JP6126807B2 - パターン形成方法 - Google Patents

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本発明は、ブロックコポリマーの相分離構造を利用してパターンを形成する方法に関する。
近年、大規模集積回路(LSI)のさらなる微細化に伴い、より繊細な構造体を加工する技術が求められている。このような要望に対して、互いに非相溶性のブロック同士を結合させたブロックコポリマーの自己組織化により形成される相分離構造を利用して、より微細なパターンを形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
ブロックコポリマーの相分離を利用するためには、ミクロ相分離により形成された自己組織化ナノ構造を特定の領域のみに形成し、かつ所望の方向へ配列させることが必須となる。これらの位置制御及び配向制御を実現するために、ガイドパターンによって、相分離パターンを制御するグラフォエピタキシーと、基板の化学状態の違いによって相分離パターンを制御するケミカルエピタキシーといった方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
前記位置制御及び配向制御を実現するため、ガイドパターンの形成には、樹脂等の基材成分を含むレジスト材料が用いられている。前記レジスト材料はポジ型とネガ型とに分けられ、露光した部分の現像液に対する溶解性が増大するレジスト材料をポジ型、露光した部分の現像液に対する溶解性が低下するレジスト材料をネガ型という。
ブロックコポリマーの自己組織化を利用した微細パターンを形成するために使用するガイドパターンの形成時に、ネガ型現像プロセスを用いることが提案されている。ネガ型現像プロセスは、前記ポジ型の化学増幅型レジスト組成物と、有機溶剤を含有する現像液(以下「有機系現像液」ということがある。)とを組み合わせたプロセス(以下、有機系現像液を用いるプロセスを「溶剤現像プロセス」又は「溶剤現像ネガ型プロセス」ということがある)である。一般に、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物は、露光によってアルカリ現像液に対する溶解性が増大するが、このとき相対的に有機溶剤に対する溶解性が減少する。そのため、溶剤現像ネガ型プロセスにおいては、レジスト膜の未露光部が有機系現像液により溶解し、除去されて、レジストパターンが形成される(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−36491号公報 特開2009−025723号公報
プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE),第7637巻,第76370G−1(2010年).
露光により酸を発生し、且つ酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有するレジスト組成物を用いて形成されたガイドパターンを使用する場合、ブロックコポリマー含有組成物を相分離させる際の加熱処理によって、ガイドパターンの熱ダレが生じることがあり、ガイドパターンの形状が変形する恐れがある。熱ダレを防ぐために相分離をなるべく低い加熱温度で行うことが求められるが、低温の加熱処理であると相分離効率が下がる問題がある。このため、従来は、低温であっても相分離が促進するように、ガイドパターンを構成する凹部の底面に中性化膜を予め設けておくことが行われていた。
しかしながら、中性化膜を形成する工程は製造コストを押し上げることにつながるため、前記構成単位(a1)レジストからなるガイドパターンを使用しているにも関わらず、中性化膜を設けずに相分離させる方法が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、露光により酸を発生し、且つ酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有するレジスト組成物によって形成されたガイドパターンを使用しているにも関わらず、該ガイドパターンの底部に中性化膜を設けずにブロックコポリマー含有組成物を相分離させることが可能なパターン形成方法の提供を課題とする。
本発明の第一態様は、露光により酸を発生し、且つ酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有するレジスト組成物によって形成されたガイドパターンを表面に有し、前記ガイドパターンの凹部の底面に中性化膜を有しない支持体に対して、
前記ガイドパターンの凹部の底面を被覆するように、複数種類のブロックが結合したブロックコポリマー及び有機溶剤を含む組成物を用いて、ブロックコポリマーを含む層を形成するブロックコポリマー層形成工程と、
前記ブロックコポリマー層形成工程後、前記ブロックコポリマーを含む層を相分離させる相分離工程と、
前記相分離工程後、前記ブロックコポリマーを含む層のうち、前記ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去する工程と、を有し、
前記ガイドパターンの凹部を構成する底面と側面の、水接触角の差の絶対値が5度以上であり、
前記ブロックコポリマー及び前記有機溶剤を含む前記組成物が、さらに、20℃における蒸気圧が0.05hPa以下であり、且つ凝固点が25℃以下である化合物を含有することを特徴とするパターン形成方法である。
前記パターン形成方法は、前記相分離工程において、前記ブロックコポリマー層を100〜180℃で10〜600秒間の加熱処理を行うことにより相分離させることが好ましい
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
「ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたものも含む概念とする。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明のパターン形成方法によれば、露光により酸を発生し、且つ酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有するレジスト組成物によって形成されたガイドパターンを使用しているにも関わらず、該ガイドパターンの底部に中性化膜を設けずにブロックコポリマー含有組成物を相分離させることが可能なパターン形成方法を提供することができる。この結果、パターン形成工程を簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
本発明のパターン形成方法の実施形態例を説明する概略工程図である。
以下、本発明について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
《パターン形成方法》
本発明のパターン形成方法は、露光により酸を発生し、且つ酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有するレジスト組成物によって形成されたガイドパターンを表面に有する支持体を使用する。この際、前記ガイドパターンの凹部の底面には、後述する中性化膜を設ける必要がない。
本発明のパターン形成方法においては、前記ガイドパターンの凹部を構成する側面(側壁)と底面の「水の接触角」の差の絶対値が5度以上である支持体を使用する。「水の接触角」の差の絶対値が±5度以上であると、前記凹部に入れたブロックコポリマー含有組成物を、比較的低温の加熱処理によって充分に相分離させることができる。
このメカニズムの一因として、前記凹部を構成する側面と底面の性質、即ち「水の接触角」に関する物理化学的性質が異なることによって、当該ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのうち、前記凹部の側面に親和性を有するブロックが当該側面に引き寄せられる又は、前記凹部の側面に非親和性であるブロックが当該側面から離れる(疎外される)ことによって、相分離が促進されて、比較的低温であっても充分に相分離が進行することが考えられる。
以下では、「水の接触角」を単に「水接触角」と呼ぶことがある。本発明において、水接触角は、公知方法であるθ/2法およびJIS R 325(1999)を用いた測定値を採用している。水接触角の測定は、例えばDropmaster700(協和界面科学株式会社社製)によって測定することができる。
前記ガイドパターンの凹部の底面の水接触角は、当該ガイドパターンを形成する以前の支持体を用いて、ガイドパターン形成後の前記底面に対応する領域の水接触角を測定することにより求められる。
前記ガイドパターンの凹部の側面の水接触角は、該側面に水を滴下してその水接触角を測定する方法ではなく、該側面と同じ状態の平面を別途作製し、該平面に水を滴下して測定した水接触角を前記凹部の側面の水接触角と見なすことにより求めることができる。例えば、前記ガイドパターンが、レジスト膜の成膜後にポストアプライドベーク(PAB)、マスクを介した露光及びポストエクスポージャベーク(PEB)により形成されている場合、別途成膜した同じレジスト膜に対して、同様の条件で、PAB処理、マスクを介さない全面露光及びPEB処理することにより、当該別途成膜したレジスト膜の上面(平面)に、前記ガイドパターンの凹部の側面とほぼ同じ状態の平面を形成することができる。この平面の水接触角が、前記ガイドパターンの凹部の側面の水接触角と同じであると見なすことができる。より具体的には、次の方法が例示できる。感光性樹脂組成物をAct-8でスピンコートし、100℃60秒のPAB処理後、Nikon S302によってマスクを介さずに30mJ/cm2で露光照射後、100℃60秒のPEB処理によりレジスト膜の保護基を脱保護させたレジスト膜表面の接触角を測定する。この測定値を、同様の条件で形成されたガイドパターンの側面(側壁部)を構成するレジストの接触角と見なすことができる。
本発明において、水接触角の前記差の絶対値は、5度以上であればよく、10度以上であることが好ましく、15度以上であることがより好ましく、20度以上であることが最も好ましい。前記差の絶対値が大きいほど、ブロックコポリマー含有組成物の相分離を促進させることができる。前記差の絶対値の上限は特に制限されず、例えば90度以下にすることが挙げられる。
本発明において、前記ガイドパターンの凹部の側面の水接触角(θ)は、前記凹部の底面の水接触角(θ)よりも正の側に大きいことが好ましい。このθ>θの関係であることにより、当該凹部内において相分離したブロックコポリマー含有組成物の各相が、当該凹部の側面に対して平行に積層した相分離構造(図1参照)にすることが容易になる。
図1に示す相分離構造は、当該凹部を有する支持体の厚み方向の断面で観察した場合、分離した相が、当該凹部の底面に対して略垂直方向に延びた縞模様を形成している。
したがって、前記θと前記θの差(θ−θ)は、+5度以上であればよく、+10度以上であることが好ましく、+15度以上であることがより好ましく、+20度以上であることが最も好ましい。前記差は、いずれも正の値である。前記差が大きいほど、ブロックコポリマー含有組成物の相分離を促進させることができる。水接触角の前記差の上限は特に制限されず、例えば50度以下にすることが挙げられる。
本発明のパターン形成方法は、前記支持体を用いて、少なくとも以下の3つの工程、すなわち、ブロックコポリマー層形成工程、相分離工程、及び特定の相を選択的に除去する工程により実施することができる。以下に各工程の詳細を説明する。
<ブロックコポリマー層形成工程(工程1)>
以下、ブロックコポリマー層形成工程を「工程1」と呼ぶことがある。工程1は、露光により酸を発生し、且つ酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有するレジスト組成物によって形成されたガイドパターンを表面に有する前述の支持体に対して、前記ガイドパターンの凹部の底面を被覆するように、ブロックコポリマーを含む組成物を用いて、ブロックコポリマーを含む層を形成する工程である。
[支持体]
前記支持体の材料は、ガイドパターンによって構成される前記凹部の側面の水接触角と異なる水接触角を有する材料の中から適宜選択して用いることができる。
また、前記支持体の材料は、ブロックコポリマーを塗布する際に溶解するものでなければ特に限定されず、電子部品用の基板等として従来公知のものを用いることができる。例えば、シリコンウェーハ、金、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属からなる金属基板;前記金属が酸化してなる酸化金属基板;ガラス基板、ポリマーフィルム(ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、ベンゾシクロブテン等)等が挙げられる。また、これらの基板の大きさや形状は、特に限定されるものではない。前記基板は必ずしも平滑な表面を有する必要はなく、様々な材質や形状の基板を適宜選択することができる。例えば、曲面を有する基板、表面が凹凸形状の平板、薄片状などの様々な形状のものまで多様に用いることができる。
本発明のパターン形成方法において、前記支持体として、前述した基板をそのまま用いてもよいし、図1に示すように、基板表面に処理を施した基板を用いてもよい。例えば、基板11の表面上に無機系又は有機系の膜12を形成した基板11を用いることができる。
基板11の表面は、予め洗浄されていてもよい。基板表面を洗浄することにより、基板表面全体に渡る水接触角を均一にすることができる。また、前記洗浄処理により、前記無機系又は有機系の膜の基板表面に対する密着性を高められる場合がある。
洗浄処理としては、従来公知の方法が適用可能であり、例えば酸素プラズマ処理、オゾン酸化処理、酸アルカリ処理、化学修飾処理等が挙げられる。
なお、洗浄処理の種類や方法によっては、当該表面の水接触角が変化する場合がある。当該表面が前記凹部の底面を構成する場合には、洗浄処理前後における基板表面の水接触角の変化を考慮することが望ましい。
前記無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。前記有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
前記無機系の膜は公知方法によって形成することが可能であり、例えば、シリコン系材料などの無機系の反射防止膜組成物を基板上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
前記有機系の膜は公知方法によって形成することが可能であり、例えば、当該膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を、基板上にスピンナー等で塗布し、200〜300℃で、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。前記有機膜形成用材料は、光や電子線に対する感受性(感光性)を必ずしも必要とするものではなく、該感受性を有するものであってもよく、有しないものであってもよい。具体的には、半導体素子や液晶表示素子の製造において一般的に用いられているレジストや樹脂を用いることができる。
また、有機膜上に形成したブロックコポリマーからなるパターンを用いて、前記有機膜をエッチングすることにより、前記パターンを有機膜へ転写することも可能である。この用途に適した有機膜材料として、酸素プラズマエッチング等のエッチングが可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。具体的には、従来の有機BARCなどの有機膜を形成するための材料が適用可能であり、例えば、ブリューワサイエンス社製のARCシリーズ、ロームアンドハース社製のARシリーズ、東京応化工業社製のSWKシリーズなどが挙げられる。
本発明のパターン形成方法において、前記支持体として、前記基板上に中性化膜を形成する必要はない。中性化膜の形成工程を省いて簡略化することにより、本発明のパターン形成方法にかかる種々のコスト(時間、材料等)を低減することができる。しかし、本発明において、前記支持体として中性化膜を設けた基板を使用しても構わない。中性化膜が前記凹部の底面を構成する場合、その底面と側面の水接触角の差の絶対値は、前述の範囲を満たす必要は無い。
中性化膜を形成する方法は特に制限されず、従来公知の方法により形成できる。例えば、中性化膜の材料を含む下地剤をスピンナーを用いたスピンコート法によって基板上に塗布する等の従来公知の方法により、基板上に塗膜を形成し、これを乾燥させることにより、中性化膜を形成できる。下地剤の詳細は後述する。
塗膜の乾燥方法としては、下地剤に含まれる有機溶剤を揮発させることができればよく、たとえばベークする方法等が挙げられる。
ベーク温度は、80〜300℃が好ましく、100〜270℃がより好ましく、120〜250℃がさらに好ましい。ベーク時間は、30〜500秒間が好ましく、60〜240秒間がより好ましい。
一般に、中性化膜を基板表面に設けることによって、基板の表面(前記凹部の底面)が中性化され、その上層に設けるブロックコポリマーからなる層のうち、特定のブロックからなる相のみが基板表面に接することを抑制することができる。つまり、中性化膜はブロックコポリマーを含む層の相分離を積極的に促すように作用するわけではなく、相分離に対して中立的な表面を提供していると考えられる。その結果、ブロックコポリマーを含む層が自発的に又は前記凹部の側面との相互作用により、相分離することによって、基板表面に対して自在に配向されたシリンダー構造、ドット構造、ジャイロイド構造等を形成すること可能になる。
一方、本発明においては、前記凹部の側面と底面の水接触角の差の絶対値を所定値よりも大きくすることにより、前記相分離を起こす又は促進しているので、基板表面(前記凹部の底面)に前記中性化膜を設ける必要はない。
[下地剤(中性化膜組成物)]
中性化膜の形成に使用する下地剤(中性化膜組成物)としては、前記ガイドパターンの凹部内に入れるブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのいずれとも親和性を有するものであれば特に限定されず、例えば樹脂組成物を用いることができる。
下地剤として用いられる前記樹脂組成物は、ブロックコポリマーを構成するブロックの種類に応じて、薄膜形成に用いられる従来公知の樹脂組成物の中から適宜選択することができる。下地剤として用いられる樹脂組成物は、熱重合性樹脂組成物であってもよく、感光性樹脂組成物であってもよい。また、ポジ型レジスト組成物やネガ型レジスト組成物等のパターン形成可能な組成物であってもよい。
その他、下地剤からなる層12は非重合性膜であってもよい。例えば、フェネチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン等のシロキサン系有機単分子膜も、中性化膜として好適に用いることができる。
このような下地剤としては、例えば、ブロックコポリマーを構成する各ブロックの構成単位をいずれも含む樹脂を含有する組成物や、ブロックコポリマーを構成する各ブロックと親和性の高い複数の構成単位をすべて含む樹脂を含有する組成物等が挙げられる。
例えば、PS−PMMAブロックコポリマーを用いる場合には、下地剤が含有する樹脂として、スチレンから誘導される構成単位と、メチルメタクリレートから誘導される構成単位との両方を含む樹脂;芳香環等のPSと親和性が高い部位と、極性の高い官能基等のPMMAと親和性の高い部位の両方を含む樹脂等を用いることが好ましい。
スチレンから誘導される構成単位と、メチルメタクリレートから誘導される構成単位との両方を含む樹脂としては、例えば、スチレンとメチルメタクリレートとをランダム重合して得られるランダムコポリマー等が挙げられる。
PSと親和性が高い部位とPMMAと親和性の高い部位の両方を含む樹脂としては、例えば、モノマーとして、少なくとも、芳香環を有するモノマーと極性の高い置換基を有するモノマーとを重合させて得られる樹脂が挙げられる。
