以下実施の形態の一例を図面を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る充電器システム100のブロック図である。
充電器システム100は、充電器1、2次電池2および充電管理装置3を含む。
充電器1は、2次電池2を充電する。
2次電池2は、外部からの供給電力を蓄積し、この蓄積した電力を負荷の接続時に出力する。2次電池2としては、どのようなタイプのものが用いられても良いが、例えばリチウムイオンタイプのものを用いることが想定される。
充電管理装置3は、充電器1が2次電池2を充電するための充電動作の実施状況を管理する。
充電器1は、複数の充電制御部10、複数の端子11v,11t,11g、複数の検出回路12、複数のLED(light emitting diode)13、LEDドライバ14、電源回路15、コントローラ16、インタフェース17およびバスライン18を含む。
図2は充電器1および2次電池2の外観の斜視図である。なお、図2において図1に示されるのと同一の要素には、同一の符号を付している。
図2に示すように充電器1はさらに、筐体19を有する。筐体19は、複数の充電制御部10、複数の端子11v,11t,11g、複数の検出回路12、複数のLED13、LEDドライバ14、電源回路15、コントローラ16、インタフェース17およびバスライン18を収容する。筐体19の上側面には、複数のスロット19aが互いに並行した状態で一列に形成されている。なお、図2においては10個のスロット19aを図示しているが、スロット19aは1つ以上の任意の数であって良い。スロット19aは、図示のように2次電池2を挿入可能であり、挿入された2次電池2を保持する。スロット19aの列に並べて、LED13がスロット19aの間隔とほぼ同じ間隔で配列されている。LED13は、スロット19aと同数であり、スロット19aの側方にLED13が1対1の関係で位置している。
筐体19の側面には、通信ポート19bが形成されている。この通信ポート19bには、通信ケーブル4の端部に設けられたプラグ4aが差し込まれる。通信ポート19bは、プラグ4aを物理的に支持するとともに、通信ケーブル4とインタフェース17とを電気的に接続する。
2次電池2は、図1に示すように3つの電極21v,21t,21gを備える。スロット19aの下方には、端子11v,11t,11gが配置されており、スロット19aに挿入された2次電池2が備える電極21v,21t,21gに端子11v,11t,11gがそれぞれ接触する。端子11v,11t,11gは充電制御部10に接続されている。かくしてスロット19aに挿入された2次電池2は、充電制御部10に電気的に接続される。なお、充電制御部10および端子11v,11t,11gは、スロット19aと同数が設けられている。このように、スロット19aと端子11v,11t,11gとにより、2次電池2を接続可能な接続ポートが構成される。
充電制御部10は、2次電池2が接続され、かつその充電を行うべき状態にあっては、端子11vと端子11gとの間に電圧を生じさせることにより2次電池2へと電力を供給する。充電制御部10は、ステータスレジスタ10aを内蔵する。ステータスレジスタ10aは、充電動作の実施状況に関する複数種類の状況情報を保存する。状況情報は、設定情報とステータス情報とに大別される。設定情報は、充電動作のための設定を表すものであり、コントローラ16によって書き込まれる。ステータス情報は、充電動作に関するステータスを表すものであり、充電制御部10により書き込まれる。充電制御部10としては、上記の機能を備えた周知のデバイスを利用できる。この周知のデバイスとしては、例えば、ミツミ電機株式会社(登録商標)製のリチウムイオン2次電池充電制御IC・MM3439がある。なお、端子11tと端子11gとの間には、2次電池2に内蔵されたサーミスタにより変化するサーミスタ電圧が生じる。
検出回路12は、スロット19aと同数が設けられ、それぞれがスロット19aに対して1対1で対応付けられる。それぞれの検出回路12は、さらに抵抗器12a、作動増幅器12bおよびA/D変換器12cを含む。
抵抗器12aは、充電制御部10の端子Vと端子11vとの間に介挿されている。抵抗器12aは、充電制御部10から2次電池2へと供給される電流に応じた電圧を生じるものである。抵抗器12aの抵抗値は任意であって良いが、消費電力のロスを低減するためにできるだけ小さな抵抗値であることが望ましい。抵抗器12aの抵抗値は、例えば1Ωとすることが想定される。
