JP2014186868A - 転写装置、転写方法、及びデバイス製造方法 - Google Patents

転写装置、転写方法、及びデバイス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】デバイス基板とドナー基板との重ね合わせから光照射による転写材料の転写までの工程を真空中において一貫して行うことができる転写装置等を提供する。
【解決手段】デバイス基板10及びドナー基板20が配置される真空チャンバ30と、真空チャンバ30内において少なくともドナー基板20を保持する基板保持機構50であって、転写材料が転写される面であるデバイス基板10の被転写面と、転写層が設けられた面であるドナー基板20の転写面とを対向させ、デバイス基板10及びドナー基板20を重ね合わせた状態で保持する基板保持機構50と、基板保持機構50に向けて光を出射する開口307と備え、基板保持機構50に、開口307から出射した光を透過させる光透過部であって、ドナー基板20に対して移動可能な少なくとも1つの光透過部が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機EL素子、有機TFT素子、光電変換素子、各種センサー等の有機機能素子が備える機能層のパターンを転写により形成する転写装置、転写方法、及びデバイス製造方法に関する。
近年、有機材料を含み、電力を供給することにより所定の機能を発現する機能層を備える有機機能素子が広く利用されている。一例として、有機EL素子は、陰極と陽極との間に有機発光材料を含む機能層(発光層)を挟んだ構造を有し、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔が発光層において再結合することにより生じるエネルギーを発光エネルギーとして外部に取り出す原理を適用した発光素子である。
現在、このような機能層は一般に、真空蒸着等のドライプロセスによる成膜により形成され、機能層のパターニングにはシャドーマスク等が用いられることが多い。しかしながら、このような手法は、材料の利用効率が低く、大面積デバイスの作製が困難といった問題がある。
一方、機能層の形成にあたっては、低コスト且つ大面積化が可能なフォトリソグラフィ(フォトリソ)法、インクジェット法、印刷法等のウェットプロセスも検討されている。しかしながら、ウェットプロセスの場合、有機薄膜の多層構造からなる有機機能素子においては、上層を塗布した際に下地層の膜質が変化してしまうという懸念がある。また、膜厚の均一性等を制御することが難しいことから、例えば有機発光素子の場合、ディスプレイとしての性能が低下するという問題もある。
このような問題に対し、機能層の材料を基板(転写用基板又はドナー基板とも呼ばれる)上に一旦配置し、これを有機機能素子側の基板(被転写基板又はデバイス基板とも呼ばれる)に転写することにより、機能層のパターンを形成する技術が開発されている(例えば、特許文献1及び2参照)。例えば特許文献1においては、図2に示すように、まず、ガラス基板上に設けられた区画パターンにより区切られた領域内に光熱変換層及び機能層の材料(転写材料)を含む転写層を配置したドナー基板を作製する一方、デバイス基板に電極や絶縁層のパターンを形成しておく。そして、ドナー基板の転写層が配置された面をデバイス基板に向け、両基板を重ね合わせ、ドナー基板にレーザを照射して光熱変換層を加熱することにより転写層を昇華又は蒸発させ、デバイス基板に転写材料を転写する。
このような転写工程は、通常、真空中において行われる。この際、デバイス基板のサイズがあまり大きくない場合には、真空装置内においてデバイス基板とドナー基板とを互いにアライメントして重ね合わせ、そのままドナー基板の全面にレーザを照射することにより、転写材料を均一に転写することができる。このため、作製されたデバイスにおいては、真空蒸着等のドライプロセスとほぼ同等の性能を得ることができる。
しかしながら、デバイス基板が大型になると、真空装置内においてドナー基板の全面にレーザを均一に照射することが困難になる。そのため、特許文献2においては、真空装置内で基板同士をアライメントして重ね合わせた後、これらの基板を真空維持可能な筐体に収納し、筐体を真空装置外に搬出してレーザ照射を行っている。
国際公開第2009/154156号 特許第4797889号公報
しかしながら、特許文献2の場合、ドナー基板及びデバイス基板を重ね合わせて収納でき、且つ、大気中に搬出された際にも形状を維持できる強固かつ複雑な構造の筐体を用意する必要がある。また、真空装置内における筐体への基板の出し入れ、並びに真空装置からの筐体の搬入及び搬出といった煩雑な工程が必要となる。さらに、筐体が搬入される真空装置自体も大型化且つ複雑化し、装置全体の負荷が増大してしまう。特に、大面積のデバイス基板を大量に製造する際には、大型且つ強固な筐体を多数に用意しなければならず、そのような筐体の荷重や物量を取り扱うことは現実的ではない。
デバイス基板の面積が大きい場合、大気中においてデバイス基板とドナー基板とをアライメントして重ね合わせ、これらの基板を真空装置内に搬送して転写を行うことも考えられる。しかしながら、この場合、大気中と真空中との間で基板を出し入れする間に、環境中の気体(特に水分)が基板表面に吸着してしまう。そのため、転写材料を転写した後、デバイス基板とドナー基板とを分離する際に、吸着した気体が転写材料内に取り込まれてデバイスの特性が悪化してしまうおそれもある。このような現象は、特に、有機機能素子の一例である有機EL素子においては大きな問題となる。
ここで、デバイス基板の面積が比較的小さい場合には、真空装置の壁面の一部を透明剛体により形成し、ドナー基板を該透明剛体上に配置してデバイス基板を重ね合わせ、真空チャンバ外から透明剛体を介してドナー基板にレーザを照射する方法を採ることもできる。しかしながら、この方法は、デバイス基板の面積が大きくなると、それに伴って透明剛体に要求される強度が増加し、重量も過大となるため、現実的ではない。
このように、現在のところ、大面積のデバイス基板に対して機能層をなす薄膜パターンを形成する有効な方法がなく、基板の重ね合わせから光照射による転写材料の転写までの一連の工程を、真空中で一貫して行うことができる製造プロセスが望まれている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、デバイス基板とドナー基板との重ね合わせから光照射による転写材料の転写までの工程を、真空中において一貫して行うことができる転写装置、転写方法、及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る転写装置は、有機機能素子が形成される第1の基板に対し、照射された光を熱に変換する光熱変換層と転写材料を含む転写層とが設けられた第2の基板を重ね合わせ、前記第2の基板に光を照射することにより前記転写層を加熱し、昇華又は蒸発した前記転写材料を前記第1の基板に転写する転写装置において、前記第1及び第2の基板が配置されるチャンバと、前記チャンバ内において少なくとも前記第2の基板を保持する基板保持機構であって、前記転写材料が転写される面である前記第1の基板の被転写面と、前記転写層が設けられた面である前記第2の基板の転写面とを対向させ、前記第1及び第2の基板を重ね合わせた状態で保持する基板保持機構と、前記基板保持機構に向けて光を出射する光出射部と、を備え、前記基板保持機構に、前記光出射部から出射した前記光を透過させる光透過部であって、前記第2の基板に対して移動可能な少なくとも1つの光透過部が設けられていることを特徴とする。
上記転写装置において、前記基板保持機構は、互いに咬合可能な櫛型状をなし、各々が前記第2の基板の前記転写面と反対側の面を支持可能な2つの支持具と、前記2つの支持具の各々を移動させる駆動機構と、を備え、前記光透過部は、前記2つの支持具の各々が有する櫛歯の隙間領域であり、前記2つの支持具に前記第2の基板を交互に支持させることにより、前記第2の基板に対して前記光透過部の位置が変化することを特徴とする。
上記転写装置において、前記基板保持機構は、スリット状をなす少なくとも1つの開口が設けられ、前記第2の基板の前記転写面と反対側の面を支持可能な支持部材と、前記支持部材を移動させる駆動機構と、を備え、前記光透過部は、前記少なくとも1つの開口であり、前記反対側の面に対する前記支持部材の当接位置を移動させることにより、前記第2の基板に対して前記光透過部の位置が変化することを特徴とする。
上記転写装置において、前記基板保持機構は、円柱形状をなし、外周面を前記第2の基板の前記転写面と反対側の面に当接させ、互いに平行な軸を中心としてそれぞれ回転可能な複数の回転体であって、前記反対側の面の側に、互いに平行且つ間隙を空けて配置された複数の回転体を備え、前記光透過部は、隣り合う前記複数の回転体の間隙であり、前記複数の回転体を回転させて、前記第2の基板に対する前記複数の回転体の当接位置を変化させることにより、前記第2の基板に対して前記光透過部の位置が変化することを特徴とする。
上記転写装置は、前記第1の基板を保持する保持機構であって、円柱形状をなし、外周面を前記第1の基板の前記被転写面と反対側の面に当接させて回転可能な複数の第2の回転体を有する保持機構をさらに備え、前記複数の回転体と前記複数の第2の回転体とを回転させることにより、前記第1及び第2の基板が一体的に搬送されることを特徴とする。
上記転写装置は、前記第1の基板を保持する保持機構であって、互いに対向する第1及び第2の面を含み、前記第1の面により前記第1の基板を保持可能な板状部材と、円柱形状をなし、外周面を前記板状部材の前記第2の面に当接させて回転可能な複数の第2の回転体と、を有する保持機構をさらに備え、前記複数の回転体と前記複数の第2の回転体とを同期させて回転させることにより、前記板状部材並びに前記第1及び第2の基板が一体的に搬送されることを特徴とする。
上記転写装置において、前記第1及び第2の基板は、前記転写面及び前記被転写面を水平にして保持されることを特徴とする。
上記転写装置において、前記第1及び第2の基板は、前記転写面及び前記被転写面を鉛直方向と平行に向けて保持されることを特徴とする。
本発明に係る転写方法は、有機機能素子が形成される第1の基板に対し、照射された光を熱に変換する光熱変換層と転写材料を含む転写層とが設けられた第2の基板を重ね合わせ、前記第2の基板に光を照射することにより前記転写層を加熱し、昇華又は蒸発した前記転写材料を前記第1の基板に転写する転写方法において、前記転写材料が転写される面である前記第1の基板の被転写面と、前記転写層が設けられた面である前記第2の基板の転写面とを対向させ、前記第1及び第2の基板を重ね合わせてチャンバ内に配置する基板配置工程と、前記第2の基板に光を照射して前記転写層を加熱することにより、前記転写材料を前記被転写面に転写する光照射工程と、を含み、前記第2の基板は、該第2の基板に向けて照射された光を透過させる少なくとも1つの光透過部が設けられた基板保持機構によって保持され、前記光照射工程は、前記基板保持機構に向けて1回目の光照射を行うことにより、前記光透過部を透過した前記光を前記第2の基板の第1の領域に照射する第1光照射工程と、前記第2の基板に対する前記基板保持機構の位置を移動させて2回目の光照射を行うことにより、前記光透過部を透過した前記光を、前記第2の基板の前記第1の領域とは異なる第2の領域に照射する第2光照射工程と、を含む。
本発明に係るデバイス製造方法は、上記転写方法と、支持体上に下地層を形成することにより、前記転写方法において使用される前記第1の基板を作製する工程と、前記転写方法により前記転写材料が転写された前記第1の基板に上層を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、第2の基板に対して移動可能な少なくとも1つの光透過部が設けられた基板保持機構により第2の基板を保持し、第2の基板に対して光透過部の位置を移動させて第2の基板に光照射を行うので、第1及び第2の基板の重ね合わせから転写材料の転写までの工程を、真空中において一貫して行うことができる。従って、大面積のデバイス基板に対しても、装置を大型化及び複雑化させることなく、真空中において均一な光照射を行うことができる。その結果、装置負荷を抑制しつつ、良好な性能を有する有機機能素子を製造することが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る転写装置の構成の一部を示す一部断面図である。 図2は、図1に示すデバイス基板及びドナー基板を拡大して示す断面図である。 図3は、図1に示す基板保持機構の具体的な構成を示す斜視図である。 図4は、本発明の実施の形態1に係るデバイス製造方法を示すフローチャートである。 図5は、デバイス基板を転写室に搬送する工程を示す模式図である。 図6は、櫛型支持具によってドナー基板を保持している状態を示す模式図である。 図7Aは、照射光によりドナー基板を照射する工程を示す模式図である。 図7Bは、照射光によりドナー基板を照射する工程を示す斜視図である。 図8は、照射光によるドナー基板の走査方法を説明する模式図である。 図9は、照射光によるドナー基板の走査方法を説明する模式図である。 図10Aは、基板保持機構の櫛型支持具を入れ替える工程を示す模式図である。 図10Bは、基板保持機構の櫛型支持具を入れ替える工程を示す斜視図である。 図11Aは、基板保持機構の櫛型支持具を入れ替える工程を示す模式図である。 図11Bは、基板保持機構の櫛型支持具を入れ替える工程を示す斜視図である。 図12は、櫛型支持具を退避させる位置の別の例を示す模式図である。 図13Aは、照射光によりドナー基板を照射する工程を示す模式図である。 図13Bは、照射光によりドナー基板を照射する工程を示す斜視図である。 図14は、発光層のパターンが形成されたデバイス基板を示す断面図である。 図15は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る転写方法を説明するための断面図である。 図16は、有機TFT素子用のデバイス基板及びドナー基板を示す断面図である。 図17は、本発明の実施の形態1の変形例3における基板ステージを示す断面図である。 図18は、本発明の実施の形態1の変形例4における照明光の照射方法を説明するための模式図である。 図19は、本発明の実施の形態2に係る転写装置が備える基板保持機構の一部を示す斜視図である。 図20Aは、実施の形態2に係る転写方法を説明するための断面図である。 図20Bは、実施の形態2に係る転写方法を説明するための側面図である。 図20Cは、実施の形態2に係る転写方法を説明するための断面図である。 図21Aは、本発明の実施の形態3に係る転写装置が備える基板保持機構の一部を示す斜視図である。 図21Bは、図21Aに示す基板保持機構を拡大して示す側面図である。 図22Aは、本発明の実施の形態4に係る転写装置が備える基板保持機構の一部を示す斜視図である。 図22Bは、図22Aに示す基板保持機構を拡大して示す側面図である。 図23は、本発明の実施の形態5に係る転写装置が備える基板保持機構の一例を示す斜視図である。 図24は、本発明の実施の形態5に係る転写装置が備える基板保持機構の一例を示す斜視図である。 図25は、本発明の実施の形態5に係る転写装置が備える基板保持機構の一例を示す斜視図である。 図26は、本発明の実施の形態5に係る転写装置が備える基板保持機構の一例を示す斜視図である。 図27は、実施例1において作製した有機EL素子の点灯試験の結果を示す写真である。 図28は、実施例2において用いた基板保持機構の構造を示す側面図である。 図29は、比較例1において用いた基板保持機構の構造を示す側面図である。 図30は、比較例1において作製した有機EL素子の点灯試験の結果を示す写真である。 図31は、比較例2において用いた筐体の構造を示す断面図である。 図32は、比較例2において作製した有機EL素子の点灯試験の結果を示す写真である。
