以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
<画像形成装置の構成>
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
図1および図2は、本実施の形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す図である。
図1、図2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置の例である。画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に転写(1次転写)する。そして、画像形成装置1は、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、重ね合わせられたトナー像を、2次転写部430との間に形成される転写ニップ部にて、用紙に転写(2次転写)する。これにより、画像形成装置1は、用紙に画像を形成する。
また、画像形成装置1には、タンデム方式が採用されている。タンデム方式は、CMYKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に各色トナー像を順次転写させる方式である。
更に、画像形成装置1においては、中間転写ベルト421とともに転写ニップ部を形成し、トナー像を中間転写ベルト421から記録媒体(本実施の形態では用紙S)へと転写させるための2次転写体として、ベルト部材が用いられる。
図1、図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、搬送部50、定着部60、記憶部70、および制御部100を備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。
CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を制御する。このとき、記憶部70に格納されている各種データが参照される。記憶部70は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブにより構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置(スキャナー)12等を備える。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して読み取ることができる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿、または、コンタクトガラス上に載置された原稿を、光学的に走査する。そして、原稿画像走査装置12は、原稿からの反射光を、CCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。
画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)により構成され、表示部21および操作部22として機能する。
表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。
操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備える。操作部22は、ユーザーによる各種入力操作を受け付け、その入力操作に対応する操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データにより階調補正テーブルを生成して階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を行う。これらの処理が行われたデジタル画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kおよび中間転写ユニット42等を備える。これらのユニットは、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するためのものである。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示および説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、またはKを添えて示す。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41の構成を、画像形成ユニット41Yを用いて説明する。
画像形成ユニット41Yは、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414およびドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えば、負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。この有機感光体は、例えば、アルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した構成を有する。
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーにより構成され、感光体ドラム413に対してY成分の画像に対応するレーザー光を照射する。
感光体ドラム413では、電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送される。これにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)は、中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差によりY成分の静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム413は、形成された静電潜像を担持する。
