JP2015003280A - バイオマス処理方法およびコーヒー粕の処理装置 - Google Patents

バイオマス処理方法およびコーヒー粕の処理装置 Download PDF

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裕士 中西
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Abstract

【課題】AGP等の生化学的に難分解性の糖タンパクを高濃度に含有する系内において、前記系内のコーヒー粕等のバイオマスを効率よくメタン発酵させる。【解決手段】生化学的に難分解性の糖タンパクを高濃度に含有する系内において系内のバイオマスをメタン発酵するに際して、系内に二価の鉄族金属イオン成分よりもイオン状態で安定な金属イオン成分を含む金属塩を添加しておく。【選択図】図1

Description

本発明は、生化学的に難分解性の糖タンパクを高濃度に含有する系内において前記系内のバイオマスをメタン発酵するバイオマス処理方法およびコーヒー粕の処理装置に関する。
固形有機物(特に廃棄物)からエネルギー回収する方法として、メタン発酵法がある。これは有機物を嫌気条件下で発酵させ、その大半をメタンを主成分とするバイオガスとして回収する方法である。発酵に関与する微生物の大半は、有機物を細胞内に取り込み、細胞内で代謝するため、固形有機物はまず水に溶ける形に可溶化される必要がある。メタン発酵法では、まず可溶化菌が菌体外酵素の働きで固形有機物を可溶化し、その後酸発酵菌が可溶化物を低分子の有機酸まで代謝し、最終的にメタン細菌が有機酸からメタンを生成する。
焙煎したコーヒー豆からコーヒー成分を抽出した後の残留物であるコーヒー粕は国内で集中・安定して発生するバイオマスであり、その有効利用が求められている。飲料工場では、通常大量のエネルギーを使用しているため、発生したコーヒー粕からエネルギーを回収し、飲料生産時に利用することができれば理想的である。
ところが、コーヒー粕のように、炭水化物と油分が主体であり、硬く可溶化されにくいバイオマスは、通常のメタン発酵処理に供しても、バイオガス化率は50%と低いのが実情である。(特許文献1等)そこで、このようなバイオマスを可溶化することによって高いバイオガス化率を向上することが検討されているが、十分とは言えず、さらに高効率な処理方法が望まれている。
このようなバイオガス化率の低さの原因として、メタン細菌に供給されるべき必須金属イオン成分の欠乏が挙げられている(非特許文献1、特許文献2)。これらの文献によれば、二価の鉄、ニッケル、コバルト等の鉄族の金属イオン成分は、本来メタン発酵細菌の活性を高め、バイオガス化率の向上に寄与するものと考えられる。
特開2009−028625号公報 特開平11−028445号公報
日本水環境学会2012年度大会要旨 p290、「嫌気性膜分離法を用いたコーヒーかすのメタン発酵」、高柳和幸ほか
そこで、特許文献2によると、欠乏する必須金属イオンの外部補給によりバイオガス化率の向上を図ることが考えられているが、十分な効果を発揮するには至っておらず、画期的な解決策が望まれている。本発明者らは、上記必須金属イオンの欠乏の原因を研究する中で、元来コーヒー粕中には、十分な必須金属イオン成分が含まれているにもかかわらず、メタン発酵工程の時点において前記必須金属イオン成分が消失していることを見出し、鋭意研究した結果、これら必須金属イオン成分がAGP(アラビノガラクタプロテイン)成分とともにコロイドを形成することが主な原因であることを見出した。
すなわち、コーヒー粕にもともと含まれている必須金属イオン成分を外部から補給したとしても、AGPに取り込まれてコロイドを形成し、補給した必須金属イオン成分が十分に機能を発揮しえない場合がある。また、多種の必須金属イオン成分を同等に機能させるためにはイオン化しにくい金属ほど大量に加える必要がある。さらに、排水の性状にしたがって添加量を適切に維持管理することが困難である。これらの要因により、単純に不足する必須金属イオン成分の外部補給では期待される効果が十分に発揮されない場合があり得るのではないかと考えられる。
