JP2014189932A - 不織布 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
カーボンナノチューブを分散媒に分散させてカーボンナノチューブの分散液を得る工程、微小繊維を分散媒に分散させて微小繊維の分散液を得る工程、微小繊維の分散液を撹拌し、そこへカーボンナノチューブの分散液を滴下し、カーボンナノチューブと微小繊維との分散液を得る工程、カーボンナノチューブと微小繊維との混合液を貧溶媒に滴下し、分散しているカーボンナノチューブと微小繊維とを析出させる工程、カーボンナノチューブと微小繊維とが析出している液を、フィルタを用いてろ過し、フィルタ上に残った析出物を乾燥して不織布とする工程を経て得られる平均繊維径500nm以下、平均繊維長500μm以下、結晶化度60%以上の微小繊維とカーボンナノチューブを含有する導電性不織布。
【選択図】 なし
Description
ところでセルロース繊維としては、平均繊維径が10nm〜1μmの微小繊維状セルロースが、抄紙性と保水性に優れた不織布となることが知られている(特許文献4)。
前記カーボンナノチューブは、平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが0.60>3σ/Av>0.20であるカーボンナノチューブにおいて著効が得られる。
前記微小繊維は、微細セルロースであることが好ましい。
また、本発明においてはカーボンナノチューブを分散媒に分散させてカーボンナノチューブの分散液を得る工程、微小繊維を分散媒に分散させて微小繊維の分散液を得る工程、微小繊維の分散液を撹拌し、そこへカーボンナノチューブの分散液を滴下し、カーボンナノチューブと微小繊維との分散液を得る工程、カーボンナノチューブと微小繊維との混合液を貧溶媒に滴下し、分散しているカーボンナノチューブと微小繊維とを析出させる工程、カーボンナノチューブと微小繊維とが析出している液を、フィルタを用いてろ過し、フィルタ上に残った析出物を乾燥して不織布とする工程を含む、前記導電性不織布を製造する方法が提供される。
本発明に用いる微小繊維は、平均繊維径500nm以下、平均繊維長500μm以下、結晶化度60%以上のものである。平均繊維径は、好ましくは1nm〜500nm、より好ましくは2nm〜300nmであり、平均繊維長は、好ましくは0.3μm〜500μm、より好ましくは0.5μm〜500μmである。
微小繊維の材質に格別な制限はなく、例えば、セルロース、キチン、キトサンなどの不溶性食物繊維などがあげられる。
本発明において、このような微小繊維の中でも、微細セルロースが特に好適に用いられる。好適な微小繊維である微細セルロースは、植物繊維を、湿式粉砕などによってナノメートルサイズまで解繊して得られる植物由来の繊維材料であり、セルロースナノファイバーなどと称されるものである(例えば特開2005−270891号公報、特開2008−150719号公報、特開2010−104768号公報など)。セルロースナノファイバーは、カルボキシメチルセルロース類のような水溶性セルロースなどと異なり、分子鎖が長いため、通常は水に不溶である。セルロースナノファイバーは、分散媒に対するカーボンナノチューブの分散剤として機能する。
このようなセルロースナノファイバーは、ダイセルファインケム社製のセリッシュ(登録商標)、スギノマシン社製ビンフィス(登録商標)などとして市販されている。また、セルロースナノファイバーは、解繊工程を触媒存在下で行うことなどにより任意の置換基を有するもの(TEMPO酸化セルロースナノファイバー;特開2012−021081号公報など)であってもよい。
本発明において特に好ましいカーボンナノチューブは、平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが0.60>3σ/Av>0.20を満たすものである。ここでいう平均直径(Av)、直径分布(3σ)は、それぞれ透過型電子顕微鏡でカーボンナノチューブ100本の直径を測定した際の平均値、並びに標準偏差(σ)に3を乗じたものである。なお、本明細書における標準偏差は、標本標準偏差である。
平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが0.60>3σ/Av>0.20を満たすカーボンナノチューブを用いることにより、カーボンナノチューブが少量であっても、優れた電気伝導性を示す組成物を得ることができる。得られる組成物の特性の観点から、0.60>3σ/Av>0.25がより好ましく、0.60>3σ/Av>0.50がさらに好ましい。
