本発明の実施形態の液体吐出ヘッドに関し以下図面を用いて説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、何ら本実施形態に限定されるものではない。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化乃至省略する。
本発明は、概略的には、液滴が吐出されるノズルに連通して液体を収容する圧力室のメニスカスを振動させる2以上の微駆動波形のうち、初期に出力する微駆動波形から、その後に出力する微駆動波形にかけて微駆動波形の振幅を段階的に大きくする制御を行い、振幅が制御された2以上の微駆動波形を圧力室の容積を変化させる圧力発生手段に出力するというものである。
本発明によれば、順々に印加されていく1パルス毎の振動効果を徐々に大きくしていくような構成としているので、最初は弱い振動で段階的に振動を大きくしていくことになる。このため、乾燥・増粘したメニスカスに過度の負担をかけずにすむのである。つまり、乾燥・増粘したメニスカスを徐々にほぐしていくような作用を生むのである。
また、徐々に乾燥・増粘を解消していくため、微駆動効果が不十分な状態によって起こる不吐出、滴遅れ(Vj遅れ)、吐出滴曲り等の吐出異常を防止することもできる。さらに、1パルスでいきなり強い振動がかかった時に起こりがちな誤吐出が起こる不安も無い。総合すると、非常に確実性のある微駆動効果を得ることが可能となる。
なお、以下において、本実施形態の説明における「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味するものとする。また、本実施形態の説明における「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することをも意味するものである。
さらに、本実施形態の説明における「液体」は、記録液やインクに限るものではなく、吐出されるときに流体となるものであれば特に限定されるものではない。また、本実施形態の説明における「液体吐出」とは液体吐出ヘッドから液体を吐出することを意味し、画像形成を行うものに限定されない。また、本実施形態において、液滴が吐出されるノズル、該ノズルに連通して液体を収容する圧力室、該圧力室の容積を変化させる圧力発生手段とを含む概念を総称してノズルユニットとする。
また、本発明において、液体を吐出させる波形を駆動波形とし、圧力室としての加圧液室のメニスカスを振動させる波形を微駆動波形とする。また、以下において、波形、パルスは同義であるものとして説明する。また、以下の説明において、波形及びパルスを信号として表現することを許容する。さらに、以下の説明において、印加と出力は同義であるものとして説明する。
本実施形態の画像形成装置1の一例について図1を用いて説明する。なお、図1(a)は画像形成装置1の機構部の要部平面図であり、図1(b)は同機構部の全体構成を説明する概略断面図である。
本実施形態の画像形成装置1はシリアル型であり、左右の側板11A及び11Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド12及び13でキャリッジ14を主走査方向に摺動自在に保持している。キャリッジ14は、不図示の主走査モータにより不図示のタイミングベルトを介して矢示方向であるキャリッジ主走査方向に移動走査される。
キャリッジ14は、イエロー(Y)・シアン(C)・マゼンタ(M)・ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッド15a及び15bを備える。液体吐出ヘッド15には、複数のノズルからなるノズル列が、主走査方向と直交する副走査方向に配列されている。液体吐出ヘッド15は、インク滴吐出方向を下方に向けてキャリッジ14に装着されている。
液体吐出ヘッド15は、それぞれ2つのノズル列を有し、液体吐出ヘッド15aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を吐出する。また、液体吐出ヘッド15bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を吐出する。
また、キャリッジ14には、液体吐出ヘッド15のノズル列に対応して、各色のインクを供給するためのヘッドタンク16a及び16bが搭載されている。ヘッドタンク16には、各色のインクカートリッジ18から、各色の供給チューブ17を介して各色のインクが補充供給される。
一方、本実施形態の画像形成装置1は、給紙トレイ19の用紙積載部20上に積載した用紙Pを給紙するための給紙部を備える。この給紙部は、用紙積載部20から用紙Pを1枚ずつ分離給送する給紙コロ21と、給紙コロ21に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド22とを備える。分離パッド22は給紙コロ21側に付勢されている。
また、本実施形態の画像形成装置1は、給紙部から給紙された用紙Pを液体吐出ヘッド15の下方側に送り込むため、用紙Pを案内するガイド部材23と、カウンタローラ24と、搬送ガイド部材25と、先端加圧コロ26を有する押さえ部材27とを備える。
