JP2014233946A - 部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】防滑性と外観に優れた、親水性防滑膜を提供する。【解決手段】基材と、基材上に形成される親水性防滑膜とを備えてなる部材であって、前記親水性防滑膜が、体積平均粒径が20μm以上100μm以下の粒子を2vol%以上含み、かつ、前記親水性防滑膜の膜厚と前記親水性防滑膜に含まれる前記粒子の体積濃度との積が100vol%・μm以下であることを特徴とする、部材。【選択図】 図1
Description
本発明は、防滑性と外観に優れた、部材に関する発明である。
水廻り環境で用いられる部材の表面には、防曇、防滴、防汚、帯電防止などの目的で親水性の膜が形成されることが知られている。例えば、親水性に優れた膜を形成する手段として、アニオン性親水基を含んだ親水性塗料組成物として、2−スルホニルエチルアクリレートNaと、二官能以上のアクリレート化合物を共重合させたものが知られている(特許文献1)。特許文献1には、スルホン酸基、カルボキシル基およびリン酸基から選ばれる少なくとも1種のアニオン性親水基を有する塗膜において、表面のアニオン濃度(Sa)と深部のアニオン濃度(Da)のアニオン濃度比Sa/Daが1.1以上とすることで耐擦傷性を有しながら親水性、防汚性、防曇性、帯電防止性を付与することが記載されている。また、アニオン性親水基を有するアクリレート化合物と1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の物質量の比(モル比)を15:1〜1:30とすることも記載されている。
また、特許文献2には、蓄光シートにおいて、水に濡れた場合でも滑らないようにするために、表面に微細な凹凸を付与することが記載されている。
水廻り環境で用いられる部材の表面は、排水性、防曇性や防汚性などの付与を目的として、親水性を有することが望ましい。親水性を有するためには、水接触角が低いことが好ましい。
しかしながら、親水性の表面は、水接触角が低いため、水なじみが良くなるほど、水の保持性が高まる。よって、親水性の表面が水に濡れた状態では、例えば、足で踏んだ場合において、皮膚と部材表面との界面に水膜が残り、皮膚と部材が接触しにくくなる。つまり、皮膚と部材表面に働く摩擦力が低減することで、滑りやすくなるという問題があった。
一方で、部材の表面に粗さを付与することや、エンボス加工を行うことで、水に濡れた状態においても防滑性を付与することは知られている。しかしながらこれらの技術においては、表面の粗さに起因した光の散乱によるマット感や、形状そのものによる外観の変化が生じるために、外観意匠性に自由度が少ない問題があった。特に、艶感のある表面を得ることが困難であった。
本発明者らは、今般、基材と、基材上に形成される親水性防滑膜とを備えてなる部材であって、前記親水性防滑膜が、体積平均粒径が20μm以上100μm以下の粒子を2vol%以上含み、かつ、前記親水性防滑膜の膜厚と前記親水性防滑膜に含まれる前記粒子の体積濃度との積が100vol%・μm以下であることを特徴とする、部材とすることで、親水性を示す表面において、水に濡れた状態でも滑らないようにすることが可能となる知見を得た。本発明は斯かる知見に基づくものである。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、親水性を示す部材において、外観自由度が高く、かつ防滑性に優れた、親水性防滑膜が形成された部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明によれば、基材と、基材上に形成される親水性防滑膜とを備えてなる部材であって、親水性防滑膜が、体積平均粒径が20μm以上100μm以下の粒子を2vol%以上含み、かつ、親水性防滑膜の膜厚と親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度との積が100vol%・μm以下であることを特徴とする。このようにすることで、親水性防滑膜に粒子がまばらに存在し、一定の艶感を残した状態で、水に濡れた場合においても防滑性を保つことが可能となる。
また、本発明では、親水性防滑膜の膜厚(μm)と粒子の体積平均粒径(μm)の比である親水性防滑膜の膜厚(μm):粒子の体積平均粒径(μm)が、0.1:1以上0.9:1以下であることも好ましい。このようにすることにより、粒子が親水性防滑膜に十分に固定されるとともに、親水性防滑膜に完全に埋没することが無いため、膜の表面が適切な凹凸となることが可能となる。
また、本発明では、粒子が、シリカ、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種類を含む粒子であることも好ましい。これらの材料を用いることで、例えばアクリル樹脂塗料や、ウレタン系塗料、アルキド系塗料に代表される、一般的な有機材料によるコーティング剤において、適度な硬さと柔軟性を有する凹凸を形成することが可能となり、好適な親水性防滑膜を形成することが可能となる。
また、本発明では、部材の水に濡れた状態で測定する静摩擦係数が0.6以上であることが好ましい。これにより、水に濡れた状態での防滑性を提供することが可能となる。
また、本発明では、部材のJISZ8741鏡面光沢度−測定方法により求める光沢度が15%以上であることが好ましい。これにより、目視外観上の艶感を提供することが可能である。
また、本発明では、親水性防滑膜はスルホン酸またはその塩からなる親水性官能基を含んでおり、親水性防滑膜に含まれる親水性官能基由来の硫黄原子の重量濃度を0.02wt%以上0.4wt%以下であることも好ましい。スルホン酸またはその塩からなる親水性官能基を親水性官能基由来の硫黄原子濃度を高くすることで、形成される膜は高い親水性を示す。一方で、該親水性官能基は水との親和性が高いため、湿潤環境下では該親水性官能基濃度が高い膜中に水分が浸入しやすくなる。膜中に水分が浸入すると、乾燥時に鉛筆硬度H以上の十分な膜硬度を備えていた場合であっても、水まわり等の湿潤環境下では膜が全体的に軟化してしまい、特に水まわり環境等での耐傷性、および基材への密着力が著しく低下する。
