JP2014198776A - フタロシアニン化合物、着色組成物、捺染方法、及び布帛 - Google Patents

フタロシアニン化合物、着色組成物、捺染方法、及び布帛 Download PDF

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祐太朗 法月
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Abstract

【課題】耐光性及び色相に優れる着色組成物、着色組成物に好適に用いられるフタロシアニン化合物、耐光性及び色相に優れる布帛が得られる捺染方法等を提供する。【解決手段】下記一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物を含む染料、及び、水を含有する着色組成物。〔一般式(I)中、Zはカルボニル基等を表し、Yは水素原子等を表し、Aはアルキル基等を表し、n1は1以上の整数を表す。M1は、銅原子等を表し、M2はアルカリ金属原子等を表し、n3は1以上の整数を表す。〕【選択図】なし

Description

本発明は、フタロシアニン化合物、着色組成物、捺染方法、及び布帛に関する。
布帛印刷は、従来から、スクリーン印刷等により行なわれている。しかし、スクリーン印刷等では、印刷に先立って、印刷用の版銅やスクリーン版を作製する必要があり、手間暇がかかる。このため、近年は、染料を布に直接供給することができるインクジェット捺染が提案されている。
捺染では、布帛中の繊維の種類により用いる染料の種類が限定される。例えば、絹、羊毛、ナイロンといったポリアミド繊維を主体とする布帛に画像を形成する場合には、酸性染料を用いる方法が提案されており、フタロシアニン染料もその一つである。
フタロシアニン酸性染料を、絹やナイロンなどのポリアミドに染める技術は、古くからあり、染料として、市販のDirect Blue87(DB87)、Direct Blue199(DB199)等に代表される顔料をスルホ化したフタロシアニン染料が使われていた。近年開発が進んできたインクジェット捺染においても、スルホ化したDB87等の染料を同様に適用できる。
しかしながら、これらのフタロシアニン染料は、好ましいシアン色相を有するものの、ナイロンに染めると、耐光性が悪化するという課題があった。同じポリアミド類でも絹やウールでは耐光性悪化が顕著になることはなく、フタロシアニン染料のナイロン耐光性の課題は、ナイロンが開発されて以来の課題である。
この課題に対して、例えば、フタロシアニン染料のフタロシアニン骨格に、置換基として−O−Phまたは、−S−Phを導入することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
なお、フタロシアニン骨格を有する化合物は、染料用途のみならず、例えば、触媒用途に用いられることもある(例えば、非特許文献1参照)。
Journal of Donghua University(Eng. Ed.), Vol.24, No.4(2007), pp.451-454
特開2001−213884号公報
特許文献1に示される手法によれば、捺染された布帛の耐光性を高めることができるが、色相は緑色である。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、耐光性及び色相に優れる着色組成物、着色組成物に好適に用いられるフタロシアニン化合物、耐光性及び色相に優れる布帛が得られる捺染方法、並びに耐光性及び色相に優れる布帛を提供する。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物を含む染料、及び、水を含有する着色組成物である。
一般式(I)中、Zはカルボニル基またはスルホニル基を表し、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、Aはアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、n1は1以上の整数を表す。
AとYとは、互いに結合して環を形成してもよい。Mは、銅原子、亜鉛原子、ニッケル原子、鉄原子、アルミニウム原子、またはコバルト原子を表す。Mは、水素原子、アンモニウム基、又はアルカリ金属原子を表し、n3は1以上の整数を表す。
<2> Aが、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜13のアリール基であり、Yが、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、Mが銅原子または亜鉛原子であり、Mが水素原子またはアルカリ金属原子であり、n1が1〜4であり、n3が1〜8である<1>に記載の着色組成物である。
<3> 捺染用インクである<1>又は<2>に記載の着色組成物である。
<4> インクジェット用インクである<1>〜<3>のいずれか1つに記載の着色組成物である。
<5> <4>に記載の着色組成物を、インクジェット法により、ポリアミド繊維を含む布帛に付与する捺染方法である。
<6> <5>に記載の捺染方法によって捺染された布帛である。
<7> 下記一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物である。
一般式(I)中、Zはカルボニル基またはスルホニル基を表し、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、Aはアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、n1は1以上の整数を表す。
AとYとは、互いに結合して環を形成してもよい。Mは、銅原子、亜鉛原子、ニッケル原子、鉄原子、アルミニウム原子、またはコバルト原子を表す。Mは、水素原子、アンモニウム基、又はアルカリ金属原子を表し、n3は1以上の整数を表す。
本発明によれば、耐光性及び色相に優れる着色組成物、着色組成物に好適に用いられるフタロシアニン化合物、耐光性及び色相に優れる布帛が得られる捺染方法、並びに耐光性及び色相に優れる布帛を提供することができる。
<一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物>
本発明のフタロシアニン化合物は、下記一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物(以下、適宜、「特定フタロシアニン化合物」と称する)である。
一般式(I)中、Zはカルボニル基またはスルホニル基を表し、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、Aはアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、n1は1以上の整数を表す。
AとYとは、互いに結合して環を形成してもよい。Mは、銅原子、亜鉛原子、ニッケル原子、鉄原子、アルミニウム原子、またはコバルト原子を表す。Mは、水素原子、アンモニウム基、又はアルカリ金属原子を表し、n3は1以上の整数を表す。
一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物は、さらにXで表される基を有していてもよく、下記一般式(I−1)で表される化合物であってもよい。
一般式(I−1)中、A、Y、Z、M、M、n1およびn3は一般式(I)におけるA、Y、Z、M、M、n1およびn3と同義である。
一般式(I−1)中、Xは1価の置換基を表し、n2は0以上の整数を表す。
なお、本明細書では、下記構造aを、「フタロシアニン骨格」と称する。また、「フタロシアニン」を「Pc」と略記することがある。
構造a中、Mは、銅原子、亜鉛原子等のフタロシアニンと錯体を形成し得る金属原子を表す。本発明の特定フタロシアニン化合物においては、構造aにおけるMは、銅原子、亜鉛原子、ニッケル原子、鉄原子、アルミニウム原子、またはコバルト原子を表す。
また、一般式(I)における下記構造の基を特定アミド基ともいい、一般式(I)におけるSOを特定スルホ基ともいう。
以下、一般式(I)で表される化合物(特定フタロシアニン化合物)について説明する。
一般式(I−1)において、特定アミド基およびXは、フタロシアニン骨格が有するベンゼン環の水素原子に置換して、フタロシアニン骨格に結合する基であり、特定アミド基の総数を表すn1と、Xの総数を表すn2との総和は、16以下である。
なお、n1が2以上であるとき、特定アミド基は、同じであっても、異なっていてもよい。また、n2が2以上であるとき、Xは、同じであっても、異なっていてもよい。
SOで表される特定スルホ基は、特定フタロシアニン化合物が少なくとも1つ(1≦n3)含む。このとき、特定スルホ基は、フタロシアニン骨格が有するベンゼン環の置換基として、フタロシアニン骨格に直接結合していてもよい。また、A、Y、及びXがさらに置換基を有し得る置換基である場合に、置換基としてA、Y、及びXの少なくとも1種が有していてもよい。
一般式(I)中、Zは、カルボニル基またはスルホニル基を表す。中でも、Zは、スルホニル基が好ましい。
