JP2014211221A - 断熱部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】断熱材1と上記断熱材の一方の表面上に配置された黒鉛シート2と、を有することを特徴とする断熱部材10。及び上記断熱部材が少なくとも一部に配置されている物品100。更に上記断熱材と黒鉛シートの間には布材3又は蓄熱層4もしくは蓄冷層が配置されていることを特徴とする断熱部材。
【選択図】図1
Description
上述した種々の物品においては、いずれも、物品の内部の温度の定温維持にかかる消費エネルギーが物品の消費エネルギー全体のなかでも大きな割合を占めていることから、上述の定温維持に係る消費エネルギーを削減することが求められている。
また、物流の分野に用いられる保温保冷手段についても省エネルギー化の対象として議論されつつある。
そこで、断熱材は定温維持機能を向上させることが求められている。
また、布材はその内部に空隙を有するため、空気を取り込むことができることから、断熱部材の熱、冷気の伝導をより好適に抑制することができる。また、この場合、断熱材のみを用いた場合に比べて、本発明の断熱部材の厚さ方向の経時的な熱の移動を少ないものとすることができるため、物品の内部の熱、冷気をより効率よく利用することができる。
また、布材はその内部に空隙を有するため、布材に特定の機能性を有する薬剤を含浸させることで、本発明の断熱部材に特定の機能を付与することもできる。
本発明の断熱部材は、断熱材と、上記断熱材の一方の表面上に配置された黒鉛シートと、を有することを特徴とするものである。
図1は本発明の断熱部材の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明の断熱部材10は、断熱材1と、断熱材1の一方の表面上に配置された黒鉛シート2と、を有することを特徴とするものである。
一般に物品の内部の温度は、物品の内部表面の温度に大きく依存する。そのため、物品の内部の温度を所望の温度で定温維持するには、物品の内部表面を均一に所望の温度で定温維持することが望ましい。
一方で、断熱材は熱、冷気の伝導を抑えることを目的とするものであり、その熱伝導性についてはより小さいことが望まれるものである。また、近年、断熱材としては、その熱容量が大きいものが望まれる傾向がある。
そのため、従来のように断熱材のみが配置された物品では、断熱材における物品の内部側の表面の温度を所望の温度に均一に変化させるために多くの熱、冷気が断熱材に吸収されてしまうことが推量され、上述した問題が生じることが推量される。
ここで、黒鉛シートは、優れた熱伝導性と異方性とを有するものであり、厚さ方向の熱伝導率に対して面方向の熱伝導率が数十倍〜数百倍、あるいはそれ以上であるといった性質を有するものである。
そのため、本発明の断熱部材をその黒鉛シート側が物品の内部側に向くように配置することで、黒鉛シートの面方向における物品の内部の熱、冷気の伝導を均一に良好に行うことができるため、物品の内部表面の温度を短時間で均一に所望の温度にすることができる。この場合、物品の内部表面の温度を所望の温度に均一に変化させるために使用される熱、冷気を少なくすることができることが推量される。
また、本発明の断熱部材においては、また、黒鉛シートの厚さ方向における物品の内部の熱、冷気の伝導を抑制することができるため、物品の内部から外部への熱、冷気の伝導を抑制することができる。この場合、物品の内部から外部へと移動した熱を補うために使用される熱、冷気についても少なくすることができると推量される。
また、黒鉛シートの厚さ方向における物品の内部の熱、冷気の伝導を抑制することができるため、断熱材に吸収される熱、冷気についても少ないものとすることができると推量される。
以上から、本発明の断熱部材においては、物品の内部の熱、冷気を有効に利用することができることが推量され、その結果、上述した作用効果を奏することが推量される。
本発明に用いられる黒鉛シートは、断熱材の一方の表面上に配置されるものである。
本発明において、黒鉛シートは、断熱部材を物品に用いた場合に、物品の内部の熱、冷気を断熱部材の黒鉛シート側の表面に均一に伝導させるとともに、断熱部材の黒鉛シート側から物品の外部への熱、冷気の伝導を抑制する機能を有するものである。
本発明に用いられる断熱材は、黒鉛シートとともに積層されて用いられるものである。
本発明において断熱材は、断熱性を有し、断熱部材で隔てられた物品の内部と物品の外部との間で熱(冷気)が移動することを防止する機能を有するものである。
また、本発明において「断熱性」とは、熱、冷気の伝導による伝達を抑制する性質をいう。
