JP2014190966A - 観察装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】微小な試料を高いSNRで観察できる観察装置を提供する。
【解決手段】テラヘルツ波の波長よりも小さい開口22aを有する伝導体薄膜22と、被観察物Sを載置する載置面21aを有する電気光学結晶21と、伝導体薄膜22にパルス状のテラヘルツ波を照射する第1の照射系15と、電気光学結晶21にテラヘルツ波よりも波長の短いパルス状の第2の電磁波を照射する第2の照射系と、電気光学結晶21を伝播した第2の電磁波の偏光状態を検出する検出系と、を備え、伝導体薄膜22は、開口22aが載置面21a上に位置するように配置され、第1の照射系15は、テラヘルツ波を開口22a及び被観察物Sを透過させて電気光学結晶21に照射し、第2の照射系は、電気光学結晶21内で第2の電磁波の一部が、開口22a及び被観察物Sを透過したテラヘルツ波と重なるように、第2の電磁波を電気光学結晶21に照射する。
【選択図】図1

Description

本発明は、テラヘルツ波を使用して試料を観察する観察装置に関するものである。
近年、テラヘルツ波を利用したセンシング技術が発達してきている。テラヘルツ周波数帯は、アミノ酸などの高分子が物質固有の吸収スペクトルを有し、半導体材料のプラズマ周波数が位置するなど、物質探索に重要な様々な現象が観測される周波数領域である。
テラヘルツ波は、可視光と比べて波長が非常に長い(周波数1THzが波長300μmに相当)。そのため、回折限界によって数百μm以下の細かい領域における分光測定、またはイメージングを行うことが難しい。この空間分解能の問題を打破するために、近接場を利用した手法が開発されている。例えば、非特許文献1には、テラヘルツ波のセンサである電気光学結晶の上に試料を直接載置し、試料を透過したテラヘルツ波を試料の近接場領域で検出することで回折限界を超える分解能を達成することが記載されている。
A. Doi, F. Blanchard, T. Tanaka, and K. Tanaka,"Improving spatial resolution of real-time terahertz near-field microscope", Journal of Infrared Millimeter and Terahertz Waves, vol.32, pp.1043-1051, (2011).
ところで、テラヘルツ波を使用して微小な試料を観察する場合は、テラヘルツ波と試料との相互作用が小さいため、なるべく高いSNR(Signal to Noise Ratio)で測定を行うことが望ましい。そのためには、テラヘルツ波の信号強度を向上させることが有用である。しかしながら、従来のテラヘルツ波を使用する観察装置にあっては、微小な試料を必ずしも十分なSNRで観察することができなかった。
したがって、かかる観点に鑑みてなされた本発明の目的は、微小な試料を高いSNRで観察できる観察装置を提供することにある。
上記目的を達成する本発明に係る観察装置は、
第1の開口を有する伝導体薄膜と、
被観察物を載置する載置面を有する電気光学結晶と、
前記伝導体薄膜にパルス状のテラヘルツ波を照射する第1の照射系と、
前記電気光学結晶に前記テラヘルツ波よりも波長の短いパルス状の第2の電磁波を照射する第2の照射系と、
前記電気光学結晶を伝播した前記第2の電磁波の偏光状態を検出する検出系と、
を備え、
前記伝導体薄膜は、前記第1の開口が前記載置面上に位置するように配置され、
前記第1の照射系は、前記テラヘルツ波を前記第1の開口及び前記被観察物を透過させて前記電気光学結晶に照射し、
前記第2の照射系は、前記電気光学結晶内で前記第2の電磁波の一部が、前記第1の開口及び前記被観察物を透過した前記テラヘルツ波と重なるように、前記第2の電磁波を前記電気光学結晶に照射することを特徴とするものである。
前記第1の開口は、前記テラヘルツ波の波長よりも小さくてもよい。
前記伝導体薄膜は、前記電気光学結晶上に成膜されてもよい。
前記伝導体薄膜は、誘電体材料の表面に成膜されてもよい。
前記伝導体薄膜は、第2の開口をさらに有し、
前記第1の照射系は、前記テラヘルツ波を前記第2の開口を透過させて前記電気光学結晶に照射し、
