以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略している。
実施の形態に係るディスク駆動装置は、記録ディスクを搭載するハードディスクドライブに用いられる。
実施の形態に係るディスク駆動装置は、ベース部材に設けた軸受孔に軸受ユニットを挿入して固定する。この軸受孔の内周面と軸受ユニットの外周面の接触部の少なくとも一方には、軸受孔と軸受ユニットとの間に介在させた硬化性樹脂を溜める微小凹形状の樹脂溜まり部が接触部の周方向に複数並べて形成されている。これにより、接触部の僅かな隙間に介在させる硬化性樹脂が接触部表面の濡れ性によって弾かれることを抑制し、硬化性樹脂が不在となる部分を低減し、エアリーク路の形成を抑制する。
図1(a)〜(b)は、実施の形態に係るディスク駆動装置100を示す上面図および側面図である。図1(a)は、実施の形態に係るディスク駆動装置100の上面図である。ディスク駆動装置100は、ベース部材4と、ロータ6と、記録ディスク8と、データリード/ライト部10と、トップカバー2と、を備える。図1(a)では、ディスク駆動装置100の内側の構成を示すため、トップカバー2を外した状態が示される。
以降ベース部材4に対してロータ6が搭載される側(図1(a)の紙面上側)を上側として説明する。
記録ディスク8はロータ6に載置され、ロータ6の回転に伴って回転する。ロータ6は、図1(a)では図示しない軸受ユニット12を介してベース部材4に対して回転可能に取り付けられる。ベース部材4は例えばアルミニウムの合金をダイカストにより成型して形成される。ベース部材4は、ディスク駆動装置100の底部を形成する底板部4aと、記録ディスク8の載置領域を囲むように底板部4aの外周に沿って形成された外周壁部4bと、を有する。外周壁部4bの上面4cには、6つのねじ穴22が設けられる。
データリード/ライト部10は、記録再生ヘッド(不図示)と、スイングアーム14と、ボイスコイルモータ16と、ピボットアセンブリ18と、を含む。記録再生ヘッドは、スイングアーム14の先端部に取り付けられ、記録ディスク8にデータを記録し、記録ディスク8からデータを読み取る。ピボットアセンブリ18は、スイングアーム14をベース部材4に対してヘッド回転軸Sの周りに揺動自在に支持する。ボイスコイルモータ16は、スイングアーム14をヘッド回転軸Sの周りに揺動させ、記録再生ヘッドを記録ディスク8の上面から僅かに上方の所望の位置に移動させる。ボイスコイルモータ16およびピボットアセンブリ18は、ヘッドの位置を制御する公知の技術を用いて構成される。
図1(b)は、実施の形態に係るディスク駆動装置100の側面図である。トップカバー2は、6つのねじ20を用いてベース部材4の外周壁部4bの上面4cに固定される。6つのねじ20は、6つのねじ穴22にそれぞれ対応する。特にトップカバー2と外周壁部4bの上面4cとは、それらの接合部分からディスク駆動装置100の内側へリークが生じないように互いに固定される。ここでディスク駆動装置100の内側とは具体的には、ベース部材4の底板部4aと、ベース部材4の外周壁部4bと、トップカバー2と、で囲まれる清浄空間24である。この清浄空間24は密閉されるように、つまり外部からのリークインもしくは外部へのリークアウトが無いように設計される。清浄空間24は、パーティクルが除去された清浄な空気で満たされる。これにより、記録ディスク8へのパーティクルなどの異物の付着が抑えられ、ディスク駆動装置100の動作の信頼性が高められている。
図2は、図1のA−A線断面図である。ディスク駆動装置100は、積層コア40と、コイル42と、をさらに備える。積層コア40は円環部とそこから半径方向外側に伸びる9本の突極とを有し、ベース部材4の上面4d側に固定される。積層コア40は、例えば4枚の薄型電磁鋼板を積層しカシメにより一体化して形成される。積層コア40の表面には電着塗装や粉体塗装などによる絶縁塗装が施される。それぞれの突極にはコイル42が巻回される。このコイル42に3相の略正弦波状の駆動電流が流れることにより突極に沿って駆動磁束が発生する。ベース部材4の上面4dには、ロータ6の回転軸Rを中心とする円環状の環状壁部4eが設けられる。環状壁部4eの内周面4fは、ベース部材4に設けられた後述する軸受孔4hの側面の一部を形成する。積層コア40はその円環部の中心孔40aを通して、環状壁部4eの外周面4gに圧入されもしくは隙間ばめによって接着固定される。ここでの嵌め合わされ方としては、積層コア40は、軸受孔4hの側面のうち軸受ユニット12の円筒面であるハウジング44の外周面44aと接する部分を環囲する位置に固定される。積層コア40をベース部材4に取り付けてから軸受ユニット12をベース部材4に取り付けるという工程を経ることにより、軸受ユニット12の取り付けの際にはベース部材4の環状壁部4eが積層コア40によって径方向に固定されている。その結果、軸受ユニット12を軸受孔4hに挿入することに伴う環状壁部4eの変形を抑えることができる。また、挿入後の軸受ユニット12の直角度が改善される。特に、ベース部材4は金属としては比較的軟らかいアルミニウムから形成される場合が多いが、本実施の形態はそのような場合でも環状壁部4eの変形を抑えることができる。