さらに、本実施形態の画像形成装置1は、給送された用紙Pを静電吸着して液体吐出ヘッド15に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト28を備えている。搬送ベルト28は、無端状ベルトであり、搬送ローラ29とテンションローラ30との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向である副走査方向に周回するように構成されている。
また、本実施形態の画像形成装置1は、搬送ベルト28の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ31を備えている。この帯電ローラ31は、搬送ベルト28の表層に接触し、搬送ベルト28の回動に従動して回転するように配置されている。搬送ベルト28は、不図示の副走査モータによって所定のタイミングを介して搬送ローラ29が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
さらに、本実施形態の画像形成装置1は、液体吐出ヘッド15で記録された用紙Pを排紙するための排紙部を備える。排紙部は、搬送ベルト28から用紙Pを分離するための分離爪32と、排紙ローラ33と、排紙コロ34とを備え、排紙ローラ33の下方に排紙トレイ35を備えている。
また、本実施形態の画像形成装置1の背面部には両面ユニット36が着脱自在に装着されている。両面ユニット36は、搬送ベルト28の逆方向回転で戻される用紙Pを取り込んで反転させ、再度カウンタローラ24と搬送ベルト28との間に給紙する。なお、両面ユニット36の上面には手差しトレイ37を備えている。
さらに、本実施形態の画像形成装置1は、キャリッジ14の走査方向一方側の非印字領域に、液体吐出ヘッド15のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構38を配置している。
維持回復機構38は、液体吐出ヘッド15の各ノズル面をキャピングするためのキャップ39a及び39bと、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード40を備える。さらに維持回復機構38は、増粘した記録液を排出するため、記録に寄与しない液滴を吐出させる、いわゆる空吐出を行う際に排出される液滴を受ける空吐出受41などを備えている。
また、キャリッジ14の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するため、空吐出受42が配置されている。空吐出受42は、液体吐出ヘッド15のノズル列方向に沿った開口部43など備えている。
本実施形態の画像形成装置1においては、給紙トレイ19から用紙Pが1枚ずつ分離給紙され、給紙された用紙Pはガイド部材23で略鉛直上方に案内される。案内された用紙Pは、搬送ベルト28とカウンタローラ24との間に挟まれて搬送される。さらに、用紙Pは、先端を不図示の搬送ガイドで案内されて先端加圧コロ26で搬送ベルト28に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ31に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、搬送ベルト28に交番電圧が印加される。つまり、搬送ベルト28が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。
このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト28上に用紙Pが給送されると、用紙Pは搬送ベルト28に吸着され、搬送ベルト28の周回移動によって用紙Pが副走査方向に搬送される。
キャリッジ14を移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド15を駆動することにより、停止している用紙Pにインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙Pを所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙Pの後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙Pを排紙トレイ35に排紙する。
次に、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッド15の基本構成について図2および図3を参照して説明する。図2は、液体吐出ヘッド15の液室の長手方向に沿う断面を表し、図3は、液体吐出ヘッド15の液室の短手方向に沿う断面を表したものである。
本実施形態の液体吐出ヘッド15は、フレーム151と、流路板152と、ノズル板153と、振動板154と、積層型圧電素子156と、ベース157で構成されている。フレーム151は、インク供給口151aと共通液室151bとなり、彫り込みを形成する。流路板152は、流体抵抗部152a、加圧液室152bとなる彫り込みと、ノズル153aに連通する連通口152cを形成する。ノズル板153にはノズル153aが形成される。なお、フレーム151は樹脂成形で作製している。
