JP2014522634A - イソブタノール発酵の原料としてのリグノセルロース加水分解物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、一般に、工業微生物学の分野、およびリグノセルロース加水分解物などの五炭糖源からのブタノールの生産に関する。より具体的には、本発明は、キシルロースまたはキシルロース−5−リン酸産生酵素および微好気性または嫌気性条件を使用して、このような糖からのブタノールの生産と、その場生成物回収方法による前記ブタノールの回収とを増大させることに関する。
Description
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本出願と共に出願されたASCIIテキストファイル(名称:20120615_CL5194WOPCT_SeqList.txt、サイズ:1,164,854バイト、および作成日:2012年6月14日)において電子的に提出された配列表の内容は、参照によってその全体が本明細書中に援用される。
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本発明は、一般に、工業微生物学の分野およびブタノールの生産に関する。より具体的には、本発明は、五炭糖(リグノセルロース系バイオマスの加水分解物中の五炭糖を含む)をブタノールへ変換するための微生物の使用と、混合糖の存在下での発酵からブタノールを回収するための方法とに関する。
ブタノールは、燃料添加剤として、プラスチック工業における原料化学物質として、そして食品および香料産業における食品グレードの抽出剤としての使用を含む、様々な用途を有する重要な工業用化学物質である。従って、ブタノール、および効率的で環境に優しい生産方法に対して高い需要がある。
微生物による発酵を利用するブタノールの生産は、このような環境に優しい生産方法の1つである。いくつかの原料をこのような発酵産物のために使用することができる。これらの中には、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ茎葉、スイッチグラス、バガス、および木くずを含むリグノセルロース系バイオマスの加水分解物が含まれる。しかしながら、リグノセルロース加水分解物は、その発酵のために使用される微生物の増殖および代謝を抑制する化合物、特に、ブタノールを産生することができる微生物の増殖および代謝を抑制する化合物も含有する。
本発明は、リグノセルロース加水分解物から得ることができる五炭糖をブタノールへ効率的に変換するための方法と、混合糖の存在下での発酵からブタノールを回収するための方法とを提供することによって、このようなリグノセルロース加水分解物からのブタノールの生産を改善する現在の必要性を満足させる。
本発明は、一般に、リグノセルロース加水分解物などの五炭糖および六炭糖の混合源からのブタノールの生産のための方法および組成物と、その場生成物回収方法(in situ product recovery method)による前記糖からのブタノールの生産の改善とに関する。より具体的には、本発明は、キシルロースまたはキシルロース−5−リン酸産生酵素および微好気性または嫌気性条件を使用して、ブタノールの生産を増大させることに関する。
いくつかの実施形態では、ブタノールを生産するための方法は、(a)(i)ブタノールを産生可能な微生物と、(ii)五炭糖をキシルロースまたはキシルロース−5−リン酸へ変換することができる酵素または酵素の組み合わせとを含む組成物を提供するステップと、(b)組成物を、混合糖を含む炭素基質と接触させるステップと、(c)酸素利用が制限された条件下で微生物を培養するステップとを含み、それによりブタノールが生産される。
本発明の種々の実施形態は、以下の詳細な説明、図面、および添付の配列記述(本出願の一部を形成する)からより完全に理解することができる。
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本出願が支配するであろう。文脈によって他に要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。本明細書において言及される全ての刊行物、特許および他の参考文献は、全ての目的のためにその全体が参照によって援用される。
本明細書に開示されるものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料は以下に開示される。材料、方法および実施例は単に例示的であって、限定的であることは意図されない。本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明および特許請求の範囲から明らかであろう。
本発明をさらに定義するために、以下の用語、略語および定義が提供される。
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含有する(contains)」または「含有している(containing)」という用語、またはこれらの他のあらゆる変化形は、非排他的または非制約的であることが意図される。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもこれらの要素だけに限定されるのではなく、明白に記載されていないか、あるいはこのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素も含み得る。さらに、反対する明確な記載がない限り、「または(or)」は包括的な「または」を指し、排他的な「または」を指さない。例えば、条件AまたはBは以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)かつBが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)。
また、本発明の要素または成分に先行する不定冠詞「a」および「an」は、その要素または成分の例、すなわち発生の数に関して非限定的であることが意図される。そのため、「a」または「an」は1つまたは少なくとも1つを含むように読み取られるべきであり、要素または成分の単数形の語形は、その数が明らかに単数形であることを意味しない限りは複数形も含む。
「発明」または「本発明」という用語は、本明細書で使用される場合、非限定的な用語であり、どれか1つの特定の本発明の実施形態を指すことは意図されず、本出願で開示される全ての可能性のある実施形態を包含する。
本明細書で使用される場合、使用される原料または反応物の量を修飾する「約」という用語は、例えば、実際に濃縮物の製造または溶液の使用のために使用される典型的な測定および液体処理手順によって、これらの手順における不注意な誤差によって、組成物の製造または方法の実行のために使用される原料の製造、供給源、または純度の差異によって、そして同様のことによって生じ得る数量の変動を指す。また「約」という用語は、特定の初期混合物から得られる組成物に対する平衡条件が異なるために異なる量も包含する。「約」という用語によって修飾されているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲はその量と同等の量を含む。一実施形態では、「約」という用語は、報告される数値の10%以内、好ましくは、報告される数値の5%以内を意味する。
「バイオマス」は、本明細書で使用される場合、発酵性糖を提供する加水分解性多糖類または炭水化物を含有する天然産物を指し、任意のセルロースまたはリグノセルロース系材料、ならびにセルロースを含み、そして場合によりさらにヘミセルロース、リグニン、デンプン、オリゴ糖、二糖、および/または単糖を含む材料が含まれる。バイオマスは、タンパク質および/または脂質などの付加的な成分を含むこともできる。バイオマスは単一のソースに由来することもできるし、あるいはバイオマスは2つ以上のソースに由来する混合物を含むこともできる。例えば、バイオマスは、トウモロコシ穂軸およびトウモロコシ茎葉の混合物、または草茎および葉の混合物を含むことができる。バイオマスには、バイオエネルギー作物、農業残渣、都市固形廃棄物、産業固形廃棄物、製紙業からのスラッジ、庭の廃棄物、木材、および林業廃棄物が含まれるが、これらに限定されない。バイオマスの例としては、トウモロコシ穀粒、トウモロコシ穂軸、農作物残渣、例えばトウモロコシ皮、トウモロコシ茎葉、草、小麦、ライ麦、小麦わら、大麦、大麦わら、干し草、稲わら、スイッチグラス、古紙、サトウキビバガス、ソルガム、大豆、穀粒の製粉から得られる成分、木、枝、根、葉、木材チップ、おがくず、灌木および低木、野菜、果実、花、動物性肥料、都市廃棄物、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
「ブタノール」は、本明細書で使用される場合特に、ブタノール異性体の1−ブタノール(1−BuOH)、2−ブタノール(2−BuOH)、イソブタノール(iBuOH)、および/またはtert−ブタノール(t−BuOH)を、個々にあるいはこれらの混合物として指す。
「発酵性炭素源」は、本明細書で使用される場合、本明細書で開示される微生物によって代謝されることが可能なバイオマスからの炭素基質を意味する。適切な発酵性炭素源には、単糖(グルコースまたはフルクトース、キシロースおよびアラビノースなど)、二糖(マルトース、ラクトースまたはスクロースなど)、オリゴ糖、多糖類(デンプンまたはセルロースなど)、一炭素基質、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
「原料」は、本明細書で使用される場合、発酵性炭素源を含有する産物を意味する。適切な原料には、ライ麦、小麦、トウモロコシ、茎(cane)、かいば(stover)、スイッチグラス、バガスおよびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
「発酵ブロス」は、本明細書で使用される場合、水、糖(発酵性炭素源)、溶解固形物、アルコールを産生する微生物、産物アルコール、および発酵容器内に保持される材料の全ての他の成分の混合物を意味し、ここで、産物アルコールは、存在する微生物による糖からアルコール、水および二酸化炭素(CO2)への反応によって作られている。時々、本明細書で使用されるように、「発酵培地」および「発酵混合物」という用語は、「発酵ブロス」と同義に使用することができる。
「炭素基質」という用語は、本明細書において開示される微生物および細胞によって代謝されることが可能なバイオマスからの炭素源を指す。炭素基質の非限定的な例は本明細書で提供されており、単糖、オリゴ糖、多糖類、エタノール、ラクテート、スクシネート、グリセロール、二酸化炭素、メタノール、グルコース、フルクトース、スクロース、キシロース、アラビノース、デキストロース、またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
「有効力価」という用語は、本明細書で使用される場合、発酵培地1リットルあたり、発酵によって生産される特定のアルコール(例えば、ブタノール)の総量を指す。
「分離」という用語は、本明細書で使用される場合、「回収」と同義であり、初期混合物から化合物を除去して、初期混合物中の化合物の純度または濃度よりも高純度または高濃度で化合物を得ることを指す。
「水相」という用語は、本明細書で使用される場合、発酵ブロスを水と非混和性の有機抽出剤と接触させることによって得られる二相混合物の水相を指す。従って、本明細書に記載される発酵抽出を含む方法の実施形態において、「発酵ブロス」という用語は特に、二相発酵抽出の水相を指す。
「有機相」という用語は、本明細書で使用される場合、発酵ブロスを水と非混和性の有機抽出剤と接触させることによって得られる二相混合物の非水相を指す。
「ポリヌクレオチド」という用語は単一の核酸および複数の核酸を包含することが意図され、核酸分子または構築物、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)またはプラスミドDNA(pDNA)を指す。ポリヌクレオチドは、全長cDNA配列、またはその断片(非翻訳5’および3’配列ならびにコード配列を含む)のヌクレオチド配列を含有することができる。ポリヌクレオチドは、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドから構成することができ、非修飾RNAまたはDNAでも修飾RNAまたはDNAでもよい。例えば、ポリヌクレオチドは、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖またはより一般的には二本鎖、または一本鎖および二本鎖領域の混合物であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子から構成することができる。「ポリヌクレオチド」は、化学的、酵素的、または代謝的に修飾された形態を包含する。
ポリヌクレオチド配列は、「単離された」(その天然環境から取り出されている)とみなされることもある。例えば、ベクター中に含有される酵素活性(例えば、基質をキシルロースへ変換する能力)を有するポリペプチドまたはポリペプチド断片をコードする異種ポリヌクレオチドは、本発明の目的では単離されていると考えられる。単離ポリヌクレオチドのさらなる例には、異種宿主細胞中で維持される組換えポリヌクレオチド、または溶液中の純粋な(部分的または実質的に)ポリヌクレオチドが含まれる。本発明に従う単離ポリヌクレオチドまたは核酸は、さらに、合成的に生成されるような分子を含む。DNAのポリマー形態の単離ポリヌクレオチド断片は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1つまたは複数のセグメントから構成されてもよい。
「遺伝子」という用語は、特異的タンパク質として発現されることが可能な核酸断片を指し、任意選択的に、コード配列の前(5’非コード配列)およびコード配列の後(3’非コード配列)の制御配列が含まれる。
本明細書で使用される場合、「コード領域」という用語は、特異的アミノ酸配列をコードするDNA配列を指す。「適切な制御配列」は、コード配列の上流(5’非コード配列)、内部、または下流(3’非コード配列)に位置し、転写、RNAプロセシングもしくは安定性、または関連コード配列の翻訳に影響を与えるヌクレオチド配列を指す。制御配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位およびステムループ構造を含むことができる。
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」という用語は単一の「ポリペプチド」および複数の「ポリペプチド」を包含することが意図され、アミド結合(ペプチド結合としても知られている)によって直線的に結合されたモノマー(アミノ酸)から構成される分子を指す。「ポリペプチド」という用語は、任意のアミノ酸の鎖または2つ以上のアミノ酸の鎖を指し、産物の特定の長さを指さない。従って、「ペプチド」、「ジペプチド」、「トリペプチド」、「オリゴペプチド」、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、またはアミノ酸の鎖または2つ以上のアミノ酸の鎖を指すために使用される他の任意の用語は、「ポリペプチド」の定義の中に含まれ、「ポリペプチド」という用語は、これらの用語のいずれかの代わりに、または交換可能に使用することができる。ポリペプチドは天然の生物学的ソースに由来してもよいし、あるいは組換え技術によって作製されてもよいが、必ずしも指定される核酸配列から翻訳されるわけではない。化学合成を含む任意の方法で生成することができる。
「単離」ポリペプチドまたはその断片、変異体、または誘導体とは、その自然環境にないポリペプチドを意図する。特定のレベルの精製は必要とされない。例えば、単離ポリペプチドは、その天然または自然環境から取り出すことができる。宿主細胞中で発現される組換えで産生されたポリペプチドおよびタンパク質は、任意の適切な技術によって分離、分画、または部分的もしくは実質的に精製された天然または組換えポリペプチドなので、本発明の目的では単離されていると考えられる。
本明細書で使用される場合、「天然」は、存在する場合にはそれ自体の制御配列を有する、天然に見出されるポリヌクレオチド、遺伝子またはポリペプチドの形態を指す。
本明細書で使用される場合、「内因性」は、生物または生物のゲノム中のその天然位置にあるポリヌクレオチド、遺伝子またはポリペプチドの天然形態を指す。「内因性ポリヌクレオチド」は、生物のゲノム中のその天然位置にある天然ポリヌクレオチドを含む。「内因性遺伝子」は、生物のゲノム中のその天然位置にある天然遺伝子を含む。「内因性ポリペプチド」は、生物中のその天然位置にある天然ポリペプチドを含む。
本明細書で使用される場合、「異種」は、通常は宿主生物中に見出されないが、宿主生物中に導入されたポリヌクレオチド、遺伝子、またはポリペプチドを指す。「異種ポリヌクレオチド」は、対応する天然ポリヌクレオチドとは異なる形態でソース生物中に再導入された天然コード領域またはその一部を含む。「異種遺伝子」は、対応する天然遺伝子とは異なる形態でソース生物中に再導入された天然コード領域またはその一部を含む。例えば、異種遺伝子は、天然宿主中に再導入された非天然制御領域を含むキメラ遺伝子の一部である天然コード領域を含むことができる。「異種ポリペプチド」は、対応する天然ポリペプチドとは異なる形態でソース生物中に再導入された天然ポリペプチドを含む。
本明細書で使用される場合、「修飾」という用語は、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの活性の変更をもたらす本明細書に開示されるポリヌクレオチドの変化と、ポリペプチドの活性の変更をもたらす本明細書に開示されるポリペプチドの変化とを指す。このような変化は当該技術分野において周知の方法によって行うことができ、欠失、突然変異(例えば、自然変異誘発、ランダム変異誘発、変異誘発遺伝子によって生じる変異誘発、またはトランスポゾン変異誘発)、置換、挿入、細胞位置の改変、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの状態の改変(例えば、メチル化、リン酸化またはユビキチン化)、補因子の除去、化学修飾、共有結合修飾、UVまたはX線による照射、相同組換え、有糸***組換え、プロモーター置換法、および/またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。どのヌクレオチドまたはアミノ酸残基が修飾可能であるかの決定におけるガイダンスは、特定のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列と、相同ポリヌクレオチドまたはポリペプチド(例えば、酵母または細菌)の配列とを比較し、相同性の高い領域(保存領域)またはコンセンサス配列において成される修飾の数を最大にすることによって見出すことができる。
本明細書で使用される場合、「変異体」という用語は、例えば、変異誘発などの組換えDNA技術を用いて作製された、アミノ酸の挿入、欠失、突然変異、および置換によって、特に列挙される本発明のポリペプチドとは異なるポリペプチドを指す。どのアミノ酸残基が対象となる活性を消滅させることなく置換、付加、または欠失され得るかを決定するためのガイドラインは、特定のポリペプチドと、相同ポリペプチド(例えば、酵母または細菌)との配列を比較し、相同性の高い領域(保存領域)において成されるアミノ酸配列の変化の数を最小限にすることによって、あるいはコンセンサス配列によりアミノ酸を置換することによって見出すことができる。
あるいは、これらの同一または類似のポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチド変異体は、遺伝コードの「冗長性」を用いることによって、合成または選択され得る。種々の制限部位を生じるサイレント変化などの種々のコドン置換を導入して、発現のためのプラスミドまたはウイルスベクターへのクローニングを最適化することができる。ポリヌクレオチド配列の突然変異はポリペプチドまたはポリペプチドに付加された他のペプチドのドメインに反映され、ポリペプチドの任意の部分の特性を修飾することができる。
アミノ酸「置換」は、類似の構造および/または化学特性を有する別のアミノ酸による1つのアミノ酸の置換、すなわち保存的アミノ酸置換の結果であってもよいし、異なる構造および/または化学特性を有するアミノ酸による1つのアミノ酸の置換、すなわち非保存的アミノ酸置換の結果であってもよい。「保存的」アミノ酸置換は、関連する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、または両親媒性における類似性に基づいて行うことができる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンを含み、極性の中性アミノ酸は、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンを含み、正帯電(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リジン、およびヒスチジンを含み、そして負帯電(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。あるいは、「非保存的」アミノ酸置換は、これらのアミノ酸のいずれかの極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、または両親媒性における差異を選択することによって行うことができる。「挿入」または「欠失」は、組換えタンパク質により構造的または機能的に許容される変異の範囲内であり得る。可能とされる変異は、組換えDNA技術を用いて、ポリペプチド分子においてアミノ酸の挿入、欠失、または置換を系統的に行い、得られた組換え変異体を活性についてアッセイすることによって、実験的に決定することができる。
「プロモーター」という用語は、コード配列または機能性RNAの転写を調節することができるDNA配列を指す。一般に、コード配列は、プロモーター配列の3’に位置する。プロモーターはその全体が天然遺伝子に由来してもよいし、天然に見出される異なるプロモーターに由来する異なる要素で構成されてもよいし、さらに、合成DNAセグメントを含んでいてもよい。異なるプロモーターが、異なる宿主細胞型において、あるいは異なる発達段階で、あるいは異なる環境または生理学的条件に応答して、遺伝子の発現を指示し得ることは当業者によって理解される。ほとんどの時点でほとんどの細胞型で遺伝子の発現を引き起こすプロモーターは、一般に「構成的プロモーター」と称される。さらに、ほとんどの場合、制御配列の正確な境界は完全には画定されていないので、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有し得ることが認識される。
「作動可能に連結された」という用語は、一方の機能が他方によって影響されるような単一の核酸断片における核酸配列の関連を指す。例えば、プロモーターは、コード配列の発現をもたらすことができる場合、そのコード配列と作動可能に連結される(すなわち、そのコード配列はプロモーターの転写調節下にある)。コード配列は、センスまたはアンチセンス方向で制御配列に作動可能に連結され得る。
「発現」という用語は、本明細書で使用される場合、本発明の核酸断片に由来するセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定な蓄積を指す。また発現は、mRNAからポリペプチドへの翻訳を指すこともある。
「過剰発現」という用語は、本明細書で使用される場合、宿主細胞中の核酸またはタンパク質のレベルの増大を指す。従って、過剰発現は、宿主細胞における内因性配列の転写または翻訳のレベルの増大によって起こり得るか、あるいは宿主細胞への異種配列の導入によって起こり得る。また過剰発現は、核酸またはタンパク質配列の安定性の増大によっても起こり得る。
酵素などの内因性タンパク質の「低減された活性および/または発現」という用語は、タンパク質の低減された比触媒活性(例えば、低減された活性)および/または細胞中のタンパク質の低下された濃度(例えば、低減された発現)のいずれかを意味することができ、酵素などの内因性タンパク質の「削除された活性および/または発現」は、全くないか無視できる程度の酵素の比触媒活性(例えば、削除された活性)および/または全くないか無視できる程度の細胞中の酵素の濃度(例えば、削除された発現)のいずれかを意味することができる。
本明細書で使用される場合、「形質転換」という用語は、遺伝的に安定な遺伝形質をもたらす、核酸断片の宿主生物への転移を指す。形質転換された核酸断片を含有する宿主生物は、「遺伝子導入」または「組換え」または「形質転換」生物と称される。