そこで、本発明の目的は、上記実情に鑑み、AGP等の生化学的に難分解性の糖タンパクを高濃度に含有する系内において、前記系内のコーヒー粕等のバイオマスを効率よくメタン発酵させる点にある。
上述のように、本発明者らが鋭意研究したところ、必須金属イオン成分の不足は、必須金属イオン成分がAGP等の糖タンパク成分とともにコロイドを形成することが問題となる。すなわち、生化学的に難分解性の糖タンパクを高濃度に含有する系は、その糖タンパクがコロイドを形成して、処理液中に浮遊する状態となっている。この糖タンパクコロイドは糖タンパクが負に帯電するため、系内の金属イオン成分を取り込み塩として安定化する。そのため、メタン細菌の活性を高めると報告されている二価の鉄、コバルト、ニッケル等(鉄族金属イオン)の必須金属イオン成分が系内から欠乏し、メタン発酵に際してメタン細菌が十分に活性化されず、メタン発酵が不安定になり、十分なバイオガスを効率よく生産できない状況になるものと考えられる。
そして、これに対する対策として、特許文献2のように不足する金属を補うことに代え、別のアプローチとして、必須金属イオン成分が糖タンパクに取り込まれてコロイドを形成するのを抑制するという方法に想到した。すなわち、必須金属イオン成分が糖タンパクに取り込まれてしまうと、嫌気性微生物の活性を高める効果が失われてしまうが、取り込まれるのを抑制することにより、前記必須金属イオン成分は糖タンパクに取り込まれずに、嫌気性微生物(メタン発酵細菌)の活性を高める機能を十分に発揮しうる。また、必須金属イオン成分が糖タンパクに取り込まれてコロイドを形成するのを抑制する場合、必須金属イオン成分の種類によらず、まとめてコロイドの形成を抑制することができ、必須金属イオン成分ごとに添加量を維持管理しなければならないという維持管理の煩雑さも解消することができた。
〔構成1〕
すなわち本発明の特徴構成は、生化学的に難分解性の糖タンパクを高濃度に含有する系内において前記系内のバイオマスをメタン発酵するバイオマス処理方法であって、
メタン発酵に際して、前記系内に二価の鉄族金属イオン成分よりもイオン状態で安定な金属イオン成分を含む金属塩を添加しておく点にある。
なお、本発明において、「生化学的に難分解性の糖タンパクを高濃度に含有する系内」という場合、バイオマスをメタン発酵させるメタン発酵槽のみならず、そのメタン発酵槽にかかわる管路等も含む。また、生化学的に難分解性の糖タンパクを高濃度に含有する部分が少なくとも一部に存在すればよく、メタン発酵に供すべき原排水が生化学的に難分解性の糖タンパクを高濃度に含有している場合のみならず、前記系内いずれかの部分で、生化学的に難分解性の糖タンパクが濃縮され、高濃度に至る場合も含む。このような部位で必須金属イオン成分が吸着されることにより、系全体としてメタン細菌の活性を向上させることが困難になるためである。
また、「高濃度」とは、AGP換算で、生化学的に難分解性の糖タンパクを0.1%以上含有する濃度をいう。これは、後述の実験結果に示すように、必須金属イオン成分の必要量が、10mg/L以上と考えられるのに対して、系内の必須金属イオン成分の濃度をこれ以下に低下させるに十分な量を意味するものである。
〔作用効果1〕
生化学的に難分解性の糖タンパクを高濃度に含有する系内に、メタン発酵に際して、前記コーヒー粕含有処理液に二価の鉄族金属イオン成分よりもイオン状態で安定な金属イオン成分を含む金属塩を添加しておくと、前記糖タンパクコロイドは、イオン状態でより安定な金属イオン成分と結合してより安定化するため、二価の鉄族金属イオン成分を放出し、イオン状態でより安定な金属イオン成分と結合して取り込んでしまう傾向が現れる。そのため、必須金属イオン成分としての二価の鉄族金属イオン成分が、コロイドとして取り込まれることなく系内に溶存することになり、これら必須金属イオン成分はメタン細菌をより活性化することができるため、前記系内のコーヒー粕等のバイオマスを効率よくメタン発酵させることができるようになる。