芳香環を有するモノマーとしては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、及びこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等を有するモノマーが挙げられる。
また、極性の高い置換基を有するモノマーとしては、トリメトキシシリル基、トリクロロシリル基、カルボキシ基、水酸基、シアノ基、アミノ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等を有するモノマーが挙げられる。
その他、PSと親和性が高い部位とPMMAと親和性の高い部位の両方を含む化合物としては、フェネチルトリクロロシラン等のアリール基と極性の高い置換基の両方を含む化合物や、アルキルシラン化合物等のアルキル基と極性の高い置換基の両方を含む化合物等が挙げられる。
これらの下地剤(中性化膜組成物)は、前述した反射防止膜組成物とは、機能においても組成においても異なる。
従来は、レジストパターン形成用の反射防止膜とは別に、ブロックコポリマーの相分離用の中性化膜を設けていた。しかし、本発明においては中性化膜を設ける必要はない。
[ガイドパターンの形成;グラフォエピタキシー]
本発明においては、図1に示すように、基板11上に前記無機反射防止膜又は有機反射防止膜12を設けることが好ましい。反射防止膜を設けることにより、レジストからなるガイドパターンの加工精度を向上させ、最終目的のパターンの加工精度も同様に向上させることができる。
基板11上に形成した反射防止膜12の表面にレジストからなるガイドパターン14(以下、レジストパターン14と呼ぶことがある)を形成することが好ましい。これにより、ブロックコポリマーを含む層13を形成後、レジストパターン14の形状又は表面特性に応じた相分離構造の配列構造制御が可能となる。このようなレジストパターン14は、ガイドパターンとして機能する。
具体的には、まず支持体上に、レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成する。
前記レジスト組成物は、露光により酸を発生し、且つ酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有するレジスト組成物であれば特に制限されず、従来公知のレジスト組成物が広く適用可能であり、アルカリ現像ポジ型プロセスに適したレジスト組成物又は溶剤現像ネガ型プロセスに適したレジスト組成物のいずれも使用することができる。
ここで、アルカリ現像ポジ型プロセスとは、前記構成単位(a1)を有するレジスト組成物は露光によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する性質を利用して、前記レジストとアルカリ現像液とを組み合わせたプロセスをいう。また、溶剤現像ネガ型プロセスとは、前記構成単位(a1)を有するレジスト組成物は露光により有機溶剤に対する溶解性が減少する性質を利用して、前記レジストと有機溶剤を含む現像液とを組み合わせたプロセスをいう。
本発明のパターン形成方法に適したレジスト組成物の成分については、後で詳述する。
本発明のパターン形成方法においては、少なくとも3つの理由から、アルカリ現像ポジ型プロセスによりガイドパターンを形成することが好ましい。
一番目の理由は、アルカリ現像ポジ型プロセスにおいては、溶剤現像ネガ型プロセスを用いた場合に要求される高度な廃液処理が不要であるという利点があることである。
二番目の理由は、アルカリ現像ポジ型プロセスにおいては、溶剤現像ネガ型プロセスに比べてフォトマスクの構造を単純にできる、像形成のために充分なコントラストが得やすい、形成されるパターンの特性が優れる等の利点があり、ガイドパターン自体がネガ型のガイドパターンよりもパターン特性(LWR,LER,CDU,欠陥)に優れるため、最終目的のパターンの特性がガイドパターンに追従して、優れたものになるという効果が奏されることである。
三番目の理由は、アルカリ現像ポジ型プロセスにおいては、既存のポジ型プロセスに利用可能なアルカリ現像装置を、継続して使用できることである。
次に、前記レジスト膜に対し、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
次に、前記レジスト膜を現像する。現像に用いる現像液としては、アルカリ現像液又は有機溶剤のいずれも使用することができる。
前記現像処理後には、リンス処理を行うことが好ましい。リンスを行うことにより、良好なパターン形成ができる。
前記アルカリ現像液を用いた後のリンス処理は、純水を用いた水リンスが好ましい。
前記有機溶剤を用いた後のリンス処理は、ガイドパターンを溶解しにくい有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
現像処理後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、ガイドパターンを得ることができる。
[現像液]
アルカリ現像プロセスで現像処理に用いるアルカリ現像液としては、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理に用いる有機溶剤としては、露光前のレジスト組成物を構成する樹脂成分(基材成分)を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤のなかから適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤又はニトリル系溶剤等の極性溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられ、なかでもエステル系溶剤、ケトン系溶剤又はニトリル系溶剤が好ましい。
ケトン系溶剤は、構造中にC−C(=O)−Cを含む有機溶剤である。エステル系溶剤は、構造中にC−C(=O)−O−Cを含む有機溶剤である。アルコール系溶剤は、構造中にアルコール性水酸基を含む有機溶剤であり、「アルコール性水酸基」は、脂肪族炭化水素基の炭素原子に結合した水酸基を意味する。アミド系溶剤は構造中にアミド基を含む有機溶剤である。エーテル系溶剤は構造中にC−O−Cを含む有機溶剤である。有機溶剤の中には、構造中に上記各溶剤を特徴づける官能基を複数種含む有機溶剤も存在するが、その場合は、当該有機溶剤が有する官能基を含むいずれの溶剤種にも該当するものとする。たとえば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中の、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤いずれにも該当するものとする。また、炭化水素系溶剤は、炭化水素からなり、置換基(水素原子および炭化水素基以外の基または原子)を有しない炭化水素溶剤である。
各溶剤の具体例として、ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、メチルアミルケトン(2−ヘプタノン)等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、酢酸アルキルを用いることが好ましく、酢酸ブチルを用いることがより好ましい。
ニトリル系溶剤としては、例えば、アセトニトリル、プロピオ二トリル、バレロニトリル、ブチロ二トリル等が挙げられる。
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としてはたとえば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、たとえばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。
[現像処理の方法]
現像処理は公知の現像方法により実施できる。具体的には、例えば、現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
[リンス処理]
前記現像処理後には、乾燥する前に、リンス処理を行うことが好ましい。リンス処理を行うことにより、良好なパターンを形成できる。
前記アルカリ現像プロセス後のリンス処理は、純水を用いた水リンスが好ましい。
前記溶剤現像プロセス後のリンス処理は、ガイドパターンを溶解しにくい有機溶剤を含有するリンス液を用いたリンスが好ましい。また、以下の有機溶剤をリンス液として用いてもよい。
リンス液として使用する有機溶剤としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤およびエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を使用することができる。これらのなかでも、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びアミド系溶剤から選択される少なくとも1種類が好ましく、アルコール系溶剤およびエステル系溶剤から選択される少なくとも1種類がより好ましく、アルコール系溶剤が特に好ましい。
リンス液に用いるアルコール系溶剤は、炭素数6〜8の1価アルコールが好ましく、該1価アルコールは直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。具体的には、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらのなかでも、1−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−ヘキサノールが好ましく、1−ヘキサノールまたは2−ヘキサノールがより好ましい。
リンス液として使用する有機溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記以外の有機溶剤や水と混合して用いてもよい。ただし現像特性を考慮すると、リンス液中の水の配合量は、リンス液の全量に対し、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下さらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としてはたとえば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、前記と同様のものが挙げられ、非イオン性の界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤がより好ましい。界面活性剤を配合する場合、その配合量は、リンス液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
[リンス処理の方法]
リンス処理は、公知のリンス方法により実施できる。具体的には、例えば、一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
[乾燥]
現像処理後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、ガイドパターンを得ることができる。
[レジスト残留部への露光]
本発明において、アルカリ現像ポジ型レジスト組成物又は溶剤現像ネガ型レジスト組成物を用いてガイドパターンを形成した後、レジスト残留部を露光し、さらにPEBを行ってもよい。ここで、「レジスト残留部」とは、現像及びパターン形成後に、基板上に残留したレジスト膜、例えばラインアンドスペースパターンにおけるライン部をいう。レジスト残留部を露光することにより、レジスト組成物が脱保護され、前述したブロックコポリマーを溶解させる有機溶剤への溶解性が低下する。これによりガイドパターンにブロックコポリマーを塗布する際に問題となる、有機溶剤によるレジスト残留部のダメージをより一層抑制することができる。
露光は前記同様であるが、少なくともレジスト残留部に対して行えばよく、マスクを用いてレジスト残留部のみに行ってもよく、全面露光してもよい。
前記レジスト残留部に露光することにより、前記ガイドパターンの凹部の側面の水接触角(θ)を充分に低下させることができる。ただし、前記凹部の底面の水接触角(θ)が、θ>θである場合は、前記レジスト残留部に対する露光によって、θ−θの差が小さくなる。本発明においては、θ−θの差の絶対値が大きい方が好ましいため、θ>θの場合は、前記レジスト残留部に対する露光は行わない方が好ましい。
前記基板の表面に形成されるガイドパターンのパターン形状は特に制限されず、公知方法に基づいて適宜設計すればよい。通常は、最終目的のパターンを形成する領域を囲い、該領域以外の領域をマスクするように形成することが好ましい。例えば、基板上でガイドパターンに囲まれた領域が矩形である場合又はガイドパターンがラインアンドスペースパターン(LSパターン)を形成している場合、その矩形の一辺又はそのLSパターンに沿った縞状の最終パターンを形成することができる。他の例としては、基板上でガイドパターンに囲まれた領域が略円形である場合、即ちガイドパターンがホールパターンである場合、そのホールパターンを縮小した略円形の最終パターンを形成することができる。本発明のパターン形成方法で得られる最終パターンの形状は、ガイドパターンの形状を適宜設計することにより、所望の形状にすることができる。
本発明におけるガイドパターンの形状として、円形又は楕円形のホールパターン(ガイドホール)を用いる場合、その直径又は短径は30nm〜400nmとすることが好ましい。この場合、最終目的のパターンとして、当該ガイドホールのサイズを0.1〜0.5倍程度に縮小したパターンを得ることができる。
本発明におけるガイドパターンの形状として、LSパターンを用いる場合、そのライン幅は30nm〜400nmとすることが好ましい。この場合、最終目的のパターンとして、当該ライン幅のサイズを0.1〜0.5倍程度に縮小したパターンを得ることができる。なお、LSパターンのピッチ幅はライン幅と独立して設定することが可能であり、例えば30nm〜400nmとすることにより、ピッチ幅とライン幅が1:1のLSパターンであるガイドパターンを使用することができる。
本発明のパターン形成方法を行う際、ガイドパターンが側壁を形成し、その側壁に囲われた領域に前述した本発明のブロックコポリマー含有組成物を塗布、注入又は充填する場合、ガイドパターンの側壁は前記基板に対して垂直若しくは略垂直であることが好ましい。
[ガイドパターンの膜厚]
ガイドパターンの基板表面(若しくは反射防止膜表面)からの高さは、基板表面に形成されるブロックコポリマーを含む層13の厚み以上であることが好ましい。ガイドパターンの基板表面(若しくは反射防止膜表面)からの高さは、ガイドパターンを形成するレジスト組成物を塗布して形成されるレジスト膜の膜厚によって適宜調整することが好ましい。
[レジスト組成物の簡単な説明]
ガイドパターンを形成するレジスト組成物は、前記構成単位(a1)を有するものであれば特に制限されず、一般的にレジストパターンの形成に用いられるレジスト組成物やその改変物の中から、ブロックコポリマーを構成するいずれかのポリマーと親和性を有するものを適宜選択して用いることができる。当該レジスト組成物は、露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物が挙げられる。
アルカリ現像ポジ型レジスト組成物としては、露光により酸を発生し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するレジスト組成物が挙げられる。この際、該レジスト組成物を構成する樹脂成分(基材成分)が、露光により酸を発生し、且つ酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する構成単位を含有していてもよい。アルカリ現像ポジ型レジスト組成物についての詳細は後述する。
溶剤現像ネガ型レジスト組成物としては、露光により酸を発生し、酸の作用により有機系現像液に対する溶解性が減少するレジスト組成物が挙げられる。この際、該レジスト組成物を構成する樹脂成分(基材成分)が、露光により酸を発生し、且つ酸の作用により有機系現像液に対する溶解性が減少する構成単位を含有していてもよい。溶剤現像ネガ型レジスト組成物についての詳細は後述する。
前記レジスト組成物が、後述する(B”)成分を含有する場合、後段の相分離工程において、100〜270℃という比較的低温で加熱処理を行うことができる。また、該加熱処理は、100〜180℃でもよいし、120〜170℃でもよい。
このため、本発明のパターン形成方法において、後述する(B”)成分を含有するレジスト組成物を用いることにより、アルカリ現像ポジ型レジスト組成物、又は架橋剤を有しない溶剤現像ネガ型レジスト組成物によって形成されたガイドパターンが、相分離工程における加熱処理によって熱ダレすることを一層抑制することができる。
[ブロックコポリマーを含む層を形成する方法]
前記ガイドパターンを表面に有する支持体に対して、前記ガイドパターンの凹部の底面を被覆するように、後述するブロックコポリマーを含む組成物を用いて、ブロックコポリマーを含む層を形成する。この際、前記底面だけでなく、前記凹部の側面(側壁)を被覆するように前記ブロックコポリマーを含む層を形成することが好ましい。この層を形成する方法は特に制限されず、公知の方法が適用できる。例えば、ブロックコポリマー含有組成物を、スピンナー等を用いて反射防止膜12及びガイドパターン14が形成された基板11上に塗布する。
ブロックコポリマーを含む層13の厚みは、ブロックコポリマーの分子量(ポリマー周期)に依存し、一般にポリマー周期の0.5〜4.0倍の範囲で塗布することが好ましい。
本発明においてブロックコポリマーを含む層13の厚さは、相分離が起こるために十分な厚みであればよい。前記厚みの下限値は特に限定されないが、最終目的のパターンが形成しうるナノ構造体の強度等を考慮すると、3nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがさらに好ましい。また、前記厚みの上限値も特に制限されないが、通常はガイドパターン14の厚み(高さ)がその上限値となり、1μm以下とすることが好ましい。
<相分離工程(工程2)>
以下、相分離工程を「工程2」と呼ぶことがある。工程2は、工程1で得た前記ブロックコポリマーを含む層を相分離させる工程である。
ブロックコポリマーを含む層13を熱処理することにより、物理化学的性質が似たブロック同士は集合し、物理化学的性質が異なるブロック同士は排斥し合う性質を利用して、ブロックコポリマーを含む層13を相分離させることができる。この際、後工程におけるブロックコポリマーの選択除去によって、支持体表面の少なくとも一部が露出するような相分離構造を形成させることが好ましい。前記相分離構造には、ブロックコポリマー中の各ブロックの性質、長さ及び配置が反映された周期構造を形成することができる。その例として、図1に示すような、対向配置されたガイドパターンの向かい合う2辺に対して垂直方向に周期性を有する縞模様構造(縞状構造)が挙げられる。
熱処理の温度は、用いるブロックコポリマーを含む層13のガラス転移温度以上であり、かつ熱分解温度未満で行うことが好ましい。例えば、ブロックコポリマーが、PS−PMMA(Mw:18k−18k)の場合には、160〜270℃で30〜3600秒間の熱処理を行うことが好ましい。ブロックコポリマーを含む層が、後述する(B”)成分を含有する場合、ブロックコポリマーを含む層のガラス転移温度が低くなるため、本熱処理をさらに低温で行うことができる。具体的には、100〜180℃で10〜600秒間の熱処理によって相分離させることができる。
また、熱処理は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
<選択的に除去する工程(工程3)>
以下、選択的に除去する工程を「工程3」と呼ぶことがある。工程3は、工程2において前記ブロックコポリマーを含む層が相分離した構造のうち、前記ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去する工程である。この選択的除去により、最終目的のパターンが得られる。最終目的のパターンには、相分離構造が反映されたナノスケールの周期構造を付与することができる。この場合、最終目的のパターンはナノ構造体と呼ばれることがある。