一般式(I)中、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表す。
具体的には、Yは、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基で、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜48、よりこの好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N−ブチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ基)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ基、N−プロピルスルファモイルオキシ基)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ基、ヘキサデシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基)
アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル基)である。
中でも、Yは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基がより好ましく、水素原子、アルキル基、またはアリール基がさらに好ましく、水素原子、またはアルキル基が特に好ましい。
なお、Yにおいて、Yが含むアルキル部分の炭素数およびアリール部分の炭素数の好ましい態様は、既述のとおりであるが、アルキル部分の炭素数は1〜6が特に好ましく、アリール部分の炭素数は6〜12が特に好ましい。
一般式(I)中、Aはアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。
具体的には、Aは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)である。
中でも、Aは、アルキル基またはアリール基がより好ましく、アリール基がさらに好ましい。アリール基は、−Ph−NHCO−Phのように、アミド結合を含むことが好ましい。
なお、Aにおいて、Aが含むアルキル部分の炭素数およびアリール部分の炭素数の好ましい態様は、既述のとおりであるが、アルキル部分の炭素数は1〜6が特に好ましく、アリール部分の炭素数は6〜13が特に好ましい。
一般式(I−1)中、Xは1価の置換基を表す。
1価の置換基は、次の原子または基を表す。すなわち、
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。好ましくは塩素原子、臭素原子、より好ましくは塩素原子);
アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基);
アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基);
アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基);
ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基);
シリル基(好ましくは炭素数3〜38、より好ましくは炭素数3〜18のシリル基で、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ヘキシルジメチルシリル基);
ヒドロキシ基;
シアノ基;
ニトロ基;
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ドデシルオキシ基、シクロアルキルオキシ基で、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基);
アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基);
ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基);
シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基);
アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基);
アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基で、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基);
アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基);
カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜48、よりこの好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N−ブチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ基);
スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ基、N−プロピルスルファモイルオキシ基);
アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ基、ヘキサデシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基);
アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ基);
アシル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアシル基で、例えば、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、テトラデカノイル基、シクロヘキサノイル基);
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基);
アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル基);
カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、Nーエチル−N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−メチルN−フェニルカルバモイル基、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル基);
アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基で、例えば、アミノ、メチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、テトラデシルアミ基、2−エチルへキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基);
アニリノ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは6〜24のアニリノ基で、例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基);
ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは1〜18のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ基);
カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは2〜24のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド基、ベンズアミド基、テトラデカンアミド基、ピバロイルアミド基、シクロヘキサンアミド基);
ウレイド基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のウレイド基で、例えば、ウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N−フェニルウレイド基);
イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基);
アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基);
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基);
スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、ヘキサデカンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基);
スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ基);
アゾ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ基、3−ピラゾリルアゾ基);
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、オクチルチオ基、シクロヘキシルチオ基);
アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ基);
ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2−ピリジルチオ基、1−フェニルテトラゾリルチオ基);
アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル基);
アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル基);
アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ヘキサデシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基);
アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル);
スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル基);
ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル基、オクチルオキシホスホニル基、フェニルホスホニル基);及び、
ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ基、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ基)を表す。
以上に示した1価の置換基群を、1価の置換基群Qという。
1価の置換基群Qの中でも、Xで表される1価の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基が好ましく、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基がより好ましく、スルファモイル基がさらに好ましい。
なお、上記の好ましい態様において、アルキル部分の炭素数およびアリール部分の炭素数は、1価の置換基群Qに示す炭素数が好ましい。
一般式(I)において、X、Y、Aで表される1価の置換基は、さらに1価の置換基群Qに示される置換基を有していてもよい。
一般式(I)におけるSOにおいて、Mは、水素原子、アンモニウム基、又はアルカリ金属原子を表す。
で表されるアンモニウム基としては、第二級アンモニウム基、第三級アンモニウム基、第四級アンモニウム基が挙げられる。
で表されるアルカリ金属原子としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子等が挙げられ、中でも、リチウム原子、ナトリウム原子、またはカリウム原子が好ましく、リチウム原子またはナトリウム原子がより好ましい。
は、水素原子、アンモニウム基、及びアルカリ金属原子の中でも、アルカリ金属原子が好ましく、リチウム原子またはナトリウム原子がより好ましい。
一般式(I)におけるMは、銅原子、亜鉛原子、ニッケル原子、鉄原子、アルミニウム原子、またはコバルト原子を表す。Mは、以上の中でも、銅原子または亜鉛原子が好ましく、銅原子がより好ましい。
一般式(I)において、n1は1以上の整数を表し、n2は0以上の整数を表し、n1とn2との総和は、16以下である。すなわち、n1の上限は16であり、n2の上限は15である。
n1は、1〜4であることが好ましく、3〜4であることがより好ましく、4であることが特に好ましい。
n2は、0〜4であることが好ましく、0〜2であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
一般式(I)において、n3は1以上の整数を表す。
n3は、特定フタロシアニン化合物が分子内に有する特定スルホ基の総数を表す。
n3は1〜8であることが好ましく、2〜7であることがより好ましく、3〜6であることが特に好ましい。
一般式(I)において、A、Y、Z、n1、X、n2、M、Mおよびn3の好ましい組み合わせは、A、Y、Z、n1、X、n2、M、Mおよびn3において説明した各好ましい態様の組み合わせである。
例えば、一般式(I)において、Aが、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜13のアリール基であり、Yが、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、Mが銅原子または亜鉛原子であり、Mが水素原子またはアルカリ金属原子であり、n1が1〜4であり、n3が1〜8である組み合わせが好ましい。
以下、本発明の特定フタロシアニン化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、具体例016および具体例052において、特定スルホ基におけるNaとLiの量比は、モル基準である。

上記具体例の中でも、捺染インクに用いた場合の布帛の耐光性および色相を高める観点から、具体例004、具体例005、具体例006、具体例007、具体例017、具体例027、体例028、具体例029、具体例030、具体例031、具体例034、具体例036、具体例51、具体例053、具体例054、及び具体例055が好ましく、具体例004、具体例005、具体例006、具体例007、具体例027、体例028、具体例029、具体例030、具体例031、具体例053、具体例054、及び具体例055がより好ましく、具体例004、具体例005、具体例006、具体例007、具体例027、具体例028、具体例029、具体例030、具体例031、具体例053、具体例054がさらに好ましい。
以上説明した特定フタロシアニン化合物は、染料として好適に用いることができ、捺染インク、インクジェット用インク等の種々の着色組成物として用いることができる。特に、ナイロンに代表されるポリアミド繊維を含む布帛の捺染インクに用いた場合は、捺染された布帛の耐光性および色相に優れる。
この理由は定かではないが、次の理由によるものと推察される。
一般に、市販のDB87やDB199に代表されるフタロシアニン顔料をスルホ化したフタロシアニン染料は、フタロシアニン顔料をスルホ化して置換基を修飾して合成する。例えば、フタロシアニン骨格(Pc)に対し、−SOX(Xは水素原子、ナトリウム等)や−SONX(Xは水素原子、ナトリウム等)が結合する。したがって、従来のフタロシアニン染料は、Pc−SOXまたはPc−SONXという構造を有しており、硫黄原子がフタロシアニン骨格に結合している。
一方、一般式(I)で表される本発明の特定フタロシアニン化合物は、フタロシアニン骨格に特定アミド基が結合している。特定アミド基は、カルボニルまたはスルホニルで表されるZが結合したアミノ基の構造をしており、アミノ基を構成する窒素原子がフタロシアニン骨格に結合している。
特定アミド基は、電子供与基であるアミノ基の電子供与性が、電子吸引性のカルボニルまたはスルホニルの影響で弱まっていると考えられる。したがって、従来のフタロシアニン染料は、フタロシアニン骨格の電子が引っ張られる一方であるのに対し、本発明の特定フタロシアニン化合物では、電子を供与しつつ吸引しているために、フタロシアニン骨格上の電子状態が、従来とは異なる状態に変化したと考えられる。
ところで、捺染された布帛の色相は、布帛に着色した染料のソーレー帯の吸収が関係している。本発明の特定フタロシアニン化合物は、特定アミド基における電子供与基の電子供与性が下げられることで、電子吸引基が直接フタロシアニン骨格に結合する化合物よりもソーレー帯の吸収が短波化すると考えられる。この短波化により、本発明の特定フタロシアニン化合物を捺染インクに用いた場合に、捺染された布帛の色相を高めることができると考えられる。
本発明の特定フタロシアニン化合物について、布帛の捺染用途を代表して説明したが、本発明の特定フタロシアニン化合物は、捺染用途に限定されず、紙等の記録媒体への印刷、塗料等にも用いることができる。
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物(特定フタロシアニン化合物)を含む染料、及び、水を含有する。
以下、一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物を含む染料を、特定染料ともいう。
本発明の着色組成物は、本発明の効果を損なわない限度において、さらに、特定フタロシアニン化合物以外の着色剤(他の着色剤ともいう)、有機溶媒、界面活性剤、防腐剤等を含有していてもよい。本発明の着色組成物が含み得る他の着色剤は、公知の着色剤を用いることができ、顔料であっても、染料であってもよい。また、他の着色剤である染料を「他の染料」ともいう。
