JP2014505890A - 組織試料固定のための方法 - Google Patents

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Abstract

第一の温度のアルデヒド固定溶液を、第一の期間、組織試料と接触させ、さらにアルデヒド固定溶液を、第一の温度より高い第二の温度で、第二の期間、組織試料と接触させる。第一の期間は、典型的には約15分間〜最大約4時間であり、そして第一の温度は、典型的には0℃より高く少なくとも15℃までである。第二の温度は、典型的には、約22℃〜約55℃であり、そして第二の期間は、約1時間〜約4時間の範囲である。このプロセスを用いると、改善された組織形態およびIHC染色が見られ、それと同時に、翻訳後修飾シグナルの優れた保持が、室温プロトコルの24時間と比較して、およそ4時間で達成され、そしてさらに、形態および抗原保存が観察される。

Description

[0001]開示する態様は、病理学的解釈のため、試料の続く染色および画像化のための組織試料のアルデヒド固定、例えばホルマリン固定によって、組織試料をプロセシングすることに関する。
背景
[0002]ホルマリンは、半世紀に渡って、組織学的分野で用いられてきている。室温で用いた場合、ホルマリンは組織切片内に拡散し、そしてタンパク質および核酸を架橋して、それによって代謝を停止させ、生体分子を保持し、そしてパラフィン蝋浸潤のため組織を準備する。実際には、ホルマリン固定は主に、室温またはそれより高い温度で行われる。おそらく架橋速度が増加するであろうため、いくつかのグループは、わずかに上昇した温度で固定を行う。熱が架橋速度を増加させるのと同様に、冷たいホルマリンは架橋速度を有意に減少させる。このため、組織学者らは、典型的には、組織固定を室温またはそれより高い温度で行う。いくつかのグループは、冷たいホルムアルデヒドを使用してきているが、特殊な状況においてのみであり、そして組織を固定するためではない。例えば、あるグループは、脂肪滴または他の特別な状況を調べるために冷たいホルマリンを用いる。
[0003]ホルマリンに過少曝露されたかまたは過剰曝露されたかいずれかの組織において、いくつかの影響が観察される。組織試料が十分に長期間ホルマリンで処理されていない場合、組織を標準的組織プロセシングに供した際、組織形態は、典型的には非常に劣っている。例えば不適切に固定された組織において、組織が適切な架橋格子を形成する機会がないため、続いてエタノールに曝露すると、細胞構造が縮み、そして核が凝縮する。過少固定された組織を、例えばヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)で染色すると、細胞および組織構造間に多くの白い空間が観察され、核は凝縮し、そして細胞質は失われ、そして試料はヘマトキシリン染色によってピンクでそして不安定に見える。ホルマリンにあまりに長時間曝露されている組織は、続く免疫組織化学プロセスではよく働かず、これはおそらく、核酸および/またはタンパク質変性および分解のためである。その結果、これらの組織に最適な抗原回収条件が適切に働かず、そしてしたがって、組織試料は過少染色されているように見える。
[0004]適切な医学的診断および患者安全性のためには、染色前に組織試料が適切に固定されている必要がある。したがって、組織試料の適切な固定に関して、腫瘍学者および病理学者によって指針が確立されてきている。例えば、米国臨床腫瘍学会(ASCO)によれば、HER2免疫組織化学分析のための中性緩衝ホルマリン溶液中の固定時間に関する現在の指針は、少なくとも6時間、好ましくはそれより長く、そして最大72時間である。顕著な分解が生じる前に、生物学的分子および組織形態をよりよく保存し、そしてかつ可能な限り迅速に医療専門家および患者に正確な試験結果を提供するため、組織試料を迅速に固定するためのプロセスを開発することが好適であろう。
[0005]こうしたプロセスは、翻訳後修飾シグナルを保持するために特に重要である。タンパク質の翻訳後修飾は、細胞代謝において、非常に重要な役割を果たす。例えば、タンパク質のリン酸化は、細胞周期調節、複製、転写および翻訳などの、多くの細胞機能を制御する。ユビキチン化のような他の修飾は、分解に関してこれらのタンパク質をターゲティングし、そして細胞機能に関して顕著な効果を有することも可能である。不運なことに、細胞がこれらの修飾のいくつかの調節を失うと、細胞増殖が生じ、そして癌が発生する。実際、大部分の癌経路は、現在、リン酸化カスケードと一体として関連づけられており、このカスケードは最終的に、細胞を不死化させ、そして癌性と判断させるようにする。研究者および企業には、特定の癌タイプを診断し、そして/または治療転帰を予測する方法として、特定の修飾が癌中に存在するかどうかを理解することが非常に重要であろう。
[0006]不運なことに、現在存在する方法は、典型的には、室温で長期間固定し、そしてプロセシングすることを必要とし、タンパク質修飾を保持するのに優れてはいない。タンパク質の修飾シグナルを失う問題に関して、過去、多くの研究者が取り組んできており、例えば、ホスファターゼ作用の停止、例えばMillipore(キナーゼ阻害剤カクテル、カタログ番号20−116)、Thermo Scientific(停止ホスファターゼ阻害剤カクテル、カタログ番号78420)がある。
[0007]産業において、他の研究者は、修飾酵素の作用を停止するため、迅速凍結法を開発してきている(Lawsonら Cytotoxicity effects of cryoprotectants as single−component and cocktail vitrification solutions, 2011, 第62巻, 第2号, 115−122ページ)。迅速凍結法は、一般的に、移植のために全臓器を保存する必要がある場合に適用され、そしてDMSOまたは糖を含む。不運なことに、迅速凍結は、最初にこうした酵素の作用を遅らせる可能性もあるが、試料の融解に際して、その作用を阻害しない。これらのアプローチはすべて、様々な限界を有する。
[0008]上記アプローチは、拡散特性が劣っているため、または固形組織においてホスファターゼ阻害剤の大部分は有効性がないため、主に、組織抽出物または細胞株における修飾酵素の阻害に有用である。より大きな分子の阻害剤、例えばタンパク質は、非常に低い拡散速度を有するであろう。より小さい分子、例えばオルトバナジン酸塩は、より高い拡散速度を有するが、限定された特異性を持ち、そしてすべてのホスファターゼに対して非常に有効なわけではない。現在、固形組織試料において、修飾酵素の作用を有効に停止する、普遍的で実行が容易な方法は、利用可能ではない。したがって、組織形態、タンパク質構造、および/または翻訳後修飾シグナルを保持する際に優れた特質を持つ新規組織固定法を開発することが、当該技術分野において望ましい。
概要
[0009]本発明は、組織を固定するための方法に関する。典型的な態様において、方法は、組織形態、タンパク質構造および/または翻訳後修飾シグナルを保持する優れた品質を提供する。
[0010]特定の開示する態様は、組織試料の、ホルマリン固定によって例示されるアルデヒド固定のための方法であって、アルデヒド溶液および組織試料を、第一の期間および第一の温度で、適用するか、浸漬するかまたは別の方式で接触させて、そして次いで、組織試料の温度を第一の温度より高い第二の温度に、第二の期間、上昇させる行程を含む、前記方法に関する。
[0011]アルデヒド溶液および組織試料を、典型的には、第一の温度で、アルデヒド溶液が実質的に組織試料の全横断面全体に拡散するのを可能にするのに有効な期間、接触させる。
[0012]組織試料の第二の温度は第一の温度より高い。組織試料温度の上昇は、組織試料温度の迅速で素早いまたはさらに突然の、第二の温度への上昇を含んでもよい。試料温度の上昇は、架橋を増加させながら、一方でなお根底にある試料反応性を保持するために行われる。あるいは、組織試料の第二の温度への上昇は、組織試料を第二の温度の溶液中に浸漬することによって達成可能であり、ここで溶液は同じかまたは異なるアルデヒド溶液であってもよい。第二の温度は典型的には周囲より高く、より典型的には約22℃より高く、さらにより典型的には約22℃より高く、少なくとも約50℃であり、そしてさらにより典型的には、約22℃より高く約45℃までである。第二の期間は、内因性分子および構造の実質的に完全な架橋が起こるのを可能にするのに有効である。第二の期間は多様であることも可能であるが、典型的には15分間より長く、最大少なくとも約5時間であり、典型的には約1時間〜約4時間であり、そしてさらにより典型的には約2時間〜約3時間である。温度を上昇させるのに用いる速度および方法は、翻訳後修飾シグナルの最適な保持が達成されるように設計される。
[0013]第一の期間は、組織の厚さに応じて多様でありうるが、4mmまでの厚さのASCO CAPガイドラインに関して、典型的には約15分間から最大4時間の範囲であり、より典型的には15分間より長く、約3時間までであり、そしてさらにより典型的には、約1時間〜約2時間である。より厚い試料に関しては、第一の期間は拡散速度によって指示されるであろうことが認識される。第一の温度は、少なくとも−20℃〜約15℃であり、典型的には少なくとも0℃〜約15℃であり、より典型的には少なくとも0℃〜約10℃であり、そしてさらにより典型的には約3℃〜約5℃である。
[0014]方法の特定の態様は、第一の温度で第一のアルデヒド溶液を組織試料に適用し、その後、第二のアルデヒド溶液を組織試料に適用する工程を含む。第二のアルデヒド溶液は、第一のアルデヒド溶液と異なっていてもよい。例えば、溶液は、異なる濃度であってもよいし、または第二のアルデヒド溶液は、第一のアルデヒドと異なるアルデヒドを含んでもよい。アルデヒドは典型的には低次アルキルアルデヒド、例えばホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、またはその組み合わせである。
[0015]本発明の1つの開示される例示的な態様は、組織試料を、0℃に等しいかまたはそれより高い温度から、最大5℃を超えない温度で、15分間より長く最大約4時間の第一の期間、ホルマリン溶液内に浸漬する工程を含む。次いで、組織試料を、約22℃より高く、最大少なくとも45℃の第二の温度で、約1時間〜約4時間の第二の期間、ホルマリン溶液内に浸漬する。ホルマリン溶液は、一般的に10%NBFである。これらのプロセシング工程には、典型的には、一連のアルコール洗浄が続き、さらに0分間より長く、最大少なくとも約30分間まで、あるいは約1時間、約2時間、約3時間または約4時間、清浄化溶液洗浄、例えばキシレン洗浄が続く。次いで、ワックスを組織試料に適用して、ワックス含浸ブロックを形成する。
[0016]現在理解されるように、現在まで、組織固定の品質を増加させるために、冷却および加熱固定剤アプローチを用いたものはいなかった。操作の理論によって束縛されることなく、現在、減少した温度では、非常にわずかの架橋しか起こらないが、固定溶液は実質的にすべての組織切片内に浸透すると考えられる。さらに、代謝または酵素プロセスが劇的に減少する可能性もある。ひとたび拡散したら、温度を迅速に上昇させ、ここで架橋動力学が非常に増加する。このプロセスを用いて、いくつかの態様において、高品質の組織形態および当該技術分野に知られるIHC染色が、室温プロトコルの24時間に比較して、およそ4時間で達成されてきている。さらに、固定溶液は実質的に試料内に拡散しているため、より均一な形態および抗原保持が観察される。このプロトコルは、組織試料内への固定剤溶液の拡散を可能にするが、架橋を最小限にする第一のプロセス工程、および開示する作業態様においては、典型的には組織試料を固定するために用いられる期間中、架橋速度を増加させる第二のプロセス工程に、固定プロセスを分離する点で、先行技術とは異なる。