以下の説明において、ブロックコポリマーを構成するブロックのうち、後の工程で選択的に除去されないブロックをPブロック、選択的に除去されるブロックをPブロックと呼ぶことがある。例えば、PS−PMMAブロックコポリマーを含む層を相分離した後、当該層に対して酸素プラズマ処理や水素プラズマ処理等を行うことにより、PMMAからなる相が選択的に除去される。この場合、PSがPブロックであり、PMMAがPブロックである。
図1に示した例においては、相分離構造を形成させた後の基板上のブロックコポリマーを含む層13のうち、Pブロックからなる相中のブロックの少なくとも一部を選択的に除去(低分子量化)している。
このような選択的除去処理は、PブロックよりもPブロックの方を優先的に又は、Pブロックだけを選択的に、分解除去し得る処理であれば、特に限定されるものではなく、樹脂膜の除去に用いられる手法の中から、PブロックとPブロックの種類に応じて、適宜選択して行うことができる。また、基板表面に予め中性化膜が形成されている場合には、当該中性化膜もPブロックからなる相と同様に除去することが好ましい。このような除去処理としては、例えば、酸素プラズマ処理、オゾン処理、UV照射処理、熱分解処理、及び化学分解処理等が挙げられる。
ブロックコポリマーからなる層13のうち、選択的除去後に残存させたPブロックからなる相13bによって形成されたパターンを有する基板は、そのまま使用することもできるが、さらに熱処理を行うことにより、そのパターン形状(ナノ構造体)を変更することもできる。具体的には、熱処理温度が、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上、且つ熱分解温度以下であれば、熱フローにより、PAブロックの寸法を大きくすることができる。また、熱処理温度が、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上、且つ熱分解温度以上であれば、熱シュリンクにより、PAブロックの寸法を小さくすることができる。熱処理の温度は、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上であり、且つ熱分解温度未満で行うことが好ましい。また、熱処理は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
《ブロックコポリマーを含有する組成物》
本発明のパターン形成方法に好適に使用可能なブロックコポリマー含有組成物について、以下に詳述する。
<ブロックコポリマーを溶解する溶剤>
ブロックコポリマー含有組成物は、ブロックコポリマーを溶解する有機溶剤を含有することが好ましい。
前記有機溶剤としては、従来のブロックコポリマー含有組成物に使用されている有機溶剤を適用することができる。
前記有機溶剤の具体例としては、組成物の各成分を溶解又は分散し、沈殿等が発生し難い均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、ブロックコポリマー含有組成物の有機溶剤として公知の溶剤又は高分子化合物の有機溶剤として公知の溶剤の中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノン
などのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、エチルシクロヘキサンなどを挙げることができる。
前記有機溶剤として、上記例の有機溶剤を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。たとえば極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。また、極性溶剤としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、前記有機溶剤として、その他には、PGMEA、EL、または前記PGMEAと極性溶剤との混合溶媒と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
前記有機溶剤は、後述する(B”)成分に該当しない化合物であることが好ましい。前記有機溶剤が混合溶剤である場合は、混合される各溶剤が後述する(B”)成分に該当しない化合物であることが好ましい。
<組成物中の溶剤の含有量>
前記ブロックコポリマー含有組成物中の前記有機溶剤の含有量は特に限定されず、基板上に形成されたガイドパターンに塗布することが可能な濃度、又はガイドパターン内に注入若しくは充填することが可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。通常は、組成物中の固形分濃度が0.1〜30質量%であることが好ましく、0.2〜25質量%であることがより好ましく、0.3〜20質量%であることがさらに好ましい。
<ブロックコポリマー:(Ap)成分>
前記ブロックコポリマー含有組成物は、複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含有する。ここで、ブロックコポリマーは、複数種類のブロックが結合した高分子である。ブロックコポリマーを構成するブロックの種類は、2種類であってもよく、3種類以上であってもよい。
前記ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックは、相分離が起こる組み合わせであれば特に限定されるものではないが、互いに非相溶であるブロック同士の組み合わせであることが好ましい。また、ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロック中の少なくとも1種類のブロックからなる相が、他の種類のブロックからなる相よりも、容易に選択的に除去可能な組み合わせであることが好ましい。
ブロックコポリマーとしては、例えば、スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位を含むブロックと、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含むブロックとを結合させたブロックコポリマー;スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位を含むブロックと、シロキサン又はその誘導体から誘導される構成単位を含むブロックとを結合させたブロックコポリマー;及びアルキレンオキシドから誘導される構成単位を含むブロックと(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含むブロックとを結合させたブロックコポリマー等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸の炭素原子に、アルキル基やヒドロキシアルキル基等の置換基が結合しているものが挙げられる。置換基として用いられるアルキル基としては、炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸アントラセン、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメタン、(メタ)アクリル酸プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
スチレン誘導体としては、例えば、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−n−オクチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−ニトロスチレン、3−ニトロスチレン、4−クロロスチレン、4−フルオロスチレン、4−アセトキシビニルスチレン、ビニルシクロへキサン、4−ビニルベンジルクロリド、1−ビニルナフタレン、4−ビニルビフェニル、1−ビニル−2−ピロリドン、9−ビニルアントラセン、ビニルピリジン等が挙げられる。
シロキサンの誘導体としては、例えば、ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン等が挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソプロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
本発明においては、スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位を含むブロックと(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含むブロックとを結合させたブロックコポリマーを用いることが好ましい。具体的には、ポリスチレン−ポリメチルメタクリレート(PS−PMMA)ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリエチルメタクリレートブロックコポリマー、ポリスチレン−(ポリ−t−ブチルメタクリレート)ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリメタクリル酸ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリメチルアクリレートブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリエチルアクリレートブロックコポリマー、ポリスチレン−(ポリ−t−ブチルアクリレート)ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリアクリル酸ブロックコポリマー等が挙げられる。本発明においては、特に、PS−PMMAブロックコポリマーを用いることが好ましい。
ブロックコポリマーを構成する各ブロックの質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、相分離を起こすことが可能な大きさであれば特に限定されるものではないが、5000〜500000が好ましく、5000〜400000がより好ましく、5000〜300000がさらに好ましい。
またブロックコポリマーの分散度(Mw/Mn)は1.0〜3.0が好ましく、1.0〜1.5がより好ましく、1.0〜1.2がさらに好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
<化合物:(B”)成分>
前記ブロックコポリマー含有組成物は、前記有機溶剤に加えて、さらに、20℃における蒸気圧が0.05hPa以下であり、且つ凝固点が25℃以下である化合物を含有することが好ましい。以下、該化合物を(B”)成分と呼ぶことがある。
ここで、「20℃における蒸気圧」とは、20℃において液相または固相と平衡にある蒸気相の圧力をいう。
(B”)成分として特定の蒸気圧を有する化合物を用いることにより、本発明のパターン形成方法において、ブロックコポリマーからなる層のガラス転移温度(Tg)を低下させることが可能となり、比較的低温でアニール処理を行った場合にも、良好なパターンを形成することができる。(B”)成分の20℃における蒸気圧は、0.05hPa以下であれば特に限定されるものではないが、0hPaよりも大きく、0.04hPaよりも小さいことが好ましく、0hPaよりも大きく、0.03hPaよりも小さいことがより好ましく、0hPaよりも大きく、0.01hPaよりも小さいことがさらに好ましい。
また、(B”)成分の凝固点が25℃以下であることにより、(B”)成分が少なくとも25℃程度の常温において液体の化合物となるため、当該組成物を用いて、塗布等により支持体上にブロックコポリマーを含む層を形成する際に、良好な性状を有するブロックコポリマーを含む層を形成することができる。(B”)成分の凝固点は25℃以下であることが好ましく、20℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることがさらに好ましい。ここで「凝固点」とは、標準大気圧1013.25hPaにおいて液相状態の物質が固相と平衡状態を保つときの温度をいう。
また、(B”)成分としては、静的表面張力が30mN/m以上であることが好ましく、30〜65mN/mであることがより好ましく、30〜50mN/mであることがさらに好ましい。静的表面張力が30mN/m以上であることにより、該(B”)成分を含有するブロックコポリマーを含む層が緻密なものとなる。特に、ガイドパターンを有する支持体上にブロックコポリマーを含む層を形成する場合であれば、静的表面張力が小さいことにより、該ガイドパターンの微細な空隙にブロックコポリマーを含む層が入り込みやすくなり、ガイドパターンに忠実な微細パターン(最終目的のパターン)が得られることから好ましい。なお、ここで「静的表面張力」とは、20℃において滴下法により測定された静的表面張力をいう。
(B”)成分として、具体的には、ベンジルグリコール、グリセリン、フェニルジグリコール、ベンジルジグリコール等のアルコール類、トリアセチン等のエステル類が好ましく、フェニルジグリコールが特に好ましい。
(B”)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は特に限定されないが、600以下であることが好ましく、50〜600がより好ましく、100〜600がさらに好ましい。分子量を上記範囲内とすることにより、低温においても良好な熱流動性を得ることができる。
(B”)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B”)成分の複数種を組み合わせて用いる場合、アルコール類と、エステル類との組合せが好ましい。
本発明のパターン形成方法における(B”)成分の含有量は特に限定されるものではないが、(B”)成分と前記有機溶剤の合計に対する、(B”)成分の割合が0.1〜40質量%であることが好ましく、0.3〜35質量%であることがより好ましく、0.6〜30質量%であることがさらに好ましい。ここで、前記有機溶剤は、(B”)成分とは異なる有機溶剤である。
また、本発明の組成物中の(B”)成分と前記有機溶剤の合計の使用量は特に限定されず、前記ブロックコポリマー含有組成物を支持体等に塗布可能な濃度で、所望の塗布後膜厚等に応じて適宜決定することができる。
また、(B”)成分を前記ブロックコポリマー含有組成物に含有させる場合、該組成物を構成する前記有機溶剤のSP値と(B”)成分のSP値の差(△SP値)が、0〜5の範囲であることが好ましく、△SP値が0〜2.5であることがより好ましい。
ここで「SP値」とは溶解パラメーターであって、(B”)成分と前記有機溶剤のSP値の差(ΔSP値)が小さいほど、相溶性が良好となり、良好なパターンが得られる。
前記ブロックコポリマー含有組成物には、所望により、混和性のある添加剤、例えば中性化膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料、増感剤、塩基増殖剤、塩基性化合物等を適宜、添加含有させることができる。
《アルカリ現像プロセスに好適なレジスト組成物》
本発明のパターン形成方法において、ガイドパターンを形成するためのレジスト組成物として、公知のポジ型レジスト組成物が適用可能である。以下に、好適なポジ型レジスト組成物を例示する。
前記ポジ型レジストは、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分、及び露光により酸を発生する酸発生剤成分を含有することが好ましい。かかるポジ型レジスト組成物においては、放射線が照射(露光)されると、酸発生剤成分から酸が発生し、該酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、ガイドパターンの形成において、当該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜における露光部の、前記アルカリ現像液に対する溶解性が増大する一方で、未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像を行うことにより露光部が除去されてガイドパターンが形成される。なお、該ポジ型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大し、且つ、露光により酸を発生する基材成分を含有するものも用いることができる。
<(A)成分>
本発明のパターン形成方法で用いるアルカリ現像ポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト組成物(以下、(A)成分という。)、及び露光により酸を発生する酸発生剤成分(以下、(B)成分という。)を含有していることが好ましい。ここで、(A)成分は構成単位(a1)を含有することが好ましい。
また、本発明のパターン形成方法において用いるアルカリ現像ポジ型レジスト組成物は、露光により酸を発生し、且つ酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(以下、(A’)成分という。)を含有していてもよい。前記基材成分(A’)は、露光により酸を発生する構成単位(以下、(a6)成分という。)を有する樹脂成分(以下、(A1’)成分という。)を含有することが好ましい。
さらに、本発明のパターン形成方法で用いるアルカリ現像ポジ型レジスト組成物は、前記(A’)成分と、前記(B)成分とを含有していてもよい。
また、前記アルカリ現像ポジ型レジスト組成物は、前記(A)成分と前記(A’)成分の両方を含有するレジスト組成物であってもよい。具体的には、構成単位(a1)及び構成単位(a6)の両方を含有するレジスト組成物、又は構成単位(a1)及び(a6)並びに構成単位(a2)、(a3)、(a4)、(a5)及び(B)成分から選ばれる何れか1以上を含有するレジスト組成物が例示できる。
本明細書において、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物を意味する。
基材成分としては、通常、分子量が500以上の有機化合物が用いられる。分子量が500以上であることにより、充分な膜形成能を備えるとともに、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。本明細書および特許請求の範囲において「高分子化合物」は分子量が1000以上の重合体を示す。
高分子化合物の場合、「分子量」はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
(構成単位(a1))
(A)成分は、構成単位(a1)を含有することが好ましい。構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SOH)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基が酸解離性基で保護された基(たとえばOH含有極性基の水素原子を、酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
ここで「酸解離性基」とは、
(i)酸の作用により、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基、又は、
(ii)酸の作用により一部の結合が開裂した後、さらに脱炭酸反応が生じることにより、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る基、
の双方をいう。
酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液が有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
酸解離性基としては、特に限定されず、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものを使用することができる。
