JP2014174819A - 車両用運行管理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】保冷庫を有する輸送車両とその輸送車両を管理する管理センタとを通信可能に接続するシステムにあって、輸送車両における登坂時のエンジンの負荷を軽減して、登坂性能を確保する。
【解決手段】管理センタ3のサーバ10は、輸送車両2の走行経路の管理時において、地図データに基づいて、輸送車両2の走行経路の先方に、所定以上の高度差を有する登り坂があると判断した場合に、当該輸送車両2に対して冷却制御用の指令信号を送信する。輸送車両2の車載端末器8が、管理センタ3から指令信号を受信した場合には、制御装置から冷凍機制御部に対し制御信号が送信され、冷凍機制御部は、輸送車両2が登り坂に差し掛かるまでの間において、保冷庫4内が通常運転時よりも低温の過剰冷却状態になるように冷凍機6を制御する強制冷却運転を実行する。
【選択図】図1
【解決手段】管理センタ3のサーバ10は、輸送車両2の走行経路の管理時において、地図データに基づいて、輸送車両2の走行経路の先方に、所定以上の高度差を有する登り坂があると判断した場合に、当該輸送車両2に対して冷却制御用の指令信号を送信する。輸送車両2の車載端末器8が、管理センタ3から指令信号を受信した場合には、制御装置から冷凍機制御部に対し制御信号が送信され、冷凍機制御部は、輸送車両2が登り坂に差し掛かるまでの間において、保冷庫4内が通常運転時よりも低温の過剰冷却状態になるように冷凍機6を制御する強制冷却運転を実行する。
【選択図】図1
Description
本発明は、物品を冷却保存する保冷庫を有する輸送車両と、輸送車両の位置や速度を監視し運行を管理する管理センタとを、通信手段を介して通信可能に接続して構成される車両用運行管理システムに関する。
例えば物流の分野においては、輸送車両(トラック)に搭載された車載コンピュータと、管理センタの管理コンピュータとをインターネットを介して接続し、輸送車両の運行を管理する運行管理システムが考えられている(例えば、特許文献1参照)。この運行管理システムでは、輸送車両(車載コンピュータ)側では、管理センタから配送予定(運行ルート)等の指示データを受信し、運行時には、管理センタに対し、自車両の位置や動態(休憩、出発、帰着等の情報)等のデータを送信する。管理センタ(管理コンピュータ)側では、各輸送車両の配送予定(運行ルート)を設定して送信し、また、車載コンピュータから送信されるデータによりリアルタイムで輸送車両の位置や業務状況の把握を行うことができ、適切な指示等を行うことができる。
このような運行管理システムにより、効率的な配送業務を行うことができると共に、ドライバの安全運転や省エネルギーへの意識の向上等を図ることができる。またこのとき、管理対象となる輸送車両(トラック)が、物品を冷却保存する保冷庫を有している冷凍車やチルド輸送車両の場合には、管理センタに対して保冷庫内の温度情報も併せて送信され、管理センタからの指示に基づいて保冷庫内の温度管理(保存されている物品の品質管理)も併せて行われる。
ところで、輸送車両が保冷庫を有している冷凍車やチルド輸送車両の場合、保冷庫の冷却のために冷凍機(冷凍サイクル)が搭載されるのであるが、この種の冷凍機は、コンプレッサを、エンジンの駆動力により作動させるものが一般的である。このように、エンジンを駆動源とする場合には、特に夏場においては、輸送車両が登り坂を登坂しているときに、冷凍機のコンプレッサが駆動されていると、エンジンの負荷が大きくなるため、車速が低下してしまう等の事情がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、保冷庫を有する輸送車両とその輸送車両を管理する管理センタとを通信可能に接続するシステムにあって、輸送車両における登坂時のエンジンの負荷を軽減して、登坂性能を確保することができる車両用運行管理システムを提供するにある。