JP2014212307A - 電気音響変換フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】可撓性を有するスピーカ等に好適な電気音響変換フィルムであって、湾曲の状態によらず、安定して所定の音響特性を発現できる電気音響変換フィルムを提供する。【解決手段】常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス24中に圧電体粒子26を分散した高分子複合圧電体12と、この高分子複合圧電体12を挟む電極層14,16とを有し、電極層14,16との接触面における圧電体粒子26の面積分率が50%以下にする。【選択図】図1

Description

本発明は、スピーカやマイクロフォンなどの音響デバイス等に用いられる電気音響変換フィルムに関する。
近年、プラスチック等の可撓性基板を用いたフレキシブルディスプレイに関する研究が進められている。
かかるフレキシブルディスプレイの基板としては、例えば、特許文献1において透明プラスチックフィルムにガスバリア層や透明導電層を積層したフレキシブルディスプレイ基板が開示されている。
フレキシブルディスプレイは、従来のガラス基板を用いたディスプレイと比較して、軽量性、薄さ、可撓性等において優位性を持っており、円柱等の曲面に備えることも可能である。また、丸めて収納することが可能であるため、大画面であっても携帯性を損なうことがなく、広告等の掲示用や、PDA(携帯情報端末)等の表示装置として注目されている。
このようなフレキシブルディスプレイを、テレビジョン受像機等のように画像と共に音声を再生する画像表示装置兼音声発生装置として使用する場合、音声を発生するための音響装置であるスピーカが必要である。
ここで、従来のスピーカ形状としては、漏斗状のいわゆるコーン型や、球面状のドーム型等が一般的である。しかしながら、これらのスピーカを上述のフレキシブルディスプレイに内蔵しようとすると、フレキシブルディスプレイの長所である軽量性や可撓性を損なう虞れがある。また、スピーカを外付けにした場合、持ち運び等が面倒であり、曲面状の壁に設置することが難しくなり美観を損ねる虞れもある。
このような中、軽量性や可撓性を損なうことなくフレキシブルディスプレイに一体化可能なスピーカとして、シート状で可撓性を有する圧電フィルムを採用することが、例えば、特許文献2に開示されている。
圧電フィルムとは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF:Poly VinyliDene Fluoride)の一軸延伸フィルムを高電圧で分極処理したもので、印加電圧に応答して伸縮する性質を有している。
圧電フィルムをスピーカとして採用するためには、フィルム面に沿った伸縮運動をフィルム面の屈曲運動に変換する必要がある。この伸縮運動から屈曲運動への変換は、圧電フィルムを湾曲させた状態で保持することにより達成され、これにより、圧電フィルムをスピーカとして機能させることが可能になる。
ところで、スピーカ用振動板の最低共振周波数f0は、下記式で与えられるのは周知である。ここで、sは振動系のスチフネス、mは質量である。

このとき、圧電フィルムの湾曲程度すなわち湾曲部の曲率半径が大きくなるほど機械的なスチフネスsが下がるため、最低共振周波数f0は小さくなる。すなわち、圧電フィルムの曲率半径によってスピーカの音質(音量、周波数特性)が変わることになる。
この問題を解決するため、特許文献2においては、圧電フィルムの湾曲度合いを計測するセンサーを備え、圧電フィルムの湾曲度合いに応じて、音声信号の周波数帯域別に振幅を所定量増減して補正することで安定した音声を出力可能にしている。
ところで、圧電フィルムからなるスピーカを一体化した、平面視形状が長方形のフレキシブルディスプレイを、携帯用として新聞や雑誌のように書類感覚で緩く撓めた状態で把持し、画面表示を縦横切り替えて使用する場合、画像表示面は縦方向のみならず横方向にも湾曲できることが好ましい。
ところが、一軸延伸されたPVDFからなる圧電フィルムは、その圧電特性に面内異方性があるため、同じ曲率でも曲げる方向によって音質が大きく異なってしまう。
さらに、PVDFはコーン紙等の一般的なスピーカ用振動板に比べ損失正接が小さいため、共振が強く出やすく、起伏の激しい周波数特性となる。従って、曲率の変化に伴い最低共振周波数f0が変化した際の音質の変化量も大きくなってしまう。
以上のように、PVDF固有の課題によって、上述の特許文献2に開示された音質補正手段では、安定した音声を再生することが困難であった。
一方、圧電特性に面内異方性がない、シート状で可撓性を有する圧電材料としては、高分子マトリックス中に圧電セラミックスを分散させた高分子複合圧電体が挙げられる。
高分子複合圧電体の場合、圧電セラミックスは硬いが高分子マトリックスは柔らかいため、圧電セラミックスの振動が全体に伝わる前にエネルギーが吸収されてしまう可能性がある。これは力学的振動エネルギーの伝達効率といわれるもので、この伝達効率を良くするには、高分子複合圧電体を硬くする必要があり、そのためには圧電セラミックスをマトリックス中に体積分率で少なくとも40〜50%以上入れる必要がある。
例えば、非特許文献1には、圧電体であるPZTセラミックスの粉末を溶媒流延または熱間混練によりPVDFと混合させた高分子複合圧電体が、PVDFのしなやかさとPZTセラミックスの高い圧電特性とをある程度両立することが開示されている。
しかしながら、圧電特性、すなわち伝達効率を高めるためにPZTセラミックスの割合を増やすと硬く、脆くなるという機械的欠点が存在する。
この問題を解決するため、例えば非特許文献2には、PVDFにフッ素ゴムを添加することで可撓性を維持させる試みが開示されている。
特開2000−338901号公報 特開2008−294493号公報
北山豊樹、昭和46年電子情報通信学会総合全国大会講演論文集、366(1971) 白井誠一、野村博昭、大賀寿郎、山田武、大口信樹、電子情報通信学会技術研究報告、24、15(1980)
このような高分子複合圧電体を用い、高分子複合圧電体を電極で挟持することにより、フレキシブルディスプレイ用のスピーカ等に好適な、良好な可撓性を有する電気音響変換フィルムを作製することができる。
ここで、高分子複合圧電体を用いる電気音響変換フィルムをスピーカとして採用するためには、圧電セラミックスの伸縮を、フィルム面の屈曲運動に変換する必要がある。
この圧電セラミックスの伸縮運動からフィルム面の屈曲運動への変換も、先の圧電フィルムと同様、電気音響変換フィルムを、ある程度、湾曲させた状態で保持することにより、達成される。すなわち、電気音響変換フィルムを、湾曲させた状態で保持することにより、電気音響変換フィルムをスピーカとして機能させることが可能になる。
ところが、本発明者の検討によれば、高分子複合圧電体を用いる電気音響変換フィルムは、音声を出力するためには、フィルムを湾曲させる必要が有る一方で、湾曲の状態によっては、電気音響変換フィルムの特性が低下してしまう。また、電気音響変換フィルムは、フレキシブルスピーカとして利用された際には、使用状況による湾曲状態に応じて、出力特性が変動してしまう場合も有る。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、高分子材料からなるマトリックスに圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体を用いる電気音響変換フィルムであって、使用状況などに起因する湾曲の状態によらず、安定して目的とする出力特性を発現できる電気音響変換フィルムを提供することにある。
このような問題を解決するために、本発明の電気音響変換フィルムは、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散した高分子複合圧電体と、この高分子複合圧電体を挟むように設けられる電極層とを有し、電極層との接触面における圧電体粒子の面積分率が50%以下であることを特徴とする電気音響変換フィルムを提供する。
このような本発明の電気音響変換フィルムにおいて、高分子複合圧電体の電極層と対向する面が、算術平均粗さRaが1μm以下、最大谷深さRvが6μm以下、および、最大高さ粗さRzが12μm以下の少なくとも1つを満たすのが好ましい。
また、高分子複合圧電体と、少なくとも一方の電極層との間に、接着剤層を有するのが好ましい。
