JP2014207767A - エネルギ変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギ変換効率の向上を図ることが可能なエネルギ変換装置を提供する。【解決手段】エネルギ変換装置1は、発電装置101と、整流平滑回路102と、DC−DCコンバータ103と、整流平滑回路102の出力端間の電圧を入力電圧として監視しながらDC−DCコンバータ103の起動、停止を指示する監視回路104とを備える。DC−DCコンバータ103は、制御端子CNを備え、制御端子CNとDC−DCコンバータ103のグランドライン103bとの間の制御電圧が所定の起動電圧を超えたときに起動する。監視回路104は、DC−DCコンバータ103を起動させるときの入力電圧である第1電圧とDC−DCコンバータ103を停止させるときの入力電圧である第2電圧とが異なるヒステリシス特性を有し、第1電圧と第2電圧との差を、抵抗R1〜R6と半導体スイッチング素子M1〜M3とで構成されるヒステリシス回路141により設定する。【選択図】図1

Description

本発明は、エネルギ変換装置に関するものである。
エネルギ変換装置としては、例えば、図19に示すように、発電部200と、整流部210と、充電部220と、動作開始制御部230と、DC−DCコンバータ240と、を備えた構成のものが知られている(特許文献1)。
発電部200は、圧電素子によって構成されている。充電部220は、コンデンサによって構成されている。
動作開始制御部230は、接地線201と電圧線202との間に設けられた2つの分圧抵抗231、232と、コンパレータ233と、遅延制御部235と、出力制御部238と、を備えている。
コンパレータ233は、分圧抵抗231、232で分圧された電圧が基準電圧Vrefを超えたところで出力がHレベルとなる。
遅延制御部235は、遅延時間設定コンデンサ236と、遅延回路237と、を備えている。
エネルギ変換装置は、コンパレータ233の出力がHレベルになると、遅延制御部235のコンデンサ236に蓄電されていく。
エネルギ変換装置は、コンデンサ236に所定電圧が蓄電されて所定閾値を超えたところで遅延回路237から出力制御部238に信号が与えられる。すると、エネルギ変換装置では、出力制御部238からDC−DCコンバータ240にHレベルのイネーブル信号が出力される。
DC−DCコンバータ240は、動作開始制御部230からのイネーブル信号を受けて動作を開始する。すなわち、DC−DCコンバータ240は、イネーブル信号がLレベルのときは電源供給を停止した状態を維持し、イネーブル信号がHレベルになると、充電部220に蓄積された電力を所定電圧に変換して電源供給を開始する。
また、特許文献1には、タッチセンサ式の入力装置である入力部(図示せず)と、発電部200と、整流部210と、充電部220と、動作開始制御部230と、DC−DCコンバータ240と、制御部と、発信部と、を備えた遠隔操作装置が記載されている。
制御部は、入力部からのコマンドを検出し、コマンドに応じた制御処理を実行する。例えば、制御部は、コマンドに応じた送信データを生成し、発信部に送る。
発信部は、制御部から与えられた送信データを機器(例えば、テレビやエアコンディショナ)へ送信する。
制御部及び発信部は、発信部からの送信データの送信が完了したところで動作を停止する。
また、エネルギ変換装置としては、例えば、電磁誘導作用により運動エネルギを電気エネルギに変換する機能を有するエネルギ変換装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
特許文献2には、エネルギ変換装置の一例として、図20に示す構成を有する発電装置300が記載されている。
この発電装置300は、収納部310aが設けられた支持体310と、収納部310aに配置された永久磁石320及びコイルバネ330と、を備えている。
支持体310は、3枚のプリント基板311〜313により構成されている。この支持体310は、2枚のプリント基板311、313間に配置されたプリント基板312の矩形状の開口部312aにより、収納部310aが形成されている。
発電装置300は、プリント基板313の下面に、平面コイル314a及び314bが形成されている。平面コイル314a及び314bの各々は、渦巻状に形成されている。平面コイル314a及び314bは、巻き方向が互いに逆になるように形成されている。
プリント基板313には、平面コイル314a及び314bの中央部と対応する領域に、開口部313aが形成されている。この開口部313aには、磁心(コア)315が埋め込まれている。磁心315は、プリント基板313の下面から突出するように形成されており、平面コイル314a及び314bの中央部に配置されている。
永久磁石320は、磁化方向が矢印Z1方向である部分(磁区)320aと、磁化方向が矢印Z2方向である部分320bとを含んでおり、多極磁石として構成されている。このため、プリント基板313近傍では、図20中に破線で示した磁力線で表される磁界が形成されている。
コイルバネ330は、開口部312aの側面312bと永久磁石320の端部320cとの間に配置されるとともに、開口部312aの側面312cと永久磁石320の端部320dとの間に配置されている。
発電装置300は、一対のコイルバネ330により、支持体310に対して永久磁石320が矢印X1方向(矢印X2方向)において所定の基準位置に配置されるように付勢されている。
発電装置300は、プリント基板313の上面に、平面コイル314a及び314bにおいて発生する誘導起電力を制御するとともに、出力するための回路部316が設けられている。
特開2011−103729号公報 特開2009−11149号公報
エネルギ変換装置では、エネルギ変換効率の向上が望まれている。しかしながら、図19に示した回路図の構成では、動作開始制御部230の動作等に起因して回路効率が低下し、エネルギ変換効率が低下してしまう懸念がある。
また、特許文献2には、回路部316の回路構成について記載されていない。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、エネルギ変換効率の向上を図ることが可能なエネルギ変換装置を提供することにある。
本発明のエネルギ変換装置は、運動エネルギを電気エネルギに変換して交流電圧を発生する発電装置と、前記発電装置の出力端間に接続された整流平滑回路と、前記整流平滑回路の出力端間の電圧を所定の直流電圧に変換して出力するDC−DCコンバータと、前記整流平滑回路の前記出力端間の電圧を入力電圧として監視しながら前記DC−DCコンバータの起動、停止を指示する監視回路と、を備え、前記DC−DCコンバータは、制御端子を備え、前記制御端子と前記DC−DCコンバータのグランドラインとの間の制御電圧が所定の起動電圧を超えたときに起動するように構成され、前記監視回路は、前記DC−DCコンバータを起動させるときの前記入力電圧である第1電圧と前記DC−DCコンバータを停止させるときの前記入力電圧である第2電圧とが異なるヒステリシス特性を有し、前記第1電圧と前記第2電圧との差を、抵抗と半導体スイッチング素子とで構成されるヒステリシス回路により設定してあることを特徴とする。
このエネルギ変換装置において、前記監視回路は、前記入力電圧を監視する電圧検出端子とは別に電源端子を有し前記入力電圧を監視するコンパレータもしくはボルテージディテクタと、前記ヒステリシス回路とで構成されることが好ましい。
このエネルギ変換装置において、前記発電装置は、圧電型の振動発電装置であることが好ましい。
このエネルギ変換装置において、前記振動発電装置は、支持部と、前記支持部に対向する対向部と、前記支持部と前記対向部との間にあり前記支持部に一端が固定され他端が前記対向部から離れている振動ブロックと、を備え、前記振動ブロックは、前記支持部よりも薄く前記支持部に揺動自在に支持された梁部と、前記梁部の先端に設けられ前記梁部よりも厚い錘部と、前記錘部における前記梁部側とは反対側に突出し前記錘部及び前記対向部よりも薄い突出部と、前記梁部の振動に応じて交流電圧を発生する圧電変換部と、を備え、前記突出部の先端面の法線が前記対向部に交差しないように反っていることが好ましい。
このエネルギ変換装置において、前記発電装置は、電磁誘導型の振動発電装置であることが好ましい。
このエネルギ変換装置において、前記振動発電装置は、磁石ブロックとコイルブロックとが第1方向で対向配置され、前記磁石ブロックと前記コイルブロックとが前記第1方向に直交する第2方向において相対的に変位することで生じる電磁誘導により前記交流電圧を発生するように構成され、前記磁石ブロックと前記コイルブロックとの一方を備えた可動部を外部から作動させ前記可動部を減衰振動させることができるように構成されており、前記可動部と、前記可動部を囲む支持部と、前記可動部と前記支持部との間に介在する弾性体部とを備え、前記支持部が前記弾性体部を介して前記可動部を支持しており、前記弾性体部は、前記第2方向における剛性が前記第2方向に直交する方向の剛性に比べて小さく、前記第2方向における前記可動部の両側それぞれには、複数の前記弾性体部が並んで設けられていることが好ましい。
このエネルギ変換装置において、前記弾性体部は、ばねであることが好ましい。
本発明のエネルギ変換装置においては、エネルギ変換効率の向上を図ることが可能となる。
図1は、実施形態1のエネルギ変換装置の回路図である。 図2(a)は、実施形態1のエネルギ変換装置における発電装置の概略平面図である。図2(b)は、図2(a)のX−X概略断面図である。 図3(a)〜(f)は、実施形態1のエネルギ変換装置における発電装置の製造方法を説明するための主要工程断面図である。 図4は、実施形態1のエネルギ変換装置の動作説明図である。 図5は、実施形態1のエネルギ変換装置の動作説明図である。 図6は、実施形態1のエネルギ変換装置の変形例の回路図である。 図7は、実施形態2のエネルギ変換装置の回路図である。 図8(a)は、実施形態2のエネルギ変換装置における発電装置の概略断面図である。図8(b)は、実施形態2のエネルギ変換装置における発電装置の要部概略平面図である。 図9は、実施形態2のエネルギ変換装置における発電装置の要部拡大図である。 図10は、実施形態2のエネルギ変換装置における発電装置の概略斜視図である。 図11は、実施形態2のエネルギ変換装置における発電装置の概略分解斜視図である。 図12(a)、(b)は、実施形態2のエネルギ変換装置における発電装置の動作説明図である。 図13は、実施形態2のエネルギ変換装置における発電装置の出力電圧の波形図である。 図14(a)は、実施形態3のエネルギ変換装置における発電装置の概略断面図である。図14(b)は、実施形態3のエネルギ変換装置における発電装置の要部概略平面図である。 図15は、実施形態3のエネルギ変換装置における発電装置の概略斜視図である。 図16は、実施形態3のエネルギ変換装置における発電装置の概略分解斜視図である。 図17は、実施形態3のエネルギ変換装置における入力機構の構成例の説明図である。 図18(a)〜図18(d)は、実施形態3のエネルギ変換装置の動作説明図である。 図19は、従来例のエネルギ変換装置の回路図である。 図20は、他の従来例の発電装置の構造を示した断面図である。
(実施形態1)
以下では、本実施形態のエネルギ変換装置1について図1に基づいて説明する。
エネルギ変換装置1は、発電装置101と、整流平滑回路102と、DC−DCコンバータ103と、監視回路104と、を備える。
発電装置101は、運動エネルギを電気エネルギに変換して交流電圧を発生する機能を有する。
整流平滑回路102は、発電装置101の出力端間に接続されている。整流平滑回路102は、発電装置101で発生する交流電圧を直流電圧に整流する機能と、この直流電圧の直流成分のみを取り出すためにリップル成分(交流成分)を抑圧する機能と、を有する。要するに、整流平滑回路102は、発電装置101で発生した交流電圧を整流平滑した直流電圧を出力するように構成されている。
DC−DCコンバータ103は、整流平滑回路102の出力端間に接続されている。DC−DCコンバータ103は、整流平滑回路102の出力電圧を所定の直流電圧に変換する機能を有する。
DC−DCコンバータ103は、制御端子CNを備え、制御端子CNとDC−DCコンバータ103のグランドラインとの間の制御電圧が所定の起動電圧を超えたときに起動するように構成されている。
監視回路104は、整流平滑回路102の出力端間の電圧を入力電圧として監視しながらDC−DCコンバータ103の起動、停止を指示する機能を有している。この監視回路104は、整流平滑回路102とDC−DCコンバータ103との間に設けられている。
監視回路104は、DC−DCコンバータ103を起動させるときの入力電圧である第1電圧とDC−DCコンバータ103を停止させるときの入力電圧である第2電圧とが異なるヒステリシス特性を有している。監視回路104は、第1電圧と第2電圧との差を、抵抗R1〜R6と半導体スイッチング素子M1〜M3とで構成されるヒステリシス回路141により設定してある。これにより、エネルギ変換装置1は、回路効率の向上を図ることが可能となり、エネルギ変換効率の向上を図ることが可能となる。
