JP2014222007A - 建設機械用油圧システム - Google Patents

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英祐 松嵜
Hidesuke Matsuzaki
英祐 松嵜
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Abstract

【課題】エンジン負荷トルクが急変した場合にも油圧ポンプの吐出量を適切に制御できる建設機械用油圧システムを提供すること。【解決手段】油圧ポンプ10の吐出圧に応じて油圧ポンプ10の吐出量を変化させる馬力制御を行う建設機械用油圧システム100は、吐出圧(Pd)を検出して吐出圧信号を出力する吐出圧センサS3、S4と、油圧ポンプ10の吐出量を制御するポンプレギュレータ40と、ポンプレギュレータ40を駆動する制御圧を生成する電磁弁55と、吐出圧信号を受けて電磁弁55に対する電流指令(Is)を出力するコントローラ54とを備える。コントローラ54は、吐出圧(Pd)に対応するポンプ流量指令値(Qh')に対して位相進み補償を行う位相進み補償部PC1を有する。【選択図】図5

Description

本発明は、建設機械に搭載される油圧システムに関する。
従来、油圧ポンプの吸収馬力がエンジンの出力馬力を超えないよう、油圧ポンプの吐出圧の上昇に応じて吐出量を低減させる馬力制御を採用する油圧駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この油圧駆動装置は、エンジン負荷トルク増大時の過給圧の低下に応じて燃料噴射量が制限される場合であっても、エンジン回転数偏差と過給圧に応じて油圧ポンプの吸収馬力の最大値を低下させて油圧ポンプの吐出量を制限することでエンジン回転数の低下を抑えるようにしている。
特開2001−193702号公報
しかしながら、特許文献1の油圧駆動装置は、エンジン回転数偏差と過給圧に応じて油圧ポンプの吐出量を制限するのみであり、エンジン回転数が変化する前に発生するエンジン負荷トルクの変化に応じて油圧ポンプの吐出量を制限することはない。そのため、特許文献1の油圧駆動装置は、エンジン負荷トルクが急増した場合には、エンジン回転数が変化するまで油圧ポンプの吐出量を制限することができず、油圧ポンプの吸収馬力がエンジンの出力馬力を超える状態を引き起こすおそれがある。その結果、特許文献1の油圧駆動装置は、エンジン回転数を大幅に低下させてしまい、エンジン回転数が回復するまでの建設機械の操作性を悪化させ、さらには、建設機械の燃費を低下させてしまうおそれがある。
上述の点に鑑み、本発明は、エンジン負荷トルクが急変した場合にも油圧ポンプの吐出量を適切に制御できる建設機械用油圧システムを提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明の実施例に係る建設機械用油圧システムは、油圧ポンプの吐出圧に応じて前記油圧ポンプの吐出量を変化させる馬力制御を行う建設機械用油圧システムであって、前記油圧ポンプの吐出圧を検出して吐出圧信号を出力する吐出圧センサと、前記油圧ポンプの吐出量を制御するポンプレギュレータと、前記ポンプレギュレータを駆動する制御圧を生成する電磁弁と、前記吐出圧信号を受けて前記電磁弁に対する電流指令を出力するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記吐出圧信号に応じて生成される、前記電流指令に関する指令値に対して位相進み補償を行う位相進み補償部を有する。
上述の手段により、本発明は、エンジン負荷トルクが急変した場合にも油圧ポンプの吐出量を適切に制御できる建設機械用油圧システムを提供することができる。
本発明の実施例に係る建設機械用油圧システムを搭載するショベルの構成例を示す図である。 本発明の実施例に係る建設機械用油圧システムの回路図である。 油圧アクチュエータ速度制御の流れを示すブロック線図である。 ブリードラインと油圧アクチュエータラインの違いを示す図である。 コントローラの動作の流れを示すブロック線図である。 電流指令出力処理の流れを示すフローチャートである。 位相進み補償部単体の伝達関数の周波数特性のシミュレーション結果を示すボード線図である。 油圧ポンプの伝達関数の周波数特性のシミュレーション結果を示すボード線図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について説明する。
図1は、本発明の実施例に係る建設機械用油圧システムが搭載されるショベルの構成例を示す図である。図1において、建設機械としてのショベル1は、クローラ式の下部走行体2の上に、旋回機構を介して、上部旋回体3をX軸周りに旋回自在に搭載している。
また、上部旋回体3は、前方中央部に掘削アタッチメントを備える。掘削アタッチメントは、ブーム4、アーム5、及びバケット6を含み、且つ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9を含む。
