JP2014189924A - 印刷用塗工紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】 着色顔料を使用せず、高い白色度を有し、色調ムラの少ない印刷用塗工紙を提供する。
【解決手段】 パルプを主成分とする基紙の両面に、無機顔料と接着剤を含む顔料塗工層が設けられ、前記顔料塗工層に含まれる無機顔料は、全無機顔料のうち80質量%以上が炭酸カルシウムであり、前記顔料塗工層は、更に紫色染料及び/又は青色染料を含有し、前記基紙には、パルプ100質量部に対して0.01〜2質量部の範囲で蛍光染料が含まれており、前記顔料塗工層の塗工量が基紙の片面あたり15g/m2以下、白色度が85%以上である印刷用塗工紙。
【選択図】図2

Description

本発明は、印刷用塗工紙に係り、特に、高い白色度を有し、色調ムラの少ない印刷用塗工紙に関する。
印刷用紙は、広告、宣伝を目的とした商業印刷分野での需要が高く、チラシ、カタログ、パンフレット、ダイレクトメール等、多岐に亘って利用されている。その生産量は年々着実に伸びており、中でも近年薄物コート紙および薄物塗工紙の生産量の伸び率が大きいことという特徴がある。
印刷用紙に関する要望の一つとして、写真や図案を多用したり、カラー化するなどした印刷物への適性、すなわち、視覚的に内容を強力に伝達できる高品質印刷用塗工紙への強い要望がある。このような印刷用塗工紙としては、視覚的により白い印刷用塗工紙が求められ、また、省資源、輸送および郵送コストなど軽減の観点から用紙の軽量化も同時に求められている。
印刷用塗工紙の白色度を高くするための効果的な手段の一つとして、塗工層に白色度の高い無機顔料を含有させる方法が知られている。このような無機顔料としては、例えば二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリンなどがある。これらの無機顔料のうち、二酸化チタンは高価で多量に使うとコスト高となる問題があることから、安価で白色度も比較的高い炭酸カルシウムが一般的に用いられてきた。炭酸カルシウムは、他に汎用されるカオリンと比較しても白色度の点で有利である。
しかしながら、炭酸カルシウムは白色度の向上には寄与するものの他の無機顔料と比べて塗工層の不透明度はあまり上がらない。そのため、炭酸カルシウムを含む塗工層で一定水準の不透明度を得るためには塗工層の塗工量自体を増加させる必要があるが、塗工量の増加は品質面やコスト面での問題があるだけではなく用紙の重量を増すことにも繋がり、用紙の軽量化が求められている中では塗工量を増加させることは難しい。このような理由から、塗工層に炭酸カルシウムを多く含みながらも、その塗工量を比較的少なく維持したまま、高い不透明度を有する印刷用塗工紙が研究されてきた。
また、無機顔料の添加以外で視覚的な白さを上げる方法としては、塗工層に青色や紫色の色材を含有させて調色する(ブルーイング)技術も知られている。これは、表面の色合いを青味を帯びた白とすることで、視覚的に感じる白さが増すことに基づく技術である。
このような印刷用塗工紙として、特許文献1及び特許文献2には、炭酸カルシウムと接着剤とを主成分とする塗工層中に紫色顔料および/または青色顔料を含有させ、JIS P 8150の方法によって測定される印刷用紙の色相を、紫外線を含む測定においてa*値が0以上7未満、b*値が−15以上−3未満とし、不透明度が85%以上である印刷用塗工紙が開示されている。
特開2011−026753号公報 特開2011−026754号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された技術は、実用上十分なものとは言えなかった。特許文献1,2においては、不透明度の向上及びブルーイングのために紫色顔料および/または青色顔料を使用しているが、このような着色顔料を使用すると、塗工層表面に着色顔料に由来する色のスジ(以下、「色スジ」という。)が発生することがある。色スジの発生要因は様々あるが、例えば水系に十分に分散していない着色顔料や、塗工層用の塗料を入れたタンクの壁面で乾燥固化した着色顔料が、凝集物状の塊となって塗料中に混入することで、塗料を基紙に塗工した際にこれらの凝集物がスジ状に紙面に表れるものである。
また、着色顔料は塗工層の塗料中ではその粒子が分散された状態で存在するが、この分散性が悪い場合には塗工層に均一な発色感が得られず、色調ムラが生じることがある。特に、ブルーイングを目的として着色顔料を添加した塗工層は、その塗工量を少なくした場合に塗工層の単位面積あたりの着色顔料の含有量が少なくなることにより均一な発色感が得られないことがある。
更には、近年、着色顔料の内の一部の有機顔料は、非意図的な副生物として微量のポリ塩化ビフェニル(PCB)が含まれることが報告されている。PCBは化審法に基づく第一種特定化学物質であり、毒性も報告されており、このようなPCBを含む可能性のある有機顔料を使用することは、特に印刷用塗工紙の製造現場において、健康上のリスクになる可能性がある。
本発明はこのような背景を鑑みて為された物であり、その目的とするところは、着色顔料を使用せず、高い白色度を有し、色調ムラの少ない印刷用塗工紙を提供することにある。
本発明の他の目的とするところは、先の特徴に加えて、比較的軽量である印刷用塗工紙を提供することにある。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
