JP2014531910A - 再構成後の精製第viii因子の安定性を改善するための方法 - Google Patents

再構成後の精製第viii因子の安定性を改善するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、精製、凍結乾燥及び再構成の後の第VIII因子分子の安定性を増大させるための方法に関し、該方法は、第VIII因子分子の製造全体を通して、本質的にA1ドメイン及びA2ドメインを含む第一のフラグメント並びに本質的にA3ドメイン、C1ドメイン及びC2ドメインを含む第二のフラグメントへの第VIII因子分子のタンパク質分解切断を防止することを含む。本発明はさらに、静脈内及び非静脈内注射後の第VIII因子のバイオアベイラビリティを改善するための方法に関する。

Description

本発明は、精製、凍結乾燥、及び再構成の後の第VIII因子分子の安定性を増大させるための方法に関し、該方法は、第VIII因子分子の製造全体を通して、本質的にA1ドメイン及びA2ドメインを含む第一のフラグメント並びに本質的にA3ドメイン、C1ドメイン及びC2ドメインを含む第二のフラグメントへの第VIII因子分子のタンパク質分解切断を防止することを含む。本発明はさらに、静脈内及び非静脈内注射後の第VIII因子のバイオアベイラビリティを改善するための方法に関する。
発明の背景
古典的血友病又は血友病Aは遺伝性の出血性障害である。これは染色体X連鎖性血液凝固第VIII因子欠損から生じ、そして10,000人あたり1人と2人との間の発生率でほとんど男性のみに影響を及ぼす。X染色体欠損は、それら自体血友病ではない女性キャリアにより伝達される。血友病Aの臨床症状は増加した出血傾向である。第VIII因子濃縮物での処置が導入される以前は、重篤な血友病を有する人物の平均寿命は20年未満であった。血漿由来の第VIII因子濃縮物の使用は、平均寿命を広く増加させて血友病患者の状況をかなり改善し、かれらの大部分に事実上通常の生活を送る可能性を与えてきた。しかし、血漿由来濃縮物及びそれらの使用に伴う特定の問題があり、それらのうち最も深刻なものはウイルスの伝染であった。これまでに、AIDS、B型肝炎、及び非A型非B型肝炎を引き起こすウイルスがその集団に深刻な被害を与えた。それ以来、近年、様々なウイルス不活化方法及び新しい高度に精製された第VIII因子濃縮物が開発され、それにより血漿由来第VIII因子に関して非常に高い安全基準も確立されてきた。
いくつかの組み換え及び血漿由来の治療用ポリペプチド、例えば血液凝固因子がヒトにおける治療的及び予防的使用のために市販されている。FVIIIは、哺乳動物の肝臓において産生される、分子量約280kDaの血漿糖タンパク質である。これは、血液凝固に至る凝固反応カスケードの重要な構成要素である。このカスケード内には、第IXa因子(FIXa)が、活性化第VIII因子(FVIIIa)と連動して、第X因子(FX)を活性化形態FXaへと変換する段階がある。FVIIIaはこの段階において補因子として作用し、カルシウムイオン及びリン脂質と共に、FIXaの活性を最大化するために必要とされる。
血友病Aの処置における重要な進歩は、ヒトFVIIIの完全2,351アミノ酸配列をコードするcDNAクローンの単離(特許文献1)並びにヒトFVIII遺伝子DNA配列及びその産生のための組み換え方法の提供であった。
第VIII因子は、約280kDaの分子量を有する単一ポリペプチド鎖として合成される。アミノ末端シグナルペプチドは第VIII因子の小胞体へのトランスロケーションの際に除去され、次いで成熟(すなわち、シグナルペプチドの切断後)天然第VIII因子分子は、その分泌の過程でアミノ酸残基1313及び1648の後でタンパク質分解的に切断される。これにより、約160〜200kDaのN末端重鎖フラグメントと金属イオン依存性会合している約80kDaのC末端軽鎖からなるヘテロダイマーの放出が生じる(Kaufmanによる概説、非特許文献1を参照のこと)。
このヘテロダイマーの生理的活性化は、トロンビンによるタンパク質鎖のタンパク質分解切断により起こる。トロンビンは重鎖を切断して90kDaのタンパク質にし、次いで54kDa及び44kDaのフラグメントにする。トロンビンはまた、80kDa軽鎖を切断して72kDaのタンパク質にする。活性FVIIIを構成するのは、カルシウムイオンにより一緒に結合される、後者のタンパク質、及び2つの重鎖フラグメント(上記の54kDa及び44kDa)である。不活化は、44kDa A2重鎖フラグメントが分子から解離した場合、又は72kDa及び54kDaのタンパク質がトロンビン、活性化タンパク質C若しくはFXaによりさらに切断された場合に起こる。血漿中では、FVIIIは50倍モル過剰のVWFタンパク質(「VWF」)との会合により安定化され、これが上記のようなFVIIIのタンパク質分解的破壊を阻害するようである。
FVIIIのアミノ酸配列は、3つの構造ドメイン:330アミノ酸の三つ組のAドメイン、980アミノ酸の単一のBドメイン、及び150アミノ酸の二つ組のCドメインに体系付けられる。Bドメインは他のタンパク質に対する相同性を有しておらず、そしてこのタンパク質の25の可能性のあるアスパラギン(N)−連結グリコシル化部位のうちの18を提供する。Bドメインは凝固において機能を有していないようであり、なお凝固促進(procoagulatory)活性を有するBドメイン欠失FVIII分子を用いて除去され得る。
販売されている第VIII因子製品は、現在は組み換え技術により製造されるか又はプールされた血漿から精製された第VIII因子の凍結乾燥製剤として提供される。凍結乾燥製品は投与の前に再構成される。一旦再構成されると、第VIII因子の貯蔵寿命は比較的短い。第VIII因子は特に水溶液中で比較的不安定なタンパク質である。他の血漿タンパク質、特にフォン・ビルブランド因子(vWF)及びアルブミンとの複合体化による製造及び貯蔵の間の安定化が記載さている。例えば、特許文献2を参照のこと。特許文献3は、アミノ酸若しくはその塩のうちの1つ又はホモログ及び界面活性剤又はポリエチレングリコールのような有機ポリマーを含む第VIII因子の安定化製剤を開示する。特許文献4は、塩化カルシウム及び高濃度の塩化ナトリウム又は塩化カリウムの存在下でのヒスチジン緩衝液に基づく高イオン強度媒体中の第VIII因子の安定化製剤を開示する。このような組成物は、再構成後の水性形態での第VIII因子の安定性を有意に改善することが示された。第VIII因子の製剤におけるカルシウムイオンの重要性は一般的に認識されている。特許文献5によれば、場合によりCa2+イオン又はMn2+イオンの存在下での他の二価カチオン、すなわちCu2+及びZn2+の存在は、第VIII因子の安定性を改善する。また、特許文献6は、様々な添加剤を含む安定な水性第VIII因子組成物を記載する。
米国特許第4,757,006号 米国特許第6,228,613号 米国特許第5,565,427号 米国特許第5,605,884号 米国特許第6,599,724号 WO 2011/027152 A1
Kaufman,Transfusion Med.Revs.6:235 (1992)
凍結乾燥物(lyophilisate)の再構成後の第VIII因子の短い貯蔵寿命を考慮すると、水溶液で再構成された第VIII因子の安定性を増大させるための方法の必要性がある。液相で増大した安定性を有する精製FVIII製剤を提供することが様々な理由のために望ましい。まず第一に、精製FVIII製品を周囲温度にて製造することを支持するために、周囲温度で十分な期間を有することは有利である。特に、充填工程は、製造における柔軟性を増大させるために液体バルクのいくらかの貯蔵を必要とする。第二に、液体の精製FVIIIの増大した安定性は、その製品が再構成後にそのまま適用できない場合に医師及び患者にとって有益だろう。そして最後に、持続注入条件下での、例えば、入院患者における手術の際の、FVIIIの使用は、再構成後の好ましくは高い製品安定性に依存している(Takedani H.,Haemophilia 2010,16:740−746)。増大した安定性を有するFVIII分子はまた、液体条件下での長期貯蔵に適したFVIII製剤の開発のために有利だろう。
本出願の発明者らは、驚くべきことに、凍結乾燥物の再構成後の精製第VIII因子の安定性が、単鎖第VIII因子構築物において大幅に増強されるということを見出した。このような構築物は、第VIII因子の分泌の前にゴルジ体領域において典型的に生じるタンパク質分解切断を防止することにより得ることができる。単鎖構築物は、精製後の溶液でのより良い安定性、及び/又は皮下投与の際のより良いバイオアベイラビリティを示す。
発明の要旨
第一の局面において、本発明は、精製、凍結乾燥及び再構成の後の第VIII因子分子の安定性を増大させるための方法に関し、この方法は、本質的にA1ドメイン及びA2ドメインを含む第一のフラグメント、並びに本質的にA3ドメイン、C1ドメイン及びC2ドメインを含む第二のフラグメントへの第VIII因子分子のタンパク質分解切断を防止することを含む。
第一の局面は、精製、凍結乾燥、及び再構成の後の第VIII因子分子の安定性を増大させる方法を包含し、この方法は、第VIII因子分子の製造全体を通して、本質的にA1ドメイン及びA2ドメインを含む第一のフラグメント、並びに本質的にA3ドメイン、C1ドメイン及びC2ドメインを含む第二のフラグメントへの第VIII因子分子のタンパク質分解切断を防止することを含む。
第一の局面はさらに、精製、凍結乾燥、及び再構成の後の第VIII因子分子の安定性を増大させる方法を包含し、この方法は、第VIII因子分子の精製の前に、本質的にA1ドメイン及びA2ドメインを含む第一のフラグメント、並びに本質的にA3ドメイン、C1ドメイン及びC2ドメインを含む第二のフラグメントへの第VIII因子分子のタンパク質分解切断を防止することを含む。
本発明に従うこれらの方法に関して、用語「第VIII因子分子の製造全体を通して」及び「第VIII因子分子の精製の前に」は、本発明の方法が、本質的にA1ドメイン及びA2ドメインを含む第一のフラグメント並びに本質的にA3ドメイン、C1ドメイン及びC2ドメインを含む第二のフラグメントへの第VIII因子の切断を防止するが、本発明の方法は、再構成された第VIII因子分子の投与の後に起こり得る第VIII因子の活性化切断を防止しないということを意味することを意図される。本発明の方法により生成された第VIII因子分子は、Arg372、Arg740及びArg1689の後ろで第VIII因子分子を切断するトロンビンによりなお活性化され得る。
第二の局面において、本発明は、精製、凍結乾燥及び再構成の後の第VIII因子分子の安定性を増大させるための方法に関し、該方法は、該第VIII因子分子の分泌の間に、シグナル配列と成熟第VIII因子との間の切断部位を除く第VIII因子分子を発現する宿主細胞により切断されるタンパク質分解切断を不活化することを含む。典型的には、宿主細胞により発現されそして分泌される第VIII因子分子の少なくとも50%が単鎖第VIII因子分子である。好ましくは、宿主細胞により発現され、そして分泌される第VIII因子分子の少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%が単鎖第VIII因子分子である。
好ましくは、本方法は、Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びFVIII分子中に存在する場合はArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位を不活化することを含む。タンパク質分解切断部位の不活化は、プロテアーゼ認識配列の1つ又はそれ以上の残基を除去することにより達成され得る。例えば、不活化工程は、第VIII因子配列から少なくともArg1648を除去することを含み得る。一実施態様において、不活化工程は、少なくともArg1313〜Arg1648のアミノ酸配列を第VIII因子配列から除去することを含む。
本発明の第一の局面の別の実施態様において、タンパク質分解切断部位の不活化は、プロテアーゼ認識配列を形成する1つ又はそれ以上のアミノ酸残基を置き換えることにより達成される。