また、高分子複合圧電体が、カレンダ処理を施されたものであるのが好ましい。
また、高分子複合圧電体が、カレンダ処理の後、分極処理を施されたものであるのが好ましい。
また、電極層との接触面における圧電体粒子の面積分率が、集束イオンビームによる高分子複合圧電体の断面加工面から算出した圧電体粒子の体積分率よりも低いのが好ましい。
また、集束イオンビームによる高分子複合圧電体の断面加工面から算出した圧電体粒子の体積分率が50%以上であるのが好ましい。
また、電極層の少なくとも一方の表面に、保護層を有するのが好ましい。
また、高分子材料が、常温で粘弾性を有する高分子材料であるのが好ましい。
また、接着剤層の厚さが3μm以下であるのが好ましい。
さらに、接着剤層が、高分子材料と同じ材料であるのが好ましい。
本発明の電気音響変換フィルムは、電極層との接触面における圧電体粒子の面積分率が低いため、すなわち、圧電体粒子と電極とが直接接触している面積が低い。
従って、本発明の電気音響変換フィルムは、電極と高分子複合圧電体とが高い接着力で接着されており、湾曲の状態によらず、電極と高分子複合圧電体との離間を防止できる。そのため、本発明の電気音響変換フィルムは、湾曲の状態によらず、高分子複合圧電体と電極との離間に起因する特性低下を防止して、安定して、目的とする出力特性を発現できる。
(A)および(B)は、本発明の電気音響変換フィルムの一例を概念的に示す図で、(C)は、従来の電気音響変換フィルムの一例を概念的に示す図である。 (A)〜(F)は、本発明の電気音響変換フィルムの一例の製造方法を概念的に示す図である。 (A)および(B)は、本発明の電気音響変換フィルムの圧電体層の薄膜電極との接触面の顕微鏡写真を処理して出力した画像、(C)は、従来の電気音響変換フィルムの圧電体層の薄膜電極との接触面の顕微鏡写真を処理して出力した画像である。 本発明の実施例における音圧レベルの測定方法を説明するための概念図である。
以下、本発明の電気音響変換フィルムについて、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1(A)に、本発明の電気音響変換フィルムの一例を概念的に示す。
図1(A)に示す電気音響変換フィルム10(以下、変換フィルム10とする)は、基本的に、高分子複合圧電体からなる圧電体層12と、圧電体層12の一面に設けられる薄膜電極14および他面に設けられる薄膜電極16と、薄膜電極14の表面に設けられる保護層18および薄膜電極16の表面に設けられる保護層20と、を有して構成される。
このような変換フィルム10は、スピーカ、マイクロフォン、および、ギター等の楽器に用いられるピックアップなどの各種の音響デバイス(音響機器)において、電気信号に応じた振動による音の発生(再生)や、音による振動を電気信号に変換するために利用されるものである。
本発明の変換フィルム10において、圧電体層12は、高分子複合圧電体からなるものである。
すなわち、圧電体層12は、高分子材料からなるマトリックス24中に、圧電体粒子26を分散してなる構成を有する。
本発明の変換フィルム10において、圧電体層12には、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる(粘弾性)マトリックス24が利用される。なお、本明細書において、「常温」とは、0〜50℃程度の温度域を指す。
ここで、フレキシブル性を有するスピーカに用いられる圧電体層12は、次の要件を具備したものであるのが好ましい。
(i) 可撓性
例えば、携帯用として新聞や雑誌のように書類感覚で緩く撓めた状態で把持する場合、絶えず外部から、数Hz以下の比較的ゆっくりとした、大きな曲げ変形を受けることになる。この時、高分子複合圧電体が硬いと、その分大きな曲げ応力が発生し、高分子マトリックスと圧電体粒子との界面で亀裂が発生し、やがて破壊に繋がる恐れがある。従って、高分子複合圧電体には適度な柔らかさが求められる。また、歪みエネルギーを熱として外部へ拡散できれば応力を緩和することができる。従って、高分子複合圧電体の損失正接が適度に大きいことが求められる。
(ii) 音質
スピーカは、20Hz〜20kHzのオーディオ帯域の周波数で圧電体粒子を振動させ、その振動エネルギーによって振動板(高分子複合圧電体)全体が一体となって振動することで音が再生される。従って、振動エネルギーの伝達効率を高めるために高分子複合圧電体には適度な硬さが求められる。また、スピーカの周波数特性が平滑であれば、曲率の変化に伴い最低共振周波数f0が変化した際の音質の変化量も小さくなる。従って、高分子複合圧電体の損失正接は適度に大きいことが求められる。
以上をまとめると、フレキシブル性を有するスピーカに用いる圧電体層12は、20Hz〜20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の振動に対しては柔らかく振る舞うことが求められる。また、圧電体層12の損失正接は、20kHz以下の全ての周波数の振動に対して、適度に大きいことが求められる。
一般に、高分子固体は粘弾性緩和機構を有しており、温度上昇あるいは周波数の低下と共に大きなスケールの分子運動が貯蔵弾性率(ヤング率)の低下(緩和)あるいは損失弾性率の極大(吸収)として観測される。その中でも、非晶質領域の分子鎖のミクロブラウン運動によって引き起こされる緩和は、主分散と呼ばれ、非常に大きな緩和現象が見られる。この主分散が起きる温度がガラス転移点(Tg)であり、最も粘弾性緩和機構が顕著に現れる。
圧電体層12において、ガラス転移点が常温にある高分子材料、言い換えると、常温で粘弾性を有する高分子材料をマトリックス24に用いることで、20Hz〜20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の遅い振動に対しては柔らかく振舞う圧電体層12が実現する。特に、この振舞いが好適に発現する等の点で、周波数1Hzでのガラス転移温度が常温にある高分子材料を、圧電体層12のマトリックス24に用いるのが好ましい。
常温で粘弾性を有する高分子材料としては、公知の各種のものが利用可能である。好ましくは、常温において、動的粘弾性試験による周波数1Hzにおける損失正接Tanδの極大値が、0.5以上有る高分子材料を用いる。
これにより、圧電体層12が外力によってゆっくりと曲げられた際に、最大曲げモーメント部におけるマトリックス24/圧電体粒子26界面の応力集中が緩和され、高い可撓性が期待できる。
また、高分子材料は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃において100MPa以上、50℃において10MPa以下であることが好ましい。
これにより、圧電体層12が外力によってゆっくりと曲げられた際に発生する曲げモーメントが低減できると同時に、20Hz〜20kHzの音響振動に対しては硬く振る舞うことができる。
また、高分子材料は、比誘電率が25℃において10以上有ると、より好適である。これにより、高分子複合圧電体に電圧を印加した際に、マトリックス24中の圧電体粒子26にはより高い電界が掛かるため、大きな変形量が期待できる。
しかしながら、その反面、良好な耐湿性の確保等を考慮する場合には、高分子材料は、比誘電率が25℃において10以下であるのも、好適である。
このような条件を満たす高分子材料としては、シアノエチル化ポリビニルアルコール(シアノエチル化PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニリデンクロライドコアクリロニトリル、ポリスチレン−ビニルポリイソプレンブロック共重合体、ポリビニルメチルケトン、および、ポリブチルメタクリレート等が例示される。また、これらの高分子材料としては、ハイブラー5127(クラレ社製)などの市販品も、好適に利用可能である。
なお、これらの高分子材料は、1種のみを用いてもよく、複数種を併用(混合)して用いてもよい。
このような常温で粘弾性を有する高分子材料を用いるマトリックス24は、必要に応じて、複数の高分子材料を併用してもよい。
すなわち、マトリックス24には、誘電特性や機械特性の調節等を目的として、シアノエチル化PVA等の粘弾性材料に加え、必要に応じて、その他の誘電性高分子材料を添加しても良い。