現像装置412は、Y成分の現像剤を収容している。現像剤は、例えば、小粒径のトナーと磁性キャリア(以下、単に「キャリア」という)とからなる2成分現像剤である。現像装置412は、キャリアとの摩擦により帯電したトナーを、回転部材を用いて感光体ドラム413の表面に供給することにより、感光体ドラム413の表面にトナー像を形成する。より具体的には、現像装置412は、感光体ドラム413の表面にY成分のトナーを付着させることにより、静電潜像を可視化して、トナー像を形成する。すなわち、現像装置412は、回転部材を備え、内部に収容されたトナーを、この回転部材を用いて感光体ドラム413に供給することにより、上記静電潜像の現像を行う。なお、トナーは、1成分トナーであっても良い。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有する。1次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーは、このドラムクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
中間転写ユニット42は、中間転写体となる中間転写ベルト421、1次転写ローラー422、駆動ローラー424、従動ローラー425、ベルトクリーニング装置426、および2次転写部430等を備える。
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、駆動ローラー424および従動ローラー425に張架される、ベルト部材である。中間転写ベルト421は、駆動ローラー424の回転により矢印A方向に一定速度で走行する。1次転写ローラー422によって、中間転写ベルト421が感光体ドラム413に圧接されると、中間転写ベルト421に各色トナー像が順次重ねて1次転写される。そして、中間転写ベルト421が2次転写部430によって用紙Sに圧接されると、中間転写ベルト421に1次転写されたトナー像が用紙Sに2次転写される。
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接されるベルトクリーニングブレードを有する。2次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーは、このベルトクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
2次転写部430は、2次転写体となる2次転写ベルト431、2次転写ローラー432、駆動ローラー433、クリーニングブレード434、ベルト面センサー部435、およびベルトテンション調整部436等を備える。
2次転写ベルト431は無端状ベルトで構成され、2次転写ローラー432および駆動ローラー433に張架される、ベルト部材である。2次転写ベルト431は、駆動ローラー433の回転により矢印B方向に一定速度で走行する。
2次転写ローラー432は、2次転写ベルト431および中間転写ベルト421を介して中間転写ユニット42の駆動ローラー424に圧接することにより、転写ニップ部を形成する。そして、2次転写ベルト431および中間転写ベルト421がそれぞれ回転している状態において、用紙Sが転写ニップ部に供給されることにより、上述のように、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに2次転写される。
クリーニングブレード434は、転写ニップ部の手前で2次転写ベルト431の表面に摺接し、2次転写ベルト431の表面に残存する転写残トナーを、掻き取って除去する。
ベルト面センサー部435は、ベルト面の走行方向に対して垂直な方向(以下「ベルト面垂直方向」という)における変位を、ベルト面内の複数の位置について検出する。
ベルトテンション調整部436は、2次転写ベルト431に掛かるテンションの、2次転写ベルト431の搬送方向と直交する方向における分布(以下「テンション分布」という)を調整する。
制御部100は、ベルト面センサー部435による検出結果に基づき、ベルトテンション調整部436を制御することにより、2次転写ベルト431の波打ちを抑制する。
ベルトテンション調整部436およびベルトテンション調整部436の詳細および2次転写部430の動作に関する制御部100の機能の詳細については、後述する。
定着部60は、搬送されてきた用紙Sを定着ニップ部で加熱、加圧する。これにより、定着部60は、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着ユニット部61とエア分離ユニット部62とを備えて構成されるエア分離式の定着装置である。
定着ユニット部61は、定着ニップ部に用紙Sを通過させて、この用紙S上に転写されたトナー画像に熱源からの熱を与える。これにより、定着ユニット部61は、用紙Sにトナー画像を定着させる。定着ニップ部とは、一対の定着部材を圧接することにより形成される部分である。
エア分離ユニット部62は、定着ニップ部における用紙Sの排紙側から用紙Sに空気を吹き付ける。これにより、エア分離ユニット部62は、定着部材から用紙Sを分離する。
搬送部50は、給紙部51、搬送機構52および排紙部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、用紙の坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙(規格用紙、特殊用紙)Sが、予め設定された種類ごとに収容される。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出される。そして、送出された用紙Sは、レジストローラー52a等の複数の搬送ローラーを備えた搬送機構52により、画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー52aが配設されたレジスト部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。
そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの画像形成面に一括して2次転写され、定着部60において定着処理が行われる。定着処理が行われた用紙Sは、排紙ローラー53aを備えた排紙部53により画像形成装置1の外に排紙される。
<ベルト部材の波打ち>
本実施の形態に係る画像形成装置1は、ベルト部材として、例えば、2次転写ベルト431を用いている。2次転写ベルト431には、上述の通り、波打ちが発生することがある。
図3は、2次転写ベルト431に発生する波打ちの様子の一例を示す図である。
図3の領域Cに示すように、2次転写ベルト431は、例えば、転写ニップ部437を通過した直後の非接触区間(以下「上面側」という)において、波打ちが発生し易い。これは、上面側は、転写ニップ部437を通過する直前の非接触区間(以下「下面側」という)に比べて、2次転写ベルト431に掛かるテンションがより高くなり易いためである。また、2次転写ベルト431に波打ちが発生すると、上述の通り、転写不良、クリーニング不良、2次転写ベルト431の変形、2次転写ベルト431の破損、およびこれらによる画質の低下(以下「画像形成装置1への悪影響」と総称する)を招くおそれがある。
そこで、本実施の形態に係る画像形成装置1は、ベルト面センサー部435を用いて、2次転写ベルト431の波打ちの発生を検知する。そして、本実施の形態に係る画像形成装置1は、波打ちの発生の有無に基づいて、ベルトテンション調整部436を用いて、2次転写ベルト431の波打ちを抑制する。
<ベルト面センサー部>
本実施の形態において、画像形成装置1は、1個の変位センサーを移動させることにより、2次転写ベルト431の変位を、複数の位置について検出する。ここで、2次転写ベルト431の変位とは、ベルト面の、ベルト面垂直方向における変位を指す。
図4は、ベルト面センサー部435の構成の一例を示す図である。
図4において、ベルト面センサー部435は、2次転写ベルト431の内側(2次転写ローラー432と駆動ローラー433との間の空間)の上面側近傍に配置されている。ベルト面センサー部435は、固定レール(台座)441および変位センサー442を有する。
固定レール441は、2次転写ベルト431の軸方向に伸びている。変位センサー442は、固定レール441上を、モーターによりスライド移動する。すなわち、変位センサー442は、ベルト面垂直方向における移動および2次転写ベルト431の回転方向(以下「回転方向」という)における移動を規制された状態で、軸方向である矢印Dおよび矢印D'の方向に移動するようになっている。
変位センサー442としては、例えば、非接触式の変位センサーの1つであるレーザー変位計を採用することができる。
図5は、変位センサー442としてレーザー変位計を採用した場合における、変位センサー442の構成およびセンシングの様子の一例を示す図である。
図5に示すように、変位センサー442は、レーザー光出力部443および受光部444を有する。
レーザー光出力部443は、半導体レーザーおよび投光レンズ群を有する。レーザー光出力部443は、2次転写ベルト431の内側の面(以下「ベルト内面」という)438に向けて、レーザー光を出射する。
受光部444は、光位置検出素子および受光レンズ群を有する。受光部444は、光ベルト内面438で反射されたレーザー光を受光し、光位置検出素子の受光面における受光位置の変化に基づいて、変位センサー442からベルト内面438までの距離の変化を検出する。かかる距離の変化は、すなわち、2次転写ベルト431の変位である。
例えば、図5に示すように、ベルト内面438が矢印Eに示すように変位した場合、受光部444の受光面における受光位置は、位置p1から位置p2へと変化する。変位センサー442は、例えば、位置P1と位置P2との間の距離と、レーザー光出力部443および受光部444の構成および配置とから、三角測距法に基づいて、2次転写ベルト431の変位(以下「ベルト変位」という)dを検出する。
ベルト面センサー部435は、例えば、周期的に、または、制御部100から指示されたタイミングで、変位センサー442を移動させ、ベルト変位dを検出し、検出結果を制御部100へ通知する。ベルト変位dの基準位置は、例えば、波打ちが発生していないときの位置や、過去に検出された位置の平均位置とすることができる。ベルト変位dは、波打ちが発生していないときは、小さい値となり、波打ちが発生しているときは、大きい値となる。
<ベルトテンション調整部>
図6は、ベルトテンション調整部436の配置および構成の一例を示す図である。
図6に示すように、ベルトテンション調整部436は、2次転写ベルト431の内側の下面側近傍に配置されている。また、ベルトテンション調整部436は、例えば、2次転写ベルト431の軸方向における両端部の少なくとも一方(望ましくは両方)に近い位置に、配置されている。ベルトテンション調整部436は、偏芯カム451、ばね部材452、およびテンションローラー453の組から成る、ベルト押圧機構454を有する。
偏芯カム451は、2次転写ベルト431の軸方向に平行な固定軸に支持された状態で、回転角度を調整可能となっている。ばね部材452は、ベルト垂直方向と略平行を保った状態で、その一端を偏芯カム451の表面に摺接させている。すなわち、ばね部材452の一端からベルト内面までの距離は、偏芯カム451の回転角度に応じて変化するようになっている。そして、ばね部材452の他端は、テンションローラー453を、その中心軸が2次転写ベルト431の軸方向に平行となる状態で支持している。すなわち、テンションローラー453は、2次転写ベルト431の変位に応じて、ベルト垂直方向(矢印Fおよび矢印F'の方向)に移動する。