発電装置101としては、圧電型の振動発電装置101aを採用している。圧電型の振動発電装置101aとは、圧電効果を利用して運動エネルギを電気エネルギに変換する発電装置である。
以下では、圧電型の振動発電装置101aについて図2に基づいて説明する。
振動発電装置101aは、支持部111aと、支持部111aに対向する対向部111bと、支持部111aと対向部111bとの間にあり支持部111aに一端が固定され他端が対向部111bから離れている振動ブロック112と、を備える。これにより、振動発電装置101aは、振動ブロック112の他端と対向部111bとの間に、流体が通過可能な流路115が形成されている。振動発電装置101aは、支持部111aと対向部111bとの相対的な位置関係が変わらないように構成されている。
振動ブロック112は、支持部111aに揺動自在に支持された梁部112aと、梁部112aの先端に設けられた錘部112bと、錘部112bにおける梁部112a側とは反対側に突出した突出部112cと、圧電変換部114と、を備える。振動ブロック112は、梁部112aにおける支持部111a側の端が、振動ブロック112の一端を構成し、突出部112cにおける先端が、振動ブロック112の他端を構成している。
梁部112aは、支持部111aよりも薄い。錘部112bは、梁部112aよりも厚い。また、突出部112cは、錘部112b及び対向部111bよりも薄い。圧電変換部114は、振動ブロック112の振動に応じて交流電圧を発生する。振動ブロック112は、突出部112cの先端面112ccの法線が対向部111bに交差しないように反っている。これにより、振動発電装置101aは、流体励起振動が可能で且つ流体励起振動時の圧電変換効率の向上を図ることが可能となる。流体励起振動は、振動発電装置101aを流れ場に配置した状態等において、流れ場を流れる流体が流路115を通過することによって発生する振動ブロック112の振動である。この流体励起振動は、自励振動である。流体としては、例えば、空気、ガス、空気とガスとの混合気体、液体等が挙がられる。流体が気体の場合、流れ場としては、例えば、空調機の給気ダクトの内部や、空調機の排気ダクトの内部等が挙げられるが、特に限定するものではない。
振動発電装置101aは、振動ブロック112が錘部112bを備えていることにより、錘部112bを備えていない場合に比べて、振動ブロック112の振動時の慣性力を大きくでき、振動ブロック112の振幅を大きくすることが可能となる。また、振動発電装置101aは、振動ブロック112が錘部112bを備えていることにより、振動ブロック112の振動時に梁部112a及び圧電変換部114に集中的にひずみを発生させることが可能となり、圧電変換効率の向上を図ることが可能となる。また、振動発電装置101aは、振動ブロック112が錘部112bを備えていることにより、振動ブロック112の共振周波数を小さくすることが可能となり、振動ブロック112が振動し始める流体の流速の低速化を図ることが可能となる。また、振動発電装置101aは、対向部111bを備えていることにより、流路115を流れる流体の流束から、振動ブロック112の振動を誘起しやすくなる。
振動発電装置101aは、突出部112cの固有振動数が振動ブロック112の固有振動数よりも大きいことが好ましい。これにより、振動発電装置101aは、突出部112cが錘部112bを基点として単独で振動するのを抑制することが可能となり、突出部112c単独の振動に起因した振動エネルギの低下を抑制することが可能となる。
振動発電装置101aの各構成要素については、以下に詳細に説明する。
振動発電装置101aは、MEMS(micro electromechanical systems)の製造技術を利用して製造されている。
振動発電装置101aは、支持部111a、対向部111b、梁部112a、錘部112b及び突出部112cが、基板110から形成されている。振動発電装置101aは、基板110の一表面側において梁部112a及び突出部112cが形成されている。
振動発電装置101aは、支持部111aと対向部111bとを有する枠状のフレーム部111を備えているのが好ましい。要するに、振動発電装置101aは、フレーム部111、梁部112a、錘部112b及び突出部112cが、基板110から形成されているのが好ましい。言い換えれば、支持部111a及び対向部111bは、フレーム部111の別々の一部により構成されているのが好ましい。これにより、振動発電装置101aは、支持部111aと対向部111bとの相対的な位置精度を高めることが可能となり、振動ブロック112と対向部111bとの相対的な位置精度を高めることが可能となる。なお、以下では、フレーム部111のうち、支持部111aと対向部111bとを連結している2つの部位を「連結部111c、111c」という。
基板110としては、シリコン基板110a上のシリコン酸化膜からなる埋込酸化膜110b上にシリコン層110cが形成されたSOI(Silicon on Insulator)基板を用いている。基板110の上記一表面は、(100)面としてあるが、これに限らず、例えば、(110)面でもよい。
支持部111a、対向部111b及び各連結部111cは、SOI基板のうちシリコン基板110aと埋込酸化膜110bとシリコン層110cとから形成されている。
梁部112aは、SOI基板のうちシリコン層110cから形成されている。梁部112aは、支持部111aに比べて厚み寸法が小さく、可撓性を有している。
突出部112cは、SOI基板のうちシリコン層110cから形成されており、支持部111a及び対向部111bに比べて厚み寸法が小さい。振動発電装置101aは、突出部112cの固有振動数が振動ブロック112の固有振動数よりも大きくなるように、突出部112cの長さを梁部112aの長さよりも短く設定してある。
振動発電装置101aは、基板110と圧電変換部114とが、基板110の上記一表面側に形成された絶縁膜118aによって、電気的に絶縁されている。絶縁膜118aは、例えば、シリコン酸化膜により構成することができる。このシリコン酸化膜は、例えば、熱酸化法により形成してあるが、これに限らず、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成することもできる。
振動発電装置101aは、梁部112aが、シリコン層110cの一部(以下、「第1部位」という。)と、シリコン層110cの厚み方向の一面側に形成された絶縁膜118aの一部(以下、「第1部位」という。)と、で構成されている。ここで、絶縁膜118aは、圧縮応力を有する。よって、梁部112aは、シリコン層110cのうち梁部112aを構成する第1部位(以下、「第1シリコン層110ca」という。)と、絶縁膜118aのうち第1シリコン層110caの厚み方向の一面側に形成された第1部位(以下、「第1絶縁膜118aa」という。)と、で構成され、第1絶縁膜118aaの圧縮応力によって反っている。
また、振動発電装置101aは、突出部112cが、シリコン層110cの一部(以下、「第2部位」という。)と、シリコン層110cの厚み方向の一面側に形成された絶縁膜118aの一部(以下、「第2部位」という。)と、で構成されている。ここで、絶縁膜118aは、圧縮応力を有する。よって、突出部112cは、シリコン層110cのうち突出部112cを構成する第2部位(以下、「第2シリコン層110cc」という。)と、絶縁膜118aのうち第2シリコン層110ccの厚み方向の一面側に形成された第2部位(以下、「第2絶縁膜118ac」という。)と、で構成され、第2絶縁膜118acの圧縮応力によって反っている。
振動発電装置101aは、基板110の上記一表面側に形成した絶縁膜118aが、基板110と圧電変換部114とを電気的に絶縁する機能だけでなく、梁部112a及び突出部112cを反らせる機能を有している。これにより、振動発電装置101aは、絶縁膜118aとは別途に、梁部112a及び突出部112cそれぞれに応力制御用の薄膜を形成する場合に比べて、製造プロセスを簡略化することが可能となる。
基板110は、SOI基板に限らず、単結晶のシリコン基板や多結晶のシリコン基板、酸化マグネシウム(MgO)基板、金属基板、ガラス基板、ポリマー基板等を用いることも可能である。
フレーム部111は、枠状の形状として、矩形枠状の形状を採用することが好ましい。つまり、フレーム部111は、外周形状が矩形状であることが好ましい。これにより、振動発電装置101aは、製造時に、ダイシング工程の作業性を向上させることが可能となる。振動発電装置101aの製造時には、例えば、まず、フレーム部111、梁部112a、錘部112b及び突出部112cの基礎となるウェハ(ここでは、SOIウェハ)を準備する。振動発電装置101aの製造時には、ウェハに多数の振動発電装置101aを形成する前工程を行い、後工程において、ダイシング工程で個々の振動発電装置101aに分離する。なお、振動発電装置101aの製造方法については、後述する。
フレーム部111の内周形状は、矩形状に限らず、例えば、矩形状以外の多角形状や円形状、楕円形状等の形状でもよい。なお、フレーム部111の外周形状は矩形状以外の形状でもよい。
振動発電装置101aは、振動ブロック112が、平面視においてフレーム部111の内側に配置されている。振動発電装置101aは、基板110に、平面視において振動ブロック112を囲むU字状のスリット110dを形成することによって、振動ブロック112におけるフレーム部111との連結部位以外の部分が、フレーム部111と空間的に分離されている。これにより、振動ブロック112は、平面視形状が長方形状に形成されている。振動発電装置101aは、スリット110dが、流路115を構成している。
圧電変換部114は、絶縁膜118上に形成されている。圧電変換部114は、梁部112a側から順に、第1電極(下部電極)114a、圧電体層114b及び第2電極(上部電極)114cを有している。要するに、圧電変換部114は、圧電体層114bと、この圧電体層114bを厚み方向の両側から挟んで互いに対向する第1電極114a及び第2電極114cと、を備えている。
振動発電装置101aは、振動ブロック112の振動によって圧電変換部114の圧電体層114bが応力を受け、第2電極114cと第1電極114aとに電荷の偏りが発生し、圧電変換部114において交流電圧が発生する。よって、振動発電装置101aは、圧電変換部114が圧電材料の圧電効果を利用して交流電圧を発生する。
圧電体層114bの平面形状は、第1電極114aよりも平面サイズがやや小さく、且つ、第2電極114cよりもやや大きな、矩形状に形成されている。以下では、振動ブロック112の厚み方向において第1電極114aと圧電体層114bと第2電極114cとが重なっている領域を、圧電変換領域という。
振動発電装置101aは、平面視で支持部111aと振動ブロック112とを結ぶ方向において、圧電変換領域の支持部111a側の端を、支持部111aと振動ブロック112との境界(以下、「第1境界」という。)に揃えてある。これにより、振動発電装置101aは、圧電変換領域の支持部111a側の端が第1境界よりも振動ブロック112側にある場合に比べて、振動ブロック112の振動時に応力が高くなる部分に存在する圧電変換領域の面積を大きくでき、圧電変換効率を向上させることが可能となる。
また、振動発電装置101aは、平面視で支持部111aと振動ブロック112とを結ぶ方向において、圧電変換領域の錘部112b側の端を、梁部112aと錘部112bとの境界(以下、「第2境界」という。)に揃えてある。これにより、振動発電装置101aは、圧電変換領域の錘部112b側の端が第2境界よりも梁部112a側にある場合に比べて、振動ブロック112の振動時に応力が高くなる部分に存在する圧電変換領域の面積を大きくでき、圧電変換効率を向上させることが可能となる。
圧電変換部114で発生する交流電圧は、圧電体層114bの振動に応じた正弦波状の交流電圧となる。振動発電装置101aの圧電変換部114は、流路115を流体が流れることによって発生する自励振動を利用して発電することができる。振動発電装置101aの共振周波数は、振動ブロック112の構造パラメータ及び材料等により決まる。
振動発電装置101aは、支持部111aに、第1電極114aに第1配線116aを介して電気的に接続された第1パッド117aと、第2電極114cに第2配線116cを介して電気的に接続された第2パッド117cと、が設けられている。第1配線116a、第2配線116c、第1パッド117a及び第2パッド117cの材料としては、Auを採用しているが、これに限らず、例えば、Mo、Al、Pt、Ir等でもよい。また、第1配線116a、第2配線116c、第1パッド117a及び第2パッド117cの材料は、同じ材料に限らず、別々の材料を採用してもよい。
また、第1配線116a、第2配線116c、第1パッド117a及び第2パッド117cは、単層構造の金属層により構成してあるが、単層構造に限らず、2層以上の多層構造でもよい。
また、振動発電装置101aは、第2配線116cと第1電極114aとの短絡を防止する絶縁層119を設けてある。絶縁層119は、シリコン酸化膜により構成してあるが、シリコン酸化膜に限らず、例えば、シリコン窒化膜により構成してもよい。