図2は、本発明の実施例に係る建設機械用油圧システムの回路図である。建設機械用油圧システム100は、エンジン、電動モータ等の駆動源によって駆動される油圧ポンプ10L、10R(以下では、集合的に「油圧ポンプ10」と称する場合もある。左右一対で構成される他の構成要素についても同様である。)を有する。油圧ポンプ10Lは、一回転当たりの吐出量(cc/rev)を可変とする可変容量型ポンプである。また、油圧ポンプ10Lは、流量制御弁11L、12L、13L、及び15Lを連通するセンターバイパス管路30Lを経て作動油タンク22まで作動油を循環させる。同様に、油圧ポンプ10Rは、流量制御弁12R、13R、14R、及び15Rを連通するセンターバイパス管路30Rを経て作動油タンク22まで作動油を循環させる。
流量制御弁11Lは、油圧ポンプ10Lが吐出する作動油を走行用油圧モータ42Lに供給するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
流量制御弁12Lは、油圧ポンプ10Lが吐出する作動油を旋回用油圧モータ44に供給するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。流量制御弁12Rは、油圧ポンプ10Rが吐出する作動油を走行用油圧モータ42Rに供給するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
流量制御弁13L、13Rはそれぞれ、油圧ポンプ10L、10Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、また、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンク22へ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。流量制御弁13Rは、操作装置としてのブーム操作レバーが操作された場合に、油圧ポンプ10Rが吐出する作動油をブームシリンダ7に供給するスプール弁である。また、流量制御弁13Lは、ブーム操作レバーが所定のレバー操作量以上で操作された場合に、油圧ポンプ10Lが吐出する作動油を追加的にブームシリンダ7に供給するスプール弁である。
流量制御弁14Rは、油圧ポンプ10Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、また、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンク22へ排出するためのスプール弁である。
また、流量制御弁15L、15Rはそれぞれ、油圧ポンプ10L、10Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、また、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンク22へ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。流量制御弁15Lは、操作装置としてのアーム操作レバーが操作された場合に、油圧ポンプ10Lが吐出する作動油をアームシリンダ8に供給するスプール弁である。また、流量制御弁15Rは、アーム操作レバーが所定のレバー操作量以上で操作された場合に、油圧ポンプ10Rが吐出する作動油を追加的にアームシリンダ8に供給するスプール弁である。
センターバイパス管路30L、30Rは、それぞれ、最も下流にある流量制御弁15L、15Rと作動油タンク22との間にネガティブコントロール絞り20L、20Rを備える(以下では、ネガティブコントロールを「ネガコン」と略称する。)。ネガコン絞り20L、20Rは、油圧ポンプ10L、10Rが吐出する作動油の流れを制限することにより、ネガコン絞り20L、20Rの上流でネガコン圧を発生させる。
圧力センサS1、S2は、ネガコン絞り20L、20Rの上流で発生したネガコン圧を検出し、検出した値を電気的なネガコン圧信号としてコントローラ54に対して出力する。圧力センサS3、S4は、油圧ポンプ10L、10Rの吐出圧を検出し、検出した値を電気的な吐出圧信号としてコントローラ54に対して出力する。
コントローラ54は、油圧システム100を制御する機能要素であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、NVRAM(Non Volatile RAM)等を備えたコンピュータである。
本実施例では、コントローラ54は、アーム操作レバー、ブーム操作レバー等の各種操作装置を操作した場合に発生するパイロット圧を測定するレバー操作量検出部としてのパイロット圧センサの出力に基づいて各種操作装置のレバー操作量を電気的に検出する。但し、レバー操作量検出部は、各種操作レバーの傾きを検出する傾きセンサ等、パイロット圧センサ以外のセンサを用いて構成されてもよい。
そして、コントローラ54は、各種操作装置のレバー操作量に応じて電磁弁55等を動作させる各種機能要素に対応するプログラムをROMに記憶しながら、各種機能要素に対応する処理をCPUに実行させる。
電磁弁55L、55Rは、コントローラ54が出力する指令に応じて動作する弁である。本実施例では、電磁弁55L、55Rは、コントローラ54が出力する電流指令に応じてコントロールポンプ52から吐出量制御部61L、61Rの受圧室612L、612Rに導入される制御圧を調整する電磁減圧弁である。