「プラスミド」および「ベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞の中心的な代謝の一部ではない遺伝子を保有することが多く、通常は環状二本鎖DNA分子の形態である染色体外要素を指す。このような要素は、任意のソースに由来する一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAの自己複製配列、ゲノム組込み配列、ファージまたはヌクレオチド配列(線状または環状)を含んでもよく、ここで、多数のヌクレオチド配列は、選択された遺伝子産物のためのプロモーター断片およびコード領域を適切な3’非翻訳配列と共に細胞内に導入することができる独特の構成に結合または組換えられている。
本明細書で使用される場合、「コドン縮重」という用語は、コードされたポリペプチドのアミノ酸配列に影響を与えることなくヌクレオチド配列の変動を可能にする遺伝コードの性質を指す。当業者は、所与のアミノ酸を指定するためのヌクレオチドコドンの使用において特定の宿主細胞によって示される「コドンバイアス」をよく知っている。そのために、宿主細胞における発現の改善のために遺伝子を合成する場合、そのコドン使用頻度が宿主細胞の好ましいコドン使用頻度に近くなるように遺伝子を設計することが望ましい。
種々の宿主の形質転換のための遺伝子または核酸分子のコード領域を指すような「コドン最適化」という用語は、DNAによってコードされるポリペプチドを改変することなく、宿主生物の典型的なコドン使用を反映するための遺伝子または核酸分子のコード領域におけるコドンの改変を指す。このような最適化は、その生物の遺伝子中で使用されることがより多い1つまたは複数の同義的なコドンによる、少なくとも1つ、または2つ以上、またはかなりの数のコドンの置換を含む。コドン最適化コード領域は、「synthetic gene designer」(http://phenotype.biosci.umbc.edu/codon/sgd/index.php)などのソフトウェアパッケージを含む、当業者に知られている種々の方法によって設計することができる。
任意のポリペプチド鎖のアミノ酸をコードするコドンを含むヌクレオチド配列における偏差は、遺伝子をコードする配列における変動を可能にする。各コドンは3つのヌクレオチドからなり、DNAを構成するヌクレオチドは4つの特定の塩基に限定されるので、64個の可能なヌクレオチドの組み合わせが存在し、そのうち61個がアミノ酸をコードする(残りの3個のコドンは翻訳を終了させるシグナルをコードする)。「遺伝コード」は、表1のように本明細書においてどのアミノ酸が再現されるかをどのコドンがコードするかを示す。結果として、多数のアミノ酸が2つ以上のコドンによって設計される。例えば、アミノ酸アラニンおよびプロリンは4つのトリプレットによってコードされ、セリンおよびアルギニンは6つによってコードされるが、トリプトファンおよびメチオニンはただ1つのトリプレットによってコードされる。この縮重によって、DNA塩基組成は、DNAによりコードされるタンパク質のアミノ酸配列を改変することなく広範囲にわたって変化することができる。
様々な種類の動物、植物および微生物種に対して多数の遺伝子配列が利用可能であれば、相対的なコドン使用頻度を計算することが可能である。コドン使用表は、例えば、http://www.kazusa.or.jp/codon/(2008年3月20日訪問)で入手可能な「Codon Usage Database」において容易に入手可能であり、これらの表は、多数の方法で適合させることができる。Nakamura、Y.,et al.Nucl.Acids Res.28:292(2000)を参照されたい。GenBank Release 128.0[2002年2月15日]から計算される酵母のためのコドン使用表は、以下の表のように再現される。この表はmRNA命名法を使用するので、DNA中に見出されるチミン(T)の代わりに、この表では、RNA中に見出されるウラシル(U)が使用される。表2は、頻度が64個の全てのコドンに対してではなく各アミノ酸に対して計算されるように適合されている。
この表または類似の表を用いることによって、当業者は任意の所与のポリペプチド配列に頻度を適用して、ポリペプチドをコードするが所与の種にとって最適なコドンを使用するコドン最適化コード領域の核酸断片を生じることができる。
コドンを最適化頻度でランダムに割り当てて所与のポリペプチド配列をコード化することは、各アミノ酸のコドン頻度を計算し、次にコドンをポリペプチド配列にランダムに割り当てることによって手作業で行うことができる。さらに、種々のアルゴリズムおよびコンピュータソフトウェアプログラムは、当業者にとって容易に利用可能である。例えば、DNAstar,Inc.(Madison,WI)から入手可能なLasergene Packageにおける「EditSeq」機能、InforMax,Inc.(Bethesda,MD)から入手可能なVectorNTI Suiteの折り返し翻訳(backtranslation)機能、およびAccelrys,Inc.(San Diego,CA)から入手可能なGCG−Wisconsin Packageにおける「backtranslate」機能である。さらに、例えば、http://www.entelechon.com/bioinformatics/backtranslation.php?lang=eng(2008年4月15日訪問)における「backtranslation」機能、およびhttp://bioinfo.pbi.nrc.ca:8090/EMBOSS/index.html(2002年7月9日訪問)において利用可能な「backtranseq」機能など、種々の資源がコドン最適化コード領域配列にとって公的に入手可能である。所与の頻度に基づいてコドンを割り当てるために基本的なアルゴリズムを構築することも、基本的な数学関数を用いて当業者により容易に達成され得る。
コドン最適化コード領域は、「synthetic gene designer」(http://phenotype.biosci.umbc.edu/codon/sgd/index.php)などのソフトウェアパッケージを含む当業者に知られている種々の方法によって設計することができる。
ポリヌクレオチドまたは核酸断片は、適切な温度および溶液イオン強度条件下で核酸断片の一本鎖形態が他の核酸断片にアニールすることができる場合に、cDNA、ゲノムDNA、またはRNA分子などの別の核酸断片と「ハイブリッド形成可能」である。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件はよく知られており、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY(1989)、特にその中の第11章および表11.1(参照によって本明細書中に完全に援用される)において例示されている。温度およびイオン強度条件は、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。ストリンジェンシー条件を調整して、中程度に類似した断片(遠縁の生物からの相同配列など)から、高度に類似した断片(近縁の生物から機能酵素を複製する遺伝子など)までをスクリーニングすることができる。ハイブリダイゼーション後の洗浄は、ストリンジェンシー条件を決定する。1つの好ましい条件セットは、6×SSC、0.5%のSDSにより室温で15分間の洗浄から始まり、次に2×SSC、0.5%のSDSにより45℃で30分間の洗浄を繰り返し、そして次に0.2×SSC、0.5%のSDSにより50℃で30分間の洗浄を2回繰り返すという一連の洗浄を用いる。より好ましいストリンジェント条件セットはより高温を用い、最終の0.2×SSC、0.5%のSDSにおける2回の30分間の洗浄の温度を60℃に上昇させたことを除いて、洗浄は上記のものと同一である。別の好ましい高ストリンジェント条件セットは、0.1×SSC、0.1%のSDS、65℃における最終の2回の洗浄を用いる。付加的なストリンジェント条件セットには、例えば、0.1×SSC、0.1%のSDS、65℃におけるハイブリダイゼーション、および2×SSC、0.1%のSDSによる洗浄と、その後の0.1×SSC、0.1%のSDSによる洗浄が含まれる。
ハイブリダイゼーションは2つの核酸が相補的配列を含有することを必要とするが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて、塩基間のミスマッチが可能である。核酸をハイブリッド形成するために適切なストリンジェンシーは、当該技術分野において周知の変数である核酸の長さおよび相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が大きいほど、これらの配列を有する核酸のハイブリッドのためのTmの値も大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対的な安定性(より高いTmに相当する)は、以下の順:RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNAで低下する。長さが100を超えるヌクレオチドのハイブリッドについては、Tmを計算するための式が誘導されている(上記のSambrook et al.の9.50〜9.51を参照)。より短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチドによるハイブリダイゼーションについては、ミスマッチの位置がより重要になり、オリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(上記のSambrook et al.の11.7〜11.8を参照)。一実施形態では、ハイブリッド形成可能な核酸の長さは、少なくとも約10ヌクレオチドである。好ましくは、ハイブリッド形成可能な核酸の最小の長さは少なくとも約15ヌクレオチドであり、より好ましくは少なくとも約20ヌクレオチドであり、最も好ましくは、長さは少なくとも約30ヌクレオチドである。さらに、当業者は、プローブの長さなどの因子に従って必要であれば、温度および洗浄溶液の塩濃度が調整され得ることを認識するであろう。
アミノ酸またはヌクレオチド配列の「実質的な部分」は、当業者による配列の手動評価によって、あるいはBLAST(Altschul、S.F.,et al.,J.Mol.Biol.,215:403−410(1993))などのアルゴリズムを用いるコンピュータ自動化配列比較および同定によって、そのポリペプチドまたは遺伝子を推定的に同定するのに十分なポリペプチドのアミノ酸配列または遺伝子のヌクレオチド配列を含む部分である。一般に、ポリペプチドまたは核酸配列が既知のタンパク質または遺伝子に相同であると推定的に同定するためには、10以上の近接アミノ酸または30以上のヌクレオチドの配列が必要である。さらに、ヌクレオチド配列に関して、配列依存性の遺伝子同定法(例えば、サザンハイブリダイゼーション)および単離法(例えば、細菌コロニーまたはバクテリオファージプラークのインサイツハイブリダイゼーション)において、20〜30の近接ヌクレオチドを含む遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブが使用されてもよい。加えて、プライマーを含む特定の核酸断片を得るために、PCRにおける増幅プライマーとして12〜15塩基の短いオリゴヌクレオチドが使用されてもよい。従って、ヌクレオチド配列の「実質的な部分」は、配列を含む核酸断片を特異的に同定および/または単離するために十分な配列を含む。本明細書は、特定のタンパク質をコードする完全なアミノ酸およびヌクレオチド配列を教示する。当業者は、本明細書で報告されるような配列の利益を得て、開示される配列の全てまたは実質的な部分を当業者に既知の目的のためにこれから使用することができる。従って、本発明は、本明細書において提供されるような完全な配列、ならびに上記で定義したこれらの配列の実質的な部分を含む。
「相補的」という用語は、互いにハイブリッド形成することができるヌクレオチド塩基間の関係を表すために使用される。例えば、DNAに関して、アデノシンはチミンに対して相補的であり、シトシンはグアニンに対して相補的である。
「同一性パーセント」という用語は、当該技術分野において知られているように、配列を比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチド配列の間または2つ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係である。当該技術分野において、「同一性」は、場合によっては、このような配列のストリング間の一致によって決定されるポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度も意味する。「同一性」および「類似性」は、1.)Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,Ed.)Oxford University:NY(1988)、2.)Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.,Ed.)Academic:NY(1993)、3.)Computer Analysis of Sequence Data,Part I(Griffin,A.M.,and GrifFin,H.G.,Eds.)Humania:NJ(1994)、4.)Sequence Analysis in Molecular Biology(von Heinje、G.,Ed.)Academic(1987)、および5.)Sequence Analysis Primer(Gribskov,M.and Devereux,J.,Eds.)Stockton:NY(1991)において開示される方法を含むが、これらに限定されない既知の方法によって容易に計算することができる。
同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間に最良の一致を与えるように設計される。同一性および類似性を決定するための方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムにおいて体系化されている。配列アラインメントおよび同一性パーセントの計算は、LASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイート(DNASTAR Inc.,Madison,WI)のMegAlignTMプログラムを用いて実施され得る。配列の多重アライメントは、Clustal Vと標識されるアライメント法に相当する「Clustal Vアライメント法」(Higgins and Sharp,CABIOS.5:151−153(1989)、Higgins,D.G.et al.,Comput.Appl.Biosci.,8:189−191(1992)によって開示される)を含む数種類のアルゴリズムを包含し、LASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイート(DNASTAR Inc.)のMegAlignTMプログラムにおいて見出される「Clustalアライメント法」を用いて実施される。多重アライメントの場合、デフォルト値は、GAP PENALTY=10およびGAP LENGTH PENALTY=10に相当する。Clustal法を用いるペアワイズアライメントおよびタンパク質配列の同一性パーセントの計算のためのデフォルトパラメータは、KTUPLE=1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5およびDIAGONALS SAVED=5である。核酸については、これらのパラメータは、KTUPLE=2、GAP PENALTY=5、WINDOW=4およびDIAGONALS SAVED=4である。Clustal Vプログラムを用いた配列のアライメントの後、同じプログラム内の「配列距離」表を見ることによって「同一性パーセント」を得ることが可能である。さらに、「Clustal Wアライメント法」も利用可能であり、Clustal Wと標識されるアライメント法に相当し(Higgins and Sharp,CABIOS.5:151−153(1989)、Higgins,D.G.et al.,Comput.Appl.Biosci.8:189−191(1992)によって記載される)、LASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイート(DNASTAR Inc.)のMegAlignTM v6.1プログラムにおいて見出される。多重アライメントのためのデフォルトパラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.2、Delay Divergen Seqs(%)=30、DNA Transition Weight=0.5、Protein Weight Matrix=Gonnet Series、DNA Weight Matrix=IUB)。Clustal Wプログラムを用いた配列のアライメントの後、同じプログラム内の「配列距離」表を見ることによって「同一性パーセント」を得ることが可能である。
他の種からのポリペプチドの同定において多数の配列同一性レベルが有用であることは、当業者によって十分に理解されており、このようなポリペプチドは、同一または類似の機能または活性を有する。同一性パーセントの有用な例としては、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%などの55%〜100%の任意の整数の百分率が本発明の説明において有用であり得る。適切な核酸断片は上記の相同性を有するだけでなく、通常、少なくとも50個のアミノ酸、好ましくは少なくとも100個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも150個のアミノ酸、さらにより好ましくは少なくとも200個のアミノ酸、最も好ましくは少なくとも250個のアミノ酸を有するポリペプチドもコードする。
「配列分析ソフトウェア」という用語は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の分析に有用な任意のコンピュータアルゴリズムまたはソフトウェアプログラムを指す。「配列分析ソフトウェア」は市販のものでもよいし、あるいは独立して開発されてもよい。典型的な配列分析ソフトウェアには、1.)GCGプログラム一式(Wisconsin Package Version 9.0、Genetics Computer Group(GCG),Madison,WI)、2.)BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,215:403−410(1990))、3.)DNASTAR(DNASTAR,Inc.Madison,WI)、4.)Sequencher(Gene Codes Corporation,Ann Arbor,MI)、および5.)Smith−Watermanアルゴリズムを組み込んだFASTAプログラム(W.R.Pearson、Comput.Methods Genome Res.,[Proc.Int.Symp.](1994),Meeting Date 1992,111−20.Editor(s):Suhai,Sandor.Plenum:New York,NY)が含まれ得るが、これらに限定されない。本出願との関連において、分析のために配列分析ソフトウェアが使用される場合、他に指定されない限り、分析結果が参照されるプログラムの「デフォルト値」に基づくことは理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「デフォルト値」は、最初の初期化の際にソフトウェアと共に最初にロードされた任意の値またはパラメータのセットを意味するであろう。
本明細書で使用される標準組換えDNAおよび分子クローニング技術は当該技術分野においてよく知られており、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1989)(以下、「Maniatis」と称する)によって、そしてSilhavy,T.J.,Bennan,M.L.and Enquist,L.W.,Experiments with Gene Fusions,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1984)によって、そしてAusubel,F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscienceによる出版)(1987)によって記載されている。本明細書で使用される付加的な方法は、Methods in Enzymology,Volume 194,Guide to Yeast Genetics and Molecular and Cell Biology(Part A,2004,Christine Guthrie and Gerald R.Fink(Eds.),Elsevier Academic Press,San Diego,CA)中にある。
本明細書に開示される細胞の遺伝子操作は、標準的な遺伝子技術およびスクリーニングを用いて実施することができ、遺伝子操作に適した任意の細胞において行うことができる(Methods in Yeast Genetics,2005,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,pp.201−202)。
五炭糖源
リグノセルロース系バイオマスの加水分解物は、五炭糖および六炭糖の両方を提供するバイオ燃料の生産のために価値のある原料である。しかしながら、これらの加水分解物は、五炭糖を発酵させるために使用される微生物の増殖および代謝に対して抑制的である化合物を含有し得る。従って、五炭糖は、抑制剤活性を改善するために特定の遺伝子修飾およびいくらかの処理を行わなければ容易に使用することができないので、リグノセルロース加水分解物から生産することができるブタノールの量は限られている。しかしながら、本明細書に記載される方法は、ブタノール産生微生物の増殖および代謝と、五炭糖の発酵とを可能にすることによって、このようなリグノセルロース加水分解物からのブタノールの収量を増大させる方法を提供する。
リグノセルロース系バイオマスの加水分解物は、五炭糖および六炭糖の両方を提供するバイオ燃料の生産のために価値のある原料である。しかしながら、これらの加水分解物は、五炭糖を発酵させるために使用される微生物の増殖および代謝に対して抑制的である化合物を含有し得る。従って、五炭糖は、抑制剤活性を改善するために特定の遺伝子修飾およびいくらかの処理を行わなければ容易に使用することができないので、リグノセルロース加水分解物から生産することができるブタノールの量は限られている。しかしながら、本明細書に記載される方法は、ブタノール産生微生物の増殖および代謝と、五炭糖の発酵とを可能にすることによって、このようなリグノセルロース加水分解物からのブタノールの収量を増大させる方法を提供する。
バイオマスは任意のセルロースまたはリグノセルロース系材料を指し、セルロースを含み、そして場合により、さらにヘミセルロース、リグニン、デンプン、オリゴ糖および/または単糖を含む材料が含まれる。またバイオマスは、タンパク質および/または脂質などの付加的な成分を含むこともできる。バイオマスは単一のソースに由来することもできるし、あるいはバイオマスは2つ以上のソースに由来する混合物を含むこともでき、例えば、バイオマスは、トウモロコシ穂軸およびトウモロコシ茎葉の混合物、または草および葉の混合物を含むことができる。バイオマスは、バイオエネルギー作物、農業残渣、都市固形廃棄物、産業固形廃棄物、製紙業からのスラッジ、庭の廃棄物、木材および林業廃棄物を含むが、これらに限定されない。バイオマスの例としては、トウモロコシ穀粒、トウモロコシ穂軸、作物残渣、例えばトウモロコシ皮、トウモロコシ茎葉、草、小麦、小麦わら、大麦、大麦わら、干し草、稲わら、スイッチグラス、古紙、サトウキビバガス、ソルガム、大豆、穀粒の製粉から得られる成分、木、枝、根、葉、木材チップ、おがくず、灌木および低木、野菜、果実、花、動物性肥料、リュウゼツラン(agave)、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
発酵性糖は、例えば、参照によって本明細書中に援用される米国特許第7,781,191号明細書に記載されるように、前処理および糖化のプロセスを通して、このようなセルロースまたはリグノセルロース系バイオマスから得ることができる。例として、バイオマスの乾燥重量に対して低濃度のアンモニアで比較的高濃度のバイオマスを前処理することができる。前処理の後、バイオマスは糖化酵素コンソーシアムにより処理されて、発酵性糖を生成することができる。従って、前処理は、a)バイオマスを、アンモニアを含む水溶液と接触させて、バイオマス−アンモニア水混合物を形成する(ここで、アンモニアは少なくとも、バイオマス−アンモニア水混合物のアルカリ性pHを維持するのに十分な濃度で存在するが、前記アンモニアはバイオマスの乾燥重量に対して約12重量パーセント未満で存在し、そしてさらに、バイオマスの乾燥重量は、バイオマス−アンモニア水混合物の重量に対して少なくとも約15重量パーセントの高固形物濃度である)ステップと、b)ステップ(a)の生成物を適切な条件下で糖化酵素コンソーシアムと接触させて、発酵性糖を生成するステップとを含むことができる。
