JP2014501489A - 細胞ベースのバイオプロセシング - Google Patents
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Abstract
本発明は、宿主細胞から免疫原性作用物質を産生するための組成物および方法を提供する。種々の実施形態において、免疫原性作用物質は、ポリペプチド、抗原剤、ウイルス粒子またはワクチンである。1つの態様において、本発明は宿主細胞から免疫原性作用物質を産生する方法を提供する。本方法は一般に、細胞を、その一部が標的遺伝子に対して相補的であるRNAエフェクター分子と接触させることと、大規模なバイオリアクターにおける細胞を標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間維持することと(ここで調節は、細胞の免疫原性作用物質の産生を高める)、細胞から免疫原性作用物質を単離することとを含む。
Description
(関連出願)
本出願は、その各々が本明細書中に参照により本明細書中に十分に組み込まれる、Rossomandoらによる、細胞ベースのバイオプロセシングと題された、2010年3月31日に出願された米国仮特許出願第61/319,578号;Maraganoreらによる、生物学的産物の産生を増強するための組成物および方法と題された、2009年7月6日に出願された米国仮特許出願第61/223,370号;Maraganoreらによる、生物学的産物の産生を増強するための組成物および方法と題された、2009年9月22日に出願された米国仮特許出願第61/244,868号;Manoharanらによる、治療剤を送達するための新規な脂質および組成物と題された、2009年12月7日に出願された米国仮特許出願第61/267,419号;Manoharanらによる、核酸送達用の荷電脂質および組成物と題された、2010年5月13日に出願された米国仮特許出願第61/334,398号;Rossomandoらによる、生物学的産物の産生を増強させるための組成物および方法と題された、2010年1月11日に出願された米国仮特許出願第61/293,980号;Rossomandoらによる、細胞ベースのバイオプロセシングと題された、2010年3月31日に出願された米国仮特許出願第61/319,589号;およびRossomandoらによる、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のトランスクリプトーム、対応するsiRNAおよびその使用と題された、2010年6月15日に出願された米国仮特許出願第61/354,932号の利益を主張する。
(表および配列に関する言及)
本明細書は、配列表を最初に出願された主題の一部として含む。配列番号1〜3,290,939の配列表は、本明細書において電子フォーマットで、ファイル名「51058077.TXT」として「CRF」、「COPY 1」、「COPY 2」及び「COPY 3」とラベルを貼った4枚のコンパクトディスク(CD−R)で提供され、本出願においてこれらの全体を参照することによって本明細書で援用される。
本出願は、その各々が本明細書中に参照により本明細書中に十分に組み込まれる、Rossomandoらによる、細胞ベースのバイオプロセシングと題された、2010年3月31日に出願された米国仮特許出願第61/319,578号;Maraganoreらによる、生物学的産物の産生を増強するための組成物および方法と題された、2009年7月6日に出願された米国仮特許出願第61/223,370号;Maraganoreらによる、生物学的産物の産生を増強するための組成物および方法と題された、2009年9月22日に出願された米国仮特許出願第61/244,868号;Manoharanらによる、治療剤を送達するための新規な脂質および組成物と題された、2009年12月7日に出願された米国仮特許出願第61/267,419号;Manoharanらによる、核酸送達用の荷電脂質および組成物と題された、2010年5月13日に出願された米国仮特許出願第61/334,398号;Rossomandoらによる、生物学的産物の産生を増強させるための組成物および方法と題された、2010年1月11日に出願された米国仮特許出願第61/293,980号;Rossomandoらによる、細胞ベースのバイオプロセシングと題された、2010年3月31日に出願された米国仮特許出願第61/319,589号;およびRossomandoらによる、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のトランスクリプトーム、対応するsiRNAおよびその使用と題された、2010年6月15日に出願された米国仮特許出願第61/354,932号の利益を主張する。
(表および配列に関する言及)
本明細書は、配列表を最初に出願された主題の一部として含む。配列番号1〜3,290,939の配列表は、本明細書において電子フォーマットで、ファイル名「51058077.TXT」として「CRF」、「COPY 1」、「COPY 2」及び「COPY 3」とラベルを貼った4枚のコンパクトディスク(CD−R)で提供され、本出願においてこれらの全体を参照することによって本明細書で援用される。
本出願は、プリントされた紙コピーの代わりにCD−Rで提出された「長い」配列表を含み、該配列表は、その全体を参照することによって本明細書で援用される。2010年7月1日付けで記録された前記CD−Rは、「CRF」、「Copy 1」、「Copy 2」及び「Copy 3」それぞれとしてラベルが貼られ、それぞれは、一つの同じ774,635KBのファイル(51058077.TXT)だけを含む。
本発明は、一般に、バイオプロセシングの分野、さらに詳しくは、宿主細胞を、標的遺伝子の発現を変調することができるRNAエフェクター分子と接触させることによって該細胞において免疫原性作用物質を産生するための方法に関し、ここに、該変調は該免疫原性作用物質の生産を増強させる。また、本発明は、一般に、トランスクリプトーム、組織化されたトランスクリプトーム、および細胞における免疫原性作用物質の生産の標的化変調を設計するためのトランスクリプトームを用いるシステムおよび方法に関する。本発明は、さらに、免疫原性作用物質のより効果的かつ有効な生産のための細胞および細胞株の作成に関する。また、本発明は該方法を行うのに有用な分子、組成物、細胞およびキット、ならびに該方法によって生産された免疫原性作用物質に関する。
細胞培養技術は、生物医薬、バイオ燃料、代謝産物、ビタミン、栄養補助食品、免疫原性作用物質およびワクチンを含む広い範囲の生物学的産物を製造するのに用いられる。産業規模の生産を容易とし、産物の品質およびコンシステンシーについての適用可能な標準を満足させるために、細胞培養バイオプロセスの生産性、収率、有効性および他の態様を増強させるのに多数の戦略が開発されてきた。細胞培養のバイオプロセスを最適化するための伝統的な戦略は、培養基のような物理的および生化学的パラメータ(例えば、pH、栄養素)、および条件(例えば、温度、持続期間)を調整し、ならびに望ましい表現型を有する宿主細胞を選択することを含む。組換えDNAを宿主細胞に導入することによって、細胞培養バイオプロセスを最適化するために遺伝子的アプローチも開発されており、そこでは、DNAは免疫原性作用物質の生産に影響し、または該免疫原性作用物質の生産に影響する内因性タンパク質の発現を調節する外因性タンパク質をコードする。そのような方法はコストがかかり、かつ時間も消費する実験室的操作を必要とするが、ある種の遺伝子、タンパク質、宿主細胞、および免疫原性作用物質を含む生物学的産物と適合できない可能性がある。従って、広い範囲の宿主細胞、および免疫原性作用物質のような生物学的産物を含む細胞培養バイオプロセスを最適化するための新しい遺伝子的アプローチに対する要望が当分野に存在する。
より最近では、生物学的産物の生産に影響する遺伝子のサイレンシングのためのshRNAを発現する遺伝子をそれらのゲノム遺伝子に組み込むために、生物学的生産用の宿主細胞が修飾されている。しかしながら、これらの場合においては、宿主細胞の生存性を危うくするshRNAの制御されていない意図しない発現のため、産物の収率は調節するのは困難であることが証明されている。shRNAを組み込むプロセスは、時間がかかる細胞エンジニアリングも必要とする。さらに、制御されていない発現は、結局は、表現型の変化に導かれ、経時的には、発現されたshRNA用の遺伝子を運ぶ宿主細胞は、いずれかの重要な収率にて生物学的産物を生産するそれらの能力を失う。
例えば、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)卵巣細胞(CHO細胞)は、種々のバイオプロセスにおいて広く用いられてきたが、これらの細胞において遺伝子発現については比較的あまり知られていない;かくして、これらの細胞におけるバイオプロセスの標的化された賢明な変調は容易に行ったり、設計することができない。従って、CHO細胞を含む広い範囲の宿主細胞、およびこれらの細胞において生産された免疫原性作用物質を含む細胞培養バイオプロセスを最適化するための新しい遺伝子的アプローチに対する要望が当分野に存在する。
本発明は、RNAエフェクター分子を培養中の細胞に低濃度で適用して、宿主細胞によって生産された免疫原性作用物質の質および量が、広範な細胞株のエンジニアリングに対する必要性無くして改良することができるように、遺伝子発現の優れた持続的変調を行うことができるという驚くべき発見に少なくとも部分的には基づく。このように、第一の態様において、本発明は、宿主細胞から免疫原性作用物質を生産するための組成物および方法を提供する。種々の実施形態において、免疫原性作用物質はポリペプチド、ウイルス産物、ウイルス粒子またはワクチンである。
1つの態様において、本発明は、宿主細胞から免疫原性作用物質を生産するための方法を提供する。該方法は、一般には、その一部が標的遺伝子に相補的であるRNAエフェクター分子と該細胞とを接触させ、該細胞を、標的遺伝子の発現を変調するのに十分な時間の間、大規模なバイオリアクター中に維持し、ここに、該変調は該細胞からの免疫原性作用物質の生産を増強させ、次いで、該細胞から該免疫原性作用物質を単離する。
1つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子の発現を一過的に変調させる。別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子の発現を一過的に阻害する。1つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子を活性化することができる。別の実施形態において、RNAエフェクターは標的遺伝子を阻害することができる。
さらなる実施形態において、該宿主細胞は動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、または真菌細胞である。1つの実施形態において、動物細胞は哺乳動物細胞である。さらなる実施形態において、哺乳動物細胞はヒト細胞、げっ歯類細胞、イヌ細胞、または非ヒト霊長類細胞である。特別な実施形態において、宿主細胞はCHO細胞に由来する細胞である。別の実施形態において、宿主細胞は、免疫原性作用物質をコードする導入遺伝子を含有する。
1つの実施形態において、細胞は複数の異なるRNAエフェクター分子と接触させる。該複数のRNAエフェクター分子を用いて、単一の標的遺伝子または多数の標的遺伝子の発現を変調することができる。
別の実施形態において、例えば、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、84時間、96時間、108時間またはそれ以上の頻度にて、本明細書中に記載された投薬計画に従って細胞に投与するための組成物が処方される。別の実施形態において、組成物の投与は、1以上の細胞成長期、例えば、誘導期、初期対数期、中期対数期、後期対数期、静止期、または死滅期の間、維持することができる。実施形態のいくつかにおいて、宿主細胞とRNAエフェクター細胞(例えば、dsRNA)との接触は、ウイルス感染またはベクター接種に先立って、その間に、またはその後に行って、免疫原性作用物質の収穫の収率および品質を危うくする細胞および/または抗ウイルスプロセスを阻害する。
別の実施形態において、別々の標的遺伝子に対して向けられた2以上のRNAエフェクター分子を含有する組成物を用いて、培養された細胞における第一の標的遺伝子および少なくとも第二の標的遺伝子の発現を変調することによって、細胞培養における免疫原性作用物質の生産を増強させる。別の実施形態において、同標的遺伝子に対して向けられた2以上のRNAエフェクター分子を含有する組成物を用いて、培養された細胞における標的遺伝子の発現を変調することによって、細胞培養における免疫原性作用物質の生産を増強させる。
別の実施形態において、第一のRNAエフェクター分子を培養された細胞に投与し、次いで、第二のRNAエフェクター分子を該細胞に投与する(またはその逆)。さらなる実施形態において、第一および第二のRNAエフェクター分子は、実質的に同時に培養された細胞に投与される。
1つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、免疫原性作用物質の生産を可能とする条件下で細胞を維持するのに用いられる細胞培養基に加えられる。RNAエフェクター分子は異なる時点において、または同時に加えることができる。1つの実施形態において、1以上の異なるRNAエフェクター分子は、細胞培養基への連続的注入によって加えられて、例えば、連続的平均パーセント阻害またはRNAエフェクター分子の濃度を維持する。別の実施形態において、1以上の異なるRNAエフェクター分子は、細胞培養基への連続的注入によって加えられて、例えば、最小平均パーセント阻害またはRNAエフェクター分子濃度を維持する。1つの実施形態において、連続的注入は、少なくとも1つの標的遺伝子について所望の平均パーセント阻害を達成する速度で投与される。1つの実施形態において、連続的注入は(反復することができる)区別される時間の間、例えば、1時間、2時間、3時間、4時間、8時間、16時間、18時間、24時間、48時間、72時間またはそれ以上の間行われる。複数の異なるRNAエフェクター分子を適用する場合、該異なるRNAエフェクター分子の各々は、同一の頻度または異なる頻度にて加えることができる。異なるRNAエフェクター分子の各々は、同一の濃度にて、または異なる濃度にて加えられる。いくつかの実施形態において、細胞とRNAエフェクター分子との最後の接触は、免疫原性作用物質の単離、または上清の収穫から少なくとも24時間、48時間、72時間、120時間またはそれ以上前である。
一般に、RNAエフェクター分子は、200nM以下の所与の濃度(例えば、100nM、80nM、50nM、20nM、10nM、1nMまたはそれ以下)で加えられる。本明細書中に記載されるように、低濃度のRNAエフェクター分子は、標的遺伝子を効果的に変調するために大規模なバイオプロセシングで用いることができる。低濃度のRNAエフェクター分子を用いるかなり経済的かつ商業的利点(例えば、より低いコストおよびより容易な除去)がある。かくして、1つの実施形態において、細胞は、100nM以下、50nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、または1nM以下の濃度にてRNAエフェクター分子と接触させる。特別な実施形態において、1以上のRNAエフェクター分子は、成長期および/または生産期の間に、1nMの最終濃度にて、少なくとも1回(例えば、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、またはそれ以上)細胞培養基に投与される。
さらに別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、異なるRNAエフェクター分子の各々の所与の出発濃度にて(例えば、各々、1nMにて)加えられ、さらに、RNAエフェクター分子の連続的注入が補充される。
1つの実施形態において、RNAエフェクター組成物は、RNAエフェクター分子の摂取を容易とする試薬、例えば、エマルジョン、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、荷電脂質、リポソーム、アニオン性脂質、浸透促進剤、トランスフェクション試薬、または付着用のRNAエフェクター分子に対する修飾、例えば、リガンド、標的化部位、ペプチド、親油性基等を含む。
細胞と接触させるべきRNAエフェクター分子は、細胞への摂取および送達を容易とする処方に配合することができる。1以上の異なるRNAエフェクター分子は、細胞を、RNAエフェクター分子、およびRNAエフェクター分子の摂取を容易とする試薬、例えば、エマルジョン、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、荷電脂質、リポソーム、アニオン性脂質、浸透促進剤、トランスフェクション剤、または付着用のRNAエフェクター分子に対する修飾、例えば、リガンド、標的化部位、ペプチド、親油性基等と接触させることによって加えることができる。
特定の実施形態において、脂質製剤が、RNAエフェクター分子組成物に、RNAエフェクター分子の取り込みを促進する試薬として加えられる。特定の実施形態において、脂質製剤は、本明細書に記載のようなLNP製剤、LNP01製剤、XTC−SNALP製剤又はSNALP製剤であることができる。関連する実施形態において、XTC−SNALP製剤は、次の通りであり:2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(XTC)を、XTC/DPPC/コレステロール/PEG−cDMAが57.1/7.1/34.4/1.4の比率で及び約7の脂質:siRNA比率で使用する。さらに別の関連する実施形態において、RNAエフェクター分子は、dsRNAであり、次の通り:2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(XTC)を、XTC/DPPC/コレステロール/PEG−cDMAが57.1/7.1/34.4/1.4の比率で及び約7の脂質:siRNA比率で使用してXTC−SNALP製剤に製剤化される。あるいは、RNAエフェクター分子、例えば本明細書に記載のRNAエフェクター分子は、次の通り:XTC/DSPC/Chol/PEG2000−C14を50/10/38.5/1.5モル%の比率で及び約11:1の脂質:siRNAの比率で使用してLNP09製剤に製剤化することができる。いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、次の通り:MC3/DSPC/Chol/PEG2000−C14を50/10/38.5/1.5モル%の比率で及び約11:1の脂質:siRNAの比率で使用してLNP11製剤に製剤化される。さらに別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、LNP09製剤又はLNP11製剤に製剤化され、PBS対照群に比べて、標的遺伝子mRNA量を0.3mg/kgの用量で約85〜90%減少させる。さらに別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、LNP09製剤又はLNP11製剤に製剤化され、PBS対照群に比べて、標的遺伝子mRNA量を0.1mg/kgの用量で約50%減少させる。さらに別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、LNP09製剤又はLNP11製剤に製剤化され、標的遺伝子タンパク質量を、ウェスタンブロットによって測定されるようにPBS対照群に比べて用量に依存した方法で低下させる。さらに別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、次の通り:DlinDMAをDLinDMA/DPPC/コレステロール/PEG2000−cDMAが57.1/7.1/34.4/1.4の比率で及び約7の脂質:siRNA比率で使用してSNALP製剤に製剤化される。
いくつかの実施形態において、脂質製剤は、次式:
R1及びR2は、それぞれの存在についてそれぞれ独立して、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルキル、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルコキシ、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルケニル、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルケニルオキシ、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルキニル、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルキニルオキシ、又は場合により置換されていてもよいC10〜C30アシルであり;
(1)L2の一つの原子とL1の一つの原子の間の単結合であり〔この場合、
L1は、C(Rx)、O、S又はN(Q)であり;
L2は、−CR5R6−、−O−、−S−、−N(Q)−、=C(R5)−、−C(O)N(Q)−、−C(O)O−、−N(Q)C(O)−、−OC(O)−、又は−C(O)−である〕;
(2)L2の一つの原子とL1の一つの原子の間の二重結合であり〔この場合、
L1は、Cであり;
L2は、−CR5=、−N(Q)=、−N−、−O−N=、−N(Q)−N=、又は−C(O)N(Q)−N=である〕;
(3)L2の第一の原子とL1の第一の原子の間の単結合、及びL2の第二の原子とL1の第一の原子の間の単結合であり〔この場合、
L1は、Cであり;
L2は、次式:
Z1及びZ4は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CH2−、−CHR5−、又は−CR5R5−であり;
Z2は、CH又はNであり;
Z3は、CH又はNであり;
あるいは、Z2とZ3は、一緒になって、単一のC原子であり;
A1及びA2は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CH2−、−CHR5−、又は−CR5R5−であり;
それぞれのZは、N、C(R5)、又はC(R3)であり;
kは、0、1、又は2であり;
それぞれのmは、独立して0〜5であり;
それぞれのnは、独立して0〜5であり;
この場合に、mとnは、一緒になって3、4、5、6、7又は8員環を生じる〕;
(4)L2の第一の原子とL1の第一の原子の間の単結合、及びL2の第一の原子とL1の第二の原子の間の単結合であり〔この場合に、
(A)L1は、次式:
T1は、CH又はNであり;
T2は、CH又はNであり;
あるいは、T1とT2は、一緒になって、C=Cであり;
L2は、CR5であるか;又は
(B)L1は、次式:
T1は、−CR5R5−、−N(Q)−、−O−、又は−S−であり;
T2は、−CR5R5−、−N(Q)−、−O−、又は−S−であり;
L2は、CR5又はNである〕;
R3は、次式:
Y1、Y2、Y3及びY4のそれぞれは、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、又はアルキニルであるか;あるいは、
Y1、Y2及びY3の任意の2つは、これらを結合しているN原子と一緒になって3〜8員複素環を形成するか;あるいは、
Y1、Y2及びY3は、全てがこれらを結合しているN原子と一緒になって二環式5〜12員複素環を形成し;
それぞれのRnは、独立して、H、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;
L3は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR5R6)a−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
L4は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR5R6)a−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
L5は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR5R6)a−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
R5及びR6のそれぞれの存在は、独立して、H、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;あるいは、隣り合った2個の炭素原子上の2個のR5基は、一緒になってこれらのそれぞれの炭素原子の間で二重結合を形成するか;又は隣り合った2個の炭素原子上の2個のR5基と、同じ隣り合った炭素原子上の2個のR6基は、一緒になってこれらのそれぞれの炭素原子の間で三重結合を形成し;
それぞれのaは、独立して、0、1、2、又は3であり;
この場合に、
L3、L4又はL5のいずれかに由来するR5又はR6置換基は、場合によりL3、L4又はL5のいずれかに由来するR5又はR6置換基と一緒になって、3〜8員シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリール基を形成し;及び
Y1、Y2及びY3の任意の一つは、場合により、L3、L4又はL5のいずれかに由来するR5又はR6基、及びこれらを結合している原子と一緒になって、3〜8員ヘテロシクリル基を形成し;
それぞれのQは、独立して、H、アルキル、アシル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルであり;並びに
それぞれのQ2は、独立してO、S、N(Q)(Q)、アルキル又はアルコキシである}
を有する脂質を含んでなる。
特別な実施形態において、該処方は本明細書中に記載されたもの(例えば、脂質H、脂質K、脂質L、脂質M、脂質P、および脂質R)のような第四級アミンを含有する脂質を含む。かくして、いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子組成物は、その式が以下に示される、「脂質H」、「脂質K」、「脂質L」、「脂質M」、「脂質P」、または「脂質R」を含む、RNAエフェクター分子の摂取を容易とする試薬を含む。
別の実施形態において、RNAエフェクター分子組成物は、さらに、成長培地(例えば、Biowhittaker(登録商標)POWERCHO(登録商標)培地(Lonza)、HYCLONE PF CHO(商標)培地(Thermo Scientific)、GIBCO(登録商標)CD DG44培地(Invitrogen,Carlsbad,CA)、培地M199(Sigma−Aldrich)、OPTIPRO(商標)SFM培地(GIBCO)等)を含む。RNAエフェクターは、培地中で復元する場合、所望の濃度を供するような濃度で存在することができる。
なお、別の実施形態において、RNAエフェクター分子組成物は、さらに、必須アミノ酸(例えば、グルタミン)、2−メルカプト−エタノール、ウシ血清アルブミン(BSA)、脂質濃縮物、コレステロール、カタラーゼ、インスリン、ヒトトランスフェリン、スーパーオキシドジスムターゼ、ビオチン、DLα−トコフェロール酢酸、DLα−トコフェロール、ビタミン類(例えば、ビタミンA)、塩化コリン、D−パントテン酸カルシウム、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキサール塩酸、リボフラビン、チアミン塩酸塩、1−イノシトール、コルチコステロン、D−ガラクトース、エタノールアミンHCl、(還元された)グルタチオン、L−カルニチンHCl、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン2HCl、亜セレン酸ナトリウム、T3(トロイド−I−チロニン)、成長因子(例えば、EGF)、鉄、L−グルタミン、L−アラニル−L−グルタミン、ナトリウムヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン、アラキンドン酸、エチルアルコール100%、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、PLURONIC F68(登録商標)(Invitrogen)、ステアリン酸10、TWEEN 80(登録商標)非イオン性界面活性剤(Invitrogen)、ピルビン酸ナトリウム、ならびにグルコースよりなる群から選択される剤を含む。
種々の実施形態において、RNAエフェクター分子は、siRNA、miRNA、dsRNA、saRNA、shRNA、piRNA、tkRNA、i、eiRNA、pdRNA、ギャップマー、アンタゴミア(antagomir)、またはリボザイムを含むことができる。1つの実施形態において、RNAエフェクター分子はshRNAではない。1つの実施形態において、RNAエフェクター分子はdsRNAである。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子はsiRNAの群から選択され、ここに、RNAエフェクター分子は、少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19のヌクレオチド等)を含むセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は少なくとも16の連続ヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は少なくとも17の連続ヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は少なくとも18の連続ヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は少なくとも19の連続ヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は、さらに、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は、さらに、少なくとも2つのデオキシリボヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は、さらに、2つのデオキシチミジン残基を含む。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は二本鎖オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖を含み、ここに、該アンチセンス鎖は少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、17ヌクレオチド、18ヌクレオチドまたは19ヌクレオチド)を含む。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は少なくとも16の連続ヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は少なくとも17の連続ヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は少なくとも18の連続ヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は少なくとも19の連続ヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は、さらに、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は、さらに、少なくとも2つのデオキシリボヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は、さらに、2つのデオキシチミジン残基を含む。
いくつかの実施形態において、維持する工程は、さらに、細胞密度、培地pH、酸素レベル、グルコースレベル、乳酸レベル、温度、およびタンパク質生産よりなる群から選択される少なくとも1つの測定可能なパラメータをモニターすることを含む。
いくつかの実施形態において、細胞密度、培地pH、酸素レベル、グルコースレベル、乳酸レベル、温度、およびタンパク質生産のいずれか1つを含む、少なくとも1つの測定可能なパラメータは免疫原性作用物質の生産の間にモニターすることができる。
さらなる実施形態において、該方法は、さらに、第二の剤を宿主細胞に投与することを含む。第二の剤は成長因子;アポトーシス阻害剤;キナーゼ阻害剤;ホスファターゼ阻害剤;プロテアーゼ阻害剤;病原体の阻害剤(例えば、ウイルスが免疫原性作用物質である場合、他のウイルスまたは真菌または細菌病原体の成長および/または増殖を阻害する剤);もしくはヒストン脱メチル化剤であり得る。増殖されつつあるウイルスがインフルエンザである場合、第二の剤は、プロナーゼ、テルモリシン、サブチリシンA、または組換えプロテアーゼのような、インフルエンザヘマグルチニンを切断するプロテアーゼであり得る。
別の実施形態において、本明細書中に記載されたRNAエフェクター分子、例えば、宿主細胞標的遺伝子に対して向けられたdsRNAを含有する組成物が、細胞による免疫原性作用物質の生産を増強させるのに有用な非RNA剤と共に培養された細胞に投与される。非RNA剤は、抗生物質、抗真菌薬、抗代謝産物(例えば、メトトレキセート)、抗体;成長因子(例えば、インスリン);アポトーシス阻害剤;MAPキナーゼ阻害剤、CDK阻害剤、および/またはK252aのようなキナーゼ阻害剤;バナジン酸ナトリウムおよびオカダ酸のようなホスファターゼ阻害剤;プロテアーゼ阻害剤;および5−アザシチジンのようなヒストン脱メチル化剤よりなる群から選択することができる。
いくつかの実施形態において、免疫原性作用物質はポリペプチドであって、標的遺伝子は、宿主細胞において翻訳後修飾に影響するタンパク質をコードする。種々の実施形態において、翻訳後修飾はタンパク質グリコシル化、タンパク質脱アミド化、タンパク質ジスルフィド結合形成、メチオニン酸化、タンパク質ピログルタメーション、タンパク質折畳み、またはタンパク質分泌であり得る。
さらなる実施形態において、標的遺伝子は、宿主細胞の生理学的プロセスに影響するタンパク質をコードする。種々の実施形態において、生理学的プロセスはアポトーシス、細胞周期進行、細胞免疫応答、炭素代謝または輸送、ラクテート形成、RNAi摂取および/または有効性、もしくはアクチン動態である。
さらなる実施形態において、標的遺伝子はプロ−オキシダント酵素または細胞pHに影響するタンパク質をコードする。
別の態様において、本発明は、本明細書中に提供される少なくとも1つのRNAエフェクター分子を含有する培養された真核生物細胞を提供する。該細胞はげっ歯類細胞、イヌ細胞、非ヒト霊長類細胞、またはヒト細胞のような哺乳動物細胞である。
別の態様において、本発明は、本明細書中に提供される少なくとも1つのRNAエフェクター分子を含有する培養された真核生物細胞を提供する。該細胞はげっ歯類細胞、イヌ細胞、非ヒト霊長類細胞、またはヒト細胞のような哺乳動物細胞である。
別の態様において、本発明は、宿主細胞において標的遺伝子の発現を変調することによって、細胞培養における免疫原性作用物質の生産を増強させるための組成物を提供する。該組成物は、典型的には、本明細書中に記載された1以上のRNAエフェクター分子、および適当なキャリアまたは送達ビヒクル、例えば、許容されるキャリアおよび/またはRNAエフェクター分子の摂取を容易とする試薬を含む。RNAエフェクター分子組成物は、水性、非水性または混合培地中の懸濁液として処方することができ、脂質または非脂質処方にて処方することができる。RNAエフェクター分子組成物は、(例えば、濃度および/または容量によって区別される単位にて提供される)滅菌溶液にて提供できるか、または凍結乾燥することができる。
別の実施形態において、本明細書中に記載されるRNAエフェクター分子、例えば、宿主細胞標的遺伝子に対して向けられたdsRNAを含有する組成物は、細胞による免疫原性作用物質の生産を増強させるのに有用な非RNA剤と共に培養された細胞に投与される。
1つの実施形態において、培養された細胞における標的遺伝子の発現を変調するためのベクターが提供され、ここに、標的遺伝子は、細胞による免疫原性作用物質の生産に影響するタンパク質をコードする。1つの実施形態において、ベクターは、RNAエフェクター分子の少なくとも1つの鎖をコードするヌクレオチド配列に操作可能に連結された少なくとも1つの調節配列を含む。1つの実施形態において、RNAエフェクター分子はベクターによってコードされていない。
別の実施形態において、本発明は、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するためのベクターを含有する細胞を提供する。該ベクターは、RNAエフェクター分子の少なくとも1つの鎖をコードするポリヌクレオチドに操作可能に連結された調節配列を含む。
本発明のさらに別の態様は、本明細書中に記載されたRNAエフェクター分子を含むキットを含む。1つの実施形態において、該キットは、免疫原性作用物質の生産に影響するタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を変調するRNAエフェクター分子を含む。別の実施形態において、該キットは、さらに、免疫原性作用物質の生産に影響するタンパク質の発現を変調するRNAエフェクター分子を発現する修飾された細胞株を含む。該キットは、本明細書中で提供された方法を行うための指示書も含むことができる。
1つの実施形態において、該キットは、さらに、宿主細胞を成長させるための適当な培養基および/またはRNAエフェクター分子をコードする核酸配列を宿主細胞に導入するための構築体(例えば、プラスミド、ウイルス等)を含む。さらに別の実施形態において、キットは、さらに、免疫原性作用物質を検出し、および/または精製するための試薬を含む。適当な試薬の非限定的例はPCRプライマー、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、アフィニティークロマトグラフィー媒体等を含む。
1つの実施形態において、キットは、標的遺伝子の発現を変調して、潜在的、偶発的または内因性ウイルスの発現を阻害し、かくして、所望の免疫原性作用物質の生産に影響するRNAエフェクター分子を含む。別の実施形態において、キットは、所望の免疫原性作用物質の生産に影響する潜在的、偶発的または内因性ウイルスの発現を変調するRNAエフェクター分子を発現する宿主細胞を含む。そのようなキットは、本明細書中で提供された方法を行うための指示書を含むこともできる。該キットは、荷電脂質、エマルジョン、リポソーム、カチオン性または非カチオン性脂質、アニオン性脂質、トランスフェクション試薬または浸透促進剤を含む、RNAエフェクター分子摂取を容易とする少なくとも1つの試薬を含むこともできる。特別な実施形態において、RNAエフェクター分子摂取を容易とする試薬は荷電脂質を含む。
本発明のいくつかの実施形態は、微生物接種またはベクター形質導入の間または後に宿主細胞におけるRNA干渉を開始させて、収穫された免疫原性作用物質の収率および/または品質を危うくしかねない内因性、潜在的または偶発的ウイルスの発現を阻害することに関する。例えば、ある実施形態は、内因性、潜在的または偶発的ウイルス経路(例えば、鳥類細胞における内因性トリ白血病ウイルス(ALV−E)のev遺伝子座;CHO細胞における内因性C型レトロウイルス様粒子ゲノム;Vero細胞におけるブタサーコウイルス1型(PCV−1)のrep遺伝子)を標的とし、それにより、所望の免疫原性作用物質の品質および/または収率を増大させる、siRNA、または例えば、裸の、コンジュゲートされたまたは処方された形態(例えば、脂質ナノ粒子)のshRNAを投与する。
本発明のいくつかの実施形態において、単純な裸の(すなわち、コンジュゲートされていない)RNAエフェクター分子、またはコンジュゲートされた(例えば、コレステロールまたは他の標的化リガンドに直接的にコンジュゲートされた)RNAエフェクター分子を用いることができる。別の実施形態において、プラスミドまたはウイルスベクターでコードされたshRNA用のRNAエフェクター分子を用いることができる。
本発明のいくつかの実施形態において、LNPまたは交互ポリマー処方が用いられる。いくつかの実施形態において、該処方は、RNAエフェクター分子摂取を容易とする剤、例えば、荷電脂質、エマルジョン、リポソーム、カチオン性または非カチオン性脂質、アニオン性脂質、トランスフェクション試薬または浸透促進剤を含む。特別な実施形態において、RNAエフェクター分子摂取を容易とする試薬は荷電脂質を含む。加えて、該処方は、感染性シードまたはベクターそれ自体に共処方し、または一体化させて、そこで剤/ベクターが所望の免疫原性作用物質を生産することができる関連細胞への送達を容易とし、またはRNAi材料を容易とすることができる。
特別な実施形態において、標的遺伝子は内因性、偶発的または潜在的ヘルペスウイルス、ポリオーマウイルス、ヘパドナウイルス、パピローマウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス、ボルナウイルス、レトロウイルス、アレナウイルス、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス、レオウイルス、ピコルナウイルス、フラビウイルス、ラブドウイルス、ハンタウイルス、サーコウイルス、またはベッシウイルスに関連する。
本発明の方法によって標的化することができる特別な内因性および潜在的ウイルスはマウスの微小ウイルス(MVM)、マウス白血病/肉腫(MLV)、ブタサーコウイルス(PCV−1、PCV−2)を含むサーコウイルス、ヒトヘルペスウイルス8(HHV−8)、アレナウイルスリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、乳酸デヒドロゲナーゼウイルス(LDHまたはLDV)、ヒト種Cアデノウイルス、トリアデノ関連ウイルス(AAV)、霊長類内因性レトロウイルスファミリーK(ERV−K)、およびヒト内因性レトロウイルスK(HERV−K)を含む。
さらに、ERVについて、本発明の実施形態において、ERVの標的遺伝子は霊長類/ヒトクラスIガンマERV pt01−Chr 10r−17119458、pt01−Chr5−53871501、BaEV、GaLV、HERV−T、ERV−3、HERV−E、HERV−ADP、HERV−I、MER4様、HERV−FRD、HERV−W、HERVH−RTVLH2、HERVH−RGH2、HERV−Hコンセンサス、HERV−Fc1;霊長類/ヒトイプシロンERV hg15−chr3−152465283;霊長類/ヒト中間(イプシロン様)HERVL66;霊長類/ヒトクラスIII Spuma様ERVs HSRV、HFV、HERV−S、HERV−L、HERVL40、HERVL74;霊長類/ヒトデルタERVs HTLV−1、HTLV−2;霊長類/ヒトレンチERVs HIV−1、HIV−2;霊長類/ヒトクラスII、ベータERV MPMV、MMTV、HML1、HML2、HML3、HML4、HML7、HML8、HML5、HML10、HML6、またはHML9のものであり得る。
本発明の他の実施形態において、ERVはげっ歯類クラスII、ベータERV MMTV;げっ歯類クラスIガンマERV MLV;ネコクラスIガンマERV FLV;有蹄動物クラスIガンマERV PERV;有蹄動物デルタERV BLV;有蹄動物レンチウイルスVisna、EIAV;有蹄動物クラスII、ベータERV JSRV;鳥類クラスIII、Spuma様ERVs gg01−chr7−7163462;gg01−chrU−52190725、gg01−Chr4−48130894;鳥類アルファERVs ALV、gg01−chr1−15168845;鳥類中間ベータ様ERVs gg01−chr4−77338201;gg01−ChrU−163504869、gg01−chr7−5733782;爬虫類中間ベータ様ERV インドニシキヘビ;魚類イプシロンERV WDSV;魚類中間(イプシロン様)ERV SnRV;両生類イプシロンERV Xen1;昆虫エランチウイルスERV Gypsyから選択される。
本発明の他の実施形態は、ベシウイルス、サーコウイルス、ハンターンウイルス、マルブルグウイルス、SV40、SV20、セムリキ森林熱ウイルス(SFV)、シミアンウイルス5(sv5)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、ブタパルボウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、マウス白血病ウイルス(MuLV)、マウスの肺炎ウイルス(PVM)、タイラーの脳脊髄炎ウイルス(THEMV)、マウス微小ウイルス(MMVまたはMVM)、マウスアデノウイルス(MAV)、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、マウスロタウイルス(EDIM)、キルハム・ラット・ウイルス(KRV)、トーランのH−1ウイルス、センダイウイルス(SeV、マウス・パラインフルエンザ・ウイルス1型または日本血球凝集ウイルス(HVJ)としても公知)、パーカーのラットコロナウイルス(RCVまたはSDA)、偽狂犬病ウイルス(PRV)、レオウイルス、カシェ渓谷ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ウシ・パラインフルエンザ・ウイルス3型、ウシ呼吸器系合胞体ウイルス、ウシアデノウイルス、ウシパルボウイルス、ウシヘルペスウイルス1(感染性ウシ鼻気管炎ウイルス)、他のウシヘルペスウイルス、ウシレオウイルス、狂犬病ウイルス、ブルータングウイルス、ウシ・ポリオーマ・ウイルス、ウシサーコウイルス、およびワクシニア以外のオルトポックスウイルス、偽牛痘ウイルス(ヒトに感染し得る広く分布したパラポックスウイルス)、パピローマウイルス、ヘルペスウイルス、またはレポリポックスウイルスのような動物起源の偶発的ウイルスを標的とする。
他の実施形態は、HIV−1およびHIV−2;ヒトT細胞リンパ球向性ウイルスI型(HTLV−I)およびHTLV−II;ヒトA、BおよびC型肝炎ウイルス;ヒトサイトメガロウイルス;エプスタインバールウイルス(EBVまたはHHV−4);ヒトヘルペスウイルス6、7および8;ヒトパルボウイルスB19;レオウイルス;ポリオーマ(JC/BK)ウイルス;SV40ウイルス;ヒトコロナウイルス;ヒトパピローマウイルス;A、BおよびC型インフルエンザウイルス;ヒトエンテロウイルス;ヒトパラインフルエンザウイルス;およびヒト呼吸器系合胞体ウイルスを含むヒト起源の偶発的剤を標的とする。
本発明のさらに他の実施形態は、内因性、潜在的または偶発的ウイルスが結合した、またはウイルス複製に必要な宿主細胞表面受容体または細胞内タンパク質を標的とする。例えば、特別な実施形態において、標的遺伝子は、細胞シアル酸の生産に関連する遺伝子のようなCHO細胞MVM受容体遺伝子である。
本明細書中に記載されたようなシアル酸に関連する標的遺伝子に加えて、免疫原性作用物質の収率および/または品質は、宿主細胞においてグリコシル化に関連する遺伝子を標的化することによって最適化することができる。
ハムスターGale遺伝子はUDP−ガラクトース−4−エピメラーゼ、例えば、CHO Gale転写体配列番号:5564をコードし、そのうち1つが、配列番号:1888656〜1889007よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、または19ヌクレオチド)を含む、センス鎖およびアンチセンス鎖を含むRNAエフェクター分子を標的化することができる。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は、配列番号:1888656〜1889007よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16の連続ヌクレオチドを含む。別の実施形態において、1つの鎖は、配列番号:1888656〜1889007よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも17の連続ヌクレオチドを含む。別の実施形態において、1つの鎖は、配列番号:1888656〜1889007よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも18の連続ヌクレオチドを含む。別の実施形態において、1つの鎖は、配列番号:1888656〜1889007よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも19の連続ヌクレオチドを含む。特別な実施形態において、アンチセンス鎖は配列番号:1888656〜1889007の配列を含み、さらに、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチドを含む。別の特別な実施形態において、アンチセンス鎖は、配列番号:1888656〜1889007の配列を含み、さらに、少なくとも2つのデオキシリボヌクレオチドを含む。別の特別な実施形態において、アンチセンス鎖は、配列番号:1888656〜1889007の配列を含み、さらに、少なくとも2つのデオキシチミジン残基を含む。この酵素は、ガラクトースをグルコースに変換することによって、細胞がそれを処理するのを可能とし、その逆も成立する。
UDP−ガラクトースを用いて、ガラクトース含有タンパク質および脂肪を形成し、これは、化学的シグナリング、細胞構造の形成、分子の輸送、およびエネルギーの生産において非常に重要な役割を果たす。ハムスターGDP−マンノース4,6−デヒドラターゼ(GMDS)は、その1つが、配列番号:3152754〜3152793よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、または19ヌクレオチド)を含む、センス鎖およびアンチセンス鎖を含むRNAエフェクター分子に標的化され得る。1つの実施形態において、アンチセンス鎖は、配列番号:3152754〜3152793よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16の連続ヌクレオチドを含む。別の実施形態において、1つの鎖は、配列番号:3152754〜3152793よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも17の連続ヌクレオチドを含む。別の実施形態において、1つの鎖は、配列番号:3152754〜3152793よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも18の連続ヌクレオチドを含む。別の実施形態において、1つの鎖は、配列番号:3152754〜3152793よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも19の連続ヌクレオチドを含む。特別な実施形態において、アンチセンス鎖は、配列番号:3152754〜3152793の配列を含み、さらに、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチドを含む。別の特別な実施形態において、アンチセンス鎖は、配列番号:3152754〜3152793の配列を含み、さらに、少なくとも2つのデオキシリボヌクレオチドを含む。別の特別な実施形態において、アンチセンス鎖は、配列番号:3152754〜3152793の配列を含み、さらに、少なくとも2つのデオキシチミジン残基を含む。
種々の実施形態において、免疫原性作用物質はポリペプチドである。該ポリペプチドは組換えポリペプチド、または宿主細胞に対して内因性であるポリペプチドであり得る。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは抗原、糖タンパク質、受容体、膜タンパク質、免疫エフェクター、結合性タンパク質、癌タンパク質またはプロト−癌タンパク質、または構造タンパク質である。いくつかの実施形態において、ポリペプチド免疫原性作用物質はワクチンであり、または免疫原性作用物質はワクチンにおいて用いることができる。
本発明の方法は、宿主細胞培養の成長、生産および活性化レベルをモニターし、ならびに宿主細胞培養の条件を変化させて、宿主細胞の成長、生産および活性化レベル、および所望の産物を最大化させ、および細胞または培養から免疫原性作用物質を収穫し、収穫された免疫原性作用物質を含む処方を調製し、および当該方法によって得られた処方をそれを必要とする対象に投与することによって病気を治療し、および/または予防する工程を含むこともできる。
1つの実施形態において、宿主細胞には、複数の異なるRNAエフェクター分子が投与されて、多数の標的遺伝子の発現を変調する。RNAエフェクター分子は異なる時点において、または同時に、同一頻度または異なる頻度にて、同一濃度にて、または異なる濃度にて投与することができる。
別の実施形態において、本発明は、細胞における標的遺伝子の発現を変調することによって、宿主細胞における免疫原性作用物質の生産を増強させるための組成物を提供する。該組成物は、典型的には、本明細書中に記載されたRNAエフェクター分子のような1以上のオリゴヌクレオチド、および適当なキャリアまたは送達ビヒクルを含む。
さらなる実施形態において、標的遺伝子は、宿主細胞の生理学的プロセスに影響するタンパク質をコードする。種々の実施形態において、生理学的プロセスはアポトーシス、細胞性免疫、細胞周期の進行、炭素の代謝または輸送、ラクテート形成、またはRNAi摂取および/または効率である。
より具体的には、いくつかの実施形態において、第二の標的遺伝子は宿主細胞の免疫応答に関連する遺伝子であって、標的遺伝子はTLR3、TLR7、TLR21、RIG−1、LPGP2、RIG1様受容体、TRIM25、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、MAVS、IFNAR1、IFNR2、STAT−1、STAT−2、STAT−3、STAT−4、JAK−1、JAK−2、JAK−3、IRF1、IRF2、IRF3、IRF4、IRF5、IRF6、IRF7、IRF8、IRF9、IRF10、2’,5’オリゴアデニル酸シンテターゼ、RNaseL、dsRNA−dPKR、Mx、IFITM1、IFITM2、IFITM3、前炎症性サイトカイン、MYD88、TRIF、PKR、および前述のいずれかの調節領域よりなる群から選択される宿主細胞標的をコードする。
他の具体的実施形態において、第二の標的遺伝子は宿主細胞の生存性、成長または細胞周期に関連する遺伝子であって、標的細胞は、Bax、Bak、LDHA、LDHB、BIK、BAD、BIM、HRK、BCLG、HR、NOXA、PUMA、BOK、BOO、BCLB、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9、CASP10、BCL2、p53、APAF1、HSP70、TRAIL、BCL2L1、BCL2L13、BCL2L14、FASLG、DPF2、AIFM2、AIFM3、STK17A、APITD1、SIVA1、FAS、TGFβ2、TGFBR1、LOC378902、またはBCL2A1、PUSL1、TPST1、WDR33、Nod2、MCT4、ACRC、AMELY、ATCAY、ANP32B、DEFA3、DHRS10、DOCK4、FAM106A、FKBP1B、IRF3、KBTBD8、KIAA0753、LPGAT1、MSMB、NFS1、NPIP、NPM3、SCGB2A1、SERPINB7、SLC16A4、SPTBN4、TMEM146、CDKN1B、CDKN2A、FOXO1、PTEN、FN1、CSKN2B、miRNAアンタゴニスト、宿主シアリダーゼ、NEU2シアリダーゼ2、NEU3シアリダーゼ3、ダイサー、ISRE、B4GalT1、B4GalT6、Cmas、Gne、SLC35A1、および前述のいずれかの調節領域よりなる群から選択される宿主細胞標的をコードする。
1つの態様において、本明細書中に記載された方法は、(a)培養における哺乳動物細胞を、Bax、BakおよびLDHの発現の阻害を可能とする複数の異なるRNAエフェクター分子と接触させ;次いで、(b)該細胞を、Bax、Bak、およびLDHの発現を阻害するのに十分な時間の間維持することを含み、ここに、該発現の阻害は哺乳動物細胞の生存性を改善する、培養における哺乳動物細胞の生存性を改善する方法に関する。この態様の1つの実施形態において、BAXを標的とするRNAエフェクター分子はセンス鎖を含み、ここに、少なくとも1つの鎖は、配列番号:3152412〜3152539、配列番号:3152794〜3152803、配列番号:3023234〜3023515、配列番号:3154393〜3154413、配列番号:3154414〜3154434、配列番号:3154923〜3154970、および配列番号:3154971〜3155018よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド等)を含む。この態様の別の実施形態において、BAKを標的とするRNAエフェクター分子はセンス鎖を含み、ここに、少なくとも1つの鎖は、配列番号:3152412〜3152475、配列番号:3152804〜3152813、配列番号:2259855〜2260161、配列番号:3154393〜3154413、配列番号:3154414〜3154434、配列番号:3154827〜3154874、配列番号:3154875〜3154922、および表22にリストされた配列よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19のヌクレオチド等)を含む。この態様の別の実施形態において、LDHを標的とするRNAエフェクター分子はセンス鎖を含み、ここに、少なくとも1つの鎖は、配列番号:3152540〜3152603、配列番号:3152814〜3152823、配列番号:1297283〜1297604、配列番号:3154553〜3154578、配列番号:3154579〜3154604、配列番号:3155589〜3155635、および配列番号:3155636〜3155682よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19のヌクレオチド等)を含む。
1つの態様において、本明細書中に記載された方法は、(a)大規模な宿主細胞培養における宿主細胞を、その一部が宿主細胞の少なくとも1つの標的遺伝子に対して相補的である少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させ、(b)該宿主細胞培養を、少なくとも1つの第一の標的遺伝子の発現を変調するのに十分な時間の間維持し、ここに、該発現の変調は該宿主細胞における免疫原性作用物質の生産を改善し;(c)該宿主細胞から免疫原性作用物質を単離することを含み、ここに、該大規模な宿主細胞培養はサイズが少なくとも1リットルであり、および該宿主細胞は、該RNAエフェクター分子を、標的遺伝子発現が一過的に阻害されるように該大規模な宿主細胞培養の培養基に添加することによって少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触される、大規模な宿主細胞培養において免疫原性作用物質を生産する方法を提供する。
また、別の態様において、本明細書中で提供されるのは、(a)大規模な宿主細胞培養における宿主細胞を、その一部が宿主細胞の少なくとも1つの標的遺伝子に対して相補的である少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させ、(b)該宿主培養を、少なくとも1つの第一の標的遺伝子の発現を変調するのに十分な時間の間維持し、ここに、該発現の変調は該宿主細胞における免疫原性作用物質の生産を改善し;次いで、(c)該免疫原性作用物質を該宿主細胞から単離することを含み、ここに、該宿主細胞は、標的遺伝子発現が一過的に阻害されるように、免疫原性作用物質の生産を通じて複数回、RNAエフェクター分子を大規模な宿主細胞培養の培養基に添加することによって少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる、大規模な宿主細胞培養において免疫原性作用物質を生産する方法である。
本明細書中に記載された態様の1つの実施形態において、宿主細胞は、標的遺伝子の発現が一過的に阻害されるように、RNAエフェクター分子を大規模な宿主細胞培養の培養基に添加することによって複数のRNAエフェクター分子と接触される。
本明細書中に記載された態様の1つの実施形態において、大規模な宿主細胞培養における宿主細胞は複数のRNAエフェクター分子と接触され、ここに、該複数のRNAエフェクター分子は、少なくとも1つの標的遺伝子、少なくとも2つの標的遺伝子、または複数の標的遺伝子の発現を変調する。
本明細書中に記載された態様の別の実施形態において、RNAエフェクター分子、または複数のRNAエフェクター分子は二本鎖リボ核酸(dsRNA)を含み、ここに、該dsRNAは相互に対して相補的である少なくとも2つの配列を含み、およびここに、センス鎖は第一の配列を含み、およびアンチセンス鎖は、標的遺伝子の少なくとも一部に対して実質的に相補的である相補性の領域を含む第二の配列を含み、およびここに、該相補性の領域は長さが10〜30ヌクレオチドである。
本明細書中に記載された態様の別の実施形態において、該接触する工程は、RNAエフェクター分子、または複数のRNAエフェクター分子の、宿主細胞培養を維持して、免疫原性作用物質を生産するのに用いられる培養基への連続的注入によって行われる。
本明細書中に記載された態様の別の実施形態において、発現の変調は発現の阻害であり、ここに、該阻害は部分的阻害である。
本明細書中に記載された態様の別の実施形態において、該部分的阻害は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、および85%よりなる群から選択されるパーセント阻害以下である。
本明細書中に記載された態様の別の実施形態において、該部分的阻害は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、および85%よりなる群から選択されるパーセント阻害以下である。
本明細書中に記載された態様の別の実施形態において、RNAエフェクター分子は100nM未満の濃度にて接触される。
本明細書中に記載された態様の別の実施形態において、RNAエフェクター分子は50nM未満の濃度にて接触される。
本明細書中に記載された態様の別の実施形態において、RNAエフェクター分子は50nM未満の濃度にて接触される。
いくつかの実施形態において、その一部が標的遺伝子に対して相補的である少なくとも1つのRNAエフェクター分子は、ヌクレオチド配列の少なくとも16の連続ヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含む対応するsiRNAであり、ここに、該ヌクレオチド配列(配列番号)は本明細書に引用される。
また、免疫原性作用物質の生産を増強させるのに有用な組成物が本明細書中で提供される。1つの態様において、その一部が宿主細胞の少なくとも1つの標的遺伝子に対して相補的である少なくとも1つのRNAエフェクター分子、および宿主細胞を培養するのに適した培養基を含み、ここに、RNAエフェクター分子は標的遺伝子の発現を変調することができ、該発現の変調は免疫原性作用物質の生産を増強させ、ここに、少なくとも1つのRNAエフェクター分子は、本明細書中で言及されるヌクレオチド配列(配列番号)の少なくとも16の連続ヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAである組成物が提供される。
本明細書中に記載される別の態様は、(a)免疫原性作用物質が生産される条件下で、細胞培養するのに適した1以上のアッセイ表面を含む基板;(b)1以上のRNAエフェクター分子、ここに、各RNAエフェクター分子の少なくとも一部は標的遺伝子に対して相補的であり;および(c)免疫原性作用物質、または細胞によるその生産を検出するための試薬、ここに、該1以上のRNAエフェクター分子は、本明細書中で言及されるヌクレオチド配列(配列番号)の少なくとも16の連続ヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAである;を含む、培養された細胞による免疫原性作用物質の生産を増強させるためのキットを提供する。
また、(a)複数のアッセイ表面を含むマイクロアレイ基板、該アッセイ表面は、免疫原性作用物質が生産される条件下で細胞を培養するのに適しており;(b)1以上のRNAエフェクター分子、ここに、各RNAエフェクター分子の少なくとも一部は標的遺伝子に対して相補的であり;および(c)該1以上のRNAエフェクター分子の、免疫原性作用物質の生産に対する効果を検出するための試薬、ここに、該1以上のRNAエフェクター分子は、本明細書中で言及されるヌクレオチド配列(配列番号)の少なくとも16の連続ヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAである;を含む、培養された細胞による免疫原性作用物質の生産を最適化するためのキットが本明細書中で提供される。
1つの実施形態において、本発明は、本明細書中で提供される少なくとも1つのRNAエフェクター分子を含有する宿主細胞を提供する。該宿主細胞は、昆虫、両生類、魚類、爬虫類、鳥、哺乳動物またはヒトに由来することができるか、またはハイブリドーマ細胞であり得る。例えば、該細胞はヒト・ナマルワバーキット(Namalwa Burkitt)リンパ腫細胞(BLcl−kar−Namalwa)、ベビーハムスター腎臓線維芽細胞(BHK)、CHO細胞、マウスミエローマ細胞(例えば、NS0、SP2/0)、ハイブリドーマ細胞、ヒト胚腎臓細胞(293HEK)、ヒト網膜由来細胞(PER.C6(登録商標)細胞)、昆虫細胞株(Spodoptera frugiperdaの卵巣組織に由来するSf9;またはTrichoplusia ni卵細胞ホモジネートに由来するHi−5)、マディン・ダービー(Medin−Darby)イヌ腎臓細胞(MDCK)、初代マウス脳細胞または組織、初代子ウシリンパ細胞または組織、初代サル腎臓細胞、胚化ニワトリ卵、初代ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)、アカゲザル胎児肺細胞(FRhL−2)、ヒト胎児肺細胞(WI−38、MRC−5)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(例えば、Vero、CV−1)、アカゲザル腎臓細胞(LLC−MK2)、または酵母細胞に由来することができる。特別な実施形態において、該細胞はMDCK細胞である。
実施形態はまた、宿主細胞から、特にCHO細胞から免疫原性作用物質を産生させるための組成物及び方法を提供し、前記方法は、前記細胞を、RNAエフェクター分子、例えばCHOトランスクリプトーム転写産物(その一部分は、標的転写産物と相補的である)を標的とする一つ又はそれ以上のsiRNA分子と接触させ、前記細胞をバイオリアクター中で、標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合、前記調節は、細胞から免疫原性作用物質の産生を高める)、及び免疫原性作用物質を前記細胞から単離することを含む。
本発明の利点は、宿主細胞によって産生される免疫原性作用物質の収量及び/又は純度を実質的に上昇させることができ、従って生産コストを低下させることができること又は開発時間を著しく短縮できることである。改良された製造ロジスティクスは、品質を高める、及び免疫原性作用物質供給を拡大するという後から続く効果を有する。
本発明の一つ又はそれ以上の実施形態の詳細を、以下の記載において明らかにする。本発明のその他の特徴、目的及び利点は、本明細書の記載及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
詳細な説明
本発明は、本明細書に記載の特定の方法、プロトコル及び組成物などに限定されず、それ自体変化し得る。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的とするものであり、特許請求の範囲によって単に定義されるだけである本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
本発明は、本明細書に記載の特定の方法、プロトコル及び組成物などに限定されず、それ自体変化し得る。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的とするものであり、特許請求の範囲によって単に定義されるだけである本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、単数形は、特にその内容が明確に示されない限りは、複数言及を含み及びその逆も同様である。操作実施例又は別の方法で示した場合以外は、本明細書で使用する成分の量又は反応条件を表す全ての数値は、全ての場合において用語「約」で修飾されると解釈されるべきである。
本明細書において特定される全ての特許、遺伝子識別番号によって識別されるオリゴヌクレオチド配列及びの他の刊行物は、例えば本発明に関連して使用し得るような刊行物に記載される方法を記載及び開示することを目的として参照することによって明確に援用される。これらの刊行物は、これらの本出願の出願日前の開示についてのみ提供される。これに関して、先行発明によって又は任意のその他の理由で、本発明者らが、このような開示に先行する資格がないと認められると解釈されるべきではない。日付に関する全ての陳述又はこれらの文書の内容に関する説明は、本出願人らが入手できる情報に基づくものであり、これらの文書の日付又は内容の正確さに関して承認を構成するものではない。
特に定義されない限りは、本明細書で使用する全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当業者に一般に理解されている意味と同じ意味を有する。ヒト遺伝子記号は、典型的には大文字で示されるが、本願明細書では、大文字又は小文字の遺伝子記号の使用は、同じ意味で使用し得、ヒト種又は非ヒト種の両方を含む。従って、例えば、「LDHA」(「Ldha」又は「LdhA」)のような遺伝子又は遺伝子標的「乳酸デヒドロゲナーゼA」に関する本明細書の言及は、ヒト及び/又は非ヒト(例えば、トリ、齧歯類、イヌ)遺伝子及び遺伝子標的を含む。すなわち、特定の遺伝子記号において大文字又は小文字は、遺伝子又は遺伝子標的の範囲をヒト種又は非ヒト種に限定しない。本明細書において提供される全ての遺伝子識別番号(遺伝子ID)は、特に特定されない限りは、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)「Entrez Gene」ウェブサイトの遺伝子識別番号である。
本発明は、宿主細胞において免疫原性作用物質を産生させる方法であって、宿主細胞を、少なくとも一つのRNAエフェクター分子(その一部分は、標的遺伝子の少なくとも一部分と相補的である)と接触させ、前記細胞を、標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合に、前記調節は、免疫原性作用物質の産生を高める)、及び前記免疫原性作用物質を前記細胞から回収する工程を含む方法を提供する。本明細書に提供される記載は、本明細書において提供される方法に従って宿主細胞において免疫原性作用物質を産生させるためにどのようにRNAエフェクター分子を調製し、使用するかを開示する。また、開示された方法を実施するための細胞培養試薬及びRNAエフェクター分子を含む組成物並びにキットが開示される。
I.定義
本明細書で使用する用語「を含む(comprising)」又は「を含む(comprise)」は、本発明に不可欠であるが、不可欠であろうとなかろうと、特定されていない要素を含むことができる組成物、方法、及びこれらのそれぞれの成分(一つ又は複数)に関連して使用される。
I.定義
本明細書で使用する用語「を含む(comprising)」又は「を含む(comprise)」は、本発明に不可欠であるが、不可欠であろうとなかろうと、特定されていない要素を含むことができる組成物、方法、及びこれらのそれぞれの成分(一つ又は複数)に関連して使用される。
本明細書で使用する用語「から本質的になる」は、所定の実施形態に必要とされる要素を指す。この用語は、本発明のその実施形態の基本的及び新規又は機能的特徴に実質的に影響を及ぼさない要素の存在を可能にする。
用語「からなる」は、実施形態のその記載に挙げられていない任意の要素を含まない、本明細書に記載のような組成物、方法及びこれらのそれぞれの成分を指す。
本明細書中で用いるように、「免疫原性作用物質」とは、免疫系の1以上の機能が増加され、免疫原性作用物質に向けられるように、対象の免疫系を刺激するのに用いられる作用物質をいう。抗原または免疫原は、宿主の免疫系を刺激して、その抗原に対して特異的な分泌、液性および/または細胞性免疫応答を行うことができる1以上のエピトープを含有する分子を意味することを意図する。免疫原性作用物質は、当分野で公知の技術を用い、双方が単離されたポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体である抗体の生産で用いることができる。免疫原性作用物質はワクチンを含む。
本明細書中で用いるように、「免疫原性作用物質」とは、免疫系の1以上の機能が増加され、免疫原性作用物質に向けられるように、対象の免疫系を刺激するのに用いられる作用物質をいう。抗原または免疫原は、宿主の免疫系を刺激して、その抗原に対して特異的な分泌、液性および/または細胞性免疫応答を行うことができる1以上のエピトープを含有する分子を意味することを意図する。免疫原性作用物質は、当分野で公知の技術を用い、双方が単離されたポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体である抗体の生産で用いることができる。免疫原性作用物質はワクチンを含む。
本明細書中で用いるように、「ワクチン」とは、対象の免疫系によって自己抗原として認識されない抗原に対して保護が供されるように、対象の免疫系を刺激するのに用いられる剤をいう。免疫化とは、生物が暴露された病原体または抗原に対して向けられる、対象において高レベルの抗体および/または細胞免疫応答を誘導するプロセスをいう。本明細書中で用いられるワクチンおよび免疫原性作用物質とは、対象の免疫系:それにより、対象が、対象の細胞または細胞外流体を侵す抗原性材料に対して抗体および/または細胞性免疫応答を生じさせる、解剖学的特徴およびメカニズムをいう。抗体生産の場合には、そのように生産された抗体は、免疫グロブリンA、D、E、GまたはMのような免疫学的クラスのいずれにも属することができる。免疫グロブリンA(IgA)の生産を刺激するワクチンは注目されている。なぜならば、IgAは、温血動物における分泌系の主たる免疫グロブリンだからである。ワクチンは、IgAの形成に加えて、広い範囲の他の免疫応答、例えば、細胞性および液性免疫を生じさせるようである。抗原に対する免疫応答はよく研究され、広く報告されている。例えば、Elgert, IMMUNOL.(Wiley Liss, Inc.,1996);StitesらBASIC & CLIN. IMMUNOL.,(第7版,Appleton & Lange,1991)参照。対照的に、フレーズ「宿主細胞の免疫応答」とは、外来体の存在に対する単細胞宿主生物の応答をいう。
本発明の文脈において、用語「オリゴヌクレオチド」又は「核酸分子」は、発現されるか又は自然界に見出される核酸分子ばかりではなく、本明細書に記載のような又は当該技術において知られているような一つ又はそれ以上のリボ又はデオキシリボヌクレオチド/ヌクレオシド類似体又は誘導体を含む核酸の類似体又は誘導体も包含する。このような修飾又は置換オリゴヌクレオチドは、本明細書においてさらに論じられる、例えば高められた細胞取り込み、ヌクレアーゼの存在下での上昇した安定性などの特性から、多くの場合、天然型全体にわたって使用される。「ヌクレオシド」は、ヌクレオシド塩基及びリボース糖を含み、「ヌクレオチド」は、1個、2個又は3個のリン酸部分を有するヌクレオシドである。用語「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」は、本明細書で使用されるように同等物であるとみなすことができる。オリゴヌクレオチドは、RNAヌクレオチドのDNAヌクレオチドへの修飾を含め、例えば本明細書に記載のように核酸塩基構造又はリボース−リン酸主鎖構造において修飾することができる。ヌクレオシド類似体又は誘導体を含む分子は、二重鎖を形成する能力を保持しなければならない。
非限定的な例として、オリゴヌクレオチドは、少なくとも一つの修飾ヌクレオシド、例えば以下に限定されないが、2’−O−メチル修飾ヌクレオシド、5’−ホスホロチオエート基を含むヌクレオシド、コレステロール誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基に連結されたに末端ヌクレオシド、固定化ヌクレオシド、脱塩基ヌクレオシド、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオシド、2’−アミノ−修飾ヌクレオシド、2’−アルキル−修飾ヌクレオシド、モルホリノヌクレオシド、ヌクレオシドを含むホスホロアミデート又は非天然塩基、あるいはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。あるいは、オリゴヌクレオチドは、少なくとも2個の修飾ヌクレオシド、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個又はそれ以上の修飾ヌクレオシドを、最大オリゴヌクレオチドの全長まで含むことができる。修飾は、オリゴヌクレオチドのこのような複数の修飾ヌクレオシドのそれぞれについて必ずしも同じである必要はない。RNAエフェクター分子が二本鎖である場合には、それぞれの鎖は、独立して、修飾ヌクレオシドの数、型及び/又は位置について修飾することができる。一つの実施形態において、本明細書に記載の方法及び組成物に使用することを意図する修飾オリゴヌクレオチドは、必要な二重鎖構造を形成する能力を有し及びRISC経路による標的RNAの特異的分解を可能にするか又は仲介するペプチド核酸(PNA)である。
用語「リボヌクレオシド」、「リボヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、又は「デオキシリボヌクレオチド」は、本明細書でさらに詳述するような修飾ヌクレオチド、又は代理置換部分を指すこともできる。当該技術では、チミン塩基を含むリボヌクレオチドは、5−メチルウリジンともいい、ウラシル塩基を含むデオキシリボヌクレオチドは、デオキシウリジンともいう。グアニン、シトシン、アデニン、チミン及びウラシルは、このような置換部分を有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対合特性を実質的に変えることなく他の部分で置換することができる。例えば、限定されることなく、イノシンをその塩基として含むヌクレオチドは、アデニン、シトシン又はウラシルを含有するヌクレオチドと塩基対合できる。従って、ウラシル、グアニン又はアデニンを含有するヌクレオチドは、本発明において特徴付けられるdsRNAのヌクレオチド配列において、例えばイノシンを含有するヌクレオチドで置換することができる。別の例において、オリゴヌクレオチドのどこでもアデニン及びシトシンは、グアニン及びウラシルで置換して、それぞれ標的mRNAとG−Uウォッブル塩基対合を形成することができる。このような置換部分を含有する配列は、本発明において特徴付けられる組成物及び方法に適する。
同様に、当業者は、用語「RNA分子」又は「リボ核酸分子」が、発現されるか又は自然界に見出されるRNA分子ばかりではなく、本明細書に記載のような又は当該技術において知られているような一つ又はそれ以上のリボヌクレオチド又はリボヌクレオシド類似体又は誘導体を含むRNAの類似体又は誘導体も包含することを理解するであろう。用語「リボヌクレオシド」及び「リボヌクレオチド」は、本明細書で使用するように同等物であるとみなすことができる。RNAは、例えば本明細書に記載のように、核酸塩基構造又はリボース−リン酸主鎖構造において修飾することができる。
一つの態様において、RNAエフェクター分子は、デオキシリボヌクレオシド残基を含むことができる。このような場合には、RNAエフェクター分子作用物質は、dsRNAの二本鎖部分内に、一つ又はそれ以上のデオキシヌクレオシド、例えばデオキシヌクレオシドオーバーハング(一つ又は複数)又は一つ又はそれ以上のデオキシヌクレオシドを含むことができる。
いくつかの実施形態において、複数のRNAエフェクター分子が、一つ又はそれ以上の標的遺伝子の発現を調節するために使用される。「複数」とは、少なくとも2個又はそれ以上のRNAエフェクター分子、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、30個、40個、50個、60個、80個、100個のRNAエフェクター分子又はそれ以上を指す。「複数」とは、少なくとも2個又はそれ以上の標的遺伝子、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個の標的遺伝子又はそれ以上を指すことができる。
本明細書で使用する「宿主細胞を接触させる」という用語は、作用物質が細胞に導入されるような作用物質による宿主細胞の処理を指す。典型的には、宿主細胞は、例えば培地に組成物を加えることによって培養物中で細胞を接触させるために、例えば多くの場合に細胞内へのRNAエフェクターの取り込みを促進する送達剤を含む組成物中で調製される、少なくとも一つのRNAエフェクター分子(例えば、siRNA)を使用する培養物中にある。一つの実施形態において、宿主細胞は、RNAエフェクター分子をコードするベクター、例えば組込み又は非組込みベクターと接触させる。一つの実施形態において、宿主細胞は、免疫原性作用物質の生産のために宿主細胞を培養する前に、例えばトランスフェクション又は形質導入によって、RNAエフェクター分子をコードするベクターと接触させる。
1つの実施形態において、宿主細胞を接触させることは、宿主細胞を、RNAエフェクター分子をコードするベクターと接触させることを含まない。1つの実施形態において、宿主細胞を接触させることは、宿主細胞を、免疫原性作用物質の生産のための宿主細胞の培養に先立って、RNAエフェクター分子をコードするベクターと接触させることを含まず、すなわち、該細胞は細胞成長培養においてのみRNAエフェクター分子と接触し、例えば、免疫原性作用物質を生産するプロセスの間には宿主細胞培養に加えられる。例えば、本発明のいくつかの実施形態は、免疫原性作用物質の収穫の収率および品質を危うくする細胞および抗ウイルスプロセスを阻害するためのウイルス感染またはベクター接種に先立って、その間、またはその後に起こる、宿主細胞とRNAエフェクター分子(例えば、dsRNA)との接触を提供する。培養における宿主細胞をRNAエフェクター分子と接触させる工程は、1回を超えて(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、17回、18回、19回、20回、30回、40回、50回、60回、70回、80回、90回、100回、またはそれ以上)反復することができる。1つの実施形態において、例えば、免疫原性作用物質の生産で用いられる細胞培養基へ、RNAエフェクター分子組成物を加えることによって、標的遺伝子が一過的にのみ変調されるように、細胞を接触させ、ここに、RNAエフェクター分子の存在は経時的に消え、すなわち、RNAエフェクター分子は細胞において構成的に発現されない。
「細胞に導入する」とは、RNAエフェクター分子について言及する場合には、当業者によって理解されるように、細胞内への取り込み又は吸収を促進する又は行うことを意味する。RNAエフェクター分子の吸収又は取り込みは、磁力拡散又は活性細胞プロセスによって、あるいは補助剤又は補助デバイスによって生じさせることができる。例えば、細胞に導入するとは、宿主細胞を少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させることを意味するか、又は多くの場合にRNAエフェクター分子及びRNAエフェクター分子の取り込みを促進する送達剤(例えば、トランスフェクション試薬、エマルジョン、陽イオン性脂質、非陽イオン性脂質、荷電脂質、リポソーム、陰イオン性脂質、浸透促進剤、又は例えばリガンド、標的部分、ペプチド、親油性基などを結合するためにRNAエフェクター分子に対する修飾)を含む組成物中で調製される、少なくとも一つのRNAエフェクター分子及び細胞への取り込み又は吸収を促進するか又は行う作用物質による細胞の処理を意味する。細胞内への生体外導入としては、当該技術で公知の方法、例えば電気穿孔法及びリポフェクションが挙げられる。別のアプローチは、本明細書において以下に記載されるか又は当該技術で公知である。
本明細書で使用する「RNAエフェクター組成物」は、有効量のRNAエフェクター分子と許容される担体とを含む。本明細書で使用する「有効量」とは、免疫原性作用物質の産生のためのバイオプロセスに効果(例えば、調節効果)をもたらすのに有効なRNAエフェクター分子の量を指す。一つの実施形態において、RNAエフェクター組成物は、RNAエフェクター分子の取り込みを促進する試薬(例えば、トランスフェクション試薬、エマルジョン、陽イオン性脂質、非陽イオン性脂質、荷電脂質、リポソーム、陰イオン性脂質、浸透促進剤、又は例えばリガンド、標的部分、ペプチド、親油性基などを結合するためにRNAエフェクター分子に対する修飾)を含む。
用語「許容される担体」は、RNAエフェクター分子を培養細胞に投与するための担体を指す。このような担体としては、以下に限定されないが、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール及びこれらの組み合わせが挙げられる。一つの実施形態において、用語「許容される担体」は、具体的には細胞培地を除外する。
本明細書で使用する用語「発現」は、RNA及び/又はポリペプチドの配列をコードする標的遺伝子からRNAへの転写及び/又は一つ又はそれ以上のポリペプチドへの翻訳を意味することを意図する。
本明細書で使用する「標的遺伝子」とは、遺伝子の発現の調節が免疫原性作用物質の産生を高めるように、宿主細胞による免疫原性作用物質の産生の一つ又はそれ以上の態様に影響を及ぼすタンパク質をコードする遺伝子を指す。標的遺伝子は、宿主細胞から誘導できるし、宿主細胞に内在する(宿主細胞ゲノムに存在する)ことができるし、導入遺伝子(宿主細胞ゲノムの異所性部位で挿入される遺伝子構造物)であることができるし、あるいは宿主細胞に又は免疫原性作用物質又はその誘導体を使用するであろう被験者(例えば、ヒト)に感染することができる病原体(例えば、ウイルス、真菌類又は細菌類)から誘導できる。また、いくつかの実施形態において、「標的遺伝子」とは、遺伝子の発現の調節が免疫原性作用物質の産生を高めるように、細胞による免疫原性作用物質の産生の一つ又はそれ以上の態様に影響を及ぼす核酸の発現を調節する遺伝子(すなわち、非コード遺伝子)を指す。
「標的遺伝子RNA」又は「標的RNA」とは、標的遺伝子から転写されるRNAを意味する。従って、標的遺伝子は、標的遺伝子のコード領域、プロモーター領域、3’非翻訳領域(3’−UTR)及び/又は5’−UTRであることができる。
ポリペプチドをコードする標的遺伝子RNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)としてより一般的に知られている。標的遺伝子は、宿主細胞から誘導できるし、宿主細胞中に潜在することができるし、宿主細胞に内在する(宿主細胞ゲノムに存在する)ことができるし、導入遺伝子(宿主細胞ゲノムの異所性部位で挿入される遺伝子構造物)であることができるし、あるいは宿主細胞に又は免疫原性作用物質あるいはその誘導体又は産生物を使用するであろう被験者に感染することができる病原体(例えば、ウイルス、真菌類又は細菌類)から誘導できる。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、宿主細胞による翻訳後修飾の一つ又はそれ以上の態様、例えばペプチドグリコシル化に影響を及ぼすタンパク質をコードする。例えば、翻訳後プロセシングに関与するタンパク質をコードする遺伝子の発現の調節は、少なくとも一つの末端マンノースを含むポリペプチドの産生を高める。
いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、非コードRNA(ncRNA)、例えば非翻訳領域をコードする。本明細書で使用するように、ncRNAとは、タンパク質に翻訳されない標的遺伝子RNAを指す。また、ncRNAは、当該技術において非タンパク質コードRNA(npcRNA)、非メッセンジャーRNA(nmRNA)、小分子非メッセンジャーRNA(snmRNA)及び機能性RNA(fRNA)と呼ぶこともできる。標的遺伝子であってそれからncRNAが最終生成物として転写される標的遺伝子もまた、RNA遺伝子又はncRNA遺伝子と呼ばれる。ncRNA遺伝子としては、極めて豊富な及び機能的に重要なRNA類、例えば転移RNA(tRNA)及びリボソームRNA(rRNA)、並びにRNA類、例えばsnoRNA、microRNA、siRNA及びpiRNAが挙げられる。本明細書で使用されるように、RNAエフェクター分子は、RNAエフェクター分子が特定の部位内のどこでも転写産物の切断を促進する場合には、RNA転写産物の特定の部位内を標的とすると言われる。
いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、宿主細胞の内在性遺伝子である。例えば、標的遺伝子は、免疫原性作用物質がポリペプチドである場合には、免疫原性作用物質又はその一部分をコードすることができる。また、標的遺伝子は、免疫原性作用物質の産生の一つ又はそれ以上の態様に直接的に又は間接的に影響を及ぼす宿主細胞タンパク質をコードすることもできる。ポリペプチドの産生に影響を及ぼす標的遺伝子の例としては、ポリペプチドの分泌、折りたたみ又は翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、脱アミド化、ジスルフィド結合形成、メチオニン酸化又はピログルタミン酸化)に関与するタンパク質をコードする遺伝子;宿主細胞の性質又は表現型(例えば、増殖、生存率、細胞pH、細胞周期の進行、アポトーシス、炭素の代謝又は輸送、乳酸形成、細胞骨格構造(例えば、アクチン動態)、ウイルス感染に対する感受性あるいはRNAi取り込み、活性又は効果)に影響を及ぼすタンパク質をコードする遺伝子;及び宿主細胞による免疫原性作用物質の産生を損なうタンパク質(例えば、免疫原性作用物質を結合するか又は免疫原性作用物質と同時精製するタンパク質)をコードする遺伝子が挙げられる。
いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、標的遺伝子の発現の抑制が免疫原性作用物質の産生を高めるように免疫原性作用物質の産生に間接的に影響を及ぼす宿主細胞タンパク質をコードする。例えば、標的遺伝子は、免疫原性作用物質の産生に直接影響を及ぼさないが、例えば他の方法で免疫原性作用物質の産生を高めることができる細胞源を利用することによってその産生を間接的に低下させる豊富に発現される宿主細胞タンパク質をコードすることができる。標的遺伝子は、本明細書でさらに詳細に説明する。
用語「の発現を調節する」及びその他は、それが標的遺伝子に言及する限りには、本明細書において、第一の細胞又は細胞の群と実質的に同じであるがそのように処理されていない第二の細胞又は細胞の群(対照細胞)と比較して、標的遺伝子が転写され及び標的遺伝子の発現が調節されるように処理されている第一の細胞又は細胞の群から単離できるかあるいは前記第一の細胞又は細胞の群において検出できる標的遺伝子mRNAの量の変化(例えば、増加又は減少)によって明らかにされるような、標的遺伝子の発現の調節を指す。調節の度合いは、
あるいは、調節の度合いは、標的遺伝子発現と機能的に関連があるパラメータ、例えば標的遺伝子によってコードされるタンパク質の量、又は特定の表現型、例えば微小管の安定化を示す細胞の数に関して示すことができる。原則として、標的遺伝子の調節は、標的遺伝子を発現する任意の宿主細胞において、構成的に又はゲノム工学によって、及び当該技術において公知の適切なアッセイによって調べることができる。
例えば、場合によっては、標的遺伝子の発現は抑制される。例えば、標的遺伝子の発現は、本明細書において提供されるRNAエフェクター分子の投与によって少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%抑制される。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、RNAエフェクター分子の投与によって少なくとも約60%、70%、又は80%抑制される。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、本明細書に記載のようなRNAエフェクター分子の投与によって少なくとも約85%、90%、又は95%あるいはそれ以上抑制される。他の場合には、標的遺伝子の発現は、本明細書において提供されるRNAエフェクター分子の投与によって少なくとも約10%、20%、25%、50%、100%、200%、400%又はそれ以上活性化される。いくつかの実施形態において、前記発現の調節は、部分抑制である。いくつかの態様において、部分抑制は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%及び85%からなる群から選択される抑制率よりも大きくない。
本明細書で使用する用語「RNAエフェクター分子」は、宿主細胞内で本明細書において定義されるような標的遺伝子の発現を調節できるオリゴヌクレオチド作用物質、又は場合により宿主細胞内で(すなわち、宿主細胞に導入されると)このようなオリゴヌクレオチドを形成することができるオリゴヌクレオチド作用物質を指す。RNAエフェクター分子の一部分は、標的遺伝子の少なくとも一部分、例えば標的遺伝子のコード領域、プロモーター領域、3’非非翻訳領域(3’−UTR)及び/又は5’−UTRと実質的に相補的である。いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的とすべきヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、標的とすべきヌクレオチド配列の少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又はそれ以上の連続したヌクレオチド)を含む。
本明細書に記載のRNAエフェクター分子は、一般的に第一の鎖と第二の鎖(これらの一つは、少なくとも標的遺伝子の一部分と実質的に相補的である)を有し、種々様々なメカニズム、例えば以下に限定されないが、標的遺伝子mRNA転写産物のArgonaute介在転写後切断(時には、当該技術においてRNAiと呼ばれる)及び/又はその他の転写前及び翻訳前メカニズムの一つ又はそれ以上によって標的遺伝子発現を調節する。
RNAエフェクター分子は、一本鎖又は二本鎖以上の鎖を含むことができ、例えば二本鎖RNA(dsRNA)、microRNA(miRNA)、アンチセンスRNA、プロモーター指向RNA(pdRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、発現干渉RNA(eiRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、アンタゴミア(antagomir)、decoy RNA、DNA、プラスミド及びアプタマーを含むことができる。RNAエフェクター分子は、一本鎖又は二本鎖であることができる。一本鎖RNAエフェクター分子は、二本鎖領域を有することができ、二本鎖RNAエフェクターは、一本鎖領域を有することができる。
用語「一部分」とは、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAエフェクター分子)に関連して使用される場合には、標的遺伝子の領域に相補的結合を行う所望の長さを有するか又は所望の長さの二重鎖領域を有するRNAエフェクター分子の一部分を指す。例えば、「一部分」又は「領域」とは、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個又はそれ以上で最大完全RNAエフェクター分子よりも1個短いヌクレオチドまでの核酸配列を指す。いくつかの実施形態において、「領域」又は「一部分」は、RNAエフェクター分子に関連して使用される場合には、RNAエフェクター分子の鎖の完全核酸配列よりも短いヌクレオチドの核酸配列を含む。当業者は、標的遺伝子と相補的であるか又は所望の特徴(例えば、標的遺伝子の抑制又は安定性)を有するRNAエフェクター分子が産生されるように二重鎖に配置される前記「一部分」の長さを変化させることができる。理論に束縛されないが、本明細書において提供されるRNAエフェクター分子は、種々様々なメカニズム、例えば以下に限定されないが、標的遺伝子mRNA転写産物のArgonaute介在転写後切断(時には、当該技術でRNAiと呼ばれる)及び/又はその他の転写前及び翻訳前メカニズムの一つ又はそれ以上によって標的遺伝子発現を調節できる。
本明細書に開示されるRNAエフェクター分子は、30ヌクレオチド以下の長さ、例えば、10〜30個のヌクレオチドの長さ又は19〜24個のヌクレオチドの長さである領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含み、その領域は、免疫原性作用物質の産生の一つ又はそれ以上の態様、例えば免疫原性作用物質の収量、純度、均一性、生物活性又は安定性に影響を及ぼす標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的である。RNAエフェクター分子は、標的遺伝子のRNA転写産物と相互作用し、その選択的分解に介在するか又はその翻訳を妨害する。
用語「アンチセンス鎖」は、標的配列に実質的に相補的である領域を含むRNAエフェクター分子、例えばdsRNAの鎖を指す。用語「相補性の領域」は、本明細書で定義するような配列、例えば標的配列と実質的に相補的であるアンチセンス鎖の領域を指す。相補性の領域が標的配列と完全に相補的でない場合には、誤対合が、分子の内部又は末端領域に存在し得る。一般的に、最も許容される誤対合は、末端領域、例えば5’及び/又は3’末端の5、4、3又は2ヌクレオチド内にある。
用語「センス鎖」は、この用語が本明細書において定義されるようなアンチセンス鎖の領域と実質的に相補的である領域を含むRNAエフェクター分子の鎖を指す。
本明細書で使用されるように及び特に明示されない限りは、用語「相補的な」は、第二のヌクレオチド配列に関連して第一のヌクレオチド配列を説明するのに使用される場合には、当業者によって理解されるように、第一のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが、第二のクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドと特定の条件下でハイブリダイズし、二重鎖構造を形成できることを指す。「相補的」配列はまた、前記ヌクレオチドがハイブリダイズすることができることに関して上記の要件が満たされる限りにおいて、非ワトソン・クリック塩基対及び/又は非天然及び修飾ヌクレオチドから形成される塩基対を含むことができるし又はこれらの塩基対から完全に形成されることができる。このような非ワトソン・クリック塩基対としては、以下に限定されないが、G:Uウォッブル又はフーグステイン塩基対が挙げられる。ハイブリダイゼーション条件は、例えば、ストリンジェントな条件であることができ、この場合、ストリンジェントな条件は、400mM NaCl、40mM PIPES(pH6.4)、1mM EDTA、50℃又は70℃、12〜16時間、次いで洗浄を含むことができる。その他の条件、例えば生物内で遭遇し得るような生理学的に関連する条件が適用できる。当業者は、ハイブリダイズしたヌクレオチドの最終的な用途に従って、2つの配列の相補性の試験に最も適した一組の条件を決定できるであろう。
本明細書で使用されるように及び特に明示されない限りは、用語「相補的な」は、第二のヌクレオチド配列に関連して第一のヌクレオチド配列を説明するのに使用される場合には、当業者によって理解されるように、第一のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが、第二のクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドと特定の条件下でハイブリダイズし、二重鎖構造を形成できることを指す。「相補的」配列はまた、前記ヌクレオチドがハイブリダイズすることができることに関して上記の要件が満たされる限りにおいて、非ワトソン・クリック塩基対及び/又は非天然及び修飾ヌクレオチドから形成される塩基対を含むことができるし又はこれらの塩基対から完全に形成されることができる。このような非ワトソン・クリック塩基対としては、以下に限定されないが、G:Uウォッブル又はフーグステイン塩基対が挙げられる。ハイブリダイゼーション条件は、例えば、ストリンジェントな条件であることができ、この場合、ストリンジェントな条件は、400mM NaCl、40mM PIPES(pH6.4)、1mM EDTA、50℃又は70℃、12〜16時間、次いで洗浄を含むことができる。その他の条件、例えば生物内で遭遇し得るような生理学的に関連する条件が適用できる。当業者は、ハイブリダイズしたヌクレオチドの最終的な用途に従って、2つの配列の相補性の試験に最も適した一組の条件を決定できるであろう。
本明細書において用語「相補的な」、「完全に相補的な」及び「実質的に相補的な」は、使用する文脈から理解されるように、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の間又はRNAエフェクター分子作用物質のアンチセンス鎖と標的配列の間の塩基対合に関して使用できる。本明細書で使用されるように、標的遺伝子「の少なくとも一部分と実質的に相補的である」オリゴヌクレオチドとは、関心の標的遺伝子の近接部分と実質的に相補的であるオリゴヌクレオチド(例えば、標的遺伝子によってコードされるmRNA、標的遺伝子のプロモーター領域又は3’UTR、又はERV LTR)を指す。例えば、オリゴヌクレオチドは、配列が標的遺伝子によってコードされるmRNAの非中断部分と実質的に相補的である場合には、少なくとも標的mRNAの一部分と相補的である。
RNAエフェクター分子内、例えば、本明細書に記載のdsRNA(二本鎖リボ核酸)内の相補的配列は、ヌクレオチド配列の一つ又は両方の全長にわたって第二のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドに対する第一のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの塩基対合を含む。このような配列は、本明細書において互いに関して「完全に相補的である」ということができる。第一の配列が本明細書において第二の配列に対して「実質的に相補的である」という場合には、この2つの配列は、完全に相補的であることができるし、又はこの2つの配列は、その最終用途、例えばRISC経路による遺伝子発現の抑制に最も適切な条件下でハイズリダイズする能力を保持しながら、最大30塩基対までの二重鎖のためのハイブリダイゼーションに際して一つ又はそれ以上であるが、一般的には5個以下、4個以下、3個以下又は2個以下の誤対合塩基対を形成できる。2つのオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションに際して、一つ又はそれ以上の一本鎖オーバーハングを形成するために設計される場合には、このようなオーバーハングは、相補性の決定に関して誤対合とみなされないであろう。例えば、21個のヌクレオチドの長さの一方のオリゴヌクレオチドと、23個のヌクレオチドの長さの他方のオリゴヌクレオチドとを含むdsRNA(前記長いオリゴヌクレオチドは、前記短いオリゴヌクレオチドと完全に相補的である21個のヌクレオチドの配列を含む)は、本明細書に記載の目的に「完全に相補的」とさらにいうことができる。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子のRNA転写産物と相互作用し、該RNA転写産物の切断を指示する一本鎖オリゴヌクレオチドを含む。例えば、一本鎖RNAエフェクター分子は、該エフェクター分子をヌクレアーゼ分解から保護するために一つ又はそれ以上のリン酸基又はその類似体を含む5’修飾を含む。RNAエフェクター分子は、少なくとも標的遺伝子の「センス」核酸の一部分、例えば二本鎖cDNA分子のコード鎖と相補的であるヌクレオチド配列又はRNA配列、例えばpre−mRNA、mRNA、miRNA又はpre−miRNAを有する一本鎖アンチセンス核酸であることができる。従って、アンチセンス核酸は、センス核酸標的と水素結合を形成できる。別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、少なくとも9個のヌクレオチドの長さの二重鎖領域を含む。
コード鎖配列(例えば、cDNA分子のセンス鎖の配列)を考慮に入れて、アンチセンス核酸は、ワトソン・クリック塩基対合の規則に従って設計できる。アンチセンス核酸は、RNAのコード領域又は非コード領域の一部分、例えばpre−mRNA又はmRNAの翻訳開始部位の周囲の領域、例えば5’UTRと相補的であることができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約10〜25個のヌクレオチドの長さ(例えば、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、18個、19個、20個、21個、22個、23個又は24個のヌクレオチドの長さ)であることができる。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、その分子の生物学的安定性及び/又はアンチセンス核酸と標的核酸の間で形成される二重鎖の物理的安定性を高めるために設計される、一つ又はそれ以上の修飾ヌクレオチド、例えばホスホロチオエート誘導体及び/又はアクリジン置換ヌクレオチドを含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチドのみ、デオキシリボヌクレオチドのみ(例えば、オリゴデオキシヌクレオチド)を含むことができるし又はデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドの両方を含むことができる。例えば、リボヌクレオチドのみからなるアンチセンス剤は、相補的RNAとハイブリダイズし、標的RNA転写産物への翻訳機構のアクセスを防止し、それによってタンパク質合成を防止することができる。デオキシリボヌクレオチドのみを含むか又はデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドとを含むアンチセンス分子は、相補的RNAとハイブリダイズすることができ、RNA標的は、その後に翻訳を防止するために酵素、例えばリボヌクレアーゼHによって実質的に切断されることができる。フランキングRNA配列は、2’−O−メチル化ヌクレオチド、及びホスホロチオエート連鎖を含むことができ、内部DNA配列は、ホスホロチオエートヌクレオチド間連鎖を含むことができる。内部DNA配列は、リボヌクレアーゼH活性による標的化が望まれる場合には、少なくとも5個のヌクレオチドの長さであることが好ましい。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、二本鎖オリゴヌクレオチドである。本明細書で使用する用語「二本鎖RNA」又は「dsRNA」は、標的RNAに関して「センス」及び「アンチセンス」配向を有すると言われるであろう2つの逆平行で実質的に相補的な核酸鎖を含むハイブリダイズした二重鎖領域を有するオリゴヌクレオチド分子又は分子の複合体を指す。典型的には、相補性の領域は、一般的に例えば10〜26個のヌクレオチドの長さ、18〜25個のヌクレオチドの長さ、又は19〜24個のヌクレオチドの長さを含め、30個又はそれよりも少ないヌクレオチドの長さである。標的遺伝子を発現する細胞と接触すると、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子の発現を、例えばPCR又は分岐DNA(bDNA)に基づいた方法で、あるいはタンパク質に基づいた方法で、例えばタンパク質免疫ブロットでアッセイされるように少なくとも10%抑制する。細胞培養における標的遺伝子の発現は、標的遺伝子mRNA量を、例えばbDNA又はTAQMAN(登録商標)アッセイで測定することによって、あるいはタンパク質量を、例えば免疫蛍光分析で測定することによってアッセイすることができる。
二重鎖領域は、RISC経路による所望の標的RNAの特異的分解を可能にする任意の長さであることができるが、典型的には9〜36個の塩基対の長さ、例えば15〜30個の塩基対の長さの範囲にあるであろう。さらに具体的には、二重鎖領域は、RISC経路による所望の標的RNAの特異的分解を可能にする任意の長さであることができるが、典型的には9〜36個の塩基対の長さ、例えば15〜30個の塩基対の長さの範囲にあるであろう。9〜36個の塩基対の二重鎖を考慮すると、二重鎖は、この範囲内の任意の長さであることができ、例えば9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35又は36個の塩基対の長さであることができ、例えば、以下に限定されないが、15〜30塩基対、15〜26個の塩基対、15〜23個の塩基対、15〜22個の塩基対、15〜21個の塩基対、15〜20個の塩基対、15〜19個の塩基対、15〜18個の塩基対、15〜17個の塩基対、18〜30個の塩基対、18〜26個の塩基対、18〜23個の塩基対、18〜22個の塩基対、18〜21個の塩基対、18〜20個の塩基対、19〜30個の塩基対、19〜26個の塩基対、19〜23個の塩基対、19〜22個の塩基対、19〜21個の塩基対、19〜20個の塩基対、20〜30個の塩基対、20〜26個の塩基対、20〜25個の塩基対、20〜24個の塩基対、20〜23個の塩基対、20〜22個の塩基対、20〜21個の塩基対、21〜30個の塩基対、21〜26個の塩基対、21〜25個の塩基対、21〜24個の塩基対、21〜23個の塩基対,又は21〜22個の塩基対を含む任意の部分範囲であることができる。
ダイサー酵素及び類似酵素を用いるプロセシングによって細胞内で生じたdsRNAは、一般的に19〜22個の塩基対の長さの範囲にある。dsDNAの二重鎖領域の一つの鎖は、標的RNAの領域と実質的に相補的である配列を含む。二重鎖構造を形成する2つの鎖は、少なくとも一つの自己相補的領域を有する単一のRNA分子に由来するものであることができるし、又は2個又はそれ以上の別個のRNA分子から形成されることができる。二重鎖領域が、単一分子の2つの鎖から形成される場合には、該分子は、一方の鎖の3’末端と、二重鎖構造を形成するそれぞれの他方の鎖の5’末端の間のヌクレオチドの一本鎖(「ヘアピンループ」)によって隔てられている二重鎖領域を有することができる。ヘアピンループは、少なくとも1個の不対ヌクレオチドを含むことができる;いくつかの実施形態において、ヘアピンループは、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも23個又はそれ以上の不対ヌクレオチドを含むことができる。dsRNAの2つの実質的に相補的な鎖が、別個のRNA分子によって構成される場合には、これらのRNA分子は、必ずしも必要ではないが、共有結合されることができる。前記2つの鎖が、ヘアピンループ以外の手段によって共有結合される場合には、その結合構造は、「リンカー」と呼ばれる。用語「sRNAエフェクター分子」もまた、本明細書においてdsRNAを指すために使用される。
標的遺伝子の発現を調節するRNAエフェクター分子が、本明細書に記載される。一つの実施形態において、RNAエフェクター分子作用物質は、細胞において標的遺伝子の発現を抑制するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を含み、前記dsRNAは、標的遺伝子の発現において形成される標的遺伝子の少なくとも一部分と相補的である相補性の領域を有するアンチセンス鎖を含み、前記相補性の領域は、30個以下のヌクレオチドの長さ、一般的には10〜24個のヌクレオチドの長さであり、及び前記dsRNAは、標的遺伝子を発現する細胞と接触すると、標的遺伝子の発現を、例えばPCR、PERT、又はbDNAに基づいた方法で、あるいはタンパク質に基づいた方法、例えばウェスタンブロットでアッセイされるように少なくとも10%抑制する。細胞での標的遺伝子の発現は、標的遺伝子mRNA量を、例えばPERT、bDNA又はTAQMAN(登録商標)遺伝子発現アッセイで測定することによって、あるいはタンパク質量を、例えば免疫蛍光分析又は定量タンパク質免疫ブブロットで測定することによってアッセイすることができる。
dsRNAは、dsRNAを使用するであろう条件下でハイブリダイズして二重鎖構造を形成するのに十分に相補的である2つのRNA鎖を含む。dsRNAの一方の鎖(アンチセンス鎖)は、例えば標的遺伝子の発現中に形成されるmRNAの配列から誘導される標的配列と実質的に相補的であり、一般的に完全に相補的である相補性の領域を含む。dsRNAの他方の鎖(センス鎖)は、前記2つの鎖が、ハイブリダイズし、適当な条件下で結合した場合に二重鎖構造を形成するようにアンチセンス鎖と相補的である領域を含む。一般的に、二重鎖構造は、例えば9〜36個の塩基対、10〜30個の塩基対、18〜25個の塩基対、19〜24個の塩基対又は19〜21個の塩基対の長さを含む。同様に、標的配列と相補性の領域は、例えば、10〜30個、18〜25個、19〜24個、又は19〜21個のヌクレオチドの長さを含む。いくつかの実施形態において、dsRNAは、10〜20個のヌクレオチドの長さを含む。その他の実施形態において、dsRNAは、25〜30個のヌクレオチドの長さを含む。従って、一つの実施形態において、切断のために所望のRNAを標的とする例えば15〜30個の塩基対の機能的二重鎖に処理される程度まで、RNA分子又は30個を超える塩基対の二重鎖領域を有するRNA分子の複合体は、dsRNAである。当業者が認識するであろうように、切断のために標的とされるRNAの標的領域は、ほとんどの場合により大きいRNA分子、多くの場合にはmRNA分子の一部分であろう。一つの実施形態において、dsRNAは、siRNAである。
適切な場合には、mRNA標的の「一部分」は、RNAi指向切断(すなわち、RISC経路による切断)のための支持体であるのに十分な長さのmRNA標的の連続配列である。9個の塩基対ほどの短い二重鎖を有するdsRNAは、ある状況下では、RNAi指向RNA切断に介在する。ほとんどの場合、標的は、少なくとも10個のヌクレオチドの長さ、例えば15〜30個のヌクレオチドの長さを含むであろう。
当業者は、20〜23個の塩基対、具体的には21個の塩基対の二重鎖構造を有するdsRNAが、RNA干渉を誘導することに特に有効であると認められていることをよく分かっている。Elbashirら、20 EMBO 6877−88(2001)。前記の実施形態において、オリゴヌクレオチド配列の性質によって、本明細書に記載のdsRNAは、21個のヌクレオチドの長さの少なくとも一つの鎖を含むことができる。一端又は両端の数個のヌクレオチドのみがない配列を有する短い二重鎖が、詳細に記載したdsRNAと比較して同様に有効であることができることが合理的に予測できる。従って、所定の配列由来の少なくとも10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、又はそれ以上の連続したヌクレオチドの部分配列を有し、完全な配列を含むdsRNAとは標的遺伝子の発現を5%、10%、15%、20%、25%、又は30%以下の抑制率まで抑制できることにおいて異なるdsRNAが、本発明によって意図される。
dsRNAは、以下でさらに論じるような当該技術で公知の標準方法によって、例えば、自動化DNA合成装置、例えばBiosearch Technologies(Novato、CA)から商業的に入手できるような自動化DNA合成装置を使用することによって合成できる。一つの実施形態において、標的遺伝子は、ヒト標的遺伝子である。特定の実施形態において、第一の配列は、センス配列を含むdsRNAのセンス鎖であり、及び第二の配列は、アンチセンス配列を含むdsRNAの鎖である。標的配列のほかの部分を標的とする別のdsRNA作用物質は、標的配列及びフランキング標的配列を使用して容易に決定できる。この態様において、2つの配列の一つは、この2つの配列の他方と相補的であり、これらの配列の一つは、標的遺伝子の発現において生じたmRNAの配列と実質的に相補的である。従って、この態様において、dsRNAは、2つのオリゴヌクレオチドを含むであろうし、一つのオリゴヌクレオチドは、センス鎖として記載され及び第二のオリゴヌクレオチドは、アンチセンス鎖として記載される。本明細書の他の個所に記載されるように及び当該技術において知られているように、dsRNAの相補的配列は、別個のオリゴヌクレオチド上に存在するのとは対照的に、単一の核酸分子の自己相補的領域として含まれることもできる。
二本鎖オリゴヌクレオチドは、一つ又はそれ以上の一本鎖ヌクレオチドオーバーハングを含むことができる。本明細書で使用する用語「ヌクレオチドオーバーハング」は、二本鎖オリゴヌクレオチド、例えばdsRNAの二重鎖構造の末端から突き出る少なくとも一つの不対ヌクレオチドを指す。例えば、二本鎖オリゴヌクレオチドの一方の鎖の3’末端が、他方の鎖の5’末端を越えて伸びるか又はその逆の場合には、ヌクレオチドオーバーハングが存在する。二本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくとも一つのヌクレオチドのオーバーハングを含むことができる;あるいは、前記オーバーハングは、少なくとも2個のヌクレオチド、少なくとも3個のヌクレオチド、少なくとも4個のヌクレオチド、少なくとも5個のヌクレオチド又はそれ以上を含むことができる。ヌクレオチドオーバーハングは、ヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含むことができるし又はヌクレオチド/ヌクレオシド類似体からなることができる。オーバーハング(一つ又は複数)は、センス鎖、アンチセンス鎖又はこれらの任意の組み合わせに存在することができる。また、オーバーハングのヌクレオチド(一つ又は複数)は、dsRNAのアンチセンス鎖又はセンス鎖いずれかの5’末端、3’末端又は両端に存在することができる。
一つの実施形態において、dsRNAの少なくとも一つの末端は、1〜4個、一般的には1個又は2個のヌクレオチドの一本鎖ヌクレオチドオーバーハングを有する。少なくとも一つのヌクレオチドオーバーハングを有するdsRNAは、その平滑末端化対応物に比べて意外にも優れた阻害特性を有する。また、一方の鎖(dsRNAの一方の末端)にのみヌクレオチドオーバーハングが存在すると、その全体の安定性に影響を及ぼすことなくdsRNAの干渉活性を増強する。このようなオーバーハングは、必ずしも単一のヌクレオチドオーバーハングである必要はなく;ジヌクレオチドオーバーハングも存在することができる。
二本鎖オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖は、3’末端及び/又は5’末端に1〜10個のヌクレオチドのオーバーハングを有し、例えば二本鎖オリゴヌクレオチドは、3’末端及び/又は5’末端に1〜10個のヌクレオチドのオーバーハングを有する。オーバーハングのヌクレオチド間連鎖の一つ又はそれ以上は、ホスホロチオエートで置換することができる。いくつかの実施形態において、オーバーハングは、一つ又はそれ以上のデオキシリボヌクレオシドを含むか又はオーバーハングは、一つ又はそれ以上のdT、例えば配列5’−dTdT−3’又は5’−dTdTdT−3’を含む。いくつかの実施形態において、オーバーハングは、配列5’−dT*dT−3(式中、* は、ホスホロチオエートヌクレオシド間連鎖である)を含む。
理論に束縛されることなく、少なくとも一つのヌクレオチドオーバーハングを有する二本鎖オリゴヌクレオチドは、その平滑末端化カウンターパートに比べて意外にも優れた阻害特性を有する。また、一方の鎖(dsRNAの一方の端部)にのみヌクレオチドオーバーハングが存在すると、二本鎖オリゴヌクレオチドの干渉活性を、その全体の安定性に影響を及ぼすことなく増強する。
一つのオーバーハングだけを有するdsRNAは、生体内で、並びに種々様々な細胞、細胞培養培地、血液及び血清内で特に安定で、有効であることを証明している。一般的に、一本鎖オーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端、あるいはセンス鎖の3’末端に配置される。一端にのみオーバーハングを有するdsRNAもまた、一般的にアンチセンスの鎖の5’末端に配置された一つの平滑末端を有するであろう。このようなdsRNAは、優れた安定性及び阻害活性を有し、従って低用量で、すなわち1日当たり5mg未満/受容者体重kgで投与することを可能にする。一つの実施形態において、dsRNAのアンチセンス鎖は、3’末端及び/又は5’末端に1〜10個のヌクレオチドのオーバーハングを有する。別の実施形態において、オーバーハングのヌクレオチドの一つ又はそれ以上は、ヌクレオシドホスホロチオエートで置換することができる。
二本鎖オリゴヌクレオチドに関連して本明細書で使用する用語「平滑末端」又は「平滑末端化」は、二本鎖オリゴヌクレオチドの所定の末端に不対ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体が存在しない、すなわちヌクレオチドオーバーハングが存在しないことを意味する。二本鎖オリゴヌクレオチドの一端又は両端は、平滑末端であることができる。両端が平滑末端である場合には、オリゴヌクレオチドは、二重平滑末端化されるという。明確にするために、「二重平滑末端化」オリゴヌクレオチドは、両端が平滑末端である、すなわち分子のいずれかの端部にヌクレオチドオーバーハングが存在しない二本鎖オリゴヌクレオチドである。ほとんどの場合、このような分子は、その全長にわたって二本鎖であろう。一端のみが平滑末端である場合には、オリゴヌクレオチドは、単一平滑末端化されるという。明確にするために、「単一平滑末端化」オリゴヌクレオチドは、一端でのみ平滑末端である、すなわち分子の一端にヌクレオチドオーバーハングが存在しない二本鎖オリゴヌクレオチドである。一般的に、単一平滑末端化オリゴヌクレオチドは、センス鎖の5’末端で平滑末端化される。
本明細書に記載のRNAエフェクター分子は、標的配列に対する一つ又はそれ以上の誤対合を含有することができる。例えば、本明細書に記載のRNAエフェクター分子は、3個以下の誤対合を含有する。RNAエフェクター分子のアンチセンス鎖が、標的配列に対する誤対合を含有する場合には、誤対合の領域は、相補性の領域の中心に配置されないことが好ましい。RNAエフェクター分子のアンチセンス鎖が、標的配列に対する誤対合を含有する場合には、誤対合は、相補性の領域の5’末端又は3’末端のいずれかから最後の5個のヌクレオチド内にあるように制限されることが好ましい。例えば、標的遺伝子の領域と相補的である23個のヌクレオチドのRNAエフェクター分子作用物質RNA鎖について、RNA鎖は、一般的に中心の13個のヌクレオチド内に何ら誤対合を含有しない。本明細書に記載の方法又は当該技術で公知の方法が、標的配列に対して誤対合を含有するRNAエフェクター分子が、標的遺伝子の発現を抑制することにおいて有効であるか否かを調べるのに使用できる。特に標的遺伝子の相補性の特定の領域が、その集団内に多型配列変異を有することが知られている場合には、標的遺伝子の発現の抑制において誤対合を有するRNAエフェクター分子の効果を考慮することが重要である。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子のmRNA転写産物の非コード領域の少なくとも一部分と実質的に相補的であるプロモーター指向RNA(pdRNA)である。一つの実施形態において、pdRNAは、転写開始部位から上流に配置された部位、例えば転写開始部位から100塩基を越える、200塩基を越える又は1,000塩基を越える上流に配置された部位の標的遺伝子mRNAのプロモーター領域の少なくとも一部分と実質的に相補的である。別の実施形態において、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物の3’−UTRの少なくとも一部分と実質的に相補的である。一つの実施形態において、pdRNAは、場合によりそれぞれの鎖に3’ジ又はトリヌクレオチドオーバーハングを有する18〜28個の塩基のdsRNAを含む。前記dsRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物のプロモーター領域又は3’−UTR領域の少なくとも一部分と実質的に相補的である。別の実施形態において、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物のプロモーター領域又は3’−UTR領域の少なくとも一部分と実質的に相補的であるDNA配列含む一本鎖ポリヌクレオチドからなり、ギャップマーを細胞ヌクレアーゼから保護する一つ又はそれ以上の修飾ヌクレオチド、例えば2’MOE、2’OMe、又は固定化核酸塩基(LNA)を含むポリヌクレオチド配列(例えば、ギャップマーの5’末端及び3’末端のそれぞれに5個の末端塩基を含む)に隣接するギャップマーを含む。
pdRNAは、標的遺伝子の発現を選択的に高めるか、低下させるか又は調節するのに使用できる。理論に制約されることなく、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物の非コード領域とオーバーラップする内在性アンチセンスRNA転写産物に結合し、Argonauteタンパク質(dsRNAの場合)又は宿主細胞ヌクレアーゼ(例えば、リボヌクレアーゼH)(ギャップマーの場合)補充して内在性アンチセンスRNAを選択的に分解することによって標的遺伝子の発現を調節すると考えられる。いくつかの実施形態において、内在性アンチセンスRNAは、標的遺伝子の発現を負に調節し、pdRNAエフェクター分子は、標的遺伝子の発現を活性化する。従って、いくつかの実施形態において、pdRNAは、内在性アンチセンスRNAによる標的遺伝子発現の負の調節を抑制することによって標的遺伝子の発現を選択的に活性化させるのに使用できる。標的遺伝子のプロモーター配列によってコードされるアンチセンス転写産物を同定する方法及びプロモーター指向RNAを調製及び使用する方法が知られている。例えば、国際公開第WO2009/046397号明細書参照。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、非核酸リガンド、例えば有機小分子又はタンパク質、例えば転写又は翻訳因子に結合し、その後に活性を修飾する(例えば、抑制する)アプタマーを含む。アプタマーは、非核酸リガンドの標的化結合部位の認識を指示する特異構造に折り畳むことができる。アプタマーは、本明細書に記載の修飾のいずれかを含有することができる。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、アンタゴミア(antagomir)を含む。アンタゴミアは、microRNAを標的とする一本鎖、二本鎖、部分的二本鎖又はヘアピン構造である。アンタゴミアは、内在性miRNA、さらに詳しくはmiRNA又はpre−miRNAヌクレオチド配列の標的配列と実質的に相補的である少なくとも10個又はそれ以上の連続したヌクレオチドから本質的になるか又は該ヌクレオチドを含む。アンタゴミアは、アンタゴミアが標的配列にハイブリダイズすることを可能にするために約12〜25個のヌクレオチド、例えば約15〜23個のヌクレオチドのmiRNA標的配列と十分と相補的なヌクレオチド配列を有することが好ましい。さらに好ましくは、標的配列は、アンタゴミアの配列とは1個、2個又は3個以下のヌクレオチドが異なる。いくつかの実施形態において、アンタゴミアは、オリゴヌクレオチド作用物質の3’又は5’末端に結合させることができる非ヌクレオチド部分、例えばコレステロール部分を含む。
いくつかの実施形態において、アンタゴミアは、修飾、例えばヌクレオチド修飾の組み込みによって核酸分解に対して安定化される。例えば、いくつかの実施形態において、アンタゴミアは、ヌクレオチド配列の5’末端又は3’末端に少なくとも第一、第二及び/又は第三のヌクレオチド間連鎖を含むホスホロチオエートを含有する。別の実施形態において、アンタゴミアは、2’−修飾ヌクレオチド、例えば、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル(2’−O−MOE)、2’−O−アミノプロピル(2’−O−AP)、2’−O−ジメチルアミノエチル(2’−O−DMAOE)、2’−O−ジメチルアミノプロピル(2’−O−DMAP)、2’−O−ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’−O−DMAEOE)、又は2’−O−N−メチルアセトアミド(2’−O−NMA)を含む。いくつかの実施形態において、アンタゴミアは、少なくとも一つの2’−O−メチル−修飾ヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子のmRNA転写産物の非コード領域の少なくとも一部分と実質的に相補的であるプロモーター指向RNA(pdRNA)である。一つの実施形態において、pdRNAは、転写開始部位から上流に配置された部位、例えば転写開始部位から100塩基を越える、200塩基を越える又は1,000塩基を越える上流に配置された部位の標的遺伝子mRNAのプロモーター領域の少なくとも一部分と実質的に相補的であることができる。また、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物の3’−UTRの少なくとも一部分と実質的に相補的であることができる。例えば、pdRNAは、場合によりそれぞれの鎖に3’ジ又はトリヌクレオチドオーバーハングを有する18〜28個の塩基のdsRNAを含む。前記dsRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物のプロモーター領域又は3’−UTR領域の少なくとも一部分と実質的に相補的である。別の実施形態において、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物のプロモーター領域又は3’−UTR領域の少なくとも一部分と実質的に相補的であるDNA配列含む一本鎖ポリヌクレオチドからなり、ギャップマーを細胞ヌクレアーゼから保護する一つ又はそれ以上の修飾ヌクレオチド、例えば2’MOE、2’OMe、又は固定化核酸塩基(LNA)を含むポリヌクレオチド配列(例えば、ギャップマーの5’末端及び3’末端のそれぞれに5個の末端塩基を含む)に隣接するギャップマーを含む。
pdRNAは、標的遺伝子の発現を選択的に高めるか、低下させるか又は調節するのに使用できる。理論に制約されることなく、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物の非コード領域とオーバーラップする内在性アンチセンスRNA転写産物に結合し、Argonauteタンパク質(dsRNAの場合)又は宿主細胞ヌクレアーゼ(例えば、リボヌクレアーゼH)(ギャップマーの場合)補充して内在性アンチセンスRNAを選択的に分解することによって標的遺伝子の発現を調節し得る。いくつかの実施形態において、内在性アンチセンスRNAは、標的遺伝子の発現を負に調節し、pdRNAエフェクター分子は、標的遺伝子の発現を活性化する。従って、いくつかの実施形態において、pdRNAは、内在性アンチセンスRNAによる標的遺伝子発現の負の調節を抑制することによって標的遺伝子の発現を選択的に活性化させるのに使用できる。標的遺伝子のプロモーター配列によってコードされるアンチセンス転写産物を同定する方法及びプロモーター指向RNAを調製及び使用する方法が知られている。例えば、国際公開第WO2009/046397号明細書参照。
発現干渉RNA(eiRNA)は、標的遺伝子の発現を選択的に高めるか、低下させるか又は調節するのに使用できる。典型的には、eiRNA、すなわち前記dsRNAは、発現ベクター由来の第一の形質移入細胞で発現される。このようなベクターにおいて、dsRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖は、例えば核酸配列のいずれかの末端で2つの収束型プロモーターを使用するか、あるいはセンス配列又はアンチセンス配列を転写する別個のプロモーターを使用して同じ核酸配列から転写できる。あるいは、2つのプラスミドは、dsRNAの一方の鎖を転写するために設計され、同時に他方が他方の鎖を転写するために設計される複数のプラスミドの一つを用いて形質移入できる。eiRNAエフェクター分子を調製し、使用する方法は、当該技術において公知である。例えば、国際公開第WO2006/033756号、米国特許出願公開第2005/0239728号及び同第2006/0035344号明細書参照。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、本明細書で定義されるような標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的であり及びArgonauteタンパク質のPiwi又はAubergineサブクラスのタンパク質に選択的に結合する小さな一本鎖Piwi相互作用性RNA(piRNAエフェクター分子)を含む。特定の理論に制約されることなく、piRNAエフェクター分子は、標的遺伝子のRNA転写産物と相互作用し、Piwi及び/又はAubergineタンパク質を補充して標的遺伝子の転写及び/又は転写後遺伝子サイレンシングを誘導するリボ核タンパク質(RNP)複合体を形成すると考えられる。piRNAエフェクター分子は、約10〜50個のヌクレオチドの長さ、約25〜39個のヌクレオチドの長さ又は約26〜31個のヌクレオチドの長さであることができる。例えば、米国特許出願公開第2009/0062228号明細書参照。
microRNAは、植物及び動物のゲノムのDNAから転写されるが、タンパク質に翻訳されない高度に保存されたクラスの小RNA分子である。pre−microRNAは、miRNAに処理される。処理されたmicroRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれようになり及び発生、細胞増殖、アポトーシス及び分化の重要な調節剤として確認されている一本鎖〜17−25個のヌクレオチド(nt)RNA分子である。これらの処理されたmicroRNAは、特異的mRNAの3’非翻訳領域に結合することによって遺伝子発現の調節において役割を果たすと考えられる。microRNAは、例えば標的mRNAの翻訳を抑制するか又は分解を開始することによって特異的標的遺伝子の転写後サイレンシングを引きこす。いくつかの実施形態において、miRNAは、標的核酸と完全に相補的である。別の実施形態において、miRNAは、標的核酸と非相補性の領域を有し、非相補性の領域で「バルジ」をもたらす。いくつかの実施形態において、非相補性の領域(バルジ)は、二重鎖の形成を可能にするために、十分な相補性、例えば完全な相補性の領域が側面に配置されている。例えば、相補性の領域は、少なくとも8〜10個のヌクレオチドの長さ(例えば、8個、9個又は10個のヌクレオチドの長さ)である。
miRNAは、例えばmiRNAが標的核酸と完全に相補的でない場合には、例えば翻訳を抑制することによって、又はmiRNAが完全な又は高度の相補性を有するその標的に結合する場合には標的RNAの分解を生じることによって、遺伝子の発現を抑制することができる。別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、内在性miRNA又はpre−miRNAを標的とするオリゴヌクレオチド作用物質を含むことができる。例えば、RNAエフェクターは、RNAエフェクターが標的遺伝子のmiRNAに基づいた抑制を緩和するように、標的遺伝子の発現を負に調節する内在性miRNAを標的とすることができる。オリゴヌクレオチド作用物質は、天然核酸塩基、糖、及び共有ヌクレオチド間(主鎖)連鎖及び/又は望ましい特性、例えば高められた細胞取り込み、内在性miRNA標的に対する高められた親和性、及び/又はヌクレアーゼの存在下での高められた安定性を付与する一つ又はそれ以上の天然に存在しない特徴を有するオリゴヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態において、特異的内在性miRNAに結合するために設計されたオリゴヌクレオチド作用物質は、標的miRNAの少なくとも10個、20個又は25個あるいはそれ以上の塩基と相当な相補性、例えば少なくとも70%、80%、90%、又は100%の相補性を有する。miRNA及びpre−miRNAを標的とする典型的なオリゴヌクレオチド作用物質は、例えば米国特許出願公開第20090317907号、同第20090298174号、同第20090291907号、同第20090291906号、同第20090286969号、同第20090236225号、同第20090221685号、同第20090203893号、同第20070049547号、同第20050261218号、同第20090275729号、同第20090043082号、同第20070287179号、同第20060212950号、同第20060166910号、同第20050227934号、同第20050222067号、同第20050221490号、同第20050221293号、同第20050182005号、及び同第20050059005号各明細書に記載されている。
miRNA又はpre−miRNAは、10〜200個のヌクレオチドの長さ、例えば16〜80個のヌクレオチドの長さであることができる。成熟miRNAは、16〜30個のヌクレオチドの長さ、例えば21〜25個のヌクレオチドの長さ、特に21個、22個、23個、24個又は25個のヌクレオチドの長さを有することができる。miRNA前駆物質は、70〜100個のヌクレオチドの長さを有することができ、ヘアピン立体配置を有することができる。いくつかの実施形態において、miRNAは、生体内で酵素cDicer及びDroshaによりpre−miRNAから生じる。miRNA又はpre−miRNAは、細胞に基づいた系で、生体内で合成できるし又は化学的に合成できる。miRNAは、例えばエンドサイトーシス依存又は非依存メカニズムによって、一つ又はそれ以上の所望の特性、例えば優れた安定性、標的核酸とのハイブリダイゼーション熱力学、特定の組織又は細胞型に対する標的化、及び/又は細胞透過性を付与する修飾を含むことができる。修飾はまた、配列特異性を高め、その結果として部位外標的化を減少させることもできる。
別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、内在性miRNA又はpre−miRNAを標的とするオリゴヌクレオチド作用物質を含むことができる。例えば、RNAエフェクターは、RNAエフェクターが標的遺伝子のmiRNAに基づいて抑制を緩和するように、標的遺伝子の発現を負に調節する内在性miRNAを標的とすることができる。
本明細書で使用する「少なくとも一つのRNAエフェクター分子の存在下で」という語句は、細胞で発現されたRNAエフェクター分子、例えばshRNAへの細胞の暴露、又は細胞へのRNAエフェクター分子の外からの添加、例えば場合により細胞内への取り込みを促進する作用物質を使用する細胞へのRNAエフェクター分子の送達による暴露を包含する。RNAエフェクター分子の一部分は、標的遺伝子RNAの少なくとも一部分、例えば標的遺伝子RNAのコード領域、プロモーター領域、3’非翻訳領域(3’−UTR)又は長い末端反復(LTR)と実質的に相補的である。本明細書に開示されるRNAエフェクター分子は、30個以下のヌクレオチドの長さ、例えば10〜200個のヌクレオチドの長さ又は19〜24個のヌクレオチドの長さである領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含み、その領域は、免疫原性作用物質の産生の一つ又はそれ以上の態様、例えば免疫原性作用物質の収量、純度、均一性、生物活性又は安定性に影響を及ぼすタンパク質をコードする標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的である。RNAエフェクター分子は、標的遺伝子のRNA転写産物と相互作用し、その選択的分解に介在するか又はその翻訳を妨害する。本発明の種々の実施形態において、RNAエフェクター分子は、少なくとも一つのギャップマー、あるいはsiRNA、miRNA、dsRNA、saRNA、shRNA、piRNA、tkRNAi、eiRNA、pdRNA、アンタゴミア又はリボザイムである。
RNA干渉を誘導するのに有効である二本鎖及び一本鎖オリゴヌクレオチドは、本明細書ではsiRNA、RNAi剤又はiRNA剤ともいう。これらのRNA干渉誘導オリゴヌクレオチドは、RNAi誘導サイレンシング複合体(RISC)として知られている細胞質多タンパク質複合体と会合する。理論に拘束されることなく、RNA干渉は、標的遺伝子mRNA転写産物のArgonaute介在転写後切断をもたらす。多くの実施形態において、一本鎖及び二本鎖RNAi作用物質は、内在性分子、例えばダイサーで切断され、RISC機構に入り、標的配列、例えば標的mRNAのRISC介在切断に関与できるより小さいオリゴヌクレオチドを生じることができるのに十分に長い。
いくつかの実施形態において、本明細書において提供されるRNAは、RISC介在切断の影響を受け易い標的転写産物の部位を特定する。従って、本発明は、さらに、このような配列の一つの内部を標的とするRNAエフェクター分子を特徴とする。このようなRNAエフェクター分子は、一般的に標的遺伝子内の選択された配列に隣接する領域から採取されるさらなるヌクレオチド配列に結合された提供される配列の一つに由来する少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む。
本明細書において並びに特許請求の範囲及び明細書全体を通じて使用する「ゲノム情報」という語句は、生物の部分ゲノム又は全ゲノム、例えばタンパク質コード領域又は非コード領域由来の配列情報を指すことを意味する。これらの配列は、同じ生物から生じるどんな細胞にも存在する。トランスクリプトーム配列情報とは対照的に、ゲノム情報は、コード領域ばかりではなく、例えばイントロン配列、プロモーター配列、サイレンサー配列及びエンハンサー配列も含む。従って、「ゲノム情報」とは、例えばヒトゲノム、マウスゲノム、ラットゲノムを指すことができる。データベース配列にさらなる長さを付加するために完全ゲノム情報又は部分ゲノム情報を使用して、RNAエフェクター分子を用いて修飾する可能性のある標的を増加させることができる。
「役割を果たす」という語句は、当業者に知られているか又は本明細書の他の個所に特定されている分子経路における転写産物又はタンパク質の任意の活性を指す。細胞活性のような経路は、以下に限定されないが、アポトーシス、細胞***、グリコシル化、増殖速度、細胞生産性、最大細胞密度、持続細胞生存性、アンモニア産生又は消費の速度、あるいは乳酸産生の速度を含む。
本明細書で使用する「バイオリアクター」とは、一般的に、宿主細胞が免疫原性作用物質を産生するように宿主細胞を増殖させ、保持するのに適した任意の反応容器、及びこのような免疫原性作用物質を回収するのに適した任意の反応容器を指す。本明細書に記載のバイオリアクターとしては、種々の大きさの細胞培養装置、例えば小培養フラスコ、Nunc多層細胞工場、小さな高収量バイオリアクター(例えば、MiniPerm、INTEGRA−CELLine)、スピナーフラスコ、中空線維−WAVEバッグ(Wave Biotech、Tagelswangen、Switzerland)及び工業規模バイオリアクターが挙げられる。いくつかの実施形態において、免疫原性作用物質は、免疫原性作用物質の製薬学的又は工業的生産に適した1L又はそれ以上の容量(例えば、少なくとも1L、少なくとも2L、少なくとも5L、少なくとも10L、少なくとも25L、少なくとも50L、少なくとも100L又はそれ以上の容量を含む)を有し、多くの場合pH、グルコース、乳酸、温度及び/又はその他のバイオプロセスパラメータを監視する手段を含む「大規模培養」バイオリアクターで生産される。一つの実施形態において、大規模培養は、少なくとも1Lの容量である。
一つの実施形態において、大規模培養は、少なくとも2Lの容量である。一つの実施形態において、大規模培養は、少なくとも5Lの容量である。一つの実施形態において、大規模培養は、少なくとも25Lの容量である。一つの実施形態において、大規模培養は、少なくとも40Lの容量である。一つの実施形態において、大規模培養は、少なくとも50Lの容量である。一つの実施形態において、大規模培養は、少なくとも100Lの容量である。
本明細書で使用する「宿主細胞」は、本明細書で定義するように、免疫原性作用物質の有用量の産生及び回収を可能にする条件下で細胞培養において増殖させ、保持することができる任意の細胞、細胞培養物、細胞バイオマス又は組織である。宿主細胞は、酵母、昆虫、両生類、魚類、爬虫類、鳥類、哺乳動物又はヒトから誘導できるし、あるいはハイブリドーマ細胞であることができる。宿主細胞は、未変性細胞又は細胞株、あるいは(例えば、免疫原性作用物質の産生を促進するために)遺伝子組換えされている細胞株であることができる。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、所定の条件、例えば血清無含有培地、細胞懸濁培養又付着細胞培養での増殖を可能にするために変性されている細胞株である。本明細書で使用する「ハムスター」はCricetulus griseus(チャイニーズハムスター)を指す。
哺乳動物宿主細胞は、免疫原性作用物質が哺乳動物組換えポリペプチドである場合、特に前記ポリペプチドが生物学的治療剤であるか又はヒトへの投与又はヒトによる消費を目的とする場合に好都合であり得る。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、多数の組換えタンパク質の発現に使用される細胞株であるCHO細胞である。組換えタンパク質の発現に一般的に使用されるさらなる哺乳動物細胞としては、293HEK細胞、HeLa細胞、COS細胞、NIH/3T3細胞、ジャーカット細胞、NSO細胞及びHUVEC細胞が挙げられる。
一実施形態において、宿主細胞はメイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK)細胞である。MDCK細胞はウイルス/ワクチン製造に関する当業者に日常的に使用されている。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、組換えタンパク質又はその他の免疫原性作用物質の産生を促進するために遺伝子組換えされているCHO細胞誘導体である。例えば、細胞の特定の遺伝子又は発現領域への組換えDNAの安定した挿入、挿入されたDNAの増幅、及び組換えタンパク質の高レベル発現を示す細胞の選択を可能にする種々のCHO細胞株が、開発されている。本明細書において提供される方法に有用なCHO細胞誘導体としては、以下に限定されないが、CHO−K1細胞、CHO−DUKX、CHO−DUKX B1、CHO−DG44細胞、CHO−ICAM−1細胞,及びCHO−hlFNγ細胞が挙げられる。CHO細胞において組換えタンパク質を発現させる方法は、当該技術において知られており、例えば米国特許第4,816,567号及び同第5,981,214号明細書に記載されている。
本明細書において提供される方法に有用なヒト細胞の例としては、細胞株293T(胎児腎臓)、786−0(腎臓)、A498(腎臓)、A549(肺胞基底上皮)、ACHN(腎臓)、BT−549(***)、BxPC−3(膵臓)、CAKI−1(腎臓)、Capan−1(膵臓)、CCRF−CEM(白血病)、COLO205(結腸)、DLD−1(結腸)、DMS114(小細胞肺)、DU145(前立腺)、EKVX(非小細胞肺)、HCC−2998(結腸)、HCT−15(結腸)、HCT−116(結腸)、HT29(結腸)、HT−1080(線維肉腫)、HEK293(胎児腎臓)、HeLa(子宮頸癌)、HepG2(肝細胞癌)、HL−60(TB)(白血病)、HOP−62(非小細胞肺)、HOP−92(非小細胞肺)、HS578T(***)、HT−29(結腸腺癌)、IGR−OV1(卵巣)、IMR32(神経芽細胞腫)、ジャーカット(Tリンパ球細胞)、K−562(白血病)、KM12(結腸)、KM20L2(結腸)、LAN5(神経芽細胞腫)、LNCap.FGC(Caucasian前立腺癌)、LOX IMVI(黒色腫)、LXFL529(非小細胞肺)、M14(黒色腫)、M19−MEL(黒色腫)、MALME−3M(黒色腫)、MCFlOA(***上皮)、MCF7(乳腺)、MDA−MB−453(***上皮)、MDA−MB−468(***)、MDA−MB−231(***)、MDA−N(***)、MOLT−4(白血病)、NCI/ADR−RES(卵巣)、NCI−H226(非小細胞肺)、NCI−H23(非小細胞肺)、NCI−H322M(非小細胞肺)、NCI−H460(非小細胞肺)、NCI−H522(非小細胞肺)、OVCAR−3(卵巣)、OVCAR−4(卵巣)、OVCAR−5(卵巣)、OVCAR−8(卵巣)、P388(白血病)、P388/ADR(白血病)、PC−3(前立腺)、PERC6(登録商標)(E1形質転換胎生網膜)、RPMI−7951(黒色腫)、RPMI−8226(白血病)、RXF393(腎臓)、RXF−631(腎臓)、Saos−2(骨)、SF−268(CNS)、SF−295(CNS)、SF−539(CNS)、SHP−77(小細胞肺)、SH−SY5Y(神経芽細胞腫)、SK−BR3(***)、SK−MEL−2(黒色腫)、SK−MEL−5(黒色腫)、SK−MEL−28(黒色腫)、SK−OV−3(卵巣)、SN12K1(腎臓)、SN12C(腎臓)、SNB−19(CNS)、SNB−75(CNS)、SNB−78(CNS)SR(白血病)、SW−620(結腸)、T−47D(***)、THP−1(単細胞由来マクロファージ)、TK−10(腎臓)、U87(膠芽細胞種)、U293(腎臓)、U251(CNS)、UACC−257(黒色腫)、UACC−62(黒色腫)、UO−31(腎臓)、W138(肺)及びXF498(CNS)が挙げられる。
本明細書において提供される方法に有用な非ヒト霊長類細胞株の例としては、細胞株サル腎(CVI−76)細胞、アフリカミドリザル腎(VERO−76)細胞、ミドリザル線維芽(COS−1)細胞、及びSV40(COS−7)によって形質転換されたサル腎(CVI)細胞が挙げられる。さらなる哺乳動物細胞株が、当業者に知られており、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(the American Type Culture Collection)カタログ(Manassas、VA)に掲載されている。
本明細書において提供される方法に有用な齧歯類動物細胞株の他の例としては、細胞株ベビーハムスター腎(BHK)細胞(例えば、BHK21、BHK TK)、マウスセルトリ(TM4)細胞、バッファローラット肝(BRL3A)細胞、マウス乳腺腫瘍(MMT)細胞、ラット肝癌(HTC)細胞、マウス骨髄腫(NSO)細胞、ネズミハイブリドーマ(Sp2/0)、マウス胸腺腫(EL4)細胞、ネズミ胎児(NIH/3T3、3T3 L1)細胞、ラット心筋(H9c2)細胞、マウス筋芽(C2C12)細胞及びマウス腎(miMCD−3)細胞が挙げられる。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、多能性幹細胞又は前駆細胞である。本明細書において提供される方法に有用な多能性細胞の例としては、ネズミ胚性幹(ES−D3)細胞、ヒト臍帯静脈内皮(HuVEC)細胞、ヒト臍帯動脈平滑筋(HuASMC)細胞、ヒト分化幹(HKB−I1)細胞、ヒト間葉幹(hMSC)細胞及び人工誘導多能性幹(iPS)細胞が挙げられる。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、植物細胞である。培養において容易に増殖する植物細胞の例としては、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(クレソン)、ニンニク(Allium sativum)中国イチイ(Taxus chinensis)、イチイ(T.cuspidata)、ヨーロッパイチイ(T.baccata)、タイヘイヨウイチイ(T.brevifolia)及び南方イチイ(T.mairei)、ニチニチソウ(Catharanthus roseus)、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)(ナス科)、タバコ(N.tabacum)、例えばタバコ細胞株、例えばNT−1又はBY−2(NT−1細胞は、ATCC、No.74840から入手できる、米国特許第6,140,075号明細書も参照)、イネ(Oryza sativa)、トマト(Lycopersicum esulentum)、アルファルファ(Medicago sativa)、ダイズ(Glycine max)、タルウマゴヤシ(Medicago truncatula)及びクローバ(M.sativa)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、テンサイ(Beta vulgaris)、サトウキビ(Saccharum)種、チーク(Tectona grandis)、バナナ(Musa)種、クロチク(Phyllostachys nigra)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)及びビチス・ガメイ(ブドウ)、ポプラ(Popuius alba)、アブラヤシ(Elaeis guineensis)、ニレ(Ulmus)種、アキカラマツ(Thalictrum minus)、イボツヅラフジ(Tinospora cordifolia)、ツルニチニチソウ(Vinca rosea)、モロコシ(Sorghum)種、ホソムギ(Lolium perenne)、キュウリ(Cucumis sativus)、アスパラガス(Asparagus officinalis)、ニガキモドキ(Brucea javanica)、ドリティノプス(Doritaenopsis)属及びフェラノプシス(Phalaenopsis)属(ラン)、ホムロイイチゴ(Rubus chamaemorus)、コーヒーノキ(Coffea arabica)、コムギ(Triticum timopheevii)、キウイ(Actinidia deliciosa)、ガマ(Typha latifolia)、インドセンダン(Azadirachta indica)(ニーム)、キャッツクロー(Uncaria tomentosa)及びキャッツクロー(U.guianensis)、キキョウ(Platycodon grandiflorum)、カイガンタバコ(Calotropis gigantea)、コツレッキア・バージニカ(Kosteletzkya virginica)(アオイ科植物)、リンゴ(Pyrus malus)、ケシ(Papaver somniferum)、カンキツ(Citrus)種、メキシカンオレンジ(Choisya ternata)、トゲナシヌグラ(Galium mollugo)、ジギタリス(Digitalis lanata及びD.purpurea)、ステビア(Stevia rebaudiana)、ハッショウマメ(Stizolobium hassjoo)(スベリヒユ)、オオクサキビ(Panicum virgatum)、Rudgea jasminoides、アメリカニンジン(Panax quinquefolius)、イトスギ〔モントレーイトスギ(Cupressus macrocarpa)及びアリゾナイトスギ(C.arizonica)〕、ベチベルソウ(Vetiveria zizanioides)、インドニンジン(Withania somnifera)、ササゲ(Vigna unguiculata)、キダチミカンソウ(Phyllanthus niruri) (トウダイグサ属)、インドクズ(Pueraria tuberosa)及びクズ(P.lobata)、シナカンゾウ(Glycyrrhiza echinata)、ヨコマメヒ(Cicer arietinum)、オオアザミ(Silybum marianum)、キンポウジュ(Callistemon citrinus)、タネツケバナ(Astragalus chrysochlorus)、コロニラ・バギナリス(Coronilla vaginalis)、例えば細胞株39RAR(クラウンベッチ)、タンジン(Salvia miltiorrhiza)、リョクトウ(Vigna radiata)、ギセキア・ファルナセオイデス(Gisekia pharnaceoides)、ヨウシュチョウセンアサガオ(Datura tatula)及びシロバナヨウシュチョウセンアサガオ(D.stramonium)並びにトウモロコシ(Zea mays)種が挙げられる。
本明細書において提供される植物細胞培養は、植物細胞を形質転換する任意の特定の方法に限定されない。DNAを植物細胞に導入する方法は、当業者には周知である。例えば、米国特許出願公開第2010/0009449号明細書参照。外来DNAを植物細胞中に送達させる基本的な方法、例えば化学的方法〔Graham&van der Eb,54 Virol.,536−39(1973);Zatloukalら、660 Ann.NY Acad.Sci.,136−53(1992)〕;物理的方法、例えば微量注入法〔Capeechi,22 Cell.,479−88(1980)〕、電気穿孔法〔Wong&Neumann,107 Biochem.Biophys.Res.Commn.,584−87(1982);Frommら、82 PNAS,5824−28(1985);米国特許第5,384,253号明細書〕及び「遺伝子銃」法〔Johnston&Tang,43 Met.Cell.Biol.,353−65(1994);Fynanら、90 PNAS,11478−82(1993)〕;ウイルス法〔Clapp,20 Clin.Perinatol.,155−68(1993);Luら、178 J.Exp.Med.,2089−96(1993);Eglitis&Anderson,6 Biotechs.,608−14(1988);Eglitisら、241 Avd.Exp.Med.Biol.,19−27(1988)〕;及び受容体媒介法〔Curielら、88 PNAS,8850−54(1991);Curielら、3 Hum.Gen.Ther.,147−54(1992);Wagnerら、89 PNAS,6099−103(1992)〕が、記載されている。遺伝子導入植物は、本明細書では、植物細胞培養物、植物細胞株、植物組織培養物、下等植物、単子葉植物細胞培養物、双子葉植物細胞培養物、又は形質転換植物細胞又はプロトプラストから誘導されるこれらの後代として定義され、前記形質転換植物のゲノムは、実験室技法によって導入され、同じ種の天然の非遺伝子導入植物細胞中に本来存在しない外来DNAを含有する。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、真菌類、例えばサッカロミセス・セレヴィシエ(Sacharomyces cerevisiae)、ピキア・パルトリス(Pichia pastoris)又はピキア・メタノリカ(P.methanolica)、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、シゾサッカロミセス・ボンベ(Scizosacchromyces pombe)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansanuela polymorpha)又はクルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)である。例えば、Petranovic&Vemuri,144 J.Biotech.,204−11(2009);Bollokら、3 Recent Pat.Biotech.,192−201(2009);Takegawaら、53 Biotech.Appl.Biochem.,227−35(2009);Chiba&Akeboshi,32 Biol.Pharm.Bull.,786−95(2009)参照。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、昆虫細胞、例えばSf9細胞株〔ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)のサナギ卵巣組織から誘導される〕;Hi−5〔イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)卵細胞ホモジネートから誘導される〕;又はS2細胞〔キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)から誘導される〕である。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、懸濁培養での増殖に適している。懸濁適格宿主細胞は、一般的に単分散性であるか又は実質的な凝集なしにゆるい凝集物で増殖する。懸濁適格宿主細胞としては、順化又は操作なしで懸濁培養に適した細胞(例えば、造血細胞、リンパ系細胞)及び付着依存性細胞の修飾又は順化によって懸濁適格性にされている細胞(例えば、上皮細胞、線維芽細胞)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、付着培養において増殖し、保持される付着依存性細胞である。本明細書において提供される方法に有用なヒト付着細胞株の例としては、ヒト神経芽細胞腫(SH−SY5Y、IMR32及びLAN5)細胞、ヒト子宮頸癌(HeLa)細胞、ヒト胸部上皮(MCFlOA)細胞、ヒト胎児腎(293T)細胞、及びヒト乳癌(SK−BR3)細胞が挙げられる。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、所定の条件下で、例えば血清無含有培地において、細胞懸濁培養において又は付着細胞培養において増殖を可能にするために変性されている細胞である。前記宿主細胞は、例えば、ヒトNamalwa Burkittリンパ腫細胞(BLcl−kar−Namalwa)、ベビーハムスター腎線維芽細胞(BHK)、CHO細胞、ネズミ骨髄腫細胞(NS0、SP2/0)、ハイブリドーマ細胞、ヒト胎児腎細胞(293HEK)、ヒト網膜由来細胞〔PER.C6(登録商標R)細胞、米国特許第7,550,284号明細書〕、昆虫細胞株{Sf9〔ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)のサナギ卵巣組織から誘導される〕;又はHi−5〔イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)卵細胞ホモジネートから誘導される〕;米国特許第7,041,500号明細書も参照}、Madin−Darbyイヌ腎細胞(MDCK)、初代マウス脳細胞又は組織、初代子牛リンパ細胞又は組織、初代サル腎細胞、孵化鶏卵、初代ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)、アカゲザル胎児肺細胞(FRhL−2)、ヒト胎児肺細胞(WI−38、MRC−5)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(Vero、CV−1)、アカゲザル腎細胞(LLC−MK2)又は酵母細胞であることができる。組換えタンパク質の発現の一般的に使用される別の哺乳動物細胞株としては、以下に限定されないが、HeLa細胞、COS細胞、NIH/3T3細胞、ジャーカット細胞、及びヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)細胞が挙げられる。
宿主細胞は、未変性であることができるし又は遺伝子組換えすることができる(例えば、遺伝子導入動物由来の細胞)。例えば、遺伝子導入鶏卵由来のCEFは、IFN経路に不可欠な一つ又はそれ以上の遺伝子を有することができ、例えばインターフェロン受容体、STAT1などは、破壊された、すなわちトランスジェニック「ノックアウト」である。例えば、Sang,12 Trends Biotech.,415(1994);Perryら、2 Transgenic Res.,125(1993);Stern,212 Curr Top Micro.Immunol.,195−206(1996);Shuman,47 Experientia,897(1991)参照。また、宿主細胞は、所定の条件下で、例えば30℃でのインキュベーション下で増殖を可能にするために変性させることができる。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、懸濁培養物での増殖に適している。懸濁適格宿主細胞は、一般的に単分散性であるか又は実質的な凝集なしにゆるい凝集物で増殖する。懸濁適格宿主細胞としては、順化又は操作なしで懸濁培養に適した細胞(例えば、造血細胞、リンパ系細胞)及び付着依存性細胞の修飾又は順化によって懸濁適格性にされている細胞(例えば、上皮細胞、線維芽細胞)が挙げられる。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、付着培養において増殖し、保持される付着依存性細胞である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、卵、例えば魚類、両生類又はトリの卵に含有される。
「免疫原性作用物質を宿主細胞から単離する」とは、免疫原性作用物質を、宿主細胞物質、例えば宿主細胞、宿主細胞培養培地、宿主細胞バイオマス又は宿主組織から分離する少なくとも一つの工程を意味する。従って、宿主細胞培養培地に分泌され、最終的に収穫される免疫原性作用物質を単離することは、「宿主細胞から単離する」という語句に包含される。有用な量とは、例えばアリコート又は試料を含め、標的遺伝子発現の調節を監視することを含め産生について選別するか又は産生を監視するのに使用される量を包含する。
本発明は、抗原、抗原性ポリペプチド、代謝産物、中間体、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、寄生虫抗原、ウイルス粒子、欠陥ウイルス、生きた弱毒化ウイルス、殺したウイルス、またはワクチンを含む免疫原性作用物質の生産を提供する。免疫原性作用物質は、限定されるものではないが、ポリペプチド、糖タンパク質、および生きている生物またはそれらの産物から合成され、および予防剤または治療剤として用いられるワクチンのような「バイオロジック」を含む、宿主細胞によって生産され、かつ有用な量にて回収することができるいずれの免疫原性物質も含むことができる。かくして、免疫原性作用物質は、生物治療剤、ワクチン、研究または診断試薬等を含む広い範囲の適用で用いることができる。
いくつかの実施形態において、免疫原性作用物質はポリペプチドである。該ポリペプチドは組換えポリペプチド、または宿主細胞にとって内因性のポリペプチドであり得る。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは糖タンパク質であって、宿主細胞は哺乳動物細胞である。本明細書中で提供される方法に従って生産することができるポリペプチドの非限定的例は、受容体、膜タンパク質、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、酵素、成長因子、成長因子受容体、抗体、抗体誘導体および他の免疫エフェクター、インターロイキン、インターフェロン、エリスロポエチン、インテグリン、可溶性主要組織適合性複合体抗原、結合性タンパク質、転写因子、翻訳因子、癌タンパク質またはプロト−癌タンパク質、筋肉タンパク質、骨髄タンパク質、神経活性タンパク質、腫瘍成長サプレッサー、構造タンパク質、および血液タンパク質(例えば、トロンビン、血清アルブミン第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、von Willebrand因子等)を含み、免疫応答がそれに対して望まれる。
本明細書中で用いるように、ポリペプチドは、脱アミド化、グリコシル化等のような、翻訳後修飾を受けた糖タンパク質または他のポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、免疫原性作用物質は異常にグリコシル化されたタンパク質である。例えば、多くの癌抗原は特に、フコシル残基を含んで、異常にグリコシル化されていることが知られている。Moriwaki & Miyoshi,2 World J. Heparol.,151−61(2010)。かくして、1つの実施形態において、癌抗原の生産は、(例えば、配列番号:209841〜210227よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む対応するRNAエフェクター分子の使用によって宿主CHO細胞を接触させることによって)FUT8のようなフコシルトランスフェラーゼをコードする標的遺伝子の発現を変調することによって増強される。特別な実施形態において、細胞(例えば、CHO細胞)を、ヌクレオチド配列の少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19のヌクレオチドまたはそれ以上)を含む1以上のRNAエフェクター分子と接触させて、生物学的産物のフコシル化を変調することによって、フコシル化された免疫原(例えば、組換え癌抗原)の生産を増強させる方法が提供される。例えば、該細胞を、配列番号:3152714〜3152753の1以上のRNAエフェクター分子と接触させることができ、ここに、該接触はCHO細胞フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)の発現を変調する。
1つの実施形態において、免疫原性作用物質の生産は、宿主細胞を、FUT8、TSTA3、およびGMDSよりなる群から選択される標的遺伝子に対する少なくとも1つのRNAエフェクター分子と接触させて、例えば、フコシル化を変調することによって増強される。1つの実施形態において、FUT8、TSTA3、およびGMDSよりなる群から選択される標的遺伝子に対する少なくとも2つのRNAエフェクター分子を用いる。これらの実施形態の1つの態様において、宿主細胞は、さらに、シアリルトランスフェラーゼ、例えば、CHO細胞ST3のβ−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ1(配列番号:2088)、ST3のβ−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ4(配列番号:2167)、ST3のβ−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ3(配列番号:3411)、ST3のβ−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ5(配列番号:3484)、ST6の(α−N−アセチル−ノイラミニル−2,3−β−ガラクトシル−1,3)−N−アセチルガラクトサミニドα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ6(配列番号:4186)またはST3のβ−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ2(配列番号:4319)をコードする遺伝子を標的化するRNAエフェクター分子と接触することができる。シアリルトランスフェラーゼの標的化は、本明細書中でさらに議論するように、宿主細胞膜−結合シアル酸ウイルス受容体を改変する関係でやはり有利であり得る。
1つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、CHO細胞ST3のβ−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ1(配列番号:681105〜681454)、ST3のβ−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ4(配列番号:707535〜707870)、ST3のβ−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ3(配列番号:1131123〜1131445)、ST3のβ−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ5(配列番号:1155324〜1155711)、ST6の(α−N−アセチル−ノイラミニル−2,3−β−ガラクトシル−1,3)−N−アセチルガラクトサミニドα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ6(配列番号:1391079〜1391449)、またはST3のβ−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ2(配列番号:1435989〜1436317)よりなる群から選択される配列を有するsiRNAである。
他の実施形態において、免疫原性作用物質は、免疫原性ウイルス、細菌、アレルゲン、真菌、寄生虫、原生動物、または発現ベクターに由来する組換えタンパク質である。
ウイルスベースのワクチンを生産するための別の例のアプローチは、複製が可能であるが、病原性ではなく、従って、免疫性の持続を供し、かつ病気に対するより大きな保護を与える弱毒化生ウイルスワクチンの使用を含む。弱毒化ウイルスを生産するための慣用的な方法は、その多くが温度感受性である宿主範囲突然変異体の偶然の単離を含み、例えば、ウイルスは非自然宿主を介して継代され、免疫原性であるが病原性ではない子孫ウイルスを選択する。有効なワクチンの生産は、宿主系から高い収率で生産された大量のウイルスの成長を必要とする。ウイルスの異なる型は、許容できる収率を得るために異なる成長条件を必要とする。従って、ウイルスがその中で成長する宿主は、非常に重要なものである。ウイルス型の機能として、ウイルスは孵化卵、初代組織培養細胞、または樹立された細胞株において成長させることができる。
ウイルスベースのワクチンを生産するための別の例のアプローチは、複製が可能であるが、病原性ではなく、従って、免疫性の持続を供し、かつ病気に対するより大きな保護を与える弱毒化生ウイルスワクチンの使用を含む。弱毒化ウイルスを生産するための慣用的な方法は、その多くが温度感受性である宿主範囲突然変異体の偶然の単離を含み、例えば、ウイルスは非自然宿主を介して継代され、免疫原性であるが病原性ではない子孫ウイルスを選択する。有効なワクチンの生産は、宿主系から高い収率で生産された大量のウイルスの成長を必要とする。ウイルスの異なる型は、許容できる収率を得るために異なる成長条件を必要とする。従って、ウイルスがその中で成長する宿主は、非常に重要なものである。ウイルス型の機能として、ウイルスは孵化卵、初代組織培養細胞、または樹立された細胞株において成長させることができる。
かくして、本発明のいくつかの実施形態において、免疫原性作用物質はウイルス産物、例えば、天然に生じるウイルスの株、変異株または突然変異体;(例えば、変異原への暴露、反復された継代および/または非許容性宿主における継代によって生じた)突然変異誘発ウイルス、(セグメント化されたウイルスゲノムの場合における)再集合体、および/または所望の表現型を有する(例えば、「逆遺伝子学」技術を用いて)遺伝子工学的に作成されたウイルスである。これらの実施形態のウイルスは弱毒化することができ;すなわち、それらは感染性であって、イン・ビボで複製することができるが、低い力価を生じ、その結果、一般的には非病原性である臨界下レベルの感染をもたらす。
加えて、本発明の免疫原性作用物質は、本発明の組成物、細胞および/または方法を用い、例えば、RNAエフェクター分子を用い、それに対して免疫原性作用物質の生産を増強することができる細胞内寄生体に由来することができる。例えば、本発明の代替実施形態は、真核生物細胞における細菌免疫原の生産を提供する。これらの細菌はShigella flexneri、Listeria monocytogenes、Rickettsiae tsutsugamushi、Rickettsiae rickettsiae、Mycobacterium leprae、Mycobacterium tuberculosis、Legionella pneumophila、Chlamydia sspを含む。本発明のさらなる実施形態は、真核生物細胞における原生動物免疫原の生産を提供する。これらの原生動物はPlasmodium falciparum、Tripanosoma cruzi、およびLeishmania donovaniを含む。