なお、このような場合、必須金属イオン成分を追加供給するのに比べて、必須金属イオン成分として種々金属イオン成分が想定される場合に、それぞれの金属イオン成分の添加量を個別に管理する必要がなく、もともと系内に存在する必須金属イオン成分を、たとえば三価鉄や二価銅のようなより安定な金属イオン成分によって系内に放出させるだけでよいから、三価鉄等の金属イオン成分添加量を管理するだけでよく、管理が容易であるという利点がある。
〔構成2〕
また、前記生化学的に難分解性の糖タンパクとしては、AGPを対象とすることができる。
〔作用効果2〕
前記生化学的に難分解性の糖タンパクとして、AGP、エクステンシン等を想定することができるが、特にAGPは、種々植物系バイオマスに含まれており、メタン細菌の活性を高く維持するのに必要な必須金属イオン成分を取り込むため、上記バイオマスの処理方法を行うことにより、特に大きな処理効率の向上効果が期待できる。
〔構成3〕
尚、前記バイオマスとして、生化学的に難分解性の糖タンパクを高濃度に含有するコーヒー粕を採用することが好適である。
〔作用効果3〕
前記バイオマスとして、たとえば、コーヒー粕、茶滓、草木系バイオマス等を想定することができるが、コーヒー粕は、特に固く可溶化しにくいうえに、高活性なメタン細菌によらねば高いバイオガス化率を達成できないバイオマスとして知られている。また、コーヒー粕は安定供給可能なバイオマスでもある。コーヒー粕は、難分解性の糖タンパクとして、AGPを含有しており、従来は1〜5kgCODcr/m3・日量しか処理することができず、効率的な処理が困難であったが、上述のバイオマス処理方法によると、コーヒー粕のみを10kgCODcr/m3・日程度の濃度で処理することができるようになり、特に大きな処理効率の向上効果が期待できる。
〔構成4〕
さらに、前記二価の鉄族金属イオン成分よりもイオン状態で安定な金属イオン成分として、三価鉄または二価銅を用いることができる。
〔作用効果4〕
前記二価の鉄族金属イオン成分よりもイオン状態で安定な金属イオン成分としては、よりイオン化傾向の低い金属イオン成分を採用すればよい。このような金属イオン成分の中で、三価鉄は、塩化鉄(III)等の形態で得られるとともに、環境負荷の少ない金属として特に有用である。他に、環境負荷の少ない金属としては、二価銅が挙げられ、塩化銅(II)などの形態で安価に得られるので好ましい。
〔構成5〕
また、本発明のコーヒー粕の処理装置の特徴構成は、コーヒー粕含有処理液を嫌気性条件下に可溶化する可溶化槽を備えるとともに、前記可溶化槽で可溶化したコーヒー粕含有処理液をメタン発酵するメタン発酵槽を備え、
前記コーヒー粕含有処理液に二価の鉄族金属イオン成分よりもイオン状態で安定な金属イオン成分を含む金属塩を添加する金属塩添加部を備えた点にある。
〔作用効果5〕
コーヒー粕含有処理液を嫌気性条件下に可溶化する可溶化槽を備えるとともに、前記可溶化槽で可溶化したコーヒー粕含有処理液をメタン発酵するメタン発酵槽を備えるから、可溶化槽においてコーヒー粕含有処理液を嫌気性条件下に可溶化するとともに、メタン発酵槽において前記可溶化槽で可溶化したコーヒー粕含有処理液をメタン発酵することができる。これにより、油脂成分が多く、硬くて可溶化しにくいコーヒー粕であっても、可溶化して流動化させることにより液状で処理可能にすることができる。前記可溶化槽で可溶化し、液状となったコーヒー粕含有処理液は、メタン発酵槽によりメタン発酵することができる。これにより、高濃度で効率よくコーヒー粕をメタン発酵に供することができるようになる。
