JP2014525484A - ポリマーのハロゲン含量の低減方法 - Google Patents

ポリマーのハロゲン含量の低減方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ポリマーのハロゲン含量の低減方法であって、ポリマーを重合禁止剤と反応させることを特徴とする前記方法、特に、前記ポリマーがATRPプロセスの重合生成物である方法に関する。

Description

本発明はポリマーのハロゲン含量の低減方法に関する。
費用効果に基づいて、フリーラジカル重合は、エチレン性不飽和モノマーを重合するために使用されている。欠点は、ポリマーの構造、モル質量及び分子分布については、制御が比較的難しいことである。
これらの問題に対する解決策は、「制御ラジカル重合」として知られる一般的なクラスの反応によって提供されている。このクラスとしては、ATRP(=原子移動ラジカル重合)プロセスと、更に近年、RTCP(=可逆連鎖移動触媒重合)プロセスの両方が挙げられる。
更に詳細には、ATRPは、多種多様なポリマー、例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はポリスチレンの重要な製造方法である。この種の重合は、テーラーメイドポリマー(tailored polymer)の課題に対してかなりの進展をもたらした。
反応の停止後にそれぞれの鎖端に残る、ハロゲン原子は、ブロック構造の構成のために更なるモノマーフラクションの連続付加を可能にし得るか又は精製後にマクロ開始剤として作用し、従って、更なるポリマーの形成を可能にする。あるいは、該ハロゲン原子は、得られるポリマーの更なる官能化のための部位として作用し得る。
しかしながら、多くの最終用途では、ポリマー製品中でのハロゲンの存在は有害になり得る。その上、様々な分野で強化されている環境規制は、市販の化学製品中のハロゲン及び有機ハロゲンの存在を制限している。
更に、これらのハロゲン官能化ポリマーが熱的に不安定であることが良く知られており、その際、特に、ポリメタクリレート及びポリアクリレートが、末端ハロゲン原子が存在する場合に解重合に対して著しく感受性であることが判明している。
従って、ATRPを介して製造されたポリマーからの前記末端ハロゲン原子の効率的な除去方法は非常に興味深い。
最終ポリマー組成物中のハロゲン濃度の低減方法を提供するために既に様々なアプローチがなされてきた。
米国特許第6689844B2号は、低減されたリビングハロゲン含量を有するポリマー組成物の合成方法であって、エチレン性不飽和モノマーが、金属触媒又は触媒によって配位化合物を形成できる配位子の存在下で、転移可能なハロゲンを含有する開始剤によって及び少なくとも1種の遷移金属を含む1種以上の触媒によって重合される、前記方法を開示している。ポリマー中に存在するリビングハロゲン原子は、重合後に、少なくとも部分的に除去され、その際、ポリマー組成物は、重合後に、非極性溶媒の存在下で、少なくとも1種の多座有機窒素化合物と反応する。
しかしながら、本願明細書に開示された高濃度の脂肪族窒素化合物(例えば、N,N,N’,N’,N''−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA))を、ハロゲン含量を(本特許出願の実施例を基準として)約50ppm〜約900ppmの範囲の値まで低減するために用いる使用は、最終ポリマー中の高い最終窒素含量につながり、これは一部の用途にとっては不利になり得る。また、このような多量の前記化合物の使用は、非常に費用がかかるので、化学反応自体が目的にかなう場合でも経済的損失につながり得る。
米国特許第2009/0275707A1号は、ポリマーからのハロゲン原子の除去及び遷移金属化合物の除去のための方法であって、前記ハロゲン原子を適した硫黄化合物の付加によって置換し、同時に遷移金属化合物を前記硫黄化合物によって沈殿させ、その後、濾過によって除去する、前記方法を開示している。開示された発明の特別な実施態様では、ATRPプロセスも同様に重合プロセスとして含まれる。
しかしながら、アルキルメルカプタンなどの硫黄化合物を、ポリマー鎖端からのハロゲンを置換するために用いる使用は、特に、未反応メルカプタン分子が特徴的な望ましくない硫黄臭をポリマーに付与する事実のために、ある特定の用途にとってはなお欠点になり得る。
最終ポリマー中のハロゲン含量を低減させるために、公知の従来技術において利用可能な幾つかの非常に有望なアプローチが既にあったが、まだ、前記方法を更に改善する必要がある。
従来技術を考慮すると、本発明の目下の課題は、減少したハロゲン含量を有するポリマー組成物の合成方法であって、リビングハロゲン原子が活性な鎖端で実質的に除去されるべき、前記合成方法を提供することであった。
その上、ポリマー末端のハロゲンは、硫黄をポリマー鎖に導入せずに除去されるべきである。
更に、ポリマーの後反応処理は、単純で且つ安価な方法で再現可能であるべきであり、特に、商業的に入手可能な成分を使用すべきである。この文脈では、それらは、この目的のために必要とされる新たなプラント又は複雑な構造のプラントを用いずに工業規模で生産可能でなければならない。
極めて特別な課題は、生成物の更なる後処理を行わずに、同じ反応容器(ワンポット反応)において実際のATRPプロセスの最後に直接ハロゲン除去を行うことである。
更に、ポリマー組成物の分子量分布の広がりは、反応によって防止されるべきである。
本発明の更なる課題は、低減したハロゲン含量を有するポリマー組成物の合成のために、組成物中に含有されるポリマーの分解が防止されるプロセスを提供することであった。
更なる課題は、理想的な添加剤として潤滑油に添加できるような、優れた特性のスペクトルを有するポリマー組成物を見出すことであった。
これは幾つかの要件の中でも特に、組成物中に含有されるポリマーが、酸化に対する低い感受性とせん断負荷に対する高い耐性を有することを意味する。
特に、ポリマー組成物中に含有されるポリマーは、狭い分子量分布を有し且つ実質的にハロゲン不含でなければならない。
これらの課題や、明示されていないが本願明細書の序論で説明された関係から直ぐに導き出される又は認識される更なる課題も、請求項1に記載の全ての特徴を有する方法によって達成される。本方法に対する適切な変更は、請求項1に戻って参照する特許請求の範囲において保護される。
従って、本発明は、ポリマーのハロゲン含量の低減方法であって、前記ポリマーが重合禁止剤と反応することを特徴とする、前記方法を提供する。
本発明の方法は、最終ポリマー鎖に望ましくない基を組み込むことなく、ポリマーのハロゲン含量を低減させる高効率の可能性をもたらす。
この種の方法は、特に安価に達成することができ、この点で工業的に興味深い。
驚くべきことに、本方法は、同じ反応容器(ワンポット反応)において実際のATRPプロセスの最後に追加の生成物の後処理を直接行わずにハロゲン除去を行うことができる。
合成されたポリマーの狭い分布は、ポリマー中の全ハロゲン含量を低減させるために、本発明の方法の間、維持され得る。
本発明の方法は、ポリマー中のハロゲン含量を低減させるために、プロセスの間、ポリマーの活性な鎖端の優れた制御を可能にする。従って、ポリマーの分子量分布の望ましくない広がりは回避され得る。
本方法は、圧力、温度及び溶媒については比較的少ない問題で実施することができ、許容される結果は中程度の温度でも特定の状況下で得られる。
ポリマーはプロセスによって全く分解されないか又はごくわずかしか分解されない。
ポリマーのハロゲン含量を低減させるための本方法は、重合禁止剤との反応を含む。本発明の方法において使用される重合禁止剤は、一般的なクラスにおいてフリーラジカル阻害剤及び/又は酸化防止剤として知られている。更に詳細には、使用される阻害剤は、種々のモノマー、例えば、限定されずに、スチレン、酢酸ビニル、アルキルメタクリレート、アルキルアクリレートの製造及び/又は合成のために業界全体で使用される有効な重合禁止剤として良く知られている。好ましい実施態様によれば、重合禁止剤は、メチルメタクリレートに関して、重合禁止剤の処理速度が500ppm以下、更に好ましくは300ppm以下である、少なくとも50ppmの処理速度で、更に好ましくは少なくとも100ppmの処理速度で、ヒドロキノンとほぼ同じ禁止剤としての効率を有し得る。
重合禁止剤は一般的に商業的に入手可能である。更なる詳細については、本願明細書では、公知の先行技術、特に、Roempp-Lexikon Chemie; 編者: J. Falbe, M. Regitz; Stuttgart, ニューヨーク; 第10版(1996年); キーワード「酸化防止剤」及びここで引用された参考文献を参照している。
本発明の好ましい実施態様では、重合禁止剤は芳香族化合物である。これらの芳香族化合物は、フェノール性化合物;特に、立体障害性フェノール、例えば、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール又は2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール;及び/又はトコフェロール化合物、好ましくはα−トコフェロールを含む。
特に好ましいフェノール性化合物は、ヒドロキノン、例えば、tert−ブチルヒドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール又はジ−tert−ブチルブレンズカテキン、及びヒドロキノンエーテル、例えば、ヒドロキノンモノメチルエーテルである。
本発明の好ましい実施態様では、重合禁止剤は、窒素含有化合物である。重合禁止剤として有用な有機窒素化合物は、それ自体知られている。それらの化合物は、1個以上の窒素原子の他に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を含み、窒素原子は環状基の構成要素であってもよい。
これらの禁止剤は、アミン、例えば、チオジフェニルアミン及びフェノチアジン;及び/又はp−フェニレンジアミン、例えば、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−p−トリル−p−フェニレンジアミン、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン及びN−1,4−ジメチルペンチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを含む。