[0017]典型的な態様において、方法は、例えば少なくとも30%、50%、70%、または90%の翻訳後修飾シグナルを保持することによって、組織試料中のタンパク質の翻訳後修飾シグナルを有意に保持する。本発明の組織固定法は、翻訳後修飾シグナルを破壊する酵素活性を有意に停止することも可能であり、例えばホスファターゼの酵素活性を停止する。
[0018]別の典型的な態様において、方法は、例えば少なくとも30%、50%、70%、または90%の翻訳後修飾シグナルを保持することによって、組織試料中のタンパク質のシグナルを有意に保持する。本発明の組織固定法は、タンパク質を分解する酵素活性を有意に停止することも可能であり、例えばプロテアーゼの酵素活性を停止する。
[0019]1つの例示的な態様において、ホルムアルデヒド固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料を用いる。本方法は、FFPE組織から修飾状態を保持するため、存在する試みに勝るいくつかの利点を提供する。該方法は、組織学実施において広く用いられている標準的ホルマリン溶液を用いる。冷たい工程は、冷たいホルマリンの後の加熱ホルマリンからなる、単純な方式で実行可能である。本発明は、当該技術分野において初めて、FFPE組織中の修飾状態の保持を達成する。本技術は、存在する固定法より迅速であり、そして組織標本の転換時間を有意に減少させ、そして情報フローを改善する。
[0020]別の態様は、自動検出系において、本発明の方法にしたがって固定された組織試料を検出する工程を含む、自動検出法に関する。
[0021]要約すると、本方法は、当該技術分野に存在する方法に勝る、少なくとも3つの改善点を提供する。第一に、ホルマリンが低温環境において組織切片内に浸透することを可能にすることによって、酵素活性を有意に減少させることが可能である。第二に、組織試料温度を迅速に上昇させることによって、架橋動力学を増加させることにより、細胞構成要素は、室温で観察されるであろうよりもより迅速にその場所に「ロック」される。この組み合わせによって、この技術は存在する方法よりも優れたものとなり、そして初めて、FFPE組織において、修飾状態を保持することが可能になる。第三に、これは、非常に多様な修飾状態および酵素に適用可能であると考えられる一般的な方法に相当する。他の方法は、特定のセットの修飾酵素をターゲットとする一方、この方法は、迅速にすべての修飾酵素を無効にし、そしてしたがって、代表的な室温法よりもはるかに優れた一般的な細胞状態を保持する。本発明は、生体分子の特定のセットまたは特定の翻訳後修飾を含有する生体分子に限定されないため、この方法は、任意の生体分子または修飾状態の保持のための一般的な方法に相当すると考えられる。したがって、本発明は、高品質の多量の生体分子および特定の翻訳後修飾を含有する生体分子を保持可能である。
[0022]前述のおよび他の本発明の目的、特徴および利点は、付随する図に言及して進行する、以下の詳細な説明からより明らかとなるであろう。
[0023]図1A〜1Dは、異なる期間(それぞれ0、2、4および24時間)、サイクリンD1とともに処理した組織試料のデジタル顕微鏡画像であり、固定状態が、抗体を用いて得られる染色結果の強度に対して有する影響を例示する。 [0024]図2A〜2Dは、異なる期間(それぞれ0、2、4および24時間)、bcl−2とともに処理した組織試料のデジタル顕微鏡画像であり、固定状態が、抗体を用いて得られる染色結果の強度に対して有する影響を例示する。 [0025]図3A〜3Fは、異なるプロセシングプロトコルにしたがって処理した組織試料のデジタル顕微鏡画像であり、10%中和緩衝ホルマリン溶液に、10分間、30分間および60分間、前浸漬した組織試料(それぞれ、A〜C、およびD〜F)を、bcl−2、ジアミノベンジジンおよびヘマトキシリン試薬で処理した際、染色品質が増加することを例示する;図3A〜3Cは、前浸漬せず、そして10%中和緩衝ホルマリン溶液で40℃で処理して得られた画像であり;図3D〜3Fは、10%中和緩衝ホルマリン溶液に4℃で2時間、前浸漬し、その後、10%中和緩衝ホルマリン溶液で40℃で固定し;そして図3Gおよび3Hは、それぞれ図3Cおよび3Fに示す領域を引き延ばしたものである。 [0026]図4A〜4Bは、図3Cおよび3Fに示す領域をさらに大きくしたデジタル顕微鏡画像である。 [0027]図5は、35℃、40℃、45℃、および50℃の10%中和緩衝ホルマリン溶液で、0.5〜6時間の異なる期間、組織試料を処理することによって得られた組織形態結果の図式提示である。 [0028]図6は、35℃、40℃、45℃、および50℃の10%中和緩衝ホルマリン溶液で、0.5〜6時間の異なる期間処理した組織試料を用いたbcl−2免疫組織化学分析によって得られた抗原性結果の図式提示である。 [0029]図7は、前浸漬しそして浸漬せずに処理し、そして35℃、40℃、45℃、および50℃の10%中和緩衝ホルマリン溶液で、0.5〜6時間の異なる期間処理した組織試料を用いたbcl−2免疫組織化学分析によって得られた抗原性結果の図式提示である。 [0030]図8は、前浸漬しない対照と比較した、多様な前浸漬時間でプロセシングした組織試料の抗原性および組織形態結果の図式提示である。 [0031]図9は、前浸漬しない対照と比較した、多様な前浸漬時間でプロセシングした組織試料の抗原性および組織形態結果の図式提示である。 [0032]図10は、前浸漬しない対照と比較した、多様な前浸漬時間でプロセシングした組織試料の抗原性および組織形態結果の図式提示である。 [0033]図11A〜Eは、Calu−3異種移植片に対するpAKTに関する染色の顕微鏡画像である。 [0034]図12A〜Dは、ホスファターゼ(phosphate)処理を伴うまたは伴わない、Calu−3異種移植片に対するpAKTに関する染色の顕微鏡画像である。 [0035]図13A〜Bは、非浸潤性乳管癌(DCIS)を有するヒト***に対するpAKTに関する染色の顕微鏡画像である。 [0036]図14A〜Dは、熱変性下での、Calu−3異種移植片に対するpAKTに関する染色の顕微鏡画像である。 [0037]図14Eは、熱変性の異なる条件下での、Calu−3異種移植片に対するpAKTに関する陽性染色の定量的分析の図式提示である。 [0038]図15A〜Eは、試料を除去した後の翻訳後シグナルの分解を示す、Calu−3異種移植片に対するpAKTに関する染色の顕微鏡画像である。 [0039]図16A〜Iは、ヒト結腸癌に対するホスホマーカーに関する染色の顕微鏡画像である。 [0040]図16JおよびKは、異なる固定条件下での、正常および癌腫細胞におけるpAKTまたはpPRAS40に関する陽性染色の定量的分析の図式提示である。 [0041]図17AおよびBは、ヒト非浸潤性乳管癌(DCIS)におけるmiRNAの保持に関する染色の顕微鏡画像である。 [0042]図18AおよびBは、ヒト非浸潤性乳管癌(DCIS)におけるDNAの保持に関する染色の顕微鏡画像である。 [0043]図19A、BおよびCは、ヒト結腸癌に対するHif1αの保持に関する染色の顕微鏡画像である。
[0044]I.略語、用語および序論
[0045]別に記載しない限り、技術用語は慣用的用法にしたがって用いられる。分子生物学における共通の用語の定義は、Benjamin Lewin, Genes VII, Oxford University Press刊行, 2000(ISBN 019879276X); Kendrewら(監修), The Encyclopedia of Molecular Biology, Blackwell Publishers刊行, 1994(ISBN 0632021829);およびRobert A. Meyers(監修), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, Wiley, John & Sons, Inc.刊行, 1995(ISBN 0471186341);および他の類似の参考文献に見られうる。
[0046]本明細書において、単数形の用語「a」、「an」、および「the」には、文脈が明らかに別に示さない限り、複数の指示対象が含まれる。同様に、単語「または(or)」には、文脈が明らかに別に示さない限り、「および(and)」が含まれると意図される。また、本明細書において、用語「含む(comprises)」は、その法的に許容される定義および方式で用いられ、そして本明細書の何ものも、こうした意味を変化させるよう意図されない。核酸またはポリペプチドまたは他の化合物に関して提供されるすべてのヌクレオチドサイズまたはアミノ酸サイズ、およびすべての分子量または分子質量値は、およそのものであり、そして説明のため提供されることが、さらに理解されるものとする。本明細書に記載するものと類似のまたは同等の方法および材料を、本開示の実施または試験において用いてもよいが、適切な方法および材料を以下に記載する。矛盾する場合は、用語の説明を含めて、本明細書が統制するであろう。さらに、材料、方法および実施例は、例示のみであり、そして限定することを意図しない。
[0047]この開示の多様な例の概説を容易にするため、略語および特定の用語の以下の説明を提供する:
[0048]H&E:ヘマトキシリンおよびエオジン染色。
[0049]IHC:免疫組織化学。
[0050]ISH:in situハイブリダイゼーション。
[0051]NBF:中和緩衝ホルマリン溶液。
[0052]アルデヒド:本発明の目的のため、用語「アルデヒド」は、アルデヒドを含有する固定剤の架橋タイプを指す。アルデヒドを含有する架橋性固定剤の多くの例が、ブアン、グリオキサール、亜鉛−ホルマリン、酸性ホルマリン(AFA)およびグルタルアルデヒドを含めて、組織学においては一般的である。
[0053]アルキル:飽和脂肪族鎖。
[0054]動物:生存多細胞脊椎動物生物、例えば哺乳動物および鳥類を含むカテゴリー。用語、哺乳動物には、ヒトおよび非ヒト哺乳動物両方が含まれる。同様に、用語「被験体」には、ヒトおよび獣医学的被験体、例えばヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、およびウシが含まれる。
[0055]抗体:「抗体」は、集合的に、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子(例えば、そして限定なしに、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、その組み合わせ、ならびに任意の脊椎動物において、例えばヒト、ヤギ、ウサギおよびマウスなどの哺乳動物において、免疫反応中に産生される類似の分子を含む)、および関心対象の分子(または関心対象の非常に類似の分子の群)に、他の分子への結合を実質的に排除するほど、特異的に結合する抗体断片(例えば、生物学的試料中の他の分子に関する結合定数よりも、少なくとも10−1大きく、少なくとも10−1大きく、または少なくとも10−1大きい、関心対象の分子に対する結合定数を有する抗体および抗体断片)を指す。
[0056]より具体的には、「抗体」は、抗原のエピトープを特異的に認識し、そして結合する、軽鎖または重鎖免疫グロブリン可変領域を少なくとも含む、ポリペプチドリガンドを指す。抗体は、重鎖および軽鎖で構成され、その各々は、可変重鎖(V)領域および可変軽鎖(V)領域と称される可変領域を有する。総合すると、V領域およびV領域は、抗体によって認識される抗原の結合に関与する。
