JP2014164043A - パターン形成方法、及び、相分離構造を含む構造体の製造方法 - Google Patents

パターン形成方法、及び、相分離構造を含む構造体の製造方法 Download PDF

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Tsuyoshi Kurosawa
剛志 黒澤
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Abstract

【課題】ケミカルエピタキシープロセスにおけるガイドパターンの簡便な形成方法を提供すること。
【解決手段】露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する感光性樹脂組成物を用いて支持体1上に感光性樹脂膜2を形成し、感光性樹脂膜2を露光し、該露光後の感光性樹脂膜を、有機溶剤を含有する現像液を用いてネガ型現像することにより感光性樹脂膜2aからなるプレパターンを形成する工程と、前記プレパターンが形成された支持体1上に、表面処理剤を含む中性化膜3を形成する工程と、支持体1上に形成された前記プレパターン及び中性化膜3をアルカリ現像し、支持体1上から該プレパターンを除去するとともに、支持体1上に中性化膜3aからなるパターンを形成する工程と、を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、パターン形成方法、及び、相分離構造を含む構造体の製造方法に関する。
近年、大規模集積回路(LSI)のさらなる微細化に伴い、より繊細な構造体を製造する技術が求められている。このような要望に対し、互いに非相溶性のブロック同士を結合させたブロックコポリマーの自己組織化により形成される相分離構造を利用して、より微細なパターンを形成する試みが始まっている(例えば、特許文献1参照)。
ブロックコポリマーの相分離構造を利用するためには、ミクロ相分離により形成される自己組織化ナノ構造を、特定の領域のみに形成し、かつ、所望の方向へ配列させることが必須となる。これらの位置制御及び配向制御を実現するために、ガイドパターンによって、相分離パターンを制御するグラフォエピタキシーや、基板の化学状態の違いによって相分離パターンを制御するケミカルエピタキシー等のプロセスが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
ケミカルエピタキシープロセスでは、ブロックコポリマーを構成するいずれかのブロックと親和性を有する、表面処理剤を含む中性化膜、を基板表面に所定のパターンで配置する。この基板表面に配置された中性化膜のパターン(ガイドパターン)により、相分離構造の各相の配向が制御される。このため、所望の相分離構造を形成させるためには、中性化膜を、ブロックコポリマーの周期に合わせて配置することが重要となる。例えば、中性化膜を、ハーフピッチがブロックコポリマーの周期に相当するラインアンドスペースのパターンに超微細加工することによって、ブロックコポリマーの相分離構造を、各相が互いに平行になるように、基板表面に配向させることができる。
前記ガイドパターンの形成には、感光性樹脂組成物が用いられている。
ケミカルエピタキシープロセスにおいて、ガイドパターンは、例えば、基板表面に中性化膜を形成した後、該中性化膜上に、感光性樹脂組成物を塗布して感光性樹脂膜を形成し、該感光性樹脂膜にパターニングを施して、ラインアンドスペース等の感光性樹脂膜からなるプレパターンを形成し、次いで、エッチングによりスペース部に露出している中性化膜を除去し、その後、該プレパターンを剥離することによって形成される。
特開2008−36491号公報
プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第7637巻,第76370G−1(2010年).
しかしながら、従来、ケミカルエピタキシープロセスにおいては、ガイドパターン形成の際、感光性樹脂膜の形成に加えて、エッチング、並びに、感光性樹脂膜からなるプレパターンを剥離するのに露光及びベークの操作を必要とし、煩雑な操作を要するという点で問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ケミカルエピタキシープロセスにおけるガイドパターンの簡便な形成方法、を課題とする。
本発明者らは、ケミカルエピタキシープロセスによりガイドパターンを形成する際、先に感光性樹脂膜からなるプレパターンを形成した後で中性化膜を形成すること、加えて、該プレパターンを、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する感光性樹脂組成物を用いてネガ型現像により形成することで、露光及びベーク等の操作を要さずに該プレパターンを剥離することが可能となり、エッチングの操作も要することなくガイドパターンを簡便に形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の態様は、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する感光性樹脂組成物を用いて支持体上に感光性樹脂膜を形成し、該感光性樹脂膜を露光し、該露光後の感光性樹脂膜を、有機溶剤を含有する現像液を用いてネガ型現像することによりプレパターンを形成する工程(1)と、前記プレパターンが形成された支持体上に、表面処理剤を含む中性化膜を形成する工程(2)と、前記支持体上に形成された前記プレパターン及び前記中性化膜をアルカリ現像し、該支持体上から該プレパターンを除去するとともに、該支持体上に該中性化膜からなるパターンを形成する工程(3)と、を含むことを特徴とするパターン形成方法である。
本発明の第二の態様は、前記本発明の第一の態様のパターン形成方法により前記中性化膜からなるパターンが形成された支持体上に、該パターンを被覆するように、複数種類のポリマーが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程(4)と、前記ブロックコポリマーを含む層を相分離させる工程(5)と、を含むことを特徴とする、相分離構造を含む構造体の製造方法である。
本発明によれば、ケミカルエピタキシープロセスにおいて、ガイドパターンを簡便な方法で形成できる。
本発明に係るパターン形成方法の一実施形態例を説明する概略工程図である。 本発明に係る相分離構造を含む構造体の製造方法の一実施形態例を説明する概略工程図である。
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(−H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(−CH−)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基(Rα0)は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。また、置換基(Rα0)がエステル結合を含む置換基で置換されたイタコン酸ジエステルや、置換基(Rα0)がヒドロキシアルキル基やその水酸基を修飾した基で置換されたαヒドロキシアクリルエステルも含むものとする。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
「アクリルアミドから誘導される構成単位」とは、アクリルアミドのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
アクリルアミドは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、アクリルアミドのアミノ基の水素原子の一方または両方が置換基で置換されていてもよい。なお、アクリルアミドのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリルアミドのカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
アクリルアミドのα位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたもの(置換基(Rα0))と同様のものが挙げられる。
「ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたものも含む概念とする。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素数1〜5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
≪パターン形成方法≫
本発明の第一の態様は、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する感光性樹脂組成物を用いて支持体上に感光性樹脂膜を形成し、該感光性樹脂膜を露光し、該露光後の感光性樹脂膜を、有機溶剤を含有する現像液を用いてネガ型現像することによりプレパターンを形成する工程(1)と、前記プレパターンが形成された支持体上に、表面処理剤を含む中性化膜を形成する工程(2)と、前記支持体上に形成された前記プレパターン及び前記中性化膜をアルカリ現像し、該支持体上から該プレパターンを除去するとともに、該支持体上に該中性化膜からなるパターンを形成する工程(3)と、を含むことを特徴とするパターン形成方法である。
以下、本態様のパターン形成方法について、図面を参照しながら説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本態様のパターン形成方法の一実施形態例を示す。
本実施形態では、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する感光性樹脂組成物が用いられている。
まず、支持体1を用意する(図1(a))。
次いで、前記感光性樹脂組成物を用いて、支持体1上に感光性樹脂膜2を形成する(図1(b))。その後、感光性樹脂膜2を露光し、該露光後の感光性樹脂膜を、有機溶剤を含有する現像液を用いてネガ型現像する。これにより、離間配置された複数の感光性樹脂膜2aからなるプレパターンが形成される(図1(c);以上、工程(1))。
次いで、プレパターンが形成された支持体1上に、プレパターンを被覆するように、表面処理剤を含む中性化膜3を形成する(図1(d);工程(2))。
次いで、支持体1上に形成されたプレパターン及び中性化膜3をアルカリ現像する。これにより、支持体1上からプレパターンが除去されるとともに、支持体1上に中性化膜3aからなるパターンが形成される(図1(e);工程(3))。
このように、本実施形態のパターン形成方法によれば、ケミカルエピタキシープロセスにおいて、露光及びベーク等の操作を要さずにプレパターンを剥離することが可能であり、エッチングの操作も要することなくガイドパターンを簡便に形成できる。
<工程(1)>
工程(1)では、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する感光性樹脂組成物を用いて支持体上に感光性樹脂膜を形成し、該感光性樹脂膜を露光し、該露光後の感光性樹脂膜を、有機溶剤を含有する現像液を用いてネガ型現像することによりプレパターンを形成する。
支持体1上へのプレパターンの形成は、例えば以下のようにして行うことができる。
まず、支持体1上に、感光性樹脂組成物をスピンナー等で塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて好ましくは40〜120秒間、より好ましくは60〜90秒間施して感光性樹脂膜2を形成する。
感光性樹脂膜2の厚さは、中性化膜3aからなるパターンの高さによって適宜決定され、30nm以上であることが好ましく、厚さ40〜200nmであることがより好ましい。
次に、感光性樹脂膜2に対し、たとえばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて好ましくは40〜120秒間、より好ましくは60〜90秒間施す。
次に、前記選択的露光後の感光性樹脂膜をネガ型現像する。
ネガ型現像は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を用いて行う。
ネガ型現像の後、好ましくはリンス処理を行う。このリンス処理は、有機溶剤を含有するリンス液を用いた処理が好ましい。
かかるネガ型現像またはリンス処理の後に、プレパターン上に付着している有機系現像液またはリンス液を超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
ネガ型現像後またはリンス処理後、本実施形態においては、前記ネガ型現像の後にベーク(ポストベーク)を行うことが好ましい。該ベーク(ポストベーク)は、180℃以上で行うことが好ましく、190℃以上で行うことがより好ましく、200〜250℃で行うことが特に好ましい。加熱時間は30〜600秒間とすることが好ましく、より好ましくは60〜450秒間である。
ネガ型現像の後に、好ましくは180℃以上の高温でベークを行うことにより、得られるプレパターンに、溶剤に対する耐性を容易に付与できる。つまり、該ベークを行うことにより、次の工程(2)で、プレパターン上に中性化膜3を形成する際、プレパターンは、中性化膜形成用の表面処理剤に含まれる溶剤の影響を受けにくくなる。
支持体1としては、その表面上に感光性樹脂組成物を塗布し得るものであれば、その種類は特に限定されない。たとえば、シリコン、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属、ガラス、酸化チタン、シリカ、マイカなどの無機物からなる基板、アクリル板、ポリスチレン、セルロース、セルロースアセテート、フェノール樹脂などの有機化合物からなる基板などが挙げられる。
また、本態様において用いられる基板の大きさや形状は、特に限定されるものではない。基板は必ずしも平滑な表面を有する必要はなく、様々な材質や形状の基板を適宜選択することができる。たとえば、曲面を有する基板、表面が凹凸形状の平板、薄片状などの様々な形状のものまで多様に用いることができる。
また、基板表面には、無機系および/または有機系の膜が設けられていてもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
基板に感光性樹脂膜2を形成する前に、基板表面を洗浄してもよい。基板表面を洗浄することにより、後の中性化膜3の形成を良好に行える場合がある。
洗浄方法としては、従来公知の方法を利用でき、たとえば酸素プラズマ処理、水素プラズマ処理、オゾン酸化処理、酸アルカリ処理、化学修飾処理等が挙げられる。一例として、基板を硫酸/過酸化水素水溶液等の酸溶液に浸漬させた後、水洗し、乾燥させる方法がある。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。
感光性樹脂膜2の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予め感光性樹脂膜2と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、露光される感光性樹脂膜2の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、感光性樹脂膜2の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、たとえば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル化合物が好ましい。パーフルオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
有機系現像液が含有する有機溶剤としては、露光前の感光性樹脂を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤の中から適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としてはたとえば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、たとえばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
ネガ型現像は、公知の現像方法により実施することが可能であり、たとえば現像液中に支持体1を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体1表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体1表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法により実施できる。該方法としては、たとえば一定速度で回転している支持体1上にリンス液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体1を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体1表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