好ましくは、本願明細書中の重合禁止剤を表す窒素含有化合物は、ニトロソ化合物、例えば、ニトロソジフェニルアミン、亜硝酸イソアミル、N−ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、N−ニトロソ−N−フェニル−N−ヒドロキシルアミン及びそれらの塩、特にそれらのアルカリ塩及びアンモニウム塩、例えば、クペロン(N−ニトロソ−N−フェニル−N−ヒドロキシルアミンアンモニウム塩)である。
更に好ましくは、本明細書の重合禁止剤を表す窒素含有化合物は、N−オキシル化合物、例えば、2,2,4,4−テトラメチルアゼチジン−1−オキシル、2,2−ジメチル−4,4−ジプロピルアゼチジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチル−3−オキソピロリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−ヒドロキシ−TEMPO)、6−アザ−7,7−ジメチル−スピロ[4,5]デカン−6−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−アセトキシピペリジン−1−オキシル及び/又は2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾイルオキシピペリジン−1−オキシルである。
好ましくは、重合禁止剤は、安定化されたラジカルを含み得る。これらの安定化されたラジカル阻害剤の例は、上記のニトロソ化合物及びN−オキシル化合物である。
最も好ましいのは、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルなどのヒドロキシル基を有するN−オキシル化合物である。
重合禁止剤は、単独で又は混合物として使用され得る。
本発明の文脈内では、以下の全ての範囲は、上限と下限との間に全てのサブ値を明示的に含む。
ハロゲン含量の当該低減方法は、特定のポリマーの種類に限定されないが、ATRP重合に関して上記及び下記のポリマーを含む、任意のポリマーを用いて実施され得る。これらのポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリアクリルアミド及びエステル基含有ポリマー、例えば、ポリアクリレート及びポリメタクリレートが挙げられる。
数平均分子量Mは、好ましくは、2000〜1000000g/モル、特に5000〜800000g/モル、更に好ましくは7500〜500000g/モル、最も好ましくは10000〜80000g/モルの範囲であってよい。
特に興味深いのは、とりわけ、エステル基を含み、好ましくは、2000〜2000000g/モル、特に7500〜1000000g/モル、更に好ましくは10000〜600000g/モル、最も好ましくは15000〜80000g/モルの範囲の質量平均分子量Mを有するポリマーである。
本発明の特別な実施態様によれば、エステル基含有ポリマー、好ましくは、ポリアルキル(メタ)アクリレートは、2000〜1000000g/モル、特に20000〜800000g/モル、更に好ましくは40000〜500000g/モル、最も好ましくは60000〜250000g/モルの範囲の質量平均分子量Mを有し得る。
本発明の更なる態様によれば、エステル基含有ポリマー、好ましくは、ポリアルキル(メタ)アクリレートは、2000〜100000g/モル、特に4000〜60000g/モル、最も好ましくは5000〜30000g/モルの範囲の数平均分子量Mを有し得る。
以下の説明によって何ら限定を意図するものではないが、エステル基を含むポリマーは、好ましくは、1〜15、更に好ましくは1.1〜10、特に好ましくは1.2〜5の範囲の、数平均分子量に対する質量平均分子量の比M/Mによって示される多分散性を示す。多分散性は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定され得る。
エステル基を含むポリマーは、種々の構造を有し得る。例えば、ポリマーは、対応する極性及び非極性セグメントを有するジブロック、トリブロック、マルチブロック、櫛型及び/又は星型コポリマーとして存在し得る。更に、ポリマーは特にグラフトコポリマーとして存在し得る。
エステル基を含むポリマーは、本発明の文脈において、少なくとも1つのエステル基を有するエチレン性不飽和化合物を含むモノマー組成物(以降、エステルモノマーと呼ぶ)を重合することによって得られるポリマーを意味することが理解されている。エステルモノマーは、それ自体知られている。該モノマーとしては、異なるアルコール基を有し得る、特に、(メタ)アクリレート、マレエート及びフマレートが挙げられる。「(メタ)アクリレート」との表現は、メタクリレート及びアクリレート、並びにその2つの混合物を包含する。これらのモノマーは、広く知られている。従って、これらのポリマーは、側鎖の一部としてエステル基を有する。
エステル基を含むポリマーは、例えば、単独で使用されるか又は異なる分子量、異なる繰り返し単位の組成及び/又は異なるエステル基含有モノマーを有するポリマーの混合物として使用され得る。
エステル基を含むポリマーは、好ましくは、少なくとも40質量%、更に好ましくは少なくとも60質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%、最も好ましくは少なくとも90質量%のエステルモノマーから誘導される繰り返し単位を含む。
本発明の好ましい実施態様によれば、ポリアルキル(メタ)アクリレート(PAMA)、ポリアルキルフマレート及び/又はポリアルキルマレエートが含まれる。
ポリアルキル(メタ)アクリレート(PAMA)、ポリアルキルフマレート及び/又はポリアルキルマレエートの製造のためのエステルモノマーは、それ自体知られている。それらのモノマーとしては、特に、異なるアルコール部分を有し得る、(メタ)アクリレート、マレエート及びフマレートが挙げられる。「(メタ)アクリレート」との表現は、メタクリレート及びアクリレート、及びその2つの混合物を含む。これらのモノマーは、広く知られている。この文脈において、アルキル部分は、直鎖状、環状又は分枝鎖状であってもよい。アルキル部分も公知の置換基を有し得る。
「繰り返し単位」との用語は、当該技術分野で広く知られている。エステル基を含む当該ポリマーは、好ましくは、モノマーのフリーラジカル重合又はATRPの制御されたラジカルプロセス技術によって得られる。従って、繰り返し単位は、使用されるモノマーから得られる。
エステル基を含むポリマーは、好ましくは、アルコール部分に7〜4000個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の繰り返し単位を含有する。好ましくは、ポリマーは、アルコール部分において、7〜4000個の炭素原子、好ましくは7〜300個の炭素原子、更に好ましくは7〜30個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される繰り返し単位を、少なくとも40質量%、特に少なくとも60質量%及び更に好ましくは少なくとも80質量%含む。
好ましい実施態様によれば、ポリマーは、アルコール部分に16〜4000個の炭素原子、好ましくは16〜300個の炭素原子、更に好ましくは16〜30個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の繰り返し単位と、アルコール部分に7〜15個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の繰り返し単位を含み得る。
エステル基を含むポリマーは、アルコール部分に7〜15個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の繰り返し単位を、5〜100質量%、特に20〜98質量%、更に好ましくは50〜90質量%含み得る。
特定の態様では、エステル基を含むポリマーは、アルコール部分に16〜4000個、好ましくは16〜30個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の繰り返し単位を、0〜90質量%、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは40〜70質量%含み得る。
好ましくは、ポリマーは、アルコール部分に23〜4000個の炭素原子、好ましくは23〜400個の炭素原子、更に好ましくは23〜300個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の繰り返し単位を含み得る。
更に、エステル基を含むポリマーは、アルコール部分に1〜6個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の繰り返し単位を、0.1〜60質量%、特に0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは2〜25質量%含み得る。
好ましい実施態様によれば、ポリマーは、アルコール部分に23〜4000個の炭素原子、好ましくは23〜400個の炭素原子、更に好ましくは23〜300個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の繰り返し単位、及びアルコール部分に1〜6個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の繰り返し単位を含み得る。
エステル基を含むポリマーは、好ましくは少なくとも40質量%、更に好ましくは少なくとも60質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%、及び非常に特に少なくとも95質量%のエステルモノマー由来の繰り返し単位を含む。
エステル基を含む本発明のポリマーが得られる混合物は、0〜40質量%、特に0.1〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%の、以下の式(I)
Figure 2014525484
(式中、Rは水素又はメチルであり、Rは1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基であり、R及びRはそれぞれ独立して水素又は式−COOR’(式中、R’は水素又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である)の基である)
の1種以上のエチレン性不飽和エステル化合物を含有し得る。
成分(I)の例としては、
飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、フマレート及びマレエート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート及びペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート;
シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
重合されるべき組成物は、好ましくは、0〜100質量%、特に5〜98質量%、特に20〜90質量%、更に好ましくは50〜90質量%の、以下の式(II)
Figure 2014525484
(式中、Rは水素又はメチルであり、Rは、7〜15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、R及びRはそれぞれ独立して水素又は式−COOR''(式中、R''は水素又は7〜15個の炭素原子を有するアルキル基である)の基である)
の1種以上のエチレン性不飽和エステル化合物を含有する。
成分(II)の例としては、
飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、フマレート及びマレエート、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2−プロピル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート;
不飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えば、オレイル(メタ)アクリレート;
シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば、3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート;及び対応するフマレート及びマレエートが挙げられる。
更に、好ましいモノマー組成物は、0〜100質量%、特に0.1〜90質量%、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは40〜70質量%の、以下の式(III)
Figure 2014525484
(式中、Rは水素又はメチルであり、Rは、16〜4000個、好ましくは16〜400個、更に好ましくは16〜30個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の基であり、R及びRはそれぞれ独立して水素又は式−COOR'''(式中、R'''は水素又は16〜4000個、好ましくは16〜400個、更に好ましくは16〜30個の炭素原子を有するアルキル基である)の基である)
の1種以上のエチレン性不飽和エステル化合物を含む。
成分(III)の例としては、飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えば、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5−イソプロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート及び/又はエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレート;
シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば、2,4,5−トリ−t−ブチル−3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5−テトラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び対応するフマレート及びマレエートが挙げられる。
更に、式(III)によるモノマーとしては、特に、2002年7月8日に出願番号10/212,784号で米国特許庁(USPTO)に出願された米国特許第6,746,993号、及び2003年1月8日に出願番号10/632,108号で米国特許庁(USPTO)に出願されたUS2004/077509号に開示された、長鎖分岐(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの文献の開示、特に、少なくとも16個、好ましくは少なくとも23個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートモノマーは、参照により本願明細書に包含されている。
それに加えて、C16〜C4000アルキル(メタ)アクリレートモノマー、好ましくはC16〜C400アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、ポリオレフィン系マクロモノマーを含む。ポリオレフィン系マクロモノマーは、ポリオレフィンから誘導される少なくとも1つの基を含む。ポリオレフィンは、当該技術分野で公知であり、且つ炭素及び水素元素からなるアルケン及び/又はアルカジエン、例えば、C〜C10−アルケン、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン、ノルボルネン、及び/又はC〜C10−アルカジエン、例えば、ブタジエン、イソプレン、ノルボルナジエンの重合によって得られる。ポリオレフィン系マクロモノマーは、ポリオレフィン系マクロモノマーの質量を基準として、好ましくは、少なくとも70質量%、更に好ましくは少なくとも80質量%、最も好ましくは少なくとも90質量%の、アルケン及び/又はアルカジエンから誘導される基を含む。ポリオレフィン基は、特に、水素化された形で存在してもよい。ポリオレフィン系マクロモノマー由来のアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、アルケン及び/又はアルカジエンから誘導される基の他に、更なる基を含み得る。これら基には少ない割合の共重合性モノマーが含まれる。これらのモノマーは、それ自体公知であり、且つ幾つかのモノマーの中でも特に、アルキル(メタ)アクリレート、スチレンモノマー、フマル酸塩、マレイン酸塩、ビニルエステル及び/又はビニルエーテルが挙げられる。共重合性モノマーに基づくこれらの基の割合は、ポリオレフィン系マクロモノマーの質量を基準として、好ましくは30質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。また、ポリオレフィン系マクロモノマーは、官能化の役割を果たすか又はポリオレフィン系マクロモノマーの製造によって生じる開始基及び/又は末端基を含み得る。これらの開始基及び/又は末端基の割合は、ポリオレフィン系マクロモノマーの質量を基準として、好ましくは、30質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
ポリオレフィン系マクロモノマーの数平均分子量は、好ましくは500〜50000g/モル、更に好ましくは700〜10000g/モル、特に1500〜8000g/モル、最も好ましくは2000〜6000g/モルの範囲である。
低分子量と高分子量のモノマーの共重合を介した櫛型ポリマーの製造の場合、これらの値は高分子量のモノマーの割合を通じて生じる。ポリマー類似反応の場合、この特性は、例えば、主鎖の変換された繰り返し単位を考慮して使用されたマクロアルコール及び/又はマクロアミンから生じる。グラフト共重合の場合、主鎖に組み込まれていない形成されたポリオレフィンの割合が、ポリオレフィンの分子量分布を決定するために使用され得る。
ポリオレフィン系マクロモノマーは、好ましくは、DSCで測定した低融点を有する。ポリオレフィン系マクロモノマーの融点は、好ましくは−10℃以下、特に好ましくは−20℃以下、更に好ましくは−40℃以下である。最も好ましくは、DSC融点は、ポリアルキル(メタ)アクリレートコポリマー中のポリオレフィン系マクロモノマー由来の繰り返し単位については全く測定できない。
ポリオレフィン系マクロモノマーは、2007年9月7日に出願番号DE102007032120.3で独国特許庁(Deutsches Patentamt)に出願された、公報DE102007032120A1号;及び2007年9月26日に出願番号DE102007046223.0で独国特許庁(Deutsches Patentamt)に出願された、DE102007046223A1号に開示されており、これらの文献は本願明細書に援用されている。
長鎖アルコール部分を有するエステル化合物、特に成分(II)及び(III)は、例えば、(メタ)アクリレート、フマレート、マレエート及び/又は対応する酸と長鎖脂肪アルコールとを反応させることにより得られ、これらは一般的にエステルの混合物、例えば、アルコール部分中に異なる長鎖炭化水素を有する(メタ)アクリレートをもたらす。これらの脂肪アルコールとしては、オキソアルコール(登録商標)7911、オキソアルコール(登録商標)7900、オキソアルコール(登録商標)1100;アルフォール(登録商標)610、アルフォール(登録商標)810、リアール(Lial)(登録商標)125及びナフォール(登録商標)型(サソール社);アルファノール(Alphanol)(登録商標)79(ICI);エパール(Epal)(登録商標)610及びエパール(Epal)810(アフトン社);リネボール(登録商標)79、リネボール(登録商標)911及びネオドール(登録商標)25E(シェル社);デヒダッド(Dehydad)(登録商標)、ヒドレノール(Hydrenol)(登録商標)及びロロール(Lorol)(登録商標)型(コグニス社);アクロポール(Acropol)(登録商標)及びエクサール(Exxal)(登録商標)10(エクソンケミカルズ社);カルコール(Kalcol)(登録商標)2465(花王ケミカル社)が挙げられる。
エチレン性不飽和エステル化合物の中でも、特に(メタ)アクリレートがマレエート及びフマレートよりも好ましい、即ち、特に好ましい実施態様では、式(I)、(II)及び(III)のR、R、R、R、R及びRはそれぞれ水素である。
好ましくは式(II)の7〜15個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の単位と、好ましくは式(III)の16〜4000個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の単位との質量比は、広い範囲内であってもよい。アルコール部分に7〜15個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の繰り返し単位と、アルコール部分に16〜4000個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の繰り返し単位との質量比は、好ましくは30:1〜1:30の範囲、更に好ましくは5:1〜1:5の範囲、特に好ましくは3:1〜1.1:1である。