さらに別の実施態様において(Arg1313を含むBドメインの部分を保持しているFVIII変異形に関して)、本方法は、Arg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位を、プロテアーゼ認識配列を形成する1つ又はそれ以上のの残基の除去又は置換により不活化することをさらに含む。特に好ましい実施態様において、本方法は、残基Arg1313及びArg1648の後ろの両方のプロテアーゼ切断部位を含む第VIII因子アミノ酸配列からの少なくとも一部を除去することを含む。
第VIII因子配列の位置741〜1647におけるアミノ酸から選択される第一のアミノ酸が、第VIII因子配列の位置1649〜1690におけるアミノ酸から選択される第二のアミノ酸に融合されており、それによりArg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びFVIII分子中に存在する場合はArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位が不活化されることがさらに好ましい。
別の好ましい実施態様において、本発明の第一又は第二の局面に従って安定化された第VIII因子分子は、水溶液において増大した安定性を示す。25℃で7日間の貯蔵後の、水溶液中の改変された第VIII因子分子の活性の損失は、好ましくは15%未満である。
別の好ましい実施態様において、本発明の第一又は第二の局面に従って安定化された第VIII因子分子は、再構成後に水溶液中で増大した安定性を示す。
さらに別の好ましい実施態様において、本発明の第一又は第二の局面に従って安定化された第VIII因子分子は、同じ用量及び同じ方法で投与された、ヒト野生型第VIII因子のバイオアベイラビリティと比較して、又はAsn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失第VIII因子分子と比較して、非静脈内注射後に増加したバイオアベイラビリティを示す。さらに別の好ましい実施態様において、本発明の第一又は第二の局面に従って安定化された第VIII因子分子は、同じ用量及び同じ方法で投与された、Asn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失第VIII因子分子のバイオアベイラビリティと比較して、非静脈内注射後に増加したバイオアベイラビリティを示す。改変されたFVIIIのバイオアベイラビリティは、好ましくは、それぞれ同じ用量及び同じ方法で投与された、ヒト野生型第VIII因子のバイオアベイラビリティ、又はAsn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失第VIII因子分子のバイオアベイラビリティと比較して、少なくとも25%増加する。別の好ましい実施態様において、非静脈内注射は皮下、経皮又は筋内注射である。
別の好ましい実施態様は、(i)第VIII因子が、ヒト野生型第VIII因子と比較して静脈内投与後に改善された血漿半減期を示し;好ましくはこの血漿半減期はヒト野生型第VIII因子と比較して少なくとも40%改善され、又は(ii)第VIII因子は、血友病Aマウスにおいて経時的にトロンビン生成アッセイにおいて決定された場合に、ヒト野生型第VIII因子と比較して、トロンビンピークレベルが静脈内投与後に50nMを下回るまでより長い期間を示し;好ましくはこの期間はヒト野生型第VIII因子と比較して少なくとも10時間延長され、又は(iii)第VIII因子は、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後のヒト野生型第VIII因子と比較して、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後に一段階FVIII:Cアッセイにより決定された場合により高い活性を保持し;好ましくは第VIII因子のこの保持された活性は、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後にヒト野生型第VIII因子の活性と比較して少なくとも10%高い、方法である。
本方法はさらに、
(i)Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位が不活化されている改変第VIII因子分子をコードする核酸を提供する工程、
(ii)宿主細胞を該核酸で形質転換する工程、
(iii)形質転換された宿主細胞を、改変第VIII因子分子が発現されるような条件下で培養する工程、
(iv)宿主細胞から、又は細胞培養培地から、改変第VIII因子分子を回収する工程
を含み得る。
別の局面において、本発明は、非静脈内投与後の第VIII因子分子のバイオアベイラビリティを改善するための方法に関し、この方法は、Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びFVIII分子中に存在する場合はArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位を不活化することを含む。好ましくは、非静脈内注射は皮下注射である。皮下注射後のバイオアベイラビリティは、それぞれ同じ用量及び同じ方法で投与された、ヒト野生型第VIII因子のバイオアベイラビリティ、又はAsn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失第VIII因子分子のバイオアベイラビリティと比較して、少なくとも25%増加する。
別の局面において、本発明は、ヒト野生型第VIII因子と比較して、静脈内投与後の第VIII因子分子の血漿半減期を改善するための方法に関し、この方法は、Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びFVIII分子中に存在する場合はArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位を不活化することを含む。
別の局面において、本発明は、血友病Aマウスにおいて経時的にトロンビン生成アッセイにおいて決定された場合のトロンビンピークレベルが、ヒト野生型第VIII因子と比較して、第VIII因子分子の静脈内投与後に50nMを下回るまでの期間を延長するための方法に関し、この方法は、Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びFVIII分子中に存在する場合はArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位を不活化することを含む。
別の局面において、本発明は、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後のヒト野生型第VIII因子と比較して、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後の一段階FVIII:Cアッセイにより決定された場合に第VIII因子分子についてより高い活性を保持するための方法に関し、この方法は、Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びFVIII分子中に存在する場合はArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位を不活化することを含む。
上記の本方法の好ましい実施態様は、第VIII因子配列の位置741〜1647におけるアミノ酸から選択される第一のアミノ酸が、第VIII因子配列の位置1649〜1690におけるアミノ酸から選択される第二のアミノ酸と融合され、それにより、Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びFVIII分子中に存在する場合はArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位が不活化される方法である。
異なる局面の好ましい実施態様は、変更すべきところは変更して適用可能である。
さらに別の局面において、本発明は、出血性障害、好ましくは血友病Aの処置又は予防における使用のための、単鎖第VIII因子分子を含む医薬製剤に関し、該処置又は予防は、(i)一方では、非静脈内投与、[ここで
該単鎖第VIII因子分子のバイオアベイラビリティは、同じ用量及び同じ方法で投与される、ヒト野生型第VIII因子と比較して、又はAsn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失ヒト第VIII因子分子と比較して、少なくとも25%増加する]又は(ii)他方では、静脈内投与、[ここで(a)該単鎖第VIII因子分子の静脈内投与後の血漿半減期は、同じ用量及び同じ方法で投与されたヒト野生型第VIII因子と比較して少なくとも40%増加するか、又は(b)単鎖第VIII因子分子は、血友病Aマウスにおいて経時的にトロンビン生成アッセイにおいて決定されたトロンビンピークレベルが、同じ用量及び同じ方法で投与されたヒト野生型第VIII因子と比較して静脈内投与後に50nMを下回るまでに、少なくとも10時間延長された期間を示す]によるものである。
さらに別の局面において、本発明は、出血性障害、好ましくは血友病Aの処置又は予防における使用のための、単鎖第VIII因子分子を含む医薬製剤に関し、ここで単鎖第VIII因子分子は、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後のヒト野生型第VIII因子と比較して、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後に、一段階FVIII:Cアッセイにより決定された場合に少なくとも10%高い活性を保持する。
さらに別の局面において、本発明は、非静脈内投与による、出血性障害、好ましくは血友病Aの処置又は予防における使用のための、単鎖第VIII因子分子を含む医薬液剤に関し、ここで同じ用量及び同じ方法で投与された、Asn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失第VIII因子分子の用量と比較して、血液における同じ止血活性を達成するために、該FVIII分子の用量は少なくとも25%減少され得る。
別の局面において、本発明は、出血性障害を処置するための医薬製剤の再構成後の増大した安定性又はより長い貯蔵寿命を達成するための単鎖第VIII因子分子の使用に関し、ここで(i)再構成及び再構成後7日間室温での貯蔵の後の、単鎖第VIII因子分子を含む医薬製剤の第VIII因子活性は、同じ量の、Asn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失第VIII因子分子を含む医薬製剤の第VIII因子活性と比較して少なくとも10%高いか、又は(ii)単鎖第VIII因子分子は、ヒト血漿中で37℃にて同じ濃度で4日間インキュベートされた後のヒト野生型第VIII因子と比較して、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた場合に一段階FVIII:Cアッセイにより決定された場合少なくとも10%高い活性を保持する。