ベース部材4には、ロータ6の回転軸Rを中心とする軸受孔4hが設けられる。軸受ユニット12は、ハウジング44と、スリーブ46と、を含み、ロータ6をベース部材4に対して回転自在に支持する。ハウジング44は、図4(a)〜(d)において後述する方法でベース部材4の軸受孔4hに固定される。ハウジング44は、円筒部と底部とが一体に形成された有底カップ形状を有し、その底部を下にしてベース部材4に対して固定される。スリーブ46は、ハウジング44の内側の側面に接着により固定される円筒状の部材である。スリーブ46の上端には径方向外側に向けて張り出した張出部46aが形成されている。この張出部46aは、フランジ30と協働してロータ6の軸方向の移動を制限する。
ハウジング44を有底カップ形状とすることにより、円筒部と底部とを別々に形成して結合する場合と比べて高い強度と薄さを実現できる。また、組立にかかる手間を軽減できる。
スリーブ46にはシャフト26が収まる。シャフト26およびハブ28およびフランジ30と軸受ユニット12との間の空間には潤滑油48が注入される。
スリーブ46の内周面には、上下に離間した1組のヘリングボーン形状のラジアル動圧溝50が形成される。ハウジング44の上面に対向するフランジ30の下面には、ヘリングボーン形状の第1スラスト動圧溝(不図示)が形成される。張出部46aの下面に対向するフランジ30の上面には、ヘリングボーン形状の第2スラスト動圧溝(不図示)が形成される。ロータ6の回転時には、これらの動圧溝が潤滑油48と協働して生成する動圧によって、ロータ6はラジアル方向およびスラスト方向に支持される。
なお、1組のヘリングボーン形状のラジアル動圧溝をシャフト26に形成してもよい。また、第1スラスト動圧溝をハウジング44の上面に形成してもよく、第2スラスト動圧溝を張出部46aの下面に形成してもよい。
ロータ6は、シャフト26と、ハブ28と、フランジ30と、円筒状マグネット32と、を含む。ハブ28のディスク載置面28a上に記録ディスク8が載置される。ハブ28の上面28bには3つのディスク固定用ねじ穴34がロータ6の回転軸Rの周りに120度間隔で設けられている。クランパ36は、3つのディスク固定用ねじ穴34に螺合される3つのディスク固定用ねじ38によってハブ28の上面28bに圧着されると共に記録ディスク8をハブ28のディスク載置面28aに圧着させる。
ハブ28は、軟磁性を有する例えばSUS430F等の鉄鋼材料から形成される。ハブ28は、鉄鋼板を例えばプレス加工や切削加工することにより形成され、略カップ状の所定の形状に形成される。ハブ28の鉄鋼材料としては、例えば、大同特殊鋼株式会社が供給する商品名DHS1のステンレスは、アウトガスが少なく加工容易である点で好ましい。また、同様に同社が供給する商品名DHS2のステンレスはさらに耐食性が良好な点でより好ましい。
シャフト26は、ハブ28の中心に設けられた孔28cであってロータ6の回転軸Rと同軸に設けられた孔28cに圧入と接着とを併用した状態で固着される。フランジ30は円環形状を有し、フランジ30の断面は、逆L字形状を有する。フランジ30は、ハブ28の下垂部28dの内周面28eに接着により固定される。
円筒状マグネット32は、略カップ形状のハブ28の内側の円筒面に相当する円筒状内周面28fに接着固定される。円筒状マグネット32は、ネオジウム、鉄、ホウ素などの希土類材料によって形成され、積層コア40の9本の突極と径方向に対向する。円筒状マグネット32にはその周方向に12極の駆動用着磁が施される。円筒状マグネット32の表面には電着塗装やスプレー塗装などによる防錆処理が施される。
次に、清浄空間24へのパーティクルの侵入を低減するためのベース部材4と軸受ユニット12との結合部分の構成について説明する。つまり、ベース部材4と軸受ユニット12との接触部の気密性が確保できるように構成する。
軸受ユニット12の円筒部は、各種の材料によって形成される。例えば、カーボンファイバー等の導電性の微細粒子を含んだ樹脂で形成する場合、シャフト26を介して記録ディスク8側に発生した静電気を容易にベース部材4側に放電できる放電構造を形成できる。この場合、記録ディスク8や記録再生ヘッドに対する静電気の悪影響を軽減できるとともに金属材料で形成する場合に比べて軽量化ができる点で好ましい。なお、上述のように樹脂化する部分は、軸受ユニット12の円筒部全体でもよいし、一部分、例えば軸受ユニット12を構成するハウジング44の外周面のみでもよい。一部分でも樹脂化することにより前述の軽量化が図れるとともに、金属部分を残すことにより剛性や形状維持性能を容易に保証できる。