3σ/Avは、カーボンナノチューブの直径分布を表し、この値が大きいほど直径分布が広いことを意味する。本発明において直径分布は正規分布を取るものが好ましい。ここで言う直径分布は、透過型電子顕微鏡を用いて観察できる、無作為に選択された100本のカーボンナノチューブの直径を測定し、その結果を用いて、横軸に直径、縦軸に頻度を取り、得られたデータをプロットし、ガウシアンで近似することで得られるものとする。異なる製法で得られたカーボンナノチューブなどを複数種類組み合わせることでも3σ/Avの値を大きくすることはできるが、その場合正規分布の直径分布を得ることは難しい。即ち、本発明においては、単独のカーボンナノチューブ又は単独のカーボンナノチューブに、その直径分布に影響しない量の他のカーボンナノチューブを配合したものを用いるのが好ましい。
0.60>3σ/Av>0.20を満たすカーボンナノチューブであれば特に制限なく使用することができるが、日本国特許第4621896号公報、及び日本国特許第4811712号公報に記載されている、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブ(以下、「SGCNT」ということがある)が好ましい。SGCNTは、ラマン分光法においてRadial Breathing Mode(RBM)のピークを有するカーボンナノチューブである。なお、三層以上の多層のカーボンナノチューブのラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
用いる分散媒は、任意に選択することができるが、分散性の良好さから、メタノール、エタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒;水;などの極性溶媒であるのが好ましく、特に水が好ましい。
分散剤の使用量に格別な制限はないが、カーボンナノチューブの分散液であれば、カーボンナノチューブの重量に対して、通常1〜30倍、好ましくは1.5〜25倍、より好ましくは2〜25倍である。分散安定性の観点からは、界面活性剤の配合量が多い分には特に問題はないが、最終的に得られる不織布の用途によっては成形体表面への界面活性剤のブリードなど、用途や製品固有の問題を生じる原因になりやすいため、分散液の分散性が確保される範囲内で、通常はなるべく少ない量を採用する。
微小繊維の結晶化度は、以下の方法で測定した値である。
固体13C−NMRスペクトル測定を、Bruker社製DSX400型スペクトロメーターを用い、CP/MAS法を用いて行った。コンタクトタイム1ms、パルス間隔5s、90°パルス4.8μs、積算回数3000回、回転速度4000Hzとした。得られた固体13C−NMRスペクトルのC4位の炭素ピークのうち、高磁場側のピークを非晶成分(ピーク面積A)、低磁場側のピークを結晶成分(ピーク面積B)とし、次の式から結晶化度χcを求めた(Polymer Journal,17、707(1985)(K.Kamide,K.Okajima,K.Kowsaka,T.Matsui参照)
χc=(B/(A+B))×100
特許4621896号公報に記載に従って、スーパーグロース法によってSGCNTを得た。
具体的には次の条件において、カーボンナノチューブを成長させた。
炭素化合物:エチレン;供給速度50sccm
雰囲気(ガス)(Pa):ヘリウム、水素混合ガス;供給速度1000sccm
圧力1大気圧
水蒸気添加量(ppm):300ppm
反応温度(℃):750℃
反応時間(分):10分
金属触媒(存在量):鉄薄膜;厚さ1nm
基板:シリコンウェハー
得られたSGCNTは、BET比表面積1,050m2/g、ラマン分光光度計での測定において、単層CNTに特長的な100〜300cm−1の低波数領域にラジアルブリージングモード(RBM)のスペクトルが観察された。また、透過型電子顕微鏡を用い、無作為に100本のSGCNT−1の直径を測定した結果、平均直径(Av)が3.3nm、直径分布(3σ)が1.9、(3σ/Av)が0.58であった。
30mlバイアル瓶にSGCNT0.002g、ダウファックス(登録商標)2A1(ダウケミカル社製、30wt%;ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム)0.03g、蒸留水10gを入れ、卓上型超音波洗浄器(製品名「ブランソニック(登録商標)」、日本エマソン社製;以下、同じ)で15分間分散処理し、SGCNT水分散液を得た。目視で粒状の物質が確認できない程度に均一に分散できた。
一方、30mlバイアル瓶にセルロースナノファイバー(スギノマシン社製:ビンフィス(登録商標) セルロース、2wt%水溶液、平均繊維径40nm、平均繊維長4μm、結晶化度70%)1.0gを入れ、そこに蒸留水を加え総量10gにし、その溶液を撹拌子で15分間撹拌し、セルロースナノファイバー(CNF)水分散液(0.2wt%)を得た。
上記CNF水分散液を撹拌子で撹拌させ、そこに上記SGCNT水分散液を滴下して、両水分散液を混合した。更にその混合分散液を卓上型超音波洗浄器で10分間分散処理し、CNT/CNF水分散液を得た。
そのCNT/CNF水分散液を撹拌子で撹拌したメタノール70mlに滴下して、メタノール中にCNT/CNF複合体を析出させた。
その溶液を桐山ロート(ろ紙No.5A)で吸引ろ過し、ろ紙上に形成された複合不織布をろ紙から剥がし、100℃で3時間真空乾燥して、厚み18μmのCNT/CNF複合体からなる不織布を得た。