前記第2の照射系は、前記電気光学結晶内で前記第2の電磁波の一部が、前記第2の開口を透過した前記テラヘルツ波と重なるように、前記第2の電磁波を前記電気光学結晶に照射し、
前記検出系は、前記第1の開口に対応する前記電気光学結晶の領域を伝播した前記第2の電磁波の偏光状態と、前記第2の開口に対応する前記電気光学結晶の領域を伝播した前記第2の電磁波の偏光状態とに基づいて、前記被観察物により変調されたテラヘルツ波成分を検出してもよい。
前記伝導体薄膜は、複数の伝導体リングを有する多重リング構造としてもよい。
前記多重リング構造は、非周期的に配列したリングからなるようにしてもよい。
前記伝導体薄膜は、ブルズアイ構造としてもよい。
前記第2の電磁波は、近赤外光としてもよい。
本発明によれば、テラヘルツ波を使用して微小な試料を高いSNRで観察することができる。
第1実施の形態に係る観察装置の全体の概略構成図である。 図1の試料載置部の構成を説明するための図である。 図1の伝導体薄膜の2つの例を示す図である。 多重リング構造の伝導体薄膜による電場増強の様子を説明するための写真である。 伝導体薄膜による信号強度比の実験結果を示す図である。 図5の実験に供した他の3つの伝導体薄膜の構成を示す図である。 第2実施の形態に係る観察装置の要部の構成を説明するための図である。 第3実施の形態に係る観察装置の要部の構成を説明するための図である。 第4実施の形態に係る観察装置の要部の構成を説明するための図である。 第5実施の形態に係る観察装置の全体の概略構成図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
(第1実施の形態)
図1は、第1実施の形態に係る観察装置の全体の概略構成図である。この観察装置は、試料Sを顕微観察するものである。図1において、レーザ光源11は、フェムト秒近赤外パルスレーザを射出する。レーザ光源11から射出されたフェムト秒近赤外パルスレーザは、ビームスプリッタ12によってポンプ光とプローブ光とに分岐される。ポンプ光は、ポンプ光調整光学系13を経てテラヘルツ波発生素子14に入射される。これにより、テラヘルツ波発生素子14からテラヘルツ波が放射される。
ここで、テラヘルツ波発生素子14は、非線形光学結晶や光伝導アンテナなどが利用可能である。ポンプ光調整光学系13は、使用されるテラヘルツ波発生素子14に応じて適切に構成される。例えば、テラヘルツ波発生素子14が光伝導アンテナで構成される場合、ポンプ光調整光学系13は図1に示すようにレンズを用いて構成される。また、テラヘルツ波発生素子14が高強度テラヘルツ波を発生させる非線形光学結晶であるLiNbO3結晶で構成される場合、ポンプ光調整光学系13は回折格子などの光学素子を用いて構成されるのが望ましい(H. Hirori, A. Doi, F. Blanchard, and K. Tanaka, “Single-cycle terahertz pulses with amplitudes exceeding 1 MV/cm generated by optical rectification in LiNbO3”, Applied Physics Letters, vol. 98, 091106 (2011).参照)。
テラヘルツ波発生素子14で発生されたテラヘルツ波は、第1の照射系を構成するテラヘルツ波集光光学系15を経て試料載置部20に集光される。なお、テラヘルツ波集光光学系15は、テラヘルツ波を透過させるプラスチック製のレンズや放物面鏡などにより構成される。
一方、ビームスプリッタ12で分岐されたプローブ光は、1/2波長板31、光路調整光学系32、ビームエキスパンダ33、無偏光ビームスプリッタ34、結像レンズ35及び対物レンズ36を経て試料載置部20に照射される。したがって、図1においては、1/2波長板31、光路調整光学系32、ビームエキスパンダ33、無偏光ビームスプリッタ34、結像レンズ35及び対物レンズ36により、第2の照射系が構成されている。
試料載置部20は、図2に模式的に拡大して示すように、被観察物である試料Sを載置する載置面21aを有する電気光学結晶21と、テラヘルツ波の波長よりも小さい直径の開口(第1の開口)22aを有する伝導体薄膜22とを有する。本実施の形態においては、電気光学結晶21の載置面21aに、テラヘルツ波は透過し、プローブ光は反射させる反射膜23が成膜されており、その反射膜23上に伝導体薄膜22が成膜されている。