圧電体層114bの圧電材料としては、PZT(Pb(Zr,Ti)O3)を採用しているが、これに限らず、例えば、PZT−PMN(Pb(Mn,Nb)O3)やその他の不純物を添加したPZTでもよい。また、圧電材料は、AlN、ZnO、KNN(K0.5Na0.5NbO3)や、KN(KNbO3)、NN(NaNbO3)、KNNに不純物(例えば、Li,Nb,Ta,Sb,Cu等)を添加したもの等でもよい。振動発電装置101aは、圧電体層114bが、圧電薄膜により構成されている。
第1電極114aの材料としては、Ptを採用しているが、これに限らず、例えば、Au、Al、Ir等でもよい。また、第2電極114cの材料としては、Auを採用しているが、これに限らず、例えば、Mo、Al、Pt、Ir等でもよい。
振動発電装置101aは、第1電極114aの厚みを500nm、圧電体層114bの厚みを3000nm、第2電極114cの厚みを500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。
振動発電装置101aは、基板110と第1電極114aとの間に緩衝層を設けた構造でもよい。緩衝層の材料は、圧電体層114bの圧電材料に応じて適宜選択すればよく、圧電体層114bの圧電材料がPZTの場合には、例えば、SrRuO3、(Pb,La)TiO3、PbTiO3、MgO、LaNiO3等を採用することが好ましい。また、緩衝層は、例えば、Pt膜とSrRuO3膜との積層膜により構成してもよい。なお、振動発電装置101aは、緩衝層を設けることにより、圧電体層114bの結晶性を向上させることが可能となる。
振動発電装置101aの構成は、上述の例に限らず、例えば、圧電変換部114における梁部112aの幅方向(図2(a)の上下方向)に沿った方向の幅寸法を小さくし、1つの梁部112aの一面側において複数の圧電変換部114を上記幅方向に並設してもよい。この場合、振動発電装置101aは、複数の圧電変換部114の直列回路の一端、他端を第1パッド117a、第2パッド117cそれぞれに電気的に接続するように構成することができる。
振動発電装置101aに製造方法については、図3に基づいて以下に説明する。
振動発電装置101aの製造にあたっては、まず、SOI基板からなる基板110(図3(a)参照)を準備し、その後、第1工程を行う。第1工程では、熱酸化法等を利用して、基板110の上記一表面側、他表面側それぞれに、シリコン酸化膜からなる絶縁膜118a、118bを形成する(図3(b)参照)。第1工程では、絶縁膜118a、118bを形成する方法として熱酸化法を採用しているが、これに限らず、CVD法等を採用してもよい。
第1工程の後には、第2工程、第3工程を順次行う。第2工程では、基板110の上記一表面側の全面に、第1電極114a及び第1配線116aの基礎となる第1導電層を形成する。第2工程において第1導電層を形成する方法としては、スパッタ法を採用しているが、これに限らず、例えば、CVD法や蒸着法等を採用してもよい。第3工程では、圧電体層114bの基礎となる圧電材料層を形成する。第3工程において圧電材料層を形成する方法としては、スパッタ法を採用しているが、これに限らず、例えば、CVD法やゾルゲル法等を採用してもよい。
第3工程の後には、第4工程、第5工程を順次行う。第4工程では、リソグラフィ技術及びエッチング技術を利用して、圧電材料層を圧電体層114bの所定の形状にパターニングする。第5工程では、リソグラフィ技術及びエッチング技術を利用して、第1導電層を第1電極114a及び第1配線116aの所定の形状にパターニングする。
第5工程の後には、第6工程、第7工程、第8工程を順次行う。第6工程では、基板110の上記一表面側に絶縁層119を形成する。第6工程では、リフトオフ法を利用して絶縁層119を形成する。第6工程において絶縁層119を形成する方法は、リフトオフ法に限らない。第7工程では、第2電極114c及び第2配線116cの基礎となる第2導電層を、基板110の上記一表面側の全面に形成する。第7工程において第2導電層を形成する方法としては、スパッタ法を採用しているが、これに限らず、例えば、CVD法や蒸着法等を採用してもよい。第8工程では、リソグラフィ技術及びエッチング技術を利用して、第2導電層を第2電極114c及び第2配線116cの所定の形状にパターニングする(図3(c)参照)。
第8工程の後には、第9工程、第10工程を順次行う。第9工程では、第1パッド117a及び第2パッド117cの基礎となる第3導電層を、基板110の上記一表面側の全面に形成する。第9工程において第3導電層を形成する方法としては、スパッタ法を採用しているが、これに限らず、例えば、CVD法や蒸着法等を採用してもよい。第10工程では、リソグラフィ技術及びエッチング技術を利用して、第3導電層を第1パッド117a及び第2パッド117cの所定の形状にパターニングする。振動発電装置101aの製造方法では、第9工程と第10工程とを順次行う代わりに、リフトオフ法を利用して第1パッド117a及び第2パッド117cを形成してもよい。また、振動発電装置101aの製造方法では、第9工程と第10工程とを順次行う代わりに、メタルマスク等を利用して蒸着法等により第1パッド117a及び第2パッド117cを形成してもよい。
第10工程の後には、第11工程、第12工程を順次行う。第11工程では、基板110の上記一表面側から、スリット110dの形成予定領域を第1所定深さまでエッチングすることで第1溝110hを形成する(図3(d)参照)。スリット110dの形成予定領域は、支持部111a、対向部111b、各連結部111c、梁部112a、錘部112b及び突出部112c以外の部位である。第11工程では、リソグラフィ技術及びエッチング技術等を利用して、絶縁膜118a及びシリコン層110cをエッチングすることで第1溝110hを形成する。第11工程でのエッチングは、垂直深堀が可能な誘導結合プラズマ型のドライエッチング装置を用いたドライエッチングが好ましい。第11工程では、基板110の埋込酸化膜110bをエッチングストッパ層として利用する。第12工程では、基板110の上記他表面側から、支持部111a、対向部111b、各連結部111c及び錘部112b以外の部位を第2所定深さまでエッチングすることで第2溝110iを形成する(図3(e)参照)。第12工程では、リソグラフィ技術及びエッチング技術等を利用して、絶縁膜118b及びシリコン基板110aをエッチングすることで第2溝110iを形成する。第12工程でのエッチングは、垂直深堀が可能な誘導結合プラズマ型のドライエッチング装置を用いたドライエッチングが好ましい。第12工程では、基板110の埋込酸化膜110bをエッチングストッパ層として利用する。第11工程と第12工程との順番は、逆でもよい。
第11工程、第12工程の後、第13工程を行う。第13工程では、埋込酸化膜110bのうち、スリット110dの形成予定領域、梁部112aの形成予定領域及び突出部112cの形成予定領域それぞれに存在している部分をエッチングすることで、スリット110d、梁部112a及び突出部112cを形成する(図3(f)参照)。また、第13工程では、埋込酸化膜110b及び絶縁膜118bをエッチングする。振動発電装置101aの製造方法では、第1工程から第13工程までの工程を行うことによって、振動発電装置101aを得る。
振動発電装置101aの製造にあたっては、第13工程が終了するまでをウェハレベルで行ってから、ダイシング工程を行うことで個々の振動発電装置101aに分割するようにしている。
振動発電装置101aの製造方法では、第13工程で埋込酸化膜110bをエッチングすることで振動ブロック112を形成したときに、絶縁膜118aの内部応力である圧縮応力によって、振動ブロック112を反らせることができる。振動発電装置101aの製造方法では、絶縁膜118aの形成時に絶縁膜118aのプロセス条件を適宜設定することによって、絶縁膜118aの内部応力を制御することが可能である。絶縁膜118aの内部応力は、例えば、絶縁膜118aを熱酸化法により形成する場合、酸化温度等のプロセス条件を適宜設定することによって制御することができる。また、絶縁膜118aの内部応力は、例えば、絶縁膜118aをスパッタ法やCVD法により成膜する場合、ガス圧や、温度等のプロセス条件を適宜設定することによって制御することができる。
振動発電装置101aは、振動ブロック112に外部振動や流体等が作用していない初期状態において、振動ブロック112が、突出部112cの先端面112ccの法線が対向部111bに交差しないように反っている。ここで、振動ブロック112は、厚み方向の一面側が凹曲面状となり且つ他面側が凸曲面状となるように、反っている。
振動発電装置101aは、振動ブロック112を流体励起振動させたい場合、基板110の上記一表面側が流体の上流側、基板110の上記他表面側が流体の下流側となるように配置して使用する。要するに、振動発電装置101aは、対向部111bの厚み方向の一面(図2(b)の上面)側が流体の上流側、対向部111bの厚み方向の他面(図2(b)の下面)側が流体の下流側となるように配置して使用する。振動発電装置101aでは、上流側から振動発電装置101aに向って流れる流体が流路115を通る際に流速が速くなるので、錘部112bと突出部112cと対向部111bとで囲まれた空間110fの圧力が下がり、突出部112cが対向部111bに近づく向き(上記空間110f側)へ変位する。そして、振動発電装置101aでは、突出部112cの厚み方向の両側の圧力差がなくなると、振動ブロック112の弾性力によって振動ブロック112が元の位置に戻ろうとする力が作用するものと推考される。振動発電装置101aは、このような動作が繰り返されることで振動ブロック112が自励振動し、圧電変換部114で交流電圧が発生することになると推考される。
以下では、エネルギ変換装置1の具体的な回路構成例について図1の回路図に基づいて説明する。
図1では、振動発電装置101aを等価回路で記載してある。この等価回路では、振動発電装置101aを、交流電流源I0と、圧電変換部114の容量成分により構成されるコンデンサC0と、圧電変換部114の抵抗成分により構成される抵抗R0との並列回路で表してある。交流電流源I0の周波数は、外部振動の周波数が振動発電装置101aの共振周波数と一致するときには、振動発電装置101aの共振周波数と同じになる。
整流平滑回路102は、4個の整流用ダイオードD1〜D4がブリッジ接続された全波整流回路121と、全波整流回路121の出力端間に接続された蓄電素子C2とで構成してある。蓄電素子C2としては、セラミックコンデンサ、電気二重層キャパシタ等を挙げることができるが、特に限定するものではない。整流平滑回路102は、例えば、整流用のダイオードと、このダイオードに直列接続された蓄電素子とで構成してもよい。また、整流平滑回路102は、両波倍電圧整流回路により構成してもよく、この場合、両波倍電圧整流回路における2個のコンデンサの直列回路により蓄電素子を構成することになる。
エネルギ変換装置1は、発電装置101の一方の出力端が、2個のダイオードD2、D4の直列回路における両ダイオードD2、D4の接続点に接続されている。また、エネルギ変換装置1は、発電装置101の他方の出力端が、2個のダイオードD1、D3の直列回路における両ダイオードD1、D3の接続点に接続されている。
整流平滑回路102は、2個のダイオードD1、D2のカソード同士の接続点に蓄電素子C2の一端が接続され、2個のダイオードD3、D4のアノード同士の接続点に蓄電素子C2の他端が接続されている。
DC/DCコンバータ103は、例えば、DC−DCコンバータ用のIC(IntegratedCircuit)素子131に加えて、コンデンサC4、C5を備えた構成を採用することができる。コンデンサC4、C5は、IC素子131に外付けした電子部品である。
図1では、IC素子131として、LINEAR TECHNOROGY社製のLT(登録商標)3009を用いる場合を例示してある。LT(登録商標)3009は、LDO(low drop out)レギュレータ用のIC素子の一種である。コンデンサC4は、IC素子131の電圧入力端子VINとDC−DCコンバータ103のグランドライン103bとの間に接続されている。コンデンサC5は、IC素子131の電圧出力端子VOUTとDC−DCコンバータ103のグランドライン103bとの間に接続されている。IC素子131のグランド端子GNDは、DC−DCコンバータ103のグランドライン103bと接続されている。LT(登録商標)3009では、IN端子、OUT端子、GND端子及びSHDN端子、電圧入力端子VIN、電圧出力端子、グランド端子GND及び制御端子CNそれぞれを構成する。
DC−DCコンバータ103は、制御端子CNとグランドライン103bとの間の制御電圧が所定の起動電圧を超えるまでIC素子131が起動しないので、低消費電力化を図ることが可能となる。
DC−DCコンバータ103のグランドライン103bは、例えば、IC素子131、コンデンサC4、C5を実装する回路基板においてグランド用にパターン化された導体層(配線)により構成することができる。この回路基板には、DC−DCコンバータ103の回路部品以外に、発電装置101、整流平滑回路102の回路部品等を実装することが好ましい。回路基板としては、例えば、プリント配線基板等を採用することができる。
