以下の詳細な説明において、本明細書の一部を形成する添付図面を参照する。図面において、状況が別途指示しない限り、同様の記号は通例、同様の構成要素を示す。詳細な説明に記載する例示的実施形態、図面および特許請求の範囲は、限定を意味するものではない。本明細書に示す主題の精神および範囲を逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。本開示の態様は、一般に本明細書に記載し、図面に示すように、多種多様な各種の構成で配列、置換、併用、分離および設計可能であり、そのすべては本明細書で明示的に検討されることがただちに理解されるであろう。
一般に、本開示はとりわけ、たとえば電池などのエネルギー貯蔵装置の一部として電気化学セルを製造または使用することに関する組成物、方法、機器、システム、装置および/またはコンピュータプログラム製品に向けられている。
簡潔に示すと、電気化学セルの例は、それぞれ対応する電極に位置する2種類の導電性ポリマー;カチオン;導電性ポリマーの一方と接触する多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン;および電解質を含むことができる。いくつかの例において、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンは、導電性ポリマーの一方の共有結合置換基であり得る。他の例において、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンは、導電性ポリマーの一方と非共有結合的に接触させることができる。多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンは、リチウム以外のカチオン、たとえばナトリウムなどのアルカリ金属カチオンまたはカルシウムなどのアルカリ土類金属カチオンの使用を可能にできる。このような電気化学セルによって、既存のリチウムイオン電池の代替電池が提供できるようになり、公知のリチウム供給物と比較して、より豊富であり、より容易に抽出可能であり、またはより持続可能であり得るカチオンを使用できるようになる。
図1Aは、本明細書に記載する少なくとも一部の実施形態に従って構成された、第1の導電性ポリマー104を有する第1の電極102、および第2の導電性ポリマー106を有する第2の電極108を含むことができる電気化学セルの例100Aの概念図である。電気化学セルの例100Aは、第1の導電性ポリマー104に接触するのに適し得る、R・−で表される少なくとも1つの多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105も含むことができる。電気化学セルの例100Aは、M+で表される金属カチオン107も含むことができる。電気化学セルの例100A中に分散された電解質110Aは、電極102/108、第1および第2の導電性ポリマー104/106、ラジカルアニオン105ならびに金属カチオン107を導電結合するのに適し得る。
本明細書で使用する場合、「接触するのに適した」は、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105などの種が、第1の導電性ポリマー104などの別の種の共有結合置換基として構成できる例を含む。「接触するのに適した」は、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105などの種が非共有結合相互作用のみによって第1の導電性ポリマー104などの種と接触できる例も含むことができる。「非共有結合相互作用」は、共有結合以外のいずれの接触も含むことができる。たとえば非共有結合相互作用としては、ファンデルワールス相互作用、ロンドン力、静電相互作用、誘起分極相互作用、交換相互作用、磁性相互作用、伝導相互作用、電子移動などを挙げることができるが、それに限定されない。多様な例において、1つ以上の共有結合を介して相互に接触するのに適した1つ以上の種は、1つ以上の非共有結合相互作用を介しても相互に接触できる。「接触するのに適した」は、共有結合および非共有結合接触種の両方を中に有する電気化学セルの例も含むことができる。多様な例において、電気化学セルの例は、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105などの種と第1の導電性ポリマー104などの種の、共有結合および非共有結合接触の両方の例を含むことができる。
図1Bは、本明細書に記載する少なくとも一部の実施形態に従って構成された、第1の導電性ポリマー104を有する第1の電極102、および第2の導電性ポリマー106を有する第2の電極108を含むことができる電気化学セルの例100Bの概念図である。電気化学セルの例100Bは、R・−で表される多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105;およびM+で表される金属カチオン107も含むことができる。電気化学セルの例100Bは、固体アイオノマー電解質110Bによってセルの例100Aから区別できる。固体アイオノマー電解質100Bは、導電性ポリマー104/106間に位置するメンブレンの形で示されている。固体アイオノマー電解質100Bは、電極102/108、第1および第2の導電性ポリマー104/106、ラジカルアニオン105ならびに金属カチオン107を導電結合するのに適し得る。
図2Aは、本明細書に記載する少なくともいくつかの実施形態に従って構成された、図1Aにおけるセル100Aと同じ設計の2個の電気化学セルを含むことができる電池例200Aを示す概念図である。図2Aにおいて、2個の個々の電気化学セルは、直列電極201を通じて電極202Aから、次に電極208Aまで直列配置で共に結合できる。
図2Bは、本明細書に記載する少なくともいくつかの実施形態に従って構成された、図1Bにおけるセル100Bと同じ設計の2個の電気化学セルを含むことができる電池例200Bを示す概念図である。図2Bにおいて、2個の個々の電気化学セルは、並列電極202Bおよび208Bを介して並列配置で共に結合できる。
第1および第2の導電性ポリマー104および106は、いずれかの好適な導電性ポリマーまたは導電性ポリマーの混合物であり得る。本明細書で使用する場合、導電性ポリマーは、電気を伝導する、または電気を伝導するために酸化もしくは還元ドーピングできる有機ポリマーであり得る。導電性ポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマー、たとえばブロックコポリマー、ランダムコポリマーまたはグラフトコポリマーであり得る。
図3Aは、本明細書に記載する少なくともいくつかの実施形態に従って構成されている、電気化学セルの例および方法で用いることができる導電性ポリマーを表す化学構造を示す。導電性ポリマーの例としては、ポリピロール302、ポリフラン304、ポリチオフェン306、ポリチオフェンビニレン308、ポリ−パラ−フェニレン310、ポリ−パラ−フェニレンビニレン312、ポリ−パラ−フェニレンエチニレン314、ポリアニリン316、ポリ−パラ−フェニレンスルフィド318、ポリピリジン320、ポリアセチレン322およびポリカルバゾール324を挙げることができるが、それに限定されない。ホモポリマーの例としては、ポリピロール302、ポリフラン304、ポリチオフェン306、ポリ−パラ−フェニレン310、ポリアニリン316、ポリ−パラ−フェニレンスルフィド318、ポリピリジン320、ポリアセチレン322およびポリカルバゾール324を挙げることができる。コポリマーの例としては、ホモポリマーの1個以上の反復単位の交互ブロックを含むことができるブロックコポリマーを含む。たとえば単一の反復単位の交互ブロックを有するブロックコポリマーとしては、ポリチオフェンビニレン308(チオフェンおよびポリアセチレンの交互反復単位)、ポリ−パラ−フェニレンビニレン312(パラ−フェニレンおよびポリアセチレンの交互反復単位)などを挙げることができる。
多様な例において、第1の導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン(たとえばポリアセチレン322)、ポリアリーレン(たとえばポリ−パラ−フェニレン310)、ポリヘテロアリーレン(たとえばポリピロール302、ポリピリジン320など)、ポリビニルアリーレン(たとえばポリ−パラ−フェニレンビニレン312)、ポリビニルヘテロアリーレン(たとえばポリチオフェンビニレン308)、ポリアリーレンエチニレン(たとえばポリ−パラ−フェニレンエチニレン314)、ポリヘテロアリーレンエチニレン(たとえばポリピリジンエチニレン)またはそれの組合せもしくはコポリマーを挙げることができる。いくつかの例において、第1の導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリ(フルオレン)、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリ(ピロール)、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリ(チオフェン)、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリ(フェニレンスルフィド)またはそれの組合せもしくはコポリマーを挙げることができる。
多様な例において、第2の導電性ポリマーとしては炭化水素導電性ポリマーを挙げることができる。いくつかの例において、第2の導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン、ポリアリーレン、ポリアリーレンビニレン、ポリアリーレンエチニレン、またはそれの組合せもしくはコポリマーを挙げることができる。多様な例において、第2の導電性ポリマーとしては、ポリ−パラ−フェニレン、ポリ−パラ−フェニレンビニレン、ポリ−パラ−フェニレンエチニレン、ポリアセチレン、またはそれの組合せもしくはコポリマーを挙げることができる。
本明細書で使用する場合、多環式芳香族炭化水素は、2個以上の芳香環を含む炭素および水素の化合物であり得る。図3Bは、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105に好適な、例示的な多環式芳香族炭化水素の化学構造を示す。多環式芳香族炭化水素の例としては、たとえばナフタレン326、アセナフタレン328、アセナフチレン330、アセフェナントリレン332、アセアントリレン334、アントラセン336、フェナントレン338、フルオレン340、ビフェニレン342、フルオランテン344、トリフェニレン346、クリセン348、テトラセン350、ペリレン352、テトラフェニレン354、テトラフェン356、ピセン358、ペンタフェン360、ベンゾ[a]ピレン362、ベンゾ[e]ピレン364、ベンゾ[ghi]ペリレン366、コロネン368およびルビセン370を挙げることができるが、図3Bに示すものに限定されない。このような多環式芳香族炭化水素は、その多様な置換誘導体と同様に市販されている。多様な例において、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンは、ナフタレンラジカルアニオンまたはアントラセンラジカルアニオンであり得る。
多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105は、対応する多環式芳香族炭化水素の電気化学または化学還元によって、そのラジカルアニオン状態に変換できる。たとえば、ナフタレンラジカルアニオンのナトリウム塩であるナトリウムナフタレンは、ナフタレンの無水テトラヒドロフラン溶液を金属ナトリウムと共に撹拌することによって調製できる。同様に、アントラセンラジカルアニオンのカリウム塩は、アントラセンの無水テトラヒドロフラン溶液を金属カリウムと共に撹拌することによって調製できる。いくつかの多環式芳香族炭化水素は、ナトリウムナフタレンなどのように、それのラジカルアニオン状態で市販されている。
カチオン107は、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105とのイオン性相互作用に好適である、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、またはその混合物などのいずれの移動カチオンでもよい。多様な例において、カチオンに好適なアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたはフランシウムを挙げることができる。多様な例において、カチオンに好適なアルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよびラジウムを挙げることができる。いくつかの例において、カチオン107としては、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウムおよびバリウムのカチオンを挙げることができる。多様な例において、カチオン107としては、ナトリウム、カリウムおよびカルシウムのカチオンを挙げることができる。いくつかの例において、カチオン107はナトリウムカチオン、Na+であり得る。
多様な例において、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105は、第1の導電性ポリマー104と非共有結合接触させることができる。図4Aは、中性多環式芳香族炭化水素と接触している第1の導電性ポリマー104のいくつかの例を示す。図4Aは、金属カチオンおよび多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンの対応する塩と接触している第1の導電性ポリマーのいくつかの例も示す。
たとえば、一般構造400は、Pによって表される反復単位を含む第1の導電性ポリマー104を示す。一般構造400は、Rによって表される、中性形の非共有結合的に結合した多環式芳香族炭化水素105と接触させることができる。一般構造400は、金属Mと接触してもよい。一般構造400は、化学または電気化学酸化還元条件を受けることができ、この条件はRをR・−に還元して、および/またはMをM+に酸化して、ポリマー400’を生じさせることができる。ポリマー400’は、R・−によって表される多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105と非共有結合接触させることができる。ポリマー400’は、M+によって表される金属カチオン107を含むことができる。
図4Aに示す別の例において、ポリアセチレン322のサンプルは、無水テトラヒドロフラン中でナフタレンおよび金属ナトリウムと化合させることができる。ナフタレンおよび金属ナトリウムは反応して、ナフタレンラジカルアニオンのナトリウム塩を形成できる。テトラヒドロフラン溶媒が除去されて、ナフタレンラジカルアニオンのナトリウム塩によってドーピングされたポリアセチレンを含むことができる複合体322’が残され得る。
図4Aに示すさらなる例において、ポリビニルカルバゾール324は、無水テトラヒドロフラン水中でナフタレンおよび金属ナトリウムと化合されて、ナフタレンラジカルアニオンのナトリウム塩によってドーピングされたポリビニルカルバゾールを含むことができる複合体324’を生じることができる。
多様な例において、第1の導電性ポリマーは、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンによって共有結合的に置換できる。図4Bは、共有結合多環式芳香族炭化水素置換基を有する導電性ポリマーのいくつかの例を示す。図4Bは、金属カチオンおよび共有結合多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン置換基の対応する塩と接触している導電性ポリマーの例も示す。
