JP7216748B2 - 液体組成物、および、非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents
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Description
(A)電解液を含む非水電解質二次電池を準備する。
(B)上記〔1〕から〔5〕の液体組成物を、非水電解質二次電池内の電解液に追加することにより、非水電解質二次電池にキャリアイオンを補給する。
液体組成物は、電池にキャリアイオンを補給するために使用される。電池の詳細は後述される。キャリアイオンの補給により、容量の回復が期待される。キャリアイオンの補給により、その他の性能改善(例えば出力の向上、寿命の延伸等)が起こることも考えられる。液体組成物は、例えば「キャリアイオン補給剤」、「Liイオン補給剤」、「容量回復剤」、「性能改善剤」等とも称され得る。
溶質は溶媒に溶解している。溶質は特定のイオン化合物を含む。溶質は1種のイオン化合物を単独で含んでいてもよい。溶質は2種以上のイオン化合物を含んでいてもよい。
イオン化合物は、芳香族化合物のラジカルアニオンと、金属カチオンとからなる。溶媒中においてイオン化合物は、解離していてもよいし、会合していてもよい。金属カチオンは、電池のキャリアイオンと同種のイオンである。液体組成物が電池の電解液に追加されることにより、金属カチオンはキャリアイオンの一部になると考えられる。例えば電池がリチウムイオン電池である時、金属カチオンはLiイオンである。例えば電池がナトリウムイオン電池である時、金属カチオンはナトリウム(Na)イオンである。例えば、電池がマグネシウムイオン電池である時、金属カチオンはマグネシウム(Mg)イオンである。
溶媒はイオン化合物を溶解する。溶媒はイオン化合物を溶解し得る限り、任意の成分を含み得る。溶媒は例えばエーテルを含んでいてもよい。エーテルは、ポリフェナセンのラジカルアニオンおよびキャリアイオンと共に、安定な錯体を形成することが期待される。エーテル結合の酸素原子がキャリアイオンへの配位に適するためと考えられる。錯体が安定であることにより、キャリアイオンの補給効率が向上することが期待される。溶媒は、例えば、THF、1,4-ジオキサン(DX)、DME、および1,2-ジエトキシエタン(DEE)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。溶媒は、例えば、THFおよびDMEからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
上記成分を含む限り、液体組成物は追加成分を含んでいてもよい。追加成分の体積分率は、例えば1%から70%であってもよい。追加成分は、例えば、補給対象である電池の電解液に含まれる成分であってもよい。液体組成物が、補給対象である電池の電解液に含まれる成分を含むことにより、液体組成物が電解液に混和しやすくなることが期待される。追加成分は、例えば、電解液における支持電解質を含んでいてもよい。追加成分は、例えば、LiPF6、LiBF4、およびLiN(FSO2)2からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。追加成分は、電解液における溶媒を含んでいてもよい。追加成分は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルホルメート(MF)、メチルアセテート(MA)、メチルプロピオネート(MP)、およびγ-ブチロラクトン(GBL)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
液体組成物における芳香族化合物の質量分率が高い程、キャリアイオンの補給効率が向上することが期待される。ただし芳香族化合物の質量分率が過度に上昇すると、液体組成物の粘度が上昇し、キャリアイオンの拡散が阻害される可能性がある。液体組成物における芳香族化合物の質量分率は、例えば0.5%から11%であってもよい。液体組成物における芳香族化合物の質量分率は、例えば0.5%から7.5%であってもよい。液体組成物における芳香族化合物の質量分率は、例えば7.5%から11%であってもよい。
図1は、本実施形態における非水電解質二次電池の製造方法の概略フローチャートである。電池の製造方法は「(A)電池の準備」および「(B)キャリアイオンの補給」を含む。本実施形態の製造方法は、例えば「(a1)第1容量測定」、「(a2)第1判定」、「(b1)第2容量測定」、「(b2)第2判定」、「(C)リユース」および「(D)リサイクル」等をさらに含んでいてもよい。