差動増幅器12bは、抵抗器12aの両端の電位差に応じた大きさの検出信号を出力する。
A/D変換器12cは、差動増幅器12bが出力する検出信号をディジタル化して検出情報を得る。
かくして検出回路12は、充電制御部10から2次電池2へと供給される充電電流の大きさに応じた電圧を表した検出情報を出力する。
LED13は、点灯状態により、対応するスロット19aにおける充電動作の実施状況を表示する。
LEDドライバ14は、コントローラ16の制御の下に、上記の表示を実現するべくLED13を駆動する。
電源回路15は、商用電源から電源ケーブル15aを介して供給される交流電力から、直流化や電圧変換を経て充電器1内の各部の動作電力を得て、これを各部に供給する。
コントローラ16は、CPU(central processing unit)等のプロセッサを有し、予め用意されたプログラムに従って充電器1内の各部を制御する。
インタフェース17は、コントローラ16が通信ケーブル4を介した通信を行うための処理を行う。インタフェース17としては、例えばUSB(universal serial bus)コントローラなどの周知のデバイスを利用できる。ただし、通信ケーブル4を介した通信のために使用する通信方式はUSBには限らず、他のシリアル通信方式、パラレル通信方式を適宜に利用できる。また、通信ケーブル4を介さずに、無線通信方式を利用することも可能である。
バスライン18は、コントローラ16と充電制御部10およびLEDドライバ14とを、それらの間での通信が可能なように接続する。
充電管理装置3は、CPU31、ROM(read-only memory)32、RAM(random-access memory)33、補助記憶デバイス34、入力デバイス35、表示デバイス36、インタフェース37およびバスライン38を含む。
CPU31は、コンピュータの中枢部分に相当する。CPU31は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムに従って、充電管理装置3としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。
ROM32は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。ROM32は、上記のオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムを記憶する。ROM32は、CPU31が各種の処理を実行する上で必要なデータを記憶する場合もある。
RAM33は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。RAM33は、CPU31が各種の処理を実行する上で必要なデータを必要に応じて記憶する。またRAM33は、CPU31が各種の処理を行う際のワークエリアとしても利用される。
補助記憶デバイス34は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス34は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、ハードディスクドライブ、あるいはSSD(solid state drive)などである。補助記憶デバイス34は、CPU31が各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU31での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶デバイス34は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
入力デバイス35は、ユーザによる各種の指示を入力する。入力デバイス35には、例えばキーボードやマウスなどの周知の各種の入力デバイスを含み得る。入力デバイス35を充電管理装置3に備えず、外付けされる汎用の入力デバイスで代用しても良い。
表示デバイス36は、ユーザに各種の情報を閲覧させるための画像などを表示する。表示デバイス36としては、液晶表示器などの周知の各種の表示デバイスを利用できる。表示デバイス36を充電管理装置3に備えず、外付けされる汎用の表示デバイスで代用しても良い。
インタフェース37は、CPU31が通信ケーブル4を介した通信を行うための処理を行う。インタフェース37としては、例えばUSBコントローラなどの周知のデバイスを利用できる。