上記課題を解決するため、本発明の印刷用塗工紙は、パルプを主成分とする基紙の両面に、無機顔料と接着剤を含む顔料塗工層が設けられ、前記顔料塗工層に含まれる無機顔料は、全無機顔料のうち80質量%以上が炭酸カルシウムであり、前記顔料塗工層は、更に紫色染料及び/又は青色染料を含有し、前記基紙には、パルプ100質量部に対して0.01〜2質量部の範囲で蛍光染料が含まれており、前記顔料塗工層の塗工量が基紙の片面あたり15g/m2以下、白色度が85%以上のものである。
そして、このような構成によれば、顔料塗工層の塗工量が比較的少なくとも視覚的に強い白さを有し、色調ムラが少なく、また顔料塗工層が十分な塗工層強度を有した印刷用塗工紙とすることができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記顔料塗工層が、0.3質量%以上の蛍光染料を含んでいてもよい。このような構成によれば、印刷用塗工紙の顔料塗工層により高い白色度と視覚的な白さを与えることができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、坪量が70g/m2以下であってもよい。このような構成によれば、軽量で白色度の高い印刷用塗工紙となるため、輸送コストの軽減等の面から好適である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記基紙がギャップフォーマにより抄紙されたものであってもよい。このような構成によれば、上述の特徴に加えて、平滑度の高い印刷用塗工紙が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記顔料塗工層がブレードコーター又はロッドコーターにより設けられたものであってもよい。このような構成によれば、上述の特徴に加えて、平滑度の高い印刷用塗工紙が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、カレンダーによる平滑化処理がなされたものであってもよい。このような構成によれば、上述の特徴に加えて、平滑度の高い印刷用塗工紙が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記顔料塗工層に含まれる接着剤は、ポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール、各種澱粉類、天然多糖類若しくはそのオリゴマー又はその変性体、から1種又は2種以上を用いるものであってもよい。このような構成によれば、顔料塗工層に蛍光染料が添加された場合であっても、蛍光染料の定着性が高く、塗工層強度に優れた印刷用塗工紙が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記顔料塗工層に含まれる接着剤は、顔料塗工層中の無機顔料100質量部に対して1〜20質量部の範囲で含まれていてもよい。このような構成によれば、塗工層強度とインク吸収性のバランスに優れた印刷用塗工紙が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記基紙は、紫色染料及び/又は青色染料を含有するものであってもよい。このような構成によれば、基紙の視覚的な白さがより向上し、顔料塗工層の隠蔽性が低く基紙の色合いが透けて見える場合であっても印刷用塗工紙全体としての白色度が低下しない印刷用塗工紙が得られる。
また、本願発明は、印刷用塗工紙の顔料塗工層用の塗工液としても捉えることができる。
本発明に係る印刷用塗工紙の顔料塗工層用の塗工液は、無機顔料と、接着剤と、染料とを含み、前記無機顔料のうち80質量%以上が炭酸カルシウムであり、無機顔料100質量部に対して1〜20質量部の範囲で配合され、前記染料は、紫色染料及び/又は青色染料である、ことを特徴とするものである。
このような構成によれば、基紙となる用紙に塗工した際に、塗工量が比較的少なくとも視覚的に強い白さを有し、色調ムラが少なく、また顔料塗工層が十分な塗工層強度を有する顔料塗工層を形成することが可能な顔料塗工層用の塗工液が得られる。
また、本願発明は、印刷用塗工紙の製造方法としても捉えることができる。
本発明に係る印刷用塗工紙の製造方法は、パルプと、パルプ100質量部に対して0.01〜2質量部の範囲の蛍光染料と、を配合して調製した紙料を、ギャップフォーマーを有する抄紙機にて抄紙して基紙を得るステップと、無機顔料と、接着剤と、紫色染料及び/又は青色染料と、を含む顔料塗工層用塗料を調製するステップと、前記基紙の両面に、基紙の片面あたり3〜15g/m2(乾燥重量)の範囲で、ブレードコーター又はロッドコーターを用いて前記顔料塗工層用塗料を塗工して顔料塗工層を設けるステップとを有し、前記顔料塗工層に含まれる無機顔料は、全無機顔料のうち80質量%以上が炭酸カルシウムであり、前記基紙には、パルプ100質量部に対して0.01〜2質量部の範囲で蛍光染料が含まれており、得られた印刷用塗工紙の白色度が85%以上である、ことを特徴とする。
そして、このような構成によれば、高い白色度を有し、色調ムラが少なく、更に比較的軽量で平滑度も高い印刷用塗工紙を製造することができる。
本発明の印刷用塗工紙によれば、顔料塗工層の塗工量が比較的少ない場合であっても高い白色度を有し、色調ムラの少ない印刷用塗工紙を得ることができる。特に、本発明の印刷用紙は視覚的に強い白さを有し、機器で測定する白色度よりも白さが際だって見える。また、特に低米坪品において、優れた視覚的白さを発揮する。更に、色スジの無い印刷用塗工紙とすることができる。
また、本発明に係る印刷用塗工紙の製造方法によれば、高い白色度を有し、色調ムラが少なく、更に比較的軽量で平滑度も高い印刷用塗工紙を製造することができる。