図1は実施例1の結果を示す。様々な第VIII因子分子が水溶液として提供され、そしてそれらの安定性を7日間の期間にわたってモニタリングした。7日間の貯蔵後の活性の損失は、ヘテロダイマー(二本鎖)全長第VIII因子分子(Beriate(R)及びHelixate(R))と、及びヘテロダイマー(二本鎖)Bドメイン欠失構築物(ReFacto(R))と比較して、単鎖第VIII因子分子についてかなり少なかった。 図2は実施例2の結果を示す。様々な凍結乾燥第VIII因子製剤を水溶液に再構成し、そしてそれらの安定性を7日間の期間にわたってモニタリングした。7日間の貯蔵後の活性の損失は、ヘテロダイマー(二本鎖)全長第VIII因子分子(Advate(R))と、及びヘテロダイマー(二本鎖)かつBドメイン欠失の構築物(ReFacto(R))と比較して、単鎖第VIII因子分子についてかなり少なかった。 図3は実施例3の結果を示す。3つの異なる第VIII因子分子をマウスにおいて皮下注射し、そしてそれらのバイオアベイラビリティを実施例2に記載されるように決定した。単鎖第VIII因子分子のバイオアベイラビリティは、二本鎖でかつ全長の第VIII因子(Advate(R))又はヘテロダイマー(二本鎖)Bドメイン欠失構築物(ReFacto(R))のバイオアベイラビリティより実質的に高かった。 図4は実施例4の結果を示す。本発明の第VIII因子分子及び2つの市販のFVIII製剤を、精製、凍結乾燥及び再構成の後に37℃でインキュベートした。FVIIIサンプルを様々な期間(0、0.25、1、2、4及び8日)の間37℃にてインキュベートし、そしてFVIII:C活性を一段階凝固アッセイにより決定した。示される値は2つのサンプルの平均及び標準偏差を示す(0.25日の1つのサンプルのみは除く)。 図5は実施例5の結果の一部を示す。scFVIII及び全長rFVIII(Advate(R)、Baxter Healthcare)の薬物動態(PK)プロフィールを、カニクイザルへの250IU/kgの用量での単回静脈内(I.V.)注射後に決定した。 図6は実施例5の結果の一部を示す。全長rFVIII(Advate(R)、Baxter Healthcare)の薬物動態(PK)プロフィールを、血友病Aマウスへの100IU/kgの用量での単回静脈内(I.V.)注射後に決定した。 図7は実施例6の結果の一部を示す。1〜8日目からの平均ピークトロンビンレベルを、scFVIII又は全長rFVIII(Advate(R)、Baxter Healthcare)を血友病Aマウスに250IU/kgで投与した後に決定した。 図8は実施例7の結果を示す。全長rFVIII(Advate(R)、Baxter Healthcare)及びBドメイン欠失第VIII因子(ReFacto(R)、Pfizer)の薬物動態(PK)プロフィールを、VWF欠失マウスへの100IU/kgの用量での単回静脈内(I.V.)注射後に決定した。
詳細な説明
本発明は、精製、凍結乾燥、及び再構成の後の第VIII因子分子の安定性を増大させるための方法に関し、この方法は、本質的にA1ドメイン及びA2ドメインを含む第一のフラグメント、及び本質的にA3ドメイン、C1ドメイン及びC2ドメインを含む第二のフラグメントへの第VIII因子分子のタンパク質分解切断を防止することを含む。
本発明はさらに、精製、凍結乾燥及び再構成の後の第VIII因子分子の安定性を増大させるための方法に関し、この方法は、Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位を不活化すること、及び第VIII因子分子中に存在する場合は、Arg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位を場合により不活化することを含む。
第VIII因子
用語「血液凝固第VIII因子」、「第VIII因子」及び「FVIII」は本明細書において交換可能に使用される。成熟ヒト第VIII因子は、以下のドメイン構造で配置された2332のアミノ酸からなる:
Figure 2014531910
さらに、3つの酸性領域a1(337〜372)、a2(711〜740)、及びa3(1649〜1689)がある。酸性領域a3は、血液凝固において重要な役割を果たすフォン・ビルブランド因子(vWF)への第VIII因子分子の結合に関与することが知られている。分泌の間に、FVIIIはBドメインとa3酸性領域との間で切断され、ヘテロダイマーポリペプチドを生じる。第VIII因子ヘテロダイマーは、軽鎖(A3、C1及びC2を含む)及びサイズ可変重鎖(A1、A2及びBを含む)からなる。後者はBドメイン内の限定されたタンパク質分解に起因して異質である。ヘテロダイマーBドメイン欠失構築物の場合、「重鎖」はA1及びA2を含むがBドメインの一部又は全てを欠いている。
ヒト血液凝固第VIII因子の成熟野生型形態のアミノ酸配列を配列番号2に示す。特定の配列のアミノ酸位置への言及は、FVIII野生型タンパク質におけるそのアミノ酸の位置を意味し、かつ言及される配列における他の位置での変異、例えば欠失、挿入及び/又は置換の存在を排除しない。例えば、配列番号2に言及して「Glu2004」における変異は、改変されたホモログにおいて配列番号2の位置1から2332までの1つ又はそれ以上のアミノ酸が欠失していることを排除しない。配列番号2をコードするDNA配列を配列番号1に示す。
「血液凝固第VIII因子」は、野生型血液凝固第VIII因子、さらには野生型血液凝固第VIII因子の凝固促進(procoagulant)活性を有する野生型血液凝固第VIII因子の誘導体も含む。誘導体は、野生型第VIII因子のアミノ酸配列と比較して、欠失、挿入及び/又は付加を有し得る。好ましい誘導体は、Bドメインの全て又は一部が除去されているFVIII分子である。この出願全体を通して示されるアミノ酸位置は、常に全長成熟(すなわち、シグナルペプチド切断後)野生型FVIIIにおけるそれぞれのアミノ酸の位置を指す。
用語「第VIII因子」は、野生型第VIII因子の生物学的活性の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも75%を有するいずれかの第VIII因子変異形(variants)又は変異体(mutants)を含む。第VIII因子の生物学的活性を決定するための適切な試験は、一段階若しくは二段階凝固アッセイ(Rizza et al.1982.Coagulation assay of FVIII:C and FIXa in Bloom ed.The Hemophilias.NY Churchchill Livingston 1992)又は発色性基質FVIII:Cアッセイ(S.Rosen,1984.Scand J Haematol 33:139−145,suppl.)である。これらの参考文献の内容は参照により本明細書に加入される。
非限定的な例として、第VIII因子分子は、APC切断を防止若しくは減少させる第VIII因子変異体(Amano 1998.Thromb.Haemost.79:557−563)、アルブミン融合FVIII分子(WO 2011/020866 A2)、FVIII−Fc融合分子(WO04/101740A)、A2ドメインをさらに安定化する第VIII因子変異体(WO 97/40145)、増加した発現を生じるFVIII変異体(Swaroop et al.1997.JBC 272:24121−24124)、減少した免疫原性を有する第VIII因子変異体(Lollar 1999.Thromb.Haemost.82:505−508),異なって発現された重鎖及び軽鎖から再構成されたFVIII(Oh et al.1999.Exp.Mol.Med.31:95−100)、HSPG(ヘパラン硫酸プロテオグリカン)及び/若しくはLRP(低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質)のようなFVIIIの異化をもたらす受容体への結合を減少させるFVIII変異体(Ananyeva et al.2001.TCM,11:251−257)、ジスルフィド結合安定化FVIII変異形(Gale et al.,2006.J.Thromb.Hemost.4:1315−1322)、改善された分泌特性を有するFVIII変異体(Miao et al.,2004.Blood 103:3412−3419)、増加した補因子特異的活性を有するFVIII変異体(Wakabayashi et al.,2005.Biochemistry 44:10298−304)、改善された生合成及び分泌、減少したERシャペロン相互作用、改善されたER−ゴルジ輸送、増加した活性化若しくは不活化への抵抗性及び改善された半減期を有するFVIII変異体(Pipe 2004.Sem.Thromb.Hemost.30:227−237により要約される)、並びにBドメインの全て又は一部の欠失を有するFVIII変異体(例えば、WO2004/067566A1、WO02/102850A2、WO00/24759A1及び米国特許第4,868,112号を参照のこと)を含む。これらの第VIII因子変異体及び変異形は参照によりそれら全体として本明細書に加入される。
用語「単鎖第VIII因子」は、そのFVIII分子を発現する細胞からの分泌の間に2つの鎖(例えば、重鎖及び軽鎖)にタンパク質分解的に切断されておらず、かつ従って単一ポリペプチド鎖として存在する第VIII因子分子を指す。
切断の防止
本発明の方法は、本質的にA1ドメイン及びA2ドメインを含む第一のフラグメント並びに本質的にA3ドメイン、C1ドメイン及びC2ドメインを含む第二のフラグメントへの第VIII因子分子のタンパク質分解切断を防止することを含む。用語「タンパク質分解切断を防止すること」は、部分的にタンパク質分解切断を防止すること、及び完全にタンパク質分解切断を防止することを含む。これはさらに、実施態様「タンパク質分解切断を減少させること」を含む。換言すると、「第VIII因子分子のタンパク質分解切断を防止すること」は、宿主細胞により発現及び分泌される第VIII因子分子の実質的に100%が単鎖分子であるように完全にいずれのタンパク質分解切断も廃止すること(この実施態様は本発明の方法により包含されるが)を必要としない。通常は、第VIII因子分子のタンパク質分解切断は、宿主細胞により発現及び分泌された第VIII因子分子の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%が単鎖分子であるような方法で防止される。切断の不完全な防止は、たとえ主な切断部位(R1313及びR1648におけるもの)が存在しなくとも、第VIII因子分子のごく一部のタンパク質分解切断をもたらし得るBドメイン内のいくつかの少数の切断部位が存在し得るという事実に少なくとも部分的に起因し得る。この少数の切断は本発明に従って防止されるかもしれないし、されないかもしれない。
第一のフラグメントは、本質的に第VIII因子のA1ドメイン及びA2ドメインを含む。第一のフラグメントはA1ドメイン及びA2ドメインを含み得、各ドメインは厳密に、上に示されるアミノ酸配列を有する。例えば、第一のフラグメントは配列番号2のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸1〜740を含み得る。あるいは、第一のフラグメントは、第VIII因子活性に実質的に影響を及ぼさないアミノ酸の欠失、置換及び/又は挿入を有するこの配列の変異形を含み得る。第一のフラグメントは、第VIII因子のBドメインのN末端部分をさらに含み得る。
第二のフラグメントは、本質的にA3ドメイン、C1ドメイン及びC2ドメインを含む。第二のフラグメントはA3ドメイン、C1ドメイン及びC2ドメインを含み得、各ドメインは厳密に、上に示されるアミノ酸配列を有する。例えば、第二のフラグメントは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の少なくともアミノ酸1690〜2332を含み得る。あるいは、第二のフラグメントは、第VIII因子活性に実質的に影響を及ぼさないアミノ酸の欠失、置換及び/又は挿入を有するこの配列の変異形を含み得る。第二のフラグメントは、酸性a3領域のC末端部分をさらに含み得る。
本発明の方法は、組み換えにより発現されたFVIII分子の分泌の間の、ヘテロダイマー(二本鎖)ポリペプチドを生じるであろうタンパク質分解切断を防止することを含む。すなわち、この方法は単鎖第VIIII因子分子を得ることを含む。これは様々な方法で、例えば、最終的に宿主細胞により分泌されるヘテロダイマーFVIIIへの成熟一本鎖FVIIIの細胞内プロセシングに関与するタンパク質分解切断部位を不活化することにより達成され得る。
