JP2014239023A - 色素増感太陽電池用集電体およびその材料の製造方法ならびに色素増感太陽電池 - Google Patents

色素増感太陽電池用集電体およびその材料の製造方法ならびに色素増感太陽電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2014239023A
JP2014239023A JP2013185440A JP2013185440A JP2014239023A JP 2014239023 A JP2014239023 A JP 2014239023A JP 2013185440 A JP2013185440 A JP 2013185440A JP 2013185440 A JP2013185440 A JP 2013185440A JP 2014239023 A JP2014239023 A JP 2014239023A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dye
sensitized solar
solar cell
metal
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013185440A
Other languages
English (en)
Inventor
河野 充
Mitsuru Kono
充 河野
桂一郎 志賀
Keiichiro Shiga
桂一郎 志賀
貴彦 吉野
Takahiko Yoshino
貴彦 吉野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel and Sumikin Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumikin Chemical Co Ltd filed Critical Nippon Steel and Sumikin Chemical Co Ltd
Priority to JP2013185440A priority Critical patent/JP2014239023A/ja
Publication of JP2014239023A publication Critical patent/JP2014239023A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)

Abstract

【課題】色素増感太陽電池に用いたときに電解質の通液性に優れ、高い発電効率を得ることができる色素増感太陽電池用集電体およびその材料の製造方法ならびに色素増感太陽電池を提供する。【解決手段】色素増感太陽電池用集電体は、厚みが5μm〜60μmおよび空隙率が1%〜80%であり、等方的に連通した多数の貫通孔を有し、かつ、円筒マンドレル試験でマンドレルの直径を徐々に小さいものに代えて折り曲げたときに、直径6mmまでは折り曲げ部の外側表面にクラックが入らない多孔質焼結金属薄膜からなる。【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感太陽電池用集電体およびその材料の製造方法ならびに色素増感太陽電池に関する。
色素増感太陽電池は、湿式太陽電池あるいはグレッツェル電池等と呼ばれ、シリコン半導体を用いることなく電解液を使用した電気化学的なセル構造を持つ点に特徴がある。例えば、透明な導電性ガラス板等の透明導電膜を使用したアノード電極に二酸化チタン粉末等を焼付け、これに色素を吸着させて形成したチタニア層等の多孔質半導体層と導電性ガラス板(導電性基板)等からなる対極(カソード電極)の間に電解質としてヨウ素溶液等を配置した、簡易な構造を有する。
色素増感太陽電池の発電メカニズムは、以下のとおりである。
受光面である透明導電膜面から入射した光を、多孔質半導体層に吸着された色素が吸収し、電子励起を引き起こし、その励起した電子が半導体へと移動し、導電性ガラスへと導かれる。ついで、対極に戻った電子はヨウ素などの電解液を介して電子を失った色素へと導かれ、色素が再生される。
色素増感太陽電池は、シリコン系の太陽電池と比べて材料が安価であり、作製に大掛かりな設備を必要としないことから、低コストの太陽電池として注目されており、さらなる低コスト化のため、例えば高価な透明導電膜を省略することが検討されている。なお、透明導電膜は電気抵抗が大きいため、電池の大型化に向かないという問題もあった。
透明導電膜を省略する方法の一つとして、ガラス表面に配置される透明導電膜の代わりに導電性金属からなる配線を施すことが挙げられる。しかし、この場合、入射光の一部は金属配線部分に遮られることとなり、効率の低下を伴う。
この点を改善するものとして、例えば、光照射側となる透明導電膜を持たない透明基板に色素担持半導体層を形成し、色素担持半導体層の上に有孔集電電極を配置する光電変換素子が開示されている(特許文献1参照)。有孔集電電極は網目状または格子状の構造であり、多孔質半導体の基板への塗布膜上にこの集電電極を載置して500℃で30分焼成するものとされている。
また、例えば、孔を有する集電電極として線径が1μm〜10mmの金網を用い、この金網に多孔質半導体層の材料であるペーストを塗布し、ペーストを焼成して多孔質半導体層を形成した後に、透明導電膜を持たないガラス製透明基板に多孔質半導体層の側を向けて金網を配置する技術が開示されている(特許文献2参照)。
しかしながら、これらの技術は、集電電極として予め加工形成された金網あるいはその他の有孔板等を用いるので、金属細線等材料のサイズの制約から、金網等の厚みを薄くすることには限界がある。そのため、金網等の厚みが厚いことに起因し、電解質が金網等を介して多孔質半導体層に移動する際の拡散抵抗が大きくなり、これにより光電変換効率の低下を来たすおそれがある。
これに対して、例えば、集電電極として、スパッタリングや蒸着等の方法によってタングステン、チタン、ニッケル等の金属を堆積させ、その後、フォトリソグラフィー等によりパターニングする方法が開示されている(特許文献3参照)。得られる集電電極は、極めて薄い金属膜である。
しかしながら、この方法は、集電電極の製造工程が煩雑である。また、集電電極が過度に薄すぎると、集電電極としての役割、性能に不足を来たすおそれもある。このとき、集電電極を適度の厚膜に形成しようとすると、成膜に時間とコストがかかりすぎるおそれがある。
一方、金属粉末を焼結させた金属焼結体からなり、内部に分散配置された複数の空孔部を有し、その気孔率が10体積%以上50体積%以下とされ、前記空孔部の平均孔径が1μm以上30μm以下とされており、複数の前記空孔部の一部が表面に開口するように配置されていることを特徴とする電気化学部材用焼結金属シート材が開示されている(特許文献4参照)。電気化学部材用焼結金属シート材は、原料スラリーをグリーンシートに成形したものを焼結して得られる。金属シート材の厚さは、例えば0.03mm以上0.3mm以下程度であるとされる。
上記の電気化学部材用焼結金属シート材は、明細書の技術分野の欄の記載振りから見て、電気分解装置の電極板、電気めっき装置の電極、電気二重層キャパシタの集電体、非水電解液2次電池の集電体等の用途における従来技術の不具合を改善することを目的とするものと考えられるが、具体的な開示は無い。また、0.03mm程度の厚みのシート材を得るためには、平均粒子直径が0.015mm以下の金属粉末を用いることになるが、金属粉末がTiの場合には、表面積が大きく表面酸化が大きくなるため焼結不足が生じやすくなり、十分な強度を得ることができず、この製造方法では下限値である0.03mm程度の厚みのシート材を得るのは実際には困難ではないかと思われる。
また、原料粉末、バインダー、および水を含む材料からなり気泡が分散形成されたスラリーを調製するスラリー製造工程と、このスラリーからグリーン体を形成するグリーン体形成工程と、このグリーン体を焼結する焼結工程とを有する多孔質焼結体の製造方法であって、グリーン体形成工程が所定の安置工程、凍結固化工程および真空凍結乾燥工程を含む技術が開示されている(特許文献5参照)。スラリー製造工程は、材料を混練してスラリーを調整する混練工程と、スラリーから気泡および溶存ガスを除去する脱泡工程と、このスラリーに添加ガスを導入しながら攪拌することにより、スラリー中に添加ガスからなる気泡核を分散形成する気泡核形成工程と、を有すると、スラリー中に含まれる気体量を精密に制御することができるとされている。チタン粉末を原料とした実施例として、80%を大幅に上回る高い気孔率と、数百μm以上の平均気孔径を有する多孔質焼結体が開示されている。
また、上記した金属焼結体に関し、本発明者らは、色素増感太陽電池の集電電極として市販の多孔質チタンシート(商品名タイポラス 大阪チタニウム社製 厚み100μm)を用いる技術を開示している(特許文献6参照)。この多孔質チタンシートは多数の孔が等方的に連通する金属多孔体であり、発電効率の向上に寄与する。