添加可能な誘電性高分子材料としては、一例として、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体およびポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系高分子、シアン化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、シアノエチルセルロース、シアノエチルヒドロキシサッカロース、シアノエチルヒドロキシセルロース、シアノエチルヒドロキシプルラン、シアノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノエチルヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルアミロース、シアノエチルヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルジヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルヒドロキシプロピルアミロース、シアノエチルポリアクリルアミド、シアノエチルポリアクリレート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリヒドロキシメチレン、シアノエチルグリシドールプルラン、シアノエチルサッカロースおよびシアノエチルソルビトール等のシアノ基あるいはシアノエチル基を有するポリマー、ニトリルゴムやクロロプレンゴム等の合成ゴム等が例示される。
中でも、シアノエチル基を有する高分子材料は、好適に利用される。
なお、圧電体層12のマトリックス24において、シアノエチル化PVA等の常温で粘弾性を有する材料に加えて添加される誘電性ポリマーは、1種に限定はされず、複数種を添加してもよい。
また、誘電性高分子材料以外にも、ガラス転移点(Tg)を調節する目的で、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリブテン、イソブチレン、等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、マイカ、等の熱硬化性樹脂を添加しても良い。
さらに、粘着性を向上する目的で、ロジンエステル、ロジン、テルペン、テルペンフェノール、石油樹脂、等の粘着付与剤を添加しても良い。
圧電体層12のマトリックス24において、シアノエチル化PVA等の粘弾性材料以外のポリマーを添加する際の添加量には、特に限定は無いが、マトリックス24に占める割合で30質量%以下とするのが好ましい。
これにより、マトリックス24における粘弾性緩和機構を損なうことなく、添加する高分子材料の特性を発現できるため、高誘電率化、耐熱性の向上、圧電体粒子26や電極層との密着性向上等の点で好ましい結果を得ることができる。
なお、本発明の変換フィルム10において、圧電体層12(高分子複合圧電体)のマトリックス24は、このような常温で粘弾性を有するマトリックス以外にも、公知の高分子複合圧電体に利用されている、各種の高分子材料が利用可能である。
具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、シアノエチル化プルラン、ナイロン等が例示される。
本発明の変換フィルム10において、圧電体層12の圧電体粒子26は、公知の圧電材料からなる粒子が、各種利用可能である。圧電体粒子26は、好ましくは、ペロブスカイト型あるいはウルツ鉱型の結晶構造を有するセラミックス粒子からなるものである。
圧電体粒子26を構成するセラミックス粒子としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛(PLZT)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、酸化亜鉛(ZnO)、および、チタン酸バリウムとビスマスフェライト(BiFe3)との固溶体(BFBT)等が、好適に例示される。
本発明において、圧電体粒子26の粒径には、特に限定は無い。しかしながら、本発明者の検討によれば、圧電体粒子26の粒径は、1〜20μmが好ましい。
圧電体粒子26の粒径を上記範囲とすることにより、高い圧電特性とフレキシビリティとを両立できる等の点で好ましい結果を得ることができる。さらに、圧電体粒子26の粒径を上記範囲とすることにより、圧電体層12の膜厚等によらず、圧電体層12の表面平滑性を、より安定して高くすることができる。
圧電体層12において、マトリックス24と圧電体粒子26との量比は、圧電体層12のサイズ(面方向の大きさ)や厚さ、圧電体層12の用途、圧電体層12に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、本発明者の検討によれば、圧電体層12中における圧電体粒子26の体積分率は、30〜70%が好ましく、特に、50%以上とするのが好ましく、従って、50〜70%とするのが、より好ましい。
マトリックス24と圧電体粒子26との量比を上記範囲とすることにより、圧電体粒子26の伸縮のエネルギー伝達を効率的に行って、高い圧電特性とフレキシビリティとを両立できる等の点で好ましい結果を得ることができる。
なお、本発明において、圧電体層12における圧電体粒子26の体積分率は、集束イオンビーム(FIB(Focused Ion Beam))による圧電体層12(高分子複合圧電体)の断面加工面を、走査型電子顕微鏡(FE-SEM 例えば、日立社製 S-4100)を用いて観察した画像データを元に、例えば、画像解析ソフトウエア(一例として、公有ソフトウエアであるImage J)を用いて算出すれば良い。
また、本発明の変換フィルム10において、圧電体層12の厚さにも、特に限定はなく、変換フィルム10のサイズ、変換フィルム10の用途、変換フィルム10に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、本発明者の検討によれば、圧電体層12の厚さは10〜200μm、特に、15〜100μmが好ましい。
圧電体層12の厚さを、上記範囲とすることにより、剛性の確保と適度な柔軟性との両立等の点で好ましい結果を得ることができる。
なお、圧電体層12は、分極処理(ポーリング)されているのが好ましいのは、前述のとおりである。分極処理に関しては、後に詳述する。
図1に示す変換フィルム10は、このような圧電体層12の一面に薄膜電極14を形成し、その上に保護層18を形成し、圧電体層12の他方の面に薄膜電極16を形成し、その上に保護層20を形成してなる構成を有する。
すなわち、変換フィルム10は、圧電体層12を薄膜電極14および16で挟持し、この積層体を、保護層18および20で挟持してなる構成を有する。
薄膜電極14および16は、圧電体層12に電界を印加するための電極層である。
薄膜電極14および16の形成材料には、特に、限定はなく、各種の導電体が利用可能である。具体的には、炭素、パラジウム、鉄、錫、アルミニウム、ニッケル、白金、金、銀、銅、クロムおよびモリブデン等や、これらの合金、酸化インジウムスズ等が例示される。中でも、銅、アルミニウム、金、銀、白金、および、酸化インジウムスズのいずれかは、好適に例示される。
また、薄膜電極14および16の形成方法にも、特に限定はなく、真空蒸着やスパッタリング等の気相堆積法(真空成膜法)やめっきによる成膜や、上記材料で形成された箔を貼着する方法等、公知の方法が、各種、利用可能である。
中でも特に、変換フィルム10の可撓性が確保できる等の理由で、真空蒸着で成膜された銅やアルミニウムの薄膜は、薄膜電極14および16として、好適に利用される。その中でも特に、真空蒸着による銅の薄膜は、好適に利用される。
なお、薄膜電極14および16は、圧電体層12に形成してもよく、あるいは、図示例のように変換フィルム10が保護層18および20を有する場合には、保護層に薄膜電極を形成して、圧電体層12に積層してもよい。
薄膜電極14および16の厚さには、特に、限定は無い。また、薄膜電極14および16の厚さは、基本的に同じであるが、異なってもよい。
ここで、薄膜電極14および16の剛性が高過ぎると、圧電体層12の伸縮を拘束するばかりか、可撓性も損なわれる。そのため、薄膜電極14および16は、電気抵抗が高くなり過ぎない範囲であれば、薄いほど有利である。
変換フィルム10において、保護層18および20は、好ましい態様として設けられるものであり、圧電体層12と、薄膜電極14および16とからなる積層体に、適度な剛性と機械的強度を付与する役目を担っている。