実施例及び比較例における印刷用塗工紙の構成を示す図表である。 実施例及び比較例による印刷用塗工紙の物性及び評価結果を示す図表である。
以下に、本発明に係る印刷用塗工紙、及び印刷用塗工紙の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
先にも述べたように、本発明の印刷用塗工紙は、基紙の両面に顔料塗工層を設けてなるものである。本発明においては、高白色度と色調ムラ防止とを着色顔料を使用せずに両立させるために、基紙と顔料塗工層の双方において工夫を行った。
先ずはじめに、顔料塗工層の構成について詳細に説明する。本発明においては、高い白色度を有し、且つ比較的軽量である印刷用塗工紙とするために、顔料塗工層に含まれる無機顔料の内、炭酸カルシウムの割合を高くする。具体的には、顔料塗工層に含まれる無機顔料の内、80質量%以上を炭酸カルシウムとする。なお、ここで用いる炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムのどちらを用いてもよい。
また、本発明において、顔料塗工層には炭酸カルシウムに加えて他の無機顔料を1種又は2種以上併用してもよく、このような無機顔料としては、例えば、カオリン、タルク、サチンホワイト、リトポン、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
しかしながら、炭酸カルシウムの割合が高ければ高いほど後述する本発明の目的とする効果を発揮しやすく、発明者等の知見によれば、顔料塗工層に含まれる無機顔料の内、90質量%以上が炭酸カルシウムであればより本発明の効果を発揮しやすく、95質量%以上であれば更に本発明の効果を発揮しやすくなり、100質量%すなわち顔料塗工層に含まれる無機顔料を全て炭酸カルシウムとすることで、本発明の効果が最大となる。
本発明において、顔料塗工層には紫色染料及び/又は青色染料を含有させる。ここで「染料」とは、いわゆる着色用の染料(着色染料)のことであって、可視光線を選択吸収または反射して固有の色を持つ有機色素のうち、適当な染色法により物質に染着するものをいい、水や有機溶剤などの溶媒に可溶である。
一般に、顔料塗工層に含有させることができる色材としては着色染料と着色顔料とが考えられるが、このうち着色顔料は着色染料に比べて粒子が大きく、また塗料中では分散した状態で存在するため、着色顔料で着色された顔料塗工層は顔料粒子が密な部分と疎な部分とが生じやすく、これにより紙面全体で均一に光を吸収・反射することができず、色調ムラが起こりやすい。加えて、塗料中での着色顔料の分散状態が悪ければ、色スジの発生も懸念される。
一方、着色染料を顔料塗工層用の塗料に添加すると、着色染料は分子レベルで塗料中に溶解するため塗料は均一に着色され、その塗料を塗工することで設けられた顔料塗工層も部分的な隔たりがなく均一に光を吸収・反射するものとなり、色調ムラが生じ難い。これらの点で着色染料は着色顔料より優れているため、本発明においては色材の中でも着色染料を選択して用いた。
本発明においては、着色染料の中でもブルーイングを目的に紫色及び/又は青色の染料を顔料塗工層中に含有させる。用いる紫色及び/又は青色染料としては特に限定するものではないが、紫色染料としては、例えばカヤフェクトバイオレットPリキッド200(日本化薬社製)、ダイレクトペーパーバイオレットBリキッド(日本化学工業所社製)などが挙げられ、青色染料としては、例えばカヤフェクトブルーFリキッド(日本化薬社製)、ダイレクトペーパーブルー4GL(日本化学工業所社製)などが挙げられる。
本発明において紫色染料及び/又は青色染料の顔料塗工層中の含有量は特に限定するものではなく、目的とするブルーイングの程度に応じて適宜変更することができる。ただし、印刷用塗工紙としては視覚的に青味を帯びた白とする必要があるため、JIS P 8150の方法によって測定される印刷用塗工紙の色相を、紫外線を含む測定においてa*値が0以上7未満、b*値が−15以上−3未満の範囲となるよう紫色染料及び/又は青色染料の顔料塗工層への含有量を調整することが好ましい。紫色染料及び/又は青色染料の添加量はa*値及びb*値が上述の範囲を満たすことを目安としているため、基紙の白色度、顔料塗工層の白色度、顔料塗工層の塗工量など多くの要因に影響されるが、一例として、顔料塗工層を片面当たり10g/m2設ける場合には、無機顔料100質量部あたり0.02〜0.1質量部程度の紫色染料及び/又は青色染料を添加することで目的とする色相の印刷用塗工紙が得られる。
また本発明においては、顔料塗工層の白色度をより向上させるために、顔料塗工層中に紫色染料及び/又は青色染料の他に蛍光染料を含有させてもよい。顔料塗工層中の蛍光染料の含有量は、特に限定するものではないが、顔料塗工層に対して0.3質量%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは0.7質量%以上である。上限は特に限定するものではないが、過剰に添加しても蛍光強度は頭打ちとなるだけでなく褪色が大きくなるおそれがあるため、顔料塗工層に対して2.0質量%以下とすることが好ましい。顔料塗工層中に蛍光染料を含有させることで、より高い白色度と視覚的な白さとを向上させることができる。