テンションローラー453は、少なくともばね部材452の一端からベルト内面までの距離が最も短い状態において、ベルト内面に接触し、所定の押圧力をベルト内面に与えるようになっている。テンションローラー453がベルト内面に対して印加する押圧力は、ばね部材452の一端からベルト内面までの距離に応じて、つまり、偏芯カム451の回転角度に応じて、変化する。また、テンションローラー453は、ベルト内面に対して押圧力を印加する。
すなわち、ベルトテンション調整部436は、偏芯カム451の回転角度を変化させることにより、2次転写ベルト431の面に対して印加される押圧力を調整し、2次転写ベルト431のテンション分布を調整する。
本実施の形態では、ベルトテンション調整部436は、ベルト押圧機構454を、少なくとも、2次転写ベルト431の軸方向における両端部に近い位置に、1つずつ(合計2つ)配置しているものとする。
ベルト面センサー部435の動作(変位センサー442の移動およびベルト変位の検出)、および、ベルトテンション調整部436の動作(偏芯カム451の回転角度の調整)は、制御部100(図2参照)により、ベルトテンション調整部436毎に制御される。
<制御部>
図7は、制御部100の機能的構成の一例を示す図である。ここでは、波打ちの抑制に関連する部分についてのみ図示および説明を行う。
図7において、制御部100は、波打ち判定部131および波打ち抑制制御部132を有する。
波打ち判定部131は、ベルト面センサー部435による検出結果に基づいて、波打ち状態を判定する。すなわち、ベルト面センサー部435と波打ち判定部131との組み合わせは、本発明の波打ち検知部を構成し、2次転写ベルト431(べルト部材)において、2次転写ベルト431の非接触区間(複数のローラー間)に位置するベルト面の波打ち状態を検知する。波打ち状態とは、具体的には波打ちの発生の有無であり、また、波打ちが発生している場合、その方向も含む。
ここで、波打ちの発生とは、波打ちのレベルを示す所定のパラメータ(以下「波打ちレベル」という)が所定の閾値以上となっている状態の発生を指す。また、波打ちレベルは、例えば、ベルト変位の大きさ、ベルト変位の時間周波数等、画像形成装置1への悪影響の大きさに対応したパラメータである。
例えば、波打ち判定部131は、ベルト面センサー部435の変位センサー442を等速で往復移動させながら、0.01秒毎にベルト変位を検出する。そして、波打ち判定部131は、検出されたベルト変位の0.05秒の移動平均値の絶対値と、事前に波打ちのない状態で記憶された値との差分をとり、波打ちレベルとする。
また、波打ちの方向とは、2次転写ベルト431の回転に伴って波打ち部分が移動する際の、軸方向における移動の方向である。
例えば、波打ち判定部131は、等速で往復移動する変位センサー442の移動方向のうち、ベルト変位の変化の速度がより小さい方の方向を、波打ち方向とする。ベルト変位の変化の速度の大小は、例えば、ベルト変位の時間軸データを微分した値から判断することができる。
波打ち抑制制御部132は、波打ちの発生の有無および波打ちの方向に基づいて、ベルトテンション調整部436を制御し、波打ちを抑制する。すなわち、波打ち抑制制御部132とベルトテンション調整部436との組み合わせは、本発明の波打ち抑制部を構成し、波打ち状態の検知結果に基づいて、ベルト面に発生する波打ちを抑制する。
本実施の形態において、波打ち抑制制御部132は、軸方向における波打ちの発生源側とは反対側のテンションを、波打ちの発生源側のテンションに比べて低くするように、ベルトテンション調整部436を制御することにより、波打ちを抑制するものとする。
より具体的には、波打ち抑制制御部132は、ベルトテンション調整部436の偏芯カム451の回転角度を調整することにより、2次転写ベルト431の面(ベルト内面)に対して印加される押圧力を調整する。そして、これにより、波打ち抑制制御部132は、テンション分布を調整する。テンション分布が、より均一なテンション分布となる方向に調整されることにより、波打ちは抑制される。
波打ちは、通常、2次転写ローラー432と駆動ローラー433との間で、2次転写ベルト431にテンションが強くかかる部分(強く引っ張られる部分)に沿って発生する。
2次転写ベルト431にテンションが強くかかるのは、例えば、軸方向において2次転写ベルト431の周長に差がある場合、および、2次転写ローラー432の軸と駆動ローラー433の軸とが平行ではない場合である。また、2次転写ベルト431にテンションが強くかかるのは、2次転写ローラー432の軸あるいは駆動ローラー433の形状が適切な筒形状ではない場合、および、クリーニングブレード434(ベルト面に摺擦するベルト摺擦部材)が2次転写ローラー432の面に対して印加する摩擦力が不均一である場合である。
また、軸方向における一端側と他端側との間のテンションの差が大きいと、波打ちは、通常、テンションが低い側からテンションが高い側へと移動する。
すなわち、波打ちは、波打ちの発生源側とは反対の側において、2次転写ベルト431に相対的にテンションが強くかかっていることに起因して、発生している場合が多い。
したがって、波打ち抑制制御部132は、波打ちの発生源側とは反対側のテンションの相対的な高さがより低くなるように(波打ちの発生源側のテンションの相対的な高さがより高くなるように)、ベルトテンション調整部436を制御する。
例えば、波打ちの発生源側の端部にのみベルト押圧機構454(図6参照)が設けられている場合、波打ち抑制制御部132は、このベルト押圧機構454による押圧力が高くなるように、ベルトテンション調整部436を制御する。また、波打ちの発生源側とは反対側の端部にのみベルト押圧機構454が設けられている場合、波打ち抑制制御部132は、このベルト押圧機構454による押圧力が低くなるように、ベルトテンション調整部436を制御する。また、両端部にベルト押圧機構454が設けられている場合、波打ち抑制制御部132は、波打ちの発生源側とは反対側のベルト押圧機構454による押圧力が相対的に低くなるように(波打ちの発生源側のベルト押圧機構454による押圧力が相対的に高くなるように)、ベルトテンション調整部436を制御する。