ここで、前記コーヒー粕含有処理液に二価の鉄族金属イオン成分よりもイオン状態で安定な金属イオン成分を含む金属塩を添加する金属塩添加部を備えたから、前記コーヒー粕含有処理液は、可溶化した際に、前記二価の鉄族金属イオン成分よりも前記金属塩から生じた安定な金属イオン成分を取り込んでコロイドを形成する傾向が生じる。そのため、系内の必須金属イオン成分の濃度が低下しにくくなり、安定したメタン発酵処理を継続することができるようになる。
〔構成6〕
前記金属塩添加部を、前記可溶化槽に設けることができる。
〔作用効果6〕
コーヒー粕含有処理液は、可溶化した際にAGPが溶出し、コーヒーに含まれる種々の金属イオン成分と結合してコロイド状に溶解する。このとき、コーヒー豆由来の金属イオン成分としては比較的安定な鉄族金属イオン成分の二価イオンがAGPと結合しやすい。この鉄族金属の二価イオンがメタン細菌にとっての必須金属イオン成分であるからこのタイミングにおいてAGPと鉄族金属の二価イオンとの結合を妨げるように金属塩を供給すれば効率的であると考えられる。すなわち、前記可溶化槽において金属塩を供給すれば、前記AGPは、前記金属塩から生じた安定な金属イオン成分を取り込んでコロイドを形成するので、必須金属イオン成分はコーヒー粕含有処理液にイオン状態で含まれたままメタン細菌に作用して、活性の高いメタン発酵が可能になる。
また、AGPが形成するコロイド粒子は1μm以上となるものが多く、分離膜を透過できないから、膜分離を行うメタン発酵においては本法は特に有効である。
したがって、従来廃棄困難であったコーヒー粕等を効率よくバイオガス化することができるようになるとともに、エネルギーとして提供することができるようになった。
本発明のコーヒー粕の処理装置のフロー図 塩化鉄(III)の添加がメタン発酵効率に与える影響を示すグラフ
以下に、本発明のバイオマス処理方法を、具体的なコーヒー粕の処理装置の運転方法として説明する。なお、以下に好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
〔コーヒー粕の処理装置〕
本発明のコーヒー粕の処理装置は、図1に示すように、
コーヒー粕含有処理液を嫌気性条件下に可溶化する可溶化槽1を備えるとともに、可溶化したコーヒー粕含有処理液をメタン発酵するメタン発酵槽2を備える。
〔可溶化槽〕
前記可溶化槽1は生ごみやコーヒー粕をメタン発酵汚泥と混合して処理液として受ける混合槽10からなり、前記混合槽10には、上部に処理液供給部からの生ごみやコーヒー粕を受け入れる受入路L1が接続されるとともに、処理液のうち分散化した画分をメタン発酵槽2に移送する移送路L2を接続して備える。また、前記可溶化槽1の底部には、処理液中の生ごみやコーヒー粕の固形分に富む画分を破砕等の可溶化処理に供するために引き抜く引抜路L3を備える。また、前記可溶化槽1には内部の処理液を60℃〜80℃に加熱する加熱部11を備えてもよい。また、アルカリ度および可溶化菌を補給することでコーヒー粕の可溶化を効率的に進める目的で、引抜路L4を分岐してメタン発酵汚泥を一部返送する返送路L8(図中二点鎖線にて示す)を設けることができる。また、固液分離部の廃棄路L7に廃棄される廃水の一部を可溶化槽に返送する返送路(図示せず)を設けて再処理することもできる。
また、前記混合槽10には、苛性ソーダ(NaOH)などのアルカリを添加するためのpH調整部12が設けられている。このpH調整部12におけるアルカリ添加量は、後述のメタン発酵槽2における処理液のpHに応じて決定され、前記メタン発酵槽2内部のpHが6.5〜8.5程度の範囲に維持されるように調整される。
加熱部11における加熱には、重油、都市ガス、電力等をエネルギー源として利用してもよいが、後述するメタン発酵工程で発生するメタンガスを用いて、熱と電力を得るコジェネレーション手段(ガスエンジン、燃料電池等)により得られる排熱を利用することが望ましい。