ポンプレギュレータ40Lは、油圧ポンプ10Lの吐出量を制御する駆動機構であり、主に、傾転アクチュエータ41L、スプール弁機構60L、吐出量制御部61L、及び、フィードバックレバー62Lを含む。
傾転アクチュエータ41Lは、油圧ポンプ10Lのポンプ容量を変化させるための斜板(ヨーク)を傾転駆動する機能要素である。具体的には、傾転アクチュエータ41Lは、一端に大径受圧部PR1を有すると共に他端に小径受圧部PR2を有する作動ピストン410Lと、大径受圧部PR1に対応する受圧室411Lと、小径受圧部PR2に対応する受圧室412Lとを含む。受圧室411Lにはスプール弁600Lを介して油圧ポンプ10Lの吐出圧が導入され、或いは、受圧室411Lからスプール弁600Lを介して作動油が排出される。また、受圧室412Lには油圧ポンプ10Lの吐出圧が導入される。作動ピストン410Lは、受圧室411Lに作動油が導入されて受圧室412L側に変位すると油圧ポンプ10Lの斜板(ヨーク)を小流量側に傾転駆動する。また、作動ピストン410Lは、受圧室411Lから作動油が排出されて受圧室411L側に変位すると油圧ポンプ10Lの斜板(ヨーク)を大流量側に傾転駆動する。
スプール弁機構60Lは、傾転アクチュエータ41Lに作動油の給排を行うための機能要素であり、スプール弁600L及びばね601Lを含む。スプール弁600Lは、油圧ポンプ10Lの吐出圧が導入される第一ポート、作動油タンク22に連通する第二ポート、及び受圧室411Lに連通する出力ポートを有する。また、スプール弁600Lは、第一ポートと出力ポートとを連通する第一位置、第二ポートと出力ポートとを連通する第二位置、又は第一ポート及び第二ポートの何れをも出力ポートに連通しない中立位置に選択的に切り換えられる。ばね601Lは、スプール弁600Lを第二位置に変位させる方向に作用する力を付与する。
吐出量制御部61Lは、スプール弁600Lを変位させるための機能要素である。具体的には、吐出量制御部61Lは、サーボピストン610L、ばね611L、及び受圧室612Lを含む。サーボピストン610Lは、電磁弁55Lが生成する制御圧に応じて、スプール弁600Lを第一位置に変位させる方向に移動する。ばね611Lは、電磁弁55Lが生成する制御圧に抗して、サーボピストン610Lを復帰させる方向に作用する力を付与する。受圧室612Lは、サーボピストン610Lに設けられた受圧部PR3に対応し、コントロールポンプ52から電磁弁55Lを通じて作動油が導入される。
フィードバックレバー62Lは、傾転アクチュエータ41Lの変位をスプール弁600Lにフィードバックするためのリンク機構である。具体的には、フィードバックレバー62Lは、作動ピストン410Lが移動したときにその移動量を物理的にスプール弁600Lにフィードバックしてスプール弁600Lを中立位置に復帰させるようにする。
なお、上述の説明は、ポンプレギュレータ40Lに関するものであるが、ポンプレギュレータ40Rに対しても同様に適用される。
以上の構成により、ポンプレギュレータ40L、40Rは、吐出量制御部61L、61Rに導入される制御圧が大きいほど油圧ポンプ10L、10Rの吐出量を低減させる。また、ポンプレギュレータ40L、40Rは、吐出量制御部61L、61Rに導入される制御圧が小さいほど油圧ポンプ10L、10Rの吐出量を増大させる。
なお、図2は、ショベル1における油圧アクチュエータが何れも利用されていない状態を示す。以下、この状態を「待機モード」と称する。待機モードでは、油圧ポンプ10L、10Rが吐出する作動油は、センターバイパス管路30L、30Rを通ってネガコン絞り20L、20Rに至り、ネガコン絞り20L、20Rの上流で発生するネガコン圧を増大させる。
その結果、ポンプレギュレータ40L、40Rは、ネガコン圧信号に基づいてコントローラ54が生成する指令に応じて、スプール弁600L、600Rを第一位置に変位させる。スプール弁600L、600Rは、傾転アクチュエータ41L、41Rを駆動して、油圧ポンプ10L、10Rの吐出量を低減させる。その結果、油圧ポンプ10L、10Rが吐出する作動油がセンターバイパス管路30L、30Rを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)が抑制される。
一方、ショベル1における何れかの油圧アクチュエータが操作された場合、油圧ポンプ10L、10Rが吐出する作動油は、その油圧アクチュエータに対応する流量制御弁を介してその油圧アクチュエータに流れ込む。そのため、ネガティブコントロール絞り20L、20Rに至る量は減少或いは消滅し、ネガティブコントロール絞り20L、20Rの上流で発生するネガコン圧は低下する。
その結果、ポンプレギュレータ40L、40Rは、油圧ポンプ10L、10Rの吐出量を増大させ、各油圧アクチュエータに十分な作動油を循環させ、各アクチュエータの駆動を確かなものとする。