特開2001−283941号公報 特開2007−73505号公報 特開2005−158470号公報 特開2011−99146号公報 特開2010−229432号公報 WO2010/150461
本発明によって解決しようとする問題点は、色素増感太陽電池の集電電極として多孔質焼結金属シートを用いる従来の技術は、発電効率の一層の向上に寄与する上で、さらなる改良が求められる点である。
本発明に係る色素増感太陽電池用集電体は、厚みが5μm〜60μmおよび空隙率が1%〜80%であり、等方的に連通した多数の貫通孔を有し、かつ、円筒マンドレル試験でマンドレルの直径を徐々に小さいものに代えて折り曲げたときに、直径6mmまでは折り曲げ部の外側表面にクラックが入らない多孔質焼結金属薄膜からなることを特徴とする。
また、本発明に係る色素増感太陽電池用集電体は、前記多孔質焼結金属薄膜の金属種がTi、W、Mo、Rh、PtおよびTaから選ばれるいずれか1種またはこれらを1種または2種以上含む合金であることが好ましい。
また、本発明に係る色素増感太陽電池は、透明基板と、カソード極となる導電性基板と、該透明基板と該導電性基板の間に、該透明基板に近接してまたは接触して配置され色素を吸着した多孔質半導体層と、該多孔質半導体層の該透明基板とは反対側に接触して配置されアノード極となる上記の色素増感太陽電池用集電体を備え、電解質が封止されてなることを特徴とする。
また、本発明に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、以下の(a)、(b)、(c)および(d)の工程を含むことを特徴とする。
(a)基材上に、水素化金属粉末または脱水素金属粉末を含む金属原料、バインダー成分および溶剤成分を含むペースト状組成物を塗工して成膜した後、乾燥して溶剤成分を揮発させて乾燥成形体を得る成形体製造工程
(b)乾燥成形体を基材から剥離する剥離工程
(c)剥離した乾燥成形体を加熱し、バインダー成分を除去する脱バインダー工程
(d)脱バインダー後の乾燥成形体を700℃〜1100℃にて焼結する焼結工程
また、本発明に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、前記金属原料が水素化チタン粉末、または金属チタン粉末および水素化チタン粉末の混合物であり、金属原料中の水素化チタン粉末の量が0.1質量%〜100質量%であることが好ましい。
また、本発明に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、前記基材が、PET(ポリエチレンテレフタレート)であることが好ましい。
また、本発明に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、前記脱バインダー工程において、加熱温度が150℃〜450℃であることが好ましい。
また、本発明に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、前記脱バインダー工程の加熱雰囲気が、酸化性雰囲気であることが好ましい。
また、本発明に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、前記焼結工程において、乾燥成形体を金属原料と反応しない材質のセッターの上に載置することが好ましい。
また、本発明に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、前記焼結工程において、大気圧よりも低い圧力条件下で水素化チタンから水素が乖離する温度に加熱し、水素化チタンに含まれる水素を分離する工程を含むことが好ましい。
また、本発明に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、水素化チタンに含まれる水素を分離する工程の加熱温度が400℃〜600℃であることが好ましい。
また、本発明に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、透明基板と、カソード極となる導電性基板と、該透明基板と該導電性基板の間に、該透明基板に近接してまたは接触して配置され色素を吸着した多孔質半導体層と、該多孔質半導体層の該透明基板とは反対側に接触して配置されアノード極となる上記の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法により得られる集電体材料を用いた集電体を備え、電解質が封止されてなる。
本発明に係る色素増感太陽電池用集電体は、厚みが5μm〜60μmおよび空隙率が1%〜80%であり、等方的に連通した多数の貫通孔を有し、かつ、円筒マンドレル試験でマンドレルの直径を徐々に小さいものに代えて折り曲げたときに、直径6mmまでは折り曲げ部の外側表面にクラックが入らない多孔質焼結金属薄膜からなるため、色素増感太陽電池に用いたときに電解質の通液性に優れ、高い発電効率を得ることができる。
また、本発明に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、(a)基材上に、水素化金属粉末または脱水素金属粉末を含む金属原料、バインダー成分および溶剤成分を含むペースト状組成物を塗工して成膜した後、乾燥して溶剤成分を揮発させて乾燥成形体を得る成形体製造工程、(b)乾燥成形体を基材から剥離する剥離工程、(c)剥離した乾燥成形体を加熱し、バインダー成分を除去する脱バインダー工程および(d)脱バインダー後の乾燥成形体を700℃〜1100℃にて焼結する焼結工程を含むため、本発明に係る色素増感太陽電池用集電体を好適に、かつ安価で得ることができ、また、このとき、脱バインダー処理時の酸化汚染、バインダーの有機物成分からの炭素汚染が少ない。
図1は本実施の形態に係る色素増感太陽電池の概略構成を示す図である。
本発明の実施の形態の例(以下、本実施の形態例という。)について、以下に説明する。
まず、本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体について説明する。
本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体(以下、これを単に集電体ということがある。集電体はおおむね集電電極と同義である。)は、厚みが5μm〜60μmおよび空隙率が1%〜80%であり、等方的に連通した多数の貫通孔を有し、かつ、円筒マンドレル試験(円筒マンドレル屈曲試験)でマンドレルの直径を徐々に小さいものに代えて折り曲げたときに、直径6mmまでは折り曲げ部の外側表面にクラックが入らない多孔質焼結金属薄膜からなる。
多孔質焼結金属薄膜を用いるため、多孔質半導体層上等に薄膜形成法等で集電体を設ける場合に比べて、集電体の作製作業ひいては色素増感太陽電池の作製作業の煩雑さが大幅に軽減される。
多孔質焼結金属薄膜の厚みは、上記のように5μm〜60μmであるが、好ましくは5μm〜50μmであり、さらに好ましくは10μm〜30μmである。多孔質焼結金属薄膜の厚みが5μmを大きく下回ると、厚み方向に存在する粒子数が少なくなり、金属多孔体としての強度が損なわれるおそれがある。一方、多孔質焼結金属薄膜の厚みが60μmを大きく上回ると、色素増感太陽電池に用いたときに、薄膜内部での電解液の流動抵抗が大きくなり薄膜の内部あるいは両面間での電解質の流通性や拡散性が悪くなり、また、多孔質半導体層との密着性や接合力が損なわれる等の問題を生じるおそれがある。なお、多孔質焼結金属薄膜の厚みは平均厚みをいう。
多孔質焼結金属薄膜の空隙率は、上記のように1%〜80%であるが、好ましくは30%〜60%である。多孔質焼結金属薄膜の空隙率が1%を大きく下回ると、色素増感太陽電池に用いたときに、薄膜内部での電解液の流動抵抗が大きくなり薄膜の内部あるいは両面間での電解質の流通性や拡散性が悪くなり、薄膜内部での電解質の流通・拡散が不十分となり、これにより、多孔質半導体層への電解質の均一な浸透が損なわれるおそれがある。一方、多孔質焼結金属薄膜の空隙率が80%を大きく上回ると、多孔質半導体層との密着性や接合力が損なわれるおそれがある。また、金属多孔体としての強度が損なわれるおそれがある。また、電極として好適な導電性が得られないおそれがある。なお、用語の定義上、言うまでもなく明らかであるが、空隙率の単位は体積%である。
なお、空隙率は、後で説明する色素増感太陽電池用集電体材料の空隙率と同じ方法で測定する。
多孔質焼結金属薄膜は、円筒マンドレル試験でマンドレル(mandrel:芯棒)の直径を徐々に小さいものに代えて折り曲げたときに、直径6mmまでは折り曲げ部の外側表面にクラックが入らない。すなわち、直径6mmは、多孔質焼結金属薄膜を折り曲げた場合に、クラックが入らない条件における、マンドレルの最小直径を意味する。