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の車両用運行管理システムは、エンジンを走行駆動源とし物品を冷却保存する保冷庫を有する輸送車両と、前記輸送車両の位置や速度を監視し運行を管理する管理センタとを、通信手段を介して通信可能に接続して構成されるものであって、前記輸送車両は、前記エンジンにより駆動されるコンプレッサを有し前記保冷庫内を冷却する冷凍機と、前記保冷庫内の温度を検出する温度検出器と、前記温度検出器の検出に基づいて前記保冷庫内が目標温度となるように前記冷凍機を制御する冷凍機制御手段とを備えており、前記管理センタは、地図データに基づいて、前記輸送車両の輸送中の走行経路の先方に、所定以上の高度差を有する登り坂があると判断した場合に、該輸送車両に対して冷却制御用の指令信号を送信する指令手段を備え、前記輸送車両が前記指令信号を受信した場合に、該輸送車両が前記登り坂に差し掛かるまでの間において、前記冷凍機制御手段により、前記保冷庫内が通常運転時よりも低温の過剰冷却状態になるように前記冷凍機を制御する強制冷却運転を実行するところに特徴を有する。
上記構成によれば、管理センタは、輸送車両との間の通信により、該輸送車両の位置や速度を監視し運行を管理するのであるが、管理センタが、輸送車両の輸送中の走行経路の先方に、所定以上の高度差を有する登り坂があると判断した場合に、指令手段により、輸送車両に対し冷却制御用の指令信号が送信される。その指令信号を受信した場合には、輸送車両においては、冷凍機制御手段により、輸送車両が前記登り坂に差し掛かるまでの間において、保冷庫内が通常運転時よりも低温の過剰冷却状態になるように冷凍機を制御する強制冷却運転が実行される。
この強制冷却運転の実行により、輸送車両の保冷庫内は過剰冷却状態になり、その後登り坂の登坂時において、しばらくは、冷凍機(コンプレッサ)を駆動させずとも、冷却状態を維持し、低温を確保することができる。従って、輸送車両の登坂時に、コンプレッサの駆動を抑制することができ、エンジンの負荷を小さく抑えることができる。この結果、本発明によれば、保冷庫を有する輸送車両とその輸送車両を管理する管理センタとを通信可能に接続するシステムにあって、輸送車両における登坂時のエンジンの負荷を軽減して、登坂性能を確保することができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を具体化した一実施例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例に係る車両用運行管理システム1の全体構成を概略的に示している。この運行管理システム1は、例えば運送会社が所有する複数台の輸送車両2(1台のみ図示)と、管理センタ3とを通信可能に接続して構成されている。
前記輸送車両2は、物品を冷却保存する保冷庫4を有した冷凍車(トラック)からなり、保冷庫4に積み込まれている物品(食品等)を、顧客に配送するものである。この輸送車両2は、エンジン5(図3参照)を走行駆動源としており、また、輸送車両2には、前記保冷庫4内を冷却するための冷凍機(冷凍サイクル)6が搭載されている。さらに、後述するように、この輸送車両2には、無線通信部7を有した車載端末器8(いずれも図2にのみ図示)が搭載されている。
図1に示すように、前記管理センタ3は、通信部9、サーバ10、データベース11、接続部12を備えている。そのうち通信部9は、通信ネットワーク13及び基地局14を介して、前記車載端末器8(輸送車両2)の無線通信部7との間で通信を行うように構成されている。従って、通信部9、通信ネットワーク13、基地局14、無線通信部7等から通信手段が構成されている。
前記サーバ10は、CPU、ROM及びRAMなどを有するコンピュータを主体として構成され、各輸送車両2の位置管理、業務状況の把握、業務指示等の必要な運行管理を行うようになっている。前記データベース11には、道路地図データが記憶されていると共に、各輸送車両2の運行データ等が記憶されるようになっている。前記道路地図データには、各地点の高度のデータが含まれている。前記接続部12は、サーバ10をインターネット15に接続するもので、サーバ10は、インターネット15を介して、顧客のコンピュータ16に必要な情報を配信するようになっている。
