JP2014528308A - 髭剃り角が小さい剃刀ヘッド - Google Patents

Abstract

本発明は、剃刀ヘッド（５）に関し、この剃刀ヘッドは、共に接面（Ｐ）を画成する前方保護体（１２）及び後方キャップ（２０）によって区画され、髭剃り窓を画成する頂面（６）を有する筐体と、少なくとも１つの硬質切断部材（２４）であって、それぞれが筐体内に制限されずに取り付けられている切断部材と、を備え、切断部材が、刃先部分軸に沿って延在し、髭剃り窓を通してアクセス可能な刃先を有する刃先部分（２６）と、被案内部分軸に沿って延在する被案内部分（３５）と、刃先部分と被案内部分との間にある曲げ部分（５３）と、を有する。刃先軸と接面（Ｐ）との間で測定した角度（Ａ）は、５?から３０?の間である。

Description

本発明は、髭剃り角が小さいブレードを有する剃刀ヘッドに関する。

機械式ウェットシェーバの分野において、１以上の切断部材を受けるヘッドを有するシェーバが長い間提供されている。

近年、髭剃りの接近性を増大させることを目的として、シェーバに複数のブレードを設ける潮流があり、このシェーバは、快適な髭剃り体験を提供しつつ達成されている。現在市場にあるシェーバは、髭剃りの効率性、接近性及び快適性の間の最適なバランスを得ることを目指している。毛のタイプがさまざまであり、髭剃りの習慣も様々であり、髭剃りカートリッジも変化しており、これらが安全カミソリの髭剃り特性に影響を及ぼすので、このバランスを達成することは、困難である。

国際公開第２００６／０２７０１８号 国際公開第２０１０／０６６５４号

ブレード面に対するブレードのための最適な角度に到達させ、効率性、接近性及び快適性を提供する髭剃り角を達成するために努力がなされている。

剃刀ヘッドが提供されており、この剃刀ヘッドは、
−共に接面を画成する前方保護体及び後方キャップによって区画され、髭剃り窓を画成する頂面を有する筐体と、
−少なくとも１つの硬質の切断部材であって、それぞれが筐体内に制限されずに取り付けられている、切断部材と、
を備え、切断部材が、
・刃先部分軸に沿って延在し、髭剃り窓を通してアクセス可能な刃先を有する刃先部分と、
・被案内部分軸に沿って延在する被案内部分と、
・刃先部分と被案内部分との間にある曲げ部分と、
を有し、刃先部分軸と接面との間で測定した角度が、５°から３０°の間である。

思いのほか、試験は、この範囲の髭剃り角を提供することによって、最適な髭剃り性能を達成することを示した。実際には、低い髭剃り角は、ブレードエッジが皮膚と平行となるように接近して毛と接触し、髭剃りの快適性を増大させ、皮膚の刺激を低減することを可能とする。

他の特徴及び本発明の利点は、非限定的な例として提供される本発明のいくつかの実施形態と添付の図面との以下の説明から直ちに明らかになる。

剃刀ヘッドを示す分解斜視図である。 第１実施形態にかかる剃刀ヘッドのブレードを示す斜視図である。 第１実施形態にかかる剃刀ヘッドのブレードを示す斜視図である。 図２ａ及び図２ｂのブレードを示す側面図である。 第１実施形態にかかる剃刀ヘッドの図１における線ＶＩＩ−ＶＩＩに沿う概略断面図である。 図３のブレードを示す概略図である。 図３のブレードを示す概略図である。 第１実施形態にかかる剃刀ヘッドの図１における線ＶＩＩ−ＶＩＩに沿う概略断面図である。 変形例の第２実施形態にかかる剃刀ブレードのブレードを示す概略図である。 変形例の第２実施形態にかかる剃刀ブレードのブレードを示す概略図である。 変形例の第２実施形態にかかる剃刀ブレードのブレードを示す概略図である。 図６の剃刀ヘッドのブレードを示す概略図である。 図６の剃刀ヘッドのブレードを示す概略図である。 毛と接触したときの、第１または第２実施形態にかかる剃刀ヘッドにあるブレードの刃先を示す概略図である。 所定の髭剃り角でユーザの皮膚と接触するブレードを示す概略図である。 所定の髭剃り角でユーザの皮膚と接触するブレードを示す概略図である。

図において、同一の参照符号は、同様のまたは同一の要素を示す。

図１は、安全剃刀（ウェットシェーバとも称する）のヘッド５示しており、シェーバのブレードは、ブレードユニットに対してモータによって駆動されない。

髭剃りヘッド５は、基端部分とブレードユニット５または髭剃りヘッドを支持する先端部分との間で長手方向に延在するハンドルによって支持されている。長手方向は、湾曲してもよく、１つのまたは複数の直線部分を有してもよい。