バスライン38は、CPU31と、ROM32、RAM33、補助記憶デバイス34、入力デバイス35、表示デバイス36およびインタフェース37とを、それらの間での通信が可能なように接続する。
ROM32または補助記憶デバイス34が保存するアプリケーションプログラムには、後述するログ生成処理およびログ分析処理についてそれぞれ記述したプログラムモジュールを含んだ充電管理プログラムが含まれる。この充電管理装置3の譲渡は一般に、この充電管理プログラムがROM32または補助記憶デバイス34に記憶された状態にて行われる。しかし、コンピュータ装置が備える書き込み可能な記憶デバイスに、このコンピュータ装置とは個別に譲渡された充電管理プログラムがユーザなどの操作に応じて書き込まれても良い。充電管理プログラムの譲渡は、リムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。上記の記憶媒体は、上記のコンピュータ装置に内蔵または接続された読取装置によって読み取り可能であれば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなど、その形態は問わない。なお、上記のコンピュータ装置としては、パーソナルコンピュータなどの汎用のコンピュータ装置や、汎用のサーバ装置などを利用できる。
次に、以上のような充電器システム100の動作について説明する。
電源ケーブル15aが商用電源に接続されるか、あるいは充電器1に備えられた図示しない電源スイッチがオンとされるなどして電源回路15からの電力供給がなされるようになるとコントローラ16が初期化される。そしてこの初期化が完了したならばコントローラ16は、図3に示す処理を開始する。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
Act1においてコントローラ16は、充電制御部10に対する電源供給を開始するように電源回路15に指示する。この指示に応じて電源回路15は、充電制御部10に対する電源供給を開始する。
Act2においてコントローラ16は、充電制御部10を初期化する。この際、ステータスレジスタ10aのうちのステータス情報を保存する領域も初期化される。
この初期化が完了したのちに充電制御部10は、対応するスロット19aに2次電池2が挿入され、かつその充電を行うべき状態であるならば、この2次電池2を充電するための充電動作を実施する。この充電動作を実施するに当たって充電制御部10は、ステータスレジスタ10aに保存された設定情報を参照する。
設定情報は例えば、満充電検出設定、充電許可、タイマ設定、低温時CV値セット、常温時CV値セット、高温時CV値セット、低温時CC値セット、常温時CC値セットおよび高温時CC値セットを含む。満充電検出設定は例えば、満充電を検出するための閾値を「Vref×1」「Vref×2」「Vref×3」「Vref×4」のうちのいずれとするかを2ビットで表す。充電許可は例えば、充電の禁止/許可を1ビットで表す。タイマ設定は例えば、タイマに関する設定を0.25倍、0.5倍、1倍およびリセットのいずれとするかを2ビットで表す。低温時CV値セット、常温時CV値セットおよび高温時CV値セットは例えば、低温時、常温時および高温時のそれぞれにおける充電電圧値(CV値)を、4.20V、4.10Vおよび4.05Vのいずれかとするか、あるいは未使用とするかを2ビットずつで表す。低温時CC値セット、常温時CC値セットおよび高温時CC値セットは例えば、低温時、常温時および高温時のそれぞれにおける定電流充電時の電流値(CC値)を、「0」から100mA刻みで「2000mA」までの21個の値のいずれとするかを5ビットずつで表す。これらの設定情報は、コントローラ16によって必要に応じて書き換えられる。
充電制御部10では、充電動作の実施状況に関する状況情報がステータスレジスタ10aに書き込まれる。
ステータスレジスタ10aに書き込まれる状況情報は例えば、充電状態、充電異常の理由、充電電圧端子と電池電極との接続状態、サーミスタ電圧端子と電池電極との接続状態、あるいは電池温度範囲の検出結果などである。充電状態は例えば、充電OFF、電池接続判定中、予備充電、急速充電、満充電、再充電のいずれかが例えば3ビットにより表される。充電異常の理由は例えば、エラー無し、予備充電タイムアウト、急速充電タイムアウト、電池過電圧、電池過放電、電池過電流、電池温度異常、サーマルシャットダウンのいずれかが3ビットにより表される。電池温度範囲の検出結果は例えば、予め定められた8つの温度範囲のいずれかが3ビットにより表される。充電電圧端子と電池電極との接続状態は例えば、接続の有無が1ビットにより表される。サーミスタ電圧端子と電池電極との接続状態は例えば、接続の有無が1ビットにより表される。