いくつかの実施形態において、免疫原性作用物質の生産の増強は、培養における細胞の生存性を改善することによって達成される。本明細書中で用いるように、用語「細胞生存性の改善」とは、当該処理を行わないときの細胞密度またはアポトーシスレベルと比較した、RNAエフェクター分子の存在下での少なくとも10%の(例えば、トリパンブルー排除アッセイによって評価した)細胞密度の増加、または(例えば、TUNELアッセイを用いて評価した)アポトーシスの減少をいう。いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子での処理に応答しての細胞密度の増加またはアポトーシスの減少は、未処理細胞と比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%でさえある。いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子での処理に応答しての細胞密度の増加は、RNAエフェクター分子の不存在下における細胞密度よりも、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、またはそれよりも高い。
本明細書中で用いる「バイオプロセシング」は、典型的には、以下の:(a)(例えば、ウイルス、または組換え抗原性ポリペプチドをコードする導入遺伝子のいずれかを含む)哺乳動物宿主細胞を、細胞培養基を含有するシード培養容器に接種し、該細胞を増殖させて、最小閾値交差−シーディング密度に到達させる工程と;(b)該増殖させたシード培養細胞、またはその一部を大規模な培養リアクターに移す工程と;(c)細胞が所定の密度に到達するまで、迅速な成長および細胞***を可能とする条件下で大規模培養を増殖させる工程と;(d)継続した細胞成長および/または宿主細胞***に不都合であって、抗原性タンパク質またはウイルス粒子の発現を容易とする条件下で培養を維持する工程とを含む、(例えば、哺乳動物宿主細胞における)細胞培養における免疫原性作用物質(例えば、組換え抗原性ポリペプチド)の産業規模の生産のための例示的プロセスである。
前述方法の工程(a)〜(c)は、一般に、「成長」期を含み、他方、工程(d)は、一般に、「生産」期を含む。いくつかの実施形態において、供給されたバッチ培養または連続的細胞培養条件は、成長期における宿主細胞の成長および***を増強させ、および細胞の成長および/または***に不都合であって、生産期の間に免疫原性作用物質の発現を容易とするようにしつらえられる。例えば、いくつかの実施形態において、免疫原性作用物質は約1mg/L、約2.5mg/L、約5mg/L、約1g/L、約5g/L、約15g/Lまたはそれより高いレベルで発現される。細胞の成長および/または***の速度は、温度、pH、溶解酸素(dO2)等のような培養条件を変化させることによって変調することができる。例えば、成長期についての適当な条件は、約pH6.5およびpH7.5の間のpH、約30℃〜38℃の間の温度、および約5%〜90%飽和の間のdO2を含むことができる。いくつかの実施形態において、異種タンパク質の発現は、より低い培養温度への温度シフト(例えば、約37℃から約30℃)を誘導し、細胞培養基中の溶質の濃度を増加させ、またはトキシン(例えば、酪酸ナトリウム)を細胞培養基に加えることによって、生産期において増強させることができる。いくつかの実施形態において、異種タンパク質の発現は、約28℃への温度シフトを誘導して、例えば、細胞***が起こらないときにおけるタンパク質発現を増加させることによって、生産期において増強させることができる(例えば、実施例11参照)。生産期の間に成長および/またはタンパク質発現を増強させるための種々のさらなるプロトコルおよび条件は当分野で知られている。
宿主細胞は、宿主細胞および培養基が最初に培養リアクターに供給され、さらなる培養栄養素が細胞培養プロセスを通じて連続的にまたは少しずつ供給される供給バッチ培養プロセスにおいて攪拌されたタンク培養リアクターシステムで培養することができる。供給バッチ培養プロセスは半連続的とすることができ、そこでは、周期的に、(細胞および培地を含む)全培養が除去され、新鮮な培地によって交換される。別法として、単純なバッチ培養プロセスを用いることができ、そこでは、(細胞および培養基を含む)細胞培養のための全ての成分が該プロセスの最初に培養容器に供給される。連続的灌流プロセスを用いることもでき、そこでは、細胞は、例えば、濾過、カプセル化、マイクロキャリアへの係留等によって培養に固定化され、および上清は培養中の容器から連続的に取り出され、プロセスの間に新鮮な培地と交換される。
1つの実施形態において、生産期の後に、免疫原性作用物質は、当分野で公知の種々の方法を用いて細胞培養基から回収される。例えば、分泌された異種タンパク質の回収は、典型的には、例えば、遠心または濾過によって培地からの宿主細胞およびデブリスの除去を含む。いくつかの場合において、特に、免疫原性作用物質がタンパク質であって、分泌されないならば、タンパク質の回収は、例えば、機械的剪断、浸透圧ショック、または酵素処理によって、培養された宿主細胞を溶解させて、細胞の内容物をホモジネートに放出させることによって行うこともできる。次いで、タンパク質は、分画遠心、濾過、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、電気泳動手法(例えば、分取等電点電気泳動(IEF))、硫酸アンモニウム沈殿等によって、細胞下断片、不溶性材料等から分離することができる。特定のタイプのタンパク質を回収し、精製する手法は当分野で知られている。
いくつかの実施形態において、細胞を無血清培地に適合させ、粘着性細胞を懸濁液中での細胞成長に適合させるのが望ましい。いくつかの実施形態において、細胞を適合させて、無血清培地中で成長させる。本発明の1つの態様において、細胞の適合は、可塑性の制御に関与する遺伝子を標的化するRNAエフェクター分子を用いることにより細胞の可塑性を増加させることによって促進される。例えば、細胞周期レギュレーター(例えば、サイクリンキナーゼおよび本明細書中に記載された他のもの)(例えば、例としてのCHOサイクリンキナーゼ標的遺伝子および例示的siRNA(アンチセンス鎖)を確認する表13参照);ヒストンおよびDNAメチラーゼ(例としてのCHO標的遺伝子および例示的siRNA(アンチセンス鎖)を確認する表1〜2参照);p53(例としてのCHO標的遺伝子および例示的siRNA(アンチセンス鎖)を確認する表13参照);およびストレス応答タンパク質、例えば、熱ショックタンパク質(例えば、HSP90等)(例としてのCHO標的遺伝子および例示的siRNA(アンチセンス鎖)を確認する表15参照)等を標的化するRNAエフェクターを用いることができる。1つの実施形態において、RNAエフェクターは、配列番号:4957を含む形質転換関連タンパク質p53(CHO4957.1)をコードする転写体を標的化する。1つの実施形態において、p53を標的化するRNAエフェクター分子は、配列番号:1649857〜1650157よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含む。
「プロセッサ」は、プログラム制御下で機能を実行することができるいずれのハードウェアおよび/または関連ソフトウェアの組合せも含む。例えば、本明細書中におけるいずれのプロセッサも、埋め込みシステムの形態で利用可能なようなプログラム可能デジタルマイクロプロセッサ、プログラム可能コントローラ−、メインフレーム、サーバー、またはパーソナルコンピュータ(デスクトップまたはポータブル)であり得る。プロセッサが選択的にプログラム可能な場合、適当なプログラム、ソフトウェアまたはファームウェアはプロセッサに対して離れたロケーションから連絡可能であるか、あるいは(磁気的、光学的または固体状態デバイスに基づくかを問わず、ポータブルまたは固定されたコンピュータ読取可能記憶媒体のような)コンピュータプログラム産物に既に記憶されている。例えば、磁気媒体または光学ディスクはプログラムまたは操作指示書を記憶することができ、読み取って、その対応する局において各プロセッサに移すことができる。
本明細書中で用いられる「コンピュータ読取可能媒体」とは、指令および/またはデータを実行および/または処理のためのコンピュータに供するのに参画するいずれの記憶または伝達媒体もいう。記憶媒体の例は、デバイスがコンピュータに対して内部または外部であるか否かを問わず、フロッピーディスク、磁気媒体(テープ、ディスク)、UBS、光学媒体(CD−ROM、DVD、Blu−Ray)、固体状態媒体、ハード・ディスク・ドライブRAM、ROMまたは集積回路、光磁気ディスク、またはPCMCIAカード等のようなコンピュータ読取可能カードを含む。情報を含むファイルはコンピュータ読取可能媒体に「記憶」することができ、そこでは、「記憶する」は、それが、コンピュータによって後日にアクセス可能であって検索可能であるような情報の記録を意味する。
コンピュータ読取可能媒体に関して、「永久的メモリ」または「非揮発性メモリ」とは、データ記憶媒体に永久的に記憶されたメモリをいう。永久的メモリは、コンピュータまたはプロセッサへの電気的供給の停止によって消されない。コンピュータハード−ドライブ、ROM、CD−ROM、フロッピーディスク、およびDVDは、全て、永久的メモリの例である。ランダム・アクセス・メモリ(RAM)は、非永久的または揮発性メモリの例である。
コンピュータ読取可能媒体へデータ、プログラミングまたは他の情報を「記録し」または「記憶する」とは、いずれかの便宜な方法を用いて情報を記憶するためのプロセスをいう。記憶された情報にアクセスするのに用いられる手段に基づいて、いずれの便宜なデータ記憶構造を選択することもできる。
「メモリ」または「メモリユニット」とは、プロセッサによる引き続いての検索のために情報を記憶することができ、かつ(ハードディスク、フロッピーディスク、CDまたはDVDのような)磁気的または光学的デバイス、または(揮発性または非揮発性RAMのような)固体状態メモリデバイスを含むことができるいずれのデバイスもいう。メモリまたはメモリユニットは、同一または異なるタイプの1を超える物理的メモリデバイスを有することができる(例えば、メモリは、多数のハードドライブまたは多数の固体状態メモリデバイス、あるいはハードドライブおよび固体状態メモリデバイスのいくつかの組合せのような多数のメモリデバイスを有することができる)。
本出願は、核酸配列についての公知の名称を用い、種々の遺伝子、転写体、タンパク質等を記載する。特定の配列識別子がそのような名称に相互参照していない程度で、当業者は公知の手段によって容易にそのようにすることができる。例えば、GeneCards.orgのような多数のサーチ可能なサイト(全ての公知であって予測されるヒト遺伝子についての簡便なゲノム、トランスクリプトーム、遺伝子的、プロテオミック、機能的および病気関連情報を提供するヒト遺伝子の共同サーチ可能集積データベース;クラウン・ヒト・ゲノム・センター、分子遺伝子学の部門、the Weizmann Institute of Scienceで開発されたデータベース)、およびそのようなサイトの基礎を形成する刊行物がある。該名称を容易に用いて、そのような配列相互参照を用い、配列および本明細書中で用いる配列番号を突き止めることができる。同様に、少なくとも15の核酸の相補的配列を探すことによって、そのような遺伝子に対する対応するsiRNAを同定する。
明細書を通じて、いくつかの場合において、本発明者らは、遺伝子略語または標的遺伝子の別名、およびその遺伝子についての対応するsiRNAの配列番号を与えた。いくつかの場合において、本発明者らは、標的遺伝子の遺伝子フルネーム、標的遺伝子についての対応する配列番号(例えば、転写体の配列)、ならびに標的遺伝子に対して向けられた例としてのsiRNAの配列を与えた。本発明の種々の実施形態において、RNAエフェクター分子は、配列番号によって本明細書中で確認されるsiRNA配列のいずれかのsiRNAヌクレオチド配列の少なくとも16の連続ヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAである。例えば、表1〜16、21〜25、27〜30、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、50、51〜61、64、65および66参照。
配列番号によって確認されるsiRNAは、しばしば、例えば、配列番号:2480018〜2480362から、配列番号の範囲内にここでは参照される。該範囲は全ての配列番号:該範囲内、例えば、配列番号:2480018、配列番号:2480019、配列番号:2480020等、配列番号:2480362への全ての途中を含む。
II バイオプロセシングの増強
本発明は、本明細書中に記載されたRNAエフェクター分子を用いて免疫原性作用物質の生産を増強させる方法を提供する。該方法は、一般に、細胞を、その一部が標的細胞に相補的なRNAエフェクター分子と接触させ、次いで、培養(例えば、大規模な培養リアクター)における該細胞を、標的遺伝子の発現を変調するのに十分な時間の間維持し、ここに、該変調は該細胞からの免疫原性作用物質の生産を増強させ、次いで、該細胞から免疫原性作用物質を単離することを含む。RNAエフェクター分子は、該細胞を、免疫原性作用物質の生産を可能とする条件下で維持して、例えば、標的遺伝子の一過的変調を供し、それにより、免疫原の発現を増強させるのに用いられる細胞培養基に加えることができる。
II バイオプロセシングの増強
本発明は、本明細書中に記載されたRNAエフェクター分子を用いて免疫原性作用物質の生産を増強させる方法を提供する。該方法は、一般に、細胞を、その一部が標的細胞に相補的なRNAエフェクター分子と接触させ、次いで、培養(例えば、大規模な培養リアクター)における該細胞を、標的遺伝子の発現を変調するのに十分な時間の間維持し、ここに、該変調は該細胞からの免疫原性作用物質の生産を増強させ、次いで、該細胞から免疫原性作用物質を単離することを含む。RNAエフェクター分子は、該細胞を、免疫原性作用物質の生産を可能とする条件下で維持して、例えば、標的遺伝子の一過的変調を供し、それにより、免疫原の発現を増強させるのに用いられる細胞培養基に加えることができる。
当業者に知られているように、脂質ポリヌクレオチドキャリアを用いるsiRNAのリポソーム媒介送達は、研究適用において共通して用いられる。しかしながら、PCT公開WO 2009/012173に記載されているように、脂質ポリヌクレオチドキャリア、例えば、共通のリポソームトランスフェクション試薬の使用は、タンパク質のバイオプロセシングで用いられる場合に有害であることが判明している。ポリヌクレオチドキャリアは、それらが、産業的レベルに所望の免疫原性作用物質を生産する宿主細胞の能力を損なうような毒性のため、宿主細胞に対して毒性であると報告されている。加えて、ポリヌクレオチドキャリアは、宿主細胞、例えば、CHO細胞の表現型の有害かつ望まない変化を引き起こし、注目する免疫原性作用物質を生産する宿主細胞の能力を危うくすることが観察されている。従って、当業者であれば、そのようなポリヌクレオチドキャリアの使用は所望のタンパク質を生産する細胞の能力を妨げるであろうと予測するであろう。
驚くべきことに、本明細書中で記載されたように、RNAエフェクター分子(例えば、標的化BAX、BAKおよび/またはLDH)は、細胞に対する有害な効果無くして、大規模な培養(例えば、1Lおよび40L)におけるバイオプロセシング手法の間にポリヌクレオチドキャリア(例えば、脂質処方媒介送達)を用いることによって培養における宿主細胞まで一過的に送達することができ、例えば、細胞生存性および密度は維持される。かくして、細胞が培養(例えば、懸濁培養)中にある場合に、細胞におけるRNAエフェクター摂取を容易とするために脂質試薬を用い、免疫原性作用物質の大規模な生産を産業規模で行うことができ、例えば、タンパク質の生産を増加させる遺伝子の一過的変調がもたらされる。しかしながら、本発明の実施形態は、脂質処方媒介送達によるRNAエフェクター分子の送達に限定されないことは理解されるべきである。
1つの実施形態において、免疫原性作用物質の生産は、生産期の間に培養された細胞を本明細書中で提供されたRNAエフェクター分子と接触させて、タンパク質発現、翻訳後修飾、折畳み、分泌、および/または免疫原性作用物質の生産および/または回収に関連する他のプロレスに影響するタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を変調することによって増強される。さらなる実施形態において、免疫原性作用物質の生産は、培養された細胞を、生産期の間に細胞の成長および/または細胞の***を阻害するRNAエフェクター分子と接触させることによって増強される。
いくつかの実施形態において、培養された宿主細胞における免疫原性作用物質の生産は、細胞を、汚染ウイルスのタンパク質の発現を変調するRNAエフェクター分子と接触させ、かくして、宿主細胞における汚染物の感染性および/またはウイルス負荷を低下させることによって増強される。さらなる実施形態において、培養された宿主細胞における免疫原性作用物質の生産は、細胞を、ウイルス感染に関与する宿主細胞タンパク質の発現を変調するRNAエフェクター分子、例えば、細胞膜リガンド、またはウイルス再生産と接触させ、かくして、宿主細胞における汚染ウイルスの感染性および/または負荷を低下させることによって増強される。
いくつかの実施形態において、変調で有用な宿主細胞標的遺伝子は、以下の表1に記載されたものを含む。
いくつかの実施形態において、標的遺伝子の変調に際しての、免疫原性作用物質の生産の増強は、細胞密度、培地のpH、酸素レベル、グルコースレベル、乳酸のレベル、温度、ウイルスタンパク質またはウイルス粒子生産のような1以上の測定可能な培養プロセスパラメータをモニターすることによって検出される。例えば、タンパク質の生産は特定の生産性(SP)(溶液中の産物の濃度)として測定することができ、mg/Lまたはg/Lとして表すことができ;別法として、具体的生産性はpg/細胞/日として表すことができる。SPの増加とは、条件の2つの規定された組下で生産された免疫原性作用物質の濃度の絶対的または相対的増加をいうことができる。別法として、ウイルス粒子産物は、mL当たりのプラーク形成単位(PFU/mL)として測定して、周知のプラークアッセイによって滴定することができる。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター組成物は2以上のRNAエフェクター分子を含み、例えば、2、3、4またはそれ以上のRNAエフェクター分子を含む。種々の実施形態において、2以上のRNAエフェクター分子は、同一の標的遺伝子および/または1以上の追加の標的遺伝子の発現を変調することができる。有利には、多数のRNAエフェクター分子を含むある種の組成物は、個々のRNAエフェクター分子を含む別々の組成物よりも、免疫原性作用物質の生産、またはそのような生産の1以上の態様を増強させる際により効果的である。
他の実施形態において、複数の異なるRNAエフェクター分子を細胞培養と接触させ、1以上の標的遺伝子の変調を可能とする。1つの実施形態において、複数の異なるRNAエフェクター分子の少なくとも1つは、グルタミナーゼ、グルタミンデヒドロゲナーゼ、またはLDHの発現を変調するRNAエフェクター分子である。別の実施形態において、BaxおよびBakを標的化するRNAエフェクター分子は、免疫原性作用物質の生産の間に細胞培養に共投与され、それは、所望により、少なくとも1つのさらなるRNAエフェクター分子または剤を含有することができる。別の実施形態において、複数の異なるRNAエフェクター分子を培養における細胞と接触させ、Bax、BakおよびLDH発現の変調を可能とする。別の実施形態において、複数の異なるRNAエフェクター分子を培養における細胞と接触させて、BaxおよびBak、ならびにグルタミナーゼおよび/またはグルタミンデヒドロゲナーゼの発現の変調を可能とする。
複数の異なるRNAエフェクター分子を用いて、1以上の標的遺伝子の発現を変調する場合、該複数のRNAエフェクター分子は細胞と同時にまたは別々に接触させることができる。加えて、各RNAエフェクター分子はそれ自身の投薬計画を有することができる。例えば、複数のRNAエフェクター分子を含む組成物を調製することができ、これを細胞と接触させる。別法として、1つのRNAエフェクター分子をある時点で細胞培養に投与することができる。このように、特定のRNAエフェクター分子の投与の頻度を変化させることによって、各標的遺伝子で望まれる平均パーセント阻害を容易にしつらえることができる。例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の強力な阻害(例えば、>80%阻害)は、免疫原性作用物質の生産を有意に改善するのに常には必要でなく、いくつかの条件下では、いくつかの残存LDH活性を有するのが好ましいであろう。かくして、細胞を、他のRNAエフェクター分子についての投与よりもより低い頻度にて(例えば、しばしば未満)またはより少ない投与にて(例えば、IC50を超えるより低い複数回)LDHを標的化するRNAエフェクター分子と接触させることが望まれるであろう。細胞を各RNAエフェクター分子と別々に接触させると、標的遺伝子変調の有効性を低下させることができるRNAエフェクター分子の間の相互作用をやはり妨げることができる。容易に用いるために、かつ潜在的汚染を妨げるためには、異なるRNAエフェクター分子のカクテルを投与し、それにより、必要な容量の数を低下させ、細胞または細胞培養に汚染物を導入するチャンスを最小化させるのが好ましいであろう。
いくつかの実施形態において、免疫原性作用物質の生産は、成長期の間に培養された細胞を本明細書中で提供されたRNAエフェクター分子と接触させ、細胞の成長、細胞の***、細胞の生存性、アポトーシス、栄養素の取扱い、および/または細胞の成長および/または***に関連する他の特性に影響するタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を変調することによって増強される。さらなる実施形態において、異種タンパク質の生産は、成長期の間に培養された細胞を、異種タンパク質の発現を一過的に阻害するRNAエフェクター分子と接触させることによって増強される。
なおさらなる実施形態において、RNAエフェクター分子による標的遺伝子の発現の変調(例えば、阻害)は、細胞を第二のRNAエフェクター分子と接触させることによって緩和することができ、ここに、第二のRNAエフェクター分子の少なくとも一部は、宿主細胞においてRNAiを媒介するタンパク質をコードする標的遺伝子に対して相補的である。例えば、標的遺伝子の発現の変調は、細胞を、アルゴノートタンパク質(例えば、アルゴノート−2)の発現、または細胞のRNAi経路の他の成分の発現を阻害するRNAエフェクター分子と接触させることによって緩和することができる。1つの実施形態において、免疫原性作用物質は組換えタンパク質であって、産物の発現は、細胞を、免疫原性作用物質をコードする導入遺伝子に対して標的化された第一のRNAエフェクター分子と接触させることによって一過的に阻害される。次いで、免疫原性作用物質の発現の阻害は、宿主細胞を、細胞のRNAi経路のタンパク質をコードする遺伝子に対して標的化された第二のRNAエフェクター分子と接触させることによって緩和される。
宿主細胞の免疫応答
さらなる実施形態において、宿主細胞における免疫原性作用物質の生産は、免疫原性作用物質の感染性、負荷、および/または生産が増加するように、微生物感染または複製に関与する宿主細胞タンパク質の発現を変調するRNAエフェクター分子を導入することによってさらに増強される。宿主細胞の免疫応答の変調は、該免疫応答を変調することにそれ自体が関与するある種の免疫原性作用物質(例えば、インフルエンザ等)の生産でやはり有益であり得る。
宿主細胞の免疫応答
さらなる実施形態において、宿主細胞における免疫原性作用物質の生産は、免疫原性作用物質の感染性、負荷、および/または生産が増加するように、微生物感染または複製に関与する宿主細胞タンパク質の発現を変調するRNAエフェクター分子を導入することによってさらに増強される。宿主細胞の免疫応答の変調は、該免疫応答を変調することにそれ自体が関与するある種の免疫原性作用物質(例えば、インフルエンザ等)の生産でやはり有益であり得る。
例えば、数種類のヒト、哺乳動物および鳥類ウイルスは、(例えば、最終的にはワクチン生産のために)ウイルスの生産または異種タンパク質発現のいずれかのために細胞に導入され、および/または細胞中で培養される。感染またはトランスフェクションの結果、生きたウイルス粒子のような免疫原性作用物質が蓄積され、これは、適当なインキュベーション時間の後に細胞または細胞培地いずれかから収集することができる。例えば、ワクチン生産の標準的方法は、細胞を培養し、生きたウイルス(例えば、ロタウイルス、インフルエンザ、黄熱病)で感染させ、インキュベーションし、細胞または細胞培地を収穫し、下流プロセシングを行い、充填および仕上げを行うことよりなる。古典的な不活化インフルエンザウイルスでは、この収穫された免疫原性作用物質の生成、不活化、および安定化により、ワクチン産物が得られ、この技術は当分野で周知である。
組換えDNA技術および遺伝子工学技術は、理論的には、弱毒化ウイルスの生産に対する優れたアプローチを提供することができる。なぜならば、特異的な突然変異がウイルスゲノムに意図的に作成されるからである。しかしながら、ウイルスの弱毒化に必要な遺伝子改変は常には予測できない。一般に、ウイルスワクチンを作成するために組換えDNA技術を用いる試みは、ワクシニアウイルスまたはバキュロウイルスのような組換えウイルスベクターにおいて発現された、免疫応答に関与する病原体のタンパク質サブユニットのみを含有するサブユニットワクチンの生産に向けられてきた。より最近では組換えDNA技術は、ヘルペスウイルス欠失突然変異体、または天然で見出された弱毒化ウイルスまたは公知の宿主範囲突然変異体を模倣するポリオウイルスを生産するのに利用されてきた。
宿主細胞において作られた、弱毒化生インフルエンザウイルスまたは免疫変調ポリペプチドのような免疫原性作用物質の収率は、宿主細胞の免疫応答、例えば、そこでウイルスまたはウイルスベクターが複製される宿主細胞のインターフェロン応答によって悪影響を受けかねない。加えて、感染された宿主細胞は、ウイルス収率が最大化される前にアポトーシス状態となり得る。かくして、これらの弱毒化ウイルスが免疫原性であって、非病原性であるが、それらが、しばしば、ワクチンを作成する目的では慣用的な細胞基板において増殖するのは困難である。よって、本発明のいくつかの実施形態は、RNAエフェクター分子を用いて、有害な宿主細胞応答の発現を変調させて、従って、収率を増大させる組成物および方法を提供する。例えば、本発明のいくつかの実施形態は、ウイルスまたはベクター投与に先立って、その間に、またはその後に細胞をRNAiベースの産物siRNAと接触させて、産物の収穫の収率および品質を危うくする細胞および抗ウイルスプロセスを阻害することに関する。
免疫原性作用物質の製造のための細胞ベースのバイオプロセスの使用は、いくつかの実施形態において、ウイルス感染に対する宿主細胞の反応に影響する標的遺伝子の発現を変調することによって増強される。このアプローチは、免疫原性作用物質がウイルスまたはそうでなければ免疫変調性である場合に、またはウイルスベクターを用いて、異種タンパク質を宿主細胞に導入する場合に有用である。
例えば、いくつかの実施形態において、標的遺伝子は細胞インターフェロンタンパク質、またはインターフェロンシグナリングに関連するタンパク質である。特に、該遺伝子は、IFN−α(例えば、Gallus(ニワトリ) IFN−α、GeneID:396398);IFN−β(例えば、Gallus IFN−β、GeneID:554219);またはIFN−γ(例えば、Gallus IFN−γ、GeneID:396054)のようなインターフェロン遺伝子であり得る。かくして、例えば、IFN−β発現は、培養された細胞に依存して、配列番号:3156155〜3156180(Gallus、センス)、配列番号:3156181〜3156206(Gallus、アンチセンス)、配列番号:3155493〜3155540(Canis(イヌ)、センス)、配列番号:3155445〜3155492(Canis、アンチセンス)よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
別法として、標的遺伝子は、IFNAR1(インターフェロンα、βおよびω受容体1)(例えば、Gallus IFNAR1、GeneID:395665)、IFNAR2(インターフェロンα、βおよびω受容体2)(例えば、Gallus IFNAR2、GeneID:395664)、IFNGR1(インターフェロンγ受容体1)(例えば、Gallus IFNGR1、GeneID:421685)またはIFNGR2(インターフェロンγ受容体2(インターフェロンγトランスジューサー1))(例えば、Gallus IFNGR2、GeneID:418502)のようなインターフェロン受容体であり得る。かくして、例えば、IFNAR1の発現は、培養された細胞に依存して、配列番号:2436536〜2436863(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3154605〜3154633(Gallus、センス)、配列番号:3154634〜3154662(Gallus、アンチセンス)、配列番号:3155397〜3155444(Canis、センス)、配列番号:3155445〜3155492(Canis、アンチセンス)よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
いくつかの実施形態において、該遺伝子は、STAT−1(シグナルトランスジューサーおよび転写1のアクチベーター)(例えば、Gallus Stat1、GeneID:424044)、STAT−2、STAT−3(例えば、Gallus Stat3、GeneID:420027)、STAT−4(例えば、Gallus Stat4、GeneID:768406)、STAT−5(例えば、Gallus Stat5、GeneID:395556;JAK−1(Janusキナーゼ1)(例えば、Gallus Jak1、GeneID:395681;JAK−2(例えば、Gallus Jak2、GeneID:374199)、JAK−3(例えば、Gallus Jak3、GeneID:395845)、IRF1(インターフェロン調節因子1)(例えば、Gallus IRF1、GeneID:396384)、IRF2(例えば、Gallus GeneID:396115)、IRF3、IRF4(例えば、Gallus GeneID:374179)、IRF5(例えば、Gallus GeneID:430409)、IRF6(例えば、Gallus GeneID:419863)、IRF7(例えば、Gallus GeneID:396330)、IRF8(例えば、Gallus GeneID:396385)、IRF9、またはIRF10(例えば、Gallus GeneID:395243)のようなインターフェロンシグナリングと関連し得る。
かくして、例えば、IRF3の発現は、培養された細胞に依存して、配列番号:1430473〜1430786(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3288948〜3289249(Gallus、センス)、配列番号:3289250〜3289551(Gallus、アンチセンス)、配列番号:3290142〜3290445(Canis、センス)、配列番号:320446〜320749(Canis、アンチセンス)よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続オリゴヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
同様に、標的遺伝子は、2’,5’オリゴアデニル酸シンテターゼ(2−5 OAS);インターフェロン誘導抗ウイルスタンパク質;RNAaseL(リボヌクレアーゼL(2’,5’−オリゴイソアデニル酸シンテターゼ依存性)(例えば、Gallus GeneID:424410(Silvermanら14 J.Interferon Res.101−04(1994));dsRNA依存性タンパク質キナーゼ(PKR)aka:真核生物翻訳開始因子2−αキナーゼ2(EIF2AK2)(Liら106 PNAS 16410−05(2009));Mx(MX1ミクソウイルス(インフルエンザウイルス)抵抗1、インターフェロン誘導性タンパク質p78)(例えば、Gallus MX、GeneID:395313;Haller et al,9Microbes Infect.1636−43(2007));IFITM1、IFITM2、IFITM3(Brass et al.;139 Cell 1243−54(2009));前炎症性サイトカイン;ウイルス攻撃に際してアップレギュレートされたMYD88(ミエロイド分別初代応答遺伝子)(例えば、Gallus Myd88、GeneID:420420);またはTRIF(toll様受容体アダプター分子1)(例えば、Gallus TRIF、GeneID:100008585)、HghighiらClin.Vacc.Immunol.(2010年1月13日)のようなインターフェロン誘導タンパク質をコードすることができる。
かくして、例えば、MX1の発現は、培養された細胞に依存して、配列番号:2588615〜2588951(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:326682〜3286975(Gallus、センス)、配列番号:3286976〜3287269(Gallus、アンチセンス)、配列番号:3286132〜3286406(Canis、センス)、配列番号:3286407〜3286681(Canis、アンチセンス)よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
また、例えば、IFTM1の発現は、配列番号:3155115〜3155161(Canis、センス)、配列番号:3155162〜3155208(Canis、アンチセンス)よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むオリゴヌクレオチド鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
加えて、IFITM2の発現は、培養された細胞に依存して、配列番号:3156587〜3156633(CHO細胞、センス)、配列番号:3156634〜3156680(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:2685171〜2685550(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3155209〜3155255(Canis、センス)、配列番号:3155256〜3155302(Canis、アンチセンス)よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むオリゴヌクレオチド鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
同様に、IFITM3の発現は、培養された細胞に依存して、配列番号:3156681〜3156727(CHO細胞、センス)、配列番号:3156728〜3156774(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:2696169〜2696546(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3155303〜3155349(Canis、センス)、配列番号:3155350〜3155350(Canis、アンチセンス)よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
さらに、例としてのインターフェロン誘導発現に関しては、PKR(EIF2AK2)の発現は、以下のように、表67および68から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる:
さらに、例としてのインターフェロン誘導発現に関しては、PKR(EIF2AK2)の発現は、以下のように、表67および68から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる:
いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、細胞の内因性レトロウイルス(ERV)の調節エレメントまたは遺伝子である。例えば、特別な実施形態において、標的遺伝子はERV LTR、envタンパク質またはgagタンパク質をコードすることができる。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、ベシウイルス、またはサーコウイルスのような潜在的ウイルスの遺伝子である。特別な実施形態において、例えば、標的遺伝子は、(本明細書中において他の個所に記載された)潜在的HSV糖タンパク質DまたはPCV−1 Repタンパク質のようなポリペプチドまたはタンパク質をコードすることができる。ここに、表64に提供されるのは、PCV−1を標的化するための例示的なRNAエフェクター分子である:
免疫原性作用物質の生産は、免疫原性作用物質またはそのベクターに結合するタンパク質の発現を低下させることによって増強させることもできる。例えば、組換えタンパク質の生産の際に、宿主細胞におけるその発現が組換えベクターによって超−感染を阻害しないように、ERVによって生産される受容体/リガンドの発現を低下させ、または阻害するのが有利であり得る。受容体は細胞表面受容体または内部(例えば、核)受容体であり得るのは当業者に知られている。結合パートナーの発現は、宿主細胞を、本明細書中に記載された方法に従って、受容体遺伝子に向けられたRNAエフェクター分子と接触させることによって変調することができる。
さらなる実施形態において、標的遺伝子は、dsRNAを検出するTLR3(例えば、Gallus TLR3、GeneID:422720)、ssRNAを検出するTLR7(例えば、Gallus TLR7、GeneID:418638)、メチル化されていないDNAをCpGモチーフで認識するTLR21(例えば、Gallus Tlr3、GeneID:415623)、ウイルス検知に関連するRIG−1(Myongら323 Science 1070−74(2009));ウイルス検知の陽性レギュレーターである、LPGP2および他のRIG−1様受容体(Satohら107 PNAS 1261−62(2010);Nakhaeiら2009);TRIM25(例えば、Gallus Trim25,GeneID:417401;Gackら5 Cell Host Microb,439−49(2009));またはRIG−1と相互作用して、抗ウイルスシグナリングカスケードを開始するMAVS/VISA/IPS−1/Gardif(MAVS)(Cuiら29 Mol.Cell.169−79(2008);Kawaiら6 Nat.Immunol.981−88(2005))のようなウイルス感染性を媒介する標的タンパク質である。
かくして、例えば、TLR3の発現は、培養された細胞に依存して、配列番号:3156491〜3156538(CHO細胞、センス)、配列番号:3156539〜3156586(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:2593179〜2593525(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3155965〜3156011(Gallus、センス)、配列番号:3156012〜3156058(Gallus、アンチセンス)、配列番号:315777〜3155823(Canis、センス)および配列番号:3155824〜3155870(Canis、アンチセンス)よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
加えて、例えば、MAVSの発現は、培養された細胞に依存して、配列番号:3156397〜3156443(CHO細胞、センス)、配列番号:3156444〜3156490(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:1607184〜1607527(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3286682〜3286975(Gallus、センス)、配列番号:3286976〜3287269(Gallus、アンチセンス)、配列番号:3286132〜3286406(Canis、センス)および配列番号:3286407〜3286681(Canis、アンチセンス)よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
特異的な様式でウイルス複製を衝撃する宿主細胞タンパク質があるが、この活性についての正確なメカニズムは解明されていない。例えば、細胞タンパク質カゼインキナーゼ2β(CSKN2B)の抑制はインフルエンザの複製、タンパク質の生産およびウイルス力価を増加させる。Marjukiら3 J.Mol.Signal.13(2008)。CSKN2Bの発現は、培養された細胞に依存して、配列番号:2634978〜2634358(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3289552〜3289846(Gallus、センス)、配列番号:3289847〜3290141(Gallus、アンチセンス)、配列番号:3288368〜3288657(Canis、センス)、配列番号:3288658〜3288947(Canis、アンチセンス)よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
組成物は、代替実施形態において、細胞の共通する生物学的プロセスまたは特性、例えば、IFNを含むインターフェロンシグナリング経路、JAK−STATシグナリング経路におけるSTATタンパク質または他のタンパク質、IFNRA1および/またはIFNRA2に関連する1または多数の遺伝子の発現を変調することができる1以上のRNAエフェクター分子を含むことができる。例えば、ウイルスの感染の結果、IFNαおよびIFNβの生産によって特徴付けられる、潜在的溶解性感染、形質転換および/またはアポトーシスに対する感染した細胞での迅速な先天的応答がもたらされる。このシグナリングの結果、IFNの効果を媒介するIFN−刺激遺伝子(ISG)の活性化がもたらされる。IFN調節因子(IRF)は、コンセンサスIFN−刺激応答エレメント(ISRE)に結合し、他のISGを誘導する9つの細胞因子のファミリーである。Kirshnerら79 J.Virol.9320−24(2005)参照。IFNは、TRIM5α、Fv、Mx1、eIF2αおよび2’−5’OASを含む固有のタンパク質の発現を増加させ、ウイルスが感染した細胞のアポトーシス、およびウイルス感染に対する細胞の抵抗性を誘導する。Koyamら43 Cytokine 336−41(2008)。よって、特別な実施形態は、IFNRA1遺伝子を標的化するRNAエフェクター分子を提供する。他の実施形態は、IFNシグナリング経路における1以上の遺伝子を標的化する。
IFNシグナリング応答の阻害は、ウイルスdsRNAに応答してリン酸化された、ウイルス感染に続いてのIFN経路の成分、例えば、IRF−3のリン酸化された状態を測定することによって決定することができる。I型のIFNに応答して、Jak1キナーゼおよびTyK2キナーゼ、IFN受容体のサブユニット、STAT1、およびSTAT2は迅速にチロシンがリン酸化される。かくして、RNAエフェクター分子がIFN応答を阻害するか否かを決定するためには、細胞をRNAエフェクター分子と接触させることができ、ウイルス感染に続いて、細胞は溶解される。Jak1キナーゼまたはTyK2キナーゼのようなIFN経路の成分は、特異的なポリクローナル血清または抗体、および抗ホスホチロシン抗体でのイムノブロットアッセイによって決定された該キナーゼのチロシンリン酸化状態を用い、感染された細胞の溶解物から免疫沈降される。例えば、Krishnanら247 Eur.J.Biochem.298−305(1997)参照。ウイルスでの感染に続いてのIFN経路の該成分のいずれかの減少したリン酸化状態は、RNAエフェクター分子に応答してのウイルスによる減少したIFN応答を示す。
IFNシグナリング阻害の有効性は、特異的DNA配列に結合する能力、またはウイルス感染に応答して誘導された転写因子のトランスロケーション、およびRNAエフェクター分子処理、例えば、IRF3、STAT1、STAT2等の標的化を測定することによって決定することもできる。特に、STAT1およびSTAT2はリン酸化され、I型IFNに応答して細胞質から核に移動される。特異的DNA配列に結合する能力、または転写因子のトランスロケーションは、当業者に知られた技術、例えば、電気移動度ゲルシフトアッセイ、細胞染色等によって測定することができる。IFN誘導の阻害の測定に対する別のアプローチは、所望のウイルス産物を生産し、かつRNAエフェクター分子と接触させた細胞培養からの抽出物は、ウイルス感染に対する保護活性を与えることができる。より具体的には、例えば、細胞を所望のウイルスで感染させ、RNAエフェクターと接触させる。感染からほぼ15〜20時間の後、細胞または細胞培地を収穫し、ウイルス力価について、あるいは定量的な産物−増強逆転写酵素(PERT)アッセイ、免疫アッセイ、またはイン・ビボ挑戦によってアッセイされる。
宿主細胞受容体
いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、膜受容体または他の部位の合成または調節をコードし、またはそれに関与する宿主細胞遺伝子(内因性)である。細胞膜の発現の変調は、(例えば、受容体発現を増加または減少させることによって)ウイルス感染を増加または減少させることができるか、あるいは(受容体発現を減少させることによって)そうでなければ宿主細胞膜に吸着される産物の回収を増加させることができる。
宿主細胞受容体
いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、膜受容体または他の部位の合成または調節をコードし、またはそれに関与する宿主細胞遺伝子(内因性)である。細胞膜の発現の変調は、(例えば、受容体発現を増加または減少させることによって)ウイルス感染を増加または減少させることができるか、あるいは(受容体発現を減少させることによって)そうでなければ宿主細胞膜に吸着される産物の回収を増加させることができる。
例えば、PCV(Misinzoら80 J.Virol.3487−94(2006);CMV(Comptonら193 Virology 834−41(1993));偽狂犬病ウイルス(Mettenleiterら64 J.Virol.278−86(1990));BHV−1(Okazakiら181 Virology 666−70(1991));ブタ水疱病ウイルス(Escribano−Romeroら85 Gen.Virol.653−63(2004));およびHSV (WuDunn & Spear,63 J.Virol.52−58(1989))を含む、多くのウイルスは宿主細胞表面のヘパリンに接着する。加えて、表面ヘパリン結合に関連する感染性を有するエンベロープウイルスは、HIV−1(Mondorら72 J.Virol.3623−34(1998));AAV−2(Summerford & Samulski,72 J.Virol.1438−45(1998));ウマ動脈炎ウイルス(Asagoeら59 J.Vet.Med.Sci.727−28(1997));ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Bernardら276 Virology 93−103(2000));シンドビスウイルス(Byrnes & Griffin,72 J.Virol.7349−56(1998);Chungら72 J.Virol.1577−85(1998));ブタ熱ウイルス(Hulstら75 J.Virol.9585−95(2001));ブタ生殖系および呼吸器系症候群ウイルス(Jusaら62 Res.Vet.Sci.261−64(1997));およびRSV(Krusat & Steckert,142 Arch.Virol.1247−54(1997))を含む。多数の非エンベロープウイルスが同様に細胞表面ヘパリンに会合する。***ウイルス(FMDV)(イン・ビトロ培養における結合)(Fryら18 EMBO J.543−54(1999);Jacksonら70 J.Virol.5282−87(1996));コクサッキーウイルスB3(CVB3)(Zautnerら77 J.Virol.10071−77(2003));タイラーのマウス脳脊髄炎ウイルス(Reddi & Lipton,76 J.Virol.8400−07(2002));およびある種のエコウイルス血清型(Goodfellowら75 J.Virol.4918−21(2001))を含む、いくつかのピコルナウイルス科のメンバーは細胞表面のヘパリンに会合する。
よって、本発明の特別な実施形態において、ヘパリンの細胞発現を変調させて、宿主細胞へのウイルス吸着を減少または増加させることができる。例えば、1以上のRNAエフェクター分子は、エピメラーゼ、キシロシルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、グルクロノシルトランスフェラーゼまたは2−O−スルホトランスフェラーゼのような、ヘパリンの合成または構造に関連する1以上の遺伝子を標的化することができる。例えば、Rostand & Esko,65 Infect.Immun.1−8(1997)参照。
細胞表面のヘパリンの発現が増加される場合、RNAエフェクター分子は、ヘパラナーゼ(hep)をコードする遺伝子(例えば、マウスhep GeneID:15442、マウスhep2 GeneID:545291、ラットhep GeneID:64537、ラットhep2 GeneID:368128、ヒトHEP GeneID:10855、ヒトHEP2 GeneID:60495、ツメガエル hep GeneID:100145320、野生型ブタSus scrofa hep GeneID:100271932、Gallus hep GeneID:373981、Gallus hep2 GeneID:423834、イヌhep GeneID:608707、ウシhep GeneID:8284471、マーモセット(サル)hep GeneID:100402671、マーモセットhep2 GeneID:100407598、P.troglodytes hep GeneID:461206、ウサギhep GeneID:100101601、アカゲザルhep GeneID:707583、またはゼブラフィッシュhep GeneID:563020)のような、ヘパリン分解に関連する標的遺伝子であり得る。Gingis−Velitskiら279 J.Biol.Chem.44084−92(2004)。
同様に、インフルエンザウイルスの感染性は、ロタウイルス(Isaら23 Glycoconjugate J.27−37(2006);Fukudomeら172 Virol. 196−205(1989))、他のレオウイルス(Paluら172 Virol.382−85(1989))、およびウシコロナウイルス(Schulaze & Herrler,73 J.Gen.Virol.901−06(1992))の感染性がそうであるように、細胞表面でのシアル酸の存在に依存する(Pedrosoら1236 Biochim.Biophys.Acta 323−30(1995))。さらなる宿主細胞表面の受容体は、脳心筋炎ウイルスについてのVCAM1(Huberm 68 J.Virol.3453−58(1994);エコウイルスについてのインテグリンVLA−2(Bergelsonら1718−20(1992);およびポリオウイルスについての免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー(Mendelsonら56 Cell 855−65(1989))を含む。このように、宿主シアリダーゼ遺伝子を標的化するRNAエフェクターを用いて、宿主細胞の感染性を変調することができる。
かくして、いくつかの実施形態において、標的遺伝子はシアリダーゼに関与する宿主細胞遺伝子を含む(Wangら10 BMC Genomics 512(2009)参照)。例えば、インフルエンザは細胞表面シアル酸残基に結合するゆえに、減少したシアリダーゼは精製の速度を増加させることができる。標的遺伝子は、例えば、NEU2シアリダーゼ2(サイトゾルシアリダーゼ)(Gallus Neu2、GeneID:430542);NEU3シアリダーゼ3(膜シアリダーゼ)(Gallus Neu3、GeneID:68823);溶質キャリアファミリー35(CMP−シアル酸トランスポーター)膜A1(Slc35A1)を含む。SCL35A1を標的化する例としてのRNAエフェクター分子は、配列番号:3154345〜3154368(Gallus、センス)および配列番号:3154369〜3154392(Gallus、アンチセンス);およびSCL35A2については、配列番号:464674〜465055(CHO細胞、アンチセンス)に提供された配列を有することができる。UDP−N−アセチルグルコサミン2−エピメラーゼ/N−アセチルマンノサミンキナーゼ(Gne)については、siRNAの例は配列番号:2073971〜2074368(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3154297〜3154320(Gallus、センス)および配列番号:3154321〜3154344(Gallus、アンチセンス));シチジンモノホスホ−N−アセチルノイラミン酸シンテターゼ(Cmas)、配列番号:1633101〜1633406(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3154249〜3154272(Gallus、センス)および配列番号:3154273〜3154296(Gallus、アンチセンス))に示された例としてのsiRNA;UDP−Gal:βGlcNAc β1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ(B4GalT1)、配列番号:2528454〜2528763(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3154153〜3154176(Gallus、センス)および配列番号:3154177〜3154200(Gallus、アンチセンス))から選択される配列を有するsiRNAの例;およびUDP−Gal:βG1cNAc β1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ、ポリペプチド6(B4GalT6)、配列番号:1635173〜1635561(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3154201〜3154224(Gallus、センス)および配列番号:3154225〜3154248(Gallus、アンチセンス)におけるsiRNAの例を含む。
宿主細胞の生存性
いくつかの実施形態において、宿主細胞における免疫原性作用物質の生産は、細胞成長、細胞***、細胞生存性、アポトーシス、栄養素取扱い、ならびに/もしくは細胞内での細胞成長および/または***に関連する他の特性に影響するさらなるRNAエフェクター分子を該細胞に導入することによって増強される。標的遺伝子は、免疫原性作用物質の生産の1以上の態様に直接的にまたは間接的に影響する宿主細胞タンパク質をコードすることもできる。ポリペプチドの生産に影響する標的遺伝子の例は、ポリペプチドの分泌、折畳み、または翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、脱アミド化、ジスルフィド結合形成、メチオニン酸化、またはピログルタメーション)に関与するタンパク質をコードする遺伝子;宿主細胞の特性または表現型(例えば、成長、生存性、細胞pH、細胞周期進行、アポトーシス、炭素の代謝または輸送、ラクテート形成、ウイルス感染またはRNAi摂取に対する感受性、活性または有効性)に影響するタンパク質をコードする遺伝子;および宿主細胞による免疫原性作用物質の生産を損なうタンパク質(例えば、免疫原性作用物質に結合し、またはそれと共精製されるタンパク質)をコードする遺伝子を含む。
宿主細胞の生存性
いくつかの実施形態において、宿主細胞における免疫原性作用物質の生産は、細胞成長、細胞***、細胞生存性、アポトーシス、栄養素取扱い、ならびに/もしくは細胞内での細胞成長および/または***に関連する他の特性に影響するさらなるRNAエフェクター分子を該細胞に導入することによって増強される。標的遺伝子は、免疫原性作用物質の生産の1以上の態様に直接的にまたは間接的に影響する宿主細胞タンパク質をコードすることもできる。ポリペプチドの生産に影響する標的遺伝子の例は、ポリペプチドの分泌、折畳み、または翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、脱アミド化、ジスルフィド結合形成、メチオニン酸化、またはピログルタメーション)に関与するタンパク質をコードする遺伝子;宿主細胞の特性または表現型(例えば、成長、生存性、細胞pH、細胞周期進行、アポトーシス、炭素の代謝または輸送、ラクテート形成、ウイルス感染またはRNAi摂取に対する感受性、活性または有効性)に影響するタンパク質をコードする遺伝子;および宿主細胞による免疫原性作用物質の生産を損なうタンパク質(例えば、免疫原性作用物質に結合し、またはそれと共精製されるタンパク質)をコードする遺伝子を含む。
本発明のいくつかの実施形態において、標的遺伝子は、標的遺伝子の発現の阻害が免疫原性作用物質の生産を増強するように、免疫原性作用物質の生産に間接的に影響する宿主細胞タンパク質をコードする。例えば、標的遺伝子は、免疫原性作用物質の生産に直接的に影響しないが、例えば、免疫原性作用物質の生産をそうでなければ増強できるであろう細胞源を利用することによってその生産を間接的に減少させる豊富に発現された宿主細胞タンパク質をコードすることができる。
いくつかの実施形態において、Ago1(真核生物翻訳開始因子2C、1);BLK(Bリンパ球チロシンキナーゼ);CCNB3(サイクリンB3);HILI(piwi様2(ショウジョウバエ);HIWI1(piwi様2(ショウジョウバエ);HIWI2(piwi様2(ショウジョウバエ);HIWI3(piwi様2(ショウジョウバエ)は、本明細書中に記載された方法および組成物を用いて標的化される。
本明細書中に記載された細胞ベースのバイオプロセスにおける免疫原性作用物質の最適な生産には、細胞生存性を最大化するのが望ましい。従って、1つの実施形態において、免疫原性作用物質の生産は、Bax(BCL2関連Xタンパク質)、例えば;Bak(BCL2−アンタゴニスト/キラー1)(例えば、Gallus Bak、GeneID:419912)、LDHA(乳酸デヒドロゲナーゼA)(例えば、Gallus LdhA、GeneID:396221)、LDHB(例えば、Gallus LdhB、GeneID:373997)、BIK;BAD(配列番号:3049436〜3049721)、BID(配列番号:2582517〜2582823)、BIM、HRK、BCLG、HR、NOXA、PUMA(配列番号:1712045〜1712425)、BOK(BCL2関連卵巣キラー)(例えば、Mus musculus Bok、GeneID:395445、Gallus Bok、GeneID:995445、ヒトBOK、GeneID:666)、BOO、BCLB、CASP2(アポトーシス関連システインペプチダーゼ2)(例えば、Gallus Casp2、GeneID:395857)(配列番号:2718675〜2719039)、CASP3(アポトーシス関連システインペプチダーゼ)(例えば、Gallus Casp3、GeneID:395476)(配列番号:1924836〜1925195)、CASP6(例えば、Gallus Casp6、GeneID:395477(配列番号:2408466〜2408843);CASP7(例えば、Gallus、GeneID:423901(配列番号:2301618〜2301960);CASP8(例えば、Gallus Casp8、GeneID:395284、ヒトCASP8 GeneD:841、M. musculus Casp8、GeneID:12370、Canis Casp8、GeneID:488473)(配列番号:2995593〜2995870);CASP9(例えば、Gallus Casp9、GeneID:426970)(配列番号:1412589〜1412860)、CASP10(例えば、Gallus Casp10、GeneID:424081)、BCL2(B細胞CLL/リンパ腫2)(例えば、Gallus Bcl2、GeneID:396282)、p53(例えば、Gallus p53、GeneID:396200)(配列番号:1283506〜1283867)、APAF1、HSP70(例えば、Gallus Hsp70、GeneID:423504)(配列番号:3147029〜3147080);TRAIL(TRAIL様TNF関連アポトーシス誘導リガンド様)(例えば、Gallus Trail、GeneID:395283)、BCL2L1(BCL2様1)(例えば、Gallus Bcl2L1、GeneID:373954)BCL2L13(BCL2様13[アポトーシスファシリテーター])(例えば、Gallus Bcl2l13、GeneID:418163、ヒトBCL2L13、GeneID:23786)、BCL2L14(BCL2様14[アポトーシスファシリテーター])(例えば、allus Bcl2l14、GeneID:419096)、FASLG(Fasリガンド[TNFスーパーファミリー、メンバー6])(例えば、Gallus Faslg、GeneID:429064)、DPF2(D4、亜鉛および二重PHDフィンガーファミリー2)(例えば、Gallus Dpf2、GeneID:429064)、AIFM2(アポトーシス誘導因子ミトコンドリア関連2)(例えば、ヒトAIFM2、GeneID:84883、Gallus Aifm2、GeneID:423720)、AIFM3(例えば、Gallus Aifm3、GeneID:416999)、STK17A(セリン/スレオニンキナーゼ17a[アポトーシス誘導])(例えば、Gallus Stk17A、GeneID:420775)、APITD1(アポトーシス誘導、TAF9様ドメイン1)(例えば、Gallus Apitd1、GeneID:771417)、SIVA1(アポトーシス誘導因子)(例えば、Gallus Siva1、GeneID:423493)、FAS(TNF受容体スーパーファミリーメンバー6)(例えば、Gallus Fas、GeneID:395274)、TGFβ2(トランスフォーミング成長因子β2)(例えば、Gallus TgfB2、GeneID:421352)、TGFBR1(トランスフォーミング成長因子、β受容体I)(例えば、Gallus TgfR1、GeneID:374094)、LOC378902(死滅ドメイン含有腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー23)(Gallus GeneID:378902)、またはBCL2A1(BCL2関連タンパク質A1)(例えば、Gallus Bcl2A1、GeneID:395673)のような、アポトーシスまたは細胞生存性に影響する細胞タンパク質の発現を変調することによって増強される。例えば、BAKタンパク質は、細胞アポトーシス経路をダウンレギュレートすることが知られている。SuyamaらSl Nucl.Acids.Res.207−08(2001)。
例えば、LDHAの発現は、配列番号:3154553〜3154578(Gallus、センス)、配列番号:3154579〜3154604(Gallus、アンチセンス)、配列番号:3152540〜3152603(CHO細胞)、配列番号:3152843〜3152823(CHO細胞)、配列番号:1297283〜1297604(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3155589〜3155635(Canis、センス)、配列番号:3154971〜3155018(Canis、アンチセンス)におけるヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
さらに、例えば、Bakタンパク質は細胞アポトーシス経路をダウンレギュレートすることが知られている。かくして、Bakを標的化するRNAエフェクター分子を用いて、アポトーシスを抑制し、産物の収率を増加させることができ、および該分子は、配列番号:3152412〜3152475(CHO細胞)、配列番号:3152804〜3152813、配列番号:2259855〜220161(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3154393〜3154413(Gallus、センス)、配列番号:3154414〜3154434(Gallus、アンチセンス)、配列番号:3154827〜3154874(Canis、センス)、配列番号:3154875〜3154922(Canis、アンチセンス)におけるヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含むことができる。また、SuyamaらSl Nucl.Acids.Res.207−08(2001)参照。かくして、特別な実施形態は、Bak遺伝子を標的化するRNAエフェクター分子を提供する。かくして、特別な実施形態は、BAK1遺伝子を標的化するRNAエフェクター分子を提供する。
同様に、Baxタンパク質は細胞アポトーシス経路をダウンレギュレートすることが知られている。かくして、ニワトリBaxを標的化するRNAエフェクター分子を用いて、アポトーシスを抑制し、および免疫原産物の収率を増加させることができ、および該分子は、配列番号:3154393〜3154413(Gallus、センス)、配列番号:315414〜3154434(Gallus、アンチセンス)、配列番号:3152412〜3152539(CHO細胞)、配列番号:3152794〜3152803(CHO細胞)、配列番号:3023234〜3023515(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3154923〜3154970(Canis、センス)、および配列番号:3154971〜3155018(Canis、アンチセンス)におけるヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含むことができる。
いくつかの実施形態において、アポトーシスに関与する少なくとも1つの遺伝子を標的化するRNAエフェクター分子(例えば、Bak、Bax、カスパーゼ等)の投与に続いて、グルコースを細胞培養基に投与して、細胞密度を増加させ、および細胞をラクテート利用モードに切り替える。いくつかの実施形態において、グルコースの濃度は少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍増加する。
別の実施形態は複数の異なるRNAエフェクター分子を提供し、これは培養中の細胞と接触させて、Bax、BakおよびLDH発現の変調を可能とする。別の実施形態において、BaxおよびBakを標的化するRNAエフェクター分子は免疫原性作用物質の生産の間に細胞培養に共投与され、所望により、少なくとも1つのさらなるRNAエフェクター分子または剤を含有することができる。
別法として、ある時点に1つのRNAエフェクター分子を細胞培養に投与することができる。このように、特定のRNAエフェクター分子の投与の頻度を変化させることによって、各標的遺伝子で望まれる平均パーセント阻害を容易にしつらえることができる。例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の>80%阻害は、免疫原性作用物質の生産を有意に改善するのに常には必要でなく、いくつかの条件下では、細胞生存性に対して有害でさえあろう。かくして、他のRNAエフェクター分子(例えば、Bax/Bak)と接触させる頻度よりも少ない頻度で(例えば、しばしば未満)LDHを標的化するRNAエフェクター分子と細胞を接触させるのが望まれるであろう。別法として、細胞は、他のRNAエフェクター分子(例えば、Bax/Bak)についての投与量よりも少ない投与量にて(例えば、IC50を超えるより少ない複数)LDHを標的化するRNAエフェクター分子と接触させることができる。使用を容易にするため、かつ潜在的な汚染を妨げるには、異なるRNAエフェクター分子のカクテルを投与し、それにより、必要な用量の数を低下させ、かつ汚染物を細胞培養に導入するチャンスを最小化するのが好ましいであろう。
本明細書中に記載された細胞ベースのバイオプロセスにおける免疫原性作用物質の生産は、スクリーニングを通じて同定された遺伝子を標的化することによって最適化することもできる。これらは、例えば、PUSL1(プソイドウリジル酸シンターゼ様1)(CHO−Pusl1:配列番号:3157237;siRNA 配列番号:3249217〜3249316);TPST1(チロシルタンパク質スルホトランスフェラーゼ1)(例えば、Gallus Tpst1、GeneID:417546)(CHO TPST1:配列番号:2613、対応するsiRNA:配列番号:858808〜859104)、およびWDR33(WD反復ドメイン33)(例えば、Gallus Wdr33、GeneID:424753)(CHO:配列番号:3433、対応するsiRNA:配列番号:1138341〜1138649)(Brassら139 Cell 1243−54(2009));Nod2(ヌクレオチド−結合オリゴマー化ドメイン含有2)(CHO:配列番号:6858;siRNA 配列番号:2322123〜2322429)(Sabbahら10 Nat.Immunol.1973−80(2009));MCT4(溶質キャリアファミリー16、メンバー4[モノカルボン酸トランスポーター4])(例えば、Gallus Mct4、GeneID:395383)、ACRC(酸性反復含有)(例えば、Gallus AcrC.GeneID:422202)、AMELY、ATCAY(小脳、カイマンタイプ[カイタキシン])(例えば、Gallus Atcay、GeneID:420094)、ANP32B(酸性[ロイシン−リッチ]核ホスホタンパク質32ファミリーメンバー)(例えば、Gallus Anp32B、GeneID:420087)、DEFA3、DHRS10、DOCK4(サイトキネシスのデディケーター4)(例えば、Gallus Dock4、GeneID:417779)、FAM106A、FKBP1B(FK506結合タンパク質1B)(例えば、ヒトFKCB1B、GeneID:2281、M.musculus Fkbp1b、GeneID:14226、Gallus Fkbp1B、GeneID:395254)、IRF3、KBTBD8(kelch反復およびBTB[POZ]ドメイン含有8)(例えば、Gallus Kbtbd8、GeneID:416085)、KIAA0753(例えば、Gallus Kiaa0753、GeneID:417681)、LPGAT1(リソホスファチジル−グリセロールアシルトランスフェラーゼ1)(例えば、Gallus Lpgat1、GeneID:421375)、MSMB(ミクロセミノタンパク質β)(例えば、Gallus Msmb、GeneID:423773)、NFS1(窒素固定1ホモログ)(例えば、Gallus Nfs1、GeneID:419133)、NPIP、NPM3(ヌクレオホスミン/ヌクレオプラスミン3)(例えば、Gallus Npm3、GeneID:770430)、SCGB2A1、SERPINB7、SLC16A4(溶質キャリアファミリー16、メンバー4[モノカルボン酸トランスポーター5])(例えば、Gallus Slc16a4、GeneID:419809)、SPTBN4(スペクトリン、β、非赤血球4)(例えば、Gallus SptBn4、GeneID:430775)、またはTMEM146(Krishnanら2008)を含む。
免疫原生産を最適化するように影響され得る他の標的遺伝子は、CDKN1B(サイクリン依存性キナーゼ阻害剤1B、p27、kip1)(例えば、Gallus Cdkn1b、GeneID:374106)、p27kip1に対するsiRNAが増殖を誘導する標的(Kikuchiら47 Invest.Opthalmol.4803−09(2006));またはFOX01、siRNAが大動脈内皮細胞増殖を誘導する標的(FosbrinkらJ.Biol.Chem.19009−18(2006))のような細胞周期および/または細胞増殖に関連する遺伝子を含む。かくして、例えば、CEFまたは他のニワトリ細胞において、細胞***に関するCDKN2Aの発現は、配列番号:3154663〜3154696(Gallus、センス)および配列番号:3154697〜3154730(Gallus、アンチセンス)よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子を用いて変調することができる。
反応性酸素種(ROS)は宿主細胞に対して毒性であって、非特異的酸化、分解および/または切断、および増大した不均一性に導く免疫原性作用物質の他の構造的修飾、減少した生物学的活性、より低い回収、および/または本明細書中に提供された方法によって生産されたバイオロジックに対する他の損傷を媒介し得る。従って、免疫原性作用物質の生産は、NAD(p)Hオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ(例えば、各々、配列番号:7213、配列番号:7582、配列番号:8011、および配列番号:9756のオリゴヌクレオチドによってコードされた、グルタチオンペルオキシダーゼ1、グルタチオンペルオキシダーゼ4、グルタチオンペルオキシダーゼ8(推定)、グルタチオンペルオキシダーゼ3)のようなペルオキシダーゼ(RNAエフェクター分子:各々、配列番号:2439217〜2439612、配列番号:2560559〜2560895、配列番号:2703865〜2704225、配列番号:3151589〜3151685)、ミエロペルオキシダーゼ、構成的ニューロン一酸化窒素シンターゼ(cnNOS)、キサンチンオキシダーゼ(XO)(配列番号:374846〜375216)およびミエロペルオキシダーゼ(MPO)、15−リポキシゲナーゼ−1(配列番号:2480018〜2480362)、NADPHチトクロームcレダクターゼ、NAPHチトクロームcレダクターゼ、NADHチトクロームb5レダクターゼ(各々、配列番号:569460〜569777、配列番号:1261910〜1262218、配列番号:2195311〜2195681、配列番号:3146048〜3146071、配列番号:259827〜260060)、およびチトクロームP4502E1よりなる群から選択されるCHO細胞タンパク質のような、プロ−オキシダント酵素の発現を変調することによって増強される。
加えて、タンパク質の生産は、各々、配列番号:2447340〜2447632、配列番号:2463782〜2464073、配列番号:2466004〜2466274、配列番号:2659502〜2659871、配列番号:2731076〜2731440、配列番号:2748583〜2748914、配列番号:2895015〜2895359、配列番号:2904183〜2904530、配列番号:2966362〜2966657、配列番号:3088848〜3089061、配列番号:3107706〜3107919、および配列番号:3122589〜3122734よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む対応するRNAエフェクター分子、またはサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の使用によって、サイクリン(例えば、サイクリンM4、サイクリンJ、サイクリンT2、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤1A(P21)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤1B、サイクリンM3、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(p15、CDK4を阻害する)、サイクリンE2、S100カルシウム−結合タンパク質A6(カルシクリン)、サイクリン依存性キナーゼ5、調節サブユニット1(p35)、サイクリンT1、CDKの阻害剤、サイクリンA1相互作用タンパク質1のような宿主細胞(例えば、CHO細胞)の細胞周期に影響するタンパク質の発現を変調することによって増強することができる。いくつかの実施形態において、サイクリン依存性キナーゼは、CDK2(配列番号:1193336〜1193684)、CDK4(配列番号:1609522〜1609852)、P10(配列番号:3013998〜3014274)、P21(配列番号:2659502〜2659871)、P27(配列番号:2731076〜2731440)、p53、P57、p16INK4a、P14ARF、およびCDK4(配列番号:1609522〜1609852)よりなる群から選択されるCHO細胞サイクリン依存性キナーゼである。例えば、種々の実施形態において、細胞周期進行に影響する1以上のタンパク質の発現は、異種タンパク質生産の成長および/または生産期の間に一過的に変調して、異種タンパク質の発現および回収を増強させることができる。
加えて、バイオプロセシングにおける過剰なアンモニアの生産は大規模な細胞培養において共通の問題である。高いアンモニア濃度は、細胞株およびプロセスの条件に依存して、低下した細胞および産物の収率をもたらす。アンモニアの遊離は、グルタミナーゼによるグルタミンのグルタメートへの分解を通じて、および/またはグルタミン酸デヒトロゲナーゼによるグルタメートのa−ケトグルタレートへの変換を通じて起こると考えられる。従って、1つの実施形態において、バイオロジックの生産は、グルタミナーゼまたはグルタミン酸デヒドロゲナーゼのような、アンモニアの生産に影響するタンパク質の発現を変調することによって増強させることができる。特別な実施形態は、配列番号:311の転写体を有するCHO細胞グルタミナーゼ(CHO311.1)を標的化するRNAエフェクターを提供する。1つの実施形態において、RNAエフェクターは、グルタミナーゼを標的化する、配列番号:105170〜105438から選択されるsiRNAである。別の実施形態において、RNAエフェクターは、配列番号:569を有するCHO細胞グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(CHO569.1)を標的化する。1つの実施形態において、RNAエフェクターは、CHO細胞グルタミン酸デヒドロゲナーゼ1を標的化する、配列番号:177779〜178010から選択されるsiRNAである。
細胞培養における乳酸の生産は細胞の成長を阻害し、解糖およびグルタミノリシスに関与する代謝経路に影響することが知られている(Lao & Toth,13 Biotech.Prog.,688−91(1997))。細胞中へのラクテートの蓄積は、主として、グルコースのCO2およびH2Oへの不完全な酸化によって引き起こされ、そこでは、グルコースのほとんどはピルベートまで酸化され、最終的には、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)によってラクテートまで変換される。細胞中への乳酸の蓄積は、高い細胞の密度および生存性を達成するのに有害である。従って、1つの実施形態において、免疫原性タンパク質生産は、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDHA)のような、ラクテート形成に影響するタンパク質の発現を変調することによって増強される。よって、特別な実施形態は、LDHA1遺伝子を標的化するRNAエフェクター分子を提供する。
いくつかの実施形態において、細胞のグルコースの利用は、例えば、標的遺伝子MycおよびAKTの発現の変調によって操作される。1つの実施形態において、標的遺伝子は配列番号:2185の配列を含むCHOミエロサイトマトーシス癌遺伝子(CHO2185.1)である。1つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、配列番号:713438〜713745から選択される配列を有するsiRNAである。1つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、配列番号:713438〜713473から選択される配列を有するsiRNAである。1つの実施形態において、標的遺伝子は、配列番号:1793のヌクレオチドを含むCHO胸腺腫ウイルスプロト−癌遺伝子−1(CHO1793.1)である。1つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、配列番号:581286〜581643から選択される配列を有するsiRNAである。1つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、配列番号:581286〜581334から選択される配列を有するsiRNAである。
1つの実施形態において、細胞培養は、Bax、BakおよびLDHの発現の変調を可能とするRNAエフェクター分子で本明細書中に記載されたように処理される。1つの実施形態において、Bax、BakおよびLDHを標的化するRNAエフェクター分子は、1以上のさらなるRNAエフェクター分子および/または剤と組み合わせて投与することができる。本明細書中において、所望により、さらなるRNAエフェクター分子、または本明細書中に記載された他の生体活性剤と組み合わせることができる、Bax、BakおよびLDH発現を標的化するRNAエフェクター分子のカクテルが提供される。
いくつかの実施形態において、免疫原性作用物質の生産は、LDHまたはリソソームV型ATPaseのような、細胞pHに影響するタンパク質の発現を変調することによって増強される。
いくつかの実施形態において、免疫原性作用物質の生産は、例えば、(RNAエフェクター分子と共に、ここに、該RNAエフェクター分子は配列番号:69091〜69404(CHO細胞、アンチセンス)よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む)RNAエフェクター分子(ここに、RNAエフェクター分子は配列番号:438155〜438490よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖、GLUT2、GLUT3、GLUT4、PTEN(配列番号:6091〜6940)を含む)、または(RNAエフェクター分子と共に、ここに、該RNAエフェクター分子は配列番号:1297283〜1297604よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む−LDHについては表10も参照)LDHと細胞とを接触させることによって、GLUT1のような、炭素の代謝または輸送に影響するタンパク質の発現を変調することによって増強される。
いくつかの実施形態において、免疫原性作用物質の生産は、ApoE、マンノース/GalNAc−受容体、およびErilのような、宿主細胞におけるRNAエフェクター分子の摂取または効率に影響するタンパク質の発現を変調することによって増強される。種々の実施形態において、細胞においてRNAiの摂取または効率に影響する1以上のタンパク質の発現は、本明細書中に記載された標的遺伝子のような、1以上のさらなる標的遺伝子の変調と同時に本明細書中に提供された方法に従って変調して、1以上のさらなる標的遺伝子の変調の度合いおよび/または程度を増強される。
いくつかの実施形態において、免疫原性作用物質の生産は、成長の阻止および増加した生産性を引き起こす宿主細胞におけるストレス応答を誘導することによって増強される。ストレス応答は、例えば、栄養素利用性の制限、溶質の濃度の増加、または低い温度またはpHシフト、および酸化的ストレスによって誘導することができる。増大した生産性と共に、ストレス応答もまた、タンパク質の折畳みおよび分泌に対して悪影響を有し得る。いくつかの実施形態において、そのような有害効果は、本明細書中に記載されたタンパク質折畳みおよび/または分泌に影響するタンパク質のようなストレス応答タンパク質をコードする標的遺伝子の発現を変調することによって軽減される。
いくつかの実施形態において、免疫原性作用物質の生産は、細胞骨格構造に影響するタンパク質の発現を変調することによって、例えば、モノマーおよびフィラメント状アクチンの間の平衡を改変することによって増強される。1つの実施形態において、標的遺伝子はコフィリンをコードし、RNAエフェクター分子はコフィリンの発現を阻害する。1つの実施形態において、少なくとも1つのRNAエフェクター分子は、細胞質アクチンキャッピングタンパク質(CapZ)、エズリン(VIL2)、およびラミニンAよりなる群から選択される標的遺伝子の発現を増加させる。例えば、以下の表5参照。
加えて、所望の免疫原性作用物質の生産は、生産期の間にRNAエフェクター分子を細胞に導入して、タンパク質発現、翻訳後修飾、折畳み、分泌、および/または所望の免疫原性作用物質の生産および/または回収に関連する他のプロセスに影響するタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を変調することによって増強させることができる。別法として、免疫原性作用物質の生産は、生産期の間に細胞の成長および/または細胞の***を阻害するRNAエフェクター分子を細胞に導入することによって増強される。
翻訳後プロセシング
翻訳後修飾は、修飾されたおよび修飾されていないポリペプチドを分離するためのさらなるバイオプロセス工程、増大するコスト、およびバイオロジック生産の効率の低下を必要とし得る。従って、いくつかの実施形態において、細胞におけるポリペプチド剤の生産では、翻訳後修飾に影響するタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を変調することによって増強される。さらなる実施形態において、バイオロジック生産は、第一の翻訳後修飾に影響するタンパク質をコードする第一の標的遺伝子の発現を変調し、第二の翻訳後修飾に影響するタンパク質をコードする第二の標的遺伝子の発現を変調することによって増強される。
翻訳後プロセシング
翻訳後修飾は、修飾されたおよび修飾されていないポリペプチドを分離するためのさらなるバイオプロセス工程、増大するコスト、およびバイオロジック生産の効率の低下を必要とし得る。従って、いくつかの実施形態において、細胞におけるポリペプチド剤の生産では、翻訳後修飾に影響するタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を変調することによって増強される。さらなる実施形態において、バイオロジック生産は、第一の翻訳後修飾に影響するタンパク質をコードする第一の標的遺伝子の発現を変調し、第二の翻訳後修飾に影響するタンパク質をコードする第二の標的遺伝子の発現を変調することによって増強される。