ブレードユニット５は、髭剃り窓を画成し、１以上の切断部材が備えられた上面６と、接続機構によってハンドルの先端部分に接続される下面７と、を有する。接続機構は、例えば、ブレードユニット５が長手方向に対してほぼ垂直な回動軸Ｘに対して回動できるようにする。上記接続機構は、さらに、ブレードユニットを交換する目的で、ブレードユニットを選択的に解放できるようにする。本発明で使用可能な１つの特有の例にかかる接続機構は、国際公開第２００６／０２７０１８号に記載されており、この文献は、すべての目的でそのすべてを本明細書に組み込む。

ブレードユニット５は、フレーム１０を有しており、このフレームは、合成材料のみ、すなわち熱可塑性材料（例えばポリスチレンまたはＡＢＳ）及びエラストマ材料で形成されている。

より正確には、フレーム１０は、プラットフォーム部材１１を有しており、このプラットフォーム部材は、接続機構によってハンドルに接続されており、
−回動軸Ｘに平行に延在する保護バー１２と、
−髭剃り方向で保護体１２の後方に位置するブレード受容セクション１３と、
−回動軸Ｘに平行に延在し、髭剃り方向でブレード受容セクション１３の後方に位置する後方部分１４と、
−保護バー１２の長手方向端部と後方部分１４の長手方向端部とを連結する２つの側方部分１５と、
を有する。

図示の例において、保護バー１２は、回動軸Ｘに平行に延在する複数のフィン１７を形成する弾性層１６によって被覆されている。

さらに、この特有の例において、プラットフォーム部材１１の底面は、２つのシェル支持部１８を有し、このシェル支持部は、接続機構に属しており、例えば上記国際公開第２００６／０２７０１８号に記載されている。

図に示す一実施形態において、フレーム１０は、さらに、頂面及び反対側の底面を有するプラスチックのカバー１９を有し、このカバーは、プラットフォーム１１の構成部材の頂面を向く。カバー１９は、全体としてＵ字状をなしており、キャップ部分２０は、プラットフォームの後方部分１４を部分的に被覆し、２つの側方部材２１は、プラットフォームの２つの側方部材１５を被覆する。この実施形態において、カバー１９は、プラットフォームの保護バー１２を被覆しない。

カバー１９のキャップ部分２０は、上方を向き、髭剃り中にユーザの皮膚と接触することになる潤滑ストリップ２３を有する。この潤滑ストリップは、例えば、カバーの残りの部分と共射出成形によって形成されている。カバー１９は、例えば国際公開第２０１０／０６６５４号で説明されているような超音波溶接など、任意の適切な手段によってプラットフォーム１１に組み付けられており、この文献は、すべての目的でそのすべてを本明細書に組み込む。

本説明の筐体は、単なる例である。少なくとも１つの切断部材２４は、プラットフォームのブレード受容セクション１３に移動可能に取り付けられている。ブレード受容セクション１３は、複数の切断部材２４を有してもよい。

図面の図１及び図４に示すような第１実施形態において、ブレード受容セクションは、４つの切断部材を有する。

各切断部材２４は、ブレードで形成されており、このブレードは、平坦な帯鋼から一体的に形成されている。

特に、以下の（重量）成分、すなわち、
炭素：０．６２％から０．７５％の間、
クロム：１２．７％から１３．７％の間、
マンガン：０．４５％から０．７５％の間、
珪素：０．２０％から０．５０％の間、
鉄：残余、
を有するマルテンサイト・ステンレス鋼を用いてもよい。

このような合金は、わずかな微量の他の成分、特にわずかな微量のモリブデンを有する。

切断部材は、例えば、図２ａ、図２ｂ及び図３に示すようなＬ字状をなしている。切断部材は、刃先部分２６と、被案内部分３５と、刃先部分及び被案内部分の中間にある曲げ部分５３と、を有する。切断部材（または剃刀ブレード）は、刃先２６とは反対側に、後縁部５４を有する。

各ブレード２４は、２つの横側部３３、３３’間において、回動軸Ｘに平行に長手方向に延在する。例えば、横側部は、まっすぐである。

各ブレード２４は、以下のものを有する曲げプロファイルを有している。
−周期的な鋸歯状の縁部５４を有する（例えば接面（髭剃り面とも称する）にほぼ垂直な）ほぼ平坦なベース部分３５。
−刃先２６を備えるほぼ平坦な刃先部分３９。
−ベース部分と刃先部分との間に延在する曲げ部分５３。曲げ部分は、凹面２８と反対側にある凸面２７とを有する。ブレードのうち凹面を有する面を内面と称し、他方を外面と称する。このような一体的に形成されたブレードを曲げブレードとも称する。

ブレードをヘッドのスライドに取り付ける場合、ときどきベース部分を「被案内部分」とも称する。

刃先２６は、髭剃り方向の前方に方向付けられている。刃先２６は、ブレード受容セクション１３の髭剃り窓を通してアクセス可能であり、毛を切断する。

刃先部分３９は、刃先部分軸に沿って延在する。有利には、切断部材全ての刃先部分軸は、互いに平行に位置付けられている。フレーム１０は、接面（または髭剃り面）を画成し、この接面は、刃先の後方において及び刃先の前方において皮膚接触面に対する接線方向の平面に対応する。ブレードの刃先は、接面Ｐの下方に延在する（図４参照）。すなわち、ブレードは、積極的に露出している(positive exposure)。

