JP2015007203A - 耐熱性に優れたシリコーンゲル組成物 - Google Patents
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〔1〕
(A)下記平均組成式(1)
RaR1 bSiO(4-a-b)/2 (1)
(式中、Rは独立にアルケニル基であり、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、但しa+bは1.9〜2.4である。)
で表される、一分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B)下記平均組成式(2)
R2 cHdSiO(4-c-d)/2 (2)
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、cは0.7〜2.2の正数であり、dは0.001〜0.5の正数であり、但しc+dは0.8〜2.5である。)
で表される、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 組成物全体のケイ素原子に結合したアルケニル基1個あたりケイ素原子に結合した水素原子が0.01〜3個となる量、
(C)白金系触媒: 有効量、
(D)(a)25℃における粘度が10〜10,000mPa・sであるオルガノポリシロキサン100質量部と、
(b)下記式(I)
(R3COO)fFe (I)
(式中、R3は同種又は異種の1価炭化水素基であり、fは3〜4の正数である。)
で示される鉄量が0.001〜5質量部となる量の鉄のカルボン酸塩を均一混合して、120〜300℃で加熱処理して得られた反応生成物: 0.01〜200質量部
を含有してなり、(D)成分中の鉄含有量が組成物全体の1〜100ppmであることを特徴とする耐熱性に優れたシリコーンゲル組成物。
〔2〕
その硬化物の、JIS K2220で規定される針入度が10〜200であり、25℃、剪断周波数1Hz及び10Hzにおける損失係数がそれぞれ0.1〜1.0及び0.3〜1.5の範囲内である〔1〕に記載のシリコーンゲル組成物。
本発明の(A)成分は、シリコーンゲル組成物の主剤(ベースポリマー)である。該(A)成分は、下記平均組成式(1)で表される、一分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基(本明細書中において「ケイ素原子結合アルケニル基」という)を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンである。
RaR1 bSiO(4-a-b)/2 (1)
(式中、Rは独立にアルケニル基であり、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、但しa+bは1.9〜2.4である。)
で表されるオルガノポリシロキサン、即ち主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、本発明の(B)成分は、上記(A)成分と反応し、架橋剤として作用するものである。該(B)成分は、下記平均組成式(2)
R2 cHdSiO(4-c-d)/2 (2)
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、cは0.7〜2.2の正数であり、dは0.001〜0.5の正数であり、但しc+dは0.8〜2.5である。)
で表される、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンが一分子中に有するケイ素原子結合水素原子は、好ましくは3〜500個、より好ましくは5〜100個、特に好ましくは10〜80個である。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の(C)成分は、前記(A)成分及び後述する(D)成分においてケイ素原子結合アルケニル基が存在する場合には(D)成分中のケイ素原子結合アルケニル基と前記(B)成分中のケイ素原子結合水素原子との付加反応を促進させるための触媒として使用されるものである。該(C)成分は白金系触媒(白金又は白金系化合物)であり、公知のものを使用することができる。その具体例としては、白金ブラック、塩化白金酸、塩化白金酸等のアルコール変性物;塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン又はアセチレンアルコール類等との錯体などが例示される。
本発明の(D)成分は、下記(a)オルガノポリシロキサンと下記(b)鉄のカルボン酸塩との反応生成物である。
(R3COO)fFe (I)
(式中、R3は同種又は異種の1価炭化水素基であり、fは3〜4の正数である。)
本発明の組成物には、上記(A)〜(D)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で任意成分を配合することができる。この任意成分としては、例えば、反応抑制剤、無機質充填剤、ケイ素原子結合水素原子及びケイ素原子結合アルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサン、耐熱性付与剤、難燃性付与剤、チクソ性付与剤、顔料、染料等が挙げられる。
本発明の組成物は、上記(A)〜(D)成分(任意成分が配合される場合には、任意成分も含む)を常法に準じて混合することにより調製することができる。その際に、混合される成分を必要に応じて2パート又はそれ以上のパートに分割して混合してもよく、例えば、(A)成分の一部及び(C)、(D)成分からなるパートと、(A)成分の残部及び(B)成分からなるパートとに分割して混合することも可能である。