DC−DCコンバータ103は、IC素子131として、LDOレギュレータ用のIC素子に限らず、例えば、昇圧型のDC−DCコンバータ用のIC素子や、降圧型のDC−DCコンバータ用のIC素子や、チャージポンプ型のDC−DCコンバータ用のIC素子等を用いてもよい。IC素子131は、製品によって端子(ピン)の機能や配置、端子の割り当て(ピンアサイン)が異なる場合がある。このため、DC−DCコンバータ103は、採用するIC素子131の種類等に基づいて、適宜、外付けの電子部品を接続すればよい。昇圧型のDC−DCコンバータ用のIC素子としては、例えば、Microchip Technology社のMCP1640/B/C/D、MaximIntegrated社製のMAX1724、LINEAR TECHNOROGY社製のLTC(登録商標)3526、TEXAS INSTRUMENT社のTPS61220、トレックス・セミコンダクター株式会社のXC9135等を用いることもできる。チャージポンプ型のDC−DCコンバータ用のIC素子としては、例えば、Maxim Integrated社製のMAX1595等を用いることができる。
DC−DCコンバータ103は、IC素子131として、MCP1640/B/C/Dを用いる場合、MCP1640/B/C/DのEN端子が、制御端子CNを構成する。DC−DCコンバータ103は、IC素子131としてMAX1724を用いる場合、MAX1724のSHDN端子が、制御端子CNを構成する。
DC−DCコンバータ103は、IC素子131としてLTC(登録商標)3526を用いる場合、LTC(登録商標)3526のSHDN端子が、制御端子CNを構成する。
DC−DCコンバータ103は、IC素子131としてTPS61220を用いる場合、例えば、TPS61220のEN端子が、制御端子CNを構成する。
DC−DCコンバータ103は、IC素子131としてXC9135を用いる場合、XC9135のEN端子が、制御端子CNを構成する。
DC−DCコンバータ103は、IC素子131としてMAX1595を用いる場合、MAX1595のSHDN端子が、制御端子CNを構成する。
IC素子131は、停止されているときに入力側から出力側へ電流が流れないように入力側と出力側とを電気的に絶縁する機能(「負荷切断機能」とも呼ばれる。)を備えているのが好ましい。
エネルギ変換装置1は、DC−DCコンバータ103の出力端間に、負荷(図示せず)を接続すれば、負荷の電源として機能することとなる。負荷としては、例えば、無線回路、センサ、固体発光素子等を採用することが可能である。無線回路は、無線通信規格として、例えば、EnOcean(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、特定小電力無線、微弱無線、Wi-Fi(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)等を採用することができるが、特に限定するものではない。センサとしては、例えば、温度センサ、湿度センサ、ガスセンサ(例えば、COセンサ、COセンサ等)、浮遊粒子センサ(例えば、ほこりセンサ、花粉センサ等)、加速度センサ、圧力センサ等を採用することができる。固体発光素子としては、例えば、発光ダイオード、半導体レーザ等を採用することができる。
監視回路104は、上述のように、第1電圧と第2電圧との差を、抵抗R1〜R6と半導体スイッチング素子M1〜M3とで構成されるヒステリシス回路141により設定してある。なお、以下では、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4、抵抗R5及び抵抗R6を、それぞれ、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3、第4抵抗R4、第5抵抗R5及び第6抵抗R6とも称する。また、以下では、半導体スイッチング素子M1、半導体スイッチング素子M2及び半導体スイッチング素子M3を、それぞれ、第1半導体スイッチング素子M1、第2半導体スイッチング素子M2及び第3半導体スイッチング素子M3とも称する。
監視回路104は、入力電圧を監視する電圧検出端子とは別に電源端子を有し入力電圧を監視するコンパレータ142と、ヒステリシス回路141とで構成されている。
コンパレータ142としては、例えば、LINER TECHNOLOGY社製のLTC(登録商標)1540等を採用することができる。コンパレータ142は、LTC(登録商標)1540を採用する場合、LTC(登録商標)1540のV端子、IN端子が、電源端子、電圧検出端子それぞれを構成する。また、コンパレータ142は、LTC(登録商標)1540を採用する場合、LTC(登録商標)1540に内蔵されたツェナダイオードが、リファレンス電圧源Vref1を構成する。
ヒステリシス回路141は、整流平滑回路102の出力端間に、第1抵抗R1と第2抵抗R2とを直列接続した第1直列回路からなる第1抵抗分圧回路が接続されている。また、ヒステリシス回路141は、第1抵抗R1の両端間に、第2半導体スイッチング素子M2と第3抵抗R3とを直列接続した第2直列回路が並列接続されている。ヒステリシス回路141は、第2半導体スイッチング素子M2として、エンハンスメント型(ノーマリオフ型)のpチャネルMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)を採用している。監視回路104は、第3抵抗R3と第2抵抗R2とを直列接続した第3直列回路が第2抵抗分圧回路を構成している。また、ヒステリシス回路141は、第2抵抗R2にコンデンサC3が並列接続されている。
コンパレータ142は、第2抵抗R2の両端電圧とリファレンス電圧源Vref1の電圧(以下、「リファレンス電圧」という。)とを比較し、第2抵抗R2の両端電圧がリファレンス電圧を超えたときに出力電圧がLレベルからHレベルに変化するように構成されている。
また、ヒステリシス回路141は、第4抵抗R4と第5抵抗R5と第1半導体スイッチング素子M1とを直列接続した第4直列回路が、第1抵抗分圧回路に並列接続されている。ヒステリシス回路141は、第1半導体スイッチング素子M1として、エンハンスメント型(ノーマリオフ型)のnチャネルMOSFETを採用している。第1半導体スイッチング素子M1を構成するnチャネルMOSFETは、ゲートが、コンパレータ142の出力端子に接続されている。また、ヒステリシス回路141は、第5抵抗R5と第1半導体スイッチング素子M1との接続点が、第2半導体スイッチング素子M2を構成するpチャネルMOSFETのゲートに接続されている。
また、ヒステリシス回路141は、第3半導体スイッチング素子M3と第6抵抗R6とを直列接続した第5直列回路が、第4直列回路に並列接続されている。ヒステリシス回路141は、第3半導体スイッチング素子M3として、エンハンスメント型(ノーマリオフ型)のpチャネルMOSFETを採用している。第3半導体スイッチング素子M3を構成するpチャネルMOSFETは、ゲートが、第4抵抗R4と第5抵抗R5との接続点に接続されている。
監視回路104は、第3半導体スイッチング素子M3と第6抵抗R6との接続点が、DC−DCコンバータ103の制御端子CNに接続されている。また、監視回路104は、第5直列回路の両端間に、DC−DCコンバータ103のコンデンサC4が接続されている。
エネルギ変換装置1は、第2半導体スイッチング素子M2がオン状態のときに、コンパレータ142の入力電圧と蓄電素子C2の両端電圧とを略同じとみなせるように、第3抵抗R3の抵抗値を、第1抵抗R1の抵抗値及び第2抵抗R2の抵抗値よりも十分小さな値に設定してある。具体例としては、第3抵抗R3の抵抗値を1kΩ、第1抵抗R1の抵抗値を10MΩ、第2抵抗R2の抵抗値を40MΩに設定してあるが、これらの値は一例であり、特に限定するものではない。なお、抵抗R3は、上述のように抵抗R2とともに第2抵抗分圧回路を構成しているが、半導体スイッチング素子M2がオフからオンになったときにコンデンサC3に流れる電流を制限する限流用の抵抗として設けてある。
エネルギ変換装置1は、第6抵抗R6の両端電圧がDC−DCコンバータ103の制御端子CNとグランドライン103bとの間の制御電圧となるように構成されており、制御電圧がDC−DCコンバータ103の所定の起動電圧以上の電圧になると、DC−DCコンバータ103が起動される。要するに、エネルギ変換装置1は、発電装置101の発電開始からDC−DCコンバータ103が起動されるまでの遅延時間を、監視回路104により決めることが可能となる。よって、エネルギ変換装置1は、DC−DCコンバータ103を安定動作させることが可能となる。
図4は、エネルギ変換装置1の動作説明図である。図4では、Aが、蓄電素子C2の電圧波形、Bが、DC−DCコンバータ103の出力電圧波形、Cが、コンパレータ142の入力電圧波形、Dが、コンパレータ142の出力電圧波形、Eが、制御電圧の波形それぞれを示している。また、図5は、図4において一点鎖線で囲んだ部分の横軸を拡大した動作説明図である。以下、図1、図4及び図5を参照しながら、エネルギ変換装置1の動作例について説明する。
エネルギ変換装置1は、発電装置101の出力電圧が発生し始めると、整流平滑回路102の蓄電素子C2への蓄電が開始され、蓄電素子C2の両端電圧が徐々に増加する(図4のA及び図5のAを参照)。その後、エネルギ変換装置1は、コンパレータ142の入力電圧(図4のC及び図5のCを参照)がリファレンス電圧Vref1よりも高くなると、コンパレータ142の出力電圧がLレベルからHレベルに変化する(図4のD及び図5のDを参照)。すると、エネルギ変換装置1は、第1半導体スイッチング素子M1がオフ状態からオン状態に変化する。これにより、エネルギ変換装置1は、第2半導体スイッチング素子M2のゲート電圧がグランド電位に低下し、第2半導体スイッチング素子M2がオフ状態からオン状態に変化し、コンパレータ142の入力電圧と蓄電素子C2の両端電圧とが略同じとなる(図5のAとCとを参照)。続いて、エネルギ変換装置1は、第3スイッチング素子M3のゲート電圧がグランド電位付近まで低下するので、第3スイッチング素子M3がオフ状態からオン状態に変化する。エネルギ変換装置1は、第3スイッチング素子M3がオン状態になると、制御電圧が蓄電素子C2の両端電圧と略同じになり(図5のAとEとを参照)、DC−DCコンバータ103が起動される。エネルギ変換装置1は、コンパレータ142の入力電圧がリファレンス電圧Vref1以下になると、コンパレータ142の出力電圧がHレベルからLレベルに変化し(図4のD及び図5のDを参照)、その後、制御電圧がLレベルになり(図4のE及び図5のE)、DC−DCコンバータ103の動作が停止する(図4のB及び図5のB)。
エネルギ変換装置1は、蓄電素子C2の放電開始電圧を第1電圧V1とすることができ、蓄電素子C2の放電停止電圧を第2電圧V2とすることができる。したがって、エネルギ変換装置1では、整流平滑回路102の蓄電素子C2からDC−DCコンバータ103へ引き渡せるエネルギをEn、蓄電素子C2の容量をCとすると、エネルギEnを下記の(1)式で表すことができる。
Figure 2014207767
エネルギ変換装置1は、(1)式より、第1電圧V1と第2電圧V2との差が大きいほうが、より大きなエネルギをDC−DCコンバータ103に伝えることが可能となることが分かる。
ところで、整流平滑回路102とDC−DCコンバータ103との間に監視回路104を備えていない比較例のエネルギ変換装置では、整流平滑回路102の蓄電素子C2の両端電圧をV、蓄電素子C2の蓄積エネルギをE1とすると、蓄積エネルギE1は、下記の(2)式で表すことができる。
Figure 2014207767
比較例のエネルギ変換装置は、より消費電流の大きな負荷を駆動する用途で用いる場合、蓄電素子C2の容量を大きくする必要がある。しかしながら、比較例のエネルギ変換装置は、例えば、蓄電素子C2として、より容量の大きな電気二重層キャパシタ等を用いた場合、リーク電流が大きくなることや、大電流を出力することが難しいこと等から、回路効率が低下してしまう。これに対して、本実施形態のエネルギ変換装置1では、(1)式から分かるように第1電圧V1と第2電圧との差を利用して必要なエネルギを確保するので、蓄電素子C2の容量を大きくすることなく、より消費電流の大きな負荷を駆動する用途で用いることが可能となる。本実施形態のエネルギ変換装置1では、整流平滑回路102とDC−DCコンバータ103との間に、監視回路104を備えているので、蓄電素子C2に低損失で蓄電し、DC−DCコンバータ103を安定動作させることが可能となる。よって、本実施形態のエネルギ変換装置1では、エネルギ変換効率の向上を図ることが可能となる。また、本実施形態のエネルギ変換装置1では、監視回路104が、DC−DCコンバータ103を起動させるときの入力電圧である第1電圧とDC−DCコンバータ103を停止させるときの入力電圧である第2電圧とが異なるヒステリシス特性を有している。監視回路104は、第1電圧と第2電圧との差を、抵抗R1〜R6と半導体スイッチング素子M1〜M3とで構成されるヒステリシス回路141により設定してある。これにより、エネルギ変換装置1は、回路効率の向上を図ることが可能となり、エネルギ変換効率の向上を図ることが可能となる。
