本実施形態に係る両面粘着テープは、基材と、前記基材の一方の面上に形成される粘着剤層Aと、前記基材の他方の面上に形成される粘着剤層Bとを備える。
なお、一般的に「両面粘着テープ」は、外観形状や使用目的等に応じて「両面粘着シート」、「両面粘着フィルム」等と異なった名称で呼ばれることもあるが、本明細書では、表現を「両面粘着テープ」に統一する。また、両面粘着テープにおける粘着剤層の表面を、「粘着面」と称する場合がある。
本実施形態の両面粘着テープは、被着体から剥離できる弱い粘着力の粘着剤層A,Bを両面に備えつつ、各粘着剤層A,Bに被着体がそれぞれ貼り付けられた際、一方の粘着剤層Aから被着体を選択的に剥離することが可能な構成を備えている。このような両面粘着テープの各粘着剤層A,Bは、被着体に対して剥離可能な状態である程度の接着力(粘着力)で貼り付くことができる。そして、両面粘着テープの各粘着剤層A,Bに貼り付けられている各被着体が、所定の剥離速度条件(例えば、剥離速度30m/分程度の高速剥離条件)の下で、互いに離れるように引っ張られると、2つの粘着剤層A,Bのうち、粘着剤層Aから優先して被着体を剥離させることができる。
なお、本明細書では、両面粘着テープが備える2つの粘着剤層のうち、所定の剥離速度条件(例えば、剥離速度30m/分程度の高速剥離条件)の下で、選択的(優先的)に被着体が剥離される一方の粘着剤層を「粘着剤層A」と表し、他方の粘着剤層(つまり、所定の剥離速度条件の下で、被着体が剥離されずに貼り付いたままの状態の粘着剤層)を「粘着剤層B」と表すものとする。
(各粘着剤層A,Bの粘着力と剥離速度との関係)
ここで、先ず、両面粘着テープが備える各粘着剤層A,Bの粘着力(N/10mm)と、剥離速度(m/分)との関係等について説明する。
本実施形態の両面粘着テープが備える粘着剤層Aにおいて、剥離速度0.3m/分の条件下での180°ピール粘着力試験(低速剥離試験)により求められる粘着力Fa1(N/10mm)が、0.05≦Fa1≦1.5である。Fa1の上限は、好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.80以下であり、更に好ましくは0.50以下である。Fa1の下限は、好ましくは0.07以上であり、より好ましくは0.09以上であり、更に好ましくは0.15以上である。
また、前記両面粘着テープが備える粘着剤層Bにおいて、低速剥離試験により求められる粘着力Fb1(N/10mm)が、0.05≦Fb1≦1.5である。Fb1の上限は、好ましくは1.3以下であり、より好ましくは1.0以下であり、更に好ましくは0.80以下である。Fb1の下限は、好ましくは0.10以上であり、より好ましくは0.15以上であり、更に好ましくは0.20以上である。
なお、粘着力Fa1,及び粘着力Fb1の各値を求めるための、剥離速度0.3m/分の条件下での180°ピール粘着力試験は、後述する実施例に記載の手順により行うことができる。
また、本実施形態の両面粘着テープにおける粘着剤層Aの粘着力Fa1と、粘着剤層Bの粘着力Fb1との関係が、|Fa1−Fb1|≦1.0である。つまり、Fa1≧Fb1の場合、Fa1−Fb1≦1.0であり、Fa1<Fb1の場合、Fb1−Fa1≦1.0である。したがって、低速剥離試験における各粘着剤層A,Bの各粘着力Fa1,Fb1の差は、Fa1≧Fb1、又はFa1<Fb1のいずれの場合であっても、1.0N/10mm以下に設定される。|Fa1−Fb1|の上限は、好ましくは0.8以下であり、より好ましくは0.6以下であり、更に好ましくは0.4以下である。|Fa1−Fb1|の下限は、特に限定されないが、好ましくは0以上であり、より好ましくは0.01以上であり、更に好ましくは0.05以上である。
このように各粘着力Fa1,Fb1の値が設定されていると、各粘着剤層A,Bに対して被着体をそれぞれ剥離可能な状態で貼付固定できる。
粘着力Fa2,及び粘着力Fb2の各値を求めるための剥離速度30m/分の条件下での180°ピール粘着力試験の内容は、上述した低速剥離試験の内容と、剥離速度条件以外は同じである。つまり、低速剥離試験における剥離速度条件を、30m/分に変更すれば、粘着力Fa2,及び粘着力Fb2の各値を求めるための剥離速度30m/分の条件下での180°ピール粘着力試験を行うことができる。
また、本実施形態の両面粘着テープにおける粘着剤層Aにおいて、高速剥離試験により求められる粘着力Fa2(N/10mm)が、0.05≦Fa2≦2.0であることが好ましい。Fa2の上限は、より好ましくは1.5以下であり、更に好ましくは1.3以下であり、特に好ましくは1.2以下である。Fa2の下限は、より好ましくは0.10以上であり、更に好ましくは0.50以上であり、特に好ましくは0.75以上である。
また、前記粘着剤層Bにおいて、高速剥離試験により求められる粘着力Fb2(N/10mm)が、3.0≦Fb2≦6.0であることが好ましい。Fb2の上限は、より好ましくは5.5以下であり、更に好ましくは5.0以下であり、特に好ましくは4.8以下である。Fb2の下限は、より好ましくは3.5以上であり、更に好ましくは4.0以上であり、特に好ましくは4.2以上である。
そして、粘着力Fa2と粘着力Fb2との関係が、Fb2−Fa2≧2.0である。このように、各粘着力Fa2,Fb2の値が設定されていると、前記両面粘着テープの各粘着剤層A,Bに被着体がそれぞれ貼り付けられている場合、各被着体が、ある程度、勢いよく(具体的には、30m/分程度の剥離速度で)互いに離れるように引っ張られると、粘着剤層Aから選択的に一方の被着体を剥離させることができる。なお、前記両面粘着テープは、粘着剤層Bが貼り付く形で、他方の被着体上に残るものの、他方の被着体から剥離して取り除くことができる。
Fb2−Fa2の上限は、特に限定されないが、例えば、20以下であり、好ましくは15以下であり、更に好ましくは10以下である。Fb2−Fa2の下限は、好ましくは2.5以上であり、より好ましくは2.8以上であり、更に好ましくは3.0以上である。
(基材)