また、振動板154は、凸部154a、ダイヤフラム部154b及びインク流入口154cを有する。積層型圧電素子156は、振動板154に接着層155を介して接合されている。ベース157は積層型圧電素子156を固定する。なお、ベース157はチタン酸バリウム系セラミックからなり、積層型圧電素子156を2列配置して接合している。
さらに、積層型圧電素子156は、厚さ10〜50μm/層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層156aと、厚さ数μm/層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層156bとを交互に積層している。内部電極層156bは両端で外部電極156cに接続する。
積層型圧電素子156はハーフカットのダイシング加工により櫛歯上に分割され、1つ毎に駆動部156eと、非駆動部となる支持部156fとして使用する。また、積層型圧電素子156は、内部電極層156bを端面の外部電極156c、共通電極156dに電気的に交互に接続したものである。
また、本実施形態の液体吐出ヘッド15は厚み方向変位であるd33方式での積層型圧電素子156を使用する構成とし、積層型圧電素子156の伸縮により加圧液室152bを収縮、膨張させるようになっている。具体的には、積層型圧電素子156は、駆動信号が印加され充電が行われると伸長し、また積層型圧電素子156に充電された電荷が放電すると反対方向に収縮するようになっている。
外部電極156cには不図示のFPC(Flexible Printed Circuit)が半田接合されている。また、共通電極156dは積層型圧電素子156の端部に電極層を設けて回し込んでFPCのGnd電極に接合されている。FPCには図示しないドライバICが実装されており、これにより駆動部156eへの駆動電圧印加を制御している。
振動板154は、薄膜のダイヤフラム部154bと、このダイヤフラム部154bの中央部に形成した、積層型圧電素子156と接合する島状の凸部154aと、支持部156fに接合する梁を含む不図示の厚膜部と、インク流入口154cで構成され、電鋳工法によるNiメッキ膜を2層重ねて形成されている。
流路板152は、シリコン単結晶基板を用いて、流体抵抗部152a、加圧液室152b、液体導入部152dとなる彫り込み、およびノズル153aに対する位置に連通口152cとなる貫通口を、エッチング工法でパターニングにより作成した。なお、エッチング工法により残された部分が加圧液室152bの隔壁152eとなる。
ノズル板153は金属材料、例えば電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成したもので、インク滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル153aを多数形成している。このノズル153a内側の内部形状をホーン形状に形成している。なお、ホーン形状に限らず、略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。
ノズル板153の表面側のインク吐出面には、図示しない撥水性の表面処理を施した撥水処理層を設けている。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を共析したニッケルテフロン(登録商標)めっき(Ni−PTFE)や、フッ素樹脂の電着塗装、例えばフッ化ピッチなどの蒸発性のあるフッ素樹脂を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けている。これにより、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。
以上のように構成した液体吐出ヘッド15においては、記録信号に応じて積層型圧電素子156に10〜50Vのパルス電圧としての駆動波形を印加する。これによって、積層型圧電素子156に積層方向の変位が生起し、振動板154を介して加圧液室151bが加圧されて圧力が上昇し、ノズル153aからインク滴が吐出される。
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室152b内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室152b内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたインクは共通液室151bに流入し、共通液室151bからインク流入口154cを経て液体導入部152d、流体抵抗部152aを通り、加圧液室152b内に充填される。
流体抵抗部152aは、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果が有る反面、表面張力による最充填、つまりリフィルに対して抵抗になる。流体抵抗部152aを適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間、つまり駆動周期を短くすることができる。
次に、本実施形態の画像形成装置1に係る制御ブロックについて図4を参照して説明する。本実施形態の画像形成装置1における制御部200は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、NVRAM204と、ASIC205と、ホストI/F206と、I/O部207と、印刷制御部208と、モータ駆動部209と、ACバイアス供給部210で構成される。