〔一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物(特定フタロシアニン化合物)〕
一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物の詳細は、既述のとおりであり、好ましい態様も同様である。
本発明の着色組成物が、特定フタロシアニン化合物以外の着色剤を含有する場合、全着色剤中の特定フタロシアニン化合物の含有量は、全着色剤質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。さらには、本発明の着色組成物が含有する着色剤は、100質量%特定フタロシアニン化合物であることが特に好ましい。
本発明の着色組成物中の染料(他の染料を用いるときは、特定フタロシアニン化合物と他の染料との合計量)の含有量は、十分な発色濃度を得るとともに、着色組成物の保存安定性を考慮すると、着色組成物の全質量に対して、1質量%〜20質量%であることが好ましく、4質量%〜15質量%であることがより好ましく、5質量%〜15質量%であることが更に好ましい。
〔水〕
本発明の着色組成物は、特定染料のほか、水を含有する。
水は、特に制限されず、イオン交換水でも、水道水でもよい。
水の含有量は、着色組成物が既述の特定染料のみを含む場合は、着色組成物の全質量から特定染料の含有量を差し引いた残部であり、着色組成物が、他に、後述する成分を含む場合は、特定染料と当該他の成分との全含有量を差し引いた残部である。
本発明の着色組成物は、既述の特定染料および水のほか、必要に応じて、有機溶媒、界面活性剤等の成分を含有していてもよい。
〔有機溶媒〕
本発明の着色組成物が含有し得る有機溶媒は、水性有機溶媒であることが好ましく、例えば、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等)、一価アルコール類(例えばメタノール、エタノール、ブタノール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、2,2′−チオジエタノール、アミド類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド等)、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、複素環類(2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等)、アセトニトリル等が挙げられる。
また、上記の乾燥防止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明の着色組成物中の有機溶媒の含有量は、着色組成物の全質量に対して、1質量%〜60質量%であることが好ましく、2質量%〜50質量%であることがより好ましい。
〔界面活性剤〕
本発明の着色組成物は、保存安定性、吐出安定性、吐出精度等を高める観点から、各種界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれの界面活性剤も用いることができる
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型も好適な例として挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アセチレングリコール等が挙げられる。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好適な例として挙げられる。
その他、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)において界面活性剤として挙げられているものも用いることができる。
これらの各界面活性剤を使用する場合、界面活性剤を1種単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明の着色組成物中の界面活性剤の含有量は、着色組成物の全質量に対して、0.001質量%〜5.0質量%の範囲であることが好ましく、かかる範囲で着色組成物の表面張力を任意に調整することが好ましい。
〔防腐剤、防黴剤〕
本発明の着色組成物は、長期保存安定性を保つため、防腐剤、及び防黴剤の少なくとも一方を含有していてもよい。防腐剤及び防黴剤としては、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK;ランクセス社製)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL;アーチケミカルズ社製)等が挙げられる。
〔各種添加剤〕
本発明の着色組成物は、その他に従来公知の添加剤を含有していてもよい。例えば、酸塩基や緩衝液等のpH調整剤、蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、増粘剤、紫外線吸収剤、退色防止剤、帯電防止剤、マット剤、酸化防止剤、比抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料、還元防止剤等である。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号明細書等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチ・ディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
(退色防止剤)
退色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。退色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の退色防止剤を使用することができる。有機の退色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類等があり、金属錯体としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等がある。より具体的にはリサーチ・ディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁、及びUS5,356,443に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
<インクジェット用インク>
本発明の着色組成物は、発色濃度が高く、かつ耐水性にも優れるため、布帛上への着色剤供給量に制約があるインクジェット用インクとして好適である。
インク中の特定染料及び水の含有量は、本発明の着色組成物中の含有量として示した既述の範囲であることが好ましい。
本発明の着色組成物をインクジェット用インクとして用いる場合、該インクジェット用インクは、上記の特定染料を、親油性媒体や水性媒体中に、溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、上記の特定染料を、水性媒体中に、溶解及び/又は分散させる。
本発明の着色組成物をインクジェット用インクとして用いる場合、該インクジェット用インクは、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有していてもよい。
その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、退色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。
(乾燥防止剤)
乾燥防止剤は、インクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口において、上記のインクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で、好適に使用される。
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又は、エチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又は、エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又は、ブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また、上記の乾燥防止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。上記のインクジェット用インクが、乾燥防止剤を含有する場合、該乾燥防止剤の含有量は、上記のインクジェット用インクの全質量、すなわち、着色組成物の全質量に対して、10質量%〜50質量%であることが好ましい。
(防黴剤)
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、及びその塩が挙げられる。上記のインクジェット用インクが、防黴剤を含有する場合、該防黴剤の含有量は、上記のインクジェット用インクの全質量、すなわち、着色組成物の全質量に対して、0.02質量%〜1.00質量%であることが好ましい。