そこで、親水性防滑膜に含まれる該親水性官能基由来の硫黄原子の重量濃度を0.4wt%以下とすることにより、湿潤環境下においても鉛筆硬度H以上とすることが可能となった。従って、水まわり環境に親水性防滑膜を適用した場合であっても、膜の親水性と、十分な耐傷性や膜の密着性との両立が可能となる。
また、本発明にかかる親水性防滑膜では、親水性防滑膜中の親水性官能基由来の硫黄原子の重量濃度が、0.05wt%以上0.3wt%以下であることも好ましい。
このようにすることで、より確実に湿潤環境下における該膜の硬度低下を抑制することができ、水まわりでも特に耐傷性が必要なる浴室の床やキッチンカウンター等にも好適に利用することができる。
以下に本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(部材)
本発明の部材は、基材と、基材上に形成される親水性防滑膜とを備えている。基材と親水性防滑膜の間には、密着性向上、外観調整、意匠性付与等のために、プライマー層又は中間層等を設けてもよい。
本発明の部材は、基材と、基材上に形成される親水性防滑膜とを備えている。基材と親水性防滑膜の間には、密着性向上、外観調整、意匠性付与等のために、プライマー層又は中間層等を設けてもよい。
本発明の部材は、水に濡れた状態で測定する静摩擦係数が0.6以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.63以上である。このようにすることで水に濡れた状態での防滑性を呈することが可能となる。なお、ここでの水に濡れた状態とは、部材の表面に目視で水の存在が確認可能な状態を指し、部材表面に少なくとも水膜が存在する状態から、部材表面が水中に埋没した状態を意味する。
本発明の部材は、JISZ8741鏡面光沢度−測定方法により求める光沢度が15%以上であることが好ましく、さらに好ましくは16%以上である。このようにすることで見た目の艶感を呈することが可能となる。
本発明の部材は、水接触角が40°未満であることが好ましく、さらに好ましくは20°以下である。これにより親水性を示すことが可能となる。
(親水性防滑膜)
本発明の親水性防滑膜は、体積平均粒径が20μm以上100μm以下の粒子を体積濃度2vol%以上含み、かつ親水性防滑膜の膜厚と親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度との積が100vol%・μm以下である。なお、体積平均粒径はレーザー回折式粒子径分布測定装置に代表される、粒径分布測定装置により求めることができる。
本発明の親水性防滑膜は、体積平均粒径が20μm以上100μm以下の粒子を体積濃度2vol%以上含み、かつ親水性防滑膜の膜厚と親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度との積が100vol%・μm以下である。なお、体積平均粒径はレーザー回折式粒子径分布測定装置に代表される、粒径分布測定装置により求めることができる。
親水性防滑膜に含まれる粒子は、大きいほうが、水に濡れた状態での防滑性が向上する。よって、体積平均粒径20μm以上であることが望ましい。また、目視による外観において、表面の形状として認識されないために体積平均粒径100μm以下であることが望ましい。このようにすることで、十分な防滑性を発現すると共に、親水性防滑膜の表面に対して、構造、表面形状として認識されにくくなる。更に好ましくは30μm以上60μm以下である。
親水性防滑膜の膜厚(μm)と粒子の体積平均粒径(μm)の比である親水性防滑膜の膜厚(μm):粒子の体積平均粒径(μm)が、0.1:1以上0.9:1以下であることも好ましい。さらに好ましくは0.1:1以上0.5:1以下である。これにより、粒子が親水性防滑膜に十分に固定されるとともに、親水性防滑膜に完全に埋没することが無いため、膜の表面が適切な凹凸となることが可能となる。なお、膜厚は反射率膜厚計による膜厚測定や、顕微鏡による膜の断面観察、親水防滑膜の重量を膜の密度で割ること、等により求めることができる。
親水性防滑膜に含まれる粒子は、シリカ、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種類を含む粒子であることが好ましい。これらの材料であれば極端に低い表面エネルギーを持たないために、親水性防滑膜を形成するコーティング剤での混合が容易であり、膜中での粒子の強固な固定も期待できる。更には、これらの材質であれば、粒子の表面が膜の表面に露出した場合においても、膜の親水性を阻害することが少ない。特に好ましいのはアクリル、メタクリル樹脂である。これにより、艶感の高いコーティング剤として好適なアクリル系、メタクリル系樹脂を用いた膜に対し、良好な密着と、艶感の維持を行うことができる。また、これらの粒子の中でもより好ましくは透明な粒子を用いることで、外観の自由度が高まる。
また、本発明にかかる粒子は親水性防滑膜に多く含まれれば、防滑性が増す。艶感を維持した上で、水に濡れた状態でも優れた防滑性を発現するためには、2vol%以上20vol%以下含有されることが好ましく、さらに好ましくは、3vol%以上12vol%以内である。
なお、親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度(vol%)は以下の式により求めることができる。
親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度(vol%)=親水性防滑膜に含まれる粒子の体積(μm3)÷親水性防滑膜の体積(μm3)×100
親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度(vol%)=コーティング剤に含まれる粒子の濃度(vol%)}÷コーティング剤に含まれる全固形分の濃度(vol%)×100
ただし、全固形分とは、粒子とコーティング剤に含まれる粒子以外の成分を足したものであり、製膜後に膜として残存する成分である。