CPU201は、本実施形態の画像形成装置1全体の制御を司っており、空吐出動作の制御を行う。ROM202は、CPU201が実行するプログラム、その他の固定データを格納する。RAM203は、画像データ等を一時格納する。NVRAM204は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリである。ASIC205は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理や、その他装置全体を制御するための入出力信号を処理する。
また、印刷制御部208は、液体吐出ヘッド15を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を備える。ヘッドドライバ50は、液体吐出ヘッド15を駆動制御する。モータ駆動部209は、キャリッジ14を移動走査する主走査モータ601、搬送ベルト28を周回移動させる副走査モータ602、維持回復機構38の維持回復モータ603を駆動する。ACバイアス供給部210は、帯電ローラ31にACバイアスを供給する。
また、制御部200には、本実施形態の画像形成装置1に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル400が接続されている。さらに、制御部200は、ホスト300とのデータ、信号の送受を行うためのホストI/F206を備える。ホストI/F206は、ホスト300側から、ケーブル或いはネットワークを介して、データ及び信号などを受信する。ホスト300は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読取装置、デジタルカメラなどの撮像装置である。
そして、CPU201は、ホストI/F206に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC205にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部208からヘッドドライバ50に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト300側のプリンタドライバ301で行っている。
印刷制御部208は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ50に出力する。また、印刷制御部208は、ROM202に格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を備え、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ50に対して出力する。
ヘッドドライバ50は、具体的には、液体吐出ヘッド15を駆動するために以下の制御を行う。ヘッドドライバ50は、所定の画像データに基づいて印刷制御部208から与えられる駆動信号を駆動素子に対して印加する。所定の画像データは、例えばシリアルに入力される液体吐出ヘッド15の1行分に相当する画像データのことをいう。駆動素子は、例えば圧電素子であり、駆動信号を構成する駆動パルスが印加されることで、液体吐出ヘッド15の液滴を吐出させるエネルギーを発生する素子である。
このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
I/O部207は、本実施形態の画像形成装置1に装着されている各種のセンサ群500からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出する。I/O部207は、抽出された情報に基づいて印刷制御部208、モータ駆動部209、ACバイアス供給部210を制御する。
センサ群500として、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがある。また、I/O部207は様々のセンサ情報を処理することができる。
次に、本実施形態の印刷制御部208及びヘッドドライバ50における処理ブロックについて図5を参照して説明する。印刷制御部208は、駆動波形生成部2081とデータ転送部2082とで構成される。
駆動波形生成部2081は、微駆動実施時に、1印刷周期内に複数の駆動パルスで構成される共通駆動波形を生成して出力し、駆動時には1空吐出周期内に複数の駆動パルスで構成される共通駆動波形を生成して出力する。
データ転送部2082は、空吐出パターンに応じた2ビットの駆動波形選択用データと、クロック信号、ラッチ信号、滴制御信号M0〜M3を出力する。2ビットの駆動波形選択用データは、階調信号0、1である。
なお、滴制御信号は、ヘッドドライバ50の後述するアナログスイッチ55の開閉を滴毎に指示する2ビットの信号であり、共通駆動波形の印刷周期に合わせて選択すべき波形でHレベルであるON状態に遷移し、非選択時にはLレベルであるOFF状態に遷移する。
駆動波形出力手段としてのヘッドドライバ50は、シフトレジスタ51と、ラッチ回路52と、デコーダ53と、レベルシフタ54と、アナログスイッチ55とで構成されている。