このように構成される軸受ユニット12をベース部材4の内周面4fに挿入し固定する場合、その接触部でディスク駆動装置100の内外が連通状態となるエアリーク路が形成されることを防止するように完全にシールする必要がある。この場合、硬化性樹脂等で構成されるシール剤を接触部に塗布することができる。なお、このシール剤はベース部材4と軸受ユニット12とを固定する接着剤で兼用してもよいし、ベース部材4と軸受ユニット12とを固定する接着剤とは別にシール剤を塗布するようにしてもよい。以下の説明では、シール剤は、ベース部材4と軸受ユニット12とを固定する接着剤を兼用する場合を一例として説明し、シール機能と接着機能を有するものを便宜上「シール剤」と表現する。
ところで、ベース部材4の軸受孔4hの内周面4fと軸受ユニット12の外周面との間にシール剤を塗布すると、接触部の表面の濡れ性の状態により面全体にシール剤がなじまずに部分的に微少な隙間を生じることがある。軸受ユニット12のハウジング44の外周面44aが樹脂で形成されている場合も同様である。この隙間は、ディスク駆動装置の内外を連通状態とするエアリーク路を形成する原因となり、ディスク駆動装置の気密性が十分に確保できない可能性がある。また、シール剤の塗布時に、その隙間がエアリーク路を形成しないまでも、ベース部材4の面のうちロータ6が設けられる第1面(ディスク駆動装置の内部側)と第1面とは反対側の第2面(ディスク駆動装置の外部側)と間に気圧差がある場合は、この気圧差によりシール剤が圧縮されて発生している隙間が拡大する場合がある。その結果、エアリーク路を形成してしまうこともある。
本実施の形態においては、シール剤を塗布したときに上述のような隙間が生じる可能性を低減させる構成として、ベース部材4の軸受孔4hの内周面4fと軸受ユニット12の外周面の少なくとも一方、つまり接触部の少なくとも一方に、シール剤を溜める微小凹形状の樹脂溜まり部を複数設けている。
図3は、シール剤を溜める微小凹形状の樹脂溜まり部の概略形状と配置例を模式的に説明する説明図である。図3は、軸受ユニット12の外周面、つまりハウジング44の外周面44aに樹脂溜まり部200を形成している状態を示している。樹脂溜まり部200の形状は、加工方法や加工条件によって様々に変化するがシール剤を溜めることができればよく、図3に示すようにいずれの形状であってもエアリーク路の形成抑制機能は実現できる。図3は、樹脂溜まり部200の形成を模式的に示すため種々に形状が混在する例を示しているが、加工方法や加工条件に応じてほぼ一定の形状にしたり、一定の配列方向とすることもできる。また、樹脂溜まり部200は、接触部である外周面44aの周方向(図3中矢印P−P方向)に複数並ぶように形成される。
このように、樹脂溜まり部200を接触部の周方向に複数並ぶように形成し樹脂溜まり部200の中にシール剤を溜め込むことにより、外周面44a上においてシール剤が存在する可能性を容易に向上できる。このとき、確実にシール剤が存在する位置Lに対して、それに隣接してシール剤が存在する位置Mや位置Nとの距離は、樹脂溜まり部200が存在しない場合に比べ短くなる。つまり、シール剤が濡れ性等の影響により弾けてしまう可能性を抑制できる。樹脂溜まり部200を外周面44aの周方向に対して全周に形成することによりシール剤の弾けを全周で抑制することができる。つまり、エアリーク路の形成を抑制できる。また、シール剤は凹んだ樹脂溜まり部200内部に保持される。その結果、ベース部材4の面のうちロータ6が設けられる第1面(ディスク駆動装置の内部側)と第1面とは反対側の第2面(ディスク駆動装置の外部側)と間に気圧差がある場合でもシール剤の圧縮に対する対抗力を発生する。つまり、シール剤が圧縮されることを回避できて接触部(固着部)の気密状態の実質的な維持に寄与できる。また、樹脂溜まり部200にシール剤が入り込むことにより、シール剤は外周面44aの表面のみならず、樹脂溜まり部200の内部側壁とも接触するので実質的な接触面積は増大する。その結果、気密性が向上するとともに接着性能も向上できる。このように、接触面の周方向に樹脂溜まり部200を複数形成することにより、エアリーク路の排除信頼性をハウジング44の外周面44a全体に対して保証することができる。
樹脂溜まり部200は、例えばエッチングなどの化学的な加工によって設けることができる。また機械的な加工によって設けることも可能であり、種々の方法を用いることができる。例えば、ハウジング44の外周面44aに大気圧プラズマ処理を施して形成してもよい。大気圧プラズマ処理は、アルゴンガスを主体としたガスを封入した大気圧雰囲気中で、被処理材料に高密度プラズマを高速で吹き付けることによって,表面に微小な複数の凹部を形成する処理である。大気圧プラズマ処理は、加工の手間が少なく、加工時にパーティクルを生じにくい点で好ましい。