以下に、本発明に係る転写装置、転写方法、及びデバイス製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
本発明は、有機機能素子が形成される第1の基板(以下、デバイス基板という)に対し、照射された光を熱に変換する光熱変換層と有機機能材料(転写材料)を含む転写層とが設けられた第2の基板(以下、ドナー基板という)を重ね合わせ、ドナー基板に光を照射することにより転写層を加熱し、昇華又は蒸発した転写材料をデバイス基板に転写する転写装置及び転写方法、並びに、この転写方法を用いたデバイス製造方法に関するものである。ここで、有機機能素子とは、有機機能材料からなる薄膜に導電性を付与して電流を流すことにより所定の機能を発現する素子のことをいい、例えば、有機EL素子、有機TFT、光電変換素子、各種センサー等が挙げられる。ただし、本発明は、これらの有機機能素子の製造に限定されず、ドナー基板に設けられた転写層を光エネルギーにより加熱して他の基板に転写することにより、転写材料の薄膜パターン(以下、転写膜ともいう)を形成する装置及び方法であれば適用することができる。
以下の実施の形態においては、有機機能素子の例として、主に、有機EL素子を挙げて説明する。また、有機EL素子を表す図面においては、カラーディスプレイにおいて多数の画素を構成するRGB副画素の最小単位を抜き出して示している。これらの図面においては、理解を助けるために、図の横方向(基板面内方向)に比較して縦方向(基板垂直方向)の倍率を拡大している。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る転写装置の構成の一部を示す一部断面図である。図1に示すように、実施の形態1に係る転写装置1は、ドナー基板20からデバイス基板10への転写材料の転写を含む一連の工程を行うための装置であり、真空チャンバ30と、デバイス基板10を保持する保持機構としての基板ステージ40と、ドナー基板20を保持する基板保持機構50と、ドナー基板20を照射するレーザ等の照射光Lを出射する光源60と、これらの各部の動作を統括して制御する制御部100とを備える。なお、図1においては、光源60からの照射光Lの出射方向をZ方向とし、デバイス基板10及びドナー基板20は、水平面(XY平面)と平行に配置されているものとする。また、図1においては、真空チャンバ30及びその内部のみを断面で示している。
図2は、図1に示すデバイス基板10及びドナー基板20を拡大して示す断面図である。図2に示すように、デバイス基板10は、支持体11と、該支持体11の一方の主面に形成されたTFT層12と、平坦化層13と、パターニングされた絶縁層14と、第1電極層15と、正孔輸送層16とを備える。このうち絶縁層14のパターンによって区分される各区画10a〜10cが、転写材料が転写されることにより、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色で発光する発光層が形成される被転写領域である。以下、転写材料が転写される側の面を、被転写面という。
支持体11の材料は、その主面上に有機機能材料からなる転写膜をパターニングすることができ、且つ、転写膜を含む構造物を支持可能で、真空中において搬送可能な材料であれば特に限定されない。支持体11としては、樹脂材料からなるフィルムやガラス板等が用いられる。
支持体11の主面には、取り出し電極を含む電気制御用のTFT層12が設けられている。このTFT層12の表面は、ポリイミド、ポリアミドイミド、アクリル、ウレタン、エポキシ等からなる平坦化層13により覆われている。
平坦化層13上には、有機EL素子における各色の発光層を区画する絶縁層14が格子状に形成されている。ここで、絶縁層14は必須ではないが、デバイス基板10とドナー基板20とを重ね合わせた際に、ドナー基板20に設けられた区画パターン24(後述)がデバイス基板10の下地層(TFT層12〜正孔輸送層16)に接触して傷付けることを防止する観点から、絶縁層14を設けておくことが好ましい。
なお、絶縁層14の平面形状は、格子状に限定されない。例えば、R、G、Bの3色でそれぞれ発光する3種類の発光層を設ける場合には、1方向に伸びるストライプ状をなす絶縁層14を形成しても良い。或いは、ハニカム形状等、さらに複雑な形状としても良い。
第1電極層15は、ITO(酸化インジウム錫)、IZO(酸化インジウム亜鉛)、ZTO(亜鉛錫複合酸化物)等の透明導電性膜により形成され、パターニングされている。
さらに、絶縁層14及び第1電極層15の上層には、正孔輸送層16が全面にわたって形成されている。
なお、有機EL素子等の有機機能素子を製造する際には、支持体11上に電極等の各種構造物を予め形成した上で有機機能材料を転写しても良いし、支持体11に有機機能材料を転写した後で、これらの構造物を形成しても良い。実施の形態1においては、前者としている。
一方、ドナー基板20は、ガラス等からなる支持体21と、該支持体21の一方の主面に形成された光熱変換層23と、区画パターン24と、光熱変換層23及び区画パターンを覆うバリア層25と、区画パターン24によって区分される各区画に形成された転写層27(転写層27R、27G、27G)とを備える。以下、転写層27が設けられた側の面を転写面という。
支持体21の材料としては、光の吸収率が小さく、主面上に光熱変換層23、区画パターン24、及び転写層27を安定して形成できる材料であれば特に限定されない。具体的には、デバイス基板10の支持体11と同様の材料を用いることができる。上述したように、転写工程を真空中で実施する場合には、支持体からのガス放出が少ないことが要求されるので、支持体21の材料としてもガラス板は特に好ましい。
光熱変換層23は、照射された光の光エネルギーを熱エネルギーに変換する層であり、カーボンブラック、黒鉛、チタンブラック、有機顔料若しくは金属粒子等を樹脂に分散させた薄膜、又は、金属薄膜を含む無機薄膜等によって形成されている。この光熱変換層23は光吸収率が大きいことから、転写層27の形成領域内外の適切な位置に、光熱変換層23を利用したドナー基板20の位置マークを形成しても良い。
なお、光熱変換層23の下層(支持体21側の境界)に、必要に応じて反射防止層を形成しても良い。反射防止層としては、反射率の高い金属薄膜や屈折率差を利用した光学干渉薄膜が好適に使用され、アルミニウム、銀、銅、シリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン等の単体又は合金薄膜、混合薄膜、或いはこれらの積層薄膜が用いられる。
また、光熱変換層23の上層、或いは、後述するバリア層25と転写層27との間に中間層を形成しても良い。これは、光熱変換層23の触媒効果により転写層27が分解されたり、転写層27の昇華又は蒸発時に表層同士が反応するのを抑制するためである。中間層としては、貴金属類や安定な酸化物等の安定な材料を用いることが好ましい。
区画パターン24は、光熱変換層23上又は支持体21上に直接形成され、転写層27の形成領域を区画すると共に、デバイス基板10に対してドナー基板20を重ね合わせた際に被転写領域を区画する。区画パターン24は、酸化ケイ素や窒化ケイ素をはじめとする酸化物又は窒化物、ガラス、セラミックス、ポリビニル、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリスチレン、アクリル、ノボラック、シリコーン等の樹脂によって形成されている。
なお、実施の形態1においては、区画パターン24の平面形状を格子状としているが、区画パターン24の形状はこれに限定されない。例えば、ドナー基板20に3種類の転写層27R、27G、27Bを形成する場合には、1方向に伸びるストライプ状をなす区画パターン24を形成しても良いし、反対に、ハニカム形状等のさらに複雑な形状としても良い。また、区画パターン24の面積を広げ、転写層27R、27G、27Bのいずれも形成されない領域を設けることにより、デバイス基板10に対して非転写領域(転写材料を転写しない領域)を設けることも可能である。
バリア層25は、光熱変換層23及び区画パターン24の表面に設けられ、区画パターン24から転写層27に含まれる溶液への不純物等の溶出を防ぐと共に、転写層27に含まれる溶液の溶媒が区画パターン24に侵入してドナー基板20の表面を汚染したり、侵入した溶媒が隣の区画へ混入するのを防ぐ。バリア層25は、一例として、金属、金属酸化物、金属窒化物、珪素酸化物、珪素窒化物等により形成されている。バリア層25は必須ではないが、少なくとも区画パターン24の表面を覆うように形成することが好ましい。図2においては、光熱変換層23及び区画パターン24表面の全面にバリア層25を形成している。
転写層27は、有機EL素子、有機TFT、光電変換素子、各種センサー等の有機機能素子を構成する薄膜(機能層)の材料である転写材料を含み、区画パターン24によって区分された各区画(区画パターン24の開口内)に設けられている。転写材料は、有機材料と金属を含む無機材料とのいずれでもよく、加熱された際に、蒸発、昇華、又はアブレーション昇華する材料、或いは、接着性変化や体積変化を利用してドナー基板20からデバイス基板10に転写可能な材料であればよい。また、転写材料は、有機機能素子を構成する薄膜材料の前駆体であっても良く、この場合、転写材料の転写前又は転写中に熱や光によって転写材料が薄膜材料に変換され、デバイス基板10に転写される。実施の形態1においては、有機EL素子における3色の発光層となる3種類の転写材料により、転写層27R、27G、27Bを形成している。
なお、支持体21の転写面とは反対側の面(光入射面)には、反射防止層を形成してもよい。反射防止層としては、反射率の高い金属薄膜や屈折率差を利用した光学干渉薄膜が好適に使用される。具体的には、アルミニウム、銀、銅、シリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン等の単体又は合金薄膜、混合薄膜、或いは、これらの積層薄膜を使用することができる。
また、ドナー基板20の任意の位置にアライメントマークを設けても良い。
再び図1を参照すると、真空チャンバ30には、ドナー基板20からデバイス基板10への転写材料の転写工程が行われる転写室302と、デバイス基板10に対する転写工程の前処理が行われる前処理室301と、デバイス基板10に対する転写工程の後処理が行われる後処理室303とが設けられている。これらの前処理室301、転写室302、及び後処理室303は、後述する基板ステージ40が通過可能な連結口304、305によって連結されている。
真空チャンバ30には、減圧機構300が設けられている。減圧機構300は、前処理室301と、転写室302と、後処理室303とにおいて共通で用いられるものであっても良いし、前処理室301、転写室302、後処理室303の各々に1つずつ設けられるものであっても良い。連結口304には、ゲートバルブ306が設けられており、ゲートバルブ306を閉じることにより、前処理室301と転写室302とが遮断される。
転写室302を形成する1つの壁面(図1においては下側の壁面)には、Y方向に伸びる互いに平行な直線スリット状の複数の開口307が設けられている。実施の形態1において、これらの開口307は、光源60から出射し、窓308に入射した照射光Lを基板保持機構50に向けて出射する光出射部である。
各開口307は、光透過可能な窓308により密閉されている。窓308の材料としては、透明でレーザ等の光線を透過するものであれば特に限定されない。一般的には、窓308の材料として透明ガラスが使われ、フロートガラスやソーダライムガラスを例とする青板ガラス、B−270を例とする白板ガラス、パイレックス(登録商標)やテンパックス(登録商標)を例とする耐熱ガラス、石英ガラスやBK−7を例とする光学ガラスを用いることが好ましい。また、照射光Lの波長を良く通す材料であれば、ガラス以外の透明材料を用いても良い。
基板ステージ40は、デバイス基板10を保持し、前処理室301、転写室302、及び後処理室303間でデバイス基板10を搬送したり、デバイス基板10をドナー基板20に対してアライメントして重ね合わせる際に用いられる。なお、図1においては、基板ステージ40の内部構造の記載を省略している。
基板ステージ40によるデバイス基板10の保持方式は特に限定されず、例えば、爪やホック等によりデバイス基板10を引っ掛ける方式や、粘着、真空吸着、静電吸着、磁力吸着等の方式を用いることができる。これらの方式は、単独で用いても良いし、複数の方式を組み合わせて用いても良い。例えば、大気中においては、爪又は真空吸着によりデバイス基板10を保持し、真空中においては静電吸着又は磁力吸着によりデバイス基板10を保持するといった切り替え可能な構成としても良い。
基板ステージ40のデバイス基板10との当接面は、該デバイス基板10を均一の高さで保持するため、平面度を高くすることが好ましい。具体的には、基板の転写予定のエリア内で例えば100μm以内の平面性を持つことが好ましい。
また、基板ステージ40のデバイス基板10との当接面に、デバイス基板10の凹凸を吸収可能な弾性緩衝材を設けても良い。この場合、当接面に要求される平面性を緩和することができる。
さらに、基板ステージ40に、デバイス基板10とドナー基板20とのアライメント用に、カメラ穴等を設けても良い。
このような基板ステージ40は、該基板ステージ40を移動させる駆動機構(図示せず)と組み合わせて、基板ステージ40にデバイス基板10を保持させたまま、前処理室301、転写室302、及び後処理室303に基板ステージ40を順次搬送可能な構成としても良い。或いは、別途設けた基板搬送機構(図示せず)によりデバイス基板10を転写室302に搬入した後、転写室302内においてデバイス基板10を基板ステージ40に保持させてアライメントを行い、転写工程の終了後、別途設けた基板搬送機構(図示せず)によりデバイス基板10のみを後処理室303に搬送するように構成しても良い。