次いで、両面粘着テープに利用される基材について説明する。基材としては、例えば、プラスチック、紙、繊維(織布、不織布など)、金属等からなるものが挙げられる。基材としては、プラスチックフィルム製の基材(以下、プラスチックフィルム基材と称する場合がある。)を好適に用いることができる。
前記プラスチックフィルム基材としては、各種エンジニアリングプラスチックからなるプラスチックフィルム基材を好適に用いることができる。プラスチックフィルム基材に利用される素材としては、例えば、ポリエステル[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等]、オレフィン系樹脂[ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂等]、ポリエーテルスルホン(PES)(ポリエーテルサルホン)、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、アミド系樹脂[ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等]、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエステルイミド、メタクリレート系樹脂[ポリメチルメタクリレート(PMMA)等]、スチレン系樹脂[ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等]、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール、ポリアリーレンエーテル(ポリフェニレンエーテル等)、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリアリール、ポリウレタン類、ポリエーテルケトン類[ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン等]、ポリアクリル酸エステル類(ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸エチル等)、エポキシ系樹脂等が挙げられる。これらの素材は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
プラスチックフィルム基材としては、厚み精度、引張強度や加工性等の観点より、特に、ポリエステル(中でも、ポリエチレンテレフタレート)からなるプラスチックフィルム基材を好適に用いることができる。
なお、基材の表面(特に、プラスチックフィルム基材の表面)は、基材上に形成される各粘着剤層A,Bとの密着性を高めるため等の目的で、公知乃至慣用の表面処理(例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等)が施されていてもよいし、下塗り剤によるコーティング処理等が施されていてもよい。
なお、基材は、単層型、積層型のいずれの形態を有していてもよく、構造上の制約を受けるものではない。
基材の厚み(総厚み)は、特に制限はなく目的に応じて適宜、設定されるものであるが、例えば、10μm〜110μmに設定されてもよい。また、基材の厚み(総厚み)は、各粘着剤層A,Bの厚みと同程度又は各粘着剤層A,Bの厚みよりも大きく設定されてもよいし、各粘着剤層A,Bの厚みよりも小さく設定されてもよい。
(各粘着剤層A,Bの組成)
次いで、各粘着剤層A,Bの組成について、説明する。各粘着剤層A,Bを形成する粘着剤としては、各粘着力Fa1,Fa2,Fb1及びFb2が、上述した所定の範囲及び所定の条件を満たすものであれば、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤、クリープ特性改良型粘着剤、放射線硬化型粘着剤等の公知の粘着剤から適宜選択して用いることができる。粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、粘着剤層Aに使用される粘着剤と、粘着剤層Bに使用される粘着剤とは、各粘着力Fa1,Fa2,Fb1及びFb2が、上述した所定の範囲及び所定の条件を満たすものであれば、互いに同じものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。なお、粘着剤層Aに使用される粘着剤と、粘着剤層Bに使用される粘着剤とが、互いに同じものからなる場合であっても、例えば、各粘着剤層A,Bの厚みを調整することによって、各粘着力Fa1,Fa2,Fb1及びFb2が、上述した所定の範囲及び所定の条件を満たすようにすることができる。
粘着剤としては、粘着力の調節のし易さ等の観点より、特にアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。アクリル系粘着剤は、アクリル系ポリマーを粘着性成分(ベースポリマー)又は主剤とし、これに必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤が適宜含まれたものからなる。
前記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー主成分とし、これに必要に応じて前記(メタ)アルキルエステルに対して共重合が可能なモノマー(共重合性モノマー)を用いることにより調製されている。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のうち、何れか一方又は両方)を表すものとする。
アクリル系粘着剤層は、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー及び架橋剤を含有する粘着剤組成物からなることが好ましく、前述の(メタ)アクリル系ポリマーが、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを主成分とすることがより好ましい。前述の(メタ)アクリル系ポリマーを構成する主成分の(メタ)アクリル系モノマーは、前述の炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーであれば、特に制限はないが、好ましくは、炭素数が1〜12であり、より好ましくは、炭素数が2〜10である。炭素数が前述の範囲内にあるものを使用することにより、180°ピール粘着力試験によって求められる各粘着剤層A,Bの各粘着力を所定の範囲及び所定の条件に容易に調節することができる。また、各粘着剤層A,Bの初期の接着性、冬場等における低温条件下での接着性を確保することもできる。