上記極性基のうち、カルボキシ基または水酸基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−1)で表される酸解離性基(以下、便宜上「アセタール型酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
Figure 0006126807
[式中、Ra’、Ra’は水素原子またはアルキル基、Ra’は炭化水素基、Ra’は、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成してもよい。]
式(a1−r−1)中、Ra’、Ra’のアルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
Ra’の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく;直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルエチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2,2,−ジメチルブチル基等が挙げられる。
Ra’が、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成する場合、該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
上記極性基のうち、カルボキシ基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−2)で表される酸解離性基が挙げられる(下記式(a1−r−2)で表される酸解離性基のうち、アルキル基により構成されるものを、以下、便宜上「第3級アルキルエステル型酸解離性基」ということがある)。
Figure 0006126807
[式中、Ra’〜Ra’は炭化水素基であり、Ra’、Ra’は互いに結合して環を形成してもよい。]
Ra’〜Ra’の炭化水素基としては前記Ra’と同様のものが挙げられる。Ra’は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。Ra’、Ra’が互いに結合して環を形成する場合、下記一般式(a1−r2−1)で表される基が挙げられる。
Figure 0006126807
[式中、Ra’10は炭素数1〜10のアルキル基、Ra’11はRa10が結合した炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基を示す。]
前記式(a1−r2−1)の具体例を以下に挙げる。
Figure 0006126807
また、上記極性基のうち水酸基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−3)で表される酸解離性基(以下、便宜上「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
Figure 0006126807
[式中、Ra’〜Ra’はアルキル基を示す。]
式(a1−r−3)中、Ra’〜Ra’は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、1〜3がより好ましい。
また、各アルキル基の合計の炭素数は、3〜7であることが好ましく、3〜5であることがより好ましく、3〜4であることが最も好ましい。
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位;ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位;ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の−C(=O)−OHにおける水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、上記のなかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
構成単位(a1)として、下記一般式(a1−1)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0006126807
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vaは2価の炭化水素基であり、na1はそれぞれ独立に0〜2であり、
Raは上記式(a1−r−1)〜(a1−r−2)で表される酸解離性基である。]
前記式(a1−1)中、炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
Vaの炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。Vaにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。前記モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
前記Vaにおける2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基);等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
以下に上記式(a1−1)の具体例を示す。以下の各式中、Rαは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。
Figure 0006126807
Figure 0006126807
Figure 0006126807
Figure 0006126807
(A)成分中の構成単位(a1)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位に対し、20〜80モル%が好ましく、20〜75モル%がより好ましく、25〜70モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、ガイドパターンを容易に形成することができき、感度、解像性、LWR等のリソグラフィー特性も向上する。また、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(構成単位(a2))
(A)成分は、構成単位(a1)に加えて、ラクトン含有環式基を含む構成単位(a2)をさらに有することが好ましい。構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めるうえで有効なものである。
なお、前記構成単位(a1)がその構造中にラクトン含有環式基を含むものである場合、該構成単位は構成単位(a2)にも該当するが、このような構成単位は構成単位(a1)に該当し、構成単位(a2)には該当しないものとする。
「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
構成単位(a2)におけるラクトン含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)で表されるものが挙げられる。
Figure 0006126807
[式中、Ra’21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子またはアルキル基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子でありn’は0〜2の整数でありm’は0または1である。]
下記に一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)で表される構成単位の具体例を挙げる。
Figure 0006126807
Figure 0006126807
(A)成分が有する構成単位(a2)は1種でも2種以上でもよい。
(A)成分が構成単位(a2)を有する場合、構成単位(a2)の割合は、当該(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜80モル%であることが好ましく、10〜70モル%であることがより好ましく、10〜65モル%であることがさらに好ましく、10〜60モル%が特に好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができ、DOF、CDU等の種々のリソグラフィー特性及びパターン形状が良好となる。
(構成単位(a3))
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(ただし、上述した構成単位(a1)、(a2)に該当するものを除く)である。
(A)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むものであれば特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
構成単位(a3)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位が好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記の式(a3−1)で表される構成単位、式(a3−2)で表される構成単位、式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 0006126807
[式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。]
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
(A)成分が含有する構成単位(a3)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
構成単位(a3)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
(構成単位(a4))
(A)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位(a4)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−6)の構造のものを例示することができる。
Figure 0006126807
[式中、Rαは前記と同じである。]
かかる構成単位(a4)を(A)成分に含有させる際、構成単位(a4)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜30モル%であることが好ましく、10〜20モル%であることがより好ましい。
(構成単位(a5))
(A)成分は、さらに構成単位(a5)を含有することが好ましい。構成単位(a5)の−SO−含有環式基は、(A)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めるうえで有効なものである。
なお、前記構成単位(a1)がその構造中に−SO−含有環式基を含むものである場合、該構成単位は構成単位(a5)にも該当するが、このような構成単位は構成単位(a1)に該当し、構成単位(a5)には該当しないものとする。
ここで、「−SO−含有環式基」とは、その環骨格中に−SO−を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、−SO−における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。その環骨格中に−SO−を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。−SO−含有環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
−SO−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO−を含む環式基、すなわち−O−SO−中の−O−S−が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。−SO−含有環式基として、より具体的には、下記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0006126807
[式中、Ra’51はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子またはアルキル基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子でありn’は0〜2の整数である。]
前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)中、A”は、酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。A”における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。
A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
Ra’51におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、前記で−SO−含有環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
以下に、前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)で表される具体的な環式基を例示する。なお、式中の「Ac」はアセチル基を示す。
Figure 0006126807
Figure 0006126807
Figure 0006126807
−SO−含有環式基としては、上記の中でも、前記一般式(a5−r−1)で表される基が好ましく、前記化学式(r−sl−1−1)、(r−sl−1−19)、(r−sl−3−1)および(r−sl−4−1)で表される基からなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、前記化学式(r−sl−1−1)で表される基が最も好ましい。
構成単位(a5)としては、−SO−含有環式基を有するものであれば他の部分の構造は特に限定されないが、一般式(a5−1)で表される構成単位であることが好ましい。
(構成単位(a6))
本発明のパターン形成方法で用いるアルカリ現像ポジ型レジスト組成物は、露光により酸を発生し、且つ酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(以下、(A’)成分という。)を含有していてもよい。前記基材成分(A’)は、露光により酸を発生する構成単位(以下、(a6)成分という。)を有する樹脂成分(以下、(A1’)成分という。)を含有することが特に好ましい。
構成単位(a6)としては、下記一般式(a6c−1)又は(a6a−1)で表される基を含有する構成単位を有することが好ましい。
本発明においては、樹脂成分が露光により酸を発生する構成単位((a6)成分)を含有することにより、レジストパターンの耐熱性が向上するため好ましい。樹脂成分に(a6)成分を含有するレジストパターンはブロックコポリマーを相分離させる際のアニール温度を(a6)成分を含有しないレジストパターンに比べて高温にしてもパターンが熱ダレするおそれが少ないと考えられる。
Figure 0006126807
[式中、Q、Qはそれぞれ独立に、単結合又は2価の連結基であり、R、R、Rはそれぞれ独立に有機基であり、R、Rは相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよく、Vは対アニオンである。Aはアニオンを含む有機基であり、Mm+は有機カチオンであり、mは1〜3の整数である。]
{式(a6c−1)で表される基を有するモノマー}
式(a6c−1)中、Qは単結合又は2価の連結基である。
の2価の連結基としては特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)
2価の連結基としての炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、水素原子を置換する置換基(水素原子以外の基または原子)を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、水素原子を置換する置換基(水素原子以外の基または原子)を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。
2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する2価の炭化水素基であり、置換基を有していてもよい。芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基);等が挙げられる。
前記アリール基またはヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
(ヘテロ原子を含む2価の連結基)
ヘテロ原子を含む2価の連結基におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m’は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
が−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」と同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CHa’−C(=O)−O−(CHb’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
本発明におけるQとしては、単結合、又はエステル結合[−C(=O)−O−]、エーテル結合(−O−)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基若しくはこれらの組合せであることが好ましい。
式(a6c−1)中、R、R及びRはそれぞれ独立に有機基であり、RとRとは相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
それぞれ独立に有機基である。
〜Rの有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
の有機基として具体的には、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基等が挙げられる。
における置換基を有していてもよいアルキレン基としては、たとえば、無置換のアルキレン基、該無置換のアルキレン基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アルキレン基等が挙げられる。
無置換のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。解像性に優れる点から、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、シクロペンチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。
置換アルキレン基が有する置換基としては、ハロゲン原子、オキソ基(=O)、シアノ基、アルキル基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R”、−O−C(=O)−R”、−O−R”、アリール基等が挙げられる。R”、R”、R”はそれぞれ独立に、水素原子または炭化水素基である。
これらのうち、置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換アルキレン基における置換基としてのアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれかであってもよい。その炭素数は1〜30が好ましい。