たとえば、一般構造401は、Pによって表される反復単位およびRによって示される、中性形の共有結合多環式芳香族炭化水素105を有する第1の導電性ポリマー104を示す。一般構造401は、化学または電気化学酸化還元条件下で金属Mと接触して、ポリマー401’を生じさせることができる。ポリマー401’は、R・−によって表される共有結合された多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105を含むことができる。ポリマー401’は、M+によって表される金属カチオン107を含むことができる。
図4Bに示す別の例において、ナフタレン置換ポリ−パラ−フェニレン402は、好適な溶媒、たとえばテトラヒドロフランに溶解することができ、好適な金属、たとえばナトリウムと反応させることができる。溶媒の除去により、第1のポリマー104の置換基としてのナフタレンラジカルアニオン105をNa+カチオン107と共に含むことができるポリマー402’が残る。
図4Bに示すさらなる例において、N−ナフチルポリアニリン404は、好適な溶媒、たとえばテトラヒドロフランに溶解することができ、好適な金属、たとえばナトリウムと反応させることができる。溶媒の除去により、第1のポリマー104の置換基としてのナフタレンラジカルアニオン105をNa+カチオン107と共に含むことができる、ドーピングされた複合体404’が残る。
図4Cは、共有結合的に付着した多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン置換基と接触している、第1の導電性ポリマーのいくつかの例のナトリウム塩を示す。たとえば、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン置換基は、ポリピロール誘導体406、ポリチオフェン誘導体410、ポリ−パラ−フェニレン誘導体412、ポリピリジン誘導体414およびポリアニリン誘導体416にてC置換しているのが示されている。また、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン置換基は、ポリピロール誘導体408およびポリアニリン誘導体418にてN置換しているのが示されている。他の例において、好適な第1の導電性ポリマーは、図4Cに示す導電性ポリマーの組合せまたはコポリマーを含むことができる。
図4Dおよび図4Eは、共有結合的に付着した多環式芳香族炭化水素置換基を有するポリマーを調製するための合成手順のいくつかの例を示す。図4Dおよび図4Eは、本明細書に記載する少なくともいくつかの実施形態に従って構成される、共有結合的に付着した多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン置換基を形成するために用いることができる、続いての反応も示す。多様な合成手順の例の詳細な実例については、下の実施例7から13も参照のこと。
たとえば、導電性ポリマーの重合のためのモノマーは、多環式芳香族炭化水素によって最初に置換され、次に公知の化学または電気化学重合法に従って重合させることができる。多様な例において、多環式芳香族炭化水素は、周知の鈴木カップリング反応を使用した対応するブロモおよびボロン酸エステル置換前駆体のテトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム触媒クロスカップリングを介して、導電性ポリマーのアリールまたはヘテロアリールモノマーにカップリングさせることができる(反応スキーム420、422および424)。さらなる詳細事項および具体的な実例については、実施例7、8および9を参照のこと。
多くのチオフェン、フランおよびピロールは、標準の電気化学方法を使用して、その対応する導電性ポリマーに重合させることができる。いくつかの例において、伝えられるところによれば、いくつかの3置換チオフェン、フランおよびピロールの電気化学重合は立体効果のために阻害される。幸いにも、多くの公知の化学的方法は、3置換チオフェン、フランおよびピロールの有効なレジオランダムおよびレジオレギュラー重合を提供できる。公知の化学的方法から改変された例を、反応スキーム426および428に示す。たとえば、2当量のN−ブロモ−スクシンイミドの存在下での3置換チオフェンの照射によって、2,5−ジブロモ−3置換チオフェンを産生できる。これらの2,5−ジブロモ−3置換チオフェンは、ニッケルアセトアセテート触媒を使用して、直接重合でき、対応するレジオランダムポリマーを形成できる。他の例において、2,5−ジブロモ−3置換チオフェンは、いわゆる「リーケ亜鉛」を用いて処理されて、有機金属同位体の混合物を形成できる。有機金属同位体の混合物のレジオランダム重合は、触媒量のテトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウムを使用して行うことができる。有機金属同位体の混合物のレジオレギュラー重合は、触媒量の1,2−ビス(ジフェニルホスフィン)エタンニッケル(II)クロリドを使用して行うことができる。さらなる詳細事項および具体的な実例については、実施例10を参照のこと。
他の例において、図4Eの反応スキーム430により、1級アミンまたは2級アミンを有するモノマー、たとえばピロールは、ハロ多環式芳香族炭化水素を使用してN置換できることが示されている。N置換モノマーは、電気化学または化学重合によって対応するN置換ポリマーに重合できる。さらなる詳細事項および具体的な実例については、実施例11を参照のこと。さらなる例、図4Eにおいて、反応スキーム432により、1級または2級アリールアミンを有するポリマー、たとえばポリアニリンは、ハロ多環式芳香族炭化水素を使用してN置換できることが示されている。さらなる詳細事項および具体的な実例については、実施例12を参照のこと。
別の例において、置換ポリアリーレンビニレンまたはヘテロアリーレンビニレンは、R置換アリールまたはヘテロアリール前駆体から、多様な公知の経路によって合成できる。公知の経路から改変された手順の例を、図4Eの反応スキーム434に示す。3置換2,5ジブロモチオフェン(反応スキーム426に示すように得た)は、ブチルリチウムとの反応により、続いてホルミルピペリジンにより、2,5−ジホルミル化合物に変換できる。2,5−ジホルミル化合物は、水素化アルミニウムリチウムを使用して還元されて、2,5−ジメタノール化合物を与えることができる。2,5−ジメタノール誘導体は、チオニルクロリドによって対応する2,5−ジクロロメチル化合物に変換できる。2,5−ジクロロメチル化合物は、ジエチルジチオカルバミン酸(diethyldithiocarbamato)ナトリウム3水和物と反応して、対応する2,5−ビスジエチルジチオエチルカルバミン酸(diethyldithiocarbamato)誘導体を形成できる。2,5−ビスジエチルジチオカルバミン酸(diethyldithiocarbamato)誘導体はレジオ特異的方式で、リチウムイソプロピルアミドと重合して、ジエチルジチオカルバミン酸置換基を有する初期ポリマーを形成できる。続いての初期ポリマーの熱分解により、たとえば置換チオフェンビニレンが生成される。さらなる詳細事項および具体的な実例については、実施例13を参照のこと。
各反応スキーム420、422、424、426、428、430、432および434において、最後のステップは、金属カチオン前駆体の存在下での化学または電気化学還元を含むことができ、たとえばナトリウム金属との反応により、金属カチオンNa+および共有結合的に結合した多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンR・−の塩が産生される。
図4Dおよび図4Eに記載した反応の好適な出発物質としては、多環式芳香族炭化水素の、および導電性ポリマーモノマーのハロまたはホウ酸塩/ホウ酸エステル置換誘導体を挙げることができる。多環式芳香族炭化水素の、および導電性ポリマーモノマーのハロゲン誘導体は、ハロゲンラジカル源、たとえばN−ブロモ−スクシンイミドまたはN−クロロ−スクシンイミドの存在下で、非置換多環式芳香族炭化水素の混合物を照射することによっても合成できる。ボロン酸塩エステル置換誘導体は、パラジウムジクロリドの存在下で、対応するハロ誘導体とピナコールボランとの反応によっても合成できる。
多様な例において、たとえば図1Aに示すように、電解質110Aとしては液体電解質を挙げることができる。いくつかの例において、電解質としては、ポリオキシアルキレン、ポリオキシアルキレンアルコール、アルキルエーテル、シクロアルキルエーテル、アルキレンカーボネート、シクロアルキレンカーボネート、アルカノン、シクロアルカノン、ラクトンまたはその組合せを挙げることができる。好適なポリオキシアルキレンまたはポリオキシアルキレンアルコールとしては、たとえばポリエチレンオキシドまたはポリエチレングリコールを挙げることができる。好適なアルキルエーテルとしては、たとえばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどを挙げることができる。好適なシクロアルキルエーテルとしては、たとえばテトラヒドロフラン、ジオキサンなどを挙げることができる。好適なアルキレンまたはシクロアルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどを挙げることができる。好適なアルカノンまたはシクロアルカノンとしては、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどを挙げることができる。好適なラクトンとしては、ベータ−プロピロラクトン、ガンマ−ブチロラクトン、デルタ−バレロラクトンなどを挙げることができる。
多様な例において、電解質としては、1つ以上の電解質塩を挙げることができる。好適な電解質塩としては、金属カチオン107、他のカチオン、たとえばアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、ホスホニウムまたはテトラアルキルホスホニウム、その組合せなどを挙げることができる。いくつかの例において、電解質塩としては、金属カチオン107を挙げることができる。好適な電解質塩としては、アニオン、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、カルボキシレート、トリフルオロメタンスルホネート、ビストリフルオロメタンスルホンイミデート、フルオロサルフェート、ヘキサフルオロホスフェート、ペルクロレート、テトラフルオロボレート、p−トルエンスルホネート、ニトレートなどを挙げることができる。好適なカルボキシレートとしては、たとえばアセテート、ベンゾエートなどを挙げることができる。いくつかの例において、電解質塩としては、ペルクロレートまたはトリフルオロメタンスルホネートアニオンを挙げることができる。
いくつかの例において、電解質は、第1の導電性ポリマーを第2の導電性ポリマーから分離するアイオノマーの塩、たとえば図1Bに示すアイオノマー電解質110Bを挙げることができる。本明細書で使用する場合、アイオノマーは、電気的に中性の反復単位およびイオン化性反復単位の両方を含むことができるポリマーであり得る。好適な中性反復単位としては、アルキル、アルキルエーテル、ペルフルオロアルキルおよびペルフルオロアルキルエーテル単位を挙げることができる。好適なイオン化性反復単位としては、スルホネート、ホスフェートおよびカルボキシレートを挙げることができる。多くの好適なアイオノマーは市販されていて、プロトン交換メンブレンとして一般に用いることができる。多様な例において、好適なアイオノマーとしては、商品名ナフィオン(登録商標)(デュポン、ウィルミントン、デラウェア州)として公知のポリテトラフルオロエチレン:ペルフルオロスルホン酸コポリマーのクラスを挙げることができる。これらのアイオノマーは、末端スルホネートを有するポリフルオロビニルエーテル基によって置換された、ポリポリテトラフルオロエチレン骨格を特徴とすることができる。図5は、固体電解質として機能し得るアイオノマーメンブレンの1つの具体例、すなわちテトラフルオロエチレン−ペルフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホン酸コポリマー(CAS登録番号66796−30−3、「ナフィオン(登録商標)−H」)を表す化学構造を示す。
第1および第2の電極102および108は、いずれの好適な導電性材料、たとえば金属またはそれの合金、導電性ポリマー、導電性酸化物などからも作製できる。いくつかの例において、第1および第2の電極102および108としては、金属または合金が挙げられ、金属または合金としては、1つ以上の金属、たとえば銅、アルミニウム、スズ、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、銀、金、白金、パラジウム、バナジウム、マンガン、チタン、タングステン、インジウム、亜鉛、カドミウムなどを含むことができる。いくつかの例において、第1および第2の電極102および108は、シート、ワイヤ、プレート、箔、テープなどの形であり得る。いくつかの例において、第1および第2の電極102および108は、導電性ポリマー104および106について上で記載した導電性ポリマーのいずれも挙げることができる。いくつかの例において、第1または第2の電極102および108は、対応する第1または第2の導電性ポリマー104または106と一致し得る。たとえば第1の電極102は、第1の導電性ポリマー104でもあり得る。いくつかの例において、第1および第2の電極102および108としては、導電性酸化物、たとえばインジウムスズオキシド、アルミニウムドープ亜鉛オキシド、インニウムドープカルシウムオキシドなどを挙げることができる。
種の電荷および数、たとえば図1Aおよび図1Bにおける多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105のR・−および金属カチオン107のM+は、概念を示す目的で示され、限定するものではない。たとえば金属カチオンは、2価カチオン、たとえばCa++、Ba++、Mg++などであり得る。同様に、ラジカルおよび正または負電荷の位置は、概念を示す目的で示され、限定するものではない。
さらに、いつでも電気化学セル100Aまたは100Bの電気化学状態に応じて、帯電しているとして示された種のうちある部分は、中性形として存在し得る。たとえば、多環芳香族炭化水素ラジカルアニオン105のある部分は、その中性形、ナフタレンに対して、対応する中性多環式芳香族炭化水素の形、たとえばナフタレンラジカルアニオンであり得る。別の例において、金属カチオン107のある部分は、中性ナトリウム金属に対して、その中性形、たとえばナトリウムカチオンであり得る。
実施形態の例は、本明細書に記載したような、電気化学セルまたは電池を作製する方法も含むことができる。これらの方法は、本明細書に記載する構成を含む、いくつもの手法で実施できる。このような1つの手法は、本開示に記載する種類の装置の機械操作によるものであり得る。別の必須ではない手法は、操作の一部を行う1人以上の人間オペレータと連携して行われる方法の1つ以上の個々の操作のためであり得るが、他の操作は機械によって行うことができる。多様な人間オペレータを互いに並べて配置する必要はなく、代わりに操作の一部を行う1台以上の機械の周囲に各オペレータ(operated)を配置できる。他の例において、人間の介入は、たとえば機械により自動化できる事前に選択された基準によって自動化できる。
図6は、本明細書に記載する少なくともいくつかの実施形態によって構成された、電気化学セルの例、たとえば電気化学セル100Aもしくは100B、または対応する電池、たとえば電池200Aもしくは電池200Bの作製に使用できるステップを示すフローチャートである。