また、前述の(メタ)アクリル系ポリマーを構成する主成分の(メタ)アクリル系モノマーとしては、炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを主成分とすることが、特に好ましい。なお、前述の炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー全量中において、前述の炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを50〜100質量%含有することが好ましく、より好ましくは60〜90質量%である。前述の炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを上記範囲で用いることにより、粘着剤の凝集力が向上し、使用後に剥離する際に糊残りを防止することができ、有効である。
前述の炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本実施形態において、前述の炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、モノマー全体に対する前述の炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーの含有量は、50〜100質量%が好ましく、70〜99質量%であることがより好ましい。
また、前述の(メタ)アクリル系ポリマーが、前述の炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外に、両面粘着テープの性能を損なわない範囲で、他のモノマー成分を含有してもよく、例えば、前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能なビニル系モノマーを含有してもよい。
共重合可能なビニル系モノマーとしては、例えば、多官能モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマー、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、ビニルエーテルモノマー、その他のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー等が挙げられる。
本実施形態において、共重合可能なビニル系モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分の質量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、1〜9質量%であることがより好ましい。
上記多官能モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。多官能モノマーは、単独で、又は2種以上を組み合せて使用してもよい。
多官能モノマーの使用量は、その分子量や官能基数等によって異なるが、アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分の質量に対して、0.01〜2質量%が好ましく、より好ましくは、0.02〜1質量%である。多官能ノマーの使用量が、0.01質量%以上であると、粘着剤層の凝集性が適度に得られる。また、多官能モノマーの使用量が、2質量%未満であると、粘着剤層が硬くなり過ぎることが抑制され、粘着力の著しい低下を抑制することができる。
上記ヒドロキシル基含有モノマーとして、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
上記リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートが挙げられる。
上記シアノ基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
上記ビニルエステルモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ビニルピロリドン等が挙げられる。
上記芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。中でも、特にアクリル酸、及びメタクリル酸が好ましく用いられる。
上記酸無水物基含有モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等が挙げられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル等が挙げられる。
上記イミド基含有モノマーとしては、例えば、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド等が挙げられる。
上記エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記ビニルエーテルモノマーとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等が挙げられる。
このような上記(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合等の公知のラジカル重合法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等いずれであってもよい。
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロへキサノン、n−へキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、水、各種水溶液等が用いられる。反応は窒素等の不活性ガス気流下で、通常、60〜80℃程度で、4〜10時間程度行われる。