プレパターンを形成する感光性樹脂組成物は、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するものであって、感光性樹脂膜の形成に一般的に用いられている感光性樹脂組成物やその改変物の中から適宜選択して用いることができる。本態様で用いられる感光性樹脂組成物は、感光性樹脂膜とした際、溶剤に対する耐性、耐熱性、及びアルカリ現像液への溶解性がいずれも高いものほど好ましい。かかる感光性樹脂組成物についての詳細は後述する。
<工程(2)>
工程(2)では、前記工程(1)で、プレパターンが形成された支持体上に、表面処理剤を含む中性化膜を形成する(プレパターンが形成された支持体を中性化処理する)。
中性化処理とは、支持体表面を、ブロックコポリマーを構成するいずれのブロックとも親和性を有するように改質する処理をいう。中性化処理を行うことにより、相分離によって特定のブロックからなる相のみが支持体表面に接することを抑制できる。この点を考慮し、相分離によって支持体表面に相分離構造を形成させるために、ブロックコポリマーを含む層を形成する前に、用いるブロックコポリマーの種類に応じた中性化膜を支持体表面に形成しておく。具体的には、支持体表面に、ブロックコポリマーを構成するいずれのブロックとも親和性を有する、表面処理剤を含む薄膜(中性化膜)を形成する。
中性化膜3は、たとえば、プレパターンが形成された支持体1上に、表面処理剤を塗布することにより形成することができる。
具体的には、プレパターンが形成された支持体1上に、プレパターンを被覆するように、表面処理剤をスピンコート等により塗布する。その後、ベーク処理を、好ましくは160〜270℃、より好ましくは180〜250℃の温度条件にて、好ましくは30〜600秒間、より好ましくは60〜450秒間施して中性化膜3を形成する。
中性化膜3の厚さは、相分離を生じることが可能な厚さであればよく、2nm以上であることが好ましく、厚さ5〜15nmであることがより好ましい。
表面処理剤は、プレパターンが形成された支持体1上に、プレパターンを被覆するように塗布することが好ましい。これにより、プレパターンのスペース部、すなわち、支持体1の露出部1sを充分に被覆でき、中性化膜3aからなるパターンをより良好に形成できる。
(表面処理剤)
表面処理剤としては、樹脂組成物を用いることができる。
かかる樹脂組成物は、ブロックコポリマーを構成するブロックの種類に応じて、薄膜形成に用いられる従来公知の樹脂組成物の中から適宜選択することができる。
表面処理剤として用いられる樹脂組成物は、熱重合性樹脂組成物であってもよく、ポジ型レジスト組成物やネガ型レジスト組成物等の感光性樹脂組成物であってもよい。その他、化合物を表面処理剤とし、該化合物を塗布して形成された非重合性膜を中性化膜としてもよい。たとえば、フェネチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン等を表面処理剤として形成されたシロキサン系有機単分子膜も、中性化膜3として好適に用いることができる。
このような表面処理剤としては、たとえば、ブロックコポリマーを構成する各ブロックの構成単位をいずれも有する樹脂を含有する樹脂組成物や、ブロックコポリマーを構成する各ブロックと親和性の高い構成単位をいずれも有する樹脂を含有する樹脂組成物等が挙げられる。
たとえば、スチレンの繰返し単位からなるブロックと、メタクリル酸メチルの繰返し単位からなるブロックと、のブロックコポリマー(PS−b−PMMA)を用いる場合には、表面処理剤として、スチレンとメタクリル酸メチルとの両方を構成単位として有する樹脂を含有する組成物や、芳香環等のスチレンと親和性の高い部位と、メタクリル酸メチルと親和性の高い部位(極性の高い官能基等)と、の両方を含む化合物又は組成物を用いることが好ましい。
スチレンとメタクリル酸メチルとの両方を構成単位として有する樹脂としては、例えば、スチレンとメタクリル酸メチルとのランダムコポリマー、スチレンとメタクリル酸メチルとの交互ポリマー(各モノマーが交互に共重合しているもの)等が挙げられる。
また、スチレンと親和性の高い部位と、メタクリル酸メチルと親和性の高い部位と、の両方を含む組成物としては、例えば、モノマーとして、少なくとも、芳香環を有するモノマーと、極性の高い官能基を有するモノマーと、を重合させて得られる樹脂を含有する組成物が挙げられる。芳香環を有するモノマーとしては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いたアリール基、又は、これらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等を有するモノマーが挙げられる。また、極性の高い官能基を有するモノマーとしては、トリメトキシシリル基、トリクロロシリル基、エポキシ基、グリシジル基、カルボキシ基、水酸基、シアノ基、アルキル基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルキル基等を有するモノマーが挙げられる。
その他、スチレンと親和性の高い部位と、メタクリル酸メチルと親和性の高い部位と、の両方を含む化合物としては、フェネチルトリクロロシラン等のアリール基と極性の高い官能基との両方を含む化合物や、アルキルシラン化合物等のアルキル基と極性の高い官能基との両方を含む化合物等が挙げられる。
表面処理剤として用いられる樹脂組成物は、前述の樹脂を溶媒に溶解させて製造することができる。
かかる溶媒としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などが挙げられる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、PGMEA、PGME、シクロヘキサノン、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶媒とを混合した混合溶剤も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶媒との相溶性等を考慮して適宜決定すればよく、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。たとえば極性溶媒としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶媒としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。また、極性溶媒としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、ブロックコポリマー溶液中の有機溶剤として、その他には、PGMEA、EL、または前記PGMEAと極性溶媒との混合溶剤と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
<工程(3)>
工程(3)では、前記工程(2)で、支持体上に形成されたプレパターン及び中性化膜をアルカリ現像し、該支持体上から該プレパターンを除去する。これにより、該支持体上に該中性化膜からなるパターン(ガイドパターン)が形成される。
本実施形態においては、プレパターンを構成する感光性樹脂膜2aが、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する感光性樹脂組成物を用いて、有機系現像液を用いたネガ型現像により形成されている、すなわち、この感光性樹脂膜2aは、アルカリ現像液に対しては可溶である。したがって、アルカリ現像により、感光性樹脂膜2aがアルカリ現像液に溶解し、支持体1上からプレパターンが除去され、プレパターンのスペース部(支持体1の露出部1s)に形成された中性化膜3aのみが支持体1上に残る。
尚、アルカリ現像により、プレパターンが除去されるとともに、該プレパターンの支持体1側とは反対側の面(プレパターン上面)、及びその反対側の面近傍の側面(プレパターン側面)に存在していた中性化膜3も除去される。
アルカリ現像液としては、たとえば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。また、アルカリ現像は、公知の現像方法により実施することが可能であり、前述したネガ型現像における現像方法と同様にして行うことができる。
アルカリ現像の後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、純水を用いたリンス処理が好ましい。リンス処理は、公知のリンス方法により実施でき、前述したネガ型現像における場合と同様にして行うことができる。
アルカリ現像後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、アルカリ現像後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。該ベーク(ポストベーク)は、90℃以上で行うことが好ましく、100℃以上で行うことがより好ましく、100〜130℃で行うことが特に好ましい。加熱時間は、30〜100秒間とすることが好ましく、より好ましくは60〜80秒間である。
本態様のパターン形成方法は、上述した実施形態に限らず、工程(1)〜(3)に加えて他の工程を含んでいてもよい。
(感光性樹脂組成物)
本態様のパターン形成方法では、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する感光性樹脂組成物が用いられる。
該感光性樹脂組成物としては、たとえば、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下「(A)成分」ともいう。)を含有するものが挙げられる。
かかる感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂膜を形成し、該感光性樹脂膜に対して選択的露光を行うと、露光部では酸が発生し、該酸の作用により(A)成分の現像液に対する溶解性が変化する一方で、未露光部では(A)成分の現像液に対する溶解性が変化しないため、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差が生じる。そのため、該感光性樹脂膜を現像すると、当該感光性樹脂組成物がポジ型の場合は露光部が溶解除去されてポジ型の感光性樹脂パターン(プレパターン)が形成され、当該感光性樹脂組成物がネガ型の場合は未露光部が溶解除去されてネガ型の感光性樹脂パターン(プレパターン)が形成される。
本明細書においては、露光部が溶解除去されてポジ型感光性樹脂パターンを形成する感光性樹脂組成物をポジ型感光性樹脂組成物といい、未露光部が溶解除去されてネガ型感光性樹脂パターンを形成する感光性樹脂組成物をネガ型感光性樹脂組成物という。
本態様で用いられる感光性樹脂組成物は、ポジ型感光性樹脂組成物であってもよく、ネガ型感光性樹脂組成物であってもよい。
また、本態様で用いられる感光性樹脂組成物は、現像処理にアルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であってもよく、該現像処理に有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であってもよい。
かかる感光性樹脂組成物のなかでも、本態様のパターン形成方法においては、工程(1)で、ネガ型現像によりネガ型の感光性樹脂パターン(プレパターン)が形成され、工程(3)で、アルカリ現像により該感光性樹脂パターンが溶解除去される、のに適したものを採用する。
本態様で用いられる感光性樹脂組成物は、露光により酸を発生する酸発生能を有するものであり、(A)成分が露光により酸を発生してもよく、(A)成分とは別に配合された添加剤成分が露光により酸を発生してもよい。
具体的には、該感光性樹脂組成物は、(1)露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という。)を含有するものであってもよく;(2)(A)成分が露光により酸を発生する成分であってもよく;(3)(A)成分が露光により酸を発生する成分であり、かつ、さらに(B)成分を含有するものであってもよい。
すなわち、上記(2)及び(3)の場合、(A)成分は、「露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分」となる。(A)成分が露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分である場合、後述する(A1)成分が、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する高分子化合物であることが好ましい。このような高分子化合物としては、露光により酸を発生する構成単位を有する高分子化合物を用いることができる。露光により酸を発生する構成単位としては、公知のものを用いることができる。
本態様で用いられる感光性樹脂組成物は、上記(1)の場合であるものが好ましい。
・(A)成分
本発明において、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、加えて、ナノレベルの感光性樹脂パターンを形成しやすい。
基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下、「樹脂」又は「高分子化合物」という場合は、分子量が1000以上の重合体を示す。
重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
本態様で用いられる(A)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が増大するものであってもよく、酸の作用により現像液に対する溶解性が減少するものであってもよい。なかでも、(A)成分は、酸の作用により有機溶剤に対する溶解性が減少する基材成分であるものが好ましい。加えて、(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分であるものが好ましい。
本態様においては、特に、(A)成分として、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有する高分子化合物(A1)(以下この高分子化合物を「(A1)成分」という。)を含有するものが好ましい。
この(A1)成分を含有する感光性樹脂組成物は、露光により酸を発生し、(A1)成分の露光部は極性が高くなり、該酸の作用によって、(A1)成分の有機溶剤に対する溶解性が減少する。そのため、プレパターン形成においては、該感光性樹脂組成物を用いて得られる感光性樹脂膜に対して選択的露光を行うと、該感光性樹脂膜における露光部の、有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)に対する溶解性が減少する一方で、未露光部の有機系現像液に対する溶解性は変化しないため、該有機系現像液を用いて現像することにより、未露光部が除去されてプレパターンが形成される。
該感光性樹脂膜における露光部(プレパターン)は、有機溶剤に対する溶解性が減少(溶剤に対する耐性が向上)しているので、工程(2)で、プレパターン上に中性化膜を形成する際、プレパターンは、中性化膜形成用の表面処理剤に含まれる溶剤の影響を受けにくい。
また、該感光性樹脂膜における露光部は、極性が高いことから、アルカリ現像液に溶解しやすい。そのため、プレパターン(該感光性樹脂膜における露光部)は、アルカリ現像により溶解除去される。
(A)成分としては、少なくとも(A1)成分を用いることが好ましく、該(A1)成分とともに他の高分子化合物及び/又は低分子化合物を併用してもよい。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、良好なリソグラフィー特性及び形状の感光性樹脂パターンが得られやすい。
・・(A1)成分
(A1)成分は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有する高分子化合物である。
なかでも、(A1)成分は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位を有する高分子化合物が特に好ましい。
・・・構成単位(a1)
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SOH)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基がより好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基が酸解離性基で保護された基(たとえばOH含有極性基の水素原子を、酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
ここで「酸解離性基」とは、(i)酸の作用により、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基、又は、(ii)酸の作用により一部の結合が開裂した後、さらに脱炭酸反応が生じることにより、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る基、の双方をいう。
酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液が有機系現像液の場合には溶解性が減少し、現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大する。
酸解離性基としては、特に限定されず、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものを使用することができる。
前記極性基のうちカルボキシ基または水酸基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−1)で表される酸解離性基(以下「アセタール型酸解離性基」ということがある。)が挙げられる。
Figure 2014164043
[式中、Ra’、Ra’は水素原子またはアルキル基であり、Ra’は炭化水素基であって、Ra’は、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成してもよい。]
式(a1−r−1)中、Ra’及びRa’のうち、少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、両方が水素原子であることがより好ましい。
Ra’又はRa’がアルキル基である場合、該アルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。具体的には、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基またはエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(a1−r−1)中、Ra’の炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、環状の炭化水素基が挙げられる。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが好ましい。
Ra’が環状の炭化水素基となる場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Ra’の環状の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、含まれる芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基)等が挙げられる。
前記アリール基又はヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
Ra’が、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成する場合、該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
また、前記極性基のうち、カルボキシ基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−2)で表される酸解離性基が好適に挙げられる。
Figure 2014164043
[式中、Ra’〜Ra’はそれぞれ置換基を有していてもよい炭化水素基であって、Ra’とRa’とは互いに結合して環を形成してもよい。]
前記式(a1−r−2)中、Ra’〜Ra’の炭化水素基としては、前記Ra’と同様のものが挙げられる。
Ra’〜Ra’における炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
「炭化水素基が置換基を有していてもよい」とは、炭化水素基中の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていてもよいことを意味する。
尚、Rは、炭素数4〜20であるが、この炭素数4〜20には、ここでの置換基中の炭素原子を含むものとする。
ここでの置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等;好ましくはフッ素原子)、ハロゲン化アルキル基(好ましくはフッ素化アルキル基)、酸素原子(=O)、シアノ基(−CN)、−COOCH、−NO等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基として具体的には、「アルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)」の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等;好ましくはフッ素原子)で置換された基が挙げられる。
但し、Ra’〜Ra’における炭化水素基は、該炭化水素基を構成する炭素原子の一部が、炭素原子以外の原子又は原子団で置換されていてもよい。炭素原子以外の原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、珪素原子等のヘテロ原子が挙げられる。
前記式(a1−r−2)中、Ra’〜Ra’のうち、Ra’は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
Ra’とRa’とが互いに結合して環を形成する場合、たとえば、下記一般式(a1−r2−1)で表される基が挙げられる。
一方、Ra’〜Ra’が互いに結合せず、それぞれが独立した炭化水素基である場合、下記一般式(a1−r2−2)で表される基が挙げられる。
Figure 2014164043
[式中、Ra’10は炭素数1〜10のアルキル基である。Ra’11はRa’10が結合した炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基である。Ra’12〜Ra’14は、それぞれ独立に炭化水素基を示す。]
前記式(a1−r2−1)中、Ra’10における炭素数1〜10のアルキル基は、前記式(a1−r−1)におけるRa’の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基として挙げた基が好ましい。式(a1−r2−1)中、Ra’11がRa’10が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族環式基は、前記式(a1−r−1)におけるRa’の環状の炭化水素基として挙げた基が好ましく、単環式の脂環式炭化水素基がより好ましい。
前記式(a1−r2−2)中、Ra’12及びRa’14は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基は、前記式(a1−r−1)におけるRa’の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基として挙げた基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状アルキル基であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
式(a1−r2−2)中、Ra’13は、前記式(a1−r−1)におけるRa’の炭化水素基として例示された直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は、単環式の脂環式炭化水素基もしくは多環式の脂環式炭化水素基であることが好ましい。これらの中でも、Ra’13は、単環式の脂環式炭化水素基もしくは多環式の脂環式炭化水素基として挙げた基であることがより好ましい。
前記式(a1−r2−1)で表される基の具体例を以下に挙げる。なお、本明細書において、式中の*印は結合手(酸素原子−O−との結合位置)を示す。
Figure 2014164043
Figure 2014164043
前記式(a1−r2−2)で表される基の具体例を以下に挙げる。
Figure 2014164043
また、前記極性基のうち、水酸基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−3)で表される酸解離性基(以下便宜上「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
Figure 2014164043
[式中、Ra’〜Ra’はそれぞれアルキル基である。]
式(a1−r−3)中、Ra’〜Ra’は、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、1〜3がより好ましい。
また、各アルキル基の合計の炭素数は、3〜7であることが好ましく、3〜5であることがより好ましく、3〜4であることが最も好ましい。
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位;アクリルアミドから誘導される構成単位であって、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位;ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位;ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の−C(=O)−OHにおける水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、上記のなかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a1)の好ましい具体例としては、下記一般式(a1−1)又は(a1−2)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2014164043
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vaはエーテル結合を有していてもよい2価の炭化水素基であり、na1は0〜2であり、Raは上記式(a1−r−1)又は(a1−r−2)で表される酸解離性基である。Waはna2+1価の炭化水素基であり、na2は1〜3であり、Raは上記式(a1−r−1)又は(a1−r−3)で表される酸解離性基である。]
前記式(a1−1)中、Rの炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
Vaの炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。Vaにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
また、Vaとしては、上記2価の炭化水素基の炭素原子間にエーテル結合(−O−)を有していてもよい。Va中に存在するエーテル結合は1つでも2つ以上でもよい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
前記Vaにおける2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記式(a1−2)中、Waにおけるna2+1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味し、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、或いは直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と構造中に環を含む脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基が挙げられる。
前記na2+1価は、2〜4価が好ましく、2又は3価がより好ましい。
以下に前記式(a1−1)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2014164043
Figure 2014164043
Figure 2014164043
Figure 2014164043
Figure 2014164043
以下に前記式(a1−2)で表される構成単位の具体例を示す。
Figure 2014164043
(A1)成分が有する構成単位(a1)は、1種でもよく2種以上でもよい。
(A1)成分中の構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、10〜80モル%が好ましく、15〜75モル%がより好ましく、20〜70モル%がさらに好ましい。
構成単位(a1)の割合を下限値以上とすることによって、感光性樹脂パターン(プレパターン)を容易に得ることができ、感度、解像性、LWR等のリソグラフィー特性も向上する。また、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
・・・その他の構成単位
(A1)成分は、上述した構成単位(a1)に該当しない、その他の構成単位をさらに有してもよい。
その他の構成単位としては、上述の構成単位に分類されない構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能であり、例えば以下に示す構成単位(a2)〜(a4)等が挙げられる。
構成単位(a2):
(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、ラクトン含有環式基、−SO−含有環式基又はカーボネート含有環式基を含む構成単位(a2)を有することが好ましい。
構成単位(a2)のラクトン含有環式基、−SO−含有環式基またはカーボネート含有環式基は、プレパターンを形成する際に、感光性樹脂膜の支持体への密着性を高める上で有効なものである。加えて、得られる感光性樹脂膜の、溶剤に対する耐性、耐熱性、及びアルカリ現像液への溶解性の向上に寄与する。
溶剤に対する耐性が高まることで、工程(2)で、プレパターン上に中性化膜3を形成する際、プレパターンは、中性化膜形成用の表面処理剤に含まれる溶剤の影響を受けにくくなる。
また、耐熱性が高まることで、プレパターンを高温でベークした際、パターンの変形が生じにくくなる。これにより、ネガ型現像の後に、高温(好ましくは180℃以上)でベークを行うことができ、プレパターンに、溶剤に対する耐性を容易に付与できる。
さらに、アルカリ現像液への溶解性が高まることで、工程(3)で、プレパターンを容易に除去できる。
「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
構成単位(a2)におけるラクトン含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2014164043
[式中、Ra’21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基であり;A”は酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0〜2の整数であり、m’は0または1である。]
前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中、Ra’21におけるアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Ra’21におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基として挙げたアルキル基と酸素原子(−O−)とが連結した基が挙げられる。
Ra’21におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Ra’21におけるハロゲン化アルキル基としては、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
Ra’21における−COOR”、−OC(=O)R”において、R”はいずれも水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基である。
R”におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、炭素数は1〜15が好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンや、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
R”におけるラクトン含有環式基としては、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基と同様のものが挙げられる。
R”におけるカーボネート含有環式基としては、後述のカーボネート含有環式基と同様であり、具体的には一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
R”における−SO−含有環式基としては、後述の−SO−含有環式基と同様であり、具体的には一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Ra’21におけるヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
前記一般式(a2−r−2)、(a2−r−3)、(a2−r−5)中、A” における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、例えば、−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