それらのうち、直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
環状のアルキル基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
環状のアルキル基としては、多環式が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換アルキレン基における置換基としてのアルコキシアルキルオキシ基としては、たとえば、
一般式:−O−C(R47)(R48)−O−R49
[式中、R47、R48はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R49はアルキル基である。]
で表される基が挙げられる。
47、R48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
47、R48は、少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。特に、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
49における直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換アルキレン基における置換基としてのアルコキシカルボニルアルキルオキシ基としては、たとえば、
一般式:−O−R50−C(=O)−O−R56
[式中、R50は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、R56は第3級アルキル基である。]
で表される基が挙げられる。
50における直鎖状、分岐鎖状のアルキレン基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
56における第3級アルキル基としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−(2−プロピル)−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロペンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルペンチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基などが挙げられる。
さらに、前記一般式:−O−R50−C(=O)−O−R56におけるR56を、R56’で置き換えた基も挙げられる。R56’は、水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基である。
56’におけるアルキル基は、前記R49のアルキル基と同様のものが挙げられる。
56’におけるフッ素化アルキル基は、前記R49のアルキル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
56’における、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基としては、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたもの等が挙げられる。
56’について、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
56’について、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基として具体的には、後述する式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
56’について、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたものとして具体的には、脂肪族環式基中の水素原子がオキソ基(=O)に置換されたもの等が挙げられる。
56’について、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたものとして具体的には、脂肪族環式基中の水素原子がオキソ基(=O)に置換されたもの等が挙げられる。
−C(=O)−O−R”におけるR”は、水素原子または炭化水素基である。
”における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素基、脂肪族不飽和炭化水素基のいずれであってもよい。
”における飽和炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基の炭素数は1〜25が好ましく、1〜15がより好ましく、4〜10がさらに好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、例えば、前記R56の説明で挙げた第3級アルキル基が挙げられる。また、第3級アルキル基以外の分岐鎖状の飽和炭化水素基として、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
”における環状の飽和炭化水素基の炭素数は、3〜20が好ましい。環状の飽和炭化水素基は、多環式基、単環式基のいずれでもよく、例えば、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該環状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該環状のアルキル基が有する環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該環状のアルキル基が有する環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンの環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素シクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。また、前記環の構造中にエステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい。具体的には、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基等のラクトン含有単環式基や、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基等のラクトン含有多環式基等が挙げられる。
後者の例における置換基としては、上述した直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有してもよい置換基として挙げたものと同様のもの、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
”における飽和炭化水素基は、直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基と、環状の飽和炭化水素基との組み合わせであってもよい。
直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基と環状の飽和炭化水素基との組合せとしては、直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基に置換基として環状の飽和炭化水素基が結合した基(例えば1−(1−アダマンチル)メチル基)、環状の飽和炭化水素基に置換基として直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基が結合した基等が挙げられる。
”における脂肪族不飽和炭化水素基は、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。直鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。これら直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
”における芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する1価の炭化水素基であり、置換基を有していてもよい。
芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基や、ヘテロアリールアルキル基);等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子を置換するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としてたとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
”としては、上記のなかでも、リソグラフィー特性、レジストパターン形状が良好であることから、水素原子、飽和炭化水素基または脂肪族不飽和炭化水素基が好ましく、水素原子、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、または炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基がより好ましい。
−O−C(=O)−R”におけるR”は、水素原子または炭化水素基である。
”としては、前記R”と同様のものが挙げられる。それらのなかでも、リソグラフィー特性、レジストパターン形状が良好であることから、水素原子、飽和炭化水素基または脂肪族不飽和炭化水素基が好ましく、水素原子、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、または炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基がより好ましい。
−O−R”におけるR”は、水素原子または炭化水素基である。
”としては、前記R”と同様のものが挙げられる。それらのなかでも、リソグラフィー特性、レジストパターン形状が良好であることから、水素原子、飽和炭化水素基または脂肪族不飽和炭化水素基が好ましく、水素原子、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、または炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基がより好ましい。
前記置換基としての−O−R”としては、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることが最も好ましい。
前記置換アルキレン基における置換基としてのアリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記置換基としてのアリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては、たとえば前記R”における芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
式(a6c−1)中、Rにおける置換基を有していてもよいアリーレン基としては、炭素数6〜20の無置換のアリーレン基;該無置換のアリーレン基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アリーレン基等が挙げられる。
無置換のアリーレン基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリーレン基が好ましい。具体的には、たとえばフェニレン基、ナフチレン基が挙げられる。
置換アリーレン基における置換基としては、前記置換アルキレン基における置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。具体的には、前記置換アルキレン基における置換基として挙げたもののうち、ハロゲン原子、オキソ基(=O)、シアノ基、アルキル基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R”、−O−C(=O)−R”、−O−R”(ただしR”、R”、R”がそれぞれ独立に、水素原子、飽和炭化水素基または脂肪族不飽和炭化水素基であるもの)等が挙げられる。
式(a6c−1)中、R、Rの有機基としては、特に限定されるものではないが、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基等が挙げられる。
、Rにおける置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基;該無置換のアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アリール基等が挙げられる。
無置換のアリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
置換アリール基における置換基としては、前記置換アリーレン基が有していてもよい置換基として挙げた置換基と同様のものが挙げられる。
、Rにおけるアルキル基としては、たとえば、無置換のアルキル基、該無置換のアルキル基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アルキル基等が挙げられる。
無置換のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。解像性に優れる点から、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
置換アルキル基における置換基としては、Rにおける置換アルキレン基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
、Rにおけるアルケニル基としては、たとえば、無置換のアルケニル基、該無置換のアルケニル基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アルケニル基等が挙げられる。
無置換のアルケニル基は、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、炭素数は2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。具体的には、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
置換アルケニル基における置換基としては、Rにおける置換アルキレン基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
式(a6c−1)中、RとRは相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよい。該環は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。また、該環は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。たとえば環を形成するR、Rのうちの一方または両方が環式基(環状のアルキル基またはアリール基)である場合、それらが結合すると、多環式の環(縮合環)が形成される。
形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。
該環は、環骨格を構成する原子として、R及びRが結合した硫黄原子以外の他のヘテロ原子を有していてもよい。該ヘテロ原子としては、たとえば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等が挙げられる。
形成される環の具体例としては、たとえばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
式(a6c−1)中、Vは対アニオンである。
の対アニオンとしては、特に限定されるものではなく、たとえばオニウム塩系酸発生剤のアニオン部として従来知られているものを適宜用いることができる。
としては、たとえば、一般式「R”SO (R”は、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基を表す。)」で表されるアニオンが挙げられる。
前記一般式「R”SO 」において、R”は、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基を表す。
前記R”としての直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記R”としての環状のアルキル基は、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
”がアルキル基の場合の「R”SO 」としては、例えば、メタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート、1−アダマンタンスルホネート、2−ノルボルナンスルホネート、d−カンファー−10−スルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
前記R”としてのハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたものであり、該アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、又はイソペンチル基であることがさらに好ましい。そして、水素原子が置換されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、アルキル基(ハロゲン化前のアルキル基)の水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが好ましく、水素原子の全てがハロゲン原子で置換されていることがより好ましい。
ここで、該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましい。フッ素化アルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるため好ましい。
このような好ましいフッ素化アルキル基として、具体的には、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基が挙げられる。
前記R”としてのアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R”としてのアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基における水素原子の一部又は全部が置換基(水素原子以外の他の原子又は基)で置換されていてもよいことを意味する。
”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X−Q−[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Xは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
−Q−で表される基において、Qは酸素原子を含む2価の連結基である。
は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合:−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。当該組み合わせに、さらにスルホニル基(−SO−)が連結されていてもよい。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−、−SO−O−R94−O−C(=O)−、−R95−SO−O−R94−O−C(=O)−(式中、R91〜R95はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
