JP2014233897A - 複合フィルム - Google Patents
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Abstract
透気性・透湿性・耐水性に優れ、充分な突刺強度、引裂強度を有し、かつ粉落ち等の欠陥も無く取扱いが容易な、ハウスラップ等の建築用の資材や衣料用、包装材料用、産業用等広範囲の用途に適用可能な複合フィルムを提供する。
【解決手段】
ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー樹脂を主成分としてなる微多孔性フィルムと、不織布との少なくとも2層以上からなり、前記微多孔性フィルムと前記不織布とが熱ラミネート法により積層されてなることを特徴とする複合フィルム。
【選択図】 なし
Description
すなわち、本発明は、
(1)ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー樹脂を主成分としてなる微多孔性フィルムと、不織布との少なくとも2層以上からなり、前記微多孔性フィルムと前記不織布とが熱ラミネート法により積層されてなることを特徴とする複合フィルム。
(2)前記微多孔性フィルムが、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー樹脂を25〜75質量部含有する上記(1)に記載の複合フィルム。
(3)前記微多孔性フィルムが、縦方向に0℃から60℃の温度範囲で1,1倍以上かつ70℃から170℃の温度範囲で1.5倍以上かつ横方向に2倍以上二軸延伸されている上記(1)または(2)のいずれかに記載の複合フィルム。
(4)前記微多孔性フィルムが、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む海部と、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを主成分として含む島部からなり、前記島部の粒径が0.01〜10μmである上記(1)から(3)のいずれかに記載の複合フィルム。
本発明の複合フィルムは、以下に説明するポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーからなる微多孔性フィルムと、不織布とを、構成材料として備える。
本発明の微多孔性フィルムに用いられるポリオレフィン系樹脂は、プロピレン、エチレン等のオレフィン炭化水素を単量体成分として含む重合体をいう。ポリオレフィン系樹脂はホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。コポリマーである場合、オレフィン炭化水素の共重合割合は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であってもよいし、90質量%以上であってもよい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられ、とりわけポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂が好ましい。
ポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレンを単量体成分として含む重合体であり、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。コポリマーである場合ランダムコポリマーであってもよいし、ブロックコポリマーであってもよい。また、コポリマーである場合、共重合成分に限定はなく、例えば、エチレン、ブテン、ヘキセン等が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂がコポリマーである場合、プロピレンの共重合割合は50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
また、用いるポリオレフィン系樹脂は、いかなる結晶性や融点を有するものであっても本実施の形態においては単独で用いることができるが、得られる微多孔性フィルムの物性や用途に応じて、異なる性質を有する2種のポリオレフィン系樹脂を特定範囲で配合したポリオレフィン系樹脂組成物を用いても良い。
本発明の微多孔性フィルムに用いられるポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーは、オレフィン系及びスチレン系の重合体あるいは共重合体であって、常温付近でゴム状弾性を示すものであれば良く特に制限はない。具体的には、スチレン−水添イソプレンブロックコポリマー等のスチレン−オレフィンブロックコポリマーや、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー等のスチレン−オレフイン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー等が挙げられる。中でも、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロックコポリマーや、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマーが好適に用いられる。
本発明の微多孔性フィルムは、まず、原料を混合し、実質的に未延伸のフィルムを、押出方法にて製造する。