より具体的には、真核生物細胞で発現されたタンパク質は、生産および/または構造、生物学的活性、安定性、均一性、および/または免疫原性作用物質の他の特性を損傷し得るいくつかの翻訳後修飾を受け得る。これらの修飾の多くは細胞の成長およびポリペプチドの発現の間に自発的に起こり、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、および所与のポリペプチドのアミノおよび/またはカルボキシル末端を含むいくつかの部位で起こり得る。加えて、所与のポリペプチドは、いくつかの異なるタイプの修飾を含むことができる。例えば、鳥類および哺乳動物細胞において発現されたタンパク質はアセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、ユビキチン化、メチオニン酸化、ジスルフィド結合形成、メチル化、脱メチル化、硫酸化、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、ヒドロキシル化、ヨウ素化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、グリコシル化、グルコノイル化、配列突然変異、N−末端グルタミン環化および脱アミド化、およびアスパラギン脱アミド化を受け得る。N−末端アスパラギン脱アミド化は、(例えば、配列番号:5950によってコードされる)N−末端Asnアミダーゼを標的化するRNAエフェクター分子と細胞を接触させることによって低下させることができ、ここに、該RNAエフェクター分子は、配列番号:1999410〜1999756よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19)を含むアンチセンス鎖を含む。
いくつかの実施形態において、免疫原の生産は、タンパク質脱アミド化に関与するタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を変調することによって増強される。タンパク質は、N−末端グルタミンの環化および脱アミド化、ならびにアスパラギンの脱アミド化を含むいくつかの経路を介して脱アミド化することができる。かくして、1つの実施形態において、タンパク質脱アミド化に関与するタンパク質は、N−末端アスパラギンアミドヒドロラーゼである。タンパク質脱アミド化は、改変された構造的特性、低下した能力、低下した生物学的活性、低下した効率、増大された免疫原性、および/または他の望ましくない特性に導くことができ、限定されるものではないが、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、HPLC、等電点電気泳動、毛細管電気泳動、天然ゲル電気泳動、逆相クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、質量分析、またはL−イソアスパルチルメチルトランスフェラーゼによる電荷に基づくタンパク質の分離を含む、いくつかの方法によって測定することができる。
免疫原性作用物質が、ウイルス表面膜タンパク質、またはグリコシル化アミノ酸残基を有するモノクローナル抗体を有するウイルス産物のような糖タンパク質を含む場合、バイオロジックの生産は、タンパク質グリコシル化に関与するタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を変調することによって増強させることができる。グリコシル化パターンは、しばしば、哺乳動物糖タンパク質の構造および機能の重要な決定因子であって、糖タンパク質の溶解性、熱安定性、プロテアーゼ耐性、抗原性、免疫原性、血清中半減期、安定性、および生物学的活性に影響し得る。
種々の実施形態において、グリコシル化に影響するタンパク質は、ドリキル−ジホスホオリゴ糖−タンパク質グリコシルトランスフェラーゼ(配列番号:2742894〜2743239)、UDPグリコシルトランスフェラーゼ、UDP−Gal:βGlcNAcベータ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ(配列番号:851115〜851489、配列番号:1552461〜1552728、配列番号:1562813〜1563108、および配列番号:1635173〜1635561)、UDP−ガラクトース−セラミドガラクトシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ(配列番号:209841〜210227)、タンパク質O−フコシルトランスフェラーゼ(配列番号:916726〜917035)、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(配列番号:57147〜57422、配列番号:65737〜65999、配列番号:1013002〜1013376、配列番号:1363583〜1363790、配列番号:1546609〜1546999、配列番号:1965217〜1965613、配列番号:2876241〜2876595)、特に、T4(配列番号:2876241〜2876595)、O−GlcNAcトランスフェラーゼ(配列番号:606012〜607348)、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(配列番号:8973〜90024、配列番号:262368〜262621)、O−結合N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ、およびα−ガラクトシダーゼ(配列番号:1600968〜1601288)およびβ−ガラクトシダーゼ(配列番号:690601〜690989)よりなる群から選択される。
他の実施形態において、グリコシル化に影響するタンパク質は、例えば、以下のように、表6から選択される。
いくつかの実施形態において、ジスルフィド結合を含有する免疫原性作用物質の生産は、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼまたはスルフフィドリルオキシダーゼのような、ジスルフィド結合の酸化、還元、および/または異性化に影響するタンパク質の発現を変調することによって増強される。ジスルフィド結合の形成は、真核生物細胞培養におけるマルチ−サブユニットのタンパク質またはペプチドの生産にとって特に問題であり得る。マルチ−サブユニットのタンパク質またはペプチドの例は、MHCタンパク質、全鎖抗体および抗体断片、酵素および膜タンパク質のような、受容体、細胞外マトリックスタンパク質、免疫調節因子を含む。
いくつかの実施形態において、タンパク質の生産は、メチオニン酸化に影響するタンパク質の発現を変調することによって増強される。反応性酸素種(ROS)はメチオニン(Met)をメチオニンスルホキシド(MetO)に酸化することができ、その結果、増大した分解および産物の不均一性、および低下した生物学的活性および安定性をもたらす。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、MetO残基のメチオニンに戻す還元を触媒するメチオニンスルホキシドレダクダーゼをコードする。例えば、ここに、CHO細胞RNAエフェクター分子は、配列番号:2044387〜2044676、配列番号:2557492〜2557809、および配列番号:3076104〜3076309よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む。
産業規模での細胞培養で生産された(いくつかの生きた弱毒化ウイルスを含む)免疫原性作用物質は、典型的には、培養された細胞によって分泌され、周囲の細胞培養基から回収され、精製される。一般に、タンパク質生産の速度、および回収されたタンパク質の収率は、宿主細胞によるタンパク質の折畳みおよび分泌の速度に直接的に関係している。例えば、宿主細胞の小胞体(ER)への誤って折り畳まれたタンパク質の蓄積は、折り畳まれていないタンパク質の応答(UPR)経路を介しての分泌を遅らせ、または停止させ得る。UPRは、過剰の折り畳まれていないタンパク質を検出するER膜中のストレス−検知タンパク質によってトリガーされる。UPR活性化は、誤って折り畳まれたタンパク質に結合し、かつ適切な折畳みを促進するシャペロンタンパク質(例えば、Bip)のアップレギュレーションに導く。また、UPR活性は、転写因子XBP−1(例えば、CHO細胞配列番号:187955〜188152)およびCHOP(例えば、CHO細胞配列番号:2813622〜2813956)をアップレギュレートする。CHOPは、一般的には、細胞の成長、分化および生存の負のレギュレーターとして機能し、UPRを介するそのアップレギュレーションは細胞周期の阻止を引き起こし、細胞からの明らかな過剰の折り畳まれていないタンパク質へのタンパク質折畳みおよび分泌の速度を増加させる。よって、細胞周期は最初は促進され、次いで、ウイルス生産期の間に抑制されて、ウイルス産物収率を増加させることができる。宿主細胞による免疫原性タンパク質の分泌の速度は、例えば、経時的な培養基中に存在するタンパク質の量をモニターすることによって測定することができる。
本発明は、宿主細胞によるタンパク質分泌に影響するタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を変調することによって、培養された真核生物宿主細胞における分泌されたポリペプチドの生産を増強させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、IRE1、PERK、ATF4(CHO細胞、配列番号:1552067〜1552460)、ATF6(CHO細胞、配列番号:570138〜560498)、eIF2α(CHO細胞、配列番号:1828122〜1828492)、GRP78(CHO細胞、配列番号:292590〜292837)、GRP94(CHO細胞、配列番号:180574〜180954)、カルレチクリン(CHO細胞、配列番号:895691〜896051)のようなUPR経路のタンパク質、またはその変種、あるいは転写制御エレメント(例えば、シス−作用性UPRエレメント(UPRE))のようなUPR経路を調節するタンパク質をコードする。
タンパク質の分泌に関与する他の標的遺伝子は、例としてのハムスター転写体標的遺伝子および例示的siRNA(アンチセンス鎖)を確認する表8にリストされている。
いくつかの実施形態において、タンパク質の分泌に影響するタンパク質は;γ−セクレターゼ、p115、シグナル認識粒子(SRP)タンパク質、セクレチン、およびキナーゼ(例えば、MEK)よりなる群から選択される。
細胞培養における免疫原性作用物質の生産は、免疫原性作用物質に対して親和性を有するタンパク質、または免疫原性作用物質に対して特異的に結合する分子または因子によって負に影響され得る。例えば、多数の異種タンパク質が、宿主細胞表面における糖タンパク質ヘパリンおよびヘパラン硫酸に結合することが示されている。これは、組換えタンパク質産物との、ヘパリン、ヘパラン硫酸、および/またはヘパリン/ヘパラン硫酸−結合タンパク質の共精製に導くことができ、収率を減少させ、および回収されたタンパク質の不均一性、安定性、生物学的活性および/または他の特性を低下させる。ヘパリンおよび/またはヘパラン硫酸に結合されることが示されている異種タンパク質の例は、BMP3(骨形態形成タンパク質3またはオステオゲニン)、TNF−α、GDNF、TGF−βファミリーメンバー、およびHGFを含む。従って、1つの実施形態において、培養された宿主細胞におけるBMP3、TNF−α、GDNF、TGF−βファミリーメンバー、またはHGF、あるいは別の免疫原性作用物質のような異種タンパク質の生産は、細胞を、ヘパリンおよび/またはヘパラン硫酸の発現および/または生産を変調(例えば、阻害)するRNAエフェクター分子と接触させることによって増強される。1つの実施形態において、ヘパリンおよび/またはヘパラン硫酸のレベルは、宿主細胞キシロトランスフェラーゼ(配列番号:1554774〜1555054)のような、ヘパリンおよび/またはヘパラン硫酸の生産に関与する宿主細胞酵素の発現を変調することによって低下する。
いくつかの実施形態において、例えば、免疫原性作用物質がインフルエンザウイルスのようなウイルス粒子である場合、標的遺伝子は、ウイルス結合を低下させ、従って、細胞培養基におけるウイルスの回収を増加させる(すなわち、より少ないウイルスが宿主細胞膜上に積み重ねられたままである)、宿主細胞表面からシアル酸を低下させることに関与するものを含むことができる。これらの標的は、溶質キャリアファミリー35(CMP−シアル酸トランスポーター)メンバーA1(SLC35A1)(例えば、M.muscuslus Slac35alから導かれるCHO遺伝子、GeneID:24060)(配列番号:3154345〜3154368および配列番号:3154369〜3154392から選択されるGallus標的遺伝子配列)(配列番号:464674〜465055から選択されるCHO細胞標的遺伝子配列)、溶質キャリアファミリー35(UDP−ガラクトーストランスポーター)、メンバーA2(SLC35A2)(例えば、M.muscuslus Slc35a2から導かれるCHO遺伝子、GeneID:22232)UDP−N−アセチルグルコサミン2−エピメラーゼ/N−アセチルマンノサミンキナーゼ(GNE)(例えば、M. muscuslus Gneから導かれたCHO遺伝子、GeneID:10090)(配列番号:3154297〜3154320および配列番号:3154321〜3154344から選択されるGllus標的遺伝子配列)(配列番号:2073971〜2074368から選択されるCHO細胞標的遺伝子配列)、シチジンモノホスホ−N−アセチルノイラミン酸シンテターゼ(Cmas)例えば、M.muscuslus Cmasから導かれたCHO遺伝子、GeneID:12764)(配列番号:3154249〜3154272および配列番号:3154273〜3154296から選択されるGallus標的遺伝子配列)(配列番号:1633101〜1633406から選択されるCHO細胞標的遺伝子)、UDP−Gal:βGlcNAcβ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ(B4GalT1)(例えば、M.muscuslus B4galT1から導かれたCHO遺伝子、GeneID:14595)(配列番号:3154153〜3154176および配列番号:3154177〜3154200から選択されるGallus標的遺伝子配列)(配列番号:2528454〜2528763から選択されるCHO細胞標的遺伝子配列)、およびUDP−Gal:βGlcNAc β1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ、ポリペプチド6(B4GalT6)(例えば、M.muscuslus B4GalT6から導かれたCHO遺伝子、GeneID:56386)(配列番号:3154201〜3154224および配列番号:3154225〜3154248から選択されるGallus標的遺伝子配列)(配列番号:1635173〜1635561から選択されるCHO細胞標的遺伝子配列)を含む。
さらなる標的は鳥類宿主シアリダーゼに関与するものを含むことができる(Wangら10 BMC Genomics 512(2009)参照)。なぜならば、インフルエンザは細胞表面シアル酸残基に結合し、かくして、減少したシアリダーゼは感染または精製の速度を増加させることができるからである:NEU2シアリダーゼ2(サイトゾルシアリダーゼ)(例えば、Gallus Neu2、GeneID:430542)およびNEU3シアリダーゼ3(膜シアリダーゼ)(例えば、Gallus Neu3、GeneID:68823)。さらなる標的遺伝子は、これが細胞中でよく成長しないいくつかのウイルスの基礎となっているかを決定するのに用いることができるmiRNAアンタゴニスト、例えば、ダイサー(ダイサー1、リボヌクレアーゼIII型)を含む。なぜならば、ダイサーのノックダウンは、感染の速度の中程度の増加に導くからである(Matskevichら88 J.Gen.Virol.2627−35(2007));あるいはデコイはISRE含有プロモーターから離れるようにTFsを滴定するので、ISRE(インターフェロン−刺激応答エレメント)が含まれる。シアリダーゼ(ノイラミニダーゼ)に関連する例示的な遺伝子および標的は以下の表9に示される。
標的配列は、一般に、長さが10〜30ヌクレオチドであるが、いずれかの所与の標的RNAの切断を指令するためのこの範囲における特定の配列の適当性において広い変動がある。種々のソフトウエアパッケージおよび本明細書中に記載されたガイドラインは、いずれかの所与の遺伝子標的に対する最適な標的配列の同定のための指針を提供するが、経験的なアプローチも採用することができ、そこでは、所与のサイズ(非限定的例として、21ヌクレオチド)の「ウインドウ」または「マスク」が標的RNA配列上に文字通りにまたは比喩的に置かれて(例えば、イン・シリコを含む)、標的配列として働くことができるサイズ範囲の配列を同定する。配列「ウインドウ」を最初の標的配列のロケーションの蒸留または下流に徐々に1ヌクレオチドだけ移動させることによって、可能な配列の完全な組がいずれかの選択された所与の標的サイズについて同定されるまで、次の潜在的標的配列を同定することができる。実行するこれらの配列を同定するために(本明細書中に記載されたアッセイを用いて、または当分野で知られたように)系統的な合成および同定された配列のテストとカップリングされたこのプロセスは、最適には、RNAエフェクター分子剤で標的化された場合に、標的遺伝子発現の最良の阻害を媒介するこれらのRNA配列を同定することができる。かくして、本明細書中で同定された配列は効果的な標的配列を表すが、阻害効率のさらなる最適化は、所与の配列の下流または上流へ1ヌクレオチドだけ徐々に「ウインドウを歩いて」、同等なまたはより良好な阻害特徴を持つ配列を同定することによって達成することができると考えられる。
さらに、本明細書中で同定されたいずれの配列についても、ヌクレオチドを系統的に加えるかまたは除去するか、のいずれかをして、より長いまたは短い配列を生じさせ、それら、およびその地点から標的RNAを上にまたは下により長いまたはより短いサイズのウインドウの歩行によって生じた配列をテストすることによって、さらなる最適化を達成できよう。新しい候補標的を生じさせることに対するこのアプローチを、当分野で公知の、または本明細書中に記載された粗害アッセイにおけるそれらの標的配列に基づいてRNAエフェクター分子の有効性についてテストすることとカップリングさせると、阻害の有効性のさらなる改善に導くことができる。なおさらに、そのような最適化された配列は、例えば、本明細書中に記載された、または当分野で公知の修飾されたヌクレオチドの導入、突出の負荷または変化、あるいは発現阻害剤としての分子をさらに最適化するための当分野で公知の、および/または本明細書中で議論された他の修飾(例えば、血清中安定性または循環半減期の増加、熱安定性の増加、膜貫通送達の増強、特定のロケーションまたは細胞型に対する標的化、サイレンシング経路酵素との相互作用の増大、エンドソームからの放出の増大等)によって調製することができる。
III.バイオ汚染
CHO細胞のような、バイオテクノロジー製造プロセスにおいて共通的に使用される細胞株は、レトロウイルス様粒子を生産することが証明されている。さらに、大規模なバイオロジック製造プロセスにおけるMMV(マウス微小ウイルス)汚染が起こっており、これは、生産で用いられる原料の偶発的汚染に帰せられた。結果として、国際的規制当局は、バイオロジック製造業者が、細胞株および原料の特徴付け、頑強なウイルス不活化および除去工程の使用、およびプロセス中間体および最終産物のテストを含む、包括的なウイルスクリアランス戦略を使用することを要求する。クロマトグラフィー方法、物理化学的不活化(例えば、低いpH、溶媒洗剤)、およびサイズ排除ベースの濾過を含む多数の関係しない工程が、一緒になって、ウイルスの累積的不活化および除去を生じさせる。例えば、Marquesら25 Biotech.Prog.483−91(2009);Khanら52 Biotech.Appl.Biochem.293−301(2009)参照。ウイルスクリアランスおよびクリアランス検証は、バイオプロセシングにおいて最も時間を消費し、かつ収益を減少させる活動のなかのものであり:下流プロセシングは合計バイオ製造コストの約70%を占める。Chochoisら36 Bioprocess Intl.(2009年6月)。下流バイオプロセシング濾過産物は、単独で、バイオテクノロジーおよびワクチンメーカーのコストを毎年十億ドルを超えるものとしている。
III.バイオ汚染
CHO細胞のような、バイオテクノロジー製造プロセスにおいて共通的に使用される細胞株は、レトロウイルス様粒子を生産することが証明されている。さらに、大規模なバイオロジック製造プロセスにおけるMMV(マウス微小ウイルス)汚染が起こっており、これは、生産で用いられる原料の偶発的汚染に帰せられた。結果として、国際的規制当局は、バイオロジック製造業者が、細胞株および原料の特徴付け、頑強なウイルス不活化および除去工程の使用、およびプロセス中間体および最終産物のテストを含む、包括的なウイルスクリアランス戦略を使用することを要求する。クロマトグラフィー方法、物理化学的不活化(例えば、低いpH、溶媒洗剤)、およびサイズ排除ベースの濾過を含む多数の関係しない工程が、一緒になって、ウイルスの累積的不活化および除去を生じさせる。例えば、Marquesら25 Biotech.Prog.483−91(2009);Khanら52 Biotech.Appl.Biochem.293−301(2009)参照。ウイルスクリアランスおよびクリアランス検証は、バイオプロセシングにおいて最も時間を消費し、かつ収益を減少させる活動のなかのものであり:下流プロセシングは合計バイオ製造コストの約70%を占める。Chochoisら36 Bioprocess Intl.(2009年6月)。下流バイオプロセシング濾過産物は、単独で、バイオテクノロジーおよびワクチンメーカーのコストを毎年十億ドルを超えるものとしている。
かくして、さらなる実施形態において、生産は、細胞に、宿主細胞においてウイルスタンパク質の発現を阻害するRNAエフェクター分子を導入することによって増強される。より具体的には、例えば、(ヘルペスウイルスのような)潜在的DNAウイルス、および内因性レトロウイルス(ERV)またはレトロウイルスエレメントは全ての脊椎動物に存在するようである。内因性レトロウイルスの配列は真核生物ゲノムの統合的部分であるが、これらの配列の大部分は欠陥があり、いくつかは、同時にまたは長期の培養に対して、感染性ウイルスを生産し得る。ERVウイルスの生産もまた、正常な生産系の一部であり得る種々の化学物質または他の剤での処理に際して誘導され得る。加えて、多くの内因性レトロウイルスはそれら自身の細胞に容易に再度感染しないが、それらはイン・ビトロおよびイン・ビボにて他の種に感染し得る。例えば、ブタERV(PER V)の3つの亜群のうち2つはイン・ビトロにてヒト細胞に感染し得る。
ヒト内因性レトロウイルス(HERV)の少なくとも26の区別される群があり;および鳥類、マウス、ネコ、およびブタは関連する内因性ウイルスと相互作用することができる複製能力があるERVを保有する。レトロウイルス誘導腫瘍原性は、レトロウイルス配列の上流または下流挿入によるロング・ターミナル・リピート(LTR)による複製能力があるおよび欠陥がある配列の間の組換えおよび/または細胞癌遺伝子の活性化による新規な病原性ウイルスの生成を含むことができる。かくして、バイオロジックの生産で用いられる細胞基質における内因性の感染性レトロウイルスの活性化は、最小の精製および不活化工程が高いワクチン能力を維持するために用いられる場合に、特に、生きたウイルスワクチンの場合に重要な安全性の関心事である。
偶発的ウイルスは、ヒトで用いるためのワクチンを含む、細胞−基質由来の生物学的物質の使用に関連した主たる危険性を表す。ウイルス汚染についての可能性は初代培養および樹立された培養、ならびにマスター・セル・バンク(Master Cell Bank)、生産細胞の目的、およびバルク収穫流体に存在する。例えば、これは、形質転換のメカニズムが不明である新形成−不滅化細胞の使用に対して主な障害である。なぜならば、これらは癌遺伝子性ウイルスを含有するより高い危険性を有し得るからである。潜在的外来性剤の存在についての広範なテストが、従って、ウイルスの安全性を確認することが求められる。バイオロジックの偶発的ウイルス汚染についての最も普通のシナリオは、胎児ウシ血清中のウシウイルス性下痢ウイルス;ブタ基質におけるブタパルモウイルス;およびCHO細胞由来バルク収穫におけるマウス微小ウイルス、レオウイルス、ベシウイルス、およびカシュ渓谷ウイルスを含む。3つの最後の名称のウイルスの存在は、(スケールアップの間に、または全プロセスの間に)製造プロセスの間に用いられるウシ血清を介して導入されると信じられている。
生きた弱毒化ウイルスワクチンの生産の間に、汚染性ウイルス粒子、核酸またはタンパク質の除去は問題がある。なぜならば、いずれの抗ウイルスアプローチもウイルス産物を無傷かつ免疫原性のままにしなければならないからである。事実、内因性鳥類ウイルス粒子が、ニワトリ胚線維芽細胞に由来する商業的に放出されたヒトはしかおよびおたふくかぜワクチンで見出されている。さらに、内因性ウイルスタンパク質、特に、エンベロープタンパク質は、しばしば、形質転換細胞株を作り出すのに用いられる組換えウイルスベクターの有効性を阻害する。さらに、内因性ウイルスは、しばしば、ウイルスの生産またはレトロウイルスの形質導入の間にトリガーされた、宿主細胞の免疫応答を悪化させ得る。よって、偶発的、潜在的および内因性ウイルス活性を阻害し、かくして、細胞で生産された免疫原性作用物質の純度および収率を増加させる技術に対する要望が依然として存在する。
本発明は、細胞にRNAエフェクター分子を導入して、偶発的、潜在的または内因性ウイルスの発現に関与する、所望により、タンパク質をコードする標的遺伝子の発現を変調することによって、免疫原性作用物質の生産を増強させることを提供する。かくして、いくつかの実施形態において、宿主細胞における免疫原性作用物質の生産は、細胞における所望の免疫原性作用物質の感染性および/または負荷が増大するように、潜在的または内因性ウイルスタンパク質の発現を阻害するRNAエフェクター分子を細胞に導入することによって増強される。
例えば、細胞−培養ベースの不活化インフルエンザウイルスまたはインフルエンザウイルス抗原の特別な利点は、卵タンパク質に対するアレルギー反応をトリガーするかもしれない卵−特異的タンパク質の不存在である。従って、本発明による使用は、特に、喘息患者、アレルギーを持つもの、および抑制された免疫性を持つヒト、および老人のようなより高い危険性の群を構成する集団において、インフルエンザウイルス感染の予防に特に適している。
ウイルス株が細胞培養において成長する培養条件もまた、該株の許容可能に高い収率を達成することに関して大きな重要性のものである。所望のウイルス株の収率を最大化するためには、宿主系および培養条件の双方を特異的に適合させて、所望のウイルス株の生産に有利な環境を提供しなければならない。多くのウイルスは、そのいくつかがウイルス収率に関して非常に非効率的である非常に特異的な宿主系に制限される。ウイルス宿主系として用いられる哺乳動物細胞のいくつかは高い収率にてウイルスを生産するが、そのような細胞の腫瘍原性質は、ワクチン生産でそれらを用いることに対する規則的拘束を惹起する。
細胞培養における血清および/または培養基に加えられた動物またはヒト源に由来するタンパク質添加剤の使用から生起する問題、例えば、異なるバッチの変化する変質および組成、およびマイコプラズマ、ウイルスまたはBSE剤での汚染の危険性は周知である。一般に、アルブミン、トランスフェリンまたはインスリンのような血清または血清由来物質は、培養およびそこから生じる免疫原性作用物質を汚染し得る望まない剤を含有し得る。さらに、ヒト血清由来添加剤は、血清によって伝達され得る、肝炎またはHIVのような全て公知のウイルスについてテストされてきた。ウシ血清およびそれに由来する産物、例えば、トリプシンは、ウシ海綿状脳症−汚染の危険性を担っている。加えて、全ての血清由来産物は依然として不明な剤によって汚染され得る。従って、血清または他の血清由来を必要としない細胞および培養条件は追跡されつつある。
例えば、天然痘ワクチン生産では、修飾されたワクニシアウイルスAnkara(MVA)は一次または二次ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)の細胞培養において増幅される。CEFは、10〜12日インキュベートされたニワトリ卵の胚から得られ、それから次いで細胞が解離され、精製される。これらの一次CEF細胞は直接的に用いることができるか、あるいは1細胞継代の後に二次CEF細胞として用いることができる。引き続いて、一次または二次CEF細胞はMVAで感染される。MVAの増幅では、感染された細胞は37℃にて2〜3日間インキュベートされる。例えば、Meyerら72 J.Gen.Virol.1031−38(1991);Sutterら12 Vaccine 1032−40(1994)参照。多くのポックスウイルスは、30℃のような37℃未満の温度でインキュベートされたCEFにおいて効果的に複製する。米国特許第69,924,137号参照。
マディン・ダービーイヌ腎臓(MDCK)株のような樹立された哺乳動物細胞株の使用は、いくつかのウイルス株を複製するにおいて成功してきた。それにも拘わらず、多数のウイルス株はMDCK系においては複製しないであろう。加えて、ヒトワクチン生産のための腫瘍形成潜在能力を持つ細胞の使用に関連した可能な有害効果についての心配は、この関係で、高度に形質転換された細胞株であるMDCKの使用を排除した。
別法ワクチン生産方法を開発する他の試みがなされてきた。米国特許第4,783,411号は、金魚細胞培養においてインフルエンザワクチンを調製する方法を議論する。金魚細胞培養を感染されるウイルス粒子は、それらの樹立後に、ニワトリ胚培養からまたは感染されたCD−I株マウスから得られた。該ウイルスは金魚細胞培養において少なくとも2回継代され、その結果、生ワクチンとして用いることができる弱毒化インフルエンザウイルスがもたらされる。加えて、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(Vero)およびニワトリ胚細胞(CEC)が、無血清無タンパク質培地においてインフルエンザウイルスおよび組換えインフルエンザタンパク質を成長させ、および生産するように適合されてきた。WO 96/015231参照。
タンパク質および無血清培地の使用は偶発的ウイルス汚染からの危険性を制限するが、それは、細胞バンクに存在する潜在的ウイルスまたは内因性レトロウイルスによって持ち出される継続した危険性に取り組んでいない。バイオロジックの生産で用いられる細胞基質における内因性の感染性レトロウイルスの活性化は、高いワクチン能力を維持するための最小の精製および不活化工程がある場合に、特に、ウイルス生ワクチンの場合に、重要な安全性の関心事である。
いくつかの実施形態において、ベシウイルスを標的化するRNAエフェクター分子は、本明細書中に記載された方法および組成物と共に用いることができる。ベシウイルスを標的化する例示的なRNAエフェクター分子は、限定されるものではないが、以下の表63中のものを含む。
レトロウイルスは、ウイルスpol遺伝子によってコードされたRNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)によって媒介された逆転写によって複製する。レトロウイルスは少なくとも2つのさらなる遺伝子も運び:gag遺伝子はウイルスの骨格、マトリックス、ヌクレオキャプシド、およびキャプシドのタンパク質をコードし;env遺伝子はエンベロープ糖タンパク質をコードする。加えて、レトロウイルス転写は、レトロウイルスゲノムの両末端に存在する高度に反復された領域(LTR)に位置するプロモーター領域または「エンハンサー」によって調節される。
細胞の感染の間に、逆転写酵素はRNAゲノムのDNAコピーを作成し;次いで、このコピーは宿主細胞のゲノムに組み込まれ得る。レトロウイルスは初期の段階で胚細胞または胚に感染でき、垂直メンデル伝達によって伝達され得る。これらの内因性レトロウイルス(ERV)は宿主生物の世代の間に変性でき、それらの最初の特性を喪失する。いくつかのERVはそれらの特性、またはそれらの構成モチーフの特性の全部または一部を保存し、あるいは宿主生物に対する利点を有する新規な機能的特性を獲得する。これらのレトロウイルス配列は、世代にわたって、それらの潜在能力のいくつかをトリガーし、および病理学的プロセスを生じさせ、または促進することができる区別される修飾も受け得る。
ヒト内因性レトロウイルス配列(HERV)は、ヒトゲノムの実質的部分を表す。これらのレトロウイルス領域はいくつかの形態:感染性レトロウイルスのLTR−gag−pol−env−LTR構造とのかなりの類似性を呈する反復核酸配列に近接して挟まれた、gag、polおよびenvモチーフを組み合わせる完全な内因性レトロウイルス構造;切形されたレトロウイルス配列、例えば、レトロトランスポゾンはそれらのenvドメインを欠如する;およびenvおよびLTR領域を欠如するレトロポゾンで存在する。ウイルス粒子を放出することができるERVは、しばしば、C型ERVと呼ばれる。
重要なERVはヒト・テラトカルシノーマ・レトロウイルス(HTDV)、またはHERV−K、内因性プロウイルスからウイルス粒子を生産することが知られている内因性レトロウイルスを含む。Loewerら68 J.Gen.Virol.2807−15(1987);Moldら4 J.Biomed.Sci.78082(2005)。HERV−Rは別の重要なERVである。なぜならば、それは、副腎皮質、および皮質腺腫およびクローム親和細胞腫のような種々の副腎腫瘍を含む多くの組織で発現することが見出されているからである。Katsumataら66 Pathobiology 209−15(1998)。マウス白血病ウイルス(MLV)は、誘導に際して、げっ歯類由来細胞培養において感染性ウイルス粒子を生産する別の重要なERVである。Khan & Sears,106 Devel.Biol.387−92(2001)。事実、細胞の代謝状態および/またはタンパク質発現の速度を有意に改変する細胞培養の変化(例えば、pH、温度シフト、酪酸ナトリウムの添加)は、CHO細胞における内因性レトロウイルスの合成の速度を測定可能に増加させた。Brorsonら80 Biotech.Bioengin.257−67(2002)。
HERVd−ヒト内因性レトロウイルスデータベース(NAR 分子生物学データベースコレクションのエントリー番号0495)と呼ばれるオンラインデータベースは、種々の進行中のヒトゲノムプロジェクトにおいてほとんど得られたヒトゲノムヌクレオチド配列から編集してきた。これは、HERVをスクリーニングするための比較的単純で速い環境を提供し、レトロウイルスファミリーの分類および特徴付けを継続的に改良することを可能とする。HERVdデータベースは、今日、ヒトゲノムの90%を超えるものからのレトロウイルスを含む。加えて、ERV配列は、National Institutes of Healthのオンラインの「Entrez Gene」サイトを通じて容易に得ることができる。
さらに、ERVに関しては、本発明の実施形態は、霊長類/ヒトクラスIガンマERVs pt01−Chr10r−17119458、pt01−Chr5−53871501、BaEV、GaLV、HERV−T、HERV−R(HERV−3、ERV3 env遺伝子、GeneID:2086)、HERV−E(ERVE1、GeneID:85314)、HERV−ADP、HERV−I、MER4様、HERV−FRD(ERVFRD1、Envタンパク質、GeneID:405754;P.troglodytes Envタンパク質、GeneID:471856;Rattus norvegicus Herv−frd Envポリプロテイン、GeneID:290348)、HERV−W(ERVWE2、ERV−W、env(C7)、メンバー2、P.troglodytes、GeneID:100190905;HERVWE1、ERV−W、env(C7)、メンバー1、GeneID:30816)、HERV−H(HHLA1、HERV−H LTR関連タンパク質1、GeneID:10086、P.troglodytes GeneID:736282;Hhla1、マウスGeneID:654498;HHLA2、HERV−H LTR関連タンパク質2、GeneID:11148;HHLA3、HERV−H LTR関連タンパク質3、GeneID:11147;ツメガエルhhla2、GeneID:734131)、HERVH−RTVLH2、HERVH−RGH2、HERV−Hコンセンサス、HERV−Fc1;霊長類/ヒトイプシロン内因性レトロウイルスhgl5−chr3−152465283;霊長類/ヒト中間体(イプシロン様)HERVL66;霊長類/ヒトクラスII Spuma様ERVs HSRV、HFV、HERV−S、HERV−L、HERVL40、HERVL74;霊長類/ヒトデルタERV HTLV−1、HTLV−2;霊長類/ヒトレンチERV(レンチウイルス)HIV−1、HIV−2;霊長類/ヒトクラスII、ベータERVs MPMV、MMTV、HML1、HML2、HML3、HML4、HML7、HML8、HML5、HML10、HML6、HML9、ヒトテトラトカルシノーマ由来レトロウイルス(HTDV/HERV―K)、またはHERV−V(HERV−V1 Env1、GeneID:147664;HERV−V2、HSV2、GeneID:100271846)の少なくとも1つの遺伝子またはLTRを標的とする。
本発明の方法によって標的化することができるさらなる霊長類ERV遺伝子は、LOC471586(ERV−BabFcenvプロウイルス先祖Envポリプロテインと同様、P.troglodytes GeneID:471586)、LOC470639(ERV−BabFcenvプロウイルス先祖Envポリプロテインと同様、P.troglodytes GeneID:470639);LOC100138322(HERV−K 7p22.1プロウイルス先祖Polタンパク質、Bos taurus GeneID:10013822と同様;LOC110138431(HERV−K 1q22プロウイルス先祖Polタンパク質と同様、B.taurus GeneID:100138431;LOC100137757と同様(HERV−K 6q14.1プロウイルス先祖Gag−Polポリプロテインと同様、B.taurus GeneID:100137757);LOC100141085(HERV−K 8p23.1プロウイルス先祖Polタンパク質と同様、B.taurus GeneID:100141085);LOC100138106(HERV−F(c)1 Xq21.33プロウイルス先祖Gag糖タンパク質と同様、B.taurus GeneID:LOC100138106)と同様;LOC100140731(HERV−W 3q26.32プロウイルス先祖Gagポリプロテインと同様、B.taurus、GeneID:100140731);LOC100139657(HERV−W 3q26.32プロウイルス先祖Gagポリプロテインと同様、B.taurus GeneID:100139657)を含む。
本発明の他の実施形態において、ERVは、げっ歯類クラスII、ベータERVマウス乳腺腫瘍(MMTV、GeneID:2828729;MMTVgp7、GeneID:1491863;MMTV env GeneID:1491862;MMTVgp1、GeneID:1724724;MMTVgp2、GeneID:1724723;MMTV pol GeneID:1491865;MMTV pro、GeneID:1491865;MMTV gag、GeneID:1491864);げっ歯類クラスIガンマERV MLV(Mlv1、マウスGeneID:108317);ネコクラスIガンマERV FLV;有蹄類クラスIガンマERV PERV;有蹄類デルタERV BLV;有蹄類レンチウイルス Visna、EIAV;有蹄類クラスII、ベータERV JSRV;鳥類クラスIII、Spuma様ERVs gg01−chr7−7163462;gg01−chrU−52190725、gg01−Chr4−48130894;鳥類アルファERVs ALV(ALV pol GeneID:1491910;ALV p2、GeneID:1491909;AlVp10、GeneID:1491908;ALV env、GeneID:1491907;ALV膜貫通タンパク質、tm、GeneID:1491906;ALVトランス−作用性因子、GeneID:1491911)、gg01−chr1−15168845;鳥類中間体ベータ様ERVs gg01−chr4−77338201;gg01−ChrU−163504869、gg01−chr7−5733782;爬虫類中間体ベータ様ERVインドニシキヘビ;魚類イプシロンERV WDSV;魚類中間体(イプシロン様)ERV snRV;両生類イプシロンERV Xen1;昆虫エランチウイルスERV Gypsy;またはSaccharomyces cerevisiae中のTyl、酵母ORF161(ERV−1様タンパク質、Ectocarpus siliculosusウイルス1、GeneID:920716)である。
さらに、ERVsに関しては、本明細書中で述べたように、HERV−K ERVsは特に重要である。なぜならば、それらは種々の刺激によって活性化できるからである。よって、本発明の態様は、HERV−K3、GeneID:2088;HERV−K2、GeneID:2087;HERV−K 11q22.1プロウイルス先祖Polタンパク質、GeneID:100133495;HERV−K7、GeneID:449619;HERV−K6、GeneID:64006;HERV−K(1)、ERVK4、GeneID:60359;およびHERV−K(II)、ERVK5、GeneID:60358;LOC100133495(HERV−K 11q22.1プロウイルス先祖Polタンパク質、GeneID:100133495)を含むHERV−Kファミリーの遺伝子を標的化する。
本明細書中に記載されたように、本発明の特別な態様において、標的遺伝子はERV env遺伝子、例えば、eERVファミリーW、env(C7)、メンバー1(ERVWE1)、GeneID:30816;LOC147664(HERV−V1またはEnv V1)、GeneID:147664;HERV−FRDプロウイルスEnvポリプロテイン(ERVFRDE1)、GeneID:405754およびGeneID:471856;ERV配列K、6(ERVK6またはHERV−K108)、GeneID:64006;ERV配列3エンベロープタンパク質(ERV3)、GeneID:2086およびGeneID:100190893;ALV Envタンパク質、GeneID:1491907、またはHERV−K18のEnvタンパク質である。
特別な実施形態において、HERV−K Env1の発現は、配列番号:3287270〜3287569(センス)および配列番号:3287570〜3287869(アンチセンス)よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
ERV遺伝子および調節配列を標的化することに加えて、本発明のいくつかの実施形態はERV受容体を標的化する。例えば、ヒト溶質キャリアファミリー1(中性アミノ酸トランスポーター)、メンバー5(SLC1A5、GeneID:6510)は、サルD型レトロウイルスおよびネコ内因性RD−114ウイルスに対する受容体である。溶質キャリアファミリー1(グルタメート/中性アミノ酸トランスポーター)、メンバー4(Slc la4、GeneID:55963)およびメンバー5(Slc la5、GeneID:20514)は関連タンパク質のマウスバージョンである。ヒト溶質キャリアファミリー1(グルタメート;中性アミノ酸トランスポーター)、メンバー4(SLC1A4、GeneID:6509)は、HERV−W Env糖タンパク質によって受容体として用いられる。かくして、細胞ウイルス受容体の阻害は受容体干渉、潜在的、内因性または偶発的ウイルス感染を減少させることができ、かくして、細胞における免疫原性作用物質の生産を増加させることができる。
潜在的ウイルス
ボルナウイルスは細胞核において執拗な感染を樹立する非セグメント化陰性非レトロウイルスRNAウイルスの遺伝子である。ボルナウイルスヌクレオタンパク質(N)遺伝子に相同なエレメントが、いくつかの哺乳動物種のゲノムに存在し、内因性Borna様N(EBLN)エレメントをコードするmRNAを生産する。Horieら463 Nature 84−87(2010)。よって、本発明のいくつかの実施形態において、標的遺伝子はボルナウイルス遺伝子である。
潜在的ウイルス
ボルナウイルスは細胞核において執拗な感染を樹立する非セグメント化陰性非レトロウイルスRNAウイルスの遺伝子である。ボルナウイルスヌクレオタンパク質(N)遺伝子に相同なエレメントが、いくつかの哺乳動物種のゲノムに存在し、内因性Borna様N(EBLN)エレメントをコードするmRNAを生産する。Horieら463 Nature 84−87(2010)。よって、本発明のいくつかの実施形態において、標的遺伝子はボルナウイルス遺伝子である。
本発明の方法によって標的化することができる潜在性DNAウイルスはアデノウイルスを含む。例えば、C血清型アデノウイルスの種は、ヒト組織において潜在的感染を確立することができる。Garnettら83 J.Virol.2417−28(2000)参照。鳥類アデノウイルスおよびアデノウイルス関連ウイルス(AAV)タンパク質は、特異的−無病原体ヒヨコによって生産されており、これは、鳥類AAVがニワトリの生殖系において潜在的感染として存在できることを示す。Sadasivら33 Avian Dis.125−33(1989);Katanoら36 Biotechniq.676−80(2004)も参照されたし。本発明のいくつかの実施形態において、標的遺伝子は潜在的DNAウイルスである。例えば、標的遺伝子は、HHV−4(EBV)、GeneID:3783751からの潜在的膜タンパク質(LMP)−2Aであり得るが、そのタンパク質は、また、HERV−K18のEnvタンパク質をトランス活性化する。
サーコウイルスは、潜在的期を呈するDNAウイルスである。ブタサーコウイルス1型(PCV1)は、汚染されたVero細胞バンクを有し、それから、ロタウイルスワクチンが作成され、ワクチンの投与に対して一時的なFDAの停止を引き起こしていることが判明している。Assoc.Press,March 23(2010)。PCV1ウイルスのゲノムを本明細書に提供し、それはPCV1 AY193712.1(配列番号:3154148)、PCV1 EF533941.1(配列番号:3154149)、PCV1 FJ475129.2(配列番号:3154150)、PCV1 GU371908.1(配列番号:3154151)、およびPCV1 GU722334.1(配列番号:3154152)である。
本発明の実施形態は、PCV1 repまたはcap遺伝子を阻害するRNAエフェクター分子を提供する。PCV1のrep遺伝子は、ウイルスDNAの複製に欠かせない。Mankertz & Hillenbrand,279 Virol.429−38(2001)。特別な実施形態において、PCV1 Repタンパク質の発現は、配列番号:3152824〜3153485(センス)、配列番号:3153486〜3154147(アンチセンス)、および本明細書中に提供された表よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
別の特別な実施形態において、PCV1 Capタンパク質の発現は、配列番号:3154731〜3154778(センス)、配列番号:3154778〜3154826(アンチセンス)、および本明細書中に提供される表よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
偶発的ウイルス
本明細書中で用いるように、「偶発的ウイルス」または「偶発的ウイルス剤」とは、例えば、ワクチン、細胞株および他の細胞由来産物を含む、免疫原性作用物質内に存在するウイルス汚染物をいう。ワクチン産物に関しては、例えば、外因性の偶発的ALVが、異なる製造業者によってCEFまたはDEF細胞培養で増殖させた商業的マレック病ワクチンで見出された。さらに、これらのワクチンのいくつかもまた内因性ALVで汚染されていた。Fadlyら50 Avian Diseases 380−85(2006);Zavala & Cheng,50 Avian Diseases 209−15(2006)。
偶発的ウイルス
本明細書中で用いるように、「偶発的ウイルス」または「偶発的ウイルス剤」とは、例えば、ワクチン、細胞株および他の細胞由来産物を含む、免疫原性作用物質内に存在するウイルス汚染物をいう。ワクチン産物に関しては、例えば、外因性の偶発的ALVが、異なる製造業者によってCEFまたはDEF細胞培養で増殖させた商業的マレック病ワクチンで見出された。さらに、これらのワクチンのいくつかもまた内因性ALVで汚染されていた。Fadlyら50 Avian Diseases 380−85(2006);Zavala & Cheng,50 Avian Diseases 209−15(2006)。
本発明の他の実施形態は、ベシウイルス、ブタサーコウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、ブタパルボウイルス、アデノ関連ウイルス、レオウイルス、狂犬病ウイルス、パピローマウイルス、ヘルペスウイルス、レポリポックスウイルス、および白血症ウイルス(ALV)、ハンターンウイルス、マーブルグウイルス、SV40、SV20、セムリキ森林ウイルス(SFV)、シミアンウイルス5(sv5)、ネコ肉腫ウイルス、ブタパルボウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLVまたはMMLV、gagタンパク質GeneID:1491870)、マウス白血病ウイルス(MuLV)、マウス肺炎ウイルス(PVM)、タイラーの脳脊髄炎ウイルス(THEMV)、マウス微小ウイルス(MMVまたはMVM)、GeneID:2828495、vpl、GeneID:148592;vp、GeneID:1489591;nsl、GeneID:1489590)、マウスアデノウイルス(MAV)、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、マウスロタウイルス(EDIM)、キルハム・ラット・ウイルス(KRV)、トーランのH−1ウイルス、センダイウイルス(SeV、マウス・パラインフルエンザ・ウイルス1型または日本血球凝集ウイルス(HVJ)としても公知)、ラットコロナウイルス(RCVまたは唾液腺炎ウイルス(SDA))、偽狂犬病ウイルス(PRV)、カシェ渓谷ウイルス、ウシ下痢ウイルス、ウシ・パラインフルエンザ・ウイルス3型、ブタ呼吸器系合胞体ウイルス、ブタアデノウイルス、ブタパルボウイルス、ブタヘルペスウイルス1(感染性ウシ鼻気管炎ウイルス)、他のウシヘルペスウイルス、ウシレオウイルス、他のウシヘルペスウイルス、ウシレオウイルス、ブルータングウイルス、ウシ・ポリオーマ・ウイルス、ウシサーコウイルス、およびワクシニア以外のオルソポックスウイルス、偽牛痘ウイルス(ヒトに感染し得る広く分布したパラポックスウイルス)、パピローマウイルス、ヘルペスウイルス、レポリポックスウイルス、または外因性レトロウイルスを含む偶発的動物ウイルスの遺伝子を標的化する。
特別な実施形態において、MMLV Gagタンパク質の発現は、配列番号:3287870〜3288118:(センス)および配列番号:3288119〜3288367(アンチセンス)よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
特別な実施形態において、ベシウイルスの発現は、配列番号:3152604〜3152713、および本明細書中に提供された表よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
他の実施形態は、HIV−1およびHIV−2;ヒトT細胞リンパ向性ウイルスI型(HTLV−I)およびHTLV−II;ヒトA、BおよびC型肝炎ウイルス;ヒトサイトメガロウイルス(CMV);EBV;HHV 6、7および8;ヒトパルボウイルスB19;レオウイルス;ポリオーマ(JC/BK)ウイルス;SV40ウイルス;ヒトコロナウイルス;ヒトパピローマウイルス;インフルエンザA、BおよびCウイルス;種々のヒトエンテロウイルス;ヒトパラインフルエンザウイルス;およびヒト呼吸器系合胞体ウイルスを含む、ヒト起源の偶発的剤を標的化する。
パルボウイルス科は、約4〜5キロベースのゲノムを持つ一本鎖DNAウイルスである。この科は、ヒトヘルパー依存性アデノ関連ウイルス(AAV)血清型1〜8、自律性鳥類パルボウイルス、およびアデノ関連ウイルス(AAV 1〜8)のようなディペンドウイルス;ヒトパルボウイルスB19(第五病の原因)およびV9を含む、ウシ、シマリス、および自律性霊長類パルボウイルスのようなエリスロウイルス;およびMVMを含む、他の動物およびげっ歯類、肉食動物、およびブタのパルボウイルスを含むパルボウイルスを含む。これらのパルボウイルスはいくつかの細胞型に感染することができ、非常に重要な試料において記載されてきた。AAVは、特に、減少した複製、増殖、および他のウイルスの成長に関連付けられてきた。
MVMは、ビリオンタンパク質1(VP1、MMVgp3とも呼ばれる)、MVMの従たるコートタンパク質、GeneID:1489592のN−末端で発現される脂肪溶解性酵素であるホスホリパーゼA2(PLA2)を展開することによって細胞への進入を獲得する。Farrら102 PNAS 17148−53(2005)。他のMVM標的は、(MMVgp2とも呼ばれる)MVM VP、GeneID:1489591;およびMVM非構造イニシエータータンパク質(NS1、MMVgp1とも呼ばれる)、GeneID:1489590から選択することができる。特別な実施形態において、MVM NS2タンパク質の発現は、配列番号:3285524〜3285827(センス)および配列番号:3285828〜3286131(アンチセンス)よりなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応するRNAエフェクター分子の使用によって変調することができる。
ポリオーマウイルスは、例えば、ヒト、霊長類、げっ歯類、ウサギおよび鳥類に感染することができる二本鎖DNAウイルスである。ポリオーマウイルス(PyV)はSV40、JCおよびBKウイルス、マウス肺向性ウイルス、ハムスターPyV、マウスPyVウイルス、およびリンパ球向性パポバウイルス(LPV、アフリカミドリザル・パピローマウイルス)を含む。これらのウイルスについての配列はGenBankを介して入手可能である。また、米国特許公開番号2009/0220937も参照されたし。それらの腫瘍形成および癌形成潜在能力のため、ワクチン生産で用いる細胞基質中のこれらのウイルスを排除するのが重要である。
パピローマウイルス科は、種々の宿主−特異性および配列相同性を表す150を超える公知の種を含む。それらは哺乳動物(ヒト、サル、ウシ、イヌ、ヒツジ)において、および鳥類において同定されている。伝統的には、生殖器および粘膜HPVと呼ばれる全てのHPV型を含むヒトパピローマウイルス科(HPV)の大部分はスーパーグループAに属する。スーパーグループA内には、11のグループがあり;これらの最も医療的に重要なのはヒトパピローマウイルスHPV16、HPV18、HPV31、HPV45、HPV11、HPV6およびHPV2である。これらの各々は、医学文献において「高リスク」ウイルスとして報告されてきた。
外因性レトロウイルスは、広い範囲の種にわたる動物において種々の悪性および非悪性病を引き起こすことが知られている。これらのウイルスはほとんどの公知の動物およびげっ歯類に感染する。その例は、デルタレトロイドウイルス(HTLV−1、−2、−3、および−4、STLV−1、−2、および−3)、ガンマレトロウイルス(MLV、PERV)、アルファレトロウイルス(鳥類白血症ウイルスおよび鳥類内因性ウイルス)、およびHIV 1および2を含む。
本発明の実施形態が向けられる潜在的な偶発的汚染物である他のウイルス科は、ブニヤウイルス科(LCMV、ハンタウイルス)、ヘルペス科(ヒトヘルペスウイルス1〜8、ウシヘルペスウイルス、イヌヘルペスウイルスおよびサルサイトメガロウイルス)、ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス)、ヘペウイルス科(E型肝炎ウイルス)、デルタウイルス(デルタ型肝炎ウイルス)、アデノウイルス科(ヒトアデノウイルスA〜F、およびマウスアデノウイルス)、コロナウイルス科、フラビウイルス科(ウシウイルス性下痢ウイルス、TBE、黄熱病ウイルス、デングウイルス1〜4、WNYおよびC型肝炎ウイルス)、オルソミクソウイルス科(インフルエンザ)、パラミクソウイルス科(パラインフルエンザ、おたふくかぜ、はしか、RSV、マウスの肺炎ウイルス、センダイウイルス、およびサルパラインフルエンザウイルス5)、トガウイルス科(西部ウマ脳脊髄炎ウイルス、風疹)、ピコルナウイルス科(ポリオーマウイルス1〜13型、コサッキーB、エコウイルス、リノウイルス、ヒトA型肝炎、ヒトコサッキーウイルス、ヒトカルジオウイルス、ヒトリノウイルスおよびウシリノウイルス)、レオウイルス科(マウスロタウイルス、レオウイルス3型およびコロラドダニ熱ウイルス)、およびラブドウイルス科(水疱性口内炎ウイルス)を含む。
例えば、免疫原性作用物質を作成するのに用いられるマウスおよびハムスター細胞バンクは、ヒトに対して病原性であることが知られているウイルスで感染させることができる。マウス細胞バンクはリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCM)、センダイウイルス、ハンターンウイルス、および/または乳酸デヒドロゲナーゼウイルスを運ぶことができ;ハムスター細胞バンクはLCM、センダイウイルス、および/またはレオウイルス3型を運ぶことができる。事実、トランスジェニックマウス由来細胞から生産された商業的に入手可能なモノクローナル抗体は、LCM、欠肢症(MEV)、マウス脳脊髄炎ウイルス(GDVII)、ハンターン、MVM、マウスアデノウイルス(MAV)、マウス肝炎(MHV)、マウスの肺炎ウイルス(PVM)、ポリオーマ、レオウイルス3型(REO−3)、センダイ(SeV)、幼いマウスの家畜流行性下痢のウイルス(EDIM)、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、パポバウイルスK、およびLDVHウイルス;胸腺剤ウイルス;ウシウイルス性下痢(BVD)、感染性ウシ鼻気管炎(IBR)、呼吸器系パラインフルエンザ−3(PI−3)、パピローマウイルス(BPV)およびアデノウイルス−3(BAV−3)ウイルス;およびヤギ(ヤギ)アデノウイルス(CAV)、ヘルペスウイルス(CHV)、および関節炎脳炎ウイルス(CAEV)ウイルスを含むウイルスについてテストされる。Geigert,CHALLENGE OF CMC REGULATORY COMPLIANCE FOR BIOPHARMACEUTICALS,109−11(Springer,New York,NY,2004);BLA文献番号98−9912、Centocor,Infliximab Detailed Product Review(1997);BioProcessing J.(Fall,2009)。
いくつかの実施形態において、宿主細胞における免疫原性作用物質の生産は、細胞成長、細胞***、細胞生存性、アポトーシス、細胞の免疫応答、栄養素の取扱い、および/または細胞内で細胞成長および/または***に関連する他の特性に影響するさらなるRNAエフェクター分子を細胞に導入することによって増強される。さらなる実施形態において、生産は、成長期の間に免疫原性作用物質の発現を一過的に阻害するRNAエフェクター分子を細胞に導入することによって増強される。
IV.トランスクリプトーム
また、本発明の実施形態は、「CHO細胞トランスクリプトーム」とも呼ばれる、CHO細胞において発現される転写体の組も提供し、さらに、CHO細胞トランスクリプトームの転写体のいずれか1つを標的化するように設計されたsiRNA分子を提供する。エフェクターRNAを変調するCHO細胞を選択し、設計するための組織化されたCHO細胞転写体配列データベースの形態でのトランスクリプトームの使用もまた、該形態または方法およびシステムでやはり提供される。他の実施形態は、さらに、CHOトランスクリプトームにおける転写体の各々に対して標的化されたsiRNAの選択、およびCHO細胞を作成し、または修飾するための、例えば、生体分子の改良された生産のためのその使用を提供する。従って、特別な実施形態は修飾されたCHO細胞を提供する。
IV.トランスクリプトーム
また、本発明の実施形態は、「CHO細胞トランスクリプトーム」とも呼ばれる、CHO細胞において発現される転写体の組も提供し、さらに、CHO細胞トランスクリプトームの転写体のいずれか1つを標的化するように設計されたsiRNA分子を提供する。エフェクターRNAを変調するCHO細胞を選択し、設計するための組織化されたCHO細胞転写体配列データベースの形態でのトランスクリプトームの使用もまた、該形態または方法およびシステムでやはり提供される。他の実施形態は、さらに、CHOトランスクリプトームにおける転写体の各々に対して標的化されたsiRNAの選択、およびCHO細胞を作成し、または修飾するための、例えば、生体分子の改良された生産のためのその使用を提供する。従って、特別な実施形態は修飾されたCHO細胞を提供する。
37℃の化学的に規定された培地下で標準的な条件で成長させた、初期、中期、および後期対数期細胞を含む、異なる条件下でプールされたCHO細胞で発見された転写体の組。該転写体は本明細書中の表において、および対応する配列(配列番号ファイル)において記載されている。
CHOトランスクリプトームの発見は、例えば、そのような細胞中での生体分子の生産のために、CHO細胞において1以上の細胞プロセスを特異的に修飾するのに有用である。例えば、公知の発現された転写体に基づき、アポトーシス調節因子、細胞周期遺伝子、DNA増幅(DHFR)調節遺伝子、ウイルス遺伝子生産調節遺伝子、例えば、細胞において生体分子を生産するのに用いられるウイルスプロモーターの場合では、グリコシル化関連遺伝子、炭素代謝調節遺伝子、プロオキシダント酵素をコードする遺伝子を変調させることができる。公知の発現された遺伝子または転写体を変調することによって、さらに、タンパク質の折畳み、メチオニン酸化、タンパク質のピログルタメーション、ジスルフィド結合形成、タンパク質分泌、細胞の生存性、細胞の特異的生産性、栄養素の要件、内部細胞pHをさらに変調することができる。
宿主細胞、特に、CHO細胞における免疫原性作用物質の生産を変調する方法が提供され、該方法は、その一部が標的遺伝子の少なくとも一部に対して相補的であるRNAエフェクター分子と細胞とを接触させる工程と、該細胞を、標的遺伝子の発現を変調するのに十分な時間の間バイオリアクター中で維持する工程とを含み、ここに、該変調は免疫原性作用物質の生産、および免疫原性作用物質の細胞からの回収を増強させる。
本開示は、CHOトランスクリプトームの転写体の核酸配列と、該転写体が翻訳されたタンパク質と、転写されたタンパク質が役割を果たすいくつかの経路とを含む。当該記載は、トランスクリプトームの配列を標的化するように設計されたRNAエフェクター分子としてのsiRNA分子の編集も記載する。公知のトランスクリプトーム転写体配列に基づいて、細胞、特に、CHO細胞において遺伝子発現を変調するために適切なRNAエフェクター分子を選択するための、コンピュータ援助システムを含むシステム、およびコンピュータ援助方法を含む方法も記載される。
CHO細胞トランスクリプトーム
本発明者らは、CHO細胞において発現された転写体の規定された組を発見した。転写体の該規定された組を本明細書では「トランスクリプトーム」という。転写体の名称、転写体が役割を果たす少なくとも1つの経路、関連する配列番号、および対応する例示的なsiRNA分子の配列番号は、例えば、表1〜16、21、23、24、27〜30、52〜61、65または66を含む本明細書中に記載された表のいずれかに記載される。CHO細胞トランスクリプトームにおける転写体の配列は、関連する配列番号1〜9771および配列番号:3157149〜3158420に記載されている。
CHO細胞トランスクリプトーム
本発明者らは、CHO細胞において発現された転写体の規定された組を発見した。転写体の該規定された組を本明細書では「トランスクリプトーム」という。転写体の名称、転写体が役割を果たす少なくとも1つの経路、関連する配列番号、および対応する例示的なsiRNA分子の配列番号は、例えば、表1〜16、21、23、24、27〜30、52〜61、65または66を含む本明細書中に記載された表のいずれかに記載される。CHO細胞トランスクリプトームにおける転写体の配列は、関連する配列番号1〜9771および配列番号:3157149〜3158420に記載されている。
かくして、1つの実施形態において、本発明は、配列番号:1〜9771を有する転写体の選択または編集を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞トランスクリプトームを提供する。いくつかの実施形態において、CHOトランスクリプトームは、配列番号:1〜9771を有する転写体の選択または編集より実質的になる。いくつかの実施形態において、CHO細胞トランスクリプトームは、配列番号:1〜9771を有する転写体の選択または編集よりなる。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書中に示された表のいずれかに記載されたCHO細胞トランスクリプトームの転写体のいずれかの1つに向けられた少なくとも1つのsiRNAを提供する。例えば、表1〜16、21〜25、27〜30、52〜61、65または66参照。いくつかの実施形態において、siRNAは、表1〜16、21〜31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、50、51〜61、63〜65、または66に記載されたsiRNAの群から選択される。いくつかの実施形態において、全ての転写体配列番号が本明細書中に記載された表に存在するのではない。いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、配列番号:9772〜3152399および配列番号:3161121〜3176783よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む。発現の改良された品質/量のために変調することができるさらなる標的が本明細書に記載される。本明細書に提供されるのはCHO転写体、すなわち、配列番号の1〜9771、および配列番号:3157149〜3158420である。これらの転写体は、コードされたタンパク質の名称に帰属させることができ、機能的グループにカテゴリー化することができる。機能的グループを容易に決定して、転写体を、相同性によって、特定の機能を有することが知られている配列に分類することができる。1つの実施形態において、公知の機能的ドメインを用い、少なくとも40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%の相同性を探す。配列番号の転写体を、コードされたタンパク質および機能、例えば、表13の細胞周期/細胞***転写体の記載と相関させる表10〜16参照。転写体をグループ分けすることができる例示的なカテゴリーは出願を通じて記載されており、例えば、アポトーシス、細胞周期遺伝子、DNA増幅(DHFR)、グリコシル化、炭素代謝、プロオキシダント酵素、タンパク質折畳み、メチオニン酸化、タンパク質ピログルタメーション、ジスルフィド結合形成、タンパク質分泌、免疫応答、細胞栄養素の要件、およびシャッティングダウンRNA干渉に関与するタンパク質についてコードする転写体(すなわち、転写遺伝子)を含む。その機能が本明細書中において具体的に引用されていない本明細書中に開示された転写体については、当業者であれば、(公知のアルゴリズムおよびプログラムを用いて)配列番号:1〜9771および配列番号:3157149〜3158420の転写体配列を、種々の生物のいずれかに見出された転写体の配列情報と容易に比較し、先に記載された機能および/またはタンパク質がコードされた名称を割り当てることができる。例えば、当業者であれば、本明細書中に記載された配列の情報を用いて、Freitas et al.のいずれかにレビューされたような世界的なウェブ、7 IEEE/ACM Transactions on Computational Biology and Bioinformatics(TCBB)172−82(2010);Rentzscha & Orengoa,27 Trends in Biotech.210−19(2009);Lowensteinら10 Genome Biol.207(2009)またはBriedberg,7 Briefings in Bioinformatics 225−42(2006)に見出されるいずれかの予測方法、アルゴリズム、および/または源および適用を用いてタンパク質の機能を予測することができる。別法として、転写体配列は、タンパク質コーディングおよび非コーディング領域を含む、生物の部分的または全ゲノム(ゲノム情報)と比較することができる。
配列番号:9772〜3152399および配列番号:3161121〜3176783に記載されたような、siRNAを用いて標的転写体をサイレントとすることができる。特別なsiRNAは、90%相補性である相補的配列を含有する転写体を探すことによってその対応する標的に容易にマッチさせることができる。周知のアルゴリズムを用いて、本明細書中で確認される転写体を標的化するための適当なRNAエフェクター分子を決定することができる。例えば、当業者であれば、本明細書中に記載された配列情報を用いて、Pappas et al.においてレビューされた、またはそこに記載された世界的なウェブ、12 Exp.Op.Therapeutic Targets 115−27(2008);Kurreckら2009,48 Angewandte Chemie 1378−98(2009);Gredellら16 Engin.Cell Funct.by RNA Interference in Cell Engin.175−94(2009);PCT/US2005/044662(2006年6月15日);PCT/US2009/039937(2009年10月15日);またはPCT/US2009/051648(2010年1月28日)に見出されるいずれかの予測方法、アルゴリズム、および/または源および適用を用い、本明細書中に記載された転写体を標的化するための、およびそれらのRNA配列に対する免疫応答を妨げ/促進するために、適切なRNA配列を決定することができる。
かくして、(細胞におけるタンパク質発現を変調するのに適した少なくとも1つのRNAエフェクター分子の配列について選択するための)本明細書中に記載されたシステムを用いて、宿主細胞におけるいずれかの特別な機能を変調するために用いることができる、CHO転写体配列およびRNAエフェクター分子(例えば、siRNA)の双方を同定することができる。CHO転写体には、転写体配列が、その機能およびタンパク質名称が知られている生物の転写体を同定するために少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の配列同一性を有する場合、機能および/またはコードされたタンパク質名称が割り当てられる。
RNAエフェクター分子を選択するためのシステムおよび方法
公知のCHOトランスクリプトームに基づき、本発明者らは、RNAエフェクター分子を選択して、細胞プロセスを操作することを通じて細胞に影響するための方法およびシステムを開発して、例えば、細胞における生体分子の生産を改良した。
RNAエフェクター分子を選択するためのシステムおよび方法
公知のCHOトランスクリプトームに基づき、本発明者らは、RNAエフェクター分子を選択して、細胞プロセスを操作することを通じて細胞に影響するための方法およびシステムを開発して、例えば、細胞における生体分子の生産を改良した。
従って、本実施形態は、CHOトランスクリプトーム配列、および所望により、特定の細胞プロセスまたは経路における転写体の役割、および特に、CHO細胞における生物学的プロセスの最適化のために標的およびエフェクターRNA分子の設計および選択を可能とする対応するsiRNAのような、転写体の各々の少なくとも1つの機能的態様を概説するCHOトランスクリプトームの組織化された編集を用いることを含むデータベースおよびシステムを提供する。
転写体の機能的態様は、例えば、アポトーシス、細胞周期、DNA増幅(DHFR)、ウイルス遺伝子生産、例えば、細胞において生体分子の生産を駆動するのに用いられるウイルスプロモーターの場合には、グリコシル化、炭素代謝、プロオキシダント酵素、タンパク質折畳み、メチオニン酸化、タンパク質ピログルタメーション、ジスルフィド結合形成、タンパク質分泌、細胞生存性、細胞の特異的生産性、栄養素の要件、内部細胞pHにおける転写体の役割に関する。他の細胞プロセスは当業者に知られており、例えば、世界的なウェブを通じて入手可能なGene Ontologyデータベースで見出すことができる。
従って、図16に示されるように、本発明は、細胞においてタンパク質発現を変調するのに適した少なくとも1つのRNAエフェクター分子の配列を選択するためのシステム100を提供し、該システムは、プロセッサ112および関連メモリ114を有するコンピューティングデバイス110、および少なくとも1つの細胞トランスクリプトーム情報を含むデータベース120、該情報はトランスクリプトームの各転写体についての配列および、所望により、転写体の名称、および転写体が役割を果たす経路を含み;および少なくとも1つのRNAエフェクター分子の情報、該情報は少なくともRNAエフェクター分子の配列および、所望により、RNAエフェクター分子の標的特異性を含み、ここに、各RNAエフェクター分子は、該少なくとも1つの細胞トランスクリプトームにおける少なくとも1以上の配列にマッチするように設計され;該コンピューティングデバイス110によって実行され、かつユーザの入力デバイス118を介してユーザから受け取るように構成されたメモリ114に記憶されたコンピュータプログラム、パラメータは細胞型選択、標的生物選択、細胞経路選択、交差−反応性選択、標的遺伝子の名称および/または配列の選択および、所望により、イン・ビボまたはイン・ビトロ送達オプションを含む送達選択の方法を含み;およびさらに、所望により、ユーザのアドレスの情報;該パラメータおよびトランスクリプトーム転写体配列の組合せをマッチさせるためのデータベース中の配列に対して該パラメータをチェックするように構成された第一のモジュール;および細胞においてタンパク質発現を変調するのに適した少なくとも1つのRNAエフェクター分子の選択された配列を表示するための第二のモジュールを含む。
コンピューティングデバイス110、およびメモリ114に記憶された関連プログラムは、例えば、1以上のドロップダウンメニューまたは構造化されたもしくはフリー・フォーム・テキスト入力を用いてユーザがサーチ標的パラメータを入力するのを可能とし、所望の細胞における適切な標的を見出すための適切なパラメータを選択する、グラフィカルなユーザインターフェースのようなユーザインターフェースを供するように適合し、かつ構成することができる。例えば、ユーザがCHO細胞において炭素代謝を変調するための標的を見出したいならば、ユーザは標的細胞を「CHO」として、および経路を「炭素代謝」として同定し、サーバーは、例えば、Gluts、PTENおよびLDH遺伝子についての転写体を同定するであろうデータベースを通じてサーチを行い、それらを、siRNAデータベース部分からの適切なsiRNA分子とマッチさせる。この出力情報は、コンピュータディスプレイ116またはプリンターのような他の出力デバイス上にてユーザに提示することができる。
該システムはスタンド−アローンシステムまたはインターネットベースのシステムとすることができ、そこでは、エフェクターRNA分子の計算および選択が同一または異なるロケーションで行われる。図16に示されたように、トランスクリプトーム情報はデータベース120に記憶することができ、コンピューティングデバイス110によってアクセスできる。本明細書中で用いるように、用語データベースは、それが要求される情報の検索を可能とする構造であるか、または構造でないかに関わらずデータのいずれかの組織化を含む。データベースはメモリに記憶されたフラットファイルまたはフラットファイルのセット、メモリに記憶された1以上の表、メモリに記憶された区別されるデータ要素のセットとすることができる。データベースは、ユーザがデータベースに(もう1つのプログラムを介して)直接的にまたは間接的にアクセスできるようにするいずれの周知のデータベースプログラムも含むことができる。これらの例は、MICROSOFT(登録商標)、ACCESS(登録商標)、およびORACLE(登録商標)データベース、およびMYSQL(登録商標)オープン・ソース・データベースを含む。
図17に示された本発明の代替実施形態において、システム200はネットワークベースのシステムとすることができる。システム200は、プライベート・ユーザ・ネットワークまたはイーサネット(登録商標)、もしくはインターネットのようなネットワーク230に連結されたサーバーシステム210および1以上のクライアントシステム240および250を含むことができる。サーバーシステム210およびクライアントシステム240および250は、本明細書中に記載されたようにコンピューティングデバイスとすることができる。サーバーシステム210は、1以上のプロセッサ212および関連メモリ214、およびサーバーシステム210の操作および機能を制御するように適合され、かつ構成された1以上のコンピュータプログラムまたはソフトウェアを含むことができる。サーバーシステム210は、有線または無線を介して、ネットワーク230に連結するための1以上のネットワークインターフェースを含むことができる。サーバーシステムの例は、INTEL(登録商標)に基づいたコンピュータサーバー、およびHewlett−Packard Development Co.,LP;Dell;およびAPPLE(登録商標)Inc.から入手可能なマイクロプロセッサアーキテクチャーを含む。
クライアントシステム240および250は、1以上のプロセッサ242および252、および関連メモリ244および254、ならびにクライアントシステム240および250の操作および機能を制御するのに適合させ、かつそのように構成された1以上のコンピュータプログラムまたはソフトウェアを含むことができる。クライアントシステム240および250は、有線または無線を介して、ネットワーク230に連結させるための1以上のネットワークインターフェースを含むことができる。クライアントシステムの例は、Hewlett−Packard Development Co.,LP;DELL;およびApple Inc.から入手可能なINTEL(登録商標)およびAMDマイクロプロセッサアーキテクチャー、およびパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)(例えば、DROID(登録商標)、HTC Corp.)、スマートフォン(例えば、BLACKBERRY(登録商標)スマートフォン、Research In Motion, Ltd.)、iPod(登録商標)、iPad(商標)およびiPhone(登録商標)デバイス(APPLE(登録商標)INC.)のようなより小さなネットワークが可能な携帯式デバイスに基づいたデスクトップおよびポータブルコンピュータを含む。
1つの実施形態によると、サーバーシステム210は、例えば、Windows(登録商標)のためのインターネット・インフォメーション・サービス(Internet Information Services(IIS)、またはNET FRAMEWORK製品(MICROSOFT(登録商標) Corp.)、またはApacheオープン−ソースHTTPサーバー(Apache Software Foundation)に基づいたウェブサーバーであり、インターネットを介する遠隔クライアントシステムによってアクセスされるウェブベースの適用を用いて、トランスクリプトーム情報のデータベースをサーチして、細胞におけるタンパク質発現を変調するのに適当であり得るRNAエフェクター分子を同定する。該システムは、ユーザが、ユーザに送達されるべき所望の量の同定されたRNAエフェクター分子を選択し、購入するのを可能とするフルフィルメントシステムを含むことができるか、またはそれに連結することができる。
また、コンピュータによって実行されるべきソフトウェアを販売することによってシステムを提供することもでき、そこでは、配列情報および他の情報にパラメータをマッチさせるデータベースおよびアルゴリズムがユーザに提供される。従って、ユーザは、エフェクターRNA分子を合成できるか、またはそれらを第三者のプロバイダーから別々に注文することができる。
いくつかの実施形態において、該システムは、さらに、少なくとも1つのRNAエフェクター分子を容器中に記憶するための記憶モジュール、ここに、2以上のRNAエフェクター分子があれば、各RNAエフェクター分子は別々の容器に記憶され、およびマッチング組合せの選択に際して、マッチング容器を選択し、所望により、該容器に、イン・ビボまたはイン・ビトロ送達用のユーザ選択に基づいた添加剤を加え、および所望により、さらに、ユーザの住所に送られるべきマッチングRNAエフェクター分子を含む容器を包装するロボット取扱いモジュールを含む。siRNA、またはsiRNAの混合物に加えることができる例示的な添加剤は本明細書中に記載される。
記憶モジュールは、システム構成要素に連結された、冷却されたモジュールであり得る。
該システムは、核酸または他の生体分子シンセサイザーに連結させることもできる。
該システムは、核酸または他の生体分子シンセサイザーに連結させることもできる。
ロボット取扱いモジュールは、記憶モジュール、または生体分子シンセサイザーからの成分を検索し、所望により、それを混合でき、および所望により、容器をパッケージすることができるいずれのシステムとすることもできる。ロボット取り扱いモジュールは、該システムからのコマンドに基づく1以上のパーツ機能を含むことができる。ロボット取扱いモジュールは、計算が行われる場合と同一または異なるロケーションに存在させることができる。
いくつかの実施形態において、該システムは、さらに、細胞のゲノム情報を含み、ここに、ユーザの選択によって、RNAエフェクター分子を、ゲノムに存在するプロモーター、エンハンサー、イントロンおよびエクソンを含む標的ゲノム配列にマッチさせることができる。
本発明のいくつかの実施形態において、該システムは、ハードウェア構成要素、またはハードウェア構成要素のシステム、およびシステムの(情報、プロセシング情報等の入力および出力の管理のような)具体的タスクを実行するソフトウェア構成要素を含むことができ、該システムを構成する1以上のコンピューティングデバイスに対する、およびそれを横切ってのソフトウェア適用の実行によって行うことができる。本発明は、例えば、サーバー、メイン−フレームコンピュータ、ワークステーション等のようないずれの便宜な型のコンピューティングデバイスも含むことができる。1を超えるコンピューティングデバイスが存在する場合、各デバイスは、例えば、イーサネット(登録商標)(有線または無線の「WiFi」)、BLUETOOTH(登録商標)技術、ZIGBEE(登録商標)無線技術、AT&T(商標)3Gネットワーク、またはSPRINT(商標)3Gまたは3G/4Gネットワークを含む、周知の相互連結技術を用いて、本明細書中においてはネットワークという、いずれの便宜な型の通信相互連結を介して連結することもできる。1を超えるコンピューティングデバイスを用いる場合、該デバイスは共通した位置とすることができるか、あるいはそれらは物理的に分離することができる。種々の操作システムをコンピューティングデバイスのいずれにおいても使用することができ、そこでは、代表的な操作システムはMICROSOFT(登録商標)WINDOWS(登録商標)操作システム、MACOS(商標)操作システムソフトウェア(APPLE(登録商標)Inc.)、SOLARIS(登録商標)操作システム(Oracle Corp.)、Linux(Linux Online,Inc.)、UNIX(登録商標)サーバーシステムおよびOS/400ソフトウェア(IBM Corp.)、ANDROID(商標)(Sprint)、Chrome OS(Google Inc.)などを含む。システムの機能的エレメントもまた、種々のソフトウェアファシリテーター、プラットフォーム、または他の便宜な方法に従って実行することもできる。
同一のデータ入力(例えば、ファイル名またはディレクトリ名またはサーチ用語)が(同一ファイル中の、またはそうでない)連結されたアイテムを検索し、または連結されたアイテムの1以上の入力が他の1以上を検索する場合、データのアイテムはメモリ中で相互に「連結」させることができる。
図18は、本発明の1つの実施形態によるデータ構造の線図を示す。この実施形態においては、入力フィールドの用語を、データベース中のそれらの関連配列IDによるなどして、かつ本発明に従って、標的RNAに連結させることができ、入力フィールドの用語の1以上についてサーチするためにソフトウェアモジュールを実行させ、標的の1以上の配列IDを戻す。加えて、各標的RNAは、それらの関連配列IDによるなどして、かつ本発明に従って、1以上のRNAエフェクター分子に連結させることができ、各同定された標識については、ソフトウェアモジュールを実行して、同定された標的のいくつかまたは全てについての引き続いてのサーチを行うことができ、所望のRNAエフェクター分子についての1以上の配列IDを戻し、RNAエフェクター分子およびそれらの配列IDのリストを戻すことができる。
別法として、同定された各標的については、所望のRNAエフェクター分子を決定するための1以上の周知のアルゴリズムを実施し、RNAエフェクター分子およびそれらの配列IDのリストを戻すソフトウェアモジュールを実行することができる。
図19は、本発明の1つの実施形態に従ってRNAエフェクター分子を同定するための方法のフローチャートを示す。方法400は、所望の細胞において標的を見出すための所望のパラメータをユーザが入力できるようにする入力スクリーン402をユーザに提示することを含む。該入力は、テキスト、あるいはユーザが予め定義された用語を選択するのを可能とする1以上のドロップ−ダウンボックス無しとすることができる。工程404において、ユーザは適切なユーザ・インターフェース・エレメント、例えば、「サーチ」ボタンを選択し、該システムは入力パラメータに関連する標的についてデータベースをサーチする。工程406において、ユーザには、各々がチェックボックスに関連する標的のリストを提示することができ、ユーザは、各標的に関連するチェックボックスを選択し、または選択しないことが可能であって、さらに、それらのサーチを洗練することができる。工程408において、ユーザは、適切なユーザ・インターフェース・エレメント、例えば、「サーチ」ボタンを選択し、該システムは入力標的に関連したRNAエフェクター分子についてのデータベースをサーチすることができ、および/または周知のアルゴリズムを用いて、入力標的に関連するRNAエフェクター分子を決定することができる。該システムは、例えば、RNAエフェクター分子についてサーチすることができ、何も見つからなければ、周知のアルゴリズムを用いて、適切なRNAエフェクター分子を決定することができる。引き続いて、決定された分子をデータベースに加えることができ、引き続いてのサーチにおいて出現することができる。別法として、RNAエフェクター分子が見出された場合においてさえ、該システムは、加えて、周知のアルゴリズムを用いて、追加の適切なRNAエフェクター分子を決定することができる。工程410において、ユーザには、データベースで見出された情報からの報告されたRNAエフェクター分子の注文のような任意の機能を供することができる。例えば、オンライン獲得は米国特許出願公開番号2005/0240352に記載されたように供することができる。
該システムの1つの例および該システムを用いる方法において、顧客のような人は、細胞株を用いるタンパク質の生産における問題を経験している。該問題は、例えば、グリコシル化、例えば、余りにも多いフコシル化におけるようなタンパク質の翻訳後修飾、および/または余りにも多い乳酸形成または余りにも低い収率のようなもう1つのプロセスにおけるものであり得る。
本発明のシステムは、ユーザが、彼らが経験している問題または多数の問題(余りにも低い細胞成長速度または余りにも多いフコシル化)のようなパラメータ、および/またはFUT8、GMDS、および/またはTSTA3のような、彼らが変調したい標的遺伝子、または転写体、または多数の標的遺伝子または転写体を、ユーザインターフェースに入力するのを可能とする。
