JP2014194101A - 水噴射式織機用の緯入れ情報の表示方法および装置 - Google Patents

水噴射式織機用の緯入れ情報の表示方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
緯入れノズルが織機フレームに対し固定配置された水噴射式織機において、作業者に調整作業の参考となる情報(指標)を与えるための緯入れ情報の表示方法及び装置を提供する。
【解決手段】
緯糸の飛走軌跡と、筬の揺動軌跡に関するグラフィック表示とを表示画面上の横軸を織機の主軸の回転角度とするグラフ領域上に重ね合わせて表示し、更に、噴射水による緯糸の搬送が有効に行われる緯入れ有効期間のうち少なくとも終点を求め、その求められた終点を主軸の回転角度が把握可能なかたちで前記表示画面上に表示する。
【選択図】図5

Description

本発明は、織機フレームに対し固定配置された緯入れノズルから噴射される噴射水によって緯糸が緯入れされる水噴射式織機における緯入れ情報を表示するための方法および装置に関する。
一般的に、水噴射式織機においては、特許文献1に開示されているように、緯入れノズルは織機フレームに対し固定配置されている。そして、その緯入れノズルから噴射される噴射水により、綜絖枠によって経糸群が上経糸と下経糸とに分離して形成される経糸開口中に緯糸が挿入されることで、緯糸を反給糸側まで飛走させる(搬送する)緯入れが行われる。また、その緯入れ終了後、緯入れされた緯糸は、経糸方向に揺動する筬によって織前に打ち込まれ、これにより、1回の製織動作(織機の1サイクル)が完了する。なお、本出願で言う「経糸方向」とは、経糸の進行方向に沿った方向であり、織機の織布巻取側(織前側)を前、経糸送出側を後とする方向である。
また、筬の揺動に関し、より詳しくは、筬は、最前進位置である織前と最後退位置との間で上記の織機1サイクル(織機の主軸が1回転する期間)で1往復するように経糸方向に揺動している。なお、織機1サイクル中における緯入れ期間においては、筬の位置は飛走する緯糸の経糸送出側となっている。
ところで、水噴射式織機においては、前記のように緯入れノズルが固定配置されているため、緯入れされる緯糸の飛走経路は経糸方向において固定となっている。また、一般的な水噴射式織機において、筬に揺動運動を行わせる筬打ち装置は、織機の主軸を駆動源として駆動されるものとなっており、その動作タイミングは主軸の回転数と関連付けて設定されている。従って、筬打ち装置の動作速度は、主軸の回転数に比例したものとなっている。一方で、緯入れ装置に関しては、ポンプから供給される圧力水を緯入れノズルから噴射し、その噴射水に乗せて緯糸を搬送するものであるため、緯入れされる緯糸の飛走速度は上記圧力水(噴射水)の圧力によって定まるものとなっている。従って、その圧力が一定であるとすると、1ピック(1回の緯入れ)分の緯糸が緯入れされる際の緯糸の飛走時間は、主軸の回転数に関係なく一定となっている。これらのことから、水噴射式織機においては、筬打ち動作と緯糸の飛走経路との関係が緯入れの適否を決定する上で重要となっている。
例えば、織機の主軸の回転数を高く設定した場合、上記の通り主軸の回転数と筬打ち装置の動作速度とは比例の関係にあることから、筬打ち装置の動作速度(筬の揺動速度)は主軸の回転数に比例して速くなり、その結果として、織機1サイクル中において筬が緯糸の飛走経路より経糸送出側に位置する期間(時間)が短くなる。一方で、上記の通り緯糸の飛走時間は主軸の回転数に関係なく一定であるため、主軸の回転数(筬打ち装置の動作速度)と緯糸の飛走経路との関係によっては、緯入れ期間中に緯糸の飛走経路と筬とが交錯する状態となり、緯入れが正常に行われなくなる場合がある。
従って、水噴射式織機においては、上記の点を考慮して、緯入れ開始時期や緯糸の飛走速度の元となる噴射水の圧力等の緯入れ動作に関する設定が行われる。
通常、これらの設定(初期設定)は、織機メーカー等が提供している推奨値に従って行われるが、使用される糸の状態や製織工場の環境等により、その初期設定が必ずしも適切であるとは限らず、その初期設定の状態から更なる調整が必要となる場合がある。そして、その調整作業は、作業者が試織を行いつつ実施されるものである。
しかし、前記のような調整作業は、熟練者であっても非常に手間と時間を要するものである。詳しくは、前記調整作業にあたっては、作業者は、先ず自身の経験に基づいて前記設定を変更し、その状態で試織を行ってみる。その上で、筬と緯糸との位置関係等をストロボ等の機器を用いて観察し、その設定が適切か否かを判断する。なお、このとき、緯入れ開始時点における筬と緯糸との位置関係については、緯入れノズルの噴射タイミングの設定から確認することが比較的容易であるが、緯入れ終期の場合は、ストロボ等の機器を使用することでしか観察することができない。そして、試織、観察の結果として、更なる調整が必要と判断された場合には、再び前記設定を変更し、試織、観察といった一連の作業を繰り返すことになる。このように、従来の水噴射式織機の前記調整作業は、作業者自身の経験にのみに基づいて試行錯誤を繰り返すものとなっており、熟練者であっても手間と時間を要するものとなっている。
特開平08−109543号公報
そこで、本発明の課題は、作業者に調整作業において参考となる情報(指標)を与えるための水噴射織機用の緯入れ情報を表示するための方法及び装置を提供することにある。
前記の課題の下に、本発明は、織機フレームに対し固定配置された緯入れノズルから噴射される噴射水によって緯糸が緯入れされる水噴射式織機における緯入れ情報を表示するための方法であって、緯入れノズルの設置状態に関する緯入れノズル情報に基づいて描画される緯糸の飛走軌跡を、横軸を前記水噴射式織機の主軸の回転角度とする表示画面上のグラフ領域に表示すると共に、最も反織前側に配置された緯入れノズルによって緯入れされる緯糸の前記飛走軌跡との交差位置及びその交差時点の前記主軸の回転角度によって定まる点を少なくとも通るようにして描画された筬の揺動軌跡に関するグラフィック表示を前記表示画面におけるグラフ領域上で緯糸の前記飛走軌跡と重ね合わせて表示し、更に、前記緯入れノズル情報及び前記主軸の回転角度と経糸方向に関する筬の揺動位置とが関連付けて設定された筬揺動情報に基づき、筬の揺動運動との関係で噴射水による緯糸の搬送が有効に行われる緯入れ有効期間の始点及び終点のうち少なくとも終点を求め、その求められた終点を前記主軸の回転角度が把握可能なかたちで前記表示画面上に表示することを特徴とする。
また、本発明は、織機フレームに対し固定配置された緯入れノズルから噴射される噴射水によって緯糸が緯入れされる水噴射式織機における緯入れ情報の表示装置であって、緯入れノズルの設置状態に関する緯入れノズル情報が記憶される記憶器と、該記憶器に記憶された前記緯入れノズル情報に基づき、筬の揺動運動との関係で噴射水による緯糸の搬送が有効に行われる緯入れ有効期間の始点及び終点のうち少なくとも終点を表示するための表示画面を有する表示器と、前記記憶器に記憶された前記緯入れノズル情報に基づいて描画される緯糸の飛走軌跡、及び最も反織前側に配置された緯入れノズルによって緯入れされる緯糸の前記飛走軌跡との交差位置とその交差時点の前記主軸の回転角度とによって定まる点を少なくとも通るようにして描画された筬の揺動軌跡を、横軸を前記主軸の回転角度とするグラフ領域上に重ね合わせてグラフィック表示する表示制御器とを備え、該表示制御器は、前記演算器で求められた前記緯入れ有効期間の始点及び終点のうち少なくとも終点を、前記主軸の回転角度が把握可能なかたちで前記グラフ領域上に表示することを特徴とする。