転写工程においてデバイス基板10及びドナー基板20が加熱された際に、両者の熱膨張の差によるアライメントのずれを防止するため、基板ステージ40に、基板温度を均一に保つ温度調節機構や排熱機構を設けることが好ましい。例えば、基板ステージ40に気密性の水冷管や空冷管を配置し、基板ステージ40を介してデバイス基板10及びドナー基板20に発生した熱を排出しても良い。また、このような温度調節機構又は排熱機構を設ける場合には、温度ムラによる熱膨張の差に起因するデバイス基板10のそりや歪みによるアライメントのずれが生じないよう、デバイス基板10を基板ステージ40に密着させて保持することが好ましい。そのためには、基板ステージ40に、例えば静電吸着や磁力吸着のように、デバイス基板10の面全体に対して引力をかけられる保持機構を設けると良い。
基板保持機構50は、転写室302内においてドナー基板20を保持する。第2基板保持機構50には、窓308の方向から照射される光を透過させてドナー基板20に照射させる少なくとも1つの移動可能な光透過部が設けられている。
図3は、基板保持機構50の具体的な構成を示す斜視図である。基板保持機構50は、各々が櫛型状をなし、互いに咬合可能な2つの支持具(以下、櫛型支持具)510、520と、制御部100の下で動作し、櫛型支持具510、520をそれぞれ移動させる駆動機構515、525とを備える。各櫛型支持具510、520は、互いに間隔を空けて配置された複数の櫛歯511、521と、複数の櫛歯511、521を連結する連結部512、522とを有する。なお、図3においては、櫛型支持具510、520を識別し易くするために、櫛型支持具510の櫛歯511の上面及び右側面に網掛けを施している。
基板保持機構50の材料としては、真空中で剛直な形状を保ち、基板を平坦に保持できるものであれば特に限定されない。一般的には金属が好ましく用いられ、中でも、強度の強いSUS等の鉄の合金、熱伝導性の良い銅の合金、軽量性に優れたアルミニウムの合金等の材料が好ましい。また、剛直性を確保できるのであれば、基板保持機構50の材料として、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等のエンジニアプラスチック等も用いても良い。或いは、これらの金属やプラスチックを組み合わせても良い。
各櫛歯511、521の上面は、ドナー基板20の転写面と反対側の面と当接する基板支持面513、523となっている。また、隣り合う櫛歯511、521の間隙514、524が、光源60から出射した照射光Lを透過させてドナー基板20を照射させる光透過部である。
これらの櫛型支持具510、520は、互いに咬合させた状態でドナー基板20を支持可能であると共に、櫛型支持具510、520単独でもドナー基板20を支持可能である。櫛型支持具510、520を互いに咬合させた状態でドナー基板20を支持し、櫛型支持具510、520を交互に1つずつ外すと、ドナー基板20に対する光透過部の位置が変化する。
ここで、櫛型支持具510、520のいずれか一方でドナー基板20を保持した際に、櫛歯511、521にたわみが生じると、デバイス基板10とドナー基板20との間のギャップが大きくなり、転写材料が転写された領域が必要以上に拡がり、転写膜のパターン精度が低下してしまう。このため、櫛型支持具510、520においては、ドナー基板20をできるだけ多くの点で支持することにより、たわみの発生を抑えることが好ましい。そのためには、好ましくは間隙514、524の幅を50mm以内、さらに好ましくは30mm以内にすると良い。
図1に示すように、基板支持面513、523には、緩衝材として適度な弾力を持った弾性体501を配置しても良い。弾性体501としては、例えば、ばねやゴム、その他、弾性に富む樹脂材料等を用いることができ、各基板支持面513、523の複数箇所に突起状に設けても良いし、各基板支持面513、523にシート状に設けても良い。このような弾性体501を設けることにより、デバイス基板10とドナー基板20とを当接させ、両者を密着させる際に、適度な弾力でドナー基板20を押し付けることにより、両基板の持つゆがみや厚みむらによる基板間のギャップを解消することができるからである。
弾性体501を突起状とする場合には、基板支持面513、523のある程度広い範囲に均一に分布させることが好ましい。それにより、基板の重ね合わせの圧力の均一性や、基板間のギャップの均一性を保つことができ、ひいては、転写後の有機機能素子における性能むらを小さくすることができるからである。具体的には、少なくとも30mm以下の間隔で突起状の弾性体501が配置されることが好ましく、さらには、弾性体501の間隔を20mm以下とすることが、基板間の均一な重ね合わせのためにも好ましい。突起状の弾性体501の変形量は特に限定されないが、一般的に、基板の歪みや厚みむらを解消するためには0.3mm以上変形可能な部材とすることが望ましく、さらには、1mm以上変形可能であれば、大面積の基板においても歪みや厚みむらのマージンが大きくなるために好ましい。
また、各櫛型支持具510、520に対し、櫛歯511、512を補強するために、ガラス等の透明部材により間隙514、524を覆っても良い。
光源60は、各々が照射光Lを出射する複数の光出射口601と、これらの光出射口601を含む光源60全体を搬送する搬送部602とを備え、制御部100の制御の下で動作する。各光出射口601は、対応する位置に設けられた窓308の方向(Z方向)に照射光Lを出射する。搬送部602は、これらの光出射口601をY方向に沿って搬送することにより、照射光Lによりドナー基板20を走査する。このように、搬送部602を含む光源60を真空チャンバ30の外部に設ける場合には、真空チャンバ30のサイズを小さくすることができて好ましい。
なお、光出射口601は、各々が自ら光を発生する光源装置により構成されていても良いし、1つの光源装置が発生した光を分割して出射する光分割部等により構成されていても良い。
光源60の種類としては、ドナー基板20に形成された光熱変換層23を加熱して転写層27を昇華又は蒸発させ、デバイス基板10に転写膜を形成することができれば特に限定されない。光源60として、好ましくは、半導体レーザ、ファイバーレーザー、YAGレーザ、アルゴンイオンレーザー、窒素レーザ、エキシマレーザー等公知のレーザを利用することができる。レーザは、容易に高強度が得られると共に、照射光の形状制御に優れるため、実施の形態1に係る転写方法に好適である。レーザを用いる場合には、光熱変換層23の材料に対して最適な吸収波長に合わせた波長を選択することが好ましい。実施の形態1においては、短時間においては高強度の光が照射される間欠発振モード(パルス)レーザと、連続発振(Continuous Wave)モードレーザとのいずれを用いても良い。
ここで、光源60としてパルスレーザを用いる場合、ドナー基板20に対する照射光Lの走査により逐次移動する照射位置がパルスごとにオーバーラップすることが、均一な転写膜を形成する上で望ましい。このため、周波数はある程度大きくする必要があり、具体的には、周波数は約1kHz以上とすることが好ましい。一方、周波数が高すぎると(例えば、1MHz程度)、1ショット当たりのパワーが小さくなるため、擬似的に連続発振モードのレーザ照射と同様になる。
この他、光源60として、赤外線ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ等の光源や、インフラヒーターの集束光等を利用することもできる。
照射光Lの波長は、照射雰囲気とドナー基板20の支持体21における吸収が小さく、かつ、光熱変換層23において効率よく吸収される波長であれば特に限定されず、可視光領域だけでなく紫外光から赤外光まで利用することができる。ドナー基板20に好適な支持体21の材料を考慮すると、好ましい波長領域として300nm〜5μm、更に好ましい波長領域として380nm〜2μmを例示することができる。
また、照射光Lの形状(光軸と直交する面における断面形状)は特に限定されず、矩形状、線状、楕円形、正方形、多角形等、転写条件に応じて最適な形状を選択することができる。
搬送部602の移動速度(即ち、スキャン速度)は、速いほど転写工程に要する時間が短くなるため好ましいが、一方で機械的な負担が大きくなる。このため、スキャン速度は、50mm/s程度〜10,000mm/s程度の間とすることが好ましい。
ここで、真空チャンバ30に設けられる複数の開口307は、光出射口601から出射した照射光Lにより走査を行うエリアに合わせた形状とすることが好ましい。実施の形態1においては、直線的に走査を行うため、上述したように、複数の開口307を、互いに平行な直線スリット状としている。なお、開口307の形状や数については、光出射口601の配置や走査方向に合わせて適宜変更しても良い。
なお、図1においては、真空チャンバ30の下側に開口307、窓308、及び光源60を設けた例を示しているが、開口307、窓308、及び光源60を設ける位置は、真空チャンバ30の上面でも良いし、側面でも良い。
制御部100は、例えば汎用のパーソナルコンピュータによって構成され、記憶部に記憶された各種プログラムをCPUに読み込むことにより、記憶部に記憶された各種情報に基づき、デバイス製造層1の各部の動作を統括的に制御する。
次に、実施の形態1に係る転写方法を含むデバイス製造方法について説明する。図4は、実施の形態1に係るデバイス製造方法を示すフローチャートである。また、図5〜図14は、実施の形態1に係る転写方法を説明する模式図である。以下においては、ドナー基板20からデバイス基板10に転写材料を転写することにより、有機EL素子を製造する場合について説明する。
まず、工程S1において、デバイス基板10及びドナー基板20を作製する。
デバイス基板10の支持体11を形成する樹脂材料として、具体的には、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリエポキシ、ポリプロピレン、ポリオレフィン、アラミド樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの有機材料は、高解像度で簡便に形成できるため好ましく用いられる。特に、ポリイミドやポリアミドは高耐熱性を有するため、プロセス途中で加熱されるデバイス基板として好ましい。
また、化学的及び熱的安定性、寸法安定性、機械的強度、並びに透明性といった観点からは、支持体11としてガラス板を用いることも好ましい。ガラス板の材料としては、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、含鉛ガラス、ホウ珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、低膨張ガラス、石英ガラス等から条件に応じて適宜選択することができる。実施の形態1においては、有機機能材料の転写工程(後述する工程S5〜S8)を真空中で実施するため、支持体11からのガス放出が少ないことが要求される。このため、ガラス板は特に好ましい支持体である。
この支持体11の主面に、フォトリソグラフィ法等の公知のパターニング技術によりTFT層12を形成する。さらに、TFT層12の表面に、ノズル塗布、スプレー塗布、スピンコート等の公知の塗布技術によりポリイミド、ポリアミドイミド、アクリル、ウレタン、エポキシ等からなる平坦化層13を形成する。
絶縁層14の材料は、パターン形成可能な材料であれば特に限定されず、一般には、ポリイミド、アクリル、エポキシ等の感光性材料が用いられる。特に、ポリイミドは、耐久性や素子性能の観点で実績があり、好ましく用いられる。具体的には、ポリイミド前駆体材料を用いた公知のパターニング技術により絶縁層14を形成することができる。
絶縁層14の形成方法は特に限定されず、例えば、スピンコート、スリットコート、ディップコート等の公知技術を利用することができる。また、絶縁層14のパターニング方法も特に限定されず、例えば公知のフォトリソグラフィ法や塗布技術等を利用することができる。或いは、感光性材料を含むバインダーを用いてガラス粉末のパターンを形成し、該パターンを焼成することで、無機材料からなる絶縁層14を形成しても良い。
絶縁層14の膜厚は、0.2μm程度〜10μm程度とすることが好ましい。薄すぎると絶縁層14の性能や電気的なリークが問題となることがあり、厚すぎると絶縁層14から発生する揮発成分が多くなり、完成した有機EL素子の素子性能に影響を与えるおそれがある。
この絶縁層14の表面に、真空蒸着法等の公知の成膜技術及びフォトリソグラフィ法等の公知のパターニング技術により、ITO(酸化インジウム錫)、IZO(酸化インジウム亜鉛)、ZTO(亜鉛錫複合酸化物)等の透明導電性膜からなる第1電極層15を形成する。
さらに、絶縁層14及び第1電極層15の上層に、真空蒸着法等の公知の成膜技術によって正孔輸送層16を形成する。
なお、デバイス基板10を構成するこれらの層は、真空チャンバ30の転写室302の前段(前処理室301等)において形成しても良い。
一方、ドナー基板20の支持体21を形成する材料として、好ましくは上述したガラス板が用いられる。また、ドナー基板20には、転写工程において照射される光の輻射熱により加熱され、或いは、デバイス基板10からの伝熱を受けるなどして、温度変化が生じる場合がある。このとき、デバイス基板10の支持体11とドナー基板の支持体21との熱膨張率が互いに異なると、特に大面積の場合には、両基板間でアライメントのずれが生じ、或いは、基板のいずれか一方又は両方にそりが発生するおそれがある。それにより、パターニング精度が低下し、転写層27R、27G、27Gから昇華又は蒸発した各色の転写材料がデバイス基板10において混色するなど、完成した有機EL素子の性能低下といった影響を及ぼしてしまう。このため支持体11、21間において熱膨張係数(線膨張率)を合わせておくことが好ましい。
具体的には、支持体11、21間における熱膨張係数の差が10ppm/℃以下であることが好ましい。より好ましくは、これらの支持体11、21を同種の材料、さらに好ましくは両者を同一の材料で形成すると良い。なお、両者の厚さは、互いに同一であっても良いし、異なっていても良い。
また、支持体21においては、後述する光熱変換層23が高温に加熱された際にも、支持体21自体の温度上昇及び熱膨張を許容範囲内に収める必要がある。このため、支持体21の熱容量は、光熱変換層23の熱容量よりも十分に大きいことが好ましい。そのためには、例えば、支持体21の厚さを、光熱変換層23の厚さの10倍以上とすると良い。このようにすることで、ドナー基板20を大型化しても、熱膨張による寸法変位量が少なく、高精度なパターニングが可能になる。
また、支持体21の光入射面や光熱変換層23の下層に反射防止層を形成する場合には、この段階で形成する。反射防止膜は、アルミニウム、銀、銅、シリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン等の単体又は合金を用いて、スピンコート、スリットコート、真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知技術により形成することができる。