円筒マンドレル試験は、JIS―K5600−5−1に定められる方法で行う。マンドレルの直径を徐々に小さいものに代えて折り曲げを繰り返すと、屈曲率の増加に伴い多孔質焼結金属薄膜の外側表面にクラックを生じるに至る。したがって、円筒マンドレル試験は、多孔質焼結金属薄膜の屈曲性あるいは一種の強度を判定する試験ということができる。円筒マンドレル試験において、マンドレルの直径が4mmまでは外側表面にクラックが入らないことが好ましい。マンドレル直径が6mmを大きく上回る条件でクラックが入った場合、色素増感太陽電池に用いたときに、電極としての耐久性が低下するおそれがある。
多孔質焼結金属薄膜は、平均空孔直径が、好ましくは5μm〜25μmであり、さらに好ましくは5μm〜15μmである。多孔質焼結金属薄膜の平均空孔直径が5μmを大きく下回ると、色素増感太陽電池に用いたときに、薄膜内部での電解液の流動抵抗が大きくなり薄膜の内部あるいは両面間での電解質の流通性や拡散性が悪くなり、導電性金属層内部での電解質の流通・拡散が不十分となり、これにより、多孔質半導体層への電解質の均一な浸透が損なわれるおそれがある。一方、多孔質焼結金属薄膜の平均空孔直径が25μmを大きく上回ると、金属多孔体としての強度が損なわれおそれがある。また、平均空孔直径が過度に大きくなると、非空孔部の面積も大きくなるので、薄膜内部の電解質の均一な流通および薄膜の開口から多孔質半導体層への電解質の均一な拡散が阻害されるおそれがある。
なお、平均空孔直径は、水銀圧入法により測定するときの値である。水銀圧入式細孔分布測定装置(CARLOERBA INSTRUMENTS社製PascaI 140およびPascal 440、測定可能範囲:比表面積0.1m/g以上、細孔分布0.0034〜400μm)を用いて、圧力範囲0.3kPa〜400kPa、および0.1MPa〜400MPaの範囲で、圧入体積を円筒細孔モデルに従って、側面積として計算し積算して測定する。
多孔質焼結金属薄膜は、上記したように、等方的に連通した多数の貫通孔を有する。ここで、等方的に連通するとは、多数の孔が多孔質焼結金属の厚みの方向にのみ、すなわち異方性を有するように連通して貫通孔を形成するだけではなく、多孔質焼結金属の平面に沿った方向にも、すなわち三次元的にあらゆる方向に等方性を有するように連通することをいう。これにより、色素増感太陽電池に用いたときに、薄膜において、電解質がより均一に浸透するとともに、電解質が薄膜の開口から多孔質半導体層へより均一に拡散する。
多孔質焼結金属薄膜は、例えば前記した特許文献5の技術のような、スラリー発泡法やこれに準ずる技術を用いたいわゆる発泡金属を用いることができる。ただし、後述する本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法のような、スラリー発泡法等を用いることなくスラリーを形成した、いわば非発泡金属であると、上記した空隙率および平均空孔直径がより好適な範囲の多孔質焼結金属薄膜を得ることができて、より好ましい。
多孔質焼結金属薄膜からなる集電体を集電電極として多孔質半導体層と接して色素増感太陽電池に用いたとき、粒子の凝集体である多孔質半導体層との接触面積が大きく、かつ、薄膜の表面の孔に多孔質半導体層の表面の粒子が、いわば噛み合った状態に係合する。これにより、薄膜と多孔質半導体層の接合力が大きい。これに対して、従来の薄膜形成法で形成した導電性金属層を集電体とする場合、貫通孔の開口は、導電性金属層の平面に沿った方向には離散的に配置され、かつ、開口の数にも限界があることが多いため、または、導電性金属層が平滑なシート状に形成されるため、導電性金属層と多孔質半導体層の接合力を大きくとることが難しいことがある。この不具合は、集電体として金網を用いる場合や薄板に加工によって貫通孔を形成する場合においてより顕著である。集電体と多孔質半導体層の接合力が小さいと、例えば500℃程度の加熱による電気的接合工程においてクラックを生じて、集電体と多孔質半導体層が剥離するおそれがある。
多孔質焼結金属薄膜は、金属種がTi、W、Mo、Rh、PtおよびTaから選ばれるいずれか1種またはこれらを1種または2種以上含む合金であることが、色素増感太陽電池に用いたときに電解質に対する高い耐食性を得、また、高い導電性を得るうえで好ましい。多孔質焼結金属薄膜は、電気伝導率が0.5×10Ω−1・m−1以上であることが好ましい。電気伝導率は4探針法により測定することができる。
多孔質焼結金属薄膜は、金属原料が水素化金属粉末または脱水素金属粉末を含むことが好ましく、特に好ましくは、金属原料が水素化チタン粉末、脱水素金属粉末または金属チタン粉末および水素化チタン粉末の混合物であり、金属原料中の水素化チタン粉末の量が0.1質量%〜100質量%であることが好ましい。さらに好ましくは、後述する脱水素工程における脱水素のしやすさの点から、0.1〜30%であり、さらに好ましくは、0.1〜10%である。
ここで、上記金属チタン粉末は、水素化脱水素法により製造したチタン粉末(以下、「脱水素チタン粉末」という。)、スポンジ金属粉末、ガスアトマイズ金属粉末等が適用できる。脱水素チタン粉末が好ましい。
なお、多孔質焼結金属薄膜を集電体に用いるとき、ガラス繊維成形体、多孔質アルミナ板等の無機多孔体、耐熱性多孔質プラスチック等の有機多孔体、金属多孔体等を集電体の補助基板として設けてもよい。
多孔質焼結金属薄膜の製造方法は、特に限定するものではなく公知の適宜の方法を採用することができるが、次に説明する本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法を用いることが好ましい。
以上説明した本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体は、色素増感太陽電池用いたときに電解質の通液性に優れるため、高い発電効率を得ることができる。また、本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体は、耐屈曲性に優れるため、耐久性が良好である。また、本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体は、フレキシブルであり、かつ軽量であるため、これを用いた色素増感太陽電池のフレキシブル化や軽量化を図ることができる。
次に、本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法について説明する。
本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、厚みが5μm〜60μmおよび空隙率が1%〜80%であり、等方的に連通した多数の貫通孔を有し、かつ、円筒マンドレル試験でマンドレルの直径を徐々に小さいものに代えて折り曲げたときに、直径6mmまでは折り曲げ部の外側表面にクラックが入らない多孔質焼結金属薄膜からなる本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体材料を好適に得ることができるものである。
本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、以下の(a)、(b)、(c)および(d)の工程を含む。
(a)基材上に、水素化金属粉末または脱水素金属粉末を含む金属原料、バインダー成分および溶剤成分を含むペースト状組成物を塗工して成膜した後、乾燥して溶剤成分を揮発させて乾燥成形体を得る成形体製造工程
(b)乾燥成形体を基材から剥離する剥離工程
(c)剥離した乾燥成形体を加熱し、バインダー成分を除去する脱バインダー工程
(d)脱バインダー後の乾燥成形体を700℃〜1100℃にて焼結する焼結工程
ペースト状組成物は、水素化金属粉末または脱水素金属粉末を含む金属原料、バインダー成分および溶剤成分を含む。
上記水素化金属粉末または脱水素金属粉末における金属種は、Ti、W、Mo、Rh、PtおよびTaから選ばれるいずれか1種またはこれらを1種または2種以上含む合金であることが、色素増感太陽電池に用いたときに電解質に対する高い耐食性を得、また、高い導電性を得る上で好ましい。金属種は、特に好ましくは、Tiであり、具体的には水素化チタン粉末(TiH粉末)または脱水素チタン粉末である。
上記水素化金属粉末は、最大粒径が10μm以下、平均粒径は4〜7μmの微細粉が好ましい。
水素化チタン粉末(TiH粉末)は、チタンを水素化処理して脆弱なチタン水素化物とし、これを機械的に粉砕することにより作製されたものである。水素化チタン粉末は、金属チタン粉末と比較して微細粉を得やすいため、薄いチタン多孔体薄膜の製造に適している。また、水素化チタン粉末を用いることで、靱性が高くかつ可撓性の高い、言い換えれば180°折り曲げても折れずに割れないチタン多孔体薄膜を得ることができる。更に、水素化チタン粉末は、金属チタン粉末より焼結性が高く、金属チタン粉末よりも焼結温度を低くすることができるので、焼結工程の設備に対する負荷(過酷度)を低く抑えることが可能となる。