(pH調整剤)
pH調整剤としては、有機塩基、無機アルカリ等の中和剤を用いることができる。該pH調整剤は、インクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクのpHが6〜10になるように添加することが好ましく、7〜10になるように添加することがより好ましい。
(表面張力調整剤、消泡剤)
表面張力調整剤としては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤の好ましい例は、既述の界面活性剤の欄にて例示したものと同じである。
消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物が好ましい。
本発明の着色組成物をインクジェット用インクとして用いる場合には、着色組成物の表面張力を、20mN/m〜70mN/mに調整することが好ましく、25mN/m〜60mN/mに調整することがより好ましい。
また、着色組成物の粘度を、40mPa・s以下に調整することが好ましく、30mPa・s以下に調整することがより好ましく、20mPa・s以下に調整することが特に好ましい。
表面張力及び粘度は、種々の添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防黴剤、防錆剤、分散剤、界面活性剤等を添加することによって、調整することができる。
(キレート剤)
キレート剤は、インク中における沈殿物等の析出物の発生を防止する目的、また、保存安定性や目詰まり回復性を改良する目的で好適に使用される。
インクの着色剤として染料を用いると、インク中に含まれる金属(Ca、Mg、Si、Fe等)が析出物の発生や目詰まり回復性の低下の原因となり得るため、金属イオンを一定量以下に管理する必要があること、また、銅錯体染料を用いた場合には、金属イオンの量を管理しても、遊離の銅イオンの量も管理しなければ、析出物の発生や目詰まり回復性の低下が認められることが知られている(特開2000-355665号公報、特開2005−126725号公報等参照)。
本発明における特定染料は、特に銅錯体染料であることが好ましく、本発明の着色組成物が銅錯体染料である特定染料を含む場合には、インク中の遊離の銅イオンは、10ppm以下であることが好ましく、より好ましくは0ppm〜5ppmである。
キレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ニトリロトリ酢酸、ヒドロオキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ウラミルジ酢酸、及びそれらの金属塩(例えば、ナトリウム塩)が挙げられる。
なお、金属イオンや遊離の銅イオン濃度を制御する方法としては、キレート剤を使用する方法以外に、染料の精製度を上げる方法も挙げられる。
本発明の着色組成物は、単色の画像形成のためのインクジェット用インクとして用いることができるだけでなく、イエロー色調インク、マゼンタ色調インク、必要に応じて、本発明の着色組成物とは異なる色調のシアン色調インク等の他の色調のインクと組み合わせて用いることにより、フルカラーの画像形成を行なうこともできる。また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを組み合わせて、フルカラーの画像形成を行なうこともできる。
<布帛>
本発明の着色組成物は、布帛の捺染に好適である。
布帛の種類は、特に制限されず、レーヨン、綿、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等、種々の繊維を含んで構成された布帛を用いることができる。中でも、本発明の効果をより十分に発揮できる観点から、ポリアミド繊維を含む布帛であることが好ましく、ナイロン、絹、羊毛がより好ましい。特に、本発明の着色組成物は、ナイロンの捺染に、特に好適である。本発明の着色組成物によれば、従来の汎用フタロシアニン染料を用いた着色組成物によるナイロン捺染に比べ、染色部の耐光性が高い捺染ナイロンを得ることができる。
なお、ナイロンとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12等種々のナイロンが挙げられ、いずれのナイロンを用いてもよい。
ポリアミド繊維は、織物、編物、不織布等いずれの形態であってもよい。
ポリアミド繊維を含む布帛は、ポリアミド繊維100%のものが好適であるが、ポリアミド繊維以外の素材を含んでいてもよい。布帛がポリアミド繊維以外の繊維を含む場合、ポリアミド繊維の混紡率は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。ポリアミド繊維以外の素材としては、例えば、レーヨン、綿、アセテ−ト、ポリウレタン、アクリル繊維等との混紡織布又は混紡不織布等であっても、本発明における捺染用布帛として使用することができる。
布帛を構成するポリアミド繊維及びポリアミド繊維から構成される糸の物理特性には好適な範囲があり、例えば、ナイロンの場合、ナイロン繊維の平均太さが、好ましくは1d〜10d(デニール)、更に好ましくは2d〜6dに制御され、該ナイロン繊維から構成されるナイロン糸の平均太さが、好ましくは20d〜100d、より好ましくは25d〜80d、更に好ましくは30d〜70dに制御され、公知の方法により布帛としたものが用いられる。また、絹の場合は、繊維自体の特性として、絹繊維の平均太さが、好ましくは2.5d〜3.5d、更に好ましくは2.7d〜3.3dに制御され、該絹繊維から構成される絹糸の平均太さが、好ましくは14d〜147d、更に好ましくは14d〜105dに制御され、公知の方法により布帛としたものが好ましく用いられる。
本発明の着色組成物を染色した布帛の染色部分の色相は、色相角(hab)が200°〜300°であることが好ましく、210°〜300°であることが更に好ましい。この範囲の色相を示すと、シアン〜ブルー領域の発色濃度(OD−Cyan)が低下しにくくなる。
色相角は、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度を持つ色空間であるL***色空間の色座標a*、b*を用いて次式により算出される、色相を表すパラメータである。
色相角(hab)=tan−1(b/a
捺染後の色相は、布帛の種類や処理方法によっても左右されるが、色相角を200°〜300°に調整する方法としては、染料自体を変更する、他色と混合する等、いくつかの方法が挙げられる。例えば、一般式(I)で表される染料において、特定アミド基もしくはSOの種類または数を変更することにより色相を調整する方法、フタロシアニン環上における置換基−Xの数を4未満にすることにより色相を調整する方法、フタロシアニン環上におけるその他置換基の種類や数を変更することにより色相を調整する方法、フタロシアニンの中心金属を銅にする方法、別の染料を混合することにより色相を調整する方法、他の着色組成物を更に重ねて染色することにより色相を調整する方法等が挙げられる。
<捺染方法>
上記の特定染料と、水とを含有する本発明の着色組成物を用いた布帛の捺染は、例えば、本発明の着色組成物を、布帛に付与することにより行なうことができる。布帛は、既述の種々の布帛を用いることができ、中でもポリアミド繊維を含む布帛が好ましく、ポリアミド繊維としてはナイロンが好ましい。
本発明の着色組成物の布帛への付与は、塗布法によっても、インクジェット法によってもよいが、ここでは、インクジェット法によりインクを付与する捺染方法(インクジェット捺染方法)を例に説明する。
なお、インクジェット法とは、インクジェット記録ヘッドからインクを吐出させて、インクを布帛に付与し、画像を印字する方法である。
また、インクを布帛に付与するにあたっては、着色剤の布帛への固定化がより高まるように、前処理を施してもよい。
〔前処理工程〕
本発明の捺染方法は、前処理剤を布帛に付与する前処理工程を有して構成されていてもよい。
前処理工程は、既述の捺染工程における特定染料の布帛への固定化が高まるように、捺染の前に、予め布帛に対して、ヒドロトロピー剤、水性(水溶性)金属塩、pH調整剤、pH緩衝剤、高分子成分等を含有する前処理剤を付与する工程である。
前処理工程においては、絞り率5%〜150%、好ましくは10%〜130%の範囲で前処理剤をパッティングすることが好ましい。前処理剤は、更に、撥水剤、界面活性剤等を付与してもよい。
(前処理剤)
−ヒドロトロピー剤−
本発明において、ヒドロトロピー剤は、一般に、着色組成物が付与された布帛が蒸気下で加熱される際に、画像の発色濃度を高める役割を果たす。ヒドロトロピー剤としては、例えば、通常、尿素、アルキル尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、チオ尿素、グアニジン酸塩、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
−水性金属塩−
水性(水溶性)金属塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物のように、典型的なイオン結晶を形成するものであって、pH4〜10である化合物が挙げられる。