光熱変換層23は、カーボンブラック、黒鉛、チタンブラック、有機顔料若しくは金属粒子等を樹脂に分散させた薄膜、又は、金属薄膜等の無機薄膜等により形成される。実施の形態1においては光熱変換層23が500℃程度に加熱される場合もあるので、耐熱性に優れた無機薄膜により光熱変換層23を形成することが好ましく、光吸収や成膜性の観点から、金属薄膜により形成することがさらに好ましい。金属材料としては、タングステン、タンタル、ニオブ、マンガン、モリブデン、チタン、クロム、金、銀、銅、白金、鉄、亜鉛、アルミニウム、コバルト、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、ジルコニウム、シリコン、カーボン等の単体又は合金の薄膜、或いは、それらの積層薄膜を使用することができる。
光熱変換層23は、少なくとも、転写層27が設けられる領域に形成されていれば良く、その平面形状は特に限定されない。例えば、図2に示すように、光熱変換層23を支持体11上の全面に形成しても良いし、区画パターン24以外の領域のみに形成しても良い。例えば、区画パターン24の密着性が、支持体21に対しては良好であるが、光熱変換層23に対しては乏しい場合には、支持体21上に区画パターン24を直接形成し、区画パターン24以外の領域に光熱変換層23をパターニングするなどして、区画パターン24の少なくとも一部が支持体21と接触するようにしても良い。なお、光熱変換層23をパターニングする場合、区画パターン24と同種の形状にする必要はなく、例えば、区画パターン24を格子状のパターンとし、光熱変換層23をストライプ状のパターンとしても良い。
このような光熱変換層23は、スピンコート、スリットコート、真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知技術により形成することができる。また、光熱変換層23等をパターニングする場合には、公知のフォトリソグラフィ法やレーザーアブレーション法等を利用することができる。
なお、光熱変換層23の上面は、平滑であっても良いし、転写層27をなす転写材料との濡れ性向上のために粗化処理しても良い。
また、この後で、光熱変換層23の上層に、貴金属類や安定な酸化物等の安定な材料からなる中間層を形成しても良い。中間層は、スピンコート、スリットコート、真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知技術により形成することができる。
この光熱変換層23上(光熱変換層23をパターニングした場合には、支持体21上)に、区画パターン24を形成する。区画パターン24の材料及び構成としては、光熱変換層23において発生した熱に対して安定であれば特に限定されない。具体的な材料としては、無機物では酸化ケイ素や窒化ケイ素をはじめとする酸化物又は窒化物、ガラス、セラミックス等、有機物ではポリビニル、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリスチレン、アクリル、ノボラック、シリコーン等の樹脂を例示することができる。また、プラズマテレビの隔壁に用いられるガラスペースト材料を、区画パターン24の形成材料として用いることもできる。区画パターン24の熱伝導性は特に限定されないが、区画パターン24を介して接触するデバイス基板10に熱が拡散するのを防ぐ観点から、区画パターン24を有機物のように熱伝導率が小さい材料で形成する方が好ましい。さらに、パターニング特性及び耐熱性の面でも優れた材料として、ポリイミド及びポリベンゾオキサゾールを好ましい材料として例示することができる。
区画パターン24の形成方法は特に限定されず、無機物により形成する場合には真空蒸着、EB蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD、レーザーアブレーション等の公知技術を、有機物により形成する場合には、スピンコート、スリットコート、ディップコート等の公知技術を利用することができる。また、区画パターン24のパターニング方法も特に限定されず、例えば公知のフォトリソグラフィ法や塗布技術等を利用することができる。
区画パターン24の厚さは特に限定されないが、ドナー基板20をデバイス基板10に重ね合わせた際に、転写層27がデバイス基板10の被転写面に直接接触しない方が好ましい。具体的には、転写層27と被転写面との間隔を1μm〜100μm程度、特には2〜20μm程度の範囲に保つことが好ましい。このため、区画パターン24を、転写層27よりも厚く、好ましくは、転写層27の厚さに1μm〜100μm程度、特には2μm〜20μm程度の厚さを加えた厚さにすると良い。
次いで、光熱変換層23及び区画パターン24の表面にバリア層25を形成する。バリア層25の材料としては、一例として、金属、金属酸化物、金属窒化物、珪素酸化物、珪素窒化物等が挙げられる。ここで、ドナー基板20は、強酸、強アルカリ、有機溶剤により繰り返し洗浄され再利用されることが多く、光熱変換層23等の膜の剥離が生じないように耐久性が求められることから、バリア層25として、光熱変換層23及び区画パターン24との密着性が高い材料を選ぶことが好ましい。上記例示した材料の中でも、金属、具体的には、クロム、ニッケル、亜鉛、チタン、バナジウム、タンタル、マンガン等が、密着性の観点で好ましい材料である。さらに、光熱変換層23と同種の金属であれば光熱変換層23との密着性が向上するので、より好ましい。
また、以下の理由からも、バリア層25として金属を用いることが好ましい。即ち、金属は密度が高く、被覆性が高いことから、区画パターン24からの低分子成分の溶出を大きく抑えることができる。また、金属は塑性変形に対して延性を有するため、熱応力に対してクラックが発生しにくく、不純物溶出の点で大きな利点がある。
バリア層25の形成方法は特に限定されないが、一般的にはスパッタ法、蒸着法、CVD法等の公知技術が挙げられる。また、バリア層25の厚みも特に限定されないが、耐久性の観点から0.05μm以上とすることが好ましい。
このバリア層25の表面に、転写層27の昇華又は蒸発時における表層同士の反応を防ぐための中間層を設けても良い。
また、バリア層25の表面(バリア層25を設けない場合には、区画パターン24の表面)には、転写層27をなす転写材料を溶解させた溶液を撥液し、該溶液を区画パターン24の開口内に留めるための撥液処理層を設けても良い。
転写層27の材料は、デバイス基板10に形成する有機機能素子の種類に応じて選択される。有機機能素子として有機EL素子を作製する場合、転写により形成される発光層は単層でも複数層でもよく、複数層の場合、各層の発光材料は単一材料によって形成されていても良いし、複数材料の混合物により形成されていても良い。発光効率、色純度、耐久性の観点から、発光層はホスト材料とドーパント材料との混合物の単層構造であることが好ましい。この場合、発光層を形成するための転写材料は、ホスト材料とドーパント材料との混合物とすることが好ましい。
転写層27を形成する際に後述する塗布法を用いる場合、ホスト材料とドーパント材料との混合溶液を塗布し、乾燥させれば良い。或いは、ホスト材料とドーパント材料との溶液を別に塗布してもよい。転写層27を形成した段階でホスト材料とドーパント材料とが均一に混合されていなくても、転写時に両者が均一に混合されればよい。また、転写時におけるホスト材料とドーパント材料との蒸発温度の違いを利用して、発光層中のドーパント材料の濃度を膜厚方向に変化させることもできる。
転写層27の形成方法は特に限定されず、公知の成膜技術を用いることができる。具体的には、真空蒸着、スパッタリング、エレクトロデポジション等のドライプロセスが挙げられる。ドライプロセスは、膜厚を均一に形成することができるという利点がある。また、常圧下、減圧下、管理されたガス雰囲気下でのインクジェット、ノズル塗布、スプレー塗布、スピンコート、電界重合や電着、或いは、オフセット、フレキソ、平版、凸版、グラビア、スクリーン等の各種印刷といった塗布法も挙げられる。塗布法においては、転写材料及び溶媒を含む溶液を区画パターン24の開口内に塗布し、溶媒を乾燥させることにより転写層27が形成される。塗布法は、ドナー基板20の大型化に対応しつつ、材料を効率的に利用できるという利点がある。特に、実施の形態1においては、ドナー基板20の各区画パターン24の開口内に定量の転写材料を正確に配置することが重要であり、この観点から、インクジェット又はノズル塗布が特に好ましい方法として例示することができる。
なお、転写層27を塗布法により形成する場合において、転写層27の材料が溶解性と転写耐性と転写後のデバイス性能との全てを満たすときには、転写材料自体(デバイス構成材料)を溶媒に溶解させることが好ましい。転写材料が溶解性に乏しいときには、可溶性を改良して後に原型材料に復帰させることができる、薄膜材料の前駆体を利用することができる。前駆体は、転写材料にアルキル基などの溶媒に対する可溶性基を導入したり、有機機能素子材料としての性能に優れる材料に含まれることが多いベンゼン環にエチレン基やジケト基などの分子内架橋構造を導入したりすることで得ることができる。このような可溶性基や分子内架橋構造は、転写工程(後述する図4の工程S5〜S8)のいずれかの段階で、光照射や加熱により脱離させ、前駆体を原型材料に復帰させることができる。また、工程S6の転写の際の熱を利用して脱離させ、前駆体を原型材料に復帰させることもできる。
なお、転写層27を塗布法により形成する場合には、転写材料を含む溶液の濡れ性を向上させ、膜厚の均一性を改善するために、支持体21又は光熱変換層23に粗化処理を施すと良い。
転写層27の厚さは、形成する機能性薄膜の機能や、1つのドナー基板20からデバイス基板10に転写を行う転写回数によって異なる。例えば、フッ化リチウム等のドナー材料(電子注入材料)を転写する場合、転写層27の厚さは1nmで十分である。一方、電極材料の場合には、転写層27の厚さが100nm以上になることもある。実施の形態1のように、有機EL素子用のデバイス基板10に発光層を形成する場合には、転写層27の厚さを10nm〜100nm程度、さらには20nm〜50nm程度とすることが好ましい。
続く工程S2において、作製したドナー基板20を真空チャンバ30の転写室302に搬入し、基板保持機構50に保持させる。この際、転写面とは反対側の光入射面を基板保持機構50に当接させる。なお、この段階では、基板保持機構50の櫛型支持具510、520のいずれか一方でドナー基板20を保持しても良いし、互いに咬合させた2つの櫛型支持具510、520によってドナー基板を保持しても良い。
続く工程S3において、図5に示すように、デバイス基板10を転写室302内に搬送する。なお、これに先立って、デバイス基板10に対して前処理室301において所定の前処理を施しても良い。前処理としては、TFT層12〜正孔輸送層16の形成プロセスや、これらの構造物の表面の薬液によるウェット処理、加熱処理、プラズマやイオン衝撃によるドライ処理といった表面処理プロセス等が挙げられる。これらの処理は、大気中、不活性ガス中、又は真空中において適宜実施される。実施の形態1において、デバイス基板10は、基板ステージ40に保持された状態でこれらの前処理が施され、基板ステージ40に保持されたまま転写室302に搬入される。
続く工程S4において、減圧機構300により転写室302内を減圧する。
ここで、転写工程の雰囲気は、一般には、大気圧でも減圧下でもよい。例えば、反応性転写の場合には、酸素等の活性ガス雰囲気下で行うことも可能である。しかしながら、本発明においては、転写工程における転写材料のダメージの低減が課題の1つであるため、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気、或いは真空下で行うことが好ましい。また、圧力を適切に制御することにより、転写層の膜厚ムラの均一化を促進することが可能である。転写材料のダメージ低減、転写層への不純物混入の低減、及び蒸発温度の低温化といった観点では、転写工程を真空下で行うことが特に好ましい。
転写を行う際には、デバイス基板10とドナー基板20との基板間距離内において、転写材料の分子に、雰囲気中の残留ガスの分子との衝突による劣化を生じさせないことが重要である。ここで、基板間距離は、デバイス基板10及びドナー基板20の一方又は両方に形成された構造物の高さによって決まる。例えば、一方の基板にのみ構造物が形成されている場合には、該構造物の高さにより基板間距離が決まる。また、実施の形態1のように、両方の基板に構造物(絶縁層14及び区画パターン24)が形成されている場合には、これらの構造物の高さの合計で基板間距離が決まる。
このため、真空チャンバ30の真空度は高いことが望ましい。一般的な基板間距離である2μm〜20μmの間を転写材料の分子が移動する場合、両基板に挟まれた転写空間において残留ガスとの衝突を起こさない平均自由行程から計算される真空度は、好ましくは100Pa以下であり、さらに好ましくは1Pa以下である。
なお、転写室302とその前後の前処理室301及び後処理室303とは、前段及び後段の工程における雰囲気に応じて、開口したままでも良く、図6に示すようにゲートバルブ306で区切っても良い。例えば、デバイス基板10に対する前処理が真空プロセスによりなされた場合には、真空雰囲気を解除することなく、ゲートバルブ306を開放したまま前処理室301から転写室302にデバイス基板10を搬送しても良い。
続く工程S5において、転写室302内において基板保持機構50を上昇させ、ドナー基板20を所定位置に配置すると共に、基板ステージ40の位置をXY面内において調整することにより、デバイス基板10とドナー基板20とのアライメントを行う。そして、アライメントされたデバイス基板10の被転写面とドナー基板20の転写面とを対向させ、両者を重ね合わせて保持する。なお、この際には、例えば、液晶ディスプレイの製造プロセスにおいて使用される液晶材料の真空滴下・貼り合わせ等の公知技術を利用することができる。
また、この際、基板ステージ40を介してデバイス基板10に上部から均一の圧力をかけ、ドナー基板20に対して押し付けると良い。加圧方法は特に限定されないが、平面度の高い押さえ板を基板ステージ40上に載置して加圧する方法や、基板保持機構50に配置された弾性体501を圧縮させた状態で、デバイス基板10及びドナー基板20を保持する方法や、これらを組み合わせた方法が挙げられる。特に、基板保持機構50に弾性体501を配置しておくことにより、デバイス基板10及びドナー基板20を基板面全体にわたって均一に加圧することができるので好ましい。このようにデバイス基板10及びドナー基板20を押さえ付け、デバイス基板10とドナー基板20との間のギャップをなくすことにより、転写先(デバイス基板10の発光層)での転写材料の混色を防ぐことができる。
また、デバイス基板10とドナー基板とのアライメントずれを抑制するため、アライメント後に両基板を固定しても良い。固定方法は特に限定されないが、例えば、デバイス基板10及びドナー基板20の周縁部をクリップ等の固定具で挟持する方法や、両基板の周縁部を接着剤や粘着材により仮止めする方法が挙げられる。接着剤としては、紫外線(UV)で硬化する樹脂を用いても良い。
なお、基板保持機構50の2つの櫛型支持具510、520によりドナー基板20を保持していた場合には、この後、いずれか一方を退避させる。図6は、櫛型支持具510によってドナー基板20を保持している状態を示している。