91〜R95におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
−Q−で表される基において、Xの炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。
該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
における脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
において、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
における「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L6)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
Figure 0006126807
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94’−または−S−R95’−であり、R94’およびR95’はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
式中、Q”、R94’およびR95’におけるアルキレン基としては、それぞれ、前記R91〜R95におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記Xの脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
本発明において、Xは、置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記式(L2)〜(L6)、(S3)〜(S4)で表される基等が好ましい。
上記の中でも、前記R”としては、ハロゲン化アルキル基、または置換基としてX−Q−を有することが好ましい。
置換基としてX−Q−を有する場合、R”としては、X−Q−Y−[式中、QおよびXは前記と同じであり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
−Q−Y−で表される基において、Yのアルキレン基としては、前記Qで挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
として、具体的には、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CF(CFCF)−、−C(CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−、−CF(CFCFCF)−、−C(CF)(CFCF)−;−CHF−、−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−、−CH(CF)CH−、−CH(CFCF)−、−C(CH)(CF)−、−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CH(CF)CHCH−、−CHCH(CF)CH−、−CH(CF)CH(CF)−、−C(CFCH−;−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−;−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−;−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CHCFCFCF−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、又はCHCFCF−が好ましく、−CF−、−CFCF−又は−CFCFCF−がより好ましく、−CF−が特に好ましい。
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
”がX−Q−Y−で表される基であるR”−SO の具体例としては、たとえば下記式(b1)〜(b9)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
Figure 0006126807
Figure 0006126807
[式中、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、q3は1〜12の整数であり、t3は1〜3の整数であり、r1〜r2はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、gは1〜20の整数であり、Rは置換基であり、n1〜n6はそれぞれ独立に0または1であり、v0〜v6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、Q”は前記と同じである。]
の置換基としては、前記Xの説明で、脂肪族環式基の環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部を置換してもよい置換基として挙げたものや、芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子を置換してもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
に付された符号(r1〜r2、w1〜w6)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、式(a6c−1)中のVとしては、たとえば下記一般式(b−3)で表されるアニオン、下記一般式(b−4)で表されるアニオンも挙げられる。
Figure 0006126807
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
式(b−3)において、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は、好ましくは2〜6であり、より好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
式(b−4)において、Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜7、最も好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数又はY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基又はY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基又はアルキル基のフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
式(a6c−1)におけるVとしては、一般式「R”SO 」で表されるアニオン(特に、R”がX−Q−Y−で表される基である上記式(b1)〜(b9)で表されるアニオン)が好ましい。
以下に、式(a6c−1)で表される基の具体例を示す。式中、Vは前記同様である。
Figure 0006126807
式(a6c−1)で表される基を有するモノマーとしては、エチレン性二重結合を有する化合物であることが好ましい。エチレン性二重結合を有する場合、重合反応において該エチレン性二重結合が開裂して単結合となることにより、高分子化合物を形成することができる。
エチレン性二重結合を有する化合物としては、たとえば、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸またはそのエステル、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリルアミドまたはその誘導体、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいビニル芳香族化合物、シクロオレフィンまたはその誘導体、ビニルスルホン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸またはそのエステル、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリルアミドまたはその誘導体、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいビニル芳香族化合物が好ましい。
{式(a6a−1)で表される基を有するモノマー}
前記式(a6a−1)中、Qは単結合又は2価の連結基であって、前記式(a6c−1)中のQと同様である。
式(a6a−1)中、Aはアニオンを含む有機基である。
としては、露光により発生して酸アニオンとなる部位を含むものであれば特に限定されるものではないが、スルホン酸アニオン、カルボアニオン、カルボン酸アニオン、イミドアニオン、スルホニルメチドアニオンを発生しうる基が好ましい。
なかでも、Aとしては、下記式(I−21)〜(I−24)で表される基が好ましい。
Figure 0006126807
[Z、Zはそれぞれ独立に単結合、−C(=O)−又は−SO−であり;Z、Z及びZはそれぞれ独立に−C(=O)−又は−SO−である。R61、R62及びR63はそれぞれ独立にフッ素原子を有していてもよい炭化水素基である。R64は炭化水素基である。]
式(I−22)中、R61は、フッ素原子を有していてもよい炭化水素基である。R61における炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。
61における直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜8であるものが好ましく、炭素数1〜6であるものがより好ましく、炭素数1〜4であるものがさらに好ましく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が好ましいものとして挙げられる。
61における1価の脂環式炭化水素基は、炭素数3〜20であるものが好ましく、炭素数3〜12であるものがより好ましく、多環式でもよく、単環式でもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
61におけるアリール基は、炭素数6〜18であるものが好ましく、炭素数6〜10であるものがより好ましく、具体的にはフェニル基が特に好ましい。
61におけるアラルキル基は、炭素数1〜8のアルキレン基と上記「R61におけるアリール基」とが結合したものが好ましい例として挙げられる。炭素数1〜6のアルキレン基と上記「R61におけるアリール基」とが結合したアラルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基と上記「R61におけるアリール基」とが結合したアラルキル基が特に好ましい。
61における炭化水素基は、当該炭化水素基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていることが好ましく、当該炭化水素基の水素原子の30〜100%がフッ素原子で置換されていることがより好ましい。なかでも、上述したアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基であることが特に好ましい。
式(I−23)中、R62及びR63は、それぞれ独立に、フッ素原子を有していてもよい炭化水素基であり、前記R61におけるフッ素原子を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられる。
式(I−24)中、R64は炭化水素基であって、R61の説明中で挙げた直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アリール基、アラルキル基などが好ましい。
式(a6a−1)中、Mm+は有機カチオンであり、mは1〜3の整数である。
m+の有機カチオンとしては特に限定されず、例えば、従来、レジスト組成物のクエンチャーに用いられる光分解性塩基や、レジスト組成物のオニウム系酸発生剤等のカチオン部として知られている有機カチオンを用いることができる。このような有機カチオンとしては、例えば、下記一般式(c−1)や(c−2)で表されるカチオンを好適に用いることができる。
Figure 0006126807
[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基、アルキル基またはアルケニル基を表し;式(c−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。]
前記式(c−1)中、R”〜R”のアリール基、アルキル基、アルケニル基は、上記R〜Rで挙げた置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基と同様である。
式(c−1)において、R”〜R”がそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基である場合の好適なものとして具体的には、下記式(ca−1−1)〜(ca−1−45)で表されるカチオンが挙げられる。
Figure 0006126807
Figure 0006126807
[式中、g1、g2、g3は繰返し数を示し、g1は1〜5の整数であり、g2は0〜20の整数であり、g3は0〜20の整数である。]
式(c−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。この場合、該環は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。また、該環は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。たとえばR”〜R”のうち、環を形成する2つのいずれか一方または両方が環式基(環状のアルキル基またはアリール基)である場合、それらが結合すると、多環式の環(縮合環)が形成される。
形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。
該環は、環骨格を構成する原子として、R”〜R”が結合した硫黄原子以外の他のヘテロ原子を有していてもよい。該ヘテロ原子としては、たとえば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等が挙げられる。
形成される環の具体例としては、たとえばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
式(c−1)において、R”〜R”のうちのいずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成している場合の好ましい具体例として、たとえば、下記式(ca−12)〜(ca−15)で表されるカチオン部が挙げられる。
Figure 0006126807
[式中、Qは単結合、メチレン基、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、カルボニル基、−SO−、−SO−、−SO−、−COO−、−CONH−または−N(R)−(該Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)であり;R81〜R86はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基であり;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。]
Figure 0006126807
[式中、uは1〜3の整数であり、Rは、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基またはアルキル基であり、R10は、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アルキル基、アルコキシ基または水酸基であり、R’は置換基を有していてもよいアルキレン基である。]
式(ca−12)〜(ca−13)中、R81〜R86におけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
81〜R86に付された符号n〜nが2以上の整数である場合、複数のR81〜R86はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
およびnは、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
前記式(ca−12)又は(ca−13)で表されるカチオンの好適なものとしては、たとえば以下に示すもの等が挙げられる。
Figure 0006126807
式(ca−14)〜(ca−15)中、uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
は、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基またはアルキル基である。
におけるフェニル基またはナフチル基が有していてもよい置換基としては、前記Rにおける置換アリーレン基の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
における置換基を有していてもよいアルキル基としては、前記R〜Rにおける置換基を有していてもよいアルキル基と同様のものが挙げられる。
10は、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アルキル基、アルコキシ基または水酸基である。
10におけるフェニル基またはナフチル基が有していてもよい置換基としては、Rにおけるフェニル基またはナフチル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
10における置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基におけるアルキル基としてはそれぞれ、前記R”〜R”におけるにおけるアルキル基と同様のものが挙げられる。
’におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、1または2が特に好ましい。
’におけるアルキレン基が有していてもよい置換基としては、前記Rにおける置換アリーレン基の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記式(ca−14)または(ca−15)で表されるカチオンの好適なものとしては、たとえば以下に示すもの等が挙げられる。
Figure 0006126807
式(ca−14−1)中、Rは置換基である。該置換基としては、上記Rのフェニル基またはナフチル基が有していてもよい置換基として挙げた置換基と同様のものが挙げられる。
式(c−2)中のR”〜R”における置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基としては、R”〜R”における置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基と同様のものが挙げられる。
式(c−2)中の好ましい具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、等が挙げられる。
式(a6a−1)で表される基を有するモノマーとしては、エチレン性二重結合を有する化合物であることが好ましい。エチレン性二重結合を有する化合物としては前記同様であって、「式(a6c−1)で表される基、及びエチレン性二重結合を有するモノマー」として挙げたモノマーにおいて、式(a6c−1)で表される基が式(a6a−1)で表される基に置換されたモノマーが挙げられる。
なかでも、(α置換)アクリル酸のカルボキシ基末端の水素原子が、前記式(a6a−1)で表される基で置換されたモノマーが特に好ましい。以下に、具体例を示す。以下の各式中、Rαは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であり、Mm+は前記と同様である。