ポリマーは、任意成分としてコモノマー由来の単位を含み得る。これらのコモノマーとしては、
アリール(メタ)アクリレート、例えば、アクリル残基がいずれの場合も非置換又は4回まで置換され得るベンジル(メタ)アクリレート又はフェニル(メタ)アクリレート;
ハロゲン化アルコールの(メタ)アクリレート、例えば、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、4−ブロモフェニル(メタ)アクリレート、1,3−ジクロロ−2−プロピル(メタ)アクリレート、2−ブロモエチル(メタ)アクリレート、2−ヨードエチル(メタ)アクリレート、クロロメチル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸のニトリル及び他の窒素含有(メタ)アクリレート、例えば、N−(メタクリロイルオキシエチル)ジイソブチルケチミン、N−(メタクリロイルオキシエチル)ジヘキサデシルケチミン、(メタ)アクリロイルアミドアセトニトリル、2−メタクリロイルオキシエチルメチルシアナミド、シアノメチル(メタ)アクリレート;
ハロゲン化ビニル、例えば、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン及びフッ化ビニリデン;
ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル;
芳香族基を有するビニルモノマー、例えば、スチレン、側鎖にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えば、α−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環上にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えば、ビニルトルエン及びp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えば、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン及びテトラブロモスチレン;
ビニル及びイソプレニルエーテル;
マレイン酸及びマレイン酸誘導体、例えば、マレイン酸のモノエステル及びジエステル、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、マレインイミド、メチルマレインイミド;
フマル酸及びフマル酸誘導体、例えば、フマル酸のモノエステル及びジエステル;
メタクリル酸及びアクリル酸が挙げられる。
本発明の特別な態様によれば、エステル基含有ポリマーは、分散モノマーを含む。
分散モノマーとは、特に官能基を有するモノマーを意味するものと理解されており、そのため、これらの官能基を有するポリマーは、溶液中の粒子、特に煤粒子を維持し得ることが仮定され得る(R. M. Mortier, S. T. Orszulik (編): "Chemistry and Technology of Lubricants", Blackie Academic & Professional, London, 第2版、1997年を参照のこと)。これらのモノマーとしては、特に、ホウ素、リン、ケイ素、硫黄、酸素及び窒素含有基を有するモノマーが挙げられ、好ましいのは酸素及び窒素官能化モノマーである。
特に、以下の式(IV)
Figure 2014525484
(式中、Rは水素又はメチルであり、Xは酸素、硫黄又は式−NH−又は−NR−(式中、Rは1〜40個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキルラジカルである)のアミノ基であり、R10は2〜1000個、特に2〜100個、好ましくは2〜20個の炭素原子を含むラジカルであり、少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは少なくとも2個のヘテロ原子を有し、R11及びR12はそれぞれ独立して水素又は式−COX’R10’(式中、X’は酸素又は式−NH−又は−NRa’(式中、Ra’は1〜40個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、且つR10’は1〜100、好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜15個の炭素原子を有する基である)のアミノ基である)の基である)
の複素環式ビニル化合物及び/又はエチレン性不飽和、極性エステル化合物を、適宜、分散モノマーとして使用することが可能である。
「2〜1000個の炭素を有する基」との表現は、2〜1000個の炭素原子を有する有機化合物の基を意味する。同様の定義が対応する用語に適用される。これは芳香族及びヘテロ芳香族基、並びにアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニル、アルカノイル、アルコキシカルボニル基、さらにはヘテロ脂肪族基を包含する。上記の基は、分枝鎖状又は非分枝鎖状であってもよい。更に、これらの基は慣用の置換基を有していてもよい。置換基は、例えば、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、2−メチルブチル又はヘキシル;シクロアルキル基、例えば、シクロペンチル及びシクロヘキシル;芳香族基、例えば、フェニル又はナフチル;アミノ基、ヒドロキシル基、エーテル基、エステル基及びハロゲン化物である。
本発明によれば、芳香族基は、好ましくは6〜20個、特に6〜12個の炭素原子を有する単環式又は多環式芳香族化合物の基を意味する。ヘテロ芳香族基は、少なくとも1つのCH基がNで置換された及び/又は少なくとも2つの隣接するCH基がS、NH又はOで置換されたアリール基、3〜19個の炭素原子を有するヘテロ芳香族基を意味する。
本発明による好ましい芳香族又はヘテロ芳香族基は、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、チオフェン、フラン、ピロール、チアゾール、オキサゾール、イミダゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラゾール、1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジフェニル−1,3,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,4−トリアゾール、2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾール、1,2,5−トリフェニル−1,3,4−トリアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,3,4−テトラゾール、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[b]フラン、インドール、ベンゾ[c]チオフェン、ベンゾ[c]フラン、イソインドール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンズイソチアゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、ピリジン、ビピリジン、ピラジン、ピラゾール、ピリミジン、ピリダジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,4,5−トリアジン、テトラジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、1,8−ナフチリジン、1,5−ナフチリジン、1,6−ナフチリジン、1,7−ナフチリジン、フタラジン、ピリドピリミジン、プリン、プテリジン又はキノリジン、4H−キノリジン、ジフェニルエーテル、アントラセン、ベンゾピロール、ベンゾオキサチアジアゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾピリジン、ベンゾピラジン、ベンゾピラジジン、ベンゾピリミジン、ベンゾトリアジン、インドリジン、ピリドピリジン、イミダゾピリミジン、ピラジノピリミジン、カルバゾール、アシリジン、フェナジン、ベンゾキノリン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジジン、ベンゾプテリジン、フェナントロリン及びフェナントレン由来であり、それぞれ任意に置換されてもよい。
好ましいアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチルプロピル、tert−ブチル基、ペンチル、2−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、1−デシル、2−デシル、ウンデシル、ドデシル、ペンタデシル、及びエイコシル基が挙げられる。
好ましいシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基が挙げられ、それぞれが任意に分枝鎖状又は非分枝鎖状のアルキル基で置換されている。
好ましいアルカノイル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、2−メチルプロピオニル、ブチリル、バレロイル、ピバロイル、ヘキサノイル、デカノイル及びドデカノイル基が挙げられる。
好ましいアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、2−メチルヘキシルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニル又はドデシルオキシカルボニル基が挙げられる。
好ましいアルコキシ基としては、その炭化水素基が上記の好ましいアルキル基のうちの1つであるアルコキシ基が挙げられる。
好ましいシクロアルコキシ基としては、その炭化水素基が上記の好ましいシクロアルキル基のうちの1つであるシクロアルコキシ基が挙げられる。
