JP2015008088A - 固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体、アノード支持型固体酸化物形燃料電池、及び燃料電池システム - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体、アノード支持型固体酸化物形燃料電池、及び燃料電池システム Download PDF

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Abstract

【課題】固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体における炭素析出を抑制する技術を提供する。【解決手段】本発明のある態様の固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体21は、Ni金属及び酸化Niの少なくとも一方を含み、多孔質である基部を有するとともに、基部における、少なくともアノード触媒層23に供給される燃料と接する面上に、Ti、Zr、Nb、Hf、Ta及びCeからなる群から選択される金属単独の酸化物1種以上で構成される粒子又は当該粒子の凝集体を有する。酸化物は、その含有量がアノード支持体21の全質量に対して0.5質量%以上である。【選択図】図2

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体、アノード支持型固体酸化物形燃料電池、及び燃料電池システムに関する。
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、固体高分子形燃料電池(PEFC)に比べて一般に電力変換効率が高い。また、燃料として水素だけでなく、炭化水素やアルコール、ジメチルエーテル(DME)といった原燃料を改質して得られる改質ガスを利用することができる。さらに、原燃料の改質の際に副生する、一酸化炭素や未改質のメタン等も発電用の燃料として用いることができる。一般に、SOFCで発生する熱量や、発電に利用しない余剰ガスをセル上部で燃焼させて得られる熱などを利用して、改質のための熱を供給することで、1つの熱的閉鎖系において熱バランスを取れることが、SOFCが高効率であることの一因となっている。
SOFCの動作温度は、従来700℃以上の高温である場合が多かった。これに対し、近年開発が進む低温(700℃未満)作動の電解質材料や空気極材料を用いることで、より低温での動作が可能となる。これにより、耐熱性の低い安価な材料を採用できるなど、SOFCの実用性を高めることができる。
一方で、セルの動作温度が低下すれば、セルと熱的にバランスする改質器の温度も低下する。その結果、改質反応における熱平衡により、メタン割合の高い燃料ガスがセルに供給されることになる。また、熱量を調整した天然ガスやLPGなど、炭素数が2以上の炭化水素(C2以上炭化水素)を含む原燃料を用いる場合、改質器でC2以上炭化水素がC1化学種(炭素数1の炭化水素)に転化されずにセルに供給される、いわゆるC2以上炭化水素のスリップ発生の懸念が高まる。さらに、通常の動作温度(700℃以上)で動作するSOFCであっても、起動時や停止時には改質器が十分に加温されない場合がある。このため、燃料ガス中でのメタン濃度の増大に加え、C2以上炭化水素が混入した改質ガスがセルに供給される状況が発生し得る。
ところで、アノード(燃料極)支持型のSOFCではアノード支持体として、高い導電性を有するニッケル(Ni)を含むサーメットが好ましく使用される。改質器から供給される改質ガスに高濃度のメタンやC2以上炭化水素が含まれる場合、メタンやC2以上炭化水素の大部分は、アノード支持体に含まれるNiの触媒作用により共存水蒸気と改質反応が進み、水素リッチなガスとなって発電用燃料として用いられる。しかしながら、一部のメタンやC2以上炭化水素は、アノード支持体において炭素として析出する場合がある。
特に、水蒸気分圧が低く炭化水素分圧の高い低S/C(スチーム/カーボン比)の条件下では、アノード支持体での炭素析出が起こりやすい。この炭素析出の反応としては、メタンの直接熱分解反応(下記式(1))や、水蒸気改質反応(下記式(2))又は水性移行反応(水性ガスシフト反応)(下記式(3))によって生成したCOの不均化反応(下記式(4))などが知られている。
Figure 2015008088
アノード支持体で炭素析出が起こると、アノード支持体のガス供給孔が閉塞してアノード活性層への燃料ガスの供給が途絶え、セルが再酸化するリスクが生じる。また、アノード支持体で析出した炭素は、アノード支持体を膨張させる。その結果、アノード支持体の表面に設けられる電極や電解質層を破損させるおそれがある。また、炭素析出に伴うアノード支持体の膨張と、電解質層のクラック発生とは不可逆的な現象である。そのため、アノード支持体の膨張による電解質層のクラック発生が重篤になったものは、セルとして使用不能に陥ることがあった。したがって、アノード支持体での炭素析出を抑えることは極めて重要であった。そして、この炭素析出の抑制は、導電率や熱膨張係数など、既存の材料系の物性を大幅に変更することなく実現することが求められてきた(非特許文献1,2参照)。
上述した炭素析出を抑える手段に関しては、例えば、Ni/YSZサーメットに、プロトン伝導性を有する複合酸化物SrZr0.950.053−0δ(SZY)を添加した燃料極を用い、SZYの添加量を変化させて劣化耐性、電気化学特性、動作安定性等の点で添加量の最適化を図る研究例が知られている(非特許文献3参照)。
J.H. Koh, Y.S. Yoo, J.W. Park, H.C. Lim, Solid State Ionics, 149(2002) 157 -166 C. M. Finnery, N.J. Coe, R.H. Cunninghum, R.M. Ormerod, Catal.Today, 46(1998)137 -145 H. Yokokawa, T. Horita, N. Sasaki, K. Yamaji, M.E. Brito, Y.-P. Xiong, H. Kishimoto, Solid State Ionics, 174 (2004) 205 -221
固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体における炭素析出の抑制については、抑制効果の向上という観点からは未だ検討の余地があった。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体における炭素析出を抑制する技術の提供にある。
本発明のある態様は、固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体である。当該アノード支持体は、Ni金属及び酸化Niの少なくとも一方を含み、多孔質である基部を有するとともに、基部における、少なくともアノード触媒層に供給される燃料と接する面上に、Ti、Zr、Nb、Hf、Ta及びCeからなる群から選択される金属単独の酸化物1種以上で構成される粒子又は当該粒子の凝集体を有し、酸化物は、その含有量がアノード支持体の全質量に対して0.5質量%以上である。