本発明において顔料塗工層には、無機顔料、紫色染料及び/又は青色染料の他に接着剤も含有させる。接着剤は主に塗工層の強度を向上させることなどを目的として添加するものであり、例えば、スチレン−ブタジエン系、アクリル系、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニルなどの各種共重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ユリアまたはメラミン/ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン/エピクロルヒドリンなどの水溶性合成物、天然植物から精製した澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、燐酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉、デキストリン、マンナン、キトサン、アラビノガラクタン、グリコーゲン、イヌリン、ペクチン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの天然多糖類若しくはそのオリゴマー又はその変性体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、コラーゲンなどの天然タンパク質又はその変性体、ポリ乳酸、ペプチドなどの合成高分子又はオリゴマー、の中から単独又は2種以上を組み合わせて使用する。
顔料塗工層中の接着剤の配合量は、顔料塗工層中の無機顔料100質量部に対して1〜20質量部の範囲であることが好ましく、4〜15質量部の範囲であることがより好ましく、6〜13質量部の範囲とすることが更に好ましい。接着剤の配合量が1質量部未満の場合には、塗工層の強度が十分に得られず印刷強度が不足するおそれがある。一方、接着剤の配合量が20質量部を超えると、相対的に無機顔料の配合割合が下がることから印刷インクの吸収が悪化し、乾燥不良となるおそれがある。
またここで、顔料塗工層に蛍光染料を含有させる場合には、蛍光染料の定着性を向上させる観点から、顔料塗工層に添加する接着剤はポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール、各種澱粉類、天然多糖類若しくはそのオリゴマー又はその変性体から選ばれる1種以上を使用することが好ましく、ポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール、澱粉類、カルボキシメチルセルロースから選ばれる1種以上を使用することが特に好ましい。
本発明の顔料塗工層には、無機顔料、接着剤、着色染料、蛍光染料の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、等の通常の印刷用塗工紙の顔料塗工層に配合される各種助剤を使用してもよい。
本発明においては、比較的軽量な印刷用塗工紙とするために、顔料塗工層の基紙への塗工量は基紙の片面当たり15g/m2以下(乾燥重量)とする。本発明に用いる顔料塗工層用塗料は塗工量が少ない場合にその効果をより発揮しやすいものであるため塗工量の下限は特に限定するものではないが、印刷適性を考慮すると3g/m2以上とすることが好ましい。また、顔料塗工層の基紙への塗工量が基紙の片面当たり5〜12g/m2の範囲であればより好ましく、6〜10g/m2の範囲であれば更に好ましい。
本発明において顔料塗工層は、前記した炭酸カルシウムを主成分とする無機顔料、接着剤、着色染料などの他各種材料を混合し、適当な固形分濃度に調整して得られた塗工液を基紙上に塗工した後、乾燥させることで設けることができる。塗工液を基紙に塗工する方法としては、例えば、液だまりを有するサイズプレス、メタリングサイズプレス、ゲートロール、シムサイザーなどの各種フィルムトランスファーコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ダイレクトファウンテンコーター、スプレーコーター、カーテンコーターを使用することができる。中でもブレードコーター又はロッドコーターを用いて塗工液を塗工する場合には、本発明に係る顔料塗工層用塗工液の構成は有利となる。
ブレードコーターやロッドコーターはブレードやロッドで塗工液を基紙に押しつけるようにして塗工する装置であるため、エアーナイフコーター等で設けた顔料塗工層に比べて平滑性が高く面感の良い顔料塗工層が得られるという利点があるが、その一方で色調ムラが目立ちやすくなるという問題点もある。加えて、これらの塗工方法を用いると塗料中に塗料成分の塊状物などがある場合には所謂ストリークを発生させやすい傾向にあり、更に顔料塗工層中に着色顔料を含有させた場合には、ストリークの場合と同様に顔料の凝集物等により前述の色スジが発生するおそれが増大する。本発明においては、顔料塗工層を着色染料で着色するため、塗工液中顔料由来の塊状物等が発生しにくく、ブレードコーターやロッドコーターを用いて顔料塗工層を設けた場合であっても、色スジが発生することなく、また色調ムラも目立ちにくくすることができる。
ところで、前述のとおり、着色染料は着色顔料に比べて顔料塗工層を均一に着色できるという利点があるが、その一方で、着色染料で着色された顔料塗工層は着色顔料で着色された顔料塗工層に比べて不透明度を得られ難いという問題がある。換言すれば、着色染料で着色された顔料塗工層は着色顔料で着色された顔料塗工層に比べて光を透過しやすい傾向にあり、この現象は印刷用塗工紙としての不透明度だけでなく白色度にも不利な要因となる。即ち、(1)もともと高い不透明度が得られ難い炭酸カルシウムを顔料塗工層の主成分とすること、(2)着色顔料に比べて不透明度の向上に乏しい着色染料を含有させること、(3)基紙への塗工量を比較的少なくすること、という(1)〜(3)の要件を備えた本願の印刷用塗工紙は、不透明度が上がりにくく、また、十分な白色度も得られないおそれがある。