また、金属原料の水素化金属粉末としてチタンを用いる場合、多孔質チタン薄膜の空隙率、膜厚を調整するために、水素化チタン粉末または金属チタン粉末と水素化チタン粉末の混合粉末を用いることが好ましい。この場合、金属チタン粉末の粒径は、最大粒径が20μm以下、平均粒径が10μm〜15μmの微細粉が好ましい。金属チタン粉末と水素化チタン粉末の混合比率は、任意に設定することが可能であるが、金属原料中の水素化チタン粉末の量が0.1質量%〜100質量%であることが好ましい。さらに好ましくは、後述する脱水素工程における脱水素のしやすさの点から、0.1〜30%であり、さらに好ましくは、0.1〜10%である。水素化チタン粉末は、金属チタン粉末よりも焼結性が高く、その混合比率によって、得られる多孔質チタン薄膜の空隙率が異なってくる。得たい空隙率によって、最適な混合比率が選ばれる。さらに、この範囲とすることで、靭性の高いチタン多孔体薄膜を得ることができる。金属チタン粉末は脱水素チタン粉末が好ましい。
金属原料は、水素化金属粉末のほかに、チタン、アルミニウム、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、鉄等の金属元素を含み、好ましくは、これらの金属の合金粉末を含む。このような合金粉末として、具体的には、Ti−6質量%Al−4質量%V粉末、Ti−6質量%Al−7質量%Nb粉末、Ti−6質量%Al−2質量%Nb−1質量%Ta粉末、Ti−15質量%Zr−4質量%Nb−4質量%Ta粉末、Ti−3質量%Al−2.5質量%V粉末、Ti−13質量%Nb―13質量%Zr粉末、Ti−15質量%Mo−5質量%Zr−3質量%Al粉末、Ti−12質量%Mo−6質量%Zr−2質量%Fe粉末、Ti−15質量%Mo粉末等が挙げられる。
なお、上記の最大粒径、平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製LA−300)によって求めたものである。
バインダー成分は、メチルセルロース系、ポリビニルアルコール系、エチルセルロース系、アクリル系、ポリビニルブチラール系などを用いることができる。また、溶剤成分は、水、エタノール、トルエン、イソプロパノール、ターピネオール、ブチルカルビトール、シクロヘキサン、メチルエチルケトンなどを用いることができる。また、必要に応じて、グリセリン、エチレングリコール等の可塑材やアルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性材、炭酸水素アンモニウム等の発泡剤をペースト状組成物へ添加してもよい。
前記金属原料、前記バインダー成分と前記溶剤成分を混合し、ペースト状組成物を得る。金属原料、バインダー成分、溶剤成分の混合には、公知の方法を用いることができ、例えば、攪拌機付混合機、回転混合機、三本ロールミルなどが適宜使用できる。なお、混合は、粉砕を同時に行なっても良く、振動ミル、ボールミルなどの粉砕混合機等も使用できる。
多孔質チタン薄膜の空隙率は、上記のチタン原料の粒径、チタン原料の種類、バインダーや発泡剤等の成分と添加量、後述する焼結温度により調整することができる。
ペースト状組成物を、基材上に塗工して成膜した後、溶剤を蒸発させて、膜状の乾燥成形体を作製する。ペースト状組成物は、例えば、20μm〜80μmの厚みで塗工、成膜する。
基材は、剥離工程において乾燥成形体と剥離可能な材料であれば制限はない。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール等のポリビニル類、金属箔、セラミック板等が挙げられるが、安価であるPETが好ましい。
塗工・成膜方法としては、ドクターブレード法などの粘性組成物を基材上に直接塗工し成膜する方法、リップコーティング法などの粘性組成物を基材上に押出しながら塗工し成膜する方法、オフセット印刷、グラビア印刷などの粘性組成物を転写塗工し成膜する方法のいずれの方法を利用してもよい。例えば、リエアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、スロットダイコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレンダコーター、押出コーター、バーコーター等を用いることができる。中でも、連続的に成膜と乾燥を実施することができるドクターブレード法が好ましい。
成膜後の成形体の厚さは、ペースト中に含まれる固体成分の粒径によって調整できる。本発明のように、最大粒径10μmの水素化チタン粉末、または最大粒径20μmの金属チタン粉末をペースト原料として使用することによって、20μmといった薄い膜も製造可能となる。勿論、微細なチタン原料を含むペーストを用いても、ドクターブレードのクリアランスを調整することにより、厚さ50μmや60μmのようなやや厚い膜を製造することも可能である。
成膜後の成形体から溶剤成分を揮発させ、乾燥成形体を得る。乾燥工程は、常圧下、減圧下、加圧下のいずれの条件でも可能であるが、溶剤の蒸発が速すぎると乾燥成形体にクラックが入るため、クラックの入らないように温度、圧力及び風量を選び行なう。温度は80℃〜160℃、圧力は大気圧が望ましい。弱い風量を与えることも乾燥効率を高めるために効果的である。なお、加圧下で乾燥する場合は、以下に説明する焼結前成形体のプレス処理を兼ねることになる。
乾燥成形体はさらにプレス処理を行ってもよい。プレス処理により、金属粉末間の接触面積が増大するため、ネッキング部位が増える。また、プレス処理の圧力は高いほど、電気伝導度の向上、膜厚の低下、空隙率の低下が起こる。そのため、用途に応じて圧力の条件を選択する必要がある。ただし、プレス圧が低過ぎると金属粉末間の接触面積が増大せず、高すぎると空隙率が適切な範囲を外れて低下し、または金属粉末が塑性変形を起こす。そのため、好ましいプレス圧の範囲は0.1MPa〜100MPaである。また、プレス処理において適切なクッション材を使用することが好ましい。クッション材としては紙、金属箔、シリコン、耐熱性プラスチック、ゴム等、適宜のものを使用することができる。プレス方法は、平板プレス、ロールプレス、真空ラミネーター等、適宜の方法で行うことができる。
得られた乾燥成形体から基材を剥離するには、乾燥成形体が破損または変形しない範囲で適宜の方法を採用できるが、例えば、基材と乾燥成形体の間に、圧縮空気を吹き付けるまたは鋭利なナイフ状の材料を差し込むことで、乾燥成形体から基材を一部剥離し、剥離した部分を機械的につまんで基材全体を引き離す方法が挙げられる。
基材を剥離しないで脱バインダー等の加熱を行うと、基材と乾燥成形体の融着、基材の熱変形または基材−乾燥成形体間の熱膨張差による乾燥成形体の変形または破損等が起こるため好ましくない。
剥離した乾燥成形体は、次の脱バインダー工程及び焼結工程にてTiと反応しない材質からなるセッター(棚板)上に載置することが好ましい。
セッターは、例えば、BN、ZrO、Alが挙げられる。なお、本実施の形態例からは外れるが、モリブデン、ステンレス等のセッターと乾燥成形体の間にこれらの粉末を敷いてもよい。粉末を敷くことによって、焼結時の乾燥成形体の収縮に伴う材料移動が容易になり、焼結時の乾燥成形体のクラック防止に有効である。
セッター上に載置した乾燥成形体は、焼結する前に、焼結温度より低温で加熱することで、乾燥成形体中のバインダー成分、溶剤、結着剤、可塑剤、その他不純物等を分解、蒸発または燃焼によって除去する(脱バインダー工程)。上記加熱は、好ましくは、大気圧よりも低い圧力条件下で行う。また、加熱は、不活性ガス雰囲気または酸化性ガス雰囲気のいずれかのガス雰囲気条件下で行うことが好ましい。不活性ガス雰囲気に用いるガスとしては、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。不活性ガス雰囲気の場合、大気圧よりも高い圧力条件下または大気圧よりも低い圧力条件下のいずれであってもよく、また、ガス流速のある状態であっても良い。これにより、酸化されることなく、靭性の高い色素増感太陽電池用集電体材料を得ることができる。酸化性ガス雰囲気に用いるガスは、酸素原子を1%以上含む気体であり、具体的には空気、酸素、酸素富化空気、酸素ガスと不活性ガスの混合ガス等が挙げられる。酸化性雰囲気での加熱の場合、炭素含有量の低いチタン多孔体薄膜を得ることができるので好ましく、また、空気雰囲気での処理は、コストが安いので好ましい。
また、脱バインダー工程は、プラズマ処理、オゾン処理を併用しても良い。
脱バインダー時の加熱条件は、使用するバインダー成分によって異なるが、その成分の揮発条件に応じて、150℃〜450℃で0.1時間〜6時間保持することが好ましい。
脱バインダー時の圧力は、低いほど、有機物成分の分解・蒸発が促進され好ましく、この観点からは、10−2mbar以下が特に好ましい。ただし、加熱により有機物が分解して蒸発すると、真空炉の内部が蒸発した有機物で汚染される。これを防ぐ観点からは、10−2mbarよりも高い圧力、例えば1mbar〜10−1mbarで脱バインダーを行うことが好ましい。この場合、減圧下でアルゴン等の不活性ガスを少量炉内に導入しながら加熱処理することが好ましい。