シフトレジスタ51は、データ転送部2082からの転送クロック、すなわちシフトクロック及びシリアル駆動波形用データを入力する。入力されるシリアル駆動波形用データは、1ノズルにつき2ビットの階調データである。
ラッチ回路52は、シフトレジスタ51の各レジスト値をデータ転送部2082からのラッチ信号によってラッチする。また、デコーダ53は、階調データと滴制御信号M0〜M3をデコードして結果を出力する。
レベルシフタ54は、デコーダ53のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ55が動作可能なレベルへとレベル変換する。アナログスイッチ55は、レベルシフタ54を介して与えられるデコーダ53の出力でオン/オフされる。このアナログスイッチ55は、各圧電素子156の選択電極に接続され、駆動波形生成部2081からの共通駆動波形が入力されている。
シリアル転送された駆動波形用データと滴制御信号M0〜M3をデコーダ53でデコードした結果に応じてアナログスイッチ55がオンにされることにより、共通駆動波形を構成する所要の駆動信号が通過、すなわち選択されて圧電素子156に印加される。
駆動波形生成部2081は、2以上の微駆動波形のうち、初期に出力する微駆動波形から、その後に出力する微駆動波形にかけて微駆動波形の振幅を段階的に大きくする制御を行う微駆動波形振幅制御部20811を備える。微駆動波形振幅制御部20811は、微駆動波形の印加電圧の大きさを変更したり、微駆動波形のパルス幅を可変したりすることにより、微駆動波形の振幅制御を行う。
本発明の実施形態の液体吐出ヘッドの制御方法について図6から図8を参照して説明する。説明の前提として、まず駆動波形を構成する単パルスの波形形状の従来例について図15を参照して説明する。
駆動波形を構成する単パルスは、メニスカスを引き込む立下げ要素と、引き込んだメニスカスを保持する保持要素と、メニスカスを押し出す立上げ要素からなる台形波で構成されている。具体的には、図15(a)に示すように、メニスカスを引き込む要素、すなわち駆動パルスの電位Vが基準電位Veから立下がる波形要素によって積層型圧電素子156が収縮し、加圧液室152bの容積が膨張する。この立下り時間をTfとする。
また、立下り後の状態から変化しない部分であるホールド状態はパルス幅と呼ばれており、Pwとする。また、ホールド状態から立上がる波形要素は、積層型圧電素子156が伸長して加圧液室152bが収縮するものである。この立上がり時間をTrとする。
図15(b)に、P1からP5の5個の単パルスから構成される1まとまりの駆動波形を従来例として示す。本例では、この1まとまりの駆動波形で大滴、中滴、小滴、非吐出つまり微駆動の4値を打ち分けている。具体的には、例えば、大滴はP1ないしP5の全てのパルス、中滴はP2とP4のパルス、小滴はP3のパルス、微駆動はP1のパルスを使用する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態の液体吐出ヘッドの制御方法について図6を参照して説明する。なお、図6(a)は第1実施形態の微駆動波形、図6(b)は第1実施形態の微駆動波形を印加した時のメニスカス振動イメージについて説明する図である。本実施形態と、図15で示した従来例とを比較した差異点は、従来の微駆動波形が1パルスなのに対して、本実施形態は3パルス構成となっている点である。
なお、本実施形態では微駆動波形を3パルス構成としているが、2パルス以上であればよく、4パルス構成あるいは5パルス構成であってもよい。さらに本実施形態では、微駆動波形振幅制御部20811において、パルス毎に加える印加電圧の大きさを変更する。具体的には、初期に印加されるパルス、二番目に印加されるパルス、三番目つまり最後に印加されるパルスをそれぞれA1、A2、A3とし、それぞれに対応する電圧をVA1、VA2、VA3とする。これらの電圧の関係は、VA1<VA2<VA3となっている。
このように徐々に印加パルス毎の電圧を大きくしていくことで、パルス毎の微駆動効果を大きくすることができる。しかも、初期に印加するパルスを従来の微駆動波形の電圧と比べ明らかに小さいパルスとすることで、メニスカスにかかる負担を激減することができる。なお、初期に印加するパルスの電圧値としては、例えば、メニスカスを微駆動させる最小の電圧値を実験やシミュレーション等により得た数値を予め設定しておけばよい。
図6(b)に示したメニスカスの振動イメージにおいて、振幅波W1がA1パルスの印加時、振幅波W2がA2パルス印加時、振幅波W3がA3パルス印加時にそれぞれ対応している。本実施形態では、例えば、微駆動波形としてのA3パルス印加時に対応する振幅波W3を、図14(b)に示した従来例における振幅波と同じ大きさしている。上述のように印加電圧の大きさをVA1⇒VA2⇒VA3と変更することで、振幅波をW1⇒W2⇒W3と徐々に大きくする。