該システムはパラメータを採用し、それらを、配列データおよびRNAエフェクター分子データとマッチさせ、提案されたRNAエフェクター分子を顧客に送達する。例えば、該システムは、グリコシル化のような細胞経路に対する問題を、グリコシル化において役割を果たすことが知られている転写体にマッチさせることができ、次いで、これらの配列を標的化するRNAエフェクター分子をマッチさせ、例えば、顧客がそれを使って実験することができるsiRNA配列のリストを送達する。
顧客が配列のうち1以上を受領することを望めば、顧客は該システムに対して、適切な核酸を合成し、および/またはそれを顧客が規定したロケーションに送るよう注文し、または指令することができる。該システムは、ヌクレオチド合成システムに対して指令を送って、配列を作成することもできる。シンセサイザーは、他のシステムのパーツからの同一または遠隔ロケーションに存在させることができる。該システムは、記憶ロケーションからの既製の配列を選択し、適切な分子を顧客が規定したロケーションまで送ることができるように、パッケージング情報を供することもできる。顧客がRNAエフェクター分子の異なる混合物を得ることを望むならば、それは、最終的注文を提出するに先立って規定することができ、次いで、該システムは、例えば、1つのバイアルまたはチューブまたは他の容器中にアンチセンスおよびセンス鎖を含む、siRNAデュプレックスのような適切なRNAエフェクター分子を混合するようにロボット構成要素に指令するであろう。
本発明者らは、さらに、CHO細胞トランスクリプトームにおける転写体の少なくとも1つを標的化するsiRNA分子の組を発見した。表1は、CHO細胞トランスクリプトームにおける転写体を標的とするsiRNA分子の組も記載する。
かくして、例えば、CHO細胞のような細胞を、組換え抗体またはその部分もしくは誘導体のフコシル化の変調を可能とする1以上のRNAエフェクター分子と接触させることによって、組換え抗体またはその部分もしくは誘導体の生産を増強させる方法がここに提供される。例えば、配列番号:3152714〜3152753を細胞と接触させて、フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)の発現を変調することができる。別の実施形態において、細胞を1以上のRNAエフェクター分子と接触させ、ここに、該接触は、(例えば、配列番号:5069によってコードされた)GDP0マンノース4,6−デヒドラターゼ(GMDS)の発現を変調させる。GMDSを標的化するRNAエフェクター分子は、配列番号:1688202〜1688519よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含むことができる。
別の実施形態において、細胞を1以上のRNAエフェクター分子と接触させ、ここに、該接触は、(例えば、配列番号:5505によってコードされた)、(TSTA3によってコードされた)GDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノースエピメラーゼ−レダクターゼをコードする遺伝子の発現を変調する。TSTA3を標的化するRNAエフェクター分子は、配列番号:1839578〜1839937よりなる群から選択されるオリゴヌクレオチド分子の少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含むことができる。なおさらなる実施形態において、細胞を、FUT8、GMDS、およびTSTA3のうち1を超えるものの発現を標的化する複数のRNAエフェクター分子と接触させる。
抗体の低下したシアル酸含有量は、ADCCをさらに増加させると考えられる。従って、さらに別の実施形態において、細胞を1以上のRNAエフェクター分子と接触させ、ここに、該接触はシアリルトランスフェラーゼの発現を変調させる。細胞におけるシアリルトランスフェラーゼ活性は、細胞を、少なくとも1つのシアリルトランスフェラーゼ遺伝子を標的化させるRNAエフェクター分子と接触させることによって変調することができる。表7は、変調させることができるいくつかのシアリルトランスフェラーゼ、ならびにシアリルトランスフェラーゼを標的化するRNAエフェクター分子をリストする。
シアリルトランスフェラーゼを標的化するRNAエフェクター分子は、先に提示した配列番号(すなわち、配列番号:681105〜681454、配列番号:707535ないす707870、配列番号:1131123〜1131445、配列番号:1155324〜1155711、配列番号:1391079〜1391449、配列番号:1435989〜1436317)のヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16の連続ヌクレオチド(例えば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む。
さらに別の実施形態において、細胞を、FUT8、GMDS、およびTSTA3のうちの1つを標的化する少なくとも1つのRNAエフェクター分子、および1つのシアリルトランスフェラーゼを標的化するもう1つのRNAエフェクター分子と接触させる。特別な実施形態において、細胞を、FUT8およびST6(α−N−アセチル−ノイラミニル−2,3−β−ガラクトシル−1,3)−N−アセチルガラクトサミニドα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ6と接触させる。
本発明の実施形態は、当業者に知られた、または本明細書中の他の個所で確認される分子経路において転写体またはタンパク質の活性を変調した。細胞活性のそのような分子経路は限定されるものではないが、アポトーシス、細胞***、グリコシル化、成長速度、細胞生産性、ピーク細胞密度、維持された細胞生存性、アンモニアの生産または消費の速度、またはラクテート生産の速度を含む。表10〜16により、細胞において標的が果たすそれらの機能または役割に基づいて例示的標的が確認される。
本発明のいくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAエフェクター分子)は化学的に修飾されて、安定性または他の有益な特徴を増強させる。1つの実施形態において、RNAエフェクター分子は化学的に修飾されていない。
オリゴヌクレオチドを修飾して、エンド−およびエキソ−ヌクレアーゼによるオリゴヌクレオチドの迅速な分解を妨げ、および望ましくないオフ−標的効果を回避することができる。本発明において特徴とされる核酸は、CURRENT PROTOCOLS IN NUCLEIC ACID CHEMISTRY(Beaucageらeds.,John Wiley & Sons,Inc.,NY)に記載されたもののような、当分野でよく確立された方法によって合成し、および/または修飾することができる。修飾は、例えば、(a)末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化、コンジュゲーション、逆位連結等)、または3’末端修飾(コンジュゲーション、DNAヌクレオチド、逆位連結等);(b)塩基修飾、例えば、安定化塩基、脱安定化塩基、またはパートナーの拡大されたレパートリーと塩基対合する塩基での置き換え、塩基(塩基脱落ヌクレオチド)、またはコンジュゲートされた塩基の除去;(c)(例えば、2’位置または4’位置における)糖修飾、または糖の置き換え;ならびに(d)ホスホジエステル連結の修飾または置き換えを含むヌクレオシド間連結修飾を含む。本発明で有用なオリゴヌクレオチド化合物の具体的な例は、限定されるものではないが、修飾された骨格を含む、または天然のヌクレオシド間連結を含むRNAを含む。修飾された骨格を有するRNAは、とりわけ、骨格にリン原子を有しないものを含む。本発明で有用なオリゴヌクレオチド化合物の具体的な例は、限定されるものではないが、修飾されたまたは非天然のヌクレオチド間連結を含むオリゴヌクレオチドを含む。修飾されたヌクレオシド間連結を有するオリゴヌクレオチドは、とりわけ、ヌクレオシド間連結にリン原子を有しないものを含む。
本明細書の目的では、かつ時々当分野において言及されるように、それらのヌクレオシド間連結にリン原子を有しない修飾されたオリゴヌクレオチドもまた、オリゴヌクレオシドであると考えることができる。特別な実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドは、そのヌクレオシド間連結においてリン原子を有するであろう。本明細書の目的では、かつ時々当分野で言及されているように、それらのヌクレオシド骨格においてリン原子を有しない修飾されたRNAもまた、オリゴヌクレオシドであると考えることもできる。特別な実施形態において、修飾されたRNAはそのヌクレオシド間骨格においてリン原子を有するであろう。
修飾されたヌクレオシド間連結は、(例えば、RNA骨格)を含み、例えば、ホスホロチオエート、キラルなホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’−アルキレンホスホネートおよびキラルなホスホネートを含むメチルおよび他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホルアミデートおよびアミノアルキルホスホルアミデートを含むホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、および正常な3’−5’連結を有するボラノホスフェート、逆転した極性を有するこれらおよびそれらの2’−5’連結アナログを含み、ここに、ヌクレオシドユニットの隣接する対は、3’−5’〜5’−3’、または2’−5’〜5’−2’連結している。種々の塩、混合塩、および遊離酸形態も含まれる。
前述リン含有連結の調製を教示する代表的な特許は、限定されるものではないが、米国特許第3,687,808号;第4,469,863号;第4,476,301号;第5,023,243号;第5,177,195号;第5,188,897号;第5,264,423号;第5,276,019号;第5,278,302号;第5,286,717号;第5,321,131号;第5,399,676号;第5,405,939号;第5,453,496号;第5、455,233号;第5,466,677号;第5,476,925号;第5,519,126号;第5,536,821号;第5,541,316号;第5,550,111号;第5,563,253号;第5,571,799号;第5,587,361号;第5,625,050号;第6,028,188号;第6,124,445号;第6,160,109号;第6,169,170号;第6,172,209号;第6,239,265号;第6,277,603号;第6,326,199号;第6,346,614号;第6,444,423号;第6,531,590号;第6,534,639号;第6,608,035号;第6,684,167号;第6,858,715号;第6,867,294号;第6,878,805号;第7,015,315号;第7,041,816号;第7,273,933号;第7,321,029号;および第RE39464号を含む。
その中にリン原子を含まない修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間連結(例えば、RNA骨格)は、短鎖アルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間連結、混合ヘテロ原子およびアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間連結、または1以上の短鎖ヘテロ原子または複素環ヌクレオシド間連結によって形成されるヌクレオシド結合を有する。これらは、(部分的には、ヌクレオシドの糖部分から形成された)モルホリノ連結;シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン骨格;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格;スルホネートおよびスルホンアミド骨格;アミド骨格;および混合N、O、SおよびCH2成分部分を有するその他ものを含む。
前述オリゴヌクレオシドの調製を教示する代表的な特許は、限定されるものではないが、米国特許第5,034,506号;第5,166,315号;第5,185,444号;第5,214,134号;第5,216,141号;第5,235,033号;第5,64,562号;第5,264,564号;第5,405,938号;第5,434,257号;第5,466,677号;第5,470,967号;第5,489,677号;第5,541,307号;第5,561,225号;第5,596,086号;第5,602,240号;第5,608,046号;第5,610,289号;第5,618,704号;第5,623,070号;第5,663,312号;第5,633,360号;第5,677,437号;および第5,677,439号を含む。
RNAエフェクター分子で用いるのに適した、または用いることが考えられる他の修飾されたオリゴヌクレオチドにおいて、糖およびヌクレオシド間連結の双方、すなわち、ヌクレオチド単位の骨格は新規な基で置き換えられる。塩基単位は、適当な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。1つのオリゴマー化合物については、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されているRNAミメティックは、ペプチド核酸(PNA)と言われる。PNA化合物においては、RNAの糖骨格は、アミド含有骨格、特に、アミノエチルグリシン骨格で置き換えられる。ヌクレオ塩基は保持され、骨格のアミド部分のアザ−窒素原子に直接的にまたは間接的に結合される。PNA化合物の調製を教示する代表的な特許は、限定されるものではないが、米国特許第5,539,082号;第5,714,331号;および第5,719,262号を含む。PNA化合物のさらなる教示は、例えば、Nielsenら254 Science 1497−1500(1991)に見出すことができる。
本発明において特徴付けられるいくつかの実施形態は、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結を備えたオリゴヌクレオチド、およびヘテロ原子骨格および、特に、−CH2−NH−CH2−、[メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として知られた]−CH2−N(CH3)−O−CH2―、−CH2−O−N(CH3)−CH2−、−CH2−N(CH3)−N(CH3)−CH2−および−N(CH3)−CH2−CH2−[ここに、天然ホスホジエステルヌクレオシド間連結は−O−P−O−CH2−として表わされる](米国特許第5、489、677号参照)、およびアミド骨格(米国特許第5、602、240号参照)を備えたオリゴヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態において、本明細書中で特徴が述べられたオリゴヌクレオチドはモルホリノ骨格構造(米国特許第5,034,506号参照)を有する。
修飾されたオリゴヌクレオチドはまた、1以上の置換された糖部位を含有することができる。本明細書中で特徴付けられる、RNAエフェクター分子、例えば、dsRNAは、2’位置において以下のうちの1つを含むことができる:H(デオキシリボース);OH(リボース);F;O−、S−、またはN−アルキル;O−、S−、またはN−アルケニル;O−、S−またはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキル、ここに、該アルキル、アルケニルおよびアルキミルは置換されたまたは置換されていないC1〜C10アルキルまたはC2〜C10アルケニルおよびアルキニルであり得る。例示的な適当な修飾はO[(CH2)nO]mCH3、O(CH2)nOCH3、O(CH2)nNH、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、およびO(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2を含み、ここに、nおよびmは包括的に1〜10である。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは2’位置において以下のもののうちの1つを含む:C1〜C10低級アルキル、置換された低級アルキル、アルカリール、アラルキル、O−アルカリールまたはO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2,ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換されたシリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAエフェクター分子)の薬物動態特性を改良する基、またはオリゴヌクレオチド(例えば、RNAエフェクター分子)の薬物動態特性を改良する基、および同様な特性を有する他の置換基。いくつかの実施形態において、修飾は2’−メトキシエトキシ(2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOEとしても知られた2’−O−CH2CH2OCH3)(Martinら78 Helv.Chim.Acta 486−504(1995))、すなわち、アルコキシ−アルキル基を含む。もう1つの例示的な修飾は2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、本明細書中において以下の実施例に記載される、2’−DMAOEとしても知られたO(CH2)2ON(CH3)2基、および(2’―O−ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’―DMAEOEとして当分野でやはり知られている)2’―ジメチルアミノエトキシエトキシ、すなわち、2’−O−CH2−O−CH2−N(CH2)2である。
他の修飾は2’−メトキシ(2’−OCH3)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCH2CH2CH2NH2)および2’−フルオロ(2’−F)を含む。同様な修飾は、オリゴヌクレオチドの他の位置、特に、3’末端ヌクレオチド上、または2’−5’結合オリゴヌクレオチドにおける糖の3’位置、および5’末端ヌクレオチドの5’位置でなすこともできる。オリゴヌクレオチドは、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部位のような糖ミミックを有することもできる。そのような修飾された糖構造の調製を教示する代表的な特許は、限定されるのではないが、そのうちあるものは本出願と共通して所有されている、米国特許第4,981,957号;第5,118,800号;第5,319,080号;第5,359,044号;第5,393,878号;第5,446,137号;第5,466,786号;第5,514,785号;第5,519,134号;第5,567,811号;第5,576,427号;第5,591,722号;第5,597,909号;第5,610,300号、第5,627,053号;第5,639,873号;第5,646,265号;第5,658,873号;第5,670,633号、および第5,700,920号を含む。
オリゴヌクレオチド(例えば、RNAエフェクター分子)は、(しばしば、当分野においては、単に「塩基」という)ヌクレオ塩基修飾または置換を含むこともできる。本明細書中で用いられるように、「修飾されていない」または「天然」ヌクレオ塩基はプリン塩基のアデニン(A)およびグアニン(G)、およびピリミジン塩基のシトシン(C)およびウラシル(U)を含む。修飾されたヌクレオ塩基は、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌブラリン、イソグアノシン、ツベルシジン、2−(ハロ)アデニン、2−(アルキル)アデニン、2−(プロピル)アデニン、2(アミノ)アデニン、2−(アミノアルキル)アデニン、2(アミノプロピル)アデニン、2(メチルチオ)N6(イソペンテニル)アデニン、6(アルキル)アデニン、6(メチル)アデニン、7(デアザ)アデニン、8(アルケニル)アデニン、8−(アルキル)アデニン、8(アルキニル)アデニン、8(アミノ)アデニン、8−(ハロ)アデニン、8−(ヒドロキシル)アデニン、8(チオアルキル)アデニン、8−(チオール)アデニン、N6−(イソペンテニル)アデニン、N6(メチル)アデニン、N6、N6(ジメチル)アデニン、2−(アルキル)グアニン、2(プロピル)グアニン、6−(アルキル)グアニン、6(メチル)グアニン、7(アルキル)グアニン、7(メチル)グアニン、7(デアザ)グアニン、8(アルキル)グアニン、8−(アルケニル)グアニン、8(アルキニル)グアニン、8−(アミノ)グアニン、8(ハロ)グアニン、8−(ヒドロキシル)グアニン、8(チオアルキル)グアニン、8−(チオール)グアニン、N(メチル)グアニン、2−(チオ)シトシン、3(デアザ)5(アザ)シトシン、3−(アルキル)シトシン、3(メチル)シトシン、5−(アルキル)シトシン、5−(アルキニル)シトシン、5(ハロ)シトシン、5(メチル)シトシン、5(プロピニル)シトシン、5(プロピニル)シトシン、5(トリフルオロメチル)シトシン、6−(アゾ)シトシン、N4(アセチル)シトシン、3(3アミノ−3カルボキシプロピル)ウラシル、2−(チオ)ウラシル、5(メチル)2(チオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)−2(チオ)ウラシル、4−(チオ)ウラシル、5(メチル)4(チオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)−4(チオ)ウラシル、5(メチル)2,4(ジチオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)−2,4(ジチオ)ウラシル、5(2−アミノプロピル)ウラシル、5−(アルキル)ウラシル、5−(アルキニル)ウラシル、5−(アリルアミノ)ウラシル、5(アミノアリル)ウラシル、5(アミノアルキル)ウラシル、5(グアニジニウムアルキル)ウラシル、5(1,3−ジアゾール−1−アルキル)ウラシル、5−(シアノアルキル)ウラシル、5−(ジアルキルアミノアルキル)ウラシル、5(ジメチルアミノアルキル)ウラシル、5−(ハロ)ウラシル、5−(メトキシ)ウラシル、ウラシルー5オキシ酢酸、5(メトキシカルボニルメチル)−2−(チオ)ウラシル、5(メトキシカルボニル−メチル)ウラシル、5(プロピニル)ウラシル、5(プロピニル)ウラシル、5(トリフルオロメチル)ウラシル、6(アゾ)ウラシル、ジヒドロウラシル、N3(メチル)ウラシル、5−ウラシル(すなわち、プソイドウラシル)、2(チオ)プソイドウラシル、4(チオ)プソイドウラシル、2,4−(ジチオ)プソイドウラシル、5−(アルキル)プソイドウラシル、5−(メチル)プソイドウラシル、5−(アリル)−2−(チオ)プソイドウラシル、5−(メチル)−2−(チオ)プソイドウラシル、5−(アルキル)−4(チオ)プソイドウラシル、5−(メチル)−4(チオ)プソイドウラシル、5−(アルキル)−2,4(ジチオ)プソイドウラシル、5−(メチル)−2,4(ジチオ)プソイドウラシル、1置換プソイドウラシル、1置換2(チオ)−プソイドウラシル、1置換4(チオ)プソイドウラシル、1置換2,4−(ジチオ)プソイドウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)−プソイドウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)−2(チオ)−プソイドウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)−4(チオ)プソイドウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)2,4−(ジチオ)プソイドウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−プソイドウラシル、1(アミノアルキルアミノ−カルボニルエチレニル)−2(チオ)−プソイドウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−4(チオ)プソイドウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−2,4−(ジチオ)プソイドウラシル、1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)―フェノキサジン−1−イル、1,3−(ジアザ)2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、7−置換1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−置換1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−置換1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、7−置換1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、7−(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−(グアニジニウムアルキル−ヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、7−(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、1,3,5−(トリアザ)−2,6−(ジオキサ)−ナフタレン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌブラリン、ツベルシジン、イソグアニジン、イノシニル、2−アザ−イノシニル、7−デアザ−イノシニル、ニトロイミダゾリル、ニトロピラゾリル、ニトロベンズイミダゾリル、ニトロインダゾリル、アミノインドリル、ピロロピリミジニル、3−(メチル)イソカルボスチリリル、5−(メチル)イソカルボスチリリル、3−(メチル)−7−(プロピニル)イソカルボスチリリル、7−(アザ)インドリル、6−(メチル)、7−(アザ)インドリル、イミジゾピリジニル、9−(メチル)−イミジゾピリジニル、ピロロピリジニル、イソカルボスチリリル、7−(プロピニル)イソカルボスチリリル、プロピニル−7−(アザ)インドリル、2,4,5−(トリメチル)フェニル、4−(メチル)インドリル、4,6−(ジメチル)インドリル、フェニル、ナフタレニル、アントラセニル、フェナントラセニル、ピレニル、スチルベニル、テトラセニル、ペンタセニル、ジフルオロトリル、4−(フルオル)−6−(メチル)ベンズイミダゾール、4−(メチル)ベンズイミダゾール、6−(アゾ)チミン、2−ピリジノン、5ニトロインドール、3ニトロピロール、6−(アザ)ピリミジン、2(アミノ)プリン、2,6−(ジアミノ)プリン、5置換ピリミジン類、N2−置換プリン類、N6−置換プリン類、O6−置換プリン類、置換された1,2,4−トリアゾール、ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、パラ−置換−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、オルト−置換−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、ビス−オルト−置換−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、パラ−(アミノアルキルヒドロキシ)−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、オルト−(アミノアルキルヒドロキシ)−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、ビス−オルト−(アミノアルキルヒドロキシ)−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、ピリドピリミジン−3−イル、2−オキソ−7−アミノ−ピリドピリミジン−3−イル、2−オキソ−ピリドピリミジン−3−イル、またはそれらのいずれかのO−アルキル化またはN−アルキル化誘導体のような他の合成および天然ヌクレオ塩基を含む。修飾されたヌクレオ塩基は、コンジュゲートされた部位、例えば、リガンドを含む天然塩基も含む。
さらなるヌクレオ塩基は、米国特許第3,687,808号;MODIFIED NUCLEOSIDES BIOCHEM.,BIOTECH.&MEDICINE (Herdewijn, ed.,Wiley−VCH, 2008);WO 2009/120878; CONCISE ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE & ENGIN.858−59(Kroschwitz ed.,John Wiley & Sons,1990);Englischら30 Angewandte Chemie,Intl.Ed.613(1991);Sanghvi,15 DSRNA RESEARCH & APPLICATIONS 289−302(Crooke & Lebleu,eds.,CRC Press,Boca Raton,FL,1993)に開示されているものを含む。これらのヌクレオ塩基のうちあるものは、本発明において特徴とされるオリゴマー化合物の結合親和性を増加させるのに特に有用である。これらは、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンを含む、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジンおよびN−2、N−6および0〜6置換プリンを含む。5−メチルシトシン置換は、0.6〜1.2℃だけ核酸デュプレックス安定性を増加させることが示されており(Sanghvi,276−78において)、および2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わせた場合にはさらにより特別に、例示的な塩基置換である。
前述した修飾されたヌクレオ塩基ならびに他の修飾されたヌクレオ塩基のうちのあるものの調製を教示する代表的な特許は、限定されるものではないが、前述した米国特許第3,687,808号;第4,845,205号;第5,130,30;第5,134,066号;第5,175,273号;第5,367,066号;第5,432,272号;第5,457,191号;第5,457,187号;第5,459,255号;第5,484,908号;第5,502,177号;第5,525,711号;第5,552,540号;第5,587,469号;第5,594,121号,第5,596,091号;第5,614,617号;第5,681,941号;第6,015,886号;第6,147,200号;第6,166,197号;第6,222,025号;第6,235,887号;第6,380,368号;第6,528,640号;第6,639,062号;第6,617,438号;第7,045,610号;第7,427,672号;第7,495,088号;および第5,750,692号を含む。
該オリゴヌクレオチドは、1以上のロックされた核酸(LNA)を含むよう修飾することもできる。ロックされた核酸は、2’および4’炭素を連結する過剰なブリッジを含む修飾されたリボース部位を有するヌクレオチドである。この構造は、3’−エンド構造立体配座にリボースを効果的に「ロック」する。ロックされた核酸のオリゴヌクレオチド分子への付加は、血清中でのオリゴヌクレオチド分子の安定性を増加させ、およびオフ−標的効果を低下させることが示されてきた。Elmenら33−Nucl.Acids Res.439−47(2005);Mookら6 Mol.Cancer Ther.833−43(2007);Grunwellerら31、Nucl.Acids Res.3185−93(2003);米国特許第6,268,490号;第6,670,461号;第6,794,499号;第6,998,484号;第7,053,207号;第7,084,125号;および第7,399,845号。
ある場合には、RNAエフェクター分子のオリゴヌクレオチドは、非リガンド基によって修飾することができる。オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞摂取を増強させるために、多数の非リガンド分子がオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされており、そのようなコンジュゲーションを実行するための手法は科学文献で入手可能である。そのような非リガンド部位は、コレステロール(Kuboら365 Biochem.Biophys.Res.Comm.54−61(2007);Letsingerら86 PNAS 6553(1989));コール酸(Manoharanら1994);チオエーテル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharanら1992;Manoharanら1993);チオコレステロール(Oberhauserら1992);脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison−Behmoarasら1991;Kabanovら259 FEBS Lett.327(1990);Svinarchukら75 Biochimie 75(1993));リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたは1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロー3−H−ホスホン酸トリエチルアンモニウム(Manoharanら(1995);Sheaら18 Nucl. Acids Res.3777(1990));ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(ManoharanらNucleosides & Nucleotides,1995);またはアダマンタン酢酸(ManoharanらTetrahedron Lett.,1995);パルミチル部位(Mishraら1995);またはオクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部位(Crookeら1996)のような脂質部位を含むものであった。そのようなRNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許は本明細書中にリストされている。典型的なコンジュゲーションプロトコルは、配列の1以上の位置にアミノリンカーを担持するオリゴヌクレオチドの合成を含む。次いで、適当なカップリングまたは活性化試薬を用い、アミノ基を、コンジュゲートされるべき分子と反応させる。コンジュゲーション反応は、溶液相中で、固体支持体に依然として結合しているRNAを用いて、またはRNAの切断に従って、のいずれかで実行することができる。HPLCによるRNAコンジュゲートの精製は、典型的には、純粋なコンジュゲートを与える。
例示的なRNAエフェクター分子の核酸配列は、標準的な命名法、具体的には、以下のように、表17の略語を用いて以下に表わす:
本発明で特徴とされる(例えば、RNAエフェクター分子の)オリゴヌクレオチドのもう1つの修飾は、オリゴヌクレオチドの1以上のリガンドに、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、または細胞摂取を増強させる部位またはコンジュゲートを化学的に連結させることを含む。そのような部位は、限定されるものではないが、コレステロール部位(Letsingerら 86 PNAS 6553−56(1989);コール酸(Manoharanら4 Biorg. Med. Chem.Let.1053−60(1994));チオエーテル、例えば、べリル−S−トリチルチオール(Manoharanら660 Ann.NY Acad.Sci.306309(1992);Manoharanら3 Biorg.Med.Chem.Let.2765−70(1993));チオコレステロール(Oberhauserら20 Nucl.Acids Res.533−38(1992));脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison−Behmoarasら10 EMBO J. 1111−18(1991);Kabanovら259 FEBS Lett.327−30(1990);SvinarchukらBiochimie 49−54(1993));リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチル−1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−ホスホン酸アンモニウム(Manoharanら36 Tetrahdron Lett. 3651−54(1995);Sheaら18 Nucl.Acids Res.3777−83(1990));ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharanら14 Nucleosides & Nucleotides 969−73(1995));またはアダマンタン酢酸(ManoharanらTetrahedron Lett.,1995);パルミチル部位(Mishraら1264 Biochim.Biophys.,Acta 229−37(1995));またはオクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ−カルボニルオキシコレステロール部位(Crookeら227 J.Pharmacol.Exp.Ther.923−37(1996));のような脂質部位を含む。
1つの実施形態において、リガンドは、それが取り込まれるRNAエフェクター分子剤の分布、標的化または寿命を改変する。いくつかの実施形態において、例えば、そのようなリガンドが存在しない種と比較して、リガンドは、選択された標的、例えば、分子、細胞または細胞型、区画、例えば、細胞または器官の区画、身体の組織、器官または領域に対する増強された親和性を供する。理想的には、リガンドは、デュプレックス化された核酸でのデュプレックス対合において役割を果たさないであろう。
リガンドは、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL),またはグロブリン);炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリンまたはヒアルロン酸)または脂質のような天然に生じる物質を含むことができる。リガンドは、合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸のような組換えまたは合成分子とすることもできる。ポリアミノ酸の例は、ポリリシン(PLL)、ポリLアスパラギン酸、ポリL−グルタミン酸、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポオリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2−エチルアクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミドポリマー、またはポリホスファジンを含む。ポリアミンの例は、ポリエチレンイミン、ポリリシン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、プソイドペプチド−ポリアミン、ペプチドミメティックポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第四級塩、またはα−らせんペプチドを含む。
リガンドは、標的化基、例えば、細胞または組織標的化剤、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質またはタンパク質、例えば、腎臓細胞のような特定の細胞型に結合する抗体を含むこともできる。標的化基はチロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、界面活性剤タンパク質A、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン、多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタメート、ポリアスパルテート、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、フォレート、ビタミンB12、ビオチン、またはRGDペプチドまたはRGDペプチドミメティックとすることができる。
リガンドの他の例は、色素、インターカレイティング剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、プソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環状芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性分子、例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオ−ル、メントール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リチオコール酸、O3−(オレオイル)コレイン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)、およびペプチドコンジュゲート(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG−40K)、MPEG[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換されたアルキル、放射性方式マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収ファシリテーター(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ、(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン−イミダゾールコンジュゲート、テトラアザマクロサイクルのEu3+複合体)、ジニトロフェニル、HRP、またはAPを含む。
リガンドは、タンパク質、例えば、糖タンパク質、またはペプチド、例えば、コ−リガンドに対する特異的親和性を有する分子、または抗体、例えば、癌細胞、内皮細胞、または骨細胞のような特定の細胞型に結合する抗体とすることができる。リガンドは、ホルモンおよびホルモン受容体を含むこともできる。それらは、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−ガラクトサミン多価マンノース、または多価フコースのような非ペプチド種を含むこともできる。リガンドは、例えば、リポ多糖、p38 MAPキナーゼのアクチベーター、またはNF−κBのアクチベーターとすることができる。
リガンドは、物質、例えば、細胞の細胞骨格を破壊することによって、例えば、細胞の微小管、マイクロフィラメント、および/または中間フィラメントを破壊することによってRNAエフェクター分子剤の細胞への取り込みを増加させることができる薬物とすることができる。該薬物は、例えば、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャプラキノリド、ラトリンクリン、A、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシン、またはミオセルビンとすることができる。
例としてのリガンドは脂質または脂質ベースの分子である。そのような脂質または脂質ベースの分子は、好ましくは、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合する。HSA結合リガンドは、コンジュゲートの標的組織、例えば、身体の非腎臓標的組織への分布を可能とする。例えば、標的組織は、肝臓の実質細胞を含む肝臓であり得る。HSAに結合することができる他の分子はリガンドとして用いることもできる。例えば、ナプロキセンまたはアスピリンを用いることができる。脂質または脂質ベースのリガンドは、(a)コンジュゲートの分解に対する抵抗性を増加させ、(b)標的細胞または細胞膜への標的または輸送を増加させ、および/または(c)血清タンパク質、例えば、HSAへの結合を調整することができる。
脂質ベースのリガンドを用いて、変調する、例えば、コンジュゲートの標的組織への結合を制御することができる。例えば、HSAにより強く結合する脂質または脂質ベースのリガンドは、腎臓に対して標的化されるようではなく、従って、胚からあまり除去されないようである。HSAにあまり強くなく結合する脂質または脂質ベースのリガンドを用いて、コンジュゲートを腎臓に標的化することができる。例えば、脂質ベースのリガンドはHSAに結合し、あるいは、それは、コンジュゲートが非腎臓組織に分布されるが、可逆的でもあるように、十分な親和性をもってHSAに結合する。別法として、脂質ベースのリガンドは、コンジュゲートが腎臓に分布するように、HSAに弱く結合するか、または全く結合しない。腎臓細胞に標的化する他の部位は、脂質ベースのリガンドの代わりに、またはそれに加えて用いることもできる。
1つの態様において、リガンドは部位、例えば、胚細胞、例えば、増殖する細胞によって取り込まれるビタミンである。例示的なビタミンは、ビタミンA、EおよびKを含む。他の例示的なビタミンは、胚細胞によって取り込まれる、Bビタミン、例えば、葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサールまたは他のビタミンまたは栄養素を含む。また、HSAおよび低密度リポタンパク質も含まれる。
別の態様において、リガンドは細胞浸透剤、好ましくは、らせん細胞浸透剤である。好ましくは、該剤は両親媒性である。例示的な剤はtatまたはアンテノペリアのようなペプチドである。剤がペプチドであれば、それを修飾することができ、ペプチジルミメティック、逆転異性体、非ペプチドまたはプソイド−ペプチド連結、およびD−アミノ酸の使用を含む。らせん剤はα−らせん剤とすることができ、親油性および疎油性相を含むことができる。
リガンドはペプチドまたはペプチドミメティックとすることができる。(本明細書中においては、オリゴペプチドミメティックとも言われる)ペプチドミメティックは、天然ペプチドと同様な規定された三次元構造に折り畳まれ得る分子である。ペプチドおよびペプチドミメティックスのRNAエフェクター分子材への付着は、細胞認識および吸収を増強させることなどにより、RNAエフェクター分子の薬物動態的分布に影響し得る。ペプチドまたはペプチドミメティック部位は約5〜50アミノ酸長、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50アミノ酸長であり得る(例えば、表18参照)。
RGDペプチド部分は、内皮系腫瘍細胞または乳癌腫瘍細胞などの腫瘍細胞を標的とするのに使用され得る。Zitzmannら、62 Cancer Res.5139−43(2002)。RGDペプチドは、dsRNA物質が、肺、腎臓、脾臓、または肝臓を含む様々な他の組織の腫瘍にターゲッティングするのを容易にし得る。Aokiら、8 Cancer Gene Ther.783−87(2001)。好ましくは、RGDペプチドは、RNAエフェクター分子物質が腎臓にターゲッティングするのを容易にするであろう。RGDペプチドは、直線状または環状であり得るか、または特定の組織にターゲッティングするのを容易にするために修飾(例えば、グリコシル化またはメチル化)され得る。例えば、グリコシル化RGDペプチドは、RNAエフェクター分子物質を、αVβ3を発現する腫瘍細胞に送達し得る。Haubnerら、42 J.Nucl.Med.326−36(2001)。
「細胞浸透ペプチド」は、細胞を浸透することができる。それは、例えば、αヘリックス直鎖ペプチド(例えば、LL−37またはセロピンP1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α−ディフェンシン、β−ディフェンシン、またはバクテネシン)、または一つもしくは2つの支配的アミノ酸(dominating amino acid)のみを含むペプチド(例えば、PR−39またはインドリシジン)であり得る。細胞浸透ペプチドはまた、核局在化シグナル(NLS)も含み得る。例えば、細胞浸透ペプチドは、HIV−1 gp41の融合ペプチドドメイン及びSV40ラージT抗原のNLSに由来する二部分両親媒性ペプチド(例えば、MPG)であり得る。Simeoniら、31 Nucl.Acids Res.2717−24(2003)。
オリゴヌクレオチド複合体の調製を教示する代表的な特許としては、米国特許第4,828,979号、米国特許第4,948,882号、米国特許第5,218,105号、米国特許第5,525,465号、米国特許第5,541,313号、米国特許第5,545,730号、米国特許第5,552,538号、米国特許第5,578,717,米国特許第5,580,731号、米国特許第5,591,584号、米国特許第5,109,124号、米国特許第5,118,802号、米国特許第5,138,045号、米国特許第5,414,077号、米国特許第5,486,603号、米国特許第5,512,439号、米国特許第5,578,718号、米国特許第5,608,046号、米国特許第4,587,044号、米国特許第4,605,735号、米国特許第4,667,025号、米国特許第4,762,779号、米国特許第4,789,737号、米国特許第4,824,941号、米国特許第4,835,263号、米国特許第4,876,335号、米国特許第4,904,582号、米国特許第4,958,013号、米国特許第5,082,830号、米国特許第5,112,963号、米国特許第5,214,136号、米国特許第5,082,830号、米国特許第5,112,963号、米国特許第5,214,136号、米国特許第5,245,022号、米国特許第5,254,469号、米国特許第5,258,506号、米国特許第5,262,536号、米国特許第5,272,250号、米国特許第5,292,873号、米国特許第5,317,098号、米国特許第5,371,241,米国特許第5,391,723号、米国特許第5,416,203,米国特許第5,451,463号、米国特許第5,510,475号、米国特許第5,512,667号、米国特許第5,514,785号、米国特許第5,565,552号、米国特許第5,567,810号、米国特許第5,574,142号、米国特許第5,585,481号、米国特許第5,587,371号、米国特許第5,595,726号、米国特許第5,597,696号、米国特許第5,599,923号、米国特許第5,599,928号、米国特許第5,688,941号、米国特許第6,294,664号、米国特許第6,320,017号、米国特許第6,576,752号、米国特許第6,783,931号、米国特許第6,900,297号、及び米国特許第7,037,646号が挙げられるが、これらに限定されない。
所定の化合物中のすべての位置が均一に修飾されることは必要ではなく、実際に、2つ以上の上記修飾は、単一の化合物中に、またはオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシドにおいても組み込まれ得る。本発明はまた、キメラ化合物であるオリゴヌクレオチド分子化合物を含む。本発明の文脈において、「キメラ」RNAエフェクター分子化合物または「キメラ」は、2つ以上の化学的に異なる領域を含むオリゴヌクレオチド化合物(例えば、dsRNA)であり、dsRNA化合物の場合、それぞれが少なくとも一つのモノマー単位(すなわち、ヌクレオチド)で構成されている。これらのRNAエフェクター分子は、典型的には少なくとも一つの領域を含み、ここで、RNAは、ヌクレアーゼ分解耐性の増大、細胞取り込みの増大及び/または標的核酸に対する結合親和性の増大をRNAエフェクター分子に付与するように修飾される。オリゴヌクレオチドのさらなる領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断することができる酵素の基質として働き得る。例として、RNase Hは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。したがって、RNase Hの活性化は、RNA標的の切断をもたらし、それによって遺伝子発現のRNAエフェクター分子阻害の効率を非常に高める。その結果として、キメラdsRNAが使用される場合、同一の標的領域に対してハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシdsRNAと比較して、より短いRNAエフェクター分子を用いて同程度の結果がしばしば得られる。オリゴヌクレオチドの切断は、ゲル電気泳動によって、そして必要な場合には当技術分野において既知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって、通常検出され得る。
VI.RNAエフェクター分子の導入/送達
本明細書で提供される方法によるオリゴヌクレオチド(例えばRNAエフェクター分子)の細胞への送達は、多くの異なる方法で達成され得る。例えば、RNAエフェクター分子、例えばdsRNAを含有する組成物を細胞培養物に投与することによって直接的に送達を実施することができる。あるいは、RNAエフェクター分子をコードし、その発現を指令する1またはそれ以上のベクターを細胞に投与することによって間接的に送達を実施することができる。これらの選択肢を本明細書中でさらに論じる。
VI.RNAエフェクター分子の導入/送達
本明細書で提供される方法によるオリゴヌクレオチド(例えばRNAエフェクター分子)の細胞への送達は、多くの異なる方法で達成され得る。例えば、RNAエフェクター分子、例えばdsRNAを含有する組成物を細胞培養物に投与することによって直接的に送達を実施することができる。あるいは、RNAエフェクター分子をコードし、その発現を指令する1またはそれ以上のベクターを細胞に投与することによって間接的に送達を実施することができる。これらの選択肢を本明細書中でさらに論じる。
一部の実施形態では、RNAエフェクター分子は、1もしくはそれ以上のsiRNAもしくはshRNAエフェクター分子または1もしくはそれ以上のsiRNAもしくはshRNAエフェクター分子をコードするDNAを含有する侵入性細菌を細胞に導入すること(時としてトランスキングダムRNAi(tkRNAi)と称されるプロセス)によって細胞に導入されるsiRNAまたはshRNAエフェクター分子である。侵入性細菌は、リステリア属、赤痢菌属、サルモネラ属、大腸菌もしくはビフィドバクテリウム属の弱毒株、または、例えば侵入性細菌が細胞の細胞質にアクセスすることを可能にする1もしくはそれ以上の遺伝子を導入することによって、その侵入特性を高めるように遺伝的に修飾された非侵入性細菌であり得る。そのような細胞質標的遺伝子の例は、リステリア属のリステリオリシンO及び偽結核エルジニア菌のインベーシンタンパク質を含む。トランスキングダムRNAi(tkRNAi)を誘導するためにRNAエフェクター分子を動物細胞に送達する方法は当技術分野において公知である。例えば、米国特許出願公開第2008/0311081号及び同第2009/0123426号参照。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子はsiRNA分子である。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子はshRNA分子ではない。
本明細書で述べるように、オリゴヌクレオチドは、エンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼによるdsRNAの迅速な分解を防ぎ、望ましくないオフターゲット効果を回避するように修飾され得る。例えば、RNAエフェクター分子を、細胞取込みを増強し、分解を防ぐためにコレステロールなどの親油基に化学結合することによって修飾できる。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子は親油基、例えばコレステロールへの化学結合によって修飾されない。
選択的実施形態では、ナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソームまたはカチオン送達システム(cationic delivery system)などの薬剤送達システムを用いてRNAエフェクター分子を送達することができる。正に荷電したカチオン送達システムは、RNAエフェクター分子(負に荷電している)の結合を促進し、また効率的な細胞取込みを可能にする負に荷電した細胞膜での相互作用を増強する。カチオン性脂質、デンドリマーまたはポリマーをRNAエフェクター分子に結合するか、またはRNAエフェクター分子を包み込む小胞またはミセルを形成するように誘導することができる。例えば、Kimら、129 J.Contr.Release 107−16(2008)参照。カチオン−RNAエフェクター分子複合体を作製し、使用するための方法は、十分に当業者の能力の範囲内である。例えば、Sorensenら、327 J.Mol.Biol.761−66(2003)、Vermaら、9 Clin.Cancer Res.1291−1300(2003)、Arnoldら、25 J.Hypertens. 197−205(2007)参照。
RNAエフェクター分子が、センス鎖とアンチセンス鎖を含む、低分子干渉RNA(siRNA)などの二本鎖分子である場合は、センス鎖とアンチセンス鎖を別々にかつ経時的に細胞、細胞溶解物、組織または細胞培養物に暴露することができる。「別々にかつ経時的に」という語句は、二本鎖RNAエフェクター分子の各々の鎖を一本鎖形態で、例えば両方の鎖のアニーリングしていない混合物の形態でまたは各々の鎖の別々の、すなわち非混合製剤を細胞、細胞溶解物、組織または細胞培養物に導入することを指す。一部の実施形態では、各々の鎖の導入の間に、数秒間から数分間、さらには約1時間またはそれ以上、例えば12時間、24時間、48時間、72時間、84時間、96時間または108時間またはそれ以上にわたり得る時間間隔が存在する。別々かつ経時的な投与は、正準または非正準RNAエフェクター分子を用いて実施できる。
複数のRNAエフェクター分子を別々にかつ経時的に投与することも本明細書で企図される。従って、標的遺伝子に対する所望の平均パーセント阻害を達成するために複数のRNAエフェクター分子の各々を別々の時点でまたは異なる頻度間隔で投与できる。例えば、Bakを標的するRNAエフェクター分子はLDHを標的するRNAエフェクター分子よりも頻繁に投与することができ、これは、Bakの発現がBak RNAエフェクター分子での処理後により速く回復するためである。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子を約0.01nM〜200nMの濃度で添加する。別の実施形態では、RNAエフェクター分子を約50 分子/細胞〜500,000分子/細胞の量で添加する。別の実施形態では、RNAエフェクター分子を約0.1fmol/106細胞〜約 1pmol/106細胞の濃度で添加する。
別の態様では、標的遺伝子の発現を調節するためのRNAエフェクター分子を、DNAまたはRNAベクターに挿入した転写単位から発現させることができる。例えば、Coutureら、12 TIG 5−10(1996)、国際公開広報第WO00/22113号、国際公開広報第WO00/22114号、米国特許第6,054,299号参照。発現は、使用される特定の構築物及び標的組織または細胞型に依存して、一過性(およそ数時間から数週間)または持続性(数週間から数か月間またはそれ以上)であり得る。これらの導入遺伝子は、組込みまたは非組込みベクターであり得る、線状構築物、環状プラスミドまたはウイルスベクターとして導入できる。導入遺伝子はまた、染色体外プラスミドとして遺伝されることを可能にするように構築することもできる。Gassmannら、92 PNAS 1292(1995)。
RNAエフェクター分子の個々の鎖または両方の鎖は、発現ベクター上のプロモーターから転写され得る。2つの別々の鎖を、例えばdsRNAを生成するように発現させる場合、2つの別々の発現ベクターを標的細胞に同時導入することができる(例えばトランスフェクションまたは感染によって)。あるいは、dsRNAの各々個々の鎖は、両方ともが同じ発現プラスミド上に位置するプロモーターによって転写され得る。一つの実施形態では、dsRNAは、dsRNAがステム及びループ構造を有するようにリンカーポリヌクレオチド配列によって連結された逆方向反復配列として発現される。
RNAエフェクター分子発現ベクターは、一般にDNAプラスミドまたはウイルスベクターである。真核細胞と適合性の発現ベクター、例えば脊椎動物細胞、昆虫細胞または酵母細胞と適合性のものは、本明細書で述べるRNAエフェクター分子の発現のための組換え構築物を作製するために使用できる。真核細胞発現ベクターは当技術分野において周知であり、多くの商業的供給元から入手可能である。典型的には、所望核酸セグメントの挿入のために好都合な制限部位を含むそのようなベクターが提供される。RNAエフェクター分子発現ベクターは、標準的なトランスフェクション及び形質導入法を用いて標的細胞に直接的に送達できる。
RNAエフェクター分子発現プラスミドは、カチオン性脂質担体(例えばOLIGOFECTAMINE(商標)トランスフェクション試薬)または非カチオン性脂質ベースの担体(例えばTRANSIT−TKO(登録商標)トランスフェクション試薬、Mirus Bio LLC,Madison,WI)との複合体として標的細胞にトランスフェクトできる。1週間またはそれ以上の期間にわたって標的RNAの種々の領域を標的するRNAエフェクター分子を介したノックダウンのための複数の脂質トランスフェクションも本発明によって企図される。宿主細胞へのベクターの導入の成功は、様々な公知の方法を用いて観測できる。例えば、一過性トランスフェクションは、蛍光マーカー、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)などのレポーターで示され得る。エクスビボでの細胞の安定なトランスフェクションは、ハイグロマイシンB耐性などの特定の環境因子(例えば抗生物質及び薬剤)に対する耐性を備えたトランスフェクト細胞を提供するマーカーを使用して確保され得る。RNAエフェクター分子発現プラスミドは、カチオン性脂質担体(例えばOLIGOFECTAMINE(商標)試薬)または非カチオン性脂質ベースの担体(例えばTRANSIT−TKO(登録商標)トランスフェクション試薬)との複合体として標的細胞にトランスフェクトできる。1週間またはそれ以上の期間にわたって標的RNAの種々の領域を標的するRNAエフェクター分子を介したノックダウンのための複数の脂質トランスフェクションも本発明によって企図される。宿主細胞へのベクターの導入の成功は、様々な公知の方法を用いて観測できる。例えば、一過性トランスフェクションは、蛍光マーカー、例えばGFPなどのレポーターで示され得る。エクスビボでの細胞の安定なトランスフェクションは、ハイグロマイシンB耐性などの特定の環境因子(例えば抗生物質及び薬剤)に対する耐性を備えたトランスフェクト細胞を提供するマーカーを使用して確保され得る。
本明細書で述べる方法及び組成物に関して利用できるウイルスベクター系は、(a)アデノウイルスベクター、(b)レンチウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルス等を含むがこれらに限定されない、レトロウイルスベクター、(c)アデノ随伴ウイルスベクター、(d)単純ヘルペスウイルスベクター、(e)SV40ベクター、(f)ポリオーマウイルスベクター、(g)パピローマウイルスベクター、(h)ピコルナウイルスベクター、(i)オルトポックス、例えばワクシニアウイルスベクターまたはアビポックス、例えばカナリアポックスまたはニワトリポックスウイルスベクターなどのポックスウイルスベクター、及び(j)ヘルパー依存型またはガットレスアデノウイルスを含むが、これらに限定されない。複製欠損ウイルスも好都合であり得る。種々のベクターが細胞のゲノムに組み込まれるまたは組み込まれない。構築物は、所望する場合は、トランスフェクションのためのウイルス配列を含み得る。あるいは、構築物を、エピソーム複製することができるベクター、例えばEPV及びEBVベクターに組み込むことができる。RNAエフェクター分子の組換え発現のための構築物は、一般に、標的細胞におけるRNAエフェクター分子の発現を確実にするための調節エレメント、例えばプロモーター、エンハンサー等を必要とする。ベクター及び構築物について考慮する他の態様を本明細書でさらに説明する。
RNAエフェクター分子の送達のために有用なベクターは、所望標的細胞または組織におけるRNAエフェクター分子の発現のために十分な調節エレメント(プロモーター、エンハンサー等)を含む。調節エレメントは、構成的または調節的/誘導的発現のいずれかを提供するように選択され得る。
RNAエフェクター分子の発現は、例えば、特定の生理的調節因子、例えばグルコースレベルに対して感受性である誘導的調節配列を使用することによって正確に調節できる。Dochertyら、8 FASEB J.20−24(1994)。細胞におけるdsRNA発現の制御のために適切な、かかる誘導的発現系は、例えば、エクジソン、エストロゲン、プロゲステロン、テトラサイクリン、二量体化の化学的誘導物質及びイソプロピル−β−D1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を含む。当業者は、RNAエフェクター分子導入遺伝子の意図される用途に基づいて適切な調節/プロモーター配列を選択することができる。
特定の実施形態では、RNAエフェクター分子をコードする核酸配列を含むウイルスベクターが使用できる。例えば、レトロウイルスベクターが使用できる。Millerら、217 Meth.Enzymol.581−99(1993)、米国特許第6,949,242号参照。レトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの正しいパッケージングと宿主細胞DNAへの組込みのために必要な成分を含有する。RNAエフェクター分子をコードする核酸配列を1またはそれ以上のベクターにクローニングし、これによって細胞への核酸の送達が促進される。レトロウイルスベクターについてのさらなる詳細は、例えば、幹細胞を化学療法に対してより耐性にするためにmdr1遺伝子を造血幹細胞に送達するレトロウイルスベクターの使用を述べる、Boesenら、6 Biotherapy 291−302(1994)に見出される。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を説明する他の参考文献は、Clowesら、93 J.Clin.Invest.644−651(1994)、Kiemら、83 Blood 1467−73(1994)、Salmons&Gunzberg,4 Human Gene Ther.129−11(1993)、Grossman&Wilson,3 Curr.Opin.Genetics Devel.110−14(1993)を含む。使用のために企図されるレンチウイルスベクターは、例えば、米国特許第6,143,520号、同第5,665,557号、及び同第5,981,276号に記載されているHIVベースのベクターを含む。
本明細書で論じるように、レトロウイルスの侵入のための宿主細胞表面受容体がERV Envタンパク質によって占拠され得ること(ウイルス干渉)に留意すべきである。Miller,93 PNAS 11407−13(1996)参照。レトロウイルスエンベロープ(Env)タンパク質は、ウイルス粒子のそれらの細胞受容体への結合を媒介し、ウイルスの侵入を可能にする、新たな複製周期の第一段階である。ERVが細胞において発現された場合、関連する外因性レトロウイルスによる再感染が干渉を介して阻止される(受容体干渉とも呼ばれる)、細胞膜に挿入されたERVのEnvタンパク質は、受容体競合によって対応する外因性ウイルスを妨げる。これは、細胞をレトロウイルスの過剰負荷から保護する。例えば、外因性JSRVはすべて細胞ヒアルロニダーゼ2を受容体として利用するので、内因性JSRVは外因性JSRVの侵入をブロックすることができる。Spencerら、77 J.Virol.5749−53(2003)。欠損ERVは全く干渉しないことに注目すべきである。2つの内因性JSRV、内因性JS56A1及び内因性JSRV−20は、外因性JSRVの後期複製を妨げ得る突然変異型Gagポリタンパク質を含有する。Arnaudら、2 PLoS e170(2007)。従って、欠損レトロウイルスと自律複製可能なレトロウイルスの間の干渉は、ERVコピー数の制御の重要な機構を提供する。ERVによって発現されるEnv分子(例えばHERV−Hファミリーによって発現される)による受容体干渉は、組換えタンパク質を生産することを意図された細胞のトランスフェクションまたは再感染を妨げ得る。そのような作用は、各々が一本の相補的な抗体鎖をコードする2つのレトロウイルスベクターでトランスフェクトされた宿主細胞のような、レトロウイルスベクターを介した組換え宿主細胞における低いコピー数または低い発現を説明し得る。従って、ERV Envタンパク質の発現を阻害する本実施形態の標的遺伝子は、宿主細胞におけるレトロウイルスベクターの多重度の上昇及び免疫原性作用物質の収量の増大を提供する。
アデノウイルスもRNAエフェクター分子の送達における使用のために企図される。本発明を特徴付けるRNAエフェクター分子を発現するための適切なAVベクター、組換えAVベクターを構築するための方法、及びベクターを標的細胞に送達するための方法は、Xiaら、20 Nat.Biotech.1006−10(2002)に記載されている。
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの使用も企図される(Walshら、204 Proc.Soc.Exp.Biol.Med.289−300(1993)、米国特許第5,436,146号)。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子は、例えばU6もしくはH1 RNAプロモーターまたはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのいずれかを有する組換えAAVから2つの別々の相補的な一本鎖RNA分子として発現され得る。本発明を特徴付けるdsRNAを発現するための適切なAAVベクター、組換えAVベクターを構築するための方法、及びベクターを標的細胞に送達するための方法は、Samulskiら、61 J.Virol.3096−101(1987)、Fisherら、70 J.Virol.70:520−32(1996)、Samulskiら、63 J.Virol.3822−26 (1989)、米国特許第5,252,479号及び同第5,139,941号、国際公開広報第WO94/13788号、同第WO93/24641号に記載されている。
もう一つのウイルスベクターは、ワクシニアウイルス、例えば改変ウイルスアンカラ(MVA)もしくはNYVACなどの弱毒ワクシニアウイルス、ニワトリポックスもしくはカナリアポックスなどのアビポックスウイルスのようなポックスウイルスである。
ウイルスベクターの指向性は、適宜に、他のウイルスからのエンベロープタンパク質もしくは他の表面抗原でベクターを偽型化することによって、または異なるウイルスキャプシドタンパク質を代用することによって改変できる。例えば、レンチウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、モコラウイルス、バキュロウイルス等からの表面タンパク質で偽型化できる。モノネガウイルス目(Mononegavirales)、例えばVSVまたはRSウイルス(RSV)は、バキュロウイルスで偽型化できる。米国特許第7,041,489号。AAVベクターは、異なるキャプシドタンパク質血清型を発現するようにベクターを遺伝子操作することによって異なる細胞を標的させることができる。例えば、Rabinowitzら、76 J.Virol.791−801(2002)参照。
一つの実施形態では、本発明は、本明細書で述べるRNAエフェクター分子及び許容される担体を含有する組成物を提供する。RNAエフェクター分子を含有する組成物は、細胞における標的遺伝子の発現または活性を調節することによって細胞による免疫原性作用物質の産生を増強するために有用である。そのような組成物は、送達の方法に基づいて製剤される。免疫原性作用物質の産生を改善するうえで有用な例示的RNAエフェクター分子が本明細書で提供される。一つの実施形態では、組成物中のRNAエフェクター分子はsiRNAである。あるいは、組成物中のRNAエフェクター分子はsiRNAではない。
別の実施形態では、INFRA1またはIFNB遺伝子及びPTEN、BAK、FN1またはLDHA遺伝子などの、免疫応答経路及び細胞プロセスの発現の阻害を可能にする複数のRNAエフェクター分子を含有する組成物が本明細書で提供される。組成物は、場合により、以下を含むがこれらに限定されない付加的な細胞プロセスを標的する少なくとも一つの付加的なRNAエフェクター分子と組み合わせる(または投与する)ことができる:炭素の代謝及び輸送、アポトーシス、RNAiの取込み及び/または効率、反応性酸素種の産生、細胞周期の制御、タンパク質の折りたたみ、ピログルタミン酸化タンパク質修飾、デアミダーゼ、グリコシル化、ジスルフィド結合の形成、タンパク質分泌、遺伝子増幅、ウイルス複製、ウイルス感染、ウイルス粒子の放出、pHの制御ならびにタンパク質産生。
一つの実施形態では、本明細書で述べる組成物は複数のRNAエフェクター分子を含有する。この態様の一つの実施形態では、複数のRNAエフェクター分子の各々は異なる濃度で提供される。この態様の別の実施形態では、複数のRNAエフェクター分子の各々は同じ濃度で提供される。この態様の別の実施形態では、複数のRNAエフェクター分子の少なくとも2つは同じ濃度で提供され、複数のうちの少なくとも一つの他のRNAエフェクター分子は異なる濃度で提供される。RNAエフェクター分子及び濃度の様々な組合せが、本明細書で述べる所望作用を生じさせるために培養細胞に提供され得ることは当業者に認識される。
一つの実施形態では、第一RNAエフェクター分子を培養細胞に投与し、次に第二RNAエフェクター分子を細胞に投与する(または逆も同様である)。さらなる実施形態では、第一RNAエフェクター分子と第二RNAエフェクター分子を実質的に同時に培養細胞に投与する。
別の実施形態では、本明細書で述べるRNAエフェクター分子、例えば宿主細胞標的遺伝子に対するdsRNAを含有する組成物を、細胞による免疫原性作用物質の産生を増強するために有用な非RNA物質と共に培養細胞に投与する。
本明細書を特徴付ける組成物は、標的遺伝子の発現を阻害するのに十分な量で投与される。一般に、RNAエフェクター分子の適切な用量は、1日につき単位容量当たり0.001〜200.0mgの範囲内である。別の実施形態では、RNAエフェクター分子を1日当たり0.001nM〜200mMの範囲内、一般に0.1nM〜500nM(両端を含む)の範囲内で提供する。例えば、dsRNAは単回用量当たり0.01nM、0.05nM、0.1nM、0.5nM、0.75nM、1nM、1.5nM、2nM、3nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、100nM、200nM、400nMまたは500nMで投与し得る。
組成物は1日1回投与することができ、またはRNAエフェクター分子を、1日を通して適切な間隔で2、3もしくはそれ以上の分割用量としてまたは制御放出製剤による送達として投与できる。その場合、各分割用量に含まれるRNAエフェクター分子は、総1日用量を達成するために対応してより少用量でなければならない。投与単位はまた、例えば数日間にわたるRNAエフェクター分子の持続放出を提供する従来の持続放出製剤を用いて、数日間にわたる送達用に配合され得る。持続放出製剤は当技術分野で周知であり、本発明の物質に関して使用できるような、特定部位への薬剤の送達のために特に有用である。留意すべき点として、複数のRNAエフェクター分子を投与する場合、RNAエフェクター分子の総用量が各々を単独で投与した場合よりも高くなることを考慮しなければならない。例えば、各々1nMの3つのRNAエフェクター分子の投与(例えば標的遺伝子発現の有効な阻害のため)は、必然的に細胞への3nMの総用量を生じさせる。当業者は、RNAエフェクター分子または送達剤のいずれかの高濃度から生じる胚への望ましくない毒性作用を予防しつつ、各標的遺伝子の有効な阻害を生じさせるように各RNAエフェクター分子の必要量を変更することができる。
標的遺伝子の転写産物レベルへの単回用量の作用は、その後の用量が多くても3、4もしくは5日の間隔で、または多くても1、2、3または4週間の間隔で投与されるように、長時間作用性であり得る。
一つの実施形態では、RNAエフェクター分子の投与を、免疫原性作用物質の単離の少なくとも6時間前、少なくとも12時間前、少なくとも18時間前、少なくとも36時間前、少なくとも48時間前、少なくとも60時間前、少なくとも72時間前、少なくとも96時間前または少なくとも120時間前または少なくとも1週間前に停止する。従って一つの実施形態では、RNAエフェクター分子と宿主細胞(例えば大規模宿主細胞培養物中の)との接触は、免疫原性作用物質の単離の少なくとも6時間前、少なくとも12時間前、少なくとも18時間前、少なくとも36時間前、少なくとも48時間前、少なくとも60時間前、少なくとも72時間前、少なくとも96時間前または少なくとも120時間前または少なくとも1週間前に完了する。
また、特定の実施形態では、各細胞につき一定数(または少なくとも最小数)のRNAエフェクター分子が維持されるように培養細胞をRNAエフェクター分子と接触させることが有益であり得ることが留意される。RNAエフェクター分子自体のレベルを維持することにより、高い細胞密度であっても標的遺伝子発現の調節を確実に維持することができる。
あるいは、細胞密度に応じたRNAエフェクター分子の量を投与することができる。かかる実施形態では、RNAエフェクター分子を少なくとも0.01fmol/106細胞、少なくとも0.1fmol/106細胞、少なくとも0.5fmol/106細胞、少なくとも0.75fmol/106細胞、少なくとも1fmol/106細胞、少なくとも2fmol/106細胞、少なくとも5fmol/106細胞、少なくとも10fmol/106細胞、少なくとも20fmol/106細胞、少なくとも30fmol/106細胞、少なくとも40fmol/106細胞、少なくとも50fmol/106細胞、少なくとも60fmol/106細胞、少なくとも100fmol/106細胞、少なくとも200fmol/106細胞、少なくとも300fmol/106細胞、少なくとも400fmol/106細胞、少なくとも500fmol/106細胞、少なくとも700fmol/106細胞、少なくとも800fmol/106細胞、少なくとも900fmol/106細胞または少なくとも1pmol/106細胞またはそれ以上の濃度で添加する。
選択的実施形態では、RNAエフェクター分子を細胞につき少なくとも10分子、細胞につき少なくとも20分子(分子/細胞)、少なくとも30分子/細胞、少なくとも40分子/細胞、少なくとも50分子/細胞、少なくとも60分子/細胞、少なくとも70分子/細胞、少なくとも80分子/細胞、少なくとも90分子/細胞、少なくとも100分子/細胞、少なくとも200分子/細胞、少なくとも300分子/細胞、少なくとも400分子/細胞、少なくとも500分子/細胞、少なくとも600分子/細胞、少なくとも700分子/細胞、少なくとも800分子/細胞、少なくとも900分子/細胞、少なくとも1000分子/細胞、少なくとも2000分子/細胞、少なくとも5000分子/細胞またはそれ以上(包括的)の用量で投与する。
一部の実施形態では、RNAエフェクター分子を10〜100分子/細胞、10〜90分子/細胞、10〜80分子/細胞、10〜70分子/細胞、10〜60分子/細胞、10〜50分子/細胞、10〜40分子/細胞、10〜30分子/細胞、10〜20分子/細胞、90〜100分子/細胞、80〜100分子/細胞、70〜100分子/細胞、60〜100分子/細胞、50〜100分子/細胞、40〜100分子/細胞、30〜100分子/細胞、20〜100分子/細胞、30〜60分子/細胞、30〜50分子/細胞、40〜50分子/細胞、40〜60分子/細胞の範囲内またはそれらの間の任意の範囲内の用量で投与する。
本明細書で述べる方法の一つの実施形態では、RNAエフェクター分子を持続注入中で細胞に提供する。持続注入は、ゼロ日目(例えば細胞培養の1日目またはRNAエフェクター分子の接種の当日)に開始し得るかまたは免疫原性作用物質の生産工程の間の任意の時点で開始できる。同様に、持続注入は免疫原性作用物質の生産工程の間の任意の時点で停止できる。従って、RNAエフェクター分子または組成物の注入は、細胞増殖の特定の期、生産工程中の時間帯または任意の他の所望時点で提供及び/または除去できる。持続注入はまた、標的遺伝子に対する「所望平均パーセント阻害」[この用語が本明細書で使用される場合]を達成するように提供できる。
一つの実施形態では、細胞培養物へのRNAエフェクター分子の初期ボーラス投与後に持続注入を使用することができる。この実施形態では、持続注入は、所望期間にわたってRNAエフェクター分子の濃度を最小レベルより上に維持する。持続注入は、培養物0.03pmol/L/時〜培養物3pmol/L/時、例えば0.03pmol/L/時、0.05pmol/L/時、0.08pmol/L/時、0.1pmol/L/時、0.2pmol/L/時、0.3pmol/L/時、0.5pmol/L/時、1.0pmol/L/時、2pmol/L/時または3pmol/L/時またはそれらの間の任意の値の速度で送達され得る。
一つの実施形態では、RNAエフェクター分子を滅菌水溶液として投与する。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子を非脂質製剤中に製剤する。別の実施形態では、RNAエフェクター分子をカチオン性または非カチオン性脂質製剤中に製剤する。さらに別の実施形態では、RNAエフェクター分子を、宿主細胞を培養するのに適した細胞培地(例えば無血清培地)中に製剤する。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子の初期濃度を、標的遺伝子の発現の調節を維持するためにRNAエフェクター分子の持続注入で補完する。別の実施形態では、RNAエフェクター分子を、一定濃度(例えば1nM)を達成するためにボーラス投与において細胞増殖の特定の段階(例えば初期対数期)で培養細胞に適用し、RNAエフェクター分子の持続注入を行う。
RNAエフェクター分子は1日1回投与することができ、またはRNAエフェクター分子治療は、免疫原性作用物質の生産中を通して適切な間隔/頻度で組成物を培地に添加することによって反復できる(例えば2回、3回またはそれ以上の投与)。本明細書で使用される「頻度」という用語は、細胞培養物のトランスフェクションが生じる間隔であり、各標的遺伝子に対する所望阻害レベルを維持するように当業者によって最適化され得る間隔を指す。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子を48時間ごとの頻度で培養細胞と接触させる。他の実施形態では、RNAエフェクター分子を、免疫原性作用物質の生産期間中、例えば4時間ごと、6時間ごと、12時間ごと、18時間ごと、24時間ごと、36時間ごと、72時間ごと、84時間ごと、96時間ごと、5日ごと、7日ごと、10日ごと、14日ごと、3週間ごとまたはそれ以上の期間ごとの頻度で投与する。頻度はまた、各々の投与の間の間隔が異なるように(例えば最初は36時間の間隔;2回目は48時間の間隔;3回目は72時間の間隔等)変化させ得る。
「頻度」という用語は、同様に免疫原性作用物質の生産の間の細胞培養物の栄養供給にも適用され得る。RNAエフェクター分子での処理の頻度と栄養供給の頻度は同じである必要はない。明瞭にするため、栄養分は、RNAエフェクター処理の時点でまたは交互に添加することができる。栄養供給の頻度は、RNAエフェクター分子処理より短い間隔であってもよくまたはより長い間隔であってもよい。例えば、RNAエフェクター分子の用量を48時間の間隔で適用し、栄養供給を24時間の間隔で適用することができる。免疫原性作用物質を生産するための間隔全体(例えば3週間)の間に、RNAエフェクター分子より多い栄養分の投与量またはRNAエフェクター分子より少ない栄養分の投与量が供給され得る。あるいは、RNAエフェクター分子での処理の量は栄養供給の量に等しい。
RNAエフェクター分子処理の頻度は、特定標的遺伝子の「平均パーセント阻害」を維持するように最適化できる。本明細書で使用される、「所望平均パーセント阻害」という用語は、所望作用を生じさせるのに必要であり、かつ望ましくないまたは負の作用を生じさせる阻害の程度よりも低い、経時的な標的遺伝子発現の阻害の平均度合を指す。例えば、Bax/Bakの所望阻害は、典型的にはアポトーシスの低減を生じさせるために>80%阻害であり、一方LDHの所望平均阻害は、高度のLDH平均阻害(例えば90%)は細胞生存能を低下させるので、より低くてよい(例えば70%)。一部の実施形態では、所望平均パーセント阻害は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも 99%、さらには100%(すなわち不在)である。当業者は、所望パーセント阻害についての上限(例えば望ましくない作用を生じさせる阻害のレベル)を決定するために通常の細胞死アッセイを使用することができる。当業者はまた、遺伝子調節を生じさせるRNAエフェクター分子の量を決定するために標的遺伝子発現を検出する方法(例えばPERT)が使用できる。Zhangら、102 Biotech.Bioeng.1438−47(2009)参照。阻害の量は動的であり、RNAエフェクター分子の用量間でわずかに変動し得るので、本明細書ではパーセント阻害を経時的な平均値として述べる。
本明細書で述べる方法の一つの実施形態では、RNAエフェクター分子を培養細胞の培地に添加する。本明細書で述べる方法は、任意の大きさの細胞培養フラスコ及び/またはバイオリアクターに適用できる。例えば、該方法は、1L、3L、5L、10L、15L、40L、100L、500L、1000L、2000L、3000L、4000L、5000Lまたはそれ以上のバイオリアクターまたは細胞培養物において適用できる。一部の実施形態では、細胞培養物の大きさは、0.01L〜5000L、0.1L〜5000L、1L〜5000L、5L〜5000L、40L〜5000L、100L〜5000L、500L〜5000L、1000L〜5000L、2000L〜5000L、3000L〜5000L、4000L〜5000L、4500L〜5000L、0.01L〜1000L、0.01L〜500L、0.01L〜100L、0.01L〜40L、15L〜2000L、40L〜1000L、100L〜500L、200L〜400Lまたはそれらの間の任意の整数にわたり得る。
RNAエフェクター分子は、誘導期、定常期、初期対数期、中間対数期、後期対数期、指数期または死滅期を含むがこれらに限定されない、細胞増殖の任意の期の間に添加できる。細胞が死滅期に入る前に細胞をRNAエフェクター分子と接触させることが好ましい。アポトーシス経路を標的する場合のような、一部の実施形態では、誘導期、初期対数期、中間対数期または後期対数期などの早期増殖期に細胞を接触させることが望ましいと考えられる(例えばBax/Bak阻害)。他の実施形態では、例えば乳酸塩などの増殖制限生成物が形成される場合(例えばLDH阻害)、細胞増殖周期の後期(例えば後期対数期または定常期)に標的遺伝子発現を阻害することが望ましいまたは許容されると考えられる。
組成物
宿主細胞中の標的遺伝子の発現を調節することによって細胞培養物における免疫原性作用物質の産生を増強するための組成物も提供される。
宿主細胞中の標的遺伝子の発現を調節することによって細胞培養物における免疫原性作用物質の産生を増強するための組成物も提供される。