10基中に存在する好ましいヘテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄、ホウ素、ケイ素及びリンが挙げられ、好ましいのは酸素及び窒素である。
10基は、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つのヘテロ原子を含む。
式(IV)のエステル化合物中のR10基は、好ましくは少なくとも2つの異なるヘテロ原子を有する。この場合、式(IV)のエステル化合物の少なくとも1つのR10基は、少なくとも1つの窒素原子及び少なくとも1つの酸素原子を含んでもよい。
式(IV)のエチレン性不飽和、極性エステル化合物の例としては、アミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、複素環式(メタ)アクリレート及び/又はカルボニル含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、及び1,10−デカンジオール(メタ)アクリレートが挙げられる。
エーテルアルコールの(メタ)アクリレートとしては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、1−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシエチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシ−2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ−2−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシ化(メタ)アクリレート、1−エトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシ−2−エトキシ−2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸とメトキシポリエチレングリコールとのエステルが挙げられる。
適切なカルボニル含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレート、N−(メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニル(メタ)アクリレート、モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスクシネート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリドン、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノン、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシペンタデシル)−2−ピロリジノン、N−(3−(メタ)アクリロイルオキシヘプタデシル)−2−ピロリジノン及びN−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)エチレン尿素が挙げられる。
複素環式(メタ)アクリレートとしては、2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレート、及び1−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドンが挙げられる。
特に興味深いのは、更にアミノアルキル(メタ)アクリレート及びアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えば、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノジグリコール(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、3−ジエチルアミノペンチル(メタ)アクリレート及び3−ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレートである。
更に、リン、ホウ素及び/又はケイ素含有(メタ)アクリレート、例えば、2−(ジメチルホスファト)プロピル(メタ)アクリレート、2−(エチレンホスフィト)プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルホスフィノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルホスホノエチル(メタ)アクリレート、ジエチル(メタ)アクリロイルホスホネート、ジプロピル(メタ)アクリロイルホスフェート、2−(ジブチルホスホノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ブチレン(メタ)アクリロイルエチルボレート、メチルジエトキシ(メタ)アクリロイルエトキシシラン、ジエチルホスファトエチル(メタ)アクリレートを分散単位として使用することが可能である。
好ましい複素環式ビニル化合物としては、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール及び水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及び水素化ビニルオキサゾールが挙げられ、特に好ましいのは官能化のためにN−ビニルイミダゾール及びN−ビニルピロリドンを使用することである。
上で詳述したモノマーは、単独で又は混合物として使用され得る。
特に興味深いのは、特に、エステル基を含み且つ2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、モノ−2−メタクリロイルオキシエチルスクシネート、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレン尿素、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−(4−モルホリニル)エチルメタクリレート、ジメチルアミノジグリコールメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又はジメチルアミノプロピルメタクリルアミドを使用して得られるポリマーである。
特別な改善は、エステル基含有ポリマーが、N−ビニル−2−ピロリジン及び/又はN−ビニル−2−ピロリドンを用いて得られる際に達成され得る。
分散及び非分散性モノマーは、統計的にエステル基含有ポリマー内に分布され得る。統計的ポリマー中の分散繰り返し単位の割合は、エステル基を含むポリマーの質量を基準として、好ましくは0質量%〜20質量%の範囲、更に好ましくは1質量%〜15質量%の範囲、最も好ましくは2.5質量%〜10質量%の範囲である。
更に好ましくは、分散繰り返し単位は、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)及び/又はジメチルアミノエチルメタクリレート(DMEMA)から選択されてよく、エステル基を含むポリマーの質量を基準とする分散繰り返しの量は、好ましくは0.5質量%〜10質量%の範囲、更に好ましくは1.2〜5質量%の範囲である。
更に好ましくは、分散繰り返し単位は、2−(4−モルホリニル)エチルメタクリレート(MOEMA)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)及び/又はヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)から選択されてよく、エステル基を含むポリマーの質量を基準とする分散繰り返しの量は、好ましくは2質量%〜20質量%の範囲、更に好ましくは5質量%〜10質量%の範囲である。
本発明の別の態様によれば、エステル基含有ポリマーは少量の分散繰り返し単位だけ含み得る。このような態様によれば、分散繰り返し単位の割合は、エステル基を含むポリマーの量を基準として、好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下、最も好ましくは0.5以下である。
本発明の好ましい実施態様によれば、エステル基含有ポリマーとは、グラフトベースとして非分散アルキル(メタ)アクリレートポリマーを有し且つグラフト層として分散モノマーを有するグラフトコポリマーである。好ましくは、非分散アルキル(メタ)アクリレートポリマーは、実質的に、上記及び下記に規定された式(I)、(II)及び(III)による(メタ)アクリレートモノマー単位を含む。グラフトコポリマー又はブロックコポリマー中の分散繰り返し単位の割合は、エステル基を有するポリマーの質量を基準として、0〜20質量%の範囲、更に好ましくは1〜15質量%の範囲、最も好ましくは2.5〜10質量%の範囲である。
分散モノマーは、好ましくは、上記及び下記のような複素環式ビニル化合物である。
本発明の更なる態様によれば、エステル基含有ポリマーは、少なくとも1つの極性ブロックと少なくとも1つの疎水性ブロックを有するアルキル(メタ)アクリレートポリマーである。
好ましくは、極性ブロックは、互いに直接結合した、式(IV)のモノマー由来の及び/又は複素環式ビニル化合物由来の少なくとも3つの単位を含む。
好ましいポリマーは、少なくとも1つの疎水性ブロックと少なくとも1つの極性ブロックを含む。
この文脈において「ブロック」との用語は、ポリマー部分を意味する。ブロックは、1つ以上のモノマー単位から構成される実質的に一定の組成を有し得る。また、ブロックは、異なるモノマー単位(繰り返し単位)の濃度がセグメント長さにわたって変化する場合に、勾配を有し得る。極性ブロックは、分散モノマーの割合を通じて疎水性ブロックとは異なる。疎水性ブロックは、よくても小さい割合の分散繰り返し単位(モノマー単位)を有し得るのに対して、極性ブロックは、高い割合の分散繰り返し単位(モノマー単位)を含む。
極性ブロックは、好ましくは少なくとも8個、特に好ましくは少なくとも12個、最も好ましくは少なくとも15個の繰り返し単位を含み得る。同時に、極性ブロックは、極性ブロックの質量を基準として、少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%の分散繰り返し単位を含む。分散繰り返し単位の他に、極性ブロックは、任意の分散効果を有していない繰り返し単位も有し得る。極性ブロックは、異なる繰り返し単位がセグメント長さにわたってランダムな分布を有するような、ランダム構造を有し得る。また、極性ブロックは、極性ブロック内の非分散繰り返し単位及び分散繰り返し単位が不均一な分布を有するように、ブロック構造又は勾配の形の構造を有し得る。