上述したように、各曲げブレード２５は、髭剃りされる皮膚に向けて方向付けられた外面２７と、反対側の内面２８と、を有する。ブレードの外面２７及び内面２８それぞれは、２つの主面２９、３０と２つのテーパ状小面３１、３２とを有し、これらテーパ状小面は、刃先２６に向けて先細っている。２つのテーパ状小面は、エッジ角を形成し、上記エッジ角の二等分線は、刃先部分軸である。

図１に示すように、各切断部材２４は、２つの弾性指４４によって支持されており、これら弾性指は、プラットフォーム１１と共に単一片として成形されており、互いに向けてかつプラットフォームの両側方部材１５から上方に延在する。例えば、所定の側方部分から延在する指４４すべては、同一である。さらに、図１に示すように、切断部材のベース部分３５は、プラットフォームの各側方部材１５の内面に形成されたスロット４５内にスライド式に案内される。スロットは、例えば髭剃り面に対してほぼ垂直である。

切断部材２４は、基準位置(nominal position)に向けて弾性腕４４により弾性的に付勢されている。この基準位置において、切断部材の外面２７、より正確には刃先部分は、切断部材の各横方向端部において、対応する上側停止部分５２を当接支持し、この上側停止部分は、例えば、カバーの各側方部材２１の底停止面に設けられており、上記側方部材２１は、スロット４５を被覆する。上記基準位置において、角度（髭剃り角とも称する）は、刃先軸と上述のように前方保護体及び後方キャップによって画成される接面との間で測定される。

上述したタイプの可動式曲げブレードに関して、５°から３０°の間の髭剃り角は、後述のように良好な結果をもたらすと思われる。より良い結果は、１２°から２７°の間、特に１２°から１９°の間、好ましくは１２°から１８°の間で期待される。

切断部材全ての刃先部分軸が互いに対して平行に位置付けられているので、刃先軸と接面との間の角度は、ブレードすべてに関して同一である。

案内スロット４５は、剃刀ヘッドのための方向Ｙを画成する。方向Ｚは、ＸＹ平面に対する法線である。ベース部分３５は、ベース部分面に延在する。ベース部分軸は、そのプロファイル軸以外の、すなわちＸ軸以外のベース部分の主軸である。本実施形態において、これは、Ｙ軸である。すなわち、ベース部分が沿って延在する主軸は、剃刀ヘッドにおいてスロット４５により画成される軸と同一である。

刃先部分３９は、刃先部分面に延在する。刃先部分軸は、そのプロファイル軸以外、すなわちＸ軸以外の刃先部分の主軸である。本実施形態において、これは、Ｕ軸である。すなわち、刃先部分軸は、ＸＵ平面に延在する。Ｖ軸は、ＸＵ平面に対する法線として定義される。

髭剃りを達成するため、ユーザは、剃刀ヘッドをユーザの皮膚に接触させなければならない。図５ａに示すように、剃刀ヘッドがユーザの皮膚に接触しているが移動する前における刃先軸と接面との間で測定される角度Ａ”は、基準位置において刃先軸と接面との間で測定される角度Ａとは異なる。実際には、力は、方向Ｆｒ（図４参照）に沿ってユーザによって切断部材にかけられ、この方向は、接面Ｐに対して実際的に(sensibly)法線であり（すなわち、力Ｆが約±５°で実際的にＹ方向にかけられる）、皮膚と切断部材との間の接触を実現する。

髭を剃ると、力Ｆｓは、同様に、方向Ｆｓに沿って切断部材にかけられ、この方向は、接面Ｐに対して実際的に平行である。切断部材は、スロット４５を通して、接面に対して垂直な方向に移動するために案内される。

曲げブレードの形状及びスロット４５の内側にこれらブレードを配置することにより、剃刀ヘッドのフレームに関して、上記ブレードが所定角度回転運動することが可能となる。すなわち、毛または皮膚の接触中に毛に作用する力がある（すなわち、ブレードを受けるスロット４５の変形がある）と、ブレード全体は、スロット内で回転する。上記回転は、髭剃り角を増大させる傾向がある。

さらに、曲げブレードの形状及びスロット４５の内側にこれらブレードを配置することにより、ブレードが反る運動（すなわち、ブレード自体の弾性変形）が可能となる。より正確には、曲げブレードの形状及びスロット４５の内側にこれらブレードを配置することにより、図５ｂに示すように、被案内部分に関して刃先部分が運動することを可能とする。より正確には、方向Ｆｒに沿ってかけた力を受けて、弾性指４４は、スロット４５内に後退し、ブレードは、その被案内部分及びスロット４５を介して、フレーム１０の底部に向けて並進運動する。同時に、ブレードは、スロット内で回転し、ブレードが反る運動があり、より正確には、曲げ部分は、移動し、刃先部分と被案内部分との間の角度は、増大する。