親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度(vol%)=親水性防滑膜に含まれる粒子の体積(μm3)÷親水性防滑膜の体積(μm3)×100
親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度(vol%)=コーティング剤に含まれる粒子の濃度(vol%)}÷コーティング剤に含まれる全固形分の濃度(vol%)×100
ただし、全固形分とは、粒子とコーティング剤に含まれる粒子以外の成分を足したものであり、製膜後に膜として残存する成分である。
コーティング剤に含まれる粒子の体積濃度(vol%)を測定することが困難な場合、親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度(vol%)は、たとえば以下の式により求めることも出来る。
親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度(vol%)=
{(コーティング剤に含まれる粒子の濃度(wt%)÷粒子の密度(g/cm3)}÷
{(コーティング剤に含まれる粒子の濃度(wt%)÷粒子の密度(g/cm3)+
(100−コーティング剤に含まれる粒子の濃度(wt%))×
コーティング剤に含まれる粒子以外の固形分濃度(wt%)÷
コーティング剤の固形分密度(g/cm3))}×100
親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度(vol%)=
{(コーティング剤に含まれる粒子の濃度(wt%)÷粒子の密度(g/cm3)}÷
{(コーティング剤に含まれる粒子の濃度(wt%)÷粒子の密度(g/cm3)+
(100−コーティング剤に含まれる粒子の濃度(wt%))×
コーティング剤に含まれる粒子以外の固形分濃度(wt%)÷
コーティング剤の固形分密度(g/cm3))}×100
また、本発明にかかる粒子は、親水性防滑膜に含まれる量が多すぎると、親水性防滑膜の艶感が減ずる。これは、表面の凹凸が密に生じるとともに、膜内部で、膜と粒子の界面で光の散乱が生じるためである。そのため、親水性防滑膜の艶感と、防滑性は、親水性防滑膜の一定面積内に含まれる粒子の数に関係する。そのため、本発明にかかる親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度と親水性防滑膜の膜厚の積は、100vol%・μm以下であることが好ましく、更に好ましくは20vol%・μm以上、70vol%・μm以下である。
本発明の親水性防滑膜の親水性の発現手段は特に限定されるものではないが、例えば、親水成分として、水酸基、アニオン性有機官能基、カチオン性有機官能基を含んでいることが好ましい。特に、水廻りでの防汚性、親水性維持を鑑みると、アニオン性有機官能基を含んでいることが。アニオン性有機官能基の中でもスルホン酸基、スルホン酸塩基は、親水性の発現に重要な要素である極性が高いため、好適に用いることが出来る。
スルホン酸基、及びスルホン酸塩基としては、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、3−((メタ)アクリロイルオキシ)プロパン−1−スルホン酸、アクリルアミドターシャリーブチルスルホン酸のナトリウムまたはカリウム塩、メタリルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸のナトリウムまたはカリウム塩、アルキルスルホコハク酸アルケニルエーテル塩、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸アルケニルエステル塩、グリセロール‐1‐アリル‐3‐アルキルフェニル‐2‐ポリオキシエチレン硫酸塩などが挙げられる。
スルホン酸基、及びスルホン酸塩基として、特に好ましいのは(メタ)アクリロイルオキシ基を有した直鎖アルキルスルホン酸及びその塩である2−((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、3−((メタ)アクリロイルオキシ)プロパン−1−スルホン酸である。これにより、耐久性の高い塗膜とすることができる。
本発明の親水性防滑膜は、スルホン酸またはその塩由来の硫黄原子を含んでいることが好ましく、親水性防滑膜に含まれる硫黄原子の重量濃度が0.02wt%以上0.4wt%以下であることが好ましい。このようにすることで、湿潤環境下においても鉛筆硬度H以上とすることが可能となる。
また、本発明にかかる親水性防滑膜では、親水性防滑膜中の親水性官能基由来の硫黄原子の重量濃度が、0.05wt%以上0.3wt%以下であることも好ましい。
このようにすることで、より確実に湿潤環境下における該膜の硬度低下を抑制することができ、水まわりでも特に耐傷性が必要なる浴室の床やキッチンカウンター等にも好適に利用することができる。
本発明の親水性防滑膜は、膜を物理的に構成する造膜成分を含んでいることが好ましい。造膜成分としては、アクリル系樹脂や、ビニル系樹脂、ウレタン樹脂等のポリマー、オリゴマー、及びモノマーを用いることが出来る。特にエチレン性不飽和基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基を有する化合物であれば加熱やエネルギー線照射などにより容易に塗膜を形成することができる。
エチレン性不飽和基化合物を有する造膜成分として好ましい化合物の例としては、分子内にエチレン性不飽和基を少なくとも二つ以上有する(メタ)アクリレートモノマー(オリゴマー)や、そのウレタン変性物であるウレタン(メタ)アクリレートモノマー(オリゴマー)、そのエポキシ変性物であるエポキシ(メタ)アクリレートモノマー(オリゴマー)が挙げられる。
本発明の親水性防滑膜を有する部材の模式図を図1に示す。本発明の親水性防滑膜は、親水性と、目視外観における艶感及び水濡れ時の防滑性を両立するために、膜の中に粒子を含有していることが好ましい。より好ましくは、親水性防滑膜の表面に、平滑な部分と、この平滑な部分よりも突き出た部分が生じることによって、水に濡れた状態であっても、部材に接触する物体と密着する部分を形成することが可能となり、水に濡れた状態でも防滑性を呈することが出来る。