下記に一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
Figure 2014164043
Figure 2014164043
「−SO−含有環式基」とは、その環骨格中に−SO−を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、−SO−における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。その環骨格中に−SO−を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。−SO−含有環式基は、単環式基であってもよく多環式基であってもよい。
−SO−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO−を含む環式基、すなわち−O−SO−中の−O−S−が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。
−SO−含有環式基として、より具体的には、下記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2014164043
[式中、Ra’51はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0〜2の整数である。]
前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)中、A”は、前記一般式(a2−r−2)、(a2−r−3)、(a2−r−5)中のA”と同様である。
Ra’51におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のRa’21についての説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
下記に一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。式中の「Ac」は、アセチル基を示す。
Figure 2014164043
Figure 2014164043
Figure 2014164043
「カーボネート含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−O−を含む環(カーボネート環)を含有する環式基を示す。カーボネート環をひとつ目の環として数え、カーボネート環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。カーボネート含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
カーボネート環含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2014164043
[式中、Ra’x31はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、p’は0〜3の整数であり、q’は0または1である。]
前記一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)中、A”は、前記一般式(a2−r−2)、(a2−r−3)、(a2−r−5)中のA”と同様である。
Ra’ 31におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のRa’21についての説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
下記に一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
Figure 2014164043
構成単位(a2)としては、なかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a2)は、下記一般式(a2−1)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2014164043
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Ya21は単結合または2価の連結基である。La21は−O−、−COO−、−CON(R’)−、−OCO−、−CONHCO−又は−CONHCS−であり、R’は水素原子またはメチル基を示す。ただしLa21が−O−の場合、Ya21は−CO−にはならない。Ra21はラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基である。]
式(a2−1)中、Rは前記と同じである。
Ya21の2価の連結基としては特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
Ya21が置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。
2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アリール基またはヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
Ya21がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−、−Y21−O−C(=O)−Y22−または−Y21−S(=O)−O−Y22−で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m”は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
前記へテロ原子を含む2価の連結基が−C(=O)−NH−、−C(=O)−NH−C(=O)−、−NH−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−、−Y21−O−C(=O)−Y22−または−Y21−S(=O)−O−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)と同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基において、m”は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CHa’−C(=O)−O−(CHb’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
Ya21としては、単結合、エステル結合[−C(=O)−O−]、エーテル結合(−O−)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又はこれらの組合せであることが好ましい。
前記式(a2−1)中、Ra21はラクトン含有環式基、−SO−含有環式基またはカーボネート含有環式基である。
Ra21におけるラクトン含有環式基、−SO−含有環式基、カーボネート含有環式基としてはそれぞれ、前述した一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基、一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基、一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基が好適に挙げられる。
中でも、Ra21としては、ラクトン含有多環式基、−SO−含有多環式基またはカーボネート含有多環式基が好ましい。これらの多環式基を選択することにより、得られる感光性樹脂膜は、特に、溶剤に対する耐性、耐熱性、及びアルカリ現像液への溶解性のいずれも高まる。
そのなかでも、ラクトン含有多環式基または−SO−含有多環式基が好ましく、前記一般式(a2−r−2)または(a5−r−1)でそれぞれ表される基がより好ましく、前記一般式(a2−r−2)で表される基が特に好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a2)は、1種でもよく2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a2)を有する場合、構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜80モル%であることが好ましく、10〜70モル%であることがより好ましく、10〜65モル%であることがさらに好ましく、10〜60モル%が特に好ましい。
構成単位(a2)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができ、種々のリソグラフィー特性及びプレパターン形状がより良好となる。
構成単位(a3):
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(構成単位(a1)又は構成単位(a2)に該当するものを除く)である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むものであれば特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
構成単位(a3)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位が好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記の式(a3−1)で表される構成単位、式(a3−2)で表される構成単位、式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2014164043
[式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。]
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していること、が好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
(A1)成分が含有する構成単位(a3)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分が構成単位(a3)を有する場合、構成単位(a3)の割合は、当該樹脂成分(A1)を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
構成単位(a3)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
構成単位(a4):
構成単位(a4)は、酸非解離性の脂肪族環式基を含む構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a4)を有することにより、(A)成分の疎水性が高まる。疎水性の向上は、特に有機溶剤現像の場合に、解像性、プレパターン形状等の向上に寄与すると考えられる。
構成単位(a4)における「酸非解離性環式基」は、露光により該感光性樹脂組成物から酸が発生した際(例えば(A)成分又は後述する(B)成分から酸が発生した際)に、該酸が作用しても解離することなくそのまま当該構成単位中に残る環式基である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位等が好ましい。該環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−7)でそれぞれ表される構成単位を例示することができる。
Figure 2014164043
[式中、Rαは前記と同じである。]
(A1)成分が有する構成単位(a4)は、1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a4)を有する場合、構成単位(a4)の割合は、該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜30モル%であることが好ましく、3〜20モル%がより好ましい。
構成単位(a4)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a4)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A1)成分は、構成単位(a1)を有する高分子化合物であり、かかる(A1)成分としては、構成単位(a1)と構成単位(a2)とを有する高分子化合物、構成単位(a1)と構成単位(a3)とを有する高分子化合物、構成単位(a1)と構成単位(a2)と構成単位(a3)とを有する高分子化合物、構成単位(a1)と構成単位(a2)と構成単位(a3)と構成単位(a4)とを有する高分子化合物、が好適に挙げられる。
本態様においては、特に、(A1)成分は、構成単位(a1)と構成単位(a2)とを有する高分子化合物が好ましい。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、5000〜50000が好ましく、8000〜30000がより好ましく、9000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、感光性樹脂組成物の溶媒(後述の(S)成分)への溶解性がより高まり、この範囲の下限値以上であると、プレパターン断面形状がより良好となる。
(A1)成分の分子量分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜4.0がより好ましく、1.0〜3.0が最も好ましい。
本態様で用いられる感光性樹脂組成物において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分としては、前記(A1)成分以外の高分子化合物(以下この高分子化合物を「(A2)成分」という。)を用いてもよく、(A1)成分と併用してもよい。
(A2)成分としては、特に限定されず、化学増幅型レジスト組成物用の基材成分として従来から知られている多数のもの(たとえばArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のベース樹脂)から任意に選択して用いればよい。
感光性樹脂組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとする感光性樹脂膜の厚さ等に応じて調整すればよい。
・その他の成分
本態様で用いられる感光性樹脂組成物は、上記の(A)成分に加えて、さらに、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という)を含有するものでもよい。
・・(B)成分
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが挙げられる。なかでも、オニウム塩系酸発生剤を用いるのが好ましい。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば、下記の一般式(b−1)で表される化合物(以下「(b−1)成分」ともいう)、一般式(b−2)で表される化合物(以下「(b−2)成分」ともいう)、又は一般式(b−3)で表される化合物(以下「(b−3)成分」ともいう)を用いることができる。
Figure 2014164043
[式中、R101、R104〜R108はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。R104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。R102はフッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。Y101は単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。V101〜V103はそれぞれ独立に単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基である。L101〜L102はそれぞれ独立に単結合または酸素原子である。L103〜L105はそれぞれ独立に単結合、−CO−又は−SO−である。mは1以上の整数であって、M’m+はm価のオニウムカチオンである。]
・・・アニオン部
(b−1)成分のアニオン部:
式(b−1)中、R101は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
置換基を有していてもよい環式基:
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
101における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
101における芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
101における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:たとえば、フェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