図6は、実施形態1のエネルギ変換装置1の変形例の回路図である。この変形例では、実施形態1のエネルギ変換装置1におけるコンパレータ142の代わりに、入力電圧を監視する電圧検出端子VINとは別に電源端子VDDを有し入力電圧を監視するボルテージディテクタ143を用いている点が相違する。すなわち、変形例では、監視回路104が、ヒステリシス回路141と、ボルテージディテクタ143と、で構成されている。
ボルテージディテクタ143は、設定された電圧を検出するとリセット信号を出力するIC素子である。ボルテージディテクタとしては、電源端子が電圧検出端子を兼ねたものもあるが、電源端子への入力電圧が最低動作電圧を下回ると、抵抗R1、R2によって電源端子に流れる電流が制限されてしまうため、ボルテージディテクタの動作が不安定になってしまう。これに対して、変形例では、電圧検出端子VINとは別に電源端子VDDを有するボルテージディテクタ143を用いていることにより、監視回路104の動作を安定させることができる。電圧検出端子VINとは別に電源端子VDDを有するボルテージディテクタ143としては、株式会社リコー製のR3111x、R3118x、R3132x等を採用することができ、SENSE端子が電圧検出端子VINに相当する。
変形例では、ボルテージディテクタ143の電源端子VDDを蓄電素子C2の一端に接続し、ボルテージディテクタ143のグランド端子GNDを蓄電素子C2の他端に接続してある。また、変形例では、第1抵抗R1と第2抵抗R2との接続点をボルテージディテクタ143の電圧検出端子VINに接続してある。また、変形例では、ボルテージディテクタ143の出力端子VOUTを第1スイッチング素子M1のゲートに接続してある。
変形例のエネルギ変換装置1は、発電装置101の発電開始からDC−DCコンバータ103が起動されるまでの遅延時間を、監視回路104により決めることが可能となる。よって、変形例のエネルギ変換装置1は、DC−DCコンバータ103を安定動作させることが可能となる。また、変形例のエネルギ変換装置1では、実施形態1のエネルギ変換装置1と同様、ヒステリシス回路141を備えていることにより、回路効率の向上を図ることが可能となり、エネルギ変換効率の向上を図ることが可能となる。
ヒステリシス回路141の回路構成は、特に限定するものではなく、抵抗分圧回路と半導体スイッチング素子とを備えた構成してあればよい。また、ヒステリシス回路141に用いる半導体スイッチング素子は、MOSFETに限らず、例えば、HEMT(high electron mobility transistor)、MESFET(metalsemiconductor field effect transistor)、IGBT(insulatedgate bipolar transistor)、バイポーラトランジスタ等を採用することができる。
(実施形態2)
以下では、本実施形態のエネルギ変換装置1について図7に基づいて説明する。なお、実施形態1のエネルギ変換装置1と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を適宜省略する。
本実施形態のエネルギ変換装置1は、発電装置101として、電磁誘導型の振動発電装置101bを用いている点が相違する。電磁誘導型の振動発電装置101bとは、電磁誘導を利用して運動エネルギを電気エネルギに変換する発電装置である。
本実施形態のエネルギ変換装置1は、発電装置101が電磁誘導型の振動発電装置101bにより構成されているので、発電装置101を圧電型の振動発電装置101aや静電容量型の振動発電装置により構成する場合に比べて、整流平滑回路102の蓄電素子C2サの容量を大きくすることが可能となり、エネルギ変換効率の向上を図ることが可能となる。静電誘導型の振動発電装置とは、静電誘導を利用して運動エネルギを電気エネルギに変換する発電装置である。
以下では、電磁誘導型の振動発電装置101bについて図8〜13に基づいて説明する。
振動発電装置101bは、磁石2を備えた磁石ブロック3と、コイル4aを備えたコイルブロック4と、を有し、磁石ブロック3とコイルブロック4とが第1方向(図8(a)の上下方向)で対向配置されている。振動発電装置101bは、磁石ブロック3とコイルブロック4とが上記第1方向に直交する第2方向(図8(a)の左右方向)において相対的に変位することで生じる電磁誘導により運動エネルギを電気エネルギに変換する機能を有する。
振動発電装置101bは、磁石ブロック3を備えた可動部12を外部から作動させ可動部12を減衰振動させることが可能なものである。振動発電装置101bは、可動部12と、支持部14と、可動部12と支持部14との間に介在する弾性体部15と、を備えている。振動発電装置101bは、支持部14が弾性体部15を介して可動部12を支持しており、可動部12が上記第2方向に振動可能となっている。弾性体部15は、上記第2方向における剛性が上記第2方向に直交する方向の剛性に比べて小さい。これにより、振動発電装置101bは、可動部12の振動方向を上記第2方向に単方向化することが可能となる。
振動発電装置101bは、可動部12と支持部14と各弾性体部15とを有する振動ブロック11を備えている。振動ブロック11の可動部12の振動方向については、例えば、可動部12の重心を原点とする直交座標を仮定して説明することができる。この直交座標では、例えば、上記第2方向に沿ってx軸の正方向を決め、上記第1方向及び上記第2方向それぞれに直交する方向に沿ってy軸の正方向を決め、上記第1方向に沿って上記第2方向に直交するz軸の正方向を決めることができる。この場合、振動ブロック11は、可動部12の振動方向をx軸の正負方向に単方向化することが可能となり、y軸の正負方向やz軸の正負方向への振動成分を抑制することが可能となる。
したがって、振動発電装置101bは、図8(b)でみれば、可動部12の振動方向が上記第2方向である左右方向に単方向化され、図8(b)の上下方向や可動部12の厚み方向(図8(b)の紙面に直交する方向)等への振動が抑制される。よって、振動発電装置101bは、不要な振動成分の発生を抑制することが可能となり、エネルギ変換効率の向上を図ることが可能となる。
また、振動発電装置101bは、振動ブロック11の厚み方向の一面(第1面)側に配置される第1キャップ21と、振動ブロック11の厚み方向の他面(第2面)側に配置される第2キャップ31と、を備えている。振動発電装置101bは、第1キャップ21及び第2キャップ31の各々に、上述のコイルブロック4が保持されている。また、振動発電装置101bは、第1キャップ21と振動ブロック11との間に配置された第1スペーサ41と、第2キャップ31と振動ブロック11との間に配置された第2スペーサ42と、を備えている。
振動発電装置101bの各構成要素については、以下に詳細に説明する。
振動ブロック11は、支持部14の平面視形状を枠状としてある。また、振動ブロック11は、支持部14の内側に、可動部本体13が配置されている。可動部本体13は、支持部14の内側面から離れて配置されている。また、振動ブロック11は、上記第2方向において可動部本体13の両側に弾性体部15が配置されている。また、振動ブロック11は、可動部本体13の平面視形状を枠状としてある。振動ブロック11は、可動部本体13の内側に、磁石ブロック3が配置されている。磁石ブロック3は、可動部本体13に固定されている。
可動部本体13の内周形状は、矩形状である。磁石ブロック3の外周形状は、可動部本体13の内周形状よりも若干小さな矩形状としてある。磁石ブロック3を可動部本体13に固定する方法としては、例えば、接着剤により固定する方法を採用することができる。この場合には、磁石ブロック3の外周面と可動部本体13の内側面との間に接着剤からなる接合部が介在することになる。磁石ブロック3を可動部本体13に固定する方法は、これに限らず、例えば、磁石ブロック3と可動部本体13との間の隙間に別部材を圧入することで固定する方法等を採用することができる。また、磁石ブロック3を可動部本体13に固定する方法は、可動部本体13の外側面側から螺子により固定する方法を採用することもできる。
可動部本体13と磁石ブロック3とで構成される可動部12の平面視形状は、八角形状としてある。可動部12の平面視形状は、八角形状に限らず、例えば、矩形状の形状としてもよい。振動ブロック11では、可動部本体13の外周形状及び内周形状それぞれが大きさの異なる矩形状となっていてもよい。また、可動部12の平面視形状は、例えば、円形状や正多角形状としてもよい。
磁石ブロック3は、複数個(例えば、4個)の磁石2を備えており、これら複数個の磁石2が上記第2方向に並んで配置されている。つまり、磁石ブロック3は、複数個の磁石2が1次元のアレイ状に配置されている。磁石2は、永久磁石により構成することが好ましい。永久磁石の材料としては、例えば、ネオジム(NdFeB)、サマリウムコバルト(SmCo)、アルニコ(Al−Ni−Co)、フェライト等を採用することができる。
磁石2は、短冊状に形成されている。また、磁石2は、厚み方向の一面側がN極、他面側がS極となるように着磁されている。磁石2を構成する永久磁石は、例えば、磁石材料を切削、研磨等で整形加工した後、パルス着磁法等によって着磁することにより、形成することができる。
磁石ブロック3は、上述の複数個の磁石2の各々の幅方向が上記第2方向に一致するように各磁石2が配置されている。また、磁石ブロック3は、この磁石ブロック3の厚み方向の両面側それぞれで、上記第2方向においてN極とS極とが交互に並ぶように、複数個の磁石2が配置されている。要するに、磁石ブロック3は、上記第2方向において隣り合う磁石2同士の磁化の向きを逆向きとしてある。なお、磁石ブロック3は、複数個の磁石2が1次元のアレイ状に配置されているが、これに限らず、例えば、2次元のアレイ状に配置された構成としてもよい。
振動ブロック11は、可動部本体13と支持部14と各弾性体部15とを、例えば、基板10から形成することができる。基板10としては、磁力線に対して低減衰で且つ電気絶縁性を有する絶縁性基板が好ましく、例えば、高抵抗率のシリコン基板を用いることができる。高抵抗率のシリコン基板は、例えば、抵抗率が100Ωcm以上であることが好ましく、1000Ωcm以上であることがより好ましい。
基板10としてシリコン基板を用いた場合、振動ブロック11は、可動部本体13、支持部14及び各弾性体部15の材料がシリコンとなる。このような振動ブロック11は、例えば、MEMSの製造技術を利用して製造することができる。この場合、振動ブロック11では、可動部本体13、支持部14及び各弾性体部15を一体に形成することができる。要するに、振動ブロック11は、可動部本体13と支持部14と各弾性体部15とが、1枚のシリコン基板から一体に形成された構成とすることができる。これにより、振動発電装置101bの製造時には、振動ブロック11を形成する際に、可動部本体13、支持部14及び各弾性体部15のアセンブリ工程が不要となり、製造が容易になる。
また、各弾性体部15と可動部本体13及び支持部14とが接着用の樹脂からなる接続部で接続されている場合には、振動時に振動エネルギが接続部において熱エネルギとなって損なわれる。これに対して、可動部本体13と支持部14と各弾性体部15とが、1枚のシリコン基板から一体に形成された構成では、各弾性体部15と可動部本体13及び支持部14とが低減衰材料であるシリコンにより一体に形成されているので、振動時のエネルギ損失を低減することが可能となり、エネルギ変換効率を向上することが可能となる。なお、基板10の材料に関して、磁力線に対して影響を及ぼさないという点では、比透磁率が低いほうが好ましい。
基板10は、高抵抗率のシリコン基板に限らず、例えば、高抵抗率のSOI基板等を用いることができる。また、振動ブロック11は、基板10の材料や抵抗率に応じて、適宜の絶縁膜を設けてもよい。
弾性体部15は、ばねであることが好ましい。これにより、振動発電装置101bは、弾性体部15の1個当たりの蓄積エネルギを大きくすることが可能となり、振動発電装置101bの小型化を図ることが可能となる。
弾性体部15は、上記第2方向における可動部12の両側の各々に、複数個(例えば、5個)ずつ並んで設けられていることが好ましい。これにより、振動発電装置101bは、可動部12の両側の各々に弾性体部15が1個ずつ設けられている場合に比べて、可動部12の振動方向の更なる単方向化が可能となり、エネルギ変換効率の更なる向上を図ることが可能となる。更に、振動発電装置101bは、個々の弾性体部15にかかる応力を低減することが可能となり、耐久性の向上を図ることが可能となる。可動部12の両側の弾性体部15の数は、特に5個に限定するものではない。
弾性体部15を構成するばねの材料は、半導体であるシリコンや金属等を採用することができるが、金属よりもシリコンであることが好ましい。これにより、振動発電装置101bは、弾性体部15を構成するばねの材料が金属である場合に比べて、弾性体部15での振動減衰に起因した運動エネルギの損失を低減することが可能となるから、エネルギ変換効率の向上を図れる。
弾性体部15の材料としては、シリコンに限らず、例えば、ステンレス(例えば、SUS304等)、鋼、銅、銅合金(真鍮、ベリリウム銅)、Ti合金、Al合金等を採用することができる。弾性体部15の材料は、対数減衰率の低い材料が好ましく、例えば、対数減衰率が0.04以下の材料が好ましい。