但し、本発明における「緯入れノズル情報」とは、少なくとも緯入れノズルの経糸方向における設置(配置)位置に関する情報を含むものであって、必要に応じて緯入れノズルの軸線の向きに関する情報も含むものである。また、「緯糸の飛走軌跡」とは、前記の緯糸の飛走経路に対応するものであって、緯入れノズルによって緯入れされる緯糸の先端の位置(以下、「飛走位置」とも言う。)の経糸方向における変化を軌跡として表したものであり、横軸を主軸の回転角度とし、縦軸を経糸方向における織前からの距離としたグラフ領域上にグラフとして描かれるものである。
また、本発明において、「経糸方向に関する筬の揺動位置」とは、基本的には、主軸の回転に伴う揺動運動により変化する筬について、ワープライン(経糸の閉口時の経路)上に位置する筬の部分の織前を基準とした経糸方向における位置、言い換えると、ワープラインと筬とが交錯する位置における織前からの水平方向の距離を指すものとする。これは、次の理由によるものである。
前記のように、筬は揺動運動を行っており、揺動範囲の大部分において筬は水平方向に対し傾斜している。そのため、織前から筬までの水平方向の距離は、筬が傾斜している状態では複数存在することになる。一方で、一般的な水噴射式織機においては、緯入れノズルは、緯入れ方向に見てその軸線がワープライン上に位置するように高さ位置が設定されている。従って、緯糸の飛走経路は、上下方向に関しては、ワープラインと略同じ高さ位置を通るものとなっている。そこで、経糸方向(水平方向)における緯糸の飛走経路と筬の位置との関係を把握する上で、「筬の揺動位置」については、筬におけるワープラインと交錯する部分の位置の織前からの水平方向の距離とする。
なお、水噴射式織機によっては、緯入れ方向に見てワープライン上に軸線が位置しない高さ位置に緯入れノズルが設けられる場合も有り得る。その場合、例えば筬と緯糸の飛走経路とが交錯する時点について言えば、筬の緯糸と交錯する部分と筬のワープラインと交錯する部分とでは、水平方向における織前からの距離は厳密に言えば異なる。従って、この場合は、筬の揺動位置については、緯入れノズルの軸線を通って水平方向に延びる仮想線を描き、その仮想線と筬との交錯位置の織前からの距離とすればよい。但し、筬の揺動範囲において筬が水平方向に対し成す傾斜角度はそれほど大きいものではないため、筬と上記仮想線とが交錯する位置と筬とワープラインとが交錯する位置との織前からの水平方向の距離の差は、緯入れへの影響に対し無視できるほど僅かである。従って、この場合においても、筬の揺動位置については、前記と同様にワープラインと筬との交錯位置の織前からの水平方向の距離としてもよい。また、ワープラインが水平方向に対し傾斜している場合も同様であり、その場合も、筬の揺動位置については、上記仮想線と筬との交錯位置の織前からの水平方向の距離としてもよいし、ワープラインと筬との交錯位置の織前からの水平方向の距離としてもよい。
また、「筬揺動情報」とは、前記した筬の揺動位置と、その揺動位置に対応する主軸の回転角度とが関連付けられたかたちで設定された情報である。そして、「筬の揺動軌跡」とは、製織動作に伴う筬の揺動位置の変化を前記グラフ領域上にグラフィック的に表したものである。但し、この「筬の揺動軌跡」については、前記のように最も反織前側に配置された緯入れノズルによって緯入れされる緯糸の飛走軌跡との交差位置及びその交差時点の主軸の回転角度によって定まる点を少なくとも通るようにして描画されたものであればよく、それ以外の部分については、筬の揺動運動と認識可能な程度に擬似的に描画されたものであってもよい。
さらに、本発明における「緯入れ有効期間」とは、1ピック分の緯入れに関し、筬の揺動運動との関係で噴射水による緯糸の搬送が有効に行われる期間であって、経糸方向において織前側から反織前側へ向かう筬が所定の緯入れノズルの配置位置を通過することによって、その緯入れノズルによる緯入れが開始可能となる時点を始点とし、その緯入れノズルから緯入れされた緯糸の一部が最初に筬と接触する時点を終点とする期間であり、言い換えれば、筬の揺動位置が経糸方向における緯糸の飛走位置よりも経糸送出側にある期間である。
本発明によれば、筬の揺動軌跡及び緯糸の飛走軌跡を同一のグラフ領域に重ね合わせた状態で表示すると共に、筬揺動情報及び緯入れノズル情報に基づき、緯入れ有効期間の少なくとも終点を求めて表示器にその求めた終点を主軸の回転角度が把握可能なかたちで前記グラフ領域上に表示する。このため、作業者は、緯入れ有効期間の少なくとも終点をグラフ領域上で確認することにより、適切な設定の方向性を得ることができる。そして、作業者は、表示器から得た情報(指標)を元に調整作業を行えばよく、試行錯誤を繰り返さねばならない従来の作業者の経験のみに頼った調整作業と比べて作業に要する手間と時間を大幅に減らすことができる。
また、本発明では、前述のとおり、筬の揺動軌跡及び緯糸の飛走軌跡を同一のグラフ領域に重ね合わせた状態で緯入れ有効期間と共に表示することによって、作業者は、緯入れ期間中における筬と緯糸との位置関係を容易に確認することができる。そのため、緯糸の飛走経路と筬との交錯が給糸側又は反給糸側のどちらで起こりうるかを把握することが容易となり、前記した適切な設定の方向性を得る上で更に有効である。
水噴射式織機の全体構成 複数緯入れノズルを備えた緯入れ装置の一例 本発明の一実施形態を示すブロック系統図 緯糸の飛走軌跡及び筬の揺動軌跡 本発明の一実施形態を示す画面表示内容図
以下に、本発明の一実施形態について、図1〜5に基づいて説明する。なお、本実施例では、緯入れ有効期間に関し、始点及び終点を求めると共に、その求めた緯入れ有効期間の始点及び終点から緯入れ有効期間を求めて表示するものとする。
図1は、水噴射式織機1の全体構成を概略的に示すものである。水噴射式織機1では、経糸ビーム2からシート状に引き出された複数本の経糸3は、バックローラ13により織前10へ向けて転向された後、経糸開口装置4における複数の綜絖枠5に取り付けられる複数の図示しない綜絖にそれぞれ挿通され、筬打ち装置8における筬9を経て織前10に連なっている。なお、図示のように本発明が前提とする水噴射式織機1では、経糸開口装置4及び筬打ち装置8は、織機の主軸12に連結されると共に、主軸12の回転運動によって駆動される。すなわち、主軸12を駆動源とするものとなっている。
製織中、経糸開口装置4に動作によって経糸3は、上経糸3a及び下経糸3bに分離され、この上経糸3a及び下経糸3bから形成される経糸開口6には、図示しない緯入れ装置7によって緯糸Wが緯入れされ、その緯入れされた緯糸Wが経糸方向に沿って揺動する筬9によって織前10に打ち付けられる(筬打ちされる)ことにより織布11が形成される。なお、本実施例では、経糸3の閉口時の経路であるワープラインWLが水平となるように、バックローラ13と織前10との高さ位置の関係が設定されているものとする。
緯入れ装置7について、本実施例では、織機フレーム20に固定配置された4つの緯入れノズルN1、N2、N3、N4を備える。詳しくは、以下の通りである。
図2に示すように、4つの緯入れノズルN1、N2、N3、N4は、経糸方向に関し、織前10よりも後側で、経糸方向に位置が重複しないような配置で設置されている。また、各緯入れノズルN1、N2、N3、N4は、その軸線を織幅方向に向けた状態で、ブラケット等によって給糸側の織機フレーム20に対し固定的に支持されている。すなわち、各緯入れノズルN1、N2、N3、N4の位置は、織機フレーム20に対し固定となっている。なお、図示の例では、各緯入れノズルN1、N2、N3、N4は、最も反織前側(経糸送出側)のものをN1とし、織前側へ向けて順にN2、N3、N4としてある。また、本実施例では、各緯入れノズルN1、N2、N3、N4は、高さ位置に関し、軸線がワープラインWL上に位置するように固定配置されているものとする。