本発明の親水性防滑膜を有する部材の表面について以下に説明する。親水性防滑膜は、比較的平滑な部分と、粒子を内包した突き出た部分をその表面に有している。
このような形状を有することで、艶感を保ちつつ、水に濡れた状態での防滑性の発現が発揮できる。このような親水性防滑膜の形状は、例えばレーザー顕微鏡やAFMによる表面形状測定で評価が可能である。このような測定手段によって得られる、平滑部の表面粗さ、突起の形状は、水に濡れた状態での防滑性と相関を持つ。
(コーティング剤)
本発明の親水性防滑膜を形成するためのコーティング剤は、親水成分、造膜成分を含んでいることが好ましい。より好ましくは溶媒や硬化剤を含んでなることが好ましい。
本発明の親水性防滑膜を形成するためのコーティング剤は、親水成分、造膜成分を含んでいることが好ましい。より好ましくは溶媒や硬化剤を含んでなることが好ましい。
コーティング剤に含まれる、親水成分としては、酸化チタンなどの無機材料や、極性官能基を有する有機材料を用いることが出来る。無機材料としては、例えば酸化チタン微粒子に代表される無機微粒子を用いることが出来る。有機材料としては、水酸基、カルボン酸基及びその塩基、スルホン酸基、及びその塩基、リン酸基、及びその塩基などを含む、モノマー、ポリマー、オリゴマーを用いることが出来る。特にスルホン酸基及びその塩基を含有するモノマー、ポリマー、オリゴマーは、スルホン酸由来の高い極性があるために、親水性を呈しやすく、好適に用いることが出来る。
コーティング剤に含まれる造膜成分としては、ジルコニアコロイドに代表される無機微粒子や、有機樹脂を用いることが出来る。有機樹脂の一例としては、エポキシ系、ビニル系、アクリル系、メタクリル系モノマー、ポリマー、オリゴマー、に代表される樹脂を用いることが出来る。好ましくは、アクリル系、メタクリル系樹脂を用いることで、艶感が高い膜を形成することが可能となる。
塗布性等の向上のために、溶剤を含んでも良い。この場合用いる溶剤は、 本発明の親水性塗料組成物は、基材への塗れ性向上や塗料の粘度を調整するために溶媒を使用することができる。溶媒としては親水成分と造膜成分との相溶性の観点から、例えば、メタノール、エタノール、IPA(イソプロパノール)、n―ブタノール等のアルコール類、メトキシエタノール、メトキシプロパノール等のセロソルブ類、アセトン等のケトン類、DMF(N,N’−ジメチルホルムアミド)や水が挙げられるが特にこれに限定されない。また、溶媒は必要に応じて複数種類を混合して用いても良い。
親水性防滑膜に対して、架橋や硬化を用いて、耐水性、耐傷性を向上させる目的のために、コーティング剤には硬化剤を含むことが好ましい。この場合、過酸化物に代表される熱ラジカル発生剤、イソシアネート硬化剤、ブロックドイソシアネート硬化剤、メラミン硬化剤、エポキシ硬化剤等、熱によって硬化が進む硬化剤や、紫外線や可視光によって硬化反応を起こすことの出来る光重合開始剤等が挙げられる。
(基材)
本発明に用いられる親水性防滑膜が形成される基材は、湿潤環境下における耐久性が要求される基材であれば、特に限定されない。水まわりにおいては、浴室壁材、浴室床材、浴室窓材、浴室扉材、シャワーブース壁材、浴室及び洗面鏡、洗面及びキッチンカウンター材、洗面ボウル材、キッチンシンク材、レンジフード材、便器材、便座材、及び排水口に使用される基材等の基材が挙げられる。
本発明に用いられる親水性防滑膜が形成される基材は、湿潤環境下における耐久性が要求される基材であれば、特に限定されない。水まわりにおいては、浴室壁材、浴室床材、浴室窓材、浴室扉材、シャワーブース壁材、浴室及び洗面鏡、洗面及びキッチンカウンター材、洗面ボウル材、キッチンシンク材、レンジフード材、便器材、便座材、及び排水口に使用される基材等の基材が挙げられる。
(部材の製造方法)
本発明における親水性防滑膜が形成された部材の製造方法は、粒子を含むコーティング剤を基材の表面に塗布し、熱、あるいは活性エネルギー線を用いた硬化を行うことが好ましい。水掛かりのある環境での耐久性を付与することが可能となる。
本発明における親水性防滑膜が形成された部材の製造方法は、粒子を含むコーティング剤を基材の表面に塗布し、熱、あるいは活性エネルギー線を用いた硬化を行うことが好ましい。水掛かりのある環境での耐久性を付与することが可能となる。
(塗布工程)
本発明のコーティング剤を基材に塗布する方法に限定はなく、ハケ塗り、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、カーテンコートなどの通常の方法によって行われる。塗膜の厚さは、親水性防滑膜に含まれる粒子の体積平均粒径に対して0.1以上0.9以下であることが望ましい。これにより、十分な防滑性と外観を両立することが可能となる。
本発明のコーティング剤を基材に塗布する方法に限定はなく、ハケ塗り、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、カーテンコートなどの通常の方法によって行われる。塗膜の厚さは、親水性防滑膜に含まれる粒子の体積平均粒径に対して0.1以上0.9以下であることが望ましい。これにより、十分な防滑性と外観を両立することが可能となる。
(乾燥工程)
本発明のコーティング剤に溶剤を含む場合、溶媒を乾燥させるため乾燥工程を行なうことが好ましい。生産性を鑑みた場合、加熱による乾燥が好適に用いることが可能である。
本発明のコーティング剤に溶剤を含む場合、溶媒を乾燥させるため乾燥工程を行なうことが好ましい。生産性を鑑みた場合、加熱による乾燥が好適に用いることが可能である。
(硬化工程)