以下では、上述のようなネガコン圧に基づく油圧ポンプ10の吐出量の制御を「ネガコン制御」と称する。ネガコン制御により、油圧システム100は、待機モードにおいては、無駄なエネルギー消費を抑制できる。油圧ポンプ10L、10Rの吐出する作動油がセンターバイパス管路30L、30Rで発生させるポンピングロスを抑制できるためである。また、油圧システム100は、各種油圧アクチュエータを作動させる場合には、油圧ポンプ10L、10Rから必要十分な作動油を各種油圧アクチュエータに供給できる。
また、油圧システム100は、ネガコン制御と並行して馬力制御を実行する。馬力制御は、油圧ポンプ10の吸収馬力がエンジンの出力馬力を超えないよう、油圧ポンプ10の吐出圧の上昇に応じて吐出量を低減させる制御である。また、以下では、コントローラ54による油圧ポンプ10の吐出量の制御を「吐出量制御」と称する。
次に、図3を参照しながら、油圧ポンプ10に関する吐出圧(Pd)とネガコン圧(Pn)とに応じて油圧アクチュエータの動作速度(v)が決まるまでの制御(以下、「油圧アクチュエータ速度制御」とする。)の流れについて説明する。なお、図3は、油圧アクチュエータ速度制御の流れを示すブロック線図である。
最初に、コントローラ54は、吐出圧センサS3、S4で検出された吐出圧(Pd)を表す電気信号としての吐出圧信号を取得する。また、コントローラ54は、ネガコン圧センサS1、S2で検出されたネガコン圧(Pn)を表す電気信号としてのネガコン圧信号を取得する。コントローラ54は、電磁弁55に対する電流指令(Is)を吐出圧(Pd)及びネガコン圧(Pn)に基づいて決定する。電磁弁55は、電流指令(Is)に応じた制御圧(Ps)を吐出量制御部61の受圧室612で発生させる。
その後、吐出量制御部61は、スプール弁機構60及び傾転アクチュエータ41を介して油圧ポンプ10の吐出量(Qd)を制御圧(Ps)に応じた量に調整する。図3は、制御圧(Ps)が1次遅れを表す演算要素E1を介して油圧ポンプ10の吐出量(Qd)に変換される様子を表す。
その後、油圧ポンプ10の吐出量(Qd)の変化は、センターバイパス管路30内の作動油の体積変化に起因する圧力を生じさせる。図3は、油圧ポンプ10の吐出量(Qd)が圧縮ボリュームを表す演算要素E2を介して吐出圧(Pd')に変換される様子を表す。なお、演算要素E2において、K、V、sはそれぞれ、体積弾性率、体積、ラプラス演算子を表す。また、ここで得られた吐出圧(Pd')は、一点鎖線で表される馬力制御フィードバックループを通じてコントローラ54にフィードバックされる。吐出圧センサS3、S4で検出された吐出圧(Pd)と、コントローラ54が電磁弁55に対して出力する電流指令(Is)に応じて演算される吐出圧(Pd')が等しくなるようにして制御を安定化させるためである。
その後、ポンプ10が吐出する吐出圧(Pd')を有する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する流量制御弁のP−T絞りを通る。図3は、油圧ポンプ10の吐出圧(Pd')からネガコン圧(Pn')を差し引いた圧力が流量制御弁のP−T絞りを表す演算要素E3を介してブリード流量(Qb)に変換される様子を表す。なお、演算要素E3において、c、A、ρ、Δpはそれぞれ、流量係数、開口面積、密度、圧力変化を表す。この場合、油圧ポンプ10の吐出圧(Pd')はP−T絞りの上流側の圧力を表し、ネガコン圧(Pn')はP−T絞りの下流側の圧力を表す。また、ブリード流量(Qb)は、流量制御弁のP−T絞りを通過する作動油の流量を表す。
また、流量制御弁の下流側にあるネガコン圧(Pn')を有する作動油は、ネガコン絞り20を通って作動油タンク22に排出される。図3は、ネガコン圧(Pn')がネガコン絞り20を表す演算要素E4を介して排出流量(Qe)に変換される様子を表す。この場合、排出流量(Qe)は、ネガコン絞り20を通過する作動油の流量を表す。
なお、ネガコン絞り20における流量(Qb−Qe)の変化は、作動油の体積変化に起因する圧力を生じさせる。図3は、流量(Qb−Qe)が圧縮ボリュームを表す演算要素E5を介してネガコン圧(Pn')に変換される様子を表す。なお、ここで得られたネガコン圧(Pn')は、二点鎖線で表されるネガコン制御フィードバックループを通じてコントローラ54にフィードバックされる。ネガコン圧センサS1、S2で検出されたネガコン圧(Pn)と、コントローラ54が電磁弁55に対して出力する電流指令(Is)に応じて演算されるネガコン圧(Pn')が等しくなるようにして制御を安定化させるためである。
その後、センターバイパス管路30を流れる作動油の流量は、一部が油圧アクチュエータに流れることによって変化する。そのため、センターバイパス管路30を流れる作動油の流量(Qd−Qb)の変化は、作動油の体積変化に起因する圧力を生じさせる。図3は、流量(Qd−Qb)が圧縮ボリュームを表す演算要素E2を介して吐出圧(Pd')に変換される様子を表す。