更に、顔料塗工層で基紙を十分に隠蔽することができないために基紙の白色度が印刷用塗工紙の白色度にも影響を及ぼすこととなり、基紙の白色度が低ければ印刷用塗工紙の白色度の低下にも繋がる。また基紙の色合いが十分に隠蔽されない場合のもう一つの問題として、基紙と顔料塗工層の色調の差が大きくなると視覚的な白色感にムラを生ずるおそれもある。これらはクレーや二酸化チタンを主成分とする顔料塗工層や、着色顔料で着色された顔料塗工層など、基紙の隠蔽性が高い顔料塗工層を設ける場合には問題とならない点である。
そこで、本発明においては、基紙に蛍光染料を含有させることで基紙の白色度と視覚的な白さとを向上させる。前述のように隠蔽性の高い顔料塗工層を設ける場合には基紙の白さを向上させても印刷用塗工紙としての白さは殆ど或いは全く向上しないが、本発明の印刷用塗工紙のように顔料塗工層の隠蔽性が十分でない場合は、基紙に蛍光染料を含有させることで、白色度と視覚的な白さの向上が図れる。これは基紙が発する蛍光を顔料塗工層で遮り難いことも一つの要因と考えられる。また、蛍光染料は褪色しやすい傾向があるが、基紙に含有させることで顔料塗工層に含有させた場合よりも褪色が起こりにくいという利点もある。
更に、顔料塗工層にも蛍光染料を含有させることで基紙と顔料塗工層との色調の差がより小さくなり、印刷用塗工紙としての視覚的な白色感のムラをより抑えることが可能となる。
次に、本発明における基紙の構成について詳細に説明する。本発明において、基紙中の蛍光染料の含有量は、基紙を構成するパルプ100質量部に対して0.01質量部以上とし、好ましくは0.02質量部以上であり、より好ましくは0.025質量部以上である。本発明の印刷用塗工紙は白色度が85%以上となるように構成するものであるが、蛍光染料の含有量が基紙を構成するパルプ100質量部に対して0.01質量部未満の場合は目的とする白色度及び視覚的な白さを得られ難い。蛍光染料の含有量の上限は特に限定するものではないが、過剰に添加しても蛍光強度は頭打ちとなるため、パルプ100質量部に対して2質量部以下とすることが好ましい。
本発明において印刷用塗工紙に用いる基紙は、パルプを主成分とするものであり、使用するパルプとしては、例えば、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)、NBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)などの化学パルプ、GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、CMP(ケミメカニカルパルプ)、CGP(ケミグランドパルプ)などの機械パルプ、DIP(脱インキパルプ)などの木材パルプ又はケナフ、バガス、竹、コットンなどの非木材パルプなどを用いることができる。また、品質に支障がでない範囲において合成繊維を使用してもよく、また、環境保全の観点から、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、TCF(Total Chlorine Free)パルプ、古紙パルプ、植林木から得られるパルプを用いてもよい。本発明においては、これらのパルプを単独で使用してもよいし、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。これらのパルプの中でもLBKPを主体とするものが好ましいが、チラシ、カタログ、パンフレットなどに用いられた場合に折り加工適性を満足できるように、パルプの全質量に対してNBKPを3〜20質量%、より好ましくは4〜15質量%含有することが望ましい。また、基紙の白色度を上げるために、白色度が84%以上のパルプを用いることが好ましい。
本発明における基紙には、適宜填料を含有させることができる。填料としては、基紙の白色度及び不透明度の向上とコスト面での観点から軽質炭酸カルシウムを用いることが好ましいが、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、二酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの填料を用いてもよい。これらの填料は単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。填料の基紙への含有量は特に限定するものではないが、パルプ100質量部に対して2〜25質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜20質量部、さらに好ましくは4〜10質量部の範囲である。
本発明における基紙にはパルプと填料の他に、紙力増強剤、サイズ剤、嵩高剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、硫酸バンド、湿潤紙力増強剤、着色染料、着色顔料、ピッチコントロール剤など、公知の製紙用添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で適宜添加してもよい。
また、本発明において基紙には、顔料塗工層を形成するための塗工液が過度に基紙に浸透するのを抑える又は基紙の表面強度向上のために、サイズプレスなどで澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの公知の水溶性高分子を含むサイズ液を塗布してもよい。この場合に用いるサイズ液には、助剤として、例えば、スチレン系サイズ剤、スチレン−アクリレート系サイズ剤、オレフィン系サイズ剤、AKD、ASAなどの表面サイズ剤、着色染料、蛍光染料、消泡剤を併用してもよい。サイズ液を塗布する場合の塗布方法としては、例えば、サイズプレス、ゲートロールコーター、メタリングサイザー、ロッドコーター、エアーナイフコーターなどの一般的な塗布方法を用いることができる。