断熱材の熱伝導率が大きいと、断熱材が十分な断熱機能を発揮することが困難となるからである。
断熱材の厚さが厚すぎる場合は、本発明の断熱部材が重くなり、物品に配置することが困難となる可能性があるからである。一方、断熱材の厚さが薄すぎると十分な断熱性を発揮することが困難となる場合や、断熱材が破損等し易くなる可能性があるからである。
また、本発明においては、上述した数値範囲内において、断熱材の厚さは薄いことがより好ましい。本発明の断熱部材においては、熱伝導について異方性を有する黒鉛シートを有することにより、黒鉛シートによっても物品の内部から外部への熱、冷気の伝導を抑制することができるため、断熱材の厚さを薄くした場合も、良好な断熱性を示すことができるからである。また、この場合、本発明の断熱部材を軽量なものとすることができ、加工性を良好なものとすることができる。
本発明の断熱部材は、上述した断熱材および黒鉛シートを有するものであれば特に限定されず、必要に応じて他の構成を追加することができる。
図2に示すように、本発明の断熱部材10は、断熱材1と黒鉛シート2との間に布材3が配置されていることが好ましい。
なお、図2は本発明の断熱部材の他の例を示す概略断面図である。
本発明においては、布材が配置されていることにより、断熱材の一方の表面上に布材を介して黒鉛シートをより容易に貼り合わせることができるため、生産性の良好な断熱部材とすることができる。
また、布材はその内部に空隙を有するため、空気を取り込むことができることから、断熱部材の熱、冷気の伝導をより好適に抑制することができる。また、この場合、断熱材のみを用いた場合に比べて、本発明の断熱部材の厚さ方向の経時的な熱の移動を少ないものとすることができるため、物品の内部の熱、冷気をより効率よく利用することができる。
また、布材はその内部に空隙を有するため、布材に特定の機能性を有する薬剤を含浸させることで、本発明の断熱部材に特定の機能を付与することもできる。
なお、蓄熱剤、蓄冷剤については後述する「(2)蓄熱層または蓄冷層」の項で説明するため、ここでの説明は省略する。その他の薬剤についても一般的なものを用いることができる。
図3に示すように、本発明の断熱部材10は、断熱材1と黒鉛シート2との間に蓄熱性を有する蓄熱層4が配置されていてもよい。また、図示はしないが、断熱材と黒鉛シートとの間に蓄冷性を有する蓄冷層が配置されていてもよい。
本発明においては、上記蓄熱層または上記蓄冷層が配置されている場合は、物品の内部の温度を所望の温度に調整しやすいものとすることができる。
なお、図3は、本発明の断熱部材の他の例を示す概略断面図であり、説明していない符号については図1で説明した符号と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
また、蓄熱層は蓄熱剤を含有するものであり、蓄冷層は蓄熱剤を含有するものである。
ここで、潜熱蓄熱剤とは、物質の相転移(相変化)の際に出入りする潜熱を利用して蓄熱を行うものであり、特定の温度領域で熱を蓄え続け、その温度領域を超えると固体から液体、または液体から固体へと状態変化をするものである。このような潜熱蓄熱剤においては、例えば、固体状態の潜熱蓄熱剤を加熱した場合、潜熱蓄熱剤が溶けて液体に変化するまでの間、特定の温度領域を保ち続けることが可能である。
通常は、蓄熱剤としては10℃以上の温度領域を保持できる潜熱蓄熱剤が好適に用いられ、蓄冷剤としては10℃未満、なかでも5℃以下、特に0℃以下の温度領域を保持できる潜熱蓄熱剤が好適に用いられる。
顕熱蓄熱剤についても同様である。
これらの潜熱蓄熱剤は、その相転移点が所望の温度となるように2種以上を配合して用いてもよく、また無機化合物系の顕熱蓄熱剤を適宜混合してもよい。
図4に示すように、本発明の断熱部材10は、黒鉛シート2の断熱材1側とは反対側の表面上に配置され、黒鉛シート2を保護する保護材5を有することが好ましい。
なお、図4は本発明の断熱部材の他の例を示す概略断面図である。
ここで、遮熱性とは、熱や冷気を遮断する性質をいう。
また、樹脂フィルム基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材等の一般的な樹脂フィルム基材を用いることができるため、ここでの説明は省略する。
また、金属蒸着フィルム基材に用いられる金属材料、樹脂フィルム基材については上述したものを用いることができる。また、金属蒸着フィルム基材としては、アルミニウム蒸着フィルム基材であることが好ましい。