かかる化合物の代表的な例としては、例えば、アルカリ金属では、NaCl、NaSO、KCl、CHCOONa等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、CaCl、MgCl等が挙げられる。中でも、Na、K、Caの塩類が好ましい。
−pH調整剤−
pH調整剤は、一般に、着色剤の布帛への固定化反応を高める役割を果たす。
ここで、pH調整剤とは、布帛に付与される着色組成物の液性(pH)を調整する化合物ないし組成物をいい、着色組成物の液性を変化させる成分をいう。
pH調整剤としては、アルカリ(塩基)、酸、又は、アルカリと酸との組み合わせが挙げられる。
前処理剤の全質量に対するpH調整剤の含有量は1質量%未満であるが、0質量%であることが好ましい。
−pH緩衝剤−
pH緩衝剤は、pH調整剤と同様に、一般に、着色剤の布帛への固定化反応を高める役割を果たす。
ここで、pH緩衝剤とは、着色組成物の液性変化を抑制する成分をいう。
pH緩衝剤としては、例えば、硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム等に代表される酸アンモニウム塩が挙げられる。
−高分子成分−
高分子成分は、一般に、着色剤を布帛に粘着させる糊剤としての役割を果たす。
高分子成分は、天然高分子であってもよいし、合成高分子であってもよい。また、水性(水溶性)高分子であっても、非水性高分子であってもよいが、本発明の捺染方法に用いる着色組成物が、着色組成物であることから、水性高分子であることが好ましい。
水性高分子としては、例えば、トウモロコシ、小麦等のデンプン物質、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系物質、アルギン酸ナトリウム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラントガム、グアーガム、タマリンド種子等の多糖類、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質物質、タンニン系物質、リグニン系物質等の公知の天然水性高分子が挙げられる。
また、合成水性高分子としては、例えば、公知のポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル酸系水性高分子、無水マレイン酸系水性高分子等が挙げられる。これらの中でも多糖類系高分子やセルロース系高分子が好ましい。
−撥水剤−
撥水剤としては、例えば、パラフィン系、フッ素系化合物、ピリジニウム塩類、N−メチロールアルキルアミド、アルキルエチレン尿素、オキザリン誘導体、シリコーン系化合物、トリアジン系化合物、ジルコニウム系化合物、或いはこれらの混合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの撥水剤の中でも、パラフィン系及びフッ素系撥水剤は、滲み防止、濃度の点において特に好ましい。
撥水剤の布帛に対する付与量は、特に制限されないが、布帛の全質量に対して0.05質量%〜40質量%の範囲で付与することが好ましい。これは、0.05質量%未満ではインクの過度の浸透を防止する効果が少なく、40質量%を超えて含有させても性能的に大きな変化がないからである。
布帛の全質量に対する撥水剤の使用量は、0.5質量%〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
−界面活性剤−
前処理剤として使用できる界面活性剤としては、陰イオン性、非イオン性、両性界面活性剤等が挙げられる。
特に、HLB12.5以上の非イオン系界面活性剤を用いることが好ましく、14以上の非イオン系界面活性剤を用いることがより好ましい。
両性界面活性剤としては、ベタイン型等を使用することができる。
界面活性剤の布帛に対する付与量は、特に制限されないが、布帛の全質量に対して0.01質量%〜30質量%付与することが好ましい。
−他の成分−
前処理剤は、更に、使用する染料の特性等に応じて還元防止剤、酸化防止剤、均染剤、濃染剤、キャリヤー、還元剤、酸化剤といった添加剤を含有していてもよい。
前処理剤は、既述のヒドロトロピー剤、撥水剤、界面活性剤等の各種成分を混合した混合物として布帛に付与してもよいし、各種成分を混合せずに、例えば、ヒドロトロピー剤のみを含有する第1の前処理剤、撥水剤のみを含有する第2の前処理剤等をそれぞれ用意し、それぞれの前処理剤を布帛に順次付与するものであってもよい。
前処理剤が、既述の各種成分の混合物である場合、混合物である前処理剤の全質量に対する各種成分の含有量は、前処理剤を布帛に付与したときに、布帛の全質量に対する各種成分の付与量が、既述の範囲となるように、目的に応じて適宜調整すればよい。
前処理において、上記の各前処理剤を布帛に含有させる方法は、特に制限されないが、通常行なわれる浸漬法、パッド法、コーティング法、スプレー法、インクジェット法等を挙げることができる。
本発明の捺染方法においては、布帛にインクを付与して印字した後、印字された布帛を巻き取り、布帛を加熱して発色させ、布帛を洗浄し、乾燥することが望ましい。
インクジェット法による捺染において、上記の手順を踏むことで、インクを布帛に印字し、そのまま放置しておく場合に比べ、特定染料の染着が充分に行なわれ、発色濃度が高く、また耐水性に優れる。特に、長尺の布帛をローラー等で搬送しながら長時間印字し続ける場合などは、印字された布帛が延々と搬送されて出てくるため、床等に印字した布帛が重なっていってしまうことがある。このため、場所をとるばかりでなく不安全でありまた予期せず汚れてしまう場合がある。そのため、印字後、印字された布帛を巻き取る操作を行なうことが好ましい。この巻き取り操作時に、布帛と布帛の間に紙や布、ビニール等の印字に関わらない媒体を挟んでもかまわない。ただし、印字された布帛を途中で切断する場合や、印字された布帛が短い場合は必ずしも巻き取る必要はない。
本発明に係るインクを、インクジェット記録ヘッドより付与した布帛は、好ましくは後処理工程に付され、特定染料の繊維への定着を促進させ、その後、定着しなかった着色剤、その他の成分、及び前処理剤を十分除去することが好ましい。
〔後処理工程〕
捺染工程を経た布帛は、好ましくは後処理に付され、特定染料の繊維への固定化を促進させ、その後、定着しなかった着色剤、その他の成分、及び前処理剤を十分除去する後処理工程を経ることが好ましい。
後処理工程はいくつかの工程に分かれる。
後処理は、例えば、予備乾燥工程、スチーム工程、洗浄工程、及び乾燥工程を、この順に行なうことによって構成することができる。
−予備乾燥工程−
まず、捺染工程の後、特定染料を含有する着色組成物(インクジェット用インク)が付与された布帛を、常温〜150℃に0.5分〜30分放置し、インクを予備乾燥することが好ましい。この予備乾燥により印捺濃度を向上させ、かつ滲みを有効に防止できる。なお、この予備乾燥とはインクが布帛中に浸透することも含む。
本発明の捺染方法によれば、予備乾燥を連続工程で加熱乾燥することも可能である。布帛をロール状にしてインクジェット印捺機に供給して印捺(印字して捺染)し、その後、印字した布帛を巻き取る以前に、乾燥機を用いて乾燥する。乾燥機は印捺機に直結したものでも、分離したものであってもよい。乾燥機における印字した布帛の乾燥は常温〜150℃で0.5分〜30分行なわれることが好ましい。また、好ましい乾燥方法としては、空気対流方式、加熱ロール直付け方式、照射方式等が挙げられる。
−スチーム工程−
スチーム工程は、インクが付与された布帛を、飽和蒸気中に曝すことで、特定染料の布帛への固定化を促進する工程である。
本発明の捺染方法によれば、後処理のうちスチーム工程は、布帛の種類によってその条件、特に、その時間を変化させることが好ましい。
例えば、布帛が羊毛である場合、スチーム工程の時間は1分〜120分が好ましく、より好ましくは3分〜90分程度である。また、布帛が絹である場合、時間は1分〜40分が好ましく、より好ましくは3分〜30分程度である。さらに、布帛がナイロンである場合、1分〜90分程度が好ましく、より好ましくは3分〜60分程度である。
−洗浄工程−
このようにして、布帛にインクジェット記録されたインクのうち、大部分は布帛に固着するが、この中の一部の着色剤は繊維に染着しないものがある。この未固着の着色剤は洗い流しておくことが好ましい。未固着の着色剤の除去は、従来公知の洗浄方法が採用できる。例えば、常温から100℃の範囲の水もしくは温水を使用したり、アニオン、ノニオン系のソーピング剤を使用したりすることが好ましい。未固着の色材が完全に除去されていないと、種々の耐水性、例えば、洗濯堅牢性、耐汗堅牢性等において良好な結果が得られない場合がある。
−乾燥工程(洗浄後の乾燥)−
印字した布帛を洗浄した後は乾燥が必要である。洗浄した布帛を絞ったり脱水した後、干したり、或いは乾燥機、ヒートロール、アイロン等を使用して乾燥させる。
以上、説明した捺染方法のうち、本発明の捺染方法は、上記の特定染料と、水とを含有する着色組成物を、インクジェット法により、ナイロンを含む布帛に付与する方法である。