続く工程S6において、図7Aに示すように、基板保持機構50の櫛型支持具510に向けて照射光Lを照射し、ドナー基板20からデバイス基板10に転写材料を転写する。即ち、光源60から照射光Lを出射させ、窓308、開口307、及び櫛型支持具510の櫛歯511の間隙514を通過した照射光Lによりドナー基板20を照射する。それにより、照射光Lがドナー基板20に設けられた光熱変換層23に吸収され、光熱変換層23から発生した熱により転写層27が加熱されて昇華又は蒸発し、デバイス基板10の正孔輸送層16(図2参照)上に堆積し、デバイス基板10に転写膜(発光層)が形成される。
このようにドナー基板20を照射しつつ、図7Bに示すように、ドナー基板20に対して光源60を、真空チャンバ30に設けられた開口307の長辺方向(Y方向)に沿って移動させる。それにより、櫛型支持具510の間隙514と対向するドナー基板20の領域が、照射光Lにより走査され、転写層27がデバイス基板10に転写される。なお、図7Bにおいては、真空チャンバ30及び基板ステージ40の記載を省略している。また、図7Aにおける櫛型支持具510は、図7BのA1−A1における断面を示している。
ここで、図8及び図9は、照射光Lによるドナー基板20の走査方法を説明する模式図であり、櫛型支持具510及びドナー基板20を図7Aの下方側から見た様子を示している。図8に示すように、間隙514の幅(X方向における長さ)WGが照射光Lの幅(同上)WLよりも大きい場合、照射光LをY方向に沿って複数回往復させることにより、1つの間隙514内に露出するドナー基板20の領域を走査する。この場合、照射光Lの走査ラインをX方向にずらす際に、照射光Lをオーバーラップさせると良い。或いは、照射光Lの重なりが生じないように間隙514内を一通り走査した後、照射光Lの継ぎ目の領域を重ねて走査しても良い。このような走査を行うことにより、間隙514と対向するドナー基板20の領域に照射光Lを均一に照射することができる。
なお、照射光Lの走査ラインをX方向にずらす際には、光源60(図7A参照)側を移動させても良いし、基板保持機構50、ドナー基板20、デバイス基板10、及び基板ステージ40側を一括して移動させても良い。
また、図9に示すように、間隙514の幅WGが照射光Lの幅WLと同程度である場合には、間隙514内に露出するドナー基板20の領域を、照射光LによりY方向に沿って少なくとも1回走査すれば良い。或いは、照射光Lに間隙514内を往復させても良く、この場合、転写材料の転写を複数回に分けて行うことができる。
ここで、ドナー基板20に対する照射光Lの照射回数は1回でも良いが、転写層27が受ける熱による転写材料の劣化や、転写された膜の持つエネルギーが被転写面の下地層に及ぼす影響等を考慮すると、照射光Lを複数回照射し、多段階で転写を行うことが好ましい。照射回数は特に限定されないが、照射回数が少なすぎる場合には、1回あたりの熱量が大きくなるため、転写材料の劣化や下地層の劣化を招くおそれがある。反対に、照射回数が多すぎる場合には、走査に要する時間が増大し、生産スループットが低下してしまう。このため、好ましくは照射回数を2回〜100回程度とし、さらに好ましくは4回〜50回程度にすると良い。
照射光Lの強度や転写層27の加熱温度の好ましい範囲は、照射光Lの均一性、照射時間(走査速度)、ドナー基板20の支持体21及び光熱変換層23の材料や厚さ、反射率、区画パターン24の材料や形状、転写層27の材料や厚さ等の様々な条件に基づいて設定される。実施の形態1においては、光熱変換層23に吸収されるエネルギー密度が0.01〜10J/cm程度、転写層27が220〜400℃程度に加熱されるように照射条件を整えると良い。
照射光Lによる全ての間隙514内の走査終了後、照射光Lの出射を一旦停止(又は照射光Lを遮蔽)すると共に、デバイス基板10及びドナー基板20間の加圧を緩める。そして、図10A及び図10Bに示すように、基板保持機構50のもう一方の櫛型支持具520を、櫛型支持具510に咬合させるようにしてドナー基板20に近づけ、櫛型支持具510、520によりドナー基板20を一旦保持する。なお、図10Aに示す櫛型支持具510は、図10BのA2−A2における断面を示している。
続く工程S7において、ドナー基板20に対する基板保持機構50の位置を移動させる。本実施の形態1においては、まず、図11A及び図11Bに示すように、櫛型支持具520にドナー基板20を保持させたまま、櫛型支持具510を照射光Lの光路から退避させる。なお、図11Aにおける櫛型支持具510、520は、図11BのA3−A3における断面を示している。
ここで、櫛型支持具510を退避させる位置は特に限定されず、ドナー基板20と光源60との間の領域から抜去しても良いし、例えば図12に示すように、櫛型支持具510の櫛歯511が照射光Lの光路を遮らないように、櫛歯511、512が上下に重なる位置に櫛型支持具510を移動させても良い。
続いて、基板ステージ40によりデバイス基板10を上方から再び加圧して、デバイス基板10とドナー基板20とを密着させる。なお、この際に、デバイス基板10とドナー基板20とのアライメントがずれた場合には、再度アライメントをやり直しても良い。
また、この際、開口307の上方に櫛型支持具520の間隙524が位置するように、基板ステージ40、デバイス基板10、ドナー基板20、及び櫛型支持具520を一括してX方向に沿って移動させる。
続く工程S8において、図13Aに示すように、基板保持機構50の櫛型支持具520に向けて照射光Lを照射し、ドナー基板20からデバイス基板10に転写材料を転写する。即ち、光源60から照射光Lを出射させ、窓308、開口307、及び櫛型支持具520の櫛歯521の間隙524を通過した照射光Lによりドナー基板20を照射しつつ、図13Bに示すように、ドナー基板20に対して光源60をY方向に沿って移動させる。それにより、櫛型支持具520の間隙524と対向するドナー基板20の領域を照射光Lにより走査し、転写層27をデバイス基板10に転写する。なお、図13Bにおいては、真空チャンバ30及び基板ステージ40の記載を省略している。また、図13Aにおける櫛型支持具510は、図13BのA4−A4における断面を示している。
照射光Lによる全ての間隙524内の走査終了後、基板ステージ40による加圧を緩めると共に、基板保持機構50を下方に移動させ、デバイス基板10からドナー基板20を離間させる。これにより、転写工程が終了し、正孔輸送層16上に、転写膜、即ち、発光層17R、17G、17B(図14参照)がパターニングされたデバイス基板10が得られる。
続く工程S9において、発光層17R、17G、17B(転写膜)が形成されたデバイス基板10を基板ステージ40により後処理室303に搬送し、真空雰囲気のまま、上層として電子輸送層18及び第2電極層19を、真空蒸着等の公知技術により形成する。それにより、図14に示す有機EL素子が完成する。
なお、ドナー基板20については、所定回数繰り返して使用することが可能であるため、転写室302内の基板保持機構50に保持させたままにしても良い。
以上説明したように、実施の形態1によれば、光透過部としての間隙514、524が設けられた櫛型支持具510、520によりドナー基板20を交互に支持することにより、ドナー基板20に対する間隙514、524の位置を変化させることができる。このため、これらの間隙514、524に向けて照射光Lを順次照射することにより、ドナー基板20の全面にわたって照射光Lを照射することが可能となる。従って、従来では困難であった真空中における大面積基板の重ね合わせ及び転写工程を、装置の大型化や複雑化を招くことなく、一貫して行うことが可能となる。
ここで、デバイス基板10と重ね合わせられたドナー基板20の周縁部のみを、内側に開口が設けられた枠体で保持し、該開口に光を照射する従来の方法においては、自重によりドナー基板20に歪みが生じてデバイス基板10との間にギャップが発生し、転写時に転写材料が混色するという問題があった。また、ガラス等の透明剛体をドナー基板20の株式会社に配置し、透明剛体を通して光を照射する従来の方法においては、透明剛体とドナー基板20との間に発生する干渉光により、透明剛体を透過した透過光に強度ムラが生じ、転写膜にもムラが生じるという問題があった。
それに対し、実施の形態1によれば、複数の光透過部としての間隙514、524が設けられた剛体からなる櫛型支持具510、520を用いるので、ドナー基板20が大型化した場合であっても、歪みを生じさせることなく該ドナー基板20を保持することができる。従って、デバイス基板10との間のギャップの発生を抑制し、転写材料の混色や転写膜のムラを生じさせることなく、転写工程を行うことができる。その結果、素子性能の高い、大面積の有機EL素子を製造することが可能となる。
また、有機EL素子をはじめとする各種有機機能素子は、大面積の基板を用いて加工を行うことで、部材の利用効率が上がり生産性が大きく向上する。また、ディスプレイのように画面自体が大面積化する製品については、特に、加工プロセスの大面積化による生産性の改善効果が大きい。そのため、実施の形態1により基板の大面積化が可能となることで、各種有機機能素子の生産性を大幅に向上させることが可能となる。
また、従来の有機機能素子の製造方法において、塗布法によりデバイス基板に直接形成した薄膜を機能層として用いる場合、膜厚ムラが問題となっていた。それに対し、実施の形態1においては、塗布法によりドナー基板20に転写層27を形成した時点では転写層27に膜厚ムラが発生し得るが、その後の転写工程において、転写材料が分子(原子)レベルにほぐれた状態で昇華又は蒸発してデバイス基板10に堆積するため、転写層27の膜厚ムラの影響は軽減される。このため、例えば、転写材料が顔料のような分子集合体からなる場合、転写層27として転写材料をドナー基板20に塗布した際に連続的な膜を形成できなくても、転写工程において転写材料は分子レベルにほぐされて蒸発するので、デバイス基板10には膜厚均一性にすぐれた転写膜を形成することができる。
また、蒸着法によりドナー基板20に転写層27を形成する場合には、膜厚が均一な転写層27が得られるので、これを転写することにより、デバイス基板10に膜厚均一性に優れた転写膜を形成することができる。
なお、上記実施の形態1においては、照射光Lの走査を行う際に光源60を移動させたが、反対に、光源60の位置を固定し、デバイス基板10及びドナー基板20を移動させても良い。この場合、基板の移動速度は、上記実施の形態1における光源60の移動速度と同様、50mm/s程度から10,000mm/s程度の範囲にすると良い。
上記実施の形態1においては、光源60を真空チャンバ30外部の大気中に設置した。この場合、真空チャンバ30を小型化できるという利点がある。一方、光源60を真空チャンバ30(転写室302)の内部に設けることも可能である。この場合、光源60が、基板保持機構50に向けて照射光Lを出射する光出射部となり、ガラス等を介することなく照射光Lをドナー基板20に直接照射することができる。
また、上記実施の形態1においては、蒸着モードによる転写が好ましいため、1回の転写により単層の転写層をパターニングした。しかしながら、剥離モードやアブレーションモードを利用することで、複数層の転写を一括して行うことも可能である。例えば、ドナー基板上に電子輸送層及び発光層の積層構造をこの順で形成し、この積層状態を維持した状態でデバイス基板に転写することで、発光層及び電子輸送層がこの順で積層された転写膜のパターンを1回で形成することができる。
なお、転写材料の転写工程において、基板ステージ40等のデバイス基板10を保持する機構は必須ではない。例えば、デバイス基板10の自重により、デバイス基板10をドナー基板20に対して押し付け、両者を密着させることも可能である。
(変形例1)
次に、本発明の実施の形態1の変形例1を説明する。
図15は、本変形例1に係る転写方法を説明するための断面図である。
ここで、デバイス基板に対して複数種類の転写膜のパターンを形成する場合、これらの転写膜に対応する複数種類の転写材料を必ずしも同時に転写する必要はなく、転写材料が1種類ずつ設けられたドナー基板を順次用いて転写を行っても良い。
例えば、有機EL素子を製造する場合、図15に示すように、デバイス基板10側の絶縁層14と同程度の区画パターン24aと、幅広い区画パターン24bとが設けられ、区画パターン24a、24bの開口に単色(例えば赤色)の転写層27Rが配置されたドナー基板20−1を作製する。そして、区画パターン24bをデバイス基板10の区画10a、10bと対向させ、デバイス基板10とドナー基板20−1とを重ね合わせる。これより、区画パターン24bと対向する区画10a、10bは、転写材料が転写されない非転写領域となる。この状態でドナー基板20−1に光を照射すると、転写層27Rが区画10cのみに転写され、デバイス基板10に発光層17Rが形成される。同様にして、青色及び緑色の転写材料がそれぞれ配置されたドナー基板を順次用いて、デバイス基板10の区画10a、10bに転写材料を転写する。
ここで、現在の真空蒸着技術により有機EL素子の発光層を形成する場合、数十μmピッチのパターニング精度しか得ることができない。しかしながら、本変形例1によれば、デバイス基板10に対して転写材料の転写領域及び非転写領域を、区画パターン24a、24bの形成と同程度の精度で設定することができ、転写領域のみに必要な転写材料を転写することができる。従って、特に転写材料の高精細のパターニングを行う場合、本変形例1は有効である。
(変形例2)
次に、本発明の実施の形態1の変形例2について説明する。
図16は、本変形例2に係る転写方法を説明するための断面図であり、有機機能素子の一例である有機TFT素子用のデバイス基板70及びドナー基板20−2を示している。
図16に示すように、デバイス基板70は、支持体71と、該支持体71上に形成されたゲート電極73と、該ゲート電極73を被覆するように設けられたゲート絶縁層72、転写膜(有機半導体層)77、ソース電極(第1電極)74、ドレイン電極(第2電極)75と、絶縁層76とを備える。これらのうち、第1電極74と第2電極75とは、水平方向に並べて配置されている。また、絶縁層76の表面には凹凸が形成されている。
一方、ドナー基板20−2は、支持体11と、該支持体11上に形成された光熱変換層23と、区画パターン24cと、バリア層25と、転写層28とを備える。
これらのデバイス基板70とドナー基板20−2を重ね合わせ、ドナー基板20−2に光照射を行うと、加熱された転写層28が蒸発してデバイス基板70に転写される。その結果、デバイス基板70の第1電極74と第2電極75との間の領域、及び第1電極74と第2電極75の表面に乗り上げるようにして転写膜77が形成される。
このように、転写膜77が形成される領域(下地層)は必ずしも平坦である必要はなく、下地層に凹凸がある場合には、下値層の凹凸に沿って、膜厚が均一な転写膜77を形成することができる。
なお、ドナー基板20−2には、区画パターン24cの開口ごとに異なる転写材料を配置しても構わない。