また、振動発電装置101bは、弾性体部15を構成するばねの材料がシリコンであれば、金属である場合に比べて、弾性体部15の耐久性を向上させることが可能となる。また、振動発電装置101bは、弾性体部15を構成するばねの材料が、シリコンであることにより、基板10としてシリコン基板を採用し、MEMS等の製造技術を利用して各々が基板10の一部からなる各弾性体部15を形成することが可能となる。これにより、振動発電装置101bは、ばねの形状の弾性体部15において厚み寸法W1(図9参照)に対する幅寸法H1(図8(a)参照)の比で表されるアスペクト比を大きくすることが可能となる。MEMS等の製造技術を利用する場合には、リソグラフィ技術及びエッチング技術を利用して基板10をバルクマイクロマシニングすることにより、ばね形状の弾性体部15の厚み寸法W1を高精度に制御することが可能となる。しかも、この場合には、ばね形状の弾性体部15の幅寸法H1を基板10の厚みと同じ値とすることが可能となるから、アスペクト比の大きなばね形状の弾性体部15を寸法精度良く形成することが可能となる。なお、図8(a)に示した振動発電装置101bでは、弾性体部15の形状として、つづら折れ状のばね形状を採用しており、ばね形状の弾性体部15の厚み寸法W1を0.4mm、幅寸法H1を1mmとしてある。この場合のアスペクト比は、2.5である。また、この一例の場合には、x軸方向の剛性が約2754N/m、y軸方向の剛性が約3267N/m、z軸方向の剛性が約3146N/mである。つまり、この一例の場合には、上記第2方向における剛性が上記第2方向に直交する方向の剛性に比べて小さい。ただし、これらの数値例は、図9に示すように、つづら折れ状のばね形状の弾性体部15自身において、折り返し箇所を2箇所だけ増やし、また、隣り合う部位同士の間隔W3を0.12mm、x軸方向における弾性体部15全体の長さX11を7mm、y軸方向における弾性体部15全体の長さY11を7mmとした場合の値である。剛性の測定に関しては、例えば、支持部14を冶具で固定した後、微小引張試験機、あるいはフォースゲージとμメータとを組み合わせたものを用いることができる。この場合には、可動部12に対してx軸方向、y軸方向及びz軸方向それぞれの力を加えたときの変位を測定することで、ばね定数を算出することができる。
振動発電装置101bは、弾性体部15が上記第2方向における可動部12の両側の各々に、複数個ずつ並んで設けられている場合、各複数個ずつの弾性体部15の全ての材料をシリコンとすることができる。振動ブロック11は、各複数個ずつの弾性体部15のうち少なくとも1個ずつの材料がシリコンであればよく、他の弾性体部15の材料を金属としてもよい。
弾性体部15を構成するばねの形状は、例えば、つづら折れ状であることが好ましい。この場合、弾性体部15は、平面視形状において折り返し部分に角のないU字状に形成された形状のほうが、平面視形状において折り返し部分に角のあるU字状に形成された形状よりも好ましい。振動発電装置101bは、弾性体部15の折り返し部分に角のない形状を採用することにより、弾性体部15の折り返し部分での応力集中に起因した破損やクラックの発生等を抑制することが可能となる。
また、つづら折れ状の弾性体部15としては、平面視において折り返し部分の厚み寸法を他の部位の厚み寸法よりも大きくした形状としてもよく、弾性体部15の折り返し部分での応力集中に起因した破損やクラックの発生等を抑制することが可能となる。
また、つづら折れ状の弾性体部15としては、平面視において折り返し部分間の距離が徐々に短くなる形状としてもよい。
また、弾性体部15は、平面視において蛇行した形状であれば、つづら折れ状の形状に限らず、例えば、波形状(平面視で正弦波状)の形状でもよい。
また、弾性体部15を構成するばねの形状は、つづら折れ状や波形状等の蛇行した形状に限らず、他の形状でもよい。
可動部本体13の厚み寸法は、各弾性体部15の厚み寸法と同じに設定してあるが、これに限らず、可動部12の所望の質量等に基づいて各弾性体部15の厚み寸法よりも大きくしてもよい。また、可動部本体13の厚み寸法は、各弾性体部15の厚み寸法よりも小さくしてもよい。この場合は、弾性体部15の上記第1方向の剛性を高くすることが可能となる。
第1スペーサ41及び第2スペーサ42は、枠状に形成されている。振動発電装置101bは、第1スペーサ41の形状と第2スペーサ42の形状とを同じ形状に設定してあることが好ましい。これにより、振動発電装置101bは、部品共通化による低コスト化を図ることが可能となる。
また、第1スペーサ41及び第2スペーサ42の外形寸法は、振動ブロック11の外形寸法に合わせてあることが好ましい。
第1スペーサ41及び第2スペーサ42の各々の材料としては、例えば、エンジニヤリングプラスチック(例えば、ポリカーボネート等)等の樹脂、セラミック、シリコン等を採用することができる。第1スペーサ41及び第2スペーサ42の各々の材料としてシリコンを採用した場合には、第1スペーサ41及び第2スペーサ42の各々をシリコン基板から形成することができる。これにより、第1スペーサ41及び第2スペーサ42の各々と振動ブロック11の支持部14との接合方法としては、例えば、表面活性化接合法や、共晶接合法や、樹脂接合法等を採用することができる。
第1キャップ21及び第2キャップ31の外形寸法は、振動ブロック11の外形寸法に合わせてあることが好ましい。
振動発電装置101bは、第1キャップ21の形状と第2キャップ31の形状とを同じ形状に設定してあることが好ましい。これにより、振動発電装置101bは、部品共通化による低コスト化を図ることが可能となる。
第1キャップ21及び第2キャップ31の各々の材料としては、例えば、エンジニヤリングプラスチック(例えば、ポリカーボネート等)等の樹脂、セラミック、シリコン等を採用することができる。第1キャップ21及び第2キャップ31の各々の材料としてシリコンを採用した場合には、第1キャップ21及び第2キャップ31の各々をシリコン基板から形成することができる。これにより、第1キャップ21、第2キャップ31と、第1スペーサ41、第2スペーサ42それぞれとの接合方法としては、例えば、表面活性化接合法や、共晶接合法や、樹脂接合法等を採用することができる。また、振動発電装置101bは、第1スペーサ41及び第2スペーサ42を設けずに、第1キャップ21及び第2キャップ31を振動ブロック11に固定した構成としてもよい。
振動発電装置101bは、第1キャップ21と第1スペーサ41と振動ブロック11と第2スペーサ42と第2キャップ31とを、複数個(例えば、4個)のねじ(図示せず)により固定するようにしてもよいし、接着剤により固定するようにしてもよいし、固定部材として、ねじと接着剤とを併用してもよい。また、振動発電装置101bは、第1キャップ21、第1スペーサ41、振動ブロック11、第2スペーサ42及び第2キャップ31それぞれからなる部材のうち、振動発電装置101bの厚み方向において隣り合う部材同士に、相互に嵌合可能な構造を設けて嵌合させることで固定するようにしてもよい。
振動発電装置101bは、図11に示すように、第1キャップ21、第1スペーサ41、振動ブロック11、第2スペーサ42及び第2キャップ31それぞれの四隅に、固定用のねじを挿通可能な貫通孔21a、41a、11a、42a及び31aをそれぞれ形成してある。各貫通孔21a、41a、11a、42a及び31aの平面視での開口形状は、円形状としてある。これらの開口形状は、円形状以外の形状でもよい。
また、振動ブロック11は、可動部本体13から平面視において上記第2方向に直交する方向に突出する2つの突部13bを一体に設けてある。各突部13bの各々は、平面視矩形状に形成されている。また、振動ブロック11は、枠状の支持部14の内側面に、各突部13bの各々を上記第2方向に変位可能とする2つの第1凹部(第1切欠部)14bが形成されている。そして、第1キャップ21及び第2キャップ31には、各第1凹部14bの各々の投影領域に、矩形状の貫通孔21b、31bがそれぞれ形成されている。また、第1スペーサ41及び第2スペーサ42の内側面には、各第1凹部14bの各々の投影領域に、第2凹部(第2切欠部)41b、42bがそれぞれ形成されている。したがって、振動発電装置101bでは、外部から貫通孔21b、31b及び第2凹部41b、42bを通して、両突部13bに対して適宜の冶具により外力を与えて可動部12を上記第2方向へ変位させることが可能となっている。これにより、振動発電装置101bでは、両突部13bを変位させた後に冶具を引き抜けば、可動部12が上記第2方向に振動することとなる。要するに、振動発電装置101bは、可動部12を変位させて作動させることが可能である。この場合の可動部12の振動は、減衰振動である。これにより、振動発電装置101bの出力電圧(振動発電装置101bで発生する交流電圧)の波形は、例えば、図13に示すように時間の経過とともに減衰する波形となる。なお、冶具としては、例えば、二股のフォーク状の形状のものを採用することができる。
振動ブロック11は、図8(b)、図12(a)、図12(b)に示すように、支持部14に、上記第2方向への可動部12の変位量を制限するテーパ状のストッパ部14cを設けてある。一方、可動部12の外周面(可動部本体13の外側面)には、ストッパ部14cと略平行な傾斜面12cを設けてある。支持部14に設けられたストッパ部14cは、支持部14の内側面において上記第2方向に平行な面に対して傾斜している。可動部12に設けられた傾斜面12cは、可動部12の外周面において上記第2方向に平行な面に対して傾斜している。
振動発電装置101bでは、両突部13bに対して適宜の冶具により外力を与えて可動部12を上記第2方向へ変位させる際に、傾斜面12cがストッパ部14cに接触することで可動部12の変位が制限される。これにより、振動発電装置101bは、可動部12を作動させる際に可動部12の変位量(可動部12の初期変位)を略一定値とすることが可能となる。また、振動発電装置101bでは、上記第2方向とは異なる方向への可動部12の変位を抑制することが可能となる。これらにより、振動発電装置101bでは、外力を与える度に発電出力がばらつくのを抑制することが可能となる。なお、図12(a)中の矢印は、可動部12を変位させる向きの一例を示している。振動発電装置101bは、図12(a)中の矢印とは逆向きへ変位させることも可能である。
コイルブロック4は、複数個(例えば、5個)のコイル4aを備えている。これら複数個のコイル4aは、上記第2方向に並んで配置され接着剤によりブロック化されている。要するに、コイルブロック4は、コイル4aが1次元のアレイ状に配置されたコイルアレイにより構成されている。また、磁石ブロック3は、磁石2が1次元のアレイ状に配置された磁石アレイにより構成されている。コイルブロック4のコイル4aの数は、磁石ブロック3の磁石2の数より1だけ多いほうが好ましい。要するに、磁石ブロック3の磁石2の数をm(mは自然数)とすれば、コイルブロック4のコイル4aの数は、m+1とすることが好ましい。また、コイルブロック4におけるコイル4aのピッチと、磁石ブロック3における磁石2のピッチとは同じであることが好ましい。また、コイルブロック4は、対向する磁石ブロック3において隣り合う磁石2同士の境界とコイル4aの中心線(口軸)とが同一平面上に揃うように各コイル4aが配置されていることが好ましい。これにより、振動発電装置101bは、エネルギ変換効率を向上させることが可能となる。
コイル4aは、芯材4bに巻回されたコイル線材により構成されている。コイル線材としては、絶縁被覆付きの銅線を採用することができる。コイル線材は、巻線機により芯材4bに巻き付けて接着剤等により固定されている。芯材4bの材料としては、例えば、エンジニヤリングプラスチック(例えば、ポリカーボネート等)等の樹脂や、セラミック等の絶縁性材料を採用することが好ましい。銅線を被覆する絶縁膜の材料としては、例えば、ウレタン、ホルマール、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド等を採用することができる。
芯材4bは、短冊状に形成されている。芯材4bは、厚み方向が上記第2方向に一致し、幅方向が振動ブロック11の厚み方向に一致し、長手方向が平面視において上記第2方向に直交する方向に一致するように配置されている。
コイルブロック4は、磁石ブロック3との対向面側が平坦化されるように、各コイル4aを各芯材4bの幅方向において磁石ブロック3側の一端部に巻回してある。第1キャップ21に保持されるコイルブロック4(以下、「第1コイルブロック4A」ともいう。)は、各芯材4bの幅方向の他端部を、第1キャップ21に形成された複数の位置決め用の貫通孔21cの各々に挿入し固定してある。第1キャップ21に第1コイルブロック4Aを組み込む際には、例えば、別途に用意したダミー部材(組立用の冶具)の平坦面に、磁石ブロック3との対向面となる側を突き当てた状態で、各芯材4bを第1キャップ21に固定し、その後、ダミー部材を取り去ればよい。これにより、第1コイルブロック4Aでは、複数のコイル4aのコイル面が揃うこととなり、磁石ブロック3との対向面側が略平坦となる。