ヘッドが移動せずに皮膚に接触する位置（休止位置とも称する）と髭剃り中の移動可能位置（髭剃り位置とも称する）とで切断部材にかかる力が異なるので、刃先部分の回転、したがって角度も異なる。髭剃り位置において、回転は、基準髭剃り角を増大させる。

より正確には、図５ｂにおいて、Ｓ点は、皮膚と刃先との間の接点を示す。実線の切断部材は、基準位置にある切断部材である一方、破線の切断部材は、髭剃り位置にある切断部材を示す。基準位置において、刃先軸と接面Ｐとの間の角度Ａは、髭剃り位置における刃先軸と接面Ｐとの間の角度Ａ’より小さい。基準位置における角度Ａと髭剃り位置にある角度Ａ’との間には、直接的な関係があり、この関係は、ユーザによりかけられる力に、及び、弾性指の弾性角に、依存する。したがって、基準位置において髭剃り角が小さいことにより、休止及び髭剃り位置において髭剃り角を小さくすることを可能とし、後述のように、最適な髭剃り性能を可能にする。試験によれば、最適な髭剃り角は、ブレードの形状に依存し、曲げブレードに関して、上述のように、５°から３０°の間、より正確には１２°から２７°の間、１２°から１９°の間または１２°から１８°の間である。

上述のように、上述した範囲の小さい髭剃り角は、より良好なブレードエッジが貫通すること及び使用の利便性を可能とする。髭剃り角が３０°未満であるブレードのこの刃先部分は、皮膚と実際的に平行な毛と接触する。毛を切断する動作は、主として、刃先、すなわちブレードの最も鋭い点によって実行される。したがって、切断に対する抵抗は、低くなり、これは、ユーザに対してより良好な使用の利便性を意味する。

上述した角度範囲は、皮膚の刺激を低減する。図１０ａは、公称角が３０°より大きいブレードの刃先部分を示す一方で、図１０ｂは、公称角が５°から３０°の間または１２°から２８°の間または１２°から１９°の間または１２°から１８°の間であるブレードの刃先部分を示す。刃先部分は、３０°より大きい公称角について、力Ｆ１をかけ、皮膚に接触して規定されるような低公称角について、Ｆ２をかける。力Ｆ１及びＦ２は、同一の基準尺度(module)を有する。力Ｆ１及びＦ２は、皮膚の表面に小さい波部を形成する。上記波部は、髭剃り中の摩擦及び皮膚の刺激に関与し、切断力を低減させる。したがって、皮膚の波部をできるだけ小さく形成することが重要である。力Ｆ１及びＦ２それぞれは、皮膚長手方向Ｓｘに沿う成分Ｆ１ｓｘ、Ｆ２ｓｘ及び皮膚横断方向Ｓｙに沿う成分Ｆ１ｓｙ、Ｆ２ｓｙを有する。図１０ｂに示すように髭剃り角が小さいと、Ｓｙ軸に沿う力Ｓ２の成分Ｆ２ｓｙは、Ｓｙ方向に沿う力Ｓ１の成分Ｆ１ｓｙよりも小さい（より正確には、力Ｆ２ｓｙの基準尺度は、力Ｆ１ｓｙの基準尺度よりも小さい）。このため、皮膚は、Ｓｙ方向に沿ってあまり窮屈にならず、波部は、上記方向Ｓｙに沿って「より小さい」。

曲げブレードについて５°未満の、より正確には１２°または１３°未満の髭剃り角は、ユーザに許容できないレベルの不快をもたらす。髭剃り中に、髭剃り角が例えば５°未満のブレードは、切断する毛をブレードの刃先に対して所定位置に押し込み、この位置において、削いで切断すること(skive-cut)を発生させる（すなわち、ブレードエッジは、毛を横断するようにまっすぐ切断するというよりも、毛の一側内に入って切断し、シャフトを通る斜め後ろに切断し、毛の一側を他側よりも長いままとする）。毛をきれいに切断しないことによって、ユーザは、より頻繁に髭剃りするまたは髭剃りストローク数を増やす必要がある。したがって、本発明の髭剃り角は、曲げブレードに関して５°より大きい、さらに１２°より大きいと、このような不快を回避するのに有利である。図９は、このような特徴を示しており、髭剃り角が上記下限（すなわち５°）未満である刃先部分を破線で、髭剃り角が上記下限（すなわち５°）より大きい刃先部分を実線で示す。

曲げブレードを図２ａ、図２ｂ及び図３に示す。以下、ブレードの幾何形状特性は、同一である。ここで、ブレードの幾何形状特性は、公称特性であり、製造工程またはバラツキによるブレードの実際の幾何形状を考慮しない。特に、製造工程に起因して、一部のブレード部分における厚さの変動及び／または曲がり、湾曲、反りがあってもよく、製品に内因性であってもよい。