脱バインダーは、例えば、脱ワックス機能を有する真空焼結炉(例えば、島津メクテム株式会社の横型真空焼結炉 VHSG30/30/60)を用いた処理が好ましい。脱ワックス機能を有する真空焼結炉では、炉内を1mbar〜10−1mbarの圧力下で、Arガスを炉内に導入することで、蒸発した有機物成分をArガスの流れに沿ってコンデンサーに導くことが可能になる。脱ワックス機能を有する真空焼結炉の使用は、チタン乾燥成形体を酸化させることなく、かつ、炉内の汚染なしに脱バインダー処理を行えるだけでなく、脱バインダーとその後の焼結処理を同一炉で行えるという利点がある。
焼結工程では、脱バインダー後の乾燥成形体を700℃〜1100℃にて焼結する。焼結工程は、乾燥成形体が焼結される(本焼成工程)前に、水素化チタンから脱水素反応により未焼結の乾燥成形体から水素ガスが除去されることが好ましい(脱水素工程)。脱水素工程は、金属チタン粉末及び水素化チタン粉末の混合物中の水素化チタン粉末の割合が、質量比で10%以下のときは省略してもよい。
脱水素工程では、バインダー除去工程後の乾燥成形体から脱離(分離)される水素の発生が完全になくなるまで、400℃〜600℃の温度で処理を行うことが好ましい。脱水素に要する時間は、この場合、真空ポンプの到達圧力、排気量、水素化チタンの体積等の条件に応じて適宜選択されるが、例えば0.5時間〜96時間程度である。このとき、発生する水素を効率的に排気するために、アルゴン等の不活性ガス気流下で処理しても良く、また10−1mbar以下の圧力下で処理してもよい。後者の場合、圧力は、より好ましくは、10−3mbar以下である。
本焼成工程では、その焼結温度、昇温速度により、多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さによって適宜調整する。焼結温度は、700℃〜1100℃の範囲で選択し、0.1時間〜6時間保持する。また、昇温速度は、材料の収縮が昇温に追いつかずに、部分的な不均一収縮が発生し、材料のクラックにつながらないように設定する。例えば、昇温速度は5℃/min以下が好ましい。なお、2℃/min以下では昇温に時間がかかりすぎ経済的ではない。
これらの一連の工程は、同一の設備で一つのプロセスとして連続して行ってもよい。
本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法により、靱性が高く、可撓性の高い色素増感太陽電池用集電体材料を得ることができる。これは、焼結性の高い水素化金属の微細粉を原料として用いていること、脱水素工程と本焼成工程を一連の工程で行なうため、例えば、脱水素工程で水素化チタン粉から活性の高い表面を有する純チタンができ、これが大気に曝されて表面が酸化されることなく、そのまま本焼成工程により焼結するためと考えられる。
金属原料の種類と本焼成工程の焼結温度を適切に選ぶことによって、望む空隙率の色素増感太陽電池用集電体材料を1回の焼結で得ることができる。なお、バインダー成分の量を増減させることや発泡剤の添加量を増減させることで、色素増感太陽電池用集電体材料の空隙率を制御できる。
本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法により、空隙率1%〜80%、厚さ60μm以下の靱性及び可撓性が高くかつ高強度な色素増感太陽電池用集電体材料を得ることができる。
なお、色素増感太陽電池用集電体材料の空隙率は、色素増感太陽電池用集電体材料の厚さと、面積から計算した体積(A)と、質量(W)と、真密度(ρ)より下式により算出する。なお、厚さは、マイクロメータを用い測定する。
空隙率(%)=(1−W/Aρ)×100=(A−W/ρ)/A×100
本焼成工程は、実質的に密閉状態の容器内で行い、焼結前成形体の近傍に炭化物および酸化物の標準生成自由エネルギー値が、焼結温度範囲で、焼結する金属粉末より大きい値を持つ金属(以下、ゲッター材という。)を配置して行うことが好ましい。
実質的に密閉状態の容器は、例えば開口が扉で閉止された真空焼成炉等である。
ゲッター材を配置した容器中で焼結することで、容器外の酸素の混入を防ぐとともに、容器内の酸素はゲッター材が優先的に反応・消費するので、焼結体の酸化が抑えられるため、より好ましい。ゲッター材の材質は、焼結する金属の種類によって異なるが、例えば金属粉末がチタンの場合は、ゲッター材はTi、ZrまたはHfが好ましい。
以上説明した本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法によれば、本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体の材料、言い換えれば、多孔質焼結金属薄膜を好適に得ることができる。
次に、本実施の形態例に係る色素増感太陽電池10について、図1を参照して説明する。
図1に模式的に示す本実施の形態例に係る色素増感太陽電池10は、透明基板12と、カソード極となる導電性基板14と、透明基板12と導電性基板14の間に、透明基板12に近接してまたは接触して配置され色素を吸着した多孔質半導体層16と、多孔質半導体層16の透明基板12とは反対側に接触して配置されアノード極となる色素増感太陽電池用集電体18を備え、電解質20が封止されてなる。色素増感太陽電池用集電体18は、本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体、または、本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法により得られる材料を用いた色素増感太陽電池用集電体である。なお、図1中参照符号22は封止材を示す。
色素増感太陽電池用集電体18以外の色素増感太陽電池10の構成要素については、通常採用される適宜の材料を用い、適宜の方法で作製することができる。
透明基板12は、例えば、ガラス板であってもよくあるいはプラスチック板であってもよいが、プラスチック板を用いた場合、色素増感太陽電池に柔軟性を付与できるため、好ましい。プラスチック板を用いる場合、例えば、PET、PEN、ポリイミド、硬化アクリル樹脂、硬化エポキシ樹脂、硬化シリコーン樹脂、各種エンジニアリングプラスチックス、メタセシス重合で得られる環状ポリマ等が挙げられる。また、透明基板12上に、ITO(スズをドープした酸化インジウム膜)、FTO(フッ素をド一プした酸化スズ膜)、SnO膜等の透明導電膜や、Ti、W、Mo、Rh、Pt、Ta等の金属細線を設けても良い。
導電性基板14は、透明基板12と同様の基板を用い、基板の電解質20に向けた面の一部に、例えば、ITO、FTO、SnO膜、Ti、W、Mo、Rh、Pt、Ta等の金属膜等の導電膜を積層し、さらに導電膜の上に白金、導電性高分子(ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等)、炭素材料(グラファイト、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ等)等の触媒膜を設ける。また、透明基板を省略し、金属箔に上記の触媒膜を設けても良い。金属箔は、Fe、SUS、Ti、Cu等が挙げられるが、好ましくは、Tiである。
多孔質半導体層16は、材料として、ZnOやSnO等適宜のものを用いることができるが、TiOが好ましい。TiO等の微粒子形状は特に限定するものではないが、1nm〜100nm程度が好ましい。
多孔質半導体層16は、TiOのペーストの薄膜を形成した後に、例えば300℃〜550℃の温度で焼成する操作を繰り返して所望の厚膜にすると好ましい。
多孔質半導体層16を構成する微粒子の表面に、色素を吸着する。色素は、400nm〜1000nmの波長領域の少なくとも一部に吸収を持つものであり、例えば、ルテニウム色素、フタロシアニン色素などの金属錯体、シアニン色素などの有機色素を挙げることができる。吸着の方法は特に限定されず、例えば、色素溶液に多孔質半導体層16を形成した色素増感太陽電池用集電体18を浸し微粒子表面に色素を化学吸着させるいわゆる含浸法を用いることができる。
透明基板12と多孔質半導体層16は接触していても、接触していなくてもどちらでもよいが、両者の間隔はなるべく短いほうがよい。色素増感太陽電池用18と導電性基板(対極) 14を接触しないように配置するため、例えば電解質20に対して耐腐食性を有し、かつ、電解質イオンの拡散を妨げないように十分な空孔を有するガラスペーパーなどのスペーサで絶縁する方法もある。色素増感太陽電池用集電体18と導電性基板14の間隔は100μm以 下であることが好ましい。