疎水性ブロックは、疎水性ブロックの質量を基準として、好ましくは20質量%未満、更に好ましくは10質量%未満、最も好ましくは5質量%未満の、小さい割合の分散繰り返し単位を含み得る。特に適切な配置では、疎水性ブロックは、実質的に分散繰り返し単位を含まない。
エステル基を含むポリマーの疎水性ブロックは、5〜100質量%、特に20〜98質量%、好ましくは30〜95質量%、最も好ましくは70〜92質量%の、アルコール基中に7〜15個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の繰り返し単位を有し得る。
特定の態様では、エステル基を含むポリマーの疎水性ブロックは、0〜80質量%、好ましくは0.5〜60質量%、更に好ましくは2〜50質量%、最も好ましくは5〜20質量%の、アルコール基中に16〜4000個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の繰り返し単位を有し得る。
更に、エステル基を含むポリマーの疎水性ブロックは、0〜40質量%、好ましくは0.1〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%の、アルコール基中に1〜6個の炭素原子を有するエステルモノマー由来の繰り返し単位を有し得る。
エステル基を含むポリマーの疎水性ブロックは、好ましくは少なくとも40質量%、更に好ましくは少なくとも60質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%、最も好ましくは少なくとも90質量%の、エステルモノマー由来の繰り返し単位を含む。
疎水性及び疎水性ブロックの長さは広い範囲内で変化し得る。疎水性ブロックは、好ましくは、少なくとも10、特に少なくとも40の質量平均重合度を有する。疎水性ブロックの質量平均重合度は、好ましくは20〜5000、特に50〜2000の範囲である。
分散繰り返し単位の割合は、エステル基を含むポリマーの質量を基準として、好ましくは0.5〜20質量%の範囲、更に好ましくは1.5質量%〜15質量%の範囲、最も好ましくは2.5質量%〜10質量%の範囲である。同時に、これらの繰り返し単位は、好ましくは、分散繰り返し単位の全質量を基準として、好ましくは少なくとも70質量%、更に好ましくは少なくとも80質量%が極性ブロックの一部であるように、エステル基を含むポリマー内にセグメント状構造を形成する。
好ましくは、前記疎水性ブロックと前記極性ブロックとの質量比は、100:1〜1:1の範囲、更に好ましくは30:1〜2:1の範囲、最も好ましくは10:1〜4:1の範囲である。
好ましい実施態様では、前記ポリマーのハロゲン含量の低減方法において使用されるポリマーは、ハロゲン含有化合物、特にハロゲンを含む開始剤又は転移基を用いる制御ラジカル重合プロセスの生成物である。ハロゲン含有化合物を使用するこれらの制御ラジカル重合プロセスとしては、ATRP法又は類似のプロセス、例えば、Polymer 49(2008年)5177〜5185頁及びWO2009/136510号及び米国特許第7,399,814号に記載された可逆連鎖移動触媒重合(RTCP)が挙げられる。これらの文献の開示は、本願明細書に援用されている。
好ましくは、開始剤又は移動基はCl、Br及び/又はIを含む。
ATRP法は、実質的にMatyjaszewski教授(Matyjaszewskiら、J. Am. Chem. Soc, 1995年、117、第5614頁;WO97/18247号;Science、1996年、272、第866頁)によって開発された。ATRP法は、ごく低い濃度でのみ存在する成長ラジカルポリマー鎖とより高い酸化状態の遷移金属化合物(例えば銅II)との間の酸化還元平衡、並びに好ましくはハロゲンで又は擬ハロゲンで終端されたポリマー鎖及び低酸化状態の対応する遷移金属化合物(例えば、銅I)から構成されて存在する固定の組み合わせに基づいている。これは、(擬)ハロゲン置換開始剤を用いて開始される実際のATRPと、平衡が確立されるまでハロゲンがポリマー鎖に結合しない以下の後半に記載する逆ATRPとの両方に当てはまる。
ATRPプロセスは、乳化重合、ミニエマルション重合、マイクロエマルション重合、又は懸濁重合の形で、並びに溶液重合の形で実施され得る。
使用される開始剤は、それぞれ、1つ以上の原子、ATRPプロセスの重合条件下でラジカル経路によって転移され得る原子団Xを有する化合物を含み得る。活性基Xは一般的にCl、Br、I、SCN、及び/又はNを含み、その際、Cl、Br及び/又はIが好ましい。
好適な開始剤は、一般的に以下の式:
1’2’3’C−X、R1’C(=O)−X、R1’2’3’Si−X、R1’NX、R1’2’N−X、(R1’P(O)−X3−n、(R1’O)P(O)−X3−n、及び(R1’)(R2’O)P(O)−X
(式中、XはCl、Br、I、OR4’、SR4’、SeR4’、OC(=O)R4’、OP(=O)R4’、OP(=O)(OR4’、OP(=O)OR4’、O−N(R4’、CN、NC、SCN、NCS、OCN、CNO、及びNからなる群から選択され、その際、R4’は、それぞれの水素原子が独立してハロゲン原子、好ましくはフッ素又は塩素によって置換され得る、1〜20個の炭素原子のアルキル基、又は2〜20個の炭素原子のアルケニル、好ましくはビニル、又は2〜10個の炭素原子のアルケニル、好ましくはアセチレニル、又は1〜5個のハロゲン原子又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基が置換基として存在し得るフェニルであるか、又はアラルキルであり、且つR1’、R2’、及びR3’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、1〜20個、好ましくは1〜10個、特に好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基、シリル基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基、アミン基、アミド基、COCl、OH、CN、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基又はアルキニル基、特に好ましくはアリル又はビニル、オキシラニル、グリシジル、アルケニル又は2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基からなる群から選択され、その際、オキシラニル又はグリシジル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、アラルケニル(アリール置換したアルケニル)において、アリールは上で定義された通りであり且つアルケニルは1つ又は2つのC〜C−アルキル基によって置換されたビニルであり、その際、水素原子のうち1つから全部が、好ましくは1つがハロゲン(好ましくは1つ以上の水素原子が置換される場合、フッ素又は塩素であり、好ましくは、1つの水素原子が置換される場合、フッ素、塩素又は臭素である)によって置換され、1〜6個の炭素原子を有するアルケニル基はC〜C−アルコキシ、アリール、ヘテロシクリル、ケチル、アセチル、アミン、アミド、オキシラニル、及びグリシジルからなる群から選択される1〜3個の(好ましくは1個の)置換基によって置換され、且つm=0又は1;m=0、1又は2である)
を包含する。R1’、R2’、及びR3’部分のうち2つ以下が水素であることが好ましく、特に、R1’、R2’、及びR3’部分のうち多くても1つが水素であることが好ましい。
中でも特に好ましい開始剤は、ベンジルハライド、例えば、p−クロロメチルスチレン、ヘキサキス(α−ブロモメチル)ベンゼン、塩化ベンジル、臭化ベンジル、1−ブロモ−i−フェニルエタン及び1−クロロ−i−フェニルエタンである。更に特に好ましいのは、α位でハロゲン化されたカルボン酸誘導体、例えば、2−ブロモプロピオン酸プロピル、2−クロロプロピオン酸メチル、2−クロロプロピオン酸エチル、2−ブロモプロピオン酸メチル、又は2−ブロモイソ酪酸エチルである。また、トシルハライド、例えば、p−トルエンスルホニルクロリド;アルキルハライド、例えば、テトラクロロメタン、トリブロモエタン、1−ビニルエチルクロリド、又は1−ビニルエチルブロミド;及びリン酸エステルのハロゲン誘導体、例えば、ジメチルホスホニルクロリドが好ましい。
ブロックコポリマーの合成に適した開始剤のある特定の基は、マクロ開始剤によって提供される。これらの特徴は、1〜3個の、好ましくは1〜2個の、非常に特に好ましくは1個の、R1’、R2’、及びR3’の基からの部分が、高分子の部分を含むことである。これらの高分子は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン;ポリシロキサン;ポリエーテル、例えば、ポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシド;ポリエステル、例えば、ポリ乳酸の群から選択されるか、又は他の公知の末端基官能化高分子から選択され得る。これらの高分子部分のそれぞれの分子量は、500〜100000、好ましくは1000〜50000、特に好ましくは1500〜20000であってよい。ATRPの開始の場合、両方の末端で開始剤として適した基を有する前記高分子を、例えば、両末端臭素化化合物の形で使用することも可能である。この種の高分子を使用する際に、ABAトリブロックコポリマーを構成することが可能である。