以下のパラメータを定義する。
ｔ：ブレード厚さ
Ｌ：一方の横側部３３から他方の横側部３３’までのブレード長さ
Ｈ：後縁部５４から刃先２６までの方向Ｙに沿って測定したブレード高さ
Ｄ：刃先２６からベース部分の平面（Ｘ−Ｙ）までの方向Ｚに沿って測定したカンチレバー寸法
α：ベース部分平面と刃先部分平面との間で測定した挟角
Ｈｂ：後縁部５４から曲げ部分５３までの方向Ｙに沿って測定したブレードベース部分高さ
Ｒ：曲げ部分の内面における曲率半径
Ｈｃ：刃先２６から曲げ部分５３まで方向Ｕに沿って測定した刃先部分範囲
Ｔ：鋸歯状縁部の周期
Ｔ１：鋸歯部の突出範囲
ｈ：鋸歯状縁部高さ

第１実施形態において、適切な剃刀ブレードは、以下の幾何形状性質を示す。

Ｈｅに用いるこの値は、実際には、ブレードの両横側部においてＨｅに関して測定した値間の平均である。ブレードの変形に起因して、これら２つの値が異なり、それぞれ平均で０．８１ｍｍ及び０．８５ｍｍとなる。Ｈｅは、０．２８ｍｍから１．１４ｍｍの間、好ましくは０．４ｍｍから１ｍｍの間を取る。

他の実施形態は、うまく製造されており、これらは、満足のいくものである。例えば、α＝１１２°、Ｈ＝２．４ｍｍ、Ｈｅ＝０．９６ｍｍのようなパラメータは、満足できることを示している。

有利には、カンチレバー寸法Ｄは、２つの隣り合う刃先間の距離よりも小さい。

第２実施形態において、図面の図６、図７ａ、図７ｂ及び図７ｃに示すように、各切断部材２４は、刃先部分及びブレード支持部６００を画成するブレードを備える。各ブレードは、帯鋼から形成されてもよい。切断部材は、Ｌ字状をなす。このような切断部材は、一般的に、支持型ブレードと称される。フレーム１０（曲げブレードをブレード支持部にあるブレードに置換した図１参照）は、接面（または髭剃り面）を画成し、この接面は、刃先の後方及び前方においてフレームの皮膚接触面に対する接線方向の平面に対応する。ブレードの刃先は、接面の下方に延在する。すなわち、ブレードは、積極的に露出している。別の変形例において、複数のブレードまたはブレードのうちの１つは、消極的に露出している(negative exposure)または露出していない。

各ブレード及びブレード支持部は、回動軸Ｘに平行な長手方向に延在する。例えばブレードの材料または寸法など、第１実施形態に関して上述した特徴と同様の特徴を第２実施形態においても使用してもよい。

上述したように、剃刀ブレードは、刃先２６０と、反対側の後方縁部２６１と、を有する。刃先２６０は、髭剃り方向の前方に方向付けられている。刃先２６０は、ブレード受容セクション１３の髭剃り窓を通してアクセス可能であり、毛を切断する。各ブレードは、髭剃りされる皮膚に向けて方向付けられた外面２７０と、反対側の内面２８０と、を有する。ブレードの外面２７０及び内面２８０それぞれは、２つの主面と２つのテーパ状の小面とを有し、これらテーパ状小面は、刃先２６０に向けて先細っている。２つのテーパ状小面は、エッジ角を形成し、上記エッジ角の二等分線は、刃先部分軸である。

上述したように、各剃刀ブレードは、ブレード支持部６００に固定されている。ブレード支持部６００は、
−（例えば接面（髭剃り面とも称する）に対してほぼ垂直な）ほぼ平坦なベース部分３５０と、
−ほぼ平坦なホルダ部分３９０と、
−ベース部分とホルダ部分との間に延在する曲げ部分５３０と、
を有する。曲げ部分は、凹面と反対側の凸面とを有する。

切断部材をスライドさせてヘッドに取り付けると、ベース部分３５０は、同様に、「被案内部分」と称されることがある。

フレーム１０は、接面を画成し、この接面は、刃先の後方及び前方においてフレームの皮膚接触面に対する接線方向の平面に対応する。

各切断部材２４は、２つの弾性指によって支持されており、これら弾性指は、フレームのプラットフォームと共に単一片として形成されており、互いに向けてかつプラットフォームの両側方部分から上方に延在する。例えば、所定の側方部分から延在する指すべては、同一である。さらに、図６に示すように、切断部材のベース部分３５０は、プラットフォームの各側方部材の内面に形成されたスロット４５０内にスライド式に案内される。スロット４５０は、例えば髭剃り面に対してほぼ垂直である。