電解質20は、特に限定されないが、例えば、ヨウ素、リチウムイオン、イオン液体、t−ブチルピリジン等を含むものであり、ヨウ素の場合、ヨウ化物イオンおよびヨウ素の組み合わせからのなる酸化還元体を用いることができる。また、コバルト等の金属錯体を酸化還元対として用いてもよい。また、この酸化還元体を溶解可能な溶媒を含むものであり、例えば、アセトニトリル、γブチロラクトン、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、イオン性液体等が挙げられる。
電解質20の注入方法は特に限定されず、例えば封止材22の一部をシールせずに開口部にしておき、その開口部から電解質20を注入し、開口部をシールすることもできる。また、導電性基板14の一部に予め開口部を設けておき、そこから電解質20を注入した後に開口部をシールすることもできる。
透明基板12と導電性基板14との間に電解質20を注入して封止する封止材22は、硬化後の厚みが100μm以下の熱可塑性樹脂シートや、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。
以上説明した本実施の形態例に係る色素増感太陽電池10は、色素増感太陽電池用集電体18が電解質20の通液性に優れて高い発電効率を得ることができる。
なお、上記の本実施の形態例に係る色素増感太陽電池以外の色素増感太陽電池、例えば、透明基板に透明導電膜を設けたものに本実施の形態例に係る色素増感太陽電池の集電体を設けたものや、多孔質半導体層の透明基板とは反対側に接触して配置されるものとは別の部位に1または2以上の集電体が配置されるもの等、色素増感太陽電池全般について本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体を適宜用いることができることは言うまでもない。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
まず、実施例で用いられる各種特性の測定方法をまとめて説明する。
(最大粒径、平均粒径の測定方法)
最大粒径、平均粒径(体積積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製LA−300)を用い、フローセルに測定試料を投入して測定した。
(厚さの測定方法)
マイクロメータで、得られた多孔質チタン薄膜(長方形)を3方向に等間隔で3箇所、合計9箇所の厚さを測定し、その平均値を求めた。3方向とは、多孔質チタン薄膜の中央部、上辺部、下辺部である。
(空隙率の測定方法)
前記厚さと多孔質チタン薄膜(長方形)の大きさから計算した体積(A)と、測定試料の質量(W)と、チタンの真密度(4.506g/cm)から下式により算出した。
空隙率(%)=(A−W/4.506)/A×100
測定試料の大きさは、ノギスで測定し求めた。
(多孔質チタン薄膜の評価)
<マンドレル試験評価>
得られた多孔質チタン薄膜を、マンドレル試験(円筒形マンドレル法)により評価した。試験はJIS K5600−5−1に従って行った。マンドレルの直径を変え、クラックの発生しないマンドレルの最小直径を求めた。クラック等の発生の有無は目視により確認した。
<酸素含有量、炭素含有量の分析>
水素化チタン粉末、チタン粉末、チタン多孔体の酸素含有量、炭素含有量、それぞれ不活性ガス溶融―赤外線吸収法、燃焼―赤外線吸収法で測定した。
(実施例1)
最大粒径が8μm、平均粒径が5μm、酸素含有量0.22%、炭素含有量0.004%のTiH粉に、ポリビニルブチラール、イソプロピルアルコールを混合し、粘度が1200mPa・Sになるよう調整し、ペースト状組成物を作製した。ペースト状組成物はTiHの濃度が60wt%となるよう配合した。このペースト状組成物を、スロットダイヘッド式コーティングマシーンでPETシートにコーティングし、成形体を作製した。このとき、ペーストの吐出量とPETの走行速度を調整して、成形体厚みが30μmになるように調整した。また、成形体は150℃で乾燥処理を行い、成形体に含まれるイソプロピルアルコールは完全に除去し、乾燥成形体を得た。
乾燥成形体を、300mm×300mmに切断し、乾燥成形体をPETシートから剥離した。乾燥成形体の一端をつまみ、乾燥成形体と基材のすき間にナイフを差し込むことで、乾燥成形体をPETから剥離させた。PETシートから剥した乾燥成形体を、BN板の上にセットし、大気炉にセットした。3℃/minの昇温速度で300℃まで昇温し、300℃で2時間保持した(脱バインダー工程)。この後、チタン成形体を大気炉から取り出し、真空焼結炉にセットした。炉内を真空排気し、1×10−4mbar以下の高真空で400℃まで昇温した。更に、真空排気システムを油拡散ポンプシステムに切換えて1×10−4mbarの真空度を維持しながら3℃/minの昇温速度で焼成温度800℃まで加熱し、1時間保持した。800℃での保持終了後、炉を冷却し、十分冷却してから、材料を取り出した(本焼成工程)。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さを測定した。酸素含有量は粉末より0.02%増加していたが、炭素含有量は粉末と変わりなかった。マンドレル試験を行った結果、芯棒直径2mmまではクラックの発生が見られなかった。得られた多孔質チタン(A−1)の空隙率、厚さ、マンドレル試験結果、酸素含有量、炭素含有量を表1に示す。
作製した多孔質チタン(A−1)を10mm×25mmのサイズにカットした。カットした多孔質チタンの5mm×20mmの範囲にチタニアペースト(商品名NanoxideD、ソーラロニクス社製)を印刷し、乾燥後、425℃で30分、空気中で焼成した。焼成後のチタニア上に、さらにチタニアベーストを印刷、焼成する操作を合計3回繰り返し、チタニア層付き多孔質チタン基板を得た。
N719色素(ソーラロニクス社製)のアセトニトリルとt‐ブチルアルコールの混合溶媒溶液に、作製したチタニア層付き多孔質Tiシート基板を64時間含浸させ、チタニア表面に色素を吸着した。吸着後の基板をアセトニトリルとt‐ブチルアルコールの混合溶媒で洗浄して、色素吸着チタニア層付き多孔質チタン基板を得た。
20mm×25mm、厚み20μmのチタン箔を、上記色素吸着チタニア層付き多孔質Tiシート基板のチタニアペースト未製膜面の端部2mmに積層し、取り出し電極付きアノード極を得た。
10mm×25mm、厚み50μmのチタン箔の片面に、白金を400nm蒸着させ、Pt触媒層付きTi基板とした。さらに、上記Pt触媒層付きTi基板のPtのない面の端部2mmに20mm×25mm、厚み20μmのチタン箔を積層し、取り出し電極付きカソード極を得た。
30mm×40mm、厚み60μmの樹脂シート(SOLARONIX社製、商品名MELTONIX1170−60)を貼合せた30mm×40mm、厚み125μmのPENフィルムの、上記樹脂シート面と、上記取り出し電極付きカソード極のチタン箔面が向き合うように積層した。さらに、上記取り出し電極付き対極のPt触媒層面に、12mm×27mm、厚み50μm、空隙率85%以上のガラスペーパーを積層した。さらに、上記取り出し電極付きアノード極のチタニアペースト未製膜面と、ガラスペーパーに向かい合うように積層した。さらに、30mm×40mm、厚み60μmの上記樹脂シートを貼合せた厚み30mm×40mm、125μmのPENフィルムの、上記樹脂シート面と、上記取り出し電極付きアノード極の色素吸着チタニア層面が向かい合うように積層した。また、カソード電極側のPENフィルムにφ3mmの電解液挿入穴を設けた。これらを温度130℃でロールプレスした。
さらに、上記電解液挿入穴から、ヨウ素、LiIを含むγ-ブチロラクトン溶媒の電解液を減圧注入した後、電解液挿入穴をUV硬化樹脂で封止し、色素増感太陽電池(C−1)を得た。
得られた色素増感太陽電池の光電変換性能を、100mW/cmの強度の擬似太陽光をアノード極側から照射したときのIV曲線を測定して調べた。得られた結果を表2に示す。
(実施例2)
スラリー状組成物を用いて、実施例1と同じ設備でPETシートにコーティングする際、ペーストの吐出量とPETの走行速度を調整して、乾燥成形体厚みが60μmになるように調整した以外は、実施例1と同じ手順で、剥離、大気炉での脱バインダー工程、真空焼結炉での本焼成工程を行った。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜(A−2)の空隙率、厚さ、マンドレル試験結果、酸素含有量、炭素含有量を表1に示す。
実施例1と同様にして色素増感太陽電池(C−2)を得た。結果を表2に示す。
(実施例3)
真空焼結炉での本焼成工程の際、焼成温度を、700℃とした以外は、実施例1を同じ手順で、剥離、大気炉での脱バインダーをおこなった。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜(A−3)の空隙率、厚さ、マンドレル試験結果、酸素含有量、炭素含有量を表1に示す。
実施例1と同様にして色素増感太陽電池(C−3)を得た。結果を表2に示す。
(実施例4)