リグノセルロース加水分解物および他の五炭糖源は五炭糖を提供することができ、そして六炭糖または発酵に適した他の炭素基質と組み合わせて五炭糖を提供することができる。いくつかの実施形態では、五炭糖はキシロースである。いくつかの実施形態では、五炭糖はアラビノースである。いくつかの実施形態では、五炭糖は、キシロースおよびアラビノースの両方を含む。また五炭糖源は、他の炭素基質、例えば、単糖、多糖類、一炭素基質、二炭素基質、および他の炭素基質を含むこともできる。従って、本発明において用いられる炭素源は、五炭糖に加えて炭素基をいくらでも包含可能であると考えられる。
いくつかの実施形態では、リグノセルロース加水分解物は、特定の濃度で発酵のための組成物中に存在する。例えば、いくつかの実施形では、リグノセルロース加水分解物は、少なくとも約5g/L、10g/L、15g/L、20g/L、25g/L、30g/L、35g/L、40g/L、45g/L、50g/L、55g/L、60g/L、65g/L、70g/L、75g/L、80g/L、85g/L、90g/L、95g/L、100g/L、110g/L、120g/L、130g/L、140g/L、150g/L、160g/L、170g/L、180g/L、190g/L、または200g/Lの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、リグノセルロース加水分解物は、約5〜500g/L、約5〜400g/L、約5〜300g/L、約5〜200g/L、または約5〜150g/Lの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、リグノセルロース加水分解物は、約25〜500g/L、約25〜400g/L、約25〜300g/L、約25〜200g/L、または約25〜150g/Lの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、リグノセルロース加水分解物は、約50〜500g/L、約50〜400g/L、約50〜300g/L、約50〜200g/L、または約50〜150g/Lの濃度で存在する。
さらに、いくつかの実施形では、リグノセルロース加水分解物は、特定の速度で消費される。従って、いくつかの実施形では、トウモロコシの場合のように6g/lの細胞質量、およびわらの場合の20%のTSレベルを仮定すると、0.44g/l・hまたは1時間に細胞1g当たり0.07gのC5の比速度で、C5の消費が得られる。
特に、五炭糖は、特定の速度でリグノセルロース加水分解物から消費され得る。
五炭糖源からのキシルロースの生産
本明細書に記載される方法に従って使用することができる微生物は、ペントースリン酸経路によりキシルロースを発酵させることができる。しかしながら、リグノセルロース加水分解物などの多くの五炭糖源は、微生物が直接発酵することができないキシルロース以外の五炭糖を含有し得る。従って、本明細書に記載される方法は、他の五炭糖をD−キシルロースおよび/またはD−キシルロース−5−Pへ変換することができる酵素を提供する。例えば、キシロースまたはアラビノースをキシルロースへ変換することができる酵素は当業者に知られている。例として、キシロースイソメラーゼはキシロースをD−キシルロースへ変換することができ、キシロースレダクターゼおよびキシリトールデヒドロゲナーゼはキシロースをD−キシルロースへ変換することができ、アラビノースレダクターゼ、アラビトールデヒドロゲナーゼ、L−キシルロースレダクターゼ、およびキシリトールデヒドロゲナーゼはアラビノースをD−キシルロースへ変換することができ、アラビノースイソメラーゼ、リブロキナーゼ、およびリブロース−リン酸−5−エピメラーゼはアラビノースをD−キシルロース−5−Pへ変換することができる。加えて、アルジトールをアルドースへ変換することができるアルドースレダクターゼは、アラビノースおよびキシロースからD−キシルロース5−Pへの変換において有用である。
本明細書に記載される方法に従って使用することができる微生物は、ペントースリン酸経路によりキシルロースを発酵させることができる。しかしながら、リグノセルロース加水分解物などの多くの五炭糖源は、微生物が直接発酵することができないキシルロース以外の五炭糖を含有し得る。従って、本明細書に記載される方法は、他の五炭糖をD−キシルロースおよび/またはD−キシルロース−5−Pへ変換することができる酵素を提供する。例えば、キシロースまたはアラビノースをキシルロースへ変換することができる酵素は当業者に知られている。例として、キシロースイソメラーゼはキシロースをD−キシルロースへ変換することができ、キシロースレダクターゼおよびキシリトールデヒドロゲナーゼはキシロースをD−キシルロースへ変換することができ、アラビノースレダクターゼ、アラビトールデヒドロゲナーゼ、L−キシルロースレダクターゼ、およびキシリトールデヒドロゲナーゼはアラビノースをD−キシルロースへ変換することができ、アラビノースイソメラーゼ、リブロキナーゼ、およびリブロース−リン酸−5−エピメラーゼはアラビノースをD−キシルロース−5−Pへ変換することができる。加えて、アルジトールをアルドースへ変換することができるアルドースレダクターゼは、アラビノースおよびキシロースからD−キシルロース5−Pへの変換において有用である。
他の五炭糖をキシルロースへ変換することができる酵素(単数または複数)は、外因性ソースから提供することもできるし、あるいは発酵組成物中の組換え微生物によって産生させることもできる。
例えば、キシルロース産生酵素は、当業者に既知の任意の手段(自然産生、組換え産生および化学合成を含む)によって生産することができ、キシルロース産生酵素を含む組成物は、五炭糖を発酵させるためにブタノール産生微生物に添加することができる。キシロースイソメラーゼなどのキシルロース産生酵素は商業的な供給源から購入することができ、例えば「Sweetzyme」はNovozymeによって生産される。
付加的に、および/または代替的に、キシルロース産生および/またはキシルロース−5−P産生酵素を発現する細胞および/または微生物は、五炭糖を発酵させるためにブタノール産生生物に添加することができる。細胞および/または微生物は、内因的に五炭糖をキシルロースおよび/またはキシルロース−5−Pへ変換する細胞および/または微生物であってもよいし、キシルロース産生および/またはキシルロース−5−P産生酵素を組換えで産生するように操作された細胞および/または微生物であってもよい。付加的に、および/または代替的に、ブタノール産生微生物は、キシルロース産生および/またはD−キシルロース−5−P産生酵素を組換えで産生するように操作することもできる。さらに、本発明の宿主細胞において、非特異的なアルドースレダクターゼ活性を低減する遺伝子修飾と組み合わせられたL−アラビノースの利用を提供するaraA、araBおよびaraD酵素の発現は、ペントース−リン酸経路(PPP)におけるL−アラビノースの効率的な利用を提供する。例えば、参照によって本明細書中に援用される米国特許第7,354,755号明細書を参照されたい。非特異的なアルドースレダクターゼ活性の低減をもたらす遺伝子修飾は、ペントースリン酸経路のフラックスを増大させる修飾のいずれか、および/または本明細書に記載される宿主細胞中の特異的なキシルロースキナーゼ活性を増大させる修飾のいずれかと組み合わせられてもよい。従って、非特異的なアルドースレダクターゼ活性を低減する付加的な遺伝子修飾を含むaraA、araB、およびaraDを発現する宿主細胞は特に本発明に包含される。araA、araBおよびaraDを発現する遺伝子は、大腸菌(E.coli)または枯草菌(B.subtilis)に由来し得る。宿主細胞が酵母株である場合、特定の実施形態では、酵母株は、GAL2、KmLAT1およびPgLAT2からなる群から選択される少なくとも1つのアラビノーストランスポーター遺伝子を含む。高い親和性を有するL−アラビノーストランスポーターはそれぞれ、クルイベロミセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)およびピキア・ギリエルモンディ(Pichia guilliermondii)(カンジダ・ギリエルモンディ(Candida guilliermondii)としても知られている)から供給され得る。クルイベロミセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)およびピキア・ギリエルモンディ(Pichia guilliermondii)は両方とも、L−アラビノースの効率的な利用者であると考えることができ、それにより、これらはL−アラビノーストランスポーター遺伝子をクローニングするためのソースであるとされる。特定の実施形態では、酵母株はさらに、GAL2にコードされたガラクトースパーミアーゼを過剰発現し得る。また、参照によって本明細書中に援用される米国特許第5,514,583号明細書も参照されたい。その他のキシロース利用菌株には、CP4(pZB5)(米国特許第5,514,583号明細書)、ATCC31821/pZB5(米国特許第6,566,107号明細書)、8b(米国特許出願公開第20030162271号明細書、Mohagheghi et al.,(2004)Biotechnol.Lett.25;321−325)、およびZW658(ATTCC#PTA−7858)が含まれ、これらは、キシロースおよびグルコースを含む混合糖からのブタノール生産のために修飾され得る。
従って、ブタノールの生産を改善するために、キシルロースおよび/またはキシルロース−5−Pを産生することができる酵素を発現するように微生物を操作することができる。宿主細胞中のキシルロース−および/またはキシルロース−5−P産生酵素の全体的な活性は、異種核酸および/またはタンパク質配列の導入によって、あるいは内因性核酸および/またはタンパク質配列の突然変異によって増大させることができる。異種キシルロース産生および/またはキシルロース−5−P産生酵素遺伝子またはタンパク質が宿主細胞内に導入される場合、宿主細胞の酵素活性は、異種核酸またはタンパク質が存在しない場合の酵素活性と比べて増大される。内因性核酸またはタンパク質が宿主細胞内で突然変異される場合、宿主細胞内の酵素活性は、突然変異が存在しない場合の酵素活性と比べて増大される。いくつかの実施形態では、細胞内のキシルロースおよび/またはキシルロース−5−Pの産生速度は、野生型酵母株と比べて増大される。
キシルロース−および/またはD−キシルロース−5−P産生酵素は、宿主株において個々にあるいは組み合わせて過剰発現され得る。いくつかの実施形態では、キシロースイソメラーゼが過剰発現される。いくつかの実施形態では、キシロースレダクターゼおよびキシリトールデヒドロゲナーゼが過剰発現される。いくつかの実施形態では、アラビノースからキシルロースおよび/またはキシルロース−5−Pを産生する酵素が過剰発現される。いくつかの実施形態では、キシロースイソメラーゼ、キシロースレダクターゼ、およびキシリトールデヒドロゲナーゼが過剰発現される。いくつかの実施形態では、キシロースをキシルロースへ変換する酵素と、アラビノースをキシルロースおよび/またはキシルロース−5−Pへ変換する酵素との両方が過剰発現される。
キシルロース産生および/またはキシルロース−5−P産生酵素の組換え宿主細胞への導入は、ブタノールの生産を増大させることができる。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、所望の活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、当該技術分野において既知の組換えDNA技術を用いて細胞に導入することができる。いくつかの実施形態では、例えば、キシロースイソメラーゼ、キシロースレダクターゼ、またはキシリトールデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドの導入は、改善されたイソブタノール濃度と、増大されたイソブタノールの比生産速度とをもたらす。
キシルロース産生酵素を発現する微生物の製造方法は当該技術分野において知られている。例えば、参照によってその全体が本明細書に援用される国際公開第2009/109630号パンフレットには、キシロースイソメラーゼを発現するペントース−糖発酵細胞の生産が示される。本明細書に開示される宿主細胞において発現され得るキシルロース産生および/またはキシルロース−5−P産生酵素遺伝子およびポリペプチドの付加的な例としては、以下の表3に示されるものが挙げられるがこれらに限定されず、参照によって本明細書中に援用される添付の表において配列が提供される。キシロースイソメラーゼ酵素およびこのようなポリペプチドのソース生物の例は、米国特許出願公開第20110318801A1号明細書において開示されている。キシロースイソメラーゼおよびソース生物の例としては、以下の表4および5に示されるもの(例えば、配列番号89〜394)、ならびに配列番号74、75、および395〜399が挙げられるが、これらに限定されない。
配列番号395は、ザイモモナス属(Zymomonas)のためにコドン最適化されたアクチノプラネス・ミズーリエンシス(Actinoplanes missourinesis)キシロースイソメラーゼのコード領域である。
配列番号396は、ザイモモナス属(Zymomonas)のためにコドン最適化されたラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)キシロースイソメラーゼのコード領域である。
配列番号397は、ザイモモナス属(Zymomonas)ためにコドン最適化された大腸菌(E.coli)キシロースイソメラーゼのコード領域である。
配列番号398は、ゲオデルマトフィラス・オブスキュラス(Geodermatophilus obscurus)キシロースイソメラーゼのコドン最適化コード領域のヌクレオチド配列である。
配列番号399は、マイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)キシロースイソメラーゼのコドン最適化コード領域のヌクレオチド配列である。
配列番号74は、サリニスポラ・アレニコーラ(Salinispora arenicola)キシロースイソメラーゼのコドン最適化コード領域のヌクレオチド配列である。
配列番号75は、キシラニモナス・セルロシリティカ(Xylanimonas cellulosilytica)キシロースイソメラーゼのコドン最適化コード領域のヌクレオチド配列である。
本明細書において使用可能なポリヌクレオチドおよびポリペプチドのその他の例には、表3、4または5の配列のいずれか1つに対して少なくとも約70%〜約75%、約75%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド(ここで、このようなポリヌクレオチドまたは遺伝子は酵素活性をコードする、あるいはこのようなポリペプチドは酵素活性を有する)が含まれるが、これらに限定されない。記載される異性化および発酵方法において使用可能なポリヌクレオチドおよびポリペプチドのさらにその他の例には、表3、4、または5の配列のいずれか1つの活性な変異体、断片または誘導体(ここで、このようなポリヌクレオチドまたは遺伝子は酵素活性をコードする、あるいはこのようなポリペプチドは酵素活性を有する)が含まれるが、これらに限定されない。
実施形態において、その他のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの配列は、本明細書中で開示され、当該技術分野において利用可能な配列を用いて、文献において、そして当業者に周知のバイオインフォマティクスデータベースにおいて同定することができる。例えば、このような配列は、既知の酵素をコードするポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を用いて公的に利用可能なデータベースのBLAST検索によって同定することができる。このような方法では、同一性は、GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.1のデフォルトパラメータ、およびタンパク質重量マトリックスのGonnet250シリーズを用いるClustal Wアライメント法に基づくことができる。
さらに、本明細書に開示されるかあるいは当該技術分野において既知のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、天然の他の相同体を同定するために使用することができる。例えば、本明細書に開示される核酸およびその断片のそれぞれは、相同タンパク質をコードする遺伝子を単離するために使用することができる。配列依存性プロトコールを用いる相同遺伝子の単離は当該技術分野においてよく知られている。配列依存性プロトコールの例としては、(1)核酸ハイブリダイゼーション法、(2)核酸増幅技術の種々の使用により例示されるようなDNAおよびRNA増幅法[例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、Mullis et al.の米国特許第4,683,202号明細書、リガーゼ連鎖反応(LCR)、Tabor et al.,Proc.Acad.Sci.USA 82:1074(1985)、またはストランド置換増幅(SDA)、Walker et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,89:392(1992)]、および(3)相補性によるライブラリー構築およびスクリーニング法が挙げられるが、これらに限定されない。
組換え宿主細胞(酵母細胞を含むが、これに限定されない)における遺伝子発現のための方法は当該技術分野において既知である(例えば、Methods in Enzymology,Volume 194,Guide to Yeast Genetics and Molecular and Cell Biology(Part A,2004,Christine Guthrie and Gerald R.Fink(Eds.),Elsevier Academic Press,San Diego,CAを参照)。エピソームプラスミドおよび組込まれたポリヌクレオチドによる遺伝子発現のための方法はいずれも本明細書に記載される方法に適合する。
いくつかの実施形態では、発現される酵素のコード領域は、当業者によく知られているように、標的宿主細胞のためにコドン最適化され得る、組換え宿主細胞(酵母細胞を含むが、これに限定されない)における遺伝子の発現は、対象のコード領域に作動可能に連結されたプロモーターおよび転写ターミネーターを必要とし得る。遺伝子のための発現カセットの構築においていくつかのプロモーターを使用することができ、酵母中での使用に適した以下の構成的プロモーター:FBA1、TDH3、ADH1、およびGPM1、ならびに酵母中での使用に適した以下の誘導性プロモーター:GAL1、GAL10およびCUP1が含まれるが、これらに限定されない。発現のためのキメラ遺伝子構築物において使用可能な適切な転写ターミネーターには、FBA1t、TDH3t、GPM1t、ERG10t、GAL1t、CYC1t、およびADH1tが含まれるがこれらに限定されない。
組換えポリヌクレオチドは、通常、コード配列に作動可能に連結されたプロモーターおよび終結調節領域を含む、形質転換のために使用されるキメラ遺伝子の一部としてのコード配列を用いて、発現のためにクローン化される。コード領域は形質転換のための宿主細胞に由来し、タンパク質をコードする天然遺伝子に対して天然ではない制御配列と結合され得る。あるいは、コード領域は別の宿主細胞に由来し得る。
様々な宿主細胞の形質転換に有用なベクターは一般的であり、文献に記載されている。通常、ベクターは、所望の宿主における自己複製または染色体の組込みを可能にする選択可能なマーカーおよび配列を含有する。さらに、適切なベクターは、転写開始調節および転写終結調節領域(これらの間に、コード領域DNA断片が挿入され得る)を有するプロモーター領域を含み、挿入されたコード領域の発現を提供することができる。調節領域は両方とも形質転換宿主細胞に相同の遺伝子に由来することができるが、このような調節領域が、産生宿主として選択される特定の種に天然でない遺伝子に由来することもできることは理解されるべきである。
実施形態において、適切なプロモーター、転写ターミネーター、および酵素コード領域は大腸菌−酵母シャトルベクターにクローン化され、酵母細胞に形質転換され得る。このようなベクターは、大腸菌および酵母菌株の両方における株の伝播を可能にし、所望の宿主における自己複製または染色体の組込みを可能にする選択可能なマーカーおよび配列を含有することができる。酵母において通常使用されるプラスミドには、大腸菌複製開始点(例えば、pMB1)、酵母2ミクロン複製開始点、および栄養選択のためのマーカーを含有するシャトルベクターpRS423、pRS424、pRS425、およびpRS426(American Type Culture Collection,Rockville,MD)が含まれるがこれらに限定されない。これらの4つのベクターのための選択マーカーは、HIS3(ベクターpRS423)、TRP1(ベクターpRS424)、LEU2(ベクターpRS425)およびURA3(ベクターpRS426)である。
実施形態において、記載される酵素をコードするキメラ遺伝子を有する発現ベクターの構築は、酵母におけるギャップ修復組換え方法によって実施することができる。ギャップ修復クローニングアプローチは、酵母における高効率の相同組換え系を利用する。実施形態において、酵母ベクターDNAは消化され(例えば、その多重クローニング部位において)、その配列内に「ギャップ」を形成する。5’端部および3’端部の両方に約21bpの配列を含有する、対象となる多数の挿入DNAが生成され、互いに、そしてベクターDNAの5’末端および3’末端と順次オーバーラップされる。例えば、「遺伝子X」の酵母発現ベクターを構築するために、酵母プロモーターおよび酵母ターミネーターが発現カセットのために選択される。プロモーターおよびターミネーターは酵母ゲノムDNAから増幅され、遺伝子Xはそのソース生物からPCR増幅されるか、あるいは遺伝子X配列を含むクローニングベクターから得られる。直線化ベクターの5’端部とプロモーター配列との間、プロモーターと遺伝子Xとの間、遺伝子Xとターミネーター配列との間、およびターミネーターと直線化ベクターの3’端部との間には、少なくとも、21bpのオーバーラップ配列が存在する。次に「ギャップ化」ベクターおよび挿入DNAは酵母菌株に同時形質転換され、プラスミドにおける栄養選択マーカーの相補性を可能にする適切な化合物混合物を含有する培地にプレーティングされる。正しい挿入の組み合わせの存在は、選択された細胞から作製されるプラスミドDNAを用いるPCRマッピングによって確認することができる。次に、酵母から単離されるプラスミドDNA(通常は低濃度)は大腸菌株、例えばTOP10に形質転換された後、プラスミド構築物をさらに検証するためにミニプレップおよび制限マッピングが行われる。最後に、構築物はDNA配列分析によって検証され得る。
ギャップ修復技術のように、酵母ゲノムへの組込みも酵母における相同組換えシステムを利用する。実施形態において、コード領域プラス調節要素(プロモーターおよびターミネーター)ならびに栄養要求性マーカーを含有するカセットは、カセットとハイブリッド形成すると共に、挿入が所望されるゲノム区域の遺伝子座5’および3’に対して40〜70塩基対の配列相同性を含有するプライマーを用いて、高忠実度のDNAポリメラーゼによりPCR増幅される。次に、PCR産物は酵母に形質転換され、組み込まれた栄養要求性マーカーの選択を可能にする適切な化合物混合物を含有する培地にプレーティングされる。例えば、「遺伝子X」を染色***置「Y」に組み込むために、プロモーター−コード領域X−ターミネーター構築物は、プラスミドDNA構築物からPCR増幅され、SOE PCRによって、あるいは一般的な制限消化およびクローニングによって、独立栄養マーカー(URA3など)に結合される。プロモーター−コード領域X−ターミネーター−URA3領域を含有する全カセットは、酵母染色体上の位置「Y」の領域5’および3’に対して40〜70bpの相同性を含有するプライマー配列によりPCR増幅される。PCR産物は酵母に形質転換され、ウラシル欠乏増殖培地において選択される。形質転換体は、コロニーPCRまたは染色体DNAの直接配列決定のいずれによって検証され得る。
本明細書に開示される組換え宿主細胞におけるキシルロース産生酵素活性(例えば、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼなど)の存在は、当該技術分野において既知の方法を用いて確認することができる。非限定的な例において、形質転換体は、酵素のためのプライマーを用いてPCRによりスクリーニングすることができる。別の非限定的な例では、酵素活性は、内因的に酵素活性が欠けている本明細書に開示される組換え宿主細胞においてアッセイすることができる。例えば、酵素活性を有するポリペプチドは、キシロースまたはアラビノースをキシルロースへ変換することができる。別の非限定的な例では、酵素活性は、例えばイソブタノール産生を含む、酵素活性を必要とする経路において下流の産物をアッセイするなどのより間接的な方法によって確認することができる。