本発明において基紙の抄紙方法は特に限定されるものではなく、トップワイヤー等を含む長網抄紙機、オントップフォーマー、ギャップフォーマー、丸網抄紙機、長網抄紙機と丸網抄紙機とを併用したコンビネーション抄紙機、等で抄紙することができる。これらの中でも、ギャップフォーマーを用いる場合に本発明の構成は有利となる。ギャップフォーマーでの抄紙は、基紙の原材料が2枚のワイヤーに挟まれて走行して両側のワイヤーからほぼ均等に脱水が行われるという工程を含む。そのため、基紙の厚み方向の原材料の分布としては基紙の中心部分よりも表裏両面側に填料や微細繊維が集まり、その結果、基紙の両面ともに比較的平滑性が高くなる傾向にある。顔料塗工層中に着色顔料を含有させた場合には、前述の色スジが発生する問題があるが、この傾向は基紙の平滑性が高いほど発生しやすい傾向にある。本発明においては、顔料塗工層を着色染料で着色するため、ギャップフォーマーで基紙を抄紙した場合であっても、色スジの発生することのない印刷用塗工紙とすることができる。
本発明においては、印刷用塗工紙の坪量が70g/m2以下であってもよい。本発明の印刷用塗工紙は、顔料塗工層の塗工量が15g/m2以下と比較的少ないため、その坪量は主に基紙の坪量でコントロールすることとなる。基紙の坪量が低くなると、顔料塗工層に対する基紙の割合が少なくなり、不透明度が低下することも相まって、視感的な白色感のムラが目立ちやすい傾向となる。しかし、本発明においては、基紙に蛍光染料を含有させ、顔料塗工層が基紙の発する蛍光を遮り難い構成であることから、坪量が70g/m2以下であるような坪量の比較的低い印刷用塗工紙であっても、色調ムラが目立ちにくい。ただし、基紙の坪量を低くしすぎると、基紙の単位面積あたりに含有させる蛍光染料の量が少なくなり、基紙に蛍光染料を含有させることによる白色度や視覚的な白さの向上の効果が薄れるおそれがある。そのため、印刷用塗工紙の坪量は45〜70g/m2であることが好ましく、50〜65g/m2であることがより好ましく、55〜63g/m2であることが更に好ましい。
本発明においては、印刷用塗工紙がカレンダーによる平滑化処理がなされたものであってもよい。ここで平滑化処理を行う方法としては、特に限定するものではなく、スーパーカレンダーやソフトニップカレンダー等の公知のカレンダーで行うことができる。
カレンダーによる平滑化処理は、印刷用紙の平滑性や光沢性を向上させるために一般的に行われるものであるが、炭酸カルシウムを主成分とする顔料塗工層を設けた印刷用塗工紙の場合には、カレンダーでの平滑化処理を行うと不透明度が比較的低下しやすい傾向がある。これは、炭酸カルシウムを主成分とする顔料塗工層が、他の顔料を主成分とする塗工層に比べてカレンダーでの平滑化処理時に潰れやすいことが原因と考えられ、炭酸カルシウムを主成分とする顔料塗工層が潰れて薄くなることで顔料塗工層による基紙の隠蔽性が低下し、基紙の白色度が低ければ印刷用塗工紙の白色度も低下することとなる。
しかしながら、本発明に係る印刷用塗工紙は、基紙に蛍光染料を含有させることで基紙の白色度と視覚的な白さを向上させており、これによりカレンダーによる平滑化処理を行って顔料塗工層が薄くなった場合であっても、基紙の発する蛍光により印刷用塗工紙としての白色度及び見た目の白さを維持できるものである。
すなわち、本発明に係る印刷用塗工紙によれば、ギャップフォーマー、ブレードコーター、ロッドコーター、カレンダーなどの機器を使用した場合でも色スジ等が発生しにくいため高い平滑性を付与することが可能となり、軽量でありながらも平滑性が高く、印刷光沢の高い写真画像等の印刷にも好適な印刷用塗工紙とすることができる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
(実施例1)
<基紙の形成>
フリーネスをCSF400mlに調整した広葉樹さらしクラフトパルプ(LBKP)85部と、フリーネスをCSF600mlに調整した針葉樹さらしクラフトパルプ(NBKP)15部を水中に添加してパルプスラリーとし、該パルプスラリーに軽質炭酸カルシウム(TP121S:奥多摩工業社製)7部、青色染料(ダイレクトペーパーブルー4GL:日本化学工業所社製)0.02部、蛍光染料(サンホワイトBULH:サンライズ社製)0.02部、硫酸バンド1.0部、カチオン化澱粉(ケート308:日本NSC社製)0.5部、歩留り剤(ハイホールダー220:栗田工業社製)0.01部を配合して調製した紙料をギャップフォーマーを有する抄紙機にて抄紙し、坪量45g/m2の基紙を得た。尚、基紙には酸化デンプン(王子エースA:王子コーンスターチ社製)8質量%濃度のサイズプレス液を基紙の両面に、片面あたりの塗布量が1g/m2となるようにゲートロールサイズプレスで塗布し、乾燥している。
<塗工層の形成>
無機顔料として重質炭酸カルシウム(カービタル90:イメリス社製)100部、接着剤としてスチレン−ブタジエン共重合ラテックス(0613:JSR社製)8部及び燐酸エステル化澱粉(MS#4600:日本食品加工社製)3部、紫色染料(カヤフェクトバイオレットPリキッド200:日本化薬社製)0.035部を水中に添加して混合し、固形分濃度が65%の塗工層用塗料を調製した。得られた塗工層用塗料を、ブレードコーターを用いて基紙の両面に片面当たり乾燥塗工量が10g/m2となるように塗工及び乾燥した。次いでソフトニップカレンダーで80kN/m、温度80℃で平坦化処理を行い、坪量65g/m2の印刷用塗工紙を得た。