樹脂溜まり部200を大気圧プラズマ処理で形成する場合、ハウジング44の回転軸に向かって拡形する形状にすることができる。樹脂溜まり部200を表面から奥に向かって拡径するように形成することでシール剤が樹脂溜まり部200の内部に入り込むことにより接触面積を容易に拡大可能であり上述したように気密性の向上や接着性能の向上をさらに期待できる。また、このように樹脂溜まり部200を表面から奥に向かって拡径するように形成することにより、樹脂溜まり部200の内部に侵入して硬化したシール剤が抜けにくくなりシール剤の保持力増加に寄与できる。その結果、軸受ユニット12と軸受孔4hの熱膨張やシール剤の経時変化による収縮に対しても対抗力を発揮し、シール剤の硬化後でも気密性の低下を軽減する効果が期待できる。なお、樹脂溜まり部200を上述のように大気圧プラズマ処理等で形成する場合、その配列は図3に示すようにランダムとなるが、各樹脂溜まり部200の形成間隔がシール剤の弾けを抑制できる程度の距離であれば形成間隔を厳密に管理する必要はない。また、別の例では、樹脂溜まり部200を規則的に例えば等間隔で形成してもよい。この場合も各樹脂溜まり部200の形成間隔がシール剤の弾けを抑制できる程度の距離であればよい。また、樹脂溜まり部200の周方向の配列は1条でもよいし、複数条形成してもよい。またその軸方向の形成幅も適宜選択することができる。樹脂溜まり部200を複数条形成したり、その軸方向に形成幅を増やすことによりシール性能を向上することができる。
また、ハウジング44の外周面44aを構成する樹脂にカーボンファイバー等の微小粒子を混入させ、樹脂溜まり部200を形成するときに、樹脂溜まり部200の内部に微小粒子の一部を露出させるようにしてもよい。この場合、露出した微小粒子にシール剤が絡んで硬化することになる。その結果、微小粒子が爪となり、シール剤の経時変化による収縮を抑えて気密性の低下や接着力の低下を抑制できる。なお、本実施の形態では、導電性能も併せて発揮させるために微細粒子をカーボンファイバーにする例を示したが、金属粉でもよいし、導電性を他の手段で実現する場合には、微小粒子に導電性を持たせる必要はなく、ガラス繊維や樹脂粉でも同様の効果を得ることができる。
図4(a)〜図4(e)は、軸受孔4hの側面4iに樹脂溜まり部200を形成したベース部材4と外周面44aに樹脂溜まり部200を形成しハウジング44とを固定する工程を説明する要部拡大説明図である。なお、図4(a)〜図4(e)は、樹脂溜まり部200に加えて、軸受孔4hに第1溝4jを形成しハウジング44に第2溝44bを形成している例を示している。本実施の形態では、便宜上軸受孔4h側を第1溝4j、ハウジング44側を第2溝44bとしているが、逆でもよい。
まず、第1溝4jついて説明する。図4(a)に示すように、第1溝4jは、ベース部材4の軸受孔4hの側面4iにハブ28の回転軸を中心として形成された環状の溝である。この第1溝4jおよび樹脂溜まり部200にシール剤が溜まることになる。図4(a)の場合、樹脂溜まり部200が形成された形成領域200A内に第1溝4jを形成する例を示しているが、第1溝4jは形成領域200A以外の領域に形成してもよい。
このように、環状の第1溝4jを設けて、シール剤が樹脂溜まり部200と第1溝4jに連続して付着するように構成することにより、シール剤が第1溝4jと樹脂溜まり部200に連続して入り込むことになる。その結果、接触面積が拡大し気密性が向上する。また、環状の第1溝4jにシール剤を封入することで、環状のシール領域が形成可能となり気密信頼性を向上できる。なお、第1溝4jの容積は個々の樹脂溜まり部200の容積に比べ大きいため部分的にシール剤の入り込みが不十分な部分が生じる可能性がある。一方、樹脂溜まり部200は第1溝4jに比べ深さが浅いので、そのような不十分な部分は形成され難く全体として均一なシール機能を実現する。従って、第1溝4jと樹脂溜まり部200を同時に採用することでより信頼性の高いシール構造を実現できる。
また、図4(a)に示すように、第1溝4jが形成された面と異なる面、つまりハウジング44の外周面44aに第2溝44bを形成してもよい。第2溝44bもハブ28の回転軸を中心とする環状の溝であり、ベース部材4とハウジング44とが組み合わされた状態で軸方向に第1溝4jから離間した位置に形成されている。図4(a)の場合、ハウジング44の外周面44aにも樹脂溜まり部200が形成され、第2溝44bおよび樹脂溜まり部200にシール剤が溜まることになる。図4(a)の場合、樹脂溜まり部200が形成された形成領域200B内に第2溝44bを形成する例を示しているが、第2溝44bは形成領域200A以外の領域に形成してもよい。
第2溝44bは、第1溝4jと同様な環状のシール領域を形成するので、第1溝4jと同様の効果を得ることができる。また、第1溝4jと第2溝44bを形成することにより、ダブルリング形式のシール構造となるので、さらに信頼性の高いシール構造が実現できる。