さらに、各緯入れノズルN1、N2、N3、N4は、詳細な図示は省略するが、織前10に対する軸線の向きを調整可能に織機フレーム20に支持されており、緯入れ方向を調整可能となっている。そして、その軸線の向きについては、本実施例では、図4に示すように各緯入れノズルN1、N2、N3、N4によって緯入れされる緯糸Wの飛走経路が経糸方向においてほぼ同じ位置に向かうように設定されている。すなわち、各緯入れノズルN1、N2、N3、N4によって緯入れされる緯糸Wの飛走経路は、織前10とは平行ではなく、織前10に対し傾斜したものとなっている。
図3は、本実施例における緯入れ情報表示装置100を示している。図示のように、緯入れ情報表示装置100は、表示演算装置107と、表示演算装置107に接続されて各情報を入力設定するための入力器101と、緯糸Wの飛走軌跡等を表示するためのディスプレイ等を備えた表示器106とを含む。また、表示演算装置107は、主として、入力器101が接続される記憶器102と、入力側において記憶器102に接続される演算器103と、入力側において演算器103に接続されると共に出力側で表示器106に接続される表示制御器105とを含む。より詳しくは以下の通りである。
入力器101は、例えば、表示器106の表示画面200を用いたタッチパネル式のものであって、表示器106の表示画面200に表示される入力設定欄及び、テンキー等が入力器101として機能する。そして、この表示器106の表示画面200に表示された入力器101を用いて各情報の入力設定が行われる。なお、本実施例では、表示器106の表示画面200に緯糸Wの飛走軌跡等を表示するものであって横軸を主軸12の回転角度(以下、「クランク角度」とも言う。)とするグラフ領域203を表示させるための操作ボタンが入力器101に含まれるものとする。但し、入力器101については、表示器106に接続されたキーボード等で構成されるものであってもよい。
表示演算装置107における記憶器102は、入力器101によって入力設定された情報を記憶するためのものであって、いわゆるメモリに相当する。なお、記憶器102には、緯入れノズルの設置状態に関する緯入れノズル情報、及び主軸12の回転角度と経糸方向に関する筬9の揺動位置とが関連付けて設定された筬揺動情報が記憶される。なお、この緯入れノズル情報及び筬揺動情報の詳細については後述する。
演算器103は、記憶器102に記憶された前記の緯入れノズル情報に基づき、筬9の揺動運動との関係で噴射水による緯糸Wの搬送が有効に行われる緯入れ有効期間の始点及び終点を求めるものである。また、本実施例では、前記した緯入れ有効期間の始点及び終点の表示に加え、グラフ領域203上において、緯入れ情報として、緯入れ有効期間を補足的に表示するものとする。そこで、演算器103は、その求めた緯入れ有効期間の始点及び終点から緯入れ有効期間も求めるものとなっている。
また、演算器103は、その入力側において入力器101にも接続されており、入力器101に含まれる前記の操作ボタンが操作されることによって入力器101から出力される表示指令信号が入力されるものとなっている。そして、演算器103は、表示指令信号の入力に伴い、記憶器102から緯入れノズル情報を読み出して緯入れ有効期間の始点及び終点を求めると共に、演算器103に予め設定され記憶された計算式に基づいて緯入れ有効期間を求めるものである。なお、緯入れ有効期間及びその始点と終点については、緯入れノズルN1〜N4毎に求められるものであって、その求め方の詳細については後述する。
表示制御器105は、グラフ領域203上において、記憶器102に記憶された緯入れノズル情報に基づいて緯糸Wの飛走軌跡を描画すると共に、筬9の揺動軌跡を緯糸Wの飛走軌跡と重ね合わせて描画し、それらを表示器106の表示画面200上にグラフィック表示するものである。なお、緯糸Wの飛走軌跡については、緯入れノズルN1〜N4のそれぞれの緯入れノズル情報に基づいて緯入れノズルN1〜N4毎に描かれるものとする。また、筬9の揺動軌跡については、最も反織前側に配置された緯入れノズルN1によって緯入れされる緯糸Wの飛走軌跡と筬9とが交差する経糸方向の位置(図4に示す織前10からの距離bの位置)、及びその交差の時点におけるクランク角度によって定まる点を通るように、筬打ち点(織前10からの距離0の点)を始点(0°)及び終点(360°)とするものとして描画されるものであるが、本実施例では、これらの点以外の部分については、筬9の揺動運動を擬似的に表現した円弧状の曲線として描かれるものとする。なお、緯糸Wの飛走軌跡及び筬9の揺動軌跡の描画方法の詳細については後述する。
また、表示制御器105は、演算器103で求められた緯入れ有効期間の終点を、そのクランク角度が把握可能なかたちでグラフ領域203上に表示すると共に、本実施例では、同じく演算器103で求められた緯入れ有効期間の始点についても、そのクランク角度が把握可能なかたちでグラフ領域203上に表示するものとなっている。従って、本実施例では、求められた緯入れ有効期間の始点及び終点が、グラフ領域203上において、そのクランク角度が容易に把握可能なものとなっている。なお、緯入れ有効期間の始点及び終点の表示方法の詳細については後述する。
因みに、緯糸Wの飛走軌跡及び筬9の揺動軌跡が描画されるグラフ領域203は、前記の通り、横軸をクランク角度とするものであり、また、本実施例では、図4に示すように、縦軸を織前10からの距離とするものであるため、このグラフ領域203は、織機における織前10よりも経糸列側の付近を上方向から見下ろしたものと見なすことができる。詳しくは、縦軸方向に関し、横軸は、織前10からの距離が0の位置、すなわち織前10の位置(筬9の最前進位置)と見なすことができ、縦軸の範囲は、その織前10から経糸送出側の所定の範囲と見なすことができる。また、横軸方向に関しては、横軸はクランク角度を表すものであるが、緯糸Wの飛走軌跡との関係で、緯糸Wの先端は、その緯入れ期間中においては、クランク角度が大きくなるほど織幅方向における反給糸側に位置するものとなるため、横軸方向を織幅方向と見なすことができるからである。
記憶器102に記憶される前記各情報に関し、筬揺動情報は、前述の通り、筬9の揺動位置(座標)とその位置におけるクランク角度とが関連付けられたかたちでで設定されたものである。但し、筬9の揺動位置については、前述の通り、織前10を基準とするワープラインWL上における筬9の経糸方向の位置、つまり緯糸Wの飛走軌跡(緯入れノズルの軸線)とその高さ位置が一致するワープラインWLと筬9とが交錯する位置の織前10からの距離を表すものである。
また、緯入れノズル情報は、緯入れ有効期間の始点及び終点を求めるために用いられると共に、グラフ領域203に緯糸Wの飛走軌跡を描画するために用いられる情報であって、本実施例では、緯入れノズルの経糸方向における設置(配置)位置に関する情報、及び緯入れノズルの軸線の向きに関する情報を含む。なお、本実施例における緯入れノズル情報について、詳しくは次の通りである。
緯入れノズルの経糸方向における設置位置について、本実施例では、最後退位置から織前10へ向けて前進する筬9の揺動位置との関係に基づき、クランク角度で設定されているものとする。
より詳しくは、前述のように、筬9は主軸12の回転によって所定の揺動運動を行うものとなっているため、経糸方向における各緯入れノズルN1〜N4の設置位置(以下、「ノズル位置」とも言う。)に応じて、最後退位置から織前10へ向けて前進する筬9が各緯入れノズルN1〜N4のノズル位置を通過する時点におけるクランク角度が異なるものとなる。すなわち、緯入れノズルのノズル位置が織前10に近いほど、最後退位置から織前10へ向けて前進する筬9が緯入れノズルのノズル位置を通過する時点におけるタイミングが遅くなる(クランク角度が大きくなる)。そこで、本実施例では、各緯入れノズルN1〜N4について、所望のクランク角度(タイミング)で筬9がノズル位置を通過するように各緯入れノズルN1〜N4のノズル位置が決定されるものとし、緯入れノズル情報においては、各緯入れノズルN1〜N4に対し、上記の所望のクランク角度が緯入れノズルの設置位置に関する情報として設定されているものとする。