伝導体薄膜22は、例えば銅、金、アルミニウム等の金属により、例えば図3(a)に平面図で示すような同心円状の非周期的な複数の伝導体リングを有する多重リング構造、又は図3(b)に平面図で示すような単一の伝導体リングを有する単リング構造で形成することができる。試料Sは、開口22aから露出する反射膜23上に載置される。
テラヘルツ波は、試料Sの上部から照射され、試料Sを透過することにより変調されて電気光学結晶21に入射される。一方、プローブ光は、電気光学結晶21の下方から入射され、電気光学結晶21内を伝播した後、反射膜23で反射されて再び電気光学結晶21内を伝播して、電気光学結晶21から射出される。
ここで、電気光学結晶21は、電場が印加されると電気光学結晶21内に複屈折が誘起される性質を有している。そのため、テラヘルツ波が電気光学結晶21内に入射されると、テラヘルツ波の電場によって電気光学結晶21内に複屈折が生じる。この状態でプローブ光が電気光学結晶21内を伝播すると、テラヘルツ波電場で生じた複屈折によってプローブ光の偏光が変化する。したがって、このプローブ光の偏光の変化を検出すれば、電気光学結晶21に入射したテラヘルツ波成分、つまり試料Sで変調されたテラヘルツ波成分を検出することができる。なお、伝導体薄膜22の作用については、後述する。
通常、テラヘルツ波の波長は、数mm〜数百μm程度である。そのため、テラヘルツ波を用いてイメージングを行う場合、空間分解能は回折限界によって数mm〜数百μm程度となる。しかし、図1の構成によると、試料Sを透過したテラヘルツ波が回折によって試料Sの微細な空間情報を失う前に、電気光学結晶21の複屈折によってプローブ光の偏光が変調されるので、回折限界を超える分解能を実現することができる。なお、電気光学結晶21に照射されるプローブ光の偏光方向は、電気光学結晶21で生じた複屈折によって偏光状態が大きく変化するように、1/2波長板31によって予め調整される。
図1において、電気光学結晶21を伝播したプローブ光は、対物レンズ36及び結像レンズ35を経て無偏光ビームスプリッタ34に入射されて往路と分離される。そして、往路と分離されたプローブ光は、1/4波長板41及び1/2波長板42により偏光状態が調整された後、偏光ビームスプリッタ43によりS偏光成分とP偏光成分とに分岐される。これら分岐されたS偏光成分及びP偏光成分は、光路調整光学系44及び45により偏光ビームスプリッタ46から平行に射出されるように光路調整されて、カメラ47の撮像素子48の異なる受光領域に結像される。撮像素子48の出力は、信号処理回路49により処理される。したがって、図1において、結像レンズ35、対物レンズ36、1/4波長板41、1/2波長板42、偏光ビームスプリッタ43、光路調整光学系44及び45、偏光ビームスプリッタ46、カメラ47、信号処理回路49は、検出系を構成する。
ここで、1/4波長板41及び1/2波長板42は、電気光学結晶21にテラヘルツ波が入射されない状態において、電気光学結晶21を伝播して偏光ビームスプリッタ43に入射されるプローブ光の偏光が45度傾いた直線偏光となるように調整される。したがって、この状態では、偏光ビームスプリッタ43により偏光分離されるプローブ光のS偏光とP偏光との強度比は1:1となり、カメラ47には等しい強度のS偏光成分及びP偏光成分のプローブ光の像が形成される。これに対し、電気光学結晶21にテラヘルツ波が入射して電気光学結晶21に複屈折が生じた状態では、プローブ光の偏光が複屈折により変化して楕円偏光となり、結果として偏光ビームスプリッタ43で分離されるS偏光成分とP偏光成分との強度比が変化して、撮像素子48に結像される像の強度比もそれに応じて変化する。
したがって、信号処理回路49において、撮像素子48で取得されるS偏光成分の像とP偏光成分の像との差を演算すれば、テラヘルツ波が電気光学結晶21に入射していない状態では、S偏光とP偏光との信号強度が等しいため、信号強度差はゼロとなる。これに対し、テラヘルツ波が電気光学結晶21に入射したときには、S偏光とP偏光との信号強度差はゼロではなくなる。すなわち、テラヘルツ波の電場振幅強度となる。