これに対し、前記輸送車両2に搭載される車載端末器8は、図2に示すように、CPU、ROM及びRAMなどを有するコンピュータを主体として構成され、全体を制御する制御装置17を備えている。そして、前記制御装置17に接続された、前記無線通信部7、GPS受信機18、表示装置19、入力操作部20、音声出力装置21、記憶部22、接続I/F部23を備えている。
前記接続I/F部23は、車載端末器8(制御装置17)を例えばCANからなる車内ネットワーク24に接続するためのものである。この車内ネットワーク24には、輸送車両2に搭載された各種ECU25、各種車載センサ26、後述する冷凍機制御部27等が接続されている。詳しい図示は省略するが、各種車載センサ26には、車速センサ、ジャイロセンサ、外気温センサ、前記保冷庫4内の温度を検出する温度検出器としての庫内温度センサ28(図3参照)等が含まれている。
前記GPS受信機18は、GPS(Global Positioning System )用の人工衛星からの送信電波を受信するもので、その受信データは制御装置17に入力される。制御装置17は、GPS受信機18の受信データ及び各種車載センサ26からの信号に基づいて、輸送車両2の現在位置(絶対位置)、速度や進行方向、現在時刻等を高精度で検出するようになっている。
前記表示装置19は、例えばカラー表示可能な液晶表示器等により構成され、例えば車室内のインストルメントパネルの中央部等に位置し、ドライバにより視認可能に設けられている。この表示装置19の画面には、例えばナビゲーション機能使用時の地図画面(配送先までの経路案内画面)や、必要なメッセージ(業務指示)などが表示される。前記入力操作部20は、前記表示装置19の画面上に設けられたタッチパネルや、その周辺に配置されたメカ式のスイッチを含んで構成されており、ドライバは、入力操作部20を操作して例えば動態情報の入力や、保冷庫4内の温度設定等の必要な入力を行う。前記音声出力装置21はスピーカ等を含んで構成され、ガイド音声等の出力を行う。前記記憶部22には、走行履歴のデータ等が記憶される。
これにて、車載端末器8(制御装置17)は、管理センタ3に対し、自車両の位置や速度、動態(荷物の積み下ろし、出発、休憩、帰着等)のデータ、前記庫内温度センサ28の検出温度などを、無線通信部7により所定時間間隔で送信するようになっている。これに対し、管理センタ3は、輸送車両2からの通信により、各輸送車両2の位置や速度、動態、走行経路を把握し、運行を管理する。また、管理センタ3は、輸送車両2(無線通信部7)に対し、配送先までの経路や業務の指示情報、安全運転や省エネ運転に関する注意情報等を送信するようになっている。
ここで、輸送車両2に搭載される周知構成の冷凍機6の構成について、図3を参照して簡単に述べる。冷凍機(冷凍サイクル)6は、冷媒を圧縮して高温高圧のガスとするコンプレッサ29、冷媒ガスを凝縮するコンデンサ30、減圧手段としての膨張弁31、冷媒を蒸発させて周囲から吸熱するエバポレータ32を、冷媒配管33により閉ループ状に接続し、内部に所要量の冷媒を封入して構成されている。尚、前記コンデンサ30には、冷却ファン34により冷却風が供給されるようになっている。また、エバポレータ32により生成された冷気は、送風ファン35により保冷庫4内に循環供給される。
前記コンプレッサ29は、前記エンジン5の駆動力が図示しないベルト伝達機構を介して駆動され、その際に、電磁式クラッチ36によりエンジン5の駆動力の伝達、切離しが行われる、即ち、コンプレッサ29のオン、オフが切替えられる。このとき、保冷庫4内の温度を検出する庫内温度センサ28の検出信号が前記冷凍機制御部27に入力されるようになっている。
冷凍機制御部27は、庫内温度センサ28の検出に基づいて、保冷庫4内の温度を、設定された目標温度(冷凍の場合、例えば−15℃〜−30℃の範囲で設定)に維持するように、電磁式クラッチ36をオン・オフ制御する。従って、冷凍機制御部27が冷凍機制御手段として機能する。尚、この場合、冷凍機制御部27は、前記目標温度を中心とした所定の温度幅(例えば±2℃程度)の上限温度、下限温度を設定し、前記庫内温度センサ28の検出温度が、その上限温度及び下限温度の範囲内に収まるようにしながら、冷凍機6を制御する。