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤等は特に限定されず適宜選択して使用することができる。
本実施形態に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬製、VA−057)等のアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化水素等の過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせ等の過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよいが、全体としての使用量はモノマー100質量部に対して、0.005〜1質量部であることが好ましく、0.02〜0.5質量部であることがより好ましい。
また、本実施形態においては、重合において連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、アクリル系ポリマーの分子量を適宜調整することができる。
連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール等が挙げられる。
これらの連鎖移動剤は、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよいが、全体としての使用量はモノマー100質量部に対して、0.01〜0.1質量部程度である。
本実施形態において用いられる粘着剤組成物は、上記の(メタ)アクリル系ポリマーを、架橋剤を用いて架橋することにより、180°ピール粘着力試験によって求められる各粘着剤層A,Bの各粘着力を所定の範囲及び所定の条件に容易に調節することができる。架橋剤としては、上記アクリル系モノマーの官能基と反応(結合形成)可能な官能基を少なくとも2つ以上分子内に有する化合物が用いられ、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、及び金属キレート化合物等を用いることができる。
このうち、イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、乳化型イソシアネート等が挙げられる。
より具体的なイソシアネート化合物としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業製、商品名「コロネートL」)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業製、商品名「コロネートHL」)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業製、商品名「コロネートHX」)等のイソシアネート付加物、自己乳化型ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業製、商品名「アクアネート200」)等が挙げられる。これらのイソシアネート化合物は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オキサゾリン化合物としては、例えば、2−オキサゾリン、3−オキサゾリン、4−オキサゾリン、5−ケト−3−オキサゾリン、エポクロス(日本触媒製)等が挙げられる。これらのオキサゾリン化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
エポキシ化合物としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名「テトラッドX」、三菱ガス化学社製)や、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名「テトラッドC」、三菱ガス化学社製)、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジル−o−トルイジン等のポリグリシジルアミン化合物等が挙げられる。これらのエポキシ化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
メラミン系樹脂としては、例えば、ヘキサメチロールメラミン、水溶性メラミン系樹脂等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アジリジン誘導体としては、例えば、上市されているものとして、商品名「HDU」(相互薬工製)、商品名「TAZM」(相互薬工製)、商品名「TAZO」(相互薬工製)等が挙げられる。これらの化合物は、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
金属キレート化合物としては、例えば、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケル等が挙げられ、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。これらの化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの架橋剤の使用量は、180°ピール粘着力試験によって求められる各粘着剤層A,Bの各粘着力を所定の範囲及び所定の条件に調節するために、架橋すべき(メタ)アクリル系ポリマーとのバランス等により適宜選択される。架橋剤の使用量は、上記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.1〜6質量部が好ましく、0.2〜4質量部がより好ましく、0.4〜2質量部が特に好ましい。架橋剤の使用量が、0.1〜6質量部であると、各粘着剤層A,Bの凝集力が確保され、被着体に糊残りが発生することが抑制される。