多様な例において、電気化学セル、たとえばセル100Aを作製する方法は、第1の導電性ポリマー104を含み、多環式芳香族炭化水素105も含む第1の電極102を形成するステップを含むことができる。多環式芳香族炭化水素105は、その中性形であり得る。電気化学セル、たとえばセル100Aを作製する方法は、第2の導電性ポリマー106を含むことができる第2の電極108を形成することも含むことができる。電気化学セル、たとえばセル100Aを作製する方法は、多環式芳香族炭化水素105を金属、すなわち金属カチオン107に相当する金属と接触させることも含むことができる。たとえば、金属カチオン107がNa+である場合、多環式芳香族炭化水素105はナトリウム金属と接触させることができる。電気化学セル、たとえばセル100Aを作製する方法は、電解質110Aを第1および第2の導電性ポリマー104および106、多環式芳香族炭化水素105ならびに金属カチオン107と接触させることも含むことができる。電解質は、本明細書で上述したような1つ以上の成分を含むことができ、たとえばいくつかの実施形態において、電解質はプロピレンカーボネートおよびナトリウムペルクロレートを含むことができる。電気化学セル、たとえばセル100Aを作製する方法は、多環式芳香族炭化水素105をその多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン形に還元して、金属をその金属カチオン形107に酸化することも含むことができる。たとえば、多環式芳香族炭化水素105がナフタレンであり、上記のようなナトリウム金属と接触し得る場合、ナトリウム金属はナフタレンと化学的に反応して、ナフタレンラジカルアニオンおよびナトリウムカチオンを含むことができる塩を形成できる。電気化学セル、たとえばセル100Bを作製する方法は、前述のステップの1つ以上を、電解質110Bを第1および第2の導電性ポリマー104および106、多環式芳香族炭化水素105ならびに金属カチオン107と接触させるステップをと組合せることができる。本明細書で上述した多様な例において、電解質110Bは、第1および第2の導電性ポリマー104および106と接触するアイオノマーであって、たとえばメンブレンの形であり得るアイオノマーを含むことができる。
導電性ポリマー104および106ならびにアイオノマー電解質110Bを形成するための好適なポリマー処理方法としては、このようなポリマーの形成についてすでに公知である多様な方法を挙げることができる。方法の例としては:溶融処理;溶媒蒸発;減圧溶媒蒸発;スピンコーティング;浸漬コーティング;スプレーコーティング;溶媒キャスティング;ドクターブレーディング;超臨界条件下での溶媒除去;ポリマーの前駆体からのインサイチュー重合;インサイチューでのポリマー硬化または架橋;事前に形成されたポリマー層またはメンブレン、たとえばアイオノマー電解質110Bの市販のアイオノマープロトン交換メンブレンの追加などの1つ以上の技法を挙げることができる。好適なポリマー処理条件の具体的な詳細事項は、特定の導電性ポリマーまたはアイオノマーに基づいて選択できる。たとえば、代表的な溶液キャスティング方法は、問題のポリマーの高沸点溶媒を用いる。
導電性ポリマーを作製するための1つの追加の考慮事項として、他の記載した成分、たとえば電解質110Aについて上述したような多環式芳香族炭化水素105、金属カチオン107の金属前駆体および移動電解質成分を分散させる多様な混合技法を挙げることができる。このような成分は、ポリマーまたはポリマー前駆体の溶液または液体中に分散させることができる。分散方法としては、機械的技法、たとえばポリマーと組合せて分散される成分を撹拌または機械的にボールミル処理することを挙げることができる。分散方法としては、たとえポリマーと接触している成分の超音波処理も挙げることができる。多様な例において、分散成分の沈降を避けるため、分散方法(たとえば超音波処理)の直後には、ポリマー形成方法(たとえばスピンコーティング)を続けることができる。
ここで再度図6を参照すると、本明細書に記載するような電気化学セルを作製する方法の例は、図8の装置800などのコンピュータ装置または図7の製造コントローラ790などの専用コントローラによって制御できる。コントローラ装置610は、コンピュータ装置800、製造コントローラ790または方法の実施を制御するためのコンピュータ可読媒体620に記憶されている命令を実行するように設定された同様の装置として実現できる。本明細書に記載するような電気化学セルを作製するプロセスは、ブロック622、624、626、628および/または630の1つ以上によって示されるような1つ以上の操作、機能または動作を含むことができる。
いくつかのプロセスの例は、操作622「第1の電極を形成するための、多環式芳香族炭化水素(PAH)を含む第1の導電性ポリマーを調製する」で開始できる。操作622は、たとえば図7のミキサ/リアクタ/アプリケータ機792によって行うことができる。機械792は、上記のような導電性ポリマー104を溶解および/または反応させるための1つ以上の混合機能、たとえば機械的撹拌、超音波処理を含むことができる。機械792は、薄層などを形成するためにたとえばポリマー104および106の溶液を塗布するための1つ以上の塗布機能を含むことができる。操作622において、製造コントローラ790は機械792に、導電性ポリマー104が混合および処理される経過時間によって、たとえば機械的撹拌または超音波処理の程度に関係するパラメータを用いて命令できる。操作622は、所定の条件が満足されるまで継続できる。「所定の条件」としては、たとえばポリマー104の少なくとも一部を溶解させるのに十分な混合時間;ポリマー104の少なくとも一部の溶解に対応する粘度;ポリマー104の少なくとも一部の溶解に対応する視覚的または分光学的指標、たとえば屈折率または濁度などを挙げることができる。
いくつかの例において、操作622は重合と併せて行うことができる。たとえば、機械792の1つ以上の混合機能は、導電性ポリマー104または106のモノマー前駆体を溶解および/または反応させるために用いることができる。機械792は、たとえば導電性ポリマー104または106のモノマー前駆体を第1または第2の電極102または108と接触させるための、1つ以上の塗布機能を含むことができる。また、必須ではない電気化学コントローラ798は、第1または第2の電極102または108にて導電性ポリマー104または106のモノマー前駆体を電気化学的に重合するように操作できる。
操作622には、操作624「PAHを金属と接触させ、PAHをPAHラジカルアニオンに還元し、金属を金属カチオンに酸化する」を続けることができる。操作624において、製造コントローラ790は場合により、混合/リアクタモードで動作している機械792と連携する、機械金属アプリケータ機794にパラメータを用いて命令できる。操作624における命令は、たとえば多環式芳香族炭化水素105と金属との反応の経過時間による機械的撹拌または超音波処理の程度に関係している。操作624における命令は、たとえば多環式芳香族炭化水素105および金属カチオン107を導電性ポリマー104と混合する態様にも関係し得る。操作624は、所定条件を達成できる、たとえば混合が多環式芳香族炭化水素105、金属カチオン107および導電性ポリマー104を反応および混合するのに十分な長さの時間にわたって進行するまで継続できる。操作624は、本明細書に記載するように金属と多環式芳香族炭化水素105との化学反応によって行うことができるか、または操作624は、必須ではない電気化学電源798を使用する反応の電気化学的制御によって行うことができる。
操作622と同様に、操作626「第2の電極を形成するために第2の導電性ポリマーを調製する」において、製造コントローラ790は、たとえば導電性ポリマー106が混合および形成される経過時間による機械的撹拌または超音波処理の程度に関係するパラメータを用いて、機械792に命令できる。操作626は、所定条件を達成できるまで、たとえば混合がポリマー106を溶解させるのに十分な長さの時間にわたって進行するまで継続できる。
多様な例において、ポリマー104および106、多環式芳香族炭化水素105ならびに金属カチオン107の混合は、約5分から12時間の間の超音波処理を含むことができる。いくつかの例において、好適な超音波処理時間は、約15分から約8時間の、約30分から約4時間の範囲に及び、またはいくつかの例において約2時間である。機械的撹拌または超音波処理を含む混合のための好適な温度は、約0℃から約120℃の間の、またはいくつかの例において、約20℃から約100℃の間の、約30℃から約90℃の間の、約40℃から約80℃の間の、約50℃から約70℃の間の範囲、またはいくつかの例において約60℃であり得る。
操作622、624および/または626には、操作628「第1および第2の電極を形成するために、第1および第2の導電性ポリマー層を塗布する」を続けることができる。操作628において、プロセッサ(たとえばプロセッサ610)は、コーティングまたは形成機、たとえば図7のコーティング/形成機792を制御できる。好適なコーティング技法は:溶融処理;溶媒蒸発;減圧溶媒蒸発;スピンコーティング;浸漬コーティング;スプレーコーティング;溶媒キャスティング;ドクターブレーディング;超臨界条件下での溶媒除去;ポリマーの前駆体からのインサイチュー重合;インサイチューでのポリマー硬化または架橋などの1つ以上を含むことができる。いくつかの例において、操作628は、機械792のコーティング機能に応じて、たとえばスピンコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティングなどによって、溶媒混合物で表面をコーティングするように機械792に指示できる。他の例において、ポリマー104もしくは106がたとえば溶融によって液体状態にあり得る場合、またはポリマー104もしくは106が単独でもしくは多環式芳香族炭化水素105および/もしくは金属カチオン107と共に固体溶液として混合できる場合、コーティング/形成機792は、コーティング/形成機794の押出または成形機能に応じて、たとえば押出、共押出または射出成形によって層または物品を形成できる。
操作628には、操作630「電解質を第1および第2の導電性ポリマー、PAHおよび金属に接触させる」を続けることができる。操作630において、プロセッサ(たとえばプロセッサ610)は、図7の電解質アプリケータ796を制御できる。好適な電解質接触技法は、図1Aに示すような電気化学セル100Aを作製する場合と同様に、たとえばポリマー104および106を液体電解質110Aと接触させることを含むことができる。好適な電解質接触技法は、図1Bに示すような電気化学セル100Bを作製する場合と同様に、たとえばポリマー104および106をメンブレン電解質110Bと共に共押出、接触または連続層形成することも含むことができる。操作630は、メンブレン電解質110Bの性質に応じて:溶融処理;溶媒蒸発;減圧溶媒蒸発;スピンコーティング;浸漬コーティング;スプレーコーティング;溶媒キャスティング;ドクターブレーディング;超臨界条件下での溶媒除去;ポリマーの前駆体からのインサイチュー重合;インサイチューでのポリマー硬化または架橋などの1つ以上を含むことができる。
上記の図6のプロセスに含まれる操作は、例証を目的とするにすぎない。本明細書に記載する電気化学セルの例を作製するプロセスは、より少ないまたはより多い操作を有する同様のプロセスによって実施できる。いくつかの例において、操作は異なる順序で行うことができる。他のいくつかの例において、多様な操作を省くことができる。なお他の例において、多様な操作をより多い操作に分けることができるか、またはより少ない操作にまとめることができる。連続して順序付けられた操作として示されているが、いくつかの実施において、多様な操作は異なる順序で行うことができ、またはいくつかの場合において、多様な操作は実質的に同時に行うことができる。
図7は、本明細書に記載する少なくともいくつかの実施形態に従って構成された、図6に概要を示すプロセスステップを使用する、本明細書に記載するような誘電材料の例の作製に使用できる、自動化機械700のブロック図である。図7に示すように、製造コントローラ790は、図6に記載したステップを行うために使用できる機械、たとえばポリマー混合/反応/アプリケータ792、金属アプリケータ機794、電解質アプリケータ機796および/または必須ではない電気化学コントローラ798に連結できる。製造コントローラ790は、人間による制御により、ネットワーク710を介したリモートコントローラ770によって、またはコンピュータプログラムに見られるような機械実行命令によって操作できる。誘電材料を作製する異なるプロセスの制御に関連するデータは、データ記憶装置780への記憶、および/またはデータ記憶装置780からの受信が可能である。
実施例1−6:図6および7について上述した機械およびステップを使用して電気化学セルおよび対応する電池を作製する方法の例を、以下でいくつか述べる。後述するプロセス、材料および量の例は、例証を目的とするにすぎず、実施形態に対する限定を構成しない。有機ナトリウムポリマー電気化学セルおよび対応する電池は、本明細書に記載する原理を使用して、多種多様の材料、量、プロセスによって製造できる。
非共有結合的に付着した多環式芳香族炭化水素を用いた電気化学セルの例100Aの作製
ポリアニリン溶液は、無水テトラヒドロフラン(THF)中に、THF100ミリリットル中0.005molの濃度でアニリン反復単位を溶解することによって形成できる。ポリアニリン−THF溶液を約0.005mol以上のナトリウムナフタレンを含有する無水THF溶液と合せることができる。合せたポリアニリン−ナトリウムナフタレン−THF溶液混合物を、混合を補助するために約20分間超音波処理する。超音波処理したポリアニリン−ナトリウムナフタレン−THF溶液を、約30℃および無水、大気圧にてスピンコーティングによって、第1の電極102(たとえば金属箔)上に薄層として形成する。THFを蒸発させてナトリウムナフタレンでドープしたポリアニリンを第1の導電性ポリマー104の薄膜として産生するために、薄層を約150℃にて1分間焼成できる。第2の導電性ポリマー106としてのポリ−パラ−フェニレンビニレンの溶液は別に調製され、約30℃および無水、大気圧でのスピンコーティングにより第2の電極108(たとえば金属箔)上に薄層として形成され、THFを蒸発させるために焼成されて、薄膜として第2の導電性ポリマー106を産生できる。第1および第2の導電性ポリマー104および106は、第1および第2の電極102および108にて薄膜として作製できる。次に、図1Aに示すように、第1の電極および第1の導電性ポリマー102/104は、第2の電極および第2のポリマー106/108に接触させることができる。電解質成分、たとえばポリエチレンオキシドおよびナトリウムペルクロレートが添加されて、導電性ポリマー層を透過させることができる。結果は、図1Aに示すように形成された電気化学セルの例100Aであり得る。
非共有結合的に付着した多環式芳香族炭化水素を用いた電気化学セルの例100Bの作製
第1および第2の導電性ポリマー104および106は、前述の実施例の手順に記載したように、第1および第2の電極102および108にて薄膜として作製できる。次に、第1の電極および第1の導電性ポリマー102/104ならびに第2の電極および第2のポリマー106/108は、図1Bに示すようにアイオノマーメンブレン110Bのいずれかの側に接触させることができる。結果は、図1Bに示すように形成された電気化学セルの例100Bであり得る。追加の電解質成分、たとえばポリエチレンオキシドおよびナトリウムペルクロレートが添加されて、導電性ポリマー層を透過させることができる。
共有結合的に付着した多環式芳香族炭化水素を用いた電気化学セルの例100Aの作製