図4に示すように、波打ちが向かって右側から発生して左へと移動していく場合を想定する。この場合、波打ち抑制制御部132は、左側のテンションの相対的な高さがより低くなるように(右側のテンションの相対的な高さがより高くなるように)、ベルトテンション調整部436を制御する。
このような構成により、画像形成装置1は、2次転写ベルト431の波打ちの発生を検知し、波打ちの発生の有無に基づいて、波打ちを抑制することができる。
<画像形成装置の動作>
次に、画像形成装置1の動作のうち、波打ちの抑制に関する動作について、説明する。
図8は、画像形成装置1の動作の一例を示すフローチャートである。なお、波打ち判定部131は、ベルト面センサー部435の変位センサー442を、軸方向に等速で往復移動させているものとする。画像形成装置1は、例えば、2次転写ベルト431の回転が開始される毎に、図8に示すフローチャートの処理を開始する。
まず、ステップS1100において、波打ち判定部131は、ベルト面センサー部435により検出された値(以下「センサー値」という)を取得するタイミングが到来したか否かを判断する。かかるタイミングは、例えば、上述の通り0.01秒周期のタイミングである。
波打ち判定部131は、センサー値を取得するタイミングが到来した場合(S1100:YES)、ステップS1200へ進む。また、波打ち判定部131、センサー値を取得するタイミングが到来していない場合(S1100:NO)、後述のステップS1300へ進む。
ステップS1200において、波打ち判定部131は、センサー値を取得し、内部メモリ等に記録する。センサー値は、本実施の形態では、ベルト変位である。
ステップS1300において、波打ち抑制制御部132は、波打ちの発生の有無を判定するタイミングが到来したか否かを判断する。かかるタイミングは、例えば、0.1秒周期のタイミングである。
波打ち判定部131は、波打ちの発生の有無を判定するタイミングが到来した場合(S1300:YES)、ステップS1400へ進む。また、波打ち判定部131は、波打ちの発生の有無を判定するタイミングが到来していない場合(S1300:NO)、後述のステップS1900へ進む。
ステップS1400において、波打ち判定部131は、記録したセンサー値を分析し、波打ちの発生を検知すると共に、波打ちが発生している場合にはその方向を検知する。
そして、ステップS1500において、波打ち判定部131は、波打ちが発生しているか否かを判断する。
波打ち判定部131は、波打ちが発生している場合(S1500:YES)、ステップS1600へ進む。また、波打ち判定部131は、波打ちが発生していない場合(S1500:NO)、後述のステップS1900へ進む。
ステップS1600において、波打ち判定部131は、軸方向の一方を第1の側、軸方向の他方を第2の側としたとき、波打ちの発生源が第1の側であるか否かを判断する。
波打ち抑制制御部132は、波打ちの発生源が第1の側である場合(S1600:YES)、その旨を波打ち抑制制御部132に通知して、ステップS1700へ進む。また、波打ち抑制制御部132は、波打ちの発生源が第2の側である場合(S1600:NO)、その旨を波打ち抑制制御部132に通知して、ステップS1800へ進む。
ステップS1700において、波打ち抑制制御部132は、第1の側のテンションに対する第2の側のテンションの高さが相対的に低くなるように(第2の側のテンションに対する第1の側のテンションの高さが相対的に高くなるように)、ベルトテンション調整部436を制御する。なお、これは、必ずしも、第1の側のテンションを第2の側のテンションよりも高くすることを意味するものではない。また、これは、必ずしも、第1の側のテンションを直前のテンションよりも高くすることを意味するものではなく、第2の側のテンションを直前のテンションよりも低くすることを含む。例えば、波打ち抑制制御部132は、第1の側のベルトテンション調整部436の押圧力を高くするのみでは十分ではない場合、第2の側のベルトテンション調整部436の押圧力を低くする。
また、ステップS1800において、波打ち抑制制御部132は、第2の側のテンションに対する第1の側のテンションの高さが相対的に低くなるように(第1の側のテンションに対する第2の側のテンションの高さが相対的に高くなるように)、ベルトテンション調整部436を制御する。なお、これは、必ずしも、第2の側のテンションを第1の側のテンションよりも高くすることを意味するものではない。また、これは、必ずしも、第2の側のテンションを直前のテンションよりも高くすることを意味するものではなく、第1の側のテンションを直前のテンションよりも低くすることを含む。例えば、波打ち抑制制御部132は、第2の側のベルトテンション調整部436の押圧力を高くするのみでは十分ではない場合、第1の側のベルトテンション調整部436の押圧力を低くする。
そして、ステップS1900において、波打ち判定部131は、波打ちの抑制に関する処理を終了するタイミングが到来したか否かを判断する。かかるタイミングは、例えば、2次転写ベルト431の回転が停止したタイミング、および、ユーザー操作等により処理終了を指示されたタイミングである。
波打ち判定部131は、処理終了のタイミングが到来していない場合(S1900:NO)、ステップS1100へ戻る。また、波打ち判定部131は、処理終了のタイミングが到来した場合(S1900:YES)、一連の処理を終了する。
このような動作により、画像形成装置1は、波打ちの発生の検知および波打ちの抑制を、継続的にかつリアルタイムに行うことができる。