101における環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
なかでも、R101における環状の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基がより好ましく、アダマンチル基、ノルボルニル基が特に好ましく、アダマンチル基が最も好ましい。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、R101における環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。具体的には、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基、その他以下に挙げる複素環式基が挙げられる。
Figure 2014164043
101の環状の炭化水素基における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基(−C(=O)−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基(−C(=O)−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)は、環状の炭化水素基を構成するメチレン基(−CH−)を置換する基である。
置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基:
101の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基:
101の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1−メチルビニル基、2−メチルビニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
101の鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基(−C(=O)−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、ニトロ基、アミノ基、上記R101における環式基等が挙げられる。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基(−C(=O)−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)は、鎖状のアルキル基またはアルケニル基を構成するメチレン基(−CH−)を置換する基である。
なかでも、R101は、置換基を有していてもよい環式基が好ましく、置換基を有していてもよい環状の炭化水素基であることがより好ましい。より具体的には、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、上記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基などが好ましい。
式(b−1)中、Y101は、単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。
101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、該Y101は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合:−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、オキシカルボニル基(−O−C(=O)−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。当該組み合わせに、さらにスルホニル基(−SO−)が連結されていてもよい。当該組み合わせとしては、たとえば下記式(y−al−1)〜(y−al−7)でそれぞれ表される連結基が挙げられる。
Figure 2014164043
[式中、V’101は単結合または炭素数1〜5のアルキレン基であり、V’102は炭素数1〜30の2価の飽和炭化水素基である。]
V’102における2価の飽和炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキレン基であることが好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基でもよく分岐鎖状のアルキレン基でもよく、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基として、具体的には、メチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
また、V’101又はV’102における前記アルキレン基における一部のメチレン基が、炭素数5〜10の2価の脂肪族環式基で置換されていてもよい。当該脂肪族環式基は、前記式(a1−r−1)中のRa’の環状の脂肪族炭化水素基から水素原子をさらに1つ除いた2価の基が好ましく、シクロへキシレン基、1,5−アダマンチレン基または2,6−アダマンチレン基がより好ましい。
101としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、上記式(y−al−1)〜(y−al−5)でそれぞれ表される連結基が好ましい。
式(b−1)中、V101は、単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基である。V101におけるアルキレン基、フッ素化アルキレン基は、炭素数1〜4であることが好ましい。V101におけるフッ素化アルキレン基としては、V101におけるアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。なかでも、V101は、単結合、又は炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基であることが好ましい。
式(b−1)中、R102は、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。R102は、フッ素原子または炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
(b−1)成分のアニオン部の具体例としては、たとえば、Y101が単結合となる場合、トリフルオロメタンスルホネートアニオンやパーフルオロブタンスルホネートアニオン等のフッ素化アルキルスルホネートアニオンが挙げられ;Y101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、下記式(an−1)〜(an−3)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
Figure 2014164043
[式中、R”101は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、前記式(r−hr−1)〜(r−hr−6)でそれぞれ表される基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基であり;R”102は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、前記式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、又は前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基であり;R”103は、置換基を有していてもよい芳香族環式基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり;v”はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、q”はそれぞれ独立に1〜20の整数であり、t”は1〜3の整数であり、n”は0または1である。]
R”101、R”102およびR”103の置換基を有していてもよい脂肪族環式基は、前記R101における環状の脂肪族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。前記置換基としては、R101における環状の脂肪族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R”103における置換基を有していてもよい芳香族環式基は、前記R101における環状の炭化水素基における芳香族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。前記置換基としては、R101における該芳香族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R”101における置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基は、前記R101における鎖状のアルキル基として例示した基であることが好ましい。R”103における置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基は、前記R101における鎖状のアルケニル基として例示した基であることが好ましい。
(b−2)成分のアニオン部:
式(b−2)中、R104、R105は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。ただし、R104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。
104、R105は、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基であることがより好ましい。
該鎖状のアルキル基の炭素数は1〜10であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜7、さらに好ましくは炭素数1〜3である。R104、R105の鎖状のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、感光性樹脂組成物の溶媒(後述の(S)成分)への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。また、R104、R105の鎖状のアルキル基においては、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また、200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。前記鎖状のアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基である。
式(b−2)中、V102、V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基であり、それぞれ、式(b−1)中のV101と同様のものが挙げられる。
式(b−2)中、L101〜L102は、それぞれ独立に単結合又は酸素原子である。
(b−3)成分のアニオン部:
式(b−3)中、R106〜R108は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
103〜L105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO−である。
・・・カチオン部
式(b−1)、(b−2)及び(b−3)中、M’m+は、それぞれm価のオニウムカチオンであり、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが好適に挙げられる。具体的には、下記の一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表される有機カチオンが好適なものとして挙げられる。
Figure 2014164043
[式中、R201〜R207、およびR211〜R212は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表し、R201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。R208〜R209はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、R210は置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基、アルケニル基、又は−SO−含有環式基であり、L201は−C(=O)−または−C(=O)−O−を表し、Y201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基またはアルケニレン基を表し、xは1または2であり、W201は(x+1)価の連結基を表す。]
201〜R207、およびR211〜R212におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
201〜R207、およびR211〜R212におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
201〜R207、およびR211〜R212におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
201〜R207、およびR210〜R212が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、下記式(ca−r−1)〜(ca−r−7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2014164043
[式中、R’201はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい環式基、鎖状のアルキル基、または鎖状のアルケニル基である。]
R’201の置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基は、前述の式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる他、置換基を有していてもよい環式基又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基としては、前述の式(a1−r−2)で表される酸解離性基と同様のものも挙げられる。
201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、−SO−、−SO−、−SO−、−COO−、−CONH−または−N(R)−(該Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。形成される環の具体例としては、たとえばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
208〜R209は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、アルキル基となる場合、相互に結合して環を形成してもよい。
210は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい−SO−含有環式基である。
210におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
210におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
210におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
210における、置換基を有していてもよい−SO−含有環式基としては、前述の一般式(a2−1)中のRa21の「−SO−含有環式基」と同様のものが挙げられ、前述の一般式(a5−r−1)で表される基が好ましい。
201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。
201におけるアリーレン基は、前述の式(b−1)中のR101における芳香族炭化水素基として例示したアリール基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
201におけるアルキレン基、アルケニレン基は、前述の一般式(a1−1)中のVaにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
前記式(ca−4)中、xは、1または2である。
201は、(x+1)価、すなわち2価または3価の連結基である。
201における2価の連結基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、前述の一般式(a2−1)におけるYa21と同様の炭化水素基が例示できる。W201における2価の連結基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わされた基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。