代謝工学によるキシルロースの生産の改善は、外因性酵素の非存在下での発酵によるイソブタノールの生産を可能にするであろう。従って、五炭糖からブタノールへの発酵は、外因性酵素の添加によって、酵素の組換え発現によって、またはその両方によって改善することができる。キシルロースの生産が改善されると、五炭糖からイソブタノールを生産する効力が増大される。
いくつかの実施形態では、基質をキシルロースへ変換する酵素の使用は、特定のキシロース:キシルロース平衡をもたらす。例えば、いくつかの実施形では、平衡は、約5キシロース:1キシルロースである。
いくつかの実施形態では、酵素は、少なくとも約0.1g/時間、少なくとも約0.25g/時間、少なくとも約0.5g/時間、または少なくとも約1g/時間の速度で、基質をキシルロースへ変換するために十分な量で存在する。
基質をキシルロースへ変換する酵素の使用は、ブタノールの生産の増大を可能にする。
いくつかの実施形態では、このようは酵素の使用は五炭糖の消費の増大をもたらす。五炭糖の消費速度は、当該技術分野において既知の任意の手段を用いて測定することができる。六炭糖も消費される特定の実施形態では、五炭糖の消費速度は、六炭糖の消費速度の少なくとも約0.5%、0.75%、1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、または70%であり得る。
いくつかの実施形態では、ブタノールを産生可能な微生物は遺伝的に安定している。染色体異常およびプラスミド損失は、遺伝的に安定した微生物では最小限にされる。いくつかの実施形態では、ブタノールを産生可能な微生物は、工業的に関連している培地において増殖される場合に遺伝的に安定している。いくつかの実施形態では、ブタノールを産生可能な微生物は、ミネラル培地において増殖される場合に遺伝的に安定している。いくつかの実施形態では、ブタノールを産生可能な微生物は、限定培地において増殖される場合に遺伝的に安定している。いくつかの実施形態では、ブタノールを産生可能な微生物は、長期間の連続培養にわたって遺伝的に安定している。
異性化および発酵
ブタノール産生微生物は、ブタノール産生を可能にする任意の条件下で培養することができる。特に、エアレーションの存在下での微生物の増殖と、その後の呼吸の非存在下における発酵により、ブタノール産生(嫌気性または微好気性発酵)が増大されることが観察された。
ブタノール産生微生物は、ブタノール産生を可能にする任意の条件下で培養することができる。特に、エアレーションの存在下での微生物の増殖と、その後の呼吸の非存在下における発酵により、ブタノール産生(嫌気性または微好気性発酵)が増大されることが観察された。
呼吸は、当該技術において既知の任意の手段を用いて測定することができる。例として、呼吸は、ATP産生、二酸化炭素産生、および/または酸素使用によってアッセイすることができる。呼吸は、当該技術において既知の任意の手段によって抑制することができる。例えば、呼吸抑制剤を発酵組成物に添加することができる。適切な呼吸抑制剤は、例として、アンチマイシンA、シアニド、アジド、オリゴマイシン、およびロテノンを含む。
抑制剤は、呼吸を減少または制限する任意の濃度で存在することができる。いくつかの実施形態では、抑制剤は約0.1〜約10μMの濃度で存在する。例えば、抑制剤の濃度は、約0.1〜約5μM、約0.1〜約4μM、約0.1〜約3μM、約0.1〜約2μM、約0.1〜約1.5μM、または約0.1〜約1μMであり得る。また抑制剤の濃度は、約0.5〜約10μM、約0.5〜約5μM、約0.5〜約3μM、約0.5〜約2μM、約0.5〜約1.5μM、または約0.5〜約1μMであり得る。また抑制剤の濃度は約1μMであり得る。
抑制剤は、抑制剤が存在しない同一条件下での呼吸レベルの約1%以下、5%以下、10%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、または75%以下であるレベルまで呼吸を低下させるのに十分な濃度で存在することができる。
いくつかの実施形態では、呼吸抑制剤はアンチマイシンAである。いくつかの実施形態では、アンチマイシンAは、約0.1〜約10μMの濃度で存在する。例えば、アンチマイシンAの濃度は、約0.1〜約5μM、約0.1〜約4μM、約0.1〜約3μM、約0.1〜約2μM、約0.1〜約1.5μM、または約0.1〜約1μMであり得る。またアンチマイシンAの濃度は、約0.5〜約10μM、約0.5〜約5μM、約0.5〜約3μM、約0.5〜約2μM、約0.5〜約1.5μM、または約0.5〜約1μMであり得る。またアンチマイシンAの濃度は約1μMであり得る。
アンチマイシンAは、アンチマイシンAが存在しない同一条件下での呼吸レベルの約1%以下、5%以下、10%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、または75%以下であるレベルまで呼吸を低下させるのに十分な濃度で存在することができる。
いくつかの実施形態では、培養条件は、抑制剤の非存在下で呼吸がなくても発酵が生じるようなものである。例えば、微好気性または嫌気性条件下、発酵槽内で細胞を培養することができる。
ブタノールの生産を最大にするその他の条件も提供され得る。
通常、微生物は約20℃〜約40℃の範囲の温度で増殖される。五炭糖からキシルロースへの変換(異性化)および発酵は、同じまたは異なる温度で実施することができる。例えば、五炭糖からキシルロースへの変換のために約40℃の温度を使用することができ、キシルロースからブタノールへの発酵のために約30℃の温度を使用することができる。さらに、五炭糖からキシルロースへの変換およびキシルロースからブタノールへの発酵の両方のために、約30℃〜約40℃、約31℃〜約39℃、約32℃〜約38℃、約32℃〜約37℃、約33℃〜約36℃、または約33℃〜約35℃の温度を使用することができる。さらに、五炭糖からキシルロースへの変換およびキシルロースからブタノールへの発酵の両方のために約32℃〜約36℃、約32℃〜約35℃、約32℃〜約34℃、約33℃〜約36℃、約33℃〜約35℃、または約33℃〜約34℃の温度を使用することができる。さらに、五炭糖からキシルロースへの変換およびキシルロースからブタノールへの発酵の両方のために、約32℃〜約36℃、約33℃〜約36℃、約34℃〜約36℃、約33℃〜約35℃、約33℃〜約35℃、または約34℃〜約35℃の温度を使用することができる。いくつかの実施形態では、五炭糖をキシルロースへ変換し、キシルロースをブタノールへ発酵させるために、約33℃〜約35℃の温度または約34℃の温度が使用される。
微生物のために適切なpH範囲は、約pH3.0〜約pH9.0である。五炭糖からキシルロースへの変換(異性化)および発酵は、同じまたは異なるpHで実施することができる。いくつかの実施形態では、異性化は、約pH5.0〜約pH8.0、約pH5.0〜約pH7.0、約pH6.0〜約pH8.0、約pH6.0〜約pH7.0、または約7.0のpHで生じる。いくつかの実施形態では、発酵は、約pH3.0〜約pH7.0、約pH4.0〜約pH6.0、約pH4.0〜約pH5.0のpHで生じる。
いくつかの実施形態では、異性化および発酵は、約pH4.0〜約pH8.0、約pH5.0〜約pH7.0、または約pH6.0のpHで生じる。いくつかの実施形態では、異性化および発酵は、約pH5.0〜約pH8.0、または約pH6.0〜約pH8.0のpHで生じる。いくつかの実施形態では、異性化および発酵は、約pH4.0〜約pH7.0、約pH4.0〜約pH6.0であるpHで生じる。いくつかの実施形態では、異性化および発酵は、約pH6.0であるpHで生じる。
加えて、発酵培地は、適切なミネラル、塩、補因子、緩衝液、ならびに培養物の増殖および本明細書に記載される酵素経路の促進のために適切な当業者に知られている他の成分を含有しなければならない。使用可能な培地の非限定的な例としては、酵母抽出物−ペプトン、限定ミネラル培地、酵母窒素塩基(YNB)、合成完全(SC)、M122C、MOPS、SOB、TSY、YMG、YPD、2XYT、LB、M17、またはM9最小培地が挙げられる。使用可能な培地のその他の例としては、リン酸カリウムおよび/またはリン酸ナトリウムを含有する溶液が挙げられる。適切な培地には、NADHまたはNADPHが補充され得る。本発明におけるその他の適切な増殖培地は、Luria Bertani(LB)ブロス、Sabouraud Dextrose(SD)ブロス、Yeast Medium(YM)ブロス、または酵母窒素塩基、硫酸アンモニウム、およびデキストロース(炭素/エネルギー源として)を含むブロス、またはほとんどのサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株を増殖させるために最適な割合のペプトン、酵母抽出物、およびデキストロースのブレンドであるYPD培地などの、一般的な商業的に調製される培地である。その他の限定または合成培地も使用することができ、特定の微生物の増殖のために適切な培地は、微生物学または発酵科学分野における当業者によって分かるであろう。
いくつかの実施形態では、発酵培地は酵母抽出物を含有しない。
いくつかの実施形態では、抗生物質が含まれる。例えば、キシルロース産生酵素の外因性ソースを使用する方法では、細菌汚染物質が導入され得る。例えば、ペニシリン(例えば、ペニシリンGまたはペニシリンV)、テトラサイクリン、またはセファロスポリン(例えば、セファロスポリンC)、ヴァージニアマイシン、およびクロラムフェニコールなどの抗生物質を使用することができる。いくつかの実施形態では、抗生物質は、細菌の増殖を抑制するために十分な量で存在する。いくつかの実施形態では、抗生物質は、酵母の増殖に影響を与えない量で存在する。いくつかの実施形態では、抗生物質は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50μg/Lの濃度で存在する。
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約20時間、少なくとも約30時間、少なくとも約40時間、少なくとも約50時間、少なくとも約60時間、少なくとも約70時間、少なくとも約80時間、少なくとも約90時間、少なくとも約100時間、少なくとも約120時間、少なくとも約140時間、少なくとも約160時間、少なくとも約180時間、または少なくとも約200時間培養される。
イソブタノール、または他の産物の生産はバッチ、流加または連続プロセスを用いて実施可能であり、任意の既知の発酵モードが適切であり得ると考えられる。さらに、細胞は全細胞触媒として基質上またはマトリックス中に固定化されて、イソブタノールの生産のための発酵条件にさらされ得ると考えられる。
イソブタノールの生産
五炭糖を用いるブタノールの生産のための方法が本明細書において記載されている。いくつかの実施形態では、ブタノールはイソブタノールである。
五炭糖を用いるブタノールの生産のための方法が本明細書において記載されている。いくつかの実施形態では、ブタノールはイソブタノールである。
例えば、ブタノールは、(a)ブタノールを産生可能な微生物と、基質をキシルロースへ変換することができる酵素または酵素の組み合わせとを含む組成物を提供するステップと、(b)組成物を五炭糖源と接触させるステップと、(c)酵母呼吸を制限する条件下で酵母を培養するステップとによって、五炭糖から生産することができる。
従って、五炭糖からブタノールを生産するための組成物も提供される。組成物は、(a)ブタノールを産生可能な酵母と、(b)五炭糖をキシルロースへ変換することができる酵素または酵素の組み合わせと、(c)五炭糖源と、(d)発酵培地とを含む。
いくつかの実施形態では、ブタノールまたはイソブタノールは、特定の収率または速度で生産される。
従って、イソブタノールの比生産速度は、少なくとも約0.10g/g/h(1時間につき乾燥細胞重量1グラムあたりのイソブタノールのグラム数)、少なくとも約0.11g/g/h、少なくとも約0.12g/g/h、少なくとも約0.13g/g/h、少なくとも約0.14g/g/h、少なくとも約0.15g/g/h、少なくとも約0.16g/g/h、少なくとも約0.17g/g/h、少なくとも約0.18g/g/h、少なくとも約0.19g/g/h、少なくとも約0.20g/g/h、少なくとも約0.25g/g/h、少なくとも約0.30g/g/h、少なくとも約0.35g/g/h、少なくとも約0.40g/g/h、少なくとも約0.45g/g/h、少なくとも約0.50g/g/h、少なくとも約0.75g/g/hr、または少なくとも約1.0g/g/hrであり得る。またイソブタノールの比生産速度は、約0.05g/g/h〜約1.0g/g/h、約0.05g/g/h〜約0.75g/g/h、または約0.05g/g/h〜約0.50g/g/hであり得る。またイソブタノールの比生産速度は、約0.10g/g/h〜約1.0g/g/h、約0.10g/g/h〜約0.75g/g/h、または約0.10〜約0.50g/g/hであり得る。またイソブタノールの比生産速度は、約0.15g/g/h〜約1.0g/g/h、約0.15g/g/h〜約0.75g/g/h、または約0.15g/g/h〜約0.5g/g/hであり得る。
特定の実施形態では、生産は、理論値の約10%を超える収率、理論値の約20%を超える収率、理論値の約25%を超える収率、理論値の約30%を超える収率、理論値の約40%を超える収率、理論値の約50%を超える収率、理論値の約60%を超える収率、理論値の約70%を超える収率、理論値の約75%を超える収率、理論値の約80%を超える収率、理論値の約85%を超える収率、理論値の約90%を超える収率、理論値の約95%を超える収率、理論値の約96%を超える収率、理論値の約97%を超える収率、理論値の約98%を超える収率、理論値の約99%を超える収率、または理論値の約100%の収率を提供する。
イソブタノールおよびエタノールの両方が生産される特定の実施形態では、イソブタノールの生産速度はである可能性があり、イソブタノールの速度はエタノール生産の存在下では低下するであろう。
微生物
本明細書に記載される方法によると、ブタノールを産生可能な微生物はどれも使用することができる。例えば、いくつかの実施形では、微生物は、ブタノールを産生可能な酵母細胞である。いくつかの実施形態では、酵母細胞は、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ハンゼヌラ(Hansenula)、カンジダ(Candida)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、イサタケンキア(Issatchenkia)、およびピキア(Pichia)からなる群から選択される属の一員である。さらに別の態様では、酵母細胞はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。
本明細書に記載される方法によると、ブタノールを産生可能な微生物はどれも使用することができる。例えば、いくつかの実施形では、微生物は、ブタノールを産生可能な酵母細胞である。いくつかの実施形態では、酵母細胞は、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ハンゼヌラ(Hansenula)、カンジダ(Candida)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、イサタケンキア(Issatchenkia)、およびピキア(Pichia)からなる群から選択される属の一員である。さらに別の態様では、酵母細胞はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。
微生物は、ブタノールを産生できるように遺伝的に改変することができる。イソブタノールの生産のための使用され得る生合成経路には、参照によって本明細書中に援用される米国特許第7,993,889号明細書に記載されるものが含まれる。例えば、ブタノールを産生可能な微生物は、(a)ピルベートからアセトラクテートへの変換、(b)アセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの変換、(c)2,3−ジヒドロキシイソバレレートから2−ケトイソバレレートへの変換、(d)2−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの変換、または(e)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、微生物は、(a)ピルベートからアセトラクテートへの変換、(b)アセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの変換、(c)2,3−ジヒドロキシイソバレレートから2−ケトイソバレレートへの変換、(d)2−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの変換、および(e)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、微生物は、アセト乳酸シンターゼ、ケト酸レダクトイソメラーゼ、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ、ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ、および/またはアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
ブタノールを産生可能な微生物は、(a)ピルベートからアセトラクテートへの変換、(b)アセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの変換、(c)2,3−ジヒドロキシイソバレレートからα−ケトイソバレレートへの変換、(d)α−ケトイソバレレートからバリンへの変換、(e)バリンからイソブチルアミンへの変換、(f)イソブチルアミンからイソブチルアルデヒドへの変換、(g)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、微生物は、(a)ピルベートからアセトラクテートへの変換、(b)アセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの変換、(c)2,3−ジヒドロキシイソバレレートからα−ケトイソバレレートへの変換、(d)α−ケトイソバレレートからバリンへの変換、(e)バリンからイソブチルアミンへの変換、(f)イソブチルアミンからイソブチルアルデヒドへの変換、(g)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、微生物は、アセト乳酸シンターゼ、ケトール酸レダクトイソメラーゼ、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ、トランスアミナーゼ、バリンデヒドロゲナーゼ、バリンデカルボキシラーゼ、オメガトランスアミナーゼ、および/または分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
ブタノールを産生可能な微生物は、(a)ピルベートからアセトラクテートへの変換、(b)アセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの変換、(c)2,3−ジヒドロキシイソバレレートからα−ケトイソバレレートへの変換、(d)α−ケトイソバレレートからイソブチリル−CoAへの変換、(e)イソブチリル−CoAからイソブチルアルデヒドへの変換、および(f)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、微生物は、(a)ピルベートからアセトラクテートへの変換、(b)アセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの変換、(c)2,3−ジヒドロキシイソバレレートからα−ケトイソバレレートへの変換、(d)α−ケトイソバレレートからイソブチリル−CoAへの変換、(e)イソブチリル−CoAからイソブチルアルデヒドへの変換、および(f)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、微生物は、アセト乳酸シンターゼ、アセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼ、アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ、分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ、アセリル化(acelylating)アルデヒドデヒドロゲナーゼ、および/または分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
ブタノールを産生可能な微生物は、(a)ブチリル−CoAからイソブチリル−CoAへの変換、(b)イソブチリル−CoAからイソブチルアルデヒドへの変換、および(c)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、微生物は、(a)ブチリル−CoAからイソブチリル−CoAへの変換、(b)イソブチリル−CoAからイソブチルアルデヒドへの変換、および(c)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、参照によって本明細書中に援用される米国特許第7,993,889号明細書からの図1のステップk、e、およびgに記載されるように、微生物は、イソブチリル−CoAムターゼ、アセリル化(acelylating)アルデヒドデヒドロゲナーゼ、および/または分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1−ブタノールの生産のための使用され得る生合成経路には、参照によって本明細書中に援用される米国特許出願公開第2008/0182308号明細書に記載されるものが含まれる。ブタノールを産生可能な微生物は、(a)アセチル−CoAからアセトアセチル−CoAへの変換、(b)アセトアセチル−CoAから3−ヒドロキシブチリル−CoAへの変換、(c)3−ヒドロキシブチリル−CoAからクロトニル−CoAへの変換、(d)クロトニル−CoAからブチリル−CoAへの変換、(e)ブチリル−CoAからブチルアルデヒドへの変換、および(f)ブチルアルデヒドから1−ブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、微生物は、(a)アセチル−CoAからアセトアセチル−CoAへの変換、(b)アセトアセチル−CoAから3−ヒドロキシブチリル−CoAへの変換、(c)3−ヒドロキシブチリル−CoAからクロトニル−CoAへの変換、(d)クロトニル−CoAからブチリル−CoAへの変換、(e)ブチリル−CoAからブチルアルデヒドへの変換、および(f)ブチルアルデヒドから1−ブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、微生物は、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ、3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、クロトナーゼ、ブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、ブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、および/またはブタノールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
2−ブタノールの生産のための使用され得る生合成経路には、参照によって本明細書中に援用される米国特許出願公開第2007/0259410号明細書および米国特許出願公開第2009/0155870号明細書に記載されるものが含まれる。ブタノールを産生可能な微生物は、(a)ピルベートからアルファ−アセトラクテートへの変換、(b)アルファ−アセトラクテートからアセトインへの変換、(c)アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへの変換、(d)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸への変換、(e)3−アミノ−2−ブタノールリン酸から2−ブタノンへの変換、および(f)2−ブタノンから2−ブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、微生物は、(a)ピルベートからアルファ−アセトラクテートへの変換、(b)アルファ−アセトラクテートからアセトインへの変換、(c)アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへの変換、(d)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸への変換、(e)3−アミノ−2−ブタノールリン酸から2−ブタノンへの変換、および(f)2−ブタノンから2−ブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、微生物は、アセト乳酸シンターゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ、アセトニン(acetonin)アミナーゼ、アミノブタノールキナーゼ、アミノブタノールリン酸ホスホリラーゼ、および/またはブタノールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