また、ポンプ10が吐出する吐出圧(Pd')を有する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する流量制御弁のP−C絞りを通る。図3は、油圧ポンプ10の吐出圧(Pd')から油圧アクチュエータ圧(Pact)を差し引いた圧力が流量制御弁のP−C絞りを表す演算要素E6を介して油圧アクチュエータ流量(Qact)に変換される様子を表す。この場合、油圧ポンプ10の吐出圧(Pd')はP−C絞りの上流側の圧力を表し、油圧アクチュエータ圧(Pact)はP−C絞りの下流側の圧力を表す。また、油圧アクチュエータ流量(Qact)は、流量制御弁のP−C絞りを通過する作動油の流量を表す。なお、油圧アクチュエータ流量(Qact)は、演算要素E2にフィードバックされる。油圧ポンプ10の吐出圧(Pd')は、油圧ポンプ10の吐出量(Qd)からブリード流量(Qb)と油圧アクチュエータ流量(Qact)とを差し引いた流量の作動油の圧縮によって生成されるためである。
その後、油圧アクチュエータ流量(Qact)の変化は、油圧アクチュエータ内の作動油の体積変化に起因する圧力を生じさせ、さらに、油圧アクチュエータを動かす力を発生させる。図3は、油圧アクチュエータ流量(Qact)が圧縮ボリュームを表す演算要素E7を介して油圧アクチュエータ圧(Pact)に変換され、さらに、油圧アクチュエータの受圧面積Aを表す演算要素E8を介して力に変換される様子を表す。
その後、油圧アクチュエータで発生させた力と外力(Fe)と油圧アクチュエータに対する作動油の動摩擦力(Ff)の合力に応じて油圧アクチュエータの動きが決定される。図3は、その合力が演算要素E9を介して油圧アクチュエータの動作速度(v)に変換される様子を表す。なお、演算要素E9において、M、sはそれぞれ、質量、ラプラス演算子を表す。
また、演算要素E7が出力する油圧アクチュエータ圧(Pact)は、演算要素E6にフィードバックされる。油圧アクチュエータ流量(Qact)は、油圧ポンプ10の吐出圧(Pd')と油圧アクチュエータ圧(Pact)との間の差圧によって生成されるためである。
同様に、演算要素E9が出力する油圧アクチュエータの動作速度(v)は、油圧アクチュエータの受圧面積Aを表す演算要素E10を介して油圧アクチュエータ流量(Qact')に変換された上で、演算要素E7にフィードバックされる。
また、演算要素E9が出力する油圧アクチュエータの動作速度(v)は、作動油の動摩擦係数Bを表す演算要素E11を介して動摩擦力(Ff)に変換された上で、演算要素E9にフィードバックされる。
以上、油圧アクチュエータ速度制御の流れを説明したが、ここで再び、ブリード流量(Qb)及び油圧アクチュエータ流量(Qact)の詳細について説明する。
図4は、図2と同じ回路図であり、図中の太丸RAは、油圧ポンプ10Lに関するブリードラインと油圧アクチュエータラインとの分流ポイントを表す。また、図中の太い実線は、油圧ポンプ10Lに関するブリードラインを表し、図中の太い点線は、油圧ポンプ10Lに関する油圧アクチュエータラインを表す。
上述の通り、ブリード流量(Qb)は、流量制御弁のP−T絞りを通過する作動油の流量を表し、本実施例では、ブリードラインを流れる作動油の流量を表す。
また、油圧アクチュエータ流量(Qact)は、流量制御弁のP−C絞りを通過する作動油の流量を表し、本実施例では、油圧アクチュエータラインを流れる作動油の流量を表す。
この場合、図3の演算要素E3における開口面積Aは、直列に接続された流量制御弁11L、12L、13L、15LのそれぞれにおけるP−T絞りの等価開口面積Aに相当する。等価開口面積Aは、以下の式(1)で表される。なお、Aは、各流量制御弁のP−T絞りの開口面積を表し、nは、流量制御弁の数(本実施例では4つ)を表す。
Figure 2014222007
流量係数を考慮した場合、図3の演算要素E3におけるcAは、cAに相当し、以下の式(2)で表される。なお、Cは、各流量制御弁の流量係数を表す。
Figure 2014222007
なお、式(1)及び式(2)で表す関係は、図3の演算要素E3、すなわち、ブリードラインを構成する各流量制御弁のP−T絞りに関するものである。しかしながら、式(1)及び式(2)で表す関係は、図3の演算要素E6、すなわち、油圧アクチュエータラインを構成する各流量制御弁のP−C絞りに関しても同様に適用される。また、上述の関係は、油圧ポンプ10Lに関するものであるが、油圧ポンプ10Rに関しても同様に適用される。
次に、図5を参照して、コントローラ54の動作について説明する。なお、図5は、コントローラ54の動作の流れを示すブロック線図である。
図5に示すように、コントローラ54は、主に、参照テーブルTB1、TB2、TB3、位相進み補償部PC1、及び、低位選択部LS1、LS2を含む。また、参照テーブルTB1、TB2、TB3は、ROM、NVRAM等に予め登録されている。
参照テーブルTB1は、馬力制御で用いられる吐出圧(Pd)とポンプ流量(Qh')との対応関係を表す参照テーブル(PQ線図)である。なお、ポンプ流量(Qh')は、油圧ポンプ10の1回転当たりの吐出量(押し退け容積)であり、油圧ポンプ10が出力する制御量としてのポンプ流量(Qp)に関する操作量(指令値)である。また、油圧ポンプ10の吐出量(Qd)は、ポンプ流量(Qp)にポンプ回転数を乗じた値である。また、馬力制御は、ポンプ流量(Qh=Qh')と吐出圧(Pd)との積である吸収馬力が所望の値(目標吸収馬力)となるよう、吐出圧(Pd)の変化に応じてポンプ流量(Qh=Qh')を変化させる。また、本実施例では、吐出圧(Pd)は、油圧ポンプ10Lの吐出圧、油圧ポンプ10Rの吐出圧、及びシフト圧力の合計である。また、シフト圧力は、油圧ポンプ10の目標吸収馬力を変更する際に用いられる調整可能な圧力であり、シフト圧力を増大させることは、油圧ポンプ10の目標吸収馬力を低下させることを意味する。なお、油圧ポンプ10の目標吸収馬力は、エンジンの仕様によって決まる許容最大吸収馬力以下の値に設定される。