201における3価の連結基としては、前記W201における2価の連結基から水素原子を1個除いた基、前記2価の連結基にさらに前記2価の連結基が結合した基などが挙げられる。W201における3価の連結基としては、アリーレン基に2個のカルボニル基が結合した基が好ましい。
式(ca−1)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−1−1)〜(ca−1−67)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2014164043
Figure 2014164043
Figure 2014164043
[式中、g1、g2、g3は繰返し数を示し、g1は1〜5の整数であり、g2は0〜20の整数であり、g3は0〜20の整数である。]
Figure 2014164043
[式中、R”201は水素原子又は置換基であって、置換基としては前記R201〜R207、およびR210〜R212が有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。]
前記式(ca−2)で表される好適なカチオンとして具体的には、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン等が挙げられる。
前記式(ca−3)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−3−1)〜(ca−3−6)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2014164043
前記式(ca−4)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−4−1)〜(ca−4−2)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2014164043
上記の中でも、カチオン部[M’m+]は、一般式(ca−1)で表されるカチオンが好ましく、式(ca−1−1)〜(ca−1−67)でそれぞれ表されるカチオンがより好ましい。
(B)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の中でも、(B)成分としては、(b−1)成分を用いることが特に好ましい。
本態様で用いられる感光性樹脂組成物が(B)成分を含有する場合、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜60質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、1〜40質量部がさらに好ましい。
(B)成分の含有量を上記範囲とすることで、プレパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られやすく、保存安定性が良好となるため好ましい。
・・(D)成分
本態様で用いられる感光性樹脂組成物は、(A)成分に加えて、又は、(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに、酸拡散制御剤成分(以下「(D)成分」という。)を含有してもよい。
(D)成分は、前記の(A)成分、(B)成分等から露光により発生する酸をトラップするクエンチャー(酸拡散制御剤)として作用するものである。
(D)成分は、露光により分解して酸拡散制御性を失う光崩壊性塩基(D1)(以下「(D1)成分」という。)であってもよく、該(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物(D2)(以下「(D2)成分」という。)であってもよい。
・・・(D1)成分について
(D1)成分を含有する感光性樹脂組成物とすることで、プレパターンを形成する際に、露光部と未露光部とのコントラストを向上させることができる。
(D1)成分としては、露光により分解して酸拡散制御性を失うものであれば特に限定されず、下記一般式(d1−1)で表される化合物(以下「(d1−1)成分」という。)、下記一般式(d1−2)で表される化合物(以下「(d1−2)成分」という。)及び下記一般式(d1−3)で表される化合物(以下「(d1−3)成分」という。)からなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(d1−1)〜(d1−3)成分は、露光部においては分解して酸拡散制御性(塩基性)を失うためクエンチャーとして作用せず、未露光部においてクエンチャーとして作用する。
Figure 2014164043
[式中、Rd〜Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。ただし、式(d1−2)中のRdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していないものとする。Ydは単結合または2価の連結基である。mは1以上の整数であって、Mm+はそれぞれ独立にm価の有機カチオンである。]
{(d1−1)成分}
(d1−1)成分のアニオン部:
式(d1−1)中、Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
これらのなかでも、Rdとしては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましい。これらの基が有していてもよい置換基としては水酸基、フッ素原子又はフッ素化アルキル基が好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、フェニル基もしくはナフチル基がより好ましい。
前記脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
前記鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基;1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
前記鎖状のアルキル基が置換基としてフッ素原子又はフッ素化アルキル基を有するフッ素化アルキル基である場合、フッ素化アルキル基の炭素数は、1〜11が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。該フッ素化アルキル基は、フッ素原子以外の原子を含有してもよい。フッ素原子以外の原子としては、たとえば酸素原子、炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
Rdとしては、直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換されたフッ素化アルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基を構成する水素原子の全てがフッ素原子で置換されたフッ素化アルキル基(直鎖状のパーフルオロアルキル基)であることが好ましい。
以下に(d1−1)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2014164043
(d1−1)成分のカチオン部:
式(d1−1)中、Mm+は、m価の有機カチオンである。
m+の有機カチオンとしては、前記一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表されるカチオンと同様のものが好適に挙げられ、前記式(ca−1−1)〜(ca−1−67)でそれぞれ表されるカチオンがより好ましい。
(d1−1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{(d1−2)成分}
(d1−2)成分のアニオン部:
式(d1−2)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
ただし、Rdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していない(フッ素置換されていない)ものとする。これにより、(d1−2)成分のアニオンが適度な弱酸アニオンとなり、(D)成分としてのクエンチング能が向上する。
Rdとしては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましく、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい);カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
Rdの炭化水素基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記式(d1−1)のRdにおける炭化水素基(芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基)が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
以下に(d1−2)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2014164043
(d1−2)成分のカチオン部:
式(d1−2)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{(d1−3)成分}
(d1−3)成分のアニオン部:
式(d1−3)中、Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられ、フッ素原子を含む環式基、鎖状のアルキル基、又は鎖状のアルケニル基であることが好ましい。中でも、フッ素化アルキル基が好ましく、前記Rdのフッ素化アルキル基と同様のものがより好ましい。
式(d1−3)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
中でも、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、環式基であることが好ましい。
Rdにおけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。Rdのアルキル基の水素原子の一部が水酸基、シアノ基等で置換されていてもよい。
Rdにおけるアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
Rdにおけるアルケニル基は、上記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられ、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基が好ましい。これらの基はさらに置換基として、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を有していてもよい。
Rdにおける環式基は、上記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられ、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた脂環式基、又は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基が好ましい。Rdが脂環式基である場合、感光性樹脂組成物が有機溶剤に良好に溶解することにより、リソグラフィー特性が良好となる。また、Rdが芳香族基である場合、EUV等を露光光源とするリソグラフィーにおいて、該感光性樹脂組成物が光吸収効率に優れ、感度やリソグラフィー特性が良好となる。
式(d1−3)中、Ydは、単結合または2価の連結基である。
Ydにおける2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が挙げられる。これらはそれぞれ、前記式(a2−1)におけるYa21の2価の連結基についての説明のなかで挙げた、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
Ydとしては、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、アルキレン基又はこれらの組み合わせであることが好ましい。アルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがさらに好ましい。
以下に(d1−3)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2014164043
Figure 2014164043
(d1−3)成分のカチオン部:
式(d1−3)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D1)成分は、上記(d1−1)〜(d1−3)成分のいずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本態様で用いられる感光性樹脂組成物が(D1)成分を含有する場合、(D1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、1〜8質量部であることがさらに好ましい。
(D1)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及び形状のプレパターンが得られやすい。一方、上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
((D1)成分の製造方法)
前記の(d1−1)成分、(d1−2)成分の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造することができる。
また、(d1−3)成分の製造方法は、特に限定されず、例えば、US2012−0149916号公報に記載の方法と同様にして製造される。
・・・(D2)成分について
酸拡散制御剤成分としては、上記の(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物成分(以下「(D2)成分」という。)を含有していてもよい。
(D2)成分としては、酸拡散制御剤として作用するもので、かつ、(D1)成分に該当しないものであれば特に限定されず、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、脂肪族アミン、この中でも特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンもしくはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられ、トリエタノールアミントリアセテートが好ましい。
また、(D2)成分としては、芳香族アミンを用いてもよい。
芳香族アミンとしては、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
(D2)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本態様で用いられる感光性樹脂組成物が(D2)成分を含有する場合、(D2)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、パターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
・・(E)成分
本態様で用いられる感光性樹脂組成物には、感度劣化の防止や、パターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下「(E)成分」という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、ホスフィン酸エステルやフェニルホスフィン酸などが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本態様で用いられる感光性樹脂組成物が(E)成分を含有する場合、(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部の範囲で用いられる。
・・(F)成分
本態様で用いられる感光性樹脂組成物は、感光性樹脂膜に撥水性を付与するために、フッ素添加剤(以下「(F)成分」という。)を含有してもよい。
(F)成分としては、例えば、特開2010−002870号公報、特開2010−032994号公報、特開2010−277043号公報、特開2011−13569号公報、特開2011−128226号公報に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