本発明の他の態様は、アノード支持型固体酸化物形燃料電池である。当該アノード支持型固体酸化物形燃料電池は、上述した態様のアノード支持体と、アノード支持体の表面に設けられるアノード触媒層と、アノード触媒層のアノード支持体とは反対側の面に設けられる電解質層と、電解質層のアノード触媒層とは反対側の面に設けられるカソード触媒層と、を備える。
本発明のさらに他の態様は、燃料電池システムである。当該燃料電池システムは、上述した態様のアノード支持型固体酸化物形燃料電池と、アノード支持型固体酸化物形燃料電池から発生する熱を用いて原燃料を改質し、アノード支持型固体酸化物形燃料電池の発電に用いられる燃料を生成する改質器と、を備える。
本発明によれば、固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体における炭素析出を抑制する技術を提供することができる。
図1(A)は、実施の形態に係る燃料電池システムの主要部の概略構造を示す斜視図である。図1(B)は、実施の形態に係る燃料電池システムの主要部の構造を模式的に示す鉛直断面図である。 図2(A)は、燃料電池スタックの構造を模式的に示す水平断面図である。図2(B)は、アノード支持体の一部を拡大して示す模式図である。 図3(A)は、変形例1に係る燃料電池システムが備える燃料電池スタックの部分構造を模式的に示す水平断面図である。図3(B)は、変形例2に係る燃料電池の構造を模式的に示す水平断面図である。 膨張測定装置の模式図である。 各実施例及び各比較例の支持体サンプルにおける相対炭素析出量を示すグラフである。 各実施例及び各比較例の支持体サンプルにおける相対線形膨張率を示すグラフである。 燃料電池の相対電圧と経過時間との関係を示すグラフである。 燃料電池に発生したクラックの数と経過時間との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
まず、実施の形態を説明する前に、本発明者らが見出した知見を説明する。本発明者らは、従来用いられてきた一般的な支持体組成物であるNi/YSZ(Yttria-Stabilized Zilconia)やNi/GDC(Gadolinia Doped Ceria)に対して、第3成分として各種の酸化物を添加したアノード支持体サンプルを用いて、低S/C改質ガスを流通させて炭素析出試験を実施した。その結果、特定の酸化物は添加量が少量であっても著しく炭素析出を抑制することを見出し、本実施の形態に係るアノード支持体、燃料電池及び燃料電池システムに想到した。以下に、本実施の形態に係るアノード支持体、燃料電池及び燃料電池システムについて詳細に説明する。
図1(A)は、実施の形態に係る燃料電池システムの主要部の概略構造を示す斜視図である。図1(B)は、実施の形態に係る燃料電池システムの主要部の構造を模式的に示す鉛直断面図である。図1(A)では、モジュールケース2の内部を透視した状態を示している。図1(B)は模式図であるため、各部の配置や設置数等は必ずしも図1(A)と一致しない。燃料電池システム100は、ホットモジュール1を備える。ホットモジュール1は、モジュールケース2と、モジュールケース2内に収容される燃料電池スタック10、水気化器50及び改質器6を有する。
モジュールケース2は、耐熱性金属で形成された略直方体形状の外枠体と、外枠体の内面に内張りされた断熱材とで構成される。モジュールケース2には、供給管3、供給管4及び供給管52が設けられる。供給管3は、ケース外部からケース内に原燃料と、ATR(自己熱改質反応)用空気を供給する管である。供給管4は、ケース外部からケース内にカソード用空気(酸素含有ガス)を供給する管である。供給管52は、ケース外部からケース内に水蒸気改質反応に用いられる改質用水を供給する管である。また、モジュールケース2には、排気口5が設けられる。原燃料としては、都市ガス、LPG、メタノール、ジメチルエーテル(DME)、灯油等が用いられる。
水気化器50及び改質器6は、モジュールケース2内の上部であって、燃料電池スタック10の上方に配置される。水気化器50には供給管52が接続され、改質器6には供給管3が接続される。水気化器50は、供給管52から供給される改質用水を気化させる。気化された改質用水(水蒸気)は、改質器6に供給される。改質器6は、耐熱性金属で形成されたケースと、ケース内に収容され原燃料の改質に用いられる改質触媒とを有する。改質器6は、供給管3から供給されるATR用空気を用いる自己熱改質反応や、水気化器50から供給される水蒸気を用いる水蒸気改質反応により、供給管3から供給される原燃料を水素リッチな燃料ガス(改質ガス)に改質する。
改質器6の改質ガス出口部6aには、改質ガス供給管7の一端が接続される。改質ガス供給管7の他端は、マニホルド8に接続される。マニホルド8は、後述するアノード触媒層23に供給される燃料の供給路である。マニホルド8は、燃料電池スタック10の下方に配置され、改質器6から供給される改質ガスを、燃料電池スタック10に含まれる複数の燃料電池20に分配する。燃料電池スタック10は、モジュールケース2内の下部であって、改質器6及び水気化器50の下方に配置され、マニホルド8上に固定される。
マニホルド8は、開口を有する箱状本体と、箱状本体の開口を塞ぐ上蓋とで構成される。上蓋は、例えば無機ガラス組成物等によって箱状本体に固定される。上蓋は、燃料電池スタック10の保持部材として機能する。上蓋には、各燃料電池20のアノード支持体21を固定するための複数の開孔が設けられており、各開孔に各アノード支持体21の下端部が挿入され、接着剤等の固定材により固定される。固定材として用いられる接着剤としては、シリカ−アルミナ系の無機接着剤が例示される。この場合、各アノード支持体21の下端部が、無機接着剤を介して上蓋の各開孔に保持された状態で、無機接着剤を焼成により固化することで、アノード支持体21を上蓋に固定することができる。また、アノード支持体21と上蓋とを固定する接着剤層がシール材で被覆される。これにより、アノード支持体21と上蓋の接合部がガスタイト(気密)にシールされる。
燃料電池スタック10は、複数の燃料電池20(セル)の組立体である。燃料電池20として、例えば円筒平板型の燃料電池が用いられる場合、複数(図1では簡略化のため5個を表示)の縦長の燃料電池20が水平方向に一列に配列される。また、隣接する燃料電池20の側面間には、集電部材30が介在する。そして、この一列の燃料電池20が平面上に複数配列されることで、多数の燃料電池20がマトリクス状に配列される(図2参照)。各列の最外側の集電部材30は、導電部材40に電気的に接続される。
燃料電池20はそれぞれの内部に、燃料電池20の下端から上端にかけて延在する複数のガス流路22が設けられる。各ガス流路22は、その下端部がマニホルド8と連通する。ガス流路22の上端部は、改質器6及び水気化器50と燃料電池スタック10とで挟まれる空間に開放される。当該空間は、ガス流路22の上端部から放出される燃料ガスの燃焼部を構成する。マニホルド8からガス流路22に流れ込む燃料ガスは、その大部分が燃料電池20に供給される。燃料電池20に供給されない余剰の燃料ガスは、ガス流路22の上端部から燃焼部に供給される。