参照テーブルTB2は、ネガコン制御で用いられるネガコン圧(Pn)とポンプ流量(Qp')との対応関係を表す参照テーブルである。なお、ポンプ流量(Qp')は、ポンプ流量(Qh')と同様、油圧ポンプ10の1回転当たりの吐出量(押し退け容積)であり、油圧ポンプ10が出力する制御量としてのポンプ流量(Qp)に関する操作量(指令値)である。
位相進み補償部PC1は、入力信号に対して位相進み補償を行う機能要素である。本実施例では、位相進み補償部PC1は、ポンプ流量(Qh')に対して位相進み補償を行い、馬力制御の動的なゲインを増大させることによって、油圧ポンプ10の吐出量制御の速応性を向上させる。なお、位相進み補償部PC1において、α、T、sはそれぞれ、位相進み補償係数、時定数、ラプラス演算子を表す。
具体的には、位相進み補償部PC1は、油圧ポンプ10の吐出圧(Pd)の変化が大きい場合に、その吐出圧(Pd)の変化に応じたポンプ流量(Qp)の変化の遅れを抑制する。本実施例では、位相進み補償部PC1は、吐出圧(Pd)が急増する場合における吐出圧(Pd)の増大に応じたポンプ流量(Qp)の低減の遅れを抑制する。
低位選択部LS1は、2つの入力のうちの値が小さい方を選択して出力する演算要素である。本実施例では、低位選択部LS1は、位相進み補償部PC1が出力するポンプ流量(Qh")とコントローラ54が参照テーブルTB1を用いて導き出すポンプ流量(Qh')とのうちの値が小さい方を選択し、選択した値をポンプ流量(Q1)として出力する。なお、ポンプ流量(Qh")は、ポンプ流量(Qh')の位相進み補償後の値である。また、ポンプ流量(Q1)は、ポンプ流量(Qh')及びポンプ流量(Qp')と同様、油圧ポンプ10の1回転当たりの吐出量(押し退け容積)であり、油圧ポンプ10が出力する制御量としてのポンプ流量(Qp)に関する操作量(指令値)である。
低位選択部LS2は、低位選択部LS1と同様、2つの入力のうちの値が小さい方を選択して出力する演算要素である。本実施例では、低位選択部LS2は、低位選択部LS1が出力するポンプ流量(Q1)と、コントローラ54が参照テーブルTB2を用いて導き出すポンプ流量(Qp')とのうちの値が小さい方を選択し、選択した値をポンプ流量(Q2)として出力する。なお、ポンプ流量(Q2)は、ポンプ流量(Q1)と同様、油圧ポンプ10の1回転当たりの吐出量(押し退け容積)であり、油圧ポンプ10が出力する制御量としてのポンプ流量(Qp)に関する操作量(指令値)である。
参照テーブルTB3は、ポンプ流量(Q2)と電流指令(Is)との対応関係を表す参照テーブルである。コントローラ54は、低位選択部LS2が出力するポンプ流量(Q2)と参照テーブルTB3とに基づいて電流指令(Is)を導き出し、導き出した電流指令(Is)を電磁弁55に対して出力する。
次に、図6を参照して、油圧ポンプ10の吐出圧(Pd)及びネガコン圧(Pn)に応じた電流指令(Is)をコントローラ54が出力する処理(以下、「電流指令出力処理」とする。)について説明する。なお、図6は、電流指令出力処理の流れを示すフローチャートであり、コントローラ54は、所定の制御周期で繰り返しこの電流指令出力処理を実行する。
最初に、コントローラ54は、油圧ポンプ10の吐出圧(Pd)を取得する(ステップST1)。本実施例では、コントローラ54は、吐出圧センサS3、S4が出力する吐出圧信号に基づいて吐出圧(Pd)を検出する。
その後、コントローラ54は、馬力制御に基づくポンプ流量(Qh')を取得する(ステップST2)。本実施例では、コントローラ54は、参照テーブルTB1を参照して、検出した吐出圧(Pd)の値に対応するポンプ流量(Qh')を導き出す。
その後、コントローラ54は、油圧ポンプ10の目標吸収馬力に対する補正が行われているか否かを判定する(ステップST3)。本実施例では、コントローラ54は、馬力制御及びネガコン制御以外の他の制御により目標吸収馬力を低減させる処理が行われているか否かを判定する。目標吸収馬力を低減させる処理は、例えば、特定の油圧アクチュエータに関するレバー操作に応じてシフト圧力を増大させることにより目標吸収馬力を低減させる処理、エンジン回転数の低下に応じてシフト圧力を増大させることにより目標吸収馬力を低減させる処理等を含む。
目標吸収馬力に対する補正が行われていると判定した場合(ステップST3のNO)、コントローラ54は、後続のステップST4及びST5における位相進み補償に関する処理を省略する。目標吸収馬力に対する補正は、位相進み補償部PC1による位相進み補償と同様、馬力制御の動的なゲインの増大をもたらすためである。すなわち、目標吸収馬力に対する補正と位相進み補償とが同時に実行されると、馬力制御のゲインを過度に増大させてしまい、馬力制御の安定性を損なうおそれがあるためである。なお、コントローラ54は、位相進み補償部PC1による位相進み補償に関する処理を省略する代わりに、位相進み補償の程度を弱めるようにしてもよい。