ブタノールを産生可能な微生物は、(a)ピルベートからアルファ−アセトラクテートへの変換、(b)アルファ−アセトラクテートからアセトインへの変換、(c)アセトインから2,3−ブタンジオールへの変換、(d)2,3−ブタンジオールから2−ブタノンへの変換、および(e)2−ブタノンから2−ブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、微生物は、(a)ピルベートからアルファ−アセトラクテートへの変換、(b)アルファ−アセトラクテートからアセトインへの変換、(c)アセトインから2,3−ブタンジオールへの変換、(d)2,3−ブタンジオールから2−ブタノンへの変換、および(e)2−ブタノンから2−ブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、微生物は、アセト乳酸シンターゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ、ブタンジオールデヒドロゲナーゼ、ジアール(dial)デヒドラターゼ、および/またはブタノールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
2−ブタノンの生産のための使用され得る生合成経路には、参照によって本明細書中に援用される米国特許出願公開第2007/0259410号明細書および米国特許出願公開第2009/0155870号明細書に記載されるものが含まれる。ブタノールを産生可能な微生物は、(a)ピルベートからアルファ−アセトラクテートへの変換、(b)アルファ−アセトラクテートからアセトインへの変換、(c)アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへの変換、(d)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸への変換、および(e)3−アミノ−2−ブタノールリン酸から2−ブタノンへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、微生物は、(a)ピルベートからアルファ−アセトラクテートへの変換、(b)アルファ−アセトラクテートからアセトインへの変換、(c)アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへの変換、(d)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸への変換、および(e)3−アミノ−2−ブタノールリン酸から2−ブタノンへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、微生物は、アセト乳酸シンターゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ、アセトニン(acetonin)アミナーゼ、アミノブタノールキナーゼ、および/またはアミノブタノールリン酸ホスホリラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
ブタノールを産生可能な微生物は、(a)ピルベートからアルファ−アセトラクテートへの変換、(b)アルファ−アセトラクテートからアセトインへの変換、(c)アセトインから2,3−ブタンジオールへの変換、および(d)2,3−ブタンジオールから2−ブタノンへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、微生物は、(a)ピルベートからアルファ−アセトラクテートへの変換、(b)アルファ−アセトラクテートからアセトインへの変換、(c)アセトインから2,3−ブタンジオールへの変換、および(d)2,3−ブタンジオールから2−ブタノンへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、微生物は、アセト乳酸シンターゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ、ブタンジオールデヒドロゲナーゼ、および/またはジアール(dial)デヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
加えて、いくつかの実施形では、微生物は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする内因性ポリヌクレオチドにおいて、少なくとも1つの欠失、突然変異、および/または置換を含む。ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドは、例として、Pdc1、Pdc5、Pdc6、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、微生物は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素を実質的に含まない。グルコース抑制を低減する効果を有する遺伝子修飾(ここで、酵母産生宿主細胞はpdc−である)は、参照によって本明細書中に援用される米国特許出願公開第20110124060号明細書に記載されている。
本明細書において提供されるブタノール生合成経路を含む微生物がさらに、1つまたは複数の付加的な修飾を含み得ることは認識されるであろう。米国特許出願公開第20090305363号明細書(参照によって本明細書中に援用される)には、サイトゾル局在化アセト乳酸シンターゼの発現およびピルビン酸デカルボキシラーゼ活性の実質的な除去のために酵母を操作することによる、ピルベートからアセトラクテートへの変換の増大が開示される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、米国特許出願公開第20090305363号明細書(参照によって本明細書中に援用される)に記載されるような、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を低減するための修飾、および/またはピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子における破壊、またはピルビン酸デカルボキシラーゼ遺伝子発現を調節する制御要素をコードする少なくとも1つの遺伝子における破壊、米国特許出願公開第20100120105号明細書(参照によって本明細書中に援用される)に記載されるような、Entner−Doudoroff経路による炭素フラックスの増大または当量バランスの低下を提供する宿主細胞への修飾を含む。その他の修飾には、ピルベート利用生合成経路におけるステップを触媒するポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの組込みが含まれる。その他の修飾には、アセト乳酸レダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードする内因性ポリヌクレオチドにおける少なくとも1つの欠失、突然変異、および/または置換が含まれる。実施形態において、アセト乳酸レダクターゼ活性を有するポリペプチドは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisae)のYMR226Cまたはその相同体である。付加的な修飾には、アルデヒドデヒドロゲナーゼおよび/またはアルデヒドオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする内因性ポリヌクレオチドにおける欠失、突然変異、および/または置換が含まれる。実施形態において、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)からのALD6またはその相同体である。いくつかの実施形態では、微生物は、グリセルアルデヒド−3−リン酸からグリセレート1,3,ビスリン酸への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの欠失または下方制御を含有する。いくつかの実施形態では、この反応を触媒する酵素はグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼである。
いくつかの実施形態では、酵母株はPNY1504である。PNY1504はCEN.PK113−7D(CBS 8340、Centraalbureau voor Schimmelcultures(CBS)Fungal Biodiversity Centre,Netherlands)に由来し、以下の遺伝子:URA3、HIS3、PDC1、PDC5、PDC6、およびGPD2の欠失を含有する。この菌株をプラスミドpYZ090(配列番号1)およびpLH468(配列番号2)で形質転換させて、菌株PNY1504(BP1083、NGCI−070)を形成した。プラスミドpYZ090およびpLH468は、参照によってその全体が本明細書に援用される米国仮特許出願第61/246844号明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、微生物は、ペントースリン酸経路において機能する1つまたは複数のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。例えば、ポリペプチドは、トランスケトラーゼ、トランスアルドラーゼ、リブロース−リン酸3−エピメラーゼ、および/またはリボース−5−リン酸イソメラーゼであり得る。例示的なペントースリン酸経路タンパク質の配列は、以下の表6において見出される。
加えて、微生物は、ペントースリン酸経路において機能するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの任意の組み合わせを含むことができる。
いくつかの実施形態では、本明細書において使用される組成物は、ブタノールを産生することができる微生物と、ブタノールを産生することができない微生物との両方を含む。リグノセルロース加水分解物はブタノール産生微生物の増殖を抑制し、非ブタノール産生微生物の増殖を抑制するよりも大きい程度まで抑制し得る。本明細書に記載される方法は、ブタノール産生微生物の増殖および収量を最大にする。
いくつかの実施形態では、ブタノール産生微生物は、少なくとも、ブタノールを産生不能な微生物の濃度と等しい濃度で組成物(例えば、発酵組成物)中に存在する。さらに、ブタノールを産生可能な微生物は、ブタノールを産生不能な微生物の濃度よりも高い濃度で存在し得る。ブタノールを産生可能な微生物は、ブタノールを産生不能な微生物の濃度の少なくとも2倍の濃度で存在し得る。
発酵培地からのイソブタノールの単離方法
本明細書に記載される方法によると、ブタノールは、(a)ブタノールを産生可能な微生物と、五炭糖をキシルロースへ変換することができる酵素(単数または複数)とを含む組成物を提供するステップと、(b)組成物を五炭糖源と接触させるステップと、(c)呼吸を制限する条件下で微生物を培養するステップと、(d)培養物からイソブタノールを精製するステップとを含む方法によって、五炭糖から得ることができる。
本明細書に記載される方法によると、ブタノールは、(a)ブタノールを産生可能な微生物と、五炭糖をキシルロースへ変換することができる酵素(単数または複数)とを含む組成物を提供するステップと、(b)組成物を五炭糖源と接触させるステップと、(c)呼吸を制限する条件下で微生物を培養するステップと、(d)培養物からイソブタノールを精製するステップとを含む方法によって、五炭糖から得ることができる。
本明細書に記載される方法は、当該技術分野において既知の方法と併せて使用することができる。本明細書において開示される方法と併せて使用することができる方法は、2010年6月18日に出願された米国仮特許出願第61/356,290号明細書、ならびに2010年7月28日に出願された米国仮特許出願第61/368,451号明細書、2010年7月28日に出願された米国仮特許出願第61/368,436号明細書、2010年7月28日に出願された米国仮特許出願第61/368,444号明細書、2010年7月28日に出願された米国仮特許出願第61/368,429号明細書、2010年9月2日に出願された米国仮特許出願第61/379,546号明細書、および2011年2月7日に出願された米国仮特許出願第61/440,034号明細書において開示されており、これらの内容全体は参照によって全て本明細書中に援用される。
バイオ生成されたイソブタノールは、アセトン−ブタノール−エタノール(ABE)発酵のための当該技術分野において既知の方法を用いて、発酵培地から単離することができる(例えば、Durre,Appl.Microbiol.Biotechnol.49:639−648(1998)、Groot et al.,Process.Biochem.27:61−75(1992)、およびその中の参考文献を参照)。例えば、固体は、遠心分離、ろ過、デカンテーションなどによって発酵培地から除去することができる。次に、イソブタノールは、蒸留、共沸蒸留、液液抽出、吸着、ガスストリッピング、膜蒸発、またはパーベーパレイションなどの方法を用いて発酵培地から単離させることができる。
イソブタノールが低沸点の水との共沸混合物を形成するため、蒸留は、混合物をその共沸組成に至るまで分離するために使用することができる。蒸留は、共沸混合物付近の分離を得るために、別の分離方法と組み合わせて使用することができる。ブタノールを単離および精製するために蒸留と組み合わせて使用することができる方法には、デカンテーション、液液抽出、吸着、および膜ベースの技術が含まれるがこれらに限定されない。さらに、ブタノールは、共沸剤を用いた共沸蒸留を用いて単離され得る(例えば、Doherty and Malone,Conceptual Design of Distillation Systems,McGraw Hill,New York,2001を参照)。
ブタノール−水混合物は不均一な共沸混合物を形成するので、イソブタノールを単離および精製するために、デカンテーションと組み合わせて蒸留を使用することができる。この方法では、イソブタノール含有発酵ブロスは、共沸組成近くまで蒸留される。次に、共沸混合物は濃縮され、デカンテーションによって発酵培地からイソブタノールが分離される。デカントされた水相は、還流として第1の蒸留塔に戻すことができる。デカントされたイソブタノールが豊富な有機相は、第2の蒸留塔において、蒸留によりさらに精製することができる。
またイソブタノールは、蒸留と組み合わせて液液抽出を用いて発酵培地から単離することもできる。この方法では、イソブタノールは、適切な溶媒による液液抽出を用いて発酵ブロスから抽出される。次に、イソブタノール含有有機相は、ブタノールを溶媒から分離するために蒸留される。
吸着と組み合わせた蒸留を使用して、発酵培地からイソブタノールを単離することもできる。この方法では、イソブタノールを含有する発酵ブロスは共沸組成近くまで蒸留され、次に、モレキュラーシーブなどの吸着剤の使用により残りの水が除去される(Aden et al.Lignocellulosic Biomass to Ethanol Process Design and Economics Utilizing Co−Current Dilute Acid Prehydrolysis and Enzymatic Hydrolysis for Corn Stover,Report NREL/TP−510−32438,National Renewable Energy Laboratory,June 2002)。
さらに、パーベーパレイションと組み合わせた蒸留を用いて、発酵培地からイソブタノールを単離および精製することもできる。この方法では、イソブタノールを含有する発酵ブロスは共沸組成近くまで蒸留され、次に、親水性膜を通るパーベーパレイションによって残りの水が除去される(Guo et al.,J.Membr.Sci.245,199−210(2004))。
その場生成物除去(In situ product removal)(ISPR)(抽出発酵とも呼ばれる)は、ブタノール(または他の発酵アルコール)を、産生されたときに発酵容器から除去するために使用することができ、それにより、微生物はブタノールを高収率で産生することが可能になる。当該技術分野で記載されている発酵アルコールを除去するためのISPRの1つの方法は液液抽出である。通常、例えばブタノール発酵に関して、微生物を含む発酵培地は、ブタノール濃度が毒性レベルに達するよりも前の時点で有機抽出剤と接触される。有機抽出剤および発酵培地は二相混合物を形成する。ブタノールは有機抽出剤相に分配され、微生物を含有する水相中の濃度を低下させ、それにより抑制性ブタノールに対する微生物の暴露が制限される。
液液抽出は、例えば、米国特許出願公開第2009/0305370号明細書(その開示は本明細書にその全体が援用される)に記載される方法に従って実施することができる。米国特許出願公開第2009/0305370号明細書には、液液抽出を用いて発酵ブロスからブタノールを生産および回収するための方法が記載されており、この方法は、発酵ブロスを水と非混和性の抽出剤と接触させて、水相および有機相を含む2相混合物を形成するステップを含む。通常、抽出剤は、飽和、一価不飽和、多価不飽和(およびこれらの混合物)C12〜C22脂肪アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪アルデヒド、およびこれらの混合物からなる群から選択される有機抽出剤であり得る。ISPRのための抽出剤は、非アルコール抽出剤であり得る。ISPR抽出剤は、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、1−ウンデカノール、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸メチル、オレイン酸メチル、ウンデカナール、ラウリン酸アルデヒド、20−メチルウンデカナール、およびこれらの混合物などの外因性有機抽出剤であり得る。
いくつかの実施形態では、有機酸(例えば、脂肪酸)および有機酸によりアルコールをエステル化することができる触媒(例えば、リパーゼ)と、発酵培地中のアルコールを接触させることによって、アルコールをエステル化することができる。このような実施形態では、有機酸は、アルコールエステルが分配されるISPR抽出剤としての役割を果たすことができる。有機酸は発酵容器に供給されることができ、そして/あるいは発酵容器に送給される発酵性炭素を供給するバイオマスから得ることもできる。原料中に存在する脂質は、触媒作用により有機酸に加水分解することができ、同じ触媒(例えば、酵素)がアルコールにより有機酸をエステル化することができる。触媒は発酵よりも前に原料に供給されてもよいし、あるいは原料の供給よりも前または供給と同時に発酵容器に供給されてもよい。触媒が発酵容器に供給される場合、アルコールエステルは、脂質の有機酸への加水分解と、発酵容器内に存在するブタノールによる実質的に同時的な有機酸のエステル化とによって得ることができる。原料に由来しない有機酸および/または天然油を発酵容器に送給することもでき、天然油は有機酸に加水分解される。アルコールによりエステル化されない有機酸はどれもISPR抽出剤の一部としての役割を果たすことができる。アルコールエステルを含有する抽出剤は発酵培地から分離することができ、アルコールは抽出剤から回収することができる。抽出剤は、発酵容器へリサイクルすることができる。従って、ブタノールの生産の場合、例えば、ブタノールからエステルへの変換は発酵培地中の遊離ブタノール濃度を低下させ、ブタノール濃度の増大の毒性効果から微生物を保護する。加えて、脂質は触媒作用により有機酸に加水分解され、それによりISPR抽出剤中の脂質の蓄積速度を低下させることができるので、分画されていない粒子を、その中の脂質を分離することなく原料として使用することができる。
その場生成物除去はバッチモードまたは連続モードで実行することができる。その場生成物除去の連続モードでは、生成物は反応器から連続的に除去される。その場生成物除去のバッチモードでは、大量の有機抽出剤が発酵容器に添加され、プロセスの間、抽出剤は除去されない。その場生成物除去のために、有機抽出剤は発酵の開始時に発酵培地と接触して、二相発酵培地を形成することができる。あるいは、有機抽出剤は、微生物が所望の量の増殖(培養物の光学濃度の測定により決定することができる)を達成した後に発酵培地と接触することができる。さらに、有機抽出剤は、発酵培地中の生成物アルコールレベルが予め選択されたレベルに達した時点で発酵培地と接触することができる。本発明のいくつかの実施形態に従うブタノールの生産の場合、有機酸抽出剤は、有機酸によりブタノールをエステル化してブタノールエステルを生成し、その結果発酵容器中のブタノールの濃度を低減するように、ブタノール濃度が毒性レベルに達するよりも前の時点で発酵培地と接触することができる。次に、エステル含有有機相は、ブタノールエステルの所望の有効力価が達成された後で、発酵容器から除去する(そして、水相を構成する発酵ブロスから分離する)ことができる。いくつかの実施形態では、エステル含有有機相は、発酵容器内の利用可能な発酵性糖の発酵が実質的に完了した後で水相から分離される。
本発明は、以下の実施例においてさらに定義される。これらの実施例が、本発明の実施形態を示すが、実例として提供されるだけであることは理解されるべきである。上記の議論およびこれらの実施例から、当業者は本発明の本質的な特徴を確かめることができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の使用および条件に適合させるために本発明の種々の変化および修飾を行うことができる。
雑誌論文もしくは要約、公開もしくは対応する米国もしくは外国特許出願、発行済みもしくは外国特許、または他のあらゆる文献を含む、本明細書において引用される全ての文献は、それぞれ参照によって、その引用文献中で提示される全てのデータ、表、図面、および本文を含む全体が本明細書中に援用される。
実施例1
リグノセルロース加水分解物中の発酵性炭素からイソブタノールへの変換
方法
参照によって本明細書中に援用される米国特許出願公開第2007/0031918A1号明細書に全て記載されるように、希アンモニアおよび熱加工による前処理をしてから、市販用セルラーゼおよびヘミセルラーゼ酵素調製物の混合物を前処理済トウモロコシ穂軸固形分の25%で用いて、pH5.3および48℃で96時間酵素的に加水分解した粉砕トウモロコシ穂軸から、リグノセルロース加水分解物(LCH)を生成した。得られた加水分解物中の主要な糖およびアセテート濃度は、グルコース75g/L、キシロース54g/L、アラビノース6g/L、およびアセテート5g/Lであった。
リグノセルロース加水分解物中の発酵性炭素からイソブタノールへの変換
方法
参照によって本明細書中に援用される米国特許出願公開第2007/0031918A1号明細書に全て記載されるように、希アンモニアおよび熱加工による前処理をしてから、市販用セルラーゼおよびヘミセルラーゼ酵素調製物の混合物を前処理済トウモロコシ穂軸固形分の25%で用いて、pH5.3および48℃で96時間酵素的に加水分解した粉砕トウモロコシ穂軸から、リグノセルロース加水分解物(LCH)を生成した。得られた加水分解物中の主要な糖およびアセテート濃度は、グルコース75g/L、キシロース54g/L、アラビノース6g/L、およびアセテート5g/Lであった。
2つの酵母株を使用した。第1のCEN.PK113−7Dは、野生型エタノール生成株である。Van Dijken et al.,Enzyme Microb Technol 26:706−714(2000)。第2の株PNY1504は、イソブタノール生成株である。この菌株は、プラスミドpYZ090(alsS−L.ラクティス(L.lactis)KARI)およびpLH468(IlvD−hADH−KivDy)による形質転換によって、PNY1503(MATa ura3Δ::loxP his3Δpdc6Δpdc1Δ::P[PDC1]−DHAD|ilvD_Sm−PDC1t pdc5Δ::P[PDC5]−ADH|sadB_Ax−PDC5t gpd2Δ::loxP)から作成した。