保護層18および20には、特に限定はなく、各種のシート状物が利用可能である。一例として、各種の樹脂フィルム(プラスチックフィルム)が、好適に例示される。中でも、優れた機械的特性および耐熱性を有するなどの理由により、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイト(PPS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、および、環状オレフィン系樹脂が好適に利用される。
保護層18および20の厚さにも、特に、限定は無い。また、保護層18および20の厚さは、基本的に同じであるが、異なってもよい。
ここで、前述の薄膜電極14および16と同様、保護層18および20の剛性が高過ぎると、圧電体層12の伸縮を拘束するばかりか、可撓性も損なわれるため、機械的強度やシート状物としての良好なハンドリング性が要求される場合を除けば、保護層18および20は、薄いほど有利である。
なお、保護層18および20が非常に薄く、ハンドリング性が悪い場合には、剥離可能なセパレータ(支持体)付きの保護層18および20を用いてもよい。セパレータとしては、厚さ25〜100μm程度のPETフィルム等が例示される。このセパレータに関しては、後述する図2(A)および図2(F)で例示するシート状物34および38に関しても、同様である。
本発明者の検討によれば、保護層18および20の厚さが、圧電体層12の厚さの2倍以下であれば、剛性の確保と適度な柔軟性との両立等の点で好ましい結果を得ることができる。
例えば、圧電体層12の厚さが50μmで保護層18および20がPETからなる場合、保護層18および20の厚さは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、中でも25μm以下とするのが好ましい。
また、本発明者の検討によれば、薄膜電極14および16の厚さとヤング率との積が、保護層18および20の厚さとヤング率との積を下回れば、可撓性を大きく損なうことがないため、好適である。
例えば、保護層18および20がPET(ヤング率:約6.2GPa)で、薄膜電極14および16が銅(ヤング率:約130GPa)からなる組み合わせの場合、保護層18および20の厚さが25μmだとすると、薄膜電極14および16の厚さは、1.2μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましく、中でも0.1μm以下とするのが好ましい。
前述のように、本発明の変換フィルム10は、常温で粘弾性を有する高分子材料からなるマトリックス24に圧電体粒子26を分散してなる圧電体層12(高分子複合圧電体)を、薄膜電極14および16で挟持し、好ましくは、さらに、この積層体を、保護層18および20を挟持してなる構成を有する。
このような変換フィルム10は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの損失正接(Tanδ)が0.1以上となる極大値が常温に存在するのが好ましい。
これにより、変換フィルム10が外部から数Hz以下の比較的ゆっくりとした、大きな曲げ変形を受けたとしても、歪みエネルギーを効果的に熱として外部へ拡散できるため、高分子マトリックスと圧電体粒子との界面で亀裂が発生するのを防ぐことができる。
変換フィルム10は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃において10〜30GPa、50℃において1〜10GPaであるのが好ましい。
これにより、常温で変換フィルム10が貯蔵弾性率(E’)に大きな周波数分散を有することができる。すなわち、20Hz〜20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の振動に対しては柔らかく振る舞うことができる。
また、変換フィルム10は、厚さと動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)との積が、0℃において1.0×106〜2.0×106(1.0E+06〜2.0E+06)N/m、50℃において1.0×105〜1.0×106(1.0E+05〜1.0E+06)N/mであるのが好ましい。
これにより、変換フィルム10が可撓性および音響特性を損なわない範囲で、適度な剛性と機械的強度を備えることができる。
さらに、変換フィルム10は、動的粘弾性測定から得られたマスターカーブにおいて、25℃、周波数1kHzにおける損失正接(Tanδ)が、0.05以上であるのが好ましい。
これにより、変換フィルム10を用いたスピーカの周波数特性が平滑になり、スピーカの曲率の変化に伴い最低共振周波数fが変化した際の音質の変化量も小さくできる。
ここで、本発明の変換フィルム10は、薄膜電極(電極層)との接触面(薄膜電極と接触する層における、薄膜電極との接触面)における圧電体粒子26の面積分率が、50%以下である。
すなわち、図示例の変換フィルム10においては、圧電体層12の薄膜電極14側の表面、および、圧電体層12の薄膜電極16側の表面において、圧電体粒子26の面積分率が50%以下である。
本発明の変換フィルム10は、このような構成を有することにより、良好な可撓性を有する高分子複合圧電体からなる圧電体層12を有する変換フィルム10において、出力などの動作のための湾曲や、使用状況に応じた湾曲の状態によらず、安定して目的とする特性を発現できる。
前述のように、高分子複合圧電体を用いる電気音響変換フィルムをスピーカとして採用するためには、圧電体粒子26(圧電セラミックス)の伸縮を、フィルム面の屈曲運動に変換する必要が有る。そのために、電気音響変換フィルムは、ある程度、湾曲させた状態で保持する必要が有る。
ところが、従来の電気音響変換フィルムは、音声を出力するための湾曲のために特性が低下したり、使用状況に起因する湾曲等に応じて出力特性が変動したりする場合が有る。さらに、甚だしい場合には、繰り返し行われる湾曲によって、薄膜電極と圧電体層12とが剥離して、電気音響変換フィルムとして駆動できなくなってしまう。
本発明者は、この原因について鋭意検討を重ねた。その結果、電気音響変換フィルムが湾曲されることに起因して、薄膜電極と高分子複合圧電体とが離間してしまうことに原因が有ることを見出した。
後に図2(A)〜図2(F)を参照して説明するが、高分子複合圧電体は、通常、有機溶媒にマトリックス24となる高分子材料を溶解し、この溶液に圧電体粒子26を投入して分散してなる塗料を調製し、この塗料を塗布して、乾燥することで形成される。
ここで、このように形成された高分子複合圧電体の表面(上面)には、圧電体粒子26が突出した部分が、多々、存在している(図2(B)参照)。
なお、高分子複合圧電体の下側(被塗布面との接触面)は、被塗布面によって塗膜が平面にされるので、このような圧電体粒子の突出は生じない。また、同様の理由で、高分子複合圧電体の下側は、表面の平滑性も高い。
高分子複合圧電体の表面には、電気音響変換フィルムを駆動するための薄膜電極(電極層)が設けられる。
ところが、圧電体粒子26が突出している部分は、バインダとしても作用するマトリックス24による接着力が無いので、電極層と高分子複合圧電体とは、保護層等の電極層の表面に形成される層によって物理的に押圧されて、接合しているだけの状態となる。
そのため、圧電体粒子26が突出している部分では、電極層と高分子複合圧電体とが離間する部分(浮き)が生じてしまう(図1(C)参照)。また、電気音響変換フィルムが湾曲されると、この圧電体粒子が突出している部分を起点として、さらに、電極層と高分子複合圧電体との離間が拡大してしまう。このような離間が生じると、この部分において高分子複合圧電体に所望の電界が掛からなくなり、スピーカの音響特性としては音圧レベル(出力特性)の低下を招く。
また、甚だしい場合には、電極層と高分子複合圧電体との離間に起因して、電極層と高分子複合圧電体とが剥離して、電気音響変換フィルムとして作動しなくなってしまう。
これに対して、本発明の変換フィルム10は、薄膜電極14との接触面、および、薄膜電極16との接触面における、圧電体粒子26の面積分率が、50%以下である。図示例においては、圧電体層12の両面において、圧電体粒子26の面積分率が、50%以下である。