続いて、燃料電池スタック10の構造についてより詳細に説明する。図2(A)は、燃料電池スタックの構造を模式的に示す水平断面図である。図2(A)に示すように、本実施の形態では、円筒平板型の燃料電池20を例示する。燃料電池20は、アノード支持型固体酸化物形燃料電池であり、アノード支持体21と、ガス流路22と、アノード触媒層23(燃料極層)と、電解質層24(固体酸化物電解質層)と、カソード触媒層25(空気極層)と、インターコネクタ26とを備える。
アノード支持体21は、Ni金属及び酸化Niの少なくとも一方を含む多孔質体である。アノード支持体21は、扁平な長円形状の水平断面形状を有するとともに、鉛直方向(縦方向)に延びる(図1(B)参照)板状片である。アノード支持体21は、マニホルド8側に位置する下面と、改質器6側に位置する上面と、互いに対向する2つの平坦な側面(平坦側面)と、互いに対向する2つの半円筒面形状の側面(2つの平坦側面が並ぶ方向に対して直交する方向に並ぶ2つの湾曲側面)とを有する。
アノード支持体21は、その中心部に複数のガス流路22を有する。ガス流路22は、アノード支持体21の長手方向に沿って設けられる。ガス流路22の一端(下端)はアノード支持体21の下面に位置し、ガス流路22の他端(上端)はアノード支持体21の上面に位置する。本実施の形態では、各アノード支持体21に4本のガス流路22が設けられている。アノード支持体21は、マニホルド8に対して固定され、ガス流路22の一端がマニホルド8に連通される。改質器6で生成される改質ガスは、マニホルド8により各燃料電池20のガス流路22に分配され、ガス流路22の一端から他端側へ流れる。
インターコネクタ26は、アノード支持体21の一方の平坦側面上(図2(A)中の第1列の燃料電池スタック10−1において左側の平坦側面上)に設けられる。インターコネクタ26は、各燃料電池20のアノードから集電するための導電部材である。インターコネクタ26は、例えば導電性セラミックで構成することができる。
アノード触媒層23は、アノード支持体21の表面に設けられる。本実施の形態では、アノード触媒層23は、少なくともアノード支持体21の他方の平坦側面上(図2(A)中の第1列の燃料電池スタック10−1において右側の平坦側面上)に積層される。
電解質層24は、アノード触媒層23のアノード支持体21とは反対側の面に設けられる。本実施の形態では、電解質層24は、アノード触媒層23の表面全体を被覆している。カソード触媒層25は、電解質層24のアノード触媒層23とは反対側の面に設けられる。本実施の形態では、カソード触媒層25は、電解質層24の主表面上に積層される。したがって、アノード支持体21を挟んでインターコネクタ26とは反対側に配置される。すなわち、燃料電池20は、ガス流路22を有するアノード支持体21の一方の面に、アノード触媒層23、電解質層24及びカソード触媒層25がこの順に積層され、アノード支持体21の他方の面にインターコネクタ26が形成された構造を有する。アノード支持体21、アノード触媒層23、電解質層24及びカソード触媒層25の構成材料については後に詳細に説明する。
複数の燃料電池20は、隣り合う2つの燃料電池20における一方のカソード触媒層25と、他方のインターコネクタ26とが対向するようにして一列に並べられ、集電部材30を介して互いに接合される。すなわち、図2(A)に示すように、各燃料電池20の左側に位置するインターコネクタ26を、左隣の燃料電池20の右側に位置するカソード触媒層25と、集電部材30を介して接合する。これにより、一列に並ぶ複数の燃料電池20が直列に接続され、燃料電池スタック10が構成される。本実施の形態では、燃料電池スタック10は、第1列の燃料電池スタック10−1と、第2列の燃料電池スタック10−2とを含む。集電部材30は、弾性を有する金属又は合金から形成される所定形状の部材や、金属繊維又は合金繊維からなるフェルトに所定の表面処理を施した部材から構成することができる。
上述した構成を備えるホットモジュール1において、水素製造用の原燃料と、必要に応じてATR用空気が供給管3から改質器6に、改質用水が供給管52から水気化器50にそれぞれ供給される。改質器6は、水蒸気改質反応や自己熱改質反応により原燃料を改質して、燃料電池20の発電に用いられる水素リッチな改質ガスを生成する。生成された改質ガスは、改質ガス供給管7を介してマニホルド8に供給される。マニホルド8に供給された改質ガスは、各燃料電池20に分配され、各燃料電池20のガス流路22内を上昇する。この過程で、改質ガス中の水素は、アノード支持体21内を透過してアノード触媒層23に到達する。一方、カソード用空気が供給管4からモジュールケース2内に導入される。モジュールケース2内に導入されたカソード用空気は、各燃料電池20に供給され、カソード空気中の酸素がカソード触媒層25に到達する。
そして、各燃料電池20の外周側に位置するカソード触媒層25において、下記式(5)で表される電極反応が生起される。カソード触媒層25で生成されたO2−は、電解質層24を透過してアノード触媒層23に到達する。また、燃料電池20の中心側に位置するアノード触媒層23において、下記式(6)で表される電極反応が生起される。これにより、燃料電池20において発電が行われる。
1/2O+2e→O2− (5)
2−+H→HO+2e (6)
ガス流路22を流通する改質ガスのうち、電極反応に使用されなかった余剰の改質ガスは、アノード支持体21の上端からモジュールケース2内に放出される。この改質ガスは、改質器6及び水気化器50と燃料電池スタック10との間に位置する燃焼部において燃焼される。モジュールケース2内には所定の着火手段(図示せず)が設けられており、改質ガスが燃焼部に放出され始めると着火手段が作動して、改質ガスの燃焼が開始される。また、モジュールケース2内に導入されたカソード用空気のうち、電極反応に使用されなかった余剰の空気が改質ガスの燃焼に利用される。モジュールケース2内は、各燃料電池20の発電により発生する熱、及び余剰改質ガスの燃焼により発生する熱により、例えば600℃〜1000℃程度の高温になる。水気化器50及び改質器6は、燃料電池20から発生する熱及び改質ガスの燃焼により発生する熱を用いて、改質用水の気化及び改質反応を実施する。モジュールケース2内での改質ガスの燃焼によって生成された排気ガスは、排気口5からモジュールケース2外に排出される。
続いて、燃料電池20を構成する各部の組成について詳細に説明する。図2(B)は、アノード支持体の一部を拡大して示す模式図である。アノード支持体21は、燃料をガス流路22からアノード触媒層23まで透過させるためにガス透過性を有することが要求される。また、アノード支持体21は、アノード触媒層23で生成される電子をインターコネクタ26に伝達させるために導電性を有することが要求される。
そこで、本実施の形態に係るアノード支持体21は、多孔質である基部210を有する。基部210を多孔質とすることで、ガス流路22からアノード触媒層23へ改質ガスを透過させることができる。また、基部210は、Ni金属及び酸化Niの少なくとも一方を含む。基部210に含まれるNiは、アノード支持体21や燃料電池20の製造時、燃料電池システム100の駆動前等は酸化Niの状態をとり、燃料電池システム100の駆動中は還元されてNi金属の状態をとり得る。図2(B)では、Ni金属及び酸化Niを区別せずに、ニッケル部212として図示している。基部210がニッケル部212を有することで、アノード支持体21に導電性を付与することができる。