合成完全−GE培地は、アミノ酸を含まない酵母窒素塩基、ドロップアウトミックス−His−Ura−Trp−Leu(1.4g/L、Sigma Y2001)+トリプトファン(20mg/L)およびロイシン(60mg/L)(Sherman F,Methods in Enzymology 350:3−41(2002))、ならびに3g/Lのグルコース+3ml/Lの190プルーフエタノール(Sigma E7023)で構成した。0.1MのMES−KOHを用いて液体培地をpH5.5に緩衝させた。20g寒天/Lを用いてペトリ皿用の固体培地を形成した。
2mlのSC−GE培地を含有する試験管にプレートから播種し、振とうさせながら30℃で6時間インキュベートした。次に、この前培養物を用いて、30℃、250rpmにおける一晩のインキュベーションのために250mlのフラスコ内の50mlのSC−GEに播種した。遠心分離によって細胞を回収し、50mlのフラスコ内の10mlの産生培地へ移した。培養物を30℃で150時間増殖させ、HPLCによる残留糖および産生アルコールの分析のために定期的にサンプリングした。試験した産生培地は、LCHまたは水で1:1に希釈したLCHのいずれかであった。
分析の前に、13,000rpmに設定したMicrofuge 18 Centrifuge(Beckman Coulter)を用いて3〜5分間、発酵サンプルにNanosep MF 0.2ミクロン遠心ろ過機(Pall Life Sciences,Ann Arbor,MI)を通過させた。Waters Alliance HPLCシステムによるHPLCによって、発酵ブロス中のグルコース、キシロース、酢酸、グリセロール、エタノール、およびイソブタノールを測定した。使用したカラムは、BioRad Micro−Guard Cartridge Cation−H(#125−0129、Bio−Rad,Hercules,CA)を付けたTransgenomic ION−300カラム(#ICE−99−9850、Transgenomic,Inc.,Ohmaha,NE)であった。カラムは、0.01NのH2SO4を溶媒として用いて、75℃および0.4mL/分の流速で流した。外部標準較正曲線を用いて屈折率検出器により出発糖および産物の濃度を決定した。
結果
イソブタノロゲンのPNY1504は1×トウモロコシ穂軸加水分解物において増殖することができなかった。図1において分かるように、PNY1504は、希釈した加水分解物において、非希釈LCHにおける野生型基準株に匹敵する速度で増殖し、野生型基準株の最終バイオマス濃度の約2/3に達した。図2は、PNY1504によるグルコースの消費およびイソブタノールの産生のプロファイルを示す。グルコースは、24時間以内に約40g/Lから約15g/Lの残留濃度になるまで消費された。その同じ期間に、イソブタノールが産生され、最終力価は3g/Lであり、0.12g.g−1の収量が得られた。比較して、図3において、エタノール生成株は、48時間よりも長い期間にわたって、約75g/Lの初期濃度から5g/L未満になるまでグルコースをほとんど完全に消費することが観察された。エタノール生成株は、約0.37g.g−1の収量に対して約28g/Lのエタノールを産生した。
イソブタノロゲンのPNY1504は1×トウモロコシ穂軸加水分解物において増殖することができなかった。図1において分かるように、PNY1504は、希釈した加水分解物において、非希釈LCHにおける野生型基準株に匹敵する速度で増殖し、野生型基準株の最終バイオマス濃度の約2/3に達した。図2は、PNY1504によるグルコースの消費およびイソブタノールの産生のプロファイルを示す。グルコースは、24時間以内に約40g/Lから約15g/Lの残留濃度になるまで消費された。その同じ期間に、イソブタノールが産生され、最終力価は3g/Lであり、0.12g.g−1の収量が得られた。比較して、図3において、エタノール生成株は、48時間よりも長い期間にわたって、約75g/Lの初期濃度から5g/L未満になるまでグルコースをほとんど完全に消費することが観察された。エタノール生成株は、約0.37g.g−1の収量に対して約28g/Lのエタノールを産生した。
実施例2
限定培地におけるC−5糖からC−4アルコールへの変換
方法
培地をpH6に緩衝させたことを除いて上記のように限定培地SC−GEにおいて菌株PNY1504を前培養した。産生培養は、グルコースまたはキシロースのいずれかを35g/Lの最終濃度まで添加し、ペニシリンG(Sigma P3032)を25μg/mlで添加したことを除いて同じSC培地を使用した。
限定培地におけるC−5糖からC−4アルコールへの変換
方法
培地をpH6に緩衝させたことを除いて上記のように限定培地SC−GEにおいて菌株PNY1504を前培養した。産生培養は、グルコースまたはキシロースのいずれかを35g/Lの最終濃度まで添加し、ペニシリンG(Sigma P3032)を25μg/mlで添加したことを除いて同じSC培地を使用した。
S.セレビシエ(S.cerevisiae)は、キシロースを発酵させるように遺伝子操作されなければキシロースを発酵させることはできないが、キシルロースを発酵させることはできる。キシロースがイソブタノールへの発酵のために利用可能であるかどうかを試験するために、Lastick S.M.,et al.,Applied Microbiology and Biotechnology 30:574−579(1989)、Wang P.Y.,et al.,Biotechnology Letters 2:273−278(1980)、およびChandrakant P & Bisaria VS,Appl Microbiol Biotechnol 53:301−309(2000)において本質的に記載されるように、キシロースイソメラーゼ(10g/L、Sigma G4166)によってその場でキシルロースへ変換した。
キシルロースは酵母により吸収され、ペントースリン酸経路を通って代謝されることが可能である。酵母はキシロースにおいて増殖させると主に代謝の呼吸モードを表し、高いバイオマス収量および低い発酵産物の収量をもたらすことが示されている。Souto−Maior AM,et al.,J Biotechnol.143:119−23(2009)。従って、発酵産物へ向かうフラックスを増大させるために、培養物を呼吸抑制剤アンチマイシンA(1μM、Sigma A8674)で処理した。
結果
図4に示されるように、イソブタノロゲンはグルコースをイソブタノールへ発酵させた。ヘキソースはアンチマイシンA処理に関係なく24時間以内に消費された。アンチマイシンA処理した培養物は、約0.08g.g−1の収量に対して、いくらか高い約3.3g/Lのイソブタノール力価を達成した。高い初期バイオマス濃度を使用して産生培養物を播種したので、低レベルの増殖が観察された。
図4に示されるように、イソブタノロゲンはグルコースをイソブタノールへ発酵させた。ヘキソースはアンチマイシンA処理に関係なく24時間以内に消費された。アンチマイシンA処理した培養物は、約0.08g.g−1の収量に対して、いくらか高い約3.3g/Lのイソブタノール力価を達成した。高い初期バイオマス濃度を使用して産生培養物を播種したので、低レベルの増殖が観察された。
図5は、キシロースイソメラーゼと共に単独の炭素源としてキシロースが提供されたときの発酵プロファイルを示す。キシルロースへのキシロースの変換およびその後のその利用は、グルコース消費よりも遅い。78時間までに、10g/Lのキシロースが消費されたに過ぎない(間接的に、キシロースイソメラーゼの存在のために平衡状態にあるキシルロースとして)。この消費プロファイルはアンチマイシンAの有無によって有意な影響を受けなかった。しかしながら、呼吸抑制剤はバイオマスの蓄積をわずかに低下させ、著しく増大されたイソブタノールの産生が観察された(78時間においてそれぞれ0.5対0.1g/L)。イソブタノールの収量は、アンチマイシンAの存在下で0.04g.g−1であり、薬物の非存在下で0.01g.g−1であった。
実施例3
リグノセルロース加水分解物中のキシロースのイソブタノールへの変換
方法
この実験はキシロースイソメラーゼを使用して、リグノセルロース加水分解物(LCH)中に存在するキシロースをキシルロースへ変換した。キシルロースは次に、イソブタノール生成酵母株によるイソブタノールへの発酵のために利用可能である。PNY1504を上記のように前増殖させ、培養のために25mg/LのペニシリンGを含有する0.5×LCHに移した。図面の凡例に記載されるようにキシロースイソメラーゼ(10g/L)および/またはアンチマイシンA(1μM)を添加した。170時間の途中で分析のためにサンプルを定期的に抜き取った。
リグノセルロース加水分解物中のキシロースのイソブタノールへの変換
方法
この実験はキシロースイソメラーゼを使用して、リグノセルロース加水分解物(LCH)中に存在するキシロースをキシルロースへ変換した。キシルロースは次に、イソブタノール生成酵母株によるイソブタノールへの発酵のために利用可能である。PNY1504を上記のように前増殖させ、培養のために25mg/LのペニシリンGを含有する0.5×LCHに移した。図面の凡例に記載されるようにキシロースイソメラーゼ(10g/L)および/またはアンチマイシンA(1μM)を添加した。170時間の途中で分析のためにサンプルを定期的に抜き取った。
結果
図6は、発酵の間のグルコース、キシロース、およびキシルロースの濃度を示す。キシロースイソメラーゼの非存在下でアンチマイシンAを添加した場合を除いて、グルコースは48時間以内に消費された。キシロースの消費およびキシルロースの形成(図示せず)は、予想通りに、キシロースイソメラーゼの添加を必要とした。
図6は、発酵の間のグルコース、キシロース、およびキシルロースの濃度を示す。キシロースイソメラーゼの非存在下でアンチマイシンAを添加した場合を除いて、グルコースは48時間以内に消費された。キシロースの消費およびキシルロースの形成(図示せず)は、予想通りに、キシロースイソメラーゼの添加を必要とした。
発酵中の有効なイソブタノール力価は図7に示される。4つの培養物は全て、最初の48時間でグルコースからイソブタノールを作り、力価は約4〜6g/Lの範囲であった。続いて、原料からグルコースが使い果たされた後の期間には、キシロースイソメラーゼおよびアンチマイシンAの両方で処理した培養物が100時間の間に最大量のイソブタノールを作った。その後、恐らくアルコールの蒸発のために濃度は低下した。キシロースイソメラーゼを含まない培養物は、恐らく酢酸などの加水分解物中の不良炭素源のゆっくりとした同化作用のために、実験全体を通してイソブタノールを徐々に蓄積し続けた。
実施例3
イソブタノールの回収
前述の実施例で生産されたイソブタノールは、2010年6月18日に出願された米国仮特許出願第61/356,290号明細書の方法に従うその場生成物回収方法によって回収され得る。そこに記載されるその場生成物回収(ISPR)方法は、発酵前および発酵中の抑制剤の除去によってブタノールの生産の改善を提供する。ISPR技術を用いる組換えの生物による混合糖の利用は、糖利用の増大、抑制剤プロファイルの低下およびアルコール産物のトレランスの増大の1つまたは複数によりブタノールの生産の改善を提供し得る。
イソブタノールの回収
前述の実施例で生産されたイソブタノールは、2010年6月18日に出願された米国仮特許出願第61/356,290号明細書の方法に従うその場生成物回収方法によって回収され得る。そこに記載されるその場生成物回収(ISPR)方法は、発酵前および発酵中の抑制剤の除去によってブタノールの生産の改善を提供する。ISPR技術を用いる組換えの生物による混合糖の利用は、糖利用の増大、抑制剤プロファイルの低下およびアルコール産物のトレランスの増大の1つまたは複数によりブタノールの生産の改善を提供し得る。
実施例4
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株BP1083(「NGCI−070」、PNY1504)の構築
菌株BP1064はCEN.PK113−7D(CBS 8340、Centraalbureau voor Schimmelcultures(CBS)Fungal Biodiversity Centre,Netherlands)に由来し、以下の遺伝子:URA3、HIS3、PDC1、PDC5、PDC6、およびGPD2の欠失を含有する。BP1064をプラスミドpYZ090(配列番号1、米国仮特許出願第61/246,844号明細書に記載)およびpLH468(配列番号2)で形質転換し、菌株NGCI−070(BP1083、PNY1504)を作成した。
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株BP1083(「NGCI−070」、PNY1504)の構築
菌株BP1064はCEN.PK113−7D(CBS 8340、Centraalbureau voor Schimmelcultures(CBS)Fungal Biodiversity Centre,Netherlands)に由来し、以下の遺伝子:URA3、HIS3、PDC1、PDC5、PDC6、およびGPD2の欠失を含有する。BP1064をプラスミドpYZ090(配列番号1、米国仮特許出願第61/246,844号明細書に記載)およびpLH468(配列番号2)で形質転換し、菌株NGCI−070(BP1083、PNY1504)を作成した。
標的遺伝子の上流および下流の相同性領域と、形質転換体の選択のためのG418耐性マーカーまたはURA3遺伝子のいずれかとを含有するPCR断片による相同組換えによって、コード配列全体を完全に除去した欠失を作成した。Creリコンビナーゼを用いて、loxP部位により隣接されるG418耐性マーカーを除去した。URA3遺伝子を相同組換えにより除去して痕跡のない(scarless)欠失を作成するか、あるいはloxP部位に隣接される場合には、Creリコンビナーゼを用いて除去した。
痕跡のない欠失の手順は、Akada,et al.,(Yeast 23:399−405,2006)から適合させた。一般に、4つの断片A−B−U−CをオーバーラップPCRにより結合させることによって、痕跡のない欠失のそれぞれに対するPCRカセットを作った。PCRカセットは、選択可能/対抗選択可能なマーカー、天然CEN.PK113−7D URA3遺伝子からなるURA3(断片U)を、プロモーター(URA3遺伝子の上流250bp)およびターミネーター(URA3遺伝子の下流150bp)と共に含有した。断片AおよびC(それぞれ、長さ500bp)は、標的遺伝子のすぐ上流500bp(断片A)および標的遺伝子の3’の500bp(断片C)に相当した。断片AおよびCは、相同組換えによるカセットの染色体への組込みのために使用した。断片B(長さ500bp)は標的遺伝子のすぐ下流の500bpに相当し、カセットの染色体への組込みの際に断片Bに相当する配列の直接反復が作成されるように、相同組換えによる染色体からのURA3マーカーおよび断片Cの切除のために使用した。PCR産物ABUCカセットを用いて、まずURA3マーカーを組込み、次に相同組換えにより染色体から切除した。最初の組込みにより、3’の500bpを除く遺伝子が欠失された。切除の際、遺伝子の3’の500bp領域も欠失させた。この方法を用いる遺伝子の組込みのために、組み込むべき遺伝子は、断片AとBの間でPCRカセットに包含させた。
URA3の欠失
内因性URA3コード領域を欠失させるために、ura3::loxP−kanMX−loxPカセットを、pLA54テンプレートDNA(配列番号3)からPCR増幅した。pLA54は、K.ラクティス(K.lactis)TEF1プロモーターおよびkanMXマーカーを含有し、loxP部位によって隣接されて、Creリコンビナーゼによる組換えおよびマーカーの除去を可能にする。PCRは、Phusion(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)ならびにプライマーBK505およびBK506(配列番号4および5)を用いて行った。各プライマーのURA3部分は、loxP−kanMX−loxPマーカーの組込みがURA3コード領域の置換をもたらすように、URA3プロモーターの上流の5’領域およびコード領域の下流の3’領域に由来した。標準遺伝子技術(Methods in Yeast Genetics,2005,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,pp.201−202)を用いてPCR産物をCEN.PK113−7Dに形質転換し、G418(100μg/mL)を含有するYPDにおいて30℃で形質転換体を選択した。形質転換体をスクリーニングして、プライマーLA468およびLA492(配列番号6および7)を用いるPCRによって正確な組込みを検証し、CEN.PK113−7DΔura3::kanMXと命名した。
内因性URA3コード領域を欠失させるために、ura3::loxP−kanMX−loxPカセットを、pLA54テンプレートDNA(配列番号3)からPCR増幅した。pLA54は、K.ラクティス(K.lactis)TEF1プロモーターおよびkanMXマーカーを含有し、loxP部位によって隣接されて、Creリコンビナーゼによる組換えおよびマーカーの除去を可能にする。PCRは、Phusion(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)ならびにプライマーBK505およびBK506(配列番号4および5)を用いて行った。各プライマーのURA3部分は、loxP−kanMX−loxPマーカーの組込みがURA3コード領域の置換をもたらすように、URA3プロモーターの上流の5’領域およびコード領域の下流の3’領域に由来した。標準遺伝子技術(Methods in Yeast Genetics,2005,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,pp.201−202)を用いてPCR産物をCEN.PK113−7Dに形質転換し、G418(100μg/mL)を含有するYPDにおいて30℃で形質転換体を選択した。形質転換体をスクリーニングして、プライマーLA468およびLA492(配列番号6および7)を用いるPCRによって正確な組込みを検証し、CEN.PK113−7DΔura3::kanMXと命名した。
HIS3の欠失
Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)と、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact,キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したテンプレートとしてのCEN.PK113−7DゲノムDNAとを用いて、痕跡のないHIS3欠失のためのPCRカセットの4つの断片を増幅した。プライマーoBP452(配列番号14)と、HIS3断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP453(配列番号15)とを用いて、HIS3断片Aを増幅した。HIS3断片Aの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP454(配列番号16)と、HIS3断片Uの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP455(配列番号17)とを用いて、HIS3断片Bを増幅した。HIS3断片Bの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP456(配列番号18)と、HIS3断片Cの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP457(配列番号19)とを用いて、HIS3断片Uを増幅した。HIS3断片Uの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP458(配列番号20)と、プライマーoBP459(配列番号21)とを用いて、HIS3断片Cを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。HIS3断片AおよびHIS3断片Bを混合し、プライマーoBP452(配列番号14)およびoBP455(配列番号17)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりHIS3断片ABを作成した。HIS3断片UおよびHIS3断片Cを混合し、プライマーoBP456(配列番号18)およびoBP459(配列番号21)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりHIS3断片UCを作成した。得られたPCR産物をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。HIS3断片ABおよびHIS3断片UCを混合し、プライマーoBP452(配列番号14)およびoBP459(配列番号21)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりHIS3ABUCカセットを作成した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。
Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)と、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact,キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したテンプレートとしてのCEN.PK113−7DゲノムDNAとを用いて、痕跡のないHIS3欠失のためのPCRカセットの4つの断片を増幅した。プライマーoBP452(配列番号14)と、HIS3断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP453(配列番号15)とを用いて、HIS3断片Aを増幅した。HIS3断片Aの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP454(配列番号16)と、HIS3断片Uの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP455(配列番号17)とを用いて、HIS3断片Bを増幅した。HIS3断片Bの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP456(配列番号18)と、HIS3断片Cの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP457(配列番号19)とを用いて、HIS3断片Uを増幅した。HIS3断片Uの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP458(配列番号20)と、プライマーoBP459(配列番号21)とを用いて、HIS3断片Cを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。HIS3断片AおよびHIS3断片Bを混合し、プライマーoBP452(配列番号14)およびoBP455(配列番号17)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりHIS3断片ABを作成した。HIS3断片UおよびHIS3断片Cを混合し、プライマーoBP456(配列番号18)およびoBP459(配列番号21)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりHIS3断片UCを作成した。得られたPCR産物をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。HIS3断片ABおよびHIS3断片UCを混合し、プライマーoBP452(配列番号14)およびoBP459(配列番号21)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりHIS3ABUCカセットを作成した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。
CEN.PK113−7DΔura3::kanMXのコンピテント細胞を作り、Frozen−EZ Yeast Transformation IITMキット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を用いて、HIS3ABUCPCRカセットで形質転換した。形質転換混合物を、2%のグルコースが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地において30℃でプレーティングした。Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したゲノムDNAを用いて、his3ノックアウトを有する形質転換体を、プライマーoBP460(配列番号22)およびoBP461(配列番号23)によるPCRによってスクリーニングした。正確な形質転換体を菌株CEN.PK113−7DΔura3::kanMXΔhis3::URA3として選択した。