Figure 0006126807
Figure 0006126807
Figure 0006126807
Figure 0006126807
Figure 0006126807
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチルのようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等により重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2500〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、(A1)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されるものではなく、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A)成分において、(A1)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、リソグラフィー特性等の効果が向上する。
[(A2)成分]
前記レジスト組成物は、(A)成分として、前記(A1)成分に該当しない、酸の作用により極性が増大する基材成分(以下、(A2)成分という。)を含有してもよい。
(A2)成分としては、特に限定されず、化学増幅型レジスト組成物用の基材成分として従来から知られている多数のもの(たとえばArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のベース樹脂)から任意に選択して用いればよい。たとえばArFエキシマレーザー用のベース樹脂としては、前記構成単位(a1)を必須の構成単位として有し、任意に前記構成単位(a2)〜(a4)をさらに有する樹脂が挙げられる。
(A2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<任意成分>
[酸発生剤成分;(B)成分]
本発明のパターン形成方法に用いるアルカリ現像ポジ型レジスト組成物は、上記(A)成分又は(A’)成分に加えて、さらに、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有していてもよい。
この(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用する事ができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記一般式(b−1)又は(b−2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0006126807
[式中、R”〜R”,R”〜R”はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表す。式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか二つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。Zは対アニオンを表す。]
式(b−1)中、R”〜R”は、上記一般式(c−1)におけるR”〜R”と同じである。なかでも、リソグラフィー特性とレジストパターン形状がより向上することから、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基であることが好ましく、R”〜R”のうち、2つ以上がアリール基であることがより好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが特に好ましい。
式(b−2)中、R”〜R”は、上記一般式(c−2)におけるR”〜R”と同じである。なかでも、リソグラフィー特性とレジストパターン形状がより向上することから、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基であることが好ましく、R”〜R”のいずれもアリール基であることがより好ましい。
前記式(b−1)〜(b−2)中、Zは、前記式(a6c−1)中のVと同じである。
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部を、前記式(b1)〜(b9)のいずれかで表されるアニオンや、前記式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオンに置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる。この場合、カチオン部は前記式(b−1)又は(b−2)におけるカチオン部と同様のものが挙げられる。
また、オニウム塩系酸発生剤として、上記式(ca−12)〜(ca−15)で表されるカチオンをカチオン部に有するスルホニウム塩を用いることもできる。
オキシムスルホネート系酸発生剤としては、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜86頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤を好適に用いることができる。
ジアゾメタン系酸発生剤としては、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤を好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のパターン形成方法における(B)成分の含有量は、(A)成分又は(A’)成分100質量部に対して0.5〜60質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、1〜40質量部がさらに好ましい。(B)成分の含有量を上記範囲とすることで、ガイドパターンの形成が充分に行われる。また、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
<塩基性化合物成分;(D)成分>
(D)成分は塩基性化合物成分であって、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(B)成分等から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものである。なお、本発明において「塩基性化合物」とは、(B)成分に対して相対的に塩基性となる化合物をいう。本発明における(D)成分は、フッ素原子を有する塩基性化合物成分(D1)(以下、「(D1)成分」という。)を含有する。
[(D1)成分]
本発明における(D1)成分としては、(B)成分に対して相対的に塩基性となるものであれば特に限定されるものではないが、カチオン部とアニオン部とからなる化合物を含むことが好ましく、光反応型クエンチャーを含むことがより好ましく、下記一般式(d1)で表される化合物(d1)(以下(d1)成分という。)、下記一般式(d2)で表される化合物(d2)(以下(d2)成分という。)、及び下記一般式(d3)で表される化合物(d3)(以下(d3)成分という。)からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含むことがさらに好ましい。「光反応型クエンチャー」は、露光部においてはクエンチャーとしては作用せず、未露光部においてクエンチャーとして作用するものである。
Figure 0006126807
[式中、Rd〜Rdは置換基を有していてもよい炭化水素基である。ただし、式(d2)において、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していないものとする。
Ydはアルキレン基又はアリーレン基であり、Mm+はそれぞれ独立にm価の有機カチオンである。]
[(d1)成分]
・アニオン部
式(d1)中、Rdは置換基を有していてもよい炭化水素基である。
Rdの置換基を有していてもよい炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよく、(B)成分中のXの脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
なかでもRdの置換基を有していてもよい炭化水素基としては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましく、置換基を有していてもよいフェニル基やナフチル基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
また、Rdの置換基を有していてもよい炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状、あるいは脂環式アルキル基、又は、フッ素化アルキル基であることも好ましい。
Rdの直鎖状、分岐鎖状あるいは脂環式アルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の脂環式アルキル基が挙げられる。
Rdのフッ素化アルキル基は、鎖状であっても環状であってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
フッ素化アルキル基の炭素数は、1〜11が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換された基や、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基等の分岐鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換された基が挙げられる。
また、Rdのフッ素化アルキル基は、フッ素原子以外の原子を含有してもよい。フッ素原子以外の原子としては、たとえば酸素原子、炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
なかでも、Rdのフッ素化アルキル基としては、直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換された基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基を構成する水素原子の全てがフッ素原子で置換された基(パーフルオロアルキル基)であることが好ましい。
以下に(d1)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 0006126807
・カチオン部
式(d1)中、Mm+は、有機カチオンである。
m+の有機カチオンとしては特に限定されるものではないが、例えば、前記式(c−1)及び(c−2)で表されるカチオン部が挙げられる。
(d1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[(d2)成分]
・アニオン部
式(d2)中、Rdは置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である。
Rdの置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよく、(B)成分中のXの脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
なかでもRdの置換基を有していてもよい炭化水素基としては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましく、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい)であることがより好ましい。
Rdの炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としては、(B)成分中のXと同様のものが挙げられる。ただし、Rdにおいて、SO におけるS原子に隣接する炭素は、フッ素置換されていないものとする。SO とフッ素原子とが隣接しないことにより、当該(d2)成分のアニオンが適度な弱酸アニオンとなり、(D)成分のクエンチング能が向上する。
以下に(d2)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 0006126807
・カチオン部
式(d2)中、Mm+は、前記式(d1)中のMm+と同様である。
(d2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[(d3)成分]
・アニオン部
式(d3)中、Rdは有機基である。
Rdの有機基は特に限定されるものではないが、アルキル基、アルコキシ基、−O−C(=O)−C(RC2)=CH(RC2は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である)、または−O−C(=O)−RC3(RC3は炭化水素基である)である。
Rdのアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。Rdのアルキル基の水素原子の一部が水酸基、シアノ基等で置換されていてもよい。
Rdのアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
Rdが−O−C(=O)−C(RC2)=CHである場合、RC2は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
C2における炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
C2におけるハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
C2としては、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
Rdが−O−C(=O)−RC3である場合、RC3は炭化水素基である。
C3の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であっても、脂肪族炭化水素基であってもよい。RC3の炭化水素基として具体的には、(B)成分中のXの炭化水素基と同様のものが挙げられる。
なかでも、RC3の炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた脂環式基、又は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基が好ましい。RC3が脂環式基である場合、レジスト組成物が有機溶剤に良好に溶解することによりリソグラフィー特性が良好となる。また、RC3が芳香族基である場合、EUV等を露光光源とするリソグラフィーにおいて、該レジスト組成物が光吸収効率に優れ、感度やリソグラフィー特性が良好となる。
なかでも、Rdとしては、−O−C(=O)−C(RC2’)=CH(RC2’は水素原子又はメチル基である。)、又は、−O−C(=O)−RC3’(RC3’は脂肪族環式基である。)であることが好ましい。
式(d3)中、Ydは直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基又はアリーレン基である。
Ydの直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基又はアリーレン基としては、上記式(a6c−1)中のQの2価の連結基のうち、「直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基」、「環状の脂肪族炭化水素基」、「芳香族炭化水素基」と同様のものが挙げられる。
なかでも、Ydとしては、アルキレン基であることが好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがさらに好ましい。
式(d3)中、Rdはフッ素原子を含む炭化水素基である。
Rdのフッ素原子を含む炭化水素基は、フッ素化アルキル基であることが好ましく、Rdのフッ素化アルキル基と同様のものがより好ましい。
以下に(d3)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 0006126807
Figure 0006126807
・カチオン部
式(d3)中、Mm+は、前記式(d1)中のMm+と同様である。
(d3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D1)成分は、上記(d1)〜(d3)成分のいずれか1種のみを含有していてもよく、2種以上を組み合わせて含有していてもよい。
(d1)〜(d3)成分の合計の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10.0質量部であることが好ましく、0.5〜8.0質量部であることがより好ましく、1.0〜8.0質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られる。前記範囲の上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
((D1)成分の製造方法)
本発明における(d1)成分、(d2)成分の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法により製造することができる。
また、(d3)成分の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、前記式(d3)中のRdが、Ydと結合する末端に酸素原子を有する基である場合、下記一般式(i−1)で表される化合物(i−1)と、下記一般式(i−2)で表される化合物(i−2)とを反応させることにより、下記一般式(i−3)で表される化合物(i−3)を得、化合物(i−3)と、所望のカチオンMを有するZ(i−4)とを反応させることにより、一般式(d3)で表される化合物(d3)が製造される。
Figure 0006126807
[式中、R、Y、Rf、Mは、それぞれ、前記一般式(d3)中のRd、Yd、Rd、Mm+と同じである(m=1)。R2aはRから末端の酸素原子を除いた基であり、Zは対アニオンである。]
まず、化合物(i−1)と化合物(i−2)とを反応させ、化合物(i−3)を得る。
これらの式中、Rは前記同様であり、R2aは前記Rから末端の酸素原子を除いた基である。式(i−2)中、Y、Rfは前記同様である。
化合物(i−1)、化合物(i−2)としては、それぞれ、市販のものを用いてもよく、合成してもよい。
化合物(i−1)と化合物(i−2)とを反応させ、化合物(i−3)を得る方法としては、特に限定されないが、たとえば、適当な酸触媒の存在下で、化合物(i−2)と化合物(i−1)とを有機溶媒中で反応させた後に、反応混合物を洗浄、回収することにより、実施できる。
上記反応における酸触媒は、特に限定されるものではなく、例えばトルエンスルホン酸等が挙げられ、その使用量は化合物(i−2)1モルに対して0.05〜5モル程度が好ましい。
上記反応における有機溶媒としては、原料である化合物(i−1)及び化合物(i−2)を溶解できるものであればよく、具体的には、トルエン等が挙げられ、その使用量は、化合物(i−1)に対して、0.5〜100質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましい。溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
上記反応における化合物(i−2)の使用量は、通常、化合物(i−1)1モルに対して0.5〜5モル程度が好ましく、0.8〜4モル程度がより好ましい。
上記反応における反応時間は、化合物(i−1)と化合物(i−2)との反応性や、反応温度等によっても異なるが、通常、1〜80時間が好ましく、3〜60時間がより好ましい。
上記反応における反応温度は、20℃〜200℃が好ましく、20℃〜150℃程度がより好ましい。