処理液中のコーヒー粕の可溶化処理は、コーヒー粕とメタン発酵汚泥またはその液体画分との共存下、即ちこれらを混合した状態で加熱処理することにより行われる。コーヒー粕と、メタン発酵汚泥またはその液体画分との混合比については、特に制限されるものではないが、コーヒー粕の乾燥重量100重量部当たり、メタン発酵汚泥またはその液体画分を10〜1000重量部、好ましくは50〜500重量部、さらに好ましくは100〜300重量部が例示される。
可溶化処理時の温度条件については、30℃以上であればよいが、コーヒー粕の可溶化効率をさらに向上させるには、好ましくは70〜95℃程度、さらに好ましくは70〜80℃程度があげられる。メタン発酵汚泥には、固形物を分解する可溶化菌、酸発酵菌と、有機酸をメタン化するメタン細菌が含まれる。一般的に、60℃以上の温度条件ではメタン細菌は生育できないため、60℃以上の温度条件によって行われる可溶化処理では、メタン発酵汚泥またはその液体画分中のメタン細菌以外の微生物(可溶化菌、酸発酵菌)または物質によって、コーヒー粕の可溶化が行われると考えられる。
また、可溶化処理時の加熱時間としては、生ごみやコーヒー粕とメタン発酵汚泥またはその液体画分との混合比、加熱温度等に応じて適宜設定されるが、例えば、1〜72時間、好ましくは4〜48時間、さらに好ましくは12〜24時間が例示される。
これにより処理液は可溶化処理を受けて性状が液中固形成分において粒径1mm以上が10%以下のスラリーとなり、コーヒー粕に含まれる固形有機物が、メタン発酵可能な程度にまで低分子化され、可溶化される。
前記可溶化槽には、可溶化したコーヒー粕に対して、二価の鉄族金属イオン成分よりもイオン状態で安定な金属イオン成分を含む金属塩を添加する金属塩添加部13を設けてある。なお、金属塩添加は可溶化槽ではなくメタン発酵槽で行ってもよい。
この金属塩添加部から、塩化鉄(III)を添加すると、可溶化したコーヒー粕中に含まれるAGPのコロイドがイオン交換によりFe(III)を吸着し、必須金属イオン成分である二価の鉄族金属イオン成分を放出するものと考えられる。
〔メタン発酵槽〕
前記メタン発酵槽2は、上記可溶化槽から移送路L2を介して移送される処理槽20からなり、処理槽20内部において、メタン発酵菌を用いてコーヒー粕をメタン発酵処理する。一般的にメタン発酵菌として嫌気性のものが用いられる。前記処理槽20には、槽内で生成したメタン発酵汚泥を槽外に排出するための引抜路L4を備え、引抜路L4には、メタン発酵汚泥を処理液とともに引抜き、固液分離する固液分離部3が接続されている。また、前記処理槽上部には、メタン発酵により生成したメタンガスを回収するメタン回収路L5を備える。
前記メタン発酵処理において、メタン発酵の形式は特に制限されず、回分式、固定床式等のメタン発酵において利用されている公知のいずれの形式であってもよい。また、上記の可溶化方法により得られた可溶化物の供給と、メタン発酵槽内のメタン発酵処理物の抜き取りとを、連続的にまたは断続的に行うことにより実施してもよい。上記可溶化物の供給と上記メタン発酵処理物の抜き取りを連続的または断続的に行う場合、その可溶化物の供給速度およびメタン発酵処理物の抜き取り速度は、該可溶化物のメタン発酵槽内平均滞留時間が上記発酵処理時間となるように適宜設定すればよい。
これにより、処理水は、メタン発酵を受け、COD換算1kgあたり200〜350m3のメタンガスを生産でき、生産されたメタンガスは回収・利用される。また、前記引抜路L4から汚泥とともに排出される処理液排水は5000〜20000mgCODcr/L程度の排水となり外部に放出される。この処理液排水には、遊離高級脂肪酸が含まれ、遊離高級脂肪酸は、通常、汚泥と分離されることなく廃棄されるか、汚泥とともに上流側に返送されて再処理されることになるが、本発明においては、前記引抜路L4から前記固液分離部3に供給される。
〔固液分離部〕
前記固液分離部3は、引抜路L4を介して供給されるメタン発酵汚泥および処理液を遠心分離や膜分離等により固液分離する分離装置30を備えるとともに固液分離により回収される固相の一部をメタン発酵槽に返送する返送路L6を備える。また、残余のメタン発酵汚泥および処理液は廃棄路L7より廃棄される。