[0057]抗原:特異的体液性または細胞性免疫の産物、例えば抗体分子またはT細胞受容体によって特異的に結合可能である化合物、組成物、または物質。抗原は、例えばハプテン、単純中間代謝物、糖(例えばオリゴ糖)、脂質、およびホルモン、ならびに複雑な炭水化物(例えば多糖)、リン脂質、核酸およびタンパク質などの巨大分子を含む、任意のタイプの分子であってもよい。抗原の一般的なカテゴリーには、限定されるわけではないが、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、原生動物および他の寄生虫抗原、腫瘍抗原、自己免疫疾患、アレルギーおよび移植片拒絶に関与する抗原、毒素、ならびに他の種々の抗原が含まれる。1つの例において、抗原は、バチルス属(Bacillus)抗原、例えばγPGAである。
[0058]エピトープ:抗原決定基。これらは、抗原性であり、すなわち特異的免疫反応を誘発する、分子上の特定の化学基、あるいは連続または不連続ペプチド配列である。抗体は、特定の抗原性エピトープに結合する。
[0059]ホルマリン:生物学的標本の保持に一般的に用いられる、水中のホルムアルデヒドの商業的溶液。固定剤として用いられるホルマリンは、典型的には10%中性緩衝ホルマリン(NBF)であるが、他の溶液濃度もまた使用可能である。したがって、有用なホルマリン固定濃度は、典型的には0%より高く、最大少なくとも20%であり、より典型的には5%から最大15%であり、本発明の特定の開示する作業態様は、組織試料を固定するために10%NBF溶液を用いている。
[0060]ハプテン:特異的に抗体と組み合わせ可能であるが、典型的にはキャリアー分子との組み合わせがなければ、免疫原性であることが実質的に不可能である、分子、典型的には小分子。
[0061]免疫反応:刺激に対する免疫系の細胞、例えばB細胞、T細胞、マクロファージまたは多形核細胞(polymorphonucleocyte)の反応。免疫反応には、宿主防御反応に関与する体の任意の細胞、例えばインターフェロンまたはサイトカインを分泌する上皮細胞も含まれる。免疫反応には、限定されるわけではないが、生得的免疫反応または炎症が含まれる。
[0062]単離:「単離」微生物(例えばウイルス、細菌、真菌、または原生動物)は、異なるタイプ、株、または種の微生物から実質的に分離されるかまたは精製されている。微生物は、連続希釈および培養を含む、多様な技術によって単離されうる。
[0063]「単離」生物学的構成要素(例えば核酸分子、タンパク質または細胞小器官)は、該構成要素が天然に存在する生物の細胞における他の生物学的構成要素、例えば他の染色体および染色体外DNAおよびRNA、タンパク質、および細胞小器官から実質的に分離されるかまたは精製されている。「単離」されている核酸およびタンパク質には、標準的精製法によって精製された核酸およびタンパク質が含まれる。該用語はまた、宿主細胞における組換え発現によって調製された核酸およびタンパク質、ならびに化学的に合成された核酸またはタンパク質、あるいはその断片も含む。
[0064]低次アルキル:1〜10の炭素原子を含有する飽和脂肪族鎖。
[0065]哺乳動物:この用語には、ヒトおよび非ヒト哺乳動物の両方が含まれる。同様に、用語「被験体」には、ヒトおよび獣医学的被験体の両方が含まれる。
[0066]関心対象の分子またはターゲット:存在、位置および/または濃度を決定しようとする分子。関心対象の分子の例には、タンパク質および核酸配列が含まれる。
[0067]モノクローナル抗体:Bリンパ球の単一クローンによって、または単一抗体の軽鎖および重鎖遺伝子がトランスフェクションされている細胞によって産生される抗体。モノクローナル抗体は、当業者に知られる方法によって、例えば骨髄細胞と免疫脾臓細胞の融合から、ハイブリッド抗体形成細胞を作製することによって、産生される。モノクローナル抗体には、ヒト化モノクローナル抗体が含まれる。
[0068]多重、多重化された、多重化する:望ましいように、試料中で多数のターゲットを実質的に同時に、または連続して検出すること。多重化には、核酸一般、DNA、RNA、ペプチド、タンパク質を、個々に、そしてあらゆる組み合わせでの両方で、同定し、そして/または定量化することが含まれうる。
[0069]新生物形成および腫瘍:異常でそして制御されない細胞増殖のプロセス。新生物形成は、増殖性障害の一例である。新生物形成の産物は、過剰な細胞***から生じる組織の異常増殖である、新生物(腫瘍)である。転移しない腫瘍は、「良性」と称される。周囲組織に浸潤し、そして/または転移しうる腫瘍は、「悪性」と称される。血液学的腫瘍の例には、白血病が含まれ、これには急性白血病(例えば急性リンパ球性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病および骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病)、慢性白血病(例えば慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、および慢性リンパ球性白血病)、真性多血病、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキン性リンパ腫(低悪性度および高悪性度型)、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群、毛様細胞白血病および脊髄形成異常症が含まれる。
[0070]固形腫瘍、例えば肉腫および癌腫の例には、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、および他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ系腫瘍、膵臓癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、乳頭様甲状腺癌、褐色細胞種、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝腫瘍、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、セミノーマ、膀胱癌、およびCNS腫瘍(例えばグリオーマ、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽腫および網膜芽細胞腫)が含まれる。
[0071]ポリペプチド:モノマーがアミノ酸残基であり、これらがアミド結合を通じてともに連結されている、ポリマー。アミノ酸がアルファ−アミノ酸である場合、L−光学異性体またはD−光学異性体のいずれかを使用可能である。用語「ポリペプチド」または「タンパク質」は、本明細書において、任意のアミノ酸配列を含むよう意図され、そしてこれには、糖タンパク質などの修飾された配列が含まれる。用語「ポリペプチド」は、特に、天然存在タンパク質、ならびに組換え的にまたは合成的に産生されたものを含むよう意図される。
[0072]用語「残基」または「アミノ酸残基」には、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに取り込まれるアミノ酸への言及が含まれる。
[0073]タンパク質:アミノ酸で構成される分子、特にポリペプチド。
[0074]翻訳後修飾:翻訳後のタンパク質化学的修飾。多くのタンパク質に関しては、これはタンパク質生合成、そしてしたがって、遺伝子発現の後の工程の1つである。アミノ酸の翻訳後修飾は、タンパク質に他の生化学的官能基(例えばアセテートホスフェート、多様な脂質および炭水化物)を付着させるか、アミノ酸の化学的性質を変更するか(例えばシトルリン化)、または構造変化を作製する(例えばジスルフィド架橋の形成)ことによって、タンパク質の機能範囲を拡張する。また、酵素は、タンパク質のアミノ端からアミノ酸を除去するか、または中央でペプチド鎖を切断することも可能である。例えば、ペプチドホルモンインスリンは、ジスルフィド結合が形成された後、2回切断され、そしてプロペプチドが鎖中央から除去され;生じたタンパク質は、ジスルフィド結合によって連結された2つのポリペプチド鎖からなる。また、大部分の新生ポリペプチドは、mRNA上の「開始」コドンが、このアミノ酸をやはりコードするため、アミノ酸メチオニンで始まる。このアミノ酸は、通常、翻訳後修飾中に取り除かれる。
[0075]リン酸化のような他の修飾は、タンパク質の振る舞いを調節する、例えば酵素を活性化するかまたは不活性化するための、一般的な機構の一部である。
[0076]翻訳後修飾シグナルの保持は、本明細書開示の方法を用いることによって達成可能である。該方法は、組織試料中のタンパク質の翻訳後修飾シグナルを有意に、例えば翻訳後修飾シグナルの少なくとも50%、70%、90%または99%を保持することによって、保持する。例示的な態様において、翻訳後修飾シグナルによるpAKTの免疫組織化学シグナルを、翻訳後修飾シグナルの保持を示す指標として用いる。
[0077]プロテアーゼ:タンパク質分解酵素プロテイナーゼとしてもまた知られ、酵素の巨大な群である。プロテアーゼは加水分解酵素として知られる酵素クラスに属し、水分子の参加を伴って多様な結合の加水分解の反応を触媒する。
[0078]プロテアーゼは、アミノ酸残基を連結するペプチド結合を***させて長いタンパク質鎖を短い断片に消化するのに関与する。このうちいくつかは、タンパク質鎖から末端アミノ酸を脱離させることが可能であり(エキソペプチダーゼ、例えばアミノペプチダーゼカルボキシペプチダーゼA);他のものは、タンパク質の内部ペプチド結合を攻撃する(エンドペプチダーゼ、例えばトリプシンキモトリプシンペプシンパパインエラスターゼ
[0079]プロテアーゼは、触媒活性部位および作用条件の特性にしたがって、4つの主な群に分けられる:セリンプロテイナーゼ、システイン(チオール)プロテイナーゼ、アスパラギン酸プロテイナーゼ、およびメタロプロテイナーゼ。特定の基へのプロテアーゼの付着は、触媒部位の構造およびその活性に必須のアミノ酸(構成要素の1つとして)に依存する。
[0080]試料:被験体から得られるゲノムDNA、RNA(mRNAを含む)、タンパク質、またはその組み合わせを含有する生物学的標本。例には、限定されるわけではないが、末梢血、尿、唾液、組織生検、外科標本、羊水穿刺試料および剖検材料が含まれる。1つの例において、試料には、腺癌生検、非癌性組織の試料、および正常組織(既知の疾患または障害に罹患していない被験体)の試料が含まれる。
[0081]特異的結合部分:特異的結合対のメンバー。特異的結合対は、互いに結合して、他の分子への結合を実質的に排除することで特徴付けられる分子対である(例えば、特異的結合対は、結合対の2つのメンバーのいずれかと、生物学的試料中の他の分子との結合定数よりも少なくとも10−1大きいか、10−1大きいか、または10−1大きい結合定数を有しうる)。特異的結合部分の特定の例には、特異的結合タンパク質(例えば、抗体、レクチン、アビジン、例えばストレプトアビジン、およびプロテインA)、核酸配列、およびタンパク質−核酸が含まれる。特異的結合部分にはまた、こうした特異的結合タンパク質に特異的に結合される分子(またはその部分)も含まれうる。
[0082]II.序論
[0083]固定は、続く検査のため、生物学的試料(組織または細胞)を保持する。組織試料を固定するには3つの主な方法がある。熱固定は、細胞タンパク質の活性を無効にし、そしてそれによって細胞代謝を停止するのに十分な熱に、十分な期間、試料を曝露することを伴う。熱固定は,一般的に、細胞形態を保持するが、タンパク質構造を保持しない。
[0084]灌流は、血流によって試料を固定する。固定剤を心臓に注入し、そして体全体に拡散させる。このプロセスは形態を保持するが、被験体は死亡し、そしてプロセスは、必要な固定剤体積のため、高価である。