保護材の厚さが厚すぎる場合、特に発泡材など断熱材が表面を覆うと黒鉛シートまで熱や冷気が伝わりにくくなるため、黒鉛シートが機能を発現しにくくなる場合があるからである。また、本発明の断熱部材の加工性が低下する可能性があるからである。また、保護材が金属層の場合、金属層の厚さが厚くなるほど保冷時間が短くなる可能性がある。この現象については解明しきれていないところもあるが、以下のように推量する。厚さが増すと(冷)熱容量が増えて蓄える(消費する)(冷)熱量も増えるために、蓄(冷)熱剤の保(冷)温時間がその分短縮されると考えられる。積層体全体としては黒鉛シートより金属層の熱伝導性と遮熱性は低いため、黒鉛シートの物性に近くなる。
また、保護材の厚さが薄すぎる場合は、強度を十分なものとすることが困難となる可能性があるからである。また、保護材が金属層である場合、金属層の厚さが薄すぎると、黒鉛シートの表面上に金属層を均一な厚さで形成することが困難となる可能性もあるからである。
本発明の断熱部材は、自動車、電化製品、物流関連の保冷庫、保温庫、建築物等の種々の物品に用いることができる。本発明の断熱部材を用いた物品については、後述する「B.物品」の項で説明する。
本発明の物品は、断熱材、および上記断熱材の一方の表面上に配置された黒鉛シートを有する断熱部材が少なくとも一部に配置されていることを特徴とするものである。
図5(a)は、本発明の物品の一例を示す分解斜視図であり、図5(b)は図5(a)のA−A線断面図である。図5(a)、(b)においては、物品100が保温保冷箱体101の例について示している。図5(a)、(b)に示す保温保冷箱体101は、身箱21と蓋箱22とを有する物品本体20と、身箱21の内部の4つの側面に配置された断熱部材10とを有するものである。また、断熱部材10はその黒鉛シート2側が身箱21の内部側に向き、断熱材1側が身箱21の外部側を向くように配置されている。
図6(a)は、本発明の物品の他の例を示す分解斜視図であり、図6(b)は図6(a)のA−A線断面図である。図6(a)、(b)においては、物品100が保温保冷箱体101の例について示している。図6(a)、(b)に示す保温保冷箱体101は、断熱材1で構成される身箱21と蓋箱22とを有する物品本体20と、身箱21の内部の4つの側面に配置された黒鉛シート2とを有するものである。
図5(a)、(b)および図6(a)、(b)に示す保温保冷箱体101は、上述した断熱部材10を有することにより、例えば、保冷剤を入れた場合に、身箱21の側面の内部に位置する黒鉛シート2の面方向に保冷剤の冷気を良好に伝導させることができるため、保温保冷箱体101の側面の内部を短時間で所望の温度に均一に変化させることができ、また、保温保冷箱体101の内部から断熱部材10の厚さ方向に冷気が逃げることを防止することができるため、保冷剤による冷却効果を長時間維持することができる。また、保冷剤の代わりに保温剤を用いた場合も、同様に保温剤による加熱効果を長時間維持することができる。
このような物品に上述した断熱部材を配置した場合は、加熱冷却手段から発生した熱、冷気を物品に配置された断熱部材の黒鉛シートの面方向に伝導させることができ、また、上述した熱、冷気が断熱部材の厚さ方向に逃げることを防止することができるため、加熱冷却手段の駆動時間、駆動出力を小さくすることができるため、その電気エネルギーを少ないものとすることができる。よって、省エネルギー化に対応した物品とすることができる。
本発明に用いられる断熱部材は、物品の一部に配置されるものである。
断熱部材の配置としては、通常、物品の内部側に断熱部材の黒鉛シート側が向くように配置される。また、断熱部材は物品の一部に配置されていればよく、例えば、物品が箱状の場合は、箱状の物品の内部の一面に配置されてもよく、複数面に配置されてもよく、全面に配置されてもよい。また、断熱部材が配置される面積については、本発明の物品に応じて適宜選択することができる。本発明においては、断熱部材を広範囲に配置することが好ましい。
本発明の物品は、上述した断熱材がその一部に配置されているものである。
このような物品としては、例えば、建築物、自動車、電車、船舶、飛行機、電化製品、物流関連の保温保冷手段、あるいはコンテナ、保温保冷庫、保温保冷性のある輸送箱等が挙げられるがこれに限定されない。
物品が建築物である場合、上記断熱部材は、例えば、壁材、屋根材等に用いることができる。物品が自動車、電車、船舶、飛行機等である場合は、上記断熱材は、例えば、窓部分以外の本体部分に用いることができる。また、物品が電化製品である場合は、上記断熱材は、例えば、冷蔵庫の本体部分に用いることができる。また、物品が物流関連の保温保冷手段である場合は、例えば、箱状、バッグ状、シート状の種々の保温保冷手段に用いることができる。
