で前記樹脂の融点以上に加熱しながら静電気的に延伸する工程、及び前記延伸されたナノファイバーをターゲット基板上又はその近傍で不織布化する不織布化工程を有するパーフルオロ樹脂製不織布の製造方法。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のパーフルオロ樹脂製不織布を使用するフィルターエレメント。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のパーフルオロ樹脂製不織布を使用する濾過器。
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