なお、第1溝4jと第2溝44bの断面は半円形状とすることができる。また、第1溝4jの断面の形状および第2溝44bの断面の形状はそれぞれ、多角形状や半楕円形状や丸みを帯びた形状であってもよい。また、第1溝4jや第2溝44bの内壁面も樹脂溜まり部200と同様に微細粒子を露出させて、シール剤の経時変化による収縮を抑えたり、気密性の低下や接着力の低下を抑制するようにしてもよい。また、第1溝4jや第2溝44bの内壁面に硬化性樹脂を溜めるために例えば樹脂溜まり部200と同様な微小凹形状の樹脂溜まり部を周方向に複数並べて形成してもよい。この場合、一層信頼性の高いシール構造が実現できる。
図4(a)〜(e)を用いて、軸受ユニット12をベース部材4に固定する工程を説明する。図4(a)では、ベース部材4の軸受孔4hの側面4iのうち第1溝4jの上方に、軸受孔4hを一周するように連続して液状の樹脂であるシール剤54を塗布する。そして軸受ユニット12を軸受孔4hの上側から挿入する。図4(b)では、軸受ユニット12が軸受孔4hに挿入されるにつれてシール剤54がしごかれてベース部材4の下面4k側に移動していく様子が示されている。しかしながら、シール剤54は第1溝4jを満たすまでは第1溝4jを越えてさらに下側には移動しない。
図4(c)は、軸受ユニット12を中間の位置まで挿入した状態である。第1溝4jはシール剤54によって満たされている。加えて、シール剤54はハウジング44の外周面44aに設けられた第2溝44bにも浸み出て溜まってゆく。図4(d)は、軸受ユニット12を所望の位置まで挿入した状態である。この状態で、第1溝4jと第2溝44bとはロータ6の回転軸Rに沿った方向(上下方向)A1において重複しない。しかしながら、図4(c)から図4(d)への推移で示されるように、挿入の過程で第1溝4jと第2溝44bとが交差する。つまり、第1溝4jと第2溝44bとが連通される期間があるので、第2溝44bにもそれを満たすのに十分な量のシール剤54が供給される。この意味で、本実施の形態では上下方向A1において、第1溝4jは第2溝44bよりも上方(記録ディスク8側)に位置することが望ましい。なお、第1溝4jと第2溝44bとの間の上下方向A1における位置関係は、軸受ユニット12の軸受孔4hへの挿入の仕方に依存する。つまり、他の実施の形態において、軸受ユニット12をベース部材4の下方から挿入する場合は、第1溝4jと第2溝44bとが交差する期間を設けるために、ベース部材4に設けられる第1溝4jはハウジング44に設けられる第2溝44bよりも下方に位置する。また、第1溝4jの体積および第2溝44bの体積を合わせた体積は、図4(a)において最初に塗布されるシール剤54の体積よりもわずかに少なくなるよう設計することが好ましい。
また、本実施の形態で示すように、第1溝4jおよび第2溝44bにシール剤54が溜め込まれる過程で、形成領域200A,200Bに形成された樹脂溜まり部200にもシール剤54が溜め込まれる。その結果、軸受孔4hとハウジング44とを組み合わせて固定した場合に、その接触部に介在させるシール剤54を樹脂溜まり部200、第1溝4j、第2溝44bへ容易かつ確実に溜め込むことが可能なり、エアリーク路の形成を抑制するようなシール剤54の供給ができる。
また、第1溝4jおよび、第2溝44bは、余分なシール剤54を捕捉する機能を有するとも言える。その結果、シール剤54の塗布量が多めの場合でも第1溝4jおよび第2溝44bで余剰分が捕捉され、ベース部材4の下面4k側へはみ出す可能性が低減できる。
上述のようにベース部材4に対しハウジング44(軸受ユニット12)の組み付けが完了したら、図4(e)に示すように、ベース部材4の切削部4mからハウジング44の底面44cに亘って液状の導電性樹脂52を塗布し硬化させて、一連の組立作業が終了する。導電性樹脂52は、ベース部材4の下面4kにおける軸受孔4hの縁部4lに塗布される。この導電性樹脂52によってベース部材4とハウジング44とが電気的に接続される。
なお、図4(e)に示すように、本実施の形態において、第1溝4jおよび第2溝44bは、上下方向A1における第1溝4jと第2溝44bとの間隔D1が上下方向A1における第1溝4jの幅D2よりも小さくなるよう形成している。このような関係の構造にすることで、より確実に第2溝44bをシール剤54で満たすことができる。これは、第1溝4jと第2溝44bとの間隔D1が広くなればなるほど、第1溝4jと第2溝44bとの間の部分にシール剤54がより多く残るため、第2溝44bに充填されるシール剤54が減るからである。