なお、ベルトテンション調整部436は、ステップS1700、S1800においてテンション分布を調整してから一定時間が経過した後、波打ちレベルが低減していない場合、かかる調整を元に戻してもよい。あるいは、ベルトテンション調整部436は、かかる場合、軸方向においてテンション分布が逆転するように、ベルトテンション調整部436の制御を切り替えてもよい。
また、ベルトテンション調整部436は、波打ちの発生の検知および波打ちの抑制を、継続的にかつリアルタイムに行うのではなく、ユーザー操作により波打ち抑制を指示されたとき等、任意のタイミングにのみ行うようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、波打ちの発生を検知し、波打ちの発生の有無に基づいて波打ちを抑制する。これにより、画像形成装置1は、画像形成装置1は、2次転写ベルト431の波打ちをより確実に抑制することができ、転写性能の向上、クリーニング性能の向上、2次転写ベルト431および装置の耐久性の向上を図ることができる。
また、例えば、弱いレベルで定常的に発生している波打ちのような場合、従来技術を適用し、高いテンションを2次転写ベルト431に対して掛け続けることによって、抑制することができる可能性がある。しかしながら、このように高いテンションを2次転写ベルト431に対して掛け続けることは、2次転写ベルト431の変形あるいは破損を招くおそれがある。この点、本実施の形態に係る画像形成装置1は、波打ちの抑制を必要なときにのみテンション調整を行うため、従来技術に比べて、装置の耐久性を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る画像形成装置1は、波打ちの方向を検知し、波打ちの方向に基づいて波打ちを抑制する。これにより、画像形成装置1は、波打ちの方向によって波打ちを抑制することができる手法が異なる場合に、効率良く波打ちを抑制することができる。
また、本実施の形態に係る画像形成装置1は、波打ちレベルが所定の閾値以上となったことを条件として、テンション分布を調整する。これにより画像形成装置1は、より安定した制御を行うことができると共に、画質や装置耐久性に影響を及ぼさないような微小な波打ちに対する無駄な制御を回避することができる。
また、本実施の形態に係る画像形成装置1において、ベルト面センサー部435およびベルトテンション調整部436は、2次転写ベルト431の内周側に配置されている。これにより、画像形成装置1は、ベルト面センサー部435およびベルトテンション調整部436を設けたことによる装置の大型化を防いだ状態で、上記波打ちの抑制を行うことができる。
なお、ベルト面センサー部435の構成およびベルトテンション調整部436の構成は、上述の例に限定されない。以下、ベルト面センサー部435の構成およびベルトテンション調整部436の構成の変形例について説明する。
<ベルト面センサー部の変形例>
図9は、ベルト面センサー部の構成の第1の変形例を示す図であり、図4に対応するものである。
図9において、ベルト面センサー部435aは、回転方向において異なる位置で平行に配置された、第1の固定レール4411および第2の固定レール4412を有する。また、ベルト面センサー部435aは、第1の固定レール4411上をスライド移動する第1の変位センサー4421と、第2の固定レール4412上をスライド移動する第2の変位センサー4422とを有する。第1の変位センサー4421の構成および第2の変位センサー4422の構成は、それぞれ、図4で説明した変位センサー442と同様である。
制御部100の波打ち判定部131(図7参照)は、第1の変位センサー4421および第2の変位センサー4422のスライド動作および検出動作を、同期させる。具体的には、波打ち判定部131は、第1の変位センサー4421および第2の変位センサー4422を、例えば軸方向において位置を保った状態で、検出対象となる波打ちの軸方向の速度よりも十分に遅い速度で、等速でスライドするように制御する。
画像形成装置1は、このような構成を採用した場合、第1の変位センサー4421の位置および第2の変位センサー4422の位置と、これらの間の波打ち検知時刻の時間差とから、波打ち方向を検出することができる。例えば、画像形成装置1は、例えば、第1の変位センサー4421が第2の変位センサー4422よりも先に波打ちを検出する場合、波打ち方向が、第1の変位センサー4421および第2の変位センサー4422のスライド方向とは逆の方向であると判定する。また、画像形成装置1は、第2の変位センサー4422が第1の変位センサー4421よりも先に波打ちを検出する場合、波打ち方向が、第1の変位センサー4421および第2の変位センサー4422のスライド方向と一致する方向であると判定する。
図10は、ベルト面センサー部435の構成の第2の変形例を示す図であり、図4に対応するものである。
図10において、ベルト面センサー部435bは、図4に示す固定レール441は備えておらず、複数の変位センサー442bを有している。複数の変位センサー442bは、2次転写ベルト431の上面側にマトリクス状(面状)に配置され、それぞれ位置を固定されている。変位センサー442bの構成は、固定レール441上をスライド移動するための構成を除き、図4で説明した変位センサー442と同様である。
制御部100の波打ち判定部131(図7参照)は、複数の変位センサー442bの検出動作を同期させる。具体的には、波打ち判定部131は、複数の変位センサー442bの全てに対して検出動作を行わせるように制御する。
画像形成装置1は、このような構成を採用した場合、各変位センサー442bの位置と、複数の変位センサー442b間の波打ち検知時刻の時間差とから、波打ち方向を検出することができる。より具体的には、画像形成装置1は、第1の側の変位センサー442bが第2の側の変位センサー442bよりも先に波打ちを検知した場合、波打ち方向が、第1の側から第2の側へと向かう方向であると判定する。また、画像形成装置1は、第2の側の変位センサー442bが第1の側の変位センサー442bよりも先に波打ちを検知した場合、波打ち方向が、第2の側から第1の側へと向かう方向であると判定する。