一実施態様において、Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位を不活化する工程は、プロテアーゼ認識配列を形成する1つ又はそれ以上のアミノ酸を除去することを含む。残基1648の後ろの切断部位はフューリン型切断部位である。第VIII因子配列におけるプロテアーゼの認識配列はLKRHQRである。好ましくは、不活化工程は、認識配列を形成するこれらのアミノ酸残基の1、2、3、4、5又はそれ以上を除去することを含む。好ましくは、不活化工程は、認識配列内の少なくとも1つの塩基性アミノ酸を除去することを含み、より好ましくは、不活化工程は少なくとも、位置1648におけるアルギニンを除去することを含む。なおより好ましくは、不活化工程は、第VIII因子配列の少なくともアミノ酸1643〜1648を除去することを含む。それぞれのFVIII誘導体がArg1313を含む場合、不活化工程はまた、少なくとも位置Arg1313におけるアルギニンを除去することも含む。第VIII因子配列のアミノ酸1313〜1648を少なくとも除去して1313及び1648の後ろの両方の切断部位をそれぞれ不活化することはなお好ましい。
最も好ましくは、不活化工程は、第VIII因子配列から残基800〜1648からのアミノ酸配列、例えば第VIII因子配列から残基741〜1648からのアミノ酸配列を少なくとも除去することを含む。別の好ましい実施態様において、第VIII因子配列の位置741〜1647におけるアミノ酸から選択される第一のアミノ酸は、第VIII因子配列の位置1649〜1690におけるアミノ酸から選択される第二のアミノ酸と融合され、それにより分泌の間のタンパク質分解切断が防止される。好ましい除去は以下のとおりである:
− アミノ酸740がアミノ酸1650に融合され、それによりアミノ酸741〜1649が除去される;
− アミノ酸740がアミノ酸1690に融合され、それによりアミノ酸741〜1689が除去される;
− アミノ酸740がアミノ酸1669に融合され、それによりアミノ酸741〜1668が除去される;
− アミノ酸743がアミノ酸1650に融合され、それによりアミノ酸744〜1649が除去される;
− アミノ酸764がアミノ酸1650に融合され、それによりアミノ酸765〜1649が除去される;
− アミノ酸764がアミノ酸1653に融合され、それによりアミノ酸765〜1652が除去される;
− アミノ酸764がアミノ酸1656に融合され、それによりアミノ酸765〜1655が除去される;
− アミノ酸745がアミノ酸1650に融合され、それによりアミノ酸746〜1649が除去される;
− アミノ酸745がアミノ酸1653に融合され、それによりアミノ酸746〜1652が除去される;
− アミノ酸745がアミノ酸1656に融合され、それによりアミノ酸746〜1655が除去される;
− アミノ酸757がアミノ酸1650に融合され、それによりアミノ酸758〜1649が除去される;
− アミノ酸757がアミノ酸1653に融合され、それによりアミノ酸758〜1652が除去される;
− アミノ酸757がアミノ酸1656に融合され、それによりアミノ酸758〜1655が除去される;
− アミノ酸793がアミノ酸1649に融合され、それによりアミノ酸794〜1648が除去される;
− アミノ酸793がアミノ酸1690に融合され、それによりアミノ酸794〜1689が除去される;
− アミノ酸747がアミノ酸1649に融合され、それによりアミノ酸748〜1648が除去される;
− アミノ酸751がアミノ酸1649に融合され、それによりアミノ酸752〜1648が除去される;
− アミノ酸776がアミノ酸1649に融合され、それによりアミノ酸777〜1648が除去される;
− アミノ酸770がアミノ酸1667に融合され、それによりアミノ酸771〜1666が除去される。
除去により生じた分子は通常、単鎖第VIII因子分子の形態で得られる。
好ましい単鎖FVIII分子は、Arg1648における切断部位(これは通常、分泌の間に切断される)が除去されるように、Bドメインの全て又は一部の欠失、及び酸性a3領域の全て又は一部の欠失を有する。単鎖FVIII分子は、例えばWO2004/067566A1;US2002/132306 A1;Krishnan et al.(1991) European Journal of Biochemistry vol.195,no.3,pages 637−644;Herlitschka et al.(1998) Journal of Biotechnology,vol.61,no.3,pages 165−173;Donath et al.(1995) Biochem.J.,vol.312,pages 49−55において開示される。これらの参考文献に記載されるこれらの単鎖第VIII因子分子は本明細書に参照により加入される。
上で言及される融合は、直接的融合でも間接的融合でもよい。後者の場合、除去されたアミノ酸は異種スペーサーにより置き換えられる。この実施態様は本明細書以後でより詳細に記載される。除去されたアミノ酸は、約1〜約500アミノ酸、又は約2〜250アミノ酸、又は約3〜約100アミノ酸、又は約4〜約50アミノ酸、又は約5〜約10アミノ酸からなるペプチドリンカーで置き換えられることが可能である。ペプチドリンカーは、可撓性で、かつ非免疫原性であるべきである(Robinson et al.;PNAS (1998),Vol 95,p5929)。ペプチドリンカーは、Glyと、そのGlyに対してN末端側に先行するアミノ酸配列GlyGlySer若しくはGlyGlySerSer又はそれらの組み合わせのマルチマーとからなるものであり得、特定の実施態様ではペプチドリンカーは80〜120のアミノ酸からなる。
代替の実施態様において、残基1313及び1648においてプロテアーゼ認識部位を形成する1つ又はそれ以上のアミノ酸は、切断が起きないように別のアミノ酸と置換され得る。例えば、塩基性アミノ酸は疎水性アミノ酸で置き換えられ得る。
単鎖第VIII因子の製造
「タンパク質分解切断を防止する」工程又は「タンパク質分解切断部位を不活化する」工程は、第VIII因子の精製、凍結乾燥及び再構成の前に行われる。「タンパク質分解切断を防止する」工程又は「タンパク質分解切断部位を不活化する」工程は、典型的には第VIII因子分子の製造の間に行われる。本発明の方法は、(宿主細胞における)第VIII因子分子の発現の間にタンパク質分解切断を防止すること、又は第VIII因子分子をコードする核酸の製造の間にArg1313及び/若しくはArg1648におけるタンパク質分解切断部位を不活化することを含み得る。
「タンパク質分解切断を防止する」又は「タンパク質分解切断部位を不活化する」これらの工程は、上記の実施態様に従って、第VIII因子をコードする核酸から、Arg1313及び/又はArg1648におけるタンパク質分解切断部位をコードする部分を除去することを含み得る。これは典型的には、単鎖第VIII因子をコードする核酸を生じる。一般に、本発明の方法は、例えば発現プラスミド又はベクターで、単鎖第VIII因子をコードする核酸を提供することをさらに含み得る。
次いで、核酸、発現ベクター又は発現プラスミドは、宿主細胞、好ましくは哺乳動物宿主細胞中に発現のために導入され得る。本発明の方法は、改変第VIII因子分子、例えば、単鎖第VIII因子分子が発現されるように適切な条件下で宿主細胞を培養すること;及び場合によりその改変第VIII因子分子を宿主細胞から又は培養培地から回収する(例えば精製する)ことをさらに含み得る。一般に、第VIII因子をコードする核酸を操作する技術、第VIII因子の発現を可能にするように哺乳動物細胞を培養する技術、及び細胞培養培地から第VIII因子を精製する技術は当該分野で公知である。
単鎖第VIII因子分子を80%以上の純度、より好ましくは95%以上の純度に精製することが好ましく、そして夾雑高分子、特に他のタンパク質又は/及び核酸に関して99.9%より高い純度であり、かつ感染性及び発熱性物質を含まない薬学的に純粋な状態であることが特に好ましい。好ましくは、単離又は精製された改変第VIII因子分子は実質的に他のポリペプチドを含まない。
本発明の方法は、単鎖第VIII因子を精製する工程、凍結乾燥する工程及び再構成する工程をさらに含み得る。再構成は好ましくは水、例えば「注射用水」を使用することにより行われる。
安定性
本発明に従って製造された第VIII因子分子は、全長第VIII因子と比較して、及び/又はAsn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失第VIII因子分子(すなわち、本質的に配列番号2のアミノ酸1〜745及び1640〜2332からなるBドメイン欠失第VIII因子分子)と比較して、増強された安定性を示す。
本明細書で使用される用語「安定性」は、水溶液での安定性、好ましくは例えば凍結乾燥された第VIII因子製剤へ水を加えることによる凍結乾燥第VIII因子製剤の再構成後の水溶液での安定性を指す。典型的には、凍結乾燥第VIII因子製剤は「注射用水」を用いて再構成される。
水溶液での安定性は、第VIII因子分子を水溶液で提供し、そしてそれを特定の期間インキュベートすることにより決定され得る。好ましい実施態様において、第VIII因子分子の貯蔵安定性を決定するための条件は以下のとおりである:
第VIII因子分子を以下の組成を有する水溶液で提供する:
L−ヒスチジン 25mM
NaCl 225mM
塩化カルシウム 4mM
Tween(R)80 0.03%(質量/質量)
スクロース 2%(質量/質量)
D−マンニトール 8%(質量/質量)
pH7.0。
この溶液を本明細書以後では「緩衝液A」と呼ぶ。水溶液中における初期第VIII因子活性は好ましくは100IU/mlと1,500IU/mlとの間であり、好ましくは100IU/mlである。
このようにして調製された第VIII因子溶液を次いで25℃にて少なくとも24時間、好ましくは少なくとも2日間、より好ましくは少なくとも5日間、最も好ましくは7又は8日間インキュベートする。インキュベーション期間の後、好ましくは発色性基質アッセイ(例えばCoamatic(R)第VIII因子、Chromogenix)を使用して、その溶液中の第VIII因子活性を測定することにより安定性を決定する。初期活性と比較して活性の損失が少ないほど第VIII因子分子の安定性は高い。最も好ましくは、安定性は以下の実施例1又は2のように決定される。
本発明によれば、上で確認された条件下での7日間の貯蔵後の単鎖第VIII因子の第VIII因子活性の損失は、15%未満、好ましくは12%未満、最も好ましくは10%である。
典型的には、インキュベーション期間の開始時(t=0)における初期第VIII因子活性は100%に正規化される。緩衝液A中25℃での24時間の貯蔵後の残存第VIII因子活性は、好ましくは初期第VIII因子活性の少なくとも95%である。緩衝液A中25℃での48時間の貯蔵後の残存第VIII因子活性は好ましくは初期第VIII因子活性の少なくとも95%である。緩衝液A中25℃での4日間の貯蔵後の残存第VIII因子活性は、初期第VIII因子活性の好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95%である。緩衝液A中25℃での7日間の貯蔵後の残存第VIII因子活性は、初期第VIII因子活性の好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%である。緩衝液A中25℃での8日間の貯蔵後の残存第VIII因子活性は、初期第VIII因子活性の好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%である。
単鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性は、通常、二本鎖第VIII因子分子の残存第VIII因子活性より高い(両方の分子が同一の条件下で同じ期間の間インキュベートされたことを仮定して)。
用語「ヒト全長二本鎖第VIII因子」は本明細書において用語「ヒト野生型第VIII因子」と交換可能に使用される。