切断部材２４は、弾性指によって基準位置に向けて付勢されている。より正確には、ブレード支持部６００は、弾性指によって基準位置に向けて弾性的に付勢されている。この基準位置において、切断部材の外面２７０、より正確には刃先部分は、切断部材の各横方向端部において、対応する上側停止部分を当接支持し、この上側停止部分は、例えば、カバーの各側方部材の底停止面に設けられており、上記側方部材は、スロットを被覆する。上記基準位置において、角度（髭剃り角とも称する）は、刃先軸と上述のように前方保護体及び後方キャップによって画成される接面とにより測定される。

上述したタイプの可動式に支持されたブレードに関して、良好な結果をもたらすと思われる。より良い結果は、５°から２０°の間、特に５°から１８°の間で期待される。

切断部材全ての刃先部分軸が互いに対して平行に位置付けられているので、刃先軸と接面との間の角度は、ブレードすべてに関して同一である。

案内スロット４５０は、剃刀ヘッドのための方向Ｙを画成する。方向Ｚは、ＸＹ平面に対する法線である。ベース部分３５０は、ベース部分面に延在する。ベース部分軸は、そのプロファイル軸以外の、すなわちＸ軸以外のベース部分の主軸である。本実施形態において、これは、Ｙ軸である。すなわち、ベース部分が沿って延在する主軸は、剃刀ヘッドにおいてスロット４５０により画成される軸と同一である。

ブレード（または刃先部分）３９０は、刃先部分面に延在する。刃先部分軸は、そのプロファイル軸以外、すなわちＸ軸以外の刃先部分の主軸である。本実施形態において、これは、Ｕ軸である。すなわち、刃先部分軸は、ＸＵ平面に延在する。Ｖ軸は、ＸＵ平面に対する法線として定義される。

髭剃りを達成するため、ユーザは、剃刀ヘッドをユーザの皮膚に接触させなければならない。図８ａに示すように、剃刀ヘッドがユーザの皮膚に接触しているが移動する前において刃先軸と接面との間で測定される角度Ａ”は、基準位置において刃先軸と接面との間で測定される角度Ａとは異なる。実際には、力Ｆｒは、方向（図８ａ参照）に沿ってユーザによって切断部材にかけられ、この方向は、接面Ｐに対して実際的に法線であり（すなわち、力Ｆが約±５°で実際的にＹ方向にかけられる）、皮膚と切断部材との間の接触を実現する。

さらに、髭を剃ると、図８ｂに示すように、力Ｆｓは、方向Ｆに沿って切断部材にかけられ、この方向は、接面Ｐに対して実際的に平行である。切断部材は、スロット４５０の内側で平行移動可能であり、したがって、接面に対して垂直な方向における移動に関して案内される。支持されたブレードの形状及びスロット４５０の内側においてこれらが移動することにより、剃刀ヘッドのフレームに関して上記ブレードがある程度回転移動することが可能となる。すなわち、ブレード全体は、毛または皮膚と接触している間に毛に作用する力があるときに、スロット内で回転する。

その上、曲げブレードの形状及びこれらがスロット４５０の内側で移動することにより、同様に、図８ｂに示すような被案内部分に関してブレードが沿って移動することが可能となる。より正確には、方向Ｆｓに沿う力を受けて、弾性指は、スロット４５０内に後退し、ブレード、より正確には被案内部分をフレーム１０の底部に向けて平行移動させる。同時に、ブレード支持部の曲げ部分は、移動し、ホルダ部分と被案内部分との間の角度は、増大する。ヘッドが移動することなく皮膚と接触する位置（待機位置とも称する）と髭剃り中の可動位置（髭剃り位置とも称する）とで切断部材にかかる力が異なるので、刃先部分の回転、したがって角度も異なる。

髭剃り位置において、回転は、図８ｂに示すように公称髭剃り角を増大させる。髭剃り角は、髭剃り力によって駆動されるブレードの反りに影響を及ぼす。

図８ｂにおいて、Ｓ点は、皮膚と刃先との間の接触点を示す。切断部材は、実線で示されており、基準位置にある切断部材に対応している一方、破線の切断部材は、髭剃り位置にある切断部材を示している。基準位置における刃先軸と接面Ｐとの間の角度Ａは、髭剃り位置における刃先軸と接面Ｐとの間の角度Ａ’より小さい。直接的な関係は、基準位置における角度Ａと髭剃り位置における角度Ａ’との間に存在し、これは、ユーザによってかけられる力に、及び、弾性指の弾性度合いに、依存する。したがって、基準位置において髭剃り角が小さいことにより、待機及び髭剃り位置において髭剃り角を小さくすることを可能とし、後述するように、最適な髭剃り性能を可能とする。試験によると、最適な髭剃り角は、ブレードの形状に依存し、曲げ支持部に支持されたブレードに関して、上述したように、５°から３０°の間、より正確には５°から２０°の間または５°から１８°の間である。２０°、好ましくは１８°または１５°未満の髭剃り角は、ブレードが反ることによって切断力が失われることを最小化するために、好ましい。