また、図10に示すようにマトリクス状に変位センサー442bを配置することにより、波打ち方向の検知精度を向上させるこことができる。
図11は、ベルト面センサー部435の構成の第3の変形例を示す図である。本変形例は、2次転写ベルト431がPVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の光の透過率が高い素材である場合に、変位センサーとして透過型フォトセンサーを採用した例である。
図11において、変位センサー442cは、発光素子445および受光素子446を有する。発光素子445および受光素子446は、2次転写ベルト431を挟んで向かい合わせに、2次転写ベルト431の面と所定の距離を置いた位置で、固定されている。また、発光素子445の光軸がベルト垂直方向に一致するように、発光素子445および受光素子446のそれぞれの向きは固定されている。受光素子446は、センサー値として、受光量を示す値を出力する。
図11(A)に示すように、2次転写ベルト431に波打ちが発生していない場合、発光素子445から出射された光は、効率良く2次転写ベルト431を透過する。
ところが、図11(B)に示すように、2次転写ベルト431に波打ちが発生すると、発光素子445から出射された光は、反射等により2次転写ベルト431を透過し難くなる。したがって、受光素子446における受光量は、波打ちが発生していないときに比べて、波打ちが発生しているときに小さくなる。
したがって、制御部100の波打ち判定部131(図7参照)は、変位センサー442cのセンサー値から、波打ちが発生しているか否かを判断することができる。
図12は、ベルト面センサー部435の構成の第4の変形例を示す図である。本変形例は、変位センサーとして反射型フォトセンサーを採用した例である。
図12において、変位センサー442dは、発光素子445および受光素子446を有する。発光素子445および受光素子446は、2次転写ベルト431の片面側に、2次転写ベルト431の面と所定の距離を置いた位置で、固定されている。また、2次転写ベルト431に波打ちが発生しない状態において、発光素子445から出射された光が2次転写ベルト431の面に反射して受光素子446に入射するように、発光素子445および受光素子446のそれぞれの向きは固定されている。受光素子446は、センサー値として、受光量を示す値を出力する。
図12(A)に示すように、2次転写ベルト431に波打ちが発生していない場合、発光素子445から出射された光は、効率良く受光素子446に入射する。
ところが、図11(B)に示すように、2次転写ベルト431に波打ちが発生すると、発光素子445から出射された光は、受光素子446に入射し難くなる。したがって、受光素子446における受光量は、波打ちが発生していないときに比べて、波打ちが発生しているときに小さくなる。
したがって、制御部100の波打ち判定部131(図7参照)は、変位センサー442dのセンサー値から、波打ちが発生しているか否かを判断することができる。
なお、波打ち判定部131は、例えば、波打ちレベルとして、単位時間長さ当たりの、波打ちが発生していないときに得られるセンサー値と入力されたセンサー値との差の絶対値が所定の閾値を超えた回数(あるいは時間長さ)を採用して、判断を行ってもよい。
図13は、ベルト面センサー部435の構成の第5の変形例を示す図である。本変形例は、変位センサーとして接触式の変位センサーを採用した例である。
図13において、変位センサー442eは、圧電素子447、ばね部材448、および接触部449を有する。
圧電素子447は、2次転写ベルト431の面に対向する向きで、2次転写ベルト431の面から所定の距離を置いて固定されている。ばね部材448は、ベルト垂直方向と略平行を保った状態で、その一端を圧電素子447に接触させている。そして、ばね部材448の他端は、自由回転するローラーを備えた接触部449を、当該ローラーの中心軸が2次転写ベルト431の軸方向に平行となる状態で支持している。圧電素子447は、センサー値として、印加される圧力を示す値を出力する。
すなわち、接触部449は、2次転写ベルト431の変位に応じて、ベルト垂直方向(矢印Gおよび矢印G'の方向)に移動する。そして、接触部449の移動に応じて、接触部449から圧電素子447に印加される圧力が変化する。
図13(A)に示すように、2次転写ベルト431に波打ちが発生していない場合、接触部449の位置はほとんど変化せず、圧電素子447に印加される圧力はほとんど変化しない。
ところが、図13(B)および図13(C)に示すように、2次転写ベルト431に波打ちが発生すると、接触部449の位置は変化し、圧電素子447に印加される圧力は大きく変化する。
したがって、制御部100の波打ち判定部131(図7参照)は、変位センサー442eのセンサー値から、波打ちが発生しているか否かを判断することができる。
なお、図13に示すように圧電素子を用いる場合、例えば、波打ちレベルとして、単位時間長さ当たりの、波打ちが発生していないときに得られるセンサー値と入力されたセンサー値との差の絶対値が所定の閾値を超えた回数(あるいは時間長さ)を採用すればよい。
通常、透過型フォトセンサー、反射型フォトセンサー、および圧電素子を用いた変位センサーは、レーザー変位計に比べて安価である。したがって、画像形成装置1は、図11〜図13に示す構成を採用した場合、より低いコストで製造することが可能となる。また、透過型フォトセンサー等の非接触型のセンサーを用いた場合、2次転写ベルト431の状態に影響を及ぼすことなく、波打ちの発生の検出を行うことができる。但し、光透過性を有する2次転写ベルト431に透過型フォトセンサーおよび反射型フォトセンサーを用いる場合、記録媒体と記録媒体との間で、検出を行う必要がある。一方、圧電素子等の接触型のセンサーを用いた場合、センサー汚れによるセンシングレベルの変動を防ぐことができる。