黒鉛シート((株)大木工藝製、商品名:カーボンウェーブ、厚さ130μm)を布材(厚さ1mm、ポリオレフィン製の織布)に接着剤(酢酸ビニル系エマルジョン、(コニシ製、商品名:木工用ボンド即乾、含浸8g/m2(乾燥後の重量))を用いて貼り合わせた。
輸送用の発泡スチロールの身蓋箱(内寸が240mm×155mm、内部の高さ150mm(後述の図7中、p)、側面部分の厚さ20mm、底面部分の厚さ20mm、蓋部分の厚さ20mm)の4つの側面の内部表面と、上述した黒鉛シートおよび布材の積層体とを、上記内部表面および布材が対向するように上述した接着剤を用いて貼り合わせた。
以上により断熱部材付箱体を得た。
布材に、蓄冷剤として、n−パラフィン(三菱製紙製、商品名:サーモメモリー FP-9(9℃))を含浸させたこと以外は、実施例1と同様にして断熱部材付箱体を得た。
実施例1と同様にして、黒鉛シートと布材とを接着剤を用いて貼り合わせた。また、黒鉛シートの布材とは反対側の表面にAl蒸着PETフィルム基材(厚さ12μmのAl蒸着膜と、厚さ12μmのPETフィルム基材)のPETフィルム基材側を上述した接着剤を用いて貼り合わせ、さらにAl蒸着PETフォルム基材のAl蒸着膜側に厚さ12μmのPETフィルム基材を上述した接着剤を用いて貼り合わせた。なお、上記Al蒸着PETフォルム基材は黒鉛シートの保護材として、PETフィルム基材はAl蒸着膜の保護材として機能するものである。
上記した保護材、黒鉛シートおよび布材の積層体と、真空断熱材(Panasonic社製、厚さ10mm)の外装材とを、ポリエステル系接着剤(ロックペイント(株)製、商品名RU-77)、イソシアネート系硬化剤(ロックペイント(株)製、商品名H-7)を適宜混合して接着剤として布材側に塗工し、真空断熱材と布材とが対向するようにして貼り合わせた。その後、上記真空断熱材を上述した身蓋箱の4つの側面の内部表面に、上記真空断熱材と上記内部表面とが対向するように上述した接着剤を用いて貼り合わせた。
以上により断熱部材付箱体を得た。
布材に、蓄熱剤として、三菱製紙製、商品名:FP-25(塗工液タイプ)を含浸させたこと以外は、実施例3と同様にして断熱部材付箱体を得た。
上述した黒鉛シートの一方の表面上に厚さ12μmのアルミニウム蒸着膜を形成した後、上記黒鉛シートと上述した布材を、上記黒鉛シートのアルミニウム蒸着膜とは反対側の表面と布材とが対向するように実施例1における接着剤を用いて貼り合わせたこと以外は、実施例1と同様にして断熱部材付箱体を得た。
図7に示すように、断熱部材付箱体102の底面に8℃の0.7kgの保冷剤30を(底面からの高さq=50mm)を静置し、40分後に取り出した後、蓋箱22の内部側表面および蓋箱22の内部側表面からの距離r=50mmの位置に設置された温度計40を用いて内部温度を測定した。
なお、図7は実施例における温度測定方法について説明する説明図である。また図7では、実施例1の断熱部材付箱体102を例に説明している。また、図7において説明していない符号については、図5等で説明した符号と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、比較例として、実施例1〜5で用いられた発泡スチロール製の身蓋箱についても同様の測定を行った。結果を表1に示す。表1中、維持時間(時間)とは、断熱部材付箱体の内部の温度が13℃以下で維持された時間を指し、維持時間延長度は、比較例の身蓋箱における維持時間を1.0とした場合の、実施例1〜5の断熱部材付箱体における維持時間の比率を表わしたものである。
2 … 黒鉛シート
3 … 布材
4 … 蓄熱層
5 … 保護材
10 … 断熱材
100 … 物品
Claims (5)
- 断熱材と、
前記断熱材の一方の表面上に配置された黒鉛シートと、
を有することを特徴とする断熱部材。 - 前記断熱材および前記黒鉛シートの間に布材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の断熱部材。
- 前記断熱材および前記黒鉛シートの間に蓄熱性を有する蓄熱層または蓄冷性を有する蓄冷層が配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の断熱部材。
- 前記黒鉛シートの前記断熱材側とは反対側の表面上に配置され、前記黒鉛シートを保護する保護材を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の断熱部材。
- 断熱材、および前記断熱材の一方の表面上に配置された黒鉛シートを有する断熱部材が少なくとも一部に配置されていることを特徴とする物品。
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