このように、電気光学結晶21を伝播したプローブ光のS偏光成分及びP偏光成分の像を撮像素子48に結像させれば、つまり撮像素子48を電気光学結晶21の内部と共役な関係になるように配置すれば、電気光学結晶21に入射したテラヘルツ波の電場振幅の空間分布を取得することができる。しかも、電気光学結晶21に入射するテラヘルツ波は、試料Sで変調されて試料Sの情報が転写されたものとなるので、テラヘルツ波の電場振幅の空間分布を取得することにより試料Sを観察することが可能となる。
ここで、テラヘルツ波のパルス幅は数ps程度であり、プローブ光のパルス幅は100fs程度である。電気光学結晶21内で複屈折が生じている時間は非常に短いため、プローブ光の偏光変化に反映されるテラヘルツ波の電場の情報は、プローブ光のパルス幅に相当する時間幅の成分のみとなる。
そこで、本実施の形態においては、必要に応じて、プローブ光の光路にある光路調整光学系32により、プローブ光とテラヘルツ波との相対時間差を変化させる。これにより、検出されるテラヘルツ波の時間を掃引して、信号処理回路49においてテラヘルツ波の時間変化を画像のシーケンスとして検出する。また、信号処理回路49において、必要に応じて、検出した画像のシーケンスをフーリエ変換して、周波数スペクトル画像を生成する。
次に、伝導体薄膜22の作用について説明する。上述したように、試料Sは、伝導体薄膜22の開口22aから露出する反射膜23上に載置される。伝導体薄膜22にテラヘルツ波が照射されると、図2に示すように、開口22aの付近Aにおいてテラヘルツ波の電場増強が生じ、特に、開口22aの直径がテラヘルツ波の波長よりも小さい場合にその効果が大きい。これは、テラヘルツ波によって誘起されたプラズモンポラリトンが伝導体薄膜22を伝播して、中央の微小な開口22aから高いエネルギー密度で散乱されるためである。
図4(a)〜(c)及び図5は、この電場増強の様子を、実験及び計算により検証した結果の説明図である。なお、図4(a)〜(c)において、x及びyは水平軸、zは垂直軸を示す。図4(a)は、実際に作製した伝導体薄膜22の可視光画像の写真である。この伝導体薄膜22は、中心の開口22aの直径が70μmであり、非周期的な同心円状の8つの伝導体リングを有する多重リング構造からなる。また、開口22aの中央に試料Sが配置されている。
図4(b)は、図4(a)の伝導体薄膜22でテラヘルツ波が増強される様子の計算結果を示すもので、伝導体薄膜22に照射されたテラヘルツ波が開口22aを透過する様子のある時間の電場振幅分布を計算した写真である。図4(b)において、テラヘルツ波は上方から下方に伝播している。図4(b)から、開口22aにおいて、局所的に、入射したテラヘルツ波よりも高い強度成分が生じていることがわかる。
また、図4(c)は、図4(a)の伝導体薄膜22を試料Sがない状態において、実際にテラヘルツ波で測定した場合の写真である。この画像は、テラヘルツ波が電気光学結晶21内を透過するあるタイミングを切り出したものであるが、中央の開口22aにおいて局所的にテラヘルツ波強度が高くなっていることがわかる。
図5は、伝導体薄膜22がある場合と無い場合との信号強度比(増強度)を実測して周波数毎に示した図である。図5において、縦軸の信号強度比「1」は伝導体薄膜22が無い場合の信号強度に等しいことを意味する。図5では、伝導体薄膜が、メタマテリアル構造であるスプリットリング共振器(SRR; Sprit Ring Resonator)及び二重スプリットリング共振器(DSRR; Double SRR)、ダイポールアンテナからなる場合の結果もともに記してある。
図6(a)〜(c)は、図5の実験に供したSRR、DSRR、ダイポールアンテナの一具体例を示す平面図である。SRRは、図6(a)に示すように、一辺が50μmの矩形をなし、導体幅が9μm、アンテナギャップが4μmからなる。DSRRは、図6(b)に示すように、一辺が51μmの矩形をなし、導体幅が9μm、アンテナギャップが4μm、各リング開口の短辺が12μmからなる。ダイポールアンテナは、図6(c)に示すように、全長が150μm、導体幅が10μm、アンテナギャップが3μmからなる。
図5において、SRRやDSRRは比較的増強度が高いが、増強される周波数帯が狭いことがわかる。一方、図4(a)の多重リング構造では、増強度は最大で3程度であるが、広い周波数範囲で増強が起きていることがわかる。