この冷凍機6は、保冷庫4内の設定温度を変更することのできる操作パネル37と接続されており、この操作パネル37からの入力により冷凍機制御部27が保冷庫4内の温度を制御する。詳しく図示はしないが、この操作パネル37には、庫内設定温度を表示する表示部、及び設定温度を可変するスイッチ操作部を備えている。このスイッチ操作部については、表示部の画面上に設けられたタッチパネルから構成されていても良い。操作パネル37と冷凍機制御部27との接続は、前記車内ネットワーク24を使用した通信手段を利用しても良いが、専用の通信線38(図2に点線で示す)を使用して入力情報の伝達を行うようにしても良い。
さて、本実施例では、後の作用説明(フローチャート説明)でも述べるように、管理センタ3のサーバ10は、輸送車両2の走行経路の管理時において、地図データに基づいて、輸送車両2の輸送中の走行経路の先方に、所定以上の高度差を有する登り坂があると判断した場合に、当該輸送車両2に対して冷却制御用の指令信号を送信するようになっている。従って、サーバ10が指令手段として機能する。
そして、前記輸送車両2の車載端末器8が、管理センタ3から指令信号()を受信した場合には、制御装置17から冷凍機制御部27に対し制御信号が送信され、冷凍機制御部27は、輸送車両2が前記登り坂に差し掛かるまでの間において、前記保冷庫4内が通常運転時よりも低温の過剰冷却状態になるように冷凍機6を制御する強制冷却運転を実行するようになっている。
具体的には、管理センタ3のサーバ10は、輸送車両2の位置と速度から、登り坂に差し掛かる時間(時刻)を予測し、冷却制御用の指令信号として、登坂開始10分前の登坂10分前通知、登坂開始1分前の登坂1分前通知、登坂が終了した登坂終了通知を輸送車両2に対して送信する。輸送車両2の車載端末器8(制御装置17)は、それら信号を受信すると、冷凍機制御部27に対し制御信号として、登坂開始10分前の登坂10分前通知、登坂開始1分前の登坂1分前通知、登坂が終了した登坂終了通知を送信する。
冷凍機制御部27は、登坂10分前通知を受信したときに、即ち、輸送車両2の登り坂への到達予想時刻から所定時間前である10分前に至った時点で、保冷庫4の目標温度を、通常時の目標温度よりも低い強制冷却温度(例えば設定温度よりも5℃だけ低い温度)に変更することにより、冷凍機6の強制冷却運転を実行する。また、冷凍機制御部27は、登坂1分前通知を受信したときに、前記コンプレッサ29をオフさせる、つまり、輸送車両2の登り坂の走行中には、コンプレッサ29をオフ状態とさせる。
尚、冷凍機制御部27は、登坂終了通知を受信したとき、つまり輸送車両2が登り坂の走行を終了したときに、通常時の目標温度での冷凍機6の制御に戻すようになっている。また、冷凍機制御部27は、輸送車両2の登り坂の走行途中で、庫内温度センサ28の検出温度が上限温度に達した場合にも、冷凍機6の制御を通常に戻すようになっている。
更に、これも後述するように、本実施例では、前記管理センタ3(サーバ10)は、地図データに基づいて、輸送車両2の輸送中の走行経路の先方に、所定以上の高度差を有する下り坂があると判断した場合に、下り坂の開始時及び終了時に、該輸送車両2に対して下り坂の指令信号(下坂開始通知、下坂終了通知)を送信する。
そして、輸送車両2側(冷凍機制御部27)では、管理センタ3から下坂開始通知を受信した場合に、保冷庫4内を通常運転時よりも低温の過剰冷却状態にするように冷凍機6を制御する第2強制冷却運転を実行する。この第2強制冷却運転についても、保冷庫4の目標温度を、通常時の目標温度よりも低い第2強制冷却温度(例えば設定温度よりも5℃だけ低い温度)に変更することにより行われる。冷凍機制御部27は、下坂終了通知を受けた場合には、冷凍機6の制御を通常に戻すようになっている。
次に、上記構成の作用について、図4から図7も参照して述べる。上記構成の運行管理システム1においては、管理センタ3のサーバ10は、輸送車両2(車載端末器8)との間の通信に基づいて、輸送車両2の現在位置や速度、動態、庫内温度センサ28の検出温度等を把握し、輸送車両2の運行を管理する。このとき、前記管理センタ3(サーバ10)は、地図データに基づいて、輸送車両2の輸送中の走行経路の先方に、所定以上の高度差を有する登り坂及び下り坂があるかどうかを監視する。