そのため、接着剤としても作用するマトリックス24(後述する接着剤層30)と薄膜電極との接触面積を多くして、圧電体層12と薄膜電極14および16との接着性を十分に確保することができる。これにより、出力のための変換フィルム10の湾曲によって、また、使用状況等に応じて変換フィルム10の湾曲の状態が変化しても、圧電体層12と薄膜電極14および16との離間(浮き)を防止できる。さらに、使用状況等に応じて変換フィルム10の湾曲状態が変化しても、圧電体層12と薄膜電極14および16との離間の状態が変化しない。
そのため、本発明の変換フィルム10によれば、変換フィルム10をスピーカとして作用させるために湾曲しても、使用状況等に応じて変換フィルム10が湾曲されても、安定して、所定の出力特性を発現することができる。
本発明の変換フィルム10において、薄膜電極14との接触面、および、薄膜電極16との接触面における圧電体粒子26の面積分率は、50%以下が好ましく、30%以下が、より好ましい。
これにより、圧電体層12と薄膜電極との離間を、より確実に防止して、離間に起因する出力特性の低下を防止でき、巻き取って持ち運ぶことを想定するフレキシブルスピーカ等への対応が容易になり、また、変換フィルム10を製造する際にいわゆるロール・トゥ・ロールでの製造が容易になり、さらに、特性のバラツキも低減できる等の点で好ましい結果を得る。
なお、薄膜電極(電極層)との接触面における、圧電体粒子26の面積分率は、例えば、薄膜電極を剥離して、薄膜電極との接触面(圧電体層12の表面あるいは後述する接着剤層30の薄膜電極14との界面)を露出し、この接触面を走査型電子顕微鏡を用いて撮影し、例えば、得られたデータを元に、画像解析ソフトウエアを用いて、薄膜電極との接触面の面積に対する圧電体粒子26の面積の割合を算出すればよい。
また、本発明の変換フィルム10においては、薄膜電極との接触面における圧電体粒子26の面積分率は、FIBによる圧電体層12の断面加工面から算出した、圧電体層12における圧電体粒子26の体積分率よりも、低いのが好ましい。
このような構成を有することにより、圧電体粒子26の体積分率がどのような値であっても、圧電体層12と薄膜電極間との密着力を一定以上確保することが可能になり、製造安定性や耐屈曲性が向上する等の点で好ましい。
さらに、本発明の変換フィルム10においては、圧電体層12は、表面の平坦性が高い方が好ましい。
なお、圧電体層12の表面とは、基本的に、薄膜電極14および薄膜電極16との接触面(界面)である。あるいは、薄膜電極と圧電体層12との間に後述する接着剤層30を有する場合には、接着剤層30との接触面(界面)である。すなわち、圧電体層12の表面とは、薄膜電極との対向面である。
具体的には、圧電体層12の表面は、算術平均粗さRaが1μm以下、最大谷深さRvが6μm以下、および、最大高さ粗さRzが12μm以下の少なくとも1つを満たすのが好ましい。さらに、圧電体層12の表面は、算術平均粗さRaが1μm以下、最大谷深さRvが6μm以下、および、最大高さ粗さRzが12μm以下の2つを満たすのがより好ましく、全てを満たすのが特に好ましい。
圧電体層12の表面が、この平坦性を満たすことにより、部分的な電極間のリーク放電を抑止して、より動作の安定性に優れた変換フィルム10を得ることができる。具体的には、算術平均粗さRaを1μm以下とすることにより、リーク放電の発生箇所を少なくできる。また、最大谷深さRvを6μm以下とすることにより、比較的高い印加電圧でのリーク放電を抑制できる。さらに、最大高さ粗さRzを12μm以下とすることにより、リーク放電の発生箇所を少なくできる。
以上の点を考慮すると、圧電体層12の表面は、算術平均粗さRaが0.7μm以下、最大谷深さRvが5μm以下、および、最大高さ粗さRzが10μm以下の少なくとも1つを満たすのがより好ましい。
なお、算術平均粗さRa、最大谷深さRv、および、最大高さ粗さRzは、いずれも、基本的に、低いほど好ましい。
圧電体層12の表面の平坦性は、例えば、先と同様に、薄膜電極(あるいはさらに接着剤層30)を剥離して、圧電体層12の表面を露出して、この表面の算術平均粗さRa、最大谷深さRv、最大高さ粗さRz等を、AFM(原子間力顕微鏡)、共焦点光学系レーザ顕微鏡、接触型の表面粗さ計等を用いる公知の方法で測定すればよい。
圧電体層12の表面の算術平均粗さRa等は、以下の方法でも測定できる。まず、圧電体層12(変換フィルム10)を任意の大きさに切り出し、エポキシ樹脂等に包埋して硬化する。次いで、樹脂中の圧電体層12を集束イオンビーム(FIB)等で切断して、圧電体層12の断面を露出させる。この断面を光学顕微鏡等で観察して、長さ10mm程度の圧電体層12と薄膜電極14との境界線(界面)を、画像変換ソフトウェアで曲線数式変換し、算術平均粗さRa、最大谷深さRv、最大高さ粗さRz等を算出する。この断面における境界線の画像解析による算術平均粗さRa等の算出を、10個程度の切断面で行ない、平均値を算出することで、圧電体層12の表面の算術平均粗さRa、最大谷深さRv、最大高さ粗さRz等を測定する。
なお、算術平均粗さRa、最大谷深さRv、および、最大高さ粗さRzは、基本的に、JIS B0601 2001に準拠して測定すればよい。
本発明の変換フィルム10において、薄膜電極との接触面における圧電体粒子26の面積分率を50%以下する好ましい方法として、カレンダ処理が例示される。また、圧電体層12の表面が、算術平均粗さRaが1μm以下、最大谷深さRvが6μm以下、および、最大高さ粗さRzが12μm以下の少なくとも1つを満たすようにする方法としても、カレンダ処理は好適である。
すなわち、カレンダ処理を行うことで、薄膜電極との接触面における圧電体粒子26の面積分率を50%以下と、圧電体層12の表面平坦性との両方を達成できる。
周知のように、カレンダ処理とは、加熱プレスや加熱ローラ等によって、被処理面を加熱しつつ平坦化(平坦面を加熱転写)する処理である。圧電体層12を構成するマトリックス24を軟化点以上まで加熱して、このカレンダ処理を行うことにより、圧電体層12から突出した圧電体粒子26を圧電体層12に押し込み、かつ、この押し込みによる圧電体層12の体積増によって、マトリックス24の上面を相対的に上昇して、薄膜電極との接触面における圧電体粒子26の面積分率を50%以下にできる。
また、カレンダ処理を行うことによって、圧電体層12における圧電体粒子26の体積分率も向上できる。
なお、圧電体層12の下側(薄膜電極16との接触面)は、薄膜電極16の表面によって圧電体層12の表面(圧電体層12を形成する塗料の塗膜)が平面にされる。
その結果、薄膜電極との接触面における圧電体粒子26の面積分率を50%以下と、圧電体層12の表面の算術平均粗さRaが1μm以下、最大谷深さRvが6μm以下および最大高さ粗さRzが12μm以下とが、共に達成される。従って、圧電体層12の下側に関しては、カレンダ処理等の平坦化処理は不要である。
カレンダ処理の温度や圧力等の条件は、圧電体層12のマトリックス24の材料等に応じて、適宜、決定すればよい。
なお、このカレンダ処理は、圧電体層12の分極処理に先立って行うのが好ましい。
カレンダ処理を行うと、多くの圧電体粒子26が、圧電体層12に押し込まれる。その際、回転を伴って押し込まれる粒子も存在するため、分極処理を行った後に、カレンダ処理を行うと、分極方向が本来の膜厚方向から傾いた圧電体粒子26が発生し、変換フィルム10の圧電特性が低下してしまう。
また、このような不都合は、後述する熱圧着による薄膜電極14および保護層18(後述するシート状物38)の熱圧着時にも生じる。
これに対し、カレンダ処理を行った後に、分極処理を行うことにより、このような圧電体粒子26の回転に起因する圧電特性の低下を防止できる。
また、一度、カレンダ処理を行っているので、後述する熱圧着による薄膜電極14および保護層18(シート状物38)の熱圧着時にも、圧電体粒子26の回転は生じない。
薄膜電極との接触面における圧電体粒子26の面積分率を50%以下にする別の好ましい方法として、図1(B)に示す(電気音響)変換フィルム10aのように、薄膜電極14の表面に、接着剤層30を設ける方法が例示される。
あるいは、この接着剤層30を圧電体層12の表面に設けてもよい。さらに、薄膜電極14の表面および圧電体層12の表面に、接着剤層30を設けてもよい。