本変形例2に示すように、有機TFT素子を製造する場合においても、転写材料を必要な領域以外に拡散させることなく、高精度に配置することができる。従って、高密度の有機TFT素子を高精度に製造することが可能となる。なお、必要に応じて電極等のパターニングも、同様の方法により形成することができる。
このように実施の形態1は有機EL素子に限定されず、材料のパターニングが必要となる有機機能素子の製造に用いることができる。
(変形例3)
次に、本発明の実施の形態1の変形例3について説明する。
上記実施の形態1においては、デバイス基板10の被転写面と反対側の面を基板ステージ40に当接させて該デバイス基板10を保持した。しかしながら、図17に示すように、デバイス基板10と基板ステージ40との間に弾性体42を設けても良い。弾性体42としては、ばねやゴム、その他、弾性に富む樹脂材料等を用いることができる。このような弾性体42を用いることにより、デバイス基板10とドナー基板20との重ね合わせた際の押圧力を均一にすることができる。
(変形例4)
次に、本発明の実施の形態1の変形例4について説明する。
上記実施の形態1においては、基板保持機構50において、ドナー基板20を支持する部材を、櫛型支持具510から櫛型支持具520に入れ替えた際に、基板ステージ40、デバイス基板10、ドナー基板20、及び櫛型支持具520の位置をX方向に沿って調節し、光源60から出射し、開口307を通過した照射光Lを間隙524に入射させた。しかしながら、図18に示すように、板ステージ40、デバイス基板10、ドナー基板20、及び櫛型支持具520の位置は移動させず、光源60の位置をX方向に沿ってずらし、光源60から開口307の方向に向けて照射光Lを斜めに出射し、間隙524に入射させても良い。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
本発明の実施の形態2に係る転写装置の構成は、全体として図1と同様であり、ドナー基板20を保持する基板保持機構の構成が実施の形態1とは異なる。
図19は、実施の形態2に係る転写装置が備える基板保持機構の一部を示す斜視図である。図19に示すように、実施の形態2において、基板保持機構は、剛体からなり、光透過部として複数のスリット状の開口531が複数設けられた板状の支持部材(以下、スリット板という)53と、制御部100の制御の下で動作し、スリット板53を移動させる駆動機構533を備える。
図20A〜図20Cは、実施の形態2に係る転写方法を説明するための図である。
図20Aに示すように、スリット板53は、ドナー基板20の光入射面側を下方から支持する。なお、スリット板53はドナー基板20に当接させても良いし、スリット板53とドナー基板20との間に、ばねやゴム、その他、弾性に富む樹脂材料等からなる弾性体532を設けても良い。弾性体532を設ける場合、デバイス基板10とドナー基板20とを重ね合わせる際に、適度な弾力でドナー基板20を押し付けることができるので、両基板を密着させつつ、基板が持つゆがみや厚みむらによる基板間のギャップを解消することができる。
この状態で、スリット板53の開口531に向けて照射光Lを照射し、開口531の長手方向に沿って走査する。それにより、開口531と対向するドナー基板20の領域が加熱され、当該領域において転写材料の転写が行われる。
ドナー基板20に対する開口531の位置を変更する際には、まず、図20Bに示すように、複数の突起が設けられた支持体534の突起部分を開口531に挿入し、該支持体534によってドナー基板20を支持する。この支持体534は、制御部100の制御の下で動作する駆動機構535により移動可能な構成となっている。
続いて、スリット板53をドナー基板20から離間してX方向に沿ってずらした後、再びスリット板53によりドナー基板20を支持する。その後、支持体534を開口531から抜去する。これより、ドナー基板20に対する開口531の位置が変化する(図20C参照)。
この状態で、開口531に向けて照射光Lを照射することにより、図20Aとは異なるドナー基板20の領域が加熱され、転写材料が転写される。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
本発明の実施の形態3に係る転写装置の構成は、全体として図1と同様であり、デバイス基板10及びドナー基板20を保持する機構の構成が実施の形態1とは異なる。
図21Aは、実施の形態3に係る転写装置が備える基板保持機構の一部を示す斜視図であり、図21Bは、該基板保持機構を拡大して示す側面図である。なお、図21A及び図21Bにおいては、光源60(図1参照)から出射する照射光Lを明確に示すため、図1に対して天地を逆に示している。
デバイス基板10を保持する第1基板保持機構45は、互いに径が等しい円柱状をなし、互いに平行に配置され、互いに平行な軸を中心に回転可能な回転体である複数の搬送ロール451と、該複数の搬送ロール451を互いに連結する連結部452とを備える。また、第1基板保持機構45には、制御部100の制御の下で動作し、各搬送ロール451を回転させる駆動機構456が設けられている。
一方、ドナー基板20を保持する第2基板保持機構55は、上記搬送ロール451と同様の複数の搬送ロール551と、該複数の搬送ロール551を互いに連結する連結部552とを備える。搬送ロール551は、所定の間隔を空けて配置されており、隣り合う搬送ロール551間の間隙553が、光源60(図1参照)から出射して開口307を通過した照射光Lを透過させる光透過部である。また、第2基板保持機構55には、制御部100の制御の下で動作し、各搬送ロール551を回転させる駆動機構556が設けられている。
第1基板保持機構45及び第2基板保持機構55は、搬送ロール451、551を互いに平行に向けて配置されている。これらの搬送ロール451と搬送ロール551との間に、互いにアライメントされて重ね合わせられたデバイス基板10及びドナー基板20が挟持される。また、搬送ロール451、551が回転することにより、デバイス基板10及びドナー基板20が一体的に搬送され、ドナー基板20に対する間隙553の位置が変化する。
搬送ロール451、551の材料及び構造については、デバイス基板10及びドナー基板20を均一に押圧しつつ保持可能な構造であり、且つ減圧下で使用可能なものであれば特に限定されない。
一例として、各搬送ロール451、551は、軸部454、554の周囲にロール部455、555が設けられた構造を有する。ロール部455、555は、例えば、ブチルゴムやイソプレンゴム、ネオプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムや、シリコーンゴム、又は天然のゴム等の弾性体によって形成されている。ロール部455、555を弾性体によって形成することにより、デバイス基板10及びドナー基板20を重ね合わせて挟持する際に、両基板を均一に加圧することができるので好ましい。
一方、ロール部455、555を、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル、PEEK等の一般的なプラスチック材料や、SUS、アルミニウム等の金属又は合金によって形成しても良い。ロール部455、555を弾性体によって形成しない場合には、連結部452、552にバネ等の弾性部材やサスペンション等を設けることにより、重ね合わせられたデバイス基板10及びドナー基板20に与えられる押圧力を均一にすることが好ましい。
ロール部455、555の表面には、滑り止めのために凹凸を設けても良い。凹凸の形状は、溝状でも突起状でも構わない。また、ロール部455、555の表面に設けた凹凸から生じる弾性力により、重ね合わせられた両基板を加圧しても良い。
実施の形態3における転写工程(図4の工程S5〜S8参照)は、次のようにして行われる。即ち、第1基板保持機構45及び第2基板保持機構55によりデバイス基板10及びドナー基板20を挟持した状態で、搬送ロール451、551の動きを止め、間隙553に向けて照射光Lを照射し、搬送ロール451、551の回転軸Rの方向に沿って走査する。それにより、間隙553から露出するドナー基板20の領域が加熱され、当該領域において転写材料の転写が行われる。
続いて、搬送ロール451、551を所定量だけ回転させ、デバイス基板10及びドナー基板20を回転軸Rと直交する方向に搬送する。それにより、ドナー基板20に対する間隙553の位置が変化する。なお、搬送中におけるデバイス基板10とドナー基板20とのアライメントずれを防止するため、クリップ等の固定具を用いて、両基板の周縁部を予め固定しておいても良い。
この状態で、間隙553に向けて照射光Lを照射することにより、搬送ロール451、551の回転前とは異なるドナー基板20の領域が加熱され、当該領域において転写材料の転写が行われる。
実施の形態3によれば、ドナー基板20の持ち替えを行うことなく、ドナー基板20に対する光透過部(間隙553)の位置を変化させることができる。従って、ドナー基板20の持ち替えを行う場合と比較して、装置負荷を低減することができる。また、デバイス基板10及びドナー基板20を押圧して両者を密着させたまま、ドナー基板20の全領域における転写を行うことができる。さらに、第1基板保持機構45及び第2基板保持機構55による基板の搬送タイミング及び搬送速度と、光源60による照射光Lの照射タイミング及び走査速度とを同期させることにより、間欠的又は連続的に転写材料の転写を行うことができる。その結果、デバイス基板の加工速度を上げ、生産性を向上させることが可能となる。
なお、上記実施の形態3においては、搬送ロール451、551の径を互いに等しくした。この場合、搬送ロール451、551を同じ速度で回転させることにより、デバイス基板10及びドナー基板20を一体的に搬送することができる。しかしながら、搬送ロール451、551の径を互いに異ならせても良い。この場合、搬送ロール451、551それぞれの回転速度を適宜調整することにより、デバイス基板10及びドナー基板20を一体的に搬送することができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
図22Aは、実施の形態4に係る転写装置が備える基板保持機構の一部を示す斜視図であり、図22Bは、該基板保持機構を拡大して示す側面図である。なお、図22A及び図22Bにおいては、光源60(図1参照)から出射する照射光Lを明確に示すため、図1に対して天地を逆に示している。
上記実施の形態3においては、搬送ロール451をデバイス基板10に直接当接させて保持及び搬送を行ったが、図22A及び図22Bに示すように、デバイス基板10を搬送板46に載置し、搬送板46に搬送ロール451を当接させても良い。
搬送板46は、真空中で剛直な形状を保ち、デバイス基板10を平坦に保持可能な材料であれば特に限定されず、例えば、金属やガラス等を用いることができる。また、搬送板46の厚みも特に限定されないが、デバイス基板10を十分に支持可能な厚みとして、1mm以上であることが好ましく、十分な強度を兼ね備えるためには、3mm以上であることが好ましい。さらに、搬送板46の平面性は高いことが好ましい。
このような搬送板46を用いることにより、デバイス基板10及びドナー基板20を搬送ロール451、551により挟持する際に生じる歪みを矯正することができる。
なお、ドナー基板20側にも、デバイス基板10と同様に搬送板を設けても良い。この場合、搬送板を介してドナー基板20に照射光Lを照射できるように、ガラス等の透明剛体を用いると良い。
(変形例)
以上説明した実施の形態3及び4においては、1つの軸部454、554に対し、軸方向の長さが挟持する基板の1辺よりも長いロール部455、555を設けることにより搬送ロール451、551を構成した。しかしながら、1つの軸部に、円盤状又は軸方向の長さが挟持する基板の1辺よりも短い円柱状をなす複数のロール部を設けても良い。この場合、挟持する基板を均一に加圧できるように、ロール部の数や軸方向の長さを決定することが好ましい。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について説明する。
上記実施の形態1〜4においては、デバイス基板10及びドナー基板20を水平に保持して搬送し、転写工程(図4の工程S5〜S8参照)を行った。しかしながら、搬送及び転写工程におけるこれらの基板の姿勢は、鉛直軸と主面を平行にした状態であっても良いし、鉛直軸に対して主面を斜めに向けた状態であっても良い。これらの姿勢で基板を保持して搬送することを縦型搬送という。
縦型搬送を行う場合、基板が重力によって移動して、アライメントのずれが生じるのを防ぐために、両基板の端部を保持する機構を設けることが好ましい。
図23は、デバイス基板10を保持する基板ステージ40及びドナー基板20を保持するスリット板53(実施の形態2参照)を縦型に配置した例を示す。図23において、基板ステージ40、デバイス基板10、及びドナー基板20は重ね合わせられて、これらの基板等を把持する基板固定具81により密着固定されている。基板固定具81を用いることにより、これらの基板等が密着固定された状態を維持すると共に、搬送中における基板のアライメントのズレを防ぐことができる。また、基板ステージ40、デバイス基板10、及びドナー基板20は、複数(例えば2つ)の搬送具82により下方から支持されている。搬送具82は、例えば、これらの基板等を嵌合させる凹部が設けられた軸によって2つの車輪を連結した構造を有する。搬送具82は、密着固定された基板等を縦型の状態で支持しつつ搬送する。さらに、スリット板53は、例えばクリップ等の保持具83によりドナー基板20側に保持され、搬送具82と共に移動可能に設けられている。
このように基板保持具(基板ステージ40、スリット板53)及び基板を縦型に配置する場合、真空チャンバ30(図1参照)の側面に開口307及び窓308を設けると共に、光源60を真空チャンバ30の側方に配置する。そして、光源60から出射した照射光Lを窓308及び開口307を介して転写室302内に入射させ、スリット板53に設けられた開口531に照射し、該開口531の長手方向に沿って走査する。この際、照射強度の均一性を維持するためには、照射光Lのスキャン方向と基板との搬送方向とを略直交させることが好ましい。具体的には、図23に示すように、基板を水平方向に搬送する場合には、スキャン方向が鉛直方向となるように、スリット板53の配置方向を決定すると良い。
図24は、デバイス基板10及びドナー基板20を複数の搬送ロール451、551により保持する機構(第1基板保持機構45、第2基板保持機構55、実施の形態3参照)を縦型にした例を示す。図24において、デバイス基板10及びドナー基板20は重ね合わせられて、両者を把持する基板固定具81により密着固定されている。また、デバイス基板10及びドナー基板20は、複数(例えば2つ)の搬送具82により下方から支持されている。搬送具82は、密着固定された基板を縦型の状態で支持しつつ搬送する。さらに、第1基板保持機構45及び第2基板保持機構55は、転写が行われる真空チャンバに固定されており、デバイス基板10及びドナー基板20を挟持しつつ、搬送ロール451、551を回転させることによりこれらの基板を移動させる。