原料の混合方法は、一軸または二軸押出機、バンバリーミキサー、ミル、ニーダーブレンダーなど、各種公知の方法を採用することができ、これらの方法を用いて、あらかじめ各成分を溶融混合し、ペレット状に加工したものを押出成形に用いてもよいし、溶融混合し直接押出成形を行ってもよい。
押出方法としては、Tダイ押出成形、インフレーション成形、カレンダー成形、スカイフ法等の各種成形方法を採用し得るが、中でも、本発明のフィルムに要求される物性や用途の観点からは、Tダイ押出成形が好ましい。
延伸方法としては、ロール、テンター、チューブラー、オートグラフ等の各種方法を採用し得るが、本発明のフィルムの延伸方法としては、ロールによる縦延伸工程と、テンターによる横延伸工程を組み合わせた、逐次二軸延伸を採用することが好適である。
さらに、本発明のフィルムの製造方法は、縦延伸工程において、1段目として冷延伸工程、2段目として熱延伸工程の2段階の延伸工程を行うことが好ましい。縦延伸工程を2段階で行うことにより、得られる多孔性フィルムは、高度な透気性を備えたものとなる。またフィルム外観にも優れたものとなる。
縦延伸1段目の冷延伸工程は、延伸温度は0℃以上60℃未満、好ましくは10℃以上40℃未満とすることが好ましい。延伸倍率は1.1〜3倍、好ましくは1.2〜2倍とすることが好ましい。
縦延伸2段目の熱延伸工程は、延伸温度は70℃以上170℃未満、好ましくは90℃以上140℃未満とすることが好ましい。延伸倍率は1.5〜5倍、好ましくは1.5〜3倍とすることが好ましい。
横延伸工程については、延伸温度は90〜160℃、好ましくは120〜150℃とすることが好ましい。延伸倍率は、1.5〜4倍、好ましくは2〜3倍とすることが好ましい。
なお、上述の各延伸工程に加えて、更に延伸工程を追加することもできる。
本発明で用いられる不織布は、材質としては、熱可塑性樹脂、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィンなどが挙げられる。これらの中では、汎用性を有し、低コストである、ポリオレフィン製のものが好ましい。
本発明の複合フィルムは、上記微多孔性フィルムと、上記不織布とを積層して形成される。本発明においては、積層方法として、熱ラミネート法、特には、熱ロールを用いた熱ラミネート法により、微多孔性フィルムと不織布とを積層、複合化することが重要である。熱ロールのロール温度は70〜140℃、好ましくは90〜130℃の温度範囲とし、ロール圧力0.2〜1.5MPa、好ましくは0.4〜1.0MPaの範囲とすることにより、微多孔性フィルムの空孔が完全に押しつぶされることなく、十分実用に供する性能を有する複合フィルムを得ることができる。積層構成は、微多孔膜/不織布の2層でもよく、さらには不織布/微多孔膜/不織布の3層のように、微多孔膜の片側又は両側に不織布を積層してもよい。またその他、本発明の複合フィルムの効果を損なわない範囲で、その他の材料を積層してもよい。
JIS P8117に準拠し、王研式透気度試験機EGO1型(旭精工製)にて測定した。
JIS Z0208に準拠し、水蒸気透過量試験方法(40℃、90%RH)により測定した。
JIS L1092防水性試験方法(低水圧法)により測定した。
島津製万能型試験機AGS−Xを用い、針の直径1.0mm、押し込み速度300mm/分の条件で測定し、膜が破れる時の最大荷重を突刺強度(針貫通強度)とした。
JIS K7128−1トラウザー法に準拠し、幅50mm、150mmの試験片を用い、引張速度200mm/分にて、インテスコ社製引張試験機IM−20により測定した。
10cm角に切ったサンプルの表裏面を、5cm角の黒色発泡クロロプレンゴム(イノアックコーポレーション社製、製品番号C−4205)で10往復こすり、目視評価を行った。
・評価基準
○:粉落ちが生じていなかった。 ×:粉落ちが生じた。
(ポリオレフィン系樹脂)
PO1:プライムポリマー社製 商品名「ハイゼックス 3300F」
MFR=1.1g/10分、融点=132℃
PO2:日本ポリプロ社製 商品名「ノバテックPP FY6HA」
MFR=2.4g/10分、融点=158℃
PO3:日本ポリエチ社製 商品名「ノバテック SF240」
MFR=2.0g/10分、融点=126℃
(ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー)
ER1:クラレ社製 商品名「セプトン1001」
スチレン−水添イソプレンブロックコポリマー(SEP)
ER2:クラレ社製 商品名「セプトン8006」
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)
ER3:三井化学社製 商品名「タフマーP0480」
オレフィン系エラストマー、エチレン−プロピレンコポリマー(EPM)
(充填剤)
BS :硫酸バリウム、平均粒径=1.1μm
PO1を100質量部、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーとしてER1を43質量部の割合で配合し、設定温度190℃〜210℃に設定した同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製、口径=25mmφ、L/D=40)に投入して溶融混練し、ダイ温度210℃、ダイ幅300mm、リップギャップ1mmとなるTダイから押出し、キャスト温度100℃の設定でキャスティングし、幅=280mm、平均厚み=300μmのシートを得た。