ここで、図4のフローチャートは、輸送車両2の輸送中の走行経路の先方に登り坂があると判断した場合に、管理センタ3のサーバ10が実行する処理手順を示している。また、図5のフローチャートは、輸送車両2が、管理センタ3から指令信号を受けた場合に、冷凍機制御部27が実行する冷凍機6の制御手順を示している。
即ち、まず、図4において、ステップS1では、輸送車両2の配送先までの走行経路の予測処理が実行される。このときには、併せて、地図データに基づいて、輸送車両2の輸送中の走行経路の先方における、所定以上の高度差を有する登り坂の有無が判断されると共に、登り坂に対する到着時刻が推定される。ステップS2では、登坂開始の10分前に至ったかどうかが判断され、10分前になったときには(ステップS2にてYes)、ステップS3にて、輸送車両2に対して、登坂10分前通知が送信される。
また、ステップS4にて、登坂開始の1分前に至ったかどうかが判断され、1分前になったときには(ステップS4にてYes)、ステップS5にて、輸送車両2に対して、登坂1分前通知が送信される。そして、ステップS6では、登坂が終了したかどうかが判断され、登坂が終了したときには(ステップS6にてYes)、ステップS7にて、輸送車両2に対して、登坂終了通知が送信される。
これに対し、上記のように管理センタ3からの指令信号を受信した輸送車両2においては、冷凍機制御部27は、図5に示す処理を実行する。即ち、ステップS11では、登坂終了の通知(制御信号)を受けたかどうかが判断される。登坂終了の通知(制御信号)を受けていない場合には(ステップS11にてNo)、次のステップS12にて、登坂開始1分前の通知(制御信号)を受けたかどうかが判断される。登坂開始1分前の通知(制御信号)を受けていない場合には(ステップS12にてNo)、次のステップS13にて、登坂開始10分前の通知(制御信号)を受けたかどうかが判断される。
登坂開始10分前の通知(制御信号)も受けていない場合には(ステップS13にてNo)、ステップS14にて、冷凍機6に対する通常の制御が行われる。一方、登坂開始10分前の通知(制御信号)を受けた場合には(ステップS13にてYes)、ステップS15にて、保冷庫4の目標温度が、通常時の目標温度(設定温度)よりも例えば5℃だけ低い強制冷却温度に変更される。これにて、冷凍機6の強制冷却運転が実行されるようになり、保冷庫4内が通常運転時よりも低温の過冷却状態とされるのである。
この後、登坂開始1分前の通知(制御信号)を受けると(ステップS12にてYes)、ステップS16にて、コンプレッサ29がオフされ、冷凍機6の運転が停止される。これにて、輸送車両2の登り坂の走行中には、コンプレッサ29がオフ状態とされるようになっているのである。そして、登坂終了の通知(制御信号)を受けた場合には(ステップS11にてYes)、ステップS14にて、冷凍機6に対する制御が通常に戻されるのである。これにて、輸送車両2が登り坂の走行を終了したときに、通常時の目標温度での冷凍機6の制御に戻される。
尚、図示は省略しているが、冷凍機制御部27は、輸送車両2の登り坂の走行途中、つまりコンプレッサ29の強制オフ状態で、保冷庫4内の温度が次第に上昇していき、庫内温度センサ28の検出温度が上限温度に達した場合には、冷凍機6の制御を通常に戻すようになっている。
さらに、本実施例では、上記したように、管理センタ3(サーバ10)は、地図データに基づいて、輸送車両2の輸送中の走行経路の先方に、所定以上の高度差を有する下り坂があるかどうかを監視する。そして、下り坂があると判断した場合に、図6のフローチャートに示す処理を実行する。また、図7のフローチャートは、輸送車両2が、管理センタ3から下り坂の指令信号を受けた場合に、冷凍機制御部27が実行する冷凍機6の制御手順を示している。