例えば、図4に示す例では、クランク角度n1、n2、n3、n4において最後退位置から織前10へ向けて前進する筬9がノズル位置を通過するように、各クランク角度n1、n2、n3、n4における筬9の揺動位置に相当する位置に各緯入れノズルN1、N2、N3、N4が設置されるものとなる。なお、この場合における筬9の揺動位置に相当する経糸方向の位置(図4における織前10からの距離a1、a2、a3、a4の位置)については、前記した筬揺動情報から求められる。そして、本実施例における緯入れノズル情報に含まれる緯入れノズルの設置位置に関する情報としては、各緯入れノズルN1、N2、N3、N4に対しそれぞれクランク角度n1、n2、n3、n4が設定される。但し、緯入れノズル情報に含まれる緯入れノズルの設置位置に関する情報については、そのようなクランク角度(n1、n2、n3、n4)で設定される場合に限らず、上記の織前10からの距離(a1、a2、a3、a4)で設定されるものとしてもよい。
また、緯入れノズルの軸線の向きについては、前述の通り、各緯入れノズルN1〜N4の軸線の延長線に相当する緯糸Wの飛走経路は織前10に対し傾斜したものとなっているため、上記軸線(飛走経路)の向き(傾き)を求めるためには、上記飛走経路上における少なくとも2点の緯糸Wの飛走位置に関する情報が必要である。そこで、本実施例では、上記軸線(飛走経路)の向き(傾き)を、緯入れ開始時点における緯糸Wの飛走位置(飛走経路の始点)、及び緯入れ終了時点における緯糸Wの飛走位置(飛走経路の終点)の2点から求めるものとし、緯入れノズル情報に含まれる緯入れノズルの軸線の向きに関する情報として、上記2点に関連する情報が含まれるものとする。
但し、本発明では、緯入れノズル情報に基づき、上記飛走経路上を飛走する緯糸Wの先端の飛走軌跡を、横軸がクランク角度であるグラフ領域203上に描画するものであるため、上記の2点については、それぞれ経糸方向における緯糸Wの飛走位置とクランク角度とが設定されている必要がある。
より詳しくは、緯入れ開始時点における緯糸Wの飛走位置について、その経糸方向の位置は、各緯入れノズルN1、N2、N3、N4のノズル位置に相当する。従って、緯入れノズル情報に含まれる緯入れノズルの軸線の向きに関する情報のうち、緯入れ開始時点に関する情報としては、前記した緯入れノズルの設置位置に関する情報として設定されるノズル位置としてのクランク角度(n1、n2、n3、n4)が共通の情報として用いられる。すなわち、緯入れ開始時点における緯糸Wの飛走位置の経糸方向の位置(グラフ領域203上の縦軸の座標)は、各緯入れノズルN1、N2、N3、N4のノズル位置の織前10からの距離(図4のa1、a2、a3、a4)に相当するものであり、この距離a1、a2、a3、a4については、筬揺動情報とノズル位置としてのクランク角度(n1、n2、n3、n4)とから求められるため、本実施例では、そのクランク角度(n1、n2、n3、n4)が緯入れ開始時点における緯糸Wの飛走位置の経糸方向の位置として用いられる。
また、緯入れ開始時点におけるクランク角度(グラフ領域203上の横軸の座標)である緯入れ開始タイミング(図4におけるクランク角度Tjet)については、本実施例では、製織条件(緯入れ条件)として記憶器102に設定されているものとする。言い換えれば、緯入れ条件に含まれる緯入れ開始タイミングが、緯入れノズル情報に含まれる緯入れ開始時点における緯糸Wの飛走位置に関連する情報として用いられる。
また、緯入れ終了時点における緯糸Wの飛走位置について、本実施例では、各緯入れノズルN1〜N4によって1ピック分の緯糸Wが緯入れされ終えた時点における緯糸Wの先端の位置(到達位置)を、緯入れ終了時点における緯糸Wの飛走位置としている。
なお、前述の通り、本実施例では、各緯入れノズルN1〜N4によって緯入れされる緯糸W(以下、単に「各緯糸W」とも言う。)の飛走経路が反給糸側におけるほぼ同じ位置に向かうように、各緯入れノズルN1〜N4の軸線の織前10に対する傾きが設定されている。言い換えれば、本実施例では、各緯入れノズルN1〜N4の軸線の延長線に一致する各緯糸Wの飛走経路(飛走軌跡)が織幅方向及び経糸方向における特定の位置で交わる、詳しくは、1ピック分の緯糸Wが緯入れされた時点で緯糸Wの先端が上記特定の位置に達するように、各緯入れノズルN1〜N4の軸線の織前10に対する傾きが設定されている。従って、本実施例では、上記の各緯糸Wの飛走経路が交わる位置(緯糸Wの先端の到達位置)の経糸方向の位置が各緯入れノズルN1〜N4に共通の情報であって、緯入れノズル情報に含まれる緯入れ終了時点に関連する情報として設定されているものとする。
さらに、本実施例では、各緯糸Wの先端が、所定のクランク角度で前記の到達位置(以下、「到達位置G」とも言う。)に達するように、緯入れ条件が設定されているものとする。従って、各緯糸Wの先端が到達位置Gに達する上記所定のクランク角度が、緯入れ終了時点における緯糸Wの飛走位置に対応するクランク角度となる。そこで、本実施例では、前記の各緯糸Wの飛走位置(経糸方向の位置)に加え、その所定のクランク角度が、ノズルタイミング(図4におけるクランク角度Tnzl)として、各緯入れノズルN1〜N4の共通の情報であって、緯入れノズル情報に含まれる緯入れ終了時点に関する情報として設定されているものとする。因みに、図4に示すように、到達位置Gについては、織前10からの経糸方向における距離が距離bであることから、グラフ領域203上における到達位置Gの位置(座標)は、横軸の座標がノズルタイミングTnzlであって、縦軸(織前からの距離)の座標が距離bで表されるものとなる。
なお、前記の緯入れ開始タイミングTjetについては、緯入れノズルによって緯糸Wの緯入れが開始される時点におけるクランク角度としてもよいし、噴射水が緯入れノズルから噴射を開始される時点におけるクランク角度としてもよい。すなわち、一般的な水噴射式織機の緯入れでは、緯入れノズルによる緯糸Wの緯入れが開始される時点に先行して噴射水の噴射が開始されているため、実際に緯入れノズルによって緯糸Wの緯入れが開始される時点におけるクランク角度と、噴射水が緯入れノズルから噴射を開始される時点におけるクランク角度とは正確には一致していないが、これらのクランク角度の差は緯入れにおいて無視できるほど小さいものであるため、緯入れ開始タイミングTjetについては、これらのクランク角度のどちらを設定してもよいものとする。
また、前記した緯入れ開始タイミングTjetについて、前記の通り、筬9の揺動位置が緯糸Wの飛走経路より経糸送出側となる場合でないと緯入れを行うことができないことから、織前10から最後退位置へ向かう筬9が緯入れを行う緯入れノズルのノズル位置を通過するまでは緯入れを開始することができない。そのため、緯入れが可能となる時点におけるクランク角度は、筬9がそのノズル位置を通過する時点以降のクランク角度となる。また、前記の通り、各緯入れノズルN1、N2、N3、N4はノズル位置が異なっていることから、緯入れが可能となるクランク角度は各緯入れノズルによって異なるものとなっており、織前10に最も近い緯入れノズルN4は、各緯入れノズルの中で最も早く筬9がそのノズル位置を通過することから各緯入れノズルの中で最も早く緯入れが可能となり、織前10から最も遠い緯入れノズルN1は、各緯入れノズルの中で最も遅く筬9がそのノズル位置を通過することから各緯入れノズルの中で最も遅く緯入れ可能となるものとなっている。