本発明のシリコーンゲル組成物は、電気・電子部品の封止もしくは充填に用いることが好適である。
針入度が10未満となったり、損失係数が0.1未満となると、シリコーンゲルが硬化する際の応力に耐えきれず、電子回路の一部が破断したり、シリコーンゲル内部にクラックが生成したりする場合がある。また、針入度が200を超えたり、損失係数が1.5を超えたりすると、十分な形状保持能力を持ったシリコーンゲルが得られず、充填、硬化したシリコーンゲルが回路から流出する場合がある。
下記式(3)
25℃での粘度が100mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100部に、2−エチルヘキサン酸塩鉄(III)溶液(鉄元素含有量8%)0.1部を添加したところ、褐色の分散液が得られた。これに空気を少量流通させながら、200℃で8時間加熱したところ、赤褐色で透明なシリコーンオイル2(鉄含有量80ppm)が得られた。
合成例1において、230℃で8時間熱処理する代わりに、80℃で16時間熱処理したところ、濃赤褐色で微濁なシリコーンオイル3(鉄含有量1,500ppm)が得られた。
合成例1において、230℃で8時間熱処理する代わりに、320℃で8時間熱処理したところ、粘ちょうなゲル状物(鉄含有量1,500ppm)が得られた。
下記式(4)
実施例1において、シリコーンオイル1を1部用いる代わりに、シリコーンオイル2を10部用いる以外は同様にして、混合物2(鉄含有量8ppm)を得た。この混合物2を80℃で60分間加熱硬化したところ、針入度48の硬化物を得た。
実施例1において、シリコーンオイル1を用いない以外は同様にして、混合物3(鉄含有量0ppm)を得た。この混合物を80℃で60分間加熱硬化したところ、針入度41の硬化物を得た。
実施例1において、シリコーンオイル1を1部用いる代わりに、鉄を主成分とする2−エチルヘキサン酸塩溶液(鉄元素含有量8%)を0.15部添加する以外は同様にして、混合物4(鉄含有量120ppm)を得た。この混合物を硬化したところ、針入度38の硬化物を得た。
実施例1において、シリコーンオイル1を1部用いる代わりに、シリコーンオイル3を1部用いる以外は同様にして、混合物5(鉄含有量15ppm)を得た。この混合物を80℃で60分間加熱硬化したところ、針入度43の硬化物を得た。
上記実施例1,2及び比較例1〜3で得られた硬化物を用いて、以下の試験を実施した。これらの結果を表1に示す。
JIS K6249に記載される方法で、上記実施例及び比較例で得られた硬化物の体積抵抗率を測定した。
上記実施例及び比較例で得られた組成物について、UBM社製RheoGelE4000にて、スリット剪断法にて80℃において60分間加熱して硬化させた。得られた硬化物を25℃に冷却後、1Hz及び10Hzでの損失係数を測定した。
上記実施例及び比較例で得られた硬化物について、215℃×1,000時間、250℃×200時間の耐熱試験後の針入度とクラックの有無を目視にて評価した。
実施例1,2の組成物は、本発明の要件を満たすものであり、良好なゴム特性を有するシリコーンゲル硬化物が得られ、215℃あるいは250℃の長期耐熱下でも針入度の低下は見られず、クラック等の異常な外観も見られず、安定性が確認された。
これに対し、比較例1〜3の組成物は、いずれも本発明の(D)成分を含まないもので、特に比較例1,2の組成物は、鉄含有量が本発明の要件を満たさないものであり、耐熱性が低下したり、絶縁性が大幅に低下したりする。また、(D)成分において、処理方法が本発明の要件を満たさない比較例3の組成物についても、絶縁性の低下や長期耐熱試験で針入度低下が見られた。
Claims (2)
- (A)下記平均組成式(1)
RaR1 bSiO(4-a-b)/2 (1)
(式中、Rは独立にアルケニル基であり、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、但しa+bは1.9〜2.4である。)
で表される、一分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B)下記平均組成式(2)
R2 cHdSiO(4-c-d)/2 (2)
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、cは0.7〜2.2の正数であり、dは0.001〜0.5の正数であり、但しc+dは0.8〜2.5である。)
で表される、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 組成物全体のケイ素原子に結合したアルケニル基1個あたりケイ素原子に結合した水素原子が0.01〜3個となる量、
(C)白金系触媒: 有効量、
(D)(a)25℃における粘度が10〜10,000mPa・sであるオルガノポリシロキサン100質量部と、
(b)下記式(I)
(R3COO)fFe (I)
(式中、R3は同種又は異種の1価炭化水素基であり、fは3〜4の正数である。)
で示される鉄量が0.001〜5質量部となる量の鉄のカルボン酸塩を均一混合して、120〜300℃で加熱処理して得られた反応生成物: 0.01〜200質量部
を含有してなり、(D)成分中の鉄含有量が組成物全体の1〜100ppmであることを特徴とする耐熱性に優れたシリコーンゲル組成物。 - その硬化物の、JIS K2220で規定される針入度が10〜200であり、25℃、剪断周波数1Hz及び10Hzにおける損失係数がそれぞれ0.1〜1.0及び0.3〜1.5の範囲内である請求項1に記載のシリコーンゲル組成物。
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