前述の実施例において、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105は、第1の導電性ポリマー104である、ポリアニリンと非共有結合的に接触させることができる。本実施例において、ナフタレンは最初に、ポリアニリンの窒素に共有結合的に結合できる。ポリアニリン溶液は、無水テトラヒドロフラン(THF)中に、無水THF約100ミリリットル中約0.005molの濃度でアニリン反復単位を溶解することによって形成できる。ポリアニリン−THF溶液は、ナフチルブロミド約0.005molを含有する無水THF溶液と合せて、反応を補助するために約20分間超音波処理できる。生じたN−ナフチルポリアニリンのTHF溶液を次に、ナトリウム金属約0.005モル上で、ナトリウム金属が溶解するまで撹拌および超音波処理して、N−ナフチル基のラジカルアニオンを形成させることができる。約30℃および無水、大気圧でのスピンコーティングによって、第1の電極102(たとえば金属箔)上に薄層を形成させることができる。THFを蒸発させてナトリウムN−ナフタレンでドープしたポリアニリンを第1の導電性ポリマー104の薄膜として産生するために、薄層を約150℃にて約1分間焼成できる。第2の導電性ポリマー106としてのポリ−パラ−フェニレンビニレンの溶液は別に調製され、約30℃および無水、大気圧でのスピンコーティングにより第2の電極108(たとえば金属箔)上に薄層として形成され、THFを蒸発させるために焼成されて、薄膜として第2の導電性ポリマー106を産生できる。第1および第2の導電性ポリマー104および106は、第1および第2の電極102および108にて薄膜として作製できる。次に、図1Aに示すように、第1の電極および第1の導電性ポリマー102/104は、第2の電極および第2のポリマー106/108に接触させることができる。電解質成分、たとえばポリエチレンオキシドおよびナトリウムペルクロレートが添加されて、導電性ポリマー層を透過させることができる。本実施例の手順により、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105が第1のポリマー104に共有結合的に付着できる、図1Aに示すような電気化学セル100Aを産生できる。
共有結合的に付着した多環式芳香族炭化水素を用いた電気化学セルの例100Bの作製
第1および第2の導電性ポリマー104および106は、前述の実施例の手順に記載したように、第1および第2の電極102および108にて薄膜として作製できる。次に、第1の電極および第1の導電性ポリマー102/104ならびに第2の電極および第2のポリマー106/108は、図1Bに示すようにアイオノマーメンブレン110Bのいずれかの側に接触させることができる。結果は、図1Bに示すように形成された電気化学セルの例100Bであり得る。追加の電解質成分、たとえばポリエチレンオキシドおよびナトリウムペルクロレートが添加されて、導電性ポリマー層を透過させることができる。
非共有結合的に付着した多環式芳香族炭化水素を用いた電池の例200Aの作製
2個の電気化学セルの例100Aは、実施例1で上述したように構成できる。2個の電気化学セルの例は、図2Aに示すように直列に結合され、電池の例200Aを得ることができる。電気化学セルは実施例1のように構成できるため、多環式芳香族炭化水素(ここではナフタレンまたはナトリウムナフタレン)は、第1の導電性ポリマー(ここではポリアニリン)と非共有結合的に接触させることができる。
共有結合的に付着した多環式芳香族炭化水素を用いた電池の例200Bの作製
2個の電気化学セルの例100Bは、実施例4で上述したように構成できる。2個の電気化学セルの例は、図2Aに示すように直列に結合されて、電池の例200Bを得ることができる。電気化学セルは実施例4のように構成できるため、多環式芳香族炭化水素(ここではナフタレンまたはナトリウムナフタレン)は、第1の導電性ポリマー(ここではポリアニリン)に共有結合的に結合された基であり得る。
実施例7−13:多環式芳香族炭化水素によって共有結合的に置換できる第1の導電性ポリマーの例104を作製する方法の例を、以下でいくつか述べる。すべて本明細書で論じる少なくともいくつかの実施形態に従って構成された、多環式芳香族炭化水素を多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105に還元して、対応する金属を金属カチオン107に酸化するためにポリマーを反応させるためのステップも含まれる。
共有結合多環式芳香族炭化水素置換基を有するレジオランダムポリフラン導電性ポリマーの合成
図4Dの反応スキーム420を参照のこと。1−ブロモナフタレン約0.01モルおよびフラン−3−ボロン酸ピナコールエステル約0.01モルを含有する、THF100ミリリットルの無水溶液を調製できる。カリウムカーボネート約0.01モルおよびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム触媒約0.0003モルを添加することができ、生じた混合物を不活性雰囲気下で約12時間にわたり撹拌および還流できる。次に混合物は冷却され、希クエン酸水溶液で洗浄することができ、溶媒が除去できる。生じた固体である3−ナフタ−1−イル−フランは、テトラブチルアンモニウムペルクロレート電解質中で約0.1Mであり得る乾燥アセトニトリル約25ミリリットルに溶解できる。適切な電極を添加することができ、サイクリックボルタモグラムを行って、約1から2ボルトの間の範囲の適切な電気重合電位を決定できる。次に溶液は、約0.01モルの電荷が通過するまで、決定された電位を印加できる。生じたポリマー膜は、アノードから除去して直接使用できる。代替的に、膜はソックスレー装置内で還流THFによって抽出できる。THF溶液は、1−ナフチル基によってレジオランダムに置換されたポリフランを含有し、スピンコーティング、浸漬コーティングなどに使用できる。1−ナフチル基によってレジオランダムに置換されたポリフランの溶液はまた、金属ナトリウム約0.01モルと共に、少なくともナトリウムが一部溶解するまで撹拌および超音波処理できる。結果として、1−ナフチル基によってレジオランダムに置換されたポリフランのポリラジカルアニオンを含むことができる。
共有結合多環式芳香族炭化水素置換基を有するレジオランダムポリチオフェン導電性ポリマーの合成
図4Dの反応スキーム422を参照のこと。2−ブロモナフタレン約0.01モルおよびチオフェン−3−ボロン酸ピナコールエステル約0.01モルを含有する、THF100ミリリットルの無水溶液を調製できる。カリウムカーボネート約0.01モルおよびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム触媒約0.0003モルを添加することができ、生じた混合物は、不活性雰囲気下で約12時間にわたり撹拌および還流できる。次に混合物は冷却され、希クエン酸水溶液で洗浄することができ、溶媒を除去できる。生じた固体である3−ナフタ−2−イル−チオフェンは、テトラブチルアンモニウムペルクロレート電解質中で約0.1Mであり得る乾燥アセトニトリル約25ミリリットルに溶解できる。適切な電極を添加することができ、サイクリックボルタモグラムを行って、約1から2ボルトの間の適切な電気重合電位を決定できる。次に溶液は、約0.01モルの電荷が通過するまで、決定された電位を印加できる。生じたポリマー膜は、アノードから除去して直接使用できる。代替的に、膜はソックスレー装置内で還流THFによって抽出できる。THF溶液は、2−ナフチル基によってレジオランダムに置換されたポリチオフェンを含有し、スピンコーティング、浸漬コーティングなどに使用できる。2−ナフチル基によってレジオランダムに置換されたポリチオフェンを含有するTHF溶液はまた、金属ナトリウム約0.01モルと共に、少なくともナトリウムが一部溶解するまで撹拌および超音波処理できる。結果として、2−ナフチル基によってレジオランダムに置換されたポリチオフェンのポリラジカルアニオンを含むことができる。
C結合された共有結合多環式芳香族炭化水素置換基を有するレジオランダムポリピロール導電性ポリマーの合成
図4Dの反応スキーム424を参照のこと。1−ブロモアントラセン約0.01モルおよび1−(トリイソプロピルシリル)−1H−ピロール−3−ボロン酸0.01モルを含有する、THF100ミリリットルの無水溶液が調製できる。カリウムカーボネート約0.01モルおよびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム触媒約0.0003モルを添加することができ、生じた混合物は、不活性雰囲気下で約12時間にわたり撹拌および還流できる。次に混合物は冷却され、希クエン酸水溶液で洗浄され、脱水することができ、溶媒が除去できる。生じた固体である、N−トリイソプロピルシリル−3−アントラセン−1−イル−ピロールは無水THFに溶解され、氷浴中で冷却することができ、BF3−エーテラート約0.015モルを添加できる。混合物が撹拌され、室温まで温度上昇させることができ、N−トリイソプロピルシリル−3−アントラセン−1−イル−ピロールの3−アントラセン−1−イル−ピロールへの変換は、ガスクロマトグラフィー質量分析によって監視できる。反応が完了まで進んだら、混合物は水または塩基性緩衝溶液で洗浄することができ、有機層は分離、脱水することができ、溶媒は真空下で蒸発させることができる。生じた固体である3−アントラセン−1−イル−ピロールは、テトラブチルアンモニウムペルクロレート電解質中で約0.1Mであり得る乾燥アセトニトリル約25ミリリットルに溶解できる。適切な電極を添加することができ、サイクリックボルタモグラムを行って、約1から2ボルトの間の適切な電気重合電位を決定できる。次に溶液は、約0.01モルの電荷が通過するまで、決定された電位を印加できる。生じたポリマー膜は、アノードから除去して、直接使用できる。代替的に、膜はソックスレー装置内で還流THFによって抽出できる。THF溶液は、1−アントラシル基によってレジオランダムにC置換されたポリピロールを含有し、スピンコーティング、浸漬コーティングなどに使用できる。1−アントラシル基によってレジオランダムにC置換されたポリピロールを含有するTHF溶液はまた、金属ナトリウム約0.01モルと共に、少なくともナトリウムが一部溶解するまで撹拌および超音波処理できる。結果として、1−アントラシル基によってレジオランダムに置換されたポリピロールのポリラジカルアニオンを含むことができる。
共有結合多環式芳香族炭化水素置換基を有するレジオレギュラーポリチオフェン導電性ポリマーの合成
図4Dの反応スキーム428を参照のこと。実施例8で上述したように調製した3−ナフタ−2−イル−チオフェン約0.01モルは、無水THF約100ミリリットル中でN−ブロモ−スクシンイミド約0.022モルと共に撹拌できる。混合物にUV発光石英管ランプを照射することができ、3−ナフタ−2−イル−チオフェンの3−ナフタ−2−イル−2,5−ジブロモチオフェンへの変換は、ガスクロマトグラフィー質量分析によって監視できる。反応が完了まで進んだら、混合物は水で洗浄することができ、有機層は分離、脱水することができ、溶媒は真空下で蒸発させることができる。次のステップにおいて、3−ナフタ−2−イル−2,5−ジブロモチオフェン約0.01モルは無水THF約100ミリリットルに溶解され、氷浴中で冷却することができ、過剰の活性「リーケ」亜鉛粉が添加され、撹拌されて、室温まで温度上昇させることができる。生じた有機金属性異性体の混合物は、さらに単離せずに、触媒量である約0.0002モルの1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケル(II)クロリドと合せることができる。混合物は還流まで加熱され、12時間反応させることができる。次に混合物は冷却され、希クエン酸水溶液で洗浄することができ、有機層は脱水することができ、溶媒は除去されて残留物が残り得る。残留物は、ソックスレー装置内で還流THFによって抽出できる。THF溶液は、ポリ(3−ナフタ−2−イルチオフェン)を含有し、スピンコーティング、浸漬コーティングなどに使用できる。ポリ(3−ナフタ−2−イルチオフェン)を含有するTHF溶液はまた、金属ナトリウム約0.01モルと共に、少なくともナトリウムが一部溶解するまで撹拌および超音波処理できる。結果として、ポリ(3−ナフチル−2−イルチオフェン)のポリラジカルアニオンを含むことができる。
N結合多環式芳香族炭化水素置換基を有するモノマーからのポリピロール導電性ポリマーの合成
図4Eの反応スキーム430を参照のこと。ピロール約0.01モル、2−ブロモアントラセン0.011モルおよび1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン約0.001モルは、THF約100ミリリットルに溶解され、還流まで加熱できる。ピロールのN−アントラセン−2−イル−ピロールへの変換は、ガスクロマトグラフィー質量分析によって監視できる。反応が完了まで進んだら、混合物はpH7緩衝水溶液で洗浄することができ、有機層を分離、脱水できる。固体残留物はシリカゲルカラムで精製されて、N−アントラセン−2−イル−ピロールを得ることができる。精製したN−アントラセン−2−イル−ピロールは、テトラブチルアンモニウムペルクロレート電解質中で約0.1Mであり得る、乾燥アセトニトリル約25ミリリットルに溶解できる。適切な電極を添加することができ、サイクリックボルタモグラムを行って、約1から2ボルトの間の適切な電気重合電位を決定できる。次に溶液は、約0.01モルの電荷が通過するまで、決定された電位を印加できる。生じたポリマー膜は、アノードから除去して直接使用できる。代替的に、膜はソックスレー装置内で還流THFによって抽出できる。THF溶液は、ポリ((N−アントラセン−2−イル)−ピロール)を含有し、スピンコーティング、浸漬コーティングなどに使用できる。ポリ((N−アントラセン−2−イル)−ピロール)を含有するTHF溶液はまた、金属ナトリウム約0.01モルと共に、少なくともナトリウムが一部溶解するまで撹拌および超音波処理できる。結果として、ポリ((N−アントラセン−2−イル)−ピロール)のポリラジカルアニオンを含むことができる。
ポリアニリンをアリール化することによるN結合多環式芳香族炭化水素置換基を有するポリアニリン導電性ポリマーの合成
図4Eの反応スキーム432を参照のこと。ポリアニリン溶液は、無水テトラヒドロフラン(THF)中に、無水THF約50ミリリットル中約0.005molの濃度でアニリン反復単位を溶解することによって形成できる。ポリアニリン−THF溶液は、9−ブロモアントラセン約0.005molを含有する無水THF溶液約50ミリリットルと合せて、反応を補助するために約20分間超音波処理できる。THF溶液は、ポリ((N−アントラセン−9−イル)−アニリン)を含有し、スピンコーティング、浸漬コーティングなどに使用できる。ポリ((N−アントラセン−9−イル)−アニリン)を含有するTHF溶液はまた、金属ナトリウム約0.01モルと共に、少なくともナトリウムが一部溶解するまで撹拌および超音波処理できる。結果として、ポリ((N−アントラセン−9−イル)−アニリン)のポリラジカルアニオンを含むことができる。
共有結合多環式芳香族炭化水素置換基を有するレジオレギュラーポリチオフェンビニレンの合成
図4Eの反応スキーム434を参照のこと。3−ナフタ−2−イル−2,5−ジブロモチオフェン0.01モルの溶液(実施例10に記載したように調製)は、無水THF約10ミリリットルで調製され、不活性雰囲気下でドライアイス/アセトン浴を使用して冷却できる。ヘキサン中n−ブチルリチウム約0.021モルが添加されて、混合物を約30分撹拌できる。次に1−ホルミルピペリジン約0.021モルを添加することができ、混合物が撹拌されて、約12時間にわたって室温まで温度上昇させることができる。反応混合物は塩化アンモニウム水溶液によって洗浄することができ、有機層は脱水および蒸発されて、残留物が形成できる。残留物はシリカゲルクロマトグラフィーによって精製され、3−(ナフタレン−2−イル)チオフェン−2,5−ジカルボアルデヒドを得ることができる。
水素化アルミニウムリチウム約0.022モルは、無水THF約50ミリリットル中に撹拌され、不活性雰囲気下でスラリが生成され、氷浴中で冷却できる。3−(ナフタ−2−イル)−2,5−ジホルミルチオフェン約0.01モルは、無水THF約10ミリリットルに溶解され、撹拌しながらスラリに添加できる。反応物は撹拌され、室温まで温度上昇されて、次に約2時間にわたって還流させることができる。反応混合物は冷却され、水約50ミリリットルで慎重に反応停止され、約0.1M水酸化ナトリウムで洗浄できる。有機層は脱水することができ、溶媒が除去されて、残留物が残り得る。残留物はシリカゲルクロマトグラフィーによって精製され、(3−(ナフタレン−2−イル)チオフェン−2,5−ジイル)ジメタノールを得ることができる。