一実施態様において、単鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性は、ヒト全長二本鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性より高い。別の実施態様において、単鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性は、Asn745がPro1640に融合されたBドメイン欠失第VIII因子分子(すなわち、本質的に配列番号2のアミノ酸1〜745及び1640〜2332からなるBドメイン欠失第VIII因子分子)の残存第VIII因子活性より高い。
好ましくは、緩衝液A中25℃にて48時間の貯蔵後の単鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性は、ヒト全長二本鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性を少なくとも4パーセント分(percentage points)超える。緩衝液A中25℃にて48時間の貯蔵後の単鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性は、Asn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失第VIII因子分子(すなわち、本質的に配列番号2のアミノ酸1〜745及び1640〜2332からなるBドメイン欠失第VIII因子分子)の残存第VIII因子活性を少なくとも4パーセント分超えることもまた好ましい。
別の実施態様において、緩衝液A中25℃にて4日間の貯蔵後の単鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性は、ヒト全長二本鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性を少なくとも5パーセント分超える。緩衝液A中25℃にて4日間の貯蔵後の単鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性が、Asn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失第VIII因子分子(すなわち、本質的に配列番号2のアミノ酸1〜745及び1640〜2332からなるBドメイン欠失第VIII因子分子)の残存第VIII因子活性を少なくとも5パーセント分超えることもまた好ましい。
別の実施態様において、緩衝液A中25℃にて7日間の貯蔵後の単鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性は、ヒト全長二本鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性を、少なくとも5パーセント分、好ましくは少なくとも10パーセント分超える。緩衝液A中25℃にて7日間の貯蔵後の単鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性が、Asn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失第VIII因子分子(すなわち、本質的に配列番号2のアミノ酸1〜745及び1640〜2332からなるBドメイン欠失第VIII因子分子)の残存第VIII因子活性を少なくとも5パーセント分、好ましくは少なくとも10パーセント分超えることもまた好ましい。
別の実施態様において、緩衝液A中25℃にて8日間の貯蔵後の単鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性は、ヒト全長二本鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性を少なくとも5パーセント分、好ましくは少なくとも10パーセント分超える。緩衝液A中25℃での8日間の貯蔵後の単鎖第VIII因子の残存第VIII因子活性が、Asn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失第VIII因子分子(すなわち、本質的に配列番号2のアミノ酸1〜745及び1640〜2332からなるBドメイン欠失第VIII因子分子)の残存第VIII因子活性を少なくとも5パーセント分、好ましくは少なくとも10パーセント分超えることもまた好ましい。
緩衝液Aの代わりに、例えば本発明の実施例2において使用される緩衝液のような他の緩衝液も使用され得る。
本発明の緩衝液に好ましいpH範囲は、5.5〜9.0のpH範囲、好ましくは6.0〜8.5のpH範囲、そして特に好ましくは6.5〜8.0のpH範囲である。
第VIII因子の活性は、発色若しくは凝固アッセイ、又はいずれかの他のバイオアッセイにより決定され得る。好ましくは、第VIII因子活性は以下の実施例1に示されるように決定される。
バイオアベイラビリティ
別の実施態様において、本発明に従って安定化された第VIII因子分子は、二本鎖ヒト野生型第VIII因子と比較して、又は二本鎖ヒトBドメイン欠失第VIII因子と比較して、非静脈内注射後に改善されたバイオアベイラビリティを示す。非静脈内注射は、好ましくは皮下、経皮又は筋内注射である。最も好ましくは、非静脈内注射は皮下注射である。
本明細書で使用される用語「バイオアベイラビリティ」は、第VIII因子又はFVIII関連製剤の投与された用量のうち、皮下、静脈内又は皮内投与後の最終時点までの所定の時点において血漿中で検出され得る比率を指す。典型的には、バイオアベイラビリティは、試験動物において、10IU/kgと1000IU/kgとの間の用量(例えば、400IU/体重kg)の製剤を投与し;投与後の所定の時点で血漿サンプルを採取し;そして1つ又はそれ以上の発色若しくは凝固アッセイ(又はいずれかのバイオアッセイ)、イムノアッセイ、又はそれらと等価なものを使用してサンプル中の第VIII因子又は第VIII因子関連ポリペプチドの含有量を決定することにより測定される。バイオアベイラビリティは、投与後の所定の最終時点までの、y軸上に血漿中の凝固因子の濃度又は活性、そしてx軸上に投与後の時間の曲線下面積(AUC)として表される。好ましくは、この所定の時間は投与後72時間又は48時間である。最も好ましくは、バイオアベイラビリティは本明細書以下の実施例3に示されるように決定される。試験製剤の相対的バイオアベイラビリティは、試験製剤(本明細書では:単鎖第VIII因子)のAUCと、試験製剤と同じ用量及び方法(例えば静脈内、皮下、又は皮内)で投与された参照製剤(例えば、全長組み換え二本鎖第VIII因子又は二本鎖Bドメイン欠失第VIII因子)のAUCとの間の比を指す。
本発明によれば、皮下注射後の単鎖第VIII因子のバイオアベイラビリティは、二本鎖ヒト野生型第VIII因子又は二本鎖ヒトBドメイン欠失第VIII因子のバイオアベイラビリティよりも高い。好ましくは、バイオアベイラビリティ(皮下注射後72時間にわたるAUC)は、野生型FVIIIと比較して、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも75%増加する。別の実施態様において、バイオアベイラビリティ(皮下注射後72時間にわたるAUC)は、Asn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失第VIII因子分子(すなわち、本質的に配列番号2のアミノ酸1〜745及び1640〜2332からなるBドメイン欠失第VIII因子分子)と比較して、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも40%増加する。
血漿半減期(インビボ)の改善
別の実施態様において、本発明に従って安定化された第VIII因子分子は増加した薬物動態(PK)パラメータを示す。
本発明の第VIII因子分子は、血友病Aマウス又はカニクイザルのような異なる種に、例えばそれぞれ100IU/kg又は250IU/kgの用量で静脈内(i.v.)注射され、例えば発色アッセイにおいて決定することにより試験され得る。血液サンプルを、例えば血友病Aマウスにおいて72時間(hrs)まで、及び例えばカニクイザルにおいて24hrsまでの、投与後の様々な時点で抜き取る。直ちにクエン酸血漿(Citrate plasma)を調製し、そして例えば発色アッセイ系(FVIII:C)(Chromogenix−Instrumentation Laboratory SpA,Milan,Italy)によりFVIII:Cの定量に使用する。
血漿中FVIIIレベルのAUCを、AUClast:(t=0から最後の観察まで)を計算するために線形台形規則を使用して計算する。終末相半減期(t1/2β)を、調整済み(adjusted)R2基準により選択された終末相の点を使用して対数−線形回帰により決定した。AUC:(t=0から無限大)(終末相の回帰モデルを使用することにより外挿された)。
本発明に従う単鎖FVIII分子は、同じ用量及び同じ方法で投与されたヒト野生型第VIII因子の終末相半減期と比較して、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、なおより好ましくは少なくとも60%増加した終末相半減期を示す。
好ましくは、血漿半減期は実施例5に示されるように決定される。
トロンビン生成アッセイ(インビボ)において決定された有効性の延長
別の実施態様において、本発明に従って安定化された第VIII因子分子は、血友病Aマウスにおいて経時的にトロンビン生成アッセイにおいて決定された場合に、トロンビンピークレベルがヒト野生型第VIII因子と比較して静脈内投与後に50nMを下回るまでにより長い期間を示す。この試験は、FVIIIの機能性が本発明に従う分子において安定化されるということも示す。
本発明に従うFVIII分子は、最初に本発明のFVIII分子を当モル用量で(例えば250IU/kgで)血友病Aマウスに静脈内投与することにより試験され得る。様々な時点で(例えば1〜8日目まで毎日)クエン酸血を集め、そしてトロンビン生成アッセイ(TGA)を、例えばリン脂質(例えばRossix、Moelndal,Sweden)/Pathromtin(R)SL(Siemens Healthcare Diagnostics Products GmbH,Marburg,Germany)(1:30)の存在下で内因性活性化後に較正トロンビノグラフィー(thrombinography)(CAT)(Thrombinoscope,Netherlands)により行う。トロンビンピークレベルを記録する。1〜8日目のピークトロンビンレベルの平均AUCを線形台形規則により計算する。2つの第VIII因子製品のAUCを、時点及び処置群ごとの可変分散(variable variances)を用いて線形モデルにおいてAUCの差について近似F検定を使用して、トロンビンのピークレベルが50nMの基底限界範囲を下回るまでの推定時間を得て比較する。
好ましくは、トロンビン生成アッセイにおける有効性は実施例6に示されるに決定される。
血友病Aマウスにおいて、scFVIIIはヒト野生型第VIII因子と比較して好ましい止血活性を示す。このことは、全長rFVIIIに対するscFVIIIについてのトロンビンピークレベルが50nMのレベルを下回るまでに平均して少なくとも10hrs長い、好ましくは少なくとも15時間長い、そしてなおより好ましくは少なくとも20時間長いトロンビン生成活性値で理解される。
血漿中でより高いFVIII:C活性を保持する(エクスビボ)
別の実施態様において、本発明に従って安定化された第VIII因子分子は、ヒト血漿中37℃にて4日間インキュベートされた後に一段階FVIII:Cアッセイにより決定された場合に、ヒト血漿中37℃にて4日間インキュベートされた後のヒト野生型第VIII因子と比較して、より高い活性を保持し;好ましくはここで、第VIII因子の保持された活性は、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後のヒト野生型第VIII因子と比較して少なくとも10%高い。