図4(a)の多重リング構造の伝導体薄膜22は、非周期的な8つの伝導体リングを有するが、伝導体リングの個数や周期によって増強の大きさや周波数が異なる。例えば、伝導体リングを周期的に形成すると、増強の大きさが大きくなる代わりに、増強が生じる周波数帯が狭くなる。また、伝導体リングの周期をランダムにしていくと、図5に示したように増強度が小さくなる代わりに周波数帯が広くなって、図3(b)に示した単リング構造の効果に近付いていくことになる。よって、使用用途によって適切な構造を使用することが望ましい。
試料Sは、図2に示したように、伝導体薄膜22の開口22aに載置される。これにより、増強されたテラヘルツ波が試料S及び電気光学結晶21に入射することになるので、試料Sと相互作用したテラヘルツ波を高い信号強度で検出することが可能となる。また、伝導体薄膜22が上記のメマタテリアル構造やダイポールアンテナなどからなる場合は、増強される面積が小さいため、増強電場を用いてイメージングを行うことは難しいが、図3(a)及び(b)に示したようなリング形状からなる場合は、ある程度の範囲を一様に増強できるので、イメージングを行うことが可能となる。
つまり、開口22aの大きさがテラヘルツ波の波長よりも小さいことから、リング形状の伝導体薄膜22によってテラヘルツ波が増強される範囲は、テラヘルツ波の波長よりも小さい面積となり、テラヘルツ波にとって非常に局所的な増強となる。一方、図1に示したように、テラヘルツ波を使用する顕微観察における試料Sの観察範囲は、テラヘルツ波の波長よりも小さい範囲となる。
したがって、伝導体薄膜22により電場が増強される範囲がテラヘルツ波の波長以下であっても、顕微観察にとっては十分な観察範囲を確保することができる。実際に、図4(c)においては、10μm程度の試料を観察することが可能である(倍率の高い対物レンズを使用することで、より中心部を拡大して観察することもできる)。しかも、伝導体薄膜22は、試料S及び電気光学結晶21の近傍に位置するので、増強された局所電場が試料S及び電気光学結晶21に入射し、効率的に信号を得ることができる。以上により、本実施の形態に係る観察装置によれば、テラヘルツ波を用いて微小な試料Sを高い信号強度で顕微観察することが可能となる。また、プローブ光として、近赤外光を用いることで、レーザ光源11をテラヘルツ波発生用のポンプ光の光源としても共用することができる。
(第2実施の形態)
第2実施の形態に係る観察装置は、図1に示した構成において、伝導体薄膜22が図7に模式的に示すように、第1の開口22aと第2の開口22bとの二つの開口を有して構成される。試料Sは、一方の開口(図7では第1の開口22a)の位置に載置される。テラヘルツ波は、第1の開口22a及び第2の開口22bを含む領域に照射される。同様に、プローブ光は、第1の開口22a及び第2の開口22bを含む領域と対応する電気光学結晶21(図1参照)の領域に照射される。その他の構成は、第1実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
本実施の形態によると、図1の信号処理回路49において、撮像素子48の出力に基づいて、第1の開口22a及び試料Sを透過したテラヘルツ波成分の画像信号と、試料Sのない第2の開口22bを透過したテラヘルツ波成分の画像信号とを同時に得ることができる。したがって、信号処理回路49において、第2の開口22bを透過したテラヘルツ波成分の画像信号をリファレンスとして、両画像信号の差又は商を演算すれば、電気光学結晶21自体による変調成分であるバックグラウンドや、レーザ光源11(図1参照)からのレーザ光の揺らぎの影響を除去することができる。これにより、試料Sによるテラヘルツ波成分の画像信号を、より高いSNRで得ることができる。
(第3実施の形態)
第3実施の形態に係る観察装置は、図1に示した構成において、試料Sの観察に図8に模式的に示すように誘電体材料からなるカバーガラス25を用い、カバーガラス25の電気光学結晶21と対向する面に、第1又は2実施の形態で示した伝導体薄膜22を成膜したものである。その他の構成は、第1実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