次いで、得られた化合物(i−3)と、化合物(i−4)とを反応させ、化合物(d1−3)を得る。
式(i−4)中、Mは前記同様であり、Zは対アニオンである。
化合物(i−3)と化合物(i−4)とを反応させ、化合物(d1−3)を得る方法としては、特に限定されないが、たとえば、適当なアルカリ金属水酸化物の存在下で、化合物(i−3)を適当な有機溶媒及び水に溶解し、化合物(i−4)を添加して攪拌により反応させることにより実施できる。
上記反応におけるアルカリ金属水酸化物は、特に限定されるものではなく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、その使用量は化合物(i−3)1モルに対して0.3〜3モル程度が好ましい。
上記反応における有機溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル等の溶媒が挙げられ、その使用量は、化合物(i−3)に対して、0.5〜100質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましい。溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
上記反応における化合物(i−4)の使用量は、通常、化合物(i−3)1モルに対して0.5〜5モル程度が好ましく、0.8〜4モル程度がより好ましい。
上記反応における反応時間は、化合物(i−3)と化合物(i−4)との反応性や、反応温度等によっても異なるが、通常、1〜80時間が好ましく、3〜60時間がより好ましい。
上記反応における反応温度は、20℃〜200℃が好ましく、20℃〜150℃程度がより好ましい。
反応終了後、反応液中の化合物(d3)を単離、精製してもよい。単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、たとえば濃縮、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等をいずれか単独で、またはこれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のようにして得られる化合物(d3)の構造は、H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C−NMRスペクトル法、19F−NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により確認できる。
(D1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10.0質量部であることが好ましく、0.5〜8.0質量部であることがより好ましく、1.0〜8.0質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られる。前記範囲の上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
[(D2)成分]
(D)成分は、上記(D1)成分に該当しない他の塩基性化合物成分(以下、(D2)成分という。)を含有していてもよい。
(D2)成分としては、(B)成分に対して相対的に塩基性となる化合物であって酸拡散制御剤として作用するものであり、且つ(D1)成分に該当しないものであれば特に限定されず、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられ、トリエタノールアミントリアセテートが好ましい。
また、(D2)成分としては、芳香族アミンを用いてもよい。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
(D2)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D2)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のパターン形成方法に用いるアルカリ現像ポジ型レジスト組成物が(D)成分を含有する場合、(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましく、0.3〜12質量部であることがより好ましく、0.5〜12質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、レジスト組成物とした際、ラフネス等のリソグラフィー特性がより向上する。また、より良好なレジストパターン形状が得られる。前記範囲の上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
<任意成分>
[(E)成分]
本発明のパターン形成方法に用いるアルカリ現像ポジ型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、ホスフィン酸エステルやフェニルホスフィン酸などが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
[(S)成分]
本発明のパターン形成方法に用いるレジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、PGMEA、PGME、γ−ブチロラクトン、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように用いられる。
《溶剤現像プロセスに好適なレジスト組成物》
本発明のパターン形成方法において、ガイドパターンを形成するためのレジスト組成物として、公知のネガ型レジスト組成物が適用可能である。以下に、好適なネガ型レジスト組成物を例示する。
前記ネガ型レジストは、酸の作用により極性が増大し、有機溶剤を含有する現像液に対する溶解性が減少する基材成分、及び露光により酸を発生する酸発生剤成分を含有することが好ましい。かかるネガ型現像用レジスト組成物においては、放射線が照射(露光)されると、酸発生剤成分から酸が発生し、該酸の作用により基材成分の有機溶剤に対する溶解性が減少する。そのため、ガイドパターンの形成において、当該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜における露光部の、前記有機溶剤を含有する有機系現像液に対する溶解性が減少する一方で、未露光部の該有機系現像液に対する溶解性は変化しないため、該有機系現像液を用いたネガ型現像を行うことにより未露光部が除去されてガイドパターンが形成される。
本発明のパターン形成方法において用いる溶剤現像ネガ型レジスト組成物は、酸の作用により有機溶剤に対する溶解性が減少する基材成分(以下、(A)成分という。)、及び露光により酸を発生する酸発生剤成分(以下、(B)成分という。)を含有することが好ましい。
前記ネガ型レジスト組成物における(A)成分としては、前述したアルカリ現像ポジ型レジスト組成物の(A)成分と同様のものが適用できる。ただし、溶剤現像ネガ型レジストにおいては、(A)成分が3〜7員環のエーテル含有環式基を有しないことが好ましい。(A)成分が3〜7員環のエーテル含有環式基を有しないことにより、レジストパターンに耐熱性を付与させるための加熱処理が不要となり、相分離工程における相分離を低温の熱処理で行うことができる。
ここで、「エーテル含有環式基」とは、環状の炭化水素の炭素が酸素で置換された構造(環状エーテル)を含有する環式基を意味する。
前記ネガ型レジスト組成物における(B)成分としては、前述したアルカリ現像ポジ型レジスト組成物の(B)成分と同様のものが適用できる。
前記ネガ型レジスト組成物は、各成分を有機溶剤に溶解させて製造することができる。該有機溶剤としては、前述したアルカリ現像ポジ型レジスト組成物の(S)成分と同様のものが適用できる。
また、前記ネガ型レジスト組成物は、任意成分として、前述したアルカリ現像ポジ型レジスト組成物の(D)成分または(E)成分を含有してもよい。
また、本発明のパターン形成方法において用いる溶剤現像ネガ型レジスト組成物は、露光により酸を発生し、且つ酸の作用により有機溶剤に対する溶解性が減少する基材成分(前述した(A’)成分)を含有していてもよい。前記基材成分(A’)は、露光により酸を発生する構成単位(前述した(a6)成分)を有する樹脂成分(前述した(A1’)成分)を含有することが好ましい。
さらに、本発明のパターン形成方法で用いる溶剤現像ネガ型レジスト組成物は、前記(A’)成分と、前記(B)成分とを含有していてもよい。
また、前記溶剤現像ネガ型レジスト組成物は、前記(A)成分と前記(A’)成分の両方を含有するレジスト組成物であってもよい。具体的には、構成単位(a1)及び構成単位(a6)の両方を含有するレジスト組成物、又は構成単位(a1)及び(a6)並びに構成単位(a2)、(a3)、(a4)、(a5)及び(B)成分から選ばれる何れか1以上を含有するレジスト組成物が例示できる。
本発明のブロックコポリマー含有組成物を用いたパターン形成方法において、ガイドパターンを構成するアルカリ現像ポジ型レジスト組成物は、前述の一般式(a1−1)で表される構成単位、該構成単位のうち単環式の保護基を有する構成単位、構成単位(a5)及びアダマンタン系などの多環式の保護基を有する構成単位のうち、何れか1以上の構成単位、好ましくは2以上の構成単位をモノマーとして含有するポリマーを含むことが好ましい。これらの構成単位を有するガイドパターンの凹部の側面の水接触角を、該凹部の底面を構成していてもよい公知の反射防止膜の水接触角よりも容易に大きくすることができる。
本発明のブロックコポリマー含有組成物を用いたパターン形成方法において、ガイドパターンを構成する溶剤現像ネガ型レジスト組成物は、前述の一般式(a1−1)で表される構成単位、該構成単位のうち単環式の保護基を有する構成単位、及びアダマンタン系などの多環式の保護基を有する構成単位のうち、何れか1以上の構成単位をモノマーとして含有するポリマーを含むことが好ましい。これらの構成単位を有するガイドパターンの凹部の側面の水接触角を、該凹部の底面を構成していてもよい公知の反射防止膜の水接触角よりも容易に大きくすることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<調製例1>
ガイドパターンを形成するためのレジスト組成物を調製した。
[溶剤現像ネガ型レジスト組成物]
下記式(a)−1で表されるポリマー(Mw:7100、分散度(Poly dispersity index:PDI):1.65)を100質量部、下記式(b)−1で表される光酸発生剤(和光純薬社製)を10質量部、トリ−n−ペンチルアミンを1.0質量部、サリチル酸を1.5質量部、及びPGMEAを2500質量部の割合で混合し、溶解してレジスト組成物溶液を調製した。各構成単位の割合(モル%)は、l:m:n=40:40:20である。
Figure 0006126807
<調製例2>
[アルカリ現像ポジ型レジスト組成物]
下記式(a)−2で表されるポリマー(Mw:6900、分散度(Poly dispersity index:PDI):1.61)を100質量部、前記式(b)−1で表される光酸発生剤(和光純薬社製)を10質量部、トリ−n−ペンチルアミンを1.0質量部、サリチル酸を1.5質量部、及びPGMEAを2500質量部の割合で混合し、溶解してレジスト組成物溶液を調製した。各構成単位の割合(モル%)は、l:m:n:o:p=35:24:16:13:12である。
Figure 0006126807
<調製例3>
[アルカリ現像ポジ型レジスト組成物]
下記式(a)−3で表されるポリマー(Mw:7200、分散度(Poly dispersity index:PDI):1.71)を100質量部、前記式(b)−1で表される光酸発生剤(和光純薬社製)を10質量部、トリ−n−ペンチルアミンを1.0質量部、サリチル酸を1.5質量部、及びPGMEAを2500質量部の割合で混合し、溶解してレジスト組成物溶液を調製した。各構成単位の割合(モル%)は、l:m:n=40:40:20である。
Figure 0006126807
<実施例1>
まず、有機系反射防止膜組成物「ARC−29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚89nmの有機系反射防止膜を形成した。
つぎに、有機系反射防止膜上に、調製例1により調製されたレジスト組成物を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、105℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次いで、前記レジスト膜に対して、ArF露光装置S308B(ニコン社製;NA(開口数)=0.92、Crosspole(0.62〜0.77) with POLANO)、Dose=85.6mJにより、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。そして、95℃、60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに酢酸ブチルで16秒間の条件で現像し、振り切り乾燥を行った。続いて、100℃で1分間、その後150℃で1分間の条件でポストベーク処理を行った。その結果、直径90nmの円形状のホールパターン(ガイドホール)が、155nmピッチで形成された支持体を得た。
つぎに、表1に示す各成分を混合して溶解したブロックコポリマー含有組成物を、前記支持体上に、前記ホールパターンの底面からの厚みが17.5nmとなるようにスピンコート(回転数:1500rpm、60秒間)し、110℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、PS−PMMAブロックコポリマーを含む層を形成させた。その後、当該基板を、窒素気流下、150℃で60秒間の加熱処理を行い、相分離構造を形成させた。
その後、TCA−3822(商品名、東京応化工業社製)を用いて、該基板に対して酸素プラズマ処理(200sccm、40Pa、200W、40℃、20秒間)を施し、PMMAからなる相を選択的に除去した。
Figure 0006126807
表1中、(Ap)〜(C”)成分はそれぞれ以下の化合物である。また、表中の[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(Ap)−1:PS−PMMAブロックコポリマー1(PSのMw(質量平均分子量):60000、PMMAのMw:27000、PS/PMMA=70/30、PDI:1.02)
(B”)−1:フェニルジグリコール
(C”)−1:エチルシクロヘキサン/酢酸ブチル=50/50
得られた基板の表面を、走査型電子顕微鏡SU8000(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察した。
相分離により、元々形成されていたガイドホール1個あたり1個の縮小された円形ホールが形成されたものを○、相分離により、元々形成されていたガイドホール1個あたり2個以上のホールが形成された又は相分離によりホールが形成されなかったものを×として評価を行った。結果を表1に併記する。
また、ホールパターンを構成する複数のガイドホールのうち、良好な円形ホール(○)が形成されたガイドホールの割合をホール開口率として求めた。その結果を表1に併記する。
<実施例2>
調製例1のレジスト組成物に代えて、調製例2のレジスト組成物を用いて、実施例1と同様に支持体を作成した。その結果、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次いで、前記レジスト膜に対して、ArF露光装置S308B(ニコン社製;NA(開口数)=0.92、Crosspole(0.62〜0.77) with POLANO)、Dose=85.6mJにより、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。そして、95℃、60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、さらにNMD−3(東京応化)で16秒間の条件で現像し、振り切り乾燥を行った。続いて、100℃で1分間、その後150℃で1分間の条件でポストベーク処理を行った。その結果、直径90nmの円形状のホールパターン(ガイドホール)が、155nmピッチで形成された支持体を得た。
つぎに、得られた支持体上のガイドパターンで構成された凹部内に、実施例1と同様の方法でブロックコポリマーを含む層を形成し、さらに実施例1と同様の方法でPMMAからなる相を選択的に除去した。
得られた基板の表面を実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
<比較例1>
調製例3のレジスト組成物を用いて、115℃で60秒間のPAB処理、Dose 35.6mJの露光、115℃で60秒間のPEB処理の条件に変更した以外は、実施例2と同じ条件で、ホールパターンの形成を試みた。表1に示すように、良好なホールを形成することができなかった。
<水接触角の測定>
各レジスト組成物からなるガイドパターンの凹部の側面の水接触角(θ)及び底面の水接触角(θ)は、次のように測定した。
θは、前述したように、当該側面と同じ状態のレジスト膜を別途作製して、このレジスト膜の水接触角をθ/2法で測定した値を用いた。
θは、前記シリコンウエハー表面に形成した反射防止膜の表面の水接触角を測定することにより求めた。この水接触角の測定は、JIS R 325(1999)に基づいて、Dropmaster700(協和界面科学株式会社製)によって、超純水2.0μlを滴下後200ms経過時に測定し、5点測定平均により水接触角を求めた。この際、ソフトウェア:KYOWA interFAce Measurement and Analysis System FAMASを用いた。
求めた各水接触角の値を表1に併記する。
上記の結果、ガイドパターンの凹部を構成する側面と底面の水接触角の差(θ−θ)の絶対値が5度以上である、実施例1〜2では、150℃、60秒間という比較的低温の加熱処理によって、ブロックコポリマーを含む層を充分に相分離させることが可能であったため、ガイドホールの形状を反映した1個の最終目的のパターンを形成することができた。一方、前記絶対値が5度未満である比較例1では、ブロックコポリマーを含む層の相分離が不充分であり、最終目的のパターンが得られなかった。
11…基板、12…反射防止膜、14…レジストパターン、13…ブロックコポリマーを含む層、13a…Pブロックからなる相、13b…Pブロックからなる相

Claims (2)

  1. 露光により酸を発生し、且つ酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有するレジスト組成物によって形成されたガイドパターンを表面に有し、前記ガイドパターンの凹部の底面に中性化膜を有しない支持体に対して、
    前記ガイドパターンの凹部の底面を被覆するように、複数種類のブロックが結合したブロックコポリマー及び有機溶剤を含む組成物を用いて、ブロックコポリマーを含む層を形成するブロックコポリマー層形成工程と、
    前記ブロックコポリマー層形成工程後、前記ブロックコポリマーを含む層を相分離させる相分離工程と、
    前記相分離工程後、前記ブロックコポリマーを含む層のうち、前記ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去する工程と、を有し、
    前記ガイドパターンの凹部を構成する底面と側面の、水接触角の差の絶対値が5度以上であり、
    前記ブロックコポリマー及び前記有機溶剤を含む前記組成物が、さらに、20℃における蒸気圧が0.05hPa以下であり、且つ凝固点が25℃以下である化合物を含有することを特徴とするパターン形成方法。
  2. 前記相分離工程において、前記ブロックコポリマー層を100〜180℃で10〜600秒間の加熱処理を行うことにより相分離させる請求項1に記載のパターン形成方法。
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