[0085]化学固定は、一定の体積、典型的には固定しようとする組織体積の少なくとも20倍の化学固定剤中に組織試料を浸すことを伴う。固定剤は、組織試料全体に拡散し、そして可能な限り生存組織のものに近い形で、構造を保持する(化学的および構造的の両方で)。架橋固定剤、典型的にはアルデヒドは、組織試料中に存在する、タンパク質および核酸などの内因性生物学的分子間に共有化学結合を生成する。ホルムアルデヒドは、組織学において最も一般的に用いられる固定剤である。ホルムアルデヒドは、固定のため、多様な濃度で使用されうるが、主に、10%中性緩衝ホルマリン(NBF)として用いられ、これは、水性リン酸緩衝生理食塩水溶液中の約3.7%ホルムアルデヒドである。パラホルムアルデヒドはホルムアルデヒドの重合型であり、これは加熱された際、脱重合してホルマリンを提供する。グルタルアルデヒドは、ホルムアルデヒドと同様の方式で作用するが、より大きい分子であり、膜を渡る拡散速度がより遅い。グルタルアルデヒド固定は、より厳密であるか、または緊密に連結された固定化産物を提供し、迅速でそして不可逆的な変化を引き起こし、4℃で迅速にそしてよく固定し、優れた全体の細胞質および核詳細を提供するが、免疫組織化学染色には理想的ではない。いくつかの固定プロトコルは、ホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒドの組み合わせを用いる。
[0086]III.開発背景
[0087]組織固定動力学が、ホルマリンの温度を上昇させることによって増加可能であることが周知である。しかし、本発明者らが行った最初の研究によって、加熱したホルマリン固定剤に組織試料を直接入れると、ホルマリンが組織中心に浸透するよりはるかに前に、組織外部の架橋が引き起こされることが示された。上昇した温度では、ホルマリンは、架橋動力学よりもゆっくりと、密な組織内に拡散する。この場合、中心の生体分子は、いかなる有意な架橋も伴わずに加熱され、そしてしたがって、これらの分子は分解および損傷により感受性である。
[0088]したがって、本発明のいくつかの開示する態様は、組織試料を冷たい固定剤、例えばホルマリンに前浸漬することによって、望ましくない架橋から固定剤拡散を分離する。次いで、固定剤が組織に浸透した後、固定剤温度を増加させて、架橋動力学を増加させる。これは、生体分子を保持する、より均一に固定された試料を生じるようである。加熱ホルマリンのみ、または試料をまず低温、例えば−20℃〜10℃、−10℃〜5℃、−0℃〜5℃または4℃で、ホルマリン中に「前浸漬」し、その後、同じ試料を加熱したホルマリンに供する、一連の組織試料固定実験が行われてきた。
[0089]本発明の一部として、関心対象の組織内に固定剤が拡散することを効率的に可能にしうる、より低温の溶液は、おそらく、翻訳後修飾を保持するのにより有効である可能性がある。凝固点を低下させ、そしてそれによって固定剤を0℃より低い温度で用いることを可能にする、ホルマリンへのいかなる添加も考慮されうる。例えば、高濃度の塩を添加すると、典型的には、凝固点が数度下がる。ホルマリン溶液に直接塩を添加し、それによってホルムアルデヒドの濃度を比較的不変であるように維持することもまた、想定可能である。さらに、グリコールまたは抗凍結型溶液で構成される溶液もまた、有効であろう。これらの溶液は、凝固点を−20℃程度にまで低下させうる。限定されるわけではないが、多様な塩およびグリコールを含む、異なるタイプの化学的添加物の例が当該技術分野に知られる。
[0090]前浸漬された試料は、試料中心で優れた組織形態を、ならびにより優れた抗原保持を提供するようである。
[0091]IV.プロセス工程
[0092]本発明の特定の開示される態様は、多工程、典型的には二工程の、組織試料にアルデヒド固定剤、例えばホルマリンおよび/またはグルタルアルデヒドを注入する/拡散させるための組織固定プロセスに関する。第一の工程中、固定剤が実質的に試料の全横断面全体に拡散することを可能にする条件下で、組織試料を固定剤溶液で処理する。実質的に完全な組織注入/拡散を達成する第一の期間、そして第一の温度で、固定剤組成物を用いて、この第一の工程を行う。第二の工程は、組織試料を第二のより高い温度で固定剤組成物に供して、組織特性、例えば抗原性および形態を損なうことなく、可能な限り迅速な速度で架橋が起こるのを可能にする。これらのプロセシング工程各々を、以下により詳細に論じる。
[0093]組織調製プロセスはまず、試料全体に渡る固定剤溶液拡散を伴う。これは、典型的には、組織試料を第一の望ましい温度で望ましい固定剤組成物内に浸漬することによって達成される。この最初の工程後のある期間、組織試料を第一の温度の固定剤溶液から取り除き、そして第一の温度より高い第二の温度の固定剤溶液内に浸漬する。この第二の工程を第二の望ましい期間行う。第一および第二の固定剤溶液は、同じ固定剤溶液、例えばNBF、または異なる固定剤溶液であってもよい。さらに別の例として、完全に異なるアルデヒド固定剤、例えばホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒドを異なる工程に用いてもよい。そして、第一の温度の固定剤溶液から試料を取り除く代わりに、例えばマイクロ波加熱を用いることによって、固定剤温度を第二の温度に迅速に増加させてもよい。これらの工程の一方または両方には、固定剤溶液の機械的攪拌が伴ってもよく、そして/または試料への超音波の適用が伴ってもよい。
[0094]例示的な態様において、本明細書記載の本発明は、選択した固定剤としてホルマリンを用いるが、これは必ずしも必要ではない。ホルマリンは、リン酸緩衝剤中、3.7%ホルムアルデヒドを含有し、そしてほぼpH7.0に中和されている。しかし、組織学の技術分野に知られるアルデヒドを含有する、架橋固定剤の多様な変動を、本発明で用いてもよく、これには、限定されるわけではないが、ブアン、グリオキサール、亜鉛−ホルマリン、酸性ホルマリン(AFA)およびグルタルアルデヒド等が含まれる。
[0095]次いで、典型的には、約70%〜約100%の範囲の増加するアルコール濃度を用いて、一連のアルコール浸漬に組織試料を供して、試料を脱水する。アルコールは、一般的に、アルカノール、特にメタノールおよび/またはエタノールである。本発明の特定の作業態様は、これらの連続脱水工程のため、70%、95%および100%エタノールを用いてきた。
[0096]最後のアルコール処理工程後、次いで、一般的には清浄化溶液と称される、別の有機溶媒内に試料を浸漬する。清浄化溶液は、(1)残渣アルコールを除去し、そして(2)続くワックス処理工程のため試料をより疎水性にする。清浄化溶媒は、典型的には、芳香族有機溶媒、例えばキシレンである。ワックスブロックは、ワックス、典型的にはパラフィン蝋を試料に適用することによって形成される。次いで、ワックスブロックからスライドを切り出す。
[0097]プロセシング工程の以下の議論のため、一般の当業者は、特定の組織試料のために最適なプロセシング条件を推定するため、多様な要因を考慮可能であることを認識するであろう。これらの要因には:約1mm〜約10mmの厚さ、より典型的には約2mm〜約8mmの厚さ、そしてさらにより典型的には約4mm〜約6mmの厚さの範囲である試料の厚さ;典型的には約10:1〜約50:1の体積対質量である固定剤溶液体積対組織試料質量;固定剤組成;温度;ならびに固定剤組成物中の試料浸漬時間が含まれる。
[0098]架橋固定剤中の浸漬の初回および二回目の好ましい説明は、ASCO CAPガイドラインに基づき、ここで、好ましい組織の厚さは、最大およそ4mmである。組織の厚さは4mmより少なくてもまたは多くてもよいし、さらに臓器全体であってもよい。本発明は、第一の拡散工程に頼るため、より厚い組織切片は、好ましい1〜5時間より長く、そして最大12時間またはそれより長い、冷たい固定剤中の第一の期間を必要とするであろう。さらに、当業者は誰しも、固定剤溶液中の第二の期間は、1〜5時間の好ましい方法より長く、そして最大8時間またはそれより長い可能性もあることを理解しうる。例えば、6mmの厚さの組織試料は、4時間の固定剤溶液中の好ましい第一の期間および4時間またはそれより長い固定剤溶液中の第二の期間を有する可能性もある。いくつかの組織タイプおよびいくつかの組織臓器は、本発明の好ましい方法よりもわずかに異なる期間を有する可能性もあることもまた理解される。
[0099]A.固定剤拡散プロセシング
[0100]プロセスの第一の工程は、組織試料を、実質的に試料の全横断面全体に組成物が実質的に完全に拡散することを可能にするのに有効な条件下で、組織試料を固定剤組成物に供することである。第一の工程に関する有効な温度範囲は、−20℃より高く、少なくとも15℃まで、好ましくは0℃より高く、それより高い温度、より典型的には約10℃まで、そしてさらにより典型的には約3℃〜約5℃である。作業態様に関して、温度は典型的には約4℃であった。
[0101]温度が増加するにつれて、架橋速度が増加する。そしてこの第一のプロセシング工程は、組織試料の全横断面全体に、固定剤組成物が実質的に完全に拡散することと関連する有益な特性のバランスをとることを試みながら、架橋が開始することと関連する影響を最小限にする。しかし、拡散はまた、温度増加とともに増加し、そしてしたがって、所定の試料に関して、拡散速度を最大限にしながら、増加した架橋速度と関連するいかなる有害な影響も最小限にすることは、利益を増加させるようであることが見出されてきている。
[0102]固定剤組成物の組織試料内への拡散は、実質的に試料の全横断面全体での組成物の拡散に有効な期間、続けられる。第一のプロセシング工程の期間は、約15分間から最大約4時間、最も典型的には、15分間より長く、約3時間までの範囲であり、典型的には約1.5時間〜約2時間、固定剤組成物拡散工程を行うことによって、優れた結果が得られている。拡散時間を4時間またはそれより長い期間に増加させても、有益な効果はほとんどなかった。
[0103]第二のプロセシング工程と関連する温度は,典型的には、周囲より高く、例えば約22℃より高い。作業態様に関して、温度は、典型的には周囲より高く、最大少なくとも55℃であり、より典型的には、約35℃〜約45℃であり、これは、この温度範囲が、比較的迅速な組織架橋を可能にするのに十分に、架橋動力学を増加させるためである。しかし、温度が約50℃より高く増加すると、試料は一般的に分解し始め、これは、特定の続く組織学的反応に対して有害な影響を有しうる。したがって、より高い温度および期間を選択して、続く画像化プロセス工程、例えばin situハイブリダイゼーション、IHCおよび/またはH&Eを可能にし、有効にプロセシングする。第二のプロセシング工程の期間は、15分間より長く、最大少なくとも約5時間、より典型的には、少なくとも約1時間〜約4時間、そしてより典型的には、少なくとも約2時間〜約3時間である。特定の開示する作業態様は、45℃で1.5時間の第二のプロセシング工程を行った。
[0104]B.図面の考察
[0105]図1A〜1D(サイクリンD1)および2A〜2D(bcl−2)は、一連の対照スライド由来であり、ここで組織試料を、それぞれ、0、2、4および24時間、室温のホルマリンに浸漬した。産業標準は、少なくとも6時間、そしてより典型的には少なくとも8時間、最大72時間の室温ホルマリン中の固定時間を必要とする。図1A〜1Cによって提供される対照画像は、組織試料の過少固定、すなわち0、2および4時間のプロセシング時間が、サイクリンD1免疫組織化学染色プロトコルを用いると、よく染色されないことを例示する。対照スライド2A〜2Cは、組織試料の過少固定、すなわち0、2および4時間のプロセシング時間が、bcl−2免疫組織化学染色プロトコルを用いると、よく染色されないことを例示する。しかし、既知の標準に基づいて期待されるように、固定時間を24時間に増加させると、図1Dおよび2Dは、許容可能に染色された組織試料を提供する。
