図1は、一部の実施例に係る環境チャンバ装置100の概略ブロック図である。図1を参照すると、装置100は、内部にDUTを配置できる環境制御チャンバ102を含み、任意の所定の環境下でDUTに対し試験条件を実施できる。例えば、図1に示す実施形態では、チャンバ102内の温度と湿度を制御可能である。そのため装置100は、チャンバ102内に温度センサ110と湿度センサ108とを含む。温度センサ110と湿度センサ108は、チャンバ102内の温度と湿度を各々検知し、装置制御器136へ温度と湿度を示す信号を各々送る。
チャンバ102内の環境は、例えば空気等のチャンバ環境ガスをチャンバ102内にあるプレナム112を通し動かす撹拌送風機116を使用して、加湿、除湿、加熱、冷却のいずれか1つ又はいくつか、もしくすべてを実行して調節される。一般的には、撹拌送風機116によってプレナム112を通る空気の速い乱流を発生する。撹拌送風機116は、装置制御器136からの信号線117を通る制御信号によって制御される撹拌送風機電源部・制御部114によって制御される。撹拌送風機116は、チャンバ102へ空気流を排出し、チャンバ102内の環境を制御する。
チャンバ102内の空気は、加熱器118によって加熱される。実施形態によっては、加熱器118は、抵抗加熱器であって、信号線135を通る制御信号を介し装置制御器136によって制御される加熱器電源部・制御部134の制御下で動作する。
実施形態によっては、チャンバ102内の空気は、例えば蒸発器120によって冷却される。チャンバ102からの空気は、撹拌送風機116によってプレナム112へ引き込まれ、そこで蒸発器120が空気を冷却する。プレナム112へ入る空気は、蒸発器120によって機械的に、つまり蒸発器120と共に動作する冷却循環部によって冷却してもよいし、又は蒸発器120への冷媒の注入により超低温材式に冷却してもよい。図1に示す実施例では、蒸発器120は冷媒(例えば、液体窒素LN2、液体二酸化炭素LCO2他)の注入によって空気を冷却する。LN2又はLCO2は、供給部122から管124を介してチャンバ102の壁を通り、蒸発器120へ運ばれる。図1に示すように、冷媒の搬送は信号線131を通る制御信号を介して装置制御器136によって制御される。注入された冷媒は蒸発器120に入ると蒸発し、それによって蒸発器120の外面に沿って流れる空気を冷却する。
上記のように、実施形態によっては、チャンバ102内の湿度も制御される。そのため装置100は、チャンバ102内の環境を加湿する水分投入と、チャンバ102内の環境を除湿する乾燥剤投入も含む。実施形態によっては、水分投入は例えば噴霧水の投入であって、噴霧水は供給部126から管130を介してチャンバ102の壁を通り、プレナム112へ運ばれる。図1に示すように、噴霧水の流れ又は流量のいずれか一方又は両方、つまり噴霧水による湿度調節は、信号線127を通る制御信号を介して装置制御器136によって制御される。実施形態によっては、乾燥剤投入は、例えば乾燥窒素の投入であって、乾燥窒素は供給部128から管132を介してチャンバ102の壁を通り、プレナム112へ運ばれる。図1に示すように、乾燥窒素の流れ又は流量のいずれか一方又は両方、つまり乾燥窒素による湿度調節は、信号線129を通る制御信号を介して装置制御器136によって制御される。
投入された水分又は乾燥剤のいずれか一方又は両方は、プレナム112内の空気の乱流に引き込まれる。本発明によると装置制御器136は、湿度センサ108によって測定されるチャンバ102内の湿度を望ましい湿度にするように投入される水分と乾燥剤の組み合わせを適切な制御信号を介し設定する。同様に、加熱118と冷却120のいずれか一方又は両方は、プレナム112内の空気の乱流に適応される。本発明によると、装置制御器136は、適切な制御信号を介して、チャンバ102内の温度を望ましい温度にするように、加熱と冷却の組み合わせを適応的に設定する。
装置100は、DUT104周囲に位置するか、接触するか、又はその両方であるDUT温度センサ106を含む。DUT温度センサ106は、DUT104の温度を直接インサイチュ(in‐situ:その場)感知し、チャンバ環境内の例えば温度変化や温度の傾き等の考えられる他の要因から影響を受けない。DUT温度センサ106は、DUT104の温度をインサイチュ感知し、DUT104の温度を示す信号を信号線107を通し装置制御器136へ送る。実施形態によっては、DUT温度センサ106は、温度抵抗体(RTD)、熱電対、サーミスタ、又はその他の接触式温度検知装置であってもよいし、それらを含んでもよい。