即ち、図6において、ステップS21では、地図データに基づいて、輸送車両2の配送先までの予測される走行経路中に、所定以上の高度差を有する下り坂があるかどうかが判断される。ステップS22では、輸送車両2の走行中の現在位置が下り坂に差し掛かった(下り坂が始まった)かどうかが判断され、ステップS23では、輸送車両2の走行中の現在位置が下り坂を終了したかどうかが判断される。輸送車両2の現在位置が下り坂に差し掛かった場合には(ステップS22にてYes)、ステップS24にて、輸送車両2に対して、下坂開始通知が送信される。下り坂が終了した場合には(ステップS23にてYes)、ステップS25にて、輸送車両2に対して、下坂終了通知が送信される。
これに対し、管理センタ3からの下り坂の指令信号を受信した輸送車両2においては、冷凍機制御部27は、図7に示す処理を実行する。即ち、ステップS31では、管理センタ3から下坂終了の通知を受けたかどうかが判断され、ステップS32では、管理センタ3から下坂開始の通知を受けたかどうかが判断される。いずれの通知も受けていないときには(ステップS32にてNo)、ステップS33にて、冷凍機6に対する通常の制御が行われる。
一方、管理センタ3から下坂開始の通知を受けた場合には(ステップS32にてYes)、ステップS34にて、保冷庫4の目標温度が、通常時の目標温度(設定温度)よりも例えば5℃だけ低い強制冷却温度に変更される。これにて、冷凍機6の強制冷却運転が実行されるようになり、保冷庫4内が通常運転時よりも低温の過冷却状態とされるのである。この後、下坂終了の通知を受けたときに(ステップS31にてYes)、ステップS33にて、冷凍機6に対する制御が通常に戻されるのである。
このように本実施例の運行管理システム1によれば、管理センタ3は、輸送車両2との間の通信により、該輸送車両2の位置や速度を監視し運行を管理するのであるが、管理センタ3が、輸送車両2の輸送中の走行経路の先方に、所定以上の高度差を有する登り坂があると判断した場合に、輸送車両2に対し冷却制御用の指令信号が送信される。その指令信号を受信した場合には、輸送車両2の冷凍機制御部27により、輸送車両2が前記登り坂に差し掛かるまでの間において、保冷庫4内が通常運転時よりも低温の過剰冷却状態になるように冷凍機6を制御する強制冷却運転が実行される。
この強制冷却運転の実行により、輸送車両2の保冷庫4内は過剰冷却状態になり、その後登り坂の登坂時において、しばらくは、冷凍機6(コンプレッサ29)を駆動させずとも、冷却状態を維持し、低温を確保することができる。従って、輸送車両2の登坂時に、コンプレッサ29の駆動を抑制することができ、エンジン5の負荷を小さく抑えることができる。この結果、本実施例によれば、保冷庫4を有する輸送車両2とその輸送車両32管理する管理センタ3とを通信可能に接続するシステムにあって、輸送車両2における登坂時のエンジン5の負荷を軽減して、登坂性能を確保することができるという優れた効果を奏する。
また特に本実施例では、輸送車両2の走行経路に下り坂がある場合にも、輸送車両2の下り坂の走行中に、保冷庫4内を通常運転時よりも低温の過剰冷却状態にするように冷凍機6を制御する第2強制冷却運転を実行するようにしたので、エンジン5の負荷の小さいときに、保冷庫4内を過剰に冷却していわば蓄冷しておくことが可能となり、通常時のエンジン5の負担を抑えて冷凍機6の効率的な運転を行うことができるというメリットも得られる。
尚、上記実施例では、輸送車両2の登り坂への到達予想時刻から所定時間(10分)前から強制冷却運転を実行するようにしたが、輸送車両2の位置が登り坂の開始地点から所定距離(例えば10km)手前に至った時点で、強制冷却運転を開始するといった構成としても良い。また、上記実施例では、登り坂の勾配又は継続距離に関係なく、強制冷却温度を、設定温度から5℃低下させるようにしたが、登り坂の勾配又は継続距離に応じて、勾配又は継続距離が大きいほど過剰冷却の度合いを大きくするように、冷凍機6の強制冷却運転を実行するようにしても良い。輸送車両の車種や保冷庫の大きさによって、強制冷却温度を調整しても良いことは勿論である。