一方、目標吸収馬力に対する補正が行われていないと判定した場合(ステップST3のYES)、コントローラ54は、ポンプ流量(Qh')に対して位相進み補償を実行し、ポンプ流量(Qh")を取得する(ステップST4)。本実施例では、コントローラ54は、ステップST2で取得したポンプ流量(Qh')に対して位相進み補償部PC1による位相進み補償を実行する。
その後、コントローラ54の低位選択部LS1は、位相進み補償部PC1が出力する位相進み補償が施されたポンプ流量(Qh")と、コントローラ54がステップST2で取得したポンプ流量(Qh')とのうちの値が小さい方を選択し、選択した値をポンプ流量(Q1)として出力する(ステップST5)。
油圧ポンプ10の吐出量を増大させる際の吐出量制御の速応性が高まるのを抑制しながら、油圧ポンプ10の吐出量を低減させる際の吐出量制御の速応性を高めるようにするためである。
具体的には、ステップST5の低位選択処理を実行しない場合には、エンジン負荷トルクが急減したときにも位相進み補償後のポンプ流量(Qh")が指令値として出力される。その結果、油圧ポンプ10の吐出圧(Pd)の変動に敏感に反応して油圧ポンプ10の吐出量が振動し、エンジン回転数が振動するおそれがある。吐出量制御は、位相進み補償によって速応性が高められるが、応答遅れは残るためである。
一方、ステップST5の低位選択処理を実行する場合には、エンジン負荷トルクが急減したときに位相進み補償後のポンプ流量(Qh")が指令値として出力されることはない。位相進み補償前のポンプ流量(Qh')が位相進み補償後のポンプ流量(Qh")よりも小さいためである。なお、ステップST5の低位選択処理を実行する場合であっても、エンジン負荷トルクが急増したときには、位相進み補償後のポンプ流量(Qh")が指令値として出力される。位相進み補償前のポンプ流量(Qh')が位相進み補償後のポンプ流量(Qh")よりも大きいためである。そのため、油圧ポンプ10の吐出量を低減させる際の吐出量制御の速応性の向上までもが抑制されることはない。
その後、コントローラ54は、ネガコン圧(Pn)を取得する(ステップST6)。本実施例では、コントローラ54は、ネガコン圧センサS1、S2が出力するネガコン圧信号に基づいてネガコン圧(Pn)を検出する。
その後、コントローラ54は、ネガコン制御に基づくポンプ流量(Qp')を取得する(ステップST7)。本実施例では、コントローラ54は、参照テーブルTB2を参照して、検出したネガコン圧(Pn)の値に対応するポンプ流量(Qp')を導き出す。
なお、ステップST6及びステップST7の処理は、後述のステップST8の前であれば任意のタイミングで実行可能であり、例えば、ステップST1の前に実行されてもよい。
また、コントローラ54は、後述のステップST8の前に、馬力制御及びネガコン制御以外の制御に基づくポンプ流量(指令値)を取得してもよい。
その後、コントローラ54の低位選択部LS2は、低位選択部LS1が出力するポンプ流量(Q1)と、コントローラ54がステップST7で取得したポンプ流量(Qp')とのうちの値が小さい方を選択し、選択した値をポンプ流量(Q2)として出力する(ステップST8)。また、低位選択部LS2は、ポンプ流量(Q1)及びポンプ流量(Qp')以外の他のポンプ流量(指令値)が存在する場合には、それらのうちの最も小さい値を選択し、選択した値をポンプ流量(Q2)として出力してもよい。なお、他のポンプ流量(指令値)は、例えば、馬力制御及びネガコン制御以外の制御に基づくポンプ流量(指令値)である。
その後、コントローラ54は、低位選択部LS2が出力するポンプ流量(Q2)に基づいて電流指令(Is)を導き出して出力する(ステップST9)。本実施例では、コントローラ54は、参照テーブルTB3を参照して、ポンプ流量(Q2)の値に対応する電流指令(Is)の値を導き出す。そして、コントローラ54は、導き出した電流指令(Is)を電磁弁55に対して出力する。
次に、図7及び図8を参照して、コントローラ54の位相進み補償部PC1による効果について説明する。なお、図7は、位相進み補償部PC1単体の伝達関数の周波数特性のシミュレーション結果を示すボード線図であり、図8は、油圧ポンプ10の伝達関数の周波数特性のシミュレーション結果を示すボード線図である。なお、図7及び図8のボード線図は何れも、上段にゲイン線図を配し、下段に位相線図を配する。また、図8の実線で示す推移は、位相進み補償部PC1による位相進み補償が行われた場合の推移を表し、破線で示す推移は、位相進み補償部PC1による位相進み補償が行われない場合の推移を表す。
図7に示すように、位相進み補償部PC1による位相進み補償は、油圧ポンプ10の応答周波数(例えば2Hzである。)とほぼ同じ周波数で最大位相角を有する。その結果、位相進み補償部PC1による位相進み補償は、油圧ポンプ10の応答周波数以上の周波数でゲインを持続的に押し上げる働きをする。なお、位相進み補償部PC1による位相進み補償は、油圧ポンプ10の応答周波数より低い周波数で最大位相角を有するものであってもよい。但し、最大位相角を有するときの周波数が低すぎると、位相進み補償部PC1による位相進み補償は、安定性を失ってハンチングを誘発するおそれがある。