装置制御器136は、装置内の様々なセンサから受け取る様々な入力信号を処理することによって装置100の運転を制御し、それらの入力信号を利用して制御信号を生成する。実施形態によっては、装置制御器136は、処理装置140を含み、処理装置140は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラムされたゲートアレイ、又はその他のデバイスであってもよい。装置制御器136は、更に記憶回路142,144,146も含み、各記憶回路142,144,146は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、又はその他の記憶装置のいずれの形式でもよい。記憶回路142,144,146の1つ又は複数は、装置100を制御するように装置制御器136によって使用されるプログラム指令及びデータを保存する。装置制御器136は、処理装置140と記憶回路142,144,146とに関連付けられる周辺回路148も含む。周辺回路148は、処理装置140と記憶回路142,144,146と共に装置制御器136の機能を実行するために使用される、例えば入力/出力インタフェース回路、数学的演算回路、又はその他の回路を含んでもよい。処理装置140、記憶回路142,144,146、及び周辺回路148は、システムバス150を介して接続される。処理装置140、記憶回路142,144,146、及び周辺回路148の信号は、システムバス150を介して伝送される。
上記のように、装置100は試験中のDUT104における又はその周囲の結露を除去するように動作する。これは、湿度センサ108によってチャンバの湿度を正確に測定することと、温度センサ110によってチャンバ温度を正確に測定することに加えて、DUT温度センサ106によってDUT104の温度を正確にインサイチュ(in‐situ:その場)測定することによって実施される。DUT104の温度を直接インサイチュ検知することによって、装置はチャンバ102内の湿度と温度を調節することができ、DUT104の温度がチャンバ102内の空気の露点よりも低下せず、装置はDUT104における又はその周囲の結露を除去することができる。
装置制御器136は、処理装置140、記憶回路142,144,146、及び周辺回路148を介して制御処理又は機能を実行することによって、装置100を制御する。実施形態によっては、制御処理又は機能は、数学的フィルタであっても又はそれを含んでもよい。制御処理又は機能は、入力変数として、信号線107を介してDUT104の温度、信号線111を介してチャンバ102の温度、及び信号線109を介してチャンバ102の湿度を受け取る。制御処理又は機能は、これらの受け取った信号を処理し、チャンバ102の湿度と温度を制御する制御信号を生成し、DUT104において又はその周囲で結露が発生しないようにする。
具体的には、制御処理又は機能は、制御信号線135を通して加熱制御信号を生成し、加熱器電源部・制御部134を介して必要とされる加熱を指令する。制御信号は、加熱器118に対しオンとオフの指令を出しても、加熱器118に供給される電力を調節して出力熱を調節してもよい。同様に、制御処理又は機能は、信号線131を通して冷却制御信号を生成し、冷却供給部122を介して必要とされる冷却を指令する。制御信号は、供給部122に対しオンとオフの指令を出し、例えばLN2やLCO2等の超低温材を流したり止めたりしてもよいし、又はLN2やLCO2の流量を調節して冷却を調節してもよい。同様に、制御処理又は機能は、信号線127を通して湿度制御信号を生成し、水分供給部126を介し必要とされるチャンバ102内の空気への加湿を指令する。上述したように水分供給部は、噴霧水の供給部であってもよい。制御信号は、供給部126に対しオンとオフの指令を出し、水分(つまり噴霧水)を流したり止めたりしてもよいし、又は噴霧水の流量を調節してもよい。同様に、制御処理又は機能は、信号線129を通して乾燥制御信号を生成し、乾燥剤供給部128を介して必要とされるチャンバ102内の除湿を指令する。上述したように乾燥剤供給部128は、乾燥窒素の供給部であってもよい。制御信号は供給部128に対しオンとオフの指令を出し、乾燥窒素を流したり止めたりしてもよいし、又は乾燥窒素の流量を調節してもよい。更に制御処理又は機能は、信号線117を通して制御信号を生成し、撹拌送風機電源部・制御部114を介して撹拌送風機116を制御してチャンバ102内の環境ガス(つまり空気)の流れと撹拌を制御する。
実施例によっては、装置制御器136は信号線138を通るイネーブル入力も備える。イネーブル入力を使用して、DUT104における結露の除去を有効又は無効にする。イネーブル入力は、結露を完全に除去するのではなく、ユーザがDUT104における望ましい又は許容できる結露のレベルを設定できるようにする調節信号であってもよい。このような許容レベル信号は制御処理又は機能で使用されて、詳細を上述した様々な制御信号が生成され、結露を許容レベルとする。