そして、以上のような充電制御部10の制御の下での充電動作が必要に応じて行われる状況においてコントローラ16は、以下に説明するようなAct3乃至Act9のループを繰り返し実行する。
Act3においてコントローラ16は、変数nに「1」をセットする。
Act4においてコントローラ16は、スロット番号nのスロット19aに関する状況情報を読み込む。ここで、複数のスロット19aには、「1」から順に整数のスロット番号が予め割り当てられており、このスロット番号によって複数のスロット19aの個々を識別できる。そして複数のスロット19aと複数の充電制御部10とも1対1で対応しているから、スロット番号によって複数の充電制御部10の個々を識別できる。そこでコントローラ16は、スロット番号から識別される充電制御部10が有するステータスレジスタ10aが記憶する状況情報を読み込む。またコントローラ16は、スロット番号nのスロット19aに装着された2次電池2の充電電流に関する検出情報を、スロット番号nのスロット19aに関連付けられた検出回路12から読み込む。
Act5においてコントローラ16は、スロット番号nに対応したLED13を制御する。具体的には、Act4にて読み込んだ状況情報に基づいて、現時点でのスロット番号nに関する充電動作の実施状況を判断し、その実施状況を表すような点灯状態に対象のLED13を設定するようにLEDドライバ14に指示する。
Act6においてコントローラ16は、上記の判断した実施状況が異常な状況であるか否かをチェックする。そしてもし異常な状況であるならばコントローラ16は、例えば充電動作を停止するなどの措置をとる。
Act7においてコントローラ16は、通知情報を充電管理装置3へとインタフェース17から送信する。通知情報は、スロット番号nと、Act4で読み込んだ状況情報および検出情報と、この状況情報および検出情報を読み込んだ日時とを含んだ情報である。
Act8においてコントローラ16は、変数nを1つ増加する。
Act9においてコントローラ16は、変数nがスロット数よりも大きいか否かを確認する。そして変数nがスロット数以下であるためにNOと判定したならばコントローラ16は、Act4に戻り、上記のように1つ増加したスロット番号に関してAct4〜7を実行する。かくして、複数のスロット19aのそれぞれを順に対象としてAct4〜7が順次に実行されることになる。そして、複数のスロット19aの全てを対象としてAct4〜7を実行し終えたのちには、Act8にて変数nを1つ増加することにより変数nがスロット数よりも大きな値となる。これによってコントローラ16は、Act9にてYESと判定することとなる。そしてこの場合にコントローラ16は、Act3に戻り、Act3以降の処理を繰り返すこととなる。つまり、変数nを「1」に戻して、複数のスロット19aのそれぞれを順次に対象としてAct4〜7を繰り返す処理を最初から実行する。
かくしてコントローラ16は、複数のステータスレジスタ10aに記憶された状況情報を順次に読み出しつつ、それをスロット番号と関連付けてなる通知情報を充電管理装置3へと送信する。
さて、通知情報が通信ケーブル4を介して充電管理装置3へと伝送されると、これがインタフェース37で検出されて、CPU31へと通知される。この通知を受けてCPU31は、ROM32または補助記憶デバイス34に記憶された充電管理プログラムに従って図4に示すログ生成処理を開始する。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
Act11においてCPU31は、通知情報をインタフェース37を介して受信する。
Act12においてCPU31は、通知情報からスロット番号を抽出する。
Act13においてCPU31は、通知情報から日時と、状況情報および検出情報とを抽出し、これらからなるログ要素を、補助記憶デバイス34に記憶されたログに追加する。
図5はログのデータ構造の模式図である。
ログは、スロット番号により識別される複数のレコードを含む。1つのレコードは、スロット番号の他に、任意の数のログ要素を含む。ログ要素は、日時と状況情報等との組み合わせにより構成される。
そこでCPU31はAct13においては、Act12において抽出したスロット番号で識別されるレコードに新たなログ要素を追加するのである。