[0106]図3A〜3Hは、bcl−2染色のため前浸漬プロセシングを用いた影響を例示する。図3A〜3Cは、前浸漬を伴わずにプロセシングし、そしてそれぞれ、10分間、20分間および60分間、40℃の10%NBF溶液内に浸漬した組織試料の画像である。図3D〜3Fは、4℃の10%ホルマリン固定溶液中、2時間の前浸漬、その後、それぞれ、10分間、20分間および60分間の40℃、10%NBF溶液内への浸漬でプロセシングされた組織試料の画像である。図3Gは、図3Cの領域の引き延ばしであり、そして図3Hは、図3Fの領域の引き延ばしである。図3Aは、前浸漬せず、そして10分間、40℃の10%NBF溶液プロセシングによる過少染色結果を例示する。染色の度合いは、それぞれ、図3Bおよび3Cによって提供される30分間および60分間の結果に関して、プロセシング時間の増加とともに増加する。図3D〜3Fはまた、前浸漬が染色結果増進を提供することも例示する。しかし、おそらくさらにより重要なのは、異なるプロセシングプロトコルを適用することによって生じる組織染色の均一性であろう。図3A〜3Cは、4℃で10%ホルマリン固定溶液中の2時間の前浸漬に供された時間対応物に比較した、試料の外側部分から内側部分の不均一な染色である。さらに、前浸漬試料の各々はまた、染色増進もまた有した。
[0107]図3Gおよび3Hは、ヒト扁桃腺試料の胚中心の、それぞれ図3Cおよび3Fの相当する領域由来である。図3Cは、組織試料が4℃で10%ホルマリン固定溶液中の2時間の前浸漬に供された図3Fの代表的な領域ほどよくは染色されないことを示す。図3Gは2+とスコア化され、そして3Hは3+とスコア化された。そして図3Hには、染色したスライド中央に未成熟リンパ球が含まれ、4℃で10%ホルマリン固定溶液中の2時間の前浸漬を用いると、染色プロトコルの感度が実質的に増加するという明らかな徴候を提供する。図3Gは、これらのリンパ球の視覚化を可能にしない。
[0108]図4Aおよび4Bは、図3Gおよび3Hの拡大(enhanced)画像である。図4Bの矢印は、これらの例示的態様に関して、4℃の10%ホルマリン固定溶液中の2時間の前浸漬を用いて産生される画像に関して生じる、拡大詳細を生じる。組織形態もまた、4℃で10%ホルマリン固定溶液中の2時間の前浸漬を用いて産生された組織試料に関してより優れている。これは、画像の左スライドおよび画像の内部を見ることによって、わかる。4℃で10%ホルマリン固定溶液中の2時間の前浸漬に供されていない組織試料に関しては、ホルマリンは内部に拡散せず、そしてしたがって試料の形態(図4A)は、4℃で10%ホルマリン固定溶液中の2時間の前浸漬を用いて産生された組織試料の形態(図4B)ほどは保持されない。拡散が後に適用される増加した温度のプロセシング工程の前に起こることが可能とされているならば、化学薬品および試料の構造は、はるかによりよく保持される。画像中の白いスペースは、劣って固定された領域を例示する。こうした組織試料が後に脱水されると、組織は縮み、そして固定が劣っていることを示す白色領域のより大きな体積を示す。
[0109]図5は、4℃で10%ホルマリン固定溶液中の2時間の前浸漬でまず処理し、その後、35℃、40℃、45℃、および50℃の10%中和緩衝ホルマリン溶液で0.5〜6時間の異なる期間で処理した、組織試料のH&E染色によって得られる組織形態結果の、室温対照に比較した図式提示である。24時間室温に置いたスライドは、プロセシングプロトコルを比較する、望ましい標準である。図5は、優れた組織形態を提供した、最適な第二のより高い温度の浸漬を決定することに焦点をあてた、いくつかの試験の結果を要約する。図5は、最大50℃の架橋プロセシング温度を用いて得られる結果を例示する一方、より高いプロセシング温度もまた試されてきている。各組織試料を次いで、主観的に評価した。薄い灰色のセルは、望ましくない結果を示し;中程度に灰色のセルは中程度であるが、最適な結果ではないことを示し;そして暗い灰色のセルは、組織試料が、24時間の室温結果と匹敵することを示す。温度が高ければ高いほど、所望の組織形態を達成するのに必要な時間が短くなる。一般の当業者は、最大50℃のホルマリン架橋プロセシング温度を伴う、わずか2〜6時間の処置によって、優れた組織試料が提供されることを認識するであろう。
[0110]図6は、4℃で10%ホルマリン固定溶液中の2時間の前浸漬でまず処理し、その後、35℃、40℃、45℃、および50℃の10%中和緩衝ホルマリン溶液で、0.5〜6時間の異なる期間処理した組織試料のジアミノベンジジン染色を用いて得られたbcl−2免疫組織化学結果の、室温対照に比較した図式提示である。ふたたび、増加した温度結果に関する暗い灰色のセルは、24時間の室温結果と匹敵する結果である。組織形態およびH&E染色のため、温度を増加させたプロセシング工程のための温度および時間は、最大65℃の温度を用いるまでは、さほど問題にはならない。この温度の後は、組織形態は、有害に影響を受ける。しかし、図6に示すように、IHC染色は、より高い温度のプロセシング工程に関して選択された温度に対してより感受性である。操作の特定の理論に限定されるのではなく、より高い温度がタンパク質を変性させ、抗体がタンパク質上のエピトープをよく、またはまったく認識せず、そしてしたがってIHC染色が劣化する結果となる可能性もある。したがって、特定のプロトコルは、組織形態、IHCおよびin situハイブリダイゼーション技術に対する影響を考慮することによって、最適に選択可能である。
[0111]図7は、4℃で10%ホルマリン固定溶液中の2時間の前浸漬に比較した、前浸漬なしの試験に関するIHC染色からの抗原性結果を例示する。加熱は、一般的に、組織試料に潜在的に有害である。これは、前浸漬がない試験結果に関して見られうる。4℃で10%ホルマリン固定溶液中の2時間の前浸漬に供されていない試料の45℃および50℃でのいかなる加熱も、抗原性染色結果に対して強い負の影響を有した。対照的に、4℃で10%ホルマリン固定溶液中の2時間の前浸漬に供された試料に関しては、0.5時間程度の短時間から最大1〜2時間まで、45℃および50℃で組織試料を加熱すると、24時間の室温プロセスに匹敵する画像化結果が生じた。
[0112]図8〜10は、4℃で10%ホルマリン固定溶液中、グラフ上部に示す期間に渡って処理し、その後、各セルに示す期間、45℃での組織固定溶液で処理した試料に関して、異なる前浸漬時間を考慮することによって得られる抗原性および組織形態を例示する。図8〜10は、わずか1時間の前浸漬が抗原性結果に対して実質的な利点を有することを示すが、最適な組織形態結果のためには、2〜4時間の浸漬が好ましい可能性もあることを例示する。
[0113]図11A〜Eは、異なる固定プロトコルを用いた、Calu−3異種移植片に対するpAKTに関する染色の顕微鏡画像による翻訳後修飾保持を例示する。新鮮に採取されたCalu−3異種移植片腫瘍を2つのほぼ等しい部分にスライスし、そしてRTで10%NBF(ホルマリン)または4℃で10%NBFのいずれかで処理した。RTホルマリンで処理する腫瘍試料を腫瘍除去の5分間以内に溶液内に直接入れた。次いで、試料を水浸0(A)、2(B)、4(C)または24(D)時間後の時間間隔で、ホルマリンから取り除いた。1つの腫瘍試料を直接、4℃のホルマリンに2時間入れ、そして次いで、45℃のホルマリンにさらに2時間移した(二重温度固定プロトコル)。本発明の二重温度固定プロトコル(2+2)(E)プロトコルにおける抗pAKT抗体の染色によって示されるように、標準的RTホルマリンプロセスよりも有意に多いpAKTが保持される(24時間(D)を2+2パネル(E)と比較されたい)。
[0114]図12A〜Dは、ホスファターゼ(phosphate)処理を伴い(BおよびD)または伴わずに(AおよびC)、Calu−3異種移植片に対してpAKTに関して染色することによって、図11A〜Eで観察されるシグナルが、実際に、翻訳後修飾保持であることを例示する。抗体による特異的染色は、試料をホスファターゼ(BおよびD)で処理した際に無効にされ、抗体がホスホ部分を認識し、そしてこれが特異的であることを示す。
[0115]図13A〜Bは、非浸潤性乳管癌(DCIS)を有するヒト***に対して、抗pAKT抗体でpAKTを染色することによって、本発明の二重温度固定法(2+2;B)での翻訳後修飾保持を例示する。標準的RTホルマリンプロセスよりも本発明の二重温度固定(2+2;B)プロトコルにおいて、有意により多くのpAKTが保持される(24時間(A)を2+2パネルと比較されたい)。さらに、染色は、本発明の二重温度固定プロトコル試料において、膜に対してはるかにより特異的であるようである。
[0116]図14A〜Dは、Calu−3異種移植片に対して、抗pAKT抗体でpAKTに関して染色することによって、本発明の二重温度固定法(2+3.5;B)での翻訳後修飾保持を例示する。図14Fは、図14A〜Dに示すpAKTに関する陽性染色の定量的分析の図式提示である。有意なことに、標準的RTホルマリンプロセスよりも本発明の二重温度固定(2+3.5)試料において、より多くのpAKTが保持される(24時間を2+3.5パネルと比較されたい)。第一の冷たい浸漬なしに、加熱したホルマリンに直接入れた腫瘍試料では、pAKTでの染色が保持されなかったため(0+3.5パネル)、4℃での第一の温度の浸漬は、ホスホマーカーを保持するのに必要である。
[0117]図15A〜Fは、試料を除去した後の翻訳後シグナルの分解を例示する。新鮮に採取したCalu−3異種移植片腫瘍を2つのほぼ等しい部分にスライスし、生理食塩水に浸漬したガーゼ中に包み、そして0(A)、10(B)、30(C)、60(D)、120(E)または240(F)分間、湿った氷上に置いた。次いで、各試料を4℃のホルマリンに2時間入れ、そして次いで、45℃のホルマリンにさらに2時間移した。pAKTシグナルは、4℃の湿った氷で冷却した際であっても、除去後30分間(C)で有意に減少した。
[0118]図16A〜Iは、本発明の方法を用いたヒト結腸癌のホスホマーカーの保持を例示する(下部パネル)。組織形態の比較のため、試料をまた、ヘマトキシリンおよびエオジンでも染色した(上部パネル)。図16JおよびKは、異なる固定条件下での、正常(各グラフ提示の右側に示す3つのバー)および癌腫(各グラフ提示の左側に示す3つのバー)におけるpAKTまたはpPRAS40に関する陽性染色の定量的分析の図式提示である。Aperioスライドスキャナを用いて、定量的目的のため、スライドをスキャンした(下部写真)。陽性(茶色)または陰性(青色)を示す群(陰性、弱陽性、中程度の陽性および強陽性からなる4群)にピクセルをビン化した。陽性ピクセルの割合(陽性ピクセルすべての合計)をグラフに報告する。標準的RTホルマリンプロセスよりも、本発明の二重温度固定(2+2)プロトコルにおいて、有意により多くのホスホマーカーが保持される(24時間を2+2パネルと比較されたい)。さらに、意図的な虚血を経た試料は、本発明の二重温度固定プロトコルによって固定された試料、または24時間の温度標準プロトコルによって固定された試料のいずれよりも、有意により少ないホスホマーカー保持を有した。
[0119]図17AおよびBは、ヒト非浸潤性乳管癌(DCIS)におけるmiRNAの保持に関する染色の顕微鏡画像であり、非浸潤性乳管癌(DCIS)を含有する***組織試料は、標準的24時間室温ホルマリン浸漬によって固定されたものとの比較において、本発明の二重温度固定プロトコル(2時間の4℃で10%NBF、その後、2時間の45℃で10%NBF)にしたがって保持された。miR205染色の強度(強い青色シグナル、例示的なシグナルが矢印によって示される)は、どちらの試料においても明らかに可視である。2+2試料の保持は、標準的対照24時間固定組織のものよりも、強度であるようである。