(F)成分としてより具体的には、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)を有する重合体が挙げられる。前記重合体としては、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)のみからなる重合体(ホモポリマー);該構成単位(f1)と前記構成単位(a1)との共重合体;該構成単位(f1)と、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体、であることが好ましい。ここで、該構成単位(f1)と共重合される前記構成単位(a1)としては、1−エチル−1−シクロオクチル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位が好ましい。
Figure 2014164043
[式中、Rは前記と同様であり、Rf102およびRf103はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、Rf102およびRf103は同じであっても異なっていてもよい。nfは1〜5の整数であり、Rf101はフッ素原子を含む有機基である。]
式(f1−1)中、α位の炭素原子に結合したRは前述と同様である。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(f1−1)中、Rf102およびRf103のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、上記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。なかでもRf102およびRf103としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基、またはエチル基が好ましい。
式(f1−1)中、nfは1〜5の整数であって、1〜3の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましい。
式(f1−1)中、Rf101はフッ素原子を含む有機基であって、フッ素原子を含む炭化水素基であることが好ましい。
フッ素原子を含む炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましい。
また、フッ素原子を含む炭化水素基は、当該炭化水素基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時の感光性樹脂膜の疎水性が高まることから、特に好ましい。
なかでも、Rf101としては、炭素数1〜5のフッ素化炭化水素基が特に好ましく、トリフルオロメチル基、−CH−CF、−CH−CF−CF、−CH(CF、−CH−CH−CF、−CH−CH−CF−CF−CF−CFが最も好ましい。
(F)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、1000〜50000が好ましく、5000〜40000がより好ましく、10000〜30000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、感光性樹脂組成物の溶媒(後述の(S)成分)への溶解性がより高まり、この範囲の下限値以上であると、プレパターン断面形状がより良好となる。
(F)成分の分子量分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本態様で用いられる感光性樹脂組成物が(F)成分を含有する場合、(F)成分は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部の割合で用いられる。
本態様で用いられる感光性樹脂組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えば感光性樹脂膜の性能を改良するための付加的樹脂、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
・・(S)成分
本態様で用いられる感光性樹脂組成物は、該組成物に使用する各成分を有機溶剤(以下「(S)成分」ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、PGMEA、PGME、γ−ブチロラクトン、EL、シクロヘキサノンが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。さらに、PGMEAとPGMEとシクロヘキサノンとの混合溶剤も好ましい。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定されず、支持体等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的には感光性樹脂組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように用いられる。
≪相分離構造を含む構造体の製造方法≫
本発明の第二の態様は、前記本発明の第一の態様のパターン形成方法により前記中性化膜からなるパターンが形成された支持体上に、該パターンを被覆するように、複数種類のポリマーが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程(4)と、前記ブロックコポリマーを含む層を相分離させる工程(5)と、を含むことを特徴とする、相分離構造を含む構造体の製造方法である。
以下、本態様の相分離構造を含む構造体の製造方法について、図面を参照しながら説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
図2は、本態様の相分離構造を含む構造体の製造方法の一実施形態例を示す。
本実施形態では、2種類のポリマーが結合したブロックコポリマーが用いられている。尚、図2において、ブロックコポリマーを構成するブロックのうち、相分離の後で選択的に除去されないブロックをPブロック、選択的に除去されるブロックをPブロックとする。
まず、中性化膜3aからなるパターンが形成された支持体1を用意する(図2(a):図1(e)と同じ)。
次いで、中性化膜3aからなるパターンが形成された支持体1上に、2種類のポリマーが結合したブロックコポリマーを含有する樹脂組成物を用いて、該パターンを被覆するように、2種類のポリマーが結合したブロックコポリマーを含む層4を形成する(図2(b);工程(4))。
次いで、層4に対してアニール処理を行う。これによって、ブロックコポリマーの自己組織化が進行し、Pブロックからなる相4aと、Pブロックからなる相4bと、に相分離し、相分離構造を含む構造体5が製造される(図2(c);工程(5))。
<工程(4)>
工程(4)では、前記本発明の第一の態様のパターン形成方法により前記中性化膜からなるパターンが形成された支持体上に、該パターンを被覆するように、複数種類のポリマーが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する。
本実施形態において、ブロックコポリマーを含む層4の形成は、たとえば、支持体1上に、2種類のポリマーが結合したブロックコポリマーが有機溶剤に溶解してなるブロックコポリマー溶液を、スピンコート等によって塗布することにより実施できる。その際、加熱温度を180〜260℃とすることが好ましく、加熱時間を30〜600秒間とすることが好ましい。
支持体1上に形成されるブロックコポリマーを含む層4の厚さは、ブロックコポリマーの分子量、ポリマー周期によって適宜決定され、一般に、ポリマー周期の0.5〜4倍の範囲である。本実施形態において、層4の厚さは、相分離が起こり得る充分な厚さであればよく、具体的には、相分離構造の強度や均一性等を考慮すると、厚さ5nm以上であることが好ましく、厚さ10〜60nmであることがより好ましい。
(ブロックコポリマー溶液)
本実施形態におけるブロックコポリマー溶液は、2種類のポリマーが結合したブロックコポリマーが有機溶剤に溶解してなるものである。
ブロックコポリマー溶液中、ブロックコポリマーの固形分濃度は、0.2〜70質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜50質量%である。ブロックコポリマーの濃度が好ましい下限値以上であれば、支持体1上にブロックコポリマー溶液を均一に塗布しやすい。一方、好ましい上限値以下であれば、ブロックコポリマー溶液の液安定性を維持しやすい。
・ブロックコポリマー
ブロックコポリマーは、複数種類のブロック(同種の構成単位が繰り返し結合した部分構成成分)が結合したポリマーである。ブロックコポリマーを構成するブロックは、2種類であってもよく(本実施形態)、3種類以上であってもよい。
本態様においては、ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックは、相分離が起こる組み合わせであれば特に限定されるものではないが、互いに非相溶であるブロック同士の組み合わせであることが好ましい。また、ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロック中の少なくとも1種類のブロックからなる相が、他の種類のブロックからなる相よりも、容易に選択的に除去可能な組み合わせであることが好ましい。
本発明において「ブロックコポリマーの周期」とは、相分離構造が形成された際に観察される相構造の周期を意味し、互いに非相溶である各相の長さの和である。ブロックコポリマーの周期は、該ブロックコポリマーの分子1つ分の長さに相当する。
ブロックコポリマーの周期は、重合度N、及び、フローリー−ハギンズ(Flory−Huggins)の相互作用パラメータχ、などの固有重合特性によって決まる。すなわち、「χN」が大きくなるほど、ブロックコポリマーにおける異なるブロック間の相互反発は大きくなる。このため、χN>10(以下「強度分離限界点」という)のときには、ブロックコポリマーにおける異種類のブロック間の反発が大きく、相分離が起こる傾向が強くなる。そして、強度分離限界点においては、ブロックコポリマーの周期は、およそN2/3χ1/6となる。つまり、ブロックコポリマーの周期は、分子量Mnと、異なるブロック間の分子量比と、に相関する重合度Nに比例する。従って、用いるブロックコポリマーの組成及び総分子量を調整することにより、ブロックコポリマーの周期を容易に調節することができる。
ブロックコポリマーとしては、例えば、スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロックと、シロキサン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;アルキレンオキシドから誘導される構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;アルキレンオキシドから誘導される構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー等が挙げられる。
スチレン又はその誘導体としては、たとえば、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−n−オクチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−ニトロスチレン、3−ニトロスチレン、4−クロロスチレン、4−フルオロスチレン、4−アセトキシビニルスチレン、4−ビニルベンジルクロリド、1−ビニルナフタレン、4−ビニルビフェニル、1−ビニル−2−ピロリドン、9−ビニルアントラセン、ビニルピリジン等が挙げられる。
(α置換)アクリル酸は、アクリル酸、又は、アクリル酸におけるα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されているもの、の一方又は両方を意味する。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
(α置換)アクリル酸としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
(α置換)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル、又は、アクリル酸エステルにおけるα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されているもの、の一方又は両方を意味する。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
(α置換)アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸アントラセン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメタン、アクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸アントラセン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメタン、メタクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらのなかでも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチルが好ましい。
シロキサン又はその誘導体としては、たとえば、ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン等が挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソプロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
上記のなかでも、ブロックコポリマーとしては、スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマーを用いることが好ましい。
ブロックコポリマー中、スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位の割合は、該ブロックコポリマーを構成する全構成単位に対し、20〜80モル%が好ましく、30〜70モル%がより好ましく、40〜60モル%がさらに好ましい。
ブロックコポリマー中、(α置換)アクリル酸、又は、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位の割合(両方を有する場合はその合計の割合)は、該ブロックコポリマーを構成する全構成単位に対し、20〜80モル%が好ましく、30〜70モル%がより好ましく、40〜60モル%がさらに好ましい。
スチレン又はその誘導体、(α置換)アクリル酸、又は(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位の割合が前記の好ましい範囲内であると、支持体表面に対して垂直方向に配向したラメラ状の相分離構造が得られやすい。
かかるブロックコポリマーとして、具体的には、スチレンのブロックとアクリル酸のブロックとを有するブロックコポリマー、スチレンのブロックとアクリル酸メチルのブロックとを有するブロックコポリマー、スチレンのブロックとアクリル酸エチルのブロックとを有するブロックコポリマー、スチレンのブロックとアクリル酸t−ブチルのブロックとを有するブロックコポリマー、スチレンのブロックとメタクリル酸のブロックとを有するブロックコポリマー、スチレンのブロックとメタクリル酸メチルのブロックとを有するブロックコポリマー、スチレンのブロックとメタクリル酸エチルのブロックとを有するブロックコポリマー、スチレンのブロックとメタクリル酸t−ブチルのブロックとを有するブロックコポリマー等が挙げられる。
本態様においては、特に、スチレンのブロックとメタクリル酸メチルのブロックとを有するブロックコポリマーを用いることが好ましい。
ブロックコポリマーの質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、相分離を起こすことが可能な大きさであれば特に限定されるものではないが、5000〜100000が好ましく、20000〜60000がより好ましく、30000〜50000がさらに好ましい。
ブロックコポリマーの分散度(Mw/Mn)は1.0〜3.0が好ましく、1.0〜1.5がより好ましく、1.0〜1.2がさらに好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
ブロックコポリマーの周期(ブロックコポリマーの分子1つ分の長さ)は、5〜50nmが好ましく、10〜40nmがより好ましく、20〜30nmがさらに好ましい。
・有機溶剤
ブロックコポリマー溶液に用いられる有機溶剤としては、前記ブロックコポリマーを溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、たとえば、前述した表面処理剤として用いられる樹脂組成物における溶媒と同様の有機溶剤が挙げられる。
ブロックコポリマー溶液には、上記のブロックコポリマー及び有機溶剤以外に、さらに、所望により、混和性のある添加剤、たとえば、中性化膜3aからなるパターンの性能を改良するための付加的樹脂、支持体1への塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料、増感剤、塩基増殖剤、塩基性化合物などを適宜含有させることができる。