一つの実施形態では、本発明は、本明細書で述べるRNAエフェクター分子及び許容される担体を含有する組成物を提供する。RNAエフェクター分子を含有する組成物は、細胞における標的遺伝子の発現または活性を調節することによって細胞による免疫原性作用物質の産生を増強するために有用である。そのような組成物は、送達の方法に基づいて製剤される。免疫原性作用物質の産生を改善するうえで有用な例示的RNAエフェクター分子が本明細書で提供される。一つの実施形態では、組成物中のRNAエフェクター分子はsiRNAである。あるいは、組成物中のRNAエフェクター分子はsiRNAではない。
本発明のRNAエフェクター分子組成物は、水性、非水性または混合媒質中の懸濁液として製剤でき、また、例えば本明細書で述べるような、脂質または非脂質製剤中に製剤できる(例えば、本明細書の以下の表題の章参照:リガンド、脂質/オリゴヌクレオチド複合体、乳剤、界面活性剤、透過促進剤及び付加的な担体)。
一つの実施形態では、組成物は、少なくとも一つのRNAエフェクター分子及びRNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬、例えば乳剤、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、荷電脂質、リポソーム、アニオン性脂質、透過促進剤、トランスフェクション試薬または結合のためのRNAエフェクター分子への修飾物、例えばリガンド、標的部分、ペプチド、親油基等を含有する。
一部の実施形態では、RNAエフェクター分子組成物は、脂質No.200としても知られる「脂質H」、脂質No.201またはK8としても知られる「脂質K」、脂質No.202またはL8としても知られる「脂質L」、脂質No.203としても知られる「脂質M」、脂質No.204またはP8としても知られる「脂質P」または脂質No.205としても知られる「脂質R」を含む、RNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬を含有し、前記脂質の式は以下のように示される:
さらに別の実施形態では、RNAエフェクター分子組成物は、増殖培地添加物、例えば必須アミノ酸(例えばグルタミン)、2−メルカプトエタノール、ウシ血清アルブミン(BSA)、脂質濃縮物、コレステロール、カタラーゼ、インスリン、ヒトトランスフェリン、スーパーオキシドジスムターゼ、ビオチン、DL α−トコフェロールアセテート、DL α−トコフェロール、ビタミン類(例えばビタミンA(アセテート)、塩化コリン、D−パントテン酸カルシウム、葉酸、ニコチンアミド、塩酸ピリドキサール、リボフラビン、塩酸チアミン、i−イノシトール)、コルチコステロン、D−ガラクトース、エタノールアミンHCl、グルタチオン(還元型)、L−カルニチンHCl、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン2HCl、亜セレン酸ナトリウム、T3(トリヨード−I−チロニン)、増殖因子(例えばEGF)、鉄、L−グルタミン、L−アラニル−L−グルタミン、ヒポキサンチンナトリウム、アミノプテリン及びチミジン、アラキドン酸、エチルアルコール100%、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、プルロニックF−68(登録商標)(Invitrogen,Carlsbad,CA)、ステアリン酸10、TWEEN 80(登録商標)非イオン性界面活性剤(Invitrogen)、ピルビン酸ナトリウム及びグルコースから成る群より選択される物質を含有する。
RNAエフェクター分子組成物は、滅菌溶液中でまたは凍結乾燥されて提供され得る。一つの実施形態では、組成物は、例えば様々な投与頻度及び用量、例えば本明細書で述べる頻度及び用量での投与に適したRNAエフェクター分子を供給するために、濃度及び/または容量別に個別単位で包装される。
一つの実施形態では、組成物は、本明細書で述べる投与レジメンに従った、例えば6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、84時間、96時間、108時間またはそれ以上の頻度での、細胞への投与用に製剤される。あるいは、組成物は持続注入用の用量で製剤される。
別々の標的遺伝子に対する2またはそれ以上のRNAエフェクター分子を含有する組成物も提供される。組成物は、培養細胞中の第一標的遺伝子及び少なくとも第二標的遺伝子の発現を調節することによって細胞培養物における免疫原性作用物質の産生を増強するために使用できる。別の実施形態では、同じ標的遺伝子に対する2またはそれ以上のRNAエフェクター分子を含有する組成物が提供される。
脂質/オリゴヌクレオチド複合体
一部の実施形態では、RNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬は、本明細書で述べる荷電脂質、乳剤、リポソーム、カチオン性または非カチオン性脂質、アニオン性脂質、トランスフェクション試薬または透過促進剤を含む。一つの実施形態では、本明細書で使用されるRNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬は、2009年12月7日出願の米国仮特許出願第61/267,419号に記載されている荷電脂質を含む。
一部の実施形態では、RNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬は、本明細書で述べる荷電脂質、乳剤、リポソーム、カチオン性または非カチオン性脂質、アニオン性脂質、トランスフェクション試薬または透過促進剤を含む。一つの実施形態では、本明細書で使用されるRNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬は、2009年12月7日出願の米国仮特許出願第61/267,419号に記載されている荷電脂質を含む。
本発明のオリゴヌクレオチドは、リポソーム内に封入され得るかまたはリポソームとの複合体、特にカチオン性リポソームとの複合体を形成し得る。あるいは、RNAエフェクター分子は、脂質、特にカチオン性脂質と複合体を形成し得る。適切な脂肪酸及びエステルは、アラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリンまたはC1〜20アルキルエステル(例えばイソプロピルミリステートIPM)、モノグリセリド、ジグリセリドまたはそれらの許容される塩を含むが、これらに限定されない。
一つの実施形態では、RNAエフェクター分子は脂質製剤中に完全に封入される(例えばSPLP、pSPLP、SNALPまたは他の核酸−脂質粒子を形成するように)。「SNALP」という用語は、安定な核酸−脂質粒子:RNAエフェクター分子またはRNAエフェクター分子がそこから転写されるプラスミドなどの核酸を含有する、水分量の低い内部を被覆する脂質の小胞を指す。SNALPは、例えば米国特許出願公開第2006/0240093号、同第2007/0135372号、同第2009/0291131号、米国特許出願第12/343,342号、同第12/424,367号に記載されている。「SPLP」という用語は、脂質小胞内に封入されたプラスミドDNAを含有する核酸−脂質粒子を指す。SNALP及びSPLPは、典型的にはカチオン性脂質、非カチオン性脂質、及び粒子の凝集を防ぐ脂質(例えばPEG−脂質コンジュゲート)を含有する。SPLPは「pSPLP」を包含し、pSPLPは、国際公開広報第WO00/03683号に示されている封入された縮合剤−核酸複合体を含む。この実施形態の粒子は、典型的には約50nm〜約150nm、または約60nm〜約130nm、または約70nm〜約110nm、または典型的には約70nm〜約90nm(両端を含む)の平均直径を有し、実質的に非毒性である。加えて、本発明の核酸−脂質粒子中に存在する場合の核酸は、水溶液中でヌクレアーゼによる分解に対して抵抗性である。核酸−脂質粒子及びそれらの作製方法は、例えば米国特許第5,976,567号、同第5,981,501号、同第6,534,484号、同第6,586,410号、同第6,815,432号、及び国際公開広報第WO96/40964号に報告されている。
脂質対薬剤の比率(質量/質量比)(例えば脂質対dsRNA比)は、約1:1〜約50:1、約1:1〜約25:1、約3:1〜約15:1、約4:1〜約10:1、約5:1〜約9:1または約6:1〜約9:1(両端を含む)の範囲内であり得る。
製剤のカチオン性脂質は、4〜15のpKaを有する少なくとも一つのプロトン化可能な基を含有し得る。カチオン性脂質は、例えば、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N−(I−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、N−(I−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジリノレイルカルバモイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−C−DAP)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin−DAC)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−モルホリノプロパン(DLin−MA)、1,2−ジリノレオイル−3−ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2−ジリノレイルチオ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−S−DMA)、1−リノレオイル−2−リノレイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−2−DMAP)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin−TMA.Cl)、1,2−ジリノレオイル−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin−TAP.Cl)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−(N−メチルピペラジノ)プロパン(DLin−MPZ)、または3−(N,N−ジリノレイルアミノ)−1,2−プロパンジオール(DLinAP)、3−(N,N−ジオレイルアミノ)−1,2−プロパンジオ(DOAP)、1,2−ジリノレイルオキソ−3−(2−N,N−ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin−EG−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン、またはそれらの混合物であり得る。カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質の約20モル%〜約70モル%(両端を含む)、または約40モル%〜約60モル%(両端を含む)を構成し得る。一つの実施形態では、カチオン性脂質はリガンドにさらに結合できる。
非カチオン性脂質は、アニオン性脂質または中性脂質、例えばジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(DOPE−mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、16−O−モノメチルPE、16−O−ジメチルPE、18−1−トランスPE、1−ステアロイル−2−オレオイルホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、コレステロール、またはそれらの混合物であり得る。非カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質の約5モル%〜約90モル%(両端を含む)、またはコレステロールが含まれる場合は、約10モル%〜約58モル%(両端を含む)であり得る。
粒子の凝集を阻害する脂質は、例えば、以下に限定しないが、PEG−ジアシルグリセロール(DAG)、PEG−ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG−リン脂質、PEG−セラミド(Cer)またはそれらの混合物を含むポリエチレングリコール−脂質であり得る。PEG−DAAは、例えば、PEG−ジラウリルオキシプロピル(C12)、PEG−ジミリスチルオキシプロピル(C14)、PEG−ジパルミチルオキシプロピル(C16)またはPEG−ジステアリルオキシプロピル(C18)を含むポリエチレングリコール(PEG)リピドであり得る。粒子の凝集を防ぐ脂質は、粒子中に存在する総脂質の0モル%〜約20モル%または約2モル%であり得る。一つの実施形態では、PEG脂質はリガンドにさらに結合できる。
一部の実施形態では、核酸−脂質粒子は、例えば粒子中に存在する総脂質の約10モル%〜約60モル%(両端を含む)または約48モル%の、コレステロールなどのステロイドをさらに含む。
一つの実施形態では、脂質粒子は、ステロイド、PEG脂質及び式(I):
であり;及びR2は、H、各々が場合により1またはそれ以上の置換基で置換されたアルキル、アルケニルまたはアルキニルである]
のカチオン性脂質を含有する。
一例では、脂質RNAエフェクター分子ナノ粒子(例えばLNP01粒子)を作製するためにリピドイドND98・4HCl(分子量1487)(式2)、コレステロール(Sigma−Aldrich)及びPEG−セラミドC16(Avanti Polar Lipids)が使用できる。エタノール中の各々の保存溶液は以下のように調製できる:ND98、133mg/mL、コレステロール、25mg/mL、PEG−セラミドC16、100mg/mL。ND98、コレステロール及びPEG−セラミドC16保存溶液を、次に、例えば42:48:10のモル比で合わせることができる。合わせた脂質溶液を、最終エタノール濃度が約35%〜45%及び最終酢酸ナトリウム濃度が約100mM〜300mM(両端を含む)になるように水性RNAエフェクター分子と混合し得る(例えばpH5の酢酸ナトリウム中で)。脂質RNAエフェクター分子ナノ粒子は、典型的には混合時に自発的に形成される。所望粒子径分布に依存して、生じたナノ粒子混合物を、例えばLipex Extruder(Northern Lipids,Inc)などのサーモバレル押出機を使用してポリカーボネート膜(例えば100nmカットオフ)を通して押し出すことができる。一部の場合は、押出工程を省くことができる。エタノール除去及び同時緩衝液交換は、例えば透析または接線流ろ過によって達成し得る。緩衝液は、例えば約pH7、例えば約pH6.9、約pH7.0、約pH7.1、約pH7.2、約pH7.3または約pH7.4のリン酸緩衝食塩水(PBS)と交換できる。
一つの実施形態では、本明細書で使用されるRNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬は、2009年12月7日出願の米国仮特許出願第61/267,419号及び2010年5月13日出願の米国仮特許出願第61/334,398号に記載されているような荷電した脂質を含む。様々な実施形態において、本明細書で述べるRNAエフェクター分子組成物は、「脂質H」、「脂質K」、「脂質L」、「脂質M」、「脂質P」または「脂質R」から成る群より選択されるカチオン性脂質を含有し、前記脂質の式は以下のように示される:
標準法または押出フリー法のいずれかによって調製される製剤を同様の方法で特徴付けることができる。例えば、典型的には目視検査によって製剤を特徴付ける。それらは、凝集体または沈降物を含まない白っぽい透明な溶液であるはずである。脂質−ナノ粒子の粒径及び粒径分布は、例えばMalvern Zetasizer Nano ZS(Malvern,PA)を用いて光散乱によって測定できる。粒子は約20〜300nm、例えば40〜100nmの大きさであるはずである。粒径分布は単峰型であるはずである。製剤ならびに取り込まれた画分中の総dsRNAエフェクター分子濃度は、色素排除アッセイを用いて推定される。製剤されたRNAエフェクター分子の試料を、製剤破壊界面活性剤、例えば0.5%Triton−X100の存在下または不在下でRibogreen(Molecular Probes)などのRNA結合色素と共にインキュベートすることができる。製剤中の総RNAエフェクター分子は、標準曲線と比較した、界面活性剤を含有する試料からのシグナルによって決定できる。取り込まれた画分は、総RNAエフェクター分子含量から「遊離」RNAエフェクター分子含量(界面活性剤の不在下でのシグナルによって測定される)を差し引くことによって決定される。取り込まれるRNAエフェクター分子のパーセントは、典型的には>85%である。脂質ナノ粒子製剤に関して、粒径は少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも60nm、少なくとも70nm、少なくとも80nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも110nmまたは少なくとも120nmである。適切な範囲は、典型的には少なくとも約50nm〜少なくとも約110nm、少なくとも約60nm〜少なくとも約100nm、または少なくとも約80nm〜少なくとも約90nm(両端を含む)である。
リポソームは、親油性物質から形成される膜と水性内部を有する単層または多重層の小胞である。水性部分は送達される組成物を含有する。カチオン性リポソームは、細胞壁に融合することができるという利点を有する。非カチオン性リポソームは、効率的に細胞壁と融合することはできないが、インビボでマクロファージによって取り込まれる。無傷細胞膜を越えるために、脂質小胞は、適切な経皮勾配の影響下で、各々が直径50nm未満の一連の微細孔を通り抜けなければならない。従って、高度に変形可能であり、そのような微細孔を通過できるリポソームを使用することが望ましい。
リポソームのさらなる利点は、天然リン脂質から得られるリポソームは生体適合性及び生分解性であること;リポソームは広範囲の水溶性及び脂溶性薬剤を組み込み得ること;ならびにリポソームは、その内部区画内に封入された薬剤を代謝及び分解から保護し得ることを含む。例えば、Wangら、DRUG DELIV.PRINCIPLES&APPL.(John Wiley&Sons,Hoboken,NJ,2005);Rosoff,1988参照。リポソーム製剤の調製において考慮すべき重要な点は、脂質表面の電荷、小胞の大きさ及びリポソームの水分容量である。
リポソームは、作用部位への有効成分の輸送及び送達のために有用である。リポソーム膜は構造的に生体膜に類似するので、リポソームを組織に適用した場合、リポソームは細胞膜との融合を開始し、リポソームと細胞の融合が進行すると共に、リポソームの内容物が細胞内に流入して、そこで活性物質が作用し得る。リポソーム製剤は多くの薬剤のための送達方法として広範な研究の中心となってきた。局所投与に関して、リポソームが他の製剤に比べていくつかの利点を示すことの証拠が増えつつある。かかる利点は、投与された薬剤の高い全身吸収に関連する副作用の低減、所望標的における投与薬剤の蓄積の増大、ならびに親水性及び疎水性の両方の多種多様な薬剤を皮膚内に投与できることを含む。
リポソームは2つの大きなクラスに分類される。カチオン性リポソームは、負に荷電したポリヌクレオチド分子と相互作用して安定な複合体を形成する、正に荷電したリポソームである。正に荷電したポリヌクレオチド/リポソーム複合体は、負に荷電した細胞表面に結合し、エンドソーム内にインターナライズされる。エンドソーム内の酸性pHにより、リポソームは破裂して、その内容物を細胞質中に放出する。Wangら、147 Biochem.Biophys.Res.Commun.,980−85(1987)。
pH感受性であるかまたは負に荷電したリポソームは、ポリヌクレオチドと複合体を形成するのではなくポリヌクレオチドを取り込む。ポリヌクレオチドと脂質の両方が同様に荷電しているので、複合体形成ではなく斥力が生じる。それにもかかわらず、一部のポリヌクレオチドはこれらのリポソームの水性内部に捕捉される。pH感受性リポソームは、チミジンキナーゼ遺伝子をコードするDNAを培養下の細胞単層に送達するために使用されてきた。外因性遺伝子の発現が標的細胞において検出された。Zhouら、19 J.Controlled Rel.269−74(1992)。
リポソーム組成物の主要なタイプの一つは、天然由来のホスファチジルコリン以外のリン脂質を含む。中性リポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成できる。アニオン性リポソーム組成物は、一般にジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成されるが、アニオン性の膜融合性リポソームは主としてジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成される。別のタイプのリポソーム組成物は、ホスファチジルコリン(PC)、例えばダイズPC及び卵PCなどから形成される。別のタイプは、リン脂質及び/またはホスファチジルコリン及び/またはコレステロールの混合物から形成される。
リポソームはまた、「立体的に安定化された」リポソームを含み、この用語は、本明細書で使用される場合、リポソームに組み込まれたとき、そのような特殊な脂質を欠くリポソームと比較して長い循環寿命を生じさせる1またはそれ以上の特殊な脂質を含むリポソームを指す。立体的に安定化されたリポソームの例は、リポソームの小胞を形成する脂質部分の一部が、(A)モノシアロガングリオシドGM1のような1もしくはそれ以上の糖脂質を含む、または(B)ポリエチレングリコール(PEG)部分のような1またはそれ以上の親水性ポリマーで誘導体化されているものである。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、少なくとも、ガングリオシド、スフィンゴミエリンまたはPEGで誘導体化された脂質を含有する立体的に安定化されたリポソームに関しては、これらの立体的に安定化されたリポソームの循環半減期の延長は、細網内皮系(RES)の細胞内への取込みの減少に由来すると当技術分野では考えられている。Allenら、223 FEBS Lett.42(1987);Wuら、53 Cancer Res.3765(1993)。
1またはそれ以上の糖脂質を含有する様々なリポソームが当技術分野において公知である。Papahadjopoulosら(507 Ann.NY Acad.Sci.64(1987))は、モノシアロガングリオシドGM1、硫酸ガラクトセレブロシド及びホスファチジルイノシトールがリポソームの血中半減期を改善する能力を報告した。これらの所見は、Gabizonら(85 PNAS 6949(1988))によって詳しく説明された。いずれもAllenらへの米国特許第4,837,028号及び国際公開広報第WO88/04924号は、(1)スフィンゴミエリン及び(2)ガングリオシドGM1または硫酸ガラクトセレブロシドエステルを含むリポソームを開示する。米国特許第5,543,152号(Webbら)は、スフィンゴミエリンを含むリポソームを開示する。1,2−sn−ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームは、国際公開広報第WO97/13499号(Limら)に開示されている。
1またはそれ以上の親水性ポリマーで誘導体化された脂質を含む多くのリポソーム及びその調製法が当技術分野において公知である。Sunamotoら(53 Bull.Chem.Soc.Jpn.2778(1980))は、PEG部分を含む非イオン性界面活性剤2C1215Gを含有するリポソームを記述した。Illumら(167 FEBS Lett.79(1984))は、高分子グリコールでのポリスチレン粒子の親水性コーティングが血中半減期の有意の延長を生じさせることを指摘した。ポリアルキレングリコール(例えばPEG)のカルボキシル基の結合によって修飾された合成リン脂質がSears(米国特許第4,426,330号及び同第4,534,899号)によって記述されている。加えて、ポリアルキレンで誘導体化されたリポソームに抗体を結合することができる(例えば、米国特許出願公開第2008/0014255号参照)。Klibanovら(268 FEBS Lett.235(1990))は、PEGまたはPEGステアレートで誘導体化されたホスファチジルエタノールアミン(PE)を含むリポソームが血液循環半減期の有意の延長を有することを実証する実験を記述した。Blumeら(1029 Biochim.Biophys.Acta 1029,(1990))は、そのような所見を他のPEG誘導体化リン脂質、例えばジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)とPEGの組合せから形成されるDSPE−PEGに拡大適用した。外表面上にPEG部分が共有結合しているリポソームが欧州特許第0445131B1号及びFisherへの国際公開広報第WO90/04384号に記載されている。
1〜20モル%のPEGで誘導体化されたPEを含有するリポソーム組成物及びその使用方法は、Woodleら(米国特許第5,013,556号及び同第5,356,633号)ならびにMartinら(米国特許第5,213,804号及び欧州特許第0496813B1号)によって記述されている。多くの他の脂質−ポリマーコンジュゲートを含むリポソームが、国際公開広報第WO91/05545号及び米国特許第5,225,212号及び国際公開広報第WO94/20073号に開示されている。PEG修飾されたセラミド脂質を含むリポソームは、国際公開広報第WO96/10391号に記載されている。米国特許第5,540,935号及び同第5,556,948号は、表面上の官能基部分でさらに誘導体化され得るPEG含有リポソームを記述する。PEGを含むリポソームに関する方法及び組成物は、例えば米国特許第6,049,094号、同第6,224,903号、同第6,270,806号、同第6,471,326号、同第6,958,241号に認められる。
上述したように、リポソームは、場合により、抗体または抗体フラグメント、細胞表面受容体と相互作用するための小さなエフェクター分子、抗原及び他の同様の化合物などの表面基を含むように作製することができ、これらの基は特定の細胞集団へのリポソーム及びその内容物の送達を促進し得る。標的分子で誘導体化された脂質またはあらかじめ形成されたリポソーム中の標的分子で誘導体化され得る極性頭部化学基を有する脂質をリポソーム脂質に含めることにより、そのようなリガンドをリポソームに含めることができる。あるいは、あらかじめ形成されたリポソームをリガンド−ポリマー−脂質コンジュゲートと共にインキュベートすることにより、標的部分をあらかじめ形成されたリポソームに挿入できる。
脂質は、リガンド、細胞表面受容体、糖タンパク質、ビタミン類(例えばリボフラビン)及びモノクロナール抗体などの様々な標的部分を用いて、リガンドを親水性ポリマー鎖の遊離遠位端に共有結合し、それを近位端で小胞形成脂質に結合することによって誘導体化できる。選択した親水性ポリマーを選択した脂質に結合し、選択したリガンドとの反応のためにポリマーの遊離非結合末端を活性化するための多種多様な技術が存在し、上述したように、親水性ポリマーであるポリエチレングリコール(PEG)は広く検討されてきた。Allenら、1237 Biochem.Biophys.Acta 99−108(1995)、Zalipsky,4 Bioconj.Chem.296−99(1993)、Zalipskyら、353 FEBS Lett.1−74(1994)、Zalipskyら、Bioconj.Chem.705−08(1995)、Zalipsky,in STEALTH LIPOSOMES(Lasic&Martin,eds.CRC Press,Boca Raton,FL,1995)。
高分子量核酸をリポソームに封入するための方法のような、核酸を含有する多くのリポソームが当技術分野において公知である。国際公開広報第WO96/40062号。Tagawaらへの米国特許第5,264,221号はタンパク質結合リポソームを開示し、そのようなリポソームの内容物はdsRNAを含み得ると主張している。米国特許第5,665,710号は、オリゴデオキシヌクレオチドをリポソームに封入する特定の方法を記述する。国際公開広報第WO97/04787号は、raf遺伝子を標的とするdsRNAを含むリポソームに言及している。加えて、核酸を含有するリポソーム組成物を作製するための方法は、例えば、米国特許第6,011,020号、同第6,074,667号、同第6,110,490号、同第6,147,204号、同第6,271,206号、同第6,312,956号、同第6,465,188号、同第6,506,564号、同第6,750,016号、同第7,112,337号に見出される。
トランスファーソーム(Transfersome)はさらに別のタイプのリポソームであり、薬剤送達ビヒクルの魅力的な候補物である高度に変形可能な脂質凝集体である。トランスファーソームは、高度に変形可能な脂質小滴であるため該小滴よりも小さい細孔を容易に通り抜けることができる脂質小滴と表すことができる。トランスファーソームは、それらが使用される環境に適応性であり、例えばそれらは自己最適化性であり、自己修復性であり、しばしば分断されることなく標的に到達し、そしてしばしば自己充填性である。トランスファーソームを作製するために、標準的なリポソーム組成物に表面端活性化剤、通常は界面活性剤を添加することが可能である。
封入されたナノ粒子もRNAエフェクター分子の送達に使用できる。そのような封入ナノ粒子の例は、酵母細胞壁粒子(YCWP)を用いて作製されるものを含む。例えば、グルカンが封入されたsiRNA粒子(GeRP)は、酵母細胞壁粒子(YCWP)外部及び多層ナノ粒子内部から作られるペイロード送達系であり、該多層ナノ粒子内部は、捕捉剤と複合体形成したペイロードを含むコアを有する。2008年10月29日出願の米国特許出願第12/260,998号に記載されているもののような、グルカン封入送達システムは、インビトロ及びインビボでサイレンシングを達成するためにsiRNA二本鎖を送達するのに使用できる。
乳剤
本発明の組成物は、乳剤として調製し、製剤することができる。乳剤は、典型的には一方の液体が通常は直径0.1μmを超える小滴の形態で他方の中に分散している不均一系である。例えば、Ansel’s PHARM.DOSAGE FORMS&DRUG DELIV.SYS.(8th ed.Allenら、eds.,Lippincott Williams&Wilkins,NY,2004)、Idson,in 1 PHARM.DOSAGE FORMS 199(Liebermanら、eds.,Marcel Dekker,Inc.,NY,1988)、Rosoff,in 1 PHARM.DOSAGE FORMS 245(Liebermanら、eds.,Marcel Dekker,Inc.,NY,1988)、Block in 2 PHARM.DOSAGE FORMS 335(Liebermanら、eds.,Marcel Dekker,Inc.,NY,1988)、Higuchiら、in REMINGTON’S PHARM.SCI.301(Mack Publishing Co.,Easton,PA,1985)参照。乳剤は、しばしば、互いに十分に混合され、分散された2つの非混和性の液相を含む二相系である。
本発明の組成物は、乳剤として調製し、製剤することができる。乳剤は、典型的には一方の液体が通常は直径0.1μmを超える小滴の形態で他方の中に分散している不均一系である。例えば、Ansel’s PHARM.DOSAGE FORMS&DRUG DELIV.SYS.(8th ed.Allenら、eds.,Lippincott Williams&Wilkins,NY,2004)、Idson,in 1 PHARM.DOSAGE FORMS 199(Liebermanら、eds.,Marcel Dekker,Inc.,NY,1988)、Rosoff,in 1 PHARM.DOSAGE FORMS 245(Liebermanら、eds.,Marcel Dekker,Inc.,NY,1988)、Block in 2 PHARM.DOSAGE FORMS 335(Liebermanら、eds.,Marcel Dekker,Inc.,NY,1988)、Higuchiら、in REMINGTON’S PHARM.SCI.301(Mack Publishing Co.,Easton,PA,1985)参照。乳剤は、しばしば、互いに十分に混合され、分散された2つの非混和性の液相を含む二相系である。
一般に、乳剤は油中水型(w/o)または水中油型(o/w)のいずれかであり得る。水相が大量の油相中に微細に分割され、細かい小滴として分散される場合、生じる組成物は油中水型(w/o)乳剤と呼ばれる。あるいは、油相が大量の水相中に微細に分割され、細かい小滴として分散される場合、生じる組成物は水中油型(o/w)乳剤と呼ばれる。乳剤は、分散相に加えて、付加的な成分及び、水相、油相中またはそれ自体が分離した相としての溶液として存在し得る活性薬剤を含有し得る。乳化剤、安定剤、染料及び酸化防止剤などの医薬賦形剤も、必要に応じて乳剤中に存在し得る。医薬乳剤はまた、例えば油中水中油型(o/w/o)乳剤及び水中油中水型(w/o/w)乳剤の場合のような、3以上の相で構成される多相乳剤であり得る。そのような複雑な製剤は、単純な2成分の乳剤にはない特定の利点をしばしば提供する。o/w型乳剤の個々の油滴が小さな水滴を囲む多相乳剤は、w/o/w型乳剤を構成する。同様に油性連続相中に安定化された水の小球に囲まれた油滴の系は、o/w/o型乳剤を提供する。
乳剤は、熱力学的安定性がほとんどまたは全くないことを特徴とする。多くの場合、乳剤の分散相または不連続相は、外相または連続相中に十分に分散しており、乳化剤の使用または製剤の粘性を介してこの形態に維持される。乳剤型の軟膏基剤及びクリームの場合のように、乳剤の相のいずれかは半固体または固体であり得る。乳剤を安定化する他の手段は、乳剤のいずれかの相に組み込むことができる乳化剤の使用を必要とする。乳化剤は、大きく4つのカテゴリー:合成界面活性剤、天然に存在する乳化剤、吸収基剤及び微細分散固体に分類できる。例えば、ANSEL’S PHARM.DOSAGE FORMS&DRUG DELIV.SYS.,2004、Idson,in PHARM.DOSAGE FORMS,1988参照。
表面活性剤としても知られる合成界面活性剤は、乳剤の製剤において広い適用性が認められており、文献で総説されている。例えば、ANSEL’S PHARM.DOSAGE FORMS&DRUG DELIV.SYS.,2004、Idson,in PHARM.DOSAGE FORMS,1988、Rieger,in PHARM.DOSAGE FORMS,1988参照。界面活性剤は、典型的には両親媒性であり、親水性部分と疎水性部分を含む。界面活性剤の親水性と疎水性の比率は親水/親油バランス(HLB)と称されており、製剤の調製において界面活性剤を分類し、選択するうえで有益なツールである。界面活性剤は、親水基の性質に基づいて種々のクラス:非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性に分類できる。例えば、ANSEL’S PHARM.DOSAGE FORMS&DRUG DELIV.SYS.,2004、Idson,in PHARM.DOSAGE FORMS,1988、Rieger,in PHARM.DOSAGE FORMS,1988参照。
乳剤製剤において使用される天然の乳化剤は、ラノリン、蜜ろう、ホスファチド、レシチン及びアラビアゴムを含む。無水ラノリン及び親水ワセリンなどの吸収基剤は、水分を吸収してw/o型乳剤を形成し、それでもなおそれらの半固体粘稠度を維持できるように親水性特性を有する。微粉固体も、特に界面活性剤と組み合わせて及び粘性製剤において、良好な乳化剤として使用されてきた。これらは、重金属水酸化物などの極性無機固体、ベントナイト、アタパルジャイト、ヘクトライト、カオリン、モンモリロナイト、コロイド状ケイ酸アルミニウム及びコロイド状ケイ酸マグネシウムアルミニウムなどの非膨潤性粘土、色素ならびに炭素またはトリステアリン酸グリセリルなどの非極性固体を含む。
乳化作用のない種々様々な物質も乳剤製剤中に含まれ、乳剤の特性に寄与する。これらは、脂肪、油、ろう、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、湿潤剤、親水コロイド、防腐剤及び酸化防止剤を含む。Block,in 1 PHARM.DOSAGE FORMS 335(Liebermanら、eds.,Marcel Dekker,Inc.,NY,1988)、Idson,in PHARM.DOSAGE FORMS(1988)。
親水コロイドまたはハイドロコロイドは、天然に存在するゴム及び合成ポリマー、例えば多糖類(例えばアラビアゴム、寒天、アルギン酸、カラゲナン、グアーガム、カラヤゴム及びトラガント)、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース及びカルボキシプロピルセルロース)ならびに合成ポリマー(例えばカルボマー、セルロースエーテル及びカルボキシビニルポリマー)を含む。これらは水中で分散または膨張し、分散相の小滴の周囲に丈夫な界面膜を形成すること及び外相の粘性を高めることによって乳剤を安定化するコロイド溶液を形成する。
乳剤はしばしば、微生物の増殖を容易に促進し得る炭水化物、タンパク質、ステロール及びホスファチドなどの多くの成分を含有するので、これらの製剤には防腐剤が組み込まれることが多い。乳剤製剤に含められる一般的に使用される防腐剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン、第四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、p−ヒドロキシ安息香酸のエステル及びホウ酸を含む。酸化防止剤も、製剤の劣化を防ぐために乳剤製剤に一般的に添加される。使用される酸化防止剤は、フリーラジカル捕捉剤、例えばトコフェロール、没食子酸アルキル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンなど、または還元剤、例えばアスコルビン酸及びメタ重亜硫酸ナトリウムなど、ならびに酸化防止相乗剤、例えばクエン酸、酒石酸及びレシチンなどであり得る。
一つの実施形態では、RNAエフェクター分子及び核酸の組成物はマイクロエマルジョンとして製剤される。マイクロエマルジョンは、単一の光学的に等方性で熱力学的に安定な溶液である、水、油及び両親媒性物質の系と定義され得る。例えば、ANSEL’S PHARM.DOSAGE FORMS&DRUG DELIV.SYS.(8th ed.,Allenら、eds.,Lippincott Williams&Wilkins,NY,2004)、Rosoff,in PHARM.DOSAGE FORMS,1988参照。典型的には、マイクロエマルジョンは、最初に油を水性界面活性剤溶液中に分散させ、次に十分な量の第四成分、一般には中鎖長アルコールを添加して透明な系を形成することによって調製される系である。従って、マイクロエマルジョンはまた、表面活性分子の界面膜によって安定化された2つの非混和性液体の、熱力学的に安定で等方的に透明な分散液とも表されてきた。Leung&Shah,in CONTROLLED RELEASE DRUGS:POLYMERS&AGGREGATE SYS.185−215(Rosoff,ed.,VCH Publishers,NY,1989)。マイクロエマルジョンは一般に、油、水、界面活性剤、共界面活性剤及び電解質を含む3〜5の成分の組合せによって調製される。マイクロエマルジョンが油中水型(w/o)であるか水中油型(o/w)であるかは、使用される油及び界面活性剤の性質ならびに界面活性剤分子の極性頭部及び炭化水素尾部の構造及び幾何学的充填に依存する。Schott,in REMINGTON’S PHARM.SCI.271(1985)。
状態図を利用する現象学的アプローチが広汎に検討されており、マイクロエマルジョンを製剤する方法についての包括的な知識が当業者にもたらされている。例えば、ANSEL’S PHARM.DOSAGE FORMS&DRUG DELIV.SYS.(8th ed.,Allenら、eds.,Lippincott Williams&Wilkins,NY,2004)、Rosoff,1988、Block,1988参照。従来の乳剤と比較して、マイクロエマルジョンは、自然に形成される熱力学的に安定な小滴の製剤中に水不溶性の薬剤を可溶化するという利点を提供する。
マイクロエマルジョンは、本明細書でさらに論じる界面活性剤、例えば、限定されることなく、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、テトラグリセロールモノラウレート(ML310)、テトラグリセロールモノオレエート(MO310)、ヘキサグリセロールモノオレエート(PO310)、ヘキサグリセロールペンタオレエート(PO500)、デカグリセロールモノカプレート(MCA750)、デカグリセロールモノオレエート(MO750)、デカグリセロールセキオレエート(SO750)、デカグリセロールデカオレエート(DAO750)などを、単独でまたは共界面活性剤と組み合わせて含み得る。通常は、エタノール、1−プロパノール及び1−ブタノールなどの短鎖アルコールである共界面活性剤は、界面活性剤の界面膜に浸透し、その結果として界面活性剤分子の間に生じた空隙による不規則な膜を作り出すことによって界面の流動性を高める役割を果たす。マイクロエマルジョンは、しかしながら、共界面活性剤を使用せずに調製され得、アルコール不含の自己乳化型マイクロエマルジョン系が当技術分野において公知である。水相は、典型的には水、薬剤の水溶液、グリセロール、PEG300、PEG400、ポリグリセロール、プロピレングリコール及びエチレングリコールの誘導体であり得るが、これらに限定されない。油相は、Captex300、Captex355、Capmul MCM、脂肪酸エステル、中鎖(C8〜C12)モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド、ポリオキシエチル化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、ポリグリコール化グリセリド、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、植物油及びシリコーン油を含み得るが、これらに限定されない。
マイクロエマルジョンは、より良好な薬剤の可溶化、酵素加水分解からの薬剤の保護、界面活性剤が誘導する膜の流動性及び透過性の変化による薬剤吸収の増大の可能性、調製の容易さ、ならびに低い毒性という利点を提供する。例えば、米国特許第6,191,105号、同第7,063,860号、同第7,070,802号、同第7,157,099号、Constantinidesら、11 Pharm.Res.1385(1994)、Hoら、85 J.Pharm.Sci.138−43(1996)参照。多くの場合、マイクロエマルジョンはその成分を周囲温度で組み合わせた場合に自然に形成され得る。このことは、熱不安定薬剤、ペプチドまたはRNAエフェクター分子を製剤する場合に特に有利であり得る。
本発明のマイクロエマルジョンはまた、製剤の性質を改善し、本発明のRNAエフェクター分子及び核酸の吸収を高めるために、ソルビタンモノステアレート(Grill3)、Labrasol及び浸透促進剤などの付加的な成分及び添加剤も含み得る。本発明のマイクロエマルジョンにおいて使用される浸透促進剤は、5つの広いカテゴリー、すなわち界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤及び非キレート化非界面活性剤の一つに属すると分類され得る。Leeら、Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Sys.92(1991)。
マイクロエマルジョン以外にも薬剤の製剤のために検討され、使用されてきた多くの組織化された界面活性剤構造体が存在する。これらは、単層、ミセル、二重層及び小胞を含む。リポソームなどの小胞は、薬剤送達の見地から、それらが提供する特異性及び作用持続時間のゆえに大きな関心を集めてきた。本発明において使用される、「リポソーム」という用語は、球状の1またはそれ以上の二重層中に配置された両親媒性脂質から成る小胞を意味する。
界面活性剤
一部の実施形態では、本発明を特徴付けるRNAエフェクター分子は、1またはそれ以上の浸透促進剤、界面活性剤及び/またはキレート剤と共に投与される。適切な界面活性剤は、脂肪酸及び/またはそのエステルもしくは塩、胆汁酸及び/またはその塩を含む。適切な胆汁酸/塩は、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸、グリコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロ−24,25−ジヒドロ−フシジン酸ナトリウム及びグリコジヒドロフシジン酸ナトリウムを含む。適切な脂肪酸は、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリンまたはモノグリセリド、ジグリセリドまたはそれらの医薬的に許容される塩(例えばナトリウム塩)を含む。一部の実施形態では、浸透促進剤の組合せ、例えば胆汁酸/塩と組み合わせた脂肪酸/塩が使用される。一つの例示的な組合せは、ラウリン酸、カプリン酸及びUDCAのナトリウム塩である。さらなる浸透促進剤は、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテルを含む。
一部の実施形態では、本発明を特徴付けるRNAエフェクター分子は、1またはそれ以上の浸透促進剤、界面活性剤及び/またはキレート剤と共に投与される。適切な界面活性剤は、脂肪酸及び/またはそのエステルもしくは塩、胆汁酸及び/またはその塩を含む。適切な胆汁酸/塩は、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸、グリコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロ−24,25−ジヒドロ−フシジン酸ナトリウム及びグリコジヒドロフシジン酸ナトリウムを含む。適切な脂肪酸は、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリンまたはモノグリセリド、ジグリセリドまたはそれらの医薬的に許容される塩(例えばナトリウム塩)を含む。一部の実施形態では、浸透促進剤の組合せ、例えば胆汁酸/塩と組み合わせた脂肪酸/塩が使用される。一つの例示的な組合せは、ラウリン酸、カプリン酸及びUDCAのナトリウム塩である。さらなる浸透促進剤は、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテルを含む。
界面活性剤は、乳剤(マイクロエマルジョンを含む)及びリポソームなどの製剤において広く適用される。天然及び合成の両方の多くの異なるタイプの界面活性剤の特性を分類し、ランクづける最も一般的な方法は、親水/親油バランス(HLB)の使用によるものである。親水基(「頭部」としても知られる)の性質は、製剤に使用される種々の界面活性剤を分類するために最も有用な手段を提供する。例えば、Malmsten,SURFACTANTS&POLYMERS IN DRUG DELIV.(Informa Health Care,NY,2002)、Rieger,in PHARM.DOSAGE FORMS 285(Marcel Dekker,Inc.,NY,1988)参照。
界面活性剤分子がイオン化されない場合、その分子は非イオン性界面活性剤として分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬品及び化粧品に広い用途が見出され、広範囲のpH値にわたって使用可能である。一般にそれらのHLB値は、それらの構造に依存して2〜約18の範囲である。非イオン性界面活性剤は、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグルセリルエステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル及びエトキシ化エステルなどの非イオン性エステルを含む。非イオン性アルカノールアミド及びエーテル、例えば脂肪族アルコールエトキシレート、プロポキシ化アルコール及びエトキシ化/プロポキシ化ブロックポリマーなどもこのクラスに含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は非イオン性界面活性剤クラスの最も一般的な成員である。
界面活性剤分子が、水に溶解または分散されたとき負電荷を担持する場合、その界面活性剤はアニオン性として分類される。アニオン性界面活性剤は、セッケン、アシルラクチレート、アミノ酸のアシルアミドなどのカルボキシレート、硫酸アルキル及びエトキシ化硫酸アルキルなどの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホネートなどのスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレート及びスルホスクシネートならびにホスフェートを含む。アニオン性界面活性剤クラスの最も重要な成員は硫酸アルキル及びセッケンである。
界面活性剤分子が、水に溶解または分散されたとき正電荷を担持する場合、その界面活性剤はカチオン性として分類される。カチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム塩及びエトキシ化アミンを含む。第四級アンモニウム塩はこのクラスの最も広く使用される成員である。界面活性剤分子が正電荷または負電荷のどちらも担持する能力を有する場合、その界面活性剤は両性として分類される。両性界面活性剤は、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N−アルキルベタイン及びホスファチドを含む。
浸透促進剤
一つの実施形態では、本発明は、細胞への核酸、特にRNAエフェクター分子の効率的な送達を生じさせるために様々な浸透促進剤を使用する。大部分の薬剤は、イオン化形態及び非イオン化形態の両方で溶液中に存在する。通常は、脂溶性または親油性薬剤だけが容易に細胞膜を横断する。横断する細胞膜が浸透促進剤で処理されている場合、非親油性薬剤であっても細胞膜を横断し得ることが発見された。、浸透促進剤はまた、非親油性薬剤が細胞膜を越えて拡散するのを助けることに加えて、親油性薬剤の透過性も上昇させる。
浸透促進剤
一つの実施形態では、本発明は、細胞への核酸、特にRNAエフェクター分子の効率的な送達を生じさせるために様々な浸透促進剤を使用する。大部分の薬剤は、イオン化形態及び非イオン化形態の両方で溶液中に存在する。通常は、脂溶性または親油性薬剤だけが容易に細胞膜を横断する。横断する細胞膜が浸透促進剤で処理されている場合、非親油性薬剤であっても細胞膜を横断し得ることが発見された。、浸透促進剤はまた、非親油性薬剤が細胞膜を越えて拡散するのを助けることに加えて、親油性薬剤の透過性も上昇させる。
浸透促進剤は、5つの広いカテゴリー:界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤及び非キレート化非界面活性剤の一つに属すると分類され得る。例えば、Malmsten,2002、Leeら、Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Sys.92(1991)参照。
本発明に関連して、浸透促進剤は界面活性剤(または「表面活性剤」)を含み、界面活性剤とは、水溶液中に溶解された場合、溶液の表面張力または水溶液と別の液体との間の界面張力を低下させ、その結果として細胞膜及び他の生物学的障壁を通してのRNAエフェクター分子の吸収を増大させる化学的実体である。胆汁酸塩及び脂肪酸に加えて、これらの浸透促進剤は、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル及びポリオキシエチレン−20−セチルエーテル(例えば、Malmsten,2002、Leeら、1991参照)、ならびにFC−43(Takahashiら、40 J.Pharm.Pharmacol.252(1988))などのペルフルオロケミカル乳剤を含む。
浸透促進剤として働く様々な脂肪酸及びそれらの誘導体は、例えばオレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n−デカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン(1−モノオレオイル−rac−グリセロール)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、それらのC1〜20アルキルエステル(例えばメチル、イソプロピル及びt−ブチル)、ならびにそれらのモノグリセリド及びジグリセリド(すなわちオレエート、ラウレート、カプレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、リノレエート等)を含む。例えば、Touitouら、ENHANCEMENT IN DRUG DELIV.(CRC Press,Danvers,MA,2006)、Leeら、1991、Muranishi,7 Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Sys.1−33(1990)、El Haririら、44 J.Pharm.Pharmacol.651−54(1992)参照。
胆汁の生理的役割は、脂質及び脂溶性ビタミンの分散及び吸収の促進を含む。例えば、Malmsten,2002、Brunton,Chapt.38 in GOODMAN&GILMAN’S PHARMACOLOGICAL BASIS THERAPEUTICS,9TH ED.934−35(Hardmanら、eds.,McGraw−Hill,NY,1996)参照。様々な天然胆汁酸塩及びそれらの合成誘導体は浸透促進剤として働く。従って「胆汁酸塩」という用語は、天然に存在する胆汁の成分の任意のものならびにそれらの合成誘導体の任意のものを包含する。適切な胆汁酸塩は、例えばコール酸(またはその医薬的に許容されるナトリウム塩であるコール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(グルコール酸ナトリウム)、グリコール酸(グリコール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、タウロ−24,25−ジヒドロフシジン酸ナトリウム(STDHF)、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム及びポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(POE)を含む(例えば、Malmsten,2002、Leeら、1991、Swinyard,Chapt.39 in REMINGTON’S PHARM.SCI.,18th Ed.782−83(Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1990)、Muranishi,1990、Yamamotoら、263 J.Pharm.Exp.Ther.25(1992)、Yamashitaら、79 J.Pharm.Sci.579−83(1990)参照)。
キレート剤は、本発明に関連して使用される場合、金属イオンと複合体を形成することによって溶液から金属イオンを除去し、その結果として粘膜を介したRNAエフェクター分子の吸収を高める化合物と定義され得る。本発明における浸透促進剤としてのそれらの使用に関して、特徴付けられている大部分のDNAヌクレアーゼは、触媒作用のために二価金属イオンを必要とし、従ってキレート剤によって阻害されるので、キレート剤はDNアーゼ阻害剤としての役割も果たすという付加的な利点を有する。Jarrett,618 J.Chromatogr.315−39(1993)。適切なキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、サリチレート(例えばサリチル酸ナトリウム、5−メトキシサリチレート及びホモバニレート)、コラーゲンのN−アシル誘導体、ラウレス−9ならびにβ−ジケトンのN−アミノアシル誘導体(エナミン)を含むが、これらに限定されない。例えば、Katdareら、EXCIPIENT DEVEL.PHARM.BIOTECH.& DRUG DELIV.(CRC Press,Danvers,MA,2006)、Leeら、1991、Muranishi,1990、Buurら、14 J.Control Rel.43−51(1990)参照。
本明細書で使用される場合、非キレート化非界面活性剤である浸透促進化合物は、キレート剤としてまたは界面活性剤としては有意ではない活性を示すが、それにもかかわらず消化管粘膜を介したRNAエフェクター分子の吸収を高める化合物と定義され得る。例えば、Muranishi,1990参照。このクラスの浸透促進剤は、例えば、不飽和環状尿素、1−アルキル−及び1−アルケニルアザシクロアルカノン誘導体(Leeら、1991)ならびにジクロフェナクナトリウム、インドメタシン及びフェニルブタゾンなどの非ステロイド系抗炎症薬を含む(Yamashitaら、1987)。
細胞レベルでRNAエフェクター分子の取込みを増強する作用物質も、本発明の医薬組成物及び他の組成物に添加し得る。例えば、リポフェクチン(米国特許第5,705,188号)などのカチオン性脂質、カチオン性グリセロール誘導体、及びポリリシン(国際公開広報第WO97/30731号)などのポリカチオン分子も、dsRNAの細胞内取込みを増強することが公知である。市販のトランスフェクション試薬の例としては、例えば、数ある中でも特に、LIPOFECTAMINE(商標)、LIPOFECTAMINE 2000(商標)、293FECTIN(商標)、CELLFECTIN(商標)、DMRIE−C(商標)、FREESTYLE(商標)MAX、LIPOFECTAMINE(商標)2000CD、LIPOFECTAMINE(商標)、RNAiMAX、OLIGOFECTAMINE(商標)及びOPTIFECT(商標)トランスフェクション試薬(各々Invitrogenより)、ならびにX−tremeGENE Q2トランスフェクション試薬(Roche Applied Science;Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOTAPリポソームトランスフェクション試薬(Avante Polar Lipids,Inc.,Alabaster,AL)、DOSPERリポソームトランスフェクション試薬(Roche)、またはFuGENE(登録商標)(Promega,Madison,WI)、TRANSFECTAM(登録商標)試薬(Promega)、TRANSFAST(商標)トランスフェクション試薬(Promega)、TFX(商標)−20試薬(Promega)、TFX(商標)−50試薬(Promega)、DREAMFECT(商標)(OZ Biosciences,Marseille,France)、EcoTransfect(OZ Biosciences)、TRANSPASS(登録商標)D1トランスフェクション試薬(New England Biolabs;Ipswich,MA)、LYOVEC(商標)/LIPOGEN(商標)(InvivoGen;San Diego,CA)、PerFectinトランスフェクション試薬(Genlantis;San Diego,CA)、NEUROPORTERトランスフェクション試薬(Genlantis)、GENEPORTERトランスフェクション試薬(Genlantis)、GENEPORTER 2トランスフェクション試薬(Genlantis)、CYTOFECTINトランスフェクション試薬(Genlantis)、BACULOPORTERトランスフェクション試薬(Genlantis)、TROGANPORTER(商標)トランスフェクション試薬(Genlantis)、RIBOFECT(Bioline;Taunton,MA,U.S.)、PLASFECT(Bioline)、UNIFECTOR(B−Bridge International;Mountain View,CA)、SUREFECTOR(B−Bridge International)、もしくはHIFECT(商標)(B−Bridge Int’l)が含まれる。
付加的な担体
投与した核酸の浸透を促進するために、エチレングリコール及びプロピレングリコールなどのグリコール、2−ピロールなどのピロール、アゾン、ならびにリモネン及びメントンなどのテルペンを含む他の作用物質を利用し得る。
投与した核酸の浸透を促進するために、エチレングリコール及びプロピレングリコールなどのグリコール、2−ピロールなどのピロール、アゾン、ならびにリモネン及びメントンなどのテルペンを含む他の作用物質を利用し得る。
本発明の特定の組成物はまた、製剤中に担体化合物を組み込む。本明細書で使用される、「担体化合物」または「担体」は、不活性である(すなわちそれ自体は生物学的活性を有さない)が、例えば生物学的に活性な核酸を分解するまたはその除去を促進することにより、生物学的活性を有する核酸のバイオアベイラビリティーを低下させるインビボプロセスによって核酸として認識される、核酸またはその類似体を表し得る。
本発明の組成物は、他の補助成分を、添加された場合にかかる物質が本発明の組成物の成分の生物学的活性を過度に妨げない限り、付加的に含有し得る。製剤は、滅菌することができ、所望する場合は、製剤のRNAエフェクター分子と有害な相互作用を生じない補助剤と混合し得る。
水性懸濁液は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/またはデキストランを含む、懸濁液の粘度を増大させる物質を含み得る。懸濁液はまた、安定剤も含み得る。
そのような化合物の毒性及び治療効果は、例えばLD50(集団の50%を死に至らせる用量)及びED50(集団の50%において治療上有効な用量)を決定するために、細胞培養物または細胞における標準的な薬学的手順によって測定し得る。毒性作用と治療効果との間の用量比が治療指数であり、治療指数はLD50/ED50比として表すことができる。高い治療指数を示す化合物は特に有用である。細胞培養アッセイ及び動物実験から得られたデータを、本発明の方法における使用のための用量範囲の策定に使用できる。本発明を特徴付ける組成物の用量は、一般に毒性をほとんどまたは全く伴わないED50を含む濃度範囲内にある。用量は、使用される剤形及び利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動し得る。
さらに別の態様では、本発明は、標的遺伝子の発現が長期間、例えば少なくとも2日間、3日間、4日間またはそれ以上、例えば1週間、2週間、3週間または4週間またはそれ以上にわたって低下するように、本発明を特徴付ける組成物を宿主細胞に投与することによって宿主細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための方法を提供する。標的遺伝子の発現低下の作用は、好ましくは、処置前のレベルと比較して、標的遺伝子によってコードされるタンパク質のレベルの少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%または少なくとも60%またはそれ以上の低下を生じさせる。
VII.キット及びアッセイ
一部の実施形態では、細胞による免疫原性作用物質の産生への1個のRNAエフェクター分子または一連のRNAエフェクター分子の作用を試験するためのキットが提供され、該キットは、免疫原性作用物質の産生を可能にする条件下で細胞を培養するのに適した1またはそれ以上のアッセイ表面を有する支持体を含む。一部の実施形態では、支持体の外側は、アッセイ表面に対応する位置に穴、刻み目、境界等を含む。一部の実施形態では、穴、刻み目、境界等は、アッセイ表面の上に細胞培養培地などの液体を保持する。
一部の実施形態では、細胞による免疫原性作用物質の産生への1個のRNAエフェクター分子または一連のRNAエフェクター分子の作用を試験するためのキットが提供され、該キットは、免疫原性作用物質の産生を可能にする条件下で細胞を培養するのに適した1またはそれ以上のアッセイ表面を有する支持体を含む。一部の実施形態では、支持体の外側は、アッセイ表面に対応する位置に穴、刻み目、境界等を含む。一部の実施形態では、穴、刻み目、境界等は、アッセイ表面の上に細胞培養培地などの液体を保持する。
一部の実施形態では、支持体上のアッセイ表面は無菌であり、免疫原性作用物質の大規模(例えば工業規模)生産の間の培養条件を代表する条件下で宿主細胞を培養するのに適する。好都合には、本明細書で提供されるキットは、免疫原性作用物質の生産に関して広い範囲の作用物質及び/または条件を試験するための迅速で費用効率が高い手段を提供し、免疫原性作用物質の本格的生産に先立って細胞培養条件を確立することを可能にする。
一部の実施形態では、支持体の1またはそれ以上のアッセイ表面は、アッセイ表面に適切な培地を添加することによってアッセイ表面の周囲のRNAエフェクター分子の所望濃度がもたらされるように、RNAエフェクター分子などの濃縮試験物質を含有する。一部の実施形態では、RNAエフェクター分子は、アッセイ表面にプリントし得るもしくは染み込ませ得るか、または、適切な量の培地を添加したときエフェクター分子が再構成され得るように、例えば穴内に、凍結乾燥形態で提供され得る。一部の実施形態では、RNAエフェクター分子は、支持体のアッセイ表面に細胞を塗布することによって再構成される。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるキットは、対象とする免疫原性作用物質の産生を可能にする条件下で細胞を培養するのに適した細胞培養培地をさらに含む。培地は、すぐに使用できる形態であり得るか、または濃縮され得る(例えば保存溶液として)、凍結乾燥され得るもしくは別の再構成可能な形態で提供され得る。
さらなる実施形態では、本明細書で提供されるキットは、細胞、細胞培養物または組織培養物による免疫原性作用物質の産生を検出するのに適した1またはそれ以上の試薬を含む。さらなる実施形態では、試薬は、所望免疫原性作用物質の生産を示す、最大細胞密度、細胞生存能等のような細胞の特性を検出するのに適する。一部の実施形態では、試薬は、免疫原性作用物質またはその特性、例えば免疫原性作用物質のインビトロまたはインビボでの生物学的活性、均一性または構造などを検出するのに適する。
一部の実施形態では、支持体の1またはそれ以上のアッセイ表面は、細胞によるRNAエフェクター分子の取込みを促進するための担体をさらに含む。RNAエフェクター分子のための担体は当技術分野において公知であり、本明細書で説明する。例えば、一部の実施形態では、担体は、LIPOFECTAMINE(商標)トランスフェクション試薬(Invitrogen;Carlsbad,CA)などの脂質製剤または関連製剤である。そのような担体の製剤の例は本明細書に記載されている。一部の実施形態では、RNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬は、本出願全体にわたって述べる荷電脂質、乳剤、リポソーム、カチオン性または非カチオン性脂質、アニオン性脂質、トランスフェクション試薬または透過促進剤を含む。特定の実施形態では、RNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬は、2009年12月7日出願の米国仮特許出願第61/267,419号に記載されている荷電脂質を含む。
一部の実施形態では、支持体の1またはそれ以上のアッセイ表面は、試験細胞をアッセイ表面に塗布することにより、細胞によるRNAエフェクター分子の取込み及びRNAエフェクター分子によって標的される1またはそれ以上の遺伝子の発現の調節を促進するために有効なRNAエフェクター分子及び担体の濃度がもたらされるように、各々濃縮された形態の、1個のRNAエフェクター分子または一連のRNAエフェクター分子及び担体を含む。
一部の実施形態では、支持体は、3次元(3D)細胞増殖及び/または細胞による免疫原性作用物質の産生を促進する基材をさらに含む。さらなる実施形態では、基材は、細胞の足場依存性増殖を促進する。本明細書で述べる様々なキットに関する使用に適する基材の材料の非限定的な例は、寒天、アガロース、メチルセルロース、アルギネートヒドロゲル(例えば5%アルギネート+5%I型コラーゲン)、キトサン、ハイドロアクティブな親水コロイドポリマーゲル、ポリビニルアルコール−ヒドロゲル(PVA−H)、ポリアクチド−コ−グリコリド(PLGA)、コラーゲンビトリゲル、PHEMA(ポリ(2−ヒドロキシルメタクリレート))ヒドロゲル、PVP/PEOヒドロゲル、BD PURAMATRIX(商標)ヒドロゲル、及び2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)のコポリマーを含む。
一部の実施形態では、支持体は、培養細胞による免疫原性作用物質の産生に関する様々な試験物質、条件及び/またはそれらの組合せの高処理能力の自動検査を可能にする、マイクロアレイプレート、バイオチップ等を含む。例えば、支持体は、アッセイ表面のm縦列とn横列を有する(例えば穴内に存在する)2次元マイクロアレイプレートまたはバイオチップを含み得、それらは試験物質及び/または条件のm×nの組合せの検査を可能にする(例えば24穴、96穴または384穴マイクロアレイプレート上で)。マイクロアレイ支持体は、好ましくは、すべての必要な陽性及び陰性対照が試験物質及び/または条件の検査と並行して実施できるように設計される。
さらなる実施形態では、免疫原性作用物質の生産に影響を及ぼす特定の経路、機能または細胞の特性を調節するように設計されたひと組のRNAエフェクター分子を接種した1またはそれ以上のマイクロアレイ支持体を含むキットが提供される。例えば、一部の実施形態では、RNAエフェクター分子は、細胞による組換えタンパク質産物の発現、折りたたみ、分泌または翻訳後修飾に関与する経路を含む標的遺伝子を対象とする。
さらなる実施形態では、細胞ベースの系における免疫原性物質の生産に関連する特定の問題または問題のクラスに対処するように設計されたひと組のRNAエフェクター分子を接種した1またはそれ以上のマイクロアレイ支持体を含むキットが本明細書で提供される。例えば、一部の実施形態では、RNAエフェクター分子は、潜在もしくは内在性ウイルスによって発現される標的遺伝子、または免疫原性作用物質の生産もしくは精製を阻害するもしくは妨げる、細胞周期進行、細胞代謝もしくはアポトーシスなどの細胞プロセスに関与する標的遺伝子を対象とする。さらなる実施形態では、RNAエフェクター分子は、免疫原性作用物質の活性、均一性、安定性及び/または他の品質を低下させる酵素分解、凝集、ミスフォールディングまたは他のプロセスを媒介する標的遺伝子を対象とする。なおさらなる実施形態では、エフェクター分子は、外因性または偶発的汚染微生物の感染性に影響を及ぼす標的遺伝子を対象とする。一つの実施形態では、免疫原性作用物質は糖タンパク質を含み、RNAエフェクター分子は、グリコシル化(例えばフコシル化)及び/または宿主細胞による糖タンパク質のタンパク質分解プロセシングに関与する標的遺伝子を対象とする。別の実施形態では、免疫原性作用物質はマルチサブユニット組換えタンパク質であり、RNAエフェクター分子は、宿主細胞によるタンパク質の折りたたみ及び/または分泌に関与する標的遺伝子を対象とする。別の実施形態では、RNAエフェクター分子は、細胞における免疫原性作用物質の翻訳後修飾、例えばメチオニン酸化、グリコシル化、ジスルフィド結合形成、ピログルタミン酸化及び/またはタンパク質の脱アミド化などに関与する標的遺伝子を対象とする。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるキットは、免疫原性作用物質の生産における2またはそれ以上の因子の組合せの選択または最適化を可能にする。例えば、キットは、一連の候補RNAエフェクター分子の中から1個の適切なRNAエフェクター分子を選択することならびにRNAエフェクター分子の一つの濃度を選択することを可能にし得る。さらなる実施形態では、本明細書で提供されるキットは、第一シリーズの候補RNAエフェクター分子から第一RNAエフェクター分子を選択し、第二シリーズの候補RNAエフェクター分子から第二のRNAエフェクター分子を選択することを可能にする。一部の実施形態では、第一及び/または第二シリーズの候補RNAエフェクター分子は、共通の標的遺伝子を対象とする。さらなる実施形態では、第一及び/または第二シリーズのRNAエフェクター分子は、2もしくはそれ以上の機能的に関連する標的遺伝子または共通の宿主細胞経路の2もしくはそれ以上の標的遺伝子を対象とする。
別の実施形態では、細胞における免疫原性作用物質の産生を増大させるためのキットは、少なくとも、その一部が少なくとも潜在または内在性ウイルスの第一標的遺伝子に相補的である第一RNAエフェクター分子、その一部が少なくとも細胞免疫応答の第二標的遺伝子に相補的である第二RNAエフェクター分子、及び、場合により、その一部が少なくとも細胞プロセスの第三標的遺伝子に相補的である第三RNAエフェクター分子を含む。例えば、第一標的遺伝子はERV env遺伝子であり、第二標的遺伝子はIFNAR1またはIFNB遺伝子であり、及び第三標的遺伝子はPTEN、BAK1、FN1またはLDHA遺伝子である。キットは、少なくとも、炭素の代謝及び輸送、アポトーシス、RNAiの取込み及び/または効率、反応性酸素種の産生、細胞周期の制御、タンパク質の折りたたみ、ピログルタミン酸化タンパク質修飾、デアミダーゼ、グリコシル化、ジスルフィド結合の形成、タンパク質分泌、遺伝子増幅、ウイルス複製、ウイルス感染、ウイルス粒子の放出、pHの制御ならびにタンパク質産生を含むがこれらに限定されない細胞プロセスを標的する付加的なRNAエフェクター分子をさらに含み得る。
さらに別の態様では、本発明は、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための方法を提供する。該方法は、標的遺伝子の発現が、例えば長期間、例えば少なくとも2日間、3日間、4日間またはそれ以上にわたって低下するように、本発明を特徴付ける組成物を細胞に投与することを含む。本発明を特徴付ける方法及び組成物のために有用なRNAエフェクター分子は、標的遺伝子のRNA(一次またはプロセシングされた)を特異的に標的する。RNAエフェクター分子を使用してこれらの標的遺伝子の発現を阻害するための組成物及び方法は、本明細書で述べるように作製し、実施し得る。
本発明は、以下の番号を付したパラグラフのいずれか一つに定義される通りであり得る。
1.大規模宿主細胞培養において免疫原性作用物質を産生させる方法であって、(a)宿主細胞を、大規模宿主細胞培養において、少なくとも第一のRNAエフェクター分子(その一部分は、宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である)と接触させ;(b)宿主細胞培養物を、前記少なくとも一つの第一の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合、発現の調節は、宿主細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる);(c)免疫原性作用物質を宿主細胞から単離する;ことを含み、前記大規模宿主細胞培養が、少なくとも1リットルの規模であり、及び前記RNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に標的遺伝子の発現が一時的に抑制されるように加えることによって、前記宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる、免疫原性作用物質を産生させる方法。
1.大規模宿主細胞培養において免疫原性作用物質を産生させる方法であって、(a)宿主細胞を、大規模宿主細胞培養において、少なくとも第一のRNAエフェクター分子(その一部分は、宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である)と接触させ;(b)宿主細胞培養物を、前記少なくとも一つの第一の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合、発現の調節は、宿主細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる);(c)免疫原性作用物質を宿主細胞から単離する;ことを含み、前記大規模宿主細胞培養が、少なくとも1リットルの規模であり、及び前記RNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に標的遺伝子の発現が一時的に抑制されるように加えることによって、前記宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる、免疫原性作用物質を産生させる方法。
2.大規模宿主細胞培養において免疫原性作用物質を産生させる方法であって、(a)宿主細胞を、大規模宿主細胞培養において、少なくとも第一のRNAエフェクター分子(その一部分は、宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である)と接触させ;(b)宿主細胞培養物を、前記少なくとも一つの第一の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合、発現の調節は、宿主細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる);(c)免疫原性作用物質を宿主細胞から単離する;ことを含み、前記RNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に、標的遺伝子の発現が一時的に抑制されるように免疫原性作用物質の産生全体を通じて多数回加えることによって、前記宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる、免疫原性作用物質を産生させる方法。
3.前記宿主細胞を、大規模宿主細胞培養において、複数のRNAエフェクター分子と接触させ、前記複数のRNAエフェクター分子が、少なくとも一つの標的遺伝子、少なくとも2つの標的遺伝子又は複数の標的遺伝子の発現を調節する、パラグラフ1または2に記載の方法。
4.細胞において免疫原性作用物質を産生させる方法であって、(a)宿主細胞を、複数のRNAエフェクター分子と接触させ(この場合、2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、複数の標的遺伝子の発現を調節する);(b)前記細胞を、前記複数の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合、発現の調節は、宿主細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる);及び(c)免疫原性作用物質を細胞から単離する;ことを含み、前記複数の標的遺伝子が少なくともBax、Bak及びLDHを含む、免疫原性作用物質を産生させる方法。
5.前記RNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に、標的遺伝子の発現が一時的に抑制されるように加えることによって、前記宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる、パラグラフ4に記載の方法。
6.前記RNAエフェクター分子又は複数のRNAエフェクター分子が、二本鎖リボ核酸(dsRNA)を含み、前記dsRNAが、相互に相補的である少なくとも2つの配列を含み並びにセンス鎖が、第一の配列を含み及びアンチセンス鎖が、標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的である相補性の領域を含む第二の配列を含み、並びに前記相補性の領域が、10〜30個のヌクレオチドの長さである、パラグラフ1〜5に記載の方法。
7.前記接触工程を、前記RNAエフェクター分子又は複数のRNAエフェクター分子を、前記宿主細胞培養物を保持して免疫原性作用物質を産生させるために使用する培地に連続的に注入することによって行う、パラグラフ1〜6のいずれかに記載の方法。
8.前記発現の調節が発現の抑制であり、及び前記抑制が部分抑制である、パラグラフ1〜7のいずれかに記載の方法。
9.前記部分抑制が、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、及び85%からなる群から選択される抑制率よりも大きくない、パラグラフ7に記載の方法。
9.前記部分抑制が、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、及び85%からなる群から選択される抑制率よりも大きくない、パラグラフ7に記載の方法。
10.前記接触工程を少なくとも1回繰り返す、パラグラフ1〜6又は8〜9のいずれかに記載の方法。
11.前記接触工程を、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、84時間、96時間及び108時間からなる群から選択される頻度で多数回繰り返す、パラグラフ1〜6又は8〜9のいずれかに記載の方法。
11.前記接触工程を、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、84時間、96時間及び108時間からなる群から選択される頻度で多数回繰り返す、パラグラフ1〜6又は8〜9のいずれかに記載の方法。
12.前記発現の調節が、発現の抑制であり及び前記接触工程を、免疫原性作用物質の産生全体を通じて標的遺伝子(一つ又は複数)について少なくとも50%の平均抑制率を維持するために、多数回繰り返すか又は連続的に注入する、パラグラフ1〜11のいずれか1に記載の方法。
13.前記平均抑制率が、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%からなる群から選択される、パラグラフ12に記載の方法。
14.前記RNAエフェクター分子を、100nM未満の濃度で接触させる、パラグラフ1〜13のいずれかに記載の方法。
15.前記RNAエフェクター分子を、20nM未満の濃度で接触させる、パラグラフ1〜14のいずれかに記載の方法。
15.前記RNAエフェクター分子を、20nM未満の濃度で接触させる、パラグラフ1〜14のいずれかに記載の方法。
16.宿主細胞を、大規模宿主細胞培養において、RNAエフェクター分子と接触させる前記接触を、免疫原性作用物質の単離又は上清の回収の少なくとも6時間前、少なくとも12時間前、少なくとも18時間前、少なくとも36時間前、少なくとも48時間前、少なくとも60時間前、少なくとも72時間前、少なくとも96時間前又は少なくとも120時間前あるいは少なくとも1週間前に行う、パラグラフ1〜15のいずれかに記載の方法。
17.前記RNAエフェクター分子が、脂質製剤に製剤された組成物である、パラグラフ1〜16のいずれかに記載の方法。
18.前記RNAエフェクター分子が、非脂質製剤に製剤された組成物である、パラグラフ1〜17のいずれかに記載の方法。
18.前記RNAエフェクター分子が、非脂質製剤に製剤された組成物である、パラグラフ1〜17のいずれかに記載の方法。
19.前記RNAエフェクター分子が、shRNAではない、パラグラフ1〜18のいずれかに記載の方法。
20.前記RNAエフェクター分子が、siRNAである、パラグラフ1〜19のいずれかに記載の方法。
20.前記RNAエフェクター分子が、siRNAである、パラグラフ1〜19のいずれかに記載の方法。
21.前記RNAエフェクター分子が、化学的に修飾される、パラグラフ1〜20のいずれかに記載の方法。
22.前記RNAエフェクター分子が、化学的に修飾されない、パラグラフ1〜21のいずれかに記載の方法。
22.前記RNAエフェクター分子が、化学的に修飾されない、パラグラフ1〜21のいずれかに記載の方法。
23.さらに、細胞密度、培地pH、酸素濃度、グルコース濃度、乳酸濃度、温度及びタンパク質産生からなる群から選択される少なくとも一つの測定可能パラメータを監視することを含む、パラグラフ1〜22のいずれかに記載の方法。
24.前記複数の異なるRNAエフェクター分子のそれぞれを、同時に又は異なる時間で加える、パラグラフ2〜23のいずれかに記載の方法。
25.前記複数の異なるRNAエフェクター分子のそれぞれを、同じ濃度で又は異なる濃度で加える、パラグラフ2〜23のいずれかに記載の方法。
25.前記複数の異なるRNAエフェクター分子のそれぞれを、同じ濃度で又は異なる濃度で加える、パラグラフ2〜23のいずれかに記載の方法。
26.前記複数の異なるRNAエフェクター分子を、同じ頻度で又は異なる頻度で加える、パラグラフ2〜6又は8〜25のいずれかに記載の方法。
27.さらに、前記細胞を、第二の作用物質と接触させることを含む、パラグラフ1〜26のいずれかに記載の方法。
27.さらに、前記細胞を、第二の作用物質と接触させることを含む、パラグラフ1〜26のいずれかに記載の方法。
28.前記第二の作用物質が、抗体、増殖因子、アポトーシス阻害剤、キナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤及びヒストン脱メチル化剤からなる群から選択される、パラグラフ27に記載の方法。
29.前記キナーゼ阻害剤が、MAPキナーゼ阻害剤、CDK阻害剤及びK252aからなる群から選択される、パラグラフ28に記載の方法。
30.前記ホスファターゼ阻害剤が、バナジン酸ナトリウム及びオカダ酸からなる群から選択される、パラグラフ28に記載の方法。
30.前記ホスファターゼ阻害剤が、バナジン酸ナトリウム及びオカダ酸からなる群から選択される、パラグラフ28に記載の方法。
31.前記ヒストン脱メチル化剤が、5−アザシチジンである、パラグラフ28に記載の方法。
32.前記免疫原性作用物質がポリペプチドである、パラグラフ1〜31のいずれかに記載の方法。
32.前記免疫原性作用物質がポリペプチドである、パラグラフ1〜31のいずれかに記載の方法。
33.前記免疫原性作用物質がウイルスである、パラグラフ1〜31のいずれかに記載の方法。
34.前記ウイルスがPCVである、パラグラフ33に記載の方法。
34.前記ウイルスがPCVである、パラグラフ33に記載の方法。
35.前記細胞を、RNAエフェクター分子と、定常期、初期対数期、中期対数期、後期対数期、誘導期及び死滅期からなる群から選択される細胞増殖の期で接触させる、パラグラフ1〜34のいずれかに記載の方法。
36.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、二重鎖領域を含む、請パラグラフ1〜35のいずれかに記載の方法。
37.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、15〜30個のヌクレオチドの長さである、パラグラフ1〜36のいずれかに記載の方法。
38.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、17〜28個のヌクレオチドの長さである、パラグラフ1〜37のいずれかに記載の方法。
39.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、少なくとも一つの修飾ヌクレオチドを含む、パラグラフ1〜38のいずれかに記載の方法。
40.前記細胞が、植物細胞、真菌細胞、又は動物細胞である、パラグラフ1〜39のいずれかに記載の方法。
41.前記細胞が哺乳動物細胞である、パラグラフ1〜40のいずれかに記載の方法。
41.前記細胞が哺乳動物細胞である、パラグラフ1〜40のいずれかに記載の方法。
42.前記哺乳動物細胞がヒト細胞である、パラグラフ41に記載の方法。
43.前記ヒト細胞が、SH−SY5Y細胞、IMR32細胞、LAN5細胞、HeLa細胞、MCFlOA細胞、293T細胞及びSK−BR3細胞からなる群から選択される付着細胞である、パラグラフ42に記載の方法。
43.前記ヒト細胞が、SH−SY5Y細胞、IMR32細胞、LAN5細胞、HeLa細胞、MCFlOA細胞、293T細胞及びSK−BR3細胞からなる群から選択される付着細胞である、パラグラフ42に記載の方法。
44.前記ヒト細胞が、HuVEC細胞、HuASMC細胞、HKB−I1細胞及びhMSC細胞からなる群から選択される初代細胞である、パラグラフ42に記載の方法。