ここで、分離装置30としては、たとえば上部排出型遠心分離器が用いられ、前記固液分離部3は、負荷10kgCODcr/m3発酵槽・日のメタン発酵槽からの汚泥を、分離装置(遠心分離装置)30に供給し、前記汚泥遠心分離された汚泥を投入される処理水量の2.5倍で引抜き、(遠心力2000g、滞留時間10分となる遠心分離条件)前記返送路L6から全量返送するように処理水を循環させる。これにより、メタン発酵槽内の汚泥濃度は、1%〜5%〜10%に維持される。
これにより、メタン発酵汚泥と遊離高級脂肪酸とが確実に分離され、返送されるメタン発酵汚泥から遊離高級脂肪酸が除去されるので、前記メタン発酵槽における遊離高級脂肪酸濃度を低下することができる。なお、本固液分離操作は遠心分離に限らず、膜分離等の手段を用いてもよい。
下記にバイオマス処理方法の金属塩の添加がメタン発酵効率に与える効果を実証する試験例を具体例をあげて詳述するが、本願は、下記構成に限定されるものではない。
〔試験例1〕必須金属イオン成分の減少確認
TS濃度30%のコーヒー粕排水を、上記可溶化槽およびメタン発酵槽を備えたコーヒー粕の処理装置に供給し、塩化鉄(III)を添加することなく連続処理した。
前記可溶化槽では、前記コーヒー粕排水を5倍希釈して可溶化し(TS濃度6%)、容量1000Lの前記メタン発酵槽に対して50L/日で投入して連続処理した。その結果、処理時間とともにメタン細菌の活性が低下し、バイオガス化効率が低下することが分かった。
このときのコーヒー粕排水中に含まれるFe2+濃度、Ni2+濃度、CO2+濃度を分析した結果、Fe2+濃度が57mg/L含まれているのに対し、Ni2+濃度、CO2+濃度ともに検出限界(0.5mg/L)以下しか含まれていないことが分かった。すなわち、Fe2+濃度は、好ましくは10〜300mg/L含有することが望ましいことから、必要量に達していると考えられるが、Ni2+濃度、CO2+濃度は、好ましくは1〜30mg/Lが望ましいとされているのに対して、不足していることがわかり、これによりメタン細菌の活性が低下しているものと考えられた。
〔試験例2〕AGPコロイドに対する金属塩添加効果
上記バイオガス化効率の低下したコーヒー粕排水のメタン発酵汚泥に対して塩化鉄(III)もしくは塩化銅(II)を添加した時の、AGPコロイドに対するイオン交換作用を調べた。
上記コーヒー粕排水のメタン発酵汚泥0.5mLに対して、塩化鉄(III)を1.5mg添加したところ、Ni2+濃度、CO2+濃度ともに検出限界(0.5mg/L)以下であったものが、それぞれ、5.0mg/L、2.2mg/Lに上昇することが分かった。
これは、コロイド状の浮遊成分であるAGPがより安定にコロイドを生成可能なFe3+とイオン交換することによって、先に取り込んでいた必須金属イオン成分Ni2+、CO2+を排水中に再放出したことによるものと考えられる。
同様の試験を塩化鉄(III)1.5mgに代え塩化銅(II)・2水和物0.8mgとして行ったところ、Ni2+濃度、CO2+濃度ともに検出限界(0.5mg/L)以下であったものが、それぞれ、2.4mg/L、2.2mg/Lに上昇することが分かった。
つまり、Fe3+に代えてCu2+としても同様の効果が得られることがわかる。
したがって、メタン発酵に際して、前記系内に二価の鉄族金属イオン成分よりもイオン状態で安定な金属イオン成分を含む金属塩を添加しておくことによって、メタン細菌の活性を高く維持するために必要な必須金属イオン成分が、生化学的に難分解性の糖タンパクの形成するコロイドから放出され、それぞれ再補充されることになるので、効率の高いメタン発酵が期待できることがわかる。
〔実施例1〕メタン細菌に対する金属塩添加効果
10gCODcr/L・日の高負荷で連続処理することで上記バイオガス化効率の低下したコーヒー粕排水のメタン発酵汚泥に対して塩化鉄(III)もしくは塩化銅(II)を添加した時の、メタン細菌の活性の変化を調べたところ図2のようになった。