本発明の親水性防滑膜を形成するためには、基材に塗布されたコーティング剤を硬化させる手段を用いても良い。硬化の手段としては、例えば熱硬化、活性エネルギー線硬化、または熱硬化と活性エネルギー線硬化との組み合わせが選択される。熱硬化を行う場合は、開始剤として熱重合開始剤が用いられ、赤外線または熱風等により加熱する公知の方法を用いることができる。また、活性エネルギー線硬化の場合、放射線としては、400〜800nmの可視光、400nm以下の紫外線、及び電子線が挙げられ、通常、装置が高価な電子線よりも、比較的に安価な紫外線または可視光線が好ましく用いられる。紫外線または可視光線を利用して活性エネルギー線硬化を行う場合は、光重合開始剤が用いられる。重合開始剤は、親水性防滑膜中に含有される重合性化合物の総重量の0.01〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲で添加することが好ましい。紫外線を用いる場合、紫外線発生源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、紫外線レーザー、太陽光等の紫外線などが挙げられる。照射雰囲気は空気でもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガスでもよい。
本発明の親水性防滑膜を形成するためには、基材に塗布されたコーティング剤を硬化させる手段を用いても良い。硬化の手段としては、例えば熱硬化、活性エネルギー線硬化、または熱硬化と活性エネルギー線硬化との組み合わせが選択される。熱硬化を行う場合は、開始剤として熱重合開始剤が用いられ、赤外線または熱風等により加熱する公知の方法を用いることができる。また、活性エネルギー線硬化の場合、放射線としては、400〜800nmの可視光、400nm以下の紫外線、及び電子線が挙げられ、通常、装置が高価な電子線よりも、比較的に安価な紫外線または可視光線が好ましく用いられる。紫外線または可視光線を利用して活性エネルギー線硬化を行う場合は、光重合開始剤が用いられる。重合開始剤は、親水性防滑膜中に含有される重合性化合物の総重量の0.01〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲で添加することが好ましい。紫外線を用いる場合、紫外線発生源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、紫外線レーザー、太陽光等の紫外線などが挙げられる。照射雰囲気は空気でもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガスでもよい。
以下の実施例によって本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(コーティング剤(A)の作製)
コーティング剤(A)として、スルホプロピルメタクリレートカリウム塩0.40重量部とイオン交換水2.6重量部を混合した水溶液と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−DPH)35.0重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート12.0重量部、メトキシエタノール75.0重量部、イルガキュア500(BASF製)0.70重量部を混合した溶液を混合および攪拌し、コーティング剤(A)を作製した。この時、コーティング剤(A)によって得られる親水性防滑膜に含まれる、スルホン酸またはその塩からなる親水性官能基由来の硫黄原子の重量濃度は0.1wt%である。
コーティング剤(A)として、スルホプロピルメタクリレートカリウム塩0.40重量部とイオン交換水2.6重量部を混合した水溶液と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−DPH)35.0重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート12.0重量部、メトキシエタノール75.0重量部、イルガキュア500(BASF製)0.70重量部を混合した溶液を混合および攪拌し、コーティング剤(A)を作製した。この時、コーティング剤(A)によって得られる親水性防滑膜に含まれる、スルホン酸またはその塩からなる親水性官能基由来の硫黄原子の重量濃度は0.1wt%である。
(コーティング剤(B)の作製)
コーティング剤(B)として、スルホプロピルメタクリレートカリウム塩0.28重量部とイオン交換水2.6重量部を混合した水溶液と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−DPH)17.5重量部、ウレタンアクリレート(新中村化学工業株式会社製UA−122P)17.5重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート12.0重量部、メタノール75.0重量部、イルガキュア500(BASF製)0.70重量部を混合した溶液を混合および攪拌し、コーティング剤(B)を作製した。この時、コーティング剤(B)によって得られる親水性防滑膜に含まれる、スルホン酸またはその塩からなる親水性官能基由来の硫黄原子の重量濃度は0.08wt%である。
コーティング剤(B)として、スルホプロピルメタクリレートカリウム塩0.28重量部とイオン交換水2.6重量部を混合した水溶液と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−DPH)17.5重量部、ウレタンアクリレート(新中村化学工業株式会社製UA−122P)17.5重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート12.0重量部、メタノール75.0重量部、イルガキュア500(BASF製)0.70重量部を混合した溶液を混合および攪拌し、コーティング剤(B)を作製した。この時、コーティング剤(B)によって得られる親水性防滑膜に含まれる、スルホン酸またはその塩からなる親水性官能基由来の硫黄原子の重量濃度は0.08wt%である。
(基材)
基材1:100mm×100mmサイズの黒色アクリル板
基材2:幅1.5mmの凹部に18mm×18mm×1mmの凸部を有する100mm×100mmサイズの軟質オレフィンシート上に、熱硬化性ビニル系プライマーを塗布して、加熱重合させ、この上にアクリル系UV硬化プライマーを塗布したもの。
基材3:100mm×100mmサイズの透明アクリル板