電池の製造方法は、電池を準備することを含む。電池は電解液を含む。電池は新品電池であってもよい。電池は使用済み電池であってもよい。例えば、市場から使用済み電池が回収されてもよい。例えば電池を搭載する車両等の検査時等に、使用済み電池が回収されてもよい。
電池の製造方法は、電池の容量を測定することにより、第1容量減少率を求めることを含んでいてもよい。容量測定は、一般的な充放電装置により実施され得る。第1容量減少率は、下記式(VII)により求まる。
電池の製造方法は、第1容量減少率により、キャリアイオンの補給の要否を判定することを含んでいてもよい。すなわち、第1容量減少率が基準値以上である時、電池に対してキャリアイオンの補給が必要であると判定されてもよい。基準値は、電池の用途、電池の使用環境等に応じて、任意に設定され得る。
電池の製造方法は、液体組成物を電池の電解液に追加することにより、電池にキャリアイオンを補給することを含む。
電池の製造方法は、液体組成物の追加後、電池の容量を測定することにより、第2容量減少率を求めることを含んでいてもよい。第2容量減少率は、第1容量減少率と同様に求められる。容量が回復している場合、第2容量減少率は第1容量減少率に比して低くなると考えられる。
電池の製造方法は、第2容量減少率により、リサイクルの要否を判定することを含んでいてもよい。例えば、第2容量減少率が基準値以上である時、リサイクルが実施されてもよい。例えば、第2容量減少率が基準値未満である時、リユースが実施されてもよい。
上記「(a2)第1判定」において、例えば第1容量減少率が基準値未満である時、補給処理が実施されずに、電池がそのまま再使用されてもよい。上記「(b2)第2判定」において、例えば第2容量減少率が基準値未満である時、補給処理後の電池が再使用されてもよい。
上記「(b2)第2判定」において、例えば第2容量減少率が基準値以上である時、電池の再使用が困難とみなされ得る。電池が解体されることにより、再利用可能な材料(例えばレアメタル等)が回収されてもよい。
図2は、本実施形態における非水電解質二次電池の構成の一例を示す概略図である。
電池100は、上記「電池の製造方法」により製造され得る。電池100は、任意の用途で使用され得る。電池100は、例えば電動車両において、主電源または動力アシスト用電源として使用されてもよい。複数個の電池100が連結されることにより、電池モジュールまたは組電池が形成されてもよい。電池100は所定の定格容量を有する。電池100は、例えば1Ahから50Ahの定格容量を有していてもよい。
電極体50は巻回型である。電極体50は、正極10、セパレータ30および負極20を含む。すなわち電池100は、正極10と負極20と電解液とを含む。正極10、セパレータ30および負極20は、いずれも帯状のシートである。電極体50は複数枚のセパレータ30を含んでいてもよい。電極体50は、正極10、セパレータ30および負極20がこの順に積層され、渦巻状に巻回されることにより形成されている。正極10または負極20の一方がセパレータ30に挟まれていてもよい。正極10および負極20の両方がセパレータ30に挟まれていてもよい。電極体50は、巻回後に扁平状に成形されていてもよい。なお巻回型は一例である。電極体50は、例えば積層(スタック)型であってもよい。
正極10は、例えば正極基材11と正極活物質層12とを含んでいてもよい。正極基材11は導電性シートである。正極基材11は、例えばAl合金箔等であってもよい。本明細書における各部材の「厚さ」は、定圧厚さ測定器(厚さゲージ)により測定され得る。正極基材11は、例えば10μmから30μmの厚さを有していてもよい。正極活物質層12は、正極基材11の表面に配置されていてもよい。正極活物質層12は、例えば正極基材11の片面のみに配置されていてもよい。正極活物質層12は、例えば正極基材11の表裏両面に配置されていてもよい。正極10の幅方向(図3のX軸方向)において、一方の端部に正極基材11が露出していてもよい。正極基材11が露出した部分には、正極集電部材71が接合され得る。
負極20は、例えば負極基材21と負極活物質層22とを含んでいてもよい。負極基材21は導電性シートである。負極基材21は、例えばCu合金箔等であってもよい。負極基材21は、例えば5μmから30μmの厚さを有していてもよい。負極活物質層22は、負極基材21の表面に配置されていてもよい。負極活物質層22は、例えば負極基材21の片面のみに配置されていてもよい。負極活物質層22は、例えば負極基材21の表裏両面に配置されていてもよい。負極20の幅方向(図3のX軸方向)において、一方の端部に負極基材21が露出していてもよい。負極基材21が露出した部分には、負極集電部材72が接合され得る。