また、上記粘着剤組成物に対して、必要に応じて、粘着付与樹脂を添加してもよい。粘着付与樹脂としては特に限定されず、従来、粘着剤に用いられているものを使用することができる。粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン系、テルペン系、炭化水素系、エポキシ系、ポリアミド系、エラストマー系、フェノール系、ケトン系等、の各種粘着付与樹脂が挙げられる。このような粘着付与樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、粘着付与樹脂としては、接着性(密着性)、特に曲面接着性の観点等からロジン系粘着付与樹脂が好ましく、特にロジンエステル類が好ましく、更には、重合ロジンエステル樹脂が好ましい。
ロジン系粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン);これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等);その他の各種ロジン誘導体;等が挙げられる。
前記ロジン誘導体としては、例えば、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したもの(即ち、ロジンのエステル化物)、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)をアルコール類によりエステル化したもの(即ち、変性ロジンのエステル化物)等のロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)、不飽和脂肪酸変性ロジン類又は不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩;ロジン類(未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール樹脂;等が挙げられる。
テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体等のテルペン系樹脂;これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性等)した変性テルペン系樹脂;等が挙げられる。上記変性テルペン樹脂としては、テルペン−フェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂等が挙げられる。
炭化水素系粘着付与樹脂としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン−オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の各種の炭化水素系の樹脂が挙げられる。脂肪族系炭化水素樹脂としては、炭素数4〜5程度のオレフィンおよびジエンから選択される一種または二種以上の脂肪族炭化水素の重合体等が挙げられる。上記オレフィンの例としては、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン等が挙げられる。上記ジエンの例としては、ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン等が挙げられる。芳香族系炭化水素樹脂としては、炭素数8〜10程度のビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン、メチルインデン等)の重合体等が挙げられる。脂肪族系環状炭化水素樹脂としては、所謂「C4石油留分」や「C5石油留分」を環化二量体化した後に重合させた脂環式炭化水素系樹脂;環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン等)の重合体またはその水素添加物;芳香族系炭化水素樹脂又は脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂;等が挙げられる。
各粘着剤層A,Bにおける粘着付与樹脂の含有量は、特に制限されず、目的とする粘着性能(粘着力)に応じて適宜設定することができる。例えば、各粘着剤層A,B中に含まれるアクリル系粘着剤の樹脂固形分100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜45質量部である。
更に上記粘着剤組成物は、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、例えば、着色剤、顔料等の粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、界面活性剤、軟化剤、帯電防止剤、無機又は有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物等を使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、これらの任意成分の配合量は、両面粘着テープの分野で通常用いられている使用量を用いることができる。
(各粘着剤層A,Bの厚み)
粘着剤層Aの厚みTaは、各粘着力Fa1,Fa2が上述した所定の範囲及び所定の条件を満たすものであれば、特に制限はないが、例えば、0.05μm〜100μmとすることができ、好ましくは1μm〜50μmであり、より好ましくは2μm〜30μmであり、更に好ましくは3μm〜10μmに設定される。
粘着剤層Bの厚みTbについても、各粘着力Fb1,Fb2が上述した所定の範囲及び所定の条件を満たすものであれば、特に制限はないが、例えば、1μm〜200μmとすることができ、好ましくは10μm〜150μmであり、より好ましくは20μm〜10μmであり、更に好ましくは35μm〜90μmに設定される。
ここで、粘着剤層Aの厚みTaと、粘着剤層Bの厚みTbとの関係は、好ましくはTa≦Tbである。特に、粘着剤層Aと粘着剤層Bとで使用される粘着剤が実質的に同じものである場合には、Ta<Tbとすることによって、粘着力Fa1,Fa2,Fb1及びFb2を上述した所定の範囲に調整することができる。斯かる場合の、粘着剤層Aの厚みTaに対する粘着剤層Bの厚みTbの倍率は、好ましくは2〜30倍であり、より好ましくは5〜20倍であり、更に好ましくは7〜15倍に設定される。なお、上記「粘着剤層が実質的に同じものである」とは、粘着剤を構成する各成分同士が、実質的に同一であることを意味し、具体的には、各成分の差が±10質量%の範囲内(好ましくは各成分の差が±5質量%の範囲内、より好ましくは各成分の差が±3質量%の範囲内)であることを意味する。