基材1:100mm×100mmサイズの黒色アクリル板
基材2:幅1.5mmの凹部に18mm×18mm×1mmの凸部を有する100mm×100mmサイズの軟質オレフィンシート上に、熱硬化性ビニル系プライマーを塗布して、加熱重合させ、この上にアクリル系UV硬化プライマーを塗布したもの。
基材3:100mm×100mmサイズの透明アクリル板
(実施例1)
得られたコーティング剤(A)98.14重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を1.86重量部添加し、スターラーで10分以上攪拌した。このようにして得られたコーティング剤を基材1に、スプレーガン(明治機械製作所FinerII)を用い、厚さ4〜7μm程度となるように塗布した。その後、70℃の熱風乾燥炉にて、10分間加熱乾燥を行った。その後、高圧水銀ランプを備えた紫外線硬化装置(ANUP4154、パナソニック電工)にて、積算光量1000mJ/cm2となるように紫外線を照射して硬化させ、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
得られたコーティング剤(A)98.14重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を1.86重量部添加し、スターラーで10分以上攪拌した。このようにして得られたコーティング剤を基材1に、スプレーガン(明治機械製作所FinerII)を用い、厚さ4〜7μm程度となるように塗布した。その後、70℃の熱風乾燥炉にて、10分間加熱乾燥を行った。その後、高圧水銀ランプを備えた紫外線硬化装置(ANUP4154、パナソニック電工)にて、積算光量1000mJ/cm2となるように紫外線を照射して硬化させ、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
(実施例2)
得られたコーティング剤(A)98.47重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を1.53重量部添加すること以外は実施例1と同様にして、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
得られたコーティング剤(A)98.47重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を1.53重量部添加すること以外は実施例1と同様にして、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
(実施例3)
得られたコーティング剤(A)96.56重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を3.44重量部添加すること以外は実施例1と同様にして、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
得られたコーティング剤(A)96.56重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を3.44重量部添加すること以外は実施例1と同様にして、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
(実施例4)
得られたコーティング剤(B)99.01重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を0.99重量部添加した。このようにして得られたコーティング剤を基材2に、スプレーガン(明治機械製作所FinerII)を用い、厚さ7〜12μm程度となるように塗布した以外は実施例1と同様にして、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
得られたコーティング剤(B)99.01重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を0.99重量部添加した。このようにして得られたコーティング剤を基材2に、スプレーガン(明治機械製作所FinerII)を用い、厚さ7〜12μm程度となるように塗布した以外は実施例1と同様にして、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
(実施例5)
得られたコーティング剤(B)99.01重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を0.99重量部添加した。このようにして得られたコーティング剤を基材2に、スプレーガン(明治機械製作所FinerII)を用い、厚さ7〜12μm程度となるように塗布した以外は実施例1と同様にして、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
得られたコーティング剤(B)99.01重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を0.99重量部添加した。このようにして得られたコーティング剤を基材2に、スプレーガン(明治機械製作所FinerII)を用い、厚さ7〜12μm程度となるように塗布した以外は実施例1と同様にして、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
(比較例1)
得られたコーティング剤(A)99.67重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を0.33重量部添加した。このようにして得られたコーティング剤を基材1に厚さ12〜15μm程度となるように塗布すること部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
得られたコーティング剤(A)99.67重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を0.33重量部添加した。このようにして得られたコーティング剤を基材1に厚さ12〜15μm程度となるように塗布すること部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