本発明に従う第VIII因子分子を含むサンプルは、それらをFVIII欠損血漿(例えばSiemens Healthcare Diagnosticsより)を用いて1IU/mL FVIII:C(発色性基質アッセイにより決定された値に基づく)まで希釈することにより試験され得る。次いでFVIII−サンプルを37℃にて様々な期間(例えば、0、0.25、1、2、4及び8日)の間、0.05%Na−アジドの存在下にてインキュベートする。各インキュベート期間の後、次いでFVIII:Cを一段階凝固アッセイにより、例えばPathromtin−SL(Siemens Healthcare Diagnostics)を活性化因子として使用することにより決定し、t=0での値に対して正規化し(%FVIII:C)、そしてインキュベーション時間に対してプロットする。
37℃で4日間インキュベートした後、本発明の第VIII因子分子は、少なくとも10%高いFVIII:C活性、好ましくは少なくとも15%高いFVIII:C活性、好ましくは少なくとも20%高いFVIII:C活性、好ましくは少なくとも25%高いFVIII:C活性、好ましくは少なくとも30%高いFVIII:C活性を保持していた。
好ましくは、血漿中の活性は実施例4に示されるように決定される。
処置及び予防
再構成後の増大した安定性を有する本発明に従う単鎖第VIII因子構築物は、出血性障害の処置又は予防において投与され得る。
本明細書において使用される用語「出血性障害」は、家族性及び後天性の血友病A及びB、家族性又は後天性のフォン・ビルブランド病、家族性又は後天性のいずれかの凝固因子の欠損、単一の器官、骨断片(bone fraction)又は多発性外傷(polytrauma)のいずれかからの重篤な出血をもたららす全ての種類の外傷、鈍的外傷又は穿通性外傷、周術期又は術後の出血、小児心臓手術において体外循環及び血液希釈を受けている患者を含む心臓手術に起因する出血を含む外科手技の間の出血、脳内出血、くも膜下出血、硬膜下又は硬膜外出血、失血及び血液希釈に起因する出血、罹患した患者における凝固因子の減少したレベルをもたらす非血漿量置換(non−plasmatic volume substitution)によるもの、播種性血管内凝固症候群(DIC)及び消費性凝固障害に起因する出血、血小板機能不全、欠乏及び凝固障害、肝硬変、肝機能不全及び劇症肝不全に起因する出血、肝疾患を有する患者における肝生検、肝臓及び他の器官の移植後の出血、胃静脈瘤からの出血及び消化性潰瘍出血、不正子宮出血(DUB)、胎盤の早期剥離のような婦人科出血、低出生体重児における脳室周囲出血、分娩後出血、新生児仮死(fatal distress of newborns)、熱傷に伴う出血、アミロイドーシスに伴う出血、血小板障害に伴う造血幹細胞移植、悪性病変に伴う出血、出血性ウイルスの感染症、膵炎に伴う出血が挙げられる。
医薬製剤の成分は従来の生理学的に適合性の水性緩衝液中に溶解され得、その溶液中には、医薬製剤を提供するための医薬添加剤が場合により加えられ得る。医薬製剤の成分は全ての必要な薬学的生理学的に適合性の添加剤を既に含有し得、そして医薬製剤を提供するために注射用水中に溶解され得る。
このような医薬担体及び添加剤、さらには適切な医薬製剤の製造は当該分野で周知である(例えば、「Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins」,Frokjaer et al.,Taylor&Francis(2000)又は「Handbook of Pharmaceutical Excipients」,3rd edition,Kibbe et al.,Pharmaceutical Press (2000)を参照のこと)。特定の実施態様において、医薬組成物は増量剤、緩衝液又は安定剤のような少なくとも1つの添加物を含み得る。標準的な医薬製剤化技術は当業者に周知である(例えば、2005 Physicians’ Desk Reference(R),Thomson Healthcare:Montvale,NJ,2004;Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th ed.,Gennaro et al.,Eds.Lippincott Williams&Wilkins:Philadelphia,PA,2000を参照のこと)。適切な医薬添加物としては、例えば、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、又はその他のような糖類、ヒスチジン、アルギニン、リジン、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、フェニルアラニン、又はその他のようなアミノ酸、塩化ナトリウム又はその他の塩のような等張条件を達成するための添加物、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、塩化カルシウム又はその他のような安定剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのような生理的pH緩衝化剤などが挙げられる。特定の実施態様において、医薬組成物はpH緩衝化試薬及び湿潤剤又は乳化剤を含有し得る。さらなる実施態様において、組成物は保存料又は安定剤を含有し得る。特に、血液凝固因子を含む医薬製剤は、凍結乾燥形態又は安定な可溶性形態で製剤化され得る。血液凝固因子は当該分野で公知の様々な手順により凍結乾燥され得る。凍結乾燥製剤は、注射用滅菌水又は滅菌生理食塩水又は適切な緩衝液のような1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる希釈剤を加えることにより使用前に再構成される。
本発明の医薬製剤中に含有される組成物は、いずれかの薬学的に適切な手段により個体に送達され得る。様々な送達系が公知であり、そして組成物をいずれかの都合の良い経路により投与するために使用され得る。好ましくは、本発明の医薬製剤中に含まれる組成物は、非静脈内注射により個体に送達される。より好ましくは、本発明の組成物は、皮下、筋内、腹腔内、脳内、肺内、鼻腔内、皮内又は経皮投与用に、最も好ましくは皮下、筋内又は経皮投与用に、従来の方法に従って製剤化される。製剤は注入により又はボーラス注射により継続的に投与され得る。いくつかの製剤は徐放系を包含し得る。
本発明の医薬製剤の組成物は、治療有効用量で患者に投与され、これは、過度の有害な副作用を生じる用量に達することなく、処置される状態又は適応症の重症度又は伝播を防止するか又は低減する所望の効果を生じるために十分な用量を意味する。正確な用量は、例えば、適応症、製剤、投与様式のような多くの因子に依存し、そしてそれぞれの適応症について前臨床試験及び臨床試験において決定されなければならない。
本発明の一実施態様において、処置される被験体における凝固因子の血漿レベルは、注射後5時間から非静脈内注射の8時間後までの期間の間、継続的に、健常被験体における凝固因子の標準血漿レベルの2%より高く、好ましくは5%より高く、より好ましくは8%より高く、最も好ましくは10%より高い。血漿レベルは、本明細書以後の実施例3において示されるように決定されるべきである。
本発明の一実施態様において、処置される被験体における凝固因子の血漿レベルは、注射の4時間後から非静脈内注射の16時間後までの期間の間、継続的に、健常被験体における凝固因子の標準血漿レベルの2%より高く、好ましくは5%より高く、より好ましくは8%より高く、最も好ましくは10%より高い。
本発明の別の実施態様において、処置される被験体における凝固因子の血漿レベルは、注射の3時間後から非静脈内注射の24時間後までの期間の間、継続的に、健常被験体における凝固因子の標準血漿レベルの2%より高く、好ましくは4%より高く、より好ましくは6%より高く、最も好ましくは8%より高い。
本発明の別の実施態様において、処置される被験体における凝固因子の血漿レベルは、注射の2時間後から非静脈内注射の32時間後までの期間の間、継続的に、健常被験体における凝固因子の標準血漿レベルの2%より高く、好ましくは3%より高く、より好ましくは4%より高く、最も好ましくは5%より高い。
好ましくは、1回の非静脈内注射についての単鎖第VIII因子の用量は、1,000IU/体重kg未満、又は800IU/体重kg未満、又は600IU/体重kg未満、又は400IU/体重kg未満、例えば約10IU/体重kg〜約1,000IU/体重kg、又は約20IU/体重kg〜約800IU/体重kg、又は約30IU/体重kg〜約700IU/体重kg、又は約40IU/体重kg〜約600IU/体重kg、又は約50IU/体重kg〜約500IU/体重kg、又は約75IU/体重kg〜約400IU/体重kg、又は約100IU/体重kg〜約300IU/体重kg、又は約50IU/体重kg〜約1,000IU/体重kg、又は約50IU/体重kg〜約800IU/体重kg、又は約50IU/体重kg〜約700IU/体重kg、又は約50IU/体重kg〜約600IU/体重kg、又は約50IU/体重kg〜約500IU/体重kg、又は約50IU/体重kg〜約400IU/体重kg、又は約50IU/体重kg〜約300IU/体重kg、又は約50IU/体重kg〜約200IU/体重kgの用量である。FVIIIはそれ自体で投与されても、VWFとの複合体として投与されてもよい。
本発明の医薬組成物は、単独で、又は他の治療剤と併せて投与され得る。これらの薬剤は同じ医薬の一部として組み込まれてもよい。
実施例1:再構成後の精製第VIII因子分子の安定性
以下の第VIII因子製剤をこの実施例において使用した:
Beriate(R)、凍結乾燥ヒト凝固第VIII因子濃縮物をCSL Behring GmbHから入手した。Beriate(R)は血漿由来第VIII因子をヘテロダイマー形態で含む。
Helixate(R)、凍結乾燥組み換え凝固第VIII因子をCSL Behring GmbHから入手した。Helixate(R)は組み換えにより産生されたヘテロダイマー第VIII因子を含有する。
ReFacto(R)は、組み換え技術により産生されたヘテロダイマーBドメイン欠失第VIII因子を含有する凍結乾燥第VIII因子製剤である。これは例えばPfizer Pharma GmbH,Germanyから入手可能である。
Beriate(R)、Helixate(R)、及びReFacto(R)は主にヘテロダイマー二本鎖ポリペプチドである。
「scFVIII」と呼ばれる構築物は、哺乳動物細胞培養細胞において組み換え発現により産生された単鎖第VIII因子である。この実施例において使用される単鎖第VIII因子は、Asn764をThr1653に直接融合させることにより得られ、そして精製後に凍結乾燥形態で提供された。すなわち、「scFVIII」は実質的に配列番号2のアミノ酸1〜764及び1653〜2332からなる単鎖ポリペプチドである。
Beriate(R)、Helixate(R)、及びReFacto(R)を、添付文書に示されるように製造者の支持に従って再構成した。「scFVIII」を、精製及び凍結乾燥されたFVIII製剤を注射用水に溶解し、25mM L−ヒスチジン、225mM NaCl、4mM CaCl2、0.03%Tween80、2%スクロース、8%D−マンニトールを含有する組成物(pH7.0)を生じることにより再構成した。
再構成されたFVIII生成物を25℃でインキュベートした。生成物のFVIII活性を、発色性基質アッセイ(Coamatic(R)第VIII因子、Chromogenix)により以下の時点で二重に決定した:0時間、6時間、1日、2日、4日、7日。活性値を時点0に対して正規化した。
結果を以下の表及び図1に示す。
Figure 2014531910
示されるように、「scFVIII」は活性の最も低い損失を示し、そしてその結果として、最も安定な第VIII因子分子である。
実施例2:再構成後の精製第VIII因子分子の安定性
以下の第VIII因子製剤をこの実施例において使用した:
ReFacto(R)及び「scFVIII」は、CSL Behring GmbHにより提供された「scFVIII」が異なる添加剤を含有する製剤で適用されたことは異なるが、実施例1において使用されたものと同じであった。Advate(R)は、凍結乾燥形態でBaxterから購入された全長ヘテロダイマー組み換え第VIII因子製剤である。