基部210は、Ni金属及び酸化Niの少なくとも一方(すなわちニッケル部212)と、Y、ジルコニア系複合酸化物及びセリア系複合酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物214との複合体であることが好ましい。すなわち、基部210は、Ni金属及び/又は酸化Niと多孔質の導電性セラミックとで構成されるサーメットであることが好ましい。ジルコニア系複合酸化物としては、YSZ、ScSZ(Scandia Stabilized Zirconia)等が例示される。セリア系複合酸化物としては、SDC(Samaria-Doped Ceria)、YDC(Yttria-Doped Ceria)、LDC(La2O3-doped Ceria)、GDC(Gadolinia-doped Ceria)等が例示される。
アノード支持体21は、好ましくは20%以上、より好ましくは25%〜50%の開気孔率を有する。また、アノード支持体21は、好ましくは100S/cm以上、より好ましくは200S/cm以上の導電率を有する。これらの要件を満たすために、基部210は、アノード支持体21の全質量(例えば、基部210と後述する酸化物粒子部220の合計質量)に対して酸化Ni換算で、好ましくは30質量%以上、より好ましくは30質量%〜90質量%、さらに好ましくは40質量%〜80質量%のNi原子を含有する。基部210におけるNi原子の含有量を、酸化Ni換算で30質量%以上とすることで、アノード支持体21に所望の導電率をより確実に付与することができる。また、基部210におけるNi原子の含有量を、酸化Ni換算で90質量%以下とすることで、アノード支持体21に所望の開気孔率をより確実に付与することができる。アノード支持体21の寸法は、高さ(上端部から下端部までの長さ)が例えば7cm〜20cmである。
基部210の製造方法としては、酸化ニッケルと酸化物214とを含む複合体組成物を押し出し成形等の手段により支持体形状に加工し、適宜焼成処理を施すことで、所定の寸法及び気孔率を有するサーメットを形成する方法が、好ましい例として挙げられる。サーメットは、最終的に全てのセル構成層が形成された後に、燃料電池として使用される前に還元処理が施される。この還元処理は通常、水素ガス、あるいは窒素で希釈した水素ガス等の還元ガス気流下で、燃料電池20又は燃料電池スタック10を所定温度まで加熱することで実施される。この還元処理により、基部210に含まれる酸化ニッケルのほぼ全てがNi金属に還元される。
また、アノード支持体21は、基部210における、少なくともアノード触媒層23に供給される燃料と接する面上に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)及びセリウム(Ce)からなる群から選択される金属単独の酸化物1種以上で構成される粒子又は当該粒子の凝集体を有する。これらの金属単独の酸化物は、少なくとも、基部210の燃料と接する面(基部210の外観上の表面だけでなく、内部の細孔の表面も含まれる)上に、基部210を構成するニッケル部212及び酸化物214とは区別される粒子(一次粒子)として存在するか、あるいはこの粒子が凝集してなる凝集体(二次粒子)として存在する。
すなわち、これらの金属単独の酸化物は、基部210上で単独の化合物ドメインとして存在する。図2(B)では、粒子及び凝集体を区別せずに、酸化物粒子部220として図示している。酸化物粒子部220が凝集体で構成される場合、酸化物粒子部220は層状(膜状)であってもよい。酸化物粒子部220の寸法は、その最大幅が粒子及び粒子凝集体それぞれの場合で例えば0.5μm〜20μmである。また、凝集体が層状である場合、その層厚は例えば0.1μm〜10μmである。
酸化物粒子部220を構成する酸化物は、Ti、Zr、Nb、Hf、Ta及びCeからなる群から選択される金属が単結晶中に1種類のみ含まれる単独酸化物である。したがって、単結晶中に複数種の金属が含まれる、酸化物214のジルコニア系複合酸化物やセリア系複合酸化物とは区別される。例えば、酸化物粒子部220は、TiO、ZrO、Nb、HfO、Ta及びCeOからなる群から選択される少なくとも1つの単独酸化物で構成される。なお、酸化物粒子部220は、上記酸化物群の範囲内で単独酸化物が複数種(例えば、TiOとZrOなど)混合されてなる混合物であってもよい。
従来、SOFCの動作温度は700℃以上の高温である場合が多かった。これに対し近年、電解質材料や空気極材料の改良が進み、600℃程度、あるいはそれを下回る低温で動作可能なSOFCが用いられるようになりつつある。しかしながら、燃料電池20の動作温度が低下すると、燃料電池20の発熱を利用して改質器6での改質反応を行うホットモジュール1では改質器6の温度も低下することになる。この場合、熱平衡によりメタン割合の高い改質ガスが生成されてしまうおそれがある。
また、C2以上炭化水素を含む原燃料が用いられる場合、改質器6でC2以上炭化水素がC1化学種に転化されずに燃料電池20に供給されるおそれがある(C2以上炭化水素のスリップ発生)。さらに、燃料電池システム100は、ユーザの指示、省エネルギー効果の向上目的、機器のトラブル等の様々な事由により、停止させられることがある。システムの停止工程、及びその後の再起動工程では、従来の高温で動作するSOFCであっても、改質器6が十分に加温されない場合がある。この場合も、上述したメタン濃度増大や、C2以上炭化水素が混入した改質ガスが燃料電池20に供給される状況が生じ得る。
とりわけ、システムの停止工程では、燃料電池20の発電を停止させた後、燃料電池20へ改質ガスを供給し続けながら燃料電池20を徐々に冷却することがある。この改質ガスの供給は、アノード支持体21及びアノード触媒層23へ空気が流入し、アノード支持体21が再酸化することを防止する目的で行われる。この場合、燃料電池20の発電の停止後も、数時間にわたって燃料電池20へ改質ガスが供給されることになる。一方、燃料電池20の温度低下に伴って改質器6の温度も低下していく。そのため、改質器6から燃料電池20へ、高濃度のメタンや未改質のC2以上炭化水素化合物が供給されるおそれが高まる。
高濃度のメタンや、C2以上炭化水素化合物が燃料電池20へ供給された場合、Niサーメットからなる(すなわち基部210のみからなる)従来のアノード支持体を有する燃料電池システムでは、様々な形態の炭素析出が各所に生じるおそれがあった。このような炭素析出は、例えばマニホルド、アノード支持体の燃料ガス流れ方向上流部、アノード支持体の細孔内等、あるいはホットモジュールにおける外部の集電構造等により電位が変化する箇所などに生じやすい。
例えば、C2以上炭化水素を多く含み、低S/Cの改質ガスが燃料電池に供給されると、繊維状の炭素が成長することが多い。この繊維状の炭素は、電気的短絡やアノード支持体の細孔の詰まり(ガス閉塞)などの原因となり、燃料電池が不可逆的に使用不能となるおそれがあった。また、高濃度のメタンを多く含み、低S/Cの改質ガスが供給されると、固体状の炭素が析出する。そして、アノード支持体21の細孔内等に粒状の炭素が析出し、これがアノード支持体の寸法膨張をもたらす。アノード支持体が膨張すると、応力変形やクラックが発生するおそれがあった。また、アノード支持体とマニホルドとの接合部を被覆するシール材に応力変形が生じ、クラックや剥離に至るおそれがあった。特に、原燃料が、炭素数2以上の炭化水素化合物を原燃料の総モル量に対して5モル%以上含有する場合には、上述した炭素析出が生じやすい傾向にある。