このように段階的に微駆動効果を大きくする構成としているため、上述したようにメニスカスに過度の負担をかけずにすむのである。また、徐々に乾燥・増粘を解消していくため、微駆動効果が不十分な状態によって起こる不吐出、滴遅れ(Vj遅れ)、吐出滴曲り等のような吐出異常も防止できる。さらに、1パルスでいきなり強い振動がかかった時に起こりがちな誤吐出を防止できる。したがって、非常に確実性のある微駆動効果を得ることが可能となる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態の液体吐出ヘッドの制御方法について図7を参照して説明する。なお、図7(a)は、第2実施形態の微駆動波形を、図7(b)は、単パルスのPwを振って吐出滴の滴速度をプロットしたPw特性のイメージ図を、それぞれ説明する図である。また、第1実施形態と重複する事項については説明を省略する。
本実施形態は第1実施形態と異なり、各パルスのPwを可変することにより微駆動波形の振幅制御を行うことを特徴とする。本実施形態では、Pwを短く設定することによって微駆動効果を小さくすることを想定している。第1実施形態ではPwに関して記述していないが、一般的に、トータルの電圧を小さくするため、最も効率の良いPwを使用する。例えば、最も効率の良いPwとは、図7(b)に示すPw特性のPw_1のことである。
本実施形態では、上述のPw_1よりも小さい値に設定するため、効率は悪くなる。そのため、その補填として、パルス電圧D1、D2、D3を、第1実施形態と比較して大きくする。これにより、第1実施形態と同様の微駆動効果を得ることができる。
また、もう1つの効果としては、3パルスのPwを短くするため、トータルの駆動波形の波形長を短くすることができる。見方を変えれば、ある波形長の中で吐出波形と微駆動波形を含む全駆動波形を設計する場合、Pwを短くすることで微駆動波形部分の波形長を短くできる、ということができる。つまり、微駆動波形の波形長を短くした分、駆動波形の設計に充てることができる。そして、波形設計に使用できる波形長が長くなれば、設計の余裕度は広がる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態の液体吐出ヘッドの制御方法について図8を参照して説明する。なお、上述した各実施形態と重複する事項については説明を省略する。
本実施形態が、上述した各実施形態と異なる点としては、各パルスが矩形波であり、基準電位Veと、この基準電位Veに対して所定電位異なる駆動電位の2値からなる、という点である。本実施形態では、パルスF1〜F3に対応する駆動電位をVF、パルスG1〜G3に対応する駆動電位をVGとしている。なお、本実施形態のような矩形波を用いて電圧を2値で制御する駆動方法をデジタル駆動と呼ぶこともある。
図8(a)と図8(b)の違いは、Pwの長さを変えているだけである。このような矩形波・2値の電圧制御による場合、メニスカス振動の制御は、Pwの長さと、各パルスの間隔の大小により調整することになる。本実施形態において、パルス間隔は、図8に示すように、TF2−TF1=TF12、TF3−TF2=TF23、TG2−TG1=TG12、TG3−TG2=TG23としている。
本実施形態においては、図8に示したパルス間隔TF12、TF23、TG12、TG23は同じ長さとしているが、共振等を利用し、図6(b)で示したような段階的に微駆動効果を大きくする制御を行う。また、本実施形態においては、調整可能なパラメータが少なくなっているため、図8(c)の一点鎖線で示したH12パルス・H23パルスのような補助駆動波形を挿入し、微駆動波形H1及びH2、H2及びH3の間に配置してもよい。これにより、電圧が制御できない分の微駆動制御の幅を持たせることができる。
[参考例1]
本発明の参考例1としての液体吐出ヘッドの制御方法について図9(a)を参照して説明する。まず本参考例1が、第1実施形態と異なるのは、各パルスの立上げ要素Trの始まる時間をそれぞれTB1、TB2、TB3としたときのTB2−TB1、TB3−TB2をともにTcとしている点である。
ここで、Tcとは、液体吐出ヘッドの固有振動周期と呼ばれる特有の値であり、液室構造で一意に決まるパラメータである。そして、TB2−TB1=TB3−TB2=Tcとすることで共振を利用することができ、より効率的に微駆動動作に力を使用することが出来る。
また、本参考例1における電圧に関し、最初のパルスであるB1パルスのVB1は第1実施形態の初期パルスの電圧と同じ大きさにしているが、B2パルスの電圧VB2とB3パルスの電圧VB3はB1パルスから徐々に小さくなるように設定している。つまり、この3パルスの電圧の関係は、VB1>VB2>VB3となっている。
これは、共振を利用することにより、前パルスの振動を受けて次パルス印加時に発生する波をより増幅することができるからである。つまり、本参考例1では、効率の良いパルス印加タイミングを利用するのである。パルス印加のタイミングを利用することで、メニスカスの振動を大きくできるため、2パルス目以降の電圧は小さめに設定することが可能になる。これにより、第1実施形態と同様の効果を奏しつつ、消費電力の低減を図ることができる。
[参考例2]
次に、本発明の参考例2としての液体吐出ヘッドの制御方法について図9(b)を参照して説明する。本参考例2は、参考例1と異なり、TC2−TC1を2Tcとしている。2Tcの間隔でも共振タイミングはあるが、Tc間隔よりも時間が長いため、前パルスの振動が当然小さくなる。よって本参考例2では、C2パルスの電圧VC2をC1パルスの電圧VC1と同じ大きさにしている。