上述したように、上述した範囲の小さい髭剃り角は、より良好なブレードエッジが貫通すること及び使用の利便性を可能とする。図９において、髭剃り角が３０°を超えるブレードの刃先部分を破線で示す。髭剃り角が３０°未満のブレードの刃先部分を実線で示す。髭剃り角が３０°未満のブレードの刃先部分は、皮膚に対して実際的に平行に毛と接触する。毛を切断する動作は、主として、刃先、すなわちブレードの最も鋭い点によって実行される。したがって、切断に対する抵抗は、低くなり、これは、ユーザに対してより良好な使用の利便性を意味する。

上述した角度範囲は、皮膚の刺激を低減する。図１０ａは、公称角が３０°より大きいブレードの刃先部分を示す一方で、図１０ｂは、公称角が５°から３０°の間または５°から２０°の間または５°から１８°の間または１２°から１８°の間であるブレードの刃先部分を示す。刃先部分は、３０°より大きい公称角について、力Ｆ１をかけ、皮膚に接触して規定されるような低公称角について、Ｆ２をかける。力Ｆ１及びＦ２は、同一の基準尺度を有する。力Ｆ１及びＦ２は、皮膚の表面に小さい波部を形成する。上記波部は、髭剃り中の摩擦及び皮膚の刺激を形成し、切断力を低減させる。したがって、皮膚の波部をできるだけ小さく形成することが重要である。力Ｆ１及びＦ２それぞれは、皮膚長手方向Ｓｘに沿う成分Ｆ１ｓｘ、Ｆ２ｓｘ及び皮膚横断方向Ｓｙに沿う成分Ｆ１ｓｙ、Ｆ２ｓｙを有する。図１０ｂに示すように髭剃り角が小さいと、Ｙ軸に沿う力Ｓ２の成分Ｆ２ｓｙは、Ｓｙ方向に沿う力Ｓ１の成分Ｆ１ｓｙよりも小さい。このため、皮膚は、Ｙ方向に沿ってあまり窮屈にならず、波部は、上記方向Ｓｙに沿って「より小さい」。

５°未満の髭剃り角は、ユーザに許容できないレベルの不快をもたらす。髭剃り中に、髭剃り角が例えば５°未満のブレードは、切断する毛をブレードの刃先に対して所定位置に押し込み、この位置において、削いで切断することを発生させる（すなわち、ブレードエッジは、毛を横断するようにまっすぐ切断するというよりも、毛の一側内に入って切断し、シャフトを通る斜め後ろに切断し、毛の一側を他側よりも長いままとする）。毛をきれいに切断しないことによって、ユーザは、より頻繁に髭剃りするまたは髭剃りストローク数を増やす必要がある。したがって、本発明の髭剃り角は、５°より大きいと、このような不快を回避するのに有利である。図９は、このような特徴を示しており、髭剃り角が上記下限（すなわち５°）未満である刃先部分を破線で、髭剃り角が上記下限（すなわち５°）より大きい刃先部分を実線で示す。

髭剃り角が５°未満であると、同様に、ハイドロプレーニング効果の可能性がある。実際には、毛がある程度弾性を有するので、ブレードが皮膚に対する平行に非常に近付いて位置すると、毛を下方に押圧し、係合することなく毛の上を通過し、髭剃り効果を低減する。

図７ａ、図７ｂ及び図７ｃに示すように、ブレードは、順次次々になっている。すすぎに影響を与えないため、髭剃り角が低いブレードは、特定の寸法の剃刀ヘッドと組み合わされなければならない。図７ａは、髭剃り角が２０°の３つのブレードを示す一方、図７ｂは、髭剃り角が１０°の３つのブレードを示し、図７ｃは、髭剃り角が５°の３つのブレードを示す。すすぎ水の貫流経路は、設けられており、例えばブレードの下側からの石鹸及び髭剃り屑の除去を効果的にする。すすぎ水の貫流経路は、最初のブレードの刃先２６０と隣のブレードの反対側の後縁部２６１との間の間隙に接続している。以下のパラメータを定義する。
Ｘ１：刃先２６０から隣のブレードの反対側の後縁部２６１までの方向Ｚに沿って測定した貫流経路厚さ
Ｙ１：２の隣り合うブレードにおける２つの刃先部分軸間で測定した貫流経路長さ
Ｄ：刃先２６０から隣のブレードの反対側の後縁部２６１までの方向Ｚに沿って測定したカンチレバー寸法
Ｌ：ブレードの刃先２６０から隣のブレードの刃先までの方向Ｚに沿って測定したブレード間隔

寸法Ｙ１及びＸ１は、貫流経路の主窓を形成する。図７ａ及び図７ｂに対して図７ｃに示すように、窓は、髭剃り角が小さいと著しく低減される。実際には、ブレードのＤ寸法がＬ寸法以下である限り、試験は、許容可能な水貫流経路を達成することを示している。