45.前記ヒト細胞が、U293細胞、HEK293細胞、PERC6(登録商標)細胞、ジャーカット細胞、HT−29細胞、LNCap.FGC細胞、A549細胞、MDA MB453細胞、HepG2細胞、THP−I細胞、MCF7細胞、BxPC−3細胞、Capan−1細胞、DU145細胞及びPC−3細胞からなる群から選択される、パラグラフ42に記載の方法。
45.前記ヒト細胞が、U293細胞、HEK293細胞、PERC6(登録商標)細胞、ジャーカット細胞、HT−29細胞、LNCap.FGC細胞、A549細胞、MDA MB453細胞、HepG2細胞、THP−I細胞、MCF7細胞、BxPC−3細胞、Capan−1細胞、DU145細胞及びPC−3細胞からなる群から選択される、パラグラフ42に記載の方法。
46.前記哺乳動物細胞が、BHK21細胞、BHK(TK−)細胞、NS0細胞、Sp2/0細胞、EL4細胞、CHO細胞、CHO細胞誘導体、NIH/3T3細胞、3T3−L1細胞、ES−D3細胞、H9c2細胞、C2C12細胞、メイディン・ダービー・イヌ腎(MDCK)細胞及びmiMCD3細胞からなる群から選択される齧歯類動物細胞である、パラグラフ41に記載の方法。
47.前記CHO細胞誘導体が、CHO−K1細胞、CHO−DUKX、CHO−DUKXB1及びCHO−DG44細胞からなる群から選択される、パラグラフ46に記載の方法。
48.前記細胞が、PERC6細胞、HT−29細胞、LNCaP−FGC細胞、A549細胞、MDA MB453細胞、HepG2細胞、THP−1細胞、miMCD−3細胞、HEK293細胞、HeLaS3細胞、MCF7細胞、Cos−7細胞、BxPC−3細胞、DU145細胞、ジャーカット細胞、PC−3細胞及びCapan−1細胞からなる群から選択される、パラグラフ42に記載の方法。
49.前記細胞が、BHK21、BHK(TK−)、NS0細胞、Sp2/0細胞、U293細胞、EL4細胞、CHO細胞,及びCHO細胞誘導体からなる群から選択される齧歯類動物細胞である、請求項41に記載の方法。
50.前記細胞が、さらに、前記免疫原性作用物質をコードする遺伝子構造物を含む、パラグラフ1〜49のいずれかに記載の方法。
51.前記細胞が、さらに、ウイルス受容体をコードする遺伝子構造物を含む、パラグラフ1〜50のいずれかに記載の方法。
51.前記細胞が、さらに、ウイルス受容体をコードする遺伝子構造物を含む、パラグラフ1〜50のいずれかに記載の方法。
52.前記標的遺伝子が、タンパク質グリコシル化に影響を及ぼすタンパク質をコードする、パラグラフ1〜51のいずれかに記載の方法。
53.前記標的遺伝子が、前記免疫原性作用物質をコードする、パラグラフ1〜52のいずれかに記載の方法。
53.前記標的遺伝子が、前記免疫原性作用物質をコードする、パラグラフ1〜52のいずれかに記載の方法。
54.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つを、0.1nM、0.5nM、0.75nM、1nM、2nM、5nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、75nM及び100nMからなる群から選択される濃度で加える、パラグラフ1〜53のいずれかに記載の方法。
55.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つを、50分子/細胞、100分子/細胞、200分子/細胞、300分子/細胞、400分子/細胞、500分子/細胞、600分子/細胞、700分子/細胞、800分子/細胞、900分子/細胞、1000分子/細胞、2000分子/細胞、又は5000分子/細胞の量で加える、パラグラフ1〜53のいずれかに記載の方法。
56.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つを、0.01フェムトモル/106細胞、0.1フェムトモル/106細胞、0.5フェムトモル/106細胞、0.75フェムトモル/106細胞、1フェムトモル/106細胞、2フェムトモル/106細胞、5フェムトモル/106細胞、10フェムトモル/106細胞、20フェムトモル/106細胞、30フェムトモル/106細胞、40フェムトモル/106細胞、50フェムトモル/106細胞、60フェムトモル/106細胞、100フェムトモル/106細胞、200フェムトモル/106細胞、300フェムトモル/106細胞、400フェムトモル/106細胞、500フェムトモル/106細胞、700フェムトモル/106細胞、800フェムトモル/106細胞、900フェムトモル/106細胞,及び1ピコモル/106細胞からなる群から選択される濃度で加える、パラグラフ1〜53のいずれかに記載の方法。
57.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、siRNA、miRNA、dsRNA、saRNA、shRNA、piRNA、tkRNAi、eiRNA、pdRNA、ギャップマー、アンタゴミア、リボザイム及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、パラグラフ1〜56のいずれかに記載の方法。
58.前記方法が、さらに、前記細胞を、炭素の代謝及び輸送、アポトーシス、RNAi取り込み及び/又は効率、活性酸素種産生、細胞周期の調節、タンパク質折りたたみ、タンパク質ピログルタミン酸化、タンパク質脱アミド化、タンパク質グリコシル化、ジスルフィド結合形成、タンパク質分泌、遺伝子増幅、ウイルス複製、ウイルス感染、ウイルス粒子放出、細胞pHの調節、及びタンパク質産生からなる群から選択される細胞プロセスを調節する少なくとも一つの追加のRNAエフェクター分子又は作用物質と接触させることを含む、パラグラフ1〜57のいずれかに記載の方法。
59.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、GLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸 3−ホスファターゼ(PTEN)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)からなる群から選択され、及び前記発現の調節が、細胞内の炭素の代謝又は輸送を調節することによって細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
60.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)であり及び前記RNAエフェクター分子が、配列番号:3152540〜3152603からなる群から選択される配列を含む、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
61.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、Bcl−G、Bax、Bak、Bok、Bad、Bid、Bik、Blk、Hrk、BNIP3、PUMA、NOXA、BimL、Bcl−2、Bcl−xL、Bcl−B、Bcl−w、Boo、Mcl−1、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9及びCASP10からなる群から選択され、及び前記発現の調節が、細胞のアポトーシスを調節することによって細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
62.前記少なくとも一つの標的遺伝子がBakであり及び前記RNAエフェクター分子が、配列番号:3152412〜3152475からなる群から選択される配列を含む、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
63.前記少なくとも一つの標的遺伝子がBaxであり及び前記RNAエフェクター分子が、配列番号:3152476〜3152539からなる群から選択される配列を含む、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
64.前記RNAエフェクター分子が、初期アポトーシスに入る細胞の比率を著しく低下させる、パラグラフ16又は17に記載の方法。
65.前記複数の標的遺伝子が、少なくともBax及びBakである、パラグラフ3に記載の方法。
65.前記複数の標的遺伝子が、少なくともBax及びBakである、パラグラフ3に記載の方法。
66.前記複数の標的遺伝子が、少なくともBax、Bac及びLDHである、パラグラフ3に記載の方法。
67.その一部分がBaxと相補的である前記RNAエフェクター分子が、配列番号:3152476〜3152539からなる群から選択される配列を含み、その一部分がBakと相補的である前記RNAエフェクター分子が、配列番号:3152412〜3152475からなる群から選択される配列を含む、パラグラフ4、5、65又は66のいずれかに記載の方法。
67.その一部分がBaxと相補的である前記RNAエフェクター分子が、配列番号:3152476〜3152539からなる群から選択される配列を含み、その一部分がBakと相補的である前記RNAエフェクター分子が、配列番号:3152412〜3152475からなる群から選択される配列を含む、パラグラフ4、5、65又は66のいずれかに記載の方法。
68.その一部分がLDHと相補的である前記RNAエフェクター分子が、配列番号:3152540〜3152603からなる群から選択される配列を含む、パラグラフ4又は66に記載の方法。
69.前記の少なくとも2つの標的遺伝子の発現が調節され及び前記少なくとも2つの標的遺伝子が、Bcl−G、Bax、Bak、Bok、Bad、Bid、Bik、Blk、Hrk、BNIP3、PUMA、NOXA,及びBimLからなる群から選択される、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
70.さらに、前記細胞を、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)と相補的な配列を含むRNAエフェクター分子と接触させることを含む、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
71.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、Ago1、Ago2、Ago3、Ago4、HIWI1、HIWI2、HIWI3、HILI、インターフェロン受容体、ApoE、Eri1及びマンノース/GalNAc受容体からなる群から選択され、及び前記発現の調節が、細胞でのRNAi取り込み及び/又は効率を調節することによって細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
72.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、NAD(p)Hオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、構成性神経一酸化窒素シンターゼ(cnNOS)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、キサンチンオキシダーゼ(XO)、15−リポキシゲナーゼ−1、NADPHシトクロムc2レダクターゼ、NAPHシトクロムcレダクターゼ、NADHシトクロムb5レダクターゼ及びシトクロムP4502E1からなる群から選択され、及び前記発現の調節が、細胞での活性酸素種の産生を抑制することによって細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
73.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、MuLVタンパク質、MVMタンパク質、Reo−3タンパク質、PRVタンパク質及びベシウイルスタンパク質からなる群から選択され;及び前記発現の調節が、細胞のウイルス感染を抑制することによって細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
74.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、キシローストランスフェラーゼである、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
75.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、ベシウイルスタンパク質であり、かつ前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、配列番号:3152604〜3152713からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドの連続する少なくとも16個のヌクレオチドを有する少なくとも1つの鎖を含む、パラグラフ73に記載の方法。
75.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、ベシウイルスタンパク質であり、かつ前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、配列番号:3152604〜3152713からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドの連続する少なくとも16個のヌクレオチドを有する少なくとも1つの鎖を含む、パラグラフ73に記載の方法。
76.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、CCNA1、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNB3、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCNE2、サイクリンB、サイクリンD、サイクリンE、CDK2、CDK4、P10、P21、P27、p53、P57、p16INK4a、P14ARF及びCDK4からなる群から選択され、及び前記発現の調節が、細胞の細胞周期を調節することによって細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
77.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、IRE1、PERK、ATF4、ATF6、eIF2α、GRP78、GRP94、Bip、Hsp40、HSP47、HSP60、Hsp70、HSP90、HSP100、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、ペプチジルプロリルイソメラーゼ、カルレチクリン、カルネキシン、Erp57及びBAG−1からなる群から選択され;及び前記発現の調節が、タンパク質の折りたたみを高めることによって細胞においてタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
78.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、宿主細胞内のメチオニンスルホキシドレダクターゼ遺伝子であり、及び前記発現の調節が、メチオニン酸化によるタンパク質の修飾を抑制することによって細胞においてタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
79.前記標的遺伝子が、宿主細胞内のグルタミニルシクラーゼ遺伝子であり、及び前記発現の調節が、ピログルタミン酸化によるタンパク質の修飾を抑制することによって細胞でのタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
80.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、アスパラギンデアミダーゼ及びグルタミンデアミダーゼからなる群から選択され;及び前記発現の調節が、脱アミド化によってタンパク質の修飾を抑制することによって細胞においてタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
81.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、ドリチル−ジホスホオリゴサッカライド−タンパク質グリコシルトランスフェラーゼ、UDPグリコシルトランスフェラーゼ、UDP−Gal:βGlcNAcβ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ、UDP−ガラクトース−セラミドガラクトシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、タンパク質O−フコシルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼT−4、O−GlcNAcトランスフェラーゼ、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ、O−結合N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ、α−ガラクトシダーゼ及びβ−ガラクトシダーゼからなる群から選択され;及び前記発現の調節が、タンパク質のグリコシル化を調節することによって細胞においてタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
82.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ及びスルフヒドリルオキシダーゼからなる群から選択され;及び前記発現の調節が、タンパク質においてジスルフィド結合形成を調節することによって細胞においてタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
83.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、γ−セクレターゼ、p115、シグナル認識粒子(SRP)タンパク質、セクレチン及びキナーゼからなる群から選択され;及び前記発現の調節が、タンパク質の分泌を調節することによって細胞においてタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
84.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、宿主細胞内のデヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子であり、及び前記発現の調節が、細胞での遺伝子増幅を高めることによって細胞においてタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
85.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、ウイルスの遺伝子又は細胞の標的遺伝子であり、それによって減少したウイルス量を有する宿主細胞から免疫原性作用物質を産生させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
86.前記ウイルスが、ベシウイルス、MMV、MuLV、PRV及びReo−3からなる群から選択される、パラグラフ85に記載の方法。
87.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、ウイルスタンパク質をコードする、パラグラフ85に記載の方法。
87.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、ウイルスタンパク質をコードする、パラグラフ85に記載の方法。
88.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、非ウイルスタンパク質をコードする、パラグラフ85に記載の方法。
89.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、酸化促進酵素、BIK、BAD、BIM、HRK、BCLG、HR、NOXA、PUMA、BOK、BOO、BCLB、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9、CASP10、BAX、BAK、BCL2、p53、APAFI及びHSP70からなる群から選択され;及び前記発現の調節が、細胞の生存率を高めることによって細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
89.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、酸化促進酵素、BIK、BAD、BIM、HRK、BCLG、HR、NOXA、PUMA、BOK、BOO、BCLB、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9、CASP10、BAX、BAK、BCL2、p53、APAFI及びHSP70からなる群から選択され;及び前記発現の調節が、細胞の生存率を高めることによって細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
90.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、CCNA1、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNB3、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCNE2、サイクリンB、サイクリンD、サイクリンE、CDK2、CDK4、P10、P21、P27、p53、P57、p16INK4a、P14ARF、CDK4、Bcl−G、Bax、Bak、Bok、Bad、Bid、Bik、Blk、Hrk、BNIP3、PUMA、NOXA、BimL、Bcl−2、Bcl−xL、Bcl−B、Bcl−w、Boo、Mcl−1、A1、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9、CASP10、GLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸 3−ホスファターゼ(PTEN)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)からなる群から選択され;及び前記発現の調節が、細胞の特異的生産性を高めることによって細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
91.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、GLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸 3−ホスファターゼ(PTEN)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、CCNA1、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNB3、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCNE2、サイクリンB、サイクリンD、サイクリンE、CDK2、CDK4、P10、P21、P27、p53、P57、p16INK4a、P14ARF及びCDK4からなる群から選択され;及び前記発現の調節が、細胞の栄養必要量を調節することによって細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
92.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、乳酸デヒドロゲナーゼ及びリソソームV型ATPアーゼからなる群から選択され;及び前記発現の調節が、細胞のpHを調節することによって細胞での免疫原性作用物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
93.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、細胞質アクチンキャッピングタンパク質(CapZ)、エズリン(VIL2)、ラミニンA及びコフィリン(CFL1)からなる群から選択され;及び前記遺伝子発現の調節が、細胞のアクチン動態を調節することによって細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
94.少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、標的遺伝子コフィリンの発現を調節する、パラグラフ93に記載の方法。
95.少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、細胞質アクチンキャッピングタンパク質(CapZ)、エズリン(VIL2)及びラミニンAからなる群から選択される標的遺伝子の発現を増加させる、パラグラフ93に記載の方法。
95.少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、細胞質アクチンキャッピングタンパク質(CapZ)、エズリン(VIL2)及びラミニンAからなる群から選択される標的遺伝子の発現を増加させる、パラグラフ93に記載の方法。
96.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、宿主細胞潜在ウイルス、外来ウイルス又は宿主細胞内在性レトロウイルスの遺伝子であるか、あるいはこのようなウイルスの宿主細胞結合リガンドである、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
97.前記標的遺伝子が、HERV−K、pt01−Chr10r−17119458、pt01−Chr5−53871501、BaEV、GaLV、HERV−T、ERV−3、HERV−E、HERV−ADP、HERV−I、MER4様、HERV−FRD、HERV−W、HERVH−RTVLH2、HERVH−RGH2、HERV−Hコンセンサス、HERV−Fc1、hg15−chr3−152465283、HERVL66、HSRV、HFV、HERV−S、HERV−L、HERVL40、HERVL74、HTLV−1、HTLV−2、HIV−1、HIV−2、MPMV、MMTV、HML1、HML2、HML3、HML4、HML7、HML8、HML5、HML10、HML6、HML9、MMTV、FLV、PERV、BLV、EIAV、JSRV、gg01−chr7−7163462、gg01−chrU−52190725、gg01−Chr4−48130894、ALV、gg01−chr1−15168845、gg01−chr4−77338201、gg01−ChrU−163504869、gg01−chr7−5733782、ニシキヘビ、WDSV、SnRV、Xen1、Gypsy及びTy1から選択される内在性レトロウイルス(ERV)の遺伝子である、パラグラフ96に記載の方法。
98.前記標的遺伝子が、C血清型アデノウイルス、トリアデノウイルス、トリアデノウイルス随伴ウイルス、ヒトヘルペスウイルス−4(EBV)及びサーコウイルスからなる群から選択される潜在ウイルスの遺伝子である、パラグラフ96に記載の方法。
99.前記潜在ウイルスがサーコウイルスであり、及び前記標的遺伝子が、ブタサーコウイルス1型(PCV1)又はサーコウイルス2型(PCV2)のrep遺伝子である、パラグラフ98に記載の方法。
100.前記潜在ウイルスがEBVであり及び前記標的遺伝子が潜在膜タンパク質(LMP)−2Aである、パラグラフ98に記載の方法。
101.前記標的遺伝子が、外来性レトロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)、HIV−2、ヒトT細胞リンパ指向性ウイルスI型(HTLV−I)、HTLV−II、ヒト肝炎A型(HHA)、HHB、HHC、ヒトサイトメガロウイルス、EBV、ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV6)、HHV7、HHV8、ヒトパルボウイルスB19、レオウイルス、ポリオーマ(JC/BK)ウイルス、SV40、ヒトコロナウイルス、パピローマウイルス、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザA型、B型及びC型ウイルス、ヒトエンテロウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ベシウイルス、ブタサーコウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、乳酸デヒドロゲナーゼウイルス、ブタパルボウイルス、アデノ随伴ウイルス、レオウイルス、狂犬病ウイルス、レポリポックスウイルス、トリ白血病ウイルス(ALV)、ハンターンウイルス、マルブルグウイルス、SV20、セムリキ森林ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、ブタパルボウイルス、マウス肝炎ウイルス(MHV)、ネズミ白血病ウイルス(MuLV)、マウスの肺炎ウイルス(PVM)、タイラー脳脊髄炎ウイルス、ネズミ微小ウイルス、マウスアデノウイルス(MAV);マウスサイトメガロウイルス、マウスロタウイルス(EDIM)、キルハムラットウイルス、トゥーランH−1ウイルス、センダイウイルス、ラットコロナウイルス、偽性狂犬病ウイルス、カシェ渓谷ウイルス、ウシウイルス性下痢症ウイルス、ウシパラインフルエンザウイルス3型、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、ウシアデノウイルス、ウシパルボウイルス、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス、ウシヘルペスウイルス、ウシレオウイルス、ブルータングウイルス、ウシポリオーマウイルス、ウシサーコウイルス、牛痘、牛痘以外のオルトポックスウイルス、偽牛痘ウイルス及びレポリポックスウイルスからなる群から選択される外来ウイルスの遺伝子である、パラグラフ96に記載の方法。
101.前記標的遺伝子が、外来性レトロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)、HIV−2、ヒトT細胞リンパ指向性ウイルスI型(HTLV−I)、HTLV−II、ヒト肝炎A型(HHA)、HHB、HHC、ヒトサイトメガロウイルス、EBV、ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV6)、HHV7、HHV8、ヒトパルボウイルスB19、レオウイルス、ポリオーマ(JC/BK)ウイルス、SV40、ヒトコロナウイルス、パピローマウイルス、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザA型、B型及びC型ウイルス、ヒトエンテロウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ベシウイルス、ブタサーコウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、乳酸デヒドロゲナーゼウイルス、ブタパルボウイルス、アデノ随伴ウイルス、レオウイルス、狂犬病ウイルス、レポリポックスウイルス、トリ白血病ウイルス(ALV)、ハンターンウイルス、マルブルグウイルス、SV20、セムリキ森林ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、ブタパルボウイルス、マウス肝炎ウイルス(MHV)、ネズミ白血病ウイルス(MuLV)、マウスの肺炎ウイルス(PVM)、タイラー脳脊髄炎ウイルス、ネズミ微小ウイルス、マウスアデノウイルス(MAV);マウスサイトメガロウイルス、マウスロタウイルス(EDIM)、キルハムラットウイルス、トゥーランH−1ウイルス、センダイウイルス、ラットコロナウイルス、偽性狂犬病ウイルス、カシェ渓谷ウイルス、ウシウイルス性下痢症ウイルス、ウシパラインフルエンザウイルス3型、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、ウシアデノウイルス、ウシパルボウイルス、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス、ウシヘルペスウイルス、ウシレオウイルス、ブルータングウイルス、ウシポリオーマウイルス、ウシサーコウイルス、牛痘、牛痘以外のオルトポックスウイルス、偽牛痘ウイルス及びレポリポックスウイルスからなる群から選択される外来ウイルスの遺伝子である、パラグラフ96に記載の方法。
102.標的遺伝子が、内在性ウイルス、潜在ウイルス又は外来ウイルスのための宿主細胞結合リガンドである、パラグラフ96に記載の方法。
103.前記標的遺伝子が、SLC35A1、Gne、Cmas、B4GalT1又はB4GalT6である、パラグラフ102に記載の方法。
103.前記標的遺伝子が、SLC35A1、Gne、Cmas、B4GalT1又はB4GalT6である、パラグラフ102に記載の方法。
104.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、FUT8、TSTA3及びGMDSからなる群から選択され;及び前記発現の調節が、フコシル化を調節することによって細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
105.さらに、宿主細胞を、シアリルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を標的とする少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させることを含む、請パラグラフ104に記載の方法。
106.前記シアリルトランスフェラーゼが、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ1、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ4、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ3、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ5、ST6(α−N−アセチル−ノイラミニル−2,3−β−ガラクトシル−1,3)−N−アセチルガラクトサミニドα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ6及びST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ2からなる群から選択される、パラグラフ105に記載の方法。
107.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、グルタミナーゼ及びグルタミンデヒドロゲナーゼからなる群から選択され;及び前記発現の調節が、アンモニア増強を調節することによって細胞において免疫原性作用物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
108.さらに、前記宿主細胞を、グルタミナーゼの発現を調節する少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させることを含む、パラグラフ1〜108のいずれかに記載の方法。
109.さらに、前記宿主細胞を、グルタミンシンテターゼの発現を調節する少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させることを含む、パラグラフ1〜108のいずれかに記載の方法。
110.少なくとも一つのRNAエフェクター分子(その一部分は、宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である)と、宿主細胞を培養するのに適した細胞培地とを含んでなる組成物であって、前記RNAエフェクター分子が、標的遺伝子の発現を調節でき及び前記発現の調節が、免疫原性作用物質の産生を高め、前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152339及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAである組成物。
111.2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子を含んでなり、前記2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子がそれぞれ異なる標的遺伝子と相補的である、パラグラフ110に記載の組成物。
112.複数のRNAエフェクター分子を含んでなる組成物であって、それぞれのRNAエフェクター分子の一部分が、宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的であり、並びに前記組成物がBax、Bak及びLDHの発現を調節することができ及び前記発現の調節が免疫原性作用物質の産生を高める組成物。
113.さらに、少なくとも一つの追加のRNAエフェクター分子又は物質を含む、パラグラフ110又は112に記載の組成物。
114.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子がsiRNAである、パラグラフ110又は112に記載の組成物。
114.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子がsiRNAである、パラグラフ110又は112に記載の組成物。
115.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が二重鎖領域を含む、パラグラフ110又は112に記載の組成物。
116.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、15〜30個のヌクレオチドの長さである、パラグラフ110又は112に記載の組成物。
116.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、15〜30個のヌクレオチドの長さである、パラグラフ110又は112に記載の組成物。
117.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、17〜28個のヌクレオチドの長さである、パラグラフ110又は112に記載の組成物。
118.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、修飾ヌクレオチドを含む、パラグラフ110又は112に記載の組成物。
118.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、修飾ヌクレオチドを含む、パラグラフ110又は112に記載の組成物。
119.前記細胞培地が血清無含有培地である、パラグラフ110に記載の組成物。
120.前記組成物が、非脂質製剤に製剤される、パラグラフ110〜119のいずれかに記載の組成物。
120.前記組成物が、非脂質製剤に製剤される、パラグラフ110〜119のいずれかに記載の組成物。
121.前記組成物が、脂質製剤に製剤される、パラグラフ110〜119のいずれかに記載の組成物。
122.前記製剤中の脂質が、陽イオン性又は非イオン性脂質を含む、パラグラフ121に記載の組成物。
122.前記製剤中の脂質が、陽イオン性又は非イオン性脂質を含む、パラグラフ121に記載の組成物。
123.前記組成物が、さらに一つ又はそれ以上の細胞培養培地補助物質を含む、パラグラフ110〜122のいずれかに記載の組成物。
124.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、二本鎖リボ核酸(dsRNA)を含み、前記dsRNAが、相互に相補的である少なくとも2つの配列を含み及び前記センス鎖が、第一の配列を含み及びアンチセンス鎖が、標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的である相補性の領域を含む第二の配列を含み、並びに前記相補性の領域が、10〜30個のヌクレオチドの長さである、パラグラフ110〜123のいずれかに記載の組成物。
124.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、二本鎖リボ核酸(dsRNA)を含み、前記dsRNAが、相互に相補的である少なくとも2つの配列を含み及び前記センス鎖が、第一の配列を含み及びアンチセンス鎖が、標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的である相補性の領域を含む第二の配列を含み、並びに前記相補性の領域が、10〜30個のヌクレオチドの長さである、パラグラフ110〜123のいずれかに記載の組成物。
125.培養細胞による免疫原性作用物質の産生を高めるキットであって、
(a)免疫原性作用物質が産生される条件下で細胞を培養するのに適した一つ又はそれ以上のアッセイ表面を含む支持体;
(b)一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子(それぞれのRNAエフェクター分子の少なくとも一部分は、標的遺伝子と相補的である)、及び
(c)免疫原性作用物質又はその細胞による産生を検出するための試薬、
を含み、前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152339及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAであるキット。
(a)免疫原性作用物質が産生される条件下で細胞を培養するのに適した一つ又はそれ以上のアッセイ表面を含む支持体;
(b)一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子(それぞれのRNAエフェクター分子の少なくとも一部分は、標的遺伝子と相補的である)、及び
(c)免疫原性作用物質又はその細胞による産生を検出するための試薬、
を含み、前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152339及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAであるキット。
126.前記一つ又はそれ以上のアッセイ表面が、さらに宿主細胞の増殖及び維持を支持するための基材を含む、パラグラフ125に記載のキット。
127.前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、前記支持体表面に沈着している、パラグラフ125に記載のキット。
127.前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、前記支持体表面に沈着している、パラグラフ125に記載のキット。
128.さらに、前記宿主細胞によるRNAエフェクター分子の取り込みを促進するための担体を含む、パラグラフ125に記載のキット。
129.前記担体が陽イオン性脂質組成物を含む、パラグラフ128に記載のキット。
129.前記担体が陽イオン性脂質組成物を含む、パラグラフ128に記載のキット。
130.前記担体が、支持体表面に沈着している、パラグラフ128に記載のキット。
131.さらに、宿主細胞を培養するのに適した細胞培養培地を含む、パラグラフ125に記載のキット。
131.さらに、宿主細胞を培養するのに適した細胞培養培地を含む、パラグラフ125に記載のキット。
132.さらに、一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子の存在下で宿主細胞を培養し、前記細胞を免疫原性作用物質の産生についてアッセイするための取扱説明書を含む、パラグラフ125に記載のキット。
133.培養細胞による免疫原性作用物質の産生を最適化するためのキットであって、
(a)複数のアッセイ表面を含むマイクロアレイ支持体(前記アッセイ表面は、免疫原性作用物質が産生される条件下で細胞を培養するのに適している);
(b)一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子(それぞれのRNAエフェクター分子の少なくとも一部分は、標的遺伝子と相補的である);及び
(c)前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子の免疫原性作用物質の産生に対する効果を検出するための試薬;
を含み、前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152339及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAであるキット。
(a)複数のアッセイ表面を含むマイクロアレイ支持体(前記アッセイ表面は、免疫原性作用物質が産生される条件下で細胞を培養するのに適している);
(b)一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子(それぞれのRNAエフェクター分子の少なくとも一部分は、標的遺伝子と相補的である);及び
(c)前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子の免疫原性作用物質の産生に対する効果を検出するための試薬;
を含み、前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152339及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAであるキット。
134.前記支持体が、マルチウエルプレート又はバイオチップである、パラグラフ133に記載のキット。
135.前記支持体が、二次元マイクロアレイプレート又はバイオチップある、パラグラフ133に記載のキット。
135.前記支持体が、二次元マイクロアレイプレート又はバイオチップある、パラグラフ133に記載のキット。
136.前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、支持体のアッセイ表面に沈着している、パラグラフ133に記載のキット。
137.複数の異なるRNAエフェクター分子が、マイクロアレイの第一の寸法にわたってアッセイ表面に沈着している、パラグラフ135に記載のキット。
137.複数の異なるRNAエフェクター分子が、マイクロアレイの第一の寸法にわたってアッセイ表面に沈着している、パラグラフ135に記載のキット。
138.前記複数のRNAエフェクター分子が、それぞれ異なる標的遺伝子と相補的である、パラグラフ137に記載のキット。
139.前記異なる標的遺伝子が、Bax、Bak及びLDHである、パラグラフに記載のキット。
139.前記異なる標的遺伝子が、Bax、Bak及びLDHである、パラグラフに記載のキット。
140.複数のRNAエフェクター分子が、それぞれ同じ標的遺伝子の異なる領域と相補的である、パラグラフ137に記載のキット。
141.前記複数を含むRNAエフェクター分子のそれぞれが、マイクロアレイの第二の寸法に沿ったアッセイ表面に種々の濃度で沈着している、パラグラフ137に記載のキット。
141.前記複数を含むRNAエフェクター分子のそれぞれが、マイクロアレイの第二の寸法に沿ったアッセイ表面に種々の濃度で沈着している、パラグラフ137に記載のキット。
142.前記RNAエフェクター分子(その一部分は、標的遺伝子と相補的である)が、ヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含む対応siRNAであり、前記ヌクレオチド配列が、本明細書中の表に記載のものであるパラグラフ1〜109のいずれかに記載の方法。
143.前記脂質製剤が、次式:
R1及びR2は、それぞれの存在についてそれぞれ独立して、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルキル、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルコキシ、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルケニル、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルケニルオキシ、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルキニル、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルキニルオキシ、又は場合により置換されていてもよいC10〜C30アシルであり;
(1)L2の一つの原子とL1の一つの原子の間の単結合であり〔この場合、
L1は、C(Rx)、O、S又はN(Q)であり;
L2は、−CR5R6−、−O−、−S−、−N(Q)−、=C(R5)−、−C(O)N(Q)−、−C(O)O−、−N(Q)C(O)−、−OC(O)−、又は−C(O)−である〕;
(2)L2の一つの原子とL1の一つの原子の間の二重結合であり〔この場合、
L1は、Cであり;
L2は、−CR5=、−N(Q)=、−N−、−O−N=、−N(Q)−N=、又は−C(O)N(Q)−N=である〕;
(3)L2の第一の原子とL1の第一の原子の間の単結合、及びL2の第二の原子とL1の第一の原子の間の単結合であり〔この場合、
L1は、Cであり;
L2は、次式:
Z1及びZ4は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CH2−、−CHR5−、又は−CR5R5−であり;
Z2は、CH又はNであり;
Z3は、CH又はNであり;
あるいは、Z2とZ3は、一緒になって、単一のC原子であり;
A1及びA2は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CH2−、−CHR5−、又は−CR5R5−であり;
それぞれのZは、N、C(R5)、又はC(R3)であり;
kは、0、1、又は2であり;
それぞれのmは、独立して0〜5であり;
それぞれのnは、独立して0〜5であり;
この場合に、mとnは、一緒になって3、4、5、6、7又は8員環を生じる〕;
(4)L2の第一の原子とL1の第一の原子の間の単結合、及びL2の第一の原子とL1の第二の原子の間の単結合であり〔この場合に、
(A)L1は、次式:
T1は、CH又はNであり;
T2は、CH又はNであり;
あるいは、T1とT2は、一緒になって、C=Cであり;
L2は、CR5であるか;又は
(B)L1は、次式:
T1は、−CR5R5−、−N(Q)−、−O−、又は−S−であり;
T2は、−CR5R5−、−N(Q)−、−O−、又は−S−であり;
L2は、CR5又はNである〕;
R3は、次式:
Y1、Y2、Y3及びY4のそれぞれは、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、又はアルキニルであるか;あるいは、
Y1、Y2及びY3の任意の2つは、これらを結合しているN原子と一緒になって3〜8員複素環を形成するか;あるいは、
Y1、Y2及びY3は、全てがこれらを結合しているN原子と一緒になって二環式5〜12員複素環を形成し;
それぞれのRnは、独立して、H、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;
L3は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR5R6)a−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
L4は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR5R6)a−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
L5は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR5R6)a−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
R5及びR6のそれぞれの存在は、独立して、H、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;あるいは、隣り合った2個の炭素原子上の2個のR5基は、一緒になってこれらのそれぞれの炭素原子の間で二重結合を形成するか;又は隣り合った2個の炭素原子上の2個のR5基と、同じ隣り合った炭素原子上の2個のR6基は、一緒になってこれらのそれぞれの炭素原子の間で三重結合を形成し;
それぞれのaは、独立して、0、1、2、又は3であり;
この場合に、
L3、L4又はL5のいずれかに由来するR5又はR6置換基は、場合によりL3、L4又はL5のいずれかに由来するR5又はR6置換基と一緒になって、3〜8員シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリール基を形成し;及び
Y1、Y2及びY3の任意の一つは、場合により、L3、L4又はL5のいずれかに由来するR5又はR6基、及びこれらを結合している原子と一緒になって、3〜8員ヘテロシクリル基を形成し;
それぞれのQは、独立して、H、アルキル、アシル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルであり;並びに
それぞれのQ2は、独立してO、S、N(Q)(Q)、アルキル又はアルコキシである}
を有する脂質を含んでなる、パラグラフ121に記載の方法。
(実施例)
(実施例1) RNAエフェクター分子合成
試薬の供給源が本明細書中で具体的に記載されていない場合、そのような試薬は、分子生物学における応用に標準的な品質/純度で分子生物学用試薬の任意の供給元から入手することができる。
オリゴヌクレオチド合成:オリゴヌクレオチドは全てAKTAoligopilot合成装置で合成する。市販のコントロールドポアガラス固体支持体(dT−CPG、500Å、Prime Synthesis)及び標準的保護基を有するRNAホスホルアミダイト、5’−O−ジメトキシトリチルN6−ベンゾイル−2’−t−ブチルジメチルシリル−アデノシン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホルアミダイト、5’−O−ジメトキシトリチル−N4−アセチル−2’−t−ブチルジメチルシリル−シチジン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホルアミダイト、5’−O−ジメトキシトリチル−N2−-イソブチル−2’−t−ブチルジメチルシリル−グアノシン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホルアミダイト、及び5’−O−ジメトキシトリチル−2’−t−ブチルジメチルシリル−ウリジン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホルアミダイト(Pierce Nucleic Acids Technologies)をオリゴヌクレオチド合成のために使用した。2’−Fホスホルアミダイト、5’−O−ジメトキシトリチル−N4−アセチル−2’−フルロ−シチジン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチル−ホスホルアミダイト及び5’−O−ジメトキシトリチル−2’−フルロ−ウリジン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチル−ホスホルアミダイトを(Promega)から購入する。10%THF/ANC(v/v)中0.2Mの濃度で使用するグアノシン以外、全てのホスホルアミダイトはアセトニトリル(CH3CN)中0.2Mの濃度で使用する。16分のカップリング/リサイクリング時間を使用する。アクチベータは、5−エチルチオテトラゾール(0.75M、American International Chemicals)であり;PO酸化には、ヨウ素/水/ピリジンを使用し、PS酸化には、2,6−ルチジン/ACN(1:1v/v)中PADS(2%)を使用する。
3’−リガンド結合鎖は、対応するリガンドを含む固体支持体を使用して合成する。例えば、配列中のコレステロール単位の導入は、ヒドロキシプロリノール−コレステロールホスホルアミダイトから実施する。コレステロールを6−アミノヘキサノエート結合によりtrans−4−ヒドロキシプロリノールと結合させて、ヒドロキシプロリノール−コレステロール部分を得る。5’末端Cy−3及びCy−5.5(フルオロフォア)標識されたRNAエフェクター分子を、対応するQuasar(登録商標)570インドカルボシアニンから合成する。Cy(商標)3ホスホルアミダイトをBiosearch Technologies(Novato,CA)から購入する。リガンドの5’末端及び又は内部位置への結合は、適切に保護されたリガンド−ホスホルアミダイトビルディングブロックを用いることによって達成される。ホスホルアミダイトの無水CH3CN中0.1M溶液の、5−(エチルチオ)−1H−テトラゾールアクチベータの存在下での固体支持体結合オリゴヌクレオチドへの拡大された15分のカップリング。ヌクレオチド間ホスファイトのホスフェートへの酸化は、文献で報告されているように、標準的ヨウ素−水を用いるか、又はtert−ブチルヒドロペルオキシド/アセトニトリル/水(10:87:3)での処理(10分間の酸化待ち時間を伴う)によって実施する。ホ硫黄転移試薬、例えばDDTT(AM Chemicalsから購入)、PADS及び又はBeaucage試薬を使用することによりホスファイトをホスホロチオエートに酸化することによって、スホロチオエートを導入する。コレステロールホスホルアミダイトを自家合成し、ジクロロメタン中0.1Mの濃度で使用する。コレステロールホスホルアミダイトのカップリング時間は16分である。
脱保護I(核酸塩基脱保護):合成完了後、支持体を100mLのガラスビン(VWR)に移す。80mLのエタノール性アンモニア混合物[アンモニア:エタノール(3:1)]で6.5時間55℃にて、塩基及びリン酸基を同時に脱保護して、オリゴヌクレオチドを支持体から切断する。ビンを氷上で短時間冷却し、次いでエタノール性アンモニア混合物を新しい250mLビン中にろ過する。CPGを2×40mLのエタノール/水(1:1v/v)で洗浄する。混合物の体積を次いでロト・バップにより〜30mLまで減じる。混合物を次いでドライアイス上で凍結させ、スピード・バックで真空乾燥する。
脱保護II(2’−TBDMS基の除去):乾燥残留物を26mLのトリエチルアミン、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩(TEA・3ΗF)又はピリジン−HF及びDMSO(3:4:6)中に再懸濁させ、60℃で90分間加熱して、2’位のtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基を除去する。反応を次いで50mLの20mM酢酸ナトリウムでクエンチし、pHを6.5に調節する。オリゴヌクレオチドを精製するまで冷凍庫中で保存する。
分析:オリゴヌクレオチドを精製前に高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析し、緩衝液及びカラムの選択は、配列及び又は結合リガンドの性質に依存する。
HPLC精製:リガンド結合オリゴヌクレオチドを逆相分取HPLCにより精製する。非結合オリゴヌクレオチドを、自家充填したTSKゲルカラム上アニオン交換HPLCにより精製する。緩衝液は、10%CH3CN中20mMリン酸ナトリウム(pH8.5)(緩衝液A);及び10%CH3CN中20mMリン酸ナトリウム(pH8.5)、1M NaBr(緩衝液B)である。全長オリゴヌクレオチドを含むフラクションをプールし、脱塩し、凍結乾燥する。約0.15ODの脱塩されたオリゴヌクレオチドを水中で150μLに希釈し、次いでCGE及びLC/MS分析用の特別なバイアル中にピペッティングする。化合物を次いでLC−ESMS及びCGEにより分析する。
HPLC精製:リガンド結合オリゴヌクレオチドを逆相分取HPLCにより精製する。非結合オリゴヌクレオチドを、自家充填したTSKゲルカラム上アニオン交換HPLCにより精製する。緩衝液は、10%CH3CN中20mMリン酸ナトリウム(pH8.5)(緩衝液A);及び10%CH3CN中20mMリン酸ナトリウム(pH8.5)、1M NaBr(緩衝液B)である。全長オリゴヌクレオチドを含むフラクションをプールし、脱塩し、凍結乾燥する。約0.15ODの脱塩されたオリゴヌクレオチドを水中で150μLに希釈し、次いでCGE及びLC/MS分析用の特別なバイアル中にピペッティングする。化合物を次いでLC−ESMS及びCGEにより分析する。
RNAエフェクター分子調製:RNAエフェクター分子の一般的な調製のために、等モル量のセンス鎖及びアンチセンス鎖を1×PBS中、95℃で5分間加熱し、そして室温までゆっくりと冷却する。二本鎖の完全性をHPLC分析により確認する。
ハムスターBax、Bak、及びLDH mRNAを分解するように設計されたsiRNAを、一般公開されている配列データに基づいて合成した。約32のsiRNAの1セットを各標的に関して設計し、合成した。各siRNAを細胞培地に10nMで3日間添加して、効果についてスクリーニングした。96ウェルプレート中で、29.5μLのCDCHO培地(Gibco)を試験ウェルに添加し、47μLを対照ウェルに添加した。このために、CDCHO培地中100nMのsiRNA(17.5μL)を試験ウェルに添加した。全てのウェルに対して、CDCHO培地中で1:10に希釈した3μLのLipofectamine(商標)RNAiMAXトランスフェクション試薬(Invitrogen)を添加した。混合物を室温で15分間インキュベートし、次いで20,000〜30,000細胞を含有する125μLのCDCHO培地を全てのウェルに添加した。プレートを次いで37℃CO2インキュベータ中に3日間入れた。
3日後、細胞を毒性について視覚的に調査し、次いで製造業者の指示にしたがってMagMAX(商標)96ウェルRNA抽出キット(Applied Biosys./Ambion(登録商標),Austin,TX)を使用して、RNAを抽出した。製造業者の指示にしたがってHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosys.)を使用して、cDNAをRNAから作製した。最後に、qPCRを用いて、Roche Lightcycler 480 PCR装置及びRoche PCR Probesマスターミックスで標的cDNAの25倍希釈を定量化した。APDHを内部標準として使用するΔΔCt法を用いて、標的遺伝子の相対的ノックダウンを計算した。
qPCRに関して、以下のプライマー及びプローブを使用した:
Bax
順方向プライマー 5’−GGAGCAGCTCGGAGGCG−3’(配列番号3152400)
逆方向プライマー 5’−AAAAGGCCCCTGTCTTCATGA−3’(配列番号3152401)
プローブ 5’−6FAM−CGGGCCCACCAGCTCTGAGCA−TAMRA−3’(配列番号3152402)
Bak
順方向プライマー 5’−CCTCCTAGGCAGGACTGTGA−3’(配列番号3152403)
逆方向プライマー 5’−CCAAGATGCTGTTGGGTTCT−3’(配列番号3152404)
プローブ 5’−6FAM−TCAGGAACAAGAGACCCAGG−TAMRA−3’(配列番号3152405)
LDH
順方向プライマー 5’−TCTGTCTGTGGCTGACTTGG−3’(配列番号3152406)
逆方向プライマー 5’−TCACAACATCGGAGATTCCA−3’(配列番号3152407)
プローブ 5’−6FAM−TGAAGAATCTTAGGCGGGTG−TAMRA−3’(配列番号3152408)
GAPDH
順方向プライマー 5’−TGGCTACAGCAACAGAGTGG−3’(配列番号3152409)
逆方向プライマー 5’−GTGAGGGAGATGATCGGTGT−3’(配列番号3152410)
プローブ 5’−VIC−AGTCCCTGTCCAATAACCCC−TAMRA−3’(配列番号3152411)
10nMでの最初のスクリーンの後、17.5μLのCDCHO培地中のsiRNAの濃度を必要に応じて変更して所望の最終濃度を得る以外は、前述と同じ条件下、100nM〜1pMの範囲の濃度で、最も強力なsiRNAをさらに試験した。
Bax
順方向プライマー 5’−GGAGCAGCTCGGAGGCG−3’(配列番号3152400)
逆方向プライマー 5’−AAAAGGCCCCTGTCTTCATGA−3’(配列番号3152401)
プローブ 5’−6FAM−CGGGCCCACCAGCTCTGAGCA−TAMRA−3’(配列番号3152402)
Bak
順方向プライマー 5’−CCTCCTAGGCAGGACTGTGA−3’(配列番号3152403)
逆方向プライマー 5’−CCAAGATGCTGTTGGGTTCT−3’(配列番号3152404)
プローブ 5’−6FAM−TCAGGAACAAGAGACCCAGG−TAMRA−3’(配列番号3152405)
LDH
順方向プライマー 5’−TCTGTCTGTGGCTGACTTGG−3’(配列番号3152406)
逆方向プライマー 5’−TCACAACATCGGAGATTCCA−3’(配列番号3152407)
プローブ 5’−6FAM−TGAAGAATCTTAGGCGGGTG−TAMRA−3’(配列番号3152408)
GAPDH
順方向プライマー 5’−TGGCTACAGCAACAGAGTGG−3’(配列番号3152409)
逆方向プライマー 5’−GTGAGGGAGATGATCGGTGT−3’(配列番号3152410)
プローブ 5’−VIC−AGTCCCTGTCCAATAACCCC−TAMRA−3’(配列番号3152411)
10nMでの最初のスクリーンの後、17.5μLのCDCHO培地中のsiRNAの濃度を必要に応じて変更して所望の最終濃度を得る以外は、前述と同じ条件下、100nM〜1pMの範囲の濃度で、最も強力なsiRNAをさらに試験した。
LDH活性アッセイキット(Cayman Chemical,Ann Arbor,MI)を使用して、3〜4日のLDH siRNAでの処理後のLDHのレベルの低下について試験した。96ウェルプレートのウェル中で、細胞を175μLの培地中に溶解させるために、20μLの1%TritonX−100を添加し、プレートを10分間室温にて振盪した。アッセイを製造業者のプロトコルにしたがって実施した。
ハムスター(モンゴルキヌゲネズミ)LDH−Aに対する例示的dsRNA配列を、本明細書中では配列番号3152540〜3152603として開示し、ここで、偶数の配列番号(たとえば、配列番号3152540)はセンス鎖を表し、奇数の配列番号(たとえば、配列番号3152541)は相補性アンチセンス鎖を表し;本明細書中で記載される実施形態では、RNAエフェクター分子はこれらの配列の少なくとも16個の連続するヌクレオチドを含み得る。
ヒトグルコセレブロシダーゼの産生は、ヒトHT−1080細胞において増大し、この場合、グルコセレブロシダーゼ遺伝子は、細胞を1以上のRNAエフェクター分子と接触させることにより、米国特許第5,641,670号(Gene−Activated(登録商標)GCB(GA−GCB))で記載されるように活性化され、ここで、各RNAエフェクター分子の少なくとも一部は、宿主細胞マンノシダーゼをコード化する標的遺伝子に相補的である。RNAエフェクター分子は、ゴルジマンノシダーゼIA、ゴルジマンノシダーゼIB、ゴルジマンノシダーゼIC、及び/又はゴルジマンノシダーゼIIなどのクラス1プロセシング及び/又はクラス2プロセシングマンノシダーゼをコード化する標的遺伝子の発現を阻害する。種々のマンノシダーゼのコーディング鎖配列が開示されている。たとえば、Bause,217 Eur.J.Biochem.535−40(1993);Gonzalezら、274 J.Biol.Chem.21375−86(1999);Misagoら、92 PNAS 11766−70(1995);Tremblayら、8 Glycobio.585−95(1998);Tremblayら、275 J.Biol.Chem.31655−60(2000)を参照。マンノシダーゼを標的とするRNAエフェクター分子を、ワトソン・クリックの塩基対合則及び本明細書中に開示されているか、さもなければ当該技術分野で公知の他の検討事項にしたがって設計することができる。
GA−GCB糖型に対するRNAエフェクター分子の影響:GA−GCBを産生するHT−1080細胞を蒔き、生産培地を、0(薬剤を含まない)〜10μg/mLの範囲のRNAエフェクター分子濃度が得られるように調節する。培地を収集し、細胞を24時間ごとに3日間再供給する。第3日からの試料を等電点電気泳動(IEF)分析に付して、発現されたグルコセレブロシダーゼに対するRNAエフェクター分子の影響を分析する。タンパク質の見かけの等電点(pI)は、RNAエフェクター分子の濃度に依存して増大する。最も急なpIの増大を示すRNAエフェクター分子は、グルコセレブロシダーゼの産生を増大させるための好ましいRNAエフェクター分子と認定される。
GA−GCB産生に対するRNAエフェクター分子の影響:10本のローラービン(表面積、それぞれ1700cm2)に、増殖培地(10%仔ウシ血清を含むDMEM)中、GA−GCBを産生するHT−1080細胞を播種する。2週間の増殖後、培地を吸引し、200mLの新しい生産培地(DMEM/F12、0%仔ウシ血清)を3セットのローラービンに添加する。4本のローラービンの2セットを〜1μg/mLのRNAエフェクター分子で処理する。2本のローラービンの第3群には薬物処置をしない。約24時間後、各ローラービンからの培地を収集し、プールし、そしてGA−GCB酵素活性分析のために試料を採取する。酵素活性分析を次のように実施する:試験物を酵素基質(4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド)と混合し、1時間、37℃でインキュベートする。NaOH/グリシン緩衝液を添加することにより反応を停止させ、蛍光分光光度計の使用により蛍光を定量化する。比活性は2,500単位/mgと表され、ここで、1単位は、37℃で1時間に1マイクロモルの基質が変換されることと定義される。全処理を7日間繰り返す。GA−GCBの安定な産生が7つの毎日収集したもの全てにわたって全ローラービンで観察される。しかし、酵素の絶対レベルは、RNAエフェクター分子処理群によって変化し得る。
hmGCBの精製及び特性化:hmGCBを、RNAエフェクター分子の存在下で増殖させたヒトヒト繊維芽細胞の培地から精製する。hmGCB上に存在する4つのN結合グリカンは、ペプチドN−グリコシダーゼFにより放出され、Sep−pak C18カートリッジを用いて精製する。5%酢酸フラクション中に溶出するオリゴ糖を、水酸化ナトリウム及びヨウ化メチルを用いて過メチル化し、メタノール:水(80:20)中に溶解させ、過メチル化グリカン混合物の一部をマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析法(MALDI−TOF−MS)により分析する。2,5−ジヒドロキシ安息香酸のマトリックスを使用した遅延引き出しを伴うVOYAGER(商標)STRBIOSPECTROMETRY(商標)Research Stationレーザー脱離質量分析計(Applied Biosys.)で試料を分析する。擬分子(pseudomolecular)イオンのパターンがm/z1500〜2500の範囲で見られ、このことは、Man5GlcNAc2からMan9GlcNAc2までの範囲の高マンノースグリカンの存在を示す。
存在する最も多量の高マンノースグリカンは、Man9GlcNAc2及びMan8GlcNAc2であり、Man7GlcNAc2、Man6GlcNAc2、及びMan5GlcNAc2の量は減少する。2個のシアル酸残基を含む微量のフコシル化二分岐複合型グリカンが観察される。各グリカンの相対量の近似表示は、ピークの高さを測定することにより得られる。高マンノースグリカンの平均鎖長のより正確な評価は、インタクト糖タンパク質のMALDI−TOF−MS分析により得られる。グリカン鎖の均一性のために、およそm/z62,483.1で鋭いピークが得られる。アミノ酸配列から計算される成熟ペプチドの質量は、約55,577.6であり、このことは、4個のN結合グリカン鎖がhmGCBの合計量に対する寄与は6905.5であることを示す。この数値から、平均グリカン長さは8.15マンノース残基であると計算できる。
マクロファージ中へのGA−GCB取り込みに対するRNAエフェクター分子の効果:
HT−1080細胞において産生されるGA−GCBをインビトロアッセイで使用して、マウスマクロファージ細胞系における取り込み効率を測定する。実験の具体的な目的は、マウスJ774E細胞におけるGA−GCBの絶対及びマンノース受容体特異的取り込みを測定することである。アッセイの1日前に、J774E細胞を50,000細胞/cm2で12ウェルプレートにおいて増殖培地中に蒔く。アッセイのために、50nMのビタミンD3(1,2−5,ジヒドロキシビタミンD3)を含む0.5mLの生産培地(DMEM/F12、0%仔ウシ血清)を細胞に添加する。未精製GA−GCBを、2μg/mLマンナン(マンノース受容体の競合相手)の存在下又は非存在下で10μg/mLの最終濃度にて試験ウェルに添加する。
HT−1080細胞において産生されるGA−GCBをインビトロアッセイで使用して、マウスマクロファージ細胞系における取り込み効率を測定する。実験の具体的な目的は、マウスJ774E細胞におけるGA−GCBの絶対及びマンノース受容体特異的取り込みを測定することである。アッセイの1日前に、J774E細胞を50,000細胞/cm2で12ウェルプレートにおいて増殖培地中に蒔く。アッセイのために、50nMのビタミンD3(1,2−5,ジヒドロキシビタミンD3)を含む0.5mLの生産培地(DMEM/F12、0%仔ウシ血清)を細胞に添加する。未精製GA−GCBを、2μg/mLマンナン(マンノース受容体の競合相手)の存在下又は非存在下で10μg/mLの最終濃度にて試験ウェルに添加する。
以下の形態のGA−GCBを使用する:RNAエフェクター分子(1μg/mL)で処理した細胞由来のGA−GCB及び未処理細胞由来のGA−GCB(1μg/mL)。対照ウェルにはGA−GCBを加えない。ウェルを4時間37℃でインキュベートし、次いで緩衝塩溶液中でよく洗浄し、GA−GCB酵素反応緩衝液中にかき落とし、2回の凍結/解凍サイクルを経て、遠心分離により清澄化する。上清を次いで酵素活性及び全タンパク質について定量的に試験する。酵素活性を次のように測定する:試料を酵素基質(4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド)と混合し、1時間、37℃でインキュベートする。NaOH/グリシン緩衝液を添加することにより反応を停止させる。蛍光分光光度計の使用により蛍光を定量化する。全タンパク質をビシンコニン酸(BCA)により凍結/解凍細胞可溶化物中で測定する。活性を単位/mg全タンパク質として報告し、ここでは、1単位は、37℃で1時間での1マイクロモルの基質の変換と定義される。RNAエフェクター分子で処理された細胞は、マンナン(2μg/mL)の存在下又は非存在下でRNAエフェクター分子を受ける。GA−GCBのマウスJ744E細胞中へのインタナリゼーションを単位/mg細胞可溶化物で報告する。
結果は、RNAエフェクター分子処理細胞からのGA−GCBの取り込みは、バックグラウンドよりも約7倍〜14倍高く、マンナンにより約67%〜73%阻害可能であることを示す。加えて、この結果により、未処理細胞からのGA−GCBの取り込みがバックグラウンドよりも約3倍高く、マンナンにより53%阻害可能であることも示される。したがって、RNAエフェクター分子による細胞内マンノシダーゼの阻害の結果、マンノース受容体により効率的に細胞中に輸送できるGA−GCBが得られる。マンノース受容体による細胞に対するGA−GCBの標的化における改善は、したがって、1以上のRNAエフェクター分子の存在下でのGA−GCBの産生により最適化することができる。
(実施例3) 様々なsiRNAで処理された懸濁CHO−S細胞の増殖曲線
50mLの全体積中約400,000細胞/mLでフラスコを準備した。まず、20μMのInvitrogen Stealth FITC−siRNA2.5μL又は1μMのBax siRNA50μL及び1μMのBak siRNA50μLの又は1μMのLDH siRNA50μLを、3つの異なる14.3mLの体積のCDCHO培地(GIBCO)に添加した。溶液を穏やかに混合し、次いで85.5μLのLIPOFECTAMINE(商標)RNAiMAXトランスフェクション試薬(Invitrogen)をそれぞれに添加し、溶液を穏やかに再度混合した。溶液を室温で15分間インキュベートした。15分後、32.8mLの温めた培地を各溶液に添加した。最後に、2.9mLの培地を7,000,000細胞/mLで添加し、フラスコを37℃CO2インキュベータ中、160rpmに設定されたシェーカープレート上に置いた。翌日、アリコートを培地からとり、Beckman−Coulter細胞カウンターで細胞を計数し、それらの生存度を測定した。
50mLの全体積中約400,000細胞/mLでフラスコを準備した。まず、20μMのInvitrogen Stealth FITC−siRNA2.5μL又は1μMのBax siRNA50μL及び1μMのBak siRNA50μLの又は1μMのLDH siRNA50μLを、3つの異なる14.3mLの体積のCDCHO培地(GIBCO)に添加した。溶液を穏やかに混合し、次いで85.5μLのLIPOFECTAMINE(商標)RNAiMAXトランスフェクション試薬(Invitrogen)をそれぞれに添加し、溶液を穏やかに再度混合した。溶液を室温で15分間インキュベートした。15分後、32.8mLの温めた培地を各溶液に添加した。最後に、2.9mLの培地を7,000,000細胞/mLで添加し、フラスコを37℃CO2インキュベータ中、160rpmに設定されたシェーカープレート上に置いた。翌日、アリコートを培地からとり、Beckman−Coulter細胞カウンターで細胞を計数し、それらの生存度を測定した。
2及び4日に、さらなるsiRNAを添加した。これを行うために、25mLを各フラスコから取り出し、〜400×gで5分間回転させて、細胞をペレット化した。次いで、14.3mLの無細胞培地を別の試験管に取り出し、LIPOFECTAMINE(商標)RNAiMAX試薬を前述のように添加した。溶液を穏やかに混合し、室温で15分間インキュベートした。溶液を各細胞ペレットに戻し、ピペットで混合して、細胞集塊を壊し、次いでもとのフラスコに戻した。
(実施例4) Bax、Bak及びLDHの阻害は、培養における細胞の生存度を増強する。
Bax及びBakは、重要なプロアポトーシス(プログラムされた細胞死を誘発できる)機能を果たすミトコンドリア調節BCL−2タンパク質ファミリーのメンバーである。前述のように、低ピコモル濃度範囲内にIC50を有するBax及びBakに対して有効なsiRNAを、1Lのバイオリアクター中で増殖させたCHO細胞に周期的間隔で添加した。加えて、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)に対するsiRNAもsiRNA配合物中に含める。LDHは嫌気性ストレスの期間中のピルビン酸から乳酸への変換を触媒する。乳酸は、培養中で増殖させた細胞で産生された主要代謝老廃物であり、細胞増殖及び代謝経路の両方を阻害することが示された。Bax/Bak及びLDH経路の活性化は、培養中の細胞の増殖可能性を制限すると考えられるので、これらの遺伝子に対する有効なsiRNAを1Lのバイオプロセシング様条件下で、懸濁液中で増殖させたCHO細胞に添加する効果を評価した。非特異的FITCで標識されたsiRNAで処理されたCHO細胞と比較した場合、Bax/Bak/LDH siRNA処理細胞は、対照よりも90%高い細胞密度まで増殖し、対応してアポトーシス死亡率が2倍減少した。
Bax及びBakは、重要なプロアポトーシス(プログラムされた細胞死を誘発できる)機能を果たすミトコンドリア調節BCL−2タンパク質ファミリーのメンバーである。前述のように、低ピコモル濃度範囲内にIC50を有するBax及びBakに対して有効なsiRNAを、1Lのバイオリアクター中で増殖させたCHO細胞に周期的間隔で添加した。加えて、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)に対するsiRNAもsiRNA配合物中に含める。LDHは嫌気性ストレスの期間中のピルビン酸から乳酸への変換を触媒する。乳酸は、培養中で増殖させた細胞で産生された主要代謝老廃物であり、細胞増殖及び代謝経路の両方を阻害することが示された。Bax/Bak及びLDH経路の活性化は、培養中の細胞の増殖可能性を制限すると考えられるので、これらの遺伝子に対する有効なsiRNAを1Lのバイオプロセシング様条件下で、懸濁液中で増殖させたCHO細胞に添加する効果を評価した。非特異的FITCで標識されたsiRNAで処理されたCHO細胞と比較した場合、Bax/Bak/LDH siRNA処理細胞は、対照よりも90%高い細胞密度まで増殖し、対応してアポトーシス死亡率が2倍減少した。
材料及び方法:懸濁適応させたCHO細胞をInvitrogenから入手し、1Lの使い捨てバイオリアクター(Sartorius,Bohemia,NY)中、37℃及び5.5%CO2でDG44既知組成培地(Invitrogen;#12610−010)を用いて、製造業者により指示された速度で一定して撹拌しながら増殖させた(0.2×106細胞/mL播種密度)。播種後4日から始めて、CHOCD Efficient Feed培地(Invitrogen;10234,10240)を用いて細胞培養に5%培養量(30mL)を追加した。培養に次いで48時間ごとに同じフィード培地及び体積を用いて供給した。
Bax、Bak、及びLDH siRNA配列を表10に示し、まずRLD小規模合成により修飾なしに小規模で合成し(3’dTdTを除く)、続いて中規模合成を行った。対照siRNAをInvitrogenから購入した(FITC標識されたoligo;#44−2926)。各siRNAを1Lのバイオリアクターに1nMの最終濃度で添加し、Lipofectamine RNAiMaxトランスフェクション試薬(Invitrogen)を用いてトランスフェクション用に処方した。Bax、Bak、及びLDH siRNAをあわせて混合して、最終合計siRNA濃度3nMにした。対照siRNA配合物は、6mLのDG44培地、240μLのLIPOFECTAMINE(商標)RNAiMax試薬、及び30μLのFITC標識オリゴ(20μMストック濃度)を含んでいた。実験のsiRNA配合物は、6mLのDG44培地、240μLのLIPOFECTAMINE RNAiMax試薬、及びそれぞれ6uLのBax、Bak、及びLDH siRNA(100μMストック濃度)を含んでいた。0日から始めて培地に添加する前に、対照及び実験siRNAの両方を室温で15分間インキュベートし、同様の濃度で48時間ごとに合計6回再度添加した。毎日、5mLの培養試料を取り出し、細胞を計数し、血球計でトリパンブルー色素(Sigma Aldrich)排除を用いて生存度を測定した。すべての細胞試料を、siRNA又は栄養フィードのさらなる添加の前に採取した。残りの細胞を等分し、細胞ペレットを沈降させ、次のアッセイ:qPCR、乳酸塩、グルコース、LDH、及びカスパーゼ3に必要になるまで−70℃で凍結した。
対照細胞の50%生存度がBax/Bak/LDH処理細胞について10日及び16日で観察された(図7)。両試料は0日から始まって5日まで比較的安定した生存度を示した。細胞生存度は、対照処理試料については6日、実験試料については7日からはじまって90%以下に減少し始めた。細胞死亡速度は%生存度反応曲線の傾きに正比例する。傾斜が鋭い方が、なだらかな傾斜に比べてアポトーシス死亡速度が速いことを示す。アポトーシス細胞死の速度は、Bax/Bak/LDH siRNA処理培養物と比較して対照について2.8倍速かった(図7、挿入画)。
これらのデータは、1Lのバイオリアクターにおいて懸濁液中で増殖させたCHO細胞に添加した場合の可溶性siRNAが、非特異的対照siRNAと比較した場合、細胞密度と生存度との両方に対してプラスの影響を及ぼし得ることを強力に支持する。
乳酸デヒドロゲナーゼ酵素活性及び乳酸レベルはどちらも、Bax/Bak/LDH siRNA処理後のCHO細胞において減少する。
乳酸デヒドロゲナーゼ酵素活性を細胞増殖曲線のコースで追跡した(図8)。曲線下面積(AUC)分析は対照siRNA処理細胞と比較してBax/Bak/LDH siRNA処理細胞において酵素活性の67%減少を示した。乳酸レベルにおいて対応する減少が観察された(図9)。AUC分析により測定されるように、Bax/Bak/LDH siRNA処理培養物において観察される乳酸レベルの減少は約33%であり、酵素活性減少について観察されるものの約半分であり、このことは、LDHピルビン酸から乳酸への変換率が増大して、減少した酵素濃度が相殺されたことを示す。
乳酸デヒドロゲナーゼ酵素活性を細胞増殖曲線のコースで追跡した(図8)。曲線下面積(AUC)分析は対照siRNA処理細胞と比較してBax/Bak/LDH siRNA処理細胞において酵素活性の67%減少を示した。乳酸レベルにおいて対応する減少が観察された(図9)。AUC分析により測定されるように、Bax/Bak/LDH siRNA処理培養物において観察される乳酸レベルの減少は約33%であり、酵素活性減少について観察されるものの約半分であり、このことは、LDHピルビン酸から乳酸への変換率が増大して、減少した酵素濃度が相殺されたことを示す。
対照siRNA処理細胞におけるグルコース消費量は増殖曲線の7日後に減少する。グルコースを培養フィーディイング法の一部として使用し、増殖曲線全体にわたってモニタリングした。7日の前に、対照と実験培養とはどちらも、グルコースを同じ程度まで利用した(図10)。7日の後に、Bax/Bak/LDH siRNA処理細胞は、7日の前と同様に引き続きグルコースを使用するが、対照細胞集団はそれらのグルコース消費量が減るようである。
これらのデータは、Bax/Bax/LDH siRNAが、1LのCHOバイオプロセシング培養物に添加された場合、対照siRNA処理培養物と比較して対数期増殖後のグルコース利用を促進することを証明し(対照siRNA処理培養物は促進しなかった)、このことは、対照細胞が死滅するか、またはグルコース代謝ができないことを示唆する。
Bax/Bak/LDH siRNAは、1LのCHOバイオプロセシング培養物に添加された場合に、対照siRNAと比較して、カスパーゼ3活性を有意に減少させる。カスパーゼ3活性化は、アポトーシス死を遂げる細胞におけるDNA分解に至る最後から2番目のステップである。Baxタンパク質及びBakタンパク質はどちらもこのプロセスの上流であるので、Bax/Bakノックダウンは、カスパーゼ3活性も減少させることが予想される。二相カスパーゼ3活性反応が対照条件と実験条件との両方について観察された(図11)。対数期増殖中に、Bax/Bak/LDH−siRNA処理細胞培養及び対照siRNA処理細胞培養はどちらも類似したカスパーゼ3レベルを有していた。非アポトーシス細胞において活性なカスパーゼ3の理由はわからないが、対数期後に、Bax/Bak/LDH siRNA処理細胞培養は対照細胞集団と比較して著しく低いカスパーゼ3活性を有し、9日にカスパーゼ3活性は観察されず、対照と比較して12日の実験細胞集団では<10%活性であった。
これらのデータから、Bax/Bak/LDH siRNAは、Bax及びBakがミトコンドリアにより誘発されるアポトーシスを活性化する能力をブロックし、適切な標的経路が影響を受けたことを示す。