開始剤の別の重要な基は、二官能性又は多官能性の開始剤によって提供される。多官能性開始剤分子を使用する時に、例えば、スターポリマーを合成することが可能である。二官能性開始剤を使用する時に、トリ又はペンタブロックコポリマーと両端二官能性ポリマーを製造することが可能である。使用できる二官能性開始剤は、RC−CHX−(CH−CHX−CO、RC−C(CH)X−(CH−C(CH)X−CO、RC−CX−(CH−CX−CO、RC(O)−CHX−(CH−CHX−C(O)R、RC(O)−C(CH)X−(CH−C(CH)X−C(O)R、RC(O)−CX−(CH−CX−C(O)R、XCH−CO−(CH−OC(O)CHX、CHCHX−CO−(CH−OC(O)CHXCH、(CHCX−CO−(CH−OC(O)CX(CH2、CH−CO−(CH−OC(O)CHX、CHCX−CO−(CH−OC(O)CXCH、XCHC(O)C(O)CHX、CHCHXC(O)C(O)CHXCH、XC(CHC(O)C(O)CX(CH2、CHC(O)C(O)CHX2、CHCXC(O)C(O)CXCH、XCH−C(O)−CHX、CH−CHX−C(O)−CHX−CH、CX(CH−C(O)−CX(CH2、CH−C(O)−CHX2、−CHX−(CH−CHX−C、C−CX−(CH−CX−C、C−CX−(CH−CX−C、o−、m−、又はp−XCH−Ph−CHX、o−、m−、又はp−CHCHX−Ph−CHXCH、o−、m−、又はp−(CHCX−Ph−CX(CH2、o−、m−、又はp−CHCX−Ph−CXCH、o−、m−、又はp−XCH−Ph−CHX、o−、m−、又はp−XCH−CO−Ph−OC(O)CHX、o−、m−、又はp−CHCHX−CO−Ph−OC(O)CHXCH、o−、m−、又はp−(CHCX−CO−Ph−OC(O)CX(CH2、CHCX−CO−Ph−OC(O)CXCH、o−、m−、又はp−XCH−CO−Ph−OC(O)CHX2、又はo−、m−、又はp−XSO−Ph−SOX(Xは塩素、臭素、又はヨウ素であり;Phはフェニレン(C)であり;Rは1〜20個の炭素原子の、又は直鎖状、分枝鎖状、又は環状構造の脂肪族部分を表し、これは飽和又はモノ不飽和又はポリ不飽和であってよく、且つ1つ以上の芳香族系を含むか又は芳香族系を含まなくてよく、且つnは0〜20の数である)である。1,4−ブタンジオールジ(2−ブロモ−2−メチルプロピオネート)、エチレングリコール、1,2−ジ(2−ブロモ−2−メチルプロピオネート)、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、又は2,3−ジブロモマレイン酸ジエチルを使用することが好ましい。その後の分子量は、全てのモノマーが転換される場合、モノマーに対する開始剤の比率の結果である。
遷移金属と単官能性開始剤とのモル比は、一般的に0.01:1〜10:1の範囲、好ましくは0.1:1〜3:1の範囲、特に好ましくは0.5:1〜2:1の範囲であり、いかなる結果の限定も意図するものではない。
有機溶媒中の金属の溶解性を上げ、同時に、より安定で、ゆえに重合での活性の少ない有機金属化合物の形成を避けるために、配位子をこの系に添加する。配位子はまた、遷移金属化合物による転移可能な原子団の引抜きも容易にする。公知の配位子のリストが、例えば、WO97/18247号、WO97/47661号、又はWO98/40415号によって見出される。配位子として使用される化合物は、主に1つ以上の窒素原子、酸素原子、リン原子、及び/又は硫黄原子を配位成分として有する。特に好ましいのは、ここでは窒素含有化合物である。非常に特に好ましいのは、窒素含有キレート配位子である。挙げられる例は、2,2’−ビピリジン、N,N,N’,N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリス(2−アミノエチル)アミン(TREN)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、又は1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミンである。当業者は、有用な選択の指示と個々の成分の組み合わせをWO98/40415号に見出す。
これらの配位子は、インサイチュで金属化合物との配位化合物を形成するか、又はそれらが最初に配位化合物の形で製造され、次いで反応混合物に添加され得る。
遷移金属に対する配位子(L)の比は、配位子によって占められる配位部位の数と遷移金属(M)の配位数に依存する。モル比は一般的に100:1〜0.1:1、好ましくは6:1〜0.1:1、特に好ましくは3:1〜1:1の範囲であり、その際、結果として生じるいかなる制限も意図するものではない。
通常、ATRPプロセスは、銅化合物、鉄化合物、コバルト化合物、クロム化合物、マンガン化合物、モリブデン化合物、銀化合物、亜鉛化合物、パラジウム化合物、ロジウム化合物、白金化合物、ルテニウム化合物、イリジウム化合物、イッテルビウム化合物、サマリウム化合物、レニウム化合物及び/又はニッケル化合物から選択される遷移金属化合物によって触媒される。
銅化合物がかかるATRP法のための触媒として選択された場合、前記銅化合物は、好ましくは、重合の開始前に、CuO、CuBr、CuCl、CuI、CuN、CuSCN、CuCN、CuNO、CuNO、CuBF、Cu(CHCOO)及び/又はCu(CFCOO)の形で系に添加され得る。
上記のATRPの代替物がこの変種によって提供される:逆ATRPとして知られているものでは、高い酸化状態の化合物、例えば、CuBr、CuCl、CuO、CrCl、Fe、又はFeBrを使用することができる。これらの場合、反応は、AIBNなどの従来のラジカル発生剤を用いて開始され得る。ここで、遷移金属化合物が伝統的なラジカル発生器によって生じたラジカルと反応するので、それらが最初に還元される。逆ATRPは、とりわけWangとMatyjaszewskiによりMacromolekules(1995年)、第28巻、第7572頁に記載された。
逆ATRPの変形は、酸化状態がゼロである金属の更なる使用によって提供される。反応速度は、より高い酸化状態の遷移金属化合物と共均一化されているとみなされるものによって加速される。このプロセスの更なる詳細は、WO98/40415号に記載されている。
本発明の特別な態様によれば、好ましくは、ATRP法によって合成されたエチルビニルアセテートに基づくポリマーも、最終ポリマー中のハロゲン含量を低減させるために開示された方法のためにエステル基含有ポリマーとして使用され得る。エチルビニルアセテートをベースとする好ましいポリマーは、EP0739971B1号、EP0721492B2号及びEP0741181B1号に記載されている。1993年6月29日に出願番号96202136.6号で欧州特許庁に出願されたEP0739971B1号、1994年7月22日に出願番号94924280.4号で欧州特許庁に出願されたEP0721492B2号及び1993年6月29日に出願番号96202137.4号で欧州特許庁に出願されたEP0741181B1号などの文献が本願明細書に援用されている。
本発明の好ましい実施態様では、重合禁止剤は、その後、ワンポット反応を実施するために、前記ATRPプロセスの最後に、同じ反応容器内に添加される。
好ましくは、本発明の方法で使用されるポリマーは、溶媒中で重合禁止剤と反応する。溶媒との用語は、本願明細書では広い意味で理解されるべきである。
本発明の好ましい実施態様では、本発明の方法で使用されるポリマーは、非極性溶媒中で重合禁止剤と反応する。これらの溶媒としては、炭化水素溶媒、例えば、芳香族系溶媒、例えば、トルエン、ベンゼン及びキシレン、分枝形態で存在し得る、飽和炭化水素、例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカンが挙げられる。
特に好ましい溶媒は、鉱物油、鉱物由来のディーゼル燃料、天然の植物油及び動物油、バイオディーゼル燃料及び合成油(例えば、ジノニルアジペートなどのエステル油)、さらにはそれらの混合物である。これらの中で、非常に特に好ましいのは、鉱物油及び鉱物ディーゼル燃料である。
これらの溶媒は、単独で及び混合物として使用されてもよい。
阻害剤とポリマーの後重合反応の時間は、上記で説明したパラメータに依存する。ポリマー中のハロゲン含量の効率的な低減が、少なくとも30分後に、好ましくは少なくとも1時間後に達成され得ることが発見された。
ポリマーの一部である重合開始剤とハロゲンとのモル比はあまり重要ではなく、また、驚くことに、本発明は、少量の重合禁止剤でも作用する。多量の重合禁止剤は、ハロゲンの迅速且つ完全な除去をもたらす。しかしながら、経済面に関しては、少量の重合禁止剤でも十分な結果をもたらし得る。好ましくは、ポリマーの一部である重合禁止剤とハロゲンとのモル比は、0.2:1〜10:1、好ましくは0.4:1〜5:1、更に好ましくは1:1〜3:1の範囲であってよい。
本発明の方法において使用されるポリマーは、一般に−20℃〜200℃、好ましくは30℃〜180℃、更に好ましくは60℃〜140℃の範囲の温度で反応する。後重合反応は、常圧、減圧又は高圧で実施され得る。
本発明の好ましい実施態様によれば、重合禁止剤と反応するポリマー組成物は、遷移金属又はハロゲン原子を含む小分子の含量を低減するために、クロマトグラフィー、濾過、遠心分離又は透析などの公知の精製手順で処理することができる。
本発明の好ましい実施態様では、重合禁止剤と反応するポリマーは、得られたポリマーを含有する生成物の、ハロゲン含量、特に臭素含量を低減するために、吸着剤又はイオン交換樹脂を用いて濾過によって精製される。
濾過は、それ自体公知であり、例えば、ウルマン工業化学事典、第5版、キーワード「濾過」に記載されている。組成物は、好ましくは、0.1〜50バール、好ましくは1〜10バール、特に好ましくは1.5〜2.5バールの範囲の異なる圧力で、0.01μm〜1mm、好ましくは1μm〜100μm、特に好ましくは10μm〜100μmの範囲のメッシュ開口を有するフィルタを用いて精製される。これらの数字は、精製が溶媒の粘度と沈殿物の粒径に依存するので、あくまでも目安として機能する。
好ましくは、濾過助剤又は吸着剤は、濾過の結果を改善するために使用され得る。吸着剤及び/又は濾過助剤は、従来技術から公知であり、好ましくはシリカ及び/又はアルミニウム酸化物、有機ポリ酸、例えば、吸収性クレー及び珪藻土濾過助剤の群から選択される。
濾過は重合と同様の温度範囲で行われ、その際、上限はポリマーの安定性に依存する。下限は、溶液の粘度によって課されている。
このように製造されたポリマー組成物は、例えば、潤滑油中の添加剤として、更に精製することなく使用され得る。更に、ポリマーは組成物から単離され得る。この目的のために、ポリマーは沈殿によって組成物から分離され得る。
本発明による方法の特徴は、ポリマー中のハロゲン含量がこれによって少なくとも部分的に除去されることであり、その際、部分的との用語は、例えば、それぞれの場合の出発ハロゲン含量に対して、5質量%の含量の低下を意味し得る。
本発明の方法の好ましい実施態様では、ハロゲン含量の減少は遙かに大きく、従って、ハロゲン含量は、それぞれの場合の出発ハロゲン含量に対して、好ましくは60質量%まで、特に好ましくは30質量%まで、最も特に好ましくは5質量%まで低減される。