さらには、下り坂における第2強制冷却運転においては、登り坂の場合と強制冷却温度を異ならせても良い。下り坂における第2強制冷却運転は、必要に応じて行うようにすれば良い。強制冷却温度や、指令信号の送信時間等の具体的数値についても、あくまでも一例をあげたに過ぎず、種々の変更が可能である。その他、管理センタや車載端末器、さらには通信手段や冷凍機のハードウエア構成等についても様々な変形が可能である等、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
図面中、1は運行管理システム、2は輸送車両、3は管理センタ、4は保冷庫、5はエンジン、6は冷凍機、7は無線通信部(通信手段)、8は車載端末器、9は通信部(通信手段)、10はサーバ(指令手段)、11はデータベース、17は制御装置、18はGPS受信機、27は冷凍機制御部(冷凍機制御手段)、28は庫内温度センサ(温度検出器)、29はコンプレッサ、36は電磁式クラッチを示す。
Claims (7)
- エンジンを走行駆動源とし物品を冷却保存する保冷庫を有する輸送車両と、前記輸送車両の位置や速度を監視し運行を管理する管理センタとを、通信手段を介して通信可能に接続して構成される車両用運行管理システムであって、
前記輸送車両は、前記エンジンにより駆動されるコンプレッサを有し前記保冷庫内を冷却する冷凍機と、前記保冷庫内の温度を検出する温度検出器と、前記温度検出器の検出に基づいて前記保冷庫内が目標温度となるように前記冷凍機を制御する冷凍機制御手段とを備えており、
前記管理センタは、地図データに基づいて、前記輸送車両の輸送中の走行経路の先方に、所定以上の高度差を有する登り坂があると判断した場合に、該輸送車両に対して冷却制御用の指令信号を送信する指令手段を備え、
前記輸送車両が前記指令信号を受信した場合に、該輸送車両が前記登り坂に差し掛かるまでの間において、前記冷凍機制御手段により、前記保冷庫内が通常運転時よりも低温の過剰冷却状態になるように前記冷凍機を制御する強制冷却運転を実行することを特徴とする車両用運行管理システム。 - 前記冷凍機制御手段は、前記指令信号を受信した場合に、該輸送車両の前記登り坂への到達予想時刻から所定時間前、又は、該輸送車両の位置が該登り坂の開始地点から所定距離手前に至った時点で、前記目標温度を、通常時の目標温度よりも低い強制冷却温度に変更することにより、前記冷凍機の強制冷却運転を実行することを特徴とする請求項1記載の車両用運行管理システム。
- 前記冷凍機制御手段は、該輸送車両の前記登り坂の走行中には、前記コンプレッサをオフさせることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用運行管理システム。
- 前記冷凍機制御手段は、該輸送車両が前記登り坂の走行を終了したときに、通常時の目標温度での前記冷凍機の制御に戻すことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用運行管理システム。
- 前記冷凍機制御手段は、前記登り坂の勾配又は継続距離に応じて、勾配又は継続距離が大きいほど過剰冷却の度合いを大きくするように、前記冷凍機の強制冷却運転を実行することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用運行管理システム。
- 前記冷凍機制御手段は、前記輸送車両の前記登り坂の走行途中で、前記温度検出器の検出温度が上限温度に達したときに、前記冷凍機の制御を通常に戻すことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用運行管理システム。
- 前記管理センタは、地図データに基づいて、前記輸送車両の輸送中の走行経路に、所定以上の高度差を有する下り坂があると判断した場合に、前記指令手段により該輸送車両に対して下り坂の指令信号を送信し、
前記輸送車両が前記下り坂の指令信号を受信した場合には、前記冷凍機制御手段は、該輸送車両の該下り坂の走行中に、前記保冷庫内を通常運転時よりも低温の過剰冷却状態にするように前記冷凍機を制御する第2強制冷却運転を実行することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用運行管理システム。
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