試料Sとして生細胞などを観察する場合、カバーガラスを利用することが望ましい。特に、テラヘルツ波は水による吸収が大きいので、カバーガラスで水の厚さを制限することが望ましい。そこで、本実施の形態においては、カバーガラス25に伝導体薄膜22を成膜する。
本実施の形態に係る観察装置によると、カバーガラス25を移動させることで試料Sの観察視野を移動させることができる。したがって、第1又は2実施の形態のように、電気光学結晶21に伝導体薄膜22を成膜する場合と比較して、観察範囲の自由度を拡げることができる。また、試料Sが生細胞の場合、生細胞を基板(電気光学結晶)に接着させるため、一度接着させた後は電気光学結晶を取り替えることはできないが、カバーガラス25の交換は簡単に行うことができるので、異なるサイズや異なるパターンの伝導体薄膜22を用いることも簡単に行うことができる。
(第4実施の形態)
第4実施の形態に係る観察装置は、図1に示した構成において、伝導体薄膜22が図9に模式的に示すようにブルズアイ構造からなるものである。その他の構成は、第1実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
ブルズアイ構造はプラズモン共鳴を利用して、狭い周波数領域で高い電場増強を実現するものである(例えば、K. Ishihara, G. Hatakoshi, T. Ikari, H. Minamide, H. Ito, and K. Ohashi, “Terahertz Wave Enhanced Transmission through a Single Subwavelength Aperture with Periodic Surface Structures,” Japanese Journal of Applied Physics, vol. 44, No. 32, pp. L1005 (2005))。このように、伝導体薄膜22をブルズアイ構造とすると、上述した多重リング構造や単リング構造と比べて、プラズモン共鳴を利用して、比較的狭いテラヘルツ周波数帯域で高い電場増強度を実現することができる。したがって、狭い周波数帯域で、より高い増強度を得たい場合に有用である。
(第5実施の形態)
図10は、第5実施の形態に係る観察装置の全体の概略構成図である。この観察装置は、図1に示した構成において、プローブ光をテラヘルツ波と同じ方向から試料載置部20に入射させるようにしたものである。そのため、テラヘルツ波集光光学系15と試料載置部20との間には、ビーム合成素子50が配置されている。ビーム合成素子50は、例えばハーフミラーやダイクロイックミラー等で構成され、テラヘルツ波集光光学系15からのテラヘルツ波は透過させて試料載置部20に入射させ、ビームエキスパンダ33からのプローブ光は反射させて試料載置部20に入射させる。なお、図2に示した電気光学結晶21上の反射膜23は不要となる。その他の構成は、第1実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
本実施の形態によると、プローブ光は電気光学結晶21を透過して伝播する際に、試料Sで変調されたテラヘルツ波成分によって偏光方向が変調される。しかも、試料Sで変調されるテラヘルツ波は、上述したように伝導体薄膜22により電場増強されるので、上述した実施の形態の場合と同様に、電気光学結晶21を伝播したプローブ光の偏光状態に基づいて、微小な試料Sを高いSNRで観察することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上記各実施の形態を適宜組み合わせて観察装置を構成してもよい。また、第1〜4実施の形態において、電気光学結晶21上の反射膜23は省略してもよい。さらに、電気光学結晶21からプローブ光が射出する面に、プローブ光に対する反射防止膜を成膜してもよい。また、伝導体薄膜22の外形は、円形や楕円形に限らず、矩形等の他の形状としてもよい。同様に、伝導体薄膜22に形成される開口の形状も、円形に限らず、テラヘルツ波の波長以下の矩形等の他の形状としてもよい。ただし、開口は電気光学結晶21上もしくはその極近傍に配置される。