これに対し、本実施の形態に係るアノード支持体21は、基部210の改質ガスと接する表面に酸化物粒子部220を有する。この酸化物粒子部220は、アノード支持体21における上述した炭素析出を抑制することができる。
酸化物粒子部220(粒子又は凝集体を構成する酸化物)の含有量は、アノード支持体21の全質量(例えば、基部210と後述する酸化物粒子部220の合計質量)に対して0.5質量%以上であり、好ましくは1質量%以上である。酸化物粒子部220の含有量をアノード支持体21の全質量に対して0.5質量%以上とすることで、アノード支持体21における炭素析出をより確実に抑制することができる。
また、アノード支持体21における単独酸化物の粒子又は凝集体の重量割合には、燃料ガスの流れ方向に沿って傾斜をつけることができる。例えば、アノード支持体21は、燃料の流れ方向に沿って上流側の少なくとも一部の領域における粒子及び凝集体の合計重量割合が、下流側の少なくとも一部の領域における粒子及び凝集体の合計重量割合よりも大きい。合計重量割合とは、基部210及び酸化物粒子部220の総重量に対する酸化物粒子部220の合計重量である。また、上流側の領域は、例えばアノード支持体21の燃料ガス流れ方向上流側の端部を含む領域であり、下流側の領域は、例えばアノード支持体21の燃料ガス流れ方向下流側の端部を含む領域である。アノード支持体21における粒子及び凝集体の重量割合に傾斜をつける場合、燃料の流れ方向の上流側における酸化物粒子部220の総量が、燃料の流れ方向の下流側における酸化物粒子部220の総量よりも多いことが好ましい。アノード支持体21の上流側領域における酸化物粒子部220の添加率を下流側領域よりも高くすることで、より効率よくアノード支持体21の変形や膨張を抑制することができる。
酸化物粒子部220の形成方法としては、例えば以下の例を挙げることができる。すなわち、第1の形成方法として、基部210の製造工程において、ニッケル部212と酸化物214とを含む複合体組成物に、予め酸化物粒子部220を構成する単独酸化物(以下では適宜、「炭素析出抑制剤」という)を混合しておき、この複合体組成物を成形、焼成することで、基部210と酸化物粒子部220とを有するアノード支持体21を形成することができる。あるいは、第2の形成方法として、ニッケル部212と酸化物214とを含む複合体組成物を成形、焼成して基部210を形成した後、得られた基部210に炭素析出抑制剤を付着させることで、酸化物粒子部220を形成することができる。第2の方法によれば、アノード支持体21における上述した酸化物粒子部220の濃度分布制御を、より簡単に実現することができる。いずれの方法においても、酸化物粒子部220は、基部210の構成材料と、固溶あるいは固相反応によって異なる物質に変化することなく存在する。また、サーメットである基部210の表面に、基部210とは異なる単独の粒子あるいは凝集体として存在する状態を形成することができる。
第2の形成方法では、気相プロセスとしては化学気相析出法(CVD法)等を用いることができる。また、液相プロセスとしては共沈法、均一沈殿法、加水分解法、クエン酸塩法に代表される沈殿法のほか、水熱合成法、マイクロエマルジョン法、溶媒蒸発法等を用いることができる。また、固相プロセスとしては固体熱分解法、固相反応法、水熱結晶化法等を用いることができる。例えば、第2の形成方法では、炭素析出抑制剤として単独酸化物の微粒子の懸濁液を用意し、この懸濁液を基部210に噴霧あるいは懸濁液に基部210を含浸させた後、乾燥処理や焼成処理により基部210に炭素析出抑制剤を固定化する方法を用いることができる。あるいは、単独酸化物の可溶性塩、例えば単独酸化物がCeOである場合は硝酸セリウム等を水等の溶媒に溶解させ、この溶液を基部210に噴霧、あるいはこの溶液に基部210を含浸させてもよい。この場合、基部210に付着させた可溶性塩から酸化物粒子部220を形成するため、炭素析出抑制剤を付着させたアノード支持体21を加熱焼成する。この加熱焼成は、基部210を形成する際の仮焼成や本焼成、あるいはアノード触媒層23、電解質層24、カソード触媒層25等の形成時に行われる焼き付け工程と兼ねられてもよい。
炭素析出抑制剤の焼成温度は、用いられる炭素析出抑制剤の種類や基部210への付着量等に応じて異なるが、一般に300℃〜1600℃、好ましくは350℃〜1200℃、より好ましくは400℃〜1000℃である。焼成温度を300℃以上とすることで、基部210に対して炭素析出抑制剤をより確実に付着させることができ、また硝酸セリウム等の硝酸塩をより確実に脱硝させて、酸化物粒子部220の形成をより確実なものとすることができる。また、焼成温度を1600℃以下とすることで、炭素析出抑制剤の分解や凝集が起こることをより確実に回避することができる。焼成時間は、通常15分〜48時間、好ましくは1時間〜24時間である。焼成時間を15分以上とすることで、炭素析出抑制剤をより確実に焼成することができる。焼成時間を48時間以下とすることで、炭素析出抑制剤の凝集をより確実に回避することができ、また工業的な生産性の低下を抑制することができる。
アノード触媒層23は、Ni金属及び酸化Niの少なくとも一方と、ジルコニア系複合酸化物、セリア系複合酸化物及びLSGMからなる群から選択される少なくとも1つの複合酸化物とで構成される複合体であることが好ましい。具体的には、アノード触媒層23は、Ni/YSZ、Ni/ScSZ、Ni/SDC、Ni/YDC、Ni/LDC、Ni/GDC、Ni/LSGM(La−Sr−Ga−Mg複合酸化物)からなる群から選択される少なくとも1つのサーメットであることが好ましい。アノード触媒層23の層厚は、例えば0.1μm〜50μmである。
電解質層24は、電極間の電子伝導やイオン伝導の橋渡しをする電解質として機能するとともに、燃料ガス及び空気のリークを防止するためのガス遮断層としても機能する。電解質層24は、ジルコニア系複合酸化物、セリア系複合酸化物及びLSGMからなる群から選択される少なくとも1つの複合酸化物を含むことが好ましい。具体的には、電解質層24には、YSZ、ScSZ、SDC、YDC、LDC、GDC、LSGMからなる群から選択される固体電解質が好ましく用いられる。電解質層24の層厚は、例えば0.2μm〜200μmである。
カソード触媒層25は、いわゆるABO型のペロブスカイト型酸化物で構成される導電性セラミックを用いて形成することができる。カソード触媒層25は、ガス透過性を有することが求められる。そのため、カソード触媒層25の開気孔率は、好ましくは20%以上であり、より好ましくは30%〜50%である。したがって、カソード触媒層25は、LSM(La Sr Mn)、LSC(La Sr Co)、LSCF(La Sr Co Fe)等の複合酸化物を含むことが好ましい。カソード触媒層25の層厚は、例えば2μm〜200μmである。ただし、カソード触媒層25が集電部材30への電気的接続機能を有する場合、あるいはカソード触媒層25自体が集電機能を有する場合などは、この限りでない。上述したアノード触媒層23、電解質層24及び/又はカソード触媒層25の材料によって、600℃程度あるいはそれを下回る温度での燃料電池20の動作が実現され得る。