(比較例2)
得られたコーティング剤(A)97.29重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を2.71重量部添加した。このようにして得られたコーティング剤を基材1に厚さ12〜15μm程度となるように塗布すること以外は実施例1と同様にして、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
得られたコーティング剤(A)97.29重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を2.71重量部添加した。このようにして得られたコーティング剤を基材1に厚さ12〜15μm程度となるように塗布すること以外は実施例1と同様にして、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
(比較例3)
得られたコーティング剤(A)95.74重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を4.26重量部添加した。このようにして得られたコーティング剤を基材1に厚さ12〜15μm程度となるように塗布すること以外は実施例1と同様にして、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
得られたコーティング剤(A)95.74重量部に対し、体積平均粒子径35μmのアクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製 アートパール SE−030T)を4.26重量部添加した。このようにして得られたコーティング剤を基材1に厚さ12〜15μm程度となるように塗布すること以外は実施例1と同様にして、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
(比較例4)
得られたコーティング剤(B)を基材3に、厚さ5〜9μm程度となるように塗布した以外は実施例1と同様にして、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
得られたコーティング剤(B)を基材3に、厚さ5〜9μm程度となるように塗布した以外は実施例1と同様にして、部材を作製した。作製した部材の作製条件および特性を表1に示す。
親水性防滑膜の評価は以下のように行った。
(水接触角の測定)
水に対する静的接触角は、自動接触角計DM−701(協和界面科学製)を用いて、室温1μLの水滴を滴下後2秒後の静的接触角をθ/2法で測定した。測定は、親水性防滑膜を形成した後に蒸留水で親水性防滑膜を水洗いし乾燥させた後と、後述する耐薬品性試験の後にそれぞれ3点測定した。各測定結果は各測定の3回の平均値を用いた。
水に対する静的接触角は、自動接触角計DM−701(協和界面科学製)を用いて、室温1μLの水滴を滴下後2秒後の静的接触角をθ/2法で測定した。測定は、親水性防滑膜を形成した後に蒸留水で親水性防滑膜を水洗いし乾燥させた後と、後述する耐薬品性試験の後にそれぞれ3点測定した。各測定結果は各測定の3回の平均値を用いた。
(膜厚の測定)
親水性防滑膜の膜厚は、以下の式により求めた。なお、基材の密度は、樹脂の一般的な密度である1.18g/cm3を用いた。
親水性防滑膜の膜厚(μm)={(コーティング剤を塗布した後の基材の重量(g))−(コーティング剤を塗布する前の基材の重量(g))}÷(基材の面積(cm2))÷(親水性防滑膜の密度(g/cm3))×104
親水性防滑膜の膜厚は、以下の式により求めた。なお、基材の密度は、樹脂の一般的な密度である1.18g/cm3を用いた。
親水性防滑膜の膜厚(μm)={(コーティング剤を塗布した後の基材の重量(g))−(コーティング剤を塗布する前の基材の重量(g))}÷(基材の面積(cm2))÷(親水性防滑膜の密度(g/cm3))×104
(粒子の粒径)
実施例中で用いた粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定機(島津製作所製SALD−2100)を用いて測定した、積算体積50%粒子径をもちいた。
実施例中で用いた粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定機(島津製作所製SALD−2100)を用いて測定した、積算体積50%粒子径をもちいた。
(親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度)
親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度は、コーティング剤に含まれる粒子の体積を、粒子以外の固形分の、膜化した後の体積で割って算出できる。実施例及び比較例においては、具体的には、以下の式を用いて求めた。
親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度(vol%)=
{(コーティング剤に含まれる粒子の濃度(wt%)÷粒子の密度(g/cm3)}÷
{(コーティング剤に含まれる粒子の濃度(wt%)÷粒子の密度(g/cm3)+
(100−コーティング剤に含まれる粒子の濃度(wt%))×
コーティング剤に含まれる粒子以外の固形分濃度(wt%)÷
コーティング剤の固形分密度(g/cm3))}×100
なお、膜と粒子の密度として1.18g/cm3を用いて計算を行った。この値は理科年表第74冊446頁記載のポリメタクリル酸メチルの密度1.16〜1.20g/cm3の中央値である。
親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度は、コーティング剤に含まれる粒子の体積を、粒子以外の固形分の、膜化した後の体積で割って算出できる。実施例及び比較例においては、具体的には、以下の式を用いて求めた。
親水性防滑膜に含まれる粒子の体積濃度(vol%)=