この不織布の電気特性を抵抗率計(製品名「ロレスタ(登録商標)GP MCP−T610型 プローブESP」、三菱化学アナリテック社製)で測定した。電気伝導率は2.58×100S/cmであった。
この不織布の融解温度(Tm)は、示差走査熱量計(DSC)(製品名「EXSTAR DSC6220」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定し、314℃であった。
この不織布の線膨張率は、不織布を40mm×4mmに裁断して、試験片を作製し、熱機械的分析装置(製品名「EXSTAR TMA/SS7100」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、窒素ガス中、引張り荷重100mN、チャック間距離20mmの条件で昇温速度5℃/分で30〜250℃の範囲で2回測定した。2回目の40〜110℃の平均線膨張率(ppm/℃)は5.4ppm/℃、130〜190℃の平均線膨張率(ppm/℃)は8.8ppm/℃であった。
セルロースナノファイバーを、ダイセルファインケム社製のセリッシュ(登録商標)KY100G(10.3wt%水溶液、平均繊維径300nm、平均繊維長420μm、結晶化度70%)0.2gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚み18μmの不織布を得た。但し、不織布表面に皺が入った。
得られた不織布の電気伝導率は4.56×100S/cmであった。
セルロースナノファイバーの代わりに、キチンナノファイバー(製品名「ビンフィス(登録商標) キチン」、スギノマシン社製、2wt%水溶液、平均繊維径30nm、平均繊維長4μm、結晶化度70%)1.0gに換えたこと以外は実施例1と同様にして、ろ紙の上に不織布を得た。その後、ろ紙と共に100℃で3時間真空乾燥し、厚み18μmのCNT/キチンナノファイバー複合不織布を得た。
得られた不織布の電気伝導率は3.48×100S/cmであった。
セルロースナノファイバー水分散液の代わりに、完全ケン化型ポリビニルアルコール(製品名「ゴーセノール(登録商標)NH−18」、日本合成化学社製)0.02gに蒸留水を加え総量10gにし、その溶液を撹拌子で撹拌しながら80℃まで昇温させ、ポリビニルアルコール(PVOH)が完全に溶解したポリビニルアルコール水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み18μmのCNT/PVOH複合体を得、実施例と同様に各物性を評価した。
得られた複合体の電気伝導率は7.67×10−4S/cmであった。
この複合体の融解温度(Tm)は、220℃であった。
この複合体の線膨張率を、窒素ガス中、引張り荷重100mN、チャック間距離20mmの条件で昇温速度5℃/分で30〜210℃の範囲で測定したところ、1回目の測定で試験片が伸びきってしまった為、1回目の値のみを測定した。1回目の40〜110℃の平均線膨張率(ppm/℃)は78.6ppm/℃、130〜190℃の平均線膨張率(ppm/℃)は1090ppm/℃であった。
セルロースナノファイバーの代わりに、カルボキシメチルセルロース(CMCダイセル1130:ダイセルファインケム社製)0.02gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、不織布を得ようとしたが、不織布が脆すぎて、ろ紙から剥がすことができなかった。
得られたろ紙上の不織布の電気伝導率は8.47×10−1S/cmであった。
Claims (4)
- 平均繊維径500nm以下、平均繊維長500μm以下、結晶化度60%以上の微小繊維とカーボンナノチューブを含有する導電性不織布。
- 前記カーボンナノチューブが、平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが0.60>3σ/Av>0.20であるカーボンナノチューブである請求項1記載の導電性不織布。
- 微小繊維が微細セルロース繊維である請求項1又は2記載の導電性不織布。
- カーボンナノチューブを分散媒に分散させてカーボンナノチューブの分散液を得る工程、微小繊維を分散媒に分散させて微小繊維の分散液を得る工程、微小繊維の分散液を撹拌し、そこへカーボンナノチューブの分散液を滴下し、カーボンナノチューブと微小繊維との分散液を得る工程、カーボンナノチューブと微小繊維との混合液を貧溶媒に滴下し、分散しているカーボンナノチューブと微小繊維とを析出させる工程、カーボンナノチューブと微小繊維とが析出している液を、フィルタを用いてろ過し、フィルタ上に残った析出物を乾燥して不織布とする工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性不織布を製造する方法。
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