また、第2キャップ31に保持されるコイルブロック4(以下、「第2コイルブロック4B」ともいう。)は、各芯材4bの幅方向の他端部を、第2キャップ31に形成された複数の位置決め用の貫通孔31cの各々に挿入し固定してある。第2キャップ31に第2コイルブロック4Bを組み込む際には、例えば、別途に用意したダミー部材(組立用の冶具)の平坦面に、磁石ブロック3との対向面となる側を突き当てた状態で、各芯材4bを第2キャップ31に固定し、その後、ダミー部材を取り去ればよい。これにより、第2コイルブロック4Bでは、複数のコイル4aのコイル面が揃うこととなり、磁石ブロック3との対向面側が略平坦となる。
コイルブロック4において隣り合うコイル4a同士は、第1の導電性接合材で接合され電気的に接続されている。第1の導電性接合材の材料としては、例えば、半田や銀ペースト等を採用することができる。隣り合うコイル4a同士は、それぞれ逆巻き方向となるように直列接続されている。
第1コイルブロック4Aの両端のコイル4aそれぞれにおいて隣り合うコイル4aに接続されていない側の線端部は、第1キャップ21に設けられた電極(図示せず)に電気的に接続されている。第2コイルブロック4Bの両端のコイル4aそれぞれにおいて隣り合うコイル4aに接続されていない側の線端部は、第2キャップ31に設けられた電極(図示せず)に電気的に接続されている。線端部と電極とは、第2の導電性接合材で接合され電気的に接続されている。第2の導電性接合材の材料としては、例えば、半田や銀ペースト等を採用することができる。第2の導電性接合材としては、金属製のねじ等を用いてもよい。
振動発電装置101bは、各コイル4aの各々が芯材4bを備えている(つまり、各コイル4aの各々は、いわゆる有芯コイルである)が、芯材4bを備えていないもの(いわゆる空芯コイル)でもよい。芯材4bを備えない構成とする場合には、例えば、第1キャップ21及び第2キャップ31の各々に各コイル4aを各別に位置決めするリブ(突起)を設ければよい。この場合には、例えばリブにコイル4aが巻装された状態で、リブとコイル4aとを接着剤等で接着すればよい。
また、各コイル4aの各々は、例えば、平面コイルにより構成してもよい。この場合には、例えば、第1キャップ21及び第2キャップ31の各々に平面コイルを形成すればよい。
平面コイルの材料としては、例えば、銅、金、銀等を採用することができる。また、平面コイルの材料としては、パーマロイ、コバルト基アモルファス合金、フェライト等を採用してもよい。平面コイルは、蒸着法、スパッタ法等の薄膜形成技術、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術等を利用して形成することができる。
ところで、図20に示した構成の発電装置300では、コイルバネ330の中間部が矢印Z1方向へ変位可能であると推考される。このため、発電装置300では、永久磁石320の厚み方向の振動に起因して上述の間隔が変動し、発電特性が不安定となったり、発電効率が低下する懸念がある。つまり、発電装置300のようなエネルギ変換装置では、エネルギ変換特性が不安定となったり、エネルギ変換効率が低下する懸念がある。また、発電装置300は、上述の間隔を狭くすると、永久磁石320が平面コイル314a及び314bに接触してしまう懸念がある。
また、上述の発電装置300は、プリント基板312の開口部312aにおける矢印X1方向及び矢印X2方向に沿った側面と永久磁石320とが接することで、矢印X1方向と矢印Z1方向とに直交する方向に対する永久磁石320の移動が規制されているものと推考される。しかしながら、このような場合には、永久磁石320が矢印X1方向(矢印X2方向)に振動する際に摺動抵抗が生じて、発電効率が低下してしまうものと考えられる。
これに対し、振動発電装置101bにおける弾性体部15は、上記第2方向における剛性が上記第2方向に直交する方向の剛性に比べて小さい。よって、振動発電装置101bは、可動部12の振動方向を、上記第2方向に単方向化することが可能となり、エネルギ変換効率の向上を図ることが可能となる。
また、振動発電装置101bは、上記第2方向における可動部12の両側それぞれに複数の弾性体部15が設けられている。これにより、振動発電装置101bは、可動部12の両側の各々に弾性体部15が1個ずつ設けられている場合に比べて、可動部12の振動方向の更なる単方向化が可能となり、エネルギ変換効率の更なる向上を図ることが可能となる。
また、振動発電装置101bは、第1キャップ21、第2キャップ31に、第1コイルブロック4A、第2コイルブロック4Bそれぞれが保持されている。これにより、振動発電装置101bは、第1キャップ21と第2キャップ31との一方のみにコイルブロック4が保持されている場合に比べて、エネルギ変換効率の向上を図れる。
また、振動発電装置101bは、第1コイルブロック4Aにおける複数個のコイル4aの直列回路と、第2コイルブロック4Bにおける複数個のコイル4aの直列回路とを直列接続することで、出力電圧を高めることも可能となる。
また、振動発電装置101bは、第1キャップ21と振動ブロック11との間に配置された枠状の第1スペーサ41を備えている。これにより、振動発電装置101bは、第1コイルブロック4Aと磁石ブロック3との間のギャップ長を、第1スペーサ41の厚みで規定することが可能となる。したがって、振動発電装置101bは、第1コイルブロック4Aと磁石ブロック3との間のギャップの狭ギャップ化を図りながらも、第1コイルブロック4Aと磁石ブロック3との接触を防止することが可能となる。振動発電装置101bは、第1コイルブロック4Aと磁石ブロック3との間のギャップの狭ギャップ化により、磁束の利用効率の向上を図ることが可能となって、エネルギ変換効率の向上を図ることが可能となる。
また、振動発電装置101bは、第2キャップ31と振動ブロック11との間に配置された枠状の第2スペーサ42を備えている。これにより、振動発電装置101bは、第2コイルブロック4Bと磁石ブロック3との間のギャップ長を、第2スペーサ42の厚みで規定することが可能となる。したがって、振動発電装置101bは、第2コイルブロック4Bと磁石ブロック3との間のギャップの狭ギャップ化を図りながらも、第2コイルブロック4Bと磁石ブロック3との接触を防止することが可能となる。振動発電装置101bは、第2コイルブロック4Bと磁石ブロック3との間のギャップの狭ギャップ化により、磁束の利用効率の向上を図ることが可能となって、エネルギ変換効率の向上を図ることが可能となる。
振動発電装置101bは、可動部12の上記第2方向への振動に伴って発生する電磁誘導によって、交流の誘導起電力が発生する。この場合、振動発電装置101bの開放電圧は、可動部12の振動に応じた交流電圧となる。振動発電装置101bは、両突部13bに冶具等により外力を与え後に冶具を引き抜けば、可動部12が減衰振動するので、この減衰振動に応じた交流電圧を発生する。
よって、振動発電装置101bは、可動部12を変位させて作動させることが可能であり、且つ、エネルギ変換効率の向上を図ることが可能となる。
なお、振動発電装置101bは、この振動発電装置101bの共振周波数と一致する環境振動(外部振動)を利用して発電させることもできる。環境振動としては、例えば、稼動中のFA(factory automation)機器で発生する振動、車両の走行によって発生する振動、人の歩行によって発生する振動等、種々の環境振動がある。振動発電装置101bで発生する交流電圧の周波数は、環境振動の周波数が振動発電装置101bの共振周波数と一致する場合、振動発電装置101bの共振周波数と同じになる。
図7では、振動発電装置101bを等価回路で記載してある。この等価回路では、振動発電装置101bを、交流電圧源Vsと、振動発電装置101bの抵抗成分により構成される抵抗Rsと、振動発電装置101bのインダクタンス成分により構成されるインダクタLsとの直列回路で表わしてある。振動発電装置101bの抵抗成分とは、コイルブロック4の各コイル4aの抵抗成分の合成抵抗に相当する抵抗成分である。振動発電装置101bのインダクタンス成分とは、コイルブロック4の各コイル4aのインダクタンス成分の合成インダクタンスに相当するインダクタンス成分である。
本実施形態のエネルギ変換装置1は、実施形態1のエネルギ変換装置1と同様、発電装置101の発電開始からDC−DCコンバータ103が起動されるまでの遅延時間を、監視回路104により決めることが可能となる。よって、本実施形態のエネルギ変換装置1は、DC−DCコンバータ103を安定動作させることが可能となる。また、本実施形態のエネルギ変換装置1では、実施形態1のエネルギ変換装置1と同様、ヒステリシス回路141を備えていることにより、回路効率の向上を図ることが可能となり、エネルギ変換効率の向上を図ることが可能となる。なお、本実施形態のエネルギ変換装置1では、監視回路104のコンパレータ142に代えて、実施形態1のエネルギ変換装置1の変形例で説明したボルテージディテクタ143(図6参照)を用いてもよい。
(実施形態3)
以下では、本実施形態のエネルギ変換装置について図14〜図18に基づいて説明する。
本実施形態のエネルギ変換装置は、実施形態2のエネルギ変換装置1と比べて、振動発電装置101bの構成が相違し、可動部12を上記第2方向に沿って変位させるための入力機構5を備えている点等が相違する。なお、本実施形態のエネルギ変換装置は、実施形態2のエネルギ変換装置1と同様、図7に示した、整流平滑回路102、DC−DCコンバータ103及び監視回路104を備えている。
また、本実施形態のエネルギ変換装置は、可動部12に接続された第1磁性材料部7と、入力機構5に接続された第2磁性材料部6とを備え、第1磁性材料部7と第2磁性材料部6との間に発生する磁力により可動部12を変位可能である。
第1磁性材料部7は、第1磁石もしくは第1磁性体のいずれかにより構成することができる。また、第2磁性材料部6は、第2磁石もしくは第2磁性体のいずれかにより構成することができる。
振動ブロック11は、支持部14の平面視形状をC字状としてある。ここで、支持部14は、互いに対向する2つの端面14e、14eを有している。また、可動部12は、可動部本体13の外側面から上記第2方向に沿って突出する1つの突出部18を備えている。突出部18の先端面には、上述の第1磁性材料部7が接続されている。突出部18と第1磁性材料部7とは、接着剤により接続されている。突出部18の平面視形状は、上記第2方向を長手方向とする長方形状としてある。突出部18の短手方向の寸法は、支持部14の両端面14e、14e間の寸法よりもやや小さな寸法に設定してある。第1磁性材料部7の平面視形状は、矩形状としてある。
第1磁性材料部7は、第1磁性体により構成してあるが、これに限らず、第1磁石により構成してもよい。第1磁性材料部7を第1磁性体により構成する場合の材料としては、例えば、鉄−コバルト合金、電磁軟鉄、電磁ステンレス、パーマロイ等を採用することができる。また、第1磁性材料部7を第1磁石により構成する場合の材料としては、例えば、ネオジム、サマリウムコバルト、アルニコ、フェライト等を採用することができる。
振動ブロック11は、可動部本体13と突出部18と支持部14と各弾性体部15とを、例えば、基板10から形成することができる。この場合、振動ブロック11では、可動部本体13、突出部18、支持部14及び各弾性体部15を一体に形成することができる。要するに、振動ブロック11は、可動部本体13と突出部18と支持部14と各弾性体部15とが、1枚のシリコン基板から一体に形成された構成とすることができる。これにより、振動発電装置101bの製造時には、振動ブロック11を形成する際に、可動部本体13、突出部18、支持部14及び各弾性体部15のアセンブリ工程が不要となり、製造が容易になる。可動部本体13と突出部18と支持部14と各弾性体部15とが、1枚のシリコン基板から一体に形成された構成では、各弾性体部15と可動部本体13、突出部18及び支持部14とが低減衰材料であるシリコンにより一体に形成されているので、振動時のエネルギ損失を低減することが可能となり、エネルギ変換効率を向上することが可能となる。
振動ブロック11は、上記第2方向における可動部12の両側それぞれに、複数の弾性体部15が並んで設けられていることが好ましい。これにより、振動発電装置101bは、可動部12の両側の各々に弾性体部15が1個ずつ設けられている場合に比べて、可動部12の振動方向の更なる単方向化が可能となり、エネルギ変換効率の更なる向上を図ることが可能となる。更に、振動発電装置101bは、個々の弾性体部15にかかる応力を低減することが可能となり、耐久性の向上を図ることが可能となる。可動部12の両側それぞれの弾性体部15の数は、特に限定するものではない。
第1スペーサ41及び第2スペーサ42は、平面視形状がC字状の形状である。振動発電装置101bは、第1スペーサ41の形状と第2スペーサ42の形状とを同じ形状に設定してあることが好ましい。これにより、エネルギ変換装置1は、部品共通化による低コスト化を図ることが可能となる。
また、第1スペーサ41及び第2スペーサ42の外形寸法は、振動ブロック11の外形寸法に合わせてあることが好ましい。
また、振動発電装置101bは、第1スペーサ41及び第2スペーサ42を設けずに、第1キャップ21及び第2キャップ31を振動ブロック11に固定した構成としてもよい。