また、馬力制御の速応性は、ボード線図上で0[dB]を横切る周波数の値(ゲイン交点周波数)によって評価される。そこで、図8を参照すると、位相進み補償を伴う吐出量制御におけるゲイン交点周波数は、位相進み補償を伴わない吐出量制御におけるゲイン交点周波数よりも高いことが分かる。これは、位相進み補償によって馬力制御の速応性が改善されることを意味する。
このようにして、コントローラ54は、位相進み補償を導入することにより、参照テーブルTB1で定められるような馬力制御の静的なゲインを変更することなく、馬力制御の動的なゲインを増大させ、油圧ポンプ10の応答性を高めることができる。その結果、コントローラ54は、エンジン負荷トルクの急変の際に油圧ポンプ10の吸収馬力がエンジンの出力馬力を超えるのを防止し、エンジン回転数が低下するのを防止できる。
また、コントローラ54は、位相進み補償前のポンプ流量と位相進み補償後のポンプ流量とのうちの低い方の値を選択してポンプ流量の指令値を決定する。そのため、コントローラ54は、エンジン負荷トルクが急増した場合に馬力制御の速応性を高めるようにしながらも、エンジン負荷トルクが急減した場合には馬力制御の速応性を高めないようにする。その結果、コントローラ54は、エンジン負荷トルクが急減した場合に、油圧ポンプ10の吐出量が振動的となるのを防止でき、ひいてはエンジン回転数が振動的となるのを防止できる。
また、コントローラ54は、油圧ポンプ10の目標吸収馬力を補正する制御が実行されている場合には、位相進み補償部PC1による位相進み補償の実行を省略し、或いは、より低い周波数で最大位相角を有するように位相進み補償の程度を弱めるようにする。その結果、コントローラ54は、馬力制御の動的なゲインが過度に増大されて吐出量制御の安定性が損なわれてしまうのを防止できる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
例えば、上述の実施例において、建設機械用油圧システム100は、ネガコン制御と馬力制御とを併用しながら、位相進み補償により馬力制御の速応性を高めるようにする。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、建設機械用油圧システム100は、ポジティブコントロール制御と馬力制御とを併用しながら、位相進み補償により馬力制御の速応性を高めるようにしてもよく、ロードセンシング制御と馬力制御とを併用しながら、位相進み補償により馬力制御の速応性を高めるようにしてもよい。
1・・・ショベル 2・・・下部走行体 3・・・上部旋回体 4・・・ブーム 5・・・アーム 6・・・バケット 7・・・ブームシリンダ 8・・・アームシリンダ 9・・・バケットシリンダ 10L、10R・・・油圧ポンプ 11L、12L、12R、13L、13R、14、15L、15R・・・流量制御弁 20L、20R・・・ネガコン絞り 22・・・作動油タンク 30L、30R・・・センターバイパス管路 40L、40R・・・ポンプレギュレータ 41L、41R・・・傾転アクチュエータ 42L、42R・・・走行用油圧モータ 44・・・旋回用油圧モータ 52・・・コントロールポンプ 54・・・コントローラ 55L、55R・・・電磁弁 60L、60R・・・スプール機構 61L、61R・・・吐出量制御部 100・・・油圧システム S1〜S4・・・圧力センサ E1〜E11・・・演算要素 LS1、LS2・・・低位選択部 PC1・・・位相進み補償部 TB1〜TB3・・・参照テーブル

Claims (4)

  1. 油圧ポンプの吐出圧に応じて前記油圧ポンプの吐出量を変化させる馬力制御を行う建設機械用油圧システムであって、
    前記油圧ポンプの吐出圧を検出して吐出圧信号を出力する吐出圧センサと、
    前記油圧ポンプの吐出量を制御するポンプレギュレータと、
    前記ポンプレギュレータを駆動する制御圧を生成する電磁弁と、
    前記吐出圧信号を受けて前記電磁弁に対する電流指令を出力するコントローラと、を備え、
    前記コントローラは、前記吐出圧信号に応じて生成される、前記電流指令に関する指令値に対して位相進み補償を行う位相進み補償部を有する、
    建設機械用油圧システム。
  2. 前記位相進み補償部は、前記油圧ポンプの応答周波数以下の周波数で最大位相角を有する、
    請求項1に記載の建設機械用油圧システム。
  3. 前記コントローラは、前記位相進み補償部による位相進み補償前の指令値と、前記位相進み補償部による位相進み補償後の指令値とのうち小さい方を選択して出力する低位選択部を有する、
    請求項1又は2に記載の建設機械用油圧システム。
  4. 前記コントローラは、前記位相進み補償部による位相進み補償以外に、前記油圧ポンプの目標吸収馬力を補正する制御が実行される場合に、前記位相進み補償部による位相進み補償を省略し、或いは、位相進み補償の程度を弱める、
    請求項1乃至3の何れか一項に記載の建設機械用油圧システム。
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