このような接着剤層30を有することにより、圧電体層12から突出した圧電体粒子26を、この接着剤層30に埋没できる。これにより、薄膜電極14との接触面(すなわち、本例では接着剤層30の上面(薄膜電極14との界面))における圧電体粒子26の面積分率を50%以下にできる。
また、接着剤層30を有することにより、圧電体層12と薄膜電極14との接着力を、より強固にできる。そのため、接着剤層30を有する変換フィルム10aは、繰り返し行われる湾曲に対して、非常に高い強度を有し、曲率10mm程度の巻取りおよび巻き戻しを、繰り返し行っても、剥離等を生じない。従って、この接着剤層30を有する変換フィルム10aは、巻き取って持ち運ぶことを想定するフレキシブルスピーカ等にも、好適に対応できる。
接着剤層30の厚さは、圧電体層12の表面における圧電体粒子26の面積分率等に応じて、適宜、決定すればよい。
ここで、接着剤層30が厚すぎると、圧電体粒子26に掛かる電界強度が低下してしまい、変換フィルム10aの出力特性が低下してしまう。この点を考慮すると、接着剤層30の厚さは、3μm以下が好ましく、特に、1μm以下が好ましい。
接着剤層30の形成材料は、圧電体層12と薄膜電極14とを接着可能な各種の材料が利用可能である。
ここで、変換フィルム10a(圧電体層12)の特性を考慮すると、接着剤層30の形成材料は、マトリックス24と同じ高分子材料を用いるのが好ましい。
本発明の(電気音響)変換フィルムにおいては、カレンダ処理および接着剤層30の形成は、何れか一方のみを行ってもよいが、両方を行うのが、より好ましい。
これにより、より薄膜電極14との接触面(本例でも接着剤層30の上面)における圧電体粒子26の面積分率を低くし、かつ、薄膜電極14と圧電体層12との接着力を強くして、薄膜電極と圧電体層12との浮きを、より確実に防止できる。
以下、図2(A)〜図2(F)を参照して、変換フィルム10の製造方法の一例を説明する。
まず、図2(A)に示すように、保護層20の上に薄膜電極16が形成されたシート状物34を準備する。
このシート状物34は、保護層20の表面に、真空蒸着、スパッタリング、めっき等によって薄膜電極16として銅薄膜等を形成して、作製すればよい。あるいは、保護層18となるPETフィルム等の上に銅薄膜等が形成された、市販品をシート状物34として利用してもよい。
一方で、有機溶媒に、シアノエチル化PVA等の高分子材料を溶解し、さらに、PZT粒子等の圧電体粒子26を添加して、攪拌、分散してなる塗料を調製する。有機溶媒には、特に限定はなく、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の各種の有機溶媒が利用可能である。
シート状物34を準備し、かつ、この塗料を調製したら、この塗料をシート状物34の薄膜電極16の表面にキャスティング(塗布)して、有機溶媒を蒸発して乾燥する。これにより、図2(B)に示すように、保護層20の上に薄膜電極16を有し、薄膜電極16の上に圧電体層12を形成してなる積層体36を作製する。
この塗料のキャスティング方法には、特に、限定はなく、スライドコーターやドクターナイフ(ドクターブレード)等の公知の方法(塗布装置)が、全て、利用可能である。
圧電体層12を形成したら、図2(C)に示すように、加熱ローラ37によってカレンダ処理を行って、圧電体層12の表面を加熱しつつ、平坦化する。
なお、前述のように、圧電体層12の下側(薄膜電極16との接触面)は、薄膜電極16の表面によって塗膜が平面にされるので、このようなカレンダ処理は不要である。すなわち、塗料が塗布された薄膜電極16側の圧電体層12の表面は、圧電体粒子26の面積分率は必ず50%以下となり、また、算術平均粗さRaが1μm以下、最大谷深さRvが6μm以下、および、最大高さ粗さRzが12μm以下の全てを満たす。
カレンダ処理を行ったら、圧電体層12の分極処理(ポーリング)を行う。
なお、圧電体層12の分極処理は、カレンダ処理の前に行ってもよいが、カレンダ処理を行った後に、分極処理を行うのが好ましいのは、前述の通りである。
圧電体層12の分極処理の方法には、特に限定はなく、公知の方法が利用可能である。好ましい分極処理の方法として、図2(D)および図2(E)に示す方法が例示される。
この方法では、図2(D)および図2(E)に示すように、積層体36の圧電体層12の上面12aの上に、間隔gを例えば1mm開けて、この上面12aに沿って移動可能な棒状あるいはワイヤー状のコロナ電極40を設ける。そして、このコロナ電極40と薄膜電極16とを直流電源42に接続する。
さらに、積層体36を加熱保持する加熱手段、例えば、ホットプレートを用意する。
その上で、圧電体層12を、加熱手段によって、例えば、温度100℃に加熱保持した状態で、直流電源42から薄膜電極16とコロナ電極40との間に、数kV、例えば、6kVの直流電圧を印加してコロナ放電を生じさせる。
さらに、間隔gを維持した状態で、圧電体層12の上面12aに沿って、コロナ電極40を移動(走査)して、圧電体層12の分極処理を行う。あるいは、コロナ電極40を移動せずに、積層体36を移動して、分極処理を行ってもよい。
なお、分極処理は、コロナポーリング処理に限定はされず、分極処理を行う対象に、直接、直流電界を印加する、通常の電界ポーリングも利用可能である。但し、この通常の電界ポーリングを行う場合には、分極処理の前に、薄膜電極14を形成する必要が有る。
一方で、保護層18の上に薄膜電極14が形成されたシート状物38を、準備する。このシート状物38は、前述のシート状物34と同様のものである。
このシート状物38を、図2(F)に示すように、薄膜電極14を圧電体層12に向けて、圧電体層12の分極処理を終了した前記積層体36に積層する。
さらに、この積層体36とシート状物38との積層体を、保護層18および20を挟持するようにして、加熱プレス装置や加熱ローラ対等を用いて熱圧着(熱ラミネート)して、図1に示すような、本発明の変換フィルム10を完成する。
なお、このシート状物38として、薄膜電極14の表面に接着剤層30が形成された物を用いることで、図1(B)に示す変換フィルム10aが作製できる。
以上、本発明の電気音響変換フィルムについて詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的な実施例を挙げ、本発明の電気音響変換フィルムについて、より詳細に説明する。
[実施例1]
下記の組成比で、シアノエチル化PVA(CR−V 信越化学工業社製)をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。その後、この溶液に、圧電体粒子26としてPZT粒子を下記の組成比で添加して、プロペラミキサー(回転数2000rpm)で分散させて、圧電体層12を形成するための塗料を調製した。
・PZT粒子・・・・・・・・・・・300質量部
・シアノエチル化PVA・・・・・・・30質量部
・DMF・・・・・・・・・・・・・・70質量部
なお、PZT粒子は、主成分となるPb酸化物、Zr酸化物およびTi酸化物の粉末を、Pb=1モルに対し、Zr=0.52モル、Ti=0.48モルとなるように、ボールミルで湿式混合してなる混合粉を、800℃で5時間、焼成した後、解砕処理したものを用いた。
一方、厚さ4μmのPETフィルムに、厚さ0.1μmの銅薄膜を真空蒸着してなるシート状物34および38を用意した。すなわち、本例においては、薄膜電極14および16は、厚さ0.1mの銅蒸着薄膜であり、保護層18および20は厚さ4μmのPETフィルムとなる。
シート状物34の薄膜電極16(銅蒸着薄膜)の上に、スライドコーターを用いて、先に調製した圧電体層12を形成するための塗料を塗布した。なお、塗料は、乾燥後の塗膜の膜厚が40μmになるように、塗布した。
次いで、シート状物34の上に塗料を塗布した物を、120℃のホットプレート上で加熱乾燥することでDMFを蒸発させた。これにより、PET製の保護層20の上に銅製の薄膜電極16を有し、その上に、厚さが40μmの圧電体層12を形成してなる積層体36を作製した。
この積層体36の圧電体層12を、図2(C)および図2(D)に示す前述のコロナポーリングによって、分極処理した。なお、分極処理は、圧電体層12の温度を100℃として、薄膜電極16とコロナ電極40との間に6kVの直流電圧を印加してコロナ放電を生じさせて、行った。
次いで、分極処理を行った圧電体層12の上面(薄膜電極16と逆側の表面)に、加熱ローラ37を用いてカレンダ処理を行った。