このようにして、新たに受信した通知情報に基づいて更新された新たなログが生成され、補助記憶デバイス34へと書き込まれたことになる。つまり、CPU31はログ生成処理の実行によって生成手段および制御手段として機能する。また補助記憶デバイス34は、ログを記憶するための記憶デバイスの一例である。
Act13を終えるとCPU31は、ログ生成処理を一旦終了する。しかしながら、充電器1は通知情報を繰り返し送信するので、CPU31はそれらの通知情報のそれぞれを対象としてログ生成処理を繰り返し実行することになる。これにより、ログは逐次更新されて行く。なお、ログの情報量が過大となると、後述するログ分析処理における処理量が多くなってしまう。そこで、CPU31は、ログに対して圧縮処理を施すようにしても良い。圧縮処理としては、周知の種々のものを適宜に適用できる。例えば、同一のレコードに前回追加されたログ要素の状況情報に対して新たに追加しようとするログ要素の状況情報に変化が生じていない場合には、新たなログ要素をログに追加しないことが考えられる。このような圧縮処理を実行する場合にCPU31は、圧縮手段として機能する。
さて、ユーザが例えば入力デバイス35により充電器1の動作状態の表示を要求する所定の操作を行ったならば、CPU31は、ROM32または補助記憶デバイス34に記憶された充電管理プログラムに従って図6に示すログ分析処理を開始する。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。またCPU31は、ログ分析処理をログ生成処理とは別タスクの処理として実行することにより、ログ生成処理と並行してログ分析処理を実行する。
Act21においてCPU31は、補助記憶デバイス34に記憶されたログに基づいて2次電池2の状態を分析する。
例えば、充電容量、充電時間および定電流充電(CC)区間の長さなどから2次電池2の劣化度を判定することができる。充電容量は、正常状態の急速充電中における充電電流プロファイルの時間変化で表わされる面積(mA・h)として求めることができる。
ここで、どの時点において正常な充電動作が行われていたのかは、状況情報に含まれた充電異常理由が「エラー無し」を表しているか否かにより確認できる。どの時点において急速充電が行われていたのかは、状況情報に含まれた充電状態が「急速充電」を表しているか否かにより確認できる。そして、充電異常の理由が「エラー無し」を表し、かつ充電状態が「急速充電」を表すようになった最初の状況情報と対となった日時として、正常状態の急速充電が開始した日時(開始タイミング)を確認できる。そしてその後に、充電状態が「満充電」を示した日時によって、正常状態の急速充電が終了した日時(終了タイミング)を確認できる。
一方、状況情報に含まれた低温時CC値セット、常温時CC値セットおよび高温時CC値セットのうちで状況情報に含まれた電池温度範囲の検出結果が表す温度範囲に対応するものが表すCC値として、各時点におけるCC値を確認できる。さらに、低電流制御(CC制御)から低電圧制御(CV制御)に移った日時は、検出情報が表す電圧の変化を監視することで確認できる。
すなわち、検出情報が表す電圧は抵抗器12aの両端の電位差に対応するので、この電圧を抵抗器12aの抵抗値で割った値として充電電流を求めることができる。そして、この充電電流が、その時点におけるCC値を下回って変化していく様であれば、CV制御に移行したということになる。
そしてCV制御の終了日時は、勿論、「満充電」が検出された日時となる。
このようにして、CC区間およびCV区間の長さが検出できる。
このように、充電容量、充電時間、CC区間およびCV区間の長さは、いずれも補助記憶デバイス34に記憶されたログに基づいて求めることが可能である。
さて、CC値は、安全性という観点から周囲温度に応じて充電制御部10によって適宜に変更される。さらに、一定量以上の充電がなされたと判断される場合には、CV充電に移行し、充電電流値は自動的に徐々に下げられる。そして、充電電流値がある値以下に達すると、充電制御部10によって満充電と判断されて充電が終了される。
このような規定の制御の上で、2次電池2が劣化した場合には、CC区間が短くなる傾向がある。見方を変えると、劣化した2次電池2で十分な容量を充電しようとすると、劣化の無い2次電池2に比べて充電時間がかかる。従って、充電時間に基づいても、2次電池2の劣化状態がおおよそ判断できる。
また、別の方法として、充電電圧に基づいて2次電池2の状態(主として異常)を判断することもできる。すなわち、充電電圧値(CV値)に対して、充電後の2次電池2の満充電電圧が何ボルトになったかで、異常状態を診断することができる。