TiH濃度が50wt%となるよう配合したペースト状組成物を用いた以外は、実施例2と同様の手順で、ペースト塗工、剥離、脱バインダー工程、本焼成工程を行い多孔質チタン薄膜(A−4)を得た。得られた多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、マンドレル試験結果、酸素含有量、炭素含有量を表1に示す。
実施例1と同様にして色素増感太陽電池(C−4)を得た。結果を表2に示す。
Figure 2014239023
Figure 2014239023
(比較例1)
脱バインダー工程を実施せず、本焼成工程を900℃で実施した以外は、実施例2と同様にして多孔質チタン薄膜(B−1)を得た。得られた多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、マンドレル試験結果、酸素含有量、炭素含有量を表3に示す。
実施例1と同様にして色素増感太陽電池(D−1)を得た。結果を表4に示す。
(比較例2)
TiH濃度が50wt%となるよう配合したペースト状組成物を用いた以外は、比較例1と同様の手順で、ペースト塗工、剥離、脱バインダー工程、本焼成工程を行い多孔質チタン薄膜(B−2)を得た。得られた多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、マンドレル試験結果、酸素含有量、炭素含有量を表3に示す。
実施例1と同様にして色素増感太陽電池(D−2)を得た。結果を表4に示す。
Figure 2014239023
Figure 2014239023
10 色素増感太陽電池
12 透明基板
14 導電性基板
16 多孔質半導体層
18 色素増感太陽電池用集電体
20 電解質
22 封止材

Claims (12)

  1. 厚みが5μm〜60μmおよび空隙率が1%〜80%であり、等方的に連通した多数の貫通孔を有し、かつ、円筒マンドレル試験でマンドレルの直径を徐々に小さいものに代えて折り曲げたときに、直径6mmまでは折り曲げ部の外側表面にクラックが入らない多孔質焼結金属薄膜からなる色素増感太陽電池用集電体。
  2. 前記多孔質焼結金属薄膜の金属種がTi、W、Mo、Rh、PtおよびTaから選ばれるいずれか1種またはこれらを1種または2種以上含む合金であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感太陽電池用集電体。
  3. 以下の(a)、(b)、(c)および(d)の工程を含むことを特徴とする色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
    (a)基材上に、水素化金属粉末または脱水素金属粉末を含む金属原料、バインダー成分および溶剤成分を含むペースト状組成物を塗工して成膜した後、乾燥して溶剤成分を揮発させて乾燥成形体を得る成形体製造工程
    (b)乾燥成形体を基材から剥離する剥離工程
    (c)剥離した乾燥成形体を加熱し、バインダー成分を除去する脱バインダー工程
    (d)脱バインダー後の乾燥成形体を700℃〜1100℃にて焼結する焼結工程
  4. 前記金属原料が水素化チタン粉末、脱水素チタン粉末または金属チタン粉末および水素化チタン粉末の混合物であり、金属原料中の水素化チタン粉末の量が0.1質量%〜100質量%であることを特徴とする請求項3に記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
  5. 前記基材が、PETであることを特徴とする請求項3に記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
  6. 前記脱バインダー工程において、加熱温度が150℃〜450℃であることを特徴とする請求項3に記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
  7. 前記脱バインダー工程において、加熱雰囲気が酸化性雰囲気であることを特徴とする請求項3に記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
  8. 前記焼結工程において、乾燥成形体を金属原料と反応しない材質のセッターの上に載置することを特徴とする請求項3に記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
  9. 前記焼結工程において、大気圧よりも低い圧力条件下で水素化チタンから水素が乖離する温度に加熱し、水素化チタンに含まれる水素を分離する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
  10. 水素化チタンに含まれる水素を分離する工程の加熱温度が400℃〜600℃であることを特徴とする請求項9に記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
  11. 透明基板と、カソード極となる導電性基板と、該透明基板と該導電性基板の間に、該透明基板に近接してまたは接触して配置され色素を吸着した多孔質半導体層と、該多孔質半導体層の該透明基板とは反対側に接触して配置されアノード極となる請求項1または2のいずれか1項に記載の色素増感太陽電池用集電体を備え、電解質が封止されてなる色素増感太陽電池。
  12. 透明基板と、カソード極となる導電性基板と、該透明基板と該導電性基板の間に、該透明基板に近接してまたは接触して配置され色素を吸着した多孔質半導体層と、該多孔質半導体層の該透明基板とは反対側に接触して配置されアノード極となる請求項3〜10のいずれか1項に記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法により得られる集電体材料を用いた集電体を備え、電解質が封止されてなる色素増感太陽電池。

JP2013185440A 2012-09-07 2013-09-06 色素増感太陽電池用集電体およびその材料の製造方法ならびに色素増感太陽電池 Pending JP2014239023A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013185440A JP2014239023A (ja) 2012-09-07 2013-09-06 色素増感太陽電池用集電体およびその材料の製造方法ならびに色素増感太陽電池

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012196694 2012-09-07
JP2012196694 2012-09-07
JP2013098886 2013-05-08
JP2013098886 2013-05-08
JP2013185440A JP2014239023A (ja) 2012-09-07 2013-09-06 色素増感太陽電池用集電体およびその材料の製造方法ならびに色素増感太陽電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014239023A true JP2014239023A (ja) 2014-12-18

Family

ID=52136010

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013185440A Pending JP2014239023A (ja) 2012-09-07 2013-09-06 色素増感太陽電池用集電体およびその材料の製造方法ならびに色素増感太陽電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014239023A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014065968A (ja) * 2012-09-07 2014-04-17 Toho Titanium Co Ltd 多孔質チタン薄膜およびその製造方法
JP2017537225A (ja) * 2014-10-31 2017-12-14 成都易態科技有限公司 フレキシブル多孔質金属箔およびその製造方法
CN110899703A (zh) * 2019-11-20 2020-03-24 南京工业大学 一种高空隙率金属膜的制备方法
WO2022075038A1 (ja) 2020-10-05 2022-04-14 東邦チタニウム株式会社 多孔質金属体の製造方法及び、多孔質金属体
JP7300022B1 (ja) 2022-01-31 2023-06-28 東邦チタニウム株式会社 チタン多孔質体及び、チタン多孔質体の製造方法
JP7300023B1 (ja) 2022-01-31 2023-06-28 東邦チタニウム株式会社 チタン多孔質体及び、チタン多孔質体の製造方法
WO2023127361A1 (ja) 2021-12-27 2023-07-06 東邦チタニウム株式会社 チタン多孔質体及び、チタン多孔質体の製造方法