{(コーティング剤に含まれる粒子の濃度(wt%)÷粒子の密度(g/cm3)}÷
{(コーティング剤に含まれる粒子の濃度(wt%)÷粒子の密度(g/cm3)+
(100−コーティング剤に含まれる粒子の濃度(wt%))×
コーティング剤に含まれる粒子以外の固形分濃度(wt%)÷
コーティング剤の固形分密度(g/cm3))}×100
なお、膜と粒子の密度として1.18g/cm3を用いて計算を行った。この値は理科年表第74冊446頁記載のポリメタクリル酸メチルの密度1.16〜1.20g/cm3の中央値である。
(光沢度の測定)
親水性防滑膜の光沢度を、JISZ8741鏡面光沢度−測定方法に基づき、光沢度計(コニカミノルタ製 GM−268PLUS)をもちいて、入射角60°の設定で3回測定した。3回測定した結果の平均値を各部材の光沢度とした。
親水性防滑膜の光沢度を、JISZ8741鏡面光沢度−測定方法に基づき、光沢度計(コニカミノルタ製 GM−268PLUS)をもちいて、入射角60°の設定で3回測定した。3回測定した結果の平均値を各部材の光沢度とした。
(外観の評価)
親水性防滑膜の外観を、目視により以下の要領で評価した。
○:サンプルに艶感が認められる場合
×:サンプルに艶感が認められない場合
親水性防滑膜の外観を、目視により以下の要領で評価した。
○:サンプルに艶感が認められる場合
×:サンプルに艶感が認められない場合
(水に濡れた状態の静摩擦係数の評価)
実施例1〜5および比較例1〜4で得られた部材の表面に、スポイトを用いて、イオン交換水2mLを滴下し、静摩擦計(新東科学製 ミューズ)にゴム半球型の測定子を取り付け、測定子と水滴の中央が一致するように設置し、3回の静摩擦係数測定を行った。3回の測定結果の平均値を、各部材の水に濡れた状態の静摩擦係数とした。
実施例1〜5および比較例1〜4で得られた部材の表面に、スポイトを用いて、イオン交換水2mLを滴下し、静摩擦計(新東科学製 ミューズ)にゴム半球型の測定子を取り付け、測定子と水滴の中央が一致するように設置し、3回の静摩擦係数測定を行った。3回の測定結果の平均値を、各部材の水に濡れた状態の静摩擦係数とした。
(水濡れ時の防滑性の評価)
親水性防滑膜の、水濡れ時の防滑性を評価するために、以下の要領で評価を行った。実施例1〜5および比較例1〜3で得られた部材の表面に、スポイトを用いて、イオン交換水2mLを滴下し、手の平を押し当て、水濡れ時の防滑性を評価した。なお、比較例4の部材と比較評価した。評価の基準は以下とした。
◎:比較例4より滑りにくい
△:比較例4と同等もしくは比較例4以下
親水性防滑膜の、水濡れ時の防滑性を評価するために、以下の要領で評価を行った。実施例1〜5および比較例1〜3で得られた部材の表面に、スポイトを用いて、イオン交換水2mLを滴下し、手の平を押し当て、水濡れ時の防滑性を評価した。なお、比較例4の部材と比較評価した。評価の基準は以下とした。
◎:比較例4より滑りにくい
△:比較例4と同等もしくは比較例4以下
(耐久性の評価)
実施例1〜5および比較例1〜4で得られた部材を5wt%水酸化ナトリウム水溶液に48時間浸漬させた後に流水で十分にすすぎ洗いを行い、乾燥後に目視にて外観を評価した。評価の基準は以下とした。
○:変化無し
×:外観に変化がある
実施例1〜5および比較例1〜4で得られた部材を5wt%水酸化ナトリウム水溶液に48時間浸漬させた後に流水で十分にすすぎ洗いを行い、乾燥後に目視にて外観を評価した。評価の基準は以下とした。
○:変化無し
×:外観に変化がある
(表面硬度の評価)
実施例1〜5および比較例1〜4で得られた部材の表面をJIS K5600−5−4に従った鉛筆硬度試験機を用いて、硬度Hの鉛筆で1cm引っかき、評価した。評価の基準は以下とした。
○:傷なし
×:傷あり
実施例1〜5および比較例1〜4で得られた部材の表面をJIS K5600−5−4に従った鉛筆硬度試験機を用いて、硬度Hの鉛筆で1cm引っかき、評価した。評価の基準は以下とした。
○:傷なし
×:傷あり
Claims (8)
- 基材と、基材上に形成される親水性防滑膜とを備えてなる部材であって、
前記親水性防滑膜が、
体積平均粒径が20μm以上100μm以下の粒子を2vol%以上含み、かつ、前記親水性防滑膜の膜厚と前記親水性防滑膜に含まれる前記粒子の体積濃度との積が100vol%・μm以下であることを特徴とする、部材。 - 前記親水性防滑膜の膜厚(μm)と前記粒子の体積平均粒径(μm)の比である親水性防滑膜の膜厚(μm):粒子の体積平均粒径(μm)が0.1:1以上0.9:1以下であることを特徴とする、請求項1に記載の部材。
- 前記粒子が、シリカ、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種類を含む粒子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の部材。
- 水に濡れた状態で測定する静摩擦係数が0.6以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の部材。
- JISZ8741鏡面光沢度−測定方法により求める光沢度が15%以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の部材。
- 水接触角が40°未満であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の部材。
- 前記親水性防滑膜は、スルホン酸またはその塩由来の硫黄原子を含んでおり、
前記親水性防滑膜に含まれる前記硫黄原子の重量濃度が0.02wt%以上0.4wt%以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の部材。 - 前記親水性防滑膜に含まれる前記硫黄原子の重量濃度が、0.05wt%以上0.3wt%以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の部材。
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