(3−(ナフタレン−2−イル)チオフェン−2,5−ジイル)ジメタノール約0.01モルは、無水THFに撹拌しながら不活性雰囲気下で溶解され、氷浴中で冷却できる。トルエン中のチオニルクロリド約0.024モルを添加することができ、反応物は撹拌され、室温まで温度上昇させることができる。約2時間後、半飽和ナトリウムカーボネート溶液約100ミリリットルを添加することにより、反応物を慎重に反応停止させることができる。反応混合物は水で洗浄することができ、有機層は脱水することができ、溶媒は除去されて残留物が残り得る。残留物はシリカゲルクロマトグラフィーによって精製され、2,5−ビス(クロロメチル)−3−(ナフタレン−2−イル)チオフェンを得ることができる。
2,5−ビス(クロロメチル)−3−(ナフタレン−2−イル)チオフェン約0.01モルは、エタノール約10ミリリットルに撹拌しながら溶解できる。ナトリウムジエチルジチオカルバメート3水和物約0.031モルを添加することができ、反応物は周囲温度にて2時間にわたって撹拌できる。反応混合物はジエチルエーテルによって抽出され得て、合せたエーテル抽出物は脱水および蒸発されて、残留物を形成できる。残留物はシリカゲルクロマトグラフィーによって精製され、3−(ナフタレン−2−イル)チオフェン−2,5−ジイルビスメチレンN,N−ジエチルジチオカルバメートを得ることができる。
乾燥3−(ナフタレン−2−イル)チオフェン−2,5−ジイルビスメチレンN,N−ジエチルジチオカルバメート約0.01モルの溶液は、不活性雰囲気下にて無水THF約50ミリリットルで調製され、ドライアイス/アセトン浴で冷却できる。リチウムジイソプロピルアミド(THF/n−ヘキサン中2M溶液として約0.022モル)を添加することができ、反応は撹拌され、約2時間にわたって約0℃まで温度上昇させることができる。エタノール約25ミリリットルをゆっくり添加して、反応物を反応停止させることができる。生じた混合物は氷水に注入することができ、水層は希塩酸で中和できる。生じた混合物はクロロホルムで抽出できる。合せたクロロホルム画分は合せられ、減圧下で蒸発されて、残留物が残り得る。残留物をTHFに溶解して、冷メタノールを添加することによって沈殿させる。沈殿する非共役N,N−ジエチルジチオカルバメート置換ポリマー(図4Eの反応スキーム434を参照)を乾燥させて、次のステップのために保存できる。
前のステップからの非共役N,N−ジエチルジチオカルバメート置換ポリマー約1ミリグラム(図4Eの反応スキーム434も参照のこと)は、ジクロロベンゼン約50ミリリットルに溶解することができ、約3時間にわたって撹拌しながら還流できる。反応混合物は室温まで冷却することができ、スラリを形成できるまで、ある量のジクロロベンゼンが蒸発させることができる。スラリをヘキサンと合せて、ポリマーを沈殿させることができる。沈殿物を脱水して、ポリ((3−(ナフタレン−2−イル)チオフェンビニレン)を得ることができる。
ポリ((3−(ナフタレン−2−イル)チオフェンビニレン)はTHFまたは別の溶媒に溶解することができ、スピンコーティング、浸漬コーティングなどに使用できる。ポリ((3−(ナフタレン−2−イル)チオフェンビニレン)溶液はまた、金属ナトリウム約0.01モルと共に、少なくともナトリウムが一部溶解するまで撹拌および超音波処理できる。結果として、ポリ((3−(ナフタレン−2−イル)チオフェンビニレン)がポリラジカルアニオンを含むことができる。
図8は、本明細書に記載する少なくともいくつかの実施形態に従って構成された、電気化学セルの例の作製において、図7の自動機械700または同様の製造装置を制御するために使用できる汎用コンピュータ装置を示す。基本構成802において、コンピュータ装置800は通例、1個以上のプロセッサおよびシステムメモリ806を含むことができる。プロセッサ804とシステムメモリ806との通信には、メモリバス808を使用できる。
所望の構成に応じて、プロセッサ804は、マイクロプロセッサ(μP)、マイクロコントローラ(μC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)またはそれの任意の組合せを含む任意の種類であり得るが、それに限定されない。プロセッサ804は、1以上のキャッシングレベル、たとえばレベル・キャッシュ・メモリ812、プロセッサコア814およびレジスタ816を含むことができる。プロセッサコア814の例としては、演算論理ユニット(ALU)、浮動小数点ユニット(FPU)、デジタル信号処理コア(DSPコア)またはそれの任意の組合せを挙げることができる。メモリコントローラの例818はまた、プロセッサ804と共に使用できるか、またはいくつかの実施においては、メモリコントローラ815はプロセッサ804の内蔵部品であり得る。
所望の構成に応じて、システムメモリ806は、揮発性メモリ(たとえばRAM)、非揮発性メモリ(たとえばROM、フラッシュメモリなど)またはそれの任意の組合せを含む任意の種類であり得るが、それに限定されない。システムメモリ806は、オペレーティングシステム820、1つ以上の製造制御アプリケーション822およびプログラムデータ824を含むことができる。製造制御アプリケーション822は、図7の自動機械700ならびに上で論じたその他のプロセス、方法および機能を制御するように構成できる制御モジュール826を含むことができる。プログラムデータ824は、他のデータの中でも、自動機械700の多様な側面を制御するための材料データ828を含むことができる。説明したこの基本構成802を、内側の点線内のこれらの構成要素により図8に示す。
コンピュータ装置800は、基本構成802と任意の必要な装置およびインタフェースとの通信を容易にするための、追加の特徴または機能ならびに追加のインタフェースを有することができる。たとえば、バス/インタフェースコントローラ830は、基本構成802と1個以上のデータ記憶装置832との記憶インタフェースバス834を通じた通信を容易にするために使用できる。データ記憶装置832は、リムーバブル記憶装置836、非リムーバブル記憶装置838またはその組合せであり得る。リムーバブル記憶装置および非リムーバブル記憶装置の例としては、いくつか例を挙げると、磁気ディスク装置、たとえばフレキシブル・ディスク・ドライブおよびハード・ディスク・ドライブ(HDD)、光ディスクドライブ、たとえばコンパクトディスク(CD)ドライブまたはデジタル多用途ディスク(DVD)ドライブ、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)およびテープドライブを挙げることができる。コンピュータ記憶媒体の例としては、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたはその他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術で実施される揮発性および非揮発性、リムーバブルおよび非リムーバブル媒体を挙げることができる。
システムメモリ806、リムーバブル記憶装置836および非リムーバブル記憶装置838は、コンピュータ記憶媒体の例であり得る。コンピュータ記憶媒体としては、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくは他の光記憶、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶もしくは他の磁気記憶装置、または所望の情報を記憶するために使用され得て、コンピュータ装置800によってアクセスできる、その他の媒体を挙げることができるが、それに限定されない。いずれのこのようなコンピュータ記憶媒体も、コンピュータ装置800に一部であり得る。
コンピュータ装置800はまた、多様なインタフェース装置(たとえば出力装置842、周辺インタフェース844および通信装置866から基本構成802までのバス/インタフェースコントローラ830を介した通信を容易にするためのインタフェースバス840も含むことができる。出力装置842の例は、多様な外部装置、たとえばディスプレイまたはスピーカーに1個以上のA/Vポート852を介して通信するように設定できる、グラフィック処理ユニット848およびオーディオ処理ユニット850を含む。周辺インタフェースの例544は、外部装置、たとえば入力装置(たとえばキーボード、マウス、ペン、音声入力装置、タッチ入力装置など)または他の周辺装置(たとえばプリンタ、スキャナなど)と1個以上のI/Oポート858を介して通信するように設定できる、シリアル・インタフェース・コントローラ854またはパラレル・インタフェース・コントローラ856を含む。通信装置の例866は、1台以上の他のコンピュータ装置862とのネットワーク通信リンク上で1個以上の通信ポート864を介しての通信を容易にするように構成できる、ネットワークコントローラ860を含むことができる。
ネットワーク通信リンクは、通信媒体の一例であり得る。通信媒体は通例、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは変調データ信号、たとえば搬送波もしくは他の伝送機構における他のデータによって具現化でき、任意の情報送達媒体を含むことができる。「変調データ信号」は、信号中の情報を暗号化するような方式で設定または変更された1つ以上の特徴を有する信号であり得る。一例であり、限定されないが、通信媒体は、有線媒体、たとえば有線ネットワークまたは直接有線接続および無線媒体、たとえば音響、無線(RF)、マイクロ波、赤外線(IR)ならびに他の無線媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体という用語は、本明細書で使用する場合、記憶媒体と通信媒体の両方を含むことができる。
コンピュータ装置800は、上の機能のいずれかを含む物理サーバ、仮想サーバ、コンピューティングクラウドまたはハイブリッド装置の一部として実施できる。コンピュータ装置800は、ラップトップコンピュータおよび非ラップトップコンピュータ構成の両方を含むパーソナルコンピュータとしても実施できる。さらに、コンピュータ装置800は、ネットワーク化システムとして、または汎用もしくは特殊サーバの部分として実施できる。
コンピュータ装置800を含むネットワーク化システムのネットワークは、サーバ、クライアント、スイッチ、ルータ、モデム、インターネット・サービス・プロバイダの任意のトポロジー、および任意の適切な通信媒体(たとえば有線または無線通信)を含むことができる。実施形態によるシステムは、静的または動的ネットワークトポロジーを有し得る。ネットワークとしては、セキュアネットワーク、たとえば企業ネットワーク(たとえばLAN、WANまたはWLAN)、非セキュアネットワーク、たとえば無線オープンネットワーク(たとえばIEEE802.11無線ネットワーク)またはワールド・ワイド・ネットワーク(たとえばインターネット)を挙げることができる。ネットワークは、共に動作するのに適し得る、複数の別個のネットワークも含むことができる。このようなネットワークは、本明細書に記載するノード間の通信を提供するように構成できる。一例として、限定されないが、これらのネットワークは、無線媒体、たとえば音響、RF、赤外線および他の無線媒体を含むことができる。さらにネットワークは、同じネットワークの一部または別のネットワークであり得る。
図9は、明細書に記載する少なくともいくつかの実施形態に従って構成された、電気化学セルの例の作製において、図7の自動機械または同様の製造装置を制御するために使用できるコンピュータプログラム製品の例のブロック図を示す。いくつかの例において、図9に示すように、コンピュータプログラム製品900は、たとえばプロセッサによって実行される場合に、図6から図8に関して上述した機能を提供できる機械可読命令904も含むことができる、信号搬送媒体902を含むことができる。たとえばプロセッサ790を参照すると、図9に示す1つ以上のタスクが、本明細書に記載した電気化学セルの例の作製に関連する操作を実施するために、媒体902によってプロセッサ790に伝達される命令904に応答して実行できる。これらの命令のいくつかは、たとえば第1および第2の導電性ポリマーから第1および第2の電極を形成するための1つ以上の命令を含むことができ、第1の導電性ポリマーは、多環式芳香族炭化水素を含むことができるか、または多環式芳香族炭化水素と接触できる。金属を多環式芳香族炭化水素に接触させるための1つ以上の命令も含むことができる。電解質を第1および第2の導電性ポリマー、第1および第2の電極、多環式芳香族炭化水素および/または多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンならびに金属および/または金属カチオンに接触させるための1つ以上の命令もさらに含むことができる。多環式芳香族炭化水素を多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンに還元するためのおよび/または金属を金属カチオンに酸化するための1つ以上の命令も含むことができる。
いくつかの実施において、図9に示した信号搬送媒体902は、コンピュータ可読媒体906、たとえばハード・ディスク・ドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、デジタルテープ、メモリなどを含むことができるが、それに限定されない。いくつかの実施において、信号搬送媒体902は、記録可能な媒体908、たとえばメモリ、読み取り/書き込み(R/W)CD、R/WDVDなどを含むことができるが、それに限定されない。いくつかの実施において、信号搬送媒体902は、通信媒体910、たとえばデジタルおよび/またはアナログ通信媒体(たとえば光ファイバーケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンクなど)を含むことができるが、それに限定されない。たとえば、コンピュータプログラム製品900は、RF信号搬送媒体902によってプロセッサ904に伝送することができ、そこで信号搬送媒体902は、無線通信媒体910(たとえばIEEE802.11規格に従う無線通信媒体)によって伝送できる。実施形態は、パーソナルコンピュータでオペレーティングシステムを動作させるアプリケーションプログラムと併せて実行するプログラムモジュールの一般的な状況で説明するが、当業者は、態様が他のプログラムモジュールと組合せても実施できることを認識するであろう。
一般に、プログラムモジュールはルーチン、プログラム、プログラム、コンポーネント、データ構造および特定のタスクを行うまたは特定の抽象データタイプを実施する他の種類の構造を含む。さらに当業者は、実施形態が携帯型装置、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのまたはプログラマブル家庭用電化製品、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータおよび類似のコンピュータ装置を含む他のコンピュータシステム構成によって実行できることを認識するであろう。実施形態は、通信ネットワークを介してリンクできるリモート処理装置によってタスクを行うことができる分散コンピューティング環境においても実行できる。分散コンピューティング環境において、プログラムモジュールは、ローカルおよびリモートメモリ記憶装置の両方に位置できる。
実施形態は、コンピュータ実施プロセス(方法)、コンピューティングシステムとして、または製造品、たとえばコンピュータプログラム製品もしくはコンピュータ可読媒体として実施できる。コンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって読み取り可能であり、コンピュータまたはコンピューティングシステムにプロセスの例を実行させるための命令を含むコンピュータプログラムを暗号化し得る、コンピュータ記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体はたとえば、揮発性コンピュータメモリ、非揮発性メモリ、ハードドライブ、フラッシュドライブ、フロッピーディスクまたはコンパクトディスクおよび類似の媒体の1つ以上を介して実施できる。