EP4292731A1 (en) * 2022-06-17 2023-12-20 Element 22 GmbH Method for producing layered sheet structures from titanium or titanium alloys for use in electrodes of pem-type electrolyzers and/or fuel cells

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014065968A (ja) * 2012-09-07 2014-04-17 Toho Titanium Co Ltd 多孔質チタン薄膜およびその製造方法
JP2017537225A (ja) * 2014-10-31 2017-12-14 成都易態科技有限公司 フレキシブル多孔質金属箔およびその製造方法
CN110899703A (zh) * 2019-11-20 2020-03-24 南京工业大学 一种高空隙率金属膜的制备方法
CN110899703B (zh) * 2019-11-20 2022-07-05 南京工业大学 一种高空隙率金属膜的制备方法
WO2022075038A1 (ja) 2020-10-05 2022-04-14 東邦チタニウム株式会社 多孔質金属体の製造方法及び、多孔質金属体
WO2023127361A1 (ja) 2021-12-27 2023-07-06 東邦チタニウム株式会社 チタン多孔質体及び、チタン多孔質体の製造方法
KR20240063946A (ko) 2021-12-27 2024-05-10 도호 티타늄 가부시키가이샤 티탄 다공질체, 및 티탄 다공질체의 제조 방법
JP7300023B1 (ja) 2022-01-31 2023-06-28 東邦チタニウム株式会社 チタン多孔質体及び、チタン多孔質体の製造方法
WO2023145375A1 (ja) * 2022-01-31 2023-08-03 東邦チタニウム株式会社 チタン多孔質体及び、チタン多孔質体の製造方法
WO2023145374A1 (ja) * 2022-01-31 2023-08-03 東邦チタニウム株式会社 チタン多孔質体及び、チタン多孔質体の製造方法
JP2023111138A (ja) * 2022-01-31 2023-08-10 東邦チタニウム株式会社 チタン多孔質体及び、チタン多孔質体の製造方法
JP2023111139A (ja) * 2022-01-31 2023-08-10 東邦チタニウム株式会社 チタン多孔質体及び、チタン多孔質体の製造方法
JP7300022B1 (ja) 2022-01-31 2023-06-28 東邦チタニウム株式会社 チタン多孔質体及び、チタン多孔質体の製造方法
EP4292731A1 (en) * 2022-06-17 2023-12-20 Element 22 GmbH Method for producing layered sheet structures from titanium or titanium alloys for use in electrodes of pem-type electrolyzers and/or fuel cells
WO2023242430A1 (en) * 2022-06-17 2023-12-21 Element 22 GmbH Method for producing layered sheet structures from titanium or titanium alloys for use in electrodes of pem-type electrolyzers and/or fuel cells

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2014239023A (ja) 色素増感太陽電池用集電体およびその材料の製造方法ならびに色素増感太陽電池
Chen et al. Ultrafast synthesis of carbon-nanotube counter electrodes for dye-sensitized solar cells using an atmospheric-pressure plasma jet
Kim et al. Laser processing of nanocrystalline TiO2 films for dye-sensitized solar cells
Joshi et al. Nickel incorporated carbon nanotube/nanofiber composites as counter electrodes for dye-sensitized solar cells
TWI506800B (zh) Pigment sensitized solar cell and its manufacturing method
EP2625703B1 (en) Method for manufacture of an improved dye- sensitized solar cell
Gong et al. Activated graphene nanoplatelets as a counter electrode for dye-sensitized solar cells
JP5797555B2 (ja) 色素増感太陽電池
JP5458271B2 (ja) 色素増感太陽電池およびその製造方法
JP5252488B2 (ja) 半導体電極およびこれを用いた色素増感型光電気化学セル
CN108447695B (zh) 一种可折叠的纸基微型超级电容器的制备方法
WO2004109840A1 (ja) 電極およびその形成方法ならびに光電変換素子およびその製造方法ならびに電子装置およびその製造方法
Dileep et al. Room-temperature curable carbon cathode for hole-conductor free perovskite solar cells
JP5805568B2 (ja) 色素増感太陽電池用集電体およびその材料の製造方法ならびに色素増感太陽電池
Cai et al. Low-Pt-loading acetylene-black cathode for high-efficient dye-sensitized solar cells
US8992635B2 (en) Distortion-free screen-printed anodes on Ta/Nb sheet
Kohlrausch et al. Advances in Carbon Materials Applied to Carbon‐Based Perovskite Solar Cells
Ito et al. Porous carbon layers for counter electrodes in dye-sensitized solar cells: Recent advances and a new screen-printing method
Parvazian et al. Photovoltaic characterization and electrochemical impedance spectroscopy analysis of dye-sensitized solar cells based on composite TiO 2–MWCNT photoelectrodes
WO2013128797A1 (ja) 多孔質金属シートからなる色素増感太陽電池用集電体の製造方法および多孔質金属シートからなる色素増感太陽電池用集電体ならびに色素増感太陽電池
Kim et al. Low-temperature-fabricated ZnO, AZO, and SnO 2 nanoparticle-based dye-sensitized solar cells
Yilmaz et al. Dye-sensitized solar cells using carbon nanotube-based counter electrodes in planar and micro-array patterned configurations
JP2015069824A (ja) 積層体、色素増感太陽電池用アノード電極および色素増感太陽電池ならびに積層体の製造方法
Wang et al. A simple method to synthesize low-cost carbon modified TiO2 counter electrodes for high-efficiency dye-sensitized solar cells
WO2011145229A1 (ja) 光電極の製造方法、色素増感型太陽電池の製造方法、光電極及び色素増感型太陽電池