また、第1実施の形態において、試料がない状態での画像信号をリファレンス信号として取得して記憶し、そのリファレンス信号と試料がある状態での画像信号との差や商を演算して、第2実施の形態と同様にSNRの高い画像信号を得でもよい。さらに、第2実施の形態において、伝導体薄膜22の開口22a、22bは、図7の構成に限らず、例えば図3(b)に示したような単リング構造の伝導体薄膜22を2つ並べて構成してもよい。また、伝導体薄膜22を多重リング構造で構成し、中央の開口を第1の開口とし、中央の開口以外の隙間を第2の開口として、第2の開口からの信号をリファレンス信号として使用することも可能である。
11 レーザ光源
12 ビームスプリッタ
13 ポンプ光調整光学系
14 テラヘルツ波発生素子
15 テラヘルツ波集光光学系
20 試料載置部
21 電気光学結晶
21a 載置面
22 伝導体薄膜
22a 開口(第1の開口)
22b 開口(第2の開口)
23 反射膜
25 カバーガラス
31 1/2波長板
32 光路調整光学系
33 ビームエキスパンダ
34 無偏光ビームスプリッタ
35 結像レンズ
36 対物レンズ
41 1/4波長板
42 1/2波長板
43、46 偏光ビームスプリッタ
44、45 光路調整光学系
47 カメラ
48 撮像素子
49 信号処理回路
50 ビーム合成素子
S 試料

Claims (9)

  1. 第1の開口を有する伝導体薄膜と、
    被観察物を載置する載置面を有する電気光学結晶と、
    前記伝導体薄膜にパルス状のテラヘルツ波を照射する第1の照射系と、
    前記電気光学結晶に前記テラヘルツ波よりも波長の短いパルス状の第2の電磁波を照射する第2の照射系と、
    前記電気光学結晶を伝播した前記第2の電磁波の偏光状態を検出する検出系と、
    を備え、
    前記伝導体薄膜は、前記第1の開口が前記載置面上に位置するように配置され、
    前記第1の照射系は、前記テラヘルツ波を前記第1の開口及び前記被観察物を透過させて前記電気光学結晶に照射し、
    前記第2の照射系は、前記電気光学結晶内で前記第2の電磁波の一部が、前記第1の開口及び前記被観察物を透過した前記テラヘルツ波と重なるように、前記第2の電磁波を前記電気光学結晶に照射することを特徴とする観察装置。
  2. 前記第1の開口は、前記テラヘルツ波の波長よりも小さい、
    ことを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
  3. 前記伝導体薄膜は、前記電気光学結晶上に成膜されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の観察装置。
  4. 前記伝導体薄膜は、誘電体材料の表面に成膜されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の観察装置。
  5. 前記伝導体薄膜は、第2の開口をさらに有し、
    前記第1の照射系は、前記テラヘルツ波を前記第2の開口を透過させて前記電気光学結晶に照射し、
    前記第2の照射系は、前記電気光学結晶内で前記第2の電磁波の一部が、前記第2の開口を透過した前記テラヘルツ波と重なるように、前記第2の電磁波を前記電気光学結晶に照射し、
    前記検出系は、前記第1の開口に対応する前記電気光学結晶の領域を伝播した前記第2の電磁波の偏光状態と、前記第2の開口に対応する前記電気光学結晶の領域を伝播した前記第2の電磁波の偏光状態とに基づいて、前記被観察物により変調されたテラヘルツ波成分を検出する、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の観察装置。
  6. 前記伝導体薄膜は、複数の伝導体リングを有する多重リング構造からなる、
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の観察装置。
  7. 前記多重リング構造は、非周期的に配列したリングからなる、
    ことを特徴とする請求項6に記載の観察装置。
  8. 前記伝導体薄膜は、ブルズアイ構造からなる、
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の観察装置。
  9. 前記第2の電磁波は、近赤外光である、
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の観察装置。
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