[0120]図18AおよびBは、ヒト非浸潤性乳管癌(DCIS)におけるDNAの保持に関する染色の顕微鏡画像であり、Ventanaの二重ISHプロトコル(DDISH、染色体17/HER2)を行って、2つの異なるDNAターゲットの単一および多数コピーを検出する能力に関して試験した。非浸潤性乳管癌(DCIS)を含有する***組織試料は、標準的24時間室温ホルマリン浸漬によって固定されたものとの比較において、Ventanaの迅速固定プロトコル(2時間の4℃で10%NBF、その後、2時間の45℃で10%NBF)にしたがって保持された。これは、本発明の二重温度固定プロトコルが、組織中の核酸DNAを保持し、そして商業的に入手可能なプローブによって検出可能であることを例示する。
[0121]図19A、BおよびCは、ヒト結腸癌に対するHif1αの保持に関する染色の顕微鏡画像である。ヒト結腸の試料を採取し、そして患者からの除去の3〜7分以内にプロセシングした。試料をおよそ4mmの片にスライスし、そして3つの異なるプロトコルで処理した。プロトコル1では、試料を直接、4℃のホルマリン内に2時間入れ、そして次いで45℃のホルマリンにさらに2時間移した(A)。プロトコル2では、試料を水浸後24時間、室温のホルマリン内に入れた(B)。プロトコル3では、試料は、室温のホルマリンに24時間入れられる前に、意図的な虚血を1時間受けた(C)。標準的RTホルマリンプロセスよりも本発明の二重温度固定(2+2)プロトコルにおいて、有意により多くのHif1αが保持される(24時間を2+2パネルと比較されたい)。さらに、意図的な虚血を経た試料は、本発明の二重温度固定プロトコル(2+2)によって固定された試料、または標準的24時間固定プロトコルによって固定された試料のいずれよりも、有意により少ないHif1α保持を有した。
[0122]V.本発明の使用:
[0123]本発明を、伝統的な組織化学、ならびに免疫組織化学およびin situハイブリダイゼーションの技術分野で知られる任意の染色系およびプロトコルとともに用いてもよい。本発明はまた、多様な自動化染色系、例えば、Benchmark XT、Benchmark Ultra、およびDiscovery自動化プラットホームを含む、Ventana Medical Systems, Inc.、アリゾナ州ツーソンによって市販されているものとともに使用可能である。例示的な系は、米国特許第6,352,861号、米国特許第5,654,200号、米国特許第6,582,962号、米国特許第6,296,809号、および米国特許第5,595,707号に開示される。
[0124]以下の説明は、自動化法および系の適切な態様を例示する。自動化系および方法に関するさらなる情報はまた、PCT/US2009/067042にも見出されうる。発色性検出は、デバイス上のパターンの視覚的補助のない解読を容易にする。
[0125]例示的な態様において、多数の酵素(例えば、西洋ワサビ(horse radish)ペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP))とコンジュゲート化された抗種抗体で検出を達成する。この酵素−抗体コンジュゲートは、各抗体にコンジュゲート化された多数の酵素を踏まえて、HRPまたはAPマルチマーと称される。マルチマー技術は、米国出願第12/687,564号に記載される。
[0126]このタイプの検出化学技術は、現在、ultraView Universal DAB検出キット(P/N 760−500)、ultraView Universal AP Red検出キット(P/N 760−501)、ultraView Red ISH DIG検出キット(P/N 760−505)、およびultraView SISH DNP検出キット(P/N 760−098)として、Ventana Medical Systems Inc.によって市販されている。
[0127]例示的な態様において、該アプローチは、非内因性ハプテン(例えばビオチンではない、米国出願第12/660,017号を参照されたい)を用いる。例示的な態様において、ティラミド(tyramide)シグナル増幅をこのアプローチとともに用いて、検出の感度およびダイナミックレンジをさらに増加させてもよい(PCT/US2011/042849を参照されたい)。
[0128]開示する固定法に関して、いかなる適切な酵素/酵素基質系を用いてもよい。作業態様は、典型的には、アルカリホスファターゼおよび西洋ワサビペルオキシダーゼを用いた。酵素がアルカリホスファターゼである場合、1つの適切な基質は、ニトロブルーテトラゾリウムクロリド/(5−ブロモ−4−クロロ−1H−インドル−3−イル)二水素ホスフェート(NBT/BCIP)である。酵素が西洋ワサビペルオキシダーゼである場合、1つの適切な基質はジアミノベンジジン(DAB)である。多くの他の酵素−基質の組み合わせが当業者に知られる。これらの一般的な概説に関しては、米国特許第4,275,149号、および第4,318,980号を参照されたい。いくつかの態様において、酵素はペルオキシダーゼ、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼまたはグルタチオンペルオキシダーゼまたはオキシドレダクターゼである。
[0129]米国特許公開公報2008/0102006は、マイクロプロセッサーによって操作されそして制御されるロボット液体ディスペンサーを記載する。米国特許公開公報2011/0311123は、免疫組織化学(IHC)パターンの自動化検出のための方法および系を記載する。これらの特許出願で開示される自動化検出系を用いて、本発明の固定組織試料を検出することも可能である。
[0130]以下の実施例は、本発明の作業態様の特定の特徴を例示するために提供される。一般の当業者は、本発明の範囲がこれらの実施例に引用される特徴に限定されないことを認識するであろう。
実施例1
[0131]本実施例は、30℃、40℃、50℃および60℃で固定したマウス腎臓試料に関する固定時間経過に関し、そしてヒト組織試料で得られた先の結果を確認する。Ventana Medical Systems, Inc.のBMAC部門から新鮮なマウス腎臓を得た。
[0132]20mlのホルマリン(10%NBF)を50mlコニカル試験管に入れた。試験管を、30℃、40℃、50℃または60℃のいずれかに設定した標準的VWR熱ブロックに入れた。マウス腎臓を半分に切り、そして3片を各コニカル試験管内に入れた。各温度で浸漬10、30および60分後、1片を取り除いた。
[0133]室温のホルマリンにマウス腎臓を0、2、6および23時間入れることによって、対照を行った。すべての試料をRenaissance組織プロセッサー(Ventana Medical Systems, Inc.;カタログ番号V−REN)中でプロセシングし、そしてパラフィン蝋ブロック内に包埋した。組織形態の分析のため、カットスライドをGills IIヘマトキシリンおよびエオジンYで染色した。
[0134]0時間および2時間の対照組織は、特徴的なエタノール固定特性を示した。23時間対照ははるかに優れていた。固定量は温度および時間に相関した。50℃の組織は、23時間対照で得られた結果に近付いた。
実施例2
[0135]本実施例は、50℃、60℃、70℃、80℃および90℃の長期ホルマリン熱浸漬に関し、形態または抗原性が損なわれるまでに、どれだけの熱を適用可能であるかを決定する。ホルマリン浸漬を伴って実施例1を反復するが、ヒト扁桃腺片を50℃、60℃、70℃、80℃および90℃に加熱した10%NBFに浸した。以下に例示するように、多様な時点を試した。
[0136]非常に高温であるため、80℃および90℃に関しては、わずかに異なる時点を試した。
[0137]上記温度に加熱した20mlの10%NBFに組織試料を浸漬した。適切な時間の後、片をプロセシングカセットに取り除き、そして70%エタノール中で保存した。すべての時点の後、組織を標準組織プロセッサー中で一晩プロセシングした。組織を中央でスライスし、そして切断側を下にして包埋した(中央を曝露するように組織をスライスした)。
[0138]対照のため、片を、室温で10%NBF中、1、2、5および22時間浸漬し、そして実験試料のようにプロセシングした。すべてのスライドをGills IIヘマトキシリンおよびエオジンYで染色した。さらに、すべてのスライドを、抗体Ki−67、CD34、サイクリンD1およびbcl−2で染色した。
[0139]組織形態分析:50℃および60℃のブロックは、正常に見え、そして時間とよく相関した。70℃のスライドは、まずまずの組織形態を有し、熱に関連する異常のある程度の証拠があった。80℃および90℃のブロックは、熱アーチファクトのより多い証拠を示した。これらには、組織の縁近くでの伸長した細胞、胚中心周囲での顕著なリング、および液体移動または流れの証拠を伴う無秩序な細胞構造が含まれた。
[0140]IHC分析:50℃、60℃、70℃および80℃のブロックの抗原性は、これらの短い時点では、対照と比較して、正常に見えた。90℃では、大部分の抗体は、染色減少を示した。
[0141]固定:抗原性に対する最も顕著な影響は、0時間の未固定対照で生じた。固定条件が劣っているため、いくつかの抗体が有意に減少した。
実施例3
[0142]本実施例は、ヒト扁桃腺片を52℃ホルマリンに浸漬する前に、10%NBFに60分間、前浸漬した場合の前浸漬実験に関する。原理は、ホルマリンが最初の1時間に組織に浸透するが、それほど多くの架橋が起こらないというものであった。次いで、温度を上昇させることによって、架橋反応を増加させることも可能であった。
[0143]ヒト扁桃腺試料を室温で60分間浸漬する最初の実験を行った。片をあらかじめ加熱したホルマリンに10分間入れ、そしてワックスブロックにプロセシングした。これは、固定の明確なリングパターンを示し、縁はよく固定されたが、中央は固定が不十分であった。これは前浸漬が十分でないか、または加熱したホルマリン中の時間が不十分であったためである可能性もある。
[0144]これらの可能性に取り組むため、より完全な実験を行った。固定前の浸漬時間を延長し、そして4℃で行った。
[0145]スライドをGills IIヘマトキシリンおよびエオジンYで染色した。
実施例4
[0146]本実施例は、実施例3に類似の前浸漬に関し、そしてCHTNから得たヒト扁桃腺組織に対して行われた。調べている異なる扁桃腺切片の性質が異なるため、この実験を多数回行った。扁桃腺片を異なる方式でホルマリンに浸漬した。第一に、片を50℃または60℃のいずれかに加熱したホルマリンに、10、30および60分間浸漬した。第二の様式は、加熱工程プロセシング工程前に、まず、4℃のホルマリン中に片を60〜120分間「前浸漬」することであった。
[0147]組織形態のため、Gills IIヘマトキシリンおよびエオジンYでスライドを染色した。
[0148]一般的に、前浸漬されておらず、単に50℃および60℃のホルマリンに供されたスライドは、組織中心で不完全な固定を示した。60分間の浸漬は、完全に近いが本当に完全ではなかった。4℃で1または2時間、前浸漬され、次いで熱プロファイルに供された片は、特に2時間の前浸漬でより優れており、これがこれらの試験の好ましい条件であった。
実施例5
[0149]本実施例は、前浸漬実施例3に関する。実施例4からの結果は、加熱浸漬前のホルマリンでの前浸漬が好ましいことを示した。ヒト扁桃腺を用いて、そしてより小規模で、より焦点を絞った実験を行うことによって、実施例4の結果を拡張した。この実験のため、120分間、4℃のホルマリン前浸漬を、55℃のホルマリン架橋プロセシング工程とともに用いた。
[0150]組織を、通常通りに、Renaissance組織プロセッサー(Ventana Medical Systems, Inc.;カタログ番号V−REN)中でパラフィンブロックにプロセシングした。スライドをGills IIヘマトキシリンおよびエオジンYで染色した。
[0151]本実施例の結果は、ホルマリンでの2時間の冷たい前浸漬が最も均一な染色を提供することを確認した。加熱ホルマリン30分間は、加熱浸漬に関して、好ましい最小限の時間でありうる。
実施例6