(剥離ライナー)
本実施形態の両面粘着テープは、使用時まで、各粘着剤層A,Bの粘着面を保護するための剥離ライナーを設けることができる。このような剥離ライナーとしては、特に限定されるものではなく、公知乃至慣用の剥離ライナーから適宜選択して用いることができる。
剥離ライナーとしては、例えば、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルムによる剥離ライナーであってもよいし、片面又は両面に剥離処理層が剥離ライナー用の基材上に形成された構成の剥離ライナーであってもよい。前記剥離性の高いプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等)、ポロプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体又はランダム共重合体)の他、これらの混合物からなるポリオレフィン系樹脂によるポリオレフィン系フィルム;フッ素樹脂製フィルム等が挙げられる。前記剥離ライナーとしては、前記剥離処理層が剥離ライナー用の基材上に形成された構成の剥離ライナーを好適に用いることができる。
剥離ライナー用の基材としては、プラスチックフィルムを好適に用いることができるが、紙(例えば、和紙、洋紙、グラシン紙等)、不織布や布、発砲体、金属箔、各種基材による複合基材(例えば、金属蒸着プラスチックフィルム等)等のプラスチックフィルム以外のものであってもよい。剥離ライナー用の基材の厚みは、目的に応じて適宜選択されるものであり、一般的には、10μm〜500μm程度である。なお、剥離ライナー用の基材に利用されるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂等からなるフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムは、無延伸フィルム及び延伸(一軸延伸又は二軸延伸)フィルムの何れの形態であってもよい。
また、前記剥離処理層は、剥離ライナーの剥離処理層を形成するための一般的な剥離処理剤(例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤等)により形成することができる。なお、剥離処理層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂によるポリオレフィン系フィルム;フッ素樹脂製フィルム等の剥離性フィルムを、剥離ライナーの基材上に、ラミネート又はコーティングすることにより形成してもよい。剥離ライナーにおいて、剥離処理層は、剥離ライナー用の基材の片面又は両面に設けることができる。
(両面粘着テープの形態、及び作製方法)
本実施形態の両面粘着テープは、平面状に広がった形態を有していてもよいし、ロール状に巻回された巻回体の形態を有していてもよい。
平面状に広がった形態を有する両面粘着テープは、例えば、以下の手順により作製することができる。先ず、剥離ライナーの剥離処理面上に、一方の粘着剤層(例えば、粘着剤層A)を形成するための粘着剤組成物を塗布して、剥離ライナー上に一方の粘着剤層を形成する。次いで、基材の一方の表面に、剥離ライナー上に形成された一方の粘着剤層を貼り合わせて、基材上に一方の粘着剤層が形成される。続いて、前記基材の他方の表面に、他方の粘着剤層(例えば、粘着剤層B)を形成するための粘着剤層を塗布して、前記基材上に他方の粘着剤層が形成される。更に、必要に応じて、他方の粘着剤層上に、他の剥離ライナーを貼り合わせる。このようにして、平面状に広がった形態を有する両面粘着テープを作製することができる。
また、ロール状に巻回された巻回体の形態を有する両面粘着テープは、例えば、以下の手順により作製することができる。例えば、剥離ライナーとして、両面が剥離処理面となっている1枚の長尺帯状の剥離ライナーを用い、その剥離ライナーの一方の剥離処理面を、長尺帯状の両面粘着テープにおける一方の粘着剤層の粘着面に重ね合わせて積層し、前記剥離ライナーの他方の剥離処理面を、他方の粘着剤層の粘着面に重ね合わせてロール状に巻回することにより、ロール状に巻回された形態を有する両面粘着テープを作製することができる。
また、剥離ライナーとしては、片面のみが剥離処理面となっている2枚の長尺帯状の剥離ライナーを用い、一方の剥離ライナーにより長尺帯状の両面粘着テープにおける一方の粘着剤層の粘着面を保護し、他方の剥離ライナーにより他方の粘着剤層の粘着面を保護した状態で、ロール状に巻回することにより、ロール状に巻回された形態を有する両面粘着テープを作製することができる。
このようなロール状に巻回された形態を有する両面粘着テープの長さとしては、長尺帯状の長さであれば特に制限されないが、通常、5m以上(好ましくは10m以上、更に好ましくは20m以上)である。
なお、本実施形態の両面粘着テープは、本発明の目的を達成できる範囲において、他の形態を備えていてもよいし、他の製造方法によって製造されてもよい。
(両面粘着テープの選択的剥離性能)
本実施形態の両面粘着テープでは、各粘着剤層A,Bにそれぞれ被着体が貼り付けられている場合、各被着体を互いに離れる向きに引っ張ると、2つの粘着剤層A,Bのうち、粘着剤層Aから選択的(優先的)に被着体が剥離される。このように粘着剤層Aから選択的に被着体を剥離させるためには、各被着体を、概ね、25m/分〜40m/分の範囲の剥離速度で引っ張ればよい。
(両面粘着テープの用途)