本明細書を通じて、「プラットフォーム」という用語は、多種多様の目的でソフトウェア/ハードウェア製品およびサービスの構成を容易にできる構成環境を提供するための、ソフトウェアおよびハードウェアコンポーネントの組合せであり得る。プラットフォームの例としては、複数のサーバ上で実行されるホスティングサービス、単一のコンピューティングデバイスで実行されるアプリケーションおよび類似のシステムを挙げることができるが、それに限定されない。「サーバ」という用語は概して、通例、ネットワーク環境で1つ以上のソフトウェアプログラムを実行するコンピューティングデバイスを指す。しかし、サーバは、ネットワーク上でサーバと見なされる1台以上のコンピューティングデバイスで実行される仮想サーバ(ソフトウェアプログラム)としても実施できる。これらの技術および運用の例に関するより詳細な事項は、以下で提供する。
多様な例において、電気化学セルの例は、以下の1つ以上を含むことができる。電気化学セルは、第1の導電性ポリマーを含むことができる第1の電極を含むことができる。電気化学セルは、第1の導電性ポリマーと接触するのに適した少なくとも1つの多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンを含むことができる。電気化学セルは、第2の導電性ポリマーを含むことができる第2の電極も含むことができる。電気化学セルは、カチオンをさらに含むことができる。電気化学セルは、第1および第2の導電性ポリマー、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンならびにカチオンを導電結合するのに適した電解質も含むことができる。
多様な例において、電池は1個以上の電気化学セルの例を含むことができる。多様な例において、電池の例における各電気化学セルの例は、以下の1つ以上を含むことができる。たとえば電池は、第1の導電性ポリマーを含むことができる第1の電極を含むことができる。電池は、第1の導電性ポリマーと接触する少なくとも1つの多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンも含むことができる。電池は、第2の導電性ポリマーを含むことができる第2の電極をさらに含むことができる。電池はカチオンも含むことができる。電池は、第1および第2の導電性ポリマー、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンならびにカチオンを導電結合する電解質をさらに含むことができる。
多様な例において、電気化学セルの例、たとえば電池の例における電気化学セルの少なくとも2個を並列に電気結合できる。多様な例において、電気化学セルの例、たとえば電池の例における電気化学セルの少なくとも2個を直列に電気結合できる。
電気化学セルの例の多様な例において、カチオンは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはその混合物であり得る。いくつかの例において、カチオンはNa+であり得る。
電気化学セルの例の多様な例において、第1の導電性ポリマーはホモポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマーまたはグラフトコポリマーであり得る。いくつかの例において、第1の導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン、ポリアリーレン、ポリヘテロアリーレン、ポリビニルアリーレン、ポリビニルヘテロアリーレン、ポリアリーレンビニレン、ポリヘテロアリーレンビニレン、ポリアリーレンエチニレン、ポリヘテロアリーレンエチニレンまたはその組合せを挙げることができる。いくつかの例において、第1の導電性ポリマーは、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンによって置換できる。いくつかの例において、第1の導電性ポリマーとしては:ポリアセチレン、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリ(フルオレン)、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリ(ピロール)、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリ(チオフェン)、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリ(フェニレンスルフィド)またはその組合せを挙げることができる。いくつかの例において、第1の導電性ポリマーは、式:
を有する反復単位またはその組合せ含むことができ、式中、−R・−は、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンを表す。
電気化学セルの例の多様な例において、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンとしては、ナフタレンラジカルアニオン、アントラセンラジカルアニオンまたはその組合せを挙げることができる。第2の導電性ポリマーがポリカルバゾールであり得る多様な例において、カチオンはNa+であり得て、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンはナフタレンラジカルアニオンまたはアントラセンラジカルアニオンであり得る。
電気化学セルの例の多様な例において、第2の導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン、ポリアリーレン、ポリアリーレンビニレン、ポリアリーレンエチニレンまたはその組合せを挙げることができる。いくつかの例において、第2の導電性ポリマーとしては、ポリ−パラ−フェニレン、ポリ−パラ−フェニレンビニレン、ポリ−パラ−フェニレンエチニレン、ポリアセチレンまたはその組合せを挙げることができる。
電気化学セルの例の多様な例において、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンとしては、ナフタレン、アセナフタレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、ビフェニレン、フルオランテン、トリフェニレン、クリセン、テトラセン、ペリレン、テトラフェニレン、テトラフェン、ピセン、ペンタフェン、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[ghi]ペリレン、コロネンもしくはルビセンまたはその誘導体のラジカルアニオンを挙げることができる。
電気化学セルの例の多様な例において、電解質としては、ポリオキシアルキレン、ポリオキシアルキレンアルコール、アルキルエーテル、シクロアルキルエーテル、アルキレンカーボネート、シクロアルキレンカーボネート、アルカノン、シクロアルカノン、ラクトンまたはその組合せを挙げることができる。いくつかの例において、電解質としては、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、カルボキシレート、トリフルオロメタンスルホネート、ビストリフルオロメタンスルホンイミデート、フルオロサルフェート、ヘキサフルオロホスフェート、ペルクロレート、テトラフルオロボレート、p−トルエンスルホネートおよびニトレートから成る群より選択される1つ以上のアニオンを挙げることができる。
電気化学セルの例の多様な例において、電解質としては、第1の導電性ポリマーを第2の導電性ポリマーから分離するアイオノマー(ionmer)の塩を挙げることができる。いくつかの例において、アイオノマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン:ペルフルオロスルホン酸コポリマーを挙げることができる。
電気化学セルの例の多様な例において、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンは、第1の導電性ポリマーと非共有結合的に接触させることができる。
多様な例において、電気化学セルを作製する方法の例は、以下のステップの1つ以上を含むことができる。たとえば、方法は、第1の導電性ポリマーから第1の電極を形成することを含むことができる。方法は、第1の導電性ポリマーを多環式芳香族炭化水素に接触させることも含むことができる。方法は、第2の導電性ポリマーから第2の電極を形成することも含むことができる。方法は、多環式芳香族炭化水素を金属と接触させることをさらに含むことができる。方法は、電解質を第1および第2の導電性ポリマー、多環式芳香族炭化水素ならびに金属に導電結合することも含むことができる。方法は、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンを形成するために多環式芳香族炭化水素を還元し、金属カチオンを形成するために金属を酸化することをさらに含むことができる。
多様な例において、方法の例は、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンおよび金属カチオンを形成するために、多環式芳香族炭化水素を金属と化学的に反応させることを含むことができる。
多様な例において、方法の例は、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンおよび金属カチオンを形成するために、電流を第1および第2の電極に印加して、多環式芳香族炭化水素を金属と電気化学的に反応させるステップを含むことができる。
多様な例において、方法の例は、第1の金属箔において第1の導電性ポリマーの層を形成することによって、第1の電極を形成することを含むことができる。
多様な例において、方法は、第2の金属箔において第2の導電性ポリマーの層を形成することによって、第2の電極を形成することを含むことができる。
多様な例において、方法の例は、第2の導電性ポリマーから第1の導電性ポリマーをアイオノマーによって分離すること含むことができ、電解質はアイオノマー(ionmer)の塩を含むことができる。
方法の例の多様な例において、カチオンは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはその混合物であり得る。いくつかの例において、カチオンはNa+であり得る。
方法の例の多様な例において、第1の導電性ポリマーはホモポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマーまたはグラフトコポリマーであり得る。いくつかの例において、第1の導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン、ポリアリーレン、ポリヘテロアリーレン、ポリビニルアリーレン、ポリビニルヘテロアリーレン、ポリアリーレンビニレン、ポリヘテロアリーレンビニレン、ポリアリーレンエチニレン、ポリヘテロアリーレンエチニレンまたはその組合せを挙げることができる。いくつかの例において、第1の導電性ポリマーは、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンによって置換できる。いくつかの例において、第1の導電性ポリマーとしては:ポリアセチレン、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリ(フルオレン)、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリ(ピロール)、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリ(チオフェン)、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリ(フェニレンスルフィド)またはその組合せを挙げることができる。いくつかの例において、第1の導電性ポリマーは、式:
を有する反復単位またはその組合せを含むことができ、式中、−R・−は多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンを表す。
方法の例の多様な例において、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンとしては、ナフタレンラジカルアニオン、アントラセンラジカルアニオンまたはその組合せを挙げることができる。第2の導電性ポリマーがポリカルバゾールであり得る多様な例において、カチオンはNa+であり得て、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンはナフタレンラジカルアニオンまたはアントラセンラジカルアニオンであり得る。
方法の例の多様な例において、第2の導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン、ポリアリーレン、ポリアリーレンビニレン、ポリアリーレンエチニレンまたはその組合せを挙げることができる。いくつかの例において、第2の導電性ポリマーとしては、ポリ−パラ−フェニレン、ポリ−パラ−フェニレンビニレン、ポリ−パラ−フェニレンエチニレン、ポリアセチレンまたはその組合せを挙げることができる。
方法の例の多様な例において、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンとしては、ナフタレン、アセナフタレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、ビフェニレン、フルオランテン、トリフェニレン、クリセン、テトラセン、ペリレン、テトラフェニレン、テトラフェン、ピセン、ペンタフェン、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[ghi]ペリレン、コロネンもしくはルビセンまたはその誘導体のラジカルアニオンを挙げることができる。
方法の例の多様な例において、電解質としては、ポリオキシアルキレン、ポリオキシアルキレンアルコール、アルキルエーテル、シクロアルキルエーテル、アルキレンカーボネート、シクロアルキレンカーボネート、アルカノン、シクロアルカノン、ラクトンまたはその組合せを挙げることができる。いくつかの例において、電解質としては、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、カルボキシレート、トリフルオロメタンスルホネート、ビストリフルオロメタンスルホンイミデート、フルオロサルフェート、ヘキサフルオロホスフェート、ペルクロレート、テトラフルオロボレート、p−トルエンスルホネートおよびニトレートから成る群より選択される1つ以上のアニオンを挙げることができる。
方法の例の多様な例において、電解質としては、第1の導電性ポリマーを第2の導電性ポリマーから分離するアイオノマー(ionmer)の塩を挙げることができる。いくつかの例において、アイオノマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン:ペルフルオロスルホン酸コポリマーを挙げることができる。
方法の例の多様な例において、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンは、第1の導電性ポリマーと非共有結合的に接触させることができる。
多様な例において、コンピュータ−可読記憶媒体は、たとえば電気化学セルを作製するための本明細書に記載する方法の例の1つ以上のステップのための、可読媒体に記憶された1つ以上の命令を含むことができる。命令はたとえば、第1の導電性ポリマーであって、多環式芳香族炭化水素を含む第1の導電性ポリマーから第1の電極を形成することを含むことができる。命令は、第2の導電性ポリマーから第2の電極を形成することも含むことができる。命令は、多環式芳香族炭化水素を金属と接触させることをさらに含むことができる。命令は、電解質を第1および第2の導電性ポリマー、多環式芳香族炭化水素ならびに金属に導電結合することも含むことができる。命令は、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオンを形成するために多環式芳香族炭化水素を還元することをさらに含むことができる。命令は、金属カチオンを形成するために金属を酸化することも含むことができる。