好ましくは本発明の方法によって得られるポリマーは、好ましくは、組成物の全質量に対して、1000ppm以下、好ましくは600ppm以下、更に好ましくは200ppm以下、特に好ましくは100ppm以下のハロゲン含量を有する。
本発明を一般的に記載してきたが、更なる理解は、例示のみの目的のために本願明細書に提供され、特記しない限り限定することを意図するものではない特定の実施例を参照することによって得ることができる。
実施例及び比較例
本発明の実施例1−TEMPO処理
反応混合物を、469グラムのラウリルメタクリレート(LMA)及び70グラムのメチルメタクリレート(MMA)と、74グラムの鉱油とを、鎌状攪拌機、還流冷却器、熱電対、及び窒素スイープを備えた1リットルの4つ口フラスコ内でブレンドすることによって調製した。反応混合物を、窒素を流しながら30分間不活性化した。5.8グラムのPMDETA(1当量)と0.72グラム(0.15当量)の臭化銅(I)を添加し、そして混合物を70℃に加熱した。混合物が所望の温度に到達すると直ぐに、6.52グラムのエチル2−ブロモイソブチレート(EBIB、1当量)を単一ショットとして添加した。その後、温度を95℃まで上昇させた。
EBIB開始剤の添加の4時間後に、窒素スイープを終了し、2.6グラムの2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を1回分として添加した。混合物を60分間撹拌した。次に、反応物を、123.5グラムの鉱油を加えて希釈し、95℃で一晩混合させた。
ポリマー溶液を、吸収性粘土及び珪藻土濾過助剤を用いて濾過した。
あるいは、ポリマーをヘプタンによる透析を介して単離し、濾過して触媒塩を除去し、溶媒を抜き出し、最後に鉱油で再希釈した。
最終的な試料を、GPCによって分析し、残留臭素と銅を、蛍光X線を用いて測定した。結果を表1にまとめる。
本発明の実施例2〜4−ヒドロキシTEMPO処理
反応と生成物の精製を、実施例1で提供されたのと同じ条件下で行った。しかしながら、1.44グラムの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−ヒドロキシ−TEMPO)を、(TEMPOの代わりに)EBIB開始剤の添加の4時間後に1回分として添加した。結果を表1にまとめる。
本発明の実施例3−クペロン処理
反応及び生成物の精製を、実施例1に示したのと同じ条件下で行った。しかしながら、2.64グラムのクペロン[N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンのアンモニウム塩](0.50当量)を、EBIB開始剤の添加の4時間後に1回分として添加した。結果を表1にまとめる。
本発明の実施例4−クペロン処理
反応及び生成物の精製を、実施例1に示したのと同じ条件下で行った。しかしながら、1.32グラムのクペロン[N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンのアンモニウム塩](0.25当量)を、EBIB開始剤の添加の4時間後に1回分として添加した。結果を表1にまとめる。
本発明の実施例5−イオノール処理
反応及び生成物の精製を、実施例1に示したのと同じ条件下で行った。しかしながら、0.50当量のイオノール[2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール]を、EBIB開始剤の添加の4時間後に1回分として添加した。結果を表1にまとめる。
本発明の実施例6−MEHQ処理
反応及び生成物の精製を、実施例1に示したのと同じ条件下で行った。しかしながら、0.50当量のMEHQ[ハイドロキノンモノメチルエーテル]を、EBIB開始剤の添加の4時間後に1回分として添加した。結果を表1にまとめる。
比較例−後処理なし
反応混合物を、鎌状攪拌機、還流冷却器、熱電対、及び窒素スイープを備えた1リットルの4つ口フラスコ内で、469グラムのLMA及び70グラムのMMAと74グラムの鉱油とをブレンドすることによって調製した。反応混合物を、窒素を流しながら30分間不活性化した。5.8グラムのPMDETA(1当量)及び0.72グラム(0.15当量)の臭化銅(I)を添加して、混合物を70℃に加熱した。混合物が所望の温度に到達したら直ぐに、6.52グラムのEBIB(1当量)を1回分として添加した。その後、温度を95℃まで上昇させた。EBIB開始剤の添加の4時間後に、反応物を、123.5グラムの鉱油を添加して希釈し、60分間混合させた。
ポリマー溶液を、吸収性粘土及び珪藻土濾過助剤を用いて濾過した。あるいは、ポリマーを、ヘプタンによる透析を介して単離し、触媒塩を除去するために濾過し、溶媒をストリップし、最後に鉱油で再希釈した。
最終的な試料をGPCで分析し、残留臭素と銅を、蛍光X線を用いて測定した。
結果を表1にまとめる。
Figure 2014525484
表1は、重合禁止剤によって最終ポリマーを処理することなく、一般的に知られたパラメータを用いて重合プロセスを実施した比較例が、非常に高い残留ハロゲン、特に臭素の含量(940ppmと900ppm)を有するポリマーをもたらしたことを実証する。濾過又は透析を実行する形でポリマーの精製及び/又は単離手順によって生じた得られた差は、40ppmの合計差を示すだけの役割しか果たさない。
TEMPO及びTEMPO誘導体をそれぞれ使用する本発明の実施例1及び2は、反対に、両方とも上記の濾過手順をポリマー後処理プロセスとして用いて、実施例1においてTEMPO後反応処理を用いて118ppmまで、実施例2においてTEMPO誘導体後反応処理を用いて112ppmまでの残留ハロゲン、特に臭素の含量の驚異的な減少を証明する。透析ポリマーの後処理を用いる実施例1は、既に大幅に減少したハロゲン、特に臭素の含量を更に34ppmまで減少させるために更に一層有効であることが判明した。
従って、表1は、公知の先行技術の上述した欠点によって制限されずに、ポリマーのハロゲン含量の好適な低減方法を調査するという本発明の課題が、特許請求された方法によってうまく解決されたことを明確に示す。

Claims (23)

  1. ポリマーのハロゲン含量の低減方法であって、ポリマーを重合禁止剤と反応させることを特徴とする、前記方法。
  2. 前記ポリマーが、ハロゲン含有化合物を使用して制御されたラジカル重合プロセスの生成物である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ポリマーが、ATRP(原子移動ラジカル重合)プロセスの生成物である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ATRPプロセスが、銅化合物、鉄化合物、コバルト化合物、クロム化合物、マンガン化合物、モリブデン化合物、銀化合物、亜鉛化合物、パラジウム化合物、ロジウム化合物、白金化合物、ルテニウム化合物、イリジウム化合物、イッテルビウム化合物、サマリウム化合物、レニウム化合物及び/又はニッケル化合物から選択される遷移金属化合物によって触媒される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記銅化合物を、重合の開始前に、CuO、CuBr、CuCl、CuI、CuN、CuSCN、CuCN、CuNO、CuNO、CuBF、Cu(CHCOO)及び/又はCu(CFCOO)の形で系に添加した、請求項4に記載の方法。
  6. Cl、Br及び/又はIを含有する開始剤を使用する、請求項2から5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 開始剤がハロゲン化ベンジル、α位でハロゲン化されたカルボン酸誘導体、及び/又はハロゲン化トシルである、請求項6に記載の方法。
  8. 得られたポリマーを、前記ポリマーを製造するために使用される制御されたラジカルプロセスの結果として得られたハロゲンで終端する、請求項7に記載の方法。
  9. 重合禁止剤を、その後、ポリマー生成物から末端ハロゲンを除去するために、前記制御されたラジカル重合プロセスの最後に添加する、請求項2から8までのいずれか1項に記載の方法。
  10. 重合禁止剤を同じ反応容器内に添加してワンポット反応を実施する、請求項2から9までのいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記重合禁止剤が、通常、スチレン、酢酸ビニル、アルキルメタクリレート、アルキルアクリレートの製造及び/又は合成のための有効な重合禁止剤として使用されるクラスのものである、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記重合禁止剤が芳香族化合物である、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記芳香族化合物がフェノール化合物である、請求項12に記載の方法。
  14. 重合禁止剤が安定化された基を含む、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
  15. 重合禁止剤が窒素含有化合物である、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記窒素含有化合物がニトロソ化合物である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記窒素含有化合物がN−オキシル化合物である、請求項15に記載の方法。
  18. 前記ポリマーを、30℃〜200℃の範囲の温度で反応させる、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記ポリマーを、少なくとも1時間、前記重合禁止剤と反応させる、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記ポリマーを、溶媒中で前記重合禁止剤と反応させる、請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記溶媒が非極性溶媒である、請求項20に記載の方法。
  22. 重合禁止剤とポリマーの一部であるハロゲンとのモル比が0.1:1〜1:1の範囲である、請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法。
  23. 重合禁止剤と反応するポリマーを、ポリマーのハロゲン含量を低減するために、吸着剤又はイオン交換樹脂による濾過を通して精製する、請求項1から22までのいずれか1項に記載の方法。
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