本実施形態の両面粘着テープの用途は、本発明の目的を達成できる範囲において、特に制限はなく、様々な技術分野において使用することができる。本実施形態の両面粘着テープは、例えば、携帯電子機器を構成する各種部材や各モジュールを固定する際に利用することができる。このような携帯電子機器としては、例えば、携帯電話、PHS、スマートフォン、タブレット(タブレット型コンピュータ)、モバイルコンピュータ(モバイルPC)、携帯情報端末(PDA)、電子手帳、携帯型テレビや携帯型ラジオ等の携帯型放送受信機、携帯型ゲーム機、ポータブルオーディオプレーヤー、デジタルカメラ等のカメラ、カムコーダ型のビデオカメラ等が挙げられる。
両面粘着テープの具体的な使用態様としては、特に限定されないが、例えば、レンズ(特にガラスレンズ)の筐体への固定、液晶表示パネル等のディスプレイパネルの筐体への固定、シート状キーボードやタッチパネル等の入力装置の筐体への固定、情報表示部の保護パネルと筐体との貼り合わせ、筐体同士の貼り合わせ、筐体と装飾用シートとの貼り合わせ、携帯電子機器を構成する各種部材やモジュールの固定等が挙げられる。
また、両面粘着テープで固定される携帯電子機器の部材としては、例えば、光学部材(例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフォルム)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板、これらの積層物等)が挙げられる。例えば、両面粘着テープは、携帯電子機器を構成する光学部材同士の貼り付け、携帯電子機器を構成する光学部材の筐体への固定等に使用できる。
また、本実施形態の両面粘着テープは、上述した携帯電子機器以外の装置において、各種部品や各種モジュールを固定するために利用されてもよい。前記携帯電子機器以外の装置としては、例えば、表示装置(画像表示装置)、入力装置等が挙げられ、前記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパー等が挙げられる。また、前記入力装置としては、例えば、タッチパネル等が挙げられる。
なお、本実施形態の両面粘着テープを利用して部材(被着体)同士を固定した場合、粘着剤層Aに貼り付けられている一方の部材(被着体)を選択的に粘着剤層Aから剥離することが可能であるため、両面粘着テープから前記一方の部材(被着体)を剥離して分離する作業を、オートメーション化することが可能となる。
また、本実施形態の両面粘着テープは、何れの粘着剤層A,Bに貼り付けられた部材(被着体)について、貼り直し作業を行うことが可能となる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
(粘着剤組成物Iの調製)
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100質量部、アクリル酸(AA)2質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)0.01質量部、過酸化ベンゾイル0.2質量部及びトルエン190質量部を入れ、常法により、重合反応を進行させて、アクリル系ポリマー溶液を得た。
次いで、前記アクリル系ポリマー溶液100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン株式会社製)2質量部、及びエポキシ系架橋剤(商品名「テトラッドC」、三菱ガス化学株式会社製)0.05質量部を加えて、溶液状の粘着剤組成物Iを調製した。
(粘着剤組成物IIの調製)
粘着剤組成物Iの調製時と同様にして調製された、前記アクリル系ポリマー溶液100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン株式会社製)2質量部、及びエポキシ系架橋剤(商品名「テトラッドC」、三菱ガス化学株式会社製)0.3質量部を加えて、溶液状の粘着剤組成物IIを調製した。
(両面粘着テープ11の作製)
片面をシリコーンで剥離処理した厚み75μmのポリエステルフィルムからなる剥離ライナーa及び剥離ライナーbを用意した。
基材cとして、厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。
粘着剤組成物Iを、剥離処理された剥離ライナーaの面上に、加熱処理後の厚みが5μmとなるように塗布した。続いて、粘着剤組成物Iからなる剥離ライナーa上の塗布物を、80〜120℃で0.5〜3分間加熱処理して、厚み5μmの粘着剤層A1を形成した。次いで、この粘着剤層A1上に、厚み50μmのPETフィルムからなる基材cの一方の面を貼り付けた。
続いて、前記基材cの他方の面上に、粘着剤組成物IIを、加熱処理後の厚みが50μmとなるように塗布し、粘着剤組成物IIからなる基材上の塗布物を、80〜120℃で0.5〜3分間加熱処理して、厚み50μmの粘着剤層B1を形成した。その後、粘着剤層B1上に、剥離処理された面を貼り合わせる形で剥離ライナーbを積層して、図1に示されるような構成の実施例1の両面粘着テープ11を得た。図1は、実施例1の両面粘着テープ11の構成を模式的に表した断面図である。
(180°ピール粘着力の測定)
実施例1の両面粘着テープ11が備える各粘着剤層A1,B1に対して、剥離速度条件が0.3m/分、10m/分及び30m/分の場合について、それぞれ180°ピール粘着力(N/10mm)を測定した。180°ピール粘着力の測定は、以下の手順で行った。
実施例1の両面粘着テープ11から、短冊状のテープ片(サイズ:幅10mm×長さ100mm)を切り出した。次いで、得られた短冊状のテープ片から、一方の剥離ライナーを剥離し、測定面となる一方の粘着剤層の粘着面を、SUS板(幅50mm×長さ125mm、厚み2.0mm、SUS304)に貼り付けた。そして、他方の剥離ライナーを剥離して、他方の粘着剤層に厚み25μmのPETフィルムを貼り付けた状態で、2kgのローラーを1往復させることにより、テープ片をSUS板に圧着した。その後、23℃、50%RHの雰囲気下で30分間エージングして、これを試験サンプルとした。そして、この試験サンプルを用いて、実施例1の両面粘着テープ(短冊状のテープ片)における測定対象の粘着剤層について、180°ピール粘着力(N/10mm)を測定した。測定は、23℃、50%RHの雰囲気下、引張試験機(島津製作所製「オートグラフAGS−II」)を使用して、剥離角度180°、上述した所定の剥離速度条件で行った。