また、第1溝4jおよび第2溝44bは、第1溝4jの深さD3および第2溝44bの深さD4がいずれも上下方向A1における第1溝4jの幅D2よりも小さくなるよう形成している。このような関係の構造にすることで、より確実に第1溝4jおよび第2溝44bをシール剤54で満たすことができる。シール剤54は、ハウジング44の先端部が第1溝4jの開口部分を移動するときに、その移動量に応じた量が第1溝4jの深さ方向に送り込まれる。そして、ハウジング44の先端部が第1溝4jの開口部分を通過した後は、側面4iとハウジング44との隙間は大きく変化しなくなるのでシール剤54の第1溝4jへの送り込みは実質的に停止する。従って、第1溝4jの幅D2より第1溝4jの深さD3が大きいと第1溝4jを満たすのに十分な量のシール剤54が送り込まれる前に、第1溝4jの開口部分をハウジング44の先端部が通過し終わり、シール剤54の送り込みが停止してしまうからである。同様に、第1溝4jの開口部分を第2溝44bが通過するときにその移動量に応じた量が第2溝44bの深さ方向に送り込まれる。そして、第2溝44bが第1溝4jの開口部分を通過した後は、側面4iとハウジング44との隙間は大きく変化しなくなるのでシール剤54の第2溝44bへの送り込みは実質的に停止する。従って、第1溝4jの幅D2より第2溝44bの深さD4が大きいと第2溝44bを満たすのに十分な量のシール剤54が送り込まれる前に、第1溝4jの開口部分を第2溝44bが通過し終わり、シール剤54の送り込みが停止してしまうからである。
また、実施の形態に係るディスク駆動装置100では、前述したように、第1溝4jおよび第2溝44bは、第1溝4jの深さD3および第2溝44bの深さD4がいずれも上下方向A1における第1溝4jの幅D2よりも小さくなるよう形成される。したがって、特にシール剤54として嫌気硬化性を付与した液状の樹脂を使用する場合に、第1溝4jおよび第2溝44bにおいてシール剤54が良好に硬化される。本発明者が行った実験によると、第1溝4jの深さD3および第2溝44bの深さD4がいずれも0.07mm以下であれば嫌気硬化性を付与したシール剤54が良好に硬化するという結果を得ている。
図5は、ベース部材4の下面4kのうち軸受孔4hの縁部4l付近を拡大して示す拡大下面図である。ベース部材4の下面4kには、軸受孔4hの縁部4lに沿って切削した切削部4mが設けられる。切削部4mの径方向の幅D5は、切削部4mの切削の深さより大きい。導電性樹脂52は切削部4mからハウジング44の底面44cに亘って塗布される。特に、切削部4mにおいては、導電性樹脂52はその高さ(回転軸Rに沿った方向の厚み)が切削部4mの切削の深さよりも小さくなるように塗布される。
導電性樹脂52は、軸受孔4hの縁部4lのうち所定の長さ、例えばハウジング44の円筒部の半径に相当する円弧状部分4laを覆うように塗布される。また、導電性樹脂52は、ベース部材4の下面4kから露出するハウジング44の底面44cの一部を覆うように塗布される。この場合、導電性樹脂52とハウジング44との導通が強化される。また、実施の形態に係るディスク駆動装置100によると、ベース部材4に軸受ユニット12を固定する過程で第1溝4jおよび第2溝44bにシール剤54が溜まるので、ベース部材4の下面4k側へシール剤54が浸み出す量が少なくなる。その結果、軸受孔4hの縁部4lのうちシール剤54が浸み出していない部分があればそこに導電性樹脂52を塗布することによってベース部材4とハウジング44とをより確実に導通させることができる。加えて、ディスク駆動装置100の厚さをシール剤54の浸み出しがない分だけ薄くすることもできる。
また、導電性樹脂52を浸み出したシール剤54の上に塗布するとしても、その浸み出す量はわずかであるので、やはりより確実にベース部材4とハウジング44とを導通させることができると共に、ディスク駆動装置100の厚さを薄くすることもできる。また、第1溝4jおよび第2溝44bを合わせた体積程度の量のシール剤54を使用してもベース部材4の下面4k側に浸み出すシール剤54の量は少ないので、十分な量のシール剤54を使用してベース部材4と軸受ユニット12とを固定できる。その結果、ベース部材4と軸受ユニット12との間の気密性が一層高まる。
また、実施の形態に係るディスク駆動装置100では、ベース部材4の下面4k側へシール剤54が浸み出す量が少なくなる。特に、軸受孔4hの縁部4lのうち目立ってシール剤54が浸み出している部分の長さはハウジング44の円筒部の半径より小さい場合が多い。したがって、そのような部分を避けて導電性樹脂52をハウジング44の円筒部の半径に相当する円弧状部分4laを覆うように塗布することにより、ベース部材4とハウジング44との導通をより確実にすると共に導電性樹脂52の下方への出っ張りを抑えることができる。
なお、導電性樹脂52は、その体積抵抗率が10のマイナス2乗Ω・cmより小さい導電性樹脂である。導電性樹脂52としては、種々の材料を採用し得る。例えばエポキシ樹脂に銀パウダーを混合した主剤に硬化剤としてポリオキシプロピレンジアミンを作用させたいわゆる二液性エポキシ導電性樹脂は、塗布が容易で強靭で可撓性を有し耐衝撃性に優れる。また揮発成分が少ない点で好ましい。
軸受ユニット12の円筒面は種々の樹脂材料から形成できる。例えば、非結晶性プラスチックを含んで構成してもよい。非結晶性プラスチックは成型時の収縮が小さく寸法精度よく形成できる。その結果、軸受孔4hとの隙間のバラツキが小さくなり、シール剤54の塗布量の不足や過剰を生じにくい点で好ましい。