[0152]本実施例は、多様な温度での前浸漬が組織形態にどのような影響を有するかを決定するための、4℃、12℃および22℃の前浸漬に関する。加熱したホルマリン固定の前に、未固定組織試料を、1または2時間いずれかの間、4℃、12℃および22℃のホルマリン内に入れた。
[0153]この実験のため、2つのタイプの対照を行った。第一のものは、室温のホルマリン中、0および72時間の浸漬であった。第二の対照は、あらかじめ前浸漬を伴わない、10、30、および60分間の55℃のホルマリン中の加熱浸漬であった。
[0154]試料は、前浸漬を伴う場合もまたは伴わない場合も、44℃に加熱した20mlのホルマリンを含有する50mlコニカル試験管に入れた。10、30および60分後、組織を取り除き、そしてラベルを付けた組織カセット内に入れた。組織カセットをLeica組織プロセッサーに入れ、そして一晩プログラムを実行した。
[0155]組織ブロックを4μmで切片作製し、そしてH&Eで染色して、組織形態を見た。
[0156]予期されるように、0時間の対照は劣った組織形態を有した。55℃のホルマリンに供した非前浸漬対照もまた、劣った組織形態を有した。前浸漬条件のいずれも、60分間、55℃の条件で働くようであった。より短い時間では、形態は劣っていた。
実施例7
[0157]本実施例は、前浸漬するが、組織試料を55℃で、マイクロ波組織プロセッサー中で固定し、この容器が、20mlコニカル試験管とは対照的な大きいホルマリン容器(ほぼ1リットル)を有するものに関する。より大きな体積のホルマリンは、より小さい体積のものと同じほど大きくは温度を減少させなかった。これは、4℃からより高い温度の液体に片を移す際には重要でありうる。
[0158]未固定ヒト扁桃腺の試料を、多様な期間、55℃のホルマリン中に浸した。試料のいくつかを、55℃のホルマリンより前に、4℃ホルマリン中、2時間の前浸漬に供した。
[0159]加熱したホルマリン浸漬のため、マイクロ波組織プロセッサーを用いて、ホルマリンをあらかじめ加熱した。組織カセットをマルチカセットホルダー内に挿入し、そして加熱したホルマリン内に浸漬した。適切な時間で、1つのカセットを取り除き、そして保持のため、70%エタノール内に入れた。すべてのカセットをプロセシングしたら、これらをさらに、ワックスブロック内で一晩プロセシングした。
[0160]ブロックを4μmで切片し、そして組織形態のため、H&Eで染色した。
[0161]本実施例の結果は、前浸漬試料が、仮定されるよりもわずかに優れていた、特に中心部で優れていたことを示す。
実施例8
[0162]本実施例は、マウス腎臓に対して前浸漬プロトコルを用いることに関する。マウス腎臓を中央で切り下ろし、そして実施例6におけるのと同一の実験を行った。
[0163]実験結果は、この通りであった。マウス腎臓は、先に用いた扁桃腺片よりも小さい。加熱したホルマリン固定条件の大部分は許容可能であった。
実施例9
[0164]本実施例は、組織に対する有害な影響が観察されるまでに、ホルマリンがどのくらい熱くてもよいかの限界を探究するため、前浸漬を伴うまたは伴わない、40℃、55℃、65℃および75℃での固定に関する。組織切片を、4℃ホルマリン中のあらかじめの前浸漬を伴い、そして伴わず、40℃、55℃、65℃および75℃でプロセシングした。
[0165]組織を組織形態のため、H&Eで染色した。また、組織をbcl−2およびサイクリンD1でも染色して、抗原性結果を確認した。前浸漬スライドは、優れた形態ならびに抗原性を示した。55℃およびそれより高い温度では、抗原性の低下があった。
実施例10
[0166]本実施例は、実施例9に非常によく似た方式で、前浸漬を伴うまたは伴わない、40℃、55℃および70℃での固定に関する。相違点は、正確な加熱ホルマリン温度であり、そして加熱浸漬時間を延長したことのみである。
[0167]組織を組織形態のため、H&Eで染色した。これらをbcl−2およびサイクリンD1で染色して、抗原性を評価した。この実施例の結果は、すべての時点で、40℃および55℃で組織形態が許容されうることを確立する。延長処理に関して、ある程度の熱損傷が70℃で生じた。抗原性は、約1時間55℃およびそれより高い温度で減少した。抗原性は40℃では安定であった。
実施例11
[0168]本実施例は、前浸漬時間を1〜3時間で変化させて、組織形態および抗原性の関数として、前浸漬時間を調べることに関する。未固定ヒト扁桃腺試料を1〜3時間の間、4℃のホルマリンに前浸漬した。以下に示すように、試料を45℃のホルマリン中で固定した:
[0169]組織切片を4μmで切り、そして組織形態のため、H&Eで染色した。また、組織切片を抗原性に関してbcl−2でも染色した。本実施例の結果はいくぶん不確定であった。組織切片はあまり大きくなく、したがって、前浸漬時間は適切であった。
実施例12
[0170]本実施例は、前浸漬時間が4時間まで変化しており、そして加熱ホルマリン浸漬が4時間まで延長されていることを除き、実施例12に用いたのと実質的に同じパラメーターで、前浸漬時間を1〜4時間で変化させることに関する。
[0171]組織切片をbcl−2で染色して、前浸漬時間に抗原性がどのくらいよく反応するかを調べた。前浸漬時間はそれほど問題にならなかったが、これは大部分、組織試料のサイズが小さいためであるようである。しかし、最も早い時間、1時間では、組織形態および抗原性の両方に対してわずかな影響が見られた。
[0172]多様な実験、例えば実施例12の結果を図8に要約する。
実施例13
[0173]本実施例は、基本的に用いる扁桃腺切片サイズを増加させるための実施例13の繰り返しとして、前浸漬時間を1〜4時間で変化させることに関する。
[0174]組織の2つの異なるセットに関して上記実験を行い、そして43ブロックを生じた。スライドを組織形態のためH&Eで染色し、そして抗原性のためbcl−2で染色した。本実施例からの結果を図9に要約する。
実施例14
[0175]本実施例は、NBFおよびエタノールの後のキシレン浸漬時間を分析することに関する。
[0176]本実施例に関して、大部分の組織の組織形態は正常に見えた。キシレン中に15分間しか浸漬しなかった試料は、弱まった胚中心を有し、そして組織は、対照組織よりもわずかによりピンクに見えた。しかし、キシレン除去30分間では、組織の状態はよかった。したがって、2mmの厚さに関しては、少なくとも30分間のキシレンは、最適であるようである。
実施例15
[0177]本実施例は、Calu−3異種移植片に対するpAKTに関する染色を論じる。本実施例において、新鮮に採取したCalu−3異種移植片腫瘍を2つのほぼ等しい部分にスライスし、そしてRTで10%NBF(ホルマリン)または4℃で10%NBFのいずれかで処理した。RTホルマリンで処理する腫瘍試料を腫瘍除去の5分間以内に溶液内に直接入れた。次いで、試料を水浸0、2、4または24時間後の時間間隔で、ホルマリンから取り除いた。1つの腫瘍試料を直接、4℃のホルマリンに2時間入れ、そして次いで、45℃のホルマリンにさらに2時間移した。一晩プログラムに設定した自動化組織プロセッサー中でさらにプロセシングするまで、すべての試料を、保持貯蔵所としての70%エタノール内に入れた。顕微鏡切片作製法のため、すべての試料をパラフィン蝋内に包埋した。自動化スライド染色装置(VENTANA Discovery XT装置、Ventana Medical Systems, Inc.)上で、pAKTエピトープを認識する抗体(Cell Signaling Technologies、カタログ番号4060)でスライドを染色した。図11A〜Eに示すように、標準RTホルマリンプロセスよりも、本実施例の二重温度固定(2+2)プロトコルで有意により多いpAKTが保持された(24時間を2+2パネルと比較されたい)。
実施例16
[0178]本実施例は、ホスファターゼ処理およびCalu−3異種移植片に対するpAKTに関する染色を記載する。
[0179]本実施例において、新鮮に採取したCalu−3異種移植片腫瘍を2つのほぼ等しい部分にスライスし、そしてRTで10%NBF(ホルマリン)または4℃で10%NBFのいずれかで処理した。RTホルマリンで処理する腫瘍試料を腫瘍除去の5分間以内に溶液内に直接入れた。次いで、試料を水浸24時間後に、ホルマリンから取り除いた(上部パネル)。1つの腫瘍試料を直接、4℃のホルマリンに2時間入れ、そして次いで、45℃のホルマリンにさらに2時間移した(下部パネル)。一晩プログラムに設定した自動化組織プロセッサー中でさらにプロセシングするまで、すべての試料を、保持貯蔵所としての70%エタノール内に入れた。顕微鏡切片作製法のため、すべての試料をパラフィン蝋内に包埋した。組織標本を脱ワックスした後、組織をラムダ・ホスファターゼで処理し、そして続いて、自動化スライド染色装置(VENTANA Discovery XT装置)上で、pAKTエピトープを認識する抗体(Cell Signaling Technologies、カタログ番号4060)で染色した。図12A〜Dに示すように、抗体による特異的染色は、どちらの場合でも無効になり、抗体がホスホ部分を認識し、そして特異的であることが示された。
実施例17
[0180]本実施例は、非浸潤性乳管癌(DCIS)を有するヒト***に対するpAKTに関する染色を記載する。本実施例において、ヒト***の試料を採取し、そしておよそ4mm片にスライスし、そしてRTで10%NBF(ホルマリン)または4℃で10%NBFのいずれかで処理した。RTホルマリンで処理する腫瘍試料を溶液内に直接入れた。次いで、試料を水浸0、2、4または24時間後の時間間隔で、ホルマリンから取り除いた。1つの腫瘍試料を直接、4℃のホルマリンに2時間入れ、そして次いで、45℃のホルマリンにさらに2時間移した。一晩プログラムに設定した自動化組織プロセッサー中でさらにプロセシングするまで、すべての試料を、保持貯蔵所としての70%エタノール内に入れた。顕微鏡切片作製法のため、すべての試料をパラフィン蝋内に包埋した。自動化スライド染色装置(VENTANA Discovery XT装置)上で、pAKTエピトープを認識する抗体(Cell Signaling Technologies、カタログ番号4060)でスライドを染色した。図13AおよびBに示すように、標準RTホルマリンプロセスよりも、本発明の二重温度固定(2+2)プロトコルで有意により多いpAKTが保持される(24時間を2+2パネルと比較されたい)。さらに、染色は、本発明の二重温度固定プロトコルによって固定された試料において、膜に対してはるかにより特異的であるようである。
実施例18
[0181]本実施例は、Calu−3異種移植片上のpAKTの熱分解を記載する:本実施例において、新鮮に採取したCalu−3異種移植片腫瘍を2つのほぼ等しい部分にスライスし、そしてRTで10%NBF(ホルマリン)または45℃で10%NBF、または2つの異なる温度で10%NBFのいずれかで処理した。RTホルマリンで処理する腫瘍試料を腫瘍除去の5分間以内に溶液内に直接入れた。次いで、試料を水浸0または24時間後の時間間隔で、ホルマリンから取り除いた。1つの腫瘍試料を直接、45℃のホルマリンに3.5時間入れた。別の腫瘍試料を4℃のホルマリンに2時間入れ、そして次いで、45℃のホルマリンにさらに2時間移した。一晩プログラムに設定した自動化組織プロセッサー中でさらにプロセシングするまで、すべての試料を、保持貯蔵所としての70%エタノール内に入れた。顕微鏡切片作製法のため、すべての試料をパラフィン蝋内に包埋した。自動化スライド染色装置(VENTANA Discovery XT装置)上で、pAKTエピトープを認識する抗体(Cell Signaling Technologies、カタログ番号4060)でスライドを染色した。図14A〜Dに示すように、標準RTホルマリンプロセスよりも、本発明の二重温度固定プロトコルによって固定された(2+3.5)試料において、有意により多いpAKTが保持された(24時間を2+3.5パネルと比較されたい)。第一の冷たい浸漬なしに、加熱したホルマリンに直接入れた腫瘍試料(0+3.5パネル)では、pAKTでの染色が保持されなかったため、4℃での第一の温度の浸漬は、ホスホマーカーを保持するのに必要である。Aperioスライドスキャナを用いて、定量的目的のため、スライドをスキャンした(下部写真)。図14Eに示すように、陽性(茶色)または陰性(青色)を示す2群にピクセルをビン化した。陽性ピクセルの割合をグラフに報告する。