図25は、デバイス基板10及びドナー基板20を、搬送板46及び複数の搬送ロール451、551により保持する機構(第1基板保持機構45、第2基板保持機構55、実施の形態4参照)を縦型にした例を示す。図25において、搬送板46、デバイス基板10、及びドナー基板20は重ね合わせられて、これらの基板等を把持する基板固定具81により密着固定されている。また、搬送板46、デバイス基板10、及びドナー基板20は、複数(例えば2つ)の搬送具82により下方から支持されている。搬送具82は、密着固定された基板等を縦型の状態で支持しつつ搬送する。さらに、第1基板保持機構45及び第2基板保持機構55は、転写が行われる真空チャンバに固定されており、搬送板46、デバイス基板10、及びドナー基板20を挟持しつつ、搬送ロール451、551を回転させることによりこれらの基板等を移動させる。
図26は、デバイス基板10及びドナー基板20を、円盤状をなす複数の搬送ロールにより保持する機構(実施の形態3及び4の変形例参照)を縦型にした例を示す。図26において、デバイス基板10を保持する第1基板保持機構47は、連結部471により連結された複数の軸部472と、各軸部472に設けられた互いに径が等しい複数の搬送ロール473とを備える。また、ドナー基板20を保持する第2基板保持機構57は、連結部571により連結された複数の軸部572と、各軸部572に設けられた互いに径が等しい複数の搬送ロール573とを備える。これらの搬送ロール473、573は、互いにアライメントされた重ね合わせられたデバイス基板10及びドナー基板20を均一に押圧し、両者を密着させた状態で保持する。ドナー基板20側の軸部572と平行な領域であって、搬送ロール573が設けられていない間隙574の領域は、光源60(図1参照)から出射して開口307を通過した照射光を透過させる光透過部である。照射光Lを間隙574に照射し、軸部572と平行な方向に走査することにより、該間隙574から露出するドナー基板20の領域を加熱し、当該領域において転写材料の転写を行うことができる。
図26において、デバイス基板10及びドナー基板20は重ね合わせられて、両者を把持する基板固定具81により密着固定されている。また、デバイス基板10及びドナー基板20は、複数(例えば2つ)の搬送具82により下方から支持されている。搬送具82は、これらの基板を縦型の状態で支持しつつ搬送する。さらに、第1基板保持機構47及び第2基板保持機構57は、転写が行われる真空チャンバに固定されており、デバイス基板10及びドナー基板20を挟持しつつ、搬送ロール473、573を回転させることによりこれらの基板を移動させる。
このように、デバイス基板10及びドナー基板20を縦型に保持する場合には、両基板の下端を搬送具82に嵌合させることにより、両基板で対向する面と平行な方向における移動の自由度を減らすことができる。従って、両基板間におけるアライメント精度を向上させることが可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
ドナー基板を以下のとおり作製した。
支持体として214mm×200mmの無アルカリガラス基板を用い、光熱変換層として厚さ0.2μmのチタン膜をスパッタリング法により全面形成した。続いて、光熱変換層上にポジ型ポリイミド系感光性コーティング剤(東レ株式会社製、PW−1270)をスピンコート塗布し、プリベーキング及びUV露光を行った後、現像液(TMAH 2.38%)によりストライプ状に露光部を溶解して除去した。このようにパターニングしたポリイミド前駆体膜をホットプレートにより約350℃で約10分間ベーキングすることにより、基板内の中央部160mm角を有効エリアとしてポリイミド系樹脂の区画パターンを形成した。この区画パターンの厚さは8μm、断面は順テーパーの半円形状であり、その幅は20μmであった。区画パターン内部にはストライプ状の幅80μmの光熱変換層を露出する開口部が、それぞれ100μmのピッチで配置されていた。
続いて、区画パターンの全面にバリア層としてタンタルの金属層を0.4μmの厚さでスパッタ製膜した。そして、スパッタ膜の表面にポジ型感光性レジスト(東京応化工業株式会社製:PMER−P300RH)を塗布し、区画パターン部以外を露光・溶解除去した。さらに、レジストの開口部にパーフルオロシランカップリング剤(フッ素を含むシランカップリング剤)のフッ素撥液処理剤(フロロテクノロジー社製:FG−5010)をスピンコート塗布した後に不要な薬剤を水洗し、フォトレジストを剥離した。
それによって得られた基板に、以下のように調製した転写材料の溶液を塗布することで、転写層を形成した。
下記化学式RH−1で示される赤色ホスト材料に対し、下記化学式RD−1で示される赤色ドーパント材料を0.5質量%の比率で混合した赤色発光材料を0.5質量%含むキシレン溶液を調製した。このキシレン溶液を、基板上のストライプ状をなす開口部に2行間隔で、300μmのピッチにてインクジェット塗布し、区画パターンの開口部に平均厚さ35nmの転写層を形成した。
また、下記化学式GH−1で示される緑色ホスト材料(トリス(8−キノリノラート)アルミニウムAlq3)を0.5質量%含むキシレン溶液を調製し、基板上のストライプ状をなす開口部のうち上記赤色の転写層と隣接する行に、300μmピッチにてインクジェット塗布し、区画パターンの開口部に30nmの転写層を形成した。
また、下記化学式BH−1で示される青色ホスト材料に対し、下記化学式BD−1で示される青色ドーパント材料を0.5質量%の比率で混合した青色発光材料を0.3質量%含むキシレン溶液を調製した。このキシレン溶液を、基板上のストライプ状をなす開口部の残りの行に、300μmピッチにてインクジェット塗布し、区画パターンの開口部に平均厚さ20nmの転写層を形成した。
一方、デバイス基板を以下のとおり作製した。
ITO透明導電膜を140nm堆積させた無アルカリガラス基板(ジオマテック株式会社製、スパッタリング成膜品)を214×190mmに切断し、フォトリソグラフィ法によりITOを所望の形状にエッチングした。この上層に、ドナー基板と同様にパターニングされたポリイミド前駆体膜を形成し、300℃、10分間ベーキングすることにより、ポリイミド系の絶縁層を形成した。この絶縁層の厚さは2.0μm、幅は30μmであった。また、絶縁層のパターン内部には幅70μm、長さ270μmのITOが露出した開口部が、それぞれ100、300μmのピッチで配置されていた。この基板をUVオゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が3×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、正孔輸送層として、銅フタロシアニン(CuPc)を20nm厚、NPDを40nm厚で、発光領域全面に蒸着により積層した。
続いて、実施の形態1に係る転写装置を用い、デバイス基板とドナー基板を重ね合わせて転写材料の転写を行った(図5〜図13B参照)。このとき、ドナー基板の保持機構として、櫛型状をなす互い咬合可能な2つの櫛型支持具(図3参照)を用いた。これらの櫛型視治具の櫛歯の幅は10mm、櫛歯の長さは200mm、厚さは15mm、櫛歯の間隔は20mmであった。また、各櫛型支持具のドナー基板との当接面には、縦横20mmの間隔で弾性体が設けられていた。
まず、真空内において、ドナー基板を一方の櫛型支持具に載置する一方、デバイス基板を基板ステージに静電吸着させて固定した。続いて、デバイス基板の被転写面とドナー基板の転写面とを対向させた。そして、ドナー基板に設けられた区画パターンとデバイス基板に設けられた絶縁層との位置が合うようにアライメントし、重ね合わせた。このとき、真空チャンバ内の圧力は3×10−4Pa以下であった。また、このときのアライメント精度は±3μm以内であった。
さらに、櫛型支持具に設けられた弾性体を介してドナー基板をデバイス基板に多点で押し付け、基板の歪みや厚み誤差を吸収して均一に押圧することとした。このときの加重は全体で100Nであった。
この状態で転写層の一部と区画パターンの一部が同時に加熱されるように、ドナー基板の支持体(ガラス基板)側から中心波長800nmのレーザー(半導体レーザーダイオード)を照射し、ドナー基板の転写層を加熱し、デバイス基板の下地層である正孔輸送層上に転写材料を転写した。このときのレーザ強度は約300W/mm、スキャン速度は1.25m/sであり、発光領域全面に転写されるように、レーザをオーバーラップさせる方式で10回に分けて繰り返しスキャンを実施した。これより、ドナー基板に対する照射予定エリアの半分に対する照射が終了し、予定の半分量の転写が完了した。
次に、ドナー基板保持機構のもう一方の櫛型支持具を先の櫛型支持具の間隙に挿入してドナー基板を保持した後、先の櫛型支持具を抜去し、間隙に露出したドナー基板のレーザ未照射部にレーザを照射した。これより、ドナー基板に対する照射予定エリア全体の照射を完了した。その後、ドナー基板からデバイス基板を離間させた。
続いて、真空中において、転写により発光領域が形成されたデバイス基板の全面に対し、電子輸送層として下記化学式E−1で示される材料を、抵抗加熱蒸着法により約25nmの厚さに形成した。次に、ドナー材料(電子注入層)としてフッ化リチウムを0.5nmの厚さに形成した。さらに、陰極としてアルミニウムを100nmの厚さに蒸着することにより、5mm角の発光領域をもつ有機EL素子を作製した。
続いて、有機EL素子を窒素雰囲気中に取り出し、発光領域が外気に触れて劣化しないようにカバーガラスで封止し、該有機EL素子に2.5mA/cmの電流を流して点灯試験を行った。
その結果を図27に示す。図27は、実施例1に係る有機EL素子の発光領域を点灯させた状態で撮像した写真を拡大したものである。なお、発光領域の各行を指す色名は、当該行に転写された発光材料の色を示す。この有機EL素子においては、赤、緑、及び青の3色とも均一で良好な発光を示した。これは、隣接する区画間において混色が生じていないことを示しており、実施の形態1に係るデバイス製造方法により、良好な有機EL素子が得られることが確認された。
(実施例2)
実施の形態3に係る転写装置を用い、デバイス基板とドナー基板を重ね合わせて転写材料の転写を行った。このとき使用した基板保持機構は、図28に示すように、複数の搬送ロールを備える機構であった。なお、デバイス基板及びドナー基板の構成及び作製方法は、実施例1と同様である。
ここで、図28に示すように、デバイス基板10を保持する基板保持機構48は、連結部482によって互いに連結された円柱状の複数の搬送ロール481を備える。本実施例2において、デバイス基板10は、5mm厚のSUSからなる補強板49により支持されており、複数のロール481は、補強板49に当接するように設けられている。一方、ドナー基板20を保持する基板保持機構58は、連結部582によって互いに連結された複数の搬送ロール581を備える。各搬送ロール581は、つるまきバネ状の弾性体583を介して連結部582に取り付けられている。また、各搬送ロール581は、ドナー基板20の光入射面に当接するように設けられている。さらに、補強板49、デバイス基板10、及びドナー基板は、端部を基板固定具85に把持されることにより、互い固定されている。
各搬送ロール481、581の軸方向の長さは210mm、外径は10mmであり、隣接する搬送ロール481、581の間隔は20mmであった。各搬送ロール481、581は、SUSからなる軸部(図示せず)と、該軸部の周囲に設けられた、例えばブチルゴム等の弾性体からなるロール部485、585とによって形成した。このロール部485、585の表面に凹凸を形成することにより、デバイス基板及びドナー基板を均一に押圧できるようにした。
また、実施例2においては、光源60(図1参照)の光出射口601を2箇所に設け、両者の間隔を60mmとして互いに平行に配置した。
このような転写装置において、まず、デバイス基板10とドナー基板20とをアライメントして重ね合わせ、位置ズレが生じないように端部を強力に固定した。そして、デバイス基板10の支持体側にSUS製の補強板49を重ね合わせ、並列に配置された搬送ロール481、581により挟持した。この際、弾性体583の作用により、搬送ロール581全体が上方に押し付けられ、ドナー基板をデバイス基板に密着させることができた。
互いに重ね合わせられた基板を搬送ロール481、581の間で連続的に2mm/minの速度で水平搬送しながら、搬送ロール581の間隙584にレーザによる照射光Lを照射した。このときの、レーザの条件は実施例1と同様である。この際、ドナー基板20の幅の中央に存在する160mm角の有効エリアにレーザを照射できるように、レーザの幅(光軸と直交する断面における長さ)dを170mmとし、基板の搬送方向(X方向)と直交する方向(Z方向)に照射した。照射光Lは、一部をオーバーラップさせつつ、1つの間隙584を10回走査することにより、10回に分けて転写を行った。
この後、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、点灯評価を行った。
その結果、この有機EL素子においては、赤、緑、及び青の3色とも均一で良好な発光を示した。これは、隣接する区画間において混色が生じていないことを示しており、実施の形態3に係るデバイス製造方法により、良好な有機EL素子が得られることが確認された。
(実施例3)
実施の形態2に係る転写装置を用い、デバイス基板とドナー基板を重ね合わせて転写材料の転写を行った。このとき使用した基板保持機構は、図19に示すように、互いに平行な複数のスリット状の開口531が設けられたスリット板53であった。開口531の幅(短手方向の長さ)は12mmであり、長さ(長手方向の長さ)は175mmであり、開口531は20mm間隔で設けられていた。また、スリット板53のドナー基板の支持面には、図20Aに示すような弾性体532が設けられていた。なお、デバイス基板及びドナー基板の構成及び作製方法は、実施例1と同様である。
このような転写装置において、まず、ドナー基板を基板保持機構(スリット板53)上に載置し、上方から基板ステージに保持されたデバイス基板を近づけ、両者をアライメントして重ね合わせて加圧した。このとき加圧力は、全体として約100Nであった。この状態で、スリット板53の開口531にレーザによる照射光を、実施例1と同様にオーバーラップさせながら照射した。これより、ドナー基板に対する照射予定エリアの半分に対する照射が終了し、予定の半分量の転写が完了した。
続いて、デバイス基板とドナー基板とを重ね合わせたまま、スリット板をドナー基板から一端離間させ、ドナー基板20に対する位置を10mm移動させた後に、再びドナー基板に当接させた。この際、デバイス基板とドナー基板とにアライメントのズレは生じていなかった。
続いて、デバイス基板とドナー基板とを互いに加圧した状態で、スリット板53の開口531にレーザによる照射光を照射した。これより、ドナー基板に対する照射予定エリア全体の照射を完了した。