また、軸受ユニット12の円筒面は、例えばポリエーテルイミドを含んで構成してもよい。ポリエーテルイミドは線膨張係数が金属に近いから、温度変化に対して軸受ユニット12と軸受孔4hとの隙間の変化を小さくできる。この結果、熱膨張に起因する気密性の低下を軽減できる点で好ましい。
本実施の形態に係るディスク駆動装置100の代表的な寸法は以下の通りである。
D1=0.1mm、D2=0.3mm、D3=D4=0.05mm、第1溝4j、第2溝44bの幅=0.25mm、D5=0.6mm、切削部4mの切削の深さ=0.2mm。また、シール剤54としては、種々の液状の樹脂を採用し得る。例えばアクリル酸エステルを主成分とする液状の樹脂は、収縮が少ないので、接触部(結合部)における隙間を生じにくく、空気のリークを防止するシール効果が高い点で好ましい。また、シール剤54として嫌気硬化性を付与したものを用いることができる。この嫌気硬化性の液状の樹脂は空気に触れている間は硬化せず、ハウジング44とベース部材4との接触部に入ると急速に反応し重合硬化し、短時間で初期の強度が得られるので、作業が容易となる点で好ましい。またさらには、シール剤54に紫外線硬化性を付与したものは、はみ出したシール剤54に紫外線を照射することにより短時間で硬化させることができる。その結果、シール剤54の塗布後に早期に取り扱いが可能になる点で好ましい。
なお、これらのシール剤54や導電性樹脂52は揮発成分を徐々に放出することがある。これらの揮発成分は清浄空間24を汚染し、正常なデータのリード/ライト動作の障害となる場合がある。そこで、シール剤54を用いてベース部材4と軸受ユニット12とを固定し導電性樹脂52を塗布してベース部材4とハウジング44との間の導通性を確保した後、ロータ6に記録ディスク8が搭載される前に、組立中のディスク駆動装置100を高温槽に長時間放置してもよい。この場合、シール剤54や導電性樹脂52の揮発成分をより早く除去できる。例えば高温槽の温度を65℃以上に保ち1時間以上放置することで、シール剤54や導電性樹脂52の揮発成分がほぼ除去されるという実験結果を本発明者らは確認している。また、高温槽の温度を75℃以上に保ち1時間以上放置することで、シール剤54や導電性樹脂52の揮発成分がほぼ完全に除去されるという実験結果を本発明者らは確認している。なお、高温槽の温度を100℃以下に保つことで、高温によるシール剤54や導電性樹脂52の収縮等の変性によるシール性能の低下や強度低下を防止し得るという実験結果を本発明者らは確認している。
次に、軸受ユニット12の外筒面である外周面44aと軸受孔4hとの接触部(結合部)に空隙が生じているかどうかを確認する工程について説明する。この工程を含むことで空隙が生じたディスク駆動装置100を不良品として容易に識別できる。つまり、エアリーク路を形成するような空隙が生じたディスク駆動装置100の生産を低減することができる。なお、この確認工程は、液状の樹脂を硬化させる硬化工程後に実行される。
図6(a)、図6(b)は、この確認工程で用いる測定機器の概念を説明する説明図である。例えば、ベース部材4と軸受ユニット12を組み立てて、ベース部材4の面のうちロータ6が設けられる第1面および外周壁部4bをトップカバー2に相当する空間形成部材2Aにより内部空間を画定したものを試験体4Aとする。空間形成部材2Aは、実質的にトップカバー2と同じサイズ同じ材質で構成され内面側に圧力センサ300が取り付けられている。この空間形成部材2Aを試験体4Aの内部空間が実質的に気密状態になるように取り付ける。取り付ける際に試験体4Aの内部空間を大気圧より高い気圧の所定の気体で満たす。図6(a)の場合、空間形成部材2Aに気体注入用のバルブ302を設けているが、気体に注入方法は適宜選択できる。例えば、高圧層の中で空間形成部材2Aを取り付けるようにすれば、高圧状態の気体を試験体4Aに封入できる。そして、確認工程では、圧力センサ300で示される内部空間の気圧の変化を検出し、その低下速度を測定装置304において、予め定めた基準低下速度と比較する。この基準低下速度は、例えばエアリークが許容できる範囲、つまり、パーティクルの出入りが実質的にないと見なせる隙間を有する基準筐体に同じ圧力の気体を封入して測定することにより予め決めるとことができる。このように実際の内部空間の気圧の低下速度と基準低下速度と比較することによりディスク駆動装置100のベース部材4と軸受ユニット12の接触部に許容できる以上の空隙が生じているかどうかが確認できる。また、ベース部材4の第1面と第1面とは反対側の第2面と間に予め定めた気圧を加えても軸受ユニット12のハウジング44の外周面44aと軸受孔4hとの接触部の気密状態を実質的に維持できるか否かが確認できる。この方法は、確認時にもパーティクルが発生しにくい点で有利である。なお、所定の気体として清浄空気を用いることができる。