一方で、緯入れ開始タイミングTjetと経糸開口6の開口量との関係で言うと、緯入れを開始する時点において、経糸開口6の開口量は、上経糸3a及び下経糸3bと噴射水との干渉が緯入れに影響を及ぼさない程度の大きさとなっている必要があるが、各緯入れノズルN1、N2、N3、N4のノズル位置と経糸開口6の開口量との関係では、同じ時点における経糸開口6の開口量は、ノズル位置が織前10に近いほど小さくなっているため、織前10に近い緯入れノズルほど緯入れ開始が遅くなる。そこで、本実施例では、筬9の揺動位置及び経糸開口6の開口量の両方を考慮し、緯入れ開始タイミングTjetについては、各緯入れノズルN1、N2、N3、N4に対し同じクランク角度が設定されているものとする。そして、本実施例では、その緯入れ開始タイミングTjetについては、図4に示すように、織前10から最も遠い位置にある緯入れノズルN1のノズル位置を織前10から最後退位置へ向かって後退する筬9が通過した後のクランク角度が設定されているものとする。
なお、この緯入れ開始タイミングTjetについて、上記では、筬9の揺動位置との関係で緯糸Wの緯入れが可能となる時点が最も遅い緯入れノズルN1のノズル位置を筬9が通過した後のクランク角度としたが、これを、筬9が緯入れノズルN1のノズル位置を通過する時点(ノズル位置に達した時点)とすることも可能である。
詳しくは、緯入れノズルN1による緯入れについて言うと、厳密には、緯入れノズルN1によって緯入れされた緯糸Wの先端が織幅方向における筬9の給糸側端の位置に達する時点において、筬9の揺動位置がその緯糸Wの先端位置よりも僅かでも経糸送出側に位置するような緯入れ開始タイミングTjetであれば、緯入れは可能である。そして、緯入れノズルN1は、織幅方向に関し筬9の給糸側端から離間して設置されており、緯入れノズルN1によって緯糸Wの緯入れが開始された時点と緯糸Wの先端が織幅方向における筬9の給糸側端の位置に達する時点との間に時間差がある。そのため、筬9が緯入れノズルN1のノズル位置に達した時点で緯入れノズルN1による緯糸Wの緯入れが開始されても、緯糸Wの先端が筬9の給糸側端の位置に達する時点では、筬9の揺動位置が緯糸Wの先端位置よりも経糸送出側に位置している。従って、筬9が緯入れノズルN1のノズル位置に達した時点で緯入れを開始しても緯入れノズルN1による緯入れは可能であるため、筬9が緯入れノズルN1のノズル位置に達した時点を緯入れ開始タイミングTjetとして設定してもよい。
さらには、本実施例では、軸線が織前10側に傾斜するように緯入れノズルN1が設けられているため、緯糸Wの先端が織幅方向における筬9の給糸側端の位置に達する時点におけるその先端の経糸方向の位置は、緯入れノズルN1のノズル位置よりも織前10側となる。従って、筬9の揺動位置との関係で緯糸Wの緯入れが可能となる時点は、本実施例の場合では、筬9が緯入れノズルN1のノズル位置に達する時点よりも若干早い時点となり、その時点を緯入れ開始タイミングTjetとして設定することも可能である。但し、緯入れノズルN1によって緯入れされた緯糸Wの先端が織幅方向における筬9の給糸側端の位置に達する時点と、筬9がその位置を通過する時点との差があまりにも小さいと、緯入れ不良等を招くおそれがあるため、緯入れ開始タイミングTjetについては、筬9が緯入れノズルN1のノズル位置に達する時点とするのが好ましい。
また、前記のノズルタイミングTnzlに関しては、前述のように緯糸Wの先端が前記到達位置G(織前10からの経糸方向における距離bの飛走位置)に到達する時点におけるクランク角度であるが、本実施例では、そのノズルタイミングTnzlと最後退位置から織前10へ向けて前進する筬9の揺動位置が織前10からの距離bの位置に達する時点のクランク角度とが一致するように、各緯入れノズルN1〜N4による緯入れの緯入れ条件が設定されているものとする。従って、本実施例では、筬9の揺動軌跡と緯糸Wの飛走軌跡とが前記した各緯糸Wの到達位置Gで交錯するものとなっており、筬9の揺動軌跡は、この到達位置Gを通るように描画される。
以上のような本実施例における水噴射式織機1において、演算器103による緯入れ有効期間の始点及び終点、並びに緯入れ有効期間の求め方について、以下に詳述する。
先ずは、緯入れ有効期間の始点について、前記の通り、各緯入れノズルN1〜N4による緯糸Wの緯入れ開始タイミングTjetは設定によって定められているため、各緯入れノズルN1〜N4の緯入れ有効期間の始点のクランク角度は緯入れ開始タイミングTjetとなる。
また、緯入れ有効期間の終点については、最後退位置から織前10側へ向けて前進する筬9が緯入れされた緯糸Wと交錯する最先の時点におけるクランク角度が緯入れ有効期間の終点となる。すなわち、反給糸側へ向けて飛走する緯糸Wは、少なくともその一部が織前10側へ向けて前進する筬9と交錯することにより飛走速度が急激に低下する(もしくは停止する)ため、緯入れ有効期間の終点は、筬9と緯糸Wとが交錯する最先の時点におけるクランク角度となる。但し、本実施例では、前述のように、各緯入れノズルN1、N2、N3、N4によって緯入れされる緯糸Wの飛走経路(飛走軌跡)が織前10に対し傾斜したものとなっているため、筬9は、上記飛走経路(飛走軌跡)の織前10に対する傾きにより、緯入れされた1ピック分の緯糸Wに対し、その先端又は緯入れノズル近傍の部分(後端部)において先ず最初に交錯するものとなる。
具体的には、図4に示すように、緯入れノズルN1、N2については、その軸線が織前10側へ向けて傾斜するように設けられており、緯入れされる緯糸Wの飛走経路が反給糸側へ向かうにつれてノズル位置から織前10へ接近するものとなっている。そのため、緯入れノズルN1、N2によって緯入れされた緯糸Wについては、先端が到達位置Gに達する(先端が筬9と交錯する)前に、後端部が筬9と交錯する。なお、その交錯位置については、緯入れノズルN1、N2の近傍であるため、その経糸方向における位置は緯入れノズルN1、N2の設置位置と置き換えることができ、その交錯時点のクランク角度は、前述の緯入れノズルN1、N2のノズル位置として設定されたクランク角度n1、n2となる。
一方、緯入れノズルN3、N4については、その軸線が反織前10側(経糸送出側)へ向けて傾斜するように設けられており、緯入れされる緯糸Wの飛走経路が反給糸側へ向かうにつれてノズル位置から織前10に対し離間するものとなっている。そのため、緯入れノズルN3、N4によって緯入れされた緯糸Wについては、その先端が到達位置Gにおいて筬9と最初に交錯するものとなっている。すなわち、緯入れノズルN3、N4によって緯入れされた緯糸Wは、後端部が筬9と交錯する(筬9が緯入れノズルN3、N4のノズル位置に達する)よりも前に、先端が筬9と交錯する。そして、その交錯時点のクランク角度は、ノズルタイミングTnzlとなる。
そこで、演算器103は、緯入れ有効期間の終点について、各緯入れノズルN1〜N4に関して、緯入れする緯糸Wの先端が到達位置Gに到達する時点のクランク角度、すなわち、ノズルタイミングTnzlと、緯入れする緯糸Wの後端と筬9とが交錯する時点のクランク角度、すなわち、本実施例におけるクランク角度で設定されるノズル位置とを比較し、その角度が小さい方を緯入れ有効期間の終点とするものである。
さらに、演算器103は、各緯入れノズルN1、N2、N3、N4について、前記のようにして求められた緯入れ有効期間の始点及び終点から緯入れ有効期間を求める。なお、この緯入れ有効期間については、前記終点のクランク角度から前記始点のクランク角度(緯入れ開始タイミングTjet)を減算することによって求められるものであり、そのための計算式が演算器103に記憶されている。各緯入れノズルN1、N2、N3、N4の緯入れ有効期間の算出については、具体的には以下の通りである。
緯入れノズルN1については、前述の通り、緯入れする緯糸Wの後端が最先の時点におけるクランク角度で筬9と交錯するため、ノズル位置として設定されたクランク角度n1が緯入れ有効期間の終点となる。従って、緯入れノズルN1の緯入れ有効期間c1は、下記の計算式で算出される。
緯入れ有効期間c1=クランク角度n1−緯入れ開始タイミングTjet