<工程(5)>
工程(5)では、前記工程(4)で形成されたブロックコポリマーを含む層を相分離させる。
本実施形態において、層4の相分離は、たとえばアニール処理により行う。
アニール処理としては、熱アニール又は溶媒アニール等の、ブロックコポリマーを相分離させるために用いられるいずれの処理であってもよい。
熱アニールは、具体的には、層4が形成された支持体1を加熱する。加熱温度は、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上であり、かつ、熱分解温度未満で行うことが好ましい。本実施形態において、加熱温度は、180〜280℃とすることが好ましく、200〜260℃とすることがより好ましい。加熱時間は、30〜600秒間とすることが好ましく、60〜450秒間とすることがより好ましい。また、加熱は、窒素等の反応性の低いガス中で行うことが好ましい。
溶媒アニールは、層4が形成された支持体1を、ブロックコポリマーの良溶媒蒸気に暴露した状態でアニール処理を行う方法である。溶媒アニールにおいては、良溶媒蒸気に暴露した状態の支持体1をさらに熱処理してもよい。具体的には、例えば、層4が形成された支持体1を、デシケータ内にブロックコポリマーの良溶媒とともに入れて放置する。また、ブロックコポリマーの良溶媒に窒素ガスをバブリングさせて得られた良溶媒蒸気含有窒素ガスを導入した状態で、層4が形成された支持体1を熱処理してもよい。
このように、層4に対してアニール処理を施すことにより、ブロックコポリマーの自己組織化が進行し、層4が相4aと相4bとに相分離し、支持体1上に相分離構造を有する構造体5が製造される。
加えて、層4は、中性化膜3aからなるパターンが形成された支持体1上に位置している。そして、中性化膜3aからなるパターンがガイドとして作用することで、支持体1上に形成される相分離構造は、無秩序に配向した状態(例えばフィンガープリント状)ではなく、配向が制御された状態(例えば中性化膜3aからなるパターンに沿った状態)で形成される。これにより、例えば、支持体1表面に対して垂直方向に配向されたラメラ状もしくはシリンダ状の相分離構造を有する構造体5が得られる。
<その他の工程>
前記工程(5)で得られた、相分離構造を含む構造体、から少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去することで、微細寸法のパターン(ナノサイズの構造体)を形成することができる。
たとえば、構造体5から、Pブロックからなる相4aを選択的に除去する。これにより、Pブロックからなる相4bのみが支持体1上に残る。すなわち、支持体1上には、Pブロックのみから形成されるパターンが形成される。
具体的には、スチレンのブロックとメタクリル酸メチルのブロックとを有するブロックコポリマーを用いる場合においては、例えば酸素プラズマ処理によって、メタクリル酸メチルのブロック(Pブロックに該当)からなる相(相4aに該当)が選択的に除去される。
ブロックからなる相4aの選択的除去処理は、Pブロックに対しては影響せず、Pブロックを分解除去し得る処理であれば、特に限定されるものではなく、ドライエッチング法であってもよく、溶液エッチング法であってもよい。
ドライエッチング法は、相分離構造に反応性のドライガスを吹き付け、該ドライガスに対するブロック部分の繰返し構造の分解速度の違いによって選択的に除去する方法である。具体的には、酸素プラズマ処理、水素プラズマ処理、オゾン処理等が挙げられる。
溶液エッチング法は、必要に応じて相分離構造中の特定のブロック領域の繰返し構造を選択的に分解させた後、該相分離構造を、主に有機溶剤を主成分とする現像液に浸漬させ、特定の相部分を優先的に溶解除去する方法である。溶液エッチング法の場合には、現像液に浸漬させる前に、相分離構造を形成させた後の支持体1上のブロックコポリマーを含む層4のうち、Pブロックからなる相4a中の繰返し構造の少なくとも一部を分解(低分子量化)する。予めPブロックの一部を分解することにより、現像液に対する溶解性が高められる結果、Pブロックからなる相4aがPブロックからなる相4bよりも選択的に除去されやすくなる。
また、Pブロックからなる相4aの選択的除去処理は、ドライエッチング法、溶液エッチング法に限定されず、PブロックよりもPブロックを優先的に分解可能な処理であれば特に制限なく、ポリマーの分解に用いられる手法の中から、Pブロック及びPブロックの種類に応じて適宜選択して行うことができる。たとえば、UV(紫外線)照射処理、熱分解処理、化学反応処理等も挙げられる。
相分離構造を含む構造体5、から選択的に除去される相(すなわち、Pブロックからなる相4a)の形状や大きさは、ブロックコポリマーを構成する各ブロックの成分比や、ブロックコポリマーの分子量に依存する。たとえば、ブロックコポリマー中に占めるPブロックの体積当たりの成分比を比較的小さくすることにより、相4b中に相4aがシリンダ状に存在する相分離構造を形成させることができる。一方で、ブロックコポリマー中に占めるPブロックとPブロックとの体積当たりの成分比を同程度にすることにより、相4bと相4aとが交互に積層されたラメラ状の相分離構造を形成させることができる。また、ブロックコポリマーの分子量を大きくすることにより、各相の大きさを大きくすることができる。
このようにして製造されたPブロックのみから形成されるパターンを表面に備えた支持体は、そのまま半導体素子等として用いることができる。また、金属からなるナノ構造体を形成する際の鋳型として用いることもでき、該鋳型として用いることにより、非常に微細な形状の金属ナノ構造体を形成することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
また、本実施例では、化学式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と表記し、他の化学式で表される化合物についても同様に記載する。
本実施例にて用いた感光性樹脂組成物、中性化膜形成用の表面処理剤、ブロックコポリマー層形成用の樹脂組成物を以下に示す。
・感光性樹脂組成物
高分子化合物(A1)−1を100質量部、化合物(B)−1を12.18質量部、化合物(D)−1を2.5質量部、サリチル酸を0.5質量部、含フッ素高分子化合物(F)−1を1.5質量部、及び、γ−ブチロラクトンを100質量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)とシクロヘキサノンとの混合溶剤(PGMEA:PGME:シクロヘキサノン=45:30:25(質量比))に固形分濃度が2.9質量%となるように、混合して溶解することにより感光性樹脂組成物を調製した。
高分子化合物(A1)−1、化合物(B)−1、化合物(D)−1、含フッ素高分子化合物(F)−1の構造を以下に示した。
高分子化合物(A1)−1について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は10000、分子量分散度(Mw/Mn)は1.6であった。また、13C−NMRにより求められた高分子化合物の組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=50/50であった。
含フッ素高分子化合物(F)−1について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は26000、分子量分散度(Mw/Mn)は1.5であった。また、13C−NMRにより求められた高分子化合物の組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=80/20であった。
Figure 2014164043
・中性化膜形成用の表面処理剤
中性化膜形成用の表面処理剤として、下記の化学式(N)−1で表される高分子化合物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解することにより、樹脂組成物(2質量%PGMEA溶液)を調製した。
高分子化合物(N)−1について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は40000、分子量分散度(Mw/Mn)は1.6であった。また、13C−NMRにより求められた高分子化合物の組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=25/70/5であった。
Figure 2014164043
・ブロックコポリマー層形成用の樹脂組成物(ブロックコポリマー溶液)
スチレンの繰返し単位からなるブロックと、メタクリル酸メチルの繰返し単位からなるブロックと、のブロックコポリマー(PS−b−PMMA)を、PGMEAに溶解することにより樹脂組成物(ブロックコポリマーの固形分濃度0.4質量%PGMEA溶液)を調製した。
ブロックコポリマー(PS−b−PMMA)について、該ブロックコポリマーを構成する全構成単位に対し、スチレンの繰返し単位の割合は50モル%、メタクリル酸メチルの繰返し単位の割合は50モル%;該ブロックコポリマーの質量平均分子量(Mw)は40000、分散度(Mw/Mn)は1.04であった。
≪パターンの形成≫
前記の感光性樹脂組成物及び中性化膜形成用の表面処理剤を用いて、支持体(有機系反射防止膜が形成されたシリコンウェーハ)上に、中性化膜からなるパターンを以下のようにして形成した。
(実施例1)
工程(1):
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚82nmの有機系反射防止膜を形成した。
次いで、該有機系反射防止膜上に、前記感光性樹脂組成物を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、温度110℃で60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚150nmの感光性樹脂膜を形成した。
次いで、該感光性樹脂膜に、露光装置NSR−S302B(ニコン社製;NA(開口数)/s=0.60/(2/3Ann.))により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(6%ハーフトーン)を介して選択的に照射した。
次いで、温度90℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて酢酸ブチルで20秒間ネガ型現像し、振り切り乾燥を行った。
その後、200℃で300秒間のベーク(200℃ベーク)を行った。
その結果、ライン幅160nm、ピッチ320nmの1:1ラインアンドスペースのプレパターン(以下「LSプレパターン」ともいう。)が形成された。
工程(2):
次に、前記LSプレパターンが形成された有機系反射防止膜上に、該LSプレパターンを被覆するように、前記中性化膜形成用の表面処理剤をスピンコート(回転数1500rpm、60秒間)し、200℃で300秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚10nmの中性化膜を、該LSプレパターン上、及び該有機系反射防止膜上に形成した。
工程(3):
次に、前記有機系反射防止膜上に形成された前記LSプレパターン及び前記中性化膜を、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)で60秒間アルカリ現像した。これにより、前記LSプレパターンが除去された。
その後、100℃で60秒間のベークを行い、乾燥させた。
そして、該乾燥後の支持体表面を、走査型電子顕微鏡(加速電圧800V、商品名:SU8000、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察したところ、支持体上に、スペース幅160nm、ピッチ320nmの1:1スペースアンドラインの中性化膜からなるパターンが確認された。
(実施例2)
実施例1における工程(1)での、ネガ型現像後の200℃ベークを、180℃ベーク(180℃で300秒間のベーク)に変更した以外は、実施例1と同様にして工程(1)、(2)及び(3)を行った。
そして、該乾燥後の支持体表面を、走査型電子顕微鏡(加速電圧800V、商品名:SU8000、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察したところ、支持体上に、スペース幅160nm、ピッチ320nmの1:1スペースアンドラインの中性化膜からなるパターンが確認された。
(実施例3)
実施例1で用いた感光性樹脂組成物に配合されている高分子化合物(A1)−1を、質量平均分子量(Mw)が5000の高分子化合物(構造、組成比及び分子量分散度は、高分子化合物(A1)−1と同じ)に変更した以外は、実施例1と同様にして工程(1)、(2)及び(3)を行った。
そして、該乾燥後の支持体表面を、走査型電子顕微鏡(加速電圧800V、商品名:SU8000、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察したところ、支持体上に、スペース幅160nm、ピッチ320nmの1:1スペースアンドラインの中性化膜からなるパターンが確認された。
(実施例4)
実施例1で用いた感光性樹脂組成物に配合されている高分子化合物(A1)−1を、質量平均分子量(Mw)が50000の高分子化合物(構造、組成比及び分子量分散度は、高分子化合物(A1)−1と同じ)に変更した以外は、実施例1と同様にして工程(1)、(2)及び(3)を行った。
そして、該乾燥後の支持体表面を、走査型電子顕微鏡(加速電圧800V、商品名:SU8000、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察したところ、支持体上に、スペース幅160nm、ピッチ320nmの1:1スペースアンドラインの中性化膜からなるパターンが確認された。
以上より、かかる実施例1〜4のパターン形成方法によれば、エッチング、並びに、LSプレパターンを剥離するのに露光及びベークの操作を必要とせず、ガイドパターンを簡便な方法で形成できること、が分かる。
≪相分離構造を含む構造体の製造≫
ブロックコポリマー層形成用の樹脂組成物を用いて、前記中性化膜からなるパターンが形成された支持体上に、相分離構造を以下のようにして製造した。
(実施例5)
工程(4):
実施例1で得た前記中性化膜からなるパターンが形成された支持体上に、該パターンを被覆するように、前記ブロックコポリマー層形成用の樹脂組成物をスピンコート(回転数1500rpm、60秒間)し、膜厚30nmのブロックコポリマー層を形成した。
工程(5):
前記ブロックコポリマー層が形成された支持体を、250℃で1分間加熱させて熱アニールした。
そして、該熱アニール後の支持体表面を、走査型電子顕微鏡(加速電圧800V、商品名:SU8000、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察したところ、中性化膜からなるパターンのライン方向と平行に、かつ、支持体表面に対して垂直方向に配向したラメラ状の相分離構造(周期=26nm)を有する構造体が製造されていること、が確認された。
1 支持体
2 感光性樹脂膜
3 中性化膜
4 層
5 構造体

Claims (6)

  1. 露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する感光性樹脂組成物を用いて支持体上に感光性樹脂膜を形成し、該感光性樹脂膜を露光し、該露光後の感光性樹脂膜を、有機溶剤を含有する現像液を用いてネガ型現像することによりプレパターンを形成する工程(1)と、
    前記プレパターンが形成された支持体上に、表面処理剤を含む中性化膜を形成する工程(2)と、
    前記支持体上に形成された前記プレパターン及び前記中性化膜をアルカリ現像し、該支持体上から該プレパターンを除去するとともに、該支持体上に該中性化膜からなるパターンを形成する工程(3)と、
    を含むことを特徴とするパターン形成方法。
  2. 前記工程(1)において、前記ネガ型現像の後に180℃以上でベークを行う、請求項1記載のパターン形成方法。
  3. 前記感光性樹脂組成物が、酸の作用により前記有機溶剤に対する溶解性が減少する基材成分(A)を含有する、請求項1又は2記載のパターン形成方法。
  4. 前記基材成分(A)が、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有する高分子化合物(A1)を含有する、請求項3記載のパターン形成方法。
  5. 前記高分子化合物(A1)の質量平均分子量が5000〜50000である、請求項4記載のパターン形成方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のパターン形成方法により前記中性化膜からなるパターンが形成された支持体上に、該パターンを被覆するように、複数種類のポリマーが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程(4)と、
    前記ブロックコポリマーを含む層を相分離させる工程(5)と、
    を含むことを特徴とする、相分離構造を含む構造体の製造方法。
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