実施例19
[0182]本実施例は、除去後、pAKT染色が迅速に減少することを記載する。本実施例において、新鮮に採取したCalu−3異種移植片腫瘍を2つのほぼ等しい部分にスライスし、生理食塩水に浸漬したガーゼ中に包み、そして0、10、30、60、120または240分間、湿った氷上に置いた。次いで、各試料を4℃のホルマリンに2時間入れ、そして次いで、45℃のホルマリンにさらに2時間移した。一晩プログラムに設定した自動化組織プロセッサー中でさらにプロセシングするまで、すべての試料を、保持貯蔵所としての70%エタノール内に入れた。顕微鏡切片作製法のため、すべての試料をパラフィン蝋内に包埋した。自動化スライド染色装置(VENTANA Discovery XT装置)上で、pAKTエピトープを認識する抗体(Cell Signaling Technologies、カタログ番号4060)でスライドを染色した。図15A〜Fに示すように、pAKTシグナルは、湿った氷上で4℃に冷却した際であっても、除去後30分間(図15B)で有意に減少した。
実施例20
[0183]本実施例は、ヒト結腸癌に対するホスホマーカーに関する染色を記載する。
[0184]本実施例において、ヒト結腸の試料を採取し、そして患者からの除去の3〜7分以内にプロセシングした。試料をおよそ4mmの片にスライスし、そして3つの異なるプロトコルで処理した。プロトコル1では、試料を直接、4℃のホルマリン内に2時間入れ、そして次いで45℃のホルマリンにさらに2時間移した。プロトコル2では、試料を水浸後24時間、室温のホルマリン内に入れた。プロトコル3では、試料は、室温のホルマリンに24時間入れられる前に、意図的な虚血を1時間受けた。一晩プログラムに設定した自動化組織プロセッサー中でさらにプロセシングするまで、すべての試料を、保持貯蔵所としての70%エタノール内に入れた。顕微鏡切片作製法のため、すべての試料をパラフィン蝋内に包埋した。自動化スライド染色装置(VENTANA Discovery XT装置)上で、pAKTエピトープを認識する抗体(Cell Signaling Technologies、カタログ番号4060)またはpPRAS40エピトープを認識する抗体(Cell Signaling Technologies、カタログ番号)で試料を染色した。図16A〜Iに示すように、標準的RTホルマリンプロセスよりも本発明の二重温度固定(2+2)プロトコルにおいて、有意により多くのホスホマーカーが保持された(24時間を2+2パネルと比較されたい)。さらに、意図的な虚血を経た試料は、本発明の二重温度固定プロトコルによって固定された試料、または24時間固定プロトコルによって固定された試料のいずれよりも、有意により少ないホスホマーカー保持を有した。組織形態の比較のため、試料をまた、ヘマトキシリンおよびエオジンでも染色した(上部パネル)。Aperioスライドスキャナを用いて、定量的目的のため、スライドをスキャンした(下部写真)。陽性(茶色)または陰性(青色)を示す2群にピクセルをビン化した。陽性ピクセルの割合をグラフ中に報告する。
実施例21
[0185]本実施例は、本発明の二重温度固定プロトコルおよび標準プロトコル(24時間)にしたがって固定された試料におけるmiRNAレベルの分析に関する。miRNAは短い(21〜25)ヌクレオチドであり、mRNA転写物の転写後修飾剤として作用し、翻訳を防止することによって、遺伝子発現に影響を及ぼす。
[0186]本実施例において、非浸潤性乳管癌(DCIS)を含有する***組織試料は、標準的24時間室温ホルマリン浸漬によって固定されたものとの比較において、本発明の二重温度固定プロトコル(2時間の4℃で10%NBF、その後、2時間の45℃で10%NBF)にしたがって保持された。VENTANA Discovery Ultra自動化スライド染色装置(Ventana Medical Systems, Inc.)上でスライドを染色した。試料におけるmiR205のレベルを分析して、この特定のmiRNAの保持および保存に対して、本発明の二重温度固定プロトコルがどのような影響を持つかを決定した。本実施例において、miR205染色の強度、強い青のシグナルは、どちらの試料においても明らかに可視である(例示的なシグナルを矢印によって示す)。図17AおよびBに示すように、2+2試料の保持は、標準的対照24時間固定組織のものよりも、強度であるようである。
実施例22
[0187]本実施例は、ヒト非浸潤性乳管癌(DCIS)におけるDNAの保持に関する。
[0188] 本実施例において、HER2 二重ISH DNAプローブカクテル染色体17/HER2(DDISH;Ventana Medical Systems, Inc. カタログ番号780−4422)を乳癌試料において用いて、本発明の二重温度固定プロトコルで2つの異なるDNAターゲットの単一および多数コピーを検出する能力に関して試験した。非浸潤性乳管癌(DCIS)を含有する***組織試料は、標準的24時間室温ホルマリン浸漬によって固定されたものとの比較において、本発明の二重温度固定プロトコル(2時間の4℃で10%NBF、その後、2時間の45℃で10%NBF)にしたがって保持された。VENTANA Discovery XT自動化組織染色装置(カタログ番号786−089)上での染色後、ホルマリン固定パラフィン包埋したスライド中で、2色発色性in situハイブリダイゼーション(ISH)を用いて、HER2および染色体17プローブを検出した。次いで、染色体17に対するHER2遺伝子の比を計算することによって、HER2遺伝子状態を数値化した。図18AおよびBに示すように、HER2遺伝子の単一および多数のコピーが検出され、どちらの試料に関しても、試験は成功であった(黒いシグナル)。さらに、染色体17の中心体もまた、成功裡に検出された(赤いシグナル;例示的なシグナルを矢印によって示す)。これは、本発明の二重温度固定プロトコルが、組織中の核酸DNAを保持し、そして商業的に入手可能なプローブによって検出可能であることを例示する。
実施例23
[0189]本実施例は、ヒト結腸癌に対するHif1αに関する染色を記載する。
[0190]本実施例において、ヒト結腸の試料を採取し、そして患者からの除去の3〜7分以内にプロセシングした。試料をおよそ4mmの片にスライスし、そして3つの異なるプロトコルで処理した。プロトコル1では、試料を直接、4℃のホルマリン内に2時間入れ、そして次いで45℃のホルマリンにさらに2時間移した(A)。プロトコル2では、試料を水浸後24時間、室温のホルマリン内に入れた(B)。プロトコル3では、試料は、室温のホルマリンに24時間入れられる前に、意図的な虚血を1時間受けた(C)。一晩プログラムに設定した自動化組織プロセッサー中でさらにプロセシングするまで、すべての試料を、保持貯蔵所としての70%エタノール内に入れた。顕微鏡切片作製法のため、すべての試料をパラフィン蝋内に包埋した。自動化スライド染色装置(VENTANA Discovery XT装置)上で、Hif1αエピトープを認識する抗体(ABCam、カタログ番号Ab51608)でスライドを染色した。図19A、BおよびCに示すように、標準的RTホルマリンプロセスよりも本発明の二重温度固定(2+2)プロトコルにおいて、有意により多くのHif1αが保持された(24時間を2+2パネルと比較されたい)。さらに、意図的な虚血を経た試料は、本発明の二重温度固定プロトコル(2+2)または24時間の試料のいずれよりも、有意により少ないHif1α保持を有した。
[0191]開示する発明の原理を適用可能な多くのありうる態様を考慮して、例示する態様は単に本発明の好ましい例であり、そして本発明の範囲を限定すると見なすべきではないことを認識しなければならない。むしろ、本発明の範囲は以下の請求項によって定義される。本発明者らは、したがって、これらの請求項の範囲および精神内にあるすべてを、本発明として請求する。

Claims (22)

  1. 組織試料を固定するための方法であって:
    a)組織試料内に溶液を拡散させるのに十分な第一の温度で、そして第一の期間、第一のアルデヒド溶液と組織試料を接触させ;そして
    b)a)において得られた組織試料の温度を、迅速に第二の温度に増加させて、前記の第二の温度で第二の期間処理する、ここで前記の第一の温度が約−20℃〜約15℃であり、前記の第二の温度が約22℃〜少なくとも約50℃であり、そして前記の第二の期間が前記組織試料の翻訳後修飾シグナルを保持するのに十分である
    を含む、前記方法。
  2. 前記組織試料の前記温度が、組織試料を前記の第二の温度に加熱することによって上昇する、請求項1記載の方法。
  3. 前記組織試料の前記温度が、前記組織試料を前記の第二の温度の第二のアルデヒド溶液内に水浸することによって上昇する、請求項1記載の方法。
  4. 溶液がアルデヒド溶液または水である、請求項1〜3のいずれか記載の方法。
  5. 第一の温度が約0℃〜約15℃である、請求項1記載の方法。
  6. アルデヒド溶液が3℃〜約5℃の第一の温度である、請求項5記載の方法。
  7. 第一の期間が約15分間から最大約4時間の範囲である、請求項1記載の方法。
  8. 第一の期間が約1時間〜約2時間の範囲である、請求項7記載の方法。
  9. 第二の温度が約35℃〜約45℃である、請求項1記載の方法。
  10. 第二の期間が15分間より長く最大少なくとも約5時間である、請求項1記載の方法。
  11. 第二の期間が約2時間〜約3時間である、請求項10記載の方法。
  12. 第二のアルデヒド溶液が第一のアルデヒド溶液と同じであるか、または第一のアルデヒド溶液と異なる、請求項3記載の方法。
  13. アルデヒドが低次アルキルアルデヒドである、請求項1記載の方法。
  14. アルデヒドが、ホルマリン、グルタルアルデヒド、およびその組み合わせより選択される、請求項13記載の方法。
  15. 組織を固定するための方法であって:
    組織試料を、0℃より高く約5℃までの第一の温度で、15分間より長く、最大約4時間である第一の期間、ホルマリン溶液内に浸漬し;そして
    組織試料を、約22℃より高い第二の温度で、約1時間〜約4時間の第二の期間、ホルマリン溶液内に浸漬する
    を含む、前記方法。
  16. 第二の温度で、ホルマリン溶液内に組織試料を浸漬した後、一連のアルコール洗浄をさらに含む、請求項15記載の方法。
  17. 0分間より長く、最大約30分間のキシレン洗浄をさらに含む、請求項16記載の方法。
  18. 組織を固定するための方法であって:
    ホルマリン溶液を、0℃より高く約5℃までの第一の温度で、組織試料に、約15分間より長く最大約4時間の第一の期間、適用し;そして
    組織試料の温度を、約22℃より高い第二の温度に、約1時間〜約4時間の第二の期間、上昇させる
    を含む、前記方法。
  19. 請求項1の方法にしたがって産生される、固定組織試料。
  20. 前記方法が、前記組織試料の翻訳後修飾シグナルを有意に保持する、請求項1記載の方法。
  21. 前記組織試料がFFPE組織試料である、請求項1記載の方法。
  22. 自動検出系において、固定組織試料を検出する工程をさらに含む、請求項1の方法。
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