特定染料を含む本発明の着色組成物を、ナイロンを含む布帛に付与することで、染色部の耐光性に優れたナイロンを得ることができる。
また、本発明の捺染方法により捺染された布帛(本発明の布帛)は、特定染料を含有する着色組成物を用いて捺染されているため、捺染により得られた染色部は、耐光性に優れる。特に、ナイロンを含む布帛に捺染した場合に、従来の汎用フタロシアニン染料を用いた場合よりも、高い耐光性を有する染色部を布帛に付与することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
〔実施例1〜実施例8、及び、比較例1〜比較例3〕
<1.フタロシアニン染料の合成>
実施例1〜実施例10では、それぞれ、具体例053、具体例054、具体例027、具体例051、具体例034、具体例017、具体例055、具体例036、具体例030、及び具体例031の特定フタロシアニン化合物を染料として用いた。
用いた染料は、特願2012−24853号公報および特願2012−24853号公報で紹介されている文献に記載の方法等を参考にすることにより合成することができる。
具体例053等については、次の合成方法によって合成した。
(具体例053の合成−実施例1の特定染料−)
3−ニトロフタロニトリル5.0g、ブチルアミン2.5g、トリエチルアミン5.8g、DMAc(Dimethylacetamide)10mLをフラスコに入れ、40℃で5時間攪拌した。得られた反応液を100mLの水に添加し、析出した結晶を濾取した。この結晶を50℃で送風乾燥することで、中間体053−1を2.5g得た。
得られた中間体053−1についてNMR測定(300MHz、DMSO)を行ったところ、次のような結果であった。
H NMR
δ=1.35(s,9H),7.00−7.08(m,2H),7.10(dd,1H),7.42−7.48(m,2H),7.53(d,1H),7.56(d,1H)
中間体053−1を4.0g、3−(クロロスルホニル)安息香酸クロリドを7.9g、NMP(methylpyrrolidone)20mLをフラスコに入れ、60℃で6時間攪拌した後に、炭酸ナトリウム4.3gを加え、6時間攪拌した。得られた反応液を100mLの水に添加し、析出した結晶を濾取した。得られた結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム/メタノール=6/1)で生成することで、中間体053−2を3.2g得た。
得られた中間体053−2についてNMR測定(300MHz、DMSO)を行ったところ、次のような結果であった。
H NMR
δ=1.30(s,9H),6.96(dd,1H),7.17(d,1H),7.45(dd,1H),7.53(dd,1H),7.60(d,1H),7.94(d,1H)
中間体053−2に対して、フタロニトリル3.2g、酢酸ナトリウム0.78g、オルト酢酸トリエチル1.8g、ジエチレングリコール10mLをフラスコに加え、110℃で30分間攪拌した。温度を100℃に下げ、安息香酸アンモニウム2.2g、塩化銅(II)0.27gを加え、18時間攪拌した。温度を80℃に下げ、濃塩酸0.8mLを加え0.5時間攪拌した。ここへアセトン150mLを加え、攪拌した。この反応液を氷冷し、析出した結晶を濾取した。濾取した結晶を水30mLに溶解させ、この溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10にした。この溶液をセライトで除塵した後、アセトニトリル500mLを添加して析出した結晶を濾取した。結晶を風乾することで、具体例053を2.6g得た。
得られた化合物〔具体例053〕1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、684nmであった。
(具体例054の合成−実施例2の特定染料−)
4−アミノフタロニトリル11g、無水トリフルオロ酢酸17g、ピリジン7.2mL、アセトニトリル70mLをフラスコに入れ、40℃で1時間攪拌した。得られた反応液を200mLの水に添加し、析出した結晶を濾取した。この結晶を50℃で送風乾燥することで、中間体054−1を15g得た。
得られた中間体054−1についてNMR測定(300MHz、DMSO)を行ったところ、次のような結果であった。
H NMR
δ=1.35(s,9H),7.00−7.08(m,2H),7.10(dd,1H),7.42−7.48(m,2H),7.53(d,1H),7.56(d,1H)
中間体054−1を2g、トリヨードメタン3g、炭酸カリウム2.9g、DMAc14mLをフラスコに入れ、80℃で4時間攪拌した。得られた反応液を120mLの水に添加し、析出した結晶を濾取した。この結晶を50℃で送風乾燥することで、中間体054−2を2.3g得た。
得られた中間体054−2についてNMR測定(300MHz、DMSO)を行ったところ、次のような結果であった。
H NMR
δ=1.35(s,9H),7.00−7.08(m,2H),7.10(dd,1H),7.42−7.48(m,2H),7.53(d,1H),7.56(d,1H)
中間体054−2を2.3g、3−(クロロスルホニル)安息香酸クロリドを4.2g、NMP12mLをフラスコに入れ、室温で1時間攪拌した後に、炭酸ナトリウム3.1gを加え、7時間攪拌した。得られた反応液を50mLの2−プロパノールに添加し、析出した結晶を濾取した。この結晶を50℃で送風乾燥することで、中間体054−3を4.9g得た。
得られた中間体054−3についてNMR測定(300MHz、DMSO)を行ったところ、次のような結果であった。
H NMR
δ=1.30(s,9H),6.96(dd,1H),7.17(d,1H),7.45(dd,1H),7.53(dd,1H),7.60(d,1H),7.94(d,1H)
中間体054−3に対して、フタロニトリル2.9g、酢酸0.57g、オルト酢酸トリエチル1.8g、ジエチレングリコール10mLをフラスコに加え、110℃で30分間攪拌した。温度を100℃に下げ、安息香酸アンモニウム2.2g、塩化銅(II)0.27gを加え、15時間攪拌した。温度を80℃に下げ、濃塩酸0.8mLを加え0.5時間攪拌した。ここへアセトン60mLを加え、攪拌した。この反応液を氷冷し、析出した結晶を濾取した。濾取した結晶を水30mLに溶解させ、この溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10にした。この溶液をセライトで除塵した後、2−プロパノール500mLを添加して析出した結晶を濾取した。結晶を風乾することで、具体例054を3.1g得た。
得られた化合物〔具体例054〕1mgをDMF(dimethylformamide)に溶解した際の吸収波長(λmax)は、680nmであった。
(具体例027の合成−実施例3の特定染料−)
中間体053−1を10.0g、テトラヒドロフラン75mLをフラスコに入れ、0℃に冷却し攪拌した。水素化ナトリウム4.4gを加えた後に、3−ニトロベンゼンスルホニルクロライドを16.0g加え、室温で5時間攪拌した。得られた反応液を100mLの水に添加し、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を酢酸エチルで再結晶した後に、風乾することで中間体027−1を7.5g得た。
得られた中間体027−1についてNMR測定(300MHz、DMSO)を行ったところ、次のような結果であった。
H NMR
δ=0.83(t,3H),1.34(m,4H),3.64(t,2H),7.54(d,1H),7.93(m,2H),8.07(d,1H),8.20(d,1H),8.28(s,1H),8.61(dd,1H)
鉄4.1g、酢酸41mLをフラスコに入れ攪拌した後に、中間体027-1を4.1g加えた。60℃で1時間攪拌し、得られた反応液に100mLのアセトンを添加し、この溶液をセライトで除塵した。溶媒を減圧除去し、得られた結晶を風乾することで、中間体027−2を3.4g得た。
得られた中間体027−2についてNMR測定(300MHz、DMSO)を行ったところ、次のような結果であった。
H NMR
δ=0.82(t,3H),1.31(m,4H),3.53(t,2H),5.66(s,2H),6.65(d,1H),6.78(d,1H),6.85(d,1H),7.23(dd,1H),7.41(d,1H),7.89(dd,1H),8.15(d,1H)
中間体027−2を3.4g、3−(クロロスルホニル)安息香酸クロリドを2.8g、NMP20mLをフラスコに入れ、70℃で5時間攪拌した後に、炭酸ナトリウム2.0gを加え、10時間攪拌した。得られた反応液を160mLの2−プロパノールに添加し、析出した結晶を濾取した。この結晶を50℃で送風乾燥することで、中間体027−3を3.0g得た。
得られた中間体027−3についてNMR測定(300MHz、DMSO)を行ったところ、次のような結果であった。
δ=0.79(t,3H),1.22(m,4H),3.28(t,2H),7.04〜7.40(m,4H),7.65〜7.84(m,3H),7.90(d,1H),8.08(d,1H),8.20(s,1H),8.21(s,1H)