Act22においてCPU31は、補助記憶デバイス34に記憶されたログに基づいて充電器1の状態を分析する。
例えば、充電器状態の分析には、通知情報に含まれた各種情報のうちの、充電状態、充電異常の理由、電池温度範囲の検出結果、充電電圧端子と電池電極との接続状態、サーミスタ電圧端子と電池電極との接続状態、ならびに充電許可などが使用できる。
これらの情報は、その値で示される内容で、充電器1の状態がおおよそ把握可能である。すなわち、充電状態や、充電異常の理由に基づいて、充電が正常に行われているのかどうかや、何が原因で充電異常となっているかが推測できる。また、充電電圧端子と電池電極との接続状態、サーミスタ電圧端子と電池電極との接続状態を参照することによって、電池端子の接続に異常がないかどうかを知ることができる。
Act23においてCPU31は、Act21およびAct22における分析結果を表した結果画像を生成し、これを表示するよう表示デバイス36を制御する。なお、結果画像には、過電圧、過放電、過電流、電池温度異常の発生日時などのように、単一のログ要素のみから識別可能な事象についても表すようにしても良い。
Act24においてCPU31は、ユーザによる指示がなされたか否かを確認する。そして、何らの指示もなされていないためにNOと判定したならばCPU31は、Act24に戻る。かくしてAct24においてCPU31は、ユーザによる指示がなされるのを待ち受ける。そして、ユーザが指示のための所定の操作を入力デバイス35にて行ったならば、CPU31はYESと判定してAct25へと進む。
Act25においてCPU31は、ユーザ指示の内容を確認する。そしてユーザが再分析を指示したのであればCPU31は、Act21以降の処理を上記と同様にして実行する。ただし、Act24における待ち受け期間中においてもログ生成処理を行ってログが更新されているので、新たな分析が行われることになる。
CPU31がAct24の待ち受け状態にあるときに、ユーザが終了を指示したのであれば、CPU31はログ分析処理を終了する。
かくして充電器システム100によれば、予備充電タイムアウト、急速充電タイムアウト、電池過電圧、電池過放電、電池過電流、電池温度異常、あるいはサーマルシャットダウンのような、比較的急激に生じる異常の判定は充電制御部10においてなされる。
一方で、充電器1により2次電池2を充電するための動作の実施状況に関して繰り返し取得された状況情報を時系列に表したログが充電管理装置3において生成される。そしてこのログを参照することで、前述した2次電池2の劣化のような、比較的緩やかな変化により生じる異常を判定することが可能である。
そして充電管理装置3においてはさらに、ログの分析による異常の判定のための処理を実行し、その判定結果を表した結果画像を表示するので、ユーザは上記のような比較的緩やかな変化により生じる異常の発生状況を容易に認識できる。
また充電管理装置3においては、複数のスロット19aのそれぞれについての動作の実施状況を区別可能にログを生成しているので、複数のスロット19aおよびそれらに挿入された複数の2次電池2のそれぞれについての異常の発生状況を個別に認識することが可能である。
ところで、充電容量は2次電池2の劣化状態を判定するための指標とはなるが、充電容量に基づいて劣化の度合いを認識するのは難しい場合もある。しかし、上述のように複数の2次電池2のそれぞれについての充電容量をそれぞれ求めれば、それらの比較によって劣化の度合いを認識することが可能となる。
これらにより充電管理装置3によれば、充電器1における2次電池2への充電動作に関してより詳細な管理を行えるようになる。
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
充電管理装置3は、複数の充電器1から通知情報を収集し、これらを反映したログを生成しても良い。
図7は充電器システム100の変形例としての充電器システム200のブロック図である。なお、図7において図1と同一の要素には同一の符号を付している。
充電器システム200は、複数の充電器1、複数の2次電池2、充電管理装置3、通信ネットワーク5、通信デバイス6、携帯情報端末7および通信デバイス8を含む。
通信ネットワーク5は、例えばインターネット、LAN(local area network)または企業内通信網などを適宜に利用できる。
通信デバイス6は、通信ケーブル4を介して充電器1に接続されるとともに、通信ネットワーク5に接続される。通信デバイス6は、充電器1が通信ネットワーク5を介した通信を行うことを可能とするための処理を行う。通信デバイス6としては、通信ネットワーク5の通信方式に適合した既存のルータなどを利用できる。