Δura3部位からのKanMXマーカーの除去およびΔhis3部位からのURA3マーカーの除去
Frozen−EZ Yeast Transformation IITMキット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を用いて、CEN.PK113−7DΔura3::kanMXΔhis3::URA3を、pRS423::PGAL1−cre(配列番号66、米国仮特許出願第61/290,639号明細書に記載される)で形質転換し、2%のグルコースが補充されたヒスチジンおよびウラシルを欠いた合成完全培地において30℃でプレーティングすることによって、KanMXマーカーを除去した。1%のガラクトースが補充されたYPにおいて30℃で約6時間、形質転換体を増殖させて、CreリコンビナーゼおよびKanMXマーカーの切除を誘発させ、回収のために30℃でYPD(2%のグルコース)プレートにプレーティングした。分離株をYPD中で一晩増殖させ、5−フルオロ−オロト酸(5−FOA、0.1%)を含有する合成完全培地に30℃でプレーティングして、URA3マーカーを失った分離株を選択した。pRS423::PGAL1−creプラスミドの除去のために、5−FOA耐性分離株をYPDにおいて増殖およびプレーティングした。YPD+G418プレート、ウラシルを欠いた合成完全培地プレート、およびヒスチジンを欠いた合成完全培地プレートにおける増殖をアッセイすることによって、KanMXマーカー、URA3マーカー、およびpRS423::PGAL1−creプラスミドの損失について分離株を検査した。G418に対して感受性があり、ウラシルおよびヒスチジンに対して栄養要求性である正確な分離株を、菌株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3として選択し、BP857と命名した。欠失およびマーカーの除去は、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したゲノムDNAを用いて、Δura3のためのプライマーoBP450(配列番号24)およびoBP451(配列番号25)、ならびにΔhis3のためのプライマーoBP460(配列番号22)およびoBP461(配列番号23)によるPCRおよび配列決定によって確認した。
Frozen−EZ Yeast Transformation IITMキット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を用いて、CEN.PK113−7DΔura3::kanMXΔhis3::URA3を、pRS423::PGAL1−cre(配列番号66、米国仮特許出願第61/290,639号明細書に記載される)で形質転換し、2%のグルコースが補充されたヒスチジンおよびウラシルを欠いた合成完全培地において30℃でプレーティングすることによって、KanMXマーカーを除去した。1%のガラクトースが補充されたYPにおいて30℃で約6時間、形質転換体を増殖させて、CreリコンビナーゼおよびKanMXマーカーの切除を誘発させ、回収のために30℃でYPD(2%のグルコース)プレートにプレーティングした。分離株をYPD中で一晩増殖させ、5−フルオロ−オロト酸(5−FOA、0.1%)を含有する合成完全培地に30℃でプレーティングして、URA3マーカーを失った分離株を選択した。pRS423::PGAL1−creプラスミドの除去のために、5−FOA耐性分離株をYPDにおいて増殖およびプレーティングした。YPD+G418プレート、ウラシルを欠いた合成完全培地プレート、およびヒスチジンを欠いた合成完全培地プレートにおける増殖をアッセイすることによって、KanMXマーカー、URA3マーカー、およびpRS423::PGAL1−creプラスミドの損失について分離株を検査した。G418に対して感受性があり、ウラシルおよびヒスチジンに対して栄養要求性である正確な分離株を、菌株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3として選択し、BP857と命名した。欠失およびマーカーの除去は、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したゲノムDNAを用いて、Δura3のためのプライマーoBP450(配列番号24)およびoBP451(配列番号25)、ならびにΔhis3のためのプライマーoBP460(配列番号22)およびoBP461(配列番号23)によるPCRおよび配列決定によって確認した。
PDC6の欠失
Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)と、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したテンプレートとしてのCEN.PK113−7DゲノムDNAとを用いて、痕跡のないPDC6欠失のためのPCRカセットの4つの断片を増幅した。プライマーoBP440(配列番号26)と、PDC6断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP441(配列番号27)とを用いて、PDC6断片Aを増幅した。PDC6断片Aの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP442(配列番号28)と、PDC6断片Uの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP443(配列番号29)とを用いて、PDC6断片Bを増幅した。PDC6断片Bの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP444(配列番号30)と、PDC6断片Cの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP445(配列番号31)とを用いて、PDC6断片Uを増幅した。PDC6断片Uの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP446(配列番号32)と、プライマーoBP447(配列番号33)とを用いて、PDC6断片Cを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。PDC6断片AおよびPDC6断片Bを混合し、プライマーoBP440(配列番号26)およびoBP443(配列番号29)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC6断片ABを作成した。PDC6断片UおよびPDC6断片Cを混合し、プライマーoBP444(配列番号30)およびoBP447(配列番号33)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC6断片UCを作成した。得られたPCR産物をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。PDC6断片ABおよびPDC6断片UCを混合し、プライマーoBP440(配列番号26)およびoBP447(配列番号33)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC6ABUCカセットを作成した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。
Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)と、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したテンプレートとしてのCEN.PK113−7DゲノムDNAとを用いて、痕跡のないPDC6欠失のためのPCRカセットの4つの断片を増幅した。プライマーoBP440(配列番号26)と、PDC6断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP441(配列番号27)とを用いて、PDC6断片Aを増幅した。PDC6断片Aの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP442(配列番号28)と、PDC6断片Uの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP443(配列番号29)とを用いて、PDC6断片Bを増幅した。PDC6断片Bの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP444(配列番号30)と、PDC6断片Cの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP445(配列番号31)とを用いて、PDC6断片Uを増幅した。PDC6断片Uの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP446(配列番号32)と、プライマーoBP447(配列番号33)とを用いて、PDC6断片Cを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。PDC6断片AおよびPDC6断片Bを混合し、プライマーoBP440(配列番号26)およびoBP443(配列番号29)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC6断片ABを作成した。PDC6断片UおよびPDC6断片Cを混合し、プライマーoBP444(配列番号30)およびoBP447(配列番号33)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC6断片UCを作成した。得られたPCR産物をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。PDC6断片ABおよびPDC6断片UCを混合し、プライマーoBP440(配列番号26)およびoBP447(配列番号33)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC6ABUCカセットを作成した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。
CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3のコンピテント細胞を作り、Frozen−EZ Yeast Transformation IITMキット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を用いて、PDC6ABUCPCRカセットで形質転換した。形質転換混合物を、2%のグルコースが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地において30℃でプレーティングした。Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したゲノムDNAを用いて、pdc6ノックアウトを有する形質転換体を、プライマーoBP448(配列番号34)およびoBP449(配列番号35)によるPCRによってスクリーニングした。正確な形質転換体を菌株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6::URA3として選択した。
CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6::URA3をYPD中で一晩増殖させ、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地において30℃でプレーティングして、URA3マーカーを失った分離株を選択した。欠失およびマーカーの除去は、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したゲノムDNAを用いて、プライマーoBP448(配列番号34)およびoBP449(配列番号35)によるPCRおよび配列決定によって確認した。分離株からのPDC6遺伝子の欠損は、PDC6のコード配列、oBP554(配列番号36)およびoBP555(配列番号37)に特異的なプライマーを用いて、陰性PCR結果によって実証した。正確な分離株を菌株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6として選択し、BP891と命名した。
PDC1欠失ilvDSmの組込み
PDC1遺伝子を欠失させ、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)ATCC No.700610からのilvDコード領域で置換した。Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)と、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したテンプレートとしてのNYLA83ゲノムDNAとを用いて、PDC1欠失−ilvDSm組込みのためのPCRカセットのA断片とその後のストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)からのilvDコード領域を増幅した。NYLA83は、参照によってその全体が本明細書中に援用される米国特許出願公開第2009/0305363号明細書に記載されるPDC1欠失−ilvDSm組込みを有する菌株(参照によってその全体が本明細書中に援用される米国特許出願公開第2011/0124060号明細書に記載される構成)である。プライマーoBP513(配列番号38)と、PDC1断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP515(配列番号39)とを用いて、PDC1断片A−ilvDSm(配列番号69)を増幅した。Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)と、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したテンプレートとしてのCEN.PK113−7DゲノムDNAとを用いて、PDC1欠失−ilvDSm組込みのためのPCRカセットのB、U、およびC断片を増幅した。PDC1断片A−ilvDSmの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP516(配列番号40)と、PDC1断片Uの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP517(配列番号41)とを用いて、PDC1断片Bを増幅した。PDC1断片Bの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP518(配列番号42)と、PDC1断片Cの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP519(配列番号43)とを用いて、PDC1断片Uを増幅した。PDC1断片Uの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP520(配列番号44)と、プライマーoBP521(配列番号45)とを用いて、PDC1断片Cを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CAにより精製した。PDC1断片A−ilvDSmおよびPDC1断片Bを混合し、プライマーoBP513(配列番号38)およびoBP517(配列番号41)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC1断片A−ilvDSm−Bを作成した。PDC1断片UおよびPDC1断片Cを混合し、プライマーoBP518(配列番号42)およびoBP521(配列番号45)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC1断片UCを作成した。得られたPCR産物をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。PDC1断片A−ilvDSm−BおよびPDC1断片UCを混合し、プライマーoBP513(配列番号38)およびoBP521(配列番号45)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC1A−ilvDSm−BUCカセット(配列番号70)を作成した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。
PDC1遺伝子を欠失させ、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)ATCC No.700610からのilvDコード領域で置換した。Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)と、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したテンプレートとしてのNYLA83ゲノムDNAとを用いて、PDC1欠失−ilvDSm組込みのためのPCRカセットのA断片とその後のストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)からのilvDコード領域を増幅した。NYLA83は、参照によってその全体が本明細書中に援用される米国特許出願公開第2009/0305363号明細書に記載されるPDC1欠失−ilvDSm組込みを有する菌株(参照によってその全体が本明細書中に援用される米国特許出願公開第2011/0124060号明細書に記載される構成)である。プライマーoBP513(配列番号38)と、PDC1断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP515(配列番号39)とを用いて、PDC1断片A−ilvDSm(配列番号69)を増幅した。Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)と、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したテンプレートとしてのCEN.PK113−7DゲノムDNAとを用いて、PDC1欠失−ilvDSm組込みのためのPCRカセットのB、U、およびC断片を増幅した。PDC1断片A−ilvDSmの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP516(配列番号40)と、PDC1断片Uの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP517(配列番号41)とを用いて、PDC1断片Bを増幅した。PDC1断片Bの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP518(配列番号42)と、PDC1断片Cの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP519(配列番号43)とを用いて、PDC1断片Uを増幅した。PDC1断片Uの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP520(配列番号44)と、プライマーoBP521(配列番号45)とを用いて、PDC1断片Cを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CAにより精製した。PDC1断片A−ilvDSmおよびPDC1断片Bを混合し、プライマーoBP513(配列番号38)およびoBP517(配列番号41)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC1断片A−ilvDSm−Bを作成した。PDC1断片UおよびPDC1断片Cを混合し、プライマーoBP518(配列番号42)およびoBP521(配列番号45)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC1断片UCを作成した。得られたPCR産物をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。PDC1断片A−ilvDSm−BおよびPDC1断片UCを混合し、プライマーoBP513(配列番号38)およびoBP521(配列番号45)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC1A−ilvDSm−BUCカセット(配列番号70)を作成した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。
CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6のコンピテント細胞を作り、Frozen−EZ Yeast Transformation IITMキット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を用いて、PDC1A−ilvDSm−BUCPCRカセットで形質転換した。形質転換混合物を2%のグルコースが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地において30℃でプレーティングした。Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したゲノムDNAを用いて、pdc1ノックアウトilvDSm組込みを有する形質転換体を、プライマーoBP511(配列番号46)およびoBP512(配列番号47)によるPCRによってスクリーニングした。分離株からのPDC1遺伝子の欠損は、PDC1のコード配列、oBP550(配列番号48)およびoBP551(配列番号49)に特異的なプライマーを用いて、陰性PCR結果によって実証した。正確な形質転換体を菌株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSm−URA3として選択した。
CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSm−URA3をYPD中で一晩増殖させ、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地において30℃でプレーティングして、URA3マーカーを失った分離株を選択した。PDC1の欠失、ilvDSmの組込み、およびマーカーの除去は、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したゲノムDNAを用いて、プライマーoBP511(配列番号46)およびoBP51(配列番号47)によるPCRおよび配列決定によって確認した。正確な分離株を菌株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSmとして選択し、BP907と命名した。
PDC5欠失sadB組込み
PDC5遺伝子を欠失させ、アクロモバクター・キシロスオキシダンス(Achromobacter xylosoxidans)からのsadBコード領域で置換した。PDC5欠失−sadB組込みのためのPCRカセットのセグメントをまずプラスミドpUC19−URA3MCSにクローン化した。
PDC5遺伝子を欠失させ、アクロモバクター・キシロスオキシダンス(Achromobacter xylosoxidans)からのsadBコード領域で置換した。PDC5欠失−sadB組込みのためのPCRカセットのセグメントをまずプラスミドpUC19−URA3MCSにクローン化した。
pUC19−URA3MCSはpUC19に基づき、マルチクローニング部位(MCS)内に位置するサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)からのURA3遺伝子の配列を含有する。pUC19は、pMB1レプリコン、およびエシェリキア・コリ(Escherichia coli)における複製および選択のためにベータ−ラクタマーゼをコードする遺伝子を含有する。URA3のコード配列に加えて、酵母におけるURA3遺伝子の発現のためにこの遺伝子の上流および下流からの配列が含まれる。ベクターはクローニングの目的で使用することができ、酵母組込みベクターとして使用することができる。