カレンダ処理は、加熱ローラ37の温度を70℃、押圧力を0.3MPaとして、加熱ローラ37の移動速度を0.6m/minとして行った。
分極処理を行った積層体36の上に、薄膜電極14(銅薄膜側)を圧電体層12に向けてシート状物38を積層した。
次いで、積層体36とシート状物38との積層体を、ラミネータ装置を用いて120℃で熱圧着することで、圧電体層12と薄膜電極14および16とを接着して、図1(A)に示すような変換フィルム10を作製した。
この変換フィルム10の一部を切り出し、保護層18および薄膜電極14を剥離して、圧電体層12の表面を露出した。
この圧電体層12の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した画像データを元に、画像解析ソフトを用いて、この表面における圧電体粒子26(PZT粒子)の面積分率を算出した。その結果、圧電体層12の表面(薄膜電極14との接触面)における圧電体粒子26の面積分率は、42%であった。
さらに、共焦点光学系レーザ顕微鏡を用いた表面粗さ測定(カットオフ条件:λs=25μm)によって、露出した圧電体層12の表面の算術平均表面粗さRa、最大谷深さRvおよび最大高さ粗さRzを測定した。その結果、算術平均表面粗さRaは0.8μm、最大谷深さRvは5.7μm、最大高さ粗さRzは11.3μmであった。
図3(A)に、保護層18および薄膜電極14を剥離した圧電体層12の表面のSEM写真を、画像処理して出力した画像を示す(3000倍)。
次に、この変換フィルム10のスピーカ性能試験を行った。
まず、変換フィルム10から、210×300mm(A4サイズ)の矩形試験片を切り出し、図4に概念的に示すように、予めグラスウール50を収納した210×300mmのケース52上に載せた後、周辺部に蓋54をして、変換フィルム10に適度な張力と曲率を与えることで薄型スピーカを組立てた。なお、ケース52の深さは9mmとし、グラスウール50の密度は32kg/m3で、組立前の厚みは25mmとした。
そして、薄型スピーカに入力信号として1kHzのサイン波をパワーアンプを通して入力し、スピーカの中心から50cm離れた距離に置かれたマイクロフォン56で音圧レベルを測定したところ、78dB/W/mであった。
このスピーカ性能試験と同時に、電圧印加時のリーク放電を検出して、リーク抑制性も評価した。
なお、電圧印加時のリーク放電は、周波数1kHzの交流電圧を15V印加した時におけるリーク放電の有無によって検出した。
その結果、電圧印加時にリーク放電は認められなかった(リーク抑止性A)。
次に、変換フィルム10の可撓性試験を行った。
スピーカ性能試験で用いた210×300mm(A4サイズ)の矩形試験片を薄型スピーカから取り外し、直径10mmの棒に巻取り、巻き戻すことを20回、繰り返した後、再び、同じ薄型スピーカを組み立て、同様に、音圧レベルを測定した。
その結果、巻取り/巻き戻しを行う前に比して、若干の音圧レベルの低下が認められた(可撓性評価B)。
[実施例2]
分極処理とカレンダ処理との順番を逆にして、先にカレンダ処理を行い、その後、分極処理を行った以外は、実施例1と同様にして、図1(A)に示すような変換フィルム10を作製した。
この変換フィルム10について、実施例1と同様にして、保護層18および薄膜電極14を剥離して、圧電体層12の表面(薄膜電極14との接触面)における圧電体粒子26の面積分率、ならびに、圧電体層12の表面の算術平均表面粗さRa、最大谷深さRvおよび最大高さ粗さRzを測定した。
その結果、圧電体粒子26の面積分率は42%、算術平均表面粗さRaは0.8μm、最大谷深さRvは5.6μm、最大高さ粗さRzは10.1μmであった。
また、実施例1と同様に音圧レベルおよびリーク抑止性を測定した。その結果、音圧レベルは80dB/W/mで、電圧印加時のリーク放電は認められなかった(リーク抑止性A)。
さらに、変換フィルム10の可撓性を調べるため、音圧レベルを測定した後、実施例1と同様に、変換フィルム10の巻付け/巻き戻しを行い、その後、同様に、音圧レベルを測定した。
その結果、巻付け/巻き戻しを行う前に比して、若干の音圧レベルの低下が認められた(可撓性評価B)。
[実施例3]
薄膜電極14の表面に接着剤層30を形成したシート状物38を用いた以外は、実施例2と同様にして、図1(B)に示す変換フィルム10aを作製した。
なお、接着剤層30は、DMF70重量部にシアノエチル化PVAを30重量部、溶解した塗料を用いて、シート状物38の薄膜電極14に、この塗料を塗布して、120℃のホットプレート上で加熱乾燥してDMFを蒸発することで形成した。
接着剤層30の厚さは、約1μmとした。
この変換フィルム10aについて、実施例1と同様にして、保護層18および薄膜電極14を剥離して、接着剤層30の表面(薄膜電極14との接触面)における圧電体粒子26の面積分率を測定した。面積分率の測定後、さらに、接着剤層30を剥離して、実施例1と同様に圧電体層12の表面の算術平均表面粗さRa、最大谷深さRvおよび最大高さ粗さRzを測定した。
その結果、圧電体粒子26の面積分率は27%、算術平均表面粗さRaは0.7μm、最大谷深さRvは5.1μm、最大高さ粗さRzは8.5μmであった。
図3(B)に、保護層18および薄膜電極14を剥離した接着剤層30の表面のSEM写真を、画像処理して出力した画像を示す(3000倍)。
また、実施例1と同様に音圧レベルおよびリーク抑止性を測定した。その結果、音圧レベルは80dB/W/mで、電圧印加時のリーク放電は認められなかった(リーク抑止性A)。
さらに、変換フィルム10aの可撓性を調べるため、音圧レベルを測定した後、実施例1と同様に、変換フィルム10aの巻付け/巻き戻しを行い、その後、同様に、音圧レベルを測定した。
その結果、音圧レベルは80dB/W/mであり、巻付け/巻き戻しを行う前と変わらなかった(可撓性評価A)。
[実施例4]
圧電体層12の厚さを30μmとした以外は、実施例2と同様にして、図1(A)に示すような変換フィルム10を作製した。
この変換フィルム10について、実施例1と同様にして、保護層18および薄膜電極14を剥離して、圧電体層12の表面(薄膜電極14との接触面)における圧電体粒子26の面積分率、ならびに、圧電体層12の表面の算術平均表面粗さRa、最大谷深さRvおよび最大高さ粗さRzを測定した。
その結果、圧電体粒子26の面積分率は43%、算術平均表面粗さRaは0.8μm、最大谷深さRvは5.8μm、最大高さ粗さRzは9.2μmであった。
また、実施例1と同様に音圧レベルおよびリーク抑止性を測定した。その結果、音圧レベルは80dB/W/mで、電圧印加時のリーク放電は認められなかった(リーク抑止性A)。
さらに、変換フィルム10の可撓性を調べるため、音圧レベルを測定した後、実施例1と同様に、変換フィルム10の巻付け/巻き戻しを行い、その後、同様に、音圧レベルを測定した。
その結果、巻付け/巻き戻しを行う前に比して、若干の音圧レベルの低下が認められた(可撓性評価B)。
[実施例5]
圧電体層12の厚さを20μmとした以外は、実施例2と同様にして、図1(A)に示すような変換フィルム10を作製した。
この変換フィルム10について、実施例1と同様にして、保護層18および薄膜電極14を剥離して、圧電体層12の表面(薄膜電極14との接触面)における圧電体粒子26の面積分率、ならびに、圧電体層12の表面の算術平均表面粗さRa、最大谷深さRvおよび最大高さ粗さRzを測定した。
その結果、圧電体粒子26の面積分率は43%、算術平均表面粗さRaは0.9μm、最大谷深さRvは8.6μm、最大高さ粗さRzは13.1μmであった。
また、実施例1と同様に音圧レベルおよびリーク抑止性を測定した。その結果、音圧レベルは80dB/W/mで、電圧印加時に僅かなリーク放電が認められた(リーク抑止性B)。
さらに、変換フィルム10の可撓性を調べるため、音圧レベルを測定した後、実施例1と同様に、変換フィルム10の巻付け/巻き戻しを行い、その後、同様に、音圧レベルを測定した。
その結果、巻付け/巻き戻しを行う前に比して、若干の音圧レベルの低下が認められた(可撓性評価B)。
[実施例6]
圧電体層12の厚さを10μmとした以外は、実施例2と同様にして、図1(A)に示すような変換フィルム10を作製した。
この変換フィルム10について、実施例1と同様にして、保護層18および薄膜電極14を剥離して、圧電体層12の表面(薄膜電極14との接触面)における圧電体粒子26の面積分率、ならびに、圧電体層12の表面の算術平均表面粗さRa、最大谷深さRvおよび最大高さ粗さRzを測定した。