携帯情報端末7は、通信ケーブル4を介して充電器1に接続されるとともに、図示を省略している携帯通信網を介して通信ネットワーク5にアクセス可能である。携帯情報端末7は、充電器1が通信ネットワーク5を介した通信を行うことを可能とするための処理を行う。携帯情報端末7としては、テザリング機能を備えた既存の携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、あるいはモバイルルータなどを適宜に利用できる。
通信デバイス8は、通信ケーブル4を介して充電管理装置3に接続されるとともに、通信ネットワーク5に接続される。通信デバイス8は、充電管理装置3が通信ネットワーク5を介した通信を行うことを可能とするための処理を行う。通信デバイス8としては、通信ネットワーク5の通信方式に適合した既存のルータなどを利用できる。
なお、充電器1と通信デバイス6との接続、充電器1と携帯情報端末7との接続、あるいは充電管理装置3と通信デバイス8との接続は、通信ケーブル4に依らずに、無線接続であっても良い。
以上のように構成された充電器システム200では、充電管理装置3は複数の充電器1のそれぞれが送信する通知情報を収集し、それらに基づいてログを生成、保存する。
このため複数の充電器1のそれぞれを識別するための充電器番号を予め定めておく。そして各充電器1においてコントローラ16は、そのコントローラ16を備える充電器1の充電番号を通知情報に含める。これ以外の充電器1における動作は、前記実施形態の場合と同様である。
コントローラ16によって充電器1から送信された通知情報は、通信デバイス6または携帯情報端末7から充電管理装置3に宛てて通信ネットワーク5へと送出される。そしてこの通知情報が通信ネットワーク5によって充電管理装置3の側へと伝送されると、充電管理装置3は通信デバイス8を介して通知情報を受信する。
充電管理装置3では、充電器番号とスロット番号との組み合わせによりレコードを識別可能とした例えば図8に示すようなログをCPU31が生成し、このログを補助記憶デバイス34にて記憶する。これ以外の充電管理装置3における動作は、前記実施形態の場合と同様である。ただし、電池状態や充電器状態の分析の具体的な処理は、ログが複数の充電器1に関する情報を含むことに適応した処理に変更されても良い。
以上のように変形された充電器システム200によれば、複数の充電器1のそれぞれの動作の傾向を比較しての充電動作の管理を行うことも可能であり、それにより各種の診断の信頼性や精度を高めることが可能となる。
例えば、個々の充電器1の特性にバラツキがあったり、周囲温度の変化などもあるため、1つの充電器1に関する動作の様子からだけでは、その動作の異常などを適切に判定することができない場合もある。しかしながら充電器システム200によれば、例えば、ログに含まれる任意の数値に関して複数の充電器1の間の平均や標準偏差をとり、それを基準として各種の分析などを行うようにすれば、上記のような状況も考慮しながら、より適切な管理を行うことが可能となる。
電池状態の分析および充電器状態の分析のいずれか一方または双方を行わなくても良い。
ログに含まれた情報をそのまま表した画像を表示しても良い。
ログ生成処理およびログ分析処理の実行主体はCPU31には限らず、プログラムに基づいた情報処理を実行する機能を備えた如何なるハードウェアであっても良い。
ログ生成処理およびログ分析処理によりCPU31が実現する各機能は、その一部または全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組合わせて実現することも可能である。
ログ生成処理およびログ分析処理によりCPU31が実現する各機能を得るための処理の一部または全てを、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が実行しても良い。
充電管理プログラムを記憶する記憶媒体は1つに限らず充電管理プログラムが複数のプログラムモジュールに分割され、これら複数のプログラムモジュールが複数の記憶媒体に分散して記憶されていても良い。
ログ生成処理およびログ分析処理は、複数のCPUによる分散処理により実現されても良い。この場合、複数のCPUは、単一の装置に搭載されていても良いし、異なる複数の装置に搭載されていても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。