ところで、軸受ユニット12と軸受孔4hの熱膨張やシール剤54の経時変化により隙間が拡大する可能性がある。そこで、確認工程において空気を構成する窒素分子より小さな隙間も確認できることが望ましい。つまり、所定の気体に窒素より分子量の小さな気体を含んでもよい。分子量の小さな気体は分子の大きさも小さいから極めて小さな隙間をも通り抜ける。例えばヘリウムは不活性な単原子分子であり、分子量が窒素の1/7と小さい。このため、所定の気体としてヘリウムを含んだ気体を用いることにより、窒素分子の直径より小さな隙間も確認することができる。また、所定の気体として100%ヘリウムを用いることもできる。この場合、隙間がある場合そこから抜け出す割合が高くなるから、短時間で隙間の有無を確認できる。このように、隙間の検出精度を向上させることにより、熱膨張やシール剤54の経時変化により軸受ユニット12と軸受孔4hとの間の隙間が拡大する可能性があるディスク駆動装置100の抽出も可能になる。
以上のように構成されたディスク駆動装置100の動作について説明する。記録ディスク8を回転させるために、3相の駆動電流がコイル42に供給される。その駆動電流がコイル42を流れることにより、9本の突極に沿って駆動磁束が発生する。この駆動磁束によって円筒状マグネット32にトルクが与えられ、ロータ6およびそれに嵌合された記録ディスク8が回転する。同時にボイスコイルモータ16がスイングアーム14を揺動させることによって、記録再生ヘッドが記録ディスク8上の揺動範囲を行き来する。記録再生ヘッドは記録ディスク8に記録された磁気データを電気信号に変換して制御基板(不図示)へ伝え、また制御基板から電気信号の形で送られてくるデータを記録ディスク8上に磁気データとして書き込む。
ところで、ベース部材4とハウジング44との間の電気抵抗を100Ω以下にすることで、ディスク駆動装置100の動作時の静電気による障害を抑止することができる。しかしながら、アルミニウムで形成した場合のベース部材4は酸化することがあり、酸化皮膜が形成された表面上を導電性樹脂52で覆っても安定して所望の導電性を確保できない場合がある。これに対応して本実施の形態に係るディスク駆動装置100では、切削部4mの切削した表面に体積抵抗率が10のマイナス2乗Ω・cm以下の導電性樹脂52を塗布する。この結果、安定してベース部材4とハウジング44との間の電気抵抗を100Ω以下にでき、静電気による障害の発生を軽減できる。また、導電性樹脂52が覆った部分は酸化が抑制されるので、導電性を維持できる。
以上、実施の形態に係るディスク駆動装置の構成と動作と生産方法について説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施の形態では、ハウジング44の少なくとも外周面を樹脂で形成し、そこに樹脂溜まり部200や第2溝44bを形成する例を説明したが、ハウジング44の外周面は金属でもよく、金属表面に樹脂溜まり部200や第2溝44bを形成してもよく、同様の効果が得られる。
実施の形態では、円筒状マグネット32が積層コア40の外側に位置する、いわゆるアウターロータ型のディスク駆動装置100について説明したが、これに限られない。例えば円筒状マグネットが積層コアの内側に位置する、いわゆるインナーロータ型のディスク駆動装置であってもよい。
実施の形態では、軸受ユニット12がベース部材4に固定され、シャフト26が軸受ユニット12に対して回転する場合について説明したが、例えばシャフトがベース部材に固定され、軸受ユニットがハブと共にシャフトに対して回転するようなシャフト固定型であってもよい。この場合、シャフトとベース部材とは別体で形成され、シャフトをベース部材に設けられた孔に挿入して固定する際に本発明を適用できる。
実施の形態では、ベース部材4に直接軸受ユニット12が取り付けられる場合について説明したが、これに限られない。例えば、ロータ、軸受ユニット、積層コア、コイルおよびベース部材からなるブラシレスモータを別途形成した上で、そのブラシレスモータをシャーシに取り付ける構成としてもよい。
実施の形態では積層コアを用いる場合について説明したが、コアは積層コアでなくてもよい。
実施の形態では、ハウジング44とスリーブ46とは別体である場合について説明したが、これに限られず、ハウジングとスリーブとは一体に形成されてもよい。この場合、部品点数を削減でき、組立の手間を軽減できる。
実施の形態では、ベース部材4の軸受孔4hの側面4iに第1溝4jをひとつ、ハウジング44の外周面44aに第2溝44bをひとつ設ける場合について説明したが、これに限られず、これらの溝の数に制限はない。
以上、実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎないことはいうまでもなく、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能であることはいうまでもない。