なお、以上説明した本発明の実施の形態では、2次転写ローラー432の面に対して印加される押圧力を調整することにより、テンション分布を調整したが、他の手法によってテンション分布を調整してもよい。
例えば、2次転写ローラー432の、中間転写ベルト421との間に転写ニップ部437を形成するための圧接離間機構を、軸方向2箇所で独立に動作可能に構成することができる。この場合において、波打ち抑制制御部132は、圧接離間機構を制御して転写ニップ部437の押圧力の軸方向における分布を調整することにより、テンション分布を調整すればよい。
また、画像形成装置1は、必ずしも、波打ちの方向を考慮しなくてもよい。
例えば、波打ち抑制制御部132は、テンション分布を調整する毎に波打ちレベルの増減を判断し、波打ちレベルが収束する方向にテンション分布の調整を繰り返すようにしてもよい。
あるいは、例えば、波打ちが、主に、テンション分布が不均一であることに起因して発生する場合がある。このような場合、波打ち抑制制御部132は、テンションの分布が均一化されるように、ベルトテンション調整部436を制御することにより、波打ちを抑制すればよい。
このように、波打ちの方向を考慮しない場合、画像形成装置1は、固定レール441(図4参照)を不要としたり、ベルト面センサー部435の個数を減らしたりすることができる。すなわち、装置の簡素化や低コスト化を図ることができる。但し、波打ちの方向を考慮する場合のほうが、より高速に波打ちを抑制することが可能となる。
また、この場合、ベルトテンション調整部436は、2次転写ローラー432の面に対して印加される摩擦力を調整することにより、テンション分布を調整すればよい。
例えば、テンション分布の不均一さが、主に、クリーニングブレード434(ベルト面に摺擦するベルト摺擦部材)から2次転写ローラー432の面に対して印加される摩擦力の不均一さに起因して発生することがある。このような場合、ベルトテンション調整部436は、クリーニングブレード434がベルト面に摺擦する部分に対してトナー帯(減摩剤)を供給することにより、テンションの分布を調整することも可能である。具体的には、波打ち抑制制御部132は、ベルトテンション調整部436が供給するトナー帯の量を増大させることにより、テンションの分布を均一化すればよい。
また、本発明による波打ち抑制の対象は、2次転写ベルト431に限定されない。本発明は、感光体ベルト、中間転写ベルト、あるいは定着ベルト等、画像形成装置に用いられる各種ベルト部材に適用することができる。
特に、感光体ベルトあるいは中間転写ベルトを波打ち抑制の対象とし、濃度検出センサーとして用いられる反射型センサーを、変位センサーにも用いることができる。この場合、ベルト波打ちのない状態で事前に濃度検出を行っておく必要がある。このような場合には特に、ベルト部材の波打ちの抑制を、安価に行うことができる。
また、特に、減摩剤の供給によるテンションの分布の調整は、感光体ベルトおよび中間転写ベルトにも適用することができる。
本開示の画像形成装置は、複数のローラーに張架されたベルト部材と、前記ベルト部材において前記複数のローラー間に位置するベルト面の波打ち状態を検知する波打ち検知部と、前記波打ち検知部の検知結果に基づいて、前記ベルト面に発生する波打ちを抑制する波打ち抑制部と、を有する。
また、上記画像形成装置において、波打ち検知部は、波打ちの方向を含む波打ち状態を検知し、前記波打ち抑制部は、判定された方向に基づいて、前記波打ちを抑制してもよい。
また、上記画像形成装置において、前記波打ち検知部は、前記ベルト面の走行方向に対して垂直な方向における変位を、前記ベルト面内の複数の位置について検出するベルト面センサー部、を有し、前記変位の検出結果に基づいて、前記波打ち状態を検知してもよい。
また、上記画像形成装置において、前記波打ち抑制部は、前記ベルト部材に掛かるテンションの、前記ベルト部材の搬送方向に直交する方向である軸方向における分布を調整するベルトテンション調整部、を有し、前記軸方向における前記波打ちの発生源側とは反対側の前記テンションを前記波打ちの発生源側の前記テンションに比べて低くするように前記ベルトテンション調整部を制御することにより、前記波打ちを抑制してもよい。
また、上記画像形成装置において、前記ベルトテンション調整部は、前記ベルト面を押圧するベルト押圧機構を含み、前記波打ち抑制部は、前記ベルト押圧機構の押圧力を調整することにより、前記テンションの分布を調整してもよい。
また、上記画像形成装置において、前記波打ち抑制部は、前記ベルト部材に掛かるテンションの、前記ベルト部材の搬送方向に直交する方向である軸方向における分布を調整するベルトテンション調整部、を有し、前記軸方向における前記テンションの分布が均一化されるように前記ベルトテンション調整部を制御することにより、前記波打ちを抑制してもよい。
また、上記画像形成装置は、前記ベルト面に摺擦するベルト摺擦部材、を更に有し、前記ベルトテンション調整部は、前記ベルト摺擦部材が前記ベルト面に摺擦する部分に対して減摩剤を供給することにより、前記テンションの分布を調整し、前記波打ち抑制部は、前記ベルトテンション調整部が供給する減摩剤の量を増大させることにより、前記テンションの分布を均一化してもよい。
また、上記画像形成装置において、前記波打ち検知部は、検知された前記波打ち状態を示すパラメータを算出し、前記波打ち抑制部は、前記パラメータが所定の閾値以上となったことを条件として、前記テンションの分布を調整してもよい。
また、上記画像形成装置において、前記ベルト面センサー部および前記ベルトテンション調整部の少なくとも1つは、前記ベルト部材の内周側に配置されていてもよい。