この後、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、点灯評価を行った。
その結果、この有機EL素子においては、赤、緑、及び青の3色とも均一で良好な発光を示した。これは、隣接する区画間において混色が生じていないことを示しており、実施の形態2に係るデバイス製造方法により、良好な有機EL素子が得られることが確認された。
(実施例4)
実施の形態5に係る転写装置を用い、デバイス基板とドナー基板を重ね合わせて転写材料の転写を行った。このとき使用した基板保持機構は、図23に示すように、両基板を縦型に保持する機構であった。また、ドナー基板に当接するスリット板53の開口531の幅は12mmであり、長さは175mmであり、開口531は20mm間隔で設けられていた。スリット板53のドナー基板の支持面には、図20Aに示すような弾性体532が設けられていた。なお、デバイス基板及びドナー基板の構成及び作製方法は、実施例1と同様である。
このような転写装置において、まず、予めアライメントされたデバイス基板及びドナー基板に対し、ドナー基板の光入射面側にスリット板53を当接させて加圧した。このときの加圧力は、全体として100Nであった。この状態で、スリット板53の開口531にレーザによる照射光を、実施例1と同様にオーバーラップさせながら照射した。これより、ドナー基板に対する照射予定エリアの半分に対する照射が終了し、予定の半分量の転写が完了した。
続いて、デバイス基板とドナー基板とを重ね合わせたまま、スリット板をドナー基板から一端離間させ、ドナー基板20に対する位置を10mm移動させた後に、再びドナー基板に当接させた。この際、デバイス基板とドナー基板とにアライメントのズレは生じていなかった。
続いて、デバイス基板とドナー基板とを互いに加圧した状態で、スリット板53の開口531にレーザによる照射光を照射した。これより、ドナー基板に対する照射予定エリア全体の照射を完了した。
この後、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、点灯評価を行った。
その結果、この有機EL素子においては、赤、緑、及び青の3色とも均一で良好な発光を示した。これは、隣接する区画間において混色が生じていないことを示しており、実施の形態5に係るデバイス製造方法により、良好な有機EL素子が得られることが確認された。
(比較例1)
ドナー基板を保持する基板保持機構として、図29に示すように、枠体92からなる基板保持具を用いた。即ち、真空中において、枠体92上にドナー基板20を載置し、基板ステージ91により保持されたデバイス基板を対向させてアライメントを行った。なお、図29においては、理解を助けるために、基板ステージ91、デバイス基板10、ドナー基板20、及び枠体92を互いに分離して示している。なお、デバイス基板10及びドナー基板20は、実施例1と同様である。
この状態で、枠体92の開口部93に対し、レーザによる照射光を実施例1と同様に走査しながら照射することにより、転写材料の転写を行った。
この後、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、点灯評価を行った。
その結果を図30に示す。図30は、比較例1に係る有機EL素子の発光領域を点灯させた状態で撮像した写真を拡大したものである。なお、発光領域の各行を指す色名は、当該行に転写されるべき発光材料の色を示し、「赤混色」と追記された行は、当該行に赤色の発光材料が混入したことを示す。なお、図30における発光領域の色調(例えば、混色が生じていない赤色の発光領域参照)は、図27における色調と異なっているが、これは撮影条件に起因するものである。
この有機EL素子においては、本来転写されるべきではない領域に転写がなされ、各区画に混色が発生していることが認められた。これは、枠体92でドナー基板20を支持したことにより、ドナー基板20が自重により撓み、デバイス基板10とドナー基板20との間にギャップが生じ、転写時に、隣接する区画間で転写材料が混入してしまったものと考えられる。これより、比較例1による方式では、混色のない有機EL素子を作製することが困難であることが確認された。
(比較例2)
図31に示す筐体93の内部にデバイス基板及びドナー基板を封入し、大気中において転写を行うこととした。
筐体93は、厚みが約1mmのSUS等の金属によって形成されている。筐体93は、デバイス基板10が載置されるベース部931と、デバイス基板10及びドナー基板20を覆う蓋部932とを備える。ベース部931と蓋部932との間には両者間を密閉するシール部材933、934が配置されている。このシール部材933、934をゴム等の弾性部材で形成することにより、蓋部932をベース部931に押し付けることにより、ドナー基板20を均一に押圧することができる。また、蓋部932には、照射光Lが透過可能な透明剛体からなる光透過部935が設けられている。
このような筐体93並びにデバイス基板10及びドナー基板20を真空チャンバ内に配置し、ベース部931上において、減圧下で基板同士をアライメントした。続いて、蓋部932により筐体93を密閉して、筐体93を大気中に取り出した。このとき、筐体93内は真空に保たれていた。そして、光透過部935にレーザ等の光源94から出射した照射光Lを照射することにより、転写材料の転写を行った。続いて、筐体93を再び真空チャンバ内に戻し、減圧下で筐体93を開き、デバイス基板10を取り出した。
この後、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、点灯評価を行った。
その結果を図32に示す。図32は、比較例2に係る有機EL素子の発光領域を点灯させた状態で撮像した写真を拡大したものである。なお、発光領域の各行を指す色名は、当該行に転写されるべき発光材料の色を示し、「赤混色」と追記された行は、当該行に赤色の発光材料が混入したことを示す。なお、図32における発光領域の色調(例えば、混色が生じていない赤色の発光領域参照)は、図27における色調と異なっているが、これは撮影条件に起因するものである。
デバイス基板10の中央部においては、部分的に混色が少ない領域もあったが、有効エリア内であっても、発光ムラが発生する部分が認められた。これは、筐体93を大気中に取り出した際に、大気圧により筐体93に歪みが生じ、互いに重ね合わせられた基板間にギャップが発生して混色が生じたものと考えられる。
このように、基板を大面積化する場合には筐体93も大型になるため、筐体93の強度を保つための負担が過大となる。
以上の結果より、本発明の各実施の形態においては、真空チャンバ内における転写を複数段階で行う必要があるものの、基板の歪みによるギャップの発生を防ぎ、転写先のデバイス基板における発光領域の混色を抑制できることがわかった。
上記実施例1〜4においては、200mm程度のサイズのデバイス基板を作製したが、各実施の形態において用いられる基板保持機構を大型化することにより、さらに大きな基板の加工も可能となる。また、基板保持機構に適宜補強部材を設けることにより、十分な強度を得ることも可能となる。
以上説明した本発明は、実施の形態1〜5及びそれらの変形例に限定されるものではなく、各実施の形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成できる。例えば、各実施の形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を除外して形成しても良いし、異なる実施の形態や変形例に示した構成要素を適宜組み合わせて形成しても良い。
1 転写装置
10、70 デバイス基板
11、21、71 支持体
12 TFT層
13 平坦化層
14 絶縁層
15 第1電極層
16 正孔輸送層
17R、17G、17B 発光層
18 電子輸送層
19 第2電極層
20、20−1、20−2 ドナー基板
21 支持体
23 光熱変換層
24、24a、24b、24c 区画パターン
25 バリア層
27、27R、27G、27B、28 転写層
30 真空チャンバ
40、91 基板ステージ
42 弾性体
45、47、48、50、55、57、58 基板保持機構
46 搬送板
49 補強板
53 スリット板
60 光源
72 ゲート絶縁層
73 ゲート電極
74 第1電極
75 第2電極
76 絶縁層
77 転写膜
81、85 基板固定具
82 搬送具
83 保持具
92 枠体
93 筐体
100 制御部
300 減圧機構
301 前処理室
302 転写室
303 後処理室
304 連結口
306 ゲートバルブ
307 開口
308 窓
451、473、481、551、573、581 搬送ロール
452、471、482、512、522、552、571、602 連結部
454、472、572 軸部
455、485 ロール部
501 弾性体
510、520 櫛型支持具
511、521 櫛歯
513、523 基板支持面
514、524、553、574、584 間隙
515、525、533、456、556 駆動機構
531 開口
532、583 弾性体
534 支持体
582 連結部
601 光出射口
931 ベース部
932 蓋部
933 シール部材
935 光透過部

Claims (10)

  1. 有機機能素子が形成される第1の基板に対し、照射された光を熱に変換する光熱変換層と転写材料を含む転写層とが設けられた第2の基板を重ね合わせ、前記第2の基板に光を照射することにより前記転写層を加熱し、昇華又は蒸発した前記転写材料を前記第1の基板に転写する転写装置において、
    前記第1及び第2の基板が配置されるチャンバと、
    前記チャンバ内において少なくとも前記第2の基板を保持する基板保持機構であって、前記転写材料が転写される面である前記第1の基板の被転写面と、前記転写層が設けられた面である前記第2の基板の転写面とを対向させ、前記第1及び第2の基板を重ね合わせた状態で保持する基板保持機構と、
    前記基板保持機構に向けて光を出射する光出射部と、
    を備え、
    前記基板保持機構に、前記光出射部から出射した前記光を透過させる光透過部であって、前記第2の基板に対して移動可能な少なくとも1つの光透過部が設けられていることを特徴とする転写装置。
  2. 前記基板保持機構は、互いに咬合可能な櫛型状をなし、各々が前記第2の基板の前記転写面と反対側の面を支持可能な2つの支持具と、
    前記2つの支持具の各々を移動させる駆動機構と、
    を備え、
    前記光透過部は、前記2つの支持具の各々が有する櫛歯の隙間領域であり、
    前記2つの支持具に前記第2の基板を交互に支持させることにより、前記第2の基板に対して前記光透過部の位置が変化することを特徴とする請求項1に記載の転写装置。
  3. 前記基板保持機構は、スリット状をなす少なくとも1つの開口が設けられ、前記第2の基板の前記転写面と反対側の面を支持可能な支持部材と、
    前記支持部材を移動させる駆動機構と、
    を備え、
    前記光透過部は、前記少なくとも1つの開口であり、
    前記反対側の面に対する前記支持部材の当接位置を移動させることにより、前記第2の基板に対して前記光透過部の位置が変化することを特徴とする請求項1に記載の転写装置。
  4. 前記基板保持機構は、円柱形状をなし、外周面を前記第2の基板の前記転写面と反対側の面に当接させ、互いに平行な軸を中心としてそれぞれ回転可能な複数の回転体であって、前記反対側の面の側に、互いに平行且つ間隙を空けて配置された複数の回転体を備え、
    前記光透過部は、隣り合う前記複数の回転体の間隙であり、
    前記複数の回転体を回転させて、前記第2の基板に対する前記複数の回転体の当接位置を変化させることにより、前記第2の基板に対して前記光透過部の位置が変化することを特徴とする請求項1に記載の転写装置。
  5. 前記第1の基板を保持する保持機構であって、円柱形状をなし、外周面を前記第1の基板の前記被転写面と反対側の面に当接させて回転可能な複数の第2の回転体を有する保持機構をさらに備え、
    前記複数の回転体と前記複数の第2の回転体とを回転させることにより、前記第1及び第2の基板が一体的に搬送されることを特徴とする請求項4に記載の転写装置。
  6. 前記第1の基板を保持する保持機構であって、
    互いに対向する第1及び第2の面を含み、前記第1の面により前記第1の基板を保持可能な板状部材と、
    円柱形状をなし、外周面を前記板状部材の前記第2の面に当接させて回転可能な複数の第2の回転体と、
    を有する保持機構をさらに備え、
    前記複数の回転体と前記複数の第2の回転体とを同期させて回転させることにより、前記板状部材並びに前記第1及び第2の基板が一体的に搬送されることを特徴とする請求項4に記載の転写装置。
  7. 前記第1及び第2の基板は、前記転写面及び前記被転写面を水平にして保持されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の転写装置。
  8. 前記第1及び第2の基板は、前記転写面及び前記被転写面を鉛直方向と平行に向けて保持されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の転写装置。
  9. 有機機能素子が形成される第1の基板に対し、照射された光を熱に変換する光熱変換層と転写材料を含む転写層とが設けられた第2の基板を重ね合わせ、前記第2の基板に光を照射することにより前記転写層を加熱し、昇華又は蒸発した前記転写材料を前記第1の基板に転写する転写方法において、
    前記転写材料が転写される面である前記第1の基板の被転写面と、前記転写層が設けられた面である前記第2の基板の転写面とを対向させ、前記第1及び第2の基板を重ね合わせてチャンバ内に配置する基板配置工程と、
    前記第2の基板に光を照射して前記転写層を加熱することにより、前記転写材料を前記被転写面に転写する光照射工程と、
    を含み、
    前記第2の基板は、該第2の基板に向けて照射された光を透過させる少なくとも1つの光透過部が設けられた基板保持機構によって保持され、
    前記光照射工程は、
    前記基板保持機構に向けて1回目の光照射を行うことにより、前記光透過部を透過した前記光を前記第2の基板の第1の領域に照射する第1光照射工程と、
    前記第2の基板に対する前記基板保持機構の位置を移動させて2回目の光照射を行うことにより、前記光透過部を透過した前記光を、前記第2の基板の前記第1の領域とは異なる第2の領域に照射する第2光照射工程と、
    を含むことを特徴とする転写方法。
  10. 請求項9に記載の転写方法と、
    支持体上に下地層を形成することにより、前記転写方法において使用される前記第1の基板を作製する工程と、
    前記転写方法により前記転写材料が転写された前記第1の基板に上層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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