アノード触媒層23、電解質層24及びカソード触媒層25は、アノード支持体21に対してこの順に積層される。また、インターコネクタ26がアノード支持体21に焼結される。これにより、燃料電池20が形成される。なお、上述したアノード支持体21の形成過程で、アノード支持体21となる複合体組成物の焼成と同時にアノード触媒層23や電解質層24を複合体組成物に焼結させることで、残留応力の少ない状態でアノード支持体21、アノード触媒層23及び電解質層24からなる構造体を形成することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係るアノード支持体21は、Ni金属及び酸化Niの少なくとも一方と、Ti、Zr、Nb、Hf、Ta及びCeからなる群から選択される金属単独の酸化物の少なくとも1種と、を含有する。より具体的には、ニッケル部212を含み多孔質である基部210を有するとともに、基部210における少なくとも燃料と接する面上に、酸化物粒子部220を有する。そして、酸化物は、その含有量がアノード支持体の全質量に対して0.5質量%以上である。これにより、アノード支持体21における炭素析出を抑制することができる。
また、本実施の形態に係る燃料電池システム100は、アノード支持型の燃料電池20と、燃料電池20から発生する熱を用いて原燃料を改質する改質器6とを備える。このように、燃料電池20と改質器6との間に熱の授受がある燃料電池システム100では、燃料電池20の動作温度の低下に伴って改質ガス中のメタンやC2以上炭化水素の濃度が増大すると、アノード支持体21において炭素析出が生じやすくなる。これに対し、本実施の形態に係る燃料電池システム100は、酸化物粒子部220を有するアノード支持体21を備えるため、このような炭素析出を抑制することができる。また、原燃料が炭素数2以上の炭化水素化合物を原燃料の総モル量に対して5モル%以上含有する場合、特に上述した炭素析出が起こりやすいが、本実施の形態に係る燃料電池システム100によれば、原燃料がC2以上炭化水素を5モル%以上含有する場合であっても、炭素析出に起因するアノード支持体21のクラック発生等を効果的に抑制することができる。
そのため、燃料電池システム100の起動工程や停止工程での温度管理を簡略化することができる。また、燃料電池20の動作温度の低減と、燃料電池20ひいては燃料電池システム100の長寿命化との両立を図ることができる。さらに、本実施の形態によれば、アノード支持体21への単独酸化物の少量添加によって炭素析出の抑制を図ることができる。そのため、アノード支持体の組成を、従来組成から大幅に変更することなく、すなわちアノード支持体21の導電性やガス透過性等を犠牲にすることなく、炭素析出を抑制することができる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
図3(A)は、変形例1に係る燃料電池システムが備える燃料電池スタックの部分構造を模式的に示す水平断面図である。図3(A)に示すように、変形例1では、アノード触媒層23が略板状であり、アノード支持体21の一方の平坦側面上に積層される。電解質層24は、アノード触媒層23と、アノード支持体21の2つの湾曲側面上に積層される。電解質層24の両端は、インターコネクタ26の両端に接合される。電解質層24のアノード触媒層23とは反対側の面上には、中間層27が積層される。したがって、アノード触媒層23と中間層27とは、電解質層24を挟んで対向する。中間層27は、電解質層24とカソード触媒層25との間の層間反応を抑制するための層である。カソード触媒層25は、中間層27の面上に積層される。集電部材30は、隣接する2つの燃料電池20における一方側のインターコネクタ26と接する平坦面と、他方側のカソード触媒層25と接する平坦面とを有する、略長円形状の導電部材である。
図3(B)は、変形例2に係る燃料電池の構造を模式的に示す水平断面図である。変形例2に係る燃料電池20は、円筒型燃料電池である。燃料電池20は、円筒形状のアノード支持体21を有する。アノード支持体21は、その中心軸に沿ってガス流路22を有する。アノード支持体21の周面には、アノード触媒層23、中間層27、電解質層24及びカソード触媒層25がこの順に積層される。中間層27は、アノード触媒層23と電解質層24との間の層間反応を抑制するための層である。燃料電池20の円筒の上端部及び下端部には、図示しない集電キャップが嵌合する。集電キャップは、例えば、銀めっき処理が施された合金からなる。燃料電池20の円筒の周面には、図示しない集電膜が設けられる。集電部材30(図2(A)参照)は、一端が集電キャップに電気的に接続され、他端が隣接する燃料電池20の集電膜に電気的に接続される。
以下に実施例を挙げて本発明の効果をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<支持体サンプルの作製>
NiO(商品名NiO−FP、住友金属鉱山株式会社製)とYSZ(商品名TZ8YS、東ソー株式会社製)とを体積比40:60で湿式混合し、乾燥させた。その後、温度873Kで1時間焼成した。焼成後に得られた粉体に、造孔材として架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子(積水化成品工業株式会社製、)を質量比30%で混合し、混合物を乾式粉砕した。その後、混合物に100MPaの静水圧プレスを施して成型し、ペレット状の試料を得た。得られた圧粉体ペレットを、大気中1300℃で4時間焼成し、NiO/YSZペレットを作製した。このペレットから約2×2×10mmの直方体形状のペレット片を切り出した。そして、ペレット片に水素中800℃で5時間の還元処理を施して、Ni/YSZからなる支持体サンプルを得た。この支持体サンプルを比較例1とした。還元処理前のペレット片(NiO/YSZ)の空孔度は約17%であり、還元処理後の支持体サンプル(Ni/YSZ)の空孔度は約35%であった。
また、上述した支持体サンプル作製におけるNiOとYSZの混合時に、作製される支持体サンプルの全質量に対して、0.5質量%のTiOを添加したものを実施例1とし、0.5質量%のZrOを添加したものを実施例2とし、0.5質量%のNbを添加したものを実施例3とし、0.5質量%のCeOを添加したものを実施例4とし、1質量%のCeOを添加したものを実施例5とし、2質量%のCeOを添加したものを実施例6とし、5質量%のCeOを添加したものを実施例7とした。さらに、0.5質量%の8YSZ(8mol%YSZ)を添加したものを比較例2とし、0.5質量%の10GDC(10mol%GDC)を添加したものを比較例3とした。
<炭化水素曝露処理、及び炭素析出による変形の測定方法>
膨張測定装置(Dilatometer、Netzsch社製)を用いて、炭素析出による各実施例及び各比較例に係る支持体サンプルの変形評価を実施した。まず膨張測定装置中で、各実施例及び各比較例の支持体サンプルに炭化水素の曝露処理を施した。図4は、膨張測定装置の模式図である。図4に示すように、支持体サンプルの長辺方向における長さ変化を測定するように、各支持体を膨張測定装置にセットした。