その結果、圧電体粒子26の面積分率は44%、算術平均表面粗さRaは1.1μm、最大谷深さRvは9.6μm、最大高さ粗さRzは15.1μmであった。
また、実施例1と同様に音圧レベルおよびリーク抑止性を測定した。その結果、音圧レベルは80dB/W/mで、電圧印加時に僅かなリーク放電が認められた(リーク抑止性B)。
さらに、変換フィルム10の可撓性を調べるため、音圧レベルを測定した後、実施例1と同様に、変換フィルム10の巻付け/巻き戻しを行い、その後、同様に、音圧レベルを測定した。
その結果、巻付け/巻き戻しを行う前に比して、若干の音圧レベルの低下が認められた(可撓性評価B)。
[実施例7]
圧電体層12を形成するための塗料の調製において、メッシュ径20μmの篩掛けを行って通過したPZT粒子を添加し、かつ、圧電体層12の厚さを20μmとした以外は、実施例2と同様にして、図1(A)に示すような変換フィルム10を作製した。
この変換フィルム10について、実施例1と同様にして、保護層18および薄膜電極14を剥離して、圧電体層12の表面(薄膜電極14との接触面)における圧電体粒子26の面積分率、ならびに、圧電体層12の表面の算術平均表面粗さRa、最大谷深さRvおよび最大高さ粗さRzを測定した。
その結果、圧電体粒子26の面積分率は41%、算術平均表面粗さRaは0.6μm、最大谷深さRvは3.3μm、最大高さ粗さRzは6.4μmであった。
また、実施例1と同様に音圧レベルおよびリーク抑止性を測定した。その結果、音圧レベルは80dB/W/mで、電圧印加時のリーク放電は認められなかった(リーク抑止性A)。
さらに、変換フィルム10の可撓性を調べるため、音圧レベルを測定した後、実施例1と同様に、変換フィルム10の巻付け/巻き戻しを行い、その後、同様に、音圧レベルを測定した。
その結果、巻付け/巻き戻しを行う前に比して、若干の音圧レベルの低下が認められた(可撓性評価B)。
[実施例8]
圧電体層12を形成するための塗料の調製において、メッシュ径10μmの篩掛けを行って通過したPZT粒子を添加し、かつ、圧電体層12の厚さを10μmとした以外は、実施例2と同様にして、図1(A)に示すような変換フィルム10を作製した。
この変換フィルム10について、実施例1と同様にして、保護層18および薄膜電極14を剥離して、圧電体層12の表面(薄膜電極14との接触面)における圧電体粒子26の面積分率、ならびに、圧電体層12の表面の算術平均表面粗さRa、最大谷深さRvおよび最大高さ粗さRzを測定した。
その結果、圧電体粒子26の面積分率は40%、算術平均表面粗さRaは0.6μm、最大谷深さRvは3.1μm、最大高さ粗さRzは7.7μmであった。
また、実施例1と同様に音圧レベルおよびリーク抑止性を測定した。その結果、音圧レベルは80dB/W/mで、電圧印加時のリーク放電は認められなかった(リーク抑止性A)。
さらに、変換フィルム10の可撓性を調べるため、音圧レベルを測定した後、実施例1と同様に、変換フィルム10の巻付け/巻き戻しを行い、その後、同様に、音圧レベルを測定した。
その結果、巻付け/巻き戻しを行う前に比して、若干の音圧レベルの低下が認められた(可撓性評価B)。
[比較例]
分極処理の後のカレンダ処理を行わない以外は、実施例1と同様にして、(電気音響)変換フィルムを作製した。
作製した変換フィルムの断面を複数箇所で確認した所、図1(C)に概念的に示すように、複数箇所で、高分子圧電複合体と薄膜電極14との浮きが認められた。
この変換フィルム10aについて、実施例1と同様にして、保護層18および薄膜電極14を剥離して、圧電体層12の表面(薄膜電極14との接触面)における圧電体粒子26の面積分率、ならびに、圧電体層12の表面の算術平均表面粗さRa、最大谷深さRvおよび最大高さ粗さRzを測定した。
その結果、圧電体粒子26の面積分率は73%、算術平均表面粗さRaは3.2μm、最大谷深さRvは26.5μm、最大高さ粗さRzは48.3μmであった。
図3(C)に、保護層18および薄膜電極14を剥離した圧電体層12の表面のSEM写真を、画像処理して出力した画像を示す(3000倍)。
また、実施例1と同様に音圧レベルおよびリーク抑止性を測定した。その結果、音圧レベルは75dB/W/mで、電圧印加中に継続してリーク放電が認められた(リーク抑止性C)。
さらに、変換フィルム10の可撓性を調べるため、音圧レベルを測定した後、実施例1と同様に、この変換フィルムの巻付け/巻き戻しを繰り返し行い、その後、同様に、音圧レベルを測定した。
その結果、巻付け/巻き戻しを行う前に比して、大幅な音圧レベルの低下が認められた(可撓性評価C)。
結果を下記表に示す。

実施例2〜8は、分極処理よりも先にカレンダ処理を施したことによって、より優れた特性が得られたと考えられる。また、実施例3は、接着剤層30を有することによって、圧電体層12と薄膜電極14の接着力が強く、巻取りおよび巻き戻しを繰り返した後も、優れた音圧レベルを維持している。さらに、圧電体層12の平坦性が良好な実施例1〜8、特に、実施例1〜4、実施例7および8は、電圧印加時のリーク抑止性にも優れる。
これに対し、比較例は、圧電体粒子26の面積分率が高いため、薄膜電極14と圧電体層12との界面に浮きが生じたため、音圧レベルが低下したものと考えられる。また、比較例は、圧電体粒子26の面積分率が高く、薄膜電極14と圧電体層12との接着力も低いため、巻取りおよび巻き戻しを繰り返した後に、大幅に音圧レベルが低下したと考えられる。さらに、比較例は、圧電体層12の平坦性も低く、印加時にリークが継続的に発生した。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
10,10a (電気音響)変換フィルム
12 圧電体層
14,16 薄膜電極
18,20 保護層
30 接着剤層
34,38 シート状物
36 積層体
37 加熱ローラ
40 コロナ電極
42 直流電源
50 グラスウール
52 ケース
54 蓋
56 マイクロフォン

Claims (10)

  1. 常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散した高分子複合圧電体と、この高分子複合圧電体を挟むように設けられる電極層とを有し、
    前記電極層との接触面における前記圧電体粒子の面積分率が50%以下であることを特徴とする電気音響変換フィルム。
  2. 前記高分子複合圧電体の前記電極層と対向する面が、算術平均粗さRaが1μm以下、最大谷深さRvが6μm以下、および、最大高さ粗さRzが12μm以下の少なくとも1つを満たす請求項1に記載の電気音響変換フィルム。
  3. 前記高分子複合圧電体と、少なくとも一方の電極層との間に、接着剤層を有する請求項1または2に記載の電気音響変換フィルム。
  4. 前記高分子複合圧電体が、カレンダ処理を施されたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気音響変換フィルム。
  5. 前記高分子複合圧電体が、前記カレンダ処理の後、分極処理を施されたものである請求項4に記載の電気音響変換フィルム。
  6. 前記電極層との接触面における前記圧電体粒子の面積分率が、集束イオンビームによる前記高分子複合圧電体の断面加工面から算出した圧電体粒子の体積分率よりも低い請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気音響変換フィルム。
  7. 集束イオンビームによる前記高分子複合圧電体の断面加工面から算出した圧電体粒子の体積分率が50%以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気音響変換フィルム。
  8. 前記電極層の少なくとも一方の表面に、保護層を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気音響変換フィルム。
  9. 前記接着剤層の厚さが3μm以下である請求項3〜8のいずれか1項に記載の電気音響変換フィルム。
  10. 前記接着剤層が、前記高分子材料と同じ材料である請求項3〜9のいずれか1項に記載の電気音響変換フィルム。
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