エネルギ変換装置は、上述の入力機構5に外力を与えることで可動部12を上記第2方向に沿って変位させた後で、第2磁性材料部6が第1磁性材料部7から離れれば、可動部12が減衰振動するので、この減衰振動に応じた交流電圧を発生する。要するに、振動発電装置101bは、可動部12を変位させて作動させることが可能である。
入力機構5は、実装基板8に固定されている。実装基板8としては、例えば、実施形態1のエネルギ変換装置1で説明した回路基板を採用することができる。これにより、本実施形態のエネルギ変換装置は、振動発電装置101bと入力機構5との相対的な位置関係を規定することができる。
入力機構5は、実装基板8に固定される円柱状の回動軸51と、回動軸51に回動自在に保持された回動部本体52と、回動部本体52から突出された操作部53と、回動部本体52から操作部53とは反対側に突出された突出部54と、を備えている。操作部53は、例えば、エネルギ変換装置の使用者等が指等で操作可能な大きさに形成されている。操作部53と回動部本体52と突出部54とは、例えば、樹脂により形成することができる。第2磁性材料部6は、突出部54の先端面に接続されている。突出部54と第2磁性材料部6とは接着剤により接続されている。第2磁性材料部6の平面視形状は、矩形状としてある。
第2磁性材料部6は、第2磁石により構成されているが、これに限らず、第2磁性体により構成してもよい。第2磁性材料部6を第2磁石により構成する場合の材料としては、例えば、ネオジム、サマリウムコバルト、アルニコ、フェライト等を採用することができる。また、第2磁性材料部6を第2磁性体により構成する場合の材料としては、例えば、鉄−コバルト合金、電磁軟鉄、電磁ステンレス、パーマロイ等を採用することができる。
第1磁性材料部7と第2磁性材料部6との間に発生する磁力の方向は、吸引する方向であるが、これに限らず、反発する方向でもよい。例えば、第1磁性材料部7を第1磁石により構成し、第2磁性材料部6を第2磁石により構成し、第1磁石と第2磁石との同極同士が対向するように第1磁石と第2磁石とを配置すれば、第1磁性材料部7と第2磁性材料部6との間に発生する磁力の方向は、反発する方向となる。
入力機構5は、操作部53と突出部54と第2磁性材料部6とが一直線上に配置されており、操作部53と突出部54と第2磁性材料部6とを結ぶ直線が上記第2方向と略直交するように配置されている。
入力機構5は、例えば、図17に示すように、ねじりコイルばねからなる復帰ばね55を備えている。復帰ばね55は、回動部本体52内で回動軸51を囲むように配置されており、一端部55aが実装基板8に固定され、他端部55bが操作部53に固定されている。
図17に示した入力機構5は、初期位置にある操作部53に対して復帰ばね55のばね力に抗して外力を与えることにより、上記第2方向に沿って突出部54が突出部18から離れる向きへ変位する。そして、入力機構5は、操作部53へ与えられていた外力がなくなると、復帰ばね55のばね力によって、操作部53が初期位置に戻るようになっている。なお、入力機構5は、図17の構成に限定するものではなく、他の構成でもよい。
第1磁性材料部7が第1磁性体であり且つ第2磁性材料部6が第2磁性体である場合には、入力機構5が、第2磁性材料部6を磁化可能な磁石(以下、磁化用磁石と称する)を備えるようにすればよい。入力機構5は、磁化用磁石を第2磁性材料部6に接触させて第2磁性材料部6を磁化することにより第2磁性材料部6と第1磁性材料部7との間に磁力を発生させ、第2磁性材料部6から磁化用磁石を離すことにより第2磁性材料部6の磁気を消失させ第2磁性材料部6と第1磁性材料部7との間の磁力を消失させるようにすればよい。
振動ブロック11は、支持部14に、上記第2方向への可動部12の変位量を規定値に制限するストッパ部14c(図14(b)参照)を設けてある。ストッパ部14cは、支持部14の内側面において上記第2方向に平行な面に対して傾斜したテーパ状である。これに対し、可動部12の外周面(可動部本体13の外側面)には、ストッパ部14cと略平行な傾斜面12c(図14(b)参照)を設けてある。可動部12に設けられた傾斜面12cは、可動部12の外周面において上記第2方向に平行な面に対して傾斜している。エネルギ変換装置では、上述の入力機構5に外力を与えて可動部12を上記第2方向へ変位させる際に、傾斜面12cがストッパ部14cに接触することで可動部12の変位量が規定値に制限されるから、可動部12の変位量を略一定値とすることが可能となる。また、振動発電装置101bでは、上記第2方向とは異なる方向への可動部12の変位を抑制することが可能となる。これらにより、振動発電装置101bでは、外力を与える度に発電出力がばらつくのを抑制することが可能となり、また、外力を与える際に弾性体部15に上記第2方向以外の方向へ過大な力が作用するのを抑制することが可能となり、信頼性の向上を図ることが可能となる。
エネルギ変換装置における振動発電装置101b及び入力機構5の動作の一例について図18に基づいて説明するが、図18は、第2磁性材料部6が第2磁石により構成され、第1磁性材料部7が第1磁性体により構成されている場合の動作例を説明するためのものである。
エネルギ変換装置は、図18(a)に示すように操作部53が初期位置にある状態では、第2磁性材料部6と第1磁性材料部7との間に発生している磁力により、第2磁性材料部6に第1磁性材料部7が吸着されている。エネルギ変換装置は、初期位置にある操作部53に対して、操作部53が発電装置EHに近づく向き(図18(a)中の矢印の向き)の外力が与えられると、図18(b)の矢印で示すように、操作部53及び突出部54が反時計回りに回動する。この際、エネルギ変換装置は、可動部12が図18(b)の右側の弾性体部15の弾性力に抗して移動し、第1磁性材料部7が第2磁性材料部6に吸着された状態が維持される。なお、図18(b)において入力機構5に付した矢印は、入力機構5の回動方向を示している。
そして、エネルギ変換装置は、操作部53が更に回動され弾性体部15のばね力が第1磁性材料部7と第2磁性材料部6との間の磁力よりも大きくなると、図18(c)に示すように第1磁性材料部7が第2磁性材料部6から離れ、可動部12が上記第2方向に沿って振動する。この振動は、減衰振動である。なお、図18(c)において、可動部12に付した矢印は、可動部12の振動方向を示し、入力機構5に付した矢印は、入力機構5の回動方向を示している。
その後、入力機構5へ外力を与えるのを止めると、入力機構5は、復帰ばね55のばね力によって初期位置に戻る。なお、図18(d)において入力機構5に付した矢印は、入力機構5の回動方向を示している。
エネルギ変換装置は、操作部53を初期位置から第1所定角(例えば、5°)だけ回動させたときに可動部12が上記規定値だけ変位し、操作部53を初期位置から第2所定角(例えば、10°)だけ回動させたときに弾性体部15のばね力が第1磁性材料部7と第2磁性材料部6との間の磁力よりも大きくなるように、弾性体部15のばね力を設計してある。第1所定角及び第2所定角は、特に限定するものでないが、第2磁性材料部6が上記第2方向に沿った一直線上で変位するように設計することが好ましい。
本実施形態のエネルギ変換装置は、可動部12を上記第2方向に沿って変位させるための入力機構5と、可動部12に接続された第1磁性材料部7と、入力機構5に接続された第2磁性材料部6と、を備え、第1磁性材料部7と第2磁性材料部6との間に発生する磁力により、可動部12を変位可能である。これにより、エネルギ変換装置は、入力機構5へ外力を適宜与えることで可動部12を変位させて作動させることが可能であり、且つ、可動部12へ上記第2方向とは異なる方向の力が作用するのを抑制することが可能となり、エネルギ変換効率及び信頼性の向上を図ることが可能となる。エネルギ変換装置は、入力機構5と第2磁性材料部6と第1磁性材料部7とで、可動部12を変位させるアクチュエータを構成している。
エネルギ変換装置は、第1磁性材料部7が、第1磁性体もしくは第1磁石のいずれかからなり、第2磁性材料部2が、第2磁性体もしくは第2磁石のいずれかからなるので、第1磁性材料部7と第2磁性材料部6との間に発生する磁力を適宜設定することが可能となる。
また、エネルギ変換装置は、第1磁性材料部7と第2磁性材料部6との間に発生する磁力の方向が、吸引する方向なので、磁力の方向が反発する方向である場合に比べて、可動部12を上記第2方向に沿って安定して変位させることが可能となる。
本実施形態のエネルギ変換装置は、実施形態1のエネルギ変換装置1と同様、発電装置101の発電開始からDC−DCコンバータ103が起動されるまでの遅延時間を、監視回路104により決めることが可能となる。よって、本実施形態のエネルギ変換装置は、DC−DCコンバータ103を安定動作させることが可能となる。また、本実施形態のエネルギ変換装置では、実施形態1のエネルギ変換装置1と同様、ヒステリシス回路141を備えていることにより、回路効率の向上を図ることが可能となり、エネルギ変換効率の向上を図ることが可能となる。なお、本実施形態のエネルギ変換装置では、監視回路104のコンパレータ142に代えて、実施形態1のエネルギ変換装置1の変形例で説明したボルテージディテクタ143(図6参照)を用いてもよい。
ところで、上述の実施形態2、3では、可動部12が磁石ブロック3を備え、第1キャップ21及び第2キャップ31の各々がコイルブロック4を備えているが、これらに限らず、可動部12がコイルブロック4を備え、第1キャップ21及び第2キャップ31の少なくとも一方が磁石ブロック3を備えた構成としてもよい。また、弾性体部15は、ゴムや樹脂等により形成してもよい。
1 エネルギ変換装置
3 磁石ブロック
4 コイルブロック
12 可動部
14 支持部
15 弾性体部
101 発電装置
101a 振動発電装置
101b 振動発電装置
102 整流平滑回路
103 DC−DCコンバータ
103b グランドライン
104 監視回路
111a 支持部
111b 対向部
112 振動ブロック
112a 梁部
112b 錘部
112c 突出部
112cc 先端面
114 圧電変換部
141 ヒステリシス回路
CN 制御端子
M1〜M3 半導体スイッチング素子
R1〜R6 抵抗

Claims (7)

  1. 運動エネルギを電気エネルギに変換して交流電圧を発生する発電装置と、前記発電装置の出力端間に接続された整流平滑回路と、前記整流平滑回路の出力端間の電圧を所定の直流電圧に変換して出力するDC−DCコンバータと、前記整流平滑回路の前記出力端間の電圧を入力電圧として監視しながら前記DC−DCコンバータの起動、停止を指示する監視回路と、を備え、前記DC−DCコンバータは、制御端子を備え、前記制御端子と前記DC−DCコンバータのグランドラインとの間の制御電圧が所定の起動電圧を超えたときに起動するように構成され、前記監視回路は、前記DC−DCコンバータを起動させるときの前記入力電圧である第1電圧と前記DC−DCコンバータを停止させるときの前記入力電圧である第2電圧とが異なるヒステリシス特性を有し、前記第1電圧と前記第2電圧との差を、抵抗と半導体スイッチング素子とで構成されるヒステリシス回路により設定してあることを特徴とするエネルギ変換装置。
  2. 前記監視回路は、前記入力電圧を監視する電圧検出端子とは別に電源端子を有し前記入力電圧を監視するコンパレータもしくはボルテージディテクタと、前記ヒステリシス回路とで構成されることを特徴とする請求項1記載のエネルギ変換装置。
  3. 前記発電装置は、圧電型の振動発電装置であることを特徴とする請求項1又は2記載のエネルギ変換装置。
  4. 前記振動発電装置は、支持部と、前記支持部に対向する対向部と、前記支持部と前記対向部との間にあり前記支持部に一端が固定され他端が前記対向部から離れている振動ブロックと、を備え、前記振動ブロックは、前記支持部よりも薄く前記支持部に揺動自在に支持された梁部と、前記梁部の先端に設けられ前記梁部よりも厚い錘部と、前記錘部における前記梁部側とは反対側に突出し前記錘部及び前記対向部よりも薄い突出部と、前記梁部の振動に応じて交流電圧を発生する圧電変換部と、を備え、前記突出部の先端面の法線が前記対向部に交差しないように反っていることを特徴とする請求項3記載のエネルギ変換装置。
  5. 前記発電装置は、電磁誘導型の振動発電装置であることを特徴とする請求項1又は2記載のエネルギ変換装置。
  6. 前記振動発電装置は、磁石ブロックとコイルブロックとが第1方向で対向配置され、前記磁石ブロックと前記コイルブロックとが前記第1方向に直交する第2方向において相対的に変位することで生じる電磁誘導により前記交流電圧を発生するように構成され、前記磁石ブロックと前記コイルブロックとの一方を備えた可動部を外部から作動させ前記可動部を減衰振動させることができるように構成されており、前記可動部と、前記可動部を囲む支持部と、前記可動部と前記支持部との間に介在する弾性体部とを備え、前記支持部が前記弾性体部を介して前記可動部を支持しており、前記弾性体部は、前記第2方向における剛性が前記第2方向に直交する方向の剛性に比べて小さく、前記第2方向における前記可動部の両側それぞれには、複数の前記弾性体部が並んで設けられていることを特徴とする請求項5記載のエネルギ変換装置。
  7. 前記弾性体部は、ばねであることを特徴とする請求項6記載のエネルギ変換装置。
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