(実施例2)
塗工層用塗料に配合する無機顔料を重質炭酸カルシウム(カービタル90:イメリス社製)95部、及びカオリン(ハイドラスパース:米国ヒューバー社製)5部に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例3)
塗工層用塗料に配合する無機顔料を、重質炭酸カルシウム(カービタル90:イメリス社製)90部、及びカオリン(ハイドラスパース:米国ヒューバー社製)10部に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例4)
塗工層用塗料に配合する紫色染料(カヤフェクトバイオレットPリキッド200:日本化薬社製)の配合量を0.025部に変更し、更に青色染料(カヤフェクトブルーFリキッド:日本化薬社製)0.01部を添加した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例5)
基紙に配合する蛍光染料(サンホワイトBULH:サンライズ社製)の配合量を0.01部に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例6)
基紙に配合する蛍光染料(サンホワイトBULH:サンライズ社製)の配合量を0.025部に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例7)
塗工層用塗料の塗工量を基紙の片面当たり乾燥塗工量で12g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例8)
塗工層用塗料の塗工量を基紙の片面当たり乾燥塗工量で15g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例9)
塗工層用塗料の塗工量を基紙の片面当たり乾燥塗工量で6g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例10)
塗工層用塗料の調整において、更に蛍光染料(サンホワイトCST:サンライズ社製)0.6部を添加した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例11)
塗工層用塗料の調整において、更に蛍光染料(サンホワイトCST:サンライズ社製)0.9部を添加した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(実施例12)
基紙の坪量を43g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。得られた印刷用塗工紙の坪量は63g/m2であった。
(実施例13)
基紙の坪量を35g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。得られた印刷用塗工紙の坪量は55g/m2であった。
(実施例14)
基紙の坪量を30g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。得られた印刷用塗工紙の坪量は50g/m2であった。
(実施例15)
塗工層用塗料に配合する無機顔料を、重質炭酸カルシウム(カービタル90:イメリス社製)90部、及びカオリン(ハイドラスパース:米国ヒューバー社製)10部に変更し、塗工層用塗料の塗工量を基紙の片面当たり乾燥塗工量で15g/m2に変更し、基紙に配合する蛍光染料(サンホワイトBULH:サンライズ社製)の配合量を0.01部に変更し、基紙の坪量を30g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。得られた印刷用塗工紙の坪量は60g/m2であった。
(実施例16)
ソフトニップカレンダーで平坦化処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。得られた印刷用塗工紙の坪量は65g/m2であった。
(比較例1)
基紙に蛍光染料を添加しなかった以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
(比較例2)
塗工層用塗料の調整において、紫色染料(カヤフェクトバイオレットPリキッド200:日本化薬社製)を添加せず、かわりに紫色顔料(TB−1516:大日精化工業社製)0.035部を添加した以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
各実施例及び比較例における印刷用塗工紙の構成を図1に、物性及び評価結果を図2に、それぞれ示した。尚、図2中の物性の測定及び各評価結果については以下の方法で行った。
<白色度>
JIS P 8148に準じて測定したものであり、本発明においては白色度85%以上であることが好ましい。
<白色感>
印刷用塗工紙表面の白色感を室内蛍光灯照明下で目視にて確認し、以下の4段階で評価した。
◎:とても白く、白色感が良好。
○:白く、白色感が良好。
△:ややくすんで見えるものの、白色感は良好で実用上問題ない。
×:くすんで見え、白色感が良好とはいえない。実用に供し得ない。
<色調ムラ>
印刷用塗工紙表面の発色の均一性を目視にて確認し、以下の2段階で評価した。
○:発色性が均一で、色調ムラがない。
×:やや発色性にバラツキがあり、色調ムラを感じる。実用に供し得ない。
<基紙の色相>
JIS P 8150に準拠し、積分球分光光度計CE−7000A(X−Rite社製)にて紫外光を含む光源にて測定した。