同様に、緯入れノズルN2についても、ノズル位置として設定されたクランク角度n2が緯入れ有効期間の終点となり、緯入れノズルN2の緯入れ有効期間c2は、下記の計算式で算出される。
緯入れ有効期間c2=クランク角度n2−緯入れ開始タイミングTjet
また、緯入れノズルN3については、前述の通り、緯入れする緯糸Wの先端が最先の時点におけるクランク角度で筬9と交錯するため、前記の到達位置Gに対応するクランク角度であるノズルタイミングTnzlが緯入れ有効期間の終点となる。従って、緯入れノズルN3の緯入れ有効期間c3は、下記の計算式で算出される。
緯入れ有効期間c3=ノズルタイミングTnzl−緯入れ開始タイミングTjet
同様に、緯入れノズルN4についても、前記の到達位置Gに対応するクランク角度であるノズルタイミングTnzlが緯入れ有効期間の終点となり、緯入れノズルN4の緯入れ有効期間c4は、下記の計算式で算出される。
緯入れ有効期間c4=ノズルタイミングTnzl−緯入れ開始タイミングTjet
次に、本実施例の構成における緯入れ情報表示装置100の作用を説明する。作業者が初期設定に従って緯入れ条件が設定された状態で試織を行った結果として、緯入れについて調整が必要であると判断された場合等において、作業者は、緯入れ情報表示装置100を用い、初期設定状態での各緯入れノズルの緯入れ有効期間を表示器106によって確認し、調整量を求めるものである。
作業者は、前記調整量の目安とすべく、その初期設定の状態での緯入れ有効期間を確認するために、先ず、緯入れ情報表示装置100の入力器101における前述の操作ボタンを操作する。それにより、緯入れ情報表示装置100においては、入力器101から表示演算装置107における演算器103へ表示指令信号が出力される。
演算器103は、上記の表示指令信号が入力されると、緯入れ有効期間の始点及び終点と、その緯入れ有効期間の値とを求めるための情報として緯入れノズル情報を記憶器102から読み出して、各緯入れノズルN1〜N4の緯入れ有効期間の始点及び終点を求めると共に、緯入れ有効期間c1〜c4を求めて、その求めた各緯入れノズルN1〜N4の緯入れ有効期間の始点、終点、及び緯入れ有効期間c1〜c4を表示制御器105へ出力する。
表示制御器105は、上記で求められた各緯入れノズルN1〜N4の緯入れ有効期間の始点、終点、及び各緯入れ有効期間c1〜c4が演算器103から入力されると、図5で示すように、これらを表示器106の表示画面200におけるグラフ領域203の右側に設けられた表示欄201の所定の欄に表示する。
また、表示制御器105は、記憶器102から緯入れノズル情報を読み出して、この緯入れノズル情報に基づいて緯糸Wの飛走軌跡を表示画面200上のグラフ領域203上に描画して表示すると共に、筬9の揺動軌跡を最も反織前側に配置された緯入れノズルN1によって緯入れされる緯糸Wの飛走軌跡とノズルタイミングTnzlとの交差位置を通る円弧状の曲線として前記のグラフ領域203上に描画して表示する。なお、緯糸Wの飛走軌跡及び筬9の揺動軌跡の描画方法について、詳しくは次の通り。
緯糸Wの飛走軌跡については、前述の通り、本実施例では、緯糸Wの飛走経路上における2点の飛走位置に関する情報に基づいて描画されるものであり、そのために、緯入れノズル情報には、緯入れ開始時点に関する情報として、各緯糸Wの飛走経路(飛走軌跡)の始点に関し、緯入れ開始時点における緯糸Wの飛走位置としての各緯入れノズルN1、N2、N3、N4のノズル位置が設定されている。
詳しくは、前述の通りノズル位置として筬9がノズル位置に相当する揺動位置を通過する時点におけるクランク角度n1、n2、n3、n4が設定されていることから、クランク角度n1、n2、n3、n4と筬揺動情報とに基づいて求められる織前10からの距離a1、a2、a3、a4が前記飛走軌跡の始点の縦軸の座標となる。
従って、この各緯入れノズルN1、N2、N3、N4のノズル位置(織前10からの距離a1、a2、a3、a4)と前述の製織条件(緯入れ条件)として記憶器102に設定されている緯入れ開始タイミングTjet(緯入れ開始時のクランク角度)とから、前記グラフ領域203上における前記飛走軌跡の始点の座標が特定される。
また、前述の通り、緯入れノズル情報には、緯入れ終了時点に関する情報として、各緯糸Wの飛走経路(飛走軌跡)の終点に関し、緯入れ終了時点における緯糸Wの飛走位置つまり緯糸Wの先端の到達位置G(織前10からの距離bの位置)、及びその時点におけるクランク角度としてのノズルタイミングTnzlが設定されており、前記グラフ領域203上における前記飛走軌跡の終点の座標が、これらの情報から特定される。そこで、表示制御器105は、緯入れノズル情報及び緯入れ開始タイミングTjetから求められる前記飛走軌跡の始点及び終点の座標に基づき、この2点を通る直線として各緯糸Wの飛走軌跡を表示画面200におけるグラフ領域203上に描画する。
筬9の揺動軌跡について、本実施例では、前述の通り、筬9の揺動運動を擬似的に表現した円弧状の曲線が描かれるものであって、この円弧状の曲線は、前記筬打ち点(織前10からの距離0の点)を始点(0°)及び終点(360°)とし、筬9の揺動軌跡と最も反織前側の配置された緯入れノズルN1によって緯入れされる緯糸Wの飛走軌跡との交差位置(織前10からの距離b)及びその交差時点の主軸12の回転角度(ノズルタイミングTnzl)によって定まる点(到達位置G)を少なくとも通るようにして描かれる。
なお、筬9の揺動軌跡を円弧状の曲線として描画する理由は、一般的な織機においては、筬9は、ロッキングシャフトに支持されており、このロッキングシャフトは、主軸モータMを駆動源とするクランク機構によって往復回動駆動されるものであるため、クランク運動との関係で、例えば、クランク運動の上死点及び下死点が筬9の揺動限(最前進位置及び最後退位置)に一致する構成の場合、筬9の揺動運動は、クランク角度との関係で正弦曲線を描くものとなる。従って、筬9の揺動位置(経糸方向における織前10からの距離)の織機1サイクル中の変化を、横軸をクランク角度とし縦軸を織前10からの距離とするグラフ領域203上に描く場合、その軌跡については円弧状の曲線として描かれるものとなるためである。
但し、筬9の揺動軌跡については、クランク機構の構成によっては必ずしも正弦的な円弧状の曲線になるとは限らず、また、本発明においては、筬9の揺動軌跡は、緯糸Wの飛走軌跡と揺動運動を行う筬9とが関わり合う部分(交錯する時点)のみが正確に描かれていれば、前記筬打ち点を含むその他の部分については、緯糸Wの飛走軌跡に対する筬9の揺動運動がイメージできる程度のものであればよいものである。そこで、本実施例では、筬9の揺動軌跡は、最も反織前側に配置された緯入れノズルN1と筬9とが実際に交錯する点、すなわち、本実施例における緯糸Wの到達位置G(横軸座標:ノズルタイミングTnzl/縦軸座標:b)を通ると共に、前記筬打ち点を含むそれ以外の部分については実際の筬9の揺動軌跡とは異なる擬似的な円弧状の曲線として描かれるものとしている。そして、表示制御器105は、図5に示すように、そのような筬9の揺動軌跡を表示画面200におけるグラフ領域203上に描画するものである。
なお、この筬9の揺動軌跡について、前述のように本実施例では、緯入れ開始タイミングTjetは緯入れノズルN1のノズル位置を筬9が通過した後のクランク角度に設定されているため、緯入れノズルN1によって緯入れされる緯糸Wの飛走軌跡と筬9の揺動軌跡とは前記した到達位置Gのみで交錯するものとなっているが、緯入れ開始タイミングTjetを筬9が緯入れノズルN1のノズル位置に達した時点に設定する場合には、筬9の揺動軌跡と緯入れノズルN1によって緯入れされる緯糸Wの飛走軌跡とは、表示上では、緯入れ開始位置(横軸座標:緯入れ開始タイミングTjet/縦軸座標:a1)においても交錯するものとなる。従って、その場合は、筬9の揺動軌跡は、緯入れ開始位置の座標についても通るように描画される。また、筬9の揺動軌跡は、本実施例のように擬似的に描画されるものに限らず、クランク角度と筬9の揺動位置とが関連付けて設定された筬揺動情報に基づき、実際の筬9の揺動運動と一致したものとして描画されるものであってもよい。