参考例2は、波形長も伸びてしまい、あまりメリットがないように見えるが、このTC2−TC1=2Tcの間隔を上手く利用すすることで、別の効果を見出すことができる。この効果については後述する。本参考例2は、第1実施形態と同様の効果を奏しつつ、消費電力の低減を図ることができる。
[参考例3]
次に、本発明の参考例3としての液体吐出ヘッドの制御方法について図10を参照して説明する。本参考例3は、上述した第2実施形態と同様に各パルスのPwを短く設定し、参考例1と同様にTE2−TE1=TE3−TE2=Tcと設定する構成を採用したものである。参考例1と比較し、最初に印加されるE1パルスのPwが短い分、波形長が短縮されるが、少しでも波形長が短くなれば、最高駆動周波数のアップや設計余裕度の向上に繋がる。また、図示はしないが、参考例2のように、TE2−TE1=2TcとしてVE2・VE3を調整して所望の微駆動効果が得られるようにしてもよい。
[参考例4]
本発明の参考例4としての液体吐出ヘッドの制御方法について図11を参照して説明する。図11では全駆動波形を示している。上述した本発明の実施形態や参考例と異なり、参考例4では、微駆動波形と駆動波形を組み合わせて配置する構成について説明する。
図11(a)は、全駆動波形の中で最前に、上述の第1実施形態で示した微駆動波形を配置した構成である。これは微駆動波形の領域Baの後に単純に駆動波形を配置したものである。なお、本参考例4では駆動波形をP1〜P4パルスの4パルスとし、形状も同じ基本パルスとしているがこれに限られない。パルス数を4パルス以外としてもよく、パルス形状を図6(b)で示したような形状としてもよい。
図11(b)は、全駆動波形の中で最前に参考例1の微駆動波形を配置した構成である。これは、駆動波形である、P1・P2パルスを微駆動波形の間にそれぞれ配置したものである。これにより、全駆動波形の波形長が短くなり、最高駆動周波数を大きくすることが可能になる。
図11(c)は、全駆動波形の中で最前に参考例2の微駆動波形を配置した構成である。これは、微駆動波形の第1パルスと第2パルスの間にP1・P2パルスを、第2パルスと第3パルスの間にP3パルスを配置したものである。これにより、図11(b)同様に、全駆動波形の波形長が短くなり、最高駆動周波数を大きくすることが可能になる。
本参考例4において、微駆動波形の各パルスを駆動波形の一部として利用してもよい。これにより、駆動波形の組合せで作れるドットよりも、ドットサイズの種類を広げることが可能になる。これにより精細な画像形成を行うことができる。
[ライン型画像形成装置]
上述した本実施形態や参考例に係る液体吐出ヘッドの制御方法を採用する液体吐出装置を含むライン型画像形成装置の例について図12を参照して説明する。なお、図12(a)は、ライン型画像形成装置の構成を示す断面図、図12(b)は、ライン型画像形成装置の平面図である。
各図に示すように、ライン型画像形成装置900は、装置本体901と、給紙トレイ902と、排紙トレイ903と、搬送ユニット904と、画像形成ユニット905と、ヘッドクリーニング装置906と、搬送ガイド部907と、不図示のインク供給系とを備えている。
給紙トレイ902は、用紙910を積載し給紙する。排紙トレイ903は、印刷された用紙910を排紙積載する。搬送ユニット904は、用紙910を給紙トレイ902から排紙トレイ903まで搬送する。画像形成ユニット905は、搬送ユニット904によって搬送される用紙910に液滴を吐出し印字する記録ヘッドを構成するヘッドモジュールアレイ950を備える。
ヘッドクリーニング装置906は、印刷終了後、又は所要のタイミングで画像形成ユニット905の各ヘッドモジュールアレイ950の複数のヘッドの維持回復を行う維持回復機構である。搬送ガイド部907は、ヘッドクリーニング装置906を開閉する。インク供給系は、画像形成ユニット905のヘッドモジュールアレイ950にインクを供給する不図示のサブタンクやメインタンクで構成される。なお、被記録媒体である用紙910には、紙に限られず、OHPシートなどの他の材料からなるシートも用いられる。
装置本体901は、図示しない前後側板及びステーなどで構成されている。給紙トレイ902上に積載されている用紙910は、分離ローラ921及び給紙ローラ922によって1枚ずつ搬送ユニット904に給紙される。
搬送ユニット904は、搬送駆動ローラ941aと、搬送従動ローラ941bと、これらのローラ間に掛け回された無端状の搬送ベルト943とを備えている。この搬送ベルト943の表面には複数の図示しない吸引穴が形成されており、搬送ベルト943の下部には用紙910を吸引する吸引ファン944が配置されている。
また、搬送駆動ローラ941a、搬送従動ローラ941b上部には、それぞれ搬送ガイドローラ942a、942bが図示しないガイドに保持されて、自重にて搬送ベルト943に当接している。
搬送ベルト943は、搬送駆動ローラ941aが図示しないモータにより回転されることで周回移動し、用紙910は搬送ベルト943上に吸引ファン944により吸い付けられ、搬送ベルト943の周回移動によって搬送される。なお、搬送従動ローラ941b、搬送ガイドローラ942a、942bは搬送ベルト943に従動して回転する。