多様な例において、コンピュータ−可読記憶媒体は、媒体上に記憶された、第1の電気化学セルを第2の電気化学セルに電気結合するための命令を含むことができ、第1および第2の電気化学セルは並列または直列に結合できる。
「a」および「an」という用語は、本明細書で使用する場合、単数形が明示的に示されていない限り、「1つ以上」を意味する。たとえば、「a base(1つの塩基)」ということは、2つ以上の塩基の混合物ならびに1つの塩基も含むことができる。
本明細書で使用する場合、「約」は、当業者によって理解され、これが使用される状況に応じてある程度まで変化するであろう。当業者にとって明らかでないこの用語の使用がある場合、これが使用されている状況を考慮すると、「約」は、特定の用語の最大で±10%を意味するであろう。
本明細書で使用する場合「必須ではない(optional)」または「場合により(optionally)」という用語は、次に説明された事情が起こってもまたは起こらなくてもよいこと、ならびに説明が事情の起こる例および事情の起こらない例を含むことを意味する。
本明細書で使用する場合、「置換された」は、有機基であって、それに含まれる水素原子への1個以上の結合が非水素または非炭素原子への結合により置き換えられる、下で定義するような有機基(たとえばアルキル基)を指す。置換基は、(複数の)炭素または(複数の)水素原子への1個以上の結合が、ヘテロ原子への二重または三重結合を含む1個以上の結合によって置き換えられる基も含む。置換基は、別途規定しない限り、1個以上の置換基によって置換できる。いくつかの実施形態において、置換基は、1、2、3、4、5または6個の置換基によって置換できる。置換基の例としては:ハロゲン(すなわちF、Cl、BrおよびI);ヒドロキシル;アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロシクロオキシおよびヘテロシクリルアルコキシ基;カルボニル(オキソ);カルボキシル;エステル;ウレタン;オキシム;ヒドロキシルアミン;アルコキシアミン;アラルコキシアミン;チオール;スルフィド;スルホキシド;スルホン;スルホニル;スルホンアミド;アミン;N−オキシド;ヒドラジン;ヒドラジド;ヒドラゾン;アジド;アミド;尿素;アミジン;グアニジン;エナミン;イミド;イソシアネート;イソチオシアネート;シアネート;チオシアネート;イミン;ニトロ基;ニトリル(すなわちCN);などが挙げられる。
置換環基、たとえば置換シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基としては、水素原子への結合が炭素原子への結合によって置き換えられる環および環系も含むことができる。置換シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基も、下で定義するような置換または非置換アルキル、アルケニルおよびアルキニル基によって置換できる。
アルキル基としては、1から12個の炭素原子、通例1から10個の炭素またはいくつかの例において、1から8個の、1から6個のまたは1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基が挙げられる。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−へプチルおよびn−オクチル基などの基が挙げられる。分枝アルキル基の例としては、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、イソペンチルおよび2,2−ジメチルプロピル基が挙げられるが、それに限定されない。代表的な置換アルキル基は、上に挙げたものなどの置換基によって1回以上置換でき、制限なく、ハロアルキル(たとえばトリフルオロメチル)、ヒドロキシアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル、カルボキシアルキルなどが挙げられる。
シクロアルキル基としては、(複数の)環中に3から12個の、いくつかの実施形態において、3から10個の、3から8個のまたは3から4個の、5個のまたは6個の炭素原子.炭素原子を有する単環式、2環式または3環式アルキル基が挙げられる。例示的な単環式シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル基が挙げられるが、それに限定されない。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は3から8個の環員を有するのに対して、他の実施形態において、環炭素原子の数は3から5、3から6または3から7の範囲に及ぶ。2環および3環系としては、架橋シクロアルキル基および縮合環の両方、たとえばビシクロ[2.1.1]ヘキサン、アダマンチル、デカリニルなどが挙げられるが、それに限定されない。置換シクロアルキル基は、上で定義したような非水素および非炭素基によって1回以上置換できる。しかし、置換シクロアルキル基は、上で定義したような直鎖または分枝鎖アルキル基によって置換できる環も含む。代表的な置換シクロアルキル基は、1置換できるか、またはたとえば上で挙げたもののような置換基によって置換できる、2,2−、2,3−、2,4−、2,5−または2,6−2置換シクロヘキシル基などのように2回以上置換できるが、それに限定されない。
アリール基は、ヘテロ原子を含有しない環式芳香族炭化水素であり得る。本明細書ではアリール基としては、単環系、2環系および3環系が挙げられる。アリール基としては、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、インデニル、インダニル、ペンタレニルおよびナフチル基が挙げられるが、それに限定されない。いくつかの実施形態において、アリール基は、基の環部分に6から14個の炭素を、他では6から12個の、または6から10個の炭素原子さえ含有する。いくつかの実施形態において、アリール基はフェニルまたはナフチルであり得る。「アリール基」という句は、縮合環を含有する基、たとえば縮合芳香族−脂環系(たとえばインダニル、テトラヒドロナフチルなど)含むことができるが、「アリール基」は、環員の1つに結合した他の基、たとえばアルキルまたはハロ基を有するアリール基を含まない。むしろトリルなどの基は、置換アリール基と呼ぶことができる。代表的な置換アリール基は、1置換できるか、または2回以上置換できる。たとえば1置換アリール基としては、上に挙げたものなどの置換基によって置換できる、2−、3−、4−、5−または6置換フェニルまたはナフチル基が挙げられるが、それに限定されない。
アラルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が上で定義したようなアリール基への結合によって置き換えられ得る、上で定義したようなアルキル基であり得る。いくつかの実施形態において、アラルキル基は、7から16個の炭素原子を、7から14個の炭素原子を、または7から10個の炭素原子を含有する。置換アラルキル基は、基のアルキル部分、アリール部分またはアルキル部分とアリール部分の両方にて置換できる。代表的なアラルキル基としては、ベンジルおよびフェネチル基および縮合(シクロアルキルアリール)アルキル基、たとえば4−インダニルエチルが挙げられるが、それに限定されない。代表的な置換アラルキル基は、上に挙げたものなどの置換基によって1回以上置換できる。
ヘテロシクリル基としては、1個以上がヘテロ原子、たとえばN、OおよびSであり得るがそれに限定されない、3個以上の環員を含有する芳香族(ヘテロアリールとも呼ばれる)および非芳香族環化合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基としては、3から16個の環員を有する単環、2環および3環が挙げられるのに対して、他のこのような基は、3から6個の、3から10個の、3から12個の、または3から14個の環員を有する。ヘテロシクリル基は、芳香族、部分不飽和および飽和環系、たとえばイミダゾリル、イミダゾリニルおよびイミダゾリジニル基を含む。「ヘテロシクリル基」という句は、縮合芳香族および非芳香族基を含むものを含む縮合環種、たとえばベンゾトリアゾリル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニルおよびベンゾ[1,3]ジオキソリルを含む。該句は、ヘテロ原子を含有する架橋多環式環系、たとえばキヌクリジニルも含むが、それに限定されない。しかし、該句は、環員の1個に結合された他の基、たとえばアルキル、オキソまたはハロ基を有するヘテロシクリル基を含まない。むしろ、これらは「置換ヘテロシクリル基」と呼ぶことができる。ヘテロシクリル基としては、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソリル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、オキサチアン、ジオキシル、ジチアニル、ピラニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジル、ジヒドロジチエニル(didhydrodithiinyl)、ジヒドロジチオニル、ホモピペラジニル、キヌクリジル、インドリル、インドリニル、イソインドリル、アザインドリル(ピロロピリジル)、インダゾリル、インドリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾジチエニル(benzodithiinyl)、ベンゾオキサチイニル、ベンゾチアジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ピラゾロピリジル、イミダゾピリジル(アザベンゾイミダゾリル)、トリアゾロピリジル、イソオキサゾロピリジル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、キノリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、チアナフチル、ジヒドロベンゾチアジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンズイミダゾリル、テトラヒドロベンゾトリアゾリル、テトラヒドロピロロピリジル、テトラヒドロピラゾロピリジル、テトラヒドロイミダゾピリジル、テトラヒドロトリアゾロピリジルおよびテトラヒドロキノリニル基が挙げられるが、それに限定されない。代表的な置換ヘテロシクリル基は、1置換または2回以上置換でき、たとえば上に挙げたものなどの多様な置換基によって2位、3位、4位、5位もしくは6位置換または2置換できるピリジルまたはモルホリニル基であり得るが、それに限定されない。
ヘテロアリール基は、1個以上がヘテロ原子、たとえばN、OおよびSであり得るがそれに限定されない、5個以上の環員を含有する芳香族環化合物であり得る。ヘテロアリール基としては、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル(ピロロピリジニル)、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、イミダゾピリジニル(アザベンゾイミダゾリル)、ピラゾロピリジニル、トリアゾロピリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダゾピリジニル、イソオキサゾロピリジニル、チアナフチル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニルおよびキナゾリニル基などの基が挙げられるが、それに限定されない。ヘテロアリール基としては、すべての環が芳香族であり得る縮合環化合物、たとえばインドリル基が挙げられ、環の1個が芳香族であり得る縮合環化合物、たとえば2,3−ジヒドロインドリル基が挙げられる。「ヘテロアリール基」という句は縮合環化合物を含むが、該句は、環員の1個に結合された他の基、たとえばアルキル基を有するヘテロアリール基は含まない。むしろ、このような置換を有するヘテロアリール基は、「置換ヘテロアリール基」と呼ぶことができる。代表的な置換ヘテロアリール基は、上に挙げたものなどの多様な置換基によって1回以上置換できる。
ヘテロアラルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が上で定義したようなヘテロアリール基への結合によって置き換えられる、上で定義したようなアルキル基であり得る。置換ヘテロアラルキル基は、基のアルキル部分、ヘテロアリール部分またはアルキル部分とヘテロアリール部分の両方にて置換できる。代表的な置換ヘテロアラルキル基は、上に挙げたものなどの置換基によって1回以上置換できる。
本明細書で使用する場合、たとえば多環式芳香族炭化水素105に相当する多環式芳香族炭化水素は、縮合できる2個以上の芳香族環を含む炭素および水素の化合物であり得る。多環式芳香族炭化水素の例としては、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ピセン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、オクタセン、ノナセン、デカセン、テトラフェン、ペンタフェン、ヘキサフェン、ヘプタフェン、オクタフェン、ノナフェン、デカフェン、テトラヘリセン、ペンタヘリセン、ヘキサヘリセン、ヘプタヘリセン、オクタヘリセン、ノナヘリセン、デカヘリセン、ビナフチレン(ジベンゾ[b,h]ビフェニレン)、トリナフチレン、テトラナフチレン、ビフェニレン、トリフェニレン、テトラフェニレン、ペンタフェニレン、ヘキサフェニレン、ヘプタフェニレン、オクタフェニレン、ノナフェニレン、デカフェニレン、アセナフタレン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、プレイアデン(pleiadene)、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[ghi]ペリレン、ジベンゾ(a,h)アントラセン、コロネン、ルビセン、ピラントレン、オバレンなどが挙げられるが、それに限定されない。多様な例において、多環式芳香族炭化水素は、図3Bに示されるもの、たとえばナフタレン326、アセナフタレン328、アセナフチレン330、アセフェナントリレン332、アセアントリレン334、アントラセン336、フェナントレン338、フルオレン340、ビフェニレン342、フルオランテン344、トリフェニレン346、クリセン348、テトラセン350、ペリレン352、テトラフェニレン354、テトラフェン356、ピセン358、ペンタフェン360、ベンゾ[a]ピレン362、ベンゾ[e]ピレン364、ベンゾ[ghi]ペリレン366、コロネン368およびルビセン370が挙げられるが、それに限定されない。多くのこのような多環式芳香族炭化水素は、その多様な置換誘導体と同様に市販されている。
本明細書で使用する場合、多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン、たとえば多環式芳香族炭化水素ラジカルアニオン105は、対応する多環式芳香族炭化水素の電気化学または化学還元によって調製できる。たとえば、ナフタレンラジカルアニオンのナトリウム塩であるナトリウムナフタレンは、ナフタレンの無水テトラヒドロフラン溶液を金属ナトリウムと共に撹拌することによって調製できる。同様に、アントラセンラジカルアニオンのカリウム塩は、アントラセンの無水テトラヒドロフラン溶液を金属カリウムと共に撹拌することによって調製できる。いくつかの多環式芳香族炭化水素は、ナトリウムナフタレンなどのように、そのラジカルアニオン状態で市販されている。