セパレータ30の少なくとも一部は、正極10と負極20との間に介在している。セパレータ30は、正極10と負極20とを分離している。セパレータ30は、例えば10μmから30μmの厚さを有していてもよい。
電解液には液体組成物が追加されている。電解液は溶媒と溶質とを含む。溶質は支持電解質を含む。すなわち溶質はキャリアイオンを含む。支持電解質は、例えばLiPF6、LiBF4、およびLiN(FSO2)2からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。支持電解質のモル濃度は、例えば0.5mоl/Lから2.0mоl/Lであってもよい。
以下のように試料1から試料5に係る液体組成物が調製された。
芳香族化合物としてフェナントレン(結晶粉末)が準備された。フェナントレンはポリフェナセンである。フェナントレンが容器に入れられた。ピペットによりDMEが容器に滴下された。DMEとフェナントレンとの混合物が攪拌されることにより、フェナントレンがDMEに溶解した。
支持電解質:LiPF6(1.0mоl/L)
溶媒:EC/EMC/DMC=3/3/4(体積比)
錯体溶液におけるLiイオンの濃度が変更されることを除いては、試料1と同様に液体組成物が調製された(下記表1参照)。
芳香族化合物がアントラセンに変更されることを除いては、試料1と同様に液体組成物が調製された。アントラセンはポリアセンである。
試料5においては、上記電解液(追加成分)のみが液体組成物とされた。試料1、試料4および試料5において、液体組成物中のLiイオンの合計濃度は、いずれも1mоl/Lであった。
正極が準備された。正極は正極基材と正極活物質層とを含んでいた。正極活物質はLi(NiCoMn)O2を含んでいた。正極基材はAl箔であった。正極基材にタブリードが接合された。
試験電池が十分に充放電された。1/3Itの電流により、100%のSOCから0%のSOCまで、試験電池が放電された。これにより初期容量が測定された。「It」は、電流の時間率を表す記号である。1Itの電流は、電池の定格容量を1時間で放電する電流と定義される。
試料1(フェナントレン)においては、回復量が正の値である。すなわち試料1(フェナントレン)においては、容量の回復がみられる。他方、試料4(アントラセン)においては、回復量が負の値である。試料4(アントラセン)においては、容量の回復がみられない。
本技術においては、液体組成物の使用方法も提供される。
〔1〕液体組成物の使用方法は、
液体組成物を準備すること、
および、
非水電解質二次電池にキャリアイオンを補給するために、液体組成物を使用すること、
を含む。
液体組成物は溶媒と溶質とを含む。溶質はイオン化合物を含む。イオン化合物は、芳香族化合物のラジカルアニオンと、金属カチオンとからなる。芳香族化合物はポリフェナセンである。金属カチオンは、キャリアイオンと同種のイオンである。
Claims (7)
- 非水電解質二次電池にキャリアイオンを補給するために使用される、液体組成物であって、
溶媒と溶質とを含み、
前記溶質はイオン化合物を含み、
前記イオン化合物は、芳香族化合物のラジカルアニオンと、金属カチオンとからなり、
前記芳香族化合物はポリフェナセンであり、
前記金属カチオンは、前記キャリアイオンと同種のイオンである、
液体組成物。 - 前記芳香族化合物はフェナントレンである、
請求項1に記載の液体組成物。 - 前記溶媒はエーテルを含む、
請求項1または請求項2に記載の液体組成物。 - 前記溶媒は、テトラヒドロフランおよび1,2-ジメトキシエタンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、
請求項3に記載の液体組成物。 - 前記金属カチオンはリチウムイオンを含む、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液体組成物。 - 電解液を含む前記非水電解質二次電池を準備すること、
および、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の前記液体組成物を、前記非水電解質二次電池内の前記電解液に追加することにより、前記非水電解質二次電池に前記キャリアイオンを補給すること、
を含む、
非水電解質二次電池の製造方法。 - 前記非水電解質二次電池は、初期容量に比して小さい容量を有する、
請求項6に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
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