各支持体サンプルの雰囲気を乾燥5%H−N雰囲気とし、5℃/分で昇温して約800℃(1073K)とした。支持体サンプルの熱膨張による長さ変化が収束してその形状が安定したことを確認した後、各支持体サンプルへの炭化水素燃料の供給を開始して炭化水素曝露処理を実施した。炭化水素曝露処理において、炭化水素燃料は100cc/分の流速で供給した。炭化水素燃料の水蒸気量は、温度制御された水又は塩化リチウム(LiCl)飽和水溶液をバブリングすることで調整した。炭化水素燃料としては、メタン(CH)、エタン(C)及びプロパン(C)のいずれかを用いた。
そして、各実施例及び各比較例の支持体サンプルについて、炭化水素曝露処理中の長さの変化を膨張測定装置で測定し、線膨張率(ΔL/L)(%)を算出した。ΔLは、支持体サンプルの長さの変化量であり、Lは、炭化水素曝露処理前の支持体サンプルの長さである。所定時間の炭化水素曝露処理が終了した後、乾燥Nを支持体サンプルに供給して炭化水素燃料をパージした。そして、5℃/分で降温して、支持体サンプルを膨張測定装置から取り出した。また、試験後の支持体サンプルに対して、SEM(Scanning Electron Microscope)、EDX(Energy Dispersive X-ray spectrometry)による微細構造観察及び元素分析と、X線回折装置によるNi/YSZ及び析出炭素の相同定を実施した。その結果、支持体サンプルに炭素が析出されていることが確認された。
<炭素析出抑制の評価>
上述した炭化水素曝露処理を施した各実施例及び各比較例の支持体サンプルについて、燃焼赤外線吸収法により炭素析出量の相対値を算出した。炭化水素曝露測定条件は、温度1073K、炭化水素燃料の流速100cc/分、S/C=0.1、曝露1時間とした。曝露時間の計測は、炭化水素燃料の供給開始から支持体サンプルの線膨張率が変化し始めたタイミング(線膨張率の伸び率が立ち上がるタイミング)で開始した。本評価では、比較例1の支持体サンプルにメタンを供給した場合の炭素析出量を基準値とした。また、この基準値の50%の炭素析出量をしきい値に設定し、相対炭素析出量がしきい値未満である場合を良好と評価した。
結果を図5に示す。図5は、各実施例及び各比較例の支持体サンプルにおける相対炭素析出量を示すグラフである。図5の縦軸は、相対炭素析出量(relative carbon deposition)を示す。図5において、「none」は比較例1を、「0.5% 8YSZ」は比較例2を、「0.5% 10GDC」は比較例3を、「0.5% TiO2」は実施例1を、「0.5% ZrO2」は実施例2を、「0.5% Nb2O3」は実施例3を、「0.5% CeO2」は実施例4を、「1% CeO2」は実施例5を、「2% CeO2」は実施例6を、「5% CeO2」は実施例7をそれぞれ示す。また、「CH4」はメタン、「C2H5」はエタン、「C3H8」はプロパンを示す。
図5に示すように、比較例1(none)の支持体サンプルでは、炭素水素燃料の炭素数が大きくなるほど相対炭素析出量の上昇が見られた。また、供給燃料がメタンで共通する各支持体サンプルの結果を比較すると、比較例2(0.5%8YSZ)、比較例3(0.5%10GDC)では良好な炭素析出抑制効果が見られなかったのに対し、実施例1(0.5%TiO2)、実施例2(0.5%ZrO2)、実施例3(0.5%Nb2O5)及び実施例4(0.5%CeO2)では、良好な炭素析出抑制効果が見られた。また供給燃料がプロパンで共通する各支持体サンプルの結果を比較すると、比較例1に対して、実施例4、実施例5(1% CeO2)、実施例6(2%CeO2)及び実施例7(5%CeO2)では、良好な炭素析出抑制効果が見られた。さらに、CeOの含有量の増大とともに炭素析出抑制効果が向上することが確認された。
<支持体サンプル変形の評価>
上述した炭化水素曝露処理を施した各実施例及び各比較例の支持体サンプルについて、線膨張率の相対値を算出した。炭化水素曝露測定条件は、温度1073K、炭化水素燃料の流速100cc/分、S/C=0.1、曝露1時間とした。曝露時間の計測は、炭化水素燃料の供給開始から支持体サンプルの線膨張率が変化し始めたタイミングで開始した。本評価では、比較例1の支持体サンプルにメタンを供給した場合の線膨張率を基準値とした。また、この基準値の50%の線膨張率をしきい値に設定し、相対線膨張率がしきい値未満である場合を良好と評価した。
結果を図6に示す。図6は、各実施例及び各比較例の支持体サンプルにおける相対線形膨張率を示すグラフである。図6の縦軸は、相対線形膨張率(relative extension)を示す。図6において、「none」、「0.5% 8YSZ」、「0.5% 10GDC」、「0.5% TiO2」、「0.5% ZrO2」、「0.5% Nb2O3」、「0.5% CeO2」、「1% CeO2」、「2% CeO2」、「CH4」、「C2H5」及び「C3H8」は図5と同様の意味である。
図6に示すように、比較例1(none)の支持体サンプルでは、炭素水素燃料の炭素数が大きくなるほど相対線膨張率の上昇が見られた。また、供給燃料がメタンで共通する各支持体サンプルの結果を比較すると、比較例2(0.5%8YSZ)、比較例3(0.5%10GDC)では良好な変形抑制効果が見られなかったのに対し、実施例1(0.5%TiO2)、実施例2(0.5%ZrO2)、実施例3(0.5%Nb2O5)及び実施例4(0.5%CeO2)では、良好な変形抑制効果が見られた。また供給燃料がプロパンで共通する各支持体サンプルの結果を比較すると、比較例1に対して、実施例4、実施例5(1% CeO2)及び実施例6(2%CeO2)では、良好な変形抑制効果が見られた。さらに、CeOの含有量の増大とともに変形抑制効果が向上することが確認された。
<燃料電池の耐久性の評価:電圧変化>
上述した変形例2で示した円筒型燃料電池を用いて、燃料電池の耐久性試験を実施した。本試験では、アノード支持体として、酸化Ni換算で50質量%のNiを含むNi/YSZに0.5質量%のTiOを添加した実施例8の支持体、同様に0.5質量%のCeOを添加した実施例9の支持体、何も添加しなかった比較例4の支持体、0.5質量%のYSZを添加した比較例5の支持体を用いた。アノード触媒層には、Ni/YSZを用いた。電解質層には、LSGMを用いた。カソード触媒層には、LSCFを用いた。アノードガスには、5%C/65%H/20%HO/30%Nガスを用いた。本試験に用いたアノードガスは、実際の燃料電池システムに用いられるアノードガスを模擬したガスである。炭化水素種としてはCのみを想定し、実際の燃料ガス中に存在するCHやCOは30%Nに置き換えた。また、アノードガス中の5%Cは、実際の燃料電池システムにおける改質器出口からの炭化水素スリップを想定して含有させた。カソードガスは空気とした。燃料電池の動作温度を973Kとした。アノードガスの利用率は75%、カソードガスの利用率は40%であった。
そして、燃料電池の駆動時間の経過にともなう燃料電池の出力電圧の変化から、燃料電池の耐久性を評価した。本評価では、燃料電池の駆動初期における出力電圧を基準値とした。また、この基準値から10%低下した出力電圧をしきい値に設定し、相対電圧がしきい値を上回る場合を良好と評価した。また、基準値から50%低下した出力電圧は、実際の燃料電池システムの運転限界電圧に相当する。