該技術の化合物中の2個以上の結合点を有する本明細書に記載する基(すなわち2価、3価または多価)は、接尾辞「エン」を使用して呼ぶことができる。たとえば、2価アルキル基はアルキレン基であり得て、2価アリール基はアリーレン基であり得て、2価ヘテロアリール基はヘテロアリーレン基であり得るなどである。特に、あるポリマーは、ポリマー反復単位を説明する用語と併せて接尾辞「エン」を使用して説明できる。たとえば、図3Aの化合物310が「ポリ−パラ−フェニレン」と呼ぶことができるのは、反復単位フェニルが環上で相互に対してパラに位置する2個の結合点にて結合できるためである。別の例において、ポリマーは一般に、同じ方式で呼ばれ得て、たとえばポリアリーレンは、アリール基を介して2個の結合点で結合されているポリマー(たとえばポリ−パラ−フェニレン)である。他の例としては、ポリヘテロアリーレン(たとえば図3Aの化合物302から306)、ポリアリーレンビニレン(たとえば図3Aの化合物312)、ポリヘテロアリーレンビニレン(たとえば図3Aの化合物308)などが挙げられる。当分野の一部の一般名は上記のパターンに従わない場合があることに留意されたい。たとえば、図3Aの化合物302はポリヘテロアリーレンであるが、ふつうは接尾辞「エン」なしの「ポリピロール」として公知であり得る。
アルコキシ基は、水素原子への結合が上で定義したような置換または非置換アルキル基の炭素原子への結合によって置き換えられるヒドロキシル基(−OH)であり得る。直鎖アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが挙げられるが、それに限定されない。分枝アルコキシ基の例としては、イソプロポキシ、sec−ブトキシ、terf−ブトキシ、イソペントキシ、イソヘキソキシなどが挙げられるが、それに限定されない。シクロアルコキシ基の例としては、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられるが、それに限定されない。代表的な置換アルコキシ基は、上に挙げたものなどの置換基によって1回以上置換できる。
「アミン」(または「アミノ」)という用語は、本明細書で使用する場合、NR5R6基を指し、ここでR5およびR6は独立して、水素または本明細書で定義するような置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキルまたはヘテロシクリル基であり得る。いくつかの実施形態において、アミンはアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノまたはアルキルアリールアミノであり得る。他の実施形態において、アミンはNH2、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、フェニルアミノまたはベンジルアミノであり得る。「アルキルアミノ」という用語はNR7R8として定義され得て、ここでR7およびR8の少なくとも一方がアルキルであり得て、他方はアルキルまたは水素であり得る。「アリールアミノ」という用語は、NR9R10として定義され得て、ここでR9およびR10の少なくとも一方がアリールであり得て、他方はアリールまたは水素であり得る。
「ハロゲン」および「ハロ」という用語は、本明細書で使用する場合、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素を指す。いくつかの実施形態において、ハロゲンはフッ素であり得る。他の実施形態において、ハロゲンは塩素または臭素であり得る。
システムの態様のハードウェアによる実施とソフトウェアによる実施とではほとんど差異はなく、ハードウェアまたはソフトウェアの使用は、一般には(場合によっては、ハードウェアとソフトウェアとの間の選択が重要となり得るため、常にではないが)費用対効果の兼ね合いを表す設計上の選択である。本明細書に記載のプロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術を実現させ得る多様な媒体が存在し(たとえばハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェア)、好ましい媒体は、プロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術が展開される状況によって異なるであろう。たとえば、速度および精度が優先される場合、実施者は、主にハードウェアおよび/またはファームウェアによる構成を選択することができ、融通性が優先される場合は、実施者は主にソフトウェアによる実施を選択することができ、またはなお再び代替的に、実施者はハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの何らかの組合せを選択してもよい
上述の詳細な説明は、ブロック図、フローチャートおよび/または実施例によって装置および/またはプロセスの多様な実施形態について説明した。ブロック図、フローチャート、および/または実施例が1つ以上の機能および/または操作を含む限り、当業者によって、このようなブロック図、フローチャート、および/または実施例内の各機能および/または操作が、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたは実質的にその任意の組合せによって個別におよび/または集合的に実施できることが理解されるであろう。一実施形態において、本明細書に記載する主題のいくつかの部分が、特殊用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuits(ASIC))、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Arrays(FPGA))、デジタル信号プロセッサ(DSPs)または他の集積フォーマットによって実施できる。しかし当業者は、本明細書で開示する実施形態のいくつかの態様が、全体または一部において、1台以上のコンピュータ上で動作する1つ以上のコンピュータプログラム同様に(たとえば1つ以上のコンピュータシステム上で動作する1つ以上のプログラムと同様に)、1個以上のプロセッサ上で動作する1つ以上のプログラムと同様に(たとえば1個以上のマイクロプロセッサ上で動作する1つ以上のプログラムと同様に)、ファームウェアと同様に、またはその任意の組合せと同様に、集積回路に実施できることと、回路の設計ならびに/またはソフトウェアおよび/もしくはファームウェアのコードを作成することが、本開示に照らして当業者の技能の十分に範囲にあることを認識するであろう。
本開示は、多様な態様の例証とされるものである、本出願に記載した特定の実施形態に関して限定されるものではない。多くの変形形態および変更形態は、当業者に明らかとなるように、趣旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。開示の範囲内の機能的に同等な方法および装置は、本明細書に列挙するものに加えて、上の説明から当業者に明らかとなる。このような修正および変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。本開示は、特許請求の範囲に付与される均等な範囲全体に沿って、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるものである。本開示は、もちろん変更可能である特定の方法、システムまたは成分に限定されないことが理解されるべきである。本明細書で使用する用語が、特定の実施形態のみを説明する目的のためであることにすぎず、限定するものではないことも理解されるべきである。
加えて当業者は、本明細書に記載する主題の機構がプログラム製品として多種多様の形で配布できることと、本明細書に記載する主題の例示的な実施形態が実際に配布を行うのに使用される特定の種類の信号搬送媒体と無関係に適用されることを認識するであろう。信号搬送媒体の例としては、以下の:記録型媒体、たとえばフロッピーディスク、ハード・ディスク・ドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなど;ならびに伝送型媒体、たとえばデジタルおよび/またはアナログ通信媒体(たとえば光ファイバーケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンクなど)が挙げられるが、それに限定されない。
当業者は、当分野では、装置および/またはプロセスを本明細書で述べた方式で説明して、その後に技術的慣行を用いてこのように説明した装置および/またはプロセスをデータ処理システムに組み込むことが普通であることを認識するであろう。すなわち、本明細書に記載する装置および/またはプロセスの少なくとも一部が合理的な量の実験を通じてデータ処理システムに組み込むことができる。当業者は、通例のデータ処理システムが一般にシステム・ユニット・ハウジング、ビデオ表示装置、メモリ、たとえば揮発性および非揮発性メモリ、プロセッサ、たとえばマイクロプロセッサおよびデジタル信号プロセッサ、コンピュータエンティティ、たとえばオペレーティングシステム、ドライバ、グラフィカル・ユーザ・インタフェース、およびアプリケーションプログラムの1つ以上、1台以上の対話装置、たとえばタッチパッドもしくはスクリーンおよび/またはフィードバックループを含む制御システムを含むことを認識するであろう。
通例の製造システムは、任意の好適な市販の構成要素、たとえばデータ計算/通信および/またはネットワーク計算/通信システムで通例見られる構成要素を利用して実施できる。本明細書に記載の主題は、異なる他の構成要素内に含まれる、または異なる構成要素に接続された、異なる構成要素を例示することがある。このように示されたアーキテクチャは単なる例示にすぎず、実際に、同じ機能を実現する多くの他のアーキテクチャを実施できることを理解されたい。概念的な意味において、同じ機能を実現するための構成要素のいずれの構成も所望の機能が達成されるように効果的に「関連付け」られている。ゆえに、特定の機能を達成するために組合された本明細書のいずれの2個の構成要素も、アーキテクチャまたは介在する構成要素に関わらず、所望の機能が実現されるように相互に「関連付け」られていると見なすことができる。同様に、このように関連付けられたいずれの2個の構成要素も、所望の機能を実現するために、相互に「動作可能に接続されている」または「動作可能に結合されている」と見なすことができ、このように関連付けることが可能ないずれの2個の構成要素も、所望の機能を実現するために相互に「動作可能に結合できる」と見なすことができる。動作可能に結合可能な具体例としては、物理的に接続可能なおよび/もしくは物理的に相互作用する構成要素ならびに/または無線により相互作用可能な構成要素および/もしくは無線により相互作用する構成要素ならびに/または論理的に相互作用するおよび/もしくは論理的に相互作用可能な構成要素が挙げられるが、それに限定されない。
本明細書における実質的にすべての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換できる。多様な単数形/複数形の置き換えは、理解しやすいように、本明細書で明確に説明できる。
一般に、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(たとえば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、全体を通じて「オープンな(open)」用語として企図されていることが、当業者には理解されよう(たとえば、用語「含む(including)」は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。導入される請求項で具体的な数の記載が企図される場合、そのような企図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような企図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。たとえば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つ以上の(one or more)」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む実施形態に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではない(たとえば、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。加えて、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(たとえば、他の修飾語なしでの「2つの記載(two recitations)」の単なる記載は、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。
さらに、「A、BおよびCなどの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、一般に、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で企図されている(たとえば、「A、BおよびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共になどを有するシステムを含むが、それに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する実質的にいずれの離接的な語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方(one of the terms)、当該用語のいずれか(either of the terms)、または両方の用語(both terms)を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。たとえば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
加えて、本開示の特徴または態様がマーカッシュグループによって記述される場合は、本開示がまた、それによりマーカッシュグループの任意の個々のメンバまたはメンバのサブグループによって記述されることを、当業者は理解するであろう。当業者には理解されるように、文書による説明を提供することによってなど、すべての目的のために、本明細書で開示されるすべての範囲はまた、すべての可能なサブ範囲およびそれらのサブ範囲の組合せを包含する。列挙されているいかなる範囲も十分に説明し、同じ範囲が少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分類できるようにしているので、容易に認識できる。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下の3分の1、中央の3分の1、および上の3分の1に容易に分類できる。当業者にはまた理解されるように、「まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「より大きい(greater than)」、「より小さい(less than)」、および同種のものなどのすべての言葉は、記載された数を含み、上記で論じられたように、それに続いてサブ範囲に分類できる範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲は個々の各メンバを含む。たとえば、たとえば、1から3個のセルを有するグループは、1個、2個、または3個のセルを有するグループを指す。同様に、1から5個のセルを有するグループは、1個、2個、3個、4個、または5個のセルを有するグループを指し、以下同様である。本明細書では多様な態様および実施形態が開示されてきたが、他の態様および実施形態は当業者には明らかであろう。
本明細書で開示された多様な態様および実施形態は、例示のためであり、限定することを企図するものではなく、真の範囲および趣旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。