Advate(R)及びReFacto(R)を添付文書に示されるとおり製造者の指示に従
って再構成した。「scFVIII」を、注射用水で再構成し、20mM L−ヒスチジン、280mM NaCl、3.4mM CaCl2、0.02%Tween80、0.6%スクロースを含有する組成物(pH7.0)を得た。サンプル「scFVIII 001」は100IU/mlの初期FVIII活性を有しており、サンプル「scFVIII 0006」は400IU/mlの初期FVIII活性を有していた。再構成されたFVIII生成物を25℃でインキュベートした。生成物のFVIII活性を、発色性基質アッセイ(Coamatic(R)第VIII因子、Chromogenix)により以下の時点で二重に決定した:0時間、6時間、1日、2日、4日、8日。活性値は時点0に対して正規化した。
結果を以下の表及び図2に示す。
Figure 2014531910
示されるように、「scFVIII」は活性の最も低い損失を示し、そしてその結果として、最も安定な第VIII因子分子である。
実施例3:第VIII因子分子のバイオアベイラビリティ
Advate(R)、ReFacto(R)及び「scFVIII」は実施例2において使用されたものと同じであり、そして実施例2に記載されるように再構成された。
第VIII因子ノックアウトマウスを血友病Aの動物モデルとして使用した。これらのマウスはエキソン16及び17を欠いており、従ってFVIIIを発現しない(Bi L.et al,Nature genetics,1995,Vol 10(1),119−121;Bi L.et al,Blood,1996,Vol 88(9),3446−3450)。これにより、ノックアウト(ko)マウスの血漿におけるFVIII活性の定量による処置後のFVIIIレベルの分析が可能となる。
血管外注射がヒトFVIIIを用いた改善された治療のための選択肢となり得るかどうかを評価するために皮下注射を選択した。行われた非臨床薬物動態研究の設計の詳細を以下の表3に示す。第VIII因子活性の血漿レベルをそれぞれのFVIII製剤(詳細な処置グループは表3)の血友病Aモデルへの単回皮下注射後に決定した。
対応するグループを同じ用量のFVIII:色素原活性を用いて処置した。単回適用について、第VIII因子は体積200μL(全てのグループについて同一の体積)で皮下適用前に体重約25gのFVIIIノックアウト(ko)マウスに提供された。処置グループを表3にまとめる。
短期間の麻酔下で、血液サンプルを引き抜き、クエン酸ナトリウムを使用して10%クエン酸血として抗凝固処理し、処理して血漿とし、そして−70℃でFVIII活性の測定のために保存した。サンプリング時点の詳細を表3に示す。血漿におけるFVIII活性の定量を標準的なaPTTベースのアプローチ(Behring Coagulation Timer)により行った。動物を標準的な飼育条件下で維持した。
Figure 2014531910
結果
結果を表4及び図3にまとめる。
Figure 2014531910
400IU/kgの単鎖FVIII(「scFVIII」)のFVIII koマウスへの皮下注射は、ヘテロダイマー全長FVIII(Advate(R))又はヘテロダイマーBドメイン欠失FVIII(ReFacto(R))の投与と比較して、血漿レベルでFVIII活性の有意な増加を生じた。すなわち、単鎖第VIII因子分子は、マウスへの皮下注射後に最も高いインビボバイオアベイラビリティを示す。二本鎖全長構築物Advate(R)、さらには二本鎖Bドメイン欠失製剤ReFacto(R)は実質的により低いバイオアベイラビリティを示した。
実施例4:血漿における第VIII因子分子の安定性(インビトロ)
異なるFVIII製品(Advate(R)、ReFacto AF(R)及び実施例2で使用されたscFVIIIの2つのロット)を、FVIII欠乏血漿(Siemens Healthcare Diagnostics)を用いて1IU/mL FVIII:C(発色性基質アッセイにより決定された値に基づく)に希釈した。FVIIIサンプルを、37℃で様々な期間(0、0.25、1、2、4及び8日)0.05% Na−アジドの存在下でインキュベートした。各インキュベーション期間の後、FVIII:Cを一段階凝固アッセイによりPathromtin−SL(Siemens Healthcare Diagnostics)を活性化因子として使用して測定し、t=0での値に対して正規化し(% FVIII:C)、そしてインキュベーション時間に対してプロットした。示された値は2つのサンプルの平均及び標準偏差を表す(1つのサンプルのみの0.25日を除く)。
Figure 2014531910
実施例5:血漿における第VIII因子分子の安定性(インビボ)
scFVIII及び全長rFVIII(Advate(R)、Baxter Healthcare)の薬物動態(PK)プロフィールを、カニクイザル(図5及び表6)及び血友病Aマウス(図6及び表7)へのそれぞれ250IU/kg及び100IU/kgの用量での単回静脈内(I.V.)注射後に決定した。試験品をAdvate(R)について表示されている活性及びscFVIIIについて発色活性(FVIII:C)に従って投薬した。血液サンプルを投薬前(サルのみ)そして血友病Aマウスにおいて投与後72時間(hrs)まで、及びカニクイザルにおいて24hrsまでの様々な時点で抜き取った。クエン酸血漿を直ちに調製し、そして発色アッセイ系(FVIII:C)(Chromogenix−Instrumentation Laboratory SpA,Milan,Italy)によるFVIII:Cの定量のために使用した。
血漿中FVIIIレベルのAUCを、線形台形規則を使用してAUClast:(t=0から最後の観察まで)を計算することにより計算した。終末相半減期(t1/2β)を調整済みR2基準により選択された終末相の点を使用して対数−線形回帰により決定した。AUC:(t=0から無限大)(終末相の回帰モデルを使用することにより外挿された)。
カニクイザルにおいて、scFVIIIはそれに応じて約2倍低いクリアランス(CL)と共に約1.6倍増強されたAUC0-tlast又はt1/2βを示したが、FVIII活性ピークレベル(Cmax)、インビボ回収(IVR)の代表(represntative)、及び定常状態(Vss)での分布体積は、全長rFVIIIに対してより類似しているようであった。これらのPKパラメータ結果は、250IU/kgのscFVIIIを用いたGLP−毒性研究の間に投薬された場合の8匹の追加のサルからの毒物動態データを含めた後、n=10の動物から得られた(表6及び図5)。
血友病Aマウスにおいて、AUC0-tlast、平均滞留時間(MRT)、5% FVIII活性トラフレベルまでの時間、終末相半減期の増強、及びそれに応じたCLの低下は、scFVIIIについて1.6〜2倍の間の範囲に及んだが、Cmax、IVRの代表、及びVssは全長rFVIIIに対して類似しているようであった。rVIII−単鎖処置後に得られたAUC0-tlast及びt1/2βの結果は、1.97のAUC0-tlast比(90%信頼区間(CI):1.7〜2.3;p値(比=1):<0.0001)、及び1.65のt1/2β比(90%CI:1.11〜2.70;p値(比=1):0.036と共に全長rFVIIIよりも有意に良好なものであった(表7及び図6)。
Figure 2014531910
Figure 2014531910
両方の組のPKパラメータが、精製、凍結乾燥、再構成後のインビボで血漿において、試験した2つの動物種への投与後の増加したscFVIIIの安定性を反映している。
実施例6:血友病Aマウスにおけるトロンビン生成アッセイ(エクスビボ)
scFVIII又は全長rFVIII(Advate(R))を250IU/kgのレベルで投薬した場合に、クエン酸−(10%体積/体積)血友病Aマウス血液を深麻酔下で異なる時点に(1〜8日)最後に集めた。リン脂質(Rossix,Moelndal,Sweden)/Pathromtin(R)SL(Siemens Healthcare Diagnostics Products GmbH,Marburg,Germany)(1:30)の存在下で内因性活性化後に較正トロンビノグラフィー(CAT、Thrombinoscope,Netherlands)によりTGAを行った。トロンビンピークレベルを記録した。1〜8日目からのピークトロンビンレベルの平均AUCを、線形台形規則により計算した。2つの第VIII因子製品のAUCを、時点及び処置群ごとの可変分散を用いて線形モデルにおいてAUCの差について近似F検定を使用して、トロンビンのピークレベルが50〜250nMの間の基底限界範囲を下回るまでの推定時間を得て比較した。
血友病Aマウスにおいて、scFVIIIは、トロンビンのピークレベルが50〜250nmのピークレベルの規定限界範囲を下回るまでの推定時間により示されるように、全長rFVIIIと比較して有利な止血活性を示した(図8及び表8)。これにより、50と250nMとの間のトロンビンピークレベル間隔について全長rFVIIIに対してscFVIIIについて平均して20hrs長いトロンビン生成活性値となった。1〜8日の間のピーク曲線下面積を評価する場合、scFVIIIのトロンビン生成活性は、全長FVIIIと比較してp(AUCTGA Peak−比=1)=0.0002(推定比1.26、90% CI:1.14−1.39)と有意に良好であり、又は換言すると、ヒト野生型第VIII因子Advate(R)についてよりもscFVIIIについて、投与後にトロンビンピークレベルが50nmを下回るまで有意に長い時間がかかった。
これらの結果は再び、精製、凍結乾燥及び再構成後のscFVIIIの増加した機能的安定性を裏付けた。
Figure 2014531910
実施例6:vWF欠失血漿における第VIII因子分子の安定性(インビボ)
scFVIIIを2.5mL注射用水中で再構成した。ReFacto AF(R)及びAdvate(R)を添付文書の記載に従って再構成した。全ての試験品を等分して約−70℃で直ちに凍結させて保存した。投与前に、試験品をCSL 627について製剤化緩衝液で希釈して、信頼性のある投与を確実にする最小実用体積を得た。
グループあたり12匹のVWF koマウス(雌性6/雄性6)に、発色性FVIII活性に基づくscFVIII、及び標識FVIII活性に基づくReFacto AF(R)又はAdvate(R)のいずれか100IU/kgの単回静脈内注射を側方尾静脈(lateral tail vein)中に投与した。異なる試験品の投与後に、時点あたりn=2〜3のマウスから0.083、0.5、1、2、4、7、16及び24時間の時点でFVIII血漿レベルの測定のために血液サンプルを抜き取った。血液サンプルを処理して10%クエン酸(3.13%質量/体積)血漿とし、そしてその後、発色アッセイ系を使用するFVIII血漿レベル分析にかけた。発色FVIII活性を、Chromogenix,ItalyからのCOAMATIC(R) FVIII試験キットを使用して決定した。
血漿中のFVIIIレベルのAUCを、AUClast:(t=0から最後の観察まで)を計算するために線形台形規則を使用して計算した。
FVIII koマウス及び正常サルへの静脈内投与、さらにはFVIII koマウスへの皮下投与後に得られた結果分析と同様に、CSL627の曝露はReFacto AF(R)及びAdvate(R)と比較して高かった。なぜなら、全身曝露についての最も関連性のある代表的なPKパラメータであるAUCの分析により、CSL627の投与後にReFacto AF(R)及びAdvate(R)の両方と比較して30%高いAUC値が得られたからである。この場合もやはり、これらの所見は、全身の循環VWFを欠失しており、それ故、全身循環FVIIIについての遮蔽及び保護効果がないマウスへの投与後の血漿におけるインビボでの精製、凍結乾燥、再構成後のscFVIIIの増加した固有の安定性を反映する。