次に、得られた原反シートを、ロール延伸機にて、縦方向に、延伸温度20℃、延伸倍率2.5倍で延伸した後、さらに延伸温度120℃、延伸倍率2.5倍で延伸し、次いで、この縦延伸フィルムの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で、横方向に延伸温度80℃、延伸倍率2倍で延伸を行い、厚み平均50μmの微多孔性フィルムを得た。
PO2を100質量部、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーとしてER2を43質量部の割合で配合し、設定温度190℃〜210℃に設定した同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製、口径=25mmφ、L/D=40)に投入して溶融混練し、ダイ温度210℃、ダイ幅300mm、リップギャップ1mmとなるTダイから押出し、キャスト温度120℃の設定でキャスティングし、幅=280mm、平均厚み=300μmのシートを得た。
次に、得られた原反シートを、ロール延伸機にて、縦方向に、延伸温度20℃、延伸倍率2倍で延伸した後、さらに延伸温度120℃、延伸倍率2倍で延伸し、次いで、この縦延伸フィルムの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で、横方向に延伸温度145℃、延伸倍率3倍で延伸を行い、厚み平均80μmの微多孔性フィルムを得た。
実施例1で得られた微多孔性フィルムとスパンボンド不織布(ユニチカ製「エルベスS023WDO」、厚み平均160μm、目付20g/m2)を、不織布/微多孔性フィルム/不織布となるように三層に積層させ、加熱弾性ニップロールを利用して、ロール温度125℃、ロール圧力0.4MPa、ロール速度30cm/分で熱間圧着して複合フィルムを得た。各種物性評価の結果を表1に示す。
実施例1で作成した微多孔性フィルムについて、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2で作成した微多孔性フィルムについて、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2の微多孔性フィルムのポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL3に変更して微多孔性フィルムを作成し、この微多孔性フィルムについて、評価を行った。結果を表1に示す。
ポリオレフィン系樹脂としてPO1を100質量部に対しPO3を233質量部、充填剤としてBSを500質量部の割合で配合し、これに加えて、硬化ひまし油(KFトレーディング社製、商品名「H−COP」)を20質量部、酸化防止剤(BASF社製、商品名「イルガフォス168」)を1.3質量部、熱安定剤(BASF社製、商品名「イルガノックス1010」)0.7質量部を添加し、同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製、口径=40mmφ、L/D=32)に投入し、設定温度240℃で溶融混練してストランドダイより押出した後、ストランドを水中で冷却固化し、カッターによりストランドをカットし、ペレット状に加工した樹脂組成物を作製した。
得られた樹脂組成物を240℃の溶融状態で単層で押出し、シートを作製した。
次に、得られた原反シートを、ロール延伸機にて、縦方向に延伸温度20℃、延伸倍率1.5倍で延伸した後、さらに延伸温度110℃、延伸倍率2倍で延伸し、次いで、この縦延伸フィルムの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で、横方向に延伸温度100℃、延伸倍率3倍で延伸を行い、厚み平均150μmの微多孔性フィルムを得た。各種物性評価の結果を表1に示す。
Claims (4)
- ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー樹脂を主成分としてなる微多孔性フィルムと、不織布との少なくとも2層以上からなり、前記微多孔性フィルムと前記不織布とが熱ラミネート法により積層されてなることを特徴とする複合フィルム。
- 前記微多孔性フィルムが、ポリオレフィン系樹脂を100質量部に対し、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー樹脂を25〜75質量部含有する請求項1に記載の複合フィルム。
- 前記微多孔性フィルムが、縦方向に0℃から60℃の温度範囲で1,1倍以上かつ70℃から170℃の温度範囲で1.5倍以上かつ横方向に2倍以上二軸延伸されている請求項1または2のいずれかに記載の複合フィルム。
- 前記微多孔性フィルムが、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む海部と、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを主成分として含む島部からなり、前記島部の粒径が0.01〜10μmである請求項1から3のいずれかに記載の複合フィルム。
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