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)CEN.PK113−7DゲノムDNAからのURA3コード領域の上流250bpおよび下流150bpと共にURA3コード領域を包含するDNAを、Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)を用いて、BamHI、AscI、PmeI、およびFseI制限部位を含有するプライマーoBP438(配列番号12)と、XbaI、PacI、およびNotI制限部位を含有するoBP439(配列番号13)とにより増幅した。Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)を用いてゲノムDNAを調製した。PCR産物およびpUC19(配列番号72)を、BamHIおよびXbaIによる消化の後にT4DNAリガーゼと連結させ、ベクターpUC19−URA3MCSを作成した。ベクターは、プライマーoBP264(配列番号10)およびoBP265(配列番号11)によるPCRおよび配列決定によって確認した。
sadBのコード配列およびPDC5断片BをpUC19−URA3MCSにクローン化して、PDC5A−sadB−BUCPCRカセットのsadB−BU部分を作成した。pLH468−sadB(配列番号67)をテンプレートとして用いて、AscI制限部位を含有するプライマーoBP530(配列番号50)と、PDC5断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP531(配列番号51)とによりsadBのコード配列を増幅した。sadBの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP532(配列番号52)と、PmeI制限部位を含有するプライマーoBP533(配列番号53)とを用いて、PDC5断片Bを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。sadBおよびPDC5断片BのPCR産物を混合し、プライマーoBP530(配列番号50)およびoBP533(配列番号53)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりsadB−PDC5断片Bを作成した。得られたPCR産物をAscIおよびPmeIにより消化し、適切な酵素による消化の後、pUC19−URA3MCSの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。プライマーoBP536(配列番号54)と、PDC5断片Cの5’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するoBP546(配列番号55)とを用いるsadB−断片B−断片Uの増幅のために、得られたプラスミドをテンプレートとして使用した。PDC5sadB−断片B−断片Uの3’端部に対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP547(配列番号56)と、プライマーoBP539(配列番号57)とを用いて、PDC5断片Cを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。PDC5sadB−断片B−断片UおよびPDC5断片Cを混合し、プライマーoBP536(配列番号54)およびoBP539(配列番号57)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC5sadB−断片B−断片U−断片Cを作成した。得られたPCR産物をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。天然PDC5コード配列のすぐ上流の50個のヌクレオチドに対する相同性を有する5’テールを含有するプライマーoBP542(配列番号58)と、oBP539(配列番号57)とを用いてPDC5sadB−断片B−断片U−断片Cを増幅することによって、PDC5A−sadB−BUCカセット(配列番号71)を作成した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。
CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSmのコンピテント細胞を作り、Frozen−EZ Yeast Transformation IITMキット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を用いて、PDC5A−sadB−BUCPCRカセットで形質転換した。形質転換混合物を1%のエタノールが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地(グルコースなし)において30℃でプレーティングした。Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したゲノムDNAを用いて、pdc5ノックアウトsadB組込みを有する形質転換体を、プライマーoBP540(配列番号59)およびoBP541(配列番号60)によるPCRによってスクリーニングした。分離株からのPDC5遺伝子の欠損は、PDC5のコード配列、oBP552(配列番号61)およびoBP553(配列番号62)に特異的なプライマーを用いて、陰性PCR結果によって実証した。正確な形質転換体を菌株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSmΔpdc5::sadB−URA3として選択した。
CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSmΔpdc5::sadB−URA3をYPE(1%のエタノール)中で一晩増殖させ、エタノール(グルコースなし)が補充された、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地において30℃でプレーティングして、URA3マーカーを失った分離株を選択した。PDC5の欠失、sadBの組込み、およびマーカーの除去は、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bact.キット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したゲノムDNAを用いて、プライマーoBP540(配列番号59)およびoBP541(配列番号60)によるPCRによって確認した。正確な分離株を菌株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSmΔpdc5::sadBとして選択し、BP913と命名した。
GPD2の欠失
内因性GPD2コード領域を欠失させるために、loxP−URA3−loxP(配列番号68)をテンプレートDNAとして用いて、gpd2::loxP−URA3−loxPカセット(配列番号73)をPCR増幅した。loxP−URA3−loxPは、loxPリコンビナーゼ部位に隣接される(ATCC No.77107)からのURA3マーカーを含有する。Phusion(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)ならびにプライマーLA512およびLA513(配列番号8および9)を用いてPCRを行った。loxP−URA3−loxPマーカーの組込みがGPD2コード領域の置換をもたらすように、各プライマーのGPD2部分は、GPD2コード領域の上流の5’領域およびコード領域の下流の3’領域に由来した。PCR産物をBP913に形質転換し、形質転換体を1%のエタノールが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地(グルコースなし)において選択した。形質転換体をスクリーニングして、プライマーoBP582およびAA270(配列番号63および64)を用いるPCRによって正確な組込みを検証した。
内因性GPD2コード領域を欠失させるために、loxP−URA3−loxP(配列番号68)をテンプレートDNAとして用いて、gpd2::loxP−URA3−loxPカセット(配列番号73)をPCR増幅した。loxP−URA3−loxPは、loxPリコンビナーゼ部位に隣接される(ATCC No.77107)からのURA3マーカーを含有する。Phusion(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)ならびにプライマーLA512およびLA513(配列番号8および9)を用いてPCRを行った。loxP−URA3−loxPマーカーの組込みがGPD2コード領域の置換をもたらすように、各プライマーのGPD2部分は、GPD2コード領域の上流の5’領域およびコード領域の下流の3’領域に由来した。PCR産物をBP913に形質転換し、形質転換体を1%のエタノールが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地(グルコースなし)において選択した。形質転換体をスクリーニングして、プライマーoBP582およびAA270(配列番号63および64)を用いるPCRによって正確な組込みを検証した。
pRS423::PGAL1−cre(配列番号66)による形質転換と、1%のエタノールが補充された、ヒスチジンを欠いた合成完全培地における30℃でのプレーティングとによって、URA3マーカーを再利用した。1%のエタノールが補充され、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地上に形質転換体を画線し、30℃でインキュベートして、URA3マーカーを失った分離株を選択した。pRS423::PGAL1−creプラスミドを除去するために5−FOA耐性分離株をYPE(1%のエタノール)中で増殖させた。欠失およびマーカー除去は、プライマーoBP582(配列番号63)およびoBP591(配列番号65)によるPCRによって確認した。正確な分離株を菌株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSmΔpdc5::sadBΔgpd2::loxPとして選択し、PNY1503(BP1064)と命名した。
BP1064をプラスミドpYZ090(配列番号1)およびpLH468(配列番号2)で形質転換して、菌株NGCI−070(BP1083、PNY1504)を作成した。
Claims (76)
- (a)(i)ブタノールを産生可能な微生物と、(ii)五炭糖をキシルロースまたはキシルロース−5−リン酸へ変換することができる酵素または酵素の組み合わせと、を含む組成物を提供するステップと;
(b)該組成物を、混合糖を含む炭素基質と接触させるステップと;
(c)酸素利用が制限された条件下で、前記微生物を培養するステップと;
を含むブタノールの生産方法。 - ブタノールがイソブタノールである、請求項1に記載の方法。
- 微生物が酵母である、請求項1または2に記載の方法。
- 五炭糖をキシルロースまたはキシルロース−5−リン酸へ変換することができる酵素または酵素の組み合わせが、組成物中の微生物によって組換えで発現される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 五炭糖をキシルロースまたはキシルロース−5−リン酸へ変換することができる酵素または酵素の組み合わせが、ブタノールを産生可能な微生物によって組換えで発現される、請求項4に記載の方法。
- 五炭糖をキシルロースまたはキシルロース−5−リン酸へ変換することができる酵素または酵素の組み合わせが、ブタノールを産生可能な微生物によって産生されない、請求項4に記載の方法。
- 五炭糖をキシルロースまたはキシルロース−5−リン酸へ変換することができる酵素または酵素の組み合わせが、組成物中の微生物によって産生されない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 五炭糖をキシルロースまたはキシルロース−5−リン酸へ変換することができる酵素または酵素の組み合わせが、(i)キシロースイソメラーゼ、(ii)キシロースレダクターゼ、(iii)キシリトールデヒドロゲナーゼ、(iv)アラビノースイソメラーゼ、(v)リブロキナーゼ、(vi)リブロース−リン酸−5−エピメラーゼ、(vii)アラビノースレダクターゼ、(viii)アラビトールデヒドロゲナーゼ、(ix)キシルロースレダクターゼ、(x)キシルロキナーゼ、(xi)アルドースレダクターゼ、および(xii)これらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- キシロースイソメラーゼが酵素番号EC5.3.1.5を有する、請求項8に記載の方法。
- キシロースレダクターゼが酵素番号EC1.1.1.9またはEC1.1.1.10を有する、請求項8に記載の方法。
- アラビノースイソメラーゼが酵素番号EC5.3.1.4を有する、請求項8に記載の方法。
- リブロキナーゼが酵素番号EC2.7.1.16を有する、請求項8に記載の方法。
- リブロース−リン酸−5−エピメラーゼが酵素番号EC5.1.3.4を有する、請求項8に記載の方法。
- アラビトールデヒドロゲナーゼが酵素番号EC1.1.1.12を有する、請求項8に記載の方法。
- キシルロキナーゼが酵素番号EC2.7.1.17を有する、請求項8に記載の方法。
- アルドースレダクターゼが酵素番号EC1.1.1.21を有する、請求項8に記載の方法。
- 五炭糖源がキシロース源である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
- 五炭糖源がアラビノース源である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
- 五炭糖がブタノールへ変換される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
- 五炭糖源が六炭糖源でもある、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
- さらに、前記組成物を六炭糖源と接触させるステップを含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
- 五炭素および六炭糖が少なくとも約1.5g/gdcw/hの比率で累積的に消費される、請求項21に記載の方法。
- 五炭糖および六炭糖がブタノールへ変換される、請求項21または22に記載の方法。
- 発酵性炭素が少なくとも約2g/gdcw/hの比率で累積的に消費される、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
- 五炭糖および六炭糖が消費され、五炭糖の消費率が六炭糖の消費率の少なくとも約1%である、請求項21〜24のいずれか一項に記載の方法。
- 五炭糖源がリグノセルロース系バイオマスである、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
- 前記リグノセルロース系バイオマスが、スイッチグラス、古紙、製紙からの汚泥、トウモロコシ穀粒、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ皮、トウモロコシ茎葉、木くず、草、小麦、小麦わら、干し草、大麦、大麦わら、稲わら、サトウキビバガス、ソルガム、大豆、穀粒の加工から得られる成分、木、枝、根、葉、木材チップ、おがくず、灌木および低木、野菜、果実、花、動物性肥料、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
- リグノセルロース系バイオマスがアンモニアによって前処理される、請求項26または27に記載の方法。
- 五炭糖源が少なくとも約20g/Lの濃度で存在する、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
- 五炭糖源が少なくとも約50g/Lの濃度で存在する、請求項29に記載の方法。
- 五炭糖源が少なくとも約75g/Lの濃度で存在する、請求項30に記載の方法。
- ブタノールを産生可能な微生物が、(a)ピルベートからアセトラクテートへの変換、(b)アセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの変換、(c)2,3−ジヒドロキシイソバレレートから2−ケトイソバレレートへの変換、(d)2−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの変換、および(e)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
- ブタノールを産生可能な微生物が、アセト乳酸シンターゼ、ケト酸レダクトイソメラーゼ、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ、ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ、およびアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項32に記載の方法。
- ブタノールを産生可能な微生物が、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチドにおける少なくとも1つの欠失、突然変異、および/または置換を含む、請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
- ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドが、Pdc1、Pdc5、Pdc6、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
- ブタノールを産生可能な微生物が、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素を実質的に含まない、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
- ブタノールを産生可能な微生物がPNY1504である、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
- 培養するステップが、発酵槽内で行われる、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
- 組成物に呼吸抑制剤が添加される、請求項1〜38のいずれか一項に記載の方法。
- 抑制剤がアンチマイシンAである、請求項39に記載の方法。
- 組成物および/または五炭糖源が、ブタノールを産生不能な微生物をさらに含み、ブタノールを産生可能な前記微生物が少なくとも1g/lに等しい濃度で存在する、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
- ブタノールを産生可能な微生物が、ブタノールを産生不能な微生物の濃度を超える濃度で存在する、請求項41に記載の方法。
- ブタノールの比生産量が少なくとも約0.4g/g/hである、請求項1〜42のいずれか一項に記載の方法。
- 組成物を適切な抽出剤と接触させ、それによりブタノールを回収することができるステップをさらに含む、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
- 培養物からブタノールを精製するステップをさらに含む、請求項1〜44のいずれか一項に記載の方法。
- 培養物からのブタノールの精製がオレイルアルコール中での抽出を含む、請求項45に記載の方法。
- 請求項1〜46のいずれか一項に記載の方法によって得られるブタノール組成物。
- 請求項2〜47のいずれか一項に記載の方法によって得られるイソブタノール組成物。
- (a)ブタノールを産生可能な微生物と、
(b)五炭糖をキシルロースまたはキシルロース−5−リン酸へ変換することができる酵素または酵素の組み合わせと、
(c)五炭糖源と、
(d)発酵培地と
を含む、ブタノールを生産するための組成物。 - ブタノールがイソブタノールである、請求項49に記載の組成物。
- 微生物が酵母である、請求項49または50に記載の組成物。
- 五炭糖源が六炭糖源でもある、請求項49〜51のいずれか一項に記載の組成物。
- 六炭糖源をさらに含む、請求項49〜52のいずれか一項に記載の組成物。
- 五炭糖源が少なくとも約20g/Lの濃度で存在する、請求項49〜53のいずれか一項に記載の組成物。
- 五炭糖源が少なくとも約50g/Lの濃度で存在する、請求項54に記載の組成物。
- 五炭糖源が少なくとも約75g/Lの濃度で存在する、請求項55に記載の組成物。
- ブタノールを産生可能な微生物が、(a)ピルベートからアセトラクテートへの変換、(b)アセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの変換、(c)2,3−ジヒドロキシイソバレレートから2−ケトイソバレレートへの変換、(d)2−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの変換、および(e)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項49〜56のいずれか一項に記載の組成物。
- ブタノールを産生可能な微生物が、アセト乳酸シンターゼ、ケト酸レダクトイソメラーゼ、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ、ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ、およびアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項57に記載の組成物。
- ブタノールを産生可能な微生物が、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチドにおける少なくとも1つの欠失、突然変異、および/または置換を含む、請求項49〜58のいずれか一項に記載の組成物。
- ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドが、Pdc1、Pdc5、Pdc6、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項59に記載の組成物。
- ブタノールを産生可能な微生物がサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である、請求項49〜60のいずれか一項に記載の組成物。
- 呼吸抑制剤をさらに含む、請求項49〜61のいずれか一項に記載の組成物。
- ブタノールを産生しない微生物をさらに含む、請求項49〜62のいずれか一項に記載の組成物。
- ブタノールを産生可能な微生物が、少なくとも、ブタノールを産生しない微生物の濃度と等しい濃度で存在する、請求項63に記載の組成物。
- 組成物がブタノールおよびエタノールを生産することができる、請求項49〜64のいずれか一項に記載の組成物。
- 組成物が、少なくとも約0.4g/g%の理論収率でブタノールを生産することができる、請求項49〜65のいずれか一項に記載の組成物。
- 酸素利用が制限された条件下で、請求項49〜67のいずれか一項に記載の組成物を培養することによって得られるブタノール組成物。
- 酸素利用が制限された条件下で、請求項49〜67のいずれか一項に記載の組成物を培養することによって得られるイソブタノール組成物。
- リグノセルロース系材料においてブタノール産生微生物を増殖させる方法であって、
(a)リグノセルロース系材料を含有する組成物を提供するステップと、
(b)該組成物を、(i)ブタノールを産生可能な微生物、および(ii)五炭糖をキシルロースまたはキシルロース−5−リン酸へ変換することができる酵素または酵素の組み合わせと、接触させるステップと、
(c)酸素利用が制限された条件下で該組成物を維持するステップと、
を含む、上記方法。 - 五炭糖をキシルロースまたはキシルロース−5−リン酸へ変換することができる酵素または酵素の組み合わせが、ブタノールを産生可能な微生物によって組換えで発現される、請求項69に記載の方法。
- 請求項70に記載の方法によって得られるブタノール組成物。
- 請求項70に記載の方法によって得られるイソブタノール組成物。
- リグノセルロース系材料を含む組成物において、ブタノールを産生しない微生物の増殖を抑制する方法であって、
(a)リグノセルロース系材料を含有する組成物を提供するステップと、
(b)該組成物を、(i)ブタノールを産生可能な微生物、および(ii)五炭糖をキシルロースまたはキシルロース−5−リン酸へ変換することができる酵素または酵素の組み合わせと、接触させるステップと、
(c)酸素利用が制限された条件下で該組成物を維持するステップと、
を含む方法。 - 五炭糖をキシルロースまたはキシルロース−5−リン酸へ変換することができる酵素または酵素の組み合わせが、ブタノールを産生可能な微生物によって組換えで発現される、請求項73に記載の方法。
- 請求項73または74に記載の方法によって得られるブタノール組成物。
- 請求項73または74に記載の方法によって得られるイソブタノール組成物。
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