上記コーヒー粕排水のメタン発酵汚泥20mLに対して、金属塩として塩化鉄(III)を60mg添加したところ(図2中実線)、金属塩を添加しなかった場合(図2中破線)に比べて、バイオガス(メタン)発生量が増大することが確認できた。
つまり、メタン細菌の活性を高く維持するために必要な必須金属イオン成分を、二価の鉄族金属イオン成分よりもイオン状態で安定な金属イオン成分を含む金属塩により、再放出させることによって、メタン発酵能力を回復させ、効率よくバイオマスを処理してバイオガスを得ることができることが分かった。
〔実施例2〕メタン発酵試験
種々TS濃度のコーヒー粕排水を上記可溶化槽およびメタン発酵槽を備えたコーヒー粕の処理装置に供給し、塩化鉄(III)を添加することなく処理した。
TS濃度30%のコーヒー粕排水を希釈して、種々TS濃度のコーヒー粕排水とし、上記可溶化槽およびメタン発酵槽を備えたコーヒー粕の処理装置に供給してメタン発酵を行った。
その結果、表1に示すように、コーヒー粕排水のTS濃度がある程度高くなり、難分解性の糖タンパク濃度が高くなると、バイオガスの生産を2ヶ月以上継続するのは困難になることが分かった。すなわち、塩化鉄(III)を添加することなく処理すると、負荷が5gCODcr/L・日程度(AGP濃度で0.1%程度)になると安定的なバイオガス生産が困難になることがわかった。これに対し、試験例2に示すように金属塩の添加により負荷が10gCODcr/L・日程度に高くなっても安定的にバイオガスを生産し続けることができることが明らかになった。なお、表1中発酵安定性として記載されている○は、安定的にバイオガスを生産し続けることができることを表し、△は、メタン発酵の一時停止や発酵汚泥の追加により、バイオガスの生産を継続できる状況を表し、×は、メタン細菌が明らかに不活性化してバイオガスの生産を継続できない状況を表している。
Figure 2015003280
本発明は、AGP等の生化学的に難分解性の糖タンパクを高濃度に含有する系内において、前記系内のコーヒー粕等のバイオマスを効率よくメタン発酵させることを可能とし、廃棄物のメタンガス変換による有効利用ができる。
1 :可溶化槽
2 :メタン発酵槽
3 :固液分離部
10 :混合槽
11 :加熱部
12 :pH調整部
13 :金属塩添加部
20 :処理槽
30 :分離装置
L1 :受入路
L2 :移送路
L3 :引抜路
L4 :引抜路
L5 :メタン回収路
L6 :返送路
L7 :廃棄路
L8 :返送路

Claims (6)

  1. 生化学的に難分解性の糖タンパクを高濃度に含有する系内において前記系内のバイオマスをメタン発酵するバイオマス処理方法であって、
    メタン発酵に際して、前記系内に二価の鉄族金属イオン成分よりもイオン状態で安定な金属イオン成分を含む金属塩を添加しておくバイオマス処理方法。
  2. 前記生化学的に難分解性の糖タンパクが、AGPである請求項1に記載のバイオマス処理方法。
  3. 前記バイオマスが、生化学的に難分解性の糖タンパクを高濃度に含有するコーヒー粕である請求項1または2に記載のバイオマス処理方法。
  4. 前記二価の鉄族金属イオン成分よりもイオン状態で安定な金属イオン成分が、三価鉄または二価銅である請求項1〜3のいずれか一項に記載のバイオマス処理方法。
  5. コーヒー粕含有処理液を嫌気性条件下に可溶化する可溶化槽を備えるとともに、前記可溶化槽で可溶化したコーヒー粕含有処理液をメタン発酵するメタン発酵槽を備え、
    前記コーヒー粕含有処理液に二価の鉄族金属イオン成分よりもイオン状態で安定な金属イオン成分を含む金属塩を添加する金属塩添加部を備えたコーヒー粕の処理装置。
  6. 前記金属塩添加部を、前記可溶化槽に設けた請求項5に記載のコーヒー粕の処理装置。
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