中間体027−3に対して、フタロニトリル2.9g、酢酸0.37g、オルト酢酸トリエチル1.2g、ジエチレングリコール10mLをフラスコに加え、110℃で30分間攪拌した。温度を100℃に下げ、安息香酸アンモニウム1.4g、塩化銅(II)0.17gを加え、6時間攪拌した。温度を80℃に下げ、濃塩酸0.5mLを加え1時間攪拌した。ここへアセトニトリル160mLを加え、攪拌した。この反応液を氷冷し、析出した結晶を濾取した。濾取した結晶を水40mLに溶解させ、この溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10にした。この溶液をセライトで除塵した後、2−プロパノール500mLを添加して析出した結晶を濾取した。結晶を風乾することで、具体例027を1.4g得た。
得られた化合物〔具体例027〕1mgをDMF(dimethylformamide)に溶解した際の吸収波長(λmax)は、682nmであった。
(具体例055の合成−実施例7の特定染料−)
中間体027−3を4.7g、フタロニトリル0.36g、酢酸ナトリウム0.83g、n−プロピルアルコール20mLをフラスコに加え、130℃に加熱して、溶媒を留去した。ここに、トルエン20mLを加え同様に溶媒を留去した。温度を110℃にした後に、ジエチレングリコール20mL、酢酸0.5mL、オルト酢酸トリエチル3mLを加え、30分間攪拌した。温度を100℃に下げ、安息香酸アンモニウム3.1g、塩化銅(II)378mgを加え、60時間攪拌した。温度を80℃に下げ、濃塩酸1mLを加え1.5時間攪拌した。ここへイソプロピルアルコール400mLを加え、攪拌した。この反応溶液を室温まで冷却後、析出した結晶を濾取した。濾取した結晶を水100mLに溶解させ、この溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10にした。この溶液をセライトで除塵した後、アセトン2000mLに添加して析出した結晶を濾取した。結晶を風乾することで、具体例055の化合物を2.0g得た。
溶液スペクトルのλmaxは618nm(water)であった。
(具体例030の合成−実施例9の特定染料−)
具体例027の化合物に塩酸を加えた後に、結晶を濾取することで、具体例030の化合物を得た。
得られた化合物〔具体例030〕1mgをDMF(dimethylformamide)に溶解した際の吸収波長(λmax)は、682nmであった。
(具体例031の合成−実施例10の特定染料−)
具体例030の化合物にアンモニア水を加えた後に、溶液を減圧除去することで、具体例031の化合物を得た。
得られた化合物〔具体例031〕1mgをDMF(dimethylformamide)に溶解した際の吸収波長(λmax)は、682nmであった。
具体例051、具体例034、具体例017、及び具体例036の特定フタロシアニン化合物は、具体例055の合成と同様にして、種々の置換基が置換したフタロニトリルを所望の比率で混合したものをフタロシアニン環化することで合成した。
比較例1〜比較例3においては、比較例1の染料として、汎用染料であるDirect Blue 87を用い、比較例2および比較例3の染料として、下記の構造の比較染料001および比較染料002を用いた。比較染料001および比較染料002は特開2001−213884号公報に記載の方法を参考に合成した。
<2.着色組成物(捺染用インク)の調製>
下記の組成に従い各成分を混合し、得られた混合液を孔径10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、実施例1〜実施例10のインク1〜インク10、及び、比較例1〜比較例3のインク101〜インク103を調製した。
・表1に示す染料(特定染料、汎用染料又は、比較染料) ・・・・・・5%
・グリセリン〔和光純薬工業社製〕(水性有機溶媒) ・・・・・10%
・ジエチレングリコール〔和光純薬工業社製〕(水性有機溶媒)・・・12%
・オルフィンE1010〔日信化学社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)
・・・・・・1%
・水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72%
<3.捺染サンプルの作製>
−前処理剤の調製−
・グアーガム〔日晶株式会社製、MEYPRO GUM NP〕・・・・2%
・尿素〔和光純薬工業社製〕 ・・・・5%
・硫酸アンモニウム〔和光純薬工業社製〕 ・・・・4%
・水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89%
上記した組成の成分を混合して、前処理剤を調製した。
得られた前処理剤を用い、絞り率を90%として、絹製布帛をパッティングして、処理済み布帛を得た。インクジェットプリンター(ディマティックス社製、DMP−2381)に、得られた各捺染用インク(インク1〜インク10、及び、インク101〜インク103)をセットした上、得られた処理済み布帛にベタ画像をプリントした。
プリントした布帛を乾燥した後、スチーム工程にて飽和蒸気中、100℃で30分間スチームをかけ、染料を布帛の繊維に固着させた。その後、布帛を、冷水で10分間、60℃の温水で5分間洗った後、乾燥した。
別途、布帛を、絹製布帛からナイロンタフタ製布帛に変更して、同様の実験を行なった。なお、用いたナイロンの種類は、ナイロン6である。
<4.評価>
1.色相の評価
各布帛に形成された各ベタ画像について、目視で色相を評価した。
2.耐光性の評価
ベタ画像が形成された各布帛に対して、キセノンフェードメーターを使用し、各画像の△EabをISO 105−B02に準じて測定した。各画像の耐光性は、測定された△Eabから、下記の評価基準に従って、評価した。なお、AとBが許容範囲である。
−評価基準−
A: △Eab< 5
B:5≦△Eab<10
C: △Eab≦10
以上により得られた結果を、それぞれ、表1に示す。
表1中、「Pc染料」は、「フタロシアニン染料」を表し、「Pc染料」の欄では、実施例及び比較例で用いた染料の構成を示す。
表1から、わかるように、特定フタロシアニン化合物を染料として用いた捺染インクによって捺染されたポリアミド繊維を含む布帛は、耐光性および色相に優れることがわかる。一方、汎用染料および比較染料では、色相のみに優れるか、耐光性のみに優れるかのどちらかであり、色相と耐光性を両立することができなかった。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物を含む染料、及び、水を含有する着色組成物。

    〔一般式(I)中、Zはカルボニル基またはスルホニル基を表し、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、Aはアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、n1は1以上の整数を表す。
    AとYとは、互いに結合して環を形成してもよい。Mは、銅原子、亜鉛原子、ニッケル原子、鉄原子、アルミニウム原子、またはコバルト原子を表す。Mは、水素原子、アンモニウム基、又はアルカリ金属原子を表し、n3は1以上の整数を表す。〕
  2. 前記Aが、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜13のアリール基であり、前記Yが、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、前記Mが銅原子または亜鉛原子であり、前記Mが水素原子またはアルカリ金属原子であり、前記n1が1〜4であり、前記n3が1〜8である請求項1に記載の着色組成物。
  3. 捺染用インクである請求項1または請求項2に記載の着色組成物。
  4. インクジェット用インクである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の着色組成物。
  5. 請求項4に記載の着色組成物を、インクジェット法により、ポリアミド繊維を含む布帛に付与する捺染方法。
  6. 請求項5に記載の捺染方法によって捺染された布帛。
  7. 下記一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物。

    〔一般式(I)中、Zはカルボニル基またはスルホニル基を表し、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、Aはアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、n1は1以上の整数を表す。
    AとYとは、互いに結合して環を形成してもよい。Mは、銅原子、亜鉛原子、ニッケル原子、鉄原子、アルミニウム原子、またはコバルト原子を表す。Mは、水素原子、アンモニウム基、又はアルカリ金属原子を表し、n3は1以上の整数を表す。〕

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