Bax/Bak/LDH siRNAは、2週間にわたって複数回投与された場合、>80%mRNAノックダウンを維持することができる。最近の刊行物では、アポトーシスの最大ブロックを維持するために、Bax及びBak mRNAはどちらも相当ノックダウンされなければならないことが報告されているが(Limら、8 Metabolic Eng.509−22(2006))、別のグループは、LDHがLDH活性を減少させるには>80% mRNAノックダウンで十分であることを示唆した(Kim&Lee,74 Appl.Microbiol.Biotech.152−59(2007))。したがって、複数回siRNAを投与する目的は、3つの遺伝子全てについて%ノックダウンを>80%に維持することであった。時間経過のほとんどにわたってBax及びLDHメッセージノックダウンは実際に>80%であった(図12)。Bak mRNAノックダウンは時間経過を通して80%前後で推移した。このsiRNAは、それぞれの新しい用量と相関するようであるジグザグ反応パターンにより示唆されるように、複数の用量から最も恩恵を受けるようであった。ジグザグ効果は、他のsiRNAについても観察されるが、Bak siRNAほど大きくはなかった。
これらのデータは、この研究で使用した3つのsiRNA全てが2週間にわたってmRNAノックダウンを維持したことを示す。Bak siRNAについてのメッセージノックダウンIC50がBaxと類似していても、時間経過にわたるmRNAノックダウンの維持は匹敵しなかった。この理由はわからないが、他のBak siRNAを評価すべきであることが示唆される。
まとめ:アポトーシス調節因子Bax及びBakに対するサイレンシングRNAを、重要な代謝酵素である乳酸デヒドロゲナーゼに対するsiRNAと組み合わせて、1Lのバイオリアクターを使用して、2週間にわたりチャイニーズハムスター卵巣細胞におけるノックダウン活性について評価した。本明細書中で提示する結果は、サイレンシングRNAがバイオプロセシング様条件下、懸濁液中で増殖させたCHO細胞中への効率的な取り込みのために適切に処方することができるという考えを明らかに支持する。Bax/Bak/LDH siRNAは、2週間にわたって複数回投与された場合、>80%mRNAノックダウンを維持し、これは、カスパーゼ3及びLDH活性の両方を低下させ、結果として非特異的siRNA対照と比較して細胞密度及び生存度を増大させるのに十分であった。さらに、これらのデータは、複数のsiRNAs(少なくとも3)をそれぞれがその所望のノックダウン効果を有する懸濁細胞培養において複数量と同時に添加することができ、生存度に対する影響が最小でCHO細胞により十分に許容されるトランスフェクション試薬を認定できることを示す。
(実施例5) RNAエフェクターの使用による抗体の改善されたADCC
多くの治療抗体、特に抗癌治療抗体は、有効性のために抗体依存性細胞障害(ADCC)を必要とする。高ADCCを達成するために、抗体の適切なグリコシル化が必要であると考えられる。例えば、Fcオリゴ糖のコアフコースが無い抗体は、それらのフコシル化カウンターパートよりもヒトにおいてはるかに高いADCCを示すことが判明した。加えて、抗体におけるN結合オリゴ糖の広範囲のα2,6−シアル化はまた、ADCCを減少させると考えられる。
多くの治療抗体、特に抗癌治療抗体は、有効性のために抗体依存性細胞障害(ADCC)を必要とする。高ADCCを達成するために、抗体の適切なグリコシル化が必要であると考えられる。例えば、Fcオリゴ糖のコアフコースが無い抗体は、それらのフコシル化カウンターパートよりもヒトにおいてはるかに高いADCCを示すことが判明した。加えて、抗体におけるN結合オリゴ糖の広範囲のα2,6−シアル化はまた、ADCCを減少させると考えられる。
したがって、フコシル化の量が実質的に減少し、またα2,6−シアル化が減少した抗体を産生するのが望ましい。
抗体のフコシル化、特にα1,6−フコシル化は、
(i)GDP−マンノース4,6デヒドラターゼ(GMDSによりコード化される)(GDP−マンノースのGDP−4−ケト−6−デオキシマンノースへの変換を触媒する);
(ii)GDP−D−マンノース代謝における2ステップエピメラーゼ及びリダクターゼ反応を触媒するGDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノースエピメラーゼリダクターゼ(TSTA3によりコード化される)(GDP−4−ケト−6−D−デオキシマンノースをGDP−L−フコースに変換する。ここで、GDP−L−フコースは、いくつかのフコシルトランスフェラーゼの基質である);及び
(iii)GDP−フコースからN結合型複合糖ペプチドへのフコースの転移を触媒するフコシルトランスフェラーゼ8(α1,6)フコシルトランスフェラーゼ)(FUT8によりコード化される)
を含む多くの酵素ステップにより行う。
抗体のフコシル化、特にα1,6−フコシル化は、
(i)GDP−マンノース4,6デヒドラターゼ(GMDSによりコード化される)(GDP−マンノースのGDP−4−ケト−6−デオキシマンノースへの変換を触媒する);
(ii)GDP−D−マンノース代謝における2ステップエピメラーゼ及びリダクターゼ反応を触媒するGDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノースエピメラーゼリダクターゼ(TSTA3によりコード化される)(GDP−4−ケト−6−D−デオキシマンノースをGDP−L−フコースに変換する。ここで、GDP−L−フコースは、いくつかのフコシルトランスフェラーゼの基質である);及び
(iii)GDP−フコースからN結合型複合糖ペプチドへのフコースの転移を触媒するフコシルトランスフェラーゼ8(α1,6)フコシルトランスフェラーゼ)(FUT8によりコード化される)
を含む多くの酵素ステップにより行う。
α1,6,フコシルトランスフェラーゼにおいて欠失又は不足している細胞を単離し、本発明で使用して、フコシル化が減少した抗体を産生する。しかし、細胞の倍加時間はゆっくりであり、増殖するために特別な条件を必要とする。さらに、細胞は多くの遺伝的背景で利用できない。
抗体の高シアル化はまた、ADCCの減少をもたらすことも示唆されている。シアル化は、本明細書に記載されているものなどのシアリルトランスフェラーゼの作用により起こる。
したがって、抗体の増大したADCCは、本明細書中に記載されている方法を用いて宿主細胞において抗体を産生することによって達成される。例えば、抗体を発現する宿主細胞を:
FUT8:配列番号209841〜210227の少なくとも16個の連続するヌクレオチドを含むアンチセンス配列;又は配列番号3152714〜3152753から選択される少なくとも一つの鎖を含むsiRNA、若しくは本明細書に記載されているもの;
GMDS:配列番号1688202〜1688519;及び配列番号3152754〜3152793からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続するヌクレオチド(たとえば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含むdsRNA;
TSTA3:TSTA3を標的とするdsRNA分子は、配列番号1839578〜1839937からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド分子の少なくとも16個の連続するヌクレオチド(たとえば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含み得る
のいずれか一つに対するsiRNAと接触させる。
FUT8:配列番号209841〜210227の少なくとも16個の連続するヌクレオチドを含むアンチセンス配列;又は配列番号3152714〜3152753から選択される少なくとも一つの鎖を含むsiRNA、若しくは本明細書に記載されているもの;
GMDS:配列番号1688202〜1688519;及び配列番号3152754〜3152793からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続するヌクレオチド(たとえば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含むdsRNA;
TSTA3:TSTA3を標的とするdsRNA分子は、配列番号1839578〜1839937からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド分子の少なくとも16個の連続するヌクレオチド(たとえば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含み得る
のいずれか一つに対するsiRNAと接触させる。
ヒト抗CD20抗体を発現するCHO細胞の12の別個の培養を培養フラスコ中で増殖させ、まず1日に〜200,000細胞/mlの密度で播種し、2日に以下の処理を施す:
フラスコA:トランスフェクション剤のみ;
フラスコB:負の対照として1nM(添加後の最終濃度)のルシフェラーゼdsRNAを含むトランスフェクション剤;
フラスコC:トランスフェクション試薬中1nMのFUT8 dsRNA;
フラスコD:トランスフェクション試薬中1nMのTSTA3 dsRNA;
フラスコE:トランスフェクション試薬中1nMのGMDS dsRNA;
フラスコF:トランスフェクション試薬中1nM TSTA3 dsRNA+1nM FUT8 dsRNA;
フラスコG:トランスフェクション試薬中1nMのGMDS dsRNA+1nM FUT8 dsRNA;
フラスコH:トランスフェクション試薬中1nMのTSTA3 dsRNA+1nMのGMDS dsRNA;
フラスコI:トランスフェクション試薬中1nMのSt6GalNac6 dsRNA+1nMのFUT8 dsRNA;
フラスコJ:トランスフェクション試薬中1nMのSt6GalNac6 dsRNA+1nMのGMDS dsRNA;
フラスコK:トランスフェクション試薬中1nMのSt6GalNac6 dsRNA+1nMのTSTA3 dsRNA;
フラスコL:トランスフェクション試薬中1nMのSt6GalNac6 dsRNA+1nM FUT8 dsRNA+1nMのGMDS dsRNA;
細胞をさらに4日間増殖させ、各フラスコの上清を集める。タンパク質A−セファロースクロマトグラフィーを用いて上清から抗体を単離する。部分的に精製された抗体を全収率(抗ヒトAbを用いたELISAによる)、抗原結合(たとえば、CD20結合)、及びADCC(例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ放出アッセイを使用)について特性化する。様々な細胞から単離された抗体のオリゴ糖構造を陽イオンモードのMALDI−TOF質量分析により特性化する。
フラスコA:トランスフェクション剤のみ;
フラスコB:負の対照として1nM(添加後の最終濃度)のルシフェラーゼdsRNAを含むトランスフェクション剤;
フラスコC:トランスフェクション試薬中1nMのFUT8 dsRNA;
フラスコD:トランスフェクション試薬中1nMのTSTA3 dsRNA;
フラスコE:トランスフェクション試薬中1nMのGMDS dsRNA;
フラスコF:トランスフェクション試薬中1nM TSTA3 dsRNA+1nM FUT8 dsRNA;
フラスコG:トランスフェクション試薬中1nMのGMDS dsRNA+1nM FUT8 dsRNA;
フラスコH:トランスフェクション試薬中1nMのTSTA3 dsRNA+1nMのGMDS dsRNA;
フラスコI:トランスフェクション試薬中1nMのSt6GalNac6 dsRNA+1nMのFUT8 dsRNA;
フラスコJ:トランスフェクション試薬中1nMのSt6GalNac6 dsRNA+1nMのGMDS dsRNA;
フラスコK:トランスフェクション試薬中1nMのSt6GalNac6 dsRNA+1nMのTSTA3 dsRNA;
フラスコL:トランスフェクション試薬中1nMのSt6GalNac6 dsRNA+1nM FUT8 dsRNA+1nMのGMDS dsRNA;
細胞をさらに4日間増殖させ、各フラスコの上清を集める。タンパク質A−セファロースクロマトグラフィーを用いて上清から抗体を単離する。部分的に精製された抗体を全収率(抗ヒトAbを用いたELISAによる)、抗原結合(たとえば、CD20結合)、及びADCC(例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ放出アッセイを使用)について特性化する。様々な細胞から単離された抗体のオリゴ糖構造を陽イオンモードのMALDI−TOF質量分析により特性化する。
ハムスター(モンゴルキヌゲネズミ)フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)に対する例示的dsRNA配列を本明細書中では配列番号3152714〜3152753として開示し、ここで、偶数の配列番号(たとえば、番号3152714)はセンス鎖を表し、そして奇数の配列番号(たとえば、番号3152715)は相補性アンチセンス鎖を表し;本明細書中で記載される実施形態では、RNAエフェクター分子は少なくとも16個の連続するヌクレオチドを含み得る。
一般的に、バイオプロセシングにおいて細胞の増殖中に高濃度のグルコース(たとえば、少なくとも15mM)を含めると、増殖培地中に乳酸が蓄積し、このことは細胞増殖にとって有害であり得る。乳酸蓄積の結果、早期アポトーシスが起こる。それを別にすれば高レベルの炭素源、例えばグルコースを提供することは非常に有利であるので、乳酸蓄積及びその後のアポトーシスを引き起こすことなく高グルコースで細胞を増殖させる方法が非常に望ましい。
この実施例では、プロアポトーシス遺伝子を標的とするRNAエフェクター分子を用いて、アポトーシスを受けることなく増殖培地中、少なくとも10mM(例えば、少なくとも15mM、少なくとも20mM、少なくとも25mM、少なくとも30mM又はそれ以上)のさらに高いグルコース濃度で細胞を増殖させる。
0日目に、免疫原性作用物質を発現できる宿主細胞を、通常のグルコースレベル(約4〜6mM)を含む増殖培地中でそれぞれ1nMのBax及びBakを標的とするRNAエフェクターと(場合によって1nMのLDHを標的とするdsRNAとも)接触させる。約24時間後に、15mMのグルコースを含む培地に細胞を切り替える。その後、Bax及びBakを標的とするRNAエフェクターをさらに3〜5日ごとに1nMで提供する。これらの細胞におけるタンパク質産生を、RNAエフェクター分子でトランスフェクトされていない(又は非特異的対照RNAエフェクターでトランスフェクトされた)細胞からのものと比較する。
高グルコースでの増殖を可能にするために有用な他のRNAエフェクターは、本明細書に記載されているものをはじめとする、任意のプロアポトーシス遺伝子を標的とするものを含み得る。他の例には、表30からの以下のものからなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続するヌクレオチド(たとえば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含むRNAエフェクター分子が含まれる:
DG44細胞におけるsiRNAスクリーニング:対象のCHO標的に対するsiRNAを設計し、合成する。数セットのスクリーンされるsiRNA(二本鎖)を細胞培地に100pM〜10nMで1〜4日間効果を得るために添加する。96ウェルプレート中、8mMのL−グルタミン及び0.18%のPLURONIC F68(登録商標)を追加した29.5μLのCD DG44培地(GIBCO(商標) Invitrogen)を試験ウェルに添加し、47μLを対照ウェルに添加する。このために、CD DG44培地中所望の最終濃度の10倍で17.5μLのsiRNAを試験ウェルに添加する。全てのウェルに、CD DG44培地中1:10に希釈した3μLのLIPOFECTAMINE(登録商標)トランスフェクション試薬RNAiMAx(Invitrogen)を添加する。混合物を15分間室温でインキュベートし、次いで約20,000DG44細胞を含む125μLのCD DG44培地を全てのウェルに添加する。プレートを次いで37℃CO2インキュベータ中に1〜4日間入れる。
インキュベーション後、細胞を毒性について視覚的に調査し、MagMax96ウェルRNA抽出キット(Ambion,Life Technologies Corp.,Carlsbad,California)を製造業者の指示に従って使用してRNAを抽出する。High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems,Life Technologies Corp.)を製造業者の指示に従って使用して、cDNAをRNAから作製する。最後に、qPCRを用いて、Roche Lightcycler 480 PCR装置及びRoche PCR Probesマスターミックスで標的のcDNAの適切な希釈を定量化する。GAPDHを内部標準として使用するΔΔCt法を用いて標的遺伝子の相対的ノックダウンを計算した。標的遺伝子cofilinl、LDLR、GNE、SLC35A1.GALE、FUT8、GMDS、及びXYLATの%mRNAノックダウンは本明細書中の他の場所で示されている。
最も有効なsiRNAを様々な濃度で更に試験する。この試験法は、種々のsiRNA濃度を同時に試験する以外は前記と同じであった。
PKl5細胞におけるsiRNAスクリーニング:対象のPCVl標的に対するsiRNAを設計し、合成する。スクリーンする数セットのsiRNAを、効果を得るために、細胞培地に10nMで1日間添加する。96ウェルプレートにおいて、アールの平衡塩を含むイーグル(EMEM)最小必須培地培地(ATCC)29.5μLを試験ウェルに添加し、47μLを対照ウェルに添加する。このために、17.5μLのsiRNA(CD DG44培地中100nM)を試験ウェルに添加する。全てのウェルに、4μLのLIPOFECTAMlNE(登録商標)RNAiMAx試薬(Invitrogen)(EMEM培地中1:10に希釈)を添加する。混合物を室温で15分間インキュベートし、次いで約20,000PKl5細胞を含む125μLのEMEM培地を全てのウェルに添加する。プレートを次いで37℃CO2インキュベータ中に1日間入れた。
PKl5細胞におけるsiRNAスクリーニング:対象のPCVl標的に対するsiRNAを設計し、合成する。スクリーンする数セットのsiRNAを、効果を得るために、細胞培地に10nMで1日間添加する。96ウェルプレートにおいて、アールの平衡塩を含むイーグル(EMEM)最小必須培地培地(ATCC)29.5μLを試験ウェルに添加し、47μLを対照ウェルに添加する。このために、17.5μLのsiRNA(CD DG44培地中100nM)を試験ウェルに添加する。全てのウェルに、4μLのLIPOFECTAMlNE(登録商標)RNAiMAx試薬(Invitrogen)(EMEM培地中1:10に希釈)を添加する。混合物を室温で15分間インキュベートし、次いで約20,000PKl5細胞を含む125μLのEMEM培地を全てのウェルに添加する。プレートを次いで37℃CO2インキュベータ中に1日間入れた。
インキュベーション後、細胞を毒性について視覚的に調査し、次いでMagMax96ウェルRNA抽出キット(Ambion)を製造業者の指示にしたがって使用して、RNAを抽出する。High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems)を製造業者の指示に従って使用して、cDNAをRNAから作製した。最後に、qPCRを使用して、Roche Lightcycler 480 PCR装置及びRoche PCR Probesマスターミックスで標的cDNAの適切な希釈を定量化する。GAPDHを内部標準として使用するΔΔCt法を用いて標的遺伝子の相対的ノックダウンを計算する。
種々の温度で増殖させた懸濁培養のRNA干渉:CMV−GFP構築物(Stratagene,Santa Clara,CA)で安定してトランスフェクトされたGFP発現CHO DG44細胞を、96ウェルマイクロタイタープレートのウェル中に0日で(37℃細胞について2×104細胞/ウェルで、そして28℃細胞については105細胞/ウェルで)播種し、これもまた0日に、0.1、1、及び10nM(Lipofectamine(登録商標)RNAiMaxと混合)でGFPに対するsiRNAで一時的にトランスフェクトした。蛍光測定によりGFP発現を測定し、発現の阻害(各温度及び時間で、RNAiMaxのみの対照と比較した発現の%として表す)。発現の阻害を、初期siRNAトランスフェクション後、18日までの間モニタリングした。
対照実験:未処理であるか又はRNAiMaxのみで処理されたかのいずれかのCHO DG44細胞におけるGFPの発現を時間とともにモニタリングした。結果を図20(未処理)及び図21(脂質(RNAiMaxのみで処理、siRNAはなし)に示す。GFPは全期間にわたって発現されるが、28℃細胞におけるGFPの発現は、最終的にはるかに高くなり、このことは、細胞***の非存在下でも、継続してタンパク質が発現されることを示す(図20及び21)。
脂質処理対照(図20)を、RNA干渉の有効性を測定するための対照として使用した。図22A〜22Cのグラフは、0.1nMもの低いsiRNA濃度でGFPの発現の有意な阻害を示す(図22A)。さらに、発現の阻害は、測定値が得られるかぎり維持された(すなわち、数例では初期発現後18日まで)。
(実施例13) 40Lバイオリアクター中で増殖させたCHO細胞の計測可能なsiRNA取り込みプロトコル
当業者には公知のように、脂質ポリヌクレオチド担体を使用したsiRNAのリポソーム介在性送達を、研究用途で一般的に使用するが、PCT公開WO2009/012173(2008年7月11日出願)で記載されているように、脂質ポリヌクレオチド担体、例えば一般的なリポソームトランスフェクション試薬の使用は、タンパク質のバイオプロセシングで使用される場合、有害であることが判明している。ポリヌクレオチド担体は、おそらくは毒性のために典型的に使用される濃度で宿主細胞の増殖に有害であり、したがって宿主細胞が所望の生物由来物質を工業的レベルで産生する能力を損なうことが報告されている。加えて、ポリヌクレオチド担体は、宿主細胞、例えばCHO細胞の表現型における有害かつ望ましくない変化を引き起こし、宿主細胞が対象の生物由来物質を産生する能力を損なうことが観察されている。したがって、当業者は、そのようなポリヌクレオチド担体の使用が所望のタンパク質を産生する細胞の能力を損なうであろうと予想する。驚くべきことに、本発明者等は、明細書全体にわたって記載されるように、細胞に関して試験される条件下で細胞に対して有害な影響をおよぼすことなく(たとえば細胞生存度及び密度が維持される)、大規模培養(たとえば、1L及び、たとえば40L)でのバイオプロセシング処理の間、ポリヌクレオチド担体(たとえば、リポソーム介在性送達)を用いることによって(たとえば、BAX、BAC及び/又はLDHを標的とする)RNAエフェクター分子を宿主細胞へ一時的に送達することができることを見出した。したがって、生物由来物質の大規模産生は、培養(たとえば、懸濁培養)中にある場合に細胞中のRNAエフェクター取り込みを促進するために、例えば、生物由来物質(例えば、ポリペプチド)の産生を改善する遺伝子発現の有効な一時的調節をもたらすために、脂質試薬を用いて工業的規模で実施することができる。
当業者には公知のように、脂質ポリヌクレオチド担体を使用したsiRNAのリポソーム介在性送達を、研究用途で一般的に使用するが、PCT公開WO2009/012173(2008年7月11日出願)で記載されているように、脂質ポリヌクレオチド担体、例えば一般的なリポソームトランスフェクション試薬の使用は、タンパク質のバイオプロセシングで使用される場合、有害であることが判明している。ポリヌクレオチド担体は、おそらくは毒性のために典型的に使用される濃度で宿主細胞の増殖に有害であり、したがって宿主細胞が所望の生物由来物質を工業的レベルで産生する能力を損なうことが報告されている。加えて、ポリヌクレオチド担体は、宿主細胞、例えばCHO細胞の表現型における有害かつ望ましくない変化を引き起こし、宿主細胞が対象の生物由来物質を産生する能力を損なうことが観察されている。したがって、当業者は、そのようなポリヌクレオチド担体の使用が所望のタンパク質を産生する細胞の能力を損なうであろうと予想する。驚くべきことに、本発明者等は、明細書全体にわたって記載されるように、細胞に関して試験される条件下で細胞に対して有害な影響をおよぼすことなく(たとえば細胞生存度及び密度が維持される)、大規模培養(たとえば、1L及び、たとえば40L)でのバイオプロセシング処理の間、ポリヌクレオチド担体(たとえば、リポソーム介在性送達)を用いることによって(たとえば、BAX、BAC及び/又はLDHを標的とする)RNAエフェクター分子を宿主細胞へ一時的に送達することができることを見出した。したがって、生物由来物質の大規模産生は、培養(たとえば、懸濁培養)中にある場合に細胞中のRNAエフェクター取り込みを促進するために、例えば、生物由来物質(例えば、ポリペプチド)の産生を改善する遺伝子発現の有効な一時的調節をもたらすために、脂質試薬を用いて工業的規模で実施することができる。
さらに、本発明者らは、細胞増殖や生存度に対する影響を最小にして産生細胞系中への効率的なsiRNA取り込みを促進する、効率的な取り込みを増強する試薬を同定するために種々の脂質組成物を調査した。本発明者らは、第四カチオン性脂質配合物のパネルをスクリーニングして、96ウェルプレート培養において、LDH活性が90%を超えて減少すること(LDHに対するsiRNAを使用)を以前に証明した(データは省略)。この実施例では、本発明者らは、取り込みインデューサとしてP8と混合したsiRNA(たとえば表19を参照)は、50ml培養における細胞密度及び細胞生存度に対する各配合物の影響に関して市販のRNAiMaxよりも十分に寛容性であることを示す。本発明者らは、本発明者らの培養を大規模バイオリアクターにスケールアップし、LDHに対するP8配合siRNAを使用することによって、1回の1nM量で6日間LDH活性において80〜90%減少したことを見出した。本発明者らは次いで、本発明者らの培養を3L及び40Lにスケールアップした。本発明者らは、配合物P8が乳酸デヒドロゲナーゼに対するsiRNA(LDH−A)の効率的な取り込みを促進し、その結果、3L又は40Lバイオリアクターのいずれかで増殖させたCHO細胞においてLDH活性の>90%LDH減少がもたらされたことを見出した。驚くべきことに、3L培養を40L培養と比較するスケールアップ実験では、サイレンシング効率は完全に直線的である。結果を本明細書中に示す。
材料/方法
トランスフェクション試薬の処方:クロロホルム中のカチオン性脂質及びコリピッド(たとえば、コレステロール及びDOPE)をN2流とそれに続く真空乾燥により乾燥して、有機溶媒を除去した。乾燥した脂質フィルムを、10mMのHEPES緩衝液、pH7.4を37℃で使用して水和した。形成されたリポソームを押し出して、〜200nmの平均粒径を得た。
トランスフェクション試薬の処方:クロロホルム中のカチオン性脂質及びコリピッド(たとえば、コレステロール及びDOPE)をN2流とそれに続く真空乾燥により乾燥して、有機溶媒を除去した。乾燥した脂質フィルムを、10mMのHEPES緩衝液、pH7.4を37℃で使用して水和した。形成されたリポソームを押し出して、〜200nmの平均粒径を得た。
播種されたGFP−CHO細胞に対するトランスフェクション試薬の試験:9の異なる登録商標のトランスフェクション配合物(たとえば表19を参照)及びLipofectamine RNAiMax(Invitrogen)を用いて、GFPに対する有効なsiRNA(1nM)をGFP−CHO細胞系に送達した。RNAiMaxを0.4μL/mLで試験し、9の配合物を0.5、1、及び2.5μg/mLで使用した。トランスフェクション試薬とsiRNAとの混合物を光学用黒底96ウェルプレート中で作製し、次いで細胞を添加した。2日後、蛍光プレートリーダーを用いて相対的GFP強度を測定した。
懸濁されたDG44CHO細胞に関するトランスフェクション試薬の試験:GFP−CHO試験からの3つの最も活性なトランスフェクション剤(K8、L8及びP8)を用いて、懸濁されたCHO細胞をトランスフェクトした。5μLの10μM LDH−A siRNAのアリコートを試験管に添加し、500μLのCD DG44培地をこれに添加した。トランスフェクション試薬を混合物に添加し、試験管をピペット吸引により混合し、そして室温で15分間インキュベートした。次いで、200,000細胞/mlを含む培地49.5mLに混合物を添加した。フラスコをインキュベートし、120rpmで数日間振とうした。LDH活性をVetTest8008スライドアナライザにより測定した。
40Lのトランスフェクション:DG44細胞をInvitrogen CD DG44培地中で増殖させた。40Lバイオリアクターに播種するために、細胞を4つの1Lの使い捨てバイオリアクターからとった。40Lの培養物中の出発細胞密度は120,000細胞/mlであった。バイオリアクターを添加された細胞とトランスフェクション前1時間平衡化させた。トランスフェクションのために、400μLのLDH−A siRNA(配列番号3152560及び3152561の対)(100uMストック溶液)を400mLの培地に添加し、混合した。次いで1mg/mLのP8試薬32mLを添加し、再度混合した。これを室温で15分間インキュベートし、次いで40Lのバイオリアクターに添加した。Vi−Cell細胞カウンターを用いて細胞密度及び生存度を測定し、トランスフェクションの効率を測定し、VetTest8008スライドアナライザを用いてLDH活性を測定した。
結果及び考察
9のカチオン性脂質配合物の振とうフラスコ中のCHO細胞における取り込み効率に関する評価:脂質配合物の有効性を測定するために、GFP−CHO細胞において強力なGFP siRNAとともに使用した。有効濃度のLIPOFECTAMlNE(登録商標)RNAiMAx試薬と比較すると、3つの化合物は活性であった(図23)。これらの処方をK8、L8、及びP8と表示した。任意の配合物の試験した濃度で明らかな細胞毒性は観察されなかった。
9のカチオン性脂質配合物の振とうフラスコ中のCHO細胞における取り込み効率に関する評価:脂質配合物の有効性を測定するために、GFP−CHO細胞において強力なGFP siRNAとともに使用した。有効濃度のLIPOFECTAMlNE(登録商標)RNAiMAx試薬と比較すると、3つの化合物は活性であった(図23)。これらの処方をK8、L8、及びP8と表示した。任意の配合物の試験した濃度で明らかな細胞毒性は観察されなかった。
K8はGFP−CHO細胞において最も活性な配合物であったので、250mLの振とうフラスコにおいて、50mLの培養物中DG44CHO細胞及び強力なLDH siRNAを用いて試験した。種々のK8濃度を、LIPOFECTAMlNE(登録商標)RNAiMAxトランスフェクション試薬の有効濃度とともに試験した。3日後、LDH活性は、K8を使用した培養物中で低かった(図24)。RNAiMAx試薬と比較して、フラスコ中の細胞密度もさらに高く、0.6μg/mL又は1.2μg/mLのK8であった。RNAiMAx試薬は、K8処理細胞と比較した場合、懸濁液中でCHO細胞の増殖を阻害したようである。K8の最高濃度は、LDH活性がさらに減少する場合でも細胞密度を減少させた。
一部のトランスフェクション試薬は振とうフラスコ中で96ウェルプレート中と同じ活性を有さないように見えたので、3つの最も活性の高い配合物を、250mLの振とうフラスコ中、50mLのDG44中で同様に試験した。驚くべきことに、GFP−CHO細胞に対してごくわずかしか活性でなかった配合物P8が、懸濁されたDG44細胞培養を用いて最も良好に機能した(図25)。5日後、0.8μg/mLのP8の結果、最高のLDH活性ノックダウンが得られた。また、P8の存在下での細胞密度が、トランスフェクション試薬が添加されていない対照細胞以上であったということは重要である。0.8μg/mLの最終濃度でのP8をさらに小さなバイオリアクター中で多数回使用し(データは省略)、40Lの系で試験した。
図26は、推奨される濃度でP8配合物又は市販のRNAiMax配合物を使用して、50mLの振とうフラスコ中懸濁CHO細胞において長時間にわたる細胞密度(図26A)又は%細胞生存度(図26B)を示す。脂質配合物を0日に細胞上に添加した。P8は市販のRNAiMaxよりも十分に寛容性であることが判明した。図30は、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)に対するP8混合siRNAを使用した場合、1Lのバイオリアクター中で1回の1nM用量で6日間にLDH活性の80%〜90%ノックダウンが達成されることを示す。LDH活性のノックダウンは永続的であり、効果が6日間にわたって持続することが見いだされた。
カチオン性脂質配合物P8の3L対40Lバイオリアクターにおける取り込み効率に関する評価。図28は、P8脂質と混合した1nMのLDH siRNAの1回投与の、3L及び40L培養において6日間の経過時間にわたる生存細胞密度及び%LDH活性に対する結果を示す。驚くべきことに、3L培養を40L培養と比較するスケールアップ実験では、サイレンシング効率は完全に直線的であり、このことは、さらに大規模でも成功することを示す。複数用量のプロトコルを用いて、効果の期間を延長することができる。
カチオン性脂質配合物P8の40Lバイオリアクターにおける取り込み効率に関する評価。40Lのバイオリアクターに播種した後、細胞は一般的に約24時間の倍加時間で増殖し、細胞生存度は98%超であった(図26B)。細胞は5日で3.1×106細胞/mLの最高濃度に達し、その後、減少し始めた。この無供給バッチ培養で予想されるように、6日までに細胞は減少した。
siRNA処理細胞のLDH活性は、播種及びトランスフェクション後に細胞が増殖するにつれ、減少した。LDH活性は、3回以上に倍加した後でも〜80%減少した(図30)。実験全体にわたってLDH活性が減少した。有意に減少したLDH活性に基づいて、トランスフェクションはCHO細胞において検出可能な毒性がなく成功した。
これらの実験は、siRNAでの培養における細胞のトランスフェクションは、生物学的産生に必要な大きな体積で機能できることを示す。
(実施例14) 標的遺伝子の発現を滴定するためのRNAエフェクターの使用
安定にトランスフェクトされたshRNAを有する細胞と異なり、dsRNA分子の使用により、細胞工学を必要とすることなく宿主細胞内で実際的に任意の標的遺伝子の発現を調節することが可能になる。加えて、前述のように、構成的に阻害された標的遺伝子を有する細胞は十分に増殖することができず、望ましくない特性(たとえば、特別な増殖培地又は他の増殖条件の必要性、増大した変異率など)を示す可能性がある。細胞の増殖又は生物学的産生中の所望の時点で、標的遺伝子の発現を調節する能力を有することが、したがって非常に望ましい。
(実施例14) 標的遺伝子の発現を滴定するためのRNAエフェクターの使用
安定にトランスフェクトされたshRNAを有する細胞と異なり、dsRNA分子の使用により、細胞工学を必要とすることなく宿主細胞内で実際的に任意の標的遺伝子の発現を調節することが可能になる。加えて、前述のように、構成的に阻害された標的遺伝子を有する細胞は十分に増殖することができず、望ましくない特性(たとえば、特別な増殖培地又は他の増殖条件の必要性、増大した変異率など)を示す可能性がある。細胞の増殖又は生物学的産生中の所望の時点で、標的遺伝子の発現を調節する能力を有することが、したがって非常に望ましい。
安定なトランスフェクションに依存しないdsRNA剤などのRNAエフェクター分子を使用するさらに別の利点は、所定の標的遺伝子の発現を微調整する潜在能力である。数例では、標的遺伝子の発現を調節して、その発現レベルが中程度にのみ変更され(たとえば、未処理状態から〜50%減少し)、望ましくない表現型を回避するか、又は生物学的産生の質を改善することが重要であり得る。このように、本発明者らは所定の標的遺伝子の発現を滴定できる条件を見いだすために実験を行った。
0日に、CD DG44培地(Invitrogen)中で増殖させたCHO DG−44細胞を、500μLの体積で配合物8中脂質Pを含む配合物(すなわち、配合物「P8」;表19を参照)中、LDHA遺伝子を標的とするdsRNA(本明細書中で記載のとおり;例えば表62を参照)で、0nM、10pM、50pM、100pM、500pM、1nM及び5nM(25mLの培養中最終濃度)にてトランスフェクトした。使用したdsRNA二本鎖は同様の条件下で〜50pMの見かけのEC50を有する。トランスフェクション後、24.5mLの培地を含むフラスコに細胞を添加し(200,000細胞/mlの細胞密度)、そして37℃で増殖させた。3日後、LDH活性を測定し、細胞密度に対して正規化した。
LDH活性を下記表62に示す:
下記表は、本明細書中に記載する方法及び組成物に関して有用な標的遺伝子及びsiRNA配列を例示する。
Claims (143)
- 大規模宿主細胞培養において免疫原性作用物質を産生する方法であって、
(a)大規模宿主細胞培養において、宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる工程であって、第一のRNAエフェクター分子の一部分は宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である工程と、
(b)宿主細胞培養物を、少なくとも一つの第一の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持する工程であって、発現の調節が宿主細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる工程と、
(c)免疫原性作用物質を宿主細胞から単離する工程と
を含み、大規模宿主細胞培養が、少なくとも1リットルの規模であり、かつRNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に添加することによって宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させることにより、標的遺伝子の発現が一時的に抑制される方法。 - 大規模宿主細胞培養において免疫原性作用物質を産生する方法であって、
(a)大規模宿主細胞培養において、宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる工程であって、第一のRNAエフェクター分子の一部分は宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である工程と、
(b)宿主細胞培養物を、少なくとも一つの第一の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持する工程であって、発現の調節が宿主細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる工程と、
(c)免疫原性作用物質を宿主細胞から単離する工程と
を含み、免疫原性作用物質の産生全体を通じてRNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に多数回加えることによって宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させることにより、標的遺伝子の発現が一時的に抑制される方法。 - 大規模宿主細胞培養において、宿主細胞を複数のRNAエフェクター分子と接触させ、複数のRNAエフェクター分子が、少なくとも一つの標的遺伝子、少なくとも2つの標的遺伝子又は複数の標的遺伝子の発現を調節する、請求項1または2に記載の方法。
- 細胞において免疫原性作用物質を産生する方法であって、
(a)宿主細胞を複数のRNAエフェクター分子と接触させる工程であって、2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が複数の標的遺伝子の発現を調節する工程と、
(b)細胞を、複数の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持する工程であって、発現の調節が細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる工程と、
(c)免疫原性作用物質を細胞から単離する工程と
を含み、複数の標的遺伝子が少なくともBax、Bak及びLDHを含む方法。 - RNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に添加することによって宿主細胞を複数のRNAエフェクター分子と接触させることにより、標的遺伝子の発現が一時的に抑制される請求項4に記載の方法。
- RNAエフェクター分子又は複数のRNAエフェクター分子が、二本鎖リボ核酸(dsRNA)を含み、dsRNAが相互に相補的である少なくとも2つの配列からなり、センス鎖が第一の配列からなるとともにアンチセンス鎖が標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的である相補性の領域を含む第二の配列からなり、かつ、相補性の領域が10〜30ヌクレオチド長である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 接触させる工程が、宿主細胞培養物を保持して免疫原性作用物質を産生するために使用する培地にRNAエフェクター分子又は複数のRNAエフェクター分子を連続的に注入することによって実施される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 発現の調節が発現の抑制であり、かつ前記抑制が部分的抑制である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 部分的抑制が、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、及び85%からなる群から選択される抑制率以下である、請求項7に記載の方法。
- 接触させる工程が少なくとも1回繰り返される、請求項1〜6及び8〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 接触させる工程を、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、84時間、96時間及び108時間からなる群から選択される頻度で多数回繰り返す、請求項1〜6及び8〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 発現の調節が発現の抑制であり、かつ、免疫原性作用物質の産生全体を通じて一つまたは複数の標的遺伝子に対して少なくとも50%の平均抑制率を維持するために、接触させる工程を多数回繰り返すか又は連続的に注入する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 平均抑制率が、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
- RNAエフェクター分子を100nM未満の濃度で接触させる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
- RNAエフェクター分子を20nM未満の濃度で接触させる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
- 大規模宿主細胞培養における宿主細胞のRNAエフェクター分子との接触が、免疫原性作用物質の単離又は上清の回収の少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも60時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間又は少なくとも120時間あるいは少なくとも1週間前に実施される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
- RNAエフェクター分子が、脂質製剤に製剤化された組成物である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
- RNAエフェクター分子が、非脂質製剤に製剤化された組成物である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
- RNAエフェクター分子がshRNAではない、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
- RNAエフェクター分子がsiRNAである、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
- RNAエフェクター分子が化学的に修飾される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
- RNAエフェクター分子が化学的に修飾されない、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
- 細胞密度、培地pH、酸素濃度、グルコース濃度、乳酸濃度、温度及びタンパク質産生量からなる群から選択される少なくとも一つの測定可能パラメータを監視することをさらに含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
- 複数の異なるRNAエフェクター分子のそれぞれを、同時に又は異なる時間で添加する、請求項2〜23のいずれか一項に記載の方法。
- 複数の異なるRNAエフェクター分子のそれぞれを、同じ濃度で又は異なる濃度で添加する、請求項2〜23のいずれか一項に記載の方法。
- 複数の異なるRNAエフェクター分子を、同じ頻度で又は異なる頻度で添加する、請求項2〜6及び8〜25のいずれか一項に記載の方法。
- 細胞を第二の作用物質と接触させる工程をさらに含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
- 第二の作用物質が、抗体、増殖因子、アポトーシス阻害剤、キナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤及びヒストン脱メチル化剤からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
- キナーゼ阻害剤が、MAPキナーゼ阻害剤、CDK阻害剤及びK252aからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
- ホスファターゼ阻害剤が、バナジン酸ナトリウム及びオカダ酸からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
- ヒストン脱メチル化剤が5−アザシチジンである、請求項28に記載の方法。
- 免疫原性作用物質がポリペプチドである、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
- 免疫原性作用物質がウイルスである、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
- ウイルスがPCVである、請求項33に記載の方法。
- 細胞を、RNAエフェクター分子と、定常期、初期対数期、中期対数期、後期対数期、誘導期及び死滅期からなる群から選択される細胞増殖期で接触させる、請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが二重鎖領域を含む、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが15〜30ヌクレオチド長である、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが17〜28ヌクレオチド長である、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、少なくとも一つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項1〜38のいずれか一項に記載の方法。
- 細胞が、植物細胞、真菌細胞、又は動物細胞である、請求項1〜39のいずれか一項に記載の方法。
- 細胞が哺乳動物細胞である、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
- 哺乳動物細胞がヒト細胞である、請求項41に記載の方法。
- ヒト細胞が、SH−SY5Y細胞、IMR32細胞、LAN5細胞、HeLa細胞、MCFlOA細胞、293T細胞及びSK−BR3細胞からなる群から選択される付着細胞である、請求項42に記載の方法。
- ヒト細胞が、HuVEC細胞、HuASMC細胞、HKB−I1細胞及びhMSC細胞からなる群から選択される初代細胞である、請求項42に記載の方法。
- ヒト細胞が、U293細胞、HEK293細胞、PERC6(登録商標)細胞、ジャーカット細胞、HT−29細胞、LNCap.FGC細胞、A549細胞、MDA MB453細胞、HepG2細胞、THP−I細胞、MCF7細胞、BxPC−3細胞、Capan−1細胞、DU145細胞及びPC−3細胞からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
- 哺乳動物細胞が、BHK21細胞、BHK(TK−)細胞、NS0細胞、Sp2/0細胞、EL4細胞、CHO細胞、CHO細胞誘導体、NIH/3T3細胞、3T3−L1細胞、ES−D3細胞、H9c2細胞、C2C12細胞、メイディン・ダービー・イヌ腎(MDCK)細胞、及びmiMCD3細胞からなる群から選択される齧歯類動物細胞である、請求項41に記載の方法。
- CHO細胞誘導体が、CHO−K1細胞、CHO−DUKX、CHO−DUKXB1及びCHO−DG44細胞からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
- 細胞が、PERC6細胞、HT−29細胞、LNCaP−FGC細胞、A549細胞、MDA MB453細胞、HepG2細胞、THP−1細胞、miMCD−3細胞、HEK293細胞、HeLaS3細胞、MCF7細胞、Cos−7細胞、BxPC−3細胞、DU145細胞、ジャーカット細胞、PC−3細胞及びCapan−1細胞からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
- 細胞が、BHK21、BHK(TK−)、NS0細胞、Sp2/0細胞、U293細胞、EL4細胞、CHO細胞、及びCHO細胞誘導体からなる群から選択される齧歯類動物細胞である、請求項41に記載の方法。
- 細胞が、免疫原性作用物質をコードする遺伝子構造物をさらに含む、請求項1〜49のいずれか一項に記載の方法。
- 細胞が、ウイルス受容体をコードする遺伝子構造物をさらに含む、請求項1〜50のいずれか一項に記載の方法。
- 標的遺伝子が、タンパク質グリコシル化に影響を及ぼすタンパク質をコードする、請求項1〜51のいずれか一項に記載の方法。
- 標的遺伝子が免疫原性作用物質をコードする、請求項1〜52のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つを、0.1nM、0.5nM、0.75nM、1nM、2nM、5nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、75nM及び100nMからなる群から選択される濃度で加える、請求項1〜53のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つを、50分子/細胞、100分子/細胞、200分子/細胞、300分子/細胞、400分子/細胞、500分子/細胞、600分子/細胞、700分子/細胞、800分子/細胞、900分子/細胞、1000分子/細胞、2000分子/細胞、又は5000分子/細胞の量で加える、請求項1〜53のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、0.01フェムトモル/106細胞、0.1フェムトモル/106細胞、0.5フェムトモル/106細胞、0.75フェムトモル/106細胞、1フェムトモル/106細胞、2フェムトモル/106細胞、5フェムトモル/106細胞、10フェムトモル/106細胞、20フェムトモル/106細胞、30フェムトモル/106細胞、40フェムトモル/106細胞、50フェムトモル/106細胞、60フェムトモル/106細胞、100フェムトモル/106細胞、200フェムトモル/106細胞、300フェムトモル/106細胞、400フェムトモル/106細胞、500フェムトモル/106細胞、700フェムトモル/106細胞、800フェムトモル/106細胞、900フェムトモル/106細胞,及び1ピコモル/106細胞からなる群から選択される濃度で添加される、請求項1〜53のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、siRNA、miRNA、dsRNA、saRNA、shRNA、piRNA、tkRNAi、eiRNA、pdRNA、ギャップマー、アンタゴミア、リボザイム及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜56のいずれか一項に記載の方法。
- 細胞を、炭素の代謝及び輸送、アポトーシス、RNAi取り込み及び効率の少なくとも一方、活性酸素種産生、細胞周期の調節、タンパク質折りたたみ、タンパク質ピログルタミン酸化、タンパク質脱アミド化、タンパク質グリコシル化、ジスルフィド結合形成、タンパク質分泌、遺伝子増幅、ウイルス複製、ウイルス感染、ウイルス粒子放出、細胞pHの調節、及びタンパク質産生からなる群から選択される細胞プロセスを調節する少なくとも一つの追加のRNAエフェクター分子又は作用物質と接触させる工程をさらに含む、請求項1〜57のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、GLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸3−ホスファターゼ(PTEN)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞内の炭素の代謝又は輸送を調節することによって細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)であり、かつRNAエフェクター分子が配列番号3152540〜3152603から選択される配列を含む、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、Bcl−G、Bax、Bak、Bok、Bad、Bid、Bik、Blk、Hrk、BNIP3、PUMA、NOXA、BimL、Bcl−2、Bcl−xL、Bcl−B、Bcl−w、Boo、Mcl−1、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9及びCASP10からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞のアポトーシスを調節することによって細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子がBakであり、かつRNAエフェクター分子が配列番号3152412〜3152475から選択される配列を含む、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子がBaxであり、かつRNAエフェクター分子が配列番号3152476〜3152539から選択される配列を含む、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- RNAエフェクター分子が、初期アポトーシスに入る細胞の比率を著しく低下させる、請求項16又は17に記載の方法。
- 複数の標的遺伝子が、少なくともBax及びBakである、請求項3に記載の方法。
- 複数の標的遺伝子が、少なくともBax、Bac及びLDHである、請求項3に記載の方法。
- その一部分がBaxと相補的であるRNAエフェクター分子が、配列番号3152476〜3152539から選択される配列を含み、その一部分がBakと相補的であるRNAエフェクター分子が、配列番号3152412〜3152475から選択される配列を含む、請求項4、5、65及び66のいずれか一項に記載の方法。
- その一部分がLDHと相補的であるRNAエフェクター分子が、配列番号3152540〜3152603から選択される配列を含む、請求項4又は66に記載の方法。
- 少なくとも2つの標的遺伝子の発現が調節され、かつ少なくとも2つの標的遺伝子が、Bcl−G、Bax、Bak、Bok、Bad、Bid、Bik、Blk、Hrk、BNIP3、PUMA、NOXA,及びBimLからなる群から選択される、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 細胞を、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)と相補的な配列を含むRNAエフェクター分子と接触させる工程をさらに含む、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、Ago1、Ago2、Ago3、Ago4、HIWI1、HIWI2、HIWI3、HILI、インターフェロン受容体、ApoE、Eri1及びマンノース/GalNAc受容体からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞でのRNAi取り込み及び効率の少なくとも一方を調節することによって細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、NAD(p)Hオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、構成型神経性一酸化窒素シンターゼ(cnNOS)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、キサンチンオキシダーゼ(XO)、15−リポキシゲナーゼ−1、NADPHシトクロムc2レダクターゼ、NAPHシトクロムcレダクターゼ、NADHシトクロムb5レダクターゼ及びシトクロムP4502E1からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞での活性酸素種の産生を抑制することによって細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、MuLVタンパク質、MVMタンパク質、Reo−3タンパク質、PRVタンパク質及びベシウイルスタンパク質からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞のウイルス感染を抑制することによって細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子がキシローストランスフェラーゼである、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子がベシウイルスタンパク質であり、かつ少なくとも一つのRNAエフェクター分子が配列番号3152604〜3152713から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含む少なくとも一つの鎖を含む、請求項73に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、CCNA1、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNB3、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCNE2、サイクリンB、サイクリンD、サイクリンE、CDK2、CDK4、P10、P21、P27、p53、P57、p16INK4a、P14ARF及びCDK4からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞の細胞周期を調節することによって細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、IRE1、PERK、ATF4、ATF6、eIF2α、GRP78、GRP94、Bip、Hsp40、HSP47、HSP60、Hsp70、HSP90、HSP100、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、ペプチジルプロリルイソメラーゼ、カルレチクリン、カルネキシン、Erp57及びBAG−1からなる群から選択され、かつ発現の調節が、タンパク質の折りたたみを高めることによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、宿主細胞内のメチオニンスルホキシドレダクターゼ遺伝子であり、かつ発現の調節が、メチオニン酸化によるタンパク質の修飾を抑制することによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 標的遺伝子が、宿主細胞内のグルタミニルシクラーゼ遺伝子であり、かつ発現の調節が、ピログルタミン酸化によるタンパク質の修飾を抑制することによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3又は6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、アスパラギンデアミダーゼ及びグルタミンデアミダーゼからなる群から選択され、かつ発現の調節が、脱アミド化によってタンパク質の修飾を抑制することによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、ドリチル−ジホスホオリゴサッカライド−タンパク質グリコシルトランスフェラーゼ、UDPグリコシルトランスフェラーゼ、UDP−Gal:βGlcNAcβ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ、UDP−ガラクトース−セラミドガラクトシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、タンパク質O−フコシルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼT−4、O−GlcNAcトランスフェラーゼ、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ、O−結合N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ、α−ガラクトシダーゼ及びβ−ガラクトシダーゼからなる群から選択され、かつ発現の調節が、タンパク質のグリコシル化を調節することによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ及びスルフヒドリルオキシダーゼからなる群から選択され、かつ発現の調節が、タンパク質においてジスルフィド結合形成を調節することによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、γ−セクレターゼ、p115、シグナル認識粒子(SRP)タンパク質、セクレチン及びキナーゼからなる群から選択され、かつ発現の調節が、タンパク質の分泌を調節することによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、宿主細胞内のデヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子であり、かつ発現の調節が、細胞での遺伝子増幅を高めることによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、ウイルスの遺伝子又は細胞の標的遺伝子であり、それによって減少したウイルス量を有する宿主細胞から免疫原性作用物質を産生させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- ウイルスが、ベシウイルス、MMV、MuLV、PRV及びReo−3からなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子がウイルスタンパク質をコードする、請求項85に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が非ウイルスタンパク質をコードする、請求項85に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、酸化促進酵素、BIK、BAD、BIM、HRK、BCLG、HR、NOXA、PUMA、BOK、BOO、BCLB、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9、CASP10、BAX、BAK、BCL2、p53、APAFI及びHSP70からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞の生存率を高めることによって細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、CCNA1、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNB3、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCNE2、サイクリンB、サイクリンD、サイクリンE、CDK2、CDK4、P10、P21、P27、p53、P57、p16INK4a、P14ARF、CDK4、Bcl−G、Bax、Bak、Bok、Bad、Bid、Bik、Blk、Hrk、BNIP3、PUMA、NOXA、BimL、Bcl−2、Bcl−xL、Bcl−B、Bcl−w、Boo、Mcl−1、A1、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9、CASP10、GLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸3−ホスファターゼ(PTEN)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞の特異的生産性を高めることによって細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、GLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸 3−ホスファターゼ(PTEN)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、CCNA1、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNB3、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCNE2、サイクリンB、サイクリンD、サイクリンE、CDK2、CDK4、P10、P21、P27、p53、P57、p16INK4a、P14ARF及びCDK4からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞の栄養必要量を調節することによって細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、乳酸デヒドロゲナーゼ及びリソソームV型ATPアーゼからなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞のpHを調節することによって細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、細胞質アクチンキャッピングタンパク質(CapZ)、エズリン(VIL2)、ラミニンA及びコフィリン(CFL1)からなる群から選択され、かつ遺伝子発現の調節が、細胞のアクチン動態を調節することによって細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも一つのRNAエフェクター分子が標的遺伝子コフィリンの発現を調節する、請求項93に記載の方法。
- 少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、細胞質アクチンキャッピングタンパク質(CapZ)、エズリン(VIL2)及びラミニンAからなる群から選択される標的遺伝子の発現を増加させる、請求項93に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、宿主細胞潜在ウイルス、外来ウイルス又は宿主細胞内在性レトロウイルスの遺伝子であるか、あるいはこのようなウイルスの宿主細胞結合リガンドである、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 標的遺伝子が、HERV−K、pt01−Chr10r−17119458、pt01−Chr5−53871501、BaEV、GaLV、HERV−T、ERV−3、HERV−E、HERV−ADP、HERV−I、MER4様、HERV−FRD、HERV−W、HERVH−RTVLH2、HERVH−RGH2、HERV−Hコンセンサス、HERV−Fc1、hg15−chr3−152465283、HERVL66、HSRV、HFV、HERV−S、HERV−L、HERVL40、HERVL74、HTLV−1、HTLV−2、HIV−1、HIV−2、MPMV、MMTV、HML1、HML2、HML3、HML4、HML7、HML8、HML5、HML10、HML6、HML9、MMTV、FLV、PERV、BLV、EIAV、JSRV、gg01−chr7−7163462、gg01−chrU−52190725、gg01−Chr4−48130894、ALV、gg01−chr1−15168845、gg01−chr4−77338201、gg01−ChrU−163504869、gg01−chr7−5733782、インドニシキヘビ(Python−molurus)、WDSV、SnRV、Xen1、Gypsy及びTy1から選択される内在性レトロウイルス(ERV)の遺伝子である、請求項96に記載の方法。
- 標的遺伝子が、C血清型アデノウイルス、トリアデノウイルス、トリアデノウイルス随伴ウイルス、ヒトヘルペスウイルス−4(EBV)及びサーコウイルスからなる群から選択される潜在ウイルスの遺伝子である、請求項96に記載の方法。
- 潜在ウイルスがサーコウイルスであり、かつ標的遺伝子がブタサーコウイルス1型(PCV1)又はサーコウイルス2型(PCV2)のrep遺伝子である、請求項98に記載の方法。
- 潜在ウイルスがEBVであり、かつ標的遺伝子が潜在膜タンパク質(LMP)−2Aである、請求項98に記載の方法。
- 標的遺伝子が、外来性レトロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)、HIV−2、ヒトT細胞リンパ指向性ウイルスI型(HTLV−I)、HTLV−II、ヒト肝炎A型(HHA)、HHB、HHC、ヒトサイトメガロウイルス、EBV、ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV6)、HHV7、HHV8、ヒトパルボウイルスB19、レオウイルス、ポリオーマ(JC/BK)ウイルス、SV40、ヒトコロナウイルス、パピローマウイルス、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザA型、B型及びC型ウイルス、ヒトエンテロウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ベシウイルス、ブタサーコウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、乳酸デヒドロゲナーゼウイルス、ブタパルボウイルス、アデノ随伴ウイルス、レオウイルス、狂犬病ウイルス、レポリポックスウイルス、トリ白血病ウイルス(ALV)、ハンターンウイルス、マルブルグウイルス、SV20、セムリキ森林ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、ブタパルボウイルス、マウス肝炎ウイルス(MHV)、ネズミ白血病ウイルス(MuLV)、マウスの肺炎ウイルス(PVM)、タイラー脳脊髄炎ウイルス、ネズミ微小ウイルス、マウスアデノウイルス(MAV);マウスサイトメガロウイルス、マウスロタウイルス(EDIM)、キルハムラットウイルス、トゥーランH−1ウイルス、センダイウイルス、ラットコロナウイルス、偽性狂犬病ウイルス、カシェ渓谷ウイルス、ウシウイルス性下痢症ウイルス、ウシパラインフルエンザウイルス3型、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、ウシアデノウイルス、ウシパルボウイルス、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス、ウシヘルペスウイルス、ウシレオウイルス、ブルータングウイルス、ウシポリオーマウイルス、ウシサーコウイルス、牛痘、牛痘以外のオルトポックスウイルス、偽牛痘ウイルス及びレポリポックスウイルスからなる群から選択される外来ウイルスの遺伝子である、請求項96に記載の方法。
- 標的遺伝子が、内在性ウイルス、潜在ウイルス又は外来ウイルスのための宿主細胞結合リガンドである、請求項96に記載の方法。
- 標的遺伝子が、SLC35A1、Gne、Cmas、B4GalT1又はB4GalT6である、請求項102に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、FUT8、TSTA3及びGMDSからなる群から選択され、かつ発現の調節が、フコシル化を調節することによって細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 宿主細胞を、シアリルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を標的とする少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させる工程をさらに含む、請求項104に記載の方法。
- シアリルトランスフェラーゼが、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ1、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ4、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ3、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ5、ST6(α−N−アセチル−ノイラミニル−2,3−β−ガラクトシル−1,3)−N−アセチルガラクトサミニドα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ6及びST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ2からなる群から選択される、請求項105に記載の方法。
- 少なくとも一つの標的遺伝子が、グルタミナーゼ及びグルタミンデヒドロゲナーゼからなる群から選択され、かつ発現の調節が、アンモニア増強を調節することによって細胞における免疫原性作用物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
- 宿主細胞を、グルタミナーゼの発現を調節する少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させる工程をさらに含む、請求項1〜108のいずれか一項に記載の方法。
- 宿主細胞を、グルタミンシンテターゼの発現を調節する少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させる工程をさらに含む、請求項1〜108のいずれか一項に記載の方法。
- その一部分が宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である少なくとも一つのRNAエフェクター分子と、宿主細胞を培養するのに適した細胞培地とを含む組成物であって、RNAエフェクター分子が標的遺伝子の発現を調節可能であり、かつ発現の調節が免疫原性作用物質の産生を高めるとともに、少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、配列番号9772〜3152339及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAである組成物。
- 2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子を含み、前記2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子がそれぞれ異なる標的遺伝子と相補的である、請求項110に記載の組成物。
- 複数のRNAエフェクター分子を含む組成物であって、それぞれのRNAエフェクター分子の一部分が宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的であり、かつ組成物がBax、Bak及びLDHの発現を調節可能であるとともに、発現の調節が免疫原性作用物質の産生を高める組成物。
- 少なくとも一つの追加のRNAエフェクター分子又は作用物質をさらに含む、請求項110又は112に記載の組成物。
- 少なくとも一つのRNAエフェクター分子がsiRNAである、請求項110又は112に記載の組成物。
- 少なくとも一つのRNAエフェクター分子が二重鎖領域を含む、請求項110又は112に記載の組成物。
- 少なくとも一つのRNAエフェクター分子が15〜30ヌクレオチド長である、請求項110又は112に記載の組成物。
- 少なくとも一つのRNAエフェクター分子が17〜28ヌクレオチド長である、請求項110又は112に記載の組成物。
- 少なくとも一つのRNAエフェクター分子が修飾ヌクレオチドを含む、請求項110又は112に記載の組成物。
- 細胞培地が血清非含有培地である、請求項110に記載の組成物。
- 組成物が非脂質製剤に製剤化される、請求項110〜119のいずれか一項に記載の組成物。
- 組成物が脂質製剤に製剤化される、請求項110〜119のいずれか一項に記載の組成物。
- 製剤中の脂質が陽イオン性又は非イオン性脂質を含む、請求項121に記載の組成物。
- 組成物が、さらに一つ又はそれ以上の細胞培養培地補助物質を含む、請求項110〜122のいずれか一項に記載の組成物。
- 少なくとも一つのRNAエフェクター分子が二本鎖リボ核酸(dsRNA)を含み、dsRNAが相互に相補的である少なくとも2つの配列からなり、センス鎖が第一の配列からなり、アンチセンス鎖が標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的である相補性の領域を含む第二の配列からなり、かつ相補性の領域が10〜30ヌクレオチド長である、請求項110〜123のいずれか一項に記載の組成物。
- 培養細胞による免疫原性作用物質の産生を高めるキットであって、
(a)免疫原性作用物質が産生される条件下で細胞を培養するのに適した一つ又はそれ以上のアッセイ表面を含む支持体、
(b)一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子であって、それぞれのRNAエフェクター分子の少なくとも一部分は標的遺伝子と相補的であるRNAエフェクター分子、及び
(c)免疫原性作用物質又はその細胞による産生を検出するための試薬
を含み、一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、配列番号9772〜3152339及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含むsiRNAであるキット。 - 一つ又はそれ以上のアッセイ表面が、さらに宿主細胞の増殖及び維持を支持するための基材を含む、請求項125に記載のキット。
- 一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が支持体表面に沈着している、請求項125に記載のキット。
- 宿主細胞によるRNAエフェクター分子の取り込みを促進するための担体をさらに含む、請求項125に記載のキット。
- 担体が陽イオン性脂質組成物を含む、請求項128に記載のキット。
- 担体が支持体表面に沈着している、請求項128に記載のキット。
- 宿主細胞を培養するのに適した細胞培養培地をさらに含む、請求項125に記載のキット。
- 一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子の存在下で宿主細胞を培養し、細胞を免疫原性作用物質の産生についてアッセイするための取扱説明書をさらに含む、請求項125に記載のキット。
- 培養細胞による免疫原性作用物質の産生を最適化するためのキットであって、
(a)免疫原性作用物質が産生される条件下で細胞を培養するのに適した複数のアッセイ表面を含むマイクロアレイ支持体、
(b)一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子であって、それぞれのRNAエフェクター分子の少なくとも一部分は標的遺伝子と相補的であるRNAエフェクター分子、及び
(c)免疫原性作用物質の産生に対する一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子の効果を検出するための試薬
を含み、一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、配列番号9772〜3152339及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチを有するアンチセンス鎖を含むsiRNAであるキット。 - 支持体がマルチウェルプレート又はバイオチップである、請求項133に記載のキット。
- 支持体が二次元マイクロアレイプレート又はバイオチップある、請求項133に記載のキット。
- 一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が支持体のアッセイ表面に沈着している、請求項133に記載のキット。
- 複数の異なるRNAエフェクター分子が、マイクロアレイの第一の寸法にわたってアッセイ表面に沈着している、請求項135に記載のキット。
- 複数のRNAエフェクター分子が、それぞれ異なる標的遺伝子と相補的である、請求項137に記載のキット。
- 異なる標的遺伝子が、Bax、Bak及びLDHである、請求項に記載のキット。
- 複数のRNAエフェクター分子が、それぞれ同じ標的遺伝子の異なる領域と相補的である、請求項137に記載のキット。
- 複数を含むRNAエフェクター分子のそれぞれが、マイクロアレイの第二の寸法に沿ったアッセイ表面に様々な濃度で沈着している、請求項137に記載のキット。
- その一部分が標的遺伝子と相補的であるRNAエフェクター分子が、ヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含む対応siRNAであり、前記ヌクレオチド配列が本明細書中の表に記載のものである、請求項1〜109のいずれか一項に記載の方法。
- 脂質製剤が、次式:
R1及びR2は、それぞれの存在についてそれぞれ独立して、任意に置換されたC10〜C30アルキル、任意に置換されたC10〜C30アルコキシ、任意に置換されたC10〜C30アルケニル、任意に置換されたC10〜C30アルケニルオキシ、任意に置換されたC10〜C30アルキニル、任意に置換されたC10〜C30アルキニルオキシ、又は任意に置換されたC10〜C30アシルであり;
(1)L2の一つの原子とL1の一つの原子との間の単結合であり〔この場合、
L1は、C(Rx)、O、S又はN(Q)であり;
L2は、−CR5R6−、−O−、−S−、−N(Q)−、=C(R5)−、−C(O)N(Q)−、−C(O)O−、−N(Q)C(O)−、−OC(O)−、又は−C(O)−である〕;
(2)L2の一つの原子とL1の一つの原子との間の二重結合であり〔この場合、
L1は、Cであり;
L2は、−CR5=、−N(Q)=、−N−、−O−N=、−N(Q)−N=、又は−C(O)N(Q)−N=である〕;
(3)L2の第一の原子とL1の第一の原子との間の単結合、及びL2の第二の原子とL1の第一の原子との間の単結合であり〔この場合、
L1は、Cであり;
L2は、次式:
Z1及びZ4は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CH2−、−CHR5−、又は−CR5R5−であり;
Z2は、CH又はNであり;
Z3は、CH又はNであり;
あるいは、Z2とZ3は、一緒になって、単一のC原子であり;
A1及びA2は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CH2−、−CHR5−、又は−CR5R5−であり;
それぞれのZは、N、C(R5)、又はC(R3)であり;
kは、0、1、又は2であり;
それぞれのmは、独立して0〜5であり;
それぞれのnは、独立して0〜5であり;
この場合、mとnは、一緒になって3、4、5、6、7又は8員環を生じる〕;
(4)L2の第一の原子とL1の第一の原子との間の単結合、及びL2の第一の原子とL1の第二の原子との間の単結合であり〔この場合、
(A)L1は、次式:
T1は、CH又はNであり;
T2は、CH又はNであり;
あるいは、T1とT2は、一緒になって、C=Cであり;
L2は、CR5であるか;又は
(B)L1は、次式:
T1は、−CR5R5−、−N(Q)−、−O−、又は−S−であり;
T2は、−CR5R5−、−N(Q)−、−O−、又は−S−であり;
L2は、CR5又はNである〕;
R3は、次式:
Y1、Y2、Y3及びY4のそれぞれは、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、又はアルキニルであるか;あるいは、
Y1、Y2及びY3のうち任意の2つは、これらと結合しているN原子と一緒になって3〜8員複素環を形成するか;あるいは、
Y1、Y2及びY3は、全てがこれらと結合しているN原子と一緒になって二環式5〜12員複素環を形成し;
それぞれのRnは、独立して、H、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;
L3は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR5R6)a−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
L4は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR5R6)a−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
L5は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR5R6)a−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
R5及びR6のそれぞれの存在は、独立して、H、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;あるいは、隣り合った炭素原子上の2個のR5基は、一緒になってこれらのそれぞれの炭素原子の間で二重結合を形成するか;又は隣り合った炭素原子上の2個のR5基と、隣り合った同じ炭素原子上の2個のR6基は、一緒になってこれらのそれぞれの炭素原子の間で三重結合を形成し;
それぞれのaは、独立して、0、1、2、又は3であり;
この場合、
L3、L4又はL5のいずれかに由来するR5又はR6置換基は、任意にL3、L4又はL5のいずれかに由来するR5又はR6置換基と一緒になって、3〜8員シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリール基を形成し;かつ
Y1、Y2及びY3のうち任意の一つは、任意にL3、L4又はL5のいずれかに由来するR5又はR6基、及びこれらと結合している原子と一緒になって、3〜8員ヘテロシクリル基を形成し;
それぞれのQは、独立して、H、アルキル、アシル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルであり;かつ
それぞれのQ2は、独立してO、S、N(Q)(Q)、アルキル又はアルコキシである}
を有する脂質を含む、請求項121に記載の方法。
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