さらに、本実施例では、前記のようにして緯糸Wの飛走軌跡及び筬9の揺動軌跡が描画されたグラフ領域203上に、緯入れ有効期間の始点及び終点、並びに各緯入れ有効期間c1〜c4を作業者が視覚的に把握可能なかたちで描画(表示)するものとなっており、表示制御器105は、グラフ領域203上におてこれらも描画するものである。なお、これら緯入れ有効期間の始点、終点、及び各緯入れ有効期間c1〜c4の描画及び表示について、詳しくは以下の通り。
緯入れ有効期間の始点については、前述の通り、各緯入れノズルN1〜N4で共通の緯入れ開始タイミングTjetであることから、本実施例では、図5に示すように、グラフ領域203の横軸における緯入れ開始タイミングTjetに相当するクランク角度の位置において、縦軸と平行な線図(縦線)が描画されると共に、その位置に記号「Tjet」で表示されるものとなっている。そして、本実施例では、前記のように表示画面200上におけるグラフ領域203の右側に設けられた表示欄201において、そのクランク角度(図示の例では100°)が「緯入れ開始タイミングTjet」と記された表示欄に表示されるものとなっている。従って、この表示画面200においては、緯入れ有効期間の始点が、そのクランク角度を把握可能なかたちで表示されている。
同様に、緯入れ有効期間の終点について、緯入れノズルN1、N2の場合は、前述の通り、それぞれノズル位置に相当するクランク角度n1、n2であることから、図5に示すように、グラフ領域203の横軸におけるクランク角度n1、n2の位置において、縦軸と平行な線図(縦線)が描画されると共に、その位置にそれぞれ記号「n1」、「n2」で表示されるものとなっている。そして、上記と同様に、表示欄201において、そのクランク角度(図示の例では、それぞれ265°、275°)が「ノズル位置n1」及び「n2」と記された欄に表示されるものとなっている。
また、緯入れノズルN3、N4の場合は、前述の通り、共通のノズルタイミングTnzl(到達位置G)であることから、図5に示すように、グラフ領域203の横軸におけるノズルタイミングTnzlに相当するクランク角度の位置において、縦軸と平行な線図(縦線)が描画されると共に、その位置に記号「Tnzl」で表示されるものとなっている。そして、上記と同様に、表示欄201において、そのクランク角度(図示の例では280°)が「ノズルタイミングTnzl」と記された欄に表示されるものとなっている。このように、緯入れ有効期間の終点についても、表示画面200上において、そのクランク角度が把握可能なかたちで表示されている。
さらに、各緯入れ有効期間c1〜c4については、前記始点から前記終点までの期間であり、図5に示すように、グラフ領域203上において、前記始点に描画された縦線と前記終点に描画された縦線との間に亘る線図であって、両端を矢印とした横軸に平行な線図(横線)が緯入れノズル毎に描画されるものである。さらに、その描画された各線図の上方には、それぞれが対応する緯入れ有効期間を表す記号「c1」、「c2」、「c3」、「c4」が表示されるものとなっている。そして、本実施例では、上記の表示欄201において、各緯入れ有効期間を表すクランク角度範囲(図示の例では、それぞれ165°、175°、180°、180°)が「緯入れ有効期間」の「c1」、「c2」、「c3」、「c4」と記された欄に表示されるものとなっている。
なお、以上のように、本実施例では、緯糸Wの飛走軌跡と筬9の揺動軌跡とが表示されるグラフ領域203上に、緯入れ有効期間の始点及び終点、並びに各緯入れ有効期間c1〜c4を表示し、それらのクランク角度を画面200上で把握可能なものとしたが、本発明では、これらのうち緯入れ有効期間の始点及び各緯入れ有効期間c1〜c4については必ずしも表示する必要はない。
何故なら、緯入れ有効期間の始点については、前記のように各緯入れノズルN1〜N4で共通の緯入れ開始タイミングTjetであり、これは作業者によって設定されるものであるため、敢えて表示をしなくても、作業者自身が把握している場合が多いからである。また、緯入れ有効期間については、緯入れ有効期間の終点のクランク角度から上記の緯入れ開始タイミングTjetを減算することによって求まるものであり、敢えて表示をしなくても、緯入れ有効期間の終点さえ把握できれば、そこから単純な計算で容易に求めることができるからである。
但し、緯入れ有効期間の終点については、作業者がこれを把握するためには、通常はストロボ等を用いて実際の緯入れにおいて確認しなければならず、その把握作業は非常に煩雑なものとなる。そこで、本発明では、この緯入れ有効期間の終点については、表示器106の画面200上で、そのクランク角度を把握可能とするものである。
このようにして、図5に示すように、表示画面200のグラフ領域203上に、緯糸Wの飛走軌跡、筬9の揺動軌跡、緯入れ有効期間の始点である緯入れ開始タイミングTjetを示す線図、及び緯入れ有効期間の終点であるクランク角度n1、n2と到達タイミングTarrとを示す線図が表示される。また、表示画面200の表示欄201に、緯入れ有効期間c1、c2、c3、c4がクランク角度で表示されると共に、上記の緯入れ開始タイミングTjet及び到達タイミングTarrのクランク角度と、ノズル位置として設定されるクランク角度n1、n2、n3、n4とが表示される。
従って、本実施例においては、作業者は、緯入れ有効期間の始点及び終点におけるクランク角度と、緯入れ有効期間の値(長さ)とを上記の表示画面200上に表示されるグラフ領域203及び表示欄201を見ることによって把握することができるものである。
以上により、作業者は、緯入れ調整において、先ずは表示画面200の表示から、初期設定状態での各緯入れノズルN1〜N4の緯入れ有効期間c1〜c4を確認することによって現状を把握する。その上で、作業者は、調整に必要な設定項目、例えば、各緯入れノズルN1〜N4のノズル位置の値n1〜n4や緯入れ開始タイミングTjetの設定等について、いずれを調整すべきかを検討し、入力器101を用いて調整対象とすべき設定項目の設定値を変更する操作を行う。
そして、その操作により、記憶器102に記憶されている上記調整対象となる設定項目の設定値が書き換えられる。その上で、作業者が再び入力器101の操作ボタンを操作すると、緯入れ情報表示装置100は、前述と同様の手順により、演算器103によって上記設定値変更後の緯入れ有効期間c1〜c4を求められると共に、表示制御器105によって緯糸Wの飛走軌跡及び筬9の揺動軌跡がグラフ領域203上に描画され、さらに、緯入れ有効期間の始点及び終点、並びに緯入れ有効期間を示す線図が描画されると共に、各クランク角度が表示画面200上の表示欄201に表示される。
その結果、作業者は、上記の設定変更後における緯入れ有効期間c1〜c4を表示器106による表示によって確認することができる。そして、その確認の結果として変更された設定値による緯入れ有効期間c1〜c4で緯入れが適切に行われると判断される場合には、その設定値に基づいて実際の調整を行い、確認のための試織を行った後、製織を開始する。また、表示器106による表示を確認した結果、変更された設定値による緯入れ有効期間c1〜c4で緯入れが適切に行われないと判断した場合は、調整すべき設定項目及びその設定値について再検討を行い、その検討結果を反映した設定項目及びその設定値について緯入れ情報表示装置100で一連の操作を行うことによって、再度緯糸Wの飛走軌跡や筬9の揺動軌跡、緯入れ有効期間の始点と終点、及び緯入れ有効期間c1〜c4を確認することができる。