Figure 2014531910

Claims (23)

  1. 精製、凍結乾燥及び再構成の後の第VIII因子分子の安定性を増大させるための方法であって、第VIII因子分子の製造全体を通して、本質的にA1ドメイン及びA2ドメインを含む第一のフラグメント並びに本質的にA3ドメイン、C1ドメイン及びC2ドメインを含む第二のフラグメントへの第VIII因子分子のタンパク質分解切断を防止することを含む、上記方法。
  2. Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びFVIII分子中に存在する場合はArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位を不活化することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 不活化工程が、少なくともArg1648を第VIII因子配列から除去することを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 不活化工程が、少なくともArg1313〜Arg1648のアミノ酸配列を第VIII因子配列から除去することを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 第VIII因子配列の位置741〜1647におけるアミノ酸から選択される第一のアミノ酸が、第VIII因子配列の位置1649〜1690におけるアミノ酸から選択される第二のアミノ酸と融合され、それによりArg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びFVIII分子中に存在する場合はArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位が不活化される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 除去されたアミノ酸が、1〜50アミノ酸長を有するペプチドスペーサーで置き換えられる、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 不活化工程が、Arg1648、及び第VIII因子分子中に存在する場合はArg1313を異なるアミノ酸と置き換えることを含む、請求項2に記載の方法。
  8. 水溶液での再構成及び7日間25℃での貯蔵後の、第VIII因子分子の活性の損失が15%未満である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 水溶液での再構成後の第VIII因子のインビトロ安定性が、前記切断部位の不活化により増大する、請求項2〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 同じ用量及び同じ方法で投与された、ヒト野生型第VIII因子と比較して、又はAsn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失ヒト第VIII因子分子と比較して、第VIII因子が非静脈内注射後に改善されたバイオアベイラビリティを示し;好ましくは非静脈内注射後のバイオアベイラビリティが、同じ用量及び同じ方法で投与された、ヒト野生型第VIII因子と比較して、又はAsn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失ヒト第VIII因子分子と比較して、少なくとも25%増加する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記非静脈内注射が、皮下、経皮又は筋内注射である、請求項10に記載の方法。
  12. (i)第VIII因子が、ヒト野生型第VIII因子と比較して、静脈内投与後に改善された血漿半減期を示し;好ましくは該血漿半減期は、ヒト野生型第VIII因子と比較して少なくとも40%改善され、
    又は
    (ii)第VIII因子が、血友病Aマウスにおいて経時的にトロンビン生成アッセイにおいて決定された場合に、ヒト野生型第VIII因子と比較して、トロンビンピークレベルが静脈内投与後に50nMを下回るまでにより長い期間を示し;好ましくは、この期間はヒト野生型第VIII因子と比較して少なくとも10時間延長され、
    又は
    (iii)第VIII因子が、一段階FVIII:Cアッセイにより決定された場合に、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後のヒト野生型第VIII因子と比較して、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後により高い活性を保持し;好ましくは、第VIII因子の保持された活性は、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後のヒト野生型第VIII因子の活性と比較して少なくとも10%高い、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  13. (i)Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位が不活化されている改変第VIII因子分子をコードする核酸を提供する工程、
    (ii)宿主細胞を該核酸で形質転換する工程、
    (iii)形質転換された宿主細胞を、改変第VIII因子分子が発現されるような条件下で培養する工程、
    (iv)宿主細胞から、又は細胞培養培地から、改変第VIII因子分子を回収する工程
    を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. ヒト野生型第VIII因子と比較して、又はAsn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失ヒト第VIII因子分子と比較して、非静脈内投与後の第VIII因子分子のバイオアベイラビリティを改善するための方法であって、Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びFVIII分子中に存在する場合はArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位を不活化することを含む、上記方法。
  15. 前記非静脈内投与が皮下、経皮又は筋内注射である、請求項14に記載の方法。
  16. ヒト野生型第VIII因子と比較して、静脈内投与後の第VIII因子分子の血漿半減期を改善するための方法であって、Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びFVIII分子中に存在する場合はArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位を不活化することを含む、上記方法。
  17. 血友病Aマウスにおいて経時的にトロンビン生成アッセイにおいて決定された場合のトロンビンピークレベルが、ヒト野生型第VIII因子と比較して、第VIII因子分子の静脈内投与後に50nMを下回るまでの期間を延長するための方法であって、Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びFVIII分子中に存在する場合はArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位を不活化することを含む、上記方法。
  18. ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後のヒト野生型第VIII因子と比較して、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後の一段階FVIII:Cアッセイにより決定された場合に第VIII因子分子についてより高い活性を保持するための方法であって、Arg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びFVIII分子中に存在する場合はArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位を不活化することを含む、上記方法。
  19. 第VIII因子配列の位置741〜1647におけるアミノ酸から選択される第一のアミノ酸が、第VIII因子配列の位置1649〜1690におけるアミノ酸から選択される第二のアミノ酸に融合され、それによりArg1648とGlu1649との間のタンパク質分解切断部位、及びFVIII分子中に存在する場合はArg1313とAla1314との間のタンパク質分解切断部位が不活化される、請求項14〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 出血性障害、好ましくは血友病Aの処置又は予防における使用のための、単鎖第VIII因子分子を含む医薬製剤であって、該処置又は予防が、
    (i)非静脈内投与、[ここで
    該単鎖第VIII因子分子のバイオアベイラビリティは、同じ用量及び同じ方法で投与される、ヒト野生型第VIII因子と比較して、又はAsn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失ヒト第VIII因子分子と比較して、少なくとも25%増加する]
    又は
    (ii)静脈内投与、[ここで
    (a)該単鎖第VIII因子分子の静脈内投与後の血漿半減期は、同じ用量及び同じ方法で投与されたヒト野生型第VIII因子と比較して少なくとも40%増加するか、
    又は
    (b)単鎖第VIII因子分子は、血友病Aマウスにおいて経時的にトロンビン生成アッセイにおいて決定されたトロンビンピークレベルが、同じ用量及び同じ方法で投与されたヒト野生型第VIII因子と比較して静脈内投与後に50nMを下回るまでに、少なくとも10時間延長された期間を示す]
    によるものである、上記医薬製剤。
  21. 出血性障害、好ましくは血友病Aの処置又は予防における使用のための、単鎖第VIII因子分子を含む医薬製剤であって、ここで単鎖第VIII因子分子は、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後のヒト野生型第VIII因子と比較して、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた後に、一段階FVIII:Cアッセイにより決定された場合に少なくとも10%高い活性を保持する、上記医薬製剤。
  22. 非静脈内投与による、出血性障害、好ましくは血友病Aの処置又は予防における使用のための、単鎖第VIII因子分子を含む医薬液剤であって、ここで同じ用量及び同じ方法で投与された、Asn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失第VIII因子分子の用量と比較して、血液における同じ止血活性を達成するために、該FVIII分子の用量は少なくとも25%減少され得る、上記医薬液剤。
  23. 出血性障害を処置するための医薬製剤の再構成後の増大した安定性又はより長い貯蔵寿命を達成するための単鎖第VIII因子分子の使用であって、ここで
    (i)再構成及び再構成後7日間室温での貯蔵の後の、単鎖第VIII因子分子を含む医薬製剤の第VIII因子活性は、同じ量の、Asn745がPro1640に融合されているBドメイン欠失第VIII因子分子を含む医薬製剤の第VIII因子活性と比較して少なくとも10%高いか、又は
    (ii)単鎖第VIII因子分子は、ヒト血漿中で37℃にて同じ濃度で4日間インキュベートされた後のヒト野生型第VIII因子と比較して、ヒト血漿中で37℃にて4日間インキュベートされた場合に一段階FVIII:Cアッセイにより決定された場合少なくとも10%高い活性を保持する、
    上記使用。
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