結果を図7に示す。図7は、燃料電池の相対電圧と経過時間との関係を示すグラフである。図7の縦軸は燃料電池の相対電圧(relative cell voltage)を示し、横軸は経過時間(time course)[時間]を示す。図7に示すように、比較例4(none)及び比較例5(0.5%YSZ)のアノード支持体では、時間の経過とともに相対電圧が低下していき、比較例4では発電開始からおよそ175時間後に、比較例5ではおよそ250時間から300時間の間に、相対電圧がしきい値以下まで低下した。これに対し、実施例8(0.5%TiO2)及び実施例9(0.5%CeO2)では、発電開始から1000時間が経過しても相対電圧がしきい値以下まで低下することがなかった。比較例4及び比較例5では、主としてアノード支持体での炭素析出による燃料ガスの圧損増大により、燃料電池への燃料ガスの供給量が低下し、これによりアノード分極が増大して燃料電池の出力電圧が低下したと考えられる。また、比較例4及び比較例5では、炭素析出量の増加によるガス閉塞に加え、析出炭素による短絡や、燃料ガスの供給が途絶えた燃料電池でのアノード支持体の再酸化などによっても、出力電圧の低下が起こったと考えられる。
<燃料電池の耐久性の評価:クラック発生>
上述した実施の形態で示した円筒平板型燃料電池を用いて、燃料電池の耐久性試験を実施した。本試験では、アノード支持体として、酸化Ni換算で60質量%のNiを含むNi/Yに0.5質量%のTiOを添加した実施例10の支持体、同様に0.5質量%のCeOを添加した実施例11の支持体、何も添加しなかった比較例6の支持体、0.5質量%のYSZを添加した比較例7の支持体を用いた。アノード触媒層には、Ni/YSZを用いた。電解質層には、YSZを用いた。カソード触媒層には、LSCFを用いた。アノードガスには、2%C/68%H/20%HO/30%Nガスを用いた。この組成に設定した理由は、上述の電圧変化評価時のアノードガスと同様である。カソードガスは空気とした。燃料電池の動作温度を1023Kとした。アノードガスの利用率は70%、カソードガスの利用率は35%であった。
そして、燃料電池の駆動時間の経過とともに燃料電池表面に発生したクラックの数から、燃料電池の耐久性を評価した。本評価では、5個の燃料電池を駆動させた。そして、50時間毎に駆動を停止させて、燃料電池表面に発生したクラック数を計測し、燃料電池1個当たりに発生したクラック数を算出した。
結果を図8に示す。図8は、燃料電池に発生したクラックの数と経過時間との関係を示すグラフである。図8の縦軸は燃料電池1個当たりのクラック数(crack number per cell)を示し、横軸は経過時間(time course)[時間]を示す。図8に示すように、比較例6(none)及び比較例7(0.5%YSZ)のアノード支持体を使用した燃料電池では、時間の経過とともにクラック数が増加した。特に、比較例6では150時間を経過してからクラック数が急激に増加し、比較例7では300時間を経過してからクラック数が急激に増加した。これに対し、実施例10(0.5%TiO2)及び実施例11(0.5%CeO2)では、発電開始から1000時間が経過してもクラックの発生がほとんど見られなかった。比較例6及び比較例7では、アノード支持体での炭素析出に伴うアノード支持体の寸法膨張によって、燃料電池の表面を覆う電解質層等にクラックが発生したと考えられる。
6 改質器、 20 燃料電池、 21 アノード支持体、 23 アノード触媒層、 24 電解質層、 25 カソード触媒層、 100 燃料電池システム、 210 基部、 220 酸化物粒子部。

Claims (10)

  1. Ni金属及び酸化Niの少なくとも一方を含み、多孔質である基部を有するとともに、
    前記基部における、少なくともアノード触媒層に供給される燃料と接する面上に、Ti、Zr、Nb、Hf、Ta及びCeからなる群から選択される金属単独の酸化物1種以上で構成される粒子又は当該粒子の凝集体を有し、
    前記酸化物は、その含有量がアノード支持体の全質量に対して0.5質量%以上であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体。
  2. 前記基部は、前記Ni金属及び前記酸化Niの少なくとも一方と、Y、ジルコニア系複合酸化物及びセリア系複合酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物との複合体である請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体。
  3. 前記基部は、アノード支持体の全質量に対して酸化Ni換算で30質量%以上のNi原子を含有する請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体と、
    前記アノード支持体の表面に設けられるアノード触媒層と、
    前記アノード触媒層の前記アノード支持体とは反対側の面に設けられる電解質層と、
    前記電解質層の前記アノード触媒層とは反対側の面に設けられるカソード触媒層と、
    を備えることを特徴とするアノード支持型固体酸化物形燃料電池。
  5. 前記アノード支持体は、前記アノード触媒層に供給される燃料の供給路に対して固定され、
    前記アノード支持体は、燃料の流れ方向に沿って上流側の少なくとも一部の領域が、下流側の少なくとも一部の領域よりも前記粒子及び前記凝集体の合計重量割合が大きい請求項4に記載のアノード支持型固体酸化物形燃料電池。
  6. 前記電解質層は、ジルコニア系複合酸化物、セリア系複合酸化物及びLSGMからなる群から選択される少なくとも1つの複合酸化物を含む請求項4又は5に記載のアノード支持型固体酸化物形燃料電池。
  7. 前記アノード触媒層は、Ni金属及び酸化Niの少なくとも一方と、ジルコニア系複合酸化物、セリア系複合酸化物及びLSGMからなる群から選択される少なくとも1つの複合酸化物とで構成される複合体である請求項4乃至6のいずれか1項に記載のアノード支持型固体酸化物形燃料電池。
  8. 請求項4乃至7のいずれか1項に記載のアノード支持型固体酸化物形燃料電池と、
    前記アノード支持型固体酸化物形燃料電池から発生する熱を用いて原燃料を改質し、前記アノード支持型固体酸化物形燃料電池の発電に用いられる燃料を生成する改質器と、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  9. 前記原燃料は、炭素数2以上の炭化水素化合物を原燃料の総モル量に対して5モル%以上含有する請求項8に記載の燃料電池システム。
  10. Ni金属及び酸化Niの少なくとも一方と、
    Ti、Zr、Nb、Hf、Ta及びCeからなる群から選択される金属単独の酸化物の少なくとも1種と、を含有し、
    前記酸化物は、その含有量がアノード支持体の全質量に対して0.5質量%以上であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体。
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