図2の結果からも明らかなように、実施例1〜16で得られた印刷用塗工紙は、白色度が高く、白色感も良好であり、色調ムラのない印刷用塗工紙であった。また、何れも色スジの発生がないものであった。
実施例5及び実施例15で得られた印刷用塗工紙は、基紙への蛍光染料の配合量が比較的少なかったため、ややくすんで見えたが、白色感は良好であり実用上問題ないレベルであった。しかしながら、これ以上基紙への蛍光染料の配合量を少なくすると、白色感に劣る可能性があるため、基紙への蛍光染料の配合量は、基紙中のパルプ100質量部に対して0.01質量部以上が必要であると考えられる。
これに対して比較例1で得られた印刷用塗工紙は、基紙に蛍光染料を配合しなかったため、白色度及び白色感に劣るものであった。
比較例2で得られた印刷用塗工紙は、顔料塗工層を着色染料ではなく着色顔料で着色したため、色調ムラが感じられるものであった。また、着色顔料を使用しているため、着色顔料の顔料塗工層用塗料の分散状態によっては、色スジの発生するおそれがあった。
本発明の印刷用塗工紙によれば、顔料塗工層の塗工量が比較的少ない場合であっても高い白色度を有し、色調ムラが少なく色スジのない印刷用塗工紙を得ることができる。特に、視覚的に強い白さを有し、機器で測定する白色度よりも白さが際だって見え、また、特に低米坪品において、優れた視覚的白さを発揮するものである。
また、本発明に係る顔料塗工層用塗工液によれば、ブレードコーターやロッドコーターを用いて顔料塗工層を設けた場合にもストリークや色スジが生じにくく、カレンダーによって平滑化処理を行っても白色度が低下しにくいことから、高い平滑度を有し印刷光沢の高い写真画像等の印刷にも好適な印刷用塗工紙が得られるものである。

Claims (11)

  1. パルプを主成分とする基紙の両面に、無機顔料と接着剤を含む顔料塗工層が設けられ、
    前記顔料塗工層に含まれる無機顔料は、全無機顔料のうち80質量%以上が炭酸カルシウムであり、
    前記顔料塗工層は、更に紫色染料及び/又は青色染料を含有し、
    前記基紙には、パルプ100質量部に対して0.01〜2質量部の範囲で蛍光染料が含まれており、
    前記顔料塗工層の塗工量が基紙の片面あたり15g/m2以下、白色度が85%以上である、ことを特徴とする印刷用塗工紙。
  2. 前記顔料塗工層は、0.3質量%以上の蛍光染料を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の印刷用塗工紙。
  3. 坪量が70g/m2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷用塗工紙。
  4. 前記基紙がギャップフォーマにより抄紙されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の印刷用塗工紙。
  5. 前記顔料塗工層がブレードコーター又はロッドコーターにより設けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の印刷用塗工紙。
  6. カレンダーによる平滑化処理がなされていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の印刷用塗工紙。
  7. 前記顔料塗工層に含まれる接着剤は、ポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール、各種澱粉類、天然多糖類若しくはそのオリゴマー又はその変性体、から1種又は2種以上を用いることを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の印刷用塗工紙。
  8. 前記顔料塗工層に含まれる接着剤は、顔料塗工層中の無機顔料100質量部に対して1〜20質量部の範囲で含まれていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の印刷用塗工紙。
  9. 前記基紙は、紫色染料及び/又は青色染料を含有するものであることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の印刷用塗工紙。
  10. 無機顔料と、接着剤と、染料とを含み、
    前記無機顔料のうち80質量%以上が炭酸カルシウムであり、
    前記染料は、紫色染料及び/又は青色染料である、ことを特徴とする印刷用塗工紙の顔料塗工層用の塗工液。
  11. パルプと、パルプ100質量部に対して0.01〜2質量部の範囲の蛍光染料と、を配合して調製した紙料を、ギャップフォーマーを有する抄紙機にて抄紙して基紙を得るステップと、
    無機顔料と、接着剤と、紫色染料及び/又は青色染料と、を含む顔料塗工層用塗料を調製するステップと、
    前記基紙の両面に、基紙の片面あたり3〜15g/m2(乾燥重量)の範囲で、ブレードコーター又はロッドコーターを用いて前記顔料塗工層用塗料を塗工して顔料塗工層を設けるステップとを有し、
    前記顔料塗工層に含まれる無機顔料は、全無機顔料のうち80質量%以上が炭酸カルシウムであり、
    前記基紙には、パルプ100質量部に対して0.01〜2質量部の範囲で蛍光染料が含まれており、
    得られた印刷用塗工紙の白色度が85%以上である、ことを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
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