本説明において、第１実施形態に関して使用した特徴は、第２実施形態に関して使用してもよく、その逆も同様である。例えば、曲げブレードについて開示した寸法は、支持型ブレードに対して用いてもよい。

５ 髭剃りヘッド，ヘッド、６ 上面（頂面）、１２ 保護バー，保護体（前方保護体）、２０ キャップ部分（後方キャップ）、２４ 切断部材，ブレード、２５ 曲げブレード（被案内部分）、２６ 刃先部分，刃先、刃５３ 曲げ部分、３９０ ホルダ部分、４５０ 案内スロット，スロット（案内部）、Ｐ 接面

Claims (16)

1. −共に接面を画成する前方保護体及び後方キャップによって区画され、髭剃り窓を画成する頂面を有する筐体と、
   −少なくとも１つの硬質の切断部材であって、それぞれが前記筐体内に制限されずに取り付けられている、切断部材と、
   を備え、前記切断部材が、
   ・刃先部分軸に沿って延在し、前記髭剃り窓を通してアクセス可能な刃先を有する刃先部分と、
   ・被案内部分軸に沿って延在する被案内部分と、
   ・前記刃先部分と前記被案内部分との間にある曲げ部分と、
   を有し、
   前記刃先部分軸と前記接面との間で測定した角度が、５°から３０°の間であることを特徴とする剃刀ヘッド。
2. 前記刃先部分それぞれが、一体的に形成された硬質のブレードであり、
   前記ブレードが、前記刃先部分と、前記被案内部分軸に沿って延在する前記被案内部分と、前記刃先部分と前記被案内部分との間にある前記曲げ部分と、を備えることを特徴とする請求項１に記載の剃刀ヘッド。
3. 前記角度が、１２°から２７°の間であることを特徴とする請求項２に記載の剃刀ヘッド。
4. 前記角度が、１２°から１９°の間、好ましくは１２°から１８°の間であることを特徴とする請求項２に記載の剃刀ヘッド。
5. 前記切断部材それぞれが、刃先部分を画成するブレードと、ブレード支持部と、を備えることを特徴とする請求項１に記載の剃刀ヘッド。
6. 前記角度が、５°から２０°の間、好ましくは５°から１８°の間であることを特徴とする請求項５に記載の剃刀ヘッド。
7. 前記ブレード支持部が、
   ・前記被案内部分軸に沿って延在する前記被案内部分と、
   ・前記ブレードを支持し、前記刃先部分軸に沿って延在するホルダ部分と、
   ・前記刃先部分と前記被案内部分との間にある前記曲げ部分と、
   を備えることを特徴とする請求項５または６に記載の剃刀ヘッド。
8. 前記曲げ部分が、前記ホルダ部分と前記被案内部分との間にあることを特徴とする請求項７に記載の剃刀ヘッド。
9. 前記ブレードが、前記ブレード支持部の前記ホルダ部分にしっかりと固定されており、前記ブレードが、前記刃先部分軸に沿って前記ホルダ部分を超えて延在することを特徴とする請求項７または８に記載の剃刀ヘッド。
10. 前記筐体が、案内部を有し、
    前記切断部材が、髭を剃らないときに達成する基準位置から前記案内部内で移動するために案内され、
    前記刃先部分軸と前記接面との間で測定した前記角度が、前記基準位置で測定されることを特徴とする請求項１から９のいずれか１項に記載の剃刀ヘッド。
11. 前記切断部材が、前記接面に対して垂直な方向で移動するために案内されることを特徴とする請求項１０に記載の剃刀ヘッド。
12. 前記切断部材の前記被案内部分が、前記案内部と協働し、そのため、前記切断部材それぞれが、髭剃り中にブレードにかかる髭剃り力の影響を受けて、前記被案内部分軸と平行なスライド方向に沿って前記筐体に対して独立して平行移動可能であることを特徴とする請求項１０または１１に記載の剃刀ヘッド。
13. 前記被案内部分が、平面形状を有し、前記刃先から前記被案内部分の平面まで前記接面の方向に沿って測定したカンチレバー寸法が、前記接面の方向に沿って測定した２つの隣り合う前記刃先間の距離よりも小さく、当該剃刀ヘッドを通した水の流動を可能とすることを特徴とする請求項１から１１のいずれか１項に記載の剃刀ヘッド。
14. 前記切断部材それぞれが、０より大きい露出を有することを特徴とする請求項１から１３のいずれか１項に記載の剃刀ヘッド。
15. ブレードそれぞれが、２つの平行な主面と、エッジ角を形成する前記刃先に向けて先細りする２つのテーパ状小面と、を有し、前記エッジ角の二等分線が、前記刃先部分軸であることを特徴とする請求項１から１４のいずれか１項に記載の剃刀ヘッド。
16. 前記刃先部分軸と前記接面との間で測定した前記角度それぞれが、同一であることを特徴とする請求項１から１５のいずれか１項に記載の剃刀ヘッド。