図2は、他の実施例に係る環境チャンバ装置の概略ブロック図を示す。図2の実施形態と図1の実施形態との違いは次の通りである。すなわち、図1の実施形態では、蒸発器120に超低温材を注入することによって冷却が実施されるが、図2の実施形態では、冷却は機械的な冷却によって(つまり冷却循環部によって)実施され、図2の実施形態の蒸発器220は機械的な冷却循環部の一部である。
図2の実施形態の構成要素、機能、処理のうち図1と同じものは、類似する参照符号によって識別する。このような同じ構成要素、機能、処理の詳細な説明は省略する。
図2を参照する。実施例によっては、チャンバ102内の空気は例えば蒸発器220によって冷却される。チャンバ102からの空気は、撹拌送風機116によってプレナム112へ引き込まれ、蒸発器220が空気を冷却する。このような実施形態では、プレナム112へ入る空気は蒸発器220によって機械的に、つまり蒸発器220と共に動作する冷却循環部によって冷却される。機械的冷却循環部の部品を一般的に参照符号222によって示す。冷却循環部内の冷媒は、冷却循環部222の他の部分から管224を介してチャンバ102の壁を通して蒸発器220へ運ばれる。図2に示すように、冷媒の搬送は信号線231を通る制御信号を介して装置制御器136によって制御される。冷媒は、蒸発器220へ入ると蒸発し、それによって蒸発器220の外面に沿って流れる空気を冷却する。
実施例によると、冷却処理又は機能は、信号線231を通して冷却制御信号を生成し、冷却循環部222を介して必要とされる冷却を指令する。制御信号は循環部222に対しオンとオフの指令を出し、冷媒を流したり止めたりしてもよいし、冷媒の流量を調節して冷却を調節してもよい。
上述の実施形態では、DUT温度センサ106は、DUT104の温度を直接検知するDUT104と直接接触又は直接隣接する接触式温度センサとして開示されている。本発明によると、他にも非接触式温度センサを使用してDUT104の温度を直接検知してもよい。例えば、DUT104から離れて設置され、DUT104に接触しない赤外線温度センサを使用してDUT104の温度を直接検知できる。このような実施形態の赤外線温度センサは、チャンバの内部又は外部に配置してもよい。
図3〜6は、赤外線温度センサ等のリモートセンサを使用してDUT104の温度を直接検知する環境チャンバ装置の概略ブロック図である。これらに描写されるいずれの実施形態においても赤外線温度センサは米国マサチューセッツ州のExergen社によって製造及び販売されているタイプのものであってもよい。他のタイプの赤外線温度センサも本発明に従って使用できる。DUT104の検知された温度を使用し、詳細に上述した通り、チャンバ内の温度と湿度のいずれか一方又は両方を調節し、DUTにおける又はその周囲の結露を除去又は実質的に低減する。
図3は、他の実施例に係る非接触式リモートDUT温度センサ306を使用する環境チャンバ装置300の概略ブロック図を示す。図3の環境チャンバ装置300は、図1のチャンバ装置100と次の点を除き同じである。すなわち、図3のチャンバ装置300が、図1の実施形態における接触式DUT温度センサ106に代えて非接触式リモート赤外線DUT温度センサ306を使用するという点が異なる。図3の実施形態の構成要素のうち図1の実施形態の構成要素と同じ構成要素は、類似する参照符号によって識別する。これらの類似する構成要素の説明は省略する。
図3を参照する。赤外線DUT温度センサ306は、DUT104が赤外線DUT温度センサ306の視野角内にあって、赤外線DUT温度センサ306がDUT104の温度を直接検知できるような位置と向きに設置される。センサ306は、DUT104の検知された温度を示す信号を生成し、信号線307を通して信号を制御器136へ送り、制御器136はその信号を使用し、詳細に上述したようにチャンバ102内の温度と湿度のいずれか一方又は両方を調節し、DUT104における又はその周囲の結露を除去又は実質的に低減する。
図4は、他の実施例に係る非接触式リモートDUT温度センサ406を使用する環境チャンバ装置400の概略ブロック図を示す。図4のチャンバ装置400は、図2のチャンバ装置200と次の点を除き同じである。すなわち、図4のチャンバ装置400が図2の実施形態における接触式DUT温度センサ106に代えて非接触式リモート赤外線DUT温度センサ406を使用するという点が異なる。図4の実施形態の構成要素のうち図2の実施形態の構成要素と同じ構成要素は、類似する参照符号によって識別する。これらの類似する構成要素の説明は省略する。
図4を参照する。赤外線DUT温度センサ406は、DUT104が赤外線DUT温度センサ406の視野角内にあって、赤外線DUT温度センサ406がDUT104の温度を直接検知できるような位置と向きに設置される。センサ406は、DUT104の検知された温度を示す信号を生成し、信号線407を通して信号を制御器136へ送る。制御器136はその信号を使用し、詳細に上述したようにチャンバ102内の温度と湿度のいずれか一方又は両方を調節し、DUT104における又はその周囲の結露を除去又は実質的に低減する。