以上では、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、以下のような変形例として実施することも可能である。
前記実施例では、4つの緯入れノズルN1〜N4を備えた水噴射式織機に対し本発明による緯入れ情報の表示が適用される例について説明したが、本発明が適用される水噴射式織機はそのようなものに限らず、3以下又は5以上の複数の緯入れノズルを備えた水噴射式織機に適用することができる。また、複数の緯入れノズルを備えたものに限らず、緯入れノズルを1つだけ備えた水噴射式織機に適用してもよい。なお、緯入れノズルが1つだけの場合、本発明における「最も反織前側に配置された緯入れノズル」は、その1つの緯入れノズルがそれに相当するものとなる。
また、前記実施例では、水噴射式織機が複数の緯入れノズル(緯入れノズルN1〜N4)を備える場合について、各緯入れノズルの緯入れ開始タイミングTjetが同じクランク角度に設定され、その上で、緯入れ有効期間の始点がその設定された緯入れ開始タイミングTjetに固定されるものとした。しかし、本発明においてはそのようなものに限らず、複数の緯入れノズルを備えた水噴射式織機において、1以上の緯入れノズルの緯入れ開始タイミングTjetが、初期設定あるいはその後の調整において、他の緯入れノズルの緯入れ開始タイミングTjetと異なるクランク角度に設定されるものであってもよい。また、その場合において、求められる緯入れ有効期間の始点については、緯入れノズル情報(緯糸の飛走軌跡)と筬揺動情報(筬の揺動軌跡)とから求まるものとしてもよい。
詳しくは、前述の通り、緯入れが可能となる時点は、各緯入れノズルにおいて、織前10(最前進位置)から最後退位置へ向かって後退する筬9がその緯入れノズルに対応するノズル位置を通過する時点以降のクランク角度である。例えば、前記実施例の場合では、緯入れノズルN1の緯入れ開始タイミングTjetを基準として考えると、緯入れノズルN2〜N4の緯入れ開始タイミングTjetを、最も遅い時点に筬9がノズル位置を通過する緯入れノズルN1にあわせて設定しているが、緯入れノズルN2〜N4については、筬の揺動位置との関係では、緯入れノズルN1の緯入れ開始タイミングTjetよりも早い時点で緯入れを開始することが可能である。
一方で、緯入れ開始タイミングTjetについては、経糸開口6の開口量との関係も考慮しなければならず、緯入れノズルN1よりも織前側に位置する緯入れノズルN2〜N4は、緯入れノズルN1よりも経糸開口6の開口量が小さい位置で緯入れを行うため、その開口量との関係では、緯入れノズルN2〜N4の緯入れ開始タイミングTjetが緯入れノズルN1の緯入れ開始タイミングTjetよりも遅い時点に設定される場合もある。このように、水噴射式織機においては、複数の緯入れノズルの緯入れ開始タイミングTjetが同じタイミング(クランク角度)に固定的に設定されるものに限らず、設定される製織条件や緯入れされる緯糸の種類等に応じて緯入れノズル毎に異なるタイミングで設定されるものがある。そして、製織開始前の調整段階において、この緯入れ開始タイミングについても調整対象とされる場合がある。
その場合において、緯入れ有効期間の始点については、前記実施例と同様に、設定された緯入れ開始タイミングTjetとしてもよいが、その緯入れ開始タイミングTjetの設定が調整を伴う場合は、その調整の目安とすべく、その始点についても、緯入れノズル情報(ノズル位置)及び筬揺動情報(筬の揺動位置)に基づいて求めるものとしてもよい。なお、その場合は、緯入れ有効期間は、その求められた始点と前記実施例において求めた終点とから算出されることとなる。また、上記のように緯入れ開始タイミングTjetの調整の目安とするためには緯入れ有効期間の始点についても緯入れノズル情報及び筬揺動情報から求める場合には、緯入れ有効期間の終点に加え、少なくともその求められた緯入れ有効期間の始点についても、クランク角度が把握可能なかたちで緯入れ情報表示装置100における表示画面200のグラフ領域203上に表示するものとした方が好ましい。
なお、本発明は、以上で説明したいずれの実施形態にも限定されるものではなく、本発名の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
1 水噴射式織機 2 経糸ビーム
3 経糸 3a 上経糸
3b 下経糸 4 経糸開口装置
5 綜絖枠 6 経糸開口
7 緯入れ装置 8 筬打ち装置
9 筬 10 織前
11 織布 12 主軸
13 バックローラ
20 織機フレーム
100 緯入れ情報表示装置 101 入力器
102 記憶器 103 演算器
105 表示制御器 106 表示器
107 表示演算装置
200 表示画面 201 表示欄
G 到達位置
M 主軸モータ
N1、N2、N3、N4 緯入れノズル
Tjet 緯入れ開始タイミング
Tnzl ノズルタイミング
W 緯糸
WL ワープライン
a1、a2、a3、a4 経糸方向における織前から緯入れノズルまでの距離
b ノズルタイミングにおける織前から緯糸と筬との交錯位置までの距離
c1、c2、c3、c4 緯入れ有効期間
n1、n2、n3、n4 ノズル位置(クランク角度表示)

Claims (2)

  1. 織機フレームに対し固定配置された緯入れノズルから噴射される噴射水によって緯糸が緯入れされる水噴射式織機における緯入れ情報の表示方法であって、
    緯入れノズルの設置状態に関する緯入れノズル情報に基づいて描画される緯糸の飛走軌跡を、横軸を前記水噴射式織機の主軸の回転角度とする表示画面上のグラフ領域に表示すると共に、最も反織前側に配置された緯入れノズルによって緯入れされる緯糸の前記飛走軌跡との交差位置及びその交差時点の前記主軸の回転角度によって定まる点を少なくとも通るようにして描画された筬の揺動軌跡に関するグラフィック表示を前記表示画面におけるグラフ領域上で緯糸の前記飛走軌跡と重ね合わせて表示し、
    更に、前記緯入れノズル情報及び前記主軸の回転角度と経糸方向に関する筬の揺動位置とが関連付けて設定された筬揺動情報に基づき、筬の揺動運動との関係で噴射水による緯糸の搬送が有効に行われる緯入れ有効期間の始点及び終点のうち少なくとも終点を求め、その求められた終点を前記主軸の回転角度が把握可能なかたちで前記表示画面上に表示することを特徴とする水噴射式織機用の緯入れ情報の表示方法。
  2. 織機フレームに対し固定配置された緯入れノズルから噴射される噴射水によって緯糸が緯入れされる水噴射式織機における緯入れ情報の表示装置であって、
    緯入れノズルの設置状態に関する緯入れノズル情報が記憶される記憶器と、
    該記憶器に記憶された前記緯入れノズル情報に基づき、筬の揺動運動との関係で噴射水による緯糸の搬送が有効に行われる緯入れ有効期間の始点及び終点のうち少なくとも終点を求める演算器と、
    該演算器で求められた前記緯入れ有効期間の始点及び終点のうち少なくとも終点を表示するための表示画面を有する表示器と、
    前記記憶器に記憶された前記緯入れノズル情報に基づいて描画される緯糸の飛走軌跡、及び最も反織前側に配置された緯入れノズルによって緯入れされる緯糸の前記飛走軌跡との交差位置とその交差時点における前記水噴射式織機の主軸の回転角度とによって定まる点を少なくとも通るようにして描画された筬の揺動軌跡を、横軸を前記主軸の回転角度とするグラフ領域上に重ね合わせてグラフィック表示する表示制御器とを備え、
    該表示制御器は、前記演算器で求められた前記緯入れ有効期間の始点及び終点のうち少なくとも終点を、前記主軸の回転角度が把握可能なかたちで前記グラフ領域上に表示する
    ことを特徴とする水噴射式織機用の緯入れ情報の表示装置。
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