なお、両面粘着テープ11の各粘着剤層A1,B1における、各剥離速度条件下での180°ピール粘着力の測定は、それぞれ3回行った。180°ピール粘着力の測定結果は、表1に示した。また、両面粘着テープ11の各粘着剤層A1,B1における、剥離速度と、180°ピール粘着力(平均値)との関係を表すグラフを図2に示した。
(選択的剥離試験)
実施例1の両面粘着テープ11から、短冊状のテープ片(サイズ:幅10mm×長さ100mm)を切り出した。次いで、得られた短冊状のテープ片から、一方の剥離ライナーaを剥離し、一方の粘着剤層A1の粘着面をSUS板Sa(幅50mm×長さ125mm、厚み2.0mm、SUS304)に貼り付けた。更に、他方の剥離ライナーbを剥離して、他方の粘着剤層B1の粘着面を、SUS板Sb(幅50mm×長さ125mm、厚み2.0mm、SUS304)に貼り付けた。続いて、前記テープ片をSUS板SaとSUS板Sbとの間で挟み付けるように、2kgのローラーを各SUS板Sa上でそれぞれ1往復させた。このようにして、粘着剤層A1がSUS板Saに密着すると共に、粘着剤層B1がSUS板Sbに密着する形で、実施例1の両面粘着テープ11からなるテープ片を、各SUS板Sa,Sbに圧着した。その後、23℃、50%RHの雰囲気下で30分間エージングして、これを試験サンプルとした。
そして、この試験サンプルのSUS板Saと、SUS板Sbとが互いに離れるように、試験者が両手でSUS板SaとSUS板Sbと引き離すように試験サンプルに力を加えて、テープ片のどちらの粘着剤層が剥離したかを試験した。このような内容からなる選択的剥離試験を、合計20回行った。なお、図3は、実施例1の両面粘着テープ11における選択的剥離試験の内容を模式的に表した説明図である。試験結果は表1に示した。
〔実施例2〕
(両面粘着テープ12の作製)
実施例1と同様の粘着剤組成物IIを、剥離処理された実施例1と同様の剥離ライナーaの面上に、加熱処理後の厚みが5μmとなるように塗布した。続いて、粘着剤組成物IIからなる剥離ライナーa上の塗布物を、80〜120℃で0.5〜3分間加熱処理して、厚み5μmの粘着剤層A2を形成した。次いで、この粘着剤層A2上に、厚み50μmのPETフィルムからなる基材cの一方の面を貼り付けた。
続いて、前記基材cの他方の面上に、実施例1と同様の粘着剤組成物IIを、加熱処理後の厚みが50μmとなるように塗布し、粘着剤組成物IIからなる基材c上の塗布物を、80〜120℃で0.5〜3分間加熱処理して、厚み50μmの粘着剤層B2を形成した。その後、粘着剤層B2上に、剥離処理された面を貼り合わせる形で実施例1と同様の剥離ライナーbを積層して、図4に示されるような構成の実施例2の両面粘着テープ12を得た。
(180°ピール粘着力の測定)
実施例2の両面粘着テープ12が備える各粘着剤層A2,B2に対して、実施例1と同様の方法で、剥離速度条件が0.3m/分、10m/分及び30m/分の場合について、それぞれ180°ピール粘着力(N/10mm)を測定した。実施例2における180°ピール粘着力の測定結果は、表1に示した。また、両面粘着テープ12の各粘着剤層A2,B2における、剥離速度と、180°ピール粘着力(平均値)との関係を表すグラフを図5に示した。
(選択的剥離試験)
実施例1と同様にして、実施例2の両面粘着テープ12から試験サンプルを作製し、その試験サンプルを用いて、選択的剥離評試験(合計20回)を行った。試験結果は表1に示した。
〔比較例〕
(両面粘着テープの作製)
実施例1と同様の粘着剤組成物IIを、剥離処理された実施例1と同様の剥離ライナーaの面上に、加熱処理後の厚みが35μmとなるように塗布した。続いて、粘着剤組成物IIからなる剥離ライナーa上の塗布物を、80〜120℃で0.5〜3分間加熱処理して、厚み25μmの粘着剤層P1を形成した。次いで、この粘着剤層P1上に、厚み50μmのPETフィルムからなる基材cの一方の面を貼り付けた。
続いて、前記基材cの他方の面上に、実施例1と同様の粘着剤組成物IIを、加熱処理後の厚みが35μmとなるように塗布し、粘着剤組成物IIからなる基材c上の塗布物を、80〜120℃で0.5〜3分間加熱処理して、厚み35μmの粘着剤層P2を形成した。その後、粘着剤層P2上に、剥離処理された面を貼り合わせる形で実施例1と同様の剥離ライナーbを積層して、図6に示されるような構成の比較例の両面粘着テープ11Cを得た。
(180°ピール粘着力の測定)
比較例の両面粘着テープ11Cが備える各粘着剤層P1,P2に対して、実施例1と同様の方法で、剥離速度条件が0.3m/分、10m/分及び30m/分の場合について、それぞれ180°ピール粘着力(N/10mm)を測定した。比較例における180°ピール粘着力の測定結果は、表1に示した。また、両面粘着テープ11Cの各粘着剤層C1,C2における、剥離速度と、180°ピール粘着力(平均値)との関係を表すグラフを図7に示した。
(選択的剥離試験)
実施例1と同様にして、比較例の両面粘着テープ11Cから試験サンプルを作製し、その試験サンプルを用いて、選択的剥離試験(合計20回)を行った。試験結果は表1に示した。
〔選択的剥離試験の結果〕
表1に示されるように、実施例1の両面粘着テープ11では、Fb2−Fa2=3.31(平均値)であり、粘着剤層A1と粘着剤層B1との間に粘着力の差が生じ、粘着剤層A1から選択的に被着体(SUS板Sa)が剥離されることが確かめられた。また、実施例2の両面粘着テープ12では、Fb2−Fa2=4.10(平均値)であり、粘着剤層A2と粘着剤層B2との間に粘着力の差が生じ、粘着剤層A2から選択的に被着体(SUS板Sa)が剥離されることが確かめられた。
一方、比較例の両面粘着テープ11Cでは、Fb2−Fa2=−0.07(平均値)であり、各粘着剤層C1,C2から、それぞれ被着体(SUS板Sa又はSUS板Sb)が、同程度剥離される結果となった。つまり、比較例の両面粘着テープ11Cでは、粘着剤層C1と粘着剤層C2との間に粘着力の差がなく、何れか一方の粘着剤層から選択的に被着体を剥離させることができないことが確かめられた。