図5は、他の実施例に係る非接触式リモートDUT温度センサ506を使用する環境チャンバ装置500の概略ブロック図を示す。図5のチャンバ装置500は、図3のチャンバ装置300と次の点を除き同じである。すなわち、図5のチャンバ装置500では非接触式リモート赤外線DUT温度センサ506がチャンバ502外に配置されるのに対し、図3の装置300では赤外線DUT温度センサ306がチャンバ102内に配置される点が異なる。図5の実施形態の構成要素のうち図3の実施形態の構成要素と同じ構成要素は、類似する参照符号によって識別する。これらの類似する構成要素の説明は省略する。
図5を参照する。赤外線DUT温度センサ506は、DUT104がチャンバ502内の赤外線透過窓509を通し赤外線DUT温度センサ506の視野角内にあって、赤外線DUT温度センサ506がDUT104の温度を直接検知できるような位置と向きに設置される。センサ506は、DUT104の検知された温度を示す信号を生成し、信号線507を通して信号を制御器136へ送る。制御器136はその信号を使用し、詳細に上述したようにチャンバ502内の温度と湿度のいずれか一方又は両方を調節し、DUT104における又はその周囲の結露を除去又は実質的に低減する。
図6は、他の実施例に係る非接触式リモートDUT温度センサ606を使用する環境チャンバ装置600の概略ブロック図を示す。図6のチャンバ装置600は、図4のチャンバ装置400と次の点を除き同じである。すなわち、図6のチャンバ装置600では非接触式リモート赤外線DUT温度センサ606がチャンバ602外に配置されるのに対し、図4の装置400では赤外線DUT温度センサ406がチャンバ102内に配置される点が異なる。図6の実施形態の構成要素のうち図4の実施形態の構成要素と同じ構成要素は、類似する参照符号によって識別する。これらの類似する構成要素の説明は省略する。
図6を参照する。赤外線DUT温度センサ606は、DUT104がチャンバ602内の赤外線透過窓609を通し赤外線DUT温度センサ606の視野角内にあって、赤外線DUT温度センサ606がDUT104の温度を直接検知できるような位置と向きに設置される。センサ606は、DUT104の検知された温度を示す信号を生成し、信号線607を通して信号を制御器136へ送る。装置制御器136はその信号を使用し、詳細に上述したようにチャンバ602内の温度と湿度のいずれか一方又は両方を調節し、DUT104における又はその周囲の結露を除去又は実質的に低減する。
(特徴事項の組み合わせ)
本発明の様々な特徴事項を詳細に上述した。本発明は、特徴事項の組み合わせを具体的に除外して記載しない限り、ここで説明した特徴事項のいかなる組み合わせも包含する。次の例は、本発明に係るここで意図し開示する組み合わせの一部を示す。
ここで詳細を説明するか又は請求項で述べるか、もしくはその両方で示すいかなる実施形態において、制御器は数学的フィルタを含んでもよい。
ここで詳細を説明するか又は請求項で述べるか、もしくはその両方で示すいかなる実施形態において、少なくとも1つの入力信号は2つの入力信号を含んでもよく、2つの入力信号はチャンバ内の湿度と温度を示す。
ここで詳細を説明するか又は請求項で述べるか、もしくはその両方で示すいかなる実施形態において、少なくとも1つの制御信号は、チャンバ内の加熱を調節してもよい。
ここで詳細を説明するか又は請求項で述べるか、もしくはその両方で示すいかなる実施形態において、少なくとも1つの制御信号は、チャンバ内の冷却を調節してもよい。
ここで詳細を説明するか又は請求項で述べるか、もしくはその両方で示すいかなる実施形態において、少なくとも1つの制御信号を生成して、チャンバ内を除湿してもよい。
ここで詳細を説明するか又は請求項で述べるか、もしくはその両方で示すいかなる実施形態において、少なくとも1つの制御信号を生成して、チャンバ内を加湿してもよい。
ここで詳細を説明するか又は請求項で述べるか、もしくはその両方で示すいかなる実施形態において、温度センサはチャンバ内のDUTに接触してもよい。
ここで詳細を説明するか又は請求項で述べるか、もしくはその両方で示すいかなる実施形態において、温度センサは赤外線温度センサでもよく、DUTは赤外線センサの視野角内に配置してもよい。
ここで詳細を説明するか又は請求項で述べるか、もしくはその両方で示すいかなる実施形態において、赤外線センサはチャンバ内に配置してもよい。
ここで詳細を説明するか又は請求項で述べるか、もしくはその両方で示すいかなる実施形態において、赤外線センサはチャンバ外に配置してもよい。
本発明の開示ではいくつかの実施例に言及したが、当業者であれば添付の請求項に定義した本発明の精神と範囲から逸脱することなく、形式や詳細に様々な変更を加えられることを理解されるであろう。