搬送ユニット904の上部には、用紙910に印字する液滴を吐出するヘッドモジュールアレイ950で構成される画像形成ユニット905が矢示A方向及び逆方向に移動可能に配置されている。この画像形成ユニット905は、クリーニング時にはヘッドクリーニング装置906上方まで移動され、画像形成時には図の位置に戻される。
画像形成ユニット905は、搬送ベルト943上に吸着保持されて搬送される用紙910に対してイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)4色分のインクの液滴を吐出するライン型記録ヘッドを構成するヘッドモジュールアレイ950を有している。
ヘッドモジュールアレイ950では、各列の記録ヘッド954にインクを分配して供給する分岐部材952が一体に設けられている。分岐部材952には図示しないサブタンクからインクが供給され、サブタンクにはメインタンクからインクが供給される。なお使用するインク色はこれら4色に限らず再現する色や階調の領域を拡大するためにレッド、グリーン、ブルー、グレー等の色を加える構成としてもよい。
また、図12(b)に示すX方向、つまり用紙搬送方向に対して直交する方向ヘッド配列方向において隣り合う2つの記録ヘッド954の端部の1又は複数のノズルが重なり合うように記録ヘッド954は配列されている。これにより、2つの記録ヘッド954それぞれのノズルによって同じ記録位置に記録することができる。
なお、この同じ記録位置に記録を行うことのできる記録ヘッド954の端部のノズルを「重複ノズル」という。また、重複ノズルの領域を「繋ぎ部」、「ノズル列重複部分」、「重複ノズル領域若しくは重複ノズル部分」又は「オーバーラップ領域若しくはオーバーラップ部分」という。
搬送ユニット904の下流側には用紙910を排紙トレイ903に排紙する搬送ガイド部907が設けられている。搬送ガイド部907にて案内されて搬送される用紙910は排紙トレイ903に排紙される。排紙トレイ903は、用紙910の幅方向を規制する対のサイドフェンス931と用紙910の先端を規制するエンドフェンス932を備えている。
ヘッドクリーニング装置906は、画像形成ユニット905の各記録ヘッドの各ヘッド954に対応するキャップ部材962及び不図示のワイパ部材を備える。また、ヘッドクリーニング装置906は、キャップ部材962で記録ヘッド954のノズル面、つまりノズルが形成された面をキャッピングした状態でノズルからインクを吸引するための吸引ポンプ963を備える。
また、このライン型画像形成装置900は、印刷終了後、各記録ヘッド954のノズル面をキャップ部材962でキャッピングした状態でノズルからインクを吸引する。あるいは、ライン型画像形成装置900は、記録ヘッドの各ヘッド954のノズル面に付着したインクをワイピング部材で清掃する。これらの場合、図示するように、印刷停止後、搬送ユニット904全体が搬送従動ローラ941Bを支点に矢印B方向に回動し、画像形成ユニット905との間の空間を画像形成時よりも大きくする。これにより、画像形成ユニット905の移動スペースを確保している。
このとき、ヘッドクリーニング装置906上部に配置されている搬送ガイド部907の搬送ガイド板971も支点972にて矢印C方向上方に回動され、ヘッドクリーニング装置906の上方が開放される。
そして、搬送ユニット904と搬送ガイド部907がそれぞれ開放された後に、画像形成ユニット905が用紙通紙方向である矢示A方向に移動し、ヘッドクリーニング装置906上方で停止され、キャップ部材962などが上昇して各記録ヘッド954のクリーニング動作に移行する。
[変形例]
本発明の実施形態に係る画像形成装置1の変形例について図13を参照して説明する。ここでは、非印字領域の微駆動制御について説明する。図13はシリアル型の画像形成装置1000を上面から見た簡易平面図である。
画像形成装置1000は、液体吐出ヘッドを搭載したキャリッジ1000aを備え、このキャリッジ1000aが主走査方向に往復移動しながら液体を吐出する。また、記録材1000bは副走査方向に搬送される。本変形例では、1000c、1000dの斜線部が非印字領域である。
実際の印字動作としては、キャリッジが1000cに位置する状態から加速しながら往路移動つまり左方向に移動し、記録材1000b上では等速移動しながら印字し、1000dの非印字領域に達すると減速する。一方、復路移動つまり右方向に移動する際は逆に1000dで加速移動し、記録材1000b上では等速移動、1000cでは減速移動となる。
キャリッジ1000aが記録材1000b上を移動している時、吐出しないノズルには図7(b)で示した印字領域の微駆動波形が印加されている。また、非印字領域の微駆動波形は1000c、1000dを移動している時の両方に印加する。
また、ここでの非印字領域は1000c、1000dとしているが、例えば実際の記録材への印字箇所が中心付近のみの場合を想定する。このような場合にもキャリッジが印字箇所に至るまでは「非印字領域」とみなして非印字領域の微駆動波形を印加してもよい。
印字領域の微駆動波形は、波形長の制限などから本実施形態の微駆動波形の構成を組み込めない可能性もある。したがって、従来よりも非常に確実性のある微駆動効果を見込める非印字領域の微駆動波形を印字直前で印加することによって、ノズル抜け、吐出曲り等の原因による画像不具合の発生を防ぐことが可能になる。